(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】パッケージ交換システム
(51)【国際特許分類】
B65H 67/06 20060101AFI20240404BHJP
B65H 67/02 20060101ALI20240404BHJP
D01H 13/16 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
B65H67/06 W
B65H67/02
D01H13/16 B
(21)【出願番号】P 2020127440
(22)【出願日】2020-07-28
【審査請求日】2023-04-05
(31)【優先権主張番号】P 2019140210
(32)【優先日】2019-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502455511
【氏名又は名称】TMTマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】山本 真人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 正
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-032535(JP,A)
【文献】特開平06-056353(JP,A)
【文献】特開平06-200434(JP,A)
【文献】特開2015-024888(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第291484(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 67/00ー67/08
D01H 13/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成繊維からなる合繊糸がボビンに巻回された給糸パッケージが給糸パッケージ支持部に支持されているクリールスタンドと、前記給糸パッケージから供給される前記合繊糸に加工を施す加工装置と、加工が施された前記合繊糸を巻き取って巻取パッケージを形成する巻取装置と、を備える繊維機械に用いられる、パッケージ交換システムであって、
一方向に沿って配列される前記クリールスタンドに沿って前記一方向に移動可能に設けられる走行ユニットと、
前記走行ユニットの走行を制御する走行制御部と、
前記走行ユニットに設けられており、前記クリールスタンドに保持される前記給糸パッケージに巻回されている前記合繊糸の残量を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記合繊糸の残量に基づいて、前記給糸パッケージから前記合繊糸が無くなるタイミングを予測する予測部と、を備
え、
給糸パッケージは、前記走行ユニットの走行方向に対して傾いた状態で前記クリールスタンドに保持されており、
前記取得部は、前記給糸パッケージの外周面までの距離を取得するセンサであり、
前記センサは、走行方向に対して傾いた状態で保持される前記給糸パッケージの径方向に沿う方向に検知媒体を出射し、前記給糸パッケージの外周面に照射するように設けられている、パッケージ交換システム。
【請求項2】
前記走行ユニットには、互いの糸端同士が繋がれる2個1組の給糸パッケージのうち一方の給糸パッケージの外周面までの距離を取得するための前記センサと、他方の給糸パッケージの外周面までの距離を取得するための前記センサとが設けられている、請求項1記載のパッケージ交換システム。
【請求項3】
前記給糸パッケージは、前記2個1組の給糸パッケージのそれぞれの回転軸の延長線が互いに交差するように前記クリールスタンドに保持されており、
前記一方の給糸パッケージの外周面までの距離を取得するための前記センサと、他方の給糸パッケージの外周面までの距離を取得するための前記センサとは、それぞれにおける検知媒体の出射方向が交差するように配置されている、請求項2記載のパッケージ交換システム。
【請求項4】
前記予測部は、前記センサによって検出された前記距離に基づいて、前記合繊糸が前記給糸パッケージから無くなるタイミングを予測する、請求項1
~3の何れか一項に記載のパッケージ交換システム。
【請求項5】
前記走行制御部は、前記クリールスタンドに保持された全ての前記給糸パッケージにおける前記距離を一定の時間間隔で取得するように前記走行ユニットを移動させる、請求項
4記載のパッケージ交換システム。
【請求項6】
前記走行ユニットは、前記給糸パッケージの糸端同士を繋ぐ糸継装置と、前記給糸パッケージの糸端を前記糸継装置に案内する案内装置と、前記クリールスタンドに前記給糸パッケージを供給すると共に前記クリールスタンドから前記ボビンを回収する交換装置と、を有している、請求項1~
5の何れか一項記載のパッケージ交換システム。
【請求項7】
前記走行制御部は、前記予測部が予測する前記タイミングに基づいて、前記走行ユニットを、前記合繊糸が無くなると予測された前記給糸パッケージの交換位置に移動させる、請求項1~
6の何れか一項記載のパッケージ交換システム。
【請求項8】
前記予測部及び前記走行制御部は、前記走行ユニットに設けられている、請求項1~
7の何れか一項記載のパッケージ交換システム。
【請求項9】
前記予測部の予測結果に基づいて、前記巻取パッケージに糸継部分が含まれるか否かを判定する判定部を更に備える、請求項1~
8の何れか一項記載のパッケージ交換システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、パッケージ交換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
給糸パッケージから供給された複数の合繊糸に仮撚加工を施し、加工後の合繊糸を巻取装置において巻き取って巻取パッケージを形成する仮撚加工機が知られている(例えば、特許文献1)。仮撚加工機は、複数の給糸パッケージを保持するクリールスタンドでは、合繊糸を連続的に供給するために、給糸パッケージを保持するペッグが2個1組で用いられている。この構成では、一方のペッグに支持される給糸パッケージの内層側の合繊糸と、他方のペッグに支持される給糸パッケージの外層側の合繊糸とを繋ぐ。これにより、クリールスタンドでは、一方の給糸パッケージの合繊糸が無くなったとしても、他の給糸パッケージから合繊糸が供給されため、合繊糸を連続的に供給することができる。
【0003】
このような構成では、給糸パッケージの合繊糸が無くなった場合、新しいパッケージを供給すると共に、一方のペッグに支持されている給糸パッケージの合繊糸と、他方のペッグに支持されている給糸パッケージの合繊糸との糸継ぎを行う必要がある。このような糸継作業(テール継作業)は、一般的に人の手を介して行われている。特許文献2には、このようなクリールスタンドに沿って走行可能に設けられ、給糸パッケージの交換及び糸継ぎを実施する作業者が乗るための作業台車が開示されている。
【0004】
特許文献2には、クリールスタンドに保持された給糸パッケージの直径を3段階(満玉、半玉、小玉)で検知するためのセンサが作業台車に設けられている、パッケージ交換システム(給糸交換システム)が開示されている。これにより、作業者は、満玉の場合には交換不要、半玉の場合にはもうすぐ交換が必要、小玉の場合には交換必要等の判断が可能となり、クリールスタンドに保持された給糸パッケージの交換及び糸継作業が効率的に実施できるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平6-200434号公報
【文献】特公平7-68010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のパッケージ交換システムでは、作業台車に設けられたセンサによって検知された瞬間(センシングの瞬間)でしか給糸パッケージの状態を判定することはできない。このため、センシング間の時間が長くなると、給糸パッケージの合繊糸が無くなりそうな状態が取得されないまま、給糸パッケージの合繊糸が無くなってしまう場合がある。
【0007】
そこで、本発明の一側面の目的は、給糸パッケージの交換作業及び糸継作業をより効率的に実施できるようになるパッケージ交換システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面に係るパッケージ交換システムは、合成繊維からなる合繊糸がボビンに巻回された給糸パッケージが給糸パッケージ支持部に支持されているクリールスタンドと、給糸パッケージから供給される合繊糸に加工を施す加工装置と、加工が施された前記合繊糸を巻き取って巻取パッケージを形成する巻取装置と、を備える繊維機械に用いられる、パッケージ交換システムであって、一方向に沿って配列されるクリールスタンドに沿って一方向に移動可能に設けられる走行ユニットと、走行ユニットの走行を制御する走行制御部と、走行ユニットに設けられており、クリールスタンドに保持される給糸パッケージに巻回されている合繊糸の残量を取得する取得部と、取得部によって取得された合繊糸の残量に基づいて、給糸パッケージから合繊糸が無くなるタイミングを予測する予測部と、を備える。
【0009】
この構成のパッケージ交換システムでは、センシング時に給糸パッケージに巻回されている糸の残量が取得されるので、糸の状態を3段階で取得するような場合と比べて、給糸パッケージの状態をより詳細に把握することが可能となる。更に、この構成のパッケージ交換システムでは、取得した糸の残量に基づいて、給糸パッケージから糸が無くなるタイミングを予測するので、センシングのタイミングにかかわらず、給糸パッケージの状態を常に把握することが可能となる。この結果、給糸パッケージの交換及び糸継作業をより効率的に実施できるようになる。
【0010】
本発明の一側面に係るパッケージ交換システムでは、取得部は、パッケージの径方向に沿って、パッケージの外周面までの距離を検出するセンサであり、予測部は、センサによって検出された距離に基づいて、パッケージから合繊糸が無くなるタイミングを予測してもよい。この構成では、簡易な構成でパッケージの最外層の位置、すなわちパッケージの径を取得することができる。パッケージの径が取得できれば簡易な計算で糸の残量が予測できる。
【0011】
本発明の一側面に係るパッケージ交換システムでは、走行制御部は、クリールスタンドに保持された全てのパッケージにおける上記距離を一定の時間間隔で取得するように走行ユニットを移動させてもよい。この構成では、一定の時間間隔で糸の残量が取得されるようになるので、給糸パッケージから糸が無くなるタイミングをより正確に予測することができる。
【0012】
本発明の一側面に係るパッケージ交換システムでは、走行ユニットは、給糸パッケージの糸端同士を繋ぐ糸継装置と、給糸パッケージの糸端を糸継装置に案内する案内装置と、クリールスタンドに給糸パッケージを供給すると共にクリールスタンドからボビンを回収する交換装置と、を有していてもよい。これにより、給糸パッケージの交換作業及び糸継作業が人の手を介することなく走行ユニットによって実行することが可能となる。
【0013】
本発明の一側面に係るパッケージ交換システムでは、走行制御部は、予測部が予測する上記タイミングに基づいて、走行ユニットを、合繊糸が無くなると予測された給糸パッケージの交換位置に移動させてもよい。これにより、給糸パッケージの交換作業及び糸継作業がより効率的に実施できるようになる。
【0014】
本発明の一側面に係るパッケージ交換システムでは、予測部及び走行制御部は、走行ユニットに設けられていてもよい。この構成では、パッケージ交換システムを走行ユニットとして提供することが可能となる。
【0015】
本発明の一側面に係るパッケージ交換システムは、予測部の予測結果に基づいて、巻取パッケージに糸継部分が含まれるか否かを判定する判定部を更に備えてもよい。ここで、巻取パッケージとして巻回された合繊糸の中に糸継部分を含まれる場合と、含まれない場合とでグレード(等級)が分かれる場合がある。この構成では、グレードの高い巻取パッケージを簡易に選別することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一側面によれば、給糸パッケージの交換作業及び糸継作業をより効率的に実施できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る仮撚加工システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、第1搬送装置のパッケージ保持部を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、アダプタが取り付けられた給糸パッケージを示す斜視図である。
【
図4】
図4は、第2搬送装置のパッケージ保持部を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、クリールスタンドを示す斜視図である。
【
図7】
図7は、パッケージ交換装置を示す斜視図である。
【
図8】
図8(a)及び
図8(b)は、保持ユニットを示す斜視図である。
【
図9】
図9は、交換ユニットの構成を示す図である。
【
図15】
図15は、パッケージにおける糸の残量を検知するセンサを示した平面図である。
【
図16】
図16は、パッケージにおける糸の残量を検知するセンサを示した平面図である。
【
図17】
図17は、パッケージにおける糸の残量を検知するセンサを示した平面図である。
【
図18】
図18は、パッケージ交換システムの機能構成を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0019】
図1に示されるように、仮撚加工システム1は、仮撚加工機(繊維機械)2と、第1搬送装置3と、第2搬送装置4と、給糸ユニット5と、パッケージ補給装置6と、パッケージ交換装置7と、を備えている。仮撚加工システム1は、仮撚加工機2、第1搬送装置3、第2搬送装置4、パッケージ補給装置6及びパッケージ交換装置7を統括的に制御する制御装置(図示省略)を備えている。本実施形態に係る仮撚加工システム1では、仮撚加工機2、第1搬送装置3、第2搬送装置4、給糸ユニット5、パッケージ補給装置6及びパッケージ交換装置7は、それぞれ複数設けられている。以下の説明において、図中に示す「Z方向」は鉛直方向(上下方向)であり、「X方向」は水平方向であり、「Y方向」はX方向及びZ方向に垂直な水平方向である。
【0020】
仮撚加工システム1は、複数の給糸パッケージP1(
図2参照)から供給される糸Y(
図3参照)に加工を施し、巻取パッケージP2(
図4参照)を製造する。糸Yは、例えば、ポリエステル、ポリアミド等の熱可塑性の合成繊維からなる合繊糸である。給糸パッケージP1は、給糸ボビンB1(
図2参照)に半延伸糸(POY:Partially Oriented Yarn)が巻き取られて形成される。巻取パッケージP2は、巻取ボビンB2(
図4参照)に延伸加工糸(DTY:Draw Textured Yarn)が巻き取られて形成される。
【0021】
仮撚加工機2は、糸Yに加工を施して巻取パッケージP2を形成する。仮撚加工機2は、主機台(加工装置)2aと、2台の巻取台2bと、を有している。主機台2aには、加撚装置、フィードローラ等が設けられている。巻取台2bには、巻取装置、玉揚装置等が設けられている。主機台2aは、X方向に沿って延在している。巻取台2bは、X方向に沿って延在している。巻取台2bは、Y方向(主機台2aの幅方向)において、主機台2aと対向する位置に配置されている。すなわち、2台の巻取台2bは、主機台2aを間に挟む位置に配置されている。
【0022】
仮撚加工機2は、複数の給糸パッケージP1から供給された糸Yに仮撚加工を施し、加工した糸を巻取ボビンB2に巻き取って巻取パッケージP2(
図4参照)を形成する。仮撚加工機2は、形成した巻取パッケージP2を第2搬送装置4に供給する。
【0023】
第1搬送装置3は、給糸パッケージP1を搬送する。第1搬送装置3は、例えば天井から吊下されている第1レールR1に沿って走行する。第1レールR1は、例えば、一の仮撚加工機2と他の仮撚加工機2との間、及び、巻取台2bと給糸ユニット5との間に配置されている。第1搬送装置3は、給糸パッケージP1が供給される供給場所と所定のパッケージ補給装置6との間で、給糸パッケージP1を搬送する。
図2に示されるように、第1搬送装置3は、第1パッケージ保持部3aを有している。第1パッケージ保持部3aは、第1レールR1に吊下されている。第1パッケージ保持部3aは、複数(例えば、12個)の給糸パッケージP1を保持する。第1パッケージ保持部3aは、給糸パッケージP1の給糸ボビンB1に内挿される支持部材(図示省略)によって給糸パッケージP1を支持する。
【0024】
図3に示されるように、給糸パッケージP1には、アダプタ10が取り付けられている。アダプタ10は、糸Yを保持する。アダプタ10は、取付部11と、第1保持部12と、第2保持部13と、を有している。取付部11は、給糸パッケージP1の給糸ボビンB1に同期回転可能に取り付けられている。取付部11は、円筒状を呈している。取付部11は、給糸パッケージP1の側面から突出している給糸ボビンB1の端部に装着される。
【0025】
第1保持部12は、給糸パッケージP1の外層側の糸Yの第1糸端Y1を保持する。第1保持部12は、取付部11に設けられている。第1保持部12は、第1アーム12aと、第1把持具12bと、第1糸ガイド12cと、を有している。第1アーム12aは、基端側が取付部11の側面に固定されており、取付部11の径方向に沿って延在している。第1把持具12bは、第1糸端Y1を把持する。第1把持具12bは、第1アーム12aの先端側に設けられている。第1糸ガイド12cは、第1アーム12aに設けられている。
【0026】
第2保持部13は、給糸パッケージP1の内層側(テール側)の糸Yの第2糸端Y2を保持する。第2保持部13は、取付部11に設けられている。第2保持部13は、第2アーム13aと、第2把持具13bと、第2糸ガイド13cと、を有している。第2アーム13aは、基端側が取付部11の側面に固定されており、取付部11の径方向に沿って延在している。第2アーム13aは、第1アーム12aと同一直線状に位置するように配置されている。第2把持具13bは、第2糸端Y2を把持する。第2把持具13bは、第2アーム13aの先端側に設けられている。第2糸ガイド13cは、第2アーム13aに設けられている。
【0027】
アダプタ10では、給糸パッケージP1の外層側から引き出された第1糸端Y1を、第1保持部12の第1糸ガイド12cを介して第1把持具12bで把持すると共に、給糸パッケージP1の内層側から引き出された第2糸端Y2を、第1保持部12の第1糸ガイド12c及び第2保持部13の第2糸ガイド13cを介して第2把持具13bで把持する。アダプタ10は、例えば、作業者によって、給糸パッケージP1に装着される。給糸ボビンB1には、アダプタ10が取り付けられる端部とは反対側の端部に、ボビンキャップBC(
図2参照)が取り付けられていてもよい。
【0028】
図4に示されるように、第2搬送装置4は、巻取パッケージP2を搬送する。第2搬送装置4は、第1レールR1に沿って走行する。第2搬送装置4は、所定の仮撚加工機2と巻取パッケージP2の保管設備(図示省略)との間で、巻取パッケージP2を搬送する。第2搬送装置4は、第2パッケージ保持部4aを有している。第2パッケージ保持部4aは、第1レールR1に吊下されている。複数(例えば、16個)の巻取パッケージP2は、第2パッケージ保持部4aを介してそれぞれ保持されている。具体的には、巻取パッケージP2は、それぞれの巻取ボビンB2の両端部をパッケージ受けによって支持されることによって、保持されている。
【0029】
図1に示されるように、給糸ユニット5は、仮撚加工機2に対して糸Yを供給する。給糸ユニット5は、仮撚加工機2と隣接して配置されている。給糸ユニット5は、仮撚加工機2の巻取台2bとY方向で対向する位置に配置されている。給糸ユニット5は、X方向に沿って延在している。給糸ユニット5は、複数のクリールスタンド20を有している。クリールスタンド20は、給糸パッケージP1を保持する。クリールスタンド20は、X方向に沿って複数配列されている。本実施形態に係る給糸ユニット5では、クリールスタンド20は、Y方向において背中合わせで一対配置されている。
【0030】
図5に示されるように、クリールスタンド20は、クリール基台部21と、4本の第1支柱22a,22b,22c,22dと、仕切板23と、複数のペッグ24と、を有している。クリール基台部21は、枠状のフレーム体である。4本の第1支柱22a~22dは、クリール基台部21に立設されている。4本の第1支柱22a~22dは、Z方向に沿って延在している。4本の第1支柱22a~22dのそれぞれは、X方向において所定の間隔をあけて配置されていると共に、Y方向において所定の間隔をあけて配置されている。仕切板23は、第1支柱22a~22dに設けられている。仕切板23は、第1支柱22a~22dのZ方向において、所定の間隔をあけて配置されている。仕切板23は、給糸パッケージP1の落下を防止する。
【0031】
ペッグ24は、給糸パッケージP1を支持する。ペッグ24は、第1支柱22a,22bに設けられている。ペッグ24は、第1支柱22a,22bのZ方向において、所定の間隔をあけて複数(例えば、8個)配置されている。ペッグ24は、一対の仕切板23の間に配置されている。第1支柱22aに設けられているペッグ24と、第1支柱22bに設けられているペッグ24とは、同じ高さ位置に並んで配置されている。以下の説明では、第1支柱22aに設けられているペッグ24を「第1ペッグ24a」、第1支柱22bに設けられているペッグ24を「第2ペッグ24b」とも称する。
【0032】
第1ペッグ24a及び第2ペッグ24bは、2個一組で用いられる。この構成では、第1ペッグ24aに支持される給糸パッケージP1の糸Yと、第2ペッグ24bに支持されている給糸パッケージP1の糸Yとが繋がれる。具体的には、第1ペッグ24aに支持されている給糸パッケージP1の糸Yの外層側の第1糸端Y1又は内層側の第2糸端Y2と、第2ペッグ24bに支持されている給糸パッケージP1の糸Yの内層側の第2糸端Y2又は外層側の第1糸端Y1とが繋がれる。これにより、2個一組の第1ペッグ24a及び第2ペッグ24bに支持される給糸パッケージP1からは、1本の糸Yが供給される。
【0033】
図6に示されるように、ペッグ24は、給糸パッケージ支持部25と、ペッグ本体部26と、を有している。給糸パッケージ支持部25は、給糸パッケージP1を支持する。給糸パッケージ支持部25は、パッケージ支持部材25a,25bと、回転機構25cと、を有している。パッケージ支持部材25a,25bは、棒状部材である。パッケージ支持部材25a,25bは、ペッグ本体部26に回転可能に支持されている。パッケージ支持部材25a,25bは、一方向に沿って延在していると共に互いに平行を成しており、所定の間隔をあけて配置されている。ペッグ24は、パッケージ支持部材25a,25bによって、給糸パッケージP1を2点で支持する。
【0034】
パッケージ支持部材25aの延在方向の一端部には、被覆部25dが設けられている。パッケージ支持部材25bの延在方向の一端部には、被覆部25eが設けられている。被覆部25d,25eは、例えば、摩擦係数が大きいゴム(樹脂)等で形成されている。被覆部25d,25eは、巻取パッケージP2の給糸ボビンB1の内周面と接触(当接)する。パッケージ支持部材25aの一端とパッケージ支持部材25bの一端とは、連結部材25fによって連結されている。
【0035】
回転機構25cは、従動プーリ25gと、駆動プーリ25hと、動力伝達ベルト25iと、第1ホイール25jと、を有している。
【0036】
従動プーリ25gは、パッケージ支持部材25aの他端に設けられている。駆動プーリ25hは、パッケージ支持部材25bの他端に設けられている。動力伝達ベルト25iは、従動プーリ25g及び駆動プーリ25hに掛け渡されている。第1ホイール25jは、駆動プーリ25h(パッケージ支持部材25b)に設けられている。本実施形態では、第1ホイール25jは、ゼネバ機構を構成するゼネバホイールである。第1ホイール25jは、後述する糸継装置60の第1糸継ドライバ62a又は第2糸継ドライバ63aの回転駆動によって回転する。給糸パッケージ支持部25では、第1ホイール25jの回転により、パッケージ支持部材25aとパッケージ支持部材25bとが同期して回転する。
【0037】
ペッグ本体部26は、ペッグ本体26aと、回転伝達部材26bと、を有している。ペッグ本体26aは、直方体状を呈する部材である。ペッグ本体26aは、給糸パッケージ支持部25のパッケージ支持部材25a及びパッケージ支持部材25bをその回転軸回りに回転可能に支持している。ペッグ本体26aには、規制部材26cが設けられている。規制部材26cは、例えば、円盤状を呈している。規制部材26cは、ペッグ本体26aの一側面に配置されている。規制部材26cは、パッケージ支持部材25a及びパッケージ支持部材25bを挿通させて取り付けられている。規制部材26cは、給糸パッケージP1の端面と対向し、パッケージ支持部材25a及びパッケージ支持部材25bの延在方向における給糸パッケージP1の移動を規制する。ペッグ本体26aには、挿通穴26dが形成されている。挿通穴26dには、クリールスタンド20の第1支柱22a又は第1支柱22bが挿通される。
【0038】
回転伝達部材26bは、ペッグ本体26aを支持する。回転伝達部材26bの上端部には、ペッグ本体26aが固定されている。回転伝達部材26bは、円筒状を呈している。回転伝達部材26bの中空部は、ペッグ本体26aの挿通穴26dと連通している。回転伝達部材26bには、クリールスタンド20の第1支柱22a,22bが同軸で挿通される。回転伝達部材26bの下端部には、第2ホイール26eが設けられている。本実施形態では、第2ホイール26eは、ゼネバ機構を構成するゼネバホイールである。第2ホイール26eは、後述する回動装置35の第1回動ドライバ36a又は第2回動ドライバ37aの駆動によって回転する。ペッグ本体部26は、第2ホイール26eの回転に伴って回転する。これにより、給糸パッケージ支持部25が回転する。ペッグ24は、給糸ボビンB1の回収及び給糸パッケージP1の取り付けが行われる交換位置と、糸Yを供給する供給位置と、に回動する。
【0039】
図1に示されるように、パッケージ補給装置6は、パッケージ交換装置7に給糸パッケージP1を供給する。パッケージ補給装置6は、第1搬送装置3によって搬送された給糸パッケージP1を一時的に保管すると共に、パッケージ交換装置7に給糸パッケージP1を供給する。パッケージ補給装置6は、複数(例えば、4個)の給糸パッケージP1を保管する。パッケージ補給装置6は、第1搬送装置3から給糸パッケージP1を移載する移載機構(図示省略)を有している。
【0040】
パッケージ交換装置7は、ペッグ24から給糸ボビンB1を回収すると共に、ペッグ24に給糸パッケージP1を取り付ける。
図7に示されるように、パッケージ交換装置7は、第2レールR2に沿って走行する。第2レールR2は、床に敷設されており、X方向(クリールスタンド20の配列方向)に沿って延在している。すなわち、パッケージ交換装置7は、X方向に沿って走行する。パッケージ交換装置7は、パッケージ補給装置6が配置されている給糸ユニット5の一端と給糸ユニット5の他端との間で移動する。
【0041】
パッケージ交換装置7は、走行台車30(走行ユニット)と、昇降ユニット31と、保持ユニット32と、交換ユニット33と、を備えている。また、パッケージ交換装置7は、各ユニットの動作を制御する制御部90を備えている。
【0042】
走行台車30は、走行基台部30aと、支柱支持部30bと、を有している。走行基台部30aは、直方体状を呈している。走行基台部30aには、第2レールR2を走行する車輪及び駆動機構等が収容されている。
【0043】
支柱支持部30bは、走行基台部30aに立設されている。支柱支持部30bは、4本の第2支柱30c,30d,30e,30fと、壁部30gと、を有している。第2支柱30c~30f及び壁部30gは、Z方向に沿って延在している。第2支柱30cは、走行基台部30aにおいて、X方向の一端部であり、且つ、Y方向の一端部に配置されている。第2支柱30cは、走行基台部30aの角部に配置されている。第2支柱30dは、走行基台部30aにおいて、X方向の一端部であり、且つ、Y方向の他端部に配置されている。第2支柱30cと第2支柱30dとは、Y方向において対向する位置に配置されている。第2支柱30dは、走行基台部30aの角部に配置されている。
【0044】
第2支柱30eは、第2支柱30cとX方向で対向する位置において、第2支柱30cと所定の間隔をあけて配置されている。第2支柱30fは、X方向における第2支柱30cと第2支柱30eとの間において、走行基台部30aのY方向の他端部に配置されている。第2支柱30fは、X方向において第2支柱30dと対向して配置されている。壁部30gは、X方向に沿って延在している。壁部30gは、走行基台部30aにおいて、X方向の他端部であり、且つ、Y方向の他端部に配置されている。すなわち、壁部30gは、走行基台部30aの角部に配置されている。壁部30gは、Y方向において第2支柱30eと対向していると共に、X方向において第2支柱30fと対向して配置されている。
【0045】
昇降ユニット31は、作業者を搭乗させて昇降する。昇降ユニット31は、メンテナンス等の際に使用される。昇降ユニット31は、走行台車30の走行基台部30aにおいて、X方向の他端部に配置されている。昇降ユニット31は、ガイド部31aと、昇降部31bと、を有している。
【0046】
ガイド部31aは、ガイドレールである。ガイド部31aは、走行台車30の支柱支持部30bの壁部30gに配置されている。ガイド部31aは、Z方向に沿って延在している。昇降部31bは、作業者が搭乗する作業台である。昇降部31bは、箱形を呈している。昇降部31bは、ガイド部31aに沿ってZ方向に昇降自在に設けられている。昇降部31bは、図示しない駆動機構によって、ガイド部31aに沿って移動する。
【0047】
保持ユニット32は、複数(例えば、4個)の給糸パッケージP1を保持する。保持ユニット32は、パッケージ補給装置6が保持する給糸パッケージP1の数と同数の給糸パッケージP1を保持する。保持ユニット32は、パッケージ補給装置6から給糸パッケージP1の供給を受けて給糸パッケージP1を一時的に保管すると共に、交換ユニット33に給糸パッケージP1を供給する。
【0048】
図8(a)及び
図8(b)に示されるように、保持ユニット32は、本体フレーム32aと、パッケージ支持部32bと、駆動部32cと、を有している。本体フレーム32aは、走行台車30の走行基台部30aに配置されている。本体フレーム32aは、走行基台部30aにおいて、X方向の一端部に配置されている。
【0049】
パッケージ支持部32bは、給糸パッケージP1を支持する。パッケージ支持部32bは、回動可能に設けられている。パッケージ支持部32bは、略90°の範囲で回動する。パッケージ支持部32bは、パッケージ補給装置6から給糸パッケージP1の供給を受ける補給位置(
図8(b)参照)と、交換ユニット33に給糸パッケージP1を供給する供給位置(
図8(a)参照)と、に回動する。駆動部32cは、パッケージ支持部32bを回動させる。駆動部32cは、例えば、エアシリンダである。
【0050】
交換ユニット33は、ペッグ24において給糸ボビンB1と給糸パッケージP1との交換を行う。具体的には、交換ユニット33は、ペッグ24から給糸ボビンB1を回収すると共に、ペッグ24に給糸パッケージP1を取り付ける。
図7に示されるように、交換ユニット33は、保持ユニット32と隣接して設けられている。
図9に示されるように、交換ユニット33は、基台34と、回動装置35と、回収装置(交換装置)40と、供給装置(交換装置)50と、糸継装置60と、移動装置70と、を備えている。
【0051】
基台34は、回動装置35、回収装置40、供給装置50及び糸継装置60を支持している。基台34は、走行台車30の支柱支持部30bに沿って昇降自在に設けられている。基台34は、保持ユニット32にアクセス可能な位置に設けられている。
【0052】
回動装置35は、クリールスタンド20のペッグ24を回動させる。回動装置35は、基台34に固定されている。回動装置35は、基台34において、給糸ユニット5と対向する位置に配置されている。回動装置35は、第1駆動機構36と、第2駆動機構37と、を有している。
【0053】
第1駆動機構36は、クリールスタンド20の第1ペッグ24aを回動させる。第1駆動機構36は、第1回動ドライバ36aと、第1回動アーム部36bと、有している。第1回動ドライバ36aは、第1ペッグ24aの第2ホイール26eを回転させる。第1回動ドライバ36aは、ゼネバ機構を構成するゼネバドライバである。第1回動ドライバ36aは、モータ(図示省略)の回転駆動によって回転する。第1回動アーム部36bは、第1回動ドライバ36aを支持している。第1回動アーム部36bは、水平方向において揺動可能に設けられている。第1回動アーム部36bは、例えば、モータ又はエアシリンダ(図示省略)によって駆動される。
【0054】
第2駆動機構37は、クリールスタンド20の第2ペッグ24bを回動させる。第2駆動機構37は、第2回動ドライバ37aと、第2回動アーム部37bと、有している。第2回動ドライバ37aは、第2ペッグ24bの第2ホイール26eを回転させる。第2回動ドライバ37aは、ゼネバ機構を構成するゼネバドライバである。第2回動ドライバ37aは、モータ(図示省略)の回転駆動によって回転する。第2回動アーム部37bは、第2回動ドライバ37aを支持している。第2回動アーム部37bは、水平方向において揺動可能に設けられている。第2回動アーム部37bは、例えば、モータ又はエアシリンダ(図示省略)によって駆動される。
【0055】
回動装置35は、ペッグ24に給糸パッケージP1を取り付けるときに、ペッグ24を回動させてペッグ24の向きを変更する。回動装置35は、対象となるペッグ24に対応する第1駆動機構36又は第2駆動機構37を作動させる。例えば、第1駆動機構36を作動させる場合、回動装置35は、第1回動アーム部36bを揺動させて、第1回動ドライバ36aを第1ペッグ24aの第2ホイール26eに係合させる。回動装置35は、第1回動ドライバ36aと第2ホイール26eとが係合すると、第1回動ドライバ36aを一方向に回転させる。ペッグ24は、第2ホイール26eが回転すると、回転伝達部材26bが回転する。これにより、ペッグ24が回動し、パッケージ支持部材25a,25bの先端部が交換ユニット33側を向く。
【0056】
回収装置40は、ペッグ24からアダプタ10が取り付けられた給糸ボビンB1を回収する。
図10に示されるように、回収装置40は、第1支持機構41と、第1回収駆動機構42と、を有している。第1支持機構41は、給糸ボビンB1を支持する。さらに、第1支持機構41は、ペッグ24に対して、進出及び後退することにより、給糸ボビンB1を回収する。第1支持機構41は、第1スライド部41aと、第1パッケージ支持部材41bと、を有している。
【0057】
第1スライド部41aは、第1リニアガイド41cを有している。第1リニアガイド41cを介して、第1スライド部41aの一部は所定方向に移動することができる。第1パッケージ支持部材41bは、給糸ボビンB1を支持する。第1パッケージ支持部材41bは、移動する第1スライド部41aの先端部に設けられている。第1パッケージ支持部材41bは、第1スライド部41aの延在方向に沿って延在している。
【0058】
第1回収駆動機構42は、第1支持機構41を駆動させる。第1回収駆動機構42は、第1スライドレール42aと、第1回収駆動部42bと、第1昇降部42cと、第2回収駆動部42dと、を有している。第1スライドレール42aは、第1スライド部41aに接続されている。第1スライドレール42aは、第1回収駆動部42bの駆動によって、第1スライド部41aの一部を往復動させる。第1回収駆動部42bは、例えば、エアシリンダである。第1昇降部42cは、第1スライド部41aに接続されている。第1昇降部42cは、第2回収駆動部42dの駆動によって、第1スライド部41aを昇降させる。これにより、第1スライド部41aが揺動する。第2回収駆動部42dは、例えば、モータである。
【0059】
回収装置40による給糸ボビンB1の回収動作について説明する。回収装置40は、回動装置35によって回動したペッグ24に対して、第1回収駆動機構42によって第1支持機構41の第1スライド部41aの一部を進出させて、第1パッケージ支持部材41bを給糸ボビンB1の中空部に位置させる。このとき、回収装置40は、第1回収駆動機構42によって第1支持機構41の第1スライド部41aを下方に揺動させて、第1パッケージ支持部材41bを水平方向に対して傾斜させている。回収装置40は、第1パッケージ支持部材41bが給糸ボビンB1の中空部に位置すると、第1回収駆動機構42によって第1スライド部41aを上方に揺動させて、第1パッケージ支持部材41bを水平にする。これにより、第1パッケージ支持部材41bと給糸ボビンB1とが接触して給糸ボビンB1が持ち上げられると共に、給糸ボビンB1とパッケージ支持部材25a,25bとが離間する。回収装置40は、第1回収駆動機構42によって第1支持機構41の第1スライド部41aの一部を後退させる。以上により、回収装置40は、ペッグ24から給糸ボビンB1を回収する。
【0060】
供給装置50は、ペッグ24に給糸パッケージP1を供給する。
図11に示されるように、供給装置50は、第2支持機構51と、第2供給駆動機構52と、を有している。第2支持機構51は、給糸パッケージP1を支持する。さらに、第2支持機構51は、ペッグ24に対して、進出及び後退することにより、給糸パッケージP1を供給する。第2支持機構51は、第2スライド部51aと、第2パッケージ支持部材51bと、を有している。
【0061】
第2スライド部51aは、第2リニアガイド51cを有している。第2リニアガイド51cを介して、第2スライド部51aの一部は所定方向に移動することができる。第2パッケージ支持部材51bは、給糸パッケージP1を支持する。第2パッケージ支持部材51bは、移動する第2スライド部51aの先端部に設けられている。第2パッケージ支持部材51bは、第2スライド部51aの延在方向に沿って延在している。
【0062】
第2供給駆動機構52は、第2支持機構51を駆動させる。第2供給駆動機構52は、第2スライドレール52aと、第1供給駆動部52bと、第2昇降部52cと、第2供給駆動部52dと、を有している。第2スライドレール52aは、第2スライド部51aに接続されている。第2スライドレール52aは、第1供給駆動部52bの駆動によって、第2スライド部51aの一部を往復動させる。第1供給駆動部52bは、例えば、エアシリンダである。第2昇降部52cは、第2スライド部51aに接続されている。第2昇降部52cは、第2供給駆動部52dの駆動によって、第2スライド部51aを昇降させる。これにより、第2スライド部51aが揺動する。第2供給駆動部52dは、例えば、モータである。
【0063】
供給装置50が保持ユニット32から給糸パッケージP1を取得する取得動作について説明する。供給装置50は、パッケージ交換装置7が移動しているときに、保持ユニット32から給糸パッケージP1を取得する。供給装置50は、保持ユニット32に対して所定の高さ位置で交換ユニット33が停止すると、保持ユニット32のパッケージ支持部32bに支持されている給糸パッケージP1に対して、第2供給駆動機構52によって第2支持機構51の第2スライド部51aの一部を進出させて、第2パッケージ支持部材51bを給糸パッケージP1の中空部に位置させる。このとき、供給装置50は、第2供給駆動機構52によって第2支持機構51の第2スライド部51aを下方に揺動させて、第2パッケージ支持部材51bを水平方向に対して傾斜させている。供給装置50は、第2パッケージ支持部材51bが給糸パッケージP1の中空部に位置すると、第2供給駆動機構52によって第2スライド部51aを上方に揺動させて、第2パッケージ支持部材51bを水平にする。これにより、第2パッケージ支持部材51bと給糸パッケージP1とが接触して給糸パッケージP1が持ち上げられると共に、給糸パッケージP1とパッケージ支持部32bとが離間する。供給装置50は、第2供給駆動機構52によって第2支持機構51の第2スライド部51aの一部を後退させる。以上により、供給装置50は、保持ユニット32から給糸パッケージP1を取得する。
【0064】
供給装置50が給糸パッケージP1をペッグ24に供給する供給動作について説明する。供給装置50は、給糸ボビンB1が取り外されたペッグ24に対して、第2供給駆動機構52によって第2支持機構51の第2スライド部51aの一部を進出させて、給糸パッケージP1の中空部にペッグ24のパッケージ支持部材25a,25bを位置させる。供給装置50は、給糸パッケージP1の中空部にペッグ24のパッケージ支持部材25a,25bが位置すると、第2供給駆動機構52によって第2スライド部51aを下方に揺動させて、第2パッケージ支持部材51bを水平方向に対して傾斜させる。これにより、ペッグ24のパッケージ支持部材25a,25bと給糸パッケージP1とが接触して給糸パッケージP1がペッグ24に支持されると共に、第2パッケージ支持部材51bと給糸パッケージP1とが離間する。供給装置50は、第2供給駆動機構52によって第2支持機構51の第2スライド部51aの一部を後退させる。以上により、供給装置50は、ペッグ24に給糸パッケージP1を取り付ける。
【0065】
糸継装置60は、第1ペッグ24aに支持されている給糸パッケージP1の糸Yと、第2ペッグ24bに支持されている給糸パッケージP1の糸Yとの糸継ぎを行う。
図12、
図13及び
図14に示されるように、糸継装置60は、捕捉案内機構(案内装置)61と、第1回転機構62及び第2回転機構63と、糸継機構64と、を備えている。
【0066】
糸継装置60は、交換ユニット33と給糸ユニット5との対向方向(Y方向)において、移動機構(図示省略)によって移動可能に設けられている。糸継装置60は、糸継装置60が基台34内に配置される待機位置と、糸継装置60が給糸ユニット5に向かって移動して基台34よりも外側に進出する糸継位置と、の間で移動する。
【0067】
捕捉案内機構61は、給糸パッケージP1の糸Yを捕捉し、糸継機構64に糸Yを案内する。捕捉案内機構61は、一方のペッグ24に支持されている給糸パッケージP1の糸Yの第1糸端Y1と、他方のペッグ24に支持されている給糸パッケージP1の糸Yの第2糸端Y2とを捕捉し、糸継機構64に案内する。捕捉案内機構61は、サクション部61aと、糸継アーム部61bと、を有している。
【0068】
サクション部61aは、糸Yを吸引して捕捉する。サクション部61aは、サクションパイプ61cと、サクションノズル61dと、フック部61eと、を有している。サクションノズル61dは、サクションパイプ61cの先端部に設けられている。サクションノズル61dは、糸Yを吸引する。サクションパイプ61cには、負圧源(図示省略)が接続されている。これにより、サクションノズル61dに吸引流が発生する。サクションパイプ61cの基端側は、糸継アーム部61bに接続されている。フック部61eは、サクションパイプ61cの先端部且つサクションノズル61dと背向する位置に設けられている。フック部61eは、糸継装置60によって交絡された糸Yを係止する。糸継アーム部61bは、サクション部61aを移動させる。糸継アーム部61bは、リンク機構と、複数のモータと、を含んで構成されている。糸継アーム部61bは、ブラケット61fに支持されている。
【0069】
第1回転機構62及び第2回転機構63は、それぞれペッグ24を操作して給糸パッケージP1を回転させる。第1回転機構62及び第2回転機構63は、捕捉案内機構61によって糸Yを糸継機構64に案内するときに、それぞれ給糸パッケージP1を回転させて、給糸パッケージP1から糸Yを繰り出させる。
【0070】
第1回転機構62は、第1ペッグ24aを操作する。第1回転機構62は、第1糸継ドライバ62aと、第1モータ62bと、第1糸継アーム部62cと、を有している。第1糸継ドライバ62aは、第1糸継アーム部62cに回転自在に軸支されている。第1糸継ドライバ62aには、第1従動プーリ62dが設けられている。第1モータ62bは、第1糸継アーム部62cに固定されている。第1モータ62bの出力軸には、第1駆動プーリ62eが接続されている。第1モータ62bは、第1駆動プーリ62eを軸回りに回転駆動する。第1従動プーリ62d及び第1駆動プーリ62eには、第1動力伝達ベルト62fが掛け渡されている。これにより、第1糸継ドライバ62aは、第1モータ62bの回転駆動により回転する。
【0071】
第2回転機構63は、第2ペッグ24bを操作する。第2回転機構63は、第2糸継ドライバ63aと、第2モータ63bと、第2糸継アーム部63cと、を有している。第2糸継ドライバ63aは、第2糸継アーム部63cに回転自在に軸支されている。第2糸継ドライバ63aには、第2従動プーリ63dが設けられている。第2モータ63bは、第2糸継アーム部63cに固定されている。第2モータ63bの出力軸には、第2駆動プーリ63eが接続されている。第2モータ63bは、第2駆動プーリ63eを軸回りに回転駆動する。第2従動プーリ63d及び第2駆動プーリ63eには、第2動力伝達ベルト63fが掛け渡されている。これにより、第2糸継ドライバ63aは、第2モータ63bの回転駆動により回転する。
【0072】
糸継機構64は、糸継ぎを行う。糸継機構64は、スプライサ66と、第1ガイド機構67と、第2ガイド機構68と、を有している。
【0073】
スプライサ66は、糸継部66aと、一対の挟持機構66b,66cと、を備えている。糸継部66aは、第1ペッグ24aに支持されている給糸パッケージP1の糸Yと第2ペッグ24bに支持されている給糸パッケージP1の糸Yとを交絡させる。挟持機構66b,66cは、糸継部66aを挟む位置に設けられている。挟持機構66b,66cは、糸継部66aのチャンバーに挿通される糸Yを挟持する。
【0074】
図12及び
図13に示されように、第1ガイド機構67は、糸Yを係止してガイドする。第1ガイド機構67は、第1フック67aと、第2フック67bと、第3フック67cと、を有している。第1フック67a、第2フック67b及び第3フック67cとは、揺動可能に設けられている。第1フック67aには、糸Yの張力を検出するためのポテンショメータ(図示省略)が設けられている。糸継装置60は、ポテンショメータの検出結果に基づいて、第1回転機構62の第1モータ62bの動作を制御する。すなわち、糸継装置60は、ポテンショメータの検出結果に基づいて、給糸パッケージP1の回転量(繰出量)を調整し、所定の張力で給糸パッケージP1から糸Yを引き出す。
【0075】
第2ガイド機構68は、糸Yを係止してガイドする。第2ガイド機構68は、第1フック68aと、第2フック68bと、第3フック68cと、を有している。第1フック68a、第2フック68b及び第3フック68cは、揺動可能に設けられている。第1フック68aには、糸Yの張力を検出するポテンショメータ(図示省略)が設けられている。糸継装置60は、ポテンショメータの検出結果に基づいて、第2回転機構63の第2モータ63bの動作を制御する。すなわち、糸継装置60は、ポテンショメータの検出結果に基づいて、給糸パッケージP1の回転量(繰出量)を調整し、所定の張力で給糸パッケージP1から糸Yを引き出す。
【0076】
糸継装置60の糸継動作について説明する。具体的には、糸継装置60によって、第1ペッグ24aに支持されている給糸パッケージP1の外層側の第1糸端Y1と、第2ペッグ24bに支持されている給糸パッケージP1の内層側の第2糸端Y2との糸継ぎを行う場合を一例に説明する。
【0077】
糸継装置60は、糸継動作を開始すると、
図14に示されるように、第1回転機構62によって第1ペッグ24aを操作すると共に、第2回転機構63によって第2ペッグ24bを操作し、サクション部61aによって第1糸端Y1及び第2糸端Y2を捕捉可能な位置までアダプタ10を回転させる。具体的には、第1回転機構62では、第1糸継ドライバ62aを第1ペッグ24aの第1ホイール25jに係合させて、第1モータ62bを駆動させて第1糸継ドライバ62aを回転させる。同様に、第2回転機構63では、第2糸継ドライバ63aを第2ペッグ24bの第1ホイール25jに係合させて、第2モータ63bを駆動させて第2糸継ドライバ63aを回転させる。第1糸継ドライバ62a及び第2糸継ドライバ63aが回転すると、第1ペッグ24a及び第2ペッグ24bのそれぞれに支持されている給糸パッケージP1が回転し、これに伴いアダプタ10が回転する。糸継装置60は、アダプタ10に設けられた検出体(図示省略)をセンサ(図示省略)によって検出し、センサの検出結果に基づいて第1モータ62b及び第2モータ63bを制御して、アダプタ10を所定位置まで回転させる。
【0078】
糸継装置60は、アダプタ10を回転させると、捕捉案内機構61の糸継アーム部61bを作動させて、サクション部61aによって、第1ペッグ24aに支持されている給糸パッケージP1のアダプタ10から第1糸端Y1を捕捉すると共に、第2ペッグ24bに支持されている給糸パッケージP1のアダプタ10から第2糸端Y2を捕捉する。このとき、糸継装置60は、第1回転機構62によって第1ペッグ24aを操作すると共に、第2回転機構63によって第2ペッグ24bを操作して、給糸パッケージP1を回転させる。これにより、給糸パッケージP1から所定の張力で糸Yが引き出される。
【0079】
糸継装置60は、サクション部61aによって、第1糸端Y1を有する糸Yを第1ガイド機構67に掛けると共にスプライサ66に糸Yを案内し、第2糸端Y2を有する糸Yを第2ガイド機構68に掛けると共にスプライサ66に糸Yを案内する。糸継装置60は、スプライサ66に糸Yを案内すると、スプライサ66において糸継動作を実行させる。これにより、糸継装置60は、第1ペッグ24aに支持されている給糸パッケージP1の外層側の第1糸端Y1と、第2ペッグ24bに支持されている給糸パッケージP1の内層側の第2糸端Y2との糸継ぎを行う。
【0080】
移動装置70は、回収装置40、供給装置50及び糸継装置60を回転移動させる。移動装置70は、回収装置40、供給装置50及び糸継装置60のそれぞれを、ペッグ24に対する作業位置に移動させる。また、移動装置70は、回収装置40及び供給装置50を、保持ユニット32に対する作業位置に移動させる。
図9に示されるように、移動装置70は、回転支持部71と、交換ユニット駆動部72と、を有している。
【0081】
回転支持部71は、回収装置40、供給装置50及び糸継装置60を支持する。回転支持部71は、基台34において、鉛直方向に延在する回転軸回りに回転自在に設けられている。回転支持部71は、回転支持部71の回転軸方向から見て、回収装置40、供給装置50及び糸継装置60のそれぞれが異なる3方向を向いて配置されるように、回収装置40、供給装置50及び糸継装置60を支持している。
【0082】
回転支持部71は、ホイール(図示省略)を有している。ホイールは、ゼネバ機構を構成するゼネバホイールである。交換ユニット駆動部72は、回転支持部71を回転させる。交換ユニット駆動部72は、ゼネバ機構を構成するゼネバドライバである。交換ユニット駆動部72は、モータ(図示省略)の回転駆動によって回転する。移動装置70は、交換ユニット駆動部72が駆動することによって回転支持部71が回転する。
【0083】
移動装置70は、回転支持部71を7箇所で停止させる。移動装置70は、回収装置40が第1ペッグ24aから給糸ボビンB1を回収する位置と、回収装置40が第2ペッグ24bから給糸ボビンB1を回収する位置と、供給装置50が第1ペッグ24aに給糸パッケージP1を供給する位置と、供給装置50が第2ペッグ24bに給糸パッケージP1を供給する位置と、糸継装置60が糸継を行う位置と、供給装置50が保持ユニット32から給糸パッケージP1を取得する位置と、回収装置40が保持ユニット32に給糸ボビンB1を供給する位置と、に回転支持部71を停止させる。
【0084】
以上、仮撚加工システム1全体の説明を行ったが、以下では、本発明の一側面の特徴部の一つである走行台車30について更に詳細に説明する。
図7に示されるように、走行台車30の第2支柱30c及び第2支柱30dには、クリールスタンド20のペッグ24に支持されている給糸パッケージP1に巻回されている糸Yの残量を取得するセンサ131(取得部)が設けられている。
【0085】
センサ131は、鉛直方向(Z方向)に沿って複数設けられている。センサ131は、クリールスタンド20において鉛直方向に配列されたペッグ24と同様の数が設けられている。本実施形態では、
図5に示されるように、鉛直方向においてクリールスタンド20には8個のペッグ24が配列されている。したがって、
図7に示されるように、第2支柱30c及び第2支柱30dのそれぞれには、鉛直方向に8個のセンサ131が配列されている。8個のセンサ131は、クリールスタンド20においてペッグ24が固定されている高さ位置に対応するように、第2支柱30c及び第2支柱30dのそれぞれに配置されている。
【0086】
図15に示されるように、センサ131は、給糸パッケージP1の径方向に沿って、給糸パッケージP1の外周面Sまでの距離を検出する。言い換えれば、センサ131は、検知媒体(例えば、光)を給糸パッケージP1の径方向に沿う方向に出射させ、給糸パッケージP1の外周面Sに照射させる。センサ131は、例えば、光電センサである。より詳細には、センサ131は、給糸パッケージP1の外周面Sまでの距離に応じた信号を出力するアナログ式のセンサである。したがって、センサ131が出力する信号を解析すれば、センサ131の設置位置から給糸パッケージP1の外周面Sまでの距離を取得することができる。
【0087】
センサ131は、クリールスタンド20の配列方向(X方向)に沿って略平行に移動する走行台車30に設けられている。このため、給糸パッケージP1ごとに予め定められたX方向における測定位置と、給糸パッケージP1の中心(すなわち、給糸ボビンB1)との間の距離は、常に一定である。これにより、給糸ボビンB1に巻回された最外層の糸Y(すなわち外周面S)までの距離を測定すれば、給糸ボビンB1に巻回された糸Yの径(すなわち給糸パッケージP1における糸Yの残量)を導出することができる。本実施形態では、アナログ式のセンサ131から出力される信号に基づいて、給糸パッケージP1の外周面Sまでの距離を導出することで、給糸パッケージP1に巻回された糸Yの残量を導出する。
【0088】
図15に示されるように、仮撚加工機2に糸Yを供給する給糸パッケージP1は、X方向から傾けた状態で配置される。詳細には、2個1組の給糸パッケージP1が互いに少し内側に向き合うような状態で配置される。平面視すると、2個1組の給糸パッケージP1の回転軸を延長した延長線Ar1,Ar1が仮撚加工機2が配置された方向(走行台車30が配置された方向)で互いに交差するように配置される。
【0089】
第2支柱30cに配置されるセンサ131は、上記2個1組の一方の給糸パッケージP1の外周面Sまでの距離を取得し、第2支柱30dに配置されるセンサ131は、上記2個1組の他方の給糸パッケージP1の外周面Sまでの距離を取得するように設けられる。第2支柱30cに配置されるセンサ131及び第2支柱30dに配置されるセンサ131は、その検知媒体の出射方向Ar2,Ar2が、仮撚加工機2が配置された方向(走行台車30が配置された方向)で交差するような向きに設置される。
【0090】
クリールスタンド20に支持された複数の給糸パッケージP1における糸Yの残量は、走行台車30がクリールスタンド20に沿って走行することによって取得される。すなわち、走行台車30がクリールスタンド20の一方の端部から他方の端部までを移動するときにセンサ131によって取得される給糸パッケージP1の外周面Sまでの距離に基づいて、それぞれの給糸パッケージP1における糸Yの残量を取得する。
【0091】
例えば、走行台車30は、クリールスタンド20に沿って左方に移動し、クリールスタンド20の左端の組(2個1組の給糸パッケージP1)として配置されている一方の給糸パッケージP1における糸Yの残量を、
図15に示されるように、第2支柱30cに配置されたセンサ131によって取得する。その後、走行台車30は右方に移動して、左端から二つ目の組として配置されている一方の給糸パッケージP1における糸Yの残量を、第2支柱30cに配置されたセンサ131によって取得する。その後、走行台車30は右方に移動して、
図16に示されるように、クリールスタンド20の左端の組の他方の給糸パッケージP1における糸Yの残量を、第2支柱30dに配置されたセンサ131によって取得する。その後、走行台車30は右方に移動して、クリールスタンド20の左端から二つ目の組として配置されている他方の給糸パッケージP1における糸Yの残量を、第2支柱30dに配置されたセンサ131によって取得する。
【0092】
上述した走行台車30による走行とセンサ131による取得を繰り返しながら、走行台車30は、
図17に示されるように、クリールスタンド20に沿って右方に移動し、クリールスタンド20の右端の組として配置されている他方の給糸パッケージP1の残量を、第2支柱30dに配置されたセンサ131によって取得する。このような一連の動作によって、クリールスタンド20に支持された全ての給糸パッケージP1における糸Yの残量が取得(センシング)される。
【0093】
次に、本発明の一側面の特徴部の一つである制御部90について更に詳細に説明する。制御部90は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、I/Oポート及び通信ポート等からなる電子制御ユニットである。ROMには、各部を制御するためのプログラムが記録されている。また、
図18に示される、後段にて詳述する予測部90a及び走行制御部90bにおける各機能は、CPU及び主記憶部等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPUの制御のもと実行される。
【0094】
予測部90aは、センサ131によって取得された給糸パッケージP1における糸Yの残量に基づいて、給糸パッケージP1から糸Yが無くなるタイミングを予測する。本実施形態では、予測部90aは、センサ131によって検出される給糸パッケージP1の外周面Sまでの距離に基づいて、糸Yが無くなるタイミングを予測する。ここでいう糸Yが無くなるタイミングとは、糸Yが給糸パッケージP1から全て引き出されて無くなるまでに要する時間、及び糸Yが給糸パッケージP1から全て引き出されて無くなるときの時間が含まれる。
【0095】
本実施形態の予測部90aは、センサ131からアナログ信号を受信し、当該アナログ信号を解析して、センサ131から給糸パッケージP1の外周面Sまでの距離を導出する。次に、予測部90aは、例えば、図示しない記憶部に記憶された当該距離と給糸パッケージP1における糸Yの残量との対応関係等に基づいて、給糸パッケージP1における糸Yの残量を導出する。また、予測部90aは、例えば、記憶部に記憶された単位時間あたりの糸の供給量(巻取パッケージP2における単位時間あたりの巻取量)と給糸パッケージP1における糸Yの残量とに基づいて、給糸パッケージP1から糸Yが無くなるタイミングを予測する。なお、糸Yが無くなるタイミングの導出方法は、上述した内容に限定されるものではない。
【0096】
走行制御部90bは、走行台車30の走行を制御する。本実施形態では、走行制御部90bは、クリールスタンド20に保持された全ての給糸パッケージP1における糸Yの残量を一定の時間間隔で取得するように走行台車30を移動させる。また、走行制御部90bは、予測部90aが予測する給糸パッケージP1から糸Yが無くなるタイミングに基づいて、走行台車30を、糸Yが無くなると予測された給糸パッケージP1の交換位置に移動させる。
【0097】
次に、本発明の一側面の特徴部の一つである、仮撚加工機2、第1搬送装置3、第2搬送装置4、パッケージ補給装置6及びパッケージ交換装置7からなる仮撚加工システム1を統括的に制御する統括制御装置95(
図18参照)について説明する。
【0098】
統括制御装置95は、CPU、ROM、RAM、I/Oポート及び通信ポート等からなる電子制御ユニットである。ROMには、各部を制御するためのプログラムが記録されている。また、
図18に示される、後段にて詳述する判定部95aにおける各機能は、CPU及び主記憶部等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPUの制御のもと実行される。統括制御装置95には、各種情報を表示するディスプレイ等の表示部95bが備えられていてもよい。
【0099】
判定部95aは、予測部90aの予測結果に基づいて、巻取パッケージP2に糸継部分が含まれるか否かを判定する。上記糸継部分は、給糸パッケージP1において糸Yが無くなるタイミングから巻取パッケージP2への移動(送り出し)が開始する。したがって、給糸パッケージP1において糸Yが無くなる時間が導出されれば、巻取パッケージP2の巻き取り速度等に基づいて、どのタイミングで巻取パッケージP2として巻き取られるかが導出できる。本実施形態の判定部95aは、予測部90aの予測する給糸パッケージP1から糸Yが無くなるタイミングと、図示しない記憶部等に記憶された巻取パッケージP2の巻き取り速度とに基づいて、糸継部分が巻取パッケージP2に巻き取られるタイミングを導出する。ここでいう糸継部分が巻取パッケージに巻き取られるタイミングとは、糸継部分が巻取パッケージに巻き取られるまでに要する時間、及び糸継部分が巻取パッケージに巻き取られるときの時間が含まれる。
【0100】
統括制御装置95では、巻取パッケージP2の巻取ボビンB2をセットする時間と巻取パッケージP2を排出する時間とを管理している。判定部95aは、先の管理情報と、糸継部分が巻取パッケージP2に巻き取られるタイミングとに基づいて、巻取パッケージP2ごとに糸継部分が含まれているか否かを判定する。統括制御装置95では、判定部95aによって判定された結果(例えば、糸継部分を有する巻取パッケージP2の情報)を表示部95b等に表示させる。また、統括制御装置95と通信可能に設けられ、作業者等が携帯している端末装置97に、糸継部分を有する巻取パッケージP2の情報を送信してもよい。
【0101】
統括制御装置95では、制御部90から送信されてくる予測部90aの予測結果を、表示部95bに表示してもよい。表示部95bには、クリールスタンド20に保持された給糸パッケージP1ごとに、糸Yが給糸パッケージP1から全て引き出されて無くなるまでに要する時間、及び糸Yが給糸パッケージP1から全て引き出されて無くなるときの時間等を一覧表示されてもよい。統括制御装置95では、端末装置97に、上記の一覧表示をさせてもよい。なお、端末装置97は、糸Yが給糸パッケージP1から全て引き出されて無くなるまでに要する時間、及び糸Yが給糸パッケージP1から全て引き出されて無くなるときの時間等の情報を、統括制御装置95を介さずに、制御部90から直接受信してもよい。
【0102】
本実施形態では、走行台車30と、センサ131と、予測部90aと、走行制御部90bと、統括制御装置95とによって、給糸パッケージP1から糸Yが無くなるタイミングを予測するパッケージ交換システム100(
図18参照)が構築されている。
【0103】
上記実施形態のパッケージ交換システム100では、センシング時に給糸パッケージP1に巻回されている糸Yの残量が取得されるので、糸Yの状態を3段階で取得するような場合と比べて、給糸パッケージP1の状態をより詳細に把握することが可能となる。更に、この構成のパッケージ交換システム100では、取得した給糸パッケージP1における糸Yの残量に基づいて、給糸パッケージP1から糸Yが無くなるタイミングを予測するので、センシングのタイミングにかかわらず、給糸パッケージP1の状態を常に把握することが可能となる。この結果、給糸パッケージP1の交換及び糸継作業をより効率的に実施できるようになる。
【0104】
上記実施形態のパッケージ交換システム100では、センサ131は、給糸パッケージP1の径方向に沿って、給糸パッケージP1の外周面Sまでの距離を検出するセンサであり、予測部90aは、センサ131によって検出された距離に基づいて、給糸パッケージP1から糸Yが無くなるタイミングを予測している。このため、簡易な構成で給糸パッケージP1の最外層(外周面S)の位置、すなわち給糸パッケージP1の径を取得することができる。給糸パッケージP1の径が取得できるので、簡易な計算で給糸パッケージP1における糸Yの残量が予測できる。
【0105】
上記実施形態のパッケージ交換システム100では、走行制御部90bは、クリールスタンド20に保持された全ての給糸パッケージP1における糸Yの残量を一定の時間間隔で取得するように走行台車30を移動させている。このため、一定の時間間隔で給糸パッケージP1における糸Yの残量が取得されるようになるので、給糸パッケージP1から糸Yが無くなるタイミングをより正確に予測することができる。
【0106】
上記実施形態のパッケージ交換システム100では、走行台車30は、給糸パッケージP1の糸端Y1,Y2同士を繋ぐ糸継装置60と、給糸パッケージP1の糸端Y1,Y2を糸継装置60に案内する捕捉案内機構61と、クリールスタンド20に給糸パッケージP1を供給する供給装置50と、クリールスタンド20から給糸ボビンB1を回収する回収装置40と、を有している。このため、給糸パッケージP1の交換作業及び糸継作業が人の手を介することなく走行台車30によって実行することが可能となる。
【0107】
上記実施形態のパッケージ交換システム100では、走行制御部90bは、予測部90aが予測する給糸パッケージP1から糸Yが無くなるタイミングに基づいて、走行台車30を、糸Yが無くなると予測された給糸パッケージP1の交換位置に移動させている。このため、給糸パッケージP1の交換作業及び糸継作業がより効率的に実施できるようになる。
【0108】
上記実施形態のパッケージ交換システム100では、予測部90a及び走行制御部90bが走行台車30に設けられている。このため、パッケージ交換システム100を走行台車30として提供することができる。
【0109】
上記実施形態のパッケージ交換システム100では、予測部90aの予測結果に基づいて、巻取パッケージP2に糸継部分が含まれるか否かを判定する判定部95aを別途備えている。このため、グレードの高い巻取パッケージP2を簡易に選別することができる。
【0110】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0111】
上記実施形態では、統括制御装置95の判定部95aを含めてのパッケージ交換システム100として構成した例を挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、判定部95aの機能は搭載しないで、予測部90a及び走行制御部90bが、走行台車30に搭載されているパッケージ交換システム100として構成してもよい。また、予測部90a、走行制御部90b及び判定部95aの全てが走行台車30に搭載されているパッケージ交換システム100として構成してもよい。これらの変形例に係る構成では、パッケージ交換システム100を走行台車として提供することが可能となる。
【0112】
また、上記の変形例に代えて、予測部90a、走行制御部90b及び判定部95aの全て又は何れか一つが、走行台車30に搭載されておらず、走行台車30と通信可能に設けられた制御装置又はサーバ装置等に搭載することによって、パッケージ交換システム100を構成してもよい。
【0113】
上記実施形態では、給糸パッケージP1に巻回されている糸Yの残量を取得するセンサ131が設けられる走行台車30には、糸継装置60と、捕捉案内機構61と、供給装置50と、回収装置40と、が搭載されている例を挙げて説明したが、本発明の一側面はこれに限定されない。例えば、センサ131が設けられる走行台車30は、糸継装置60、捕捉案内機構61、供給装置50、及び回収装置40の何れも搭載されておらず、給糸パッケージP1の交換及び糸継ぎを実施する作業者が乗るための作業台が搭載された走行台車30であってもよい。また、センサ131が設けられる走行台車30は、糸継装置60、捕捉案内機構61、供給装置50、及び回収装置40の何れか一つが搭載された走行台車30であってもよい。
【0114】
上記実施形態では、走行ユニットの一例として車輪を備えた走行台車30を説明したが、車輪の代わりに直動機構を備えた構成の走行ユニットであってもよい。
【0115】
上記実施形態では、給糸パッケージP1に巻回されている糸Yの残量を取得する取得部の例としてアナログ式のセンサ131を例に挙げて説明したが、本発明の一側面はこれに限定されない。例えば、給糸パッケージP1の外周面が撮像可能な撮像装置を設け、撮像装置によって撮像される画像を解析することによって、給糸パッケージP1に巻回されている糸Yの残量を取得してもよい。
【0116】
上記実施形態では、クリールスタンド20において鉛直方向に配列されたペッグ24と同様の数のセンサ131が走行台車30に設けられている例を挙げて説明したが、本発明の一側面はこれに限定されない。例えば、走行台車30に対して昇降可能に設けられる一つ又は複数のセンサ131であってもよい。この場合であっても、クリールスタンド20に保持される全ての給糸パッケージP1における糸Yの残量を取得させることができる。
【符号の説明】
【0117】
7…パッケージ交換装置、20…クリールスタンド、30…走行台車(走行ユニット)、30c…第2支柱、30d…第2支柱、40…回収装置(交換装置)、50…供給装置(交換装置)、60…糸継装置、61…捕捉案内機構(案内装置)、90…制御部、90a…予測部、90b…走行制御部、95…統括制御装置、95a…判定部、95b…表示部、100…パッケージ交換システム、131…センサ、P1…給糸パッケージ、P2…巻取パッケージ、S…外周面、Y…糸。