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特許7465732各航空機のためのモードSアダプティブビーム制御機能を備える二次レーダ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】各航空機のためのモードSアダプティブビーム制御機能を備える二次レーダ
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/74 20060101AFI20240404BHJP
   G01S 13/91 20060101ALI20240404BHJP
   G01S 7/02 20060101ALI20240404BHJP
   G01S 13/78 20060101ALI20240404BHJP
   G01S 13/72 20060101ALN20240404BHJP
【FI】
G01S13/74
G01S13/91 200
G01S7/02 202
G01S13/78
G01S13/72
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020112455
(22)【出願日】2020-06-30
(65)【公開番号】P2021021726
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】1908592
(32)【優先日】2019-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】511148123
【氏名又は名称】タレス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・ビヨー
(72)【発明者】
【氏名】シルバン・コリン
【審査官】藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-521332(JP,A)
【文献】特表2018-538529(JP,A)
【文献】特表2010-512528(JP,A)
【文献】特開2010-159992(JP,A)
【文献】国際公開第2018/143903(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0252750(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00- 7/42
G01S 13/00-13/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
SUMと呼ばれる和チャネルを形成する放射パターンと、DIFFと呼ばれる差チャネルを形成する放射パターンと、CONTと呼ばれる制御チャネルを形成するパターンを有するアンテナと、少なくとも前記SUMチャネル上の質問メッセージと前記CONTチャネル上のISLS信号を生成する手段と、それぞれ前記SUMチャネルを介して、及び前記CONTチャネルを介して、これらのメッセージを送信する手段と、前記SUM、DIFF、及びCONTチャネルを介して信号を受信し、前記受信した信号を処理する、前記SUM及び/又はDIFFチャネルを介して受信した前記信号上でターゲットの応答を検出し、これらの応答について偏差測定処理及びRSLS処理を実行するように構成された手段と、を含む二次レーダにおいて、
前記送信手段は、各ターゲットについて個別に、質問を送信し、モードS選択的応答を受信するためのビームの幅が、前記ターゲットの移動ウィンドウ及び前記ウィンドウ内での前記アンテナの軸の位置に基づいてダイナミックに制御されるように構成され、それによって、前記ターゲットの検出を提供しながら、前記ターゲットの選択的下位質問により選択的質問の数が減らされ及びアジマス内のその正確な位置特定が確実にされ、これは、
- 前記DIFF及びSUMチャネル上で受信された前記信号間の偏差測定によって前記ターゲットを前記アンテナの受信メインローブの縁部で事前に位置特定することにより、
- アジマスにおける精度を確保するために、前記メインローブの中央に最も近いロールコール期間の計算により、前記事前に位置特定されたターゲットにモードSで選択的に再質問することによる
ことを特徴とする二次レーダ。
【請求項2】
前記送信手段は、各ターゲットについて、質問を送信し、モードS選択的応答を受信するための前記ビームの前記幅が、あるアジマス内で処理される予定の選択的トランザクションの事前に評価された数に基づいて制御されるように構成され、前記ビームは、前記数が標準ビーム内(81、82)の選択的トランザクションの実現可能な数より多い場合に、各ターゲットについて個別に拡張され、これは、
- 「データリンク」トランザクションとして知られるものを、その後主として監視専用となる前記標準ビーム外(81、83、82、84)に分散させることにより、
- 前記DIFF及びSUMチャネル上で受信した前記応答を使って、拡張された偏差測定により前記ターゲットを前記メインローブの前記縁部で事前に位置特定することにより、
- 「データリンク」又はその他の種類のトランザクションを保持し、アジマスにおける精度を確保するために、前記メインローブの前記中央に最も近いロールコール信号の計算により、前記事前に位置特定されたターゲットにモードSで選択的に再質問することによる、
ことを特徴とする、請求項1に記載の二次レーダ。
【請求項3】
前記モードS選択的質問送信ビームの前記幅の増大(B、B’、43、44)は、前記CONTパターンにより放射される場(34)の減衰により達成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の二次レーダ。
【請求項4】
質問メッセージを生成する前記手段はまた、追加的に前記DIFFチャネル上で質問メッセージを生成するように構成され、前記送信手段はまた、前記アンテナの前記DIFFチャネルを介してこれらのメッセージを送信することができるように構成され、前記レーダは、前記DIFF及びCONTパターン上で受信した前記応答を用いて、偏差測定により前記ターゲットを前記メインローブの前記縁部で事前に位置特定することを特徴とする、請求項1~3の何れか1項に記載の二次レーダ。
【請求項5】
前記送信手段は、各ターゲットについて、質問を送信し、モードS選択的応答を受信するための前記ビームの前記幅が、あるアジマス内で処理される予定の選択的トランザクションの前記事前に評価された数に基づいて制御されるように構成され、前記ビームは、前記数が標準ビーム(81、82)内で実現可能な選択的トランザクションの数より多い場合に拡張され、これは、
- 「データリンク」トランザクションとして知られるものを、全体が監視に割り当てられる前記標準ビームの外(81、85、82、86)に分散させることにより、
- 前記DIFF及びCONTパターン上で受信した前記応答を用いて、大きく拡張された偏差測定により前記ターゲットを前記メインローブの前記縁部で事前に位置特定することにより、
- 「データリンク」又はその他の種類のトランザクションを保持し、アジマスにおける精度を確保するために前記メインローブの中央に最も近いロールコール信号の計算により、前記事前に位置特定されたターゲットにモードSで選択的に質問することによる
ことを特徴とする、請求項1に記載の二次レーダ。
【請求項6】
前記モードS選択的質問送信ビームの前記幅の前記増大(C、C’、43’、44’)は、前記質問を送信するために前記DIFFチャネルを使用し、前記CONTパターンにより放射される前記場(34)を縮小することによって実現されることを特徴とする、請求項4に記載の二次レーダ。
【請求項7】
前記送信手段は、各ターゲットについて、質問を送信し、モードS選択的応答を受信するための前記ビームの前記幅が、それに関する質問数がそれゆえ、この種の各ターゲットに、DIFFで、その後SUMで、最後に依然として必要であればDIFFで選択的に質問することによって2倍となる可能性のあるような前記ターゲットの応答の検出レートに基づいて制御されるように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の二次レーダ。
【請求項8】
ATC型であることを特徴とする、請求項1~7の何れか1項に記載の二次レーダ。
【請求項9】
IFF型であることを特徴とする、請求項1~7の何れか1項に記載の二次レーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とりわけレーダにごく近接する移動ターゲットの、処理対象の航空機の点で大きいセクタ別作業負荷の、及び長距離ターゲットの制御における、各航空機のためのモードSアダプティブビーム制御機能を備える二次レーダ(SSR Secondary Surveillance Radar(二次監視レーダ))に関し、この制御機能は特にターゲットの種類(短距離、中距離、及び長距離)に適応される。
【背景技術】
【0002】
本発明の好ましい分野は、特に航空機検出に関して、使用されるレーダの性能が一義的であるような航空交通管制(ATC(air traffic control))である。さらに、新しい標準によってレーダ覆域内の各軌道に関する最小性能が規定され、その提供は長距離ターゲットについては特に困難であり、その場合、RFレベルが低く、特にFRUIT(False Reply Unsynchronized in Time)の型の、不要なターゲットに対する感度が高く、航空機に関するセクタ別作業負荷が非常に大きく、それと同時に、各航空機について1回転で複数のEHS(Enhanced Surveillance(拡張監視))トランザクションが行われることから、再質問レートを非常に低くすることがさらに求められている。
【0003】
航空交通管制は主としてモードSレーダに基づいており、検出及び復号に関するその信頼性は広く認められている。
【0004】
したがって、モードSレーダの性能は直接、その相互作用の相手となる航空機が利用可能か否かによって決まる。特に、二次レーダは、一次レーダと異なり、それが相互作用を:
- そのモードSアドレスを介した正確なターゲットを標的とする1030MHzでの選択的質問、
- そのモードSアドレスで暗号化される航空機のトランスポンダの1090MHzでの応答
に基づいて確立するということにより区別される。
【0005】
ATC二次レーダは、典型的に470kmすなわち250Nmを超える、非常に長距離のターゲットを正確に検出し、位置特定するように設計される。その機械的アンテナは、回転する場合が多く、高いゲインと、通常9mのアンテナの物理的幅に関して約2.4°という非常に狭いアジマスのビームを有する。したがって、ターゲット照射時間は比較的短く、従来、レーダの回転速度に応じて30~100ミリ秒である。その結果、照射時間のわずかな損失でもレーダの性能を実際に限定するものとなる。
【0006】
航空機のトランスポンダは、その周囲にあるすべての二次レーダと相互作用する。その相互作用能力は物理的に限定されるが、ICAO第10付属書により明示されている最小値を満たさなければならない。欧州で現在要求されている動作モードであるEHS監視に必要なもの等、最終的に毎秒16回のモードSロング応答という非常に低いこれらの限界を超えると、トランスポンダはレーダの選択的質問に応答しないことがある。しかしながら、レーダの検出確率は、30~100msの持続時間に対応する、有効ローブ幅(EBW:Effective Beam Width)内のトランスポンダの利用可能性が90%であることに基づいて定義される。
【0007】
それに加えて、質問を受け取ると、たとえその航空機に関係するものでなくても、航空機はある時間(最大値はICAO第X付属書第IV巻に明示されている)にわたり遮断される。これによってトランスポンダの利用可能性は低下するが、それは、トランスポンダがこの期間中に受信する質問に応答しないからであり、レーダの有効距離は大きく短縮される。
【0008】
空港レーダの典型的なケースにおいて、これは、多くの場合、関係するターゲットがより少ないエンルートレーダにも適用可能であるが、短距離ターゲット(5NM未満の距離にあることが多いが、数十NMまであり得る)には、例えば20°までの大きいアジマスの予測位置の移動ウィンドウがある(進入中、ターゲット航空機の軌道は実際に変化することがあり、その位置は空港周辺で操縦中の航空機のあり得る軌道運動の後にこれらのウィンドウ内でしか良好に予測できず、この現象は明らかに、本来的に位置変更能力がより高い軍用航空機の場合において、より顕著である)。回転する機械的アンテナを有するATCレーダは通常、単一ビームを有し、そのEBW(Equivalent Bandwidth(透過帯域幅))は3dB、すなわち2.4°のローブのオーダである。短距離ターゲットの追尾中に、レーダはその狭ビームで移動ウィンドウをサンプリングし、その結果、従来、(現実に、移動していないが、例えばレーストラックパターンで移動する可能性があるほとんどのターゲットについて)15を超える選択的な質問が行われるが、そのほとんど(典型的には15中13)はしばしば不要であり、これは多くの場合、航空機は何れの方向転換もせず(直線軌道)、したがって予測位置にあり、移動の可能性がないからである。
【0009】
したがって、これらの質問は:
-レーダ時間の損失につながり、それはこれらが他のターゲットの照射時間に取って代わることになるからであり、それゆえ、レーダのモードSデータ抽出パワー(EHSで必要なBDS(commB Data Selector)データレジスタ)と、それがあるセクタで検出できるターゲットの最大数さえも減少し、
- それに関係のない質問のために瞬間的に遮断される他のターゲットの汚染につながり、その結果、これらの他のターゲットのために他のレーダにより新たな質問が生成されることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の1つの目的は、特に、上述の欠点を減らすことである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的のために、本発明は、SUMと呼ばれる和チャネルを形成する放射パターンと、DIFFと呼ばれる差チャネルを形成する放射パターンと、CONTと呼ばれる制御チャネルを形成するパターンを有するアンテナと、少なくともSUMチャネル上の質問メッセージとCONTチャネル上のISLS信号を生成する手段と、それぞれSUMチャネルを介して、及びCONTチャネルを介して、これらのメッセージを送信する手段と、SUM、DIFF、及びCONTチャネルを介して信号を受信し、受信した信号を処理する、SUM及び/又はDIFFチャネルを介して受信した信号上でターゲットの応答を検出し、これらの応答について偏差測定処理及びRSLS処理を実行するように構成された手段と、を含む二次レーダを提案し、送信手段は、各ターゲットについて個別に、質問を送信し、モードS選択的応答を受信するためのビームの幅が、前記ターゲットの移動ウィンドウ及び前記ウィンドウ内での前記アンテナの軸の位置に基づいてダイナミックに制御されるように構成され、それによって、前記ターゲットの検出を提供しながら、前記ターゲットの選択的下位質問により選択的質問の数を減らし、アジマスにおけるその正確な測距が確実となり、これは、
- DIFF及びSUMチャネル上で受信された信号間の偏差測定によって前記ターゲットを前記アンテナの受信メインローブの縁部で事前に位置特定することにより、
- アジマスにおける精度を確保するために、前記メインローブの中央に最も近いロールコール期間の計算により、前記事前に位置付けられたターゲットにモードSで選択的に再質問することによる。
【0012】
特定の実施形態において、送信手段は、各ターゲットについて、質問を送信し、モードS選択的応答を受信するためのビームの幅が、あるアジマス内で処理される予定の選択的トランザクションの事前に評価された数に基づいて制御されるように構成され、前記ビームは、前記数が標準ビーム内の選択的トランザクションの実現可能な数より多い場合に、各ターゲットについて個別に拡張され、これは、
- 「データリンク」トランザクションとして知られるものを、その後主として監視専用となる前記標準ビームの外に分散させることにより、
- DIFF及びSUMチャネル上で受信した応答を使って、拡張された偏差測定によりターゲットを前記メインローブの前記縁部で事前に位置特定することにより、
- 「データリンク」又はその他の種類のトランザクションを保持し、アジマスにおける精度を確保するために、前記メインローブの中央に最も近いロールコール信号の計算により、前記事前に位置特定されたターゲットにモードSで選択的に再質問することによる。
【0013】
前記モードS選択的質問送信ビームの幅の増大は、例えばCONTパターンにより放射される場の減衰により達成される。
【0014】
質問メッセージを生成する手段はまた、追加的にDIFFチャネル上で質問メッセージを生成するように構成され、送信手段はまた、アンテナのDIFFチャネルを介してこれらのメッセージを送信できるように構成され、前記レーダは、DIFF及びCONTパターン上で受信した応答を用いて、偏差測定によりターゲットを前記メインローブの縁部で事前に位置特定する。
【0015】
特定の実施形態において、送信手段は、各ターゲットについて、質問を送信し、モードS選択的応答を受信するためのビームの幅が、あるアジマス内で処理される予定の選択的トランザクションの事前に評価された数に基づいて制御されるように構成され、前記ビームは、前記数が標準ビーム内で実現可能な選択的トランザクションの数より多い場合に拡張され、これは、
- 「データリンク」トランザクションとして知られるものを、全体が監視に割り当てられる前記標準ビームの外に分散させることにより、
- DIFF及びCONTパターン上で受信した応答を用いて、大きく拡張された偏差測定によりターゲットを前記メインローブの前記縁部で事前に位置特定することにより、
- 「データリンク」又はその他の種類のトランザクションを保持し、アジマスにおける精度を確保するために前記メインローブの中央に最も近いロールコール信号の計算により、前記事前に位置特定されたターゲットにモードSで選択的に質問することによる。
【0016】
前記モードS選択的質問送信ビームの幅の増大は、例えば、前記質問を送信するためにDIFFチャネルを使用し、CONTパターンにより放射される場(34)を縮小することによって実現される。
【0017】
送信手段は、各ターゲットについて、例えば、質問を送信し、モードS選択的応答を受信するためのビームの幅が、それに関する質問の数がそれゆえ、この種の各ターゲットに、DIFFで、その後SUMで、最後に依然として必要であればDIFFで選択的に質問することによって2倍となる可能性のあるような航空機の応答の検出レートに基づいて制御されるように構成される。
【0018】
二次レーダは例えばATC又はIFF型である。
【0019】
本発明のその他の特徴と利点は、下記のような添付の図面に関する以下の説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明は他の種類のアンテナにも同等に応用可能であるが、例として使用されるATCアンテナの送信/受信パターンの図を示す。
図2】ターゲットまでの距離に応じた、検出時にレーダが受信したプロット群のパワー(単位、dBm)の図を示す。
図3a】それぞれ「標準ビーム」、「広ビーム」、「拡張広ビーム」型の送信ビームの考え得る異なる設定を示す。
図3b】それぞれ「標準ビーム」、「広ビーム」、「拡張広ビーム」型の送信ビームの考え得る異なる設定を示す。
図3c】それぞれ「標準ビーム」、「広ビーム」、「拡張広ビーム」型の送信ビームの考え得る異なる設定を示す。
図4a】それぞれ、従来のビーム設定の受信における図と本発明による受信ビーム設定の図を示す。
図4b】それぞれ、従来のビーム設定の受信における図と本発明による受信ビーム設定の図を示す。
図5】移動ターゲットの考え得る位置ウィンドウに関するアンテナ軸の位置(アジマス)に応じたビームのダイナミック制御の原理の図を示す。
図6a】それぞれ標準型と本発明による、不動ターゲットに関する質問シーケンシングの図を示す。
図6b】それぞれ標準型と本発明による、不動ターゲットに関する質問シーケンシングの図を示す。
図7a】それぞれ標準型と本発明による、移動ターゲットに関する(回転ごとにアジマスが増大する)に関する質問シーケンシングの図を示す。
図7b】それぞれ標準型と本発明による、移動ターゲットに関する(回転ごとにアジマスが増大する)に関する質問シーケンシングの図を示す。
図8a】それぞれ標準モードの、「広ビーム」型の広いビームでの、及び「拡張広ビーム」型の広いビームでの、ターゲットまでの距離に応じたモードSトランザクションの図を示す。
図8b】それぞれ標準モードの、「広ビーム」型の広いビームでの、及び「拡張広ビーム」型の広いビームでの、ターゲットまでの距離に応じたモードSトランザクションの図を示す。
図8c】それぞれ標準モードの、「広ビーム」型の広いビームでの、及び「拡張広ビーム」型の広いビームでの、ターゲットまでの距離に応じたモードSトランザクションの図を示す。
図9a】非常に長距離にあるターゲットに関するモードSトランザクションの図を示す。
図9b】非常に長距離にあるターゲットに関するモードSトランザクションの図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の説明の中により詳しく示されているように、本発明により提供される解決策は、ATCレーダ、又は用途に応じてIFFレーダの有効ビーム幅を、関係するターゲットの特性及びそのターゲットについてレーダが実行すべきタスクにそれをダイナミックに適応させることによって最適に制御することにある。
【0022】
ターゲットが近いとき、又は中距離にあるときでも、アップリンク(1030MHzでの送信)とダウンリンク(1090MHzでの受信)の結果はどちらも、ほとんどの航空機について非常に良好であり、これはそれらがあまり高い高度にない(≒<40°)からである。したがって、各ターゲットのモードSトランザクション(質問と応答)によって、使用されるビーム幅を送信において及び受信において一貫してダイナミック且つ個別に調整することにより、有効ビーム幅(EBWとする)を増大させることが可能である。
【0023】
本発明の説明を続ける前に、二次レーダの送信と受信におけるよく知られた基本的原理を、図1を利用して要約する。取り決めとして、この図では、送信及び受信に使用されるパターンは実線で示され、破線のパターンは通常、受信においてのみ使用される。
【0024】
二次レーダは、アンテナの和パターン(SUM)を介して1030MHzの周波数で質問を送信し、これはアンテナの同じフロントパネルから、及び後方パッチから制御パターン(CONT)を介して送信されたISLS(Interrogation Side Lobe Suppression(質問サイドローブ抑圧))パルスによりアジマス内に限定される送信ローブからなる。それは、和パターン(SUM)上、及び2つの対称なローブからなる差パターン(DIFF)上での受信時に異なるターゲットにより1090MHzの周波数で送信された応答を受信し、後者のチャネルによって、ターゲットはメインローブであるSUMの中の偏差測定によりアジマス内で位置特定される。これらの受信パターンは、より低いレベルではあるが、アンテナの軸の外で短距離ターゲットの不要な受信も可能となるほど高いサイドローブを伴う。したがって、サイドローブより高いレベルの受信制御チャネル(CONT)を提供することにより、サイドローブでの検出を無効にする。
【0025】
この目的のために、送信時に、アンテナのメインローブ以外でのトランスポンダの応答を回避するために、
- CONTにより放射されるISLS信号レベルがSUMにより放射される質問のレベルより高い場合、ターゲットのトランスポンダは応答せず、
- 放射されたレベルが、CONT+9dB>SUM≧CONTであるとき、トランスポンダは応答しても、しなくてもよく、
- そして最後に、放射レベルがSUM≧CONT+9dBであるとき、トランスポンダは応答しなければならない。
【0026】
受信においては、符号付きのパラメータ化が可能な数値“RSLS”(Receiver Side Lobe Suppression(レシーバサイドローブ抑圧))により増大されたCONTチャネルを介して受信された信号のレベルがSUMチャネルを介して受信されたレベルより高い場合、レーダは応答を処理しない。制御チャネルは、サイドローブにより送信又は捕捉された信号を、CONTではなくSUMを介した検出におけるその信号レベルがメインローブ内にあるターゲットに対応する信号だけを処理することによって、ある程度ふるい分ける。
【0027】
実際には、通常、アンテナパターン上に保証された最小EBMを表すために、CONTチャネルのレベルは一般にISLS=RSLS=9dBだけ増大される。換言すれば、SUM上のレベルはCONTレベルを9dBだけ増大したものに匹敵する。この増大により、和チャネルのメインローブの保証された有効幅が表されることができ、この有効幅は前述の幅EBWである。制御チャネルは通常、2つのチャネル、すなわちアンテナの前方のチャネル(CONT_Front)とアンテナの後方のチャネル(CONT_Back)からなる。この場合、CONT_Frontチャネルが使用され、これを以下、CONTチャネルと呼ぶ。
【0028】
図3a、3b、及び3c(後述)の線は、応答の決定のためのトランスポンダの3つの考え得る設定を示す:
- CONT+0dB:トランスポンダの無応答限界(太い実線:これを下回るとトランスポンダは応答しない);
- CONT+9dB:トランスポンダの保証された応答の限界(大まかな太い破線:これを上回るとトランスポンダは応答しなければならない);
- CONT+5dB:典型的なトランスポンダ、すなわちほとんどのターゲットの平均応答(細かい太い破線:これを上回ると典型的なトランスポンダは応答する)。
【0029】
アジマスは、ターゲット又は軸の絶対参照フレームにおける位置を表し、方位角はアンテナの位置に関する角度を表す点に留意すべきである。厳密に言えば、図1のパターンは方位角に依存する。アジマスと方位角という用語は以下において互換的に使用される。
【0030】
図2は、例えばレーダの質問に対する良好な感度とこれらに対するその応答における良好なパワーレベルを有する航空機の、NM(nautical miles(海里))で表されるターゲットまでの距離に応じた検出ブリップ群のパワー(単位:dBm)を示す。この線は、レーダによる応答処理の閾値が約-86dBmである場合の、有効ローブが30NMまでは35dB、又はさらには120NMまでは25dBだけ増大する可能性を示している。
【0031】
本発明は特に、二次レーダが遭遇する2つの典型的なケース、すなわち短距離ターゲットのモードS制御とアジマス内の局所的ピーク過負荷の制御においてこの信号マージンを利用するが、本発明は他のケースにも応用可能であることは明らかである。
【0032】
短距離ターゲットのモードS制御の場合、レーダはこのターゲットのモードSアドレスでの選択的質問を実行するために、次の回転でのアンテナランデブ中にターゲットの考え得る位置を計算する。レーダのミッションによれば、主にターゲットが近くにある場合、追尾すべきターゲットの操縦速度が重要であり得、したがって、移動ウィンドウ(次の回転でのターゲットの考え得る位置)のアジマス内で、レーダの標準的な有効ローブよりはるかに大きい寸法を占めることになる。
【0033】
本発明によれば、レーダは送信及び受信におけるその設定をダイナミックに変更して、このターゲットで実行されることになる選択的トランザクションのためにのみ、移動ウィンドウの寸法に応じてその有効ビームを増大させる。その目的は2つある:
- 質問レートを低下させて、汚染を限定すること、
- 及び、それゆえ、レーダ照射時間の損失を限定して、同じアジマス内の他のターゲットを処理すること。
【0034】
アジマス内にある航空機のピーク過負荷の制御の場合、より詳しくは、高レートのモードS選択的トランザクションが実行されることになる(1回転あたり1ターゲットあたりN個の“BDS”が抽出され、多くの場合、N≧2)ターゲットのある高負荷のアジマスセクタ(典型的に、3.5°が必要)の場合、標準的な有効ビームにより生成される照射期間(特に、レーダが空港レーダのように高速で、典型的には1回転4秒で回転する場合)では、すべてのターゲットに必要なモードS選択的トランザクションのすべてを提供することができない場合がある。本発明によれば、レーダは、送信及び受信のその設定をダイナミックに変更して、その有効ビームをターゲットの距離に応じて増大させ、その目的は:
- データリンクのモードS選択的トランザクションの、1つを除くすべてを、標準的有効ローブの外にシフトさせること、
- データリンクか否かを問わず、モードS選択的トランザクションを標準的有効ローブ内に保持して、レーダの一次ATC監視ミッションである、ターゲットの正確な位置を確保すること
である。
【0035】
有効ビーム幅の新しい型の2つの設定を考える:
- 「広ビーム」と呼ばれる設定であり、この設定は、和パターン(SUM)でモードS選択的質問を常に送信し、拡張されたビーム(6°まで)でSUMパターン及び/又は差パターン(DIFF)での応答を聞くことによって、送信においてはCONTで送信された信号のパワーを20dBだけ削減し、受信においてはRSLS及びTVBC(Time Variable Base Clipping、すなわちターゲットの距離に基づくレーダ検出閾値の適応)のレベルを例えば-20dBだけ削減することによって、質問のサイドローブを抑圧する(ISLS)ための設定で動作することによって実行される。
- 「拡張広ビーム」と呼ばれる設定であり、この設定は、SUM及び/又はDIFFパターンで選択的質問を送信し、大きく拡張されたビーム(8°まで)でSUM及び/又はDIFFでの応答を聞くことによって、及び送信においてはCONT上で送信される信号のパワーを20dBだけ削減し、受信においてはRSLS及びTVBCのレベルを例えば-20dBだけ削減することによってISLS設定で動作することによって実行される。
【0036】
制御チャネルにより、応答経路サイドローブ抑圧のRSLS機能を受信において提供することが可能となり、この目的のために、それはサイドローブにより捕捉される信号を、CONTではなくSUM又はDIFFを介する検出においてその信号レベルが受信された信号だけを処理することによってフィルタ処理し、これは実際には拡張されたメインローブ内に存在するターゲットに応答する。
【0037】
受信において、CONTチャネルを介して受信され、パラメータ化可能な値“RSLS_SUM”だけ増大された信号のレベルがSUMチャネルを介して受信されたレベルより高い場合、レーダはSUMで受信された応答を処理しない。同様に、CONTチャネルを介して受信され、パラメータ化可能な値“RSLS_DIFF”だけ増大された信号のレベルがDIFFチャネルを介して受信されたレベルより高い場合、レーダはDIFFで受信された応答を処理しない。本発明の場合、閾値RSLS_SUM及びRSLS_DIFFは-20dBまで低下されてよい。
【0038】
同じターゲットについて、各モードSトランザクションにおいて、提案される3つの設定、すなわち「標準」、「広ビーム」、及び「拡張広ビーム」間で、又はさらにはこれらの間で、
- 送信:ISLSのパワーレベル
- 受信:TVBCと同時の閾値RSLS_SUM又はRSLS_DIFF
との間をより細かく(0~20dB)、ただし常に一貫した方法で調節することにより、常に移動させることが可能である。
【0039】
これらの設定を下表にまとめ、その後図3a~3c及び図4a~4に関して例示する。
【0040】
どちらの場合も、ISLS、RSLS、及びTVBCのパラメータ化された設定により、ビーム幅EBWを0.25度よりよいピッチで調節できる。
【0041】
したがって、下表は、ATC又はIFF応用における本発明による二次レーダの設定をまとめたものである(例として提供された値は通常のATCアンテナに対応する)。
【0042】
【表1】
【0043】
従来、有効ローブ幅が短距離で約+/-2°であるとき、既存のレーダは、偏差測定のうち主として監視用のモードSで有益な部分、すなわちレンジ全体にわたり+/-1.2°を使用し、その結果、幅は上表に示されるように2.4°となる。
【0044】
表はまた、標準設定(「標準ビーム」)も示しており、これはSUMチャネルで選択的質問を送信し、監視ローブと実質的に等しい幅を有する、すなわち2.4°の標準ビームでSUMチャネル上の応答を聞き、おそらく有効ビームEBWの4°から、レーダのアジマス精度のための有益な高品質の偏差測定f(DIFF/SUM)を提供する。
【0045】
上記の2つの制御例(「広ビーム及び拡張広ビーム」)の中でこれらの設定を使用することにより、追尾フェーズ(移動ウィンドウ内のターゲットの位置を探知)中に、予想された位置に関するアンテナの位置に基づいて、移動ウィンドウを異なるビーム設定、すなわち「広ビーム」(≒6°)及び「拡張広ビーム」(≒8°)で、すなわち、したがって、「標準ビーム」(≒2.4°)と示される標準ビームのピッチの2~3倍を超えるピッチで(選択的質問により)サンプリングすることができ、それによって、質問数が同じ比率で減少する。
【0046】
ビームごとの変化は、オペレータによりターゲットの移動の確率とそれらの応答レートに基づいて経験的にパラメータ化可能であることに気付くことがあり、それゆえ、異なる質問によりカバーされるアジマスは、送信される質問の数を損なうように低い応答レートの航空機に合わせて重複させることができる。
【0047】
検出中、ターゲットの位置は、アンテナの特性と3つのパターンSUM、DIFF、及び前面制御(CONT_front)で受信される(又は、受信されない)レベルを使って、アジマス内で事前に位置特定される。
【0048】
その後、ターゲットとの相互作用フェーズ中に、残りのデータリンクトランザクション(BDS又はその他の抽出)が、1つを除いてすべて、経験的に監視ローブ(≒2.4°)の外で実行される。レーダのアジマス精度をさらに提供し、過剰質問を回避するために、追尾フェーズでの検出中に十分な精度で立証されたアジマス内での事前に位置特定された位置を使って、そのターゲットがアンテナ軸に最も近いRC(ロールコール)期間(DIFF上の最小ゲインとSUM上の最大ゲイン)が計算されて、最終的な質問(監視のみのため、又は恐らくは、データリンクのため)が実行される。
【0049】
本発明は、関係する各ターゲットの特性へのダイナミックな適応により、既存のオーバヘッドコンポーネント(アンテナ、回転ジョイント、ケーブル)を使って、ATC/IFF二次レーダの有効ビーム(EBW)の最適化された制御を提案する。これは、各モードSターゲットのための各モードSトランザクション(質問と応答)について、他のモードSターゲットとは独立して、少なくとも以下の3種類のビーム型を制御することによって行われる(値はそれらの間で、レーダ回転速度応じて、0.25°と小さくてよいピッチで調節可能):
- 「拡張広ビーム」(最大EBW≧8°)
- 「広ビーム」(最大EBW≧6°)
- 「標準ビーム」(典型的EBW≧2.4°)。
【0050】
各モードS短距離ターゲットについて、ダイナミック適応は、これらのターゲットの移動ウィンドウを走査することによって行われる:
- 追尾フェーズにおいて、広いビーム(「広ビーム」又は「拡張広ビーム」)を使って、選択的質問レートを大幅に低下させる(現在の2~3分の1とする)。
- 位置特定フェーズにおいて、検出後、標準ビーム(「標準ビーム」)に戻し、ローブの中央に質問を保持することによってこの種のターゲットにおけるレーダのアジマス精度を改善することによる。
【0051】
中距離までのモードSターゲットについて、ダイナミック適応は、ビームの中の種類によりトランザクションを分散させることによって実行される:
- 標準ビームのローブの縁部にある1つを除く、したがって約±1.2°及び拡張されたローブ内(約±3°以内の「広ビーム」又は約±4°以内の「拡張広ビーム」)のすべてのデータリンクトランザクションを実行することによる。
- アジマス内の位置のためのトランザクション(データリンク又はその他)をローブ中央のできるだけ近くに保持することによる。
【0052】
図3a、3b、及び3cは、結果として「標準ビーム」型のビーム(図3a)、「広ビーム」型のビーム(図3b)、及び「拡張広ビーム」型のビーム(図3c)が得られるLVAアンテナに関する送信ビームの異なる設定を示す。アンテナはATCアンテナである。
【0053】
アンテナは、
- 質問のためのSUMパターン、
- メインローブの外のトランスポンダを遮断するためのCONTパターン、
- 受信においてローブ内のターゲットを位置特定するための、通常は送信に使用されないDIFFパターン
を含む。
【0054】
取り決めとして、これらの図及びそれ以降の図中、アジマスにおいて、太線は、実線でも破線でも、
図3a、3b、及び3cについてはトランスポンダから、
- 又は図4a及び4bについてはレーダから、の何れかの
CONTパターン上で放射されるエネルギーとその内部パラメータに基づくレシーバの処理上の決定に対応する。
【0055】
図3a、3b、及び3cは、送信に関するアジマス平面内のSUM、DIFF、及びCONTパターンを示す。アンテナのパターンは一定のままであり、これは、EBW_TXの異なる設定を可能にするためにパワーが変調される放射エネルギーである。
【0056】
送信時の有効ローブの設定は、ISLS信号レベルを介して行われ、その基本的機能は、サイドローブを介して放射される質問により意図せず質問されることがある、メインビーム外のトランスポンダを遮断することである。
【0057】
ATCアンテナは、非常に高品質とするために非常に大きく、非常に低いサイドローブを有し、それによって、特に本来選択的なモードSでは、リスクを一切伴わずにサイドローブを介して質問することが可能となる。
【0058】
したがって、CONTパターンにより放射されるエネルギーのレベルは変化し、それによって送信ビームの有効幅(EBW_TX)を増大させることができ、有効幅は、アンテナの軸に関するターゲットのアジマス内のある位置におけるSUMパターン(DIFFと反対)とISLSパターンの2つの交差点間で定義される(典型的に、CONTパターン+SUM_対DIFF上の選択的質問とトランスポンダの本来的設定であるCONT上の信号とのパワーの差)。図3aは、標準設定の場合(「標準ビーム」-表中の第一の設定)を示す。
- 曲線31は、0dBに設定されたトランスポンダの閾値、すなわちCONTにより放射されるパターンを表し、これは送信されるISLSパワーがSUM上の質問のそれと等しく、それにより最大のEBW_TXが得られるからである。
- 破線の曲線32、33は、トランスポンダの他の2つの考え得る設定によるCONTパターンにおける上昇に対応する。
- 曲線33は、+9dBの設定を示し、従来、トランスポンダの保証されたEBW_TXを定義するために使用される。
- 曲線32は+5dBの設定を示すが、典型的にトランスポンダの平均EBW_TXを提供する。
【0059】
SUM及びCONT曲線間の交差点A、A’は、トランスポンダで利用可能な保証された有効ローブ幅の範囲を定め、基本的にこれは4°未満である。点A’’及びA’’’は、「標準ビーム」設定における最大有効ローブ幅の範囲を定める。
【0060】
図3bは、「広ビーム」設定(表中の第二の設定)に対応する、有効ローブの第一の拡張に対応する。
【0061】
有効ビーム幅は、ここでは、CONTパターンにより放射されるエネルギーを20dBだけ削減することによって得られ、これは曲線34で示され、交差点B、B’により範囲が定められる。保証された有効ビームEBWは実質的に6°と等しい。点B’’及びB’’’は「広ビーム」設定の最大有効ローブ幅の範囲を定める。
【0062】
本発明は特に、「広ビーム」設定のみで適用可能であることを明記すべきである。
【0063】
図3cは追加的な拡張を示し、これは「拡張広ビーム」設定(表中の第三の設定)に対応する最大の拡張である。この構成では、曲線34により示されるように、CONTパターンの削減は同程度に維持されるが、モードS選択的質問は主としてDIFFパターン上で送信される。保証された有効ビーム幅はそれゆえ、CONTパターンとDIFFパターンとの交差点C、C’により範囲が定められる。保証された有効ビーム幅はここでは、実質的に8°と等しい。点C’’及びC’’’は、「拡張広ビーム」設定の最大有効ローブ幅の範囲を定める。
【0064】
DIFFパターンでの送信は、仏国特許出願公開第2,965,063号に記載されている方法によって実行される。
【0065】
したがって、ハードウェアの点では、二次レーダは、SUMチャネルを形成する放射パターン、DIFFチャネルを形成する放射パターン、及びCONTチャネルを形成する放射パターンを有するアンテナと、SUMチャネル上でモードS質問メッセージを生成する手段と、CONTチャネル上でISLS信号を生成する手段と、さらにSUM及びCONTチャネルを介してこれらのメッセージを送信する手段と、を含む。これはまた、SUM、DIFF、及びCONTチャネルを介した信号の受信と受信した信号の処理を提供する手段も含み、これは、SUMチャネルを介して受信した信号内のターゲット(航空機)の応答を検出し、アンテナのDIFFチャネル(偏差測定のため)及びCONFチャネル(サイドローブ抑圧-RSLSのため)を介して受信した信号を使って、これらの応答に対して単一パルス処理とSLS処理を実行するように構成される。
【0066】
DIFFパターンでの送信を行い、したがって、「拡張広ビーム」型の拡張されたビームを得るために、質問メッセージを生成する手段はまた、追加的に、DIFFチャネルで質問メッセージを生成するように構成され、送信手段はまた、アンテナのDIFFチャネルを介してこれらのメッセージを送信することができるように構成される。
【0067】
図4a及び4bは、1090MHzでの受信の設定を示す。受信において、SUMチャネルは応答の検出に使用され、CONTチャネルはメインローブの外の応答をフィルタ処理するために使用され、DIFFチャネルは従来、偏差測定により応答の位置を特定するために使用されるが、検出のためにも使用されてよい。
【0068】
図4aは従来の設定を示す。実際にはSUM=DIFFである点間のDIFF及びSUMパターンを使用する従来の偏差測定関数の標準限界は、SUM及びDIFFパターン間の交差点に対応する線41、42により画定される。送信の角度限界は、9dBにおいてRSLSにより上昇されたSUM及びCONTパターン間の交差点に対応する線43、44により画定される。
【0069】
図4bは、本発明による設定を示す。この設定では、本発明は、
- 20dBの典型的な最大量だけ削減された位置、曲線49におけるSUMパターンとCONTパターンの交差点に対応する直線45’、46’によって、
- 又は、20dBの典型的な最大量だけ削減された位置、曲線49におけるDIFFパターンとCONTパターンの交差点に対応する直線43’、44’の何れかによって、
範囲が定められる最大有効ローブを検出(送信)で使用する。
【0070】
この限界内で、ローブは以下の3つの部分からなる:
- SUM及びDIFFパターンの交差点に対応する直線41’、42’により範囲が定められる、通常、約±1.2°までの、レーダのミッションに必要な精度での中央偏差測定f(DIFF/SUM)における監視のための第一のアジマス領域A1
- 先行する直線41’、42’の外側の、対称の直線45’、46’により範囲が定められる、第一の領域内でそれに質問することを目的としたローブ内のターゲットの、より精密でない位置を求める拡張された偏差測定f(DIFF/SUM)での監視のための、典型的に約±1.2°~約±3°の第二の領域A2
- 最大のローブに対応し、前述の直線43’、44’により範囲が定められる、第一の領域内でそれに質問することを目的としたローブ内のターゲットを、本発明による偏差測定f(DIFF/CONT)でより精密でなく事前に位置特定するための、典型的に約±2.5°~約±4.5°の第三の領域A3。実際には、本発明による偏差測定f(DIFF/CONT)はまた、有利な点として、特にCONTで受け取ったパワーがSUMで受け取ったものより大きくなる時、領域A2でも、すなわち+/-2.5°から使用されてよい。
【0071】
留意すべき点として、受信の有効ローブの設定はRSLS信号のレベルを介して実行され、その基本的機能は、メインビームの外のトランスポンダの応答を抑圧することであり、それは、これらが通常、FRUITであるか、障害物から反射された同期応答であるからである。
【0072】
受信における有効ローブの設定はまた、TVBCの法則の抑圧によっても実行され、これは従来、処理される応答のダイナミクスをローブ内のSUMの最大値より15dB以下だけ低く限定する。再び、モードSでは、アジマスと距離においてかなり正確に予想される応答の選択性により、RSLS閾値とTVBCにより必要とされる信号レベルの両方を、誤検出のリスクを伴わずに減少させるか、又はさらにはそれを抑圧することが可能となる。
【0073】
本発明によれば、事前の位置特定は:
- 典型的に約+/-2.5°までの、ローブ縁部検出のための拡張偏差測定(SUM及びDIFF上のレベルの関数)によって、
- 典型的に+/-2.5°~+/-4.5°までの、ローブ縁部検出のための新たな偏差測定(DIFF及びCONT上のレベルの関数)によって
実行され、メインローブにおいて適用可能な精密偏差測定f(DIFF/SUM)を補足する。
【0074】
アジマスにおけるこの事前の位置特定の目的は、再び、最も正確なアジマス監視位置での次の検出を提供するために、次にメインローブの中央に近いRCを、このターゲットに選択的に質問するために選択できるようにすることである(偏差測定内の最大精度はローブの中央に見られるため)。
【0075】
レーダから短距離及び中距離で移動している航空機は、レーダ質問及びトランスポンダ応答に関して非常にダイナミックな挙動を示し、それによって、ローブ変調によるほぼ35dBの減衰にかかわらず、トランスポンダとレーダの両方の検出閾値より高いレベルを提供することが可能となる。これにより、有利な点として、有効ローブ幅EBWを調節により増大させることが可能となる。
【0076】
しかしながら、拡張されたローブの縁部における信号はローブ中央のそれらより低いレベルにあるため、これらはより「脆弱」であり、したがって、拡張ビームは、上記の2つの応用例についてだけでなく、これらがレーダのシーケンシングに対して機能的寄与をなす場合にのみ使用される。
【0077】
有効放射ビームEBWには、
- 送信設定での送信パターン
- 受信設定での受信パターン
の組合せが考慮され、
以下を形成する:
- 「標準ビーム」と呼ばれるビーム(二次レーダの標準設定)
- CONT上の最大ISLS(+9dB)によるトランスポンダ応答ローブの設定でのSUM上の質問送信:監視の短距離受信領域に削減される。
- RSLS(最小のISLSを有するトランスポンダに適応される、例えば9dB)と、誤アラームを限定するためのTVBCの法則によるトランスポンダ応答処理の設定でのSUM上の応答受信であり、主としてSSRプロトコルで有益。
- 「広ビーム」と呼ばれるビーム
- 減衰される(例えば、-20dB)CONT上のISLSによりトランスポンダ応答ローブが広げられたSUM上の質問送信。
- 減衰されたRSLS(例えば、-20dB)及び20dBだけ減衰されたか又は排除されたTVBCの法則によるトランスポンダ応答処理ローブが広げられたSUM及び/又はDIFF上の応答受信。
- 「拡張広ビーム」と呼ばれるビーム
- 減衰された(例えば、-20dB)CONT上のISLSによりトランスポンダ応答ローブが広げられたDIFF上の質問送信。この送信については後述する。
- 減衰されたRSLS(例えば、-20dB)及び20dBだけ減衰されたか、排除されたTVBCの法則によるトランスポンダ応答処理ローブが広げられたDIFF及びSUM上の応答受信。
【0078】
次に、短距離モードSターゲットの最適化された制御について説明する。
【0079】
本発明のこの使用の目的は、主としてレーダから短距離にあるターゲットに関するレーダの質問レートを低下させることである。具体的には、この種のターゲットについて、2回の検出間の、行われた可能性がある操縦の後のターゲットの移動の可能性により、ターゲットの軌道(回転間のターゲットの移動ウィンドウ)が不確実であることから、このターゲットに関する次の回転中のレーダの追尾ウィンドウを、
- レーダアンテナの回転期間と
- 追尾対象のターゲットの考え得る操縦速度(軌道の不確実性の振幅のレート)の両方
に基づいて、ビームEBWを十分に超えるように広げる必要がある。
【0080】
本発明の原理は、関係するターゲットのためのモードS有効ビームEBWを、ターゲットの予測位置に関するアンテナの軸の位置に応じてダイナミックに変更することにある。予測位置は、前回のアンテナ回転以降のターゲットの飛行継続に対応するものである。実際には、これは最も確率の高い位置である。
【0081】
有効ローブEBWの適応は、アンテナの軸と予測位置を、レーダの機器レベルに応じて相互に近付くと実行され、完全な機器では、「拡張広ビーム」、「広ビーム」、及び「標準ビーム」型のビームによる処理が可能となり、その一方で通常の機器では「広ビーム」及び「標準ビーム」型のビームによる処理が可能である。
【0082】
一方の有効ローブから他方に切り替える瞬間は、オペレータにより、特に
- レーダのミッション
- 検出対象のターゲットの種類(その応答レート、その移動能力等)
- 特にターゲットのアジマスに依存し得るターゲットの領域内の再質問レートに対する制約
- 特にこのアジマスにおいて航空機ごと、回転ごとに実行されることになるモードSトランザクションの数
に応じて完全にパラメータ化可能である。
【0083】
図5は、完全な機器のレーダに関する、移動ターゲットの考え得る位置ウィンドウに関するアンテナ軸の位置(アジマスにおける)応じたビームのダイナミック制御の原理を示す。より詳しくは、図5は、ターゲットの予測アジマス位置に関する異なるビーム(「拡張広ビーム」、「広ビーム」、及び「標準ビーム」)を示し、ビーム自体は、ターゲットのアジマス(予測された位置)に関するアンテナ軸(ミスアラインメント)の関数として表されている。
【0084】
ターゲットの移動ウィンドウの中で、予測された位置に関するアンテナ軸のミスアラインメントに基づいて(予測された位置は、先行する回転中のそれ以前の飛行を勘案した、ターゲットの最も確率の高い位置を表す)、レーダ制御は、各ターゲットについて個別に、選択的質問中にビーム幅を適応させる(「拡張広ビーム」、「広ビーム」、又は「標準ビーム」)。
【0085】
移動ウィンドウが標準ビームに関して大きいケースでは、拡張されたビームの使用によって、レーダの質問レートを低下させながら、従来のように、例えば半ビームのオーダで、度で表される質問ピッチを適応させることにより、換言すれば、
- 「標準ビーム」:1.2°
- 「広ビーム」:3°
- 「拡張広ビーム」:4°
とすることにより、ターゲット検出の確実性を提供することができる。
【0086】
ターゲットの位置が特定されると、レーダは使用するビームをこのターゲットについて実行されるべき残りのタスクとその検出時におけるビーム内のその位置に応じて適応させる:
- 拡張されたビームを保持して、データリンクを完了させる(下記の例参照)。
- 精密な監視位置のために標準ビーム(「標準ビーム」)に切り替える。
【0087】
図6a及び6bは、不動ターゲットに関する質問のシーケンシングを示す。この場合、ターゲットの実際の位置はターゲットの予測位置と一致している。これらの図に関して、破線矢印は失敗した質問(TX)に対応し、実線矢印は応答を得た質問(TX)に対応する。矢印の長さは、レーダにより処理されたローブの幅に対応する。同じコード方式は引き続き以下の図7a及び7bにも使用される。
【0088】
図6aは標準シーケンシングに対応し、図6bは本発明によるシーケンシングに対応する。ターゲットの予測位置とビームは、図5のそれと同じ表現様式で示されているが、以下の点が補足されている:
- All Call_ACの期間(SSRトランスポンダの監視と非選択的モードS質問のため)は小さい四角で示されている。
- Roll Call_RCの期間(選択的モードS監視のため)はより大きい長方形で示されている(従来、RCはACの≒2倍続く)。
- 選択的質問のためのRC期間は、レーダアンテナの回転速度に応じて、例えば約0.7°である。
【0089】
アンテナの位置は、ターゲットの予測位置に関するアンテナ軸のミスアラインメントに関して丸で表され、このターゲットのための質問の送信は、RC内の記号「tx」で識別されている。
【0090】
図6aの場合(標準シーケンシング)、ビーム(「標準ビーム」)の狭さにより、特にビームが近付くほど、多くの質問を送信する必要があり、これは実際にそこではターゲットの存在する確率が高まるからである。
【0091】
図6bの場合、本発明によれば、ターゲットのための有効ビームEBWは、図5にしたがって、ターゲットの予測位置に関するアンテナ軸の位置に基づいてダイナミックに変更される。すると、質問数はビームの有効幅に適応される。例えば、図6a、6b、7a、及び7bにおいて、2つの連続する質問間のローブの重複は、1/2ローブで一定となるように選択され、それによってターゲットが検出された後、同じターゲットについて他のモードSトランザクションを実行できることになる。特に、質問の数は、ビーム幅が広げられると(「広ビーム」、その後、「拡張広ビーム」)、減少されることがあり、したがって、その結果としてターゲットが移動した後の探知中の不必要な質問数が減る。
【0092】
図7a及び7bは、移動ターゲットに関する質問のシーケンシングを示す。この場合、ターゲットの実際の位置はターゲットの予測位置と異なっており、それは、これが移動してアジマスが増大しているからであり、これは不必要な選択的質問の最悪のケースである。
【0093】
図7aは標準シーケンシングに対応し、図7bは本発明によるシーケンシングに対応する。ターゲットの予測位置とその実際の位置及びビームは図5のそれと同じ表現様式で示されている。図7aの場合、ビームの狭さによって、多数の質問を送信することが必要となる。図7bの場合、ターゲットの予測又は実際の位置に関するアンテナのミスアラインメントに基づいてダイナミックに変更されるビーム幅への質問数の適応により、この場合でも再び、質問の総数を大きく減少させることができる。
【0094】
一方で図6a及び6b、他方で図7a及び7bを比較すると、本発明はターゲットの移動により当然発生する不必要な質問レートを50%~60%削減できることがわかる。これは、不動ターゲットの場合、不必要な質問は10(図6a)ではなく4(図6b)となり、移動ターゲットの場合、不必要な質問は21(図7a)ではなく10(図7b)となるからである。
【0095】
図8a、8b、及び8cは、ターゲットまでの距離に関するモードSトランザクション、より詳しくはビームの中のその種類に応じたモードSトランザクションの制御を示す。これらの図面では、縦軸はアジマス方向のビーム幅を表し、横軸は距離を表す。
【0096】
図8aは標準ケース(「標準ビーム」)を示し、この場合、トランザクション(監視とデータリンク)はすべて、特定の動作要件にしたがって、線81、82により範囲が定められる、典型的には約3°の、ある幅を有する中央ビームで実行され、これは、監視における何れのモードSトランザクションの位置も確実となるように、有効ローブを2.4°まで縮小させることさえあり得る。
【0097】
図8b及び8cはそれぞれ、「広ビーム」の場合と「拡張広ビーム」の場合に関する本発明による制御の形態を示す。
【0098】
本発明によるこの制御の目的は、特に、ユーロコントロールの動作要件にしたがって典型的に3.5°であるアジマスにおいてモードSトランザクションの局所的作業負荷を、この作業負荷をレーダ機器レベルに応じて「広ビーム」又は「拡張広ビーム」型の拡張されたビーム内で分散させることによって、より多く処理することである。
【0099】
この目的のために、本発明による方法はまた、有利な点として、実行されるべきモードSトランザクションの数に基づくビームの適応も利用し、それゆえ、これらのトランザクションの最適な制御を提供する。
【0100】
それゆえ、レーダは、次のアジマスセクション、例えば次の5度で、あるビーム幅、例えば3.5°において実行されるモードSトランザクションの数を決定する。
【0101】
このトランザクション数がそのレーダ構成(回転速度、アンテナの種類、実行すべき質問のモード、器械的レーダレンジ等)の標準ローブ(「標準ビーム」)のモードSトランザクション能力を超える場合、レーダは、このビーム内の各ターゲットについて、このターゲットで実行されるべきトランザクションの数Nに応じて、モードS有効ビームEBWを83、84へと「広ビーム」型にダイナミックに拡張する。
【0102】
1つのターゲットにつきN-1のトランザクションをメインローブの外に位置付けるために、レーダは:
- DIFFとSUM、又はDIFFとCONTパターンの信号間の偏差測定により、ターゲットをメインローブの縁部で事前に位置特定し、
- データリンクかそれ以外かを問わず、トランザクションをローブの中央に保持して、ターゲットをアジマス内で正確に位置付け、それゆえ監視タスクを遂行する。
【0103】
図8bはこのケースを示す。すると、作業負荷(監視とデータリンク)は長距離レーダの距離の半分(図の例では約170NM)まで6°にわたり分散される。これによって、有利な点として、標準ローブ(「標準ビーム」)に関して、距離の点でのターゲットの分布に応じて照射時間の50%超を節約できる。
【0104】
図8cは、「拡張広ビーム」と呼ばれるビームを利用するケースを示しており、レーダは、それに必要な機器を有していれば、これを実装できる。この場合、ビーム85、86の拡張により、半分の距離までは8°、長距離では5°超にわたり、データリンクトランザクションをはるかに多く、実際にはすべての航空機に分散することができる。図8cは、データが有利な点としてビームの縁部で、全体としてより多くの数で送信(データリンク)されてよいことを示している。
【0105】
図8b及び8cは、本発明が有利な点として、特にターゲット(航空機)の近接度に基づく、アジマス内の制御すべき航空機の数に基づく、すなわち、究極的には作業負荷の分散とアジマス内の航空機の数に基づく照射ビームのダイナミック適応によるトランザクションのダイナミック制御を提供することを示している。
【0106】
ビームのダイナミック且つアダプティブ制御はまた、例えば他のセンサによる質問レートの高い地理的領域内にそれが存在することにより、応答レートの低い非常に長距離のターゲットにも適用されてよい。応答レートが低くてもそれを検出するために必要であることから、このターゲットへの選択的質問の数の増やすために、レーダは質問をDIFFで、次にSUMで行い、最後に、必要であれば、DIFFで続け、最終的にレーダがそのターゲットから必要な応答を得るようにする。長距離にあるターゲットの場合、移動ウィンドウは非常に小さく、実際には、レーダのノイズウィンドウまで縮小し、したがって、ターゲットは位置の点で完全に把握され、レーダはそれゆえ、アンテナの軸とターゲットの予測位置との間のアジマスにおける偏差に応じて質問を行うために、確実にSUM又はDIFFパターンを使用してよい。
【0107】
図9aは、非常に長距離にあるターゲットのATCアンテナによる典型的な有効ローブを示し、従来、これはレーダによりゼロエレベーションで見られ、それに関するレーダ画像では従来、約4dBのローブ変調のみが可能であり、その結果、レンジ端の有効ローブEBWは約+/-1.25°となる。
【0108】
図9bは、長距離にあるターゲットのためのビームのダイナミックコントロールをそれぞれ段階ごとに示す:
- アンテナ軸のアジマス91が、線92により表されるターゲットの予測位置のアジマスの2.5°より低い場合、レーダはこのターゲットに質問しない。
- アンテナ軸のアジマスがより低く、ターゲットの予測位置のアジマスの1.2°~2.5°の間にある場合、レーダはDIFFパターンを使ってこのターゲットに選択的に質問する。
- アンテナ軸のアジマスがターゲットの予測位置のアジマスの-1.2°~1.2°の間にある場合、レーダは、SUMパターンを使ってこのターゲットに選択的に質問する。
- アンテナ軸のアジマスがより大きく、ターゲットの予測位置のアジマスの1.2°~2.5°の間にある場合、レーダは、DIFFパターンを使ってこのターゲットに選択的に質問する。
^アンテナ軸のアジマスがターゲットの予測位置のアジマスの2.5°より大きい場合、レーダはこのターゲットに質問しなくなる。
【0109】
したがって、汚染環境のせいで検出レートの低いターゲットについてこの方式を使用することにより、有効ローブを2倍とすることができ、それゆえ、このターゲットへの選択的質問数が2倍になることで(EBWは≒2.5°から5°に変化する)、レーダによるその検出を改善することができる。
【0110】
本発明をATC二次レーダの使用について説明した。これは、同じ問題を解決しなければならないIFFレーダにも適用可能である。
【符号の説明】
【0111】
31 曲線
32 曲線
33 曲線
34 曲線
41 線
41’ 直線
42 線
42’ 直線
43 線
43’ 直線
44 線
44’ 直線
45’ 直線
46’ 直線
49 曲線
81 線
82 線
85 ビーム
86 ビーム
91 アジマス
92 線
A 交差点
A’ 交差点
A1 第一のアジマス領域
A2 第二の領域
A3 第三の領域
B 交差点
B’ 交差点
C 交差点
C’ 交差点
DIFF パターン
SUM パターン
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図5
図6a
図6b
図7a
図7b
図8a
図8b
図8c
図9a
図9b