(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】車両充電システム、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240404BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20240404BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240404BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240404BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20240404BHJP
B60L 53/62 20190101ALI20240404BHJP
B60L 53/65 20190101ALI20240404BHJP
B60L 53/66 20190101ALI20240404BHJP
B60L 53/67 20190101ALI20240404BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20240404BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20240404BHJP
G16Y 20/40 20200101ALI20240404BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J13/00 301A
G06Q50/10
B60L50/60
B60L53/14
B60L53/62
B60L53/65
B60L53/66
B60L53/67
B60L58/12
G16Y10/40
G16Y20/40
(21)【出願番号】P 2020140327
(22)【出願日】2020-08-21
【審査請求日】2023-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】514105011
【氏名又は名称】株式会社東光高岳
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】奥苑 直昭
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/061857(WO,A1)
【文献】特開2014-73002(JP,A)
【文献】特開2011-103048(JP,A)
【文献】特開2018-36817(JP,A)
【文献】国際公開第2019/130930(WO,A1)
【文献】特開2013-5479(JP,A)
【文献】特開2013-2917(JP,A)
【文献】特開2013-85391(JP,A)
【文献】特開2014-73065(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 13/00
G06Q 50/10
B60L 50/60
B60L 53/14
B60L 53/62
B60L 53/65
B60L 53/66
B60L 53/67
B60L 58/12
G16Y 10/40
G16Y 20/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される蓄電池を充電する複数の中速充電器と、
前記複数の中速充電器に通信可能に接続される制御装置と、
前記制御装置と通信可能に接続されるゲートユニットと、
前記制御装置と外部ネットワークを介して通信可能に接続される外部サーバと
を含む車両充電システムであって、
前記中速充電器は、自器により充電される車両を撮像する撮像部を備え、
前記ゲートユニットは、前記複数の中速充電器が設けられた区域に進入する車両を撮像する撮像装置と、該車両に搭載されたETCカードの情報を取得するETC路側機とを備え、
前記制御装置は、
前記ゲートユニットの撮像装置により撮像された車両の第1撮像画像と、前記中速充電器の撮像部により撮像された車両の第2撮像画像とに基づき、充電が行われた車両を特定し、
前記特定した車両におけるETCカードの情報と、充電による課金に関する情報とを、外部サーバに出力する
車両充電システム。
【請求項2】
前記課金に関する情報は、前記中速充電器から車両に供給された充電電力量である
請求項1に記載の車両充電システム。
【請求項3】
前記外部サーバは、
前記制御装置から取得した前記特定した車両におけるETCカードの情報及び課金に関する情報に基づき、支払要求データを生成し、
生成した前記支払要求データを、ETCカードの利用に応じた決済処理を行う決済サーバに出力する
請求項1又は請求項2に記載の車両充電システム。
【請求項4】
前記外部サーバは、
前記制御装置から取得した前記特定した車両におけるETCカードの情報及び課金に関する情報に基づき、支払通知データを生成し、
生成した前記支払通知データを、ETCカードの利用者に対応した携帯端末に出力する
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両充電システム。
【請求項5】
前記外部サーバは、
前記制御装置から取得した前記特定した車両におけるETCカードの情報及び課金に関する情報に基づき、中速充電器の利用実績に関する実績情報を生成し、
生成した前記実績情報を前記中速充電器の管理者に対応した情報端末に出力する
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車両充電システム。
【請求項6】
前記複数の中速充電器が設けられた区域は、集合住宅が設けられた領域内に含まれ、
前記外部サーバは、
前記制御装置から取得した前記特定した車両におけるETCカードの情報及び課金に関する情報に基づき、支払要求データを生成し、
生成した前記支払要求データを、前記集合住宅の費用を請求するための費用請求サーバに出力する
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の車両充電システム。
【請求項7】
前記複数の中速充電器が設けられた区域は、商業施設が設けられた領域内に含まれ、
前記外部サーバは、
前記制御装置から取得した前記特定した車両におけるETCカードの情報及び課金に関する情報に基づき、支払要求データを生成し、
生成した前記支払要求データを、前記商業施設の金銭的ポイントと連携するためのポイント連携サーバに出力する
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の車両充電システム。
【請求項8】
前記中速充電器に入力される商用電源は、3相200V又は単相200Vであり、
前記中速充電器が出力することができる最大の電力値である定格最大電力値は、20kWから30kWである
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の車両充電システム。
【請求項9】
複数の中速充電器のうちの一の中速充電器は、
複数台の車両に接続される複数の接続部と、
複数の接続部それぞれに対応した複数の撮像部とを備える
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の車両充電システム。
【請求項10】
コンピュータに、
ゲートユニットに設けられた撮像装置により撮像された車両の第1撮像画像を取得し、
前記ゲートユニットに設けられたETC路側機により取得された前記車両に搭載されたETCカードの情報を取得し、
中速充電器の撮像部により撮像された前記車両の第2撮像画像を取得し、
前記第1撮像画像と、前記第2撮像画像とに基づき、充電が行われた前記車両を特定し、
前記特定した車両のETCカードの情報と、前記中速充電器による前記車両への充電に対する課金に関する情報とを、外部サーバに出力する
処理を実行させる情報処理方法。
【請求項11】
コンピュータに、
ゲートユニットに設けられた撮像装置により撮像された車両の第1撮像画像を取得し、
前記ゲートユニットに設けられたETC路側機により取得された前記車両に搭載されたETCカードの情報を取得し、
中速充電器の撮像部により撮像された前記車両の第2撮像画像を取得し、
前記第1撮像画像と、前記第2撮像画像とに基づき、充電が行われた前記車両を特定し、
前記特定した車両のETCカードの情報と、前記中速充電器による前記車両への充電に対する課金に関する情報とを、外部サーバに出力する
処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両充電システム、情報処理法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
充電装置、車両、中間装置、及びサーバが互いに関連して車両を充電することができる車両充電システムが知られている(例えば特許文献1)。特許文献1の車両充電システムは、車両が備えるプロセッサによって、バッテリ接続モジュールが充電装置に接続されているか否かを判定し、バッテリ接続モジュールが充電装置に結合されていることに応答して、許可要求をサーバに送信し、サーバから許可要求に対応する充電許可を受信したことに応答して、充電装置が少なくとも1つの充電可能バッテリを充電することを可能にするように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の車両充電システムは、充電量に対する課金処理が考慮されていないという問題点がある。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、車両の充電による課金に関する処理を効率的に行うことができる車両充電システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る車両充電システムは、車両に搭載される蓄電池を充電する複数の中速充電器と、前記複数の中速充電器に通信可能に接続される制御装置と、前記制御装置と通信可能に接続されるゲートユニットと、前記制御装置と外部ネットワークを介して通信可能に接続される外部サーバとを含む車両充電システムであって、前記中速充電器は、自器により充電される車両を撮像する撮像部を備え、前記ゲートユニットは、前記複数の中速充電器が設けられた区域に進入する車両を撮像する撮像装置と、該車両に搭載されたETCカードの情報を取得するETC路側機とを備え、前記制御装置は、前記ゲートユニットの撮像装置により撮像された車両の第1撮像画像と、前記中速充電器の撮像部により撮像された車両の第2撮像画像とに基づき、充電が行われた車両を特定し、前記特定した車両におけるETCカードの情報と、充電による課金に関する情報とを、外部サーバに出力する。
【0007】
本開示の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータに、ゲートユニットに設けられた撮像装置により撮像された車両の第1撮像画像を取得し、前記ゲートユニットに設けられたETC路側機により取得された前記車両に搭載されたETCカードの情報を取得し、中速充電器の撮像部により撮像された前記車両の第2撮像画像を取得し、前記第1撮像画像と、前記第2撮像画像とに基づき、充電が行われた前記車両を特定し、前記特定した車両のETCカードの情報と、前記中速充電器による前記車両への充電に対する課金に関する情報とを、外部サーバに出力する処理を実行させる。
【0008】
本開示の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、ゲートユニットに設けられた撮像装置により撮像された車両の第1撮像画像を取得し、前記ゲートユニットに設けられたETC路側機により取得された前記車両に搭載されたETCカードの情報を取得し、中速充電器の撮像部により撮像された前記車両の第2撮像画像を取得し、前記第1撮像画像と、前記第2撮像画像とに基づき、充電が行われた前記車両を特定し、前記特定した車両のETCカードの情報と、前記中速充電器による前記車両への充電に対する課金に関する情報とを、外部サーバに出力する処理を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様によれば、車両の充電による課金に関する処理を効率的に行う車両充電システム等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1に係る車両充電システムに関するロケーションを例示する説明図である。
【
図2】車両充電システムの概要を示す説明図である。
【
図3】車両充電システムに含まれる制御装置等の構成例を示すブロック図である。
【
図4】利用者マスタテーブルのデータレイアウトを例示する説明図である。
【
図5】充電ステーションマスタテーブルのデータレイアウトを例示する説明図である。
【
図6】利用者による利用履歴テーブルのデータレイアウトを例示する説明図である。
【
図7】制御装置の制御部に含まれる機能部を例示する機能ブロック図である。
【
図8】外部サーバの制御部に含まれる機能部を例示する機能ブロック図である。
【
図9】制御装置の制御部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図10】外部サーバの制御部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図11】実施形態2(要約情報)に係る外部サーバの制御部に含まれる機能部を例示する機能ブロック図である。
【
図12】要約情報を表示するレポート画面の一例を説明する図である。
【
図13】外部サーバの制御部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図14】実施形態3(集合住宅)に係る車両充電システムの概要を示す説明図である。
【
図15】充電ステーションマスタテーブルのデータレイアウトを例示する説明図である。
【
図16】実施形態4(商業施設)に係る車両充電システムの概要を示す説明図である。
【
図17】充電ステーションマスタテーブルのデータレイアウトを例示する説明図である。
【
図18】実施形態5(中速充電器の構成)に係る車両充電システムの概要を示す説明図である。
【
図19】車両充電システムに含まれる中速充電器等の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。本開示の実施形態に係る車両充電システムS等を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0012】
(実施形態1)
以下、本開示に関し、実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。
図1は、実施形態1に係る車両充電システムに関するロケーションを例示する説明図である。
図2は、実施形態1に係る車両充電システムSの概要を示す説明図である。
図3は、車両充電システムSに含まれる制御装置1等の構成例を示すブロック図である。車両充電システムSは、複数の中速充電器2と、当該複数の中速充電器2の出力電力値を制御する制御装置1と、制御装置1と通信可能に接続され、制御装置1から出力(送信)される中速充電器2の利用実績に関する情報を保存及び管理する外部サーバ3とを含む。
【0013】
車両充電システムSに含まれる中速充電器2それぞれと制御装置1とは、充電ステーションを構成し、当該充電ステーションは、例えば、マンション等の集合住宅の駐車場の敷地内、ホテル又は大型小売店舗の駐車場の敷地内などに設置される。充電ステーションには、充電される車両を駐車するために区分けされた複数の駐車スペースと、当該駐車スペースに対応して設けられる複数の中速充電器2とが、載置される。充電ステーションの出入り口から、充電ステーションに進入した車両Cは、空き状態の駐車スペース又は、予め予約した中速充電器2の駐車スペースに入庫する。
【0014】
図1にて例示するとおり、充電ステーションの出入り口には、ETC路側機G1及び撮像装置G2を含むゲートユニットGが設けられている。ゲートユニットGは、通信機能を有し、メモリ及びMPUを備えたマイコン等により構成され、当該充電ステーションに出入りする車両Cに関する情報を取得し、当該情報を制御装置1に出力(送信)する。当該車両Cに関する情報は、例えば、ETC路側機G1にて取得したETCカード番号、ETC車載器管理番号及び車両番号と、撮像装置G2によって撮像された車両Cの車両番号(ナンバープレート)の画像(第1撮像画像)である。ゲートユニットGは、充電ステーションの出入り口を通過するそれぞれの車両Cに対し、車両番号(ナンバープレート)の画像(第1撮像画像)と、ETCカード番号等とを取得し、これらを関連付けて、制御装置1に出力する。
【0015】
充電ステーションに入庫した車両Cが、いずれかの中速充電器2に接続された場合、中速充電器2は、自器に設けられている撮像部24で撮像した当該車両Cの車両番号(ナンバープレート)の画像を、制御装置1に出力(送信)する。制御装置1は、中速充電器2から出力される画像に基づき、充電が開始される車両Cの存在を把握するものであってもよい。
【0016】
制御装置1は、スマートメータMから、例えば1分毎に検針値を定常的又は周期的に取得する。制御装置1は、スマートメータMから検針値を取得するにあたり、例えば、制御装置1及びスマートメータMを接続するBルートを介して、受電1分値を取得する。又は、制御装置1は、スマートメータMのパルス端子に接続される通信線を介して、サービスパルスを取得し、取得したサービスパルスをカウントすることにより電力量を算出するものであってもよい。サービスパルスを用いることにより、1分周期よりも早い計測を可能とすることができる。制御装置1は、複数の中速充電器2から出力される出力電力値が、例えば、契約電力又は、契約電力の内、中速充電器2に割り振られる電力容量(使ってよい上限値)に基づき決定される所定の閾値を超えないように、中速充電器2それぞれの出力電力値を決定する。制御装置1は、決定した出力電力値に基づき生成した制御信号を、各中速充電器2に出力することにより、中速充電器2それぞれの出力電力値を制御する。複数の中速充電器2は、制御装置1から出力される出力電力値に関する制御信号に基づき、当該出力電力値にて自器に接続される電気自動車等の車両Cに電力を供給し、当該車両Cの蓄電池C2を充電する。制御装置1は、中速充電器2の制御を行うにあたり、ゲートユニットGから取得したETCカード番号等を含む情報と、中速充電器2から取得した車両Cの車両番号を含む情報とに基づき、中速充電器2の利用者又は利用車両Cを特定し、当該利用者による利用実績等に関する情報を外部サーバ3に出力(送信)する。
【0017】
外部サーバ3は、制御装置1から取得した情報に基づき、利用者による充電に対する課金処理を行い、当該課金処理結果である請求額を、例えばETCカードに関する決済を行うクレジット会社の決済サーバKSに送信する。更に、外部サーバ3は制御装置1から取得した情報に基づき、例えば、充電開始時点にて導出(推定)した充電完了の予定時刻(充電完了予定時)又は、充電が完了した際には充電完了日時及び充電電力量を、利用者に関連付けられた携帯端末KT(利用者側端末)に送信する。更に、外部サーバ3は制御装置1から取得した情報に基づき、それぞれの充電ステーションにおける中速充電器2の稼働状況を集計した要約情報(実績情報)を生成し、当該要約情報を、充電ステーションの所有者又は運用責任者等の管理者に関連付けられた情報端末JT(管理者側端末)に送信する。外部サーバ3は、単一サーバによる場合に限定されず、複数のサーバが協働して分散処理を行う構成によるものであってもよい。また、外部サーバ3と決済サーバKSとが、実質的に単一サーバによって構成されるサーバ形態であってもよい。
【0018】
車両Cは、例えば電気自動車(EV)又はプラグインハイブリッド車(PHV)等の外部電源からの充電が可能な車両Cである。当該車両Cには、リチウム電池等の二次電池による蓄電池C2、中速充電器2から供給される電力を受電し、蓄電池C2への充電を制御する受電部C3、及びETC車載器C1が搭載されている。車両Cの受電部C3と、中速充電器2とは、例えば、チャデモ方式による通信を行うことにより、中速充電器2は、受電部C3から蓄電池C2の充電率(SOC:State Of Charge)及び電池容量等、中速充電器2に関する情報を取得する。ETC車載器C1にはETCカードが入っており、充電ステーションに入庫した車両Cは、ゲートユニットGに含まれるETC路側機G1によって、ETCカード及びETC車載器C1の情報(ETCカード番号、ETC車載器管理番号)が読み取られる。このようにETC路側機G1を、ゲートユニットGに設けることにより、比較的に高価なETC路側機G1を、個々の中速充電器2に実装する(設ける)ことを不要とすることができ、中速充電器2の製造コストが増加することを抑制することができる。従って、ゲートユニットGの撮像装置G2と、中速充電器2に実装された比較的に安価な撮像部24とにより、中速充電器2を使用する車両Cを特定し、中速充電器2の利用に対する課金処理のシステム(課金システム)と紐づけることで、システム全体におけるコストを抑制することができる。
【0019】
中速充電器2は、例えば、入力電圧がAC三相200V、AC単相200V又はAC三相400V、定格出力電力がDC30KWの充電器であり、当該定格出力電力によって充電した場合、満充電又は電池容量の80%等の充電完了までに要する時間を2時間程度とする充電器である。中速充電器2は、当該充電完了までの所要時間を、普通速充電器の1/4程度とし、急速充電器の4倍程度とし、当該普通速充電器と急速充電器との間に位置づけられる充電器である。当該普通速充電器とは、入力電圧がAC単相100V又は200Vであり、定格出力電力がAC3KW程度の充電器である。急速充電器とは、入力電圧がAC三相200Vであり、定格出力電力がDC50KW程度の充電器である。中速充電器2の入力電圧をAC三相200V又はAC単相200Vとするのは、日本国内仕様であり、例えば、欧州又は米国等の外国においては、これら以外の入力電圧による商用電源を用いるものであってもよい。中速充電器2は、商用電源からの交流電力を直流電力に変換するPCS22(パワーコンディショナー:電力変換装置)、PCS22を制御する制御ユニット21、車両Cと接続するための接続部23、及び撮像部24を含む。中速充電器2は、AC又はDCによる電力量計を備え、車両Cに供給された充電電力量を計測するものであってもよい。中速充電器2に入力されるAC三相200V等の入力電圧は、スマートメータMよりも上流側に設けられた高圧受電設備Kから供給(印加)される。高圧受電設備Kは、トランスを備え、高圧受電設備Kに入力される6KV(6000V)の電圧を200Vに変圧し、個々の中速充電器2に供給する。本実施形態の図示において、トランスは、高圧(6KV)に対応した高圧受電設備Kに設けられるとしたが、これに限定されない。トランスは、20KV、60KV又は140KV等の特別高圧に対応した特別高圧受電設備に設けられるものであってもよい。すなわち、車両充電システムSは、20KV等の特別高圧で受電する特別高圧受電設備を用いた施設にも適用できることができる。
【0020】
接続部23は、車両Cに接続するためのコネクタ、当該コネクタが先端に設けられた充電ケーブルを含む。PCS22にて直流電流に変換された電力は、接続部23を介して車両Cに供給され、蓄電池C2を充電する。充電ケーブルは、充電用の電力線と、制御信号の通信用の通信線を含む。又は、電力線を用いたPLC(Power Line Communication)によって通信を行うものであってもよい。
【0021】
制御ユニット21は、制御装置1との通信機能を有し、メモリ及びMPUを備えたマイコン等により構成される。制御ユニット21は、制御装置1から出力(送信された)された出力電力値に関する情報(制御信号)を取得(受信)し、当該出力電力値にて、PCS22から車両Cへ充電する電力を制御する。制御ユニット21は、車両C(受電部C3)から取得した蓄電池C2の充電率及び電池容量等、蓄電池C2に関する情報を制御装置1に送信する。
【0022】
撮像部24は、例えばCOMSカメラであり、中速充電器2に接続される車両Cを動画又は静止画にて撮像する。撮像された画像(第2撮像画像)には、車両Cのナンバープレートが含まれており、当該画像(第2撮像画像)に基づき車両Cの車両番号を特定することができる。
【0023】
中速充電器2の制御ユニット21は、制御装置1と定常的又は周期的に通信し、充電の開始及び完了を含む充電状態に関する情報、蓄電池C2の充電率に関する情報、接続部23のコネクタと車両Cとの接続状態に関する情報、及び車両Cのナンバープレートが含まれている画像等の情報を、当該制御装置1に送信する。制御装置1は、中速充電器2の制御ユニット21から送信されるこれら情報に基づき、当該中速充電器2に対応する駐車スペースに車両Cが入庫又は出庫されたこと(入出庫状態)、及び車両Cに接続部23のコネクタが接続されたこと(接続状態)等、中速充電器2に対する車両Cの状態を把握することができる。
【0024】
制御装置1は、制御部11、記憶部12、Bルート用通信部13、無線通信部14、及び充電器用通信部15を含み、通信機能を有するコンピュータである。制御装置1は、上述のとおり、契約電力又は、契約電力の内、中速充電器2に割り振られる電力容量(使ってよい上限値)に基づき決定される所定の閾値を超えないように、中速充電器2それぞれの出力電力値を決定し、当該出力電力値にて、中速充電器2を制御する。更に、制御装置1は、中速充電器2から取得した情報を、外部サーバ3又はスマートメータM等に出力(送信)する中継装置として機能する。
【0025】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の計時機能を備えた演算処理装置を有し、記憶部12に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、制御装置1に係る種々の情報処理、制御処理等を行う。
【0026】
記憶部12は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の揮発性記憶領域及び、EEPROM又はハードディスク等の不揮発性記憶領域を含む。記憶部12には、プログラム及び処理時に参照するデータが予め記憶してある。記憶部12に記憶されたプログラムは、制御装置1が読み取り可能な記録媒体(図示せず)から読み出されたプログラムを記憶したものであってもよい。また、図示しない通信網に接続されている図示しない外部コンピュータからプログラムをダウンロードし、記憶部12に記憶させたものであってもよい。
【0027】
Bルート用通信部13は、スマートメータMの規格によって定められているBEMS又はHEMS向けのデータ通信部である。制御装置1の制御部11は、Bルート用通信部13を介して、スマートメータMと通信し、当該スマートメータMから例えば、1分毎に検針値を取得する。本実施形態において、検針値の取得は、Bルートを介して行うとしてあるがこれに限定されず、制御装置1の制御部11は、スマートメータMのパルス端子に接続される通信線を介して、サービスパルスを取得するものであってもよい。
【0028】
無線通信部14は、無線により外部ネットワークNを介して外部サーバ3及び、ゲートユニットGと通信するための通信モジュールであり、例えばWi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の狭域無線通信モジュール、又は4G、5G等の広域無線通信モジュールである。制御装置1は、無線通信部14により外部サーバ3と通信としたがこれに限定されず、イーサネット等による有線通信部を有し、当該有線通信部により外部サーバ3と通信するものであってもよい。
【0029】
充電器用通信部15は、例えばシリアルケーブル又は同軸ケーブル等により、複数の中速充電器2と通信するための通信モジュールであり、例えばModbus等の産業設備用の通信プロコトルを用いるものであってもよい。複数の中速充電器2それぞれには、これら中速充電器2を一意に識別するための充電器番号が付与されており、制御装置1の制御部11は、当該充電器番号により、充電器用通信部15を介して、それぞれの中速充電器2と通信するものであってもよい。
【0030】
本実施形態において、制御装置1は、当該制御装置1の接続先に応じた個別の通信部を備えるとしたが、これに限定されない。接続先であるスマートメータM、外部サーバ3及び中速充電器2と通信するための複数のプロトコルに対応した単一の通信部又は、統合的な通信I/Fを備え、当該単一の通信部等を介して、それぞれの通信先に応じたプロトコルで通信するものであってもよい。
【0031】
外部サーバ3は、インターネット等の外部ネットワークNに接続されるクラウドサーバ等のサーバ装置(情報処理装置)であり、制御装置1と同様に制御部31、記憶部32及び通信部33を備える。外部サーバ3は、中速充電器2(充電ステーション)の利用者の登録又は削除等のユーザ管理、利用者による利用の履歴管理などを行うデータベースサーバとして機能する。
【0032】
更に、外部サーバ3は、中速充電器2の利用により課金処理を行うアカウンティングサーバとして機能する。当該課金処理は、充電した電力量に基づき導出する処理(従量課金制)にて行われるものであってもよい。外部サーバ3は、課金処理結果である請求額を、決済サーバKSに送信する。本実施形態において例示されるように、利用者の特定がETCカードの情報に基づき行われる場合、決済サーバKSは、ETCカードによって課金される料金を決済するクレジット会社等によって管理されるサーバである。
【0033】
更に、外部サーバ3は、中速充電器2の利用者又は、充電ステーションの管理者からのサインイン等を受け付け、当該利用者専用のページ(Myページ)又は、管理者専用のページ(My管理ページ)の表示、電子メール等により利用者へ充電完了予定時又は充電完了通知等の情報の提供等(サービスアプリケーション)を行う、アプリケーションサーバとして機能する。これらサーバ機能は、単一の外部サーバ3によって実装される場合に限定されず、個々のサーバ機能に応じた複数のサーバによって分散処理されるものであってもよい。
【0034】
利用者の携帯端末KT(利用者端末)は、例えばパーソナルコンピュータ、タブレットPC又はスマートホン等であり、制御装置1と同様に制御部、記憶部及び通信部(図示せず)を備える。携帯端末KTは、ETCカードに関連付けられた電話番号又はメールアドレスに対応する携帯端末KTであってもよい。携帯端末KTと外部サーバ3とは、例えば、外部ネットワークNを介して通信可能に接続され、携帯端末KTは、外部サーバ3から送信された情報を、自端末のディスプレイ等の表示部に表示する。
【0035】
管理者の情報端末JT(管理者側端末)は、利用者の携帯端末KTと同様に、例えばパーソナルコンピュータ、タブレットPC又はスマートホン等であり、制御装置1と同様に制御部、記憶部及び通信部(図示せず)を備える。情報端末JTと外部サーバ3とは、例えば、外部ネットワークNを介して通信可能に接続され、情報端末JTは、外部サーバ3から送信された情報を、自端末のディスプレイ等の表示部に表示する。
【0036】
図4は、利用者マスタテーブルのデータレイアウトを例示する説明図である。
図5は、充電ステーションマスタテーブルのデータレイアウトを例示する説明図である。
図6は、利用者による利用履歴テーブルのデータレイアウトを例示する説明図である。外部サーバ3は、利用者の情報を保存及び管理するデータベースサーバとして機能し、当該外部サーバ3の記憶部32には、当該データベースに含まれる各種テーブルが、記憶されている。当該データベースに含まれる各種テーブルは、例えば、利用者マスタテーブル、充電ステーションマスタテーブル、及び利用履歴テーブルを含み、外部サーバ3に実装されているRDBMS(Relational DataBase Management System)等のデータベース管理ソフトウェアにより構成される。
【0037】
利用者マスタテーブルにて管理される項目の種類(メタデータ)は、例えば、ユーザID、パスワード、契約者名、メールアドレス、ETCカード番号、ETC車載器管理番号、車両番号、及びユーザ区分を含む。
【0038】
ユーザIDの項目(フィールド)には、利用者を識別するための識別番号が、格納される。パスワードの項目(フィールド)には、外部サーバ3にサインインする際のパスワードが、格納される。契約者名の項目(フィールド)には、車両充電システムSを利用するための加入契約を行った契約者名が格納され、本実施形態のようにETCカードを用いた課金処理を行う場合、当該契約者名は、ETCカードの所有者又は管理者に相当する。メールアドレスの項目(フィールド)には、外部サーバ3から、利用者の携帯端末KTに情報を送信する際に用いられるメールアドレスが、格納される。
【0039】
ETCカード番号の項目(フィールド)には、対応する契約者名(利用者)のETCカードの番号が、格納される。当該ETCカード番号を用いて、利用者の課金処理及び利用料の請求が、行われる。ETC車載器管理番号の項目(フィールド)には、対応する契約者名(利用者)のETC車載器管理番号が、格納される。車両番号の項目(フィールド)には、対応する契約者名(利用者)の車両番号が、格納される。
【0040】
ユーザ区分の項目(フィールド)には、利用者の優先度を示す区分が格納される。本実施形態においては、ユーザ区分として第1区分(プレミアムユーザ)と、第2区分(通常ユーザ)として定義しており、第1区分(プレミアムユーザ)の優先度は、第2区分(通常ユーザ)よりも高い。本実施形態において、ユーザ区分は2種類としているが、これに限定されず、ユーザ区分は3種類以上であってもよい。
【0041】
充電ステーションマスタテーブルにて管理される項目の種類(メタデータ)は、例えば、ステーションID、所在地、充電器台数、施設区分、所有者名、及びメールアドレスを含む。
【0042】
ステーションIDの項目(フィールド)には、各充電ステーションを一意に識別するための識別番号が、格納される。車両充電システムSは、複数の充電ステーションを管理することが想定されるところ、充電ステーションそれぞれに対しステーションIDを付与することにより、複数の充電ステーションにおける稼働状況を一元管理することができる。
【0043】
所在地の項目(フィールド)には、対応する充電ステーションの住所が、格納される。施設区分の項目(フィールド)には、対応する充電ステーションが設けられている施設の種類が、格納される。当該種類は、例えば、集合住宅、又は商業施設である。
【0044】
充電器台数の項目(フィールド)には、対応する充電ステーションに設けられている中速充電器2の台数が、格納される。充電ステーションマスタテーブルは、中速充電器2の台数に加え、当該中速充電器2の型式又は設置日時等の設備管理情報に関する項目を含むものであってもよい。
【0045】
所有者名の項目(フィールド)には、対応する充電ステーションの所有者又は運用責任者等の管理者の法人名等が、格納される。メールアドレスの項目(フィールド)には、管理者のメールアドレスが、格納される。
【0046】
利用履歴テーブルにて管理される項目の種類(メタデータ)は、例えば、ユーザID、ステーションID、充電器番号、ETC車載器管理番号、車両番号、撮像画像、充電開始日時、充電完了日時、充電開始時の充電率、充電電力量、及び利用料を含む。
【0047】
ユーザIDの項目(フィールド)には、中速充電器2を利用した利用者のユーザIDが格納され、ユーザIDにより利用履歴テーブルは、正規化される。中速充電器2を利用する際、利用者の特定は、ETCカード番号により特定され、特定されたETCカード番号に基づき利用者マスタテーブルを参照することにより、当該ユーザIDを特定することができる。利用履歴テーブルは、ユーザIDの項目と共に、ETCカード番号の項目を含むものであってもよい。ステーションIDには、利用者が利用した中速充電器2を含む充電ステーションのステーションIDが格納され、ステーションIDにより利用履歴テーブルは、正規化される。
【0048】
充電器番号の項目(フィールド)には、利用者が利用した中速充電器2の充電器番号が、格納される。利用者が利用した中速充電器2の充電器番号を保存及び管理することにより、各充電ステーションにおける充電器番号それぞれの稼働率を外部サーバ3にて一元管理し、これら中速充電器2の保全管理における参考情報として活用することができる。
【0049】
ETC車載器管理番号の項目(フィールド)には、利用者の車両Cに搭載されたETC車載器C1のETC車載器管理番号が、格納される。車両番号の項目(フィールド)には、利用者の車両Cの車両番号が、格納される。
【0050】
撮像画像の項目(フィールド)には、利用者の車両Cを撮像した画像が、格納される。当該画像は、ゲートユニットGの撮像装置G2によって撮像された画像と、中速充電器2の撮像部24によって撮像された画像とを含む。
【0051】
充電開始日時の項目(フィールド)には、利用者が利用した中速充電器2における充電開始日時が、格納される。充電完了日時の項目(フィールド)には、利用者が利用した中速充電器2における充電完了日時が、格納される。充電開始時の充電率の項目(フィールド)には、利用者の車両Cにおける充電開始時の蓄電池C2の充電率が、格納される。
【0052】
充電電力量の項目(フィールド)には、利用者が利用した中速充電器2による充電電力量が、格納される。利用料の項目(フィールド)には、充電電力量に基づき、所定の算式にて算出される利用料が、格納される。外部サーバ3の制御部31は、充電電力量(KWh)に所定の単価(例えば1KWhの料金)を乗算する従量制にて、利用者に課金する利用料を導出するものであってもよい。
【0053】
外部サーバ3の制御部31は、通信部を介して制御装置1から取得した情報に基づき、利用履歴テーブルにレコードを追加する。外部サーバ3の制御部31は、制御装置1からの要求に応じて、利用者マスタテーブル、充電ステーションマスタテーブル、又は利用履歴テーブルを検索し、検索結果を当該制御装置1に送信する。
【0054】
図7は、制御装置1の制御部11に含まれる機能部を例示する機能ブロック図である。制御装置1の制御部11は、記憶部12に記憶されているプログラムを実行することにより、取得部111、出力電力値決定部112、充電完了予定時導出部113、利用実績集約部114、及び出力部115として、機能する。
【0055】
取得部111は、制御装置1に接続されるスマートメータM、ゲートユニットG、中速充電器2及び外部サーバ3から出力される各種情報を取得する。取得部111は、スマートメータMからBルート等を介して検針値を取得する。取得部111は、更に、ゲートユニットGから、ETC路側機G1にて取得したETCカード番号、ETC車載器管理番号及び車両番号と、撮像装置G2によって撮像された車両Cの車両番号(ナンバープレート)の画像を取得する。
【0056】
取得部111は、更に、それぞれ中速充電器2から、充電の開始及び完了を含む充電状態に関する情報、蓄電池C2の充電率及び電池容量に関する情報、接続部23のコネクタと車両Cとの接続状態に関する情報、充電した電力量(充電電力量)及び、車両Cのナンバープレートが含まれている画像等の情報を取得する。取得部111は、更に、外部サーバ3から、ETCカード番号に関連付けられた利用者に関する情報を取得する。
【0057】
取得部111は、ゲートユニットGから出力された車両番号の画像と、中速充電器2から出力された車両番号の画像とを照合し、これら画像に含まれる車両番号同士を照合する。取得部111は、これら車両番号が同一である場合は、ゲートユニットGから出力された車両番号の画像に関連付けられている(対応している)ETCカード番号を含む要求(利用者の紹介要求)を外部サーバ3に送信することにより、外部サーバ3から当該ETCカード番号に関連付けられた利用者に関する情報を取得する。
【0058】
取得部111は、ゲートユニットGから取得したETCカード番号に対応する利用者に関する情報を、外部サーバ3から取得できなかった場合、当該ETCカード番号により中速充電器2を利用することができない旨を示すアラート情報を、出力部115を介して中速充電器2又は外部サーバ3に出力するものであってもよい。ETCカード番号に対応する利用者に関する情報を外部サーバ3から取得できなかった場合は、当該ETCカード番号による車両充電システムSへの登録(サブスクライブ)がされていないことが想定されるところ、制御装置1と外部サーバ3との通信による認証系機能を発揮することにより、利用者登録に基づいた適切な運用を図ることができる。
【0059】
出力電力値決定部112は、取得部111が取得した中速充電器2それぞれにおける充電状態に基づき、現時点における充電中の中速充電器2の台数、すなわち充電中の車両Cの台数を特定する。出力電力値決定部112は、特定した充電中の車両Cと、新たに中速充電器2に接続される車両Cとの合計台数に基づき、以降、充電を行う中速充電器2それぞれの出力電力値を決定する。例えば、充電中の車両Cの台数が3台である場合、新たに充電を開始する1台の車両Cがいずれかの中速充電器2に接続された場合、以降、充電を行う中速充電器2の合計台数(充電対象となる車両Cの合計台数)は、4台となる。出力電力値決定部112は、当該合計台数(4台)に基づき、充電を行う中速充電器2それぞれの出力電力値を決定する。
【0060】
出力電力値決定部112は、当該出力電力値を決定するにあたり、記憶部12に記憶されている所定の閾値を用いる。当該所定の閾値は、例えば、充電ステーションの所有者と電力会社との契約による契約電力に基づき決定されるものであってもよい。例えば、契約電力を110KWとした場合、所定の閾値は当該契約電力未満となる値であり、例えば100KWとするものであってもよい。又は、当該所定の閾値は、契約電力の内、中速充電器2に割り振られる電力容量(使ってよい上限値)に基づき決定されるものであってもよい。例えば、契約電力が220KWであり、この契約電力の内、半分となる110KWを中速充電器2に割り振られる電力容量(使ってよい上限値)とした場合、当該所定の閾値は、当該割り振られる電力容量未満となる値であり、例えば100KWとするものであってもよい。又は、当該所定の閾値は、例えば、高圧受電設備K又は特別高圧受電設備に設けられたトランスのトランス容量以下となるように、当該トランス容量に基づき、決定されるものであってもよい。上述のとおり、当該トランスは、例えば、高圧受電設備Kに入力(印加)される6KVの電圧、又は特別高圧受電設備に入力される20KV等の電圧を、複数の中速充電器2に供給するための200Vに変換するものであり、トランス容量は、設備仕様に基づき予め決定されている。トランス容量に基づき所定の閾値を決定することにより、複数の中速充電器2によって消費される電力が、トランス容量を超過することを防止することができる。当該所定の閾値は、充電ステーションの所有者又は管理者の操作に応じて、変更することができる。出力電力値決定部112は、取得部111を介して、充電ステーションの所有者又は管理者の操作による変更要求(閾値変更情報)を受け付け、当該変更要求(閾値変更情報)に基づき、所定の閾値を変更する。
【0061】
出力電力値決定部112は、当該出力電力値を決定するにあたり、例えば、出力電力値テーブルを用いるものであってもよい。出力電力値テーブルは、制御装置1の記憶部12に記憶されており、中速充電器2それぞれにて接続される車両Cの台数、すなわち充電中となる車両Cの台数に対し、決定される出力電力値を示したルックアップテーブルである。本実施形態においては、各台数における出力電力値の合計値、すなわち出力電力値に接続台数を乗算した値(出力電力値×接続台数)を示す情報を含む。例えば、契約電力又は、契約電力の内、中速充電器2に割り振られる電力容量(使ってよい上限値)を110KWであり、所定の閾値を100KWとし、中速充電器2の台数を5台、中速充電器2の定格最大電力値を30KWとした場合、接続台数(充電中の車両C台数)が3台以下であれば、定格最大電力値を用いて充電することができる。4台以上となると、4台の中速充電器2が全て定格最大電力値を用いて充電すると、所定の閾値を超過してしまうため、出力電力値決定部112は、所定の閾値を接続台数(充電中の車両C台数)で除算した値にて、出力電力値を決定する。出力電力値決定部112は、定常的又は周期的に取得部111から出力される充電状態に関する情報に基づき、定常的又は周期的に出力電力値を決定する。出力部115は、出力電力値決定部112が決定した出力電力値、又は当該出力電力値に基づき生成した制御信号をそれぞれの中速充電器2に出力する。所定の閾値は、定格最大電力値に、制御装置1に接続される全ての中速充電器2の台数を乗算した値よりも、小さい値に設定(所定の閾値<定格最大電力値×制御装置1に接続される全ての中速充電器2の台数)してある。本実施形態においては、制御装置1に接続される全ての中速充電器2の台数は5台であり、定格最大電力値は30KWであり、定格最大電力値に中速充電器2の台数を乗算した値は、150KW(30KW×5)である。これに対し、所定の閾値は、110KWであるため、定格最大電力値に中速充電器2の台数を乗算した値である150KWよりも、小さい値である。このように所定の閾値を、定格最大電力値に、制御装置1に接続される全ての中速充電器2の台数を乗算した値よりも小さい値とすることにより、契約電力の増加やトランスの増強等による供給側(中速充電器2を用いて利用者に電力を供給する供給者)への負担を軽減し、車両充電システムSの普及を促進することができる。
【0062】
出力電力値決定部112は、例えば、出力電力値テーブルを参照し、充電中の中速充電器2の出力電力値の合計値が、所定の閾値以下となるように出力電力値を決定する。定格最大電力値を用いても充電中の中速充電器2の出力電力値の合計値が、所定の閾値以下となる場合、出力電力値決定部112は、当該定格最大電力値を出力電力値として決定する。従って、係る場合においては、定格最大電力値により充電するため、充電完了までの所要時間を削減することができる。
【0063】
定格最大電力値を用いると充電中の中速充電器2の出力電力値の合計値が、所定の閾値を超過する場合、出力電力値決定部112は、例えば、所定の閾値を接続台数(充電中の車両C台数)で除算した値にて、出力電力値を決定する。従って、係る場合においては、所定の閾値を超えることなく、充電完了までの所要時間を最小限の時間とすることができる。
【0064】
出力電力値決定部112は、充電ステーションの所有者又は管理者の操作による変更要求(閾値変更情報)を受け付け、当該変更要求(閾値変更情報)に基づき、所定の閾値を変更した場合、変更後の所定の閾値に応じて、出力電力値テーブルを変更するものであってもよい。中速充電器2が一定の電圧(直流定電圧)により車両Cを充電する場合、出力電力値決定部112は、当該定電圧に応じた出力電流値を決定するものであってもよい。
【0065】
充電完了予定時導出部113は、出力電力値決定部112が決定した出力電力値と、中速充電器2に接続された車両Cにおける充電開始時点の充電率等に基づき、充電完了予定時を導出する。中速充電器2と車両Cとは、例えば、チャデモ方式による通信を行うことにより、中速充電器2は、車両Cの蓄電池C2の充電率及び電池容量を取得し、これら充電率及び電池容量を制御装置1に出力する。取得部111は、これら充電率及び電池容量を取得し、充電完了予定時導出部113に出力する。充電完了予定時導出部113は、例えばチャデモ方式等の充電方式によって定められる所定の算式を用いて、出力電力値、充電率及び電池容量に基づき、充電所要時間を算出し、充電開始時点の時刻及び当該充電所要時間により、充電完了予定時を導出する。
【0066】
出力部115は、充電完了予定時導出部113が導出した充電完了予定時と、取得部111から出力される利用者のユーザID又はETCカード番号とを関連付けて、外部サーバ3に出力する。外部サーバ3は、出力部115から出力されたこれら情報に基づき、例えば、利用者マスタテーブルを参照して特定される利用者のメールアドレスに、充電完了予定時に関する情報を送信する。
【0067】
利用実績集約部114は、取得部111から出力される、中速充電器2それぞれにおける充電器番号、充電開始日時、充電完了日時、充電開始時の充電率、充電電力量及び車両Cの画像と、利用者のユーザID又はETCカード番号とを関連付け、当該利用者による利用実績に関する情報を集約する。出力部115は、利用実績集約部114が集約した利用実績に関する情報を外部サーバ3に出力(送信)する。
【0068】
外部サーバ3は、出力部115から出力されたこれら情報に基づき、例えば、利用者マスタテーブルを参照して特定される利用者のメールアドレスに、充電完了を示す情報を送信する。外部サーバ3は、出力部115から出力されたこれら情報に基づき、例えば、利用履歴テーブルにレコードの追加又は更新する処理を行う。外部サーバ3は、更に、利用履歴テーブル等に保存された情報に基づき、それぞれの充電ステーションにおける中速充電器2の稼働状況を集計した要約情報を生成し、充電ステーションマスタテーブルを参照して特定される管理者のメールアドレスに、当該要約情報を送信する。これについての詳細は、後述する。
【0069】
出力部115は、出力電力値決定部112、充電完了予定時導出部113、及び利用実績集約部114から取得した情報を、当該情報に応じた接続先(外部サーバ3、中速充電器2)に対し、無線通信部14又は充電器用通信部15を介して出力する。
【0070】
本実施形態において、これら機能部は、制御装置1の制御部11が行うとしたが、これに限定されない。これら機能部のいずれかは、中速充電器2の制御ユニット21が担い、中速充電器2(制御ユニット21)及び制御装置1(制御部11)が協働して連携又は分散処理を行うことにより、これら一連の処理を行うものであってもよい。又は、中速充電器2(制御ユニット21)、制御装置1(制御部11)及び外部サーバ3が分担及び協働して、これら処理を行うものであってもよい。又は、制御装置1は、中速充電器2及びゲートユニットGから取得した各種情報を外部サーバ3に送信し、外部サーバ3にて演算等された一連の処理結果を取得することにより、当該処理結果に基づき中速充電器2を制御するゲートウェイとして、機能するものであってもよい。
【0071】
図8は、外部サーバ3の制御部31に含まれる機能部を例示する機能ブロック図である。外部サーバ3の制御部31は、外部サーバ3の記憶部32に記憶されているプログラムを実行することにより、取得部311、利用料導出部312、利用者特定部313、及び出力部314として機能する。
【0072】
外部サーバ3の取得部311は、外部ネットワークNを介して接続されるそれぞれの制御装置1から、当該制御装置1に接続されている中速充電器2の利用実績に関する情報、及び中速充電器2における充電完了予定時に関する情報など、中速充電器2の運用に伴い発生又は生成される各種情報を取得する。すなわち、外部サーバ3は、外部ネットワークNを介して、地理的に異なる複数の充電ステーションに設けられている制御装置1それぞれと定期的又は定常的に通信しており、これら複数の充電ステーション(制御装置1)を全体的及び統合的に管理する統合管理サーバとして機能する。
【0073】
中速充電器2の利用実績に関する情報は、中速充電器2の利用実績集約部によって集約された情報であり、中速充電器2それぞれにおける充電器番号、充電開始日時、充電完了日時、充電開始時の充電率、充電電力量及び車両Cの画像、及びETCカード番号等を含む。中速充電器2における充電完了予定時に関する情報は、中速充電器2の充電完了予定時導出部によって導出された充電完了予定時及び、当該充電完了予定時に関連付けられたETCカード番号等を含む。外部サーバ3の取得部311は、取得した充電完了予定時に関する情報、及び中速充電器2の利用実績に関する情報を、他の機能部に出力すると共に、これら取得した情報を外部サーバ3の記憶部32に記憶されている充電管理DB(利用履歴テーブル)に登録する。
【0074】
外部サーバ3の取得部311は、中速充電器2が充電完了した時点等、所定のタイミングで制御装置1と通信する場合にのみならず、制御装置1と周期的に通信し、当該制御装置1によって制御される中速充電器2の状態に関する情報を、所定のサンプリング時点にて取得するものであってもよい。当該中速充電器2の状態に関する情報は、例えば、中速充電器2が充電中である否か、充電中の中速充電器2における出力電力値、及び中速充電器2に設けられた撮像部24による撮像画像などの情報を含み、これら情報に時刻が関連付けられたものであってもよい。このように外部サーバ3の取得部311は、制御装置1から中速充電器2の状態に関する情報を周期的に取得し充電管理DBに登録することにより、外部サーバ3は、取得したこれら情報に基づき、地理的に異なる複数の充電ステーションに設けられているそれぞれの中速充電器2に対するリアルタイムな状態監視を行うことができる。外部サーバ3の取得部311は、更に、中速充電器2の運用に伴い発生等する情報に加え、制御装置1が設けられている充電ステーションに載置されているゲートユニットGの撮像装置G2により撮像された車両Cの画像を取得するものであってもよい。
【0075】
利用料導出部312は、中速充電器2の利用実績に関する情報に含まれる充電電力量に、所定の単価(例えば1KWhの料金)を乗算する従量制にて、利用者に課金する利用料を導出し、導出した利用料を充電管理DB(利用履歴テーブル)に登録する。所定の単価(例えば1KWhの料金)は、各充電ステーションにおいて共通の価格であってもよく、又は各充電ステーションにおいて異なる価格であってもよい。所定の単価が各充電ステーションにおいて異なる場合、個々の充電ステーションにおける所定の単価は、例えば、充電ステーションマスタテーブルにて格納されて、保存及び管理されるものであってもよい。所定の単価(例えば1KWhの料金)は、例えば、利用者のユーザ区分に応じて異なるものであってもよい。
【0076】
利用者特定部313は、中速充電器2の利用実績に関する情報、又は中速充電器2における充電完了予定時に関する情報に含まれている(関連付けられている)ETCカード番号に基づき利用者マスタテーブルを参照し、中速充電器2の利用者を特定する。利用者特定部313は、利用者を特定することにより、当該利用者に対する連絡先となるメールアドレスを抽出する。
【0077】
外部サーバ3の出力部314は、充電完了予定時に関する情報を、例えば、特定した利用者のメールアドレスを用いて、当該利用者の携帯端末KTに出力(送信)する。外部サーバ3の出力部314は、導出した利用料と共に、中速充電器2の利用実績に関する情報を支払通知データとして、例えば、特定した利用者のメールアドレスを用いて、当該利用者の携帯端末KTに出力(送信)する。外部サーバ3と利用者の携帯端末KTとの通信形態は、SMTPサーバ等におけるメールアドレスを用いた通信形態に限定されず、利用者の携帯端末KTにインストールされたクライアントアプリケーションによるプル型又はプッシュ型の通信形態であってもよいことは、言うまでもない。
【0078】
外部サーバ3の出力部314は、導出した利用料(請求額)とETCカード番号とを関連付けて支払要求データを生成し、生成した支払要求データを、ETCカードに関する決済を行うクレジット会社の決済サーバKSに送信する。中速充電器2の利用者による充電に対する課金処理においてETCカード(ETCカード番号)を用いることにより、充電に対する課金処理を担う車両充電システムSと、当該課金に対する利用者へ実際の請求を行う決済システムとを、実質的に連携させ、利用者による利用料の支払いの手間を軽減することができる。
【0079】
図9は、制御装置1の制御部11による処理手順の一例を示すフローチャートである。制御装置1の制御部11は、例えば、定常的又は周期的にそれぞれの中速充電器2及びゲートユニットGと通信し、当該フローチャートの処理を開始する。
【0080】
制御装置1の制御部11は、ゲートユニットGから車両Cに関する情報を取得する(S101)。制御装置1の制御部11は、ゲートユニットG(ETC路側機G1、撮像装置G2)から、当該ゲートユニットGを通過して、充電ステーションに入ってきた車両CのETCカード番号、ETC車載器管理番号及び車両番号と、撮像装置G2によって撮像された車両Cの車両番号(ナンバープレート)の画像とを、取得する。
【0081】
制御装置1の制御部11は、中速充電器2から車両Cの撮像画像を取得する(S102)。制御装置1の制御部11は、中速充電器2に設けられている撮像部24によって撮像された車両Cの撮像画像を、当該中速充電器2から取得する。
【0082】
制御装置1の制御部11は、車両Cが接続された中速充電器2及び、当該中速充電器2の利用者を特定する(S103)。制御装置1の制御部11は、中速充電器2との通信に基づき、撮像画像の送信元である中速充電器2のアドレス又は充電器番号を特定する。
【0083】
中速充電器2に設けられている撮像部24によって撮像された車両Cの撮像画像(第2撮像画像)には、当該車両Cのナンバープレートが含まれており、制御部11は、中速充電器2の撮像部24による画像と、ゲートユニットGの撮像装置G2による画像(第1撮像画像)とに含まれている車両Cのナンバープレートそれぞれを比較し、これらナンバープレートの同一性に基づき、車両Cを特定する。制御装置1の制御部11は、これらナンバープレートの比較等を行うにあたり、例えばパターンマッチング又はCNN(Convolutional Neural Network)を用いて、当該ナンバープレートの数字等の認識を行うものであってもよい。
【0084】
ゲートユニットGの撮像装置G2による画像には、ETCカード番号等が関連付けられている。制御装置1の制御部11は、当該関連付けられたETCカード番号を特定すると共に、当該ETCカード番号を含む要求を外部サーバ3に送信することにより、外部サーバ3から当該ETCカード番号に関連付けられた利用者に関する情報(ユーザID等)を取得するものであってもよい。
【0085】
制御装置1の制御部11は、中速充電器2の出力電力値を導出する(S104)。制御装置1の制御部11は、自装置に接続されるそれぞれの中速充電器2の充電状態を既に取得しおり、例えば制御装置1の記憶部12に、これら中速充電器2それぞれの充電状態を記憶している。制御装置1の制御部11は、当該充電状態に基づき、充電中の中速充電器2の台数(充電中の車両Cの台数)に、今回充電を開始する中速充電器2の台数を加算することにより、以降同時に充電を行う中速充電器2の台数を特定する。制御装置1の制御部11は、特定した中速充電器2の台数に基づき、例えば、記憶部12に記憶されている出力電力値テーブルを参照することにより、これら中速充電器2それぞれに対する出力電力値を導出する。上述のとおり出力電力値テーブルには、中速充電器2それぞれに対する出力電力値の合計値が所定の閾値を超過しないように、中速充電器2の台数に基づく出力電力値が定められている。
【0086】
制御装置1の制御部11は、導出した出力電力値に基づき制御信号を中速充電器2に出力する(S105)。制御装置1の制御部11は、例えば出力電力値テーブルを参照して導出した出力電力値に基づき制御信号を生成し、生成した制御信号を中速充電器2に出力する。車両Cに接続され、当該車両Cを充電する中速充電器2は、制御装置1から出力された制御信号に基づき出力電力値を決定し、当該出力電力値にて自器に接続されている車両Cの充電を行う。
【0087】
制御装置1の制御部11は、出力電力値及び充電率に基づき、充電完了予定時を導出する(S106)。制御装置1の制御部11は、車両Cを充電する中速充電器2それぞれから、当該車両Cの蓄電池C2の充電率及び電池容量を取得し、充電率等及び導出した出力電力値に基づき、例えばチャデモ方式等の充電方式によって定められる所定の算式を用いて、充電所要時間を算出し、充電開始時点の時刻及び当該充電所要時間により、充電完了予定時を導出する。
【0088】
制御装置1の制御部11は、導出した充電完了予定時を外部サーバ3に出力する(S107)。制御装置1の制御部11は、導出した充電完了予定時と、ETCカード番号又はユーザIDとを関連付けて、外部サーバ3に出力(送信)する。外部サーバ3は、制御装置1から取得(受信)した充電完了予定時及びユーザID等に基づき、当該ユーザIDの利用者の携帯端末KTへ、充電完了予定時に関する情報をメール等により送信する。
【0089】
制御装置1の制御部11は、充電が完了したか否かを判定する(S108)。制御装置1の制御部11は、中速充電器2それぞれから出力される充電状態に関する情報に基づき、中速充電器2における充電が完了したか否かを判定する。充電が完了していない場合(S108:NO)、制御装置1の制御部11は、再度S108の処理を実行すべくループ処理を行う。
【0090】
充電が完了した(S108:YES)場合、制御装置1の制御部11は、中速充電器2の利用実績に関する情報を外部サーバ3に出力する(S109)。制御装置1の制御部11は、充電完了日時、充電電力量等を含む中速充電器2の利用実績に関する情報を中速充電器2から取得し、当該利用実績に関する情報とユーザID等とを関連付けて、外部サーバ3に出力(送信)する。外部サーバ3は、制御装置1から取得(受信)した充電完了日時等を含む利用実績に関する情報及びユーザID等に基づき、当該ユーザIDの利用者の携帯端末KTへ、充電完了日時、充電電力量、及び当該充電電力量に基づく課金に関する情報をメール等により送信する。
【0091】
本実施形態において、制御装置1の制御部11は、S108の処理において充電が完了したか否かを判定するとしたがこれに限定されず、制御装置1の制御部11は、例えば、充電中の車両Cから、接続部23のコネクタが、車両Cの操作者等によって強制的に外されることにより、当該充電が強制的に終了された場合であっても、上述の充電が完了した(S108:YES)場合と同様に以降の処理を行うものであってもよい。充電中の車両Cと中速充電器2とは、例えばチャデモ方式による通信を行っており、中速充電器2は、接続部23のコネクタが車両Cの操作者等によって強制的に外された場合、当該通信に基づき、又は当該コネクタの接続状態に応じて、コネクタが強制的に外されたことを検知することができる。中速充電器2は、当該検知結果(コネクタの強制的取り外し)に基づき、制御装置1に対し、接続部23のコネクタが車両Cから強制的に外された旨を示す信号を出力し、制御装置1の制御部11は、当該信号に基づき、充電が完了したとみなして、S108及び以降の処理を行うものであってもよい。更に中速充電器2は、例えば、車両C側にて問題が発生し、車両C側からの通信にて、これ以上の充電を継続できない旨を示すエラー情報を取得した場合、当該エラー情報に基づき、制御装置1に対し、充電が異常終了した旨を示す信号を出力するものであってもよい。この場合も、制御装置1の制御部11は、当該信号(充電が異常終了した旨を示す信号)に基づき、充電が完了したとみなして、S108及び以降の処理を行うものであってもよい。このように、中速充電器2は、充電が正常に完了した場合、コネクタの強制的取り外しにより充電が強制的に終了した場合、及び車両C側にて発生した異常により充電が異常終了した場合に応じて、異なる信号(正常に充電完了した場合:正常終了信号、強制的に終了した場合:強制終了信号、及び、異常終了した場合:異常終了信号)を制御装置1に出力するものであってもよい。制御装置1の制御部11は、利用実績に関する情報に、これら信号(正常終了信号、強制終信号、及び異常終了信号)に関する情報を含めて、当該利用実績に関する情報を外部サーバ3に送信するものであってもよい。外部サーバ3は、利用実績に関する情報に含まれるこれら信号(正常終了信号、強制終信号、及び異常終了信号)についても、利用履歴テーブルにレコードの追加又は更新する処理を行うものであってもよい。
【0092】
制御装置1の制御部11は、S109の処理の実行後、本フローチャートの一連の処理を終了する。又は、制御装置1の制御部11は、S109の処理の実行後、再度S101からの処理を実行すべき、ループ処理を行うものであってもよい。制御装置1の制御部11は、S102からS109までの処理は、充電ステーションに含まれる中速充電器2の台数に応じた複数のプロセス(例えば、中速充電器2の台数と同数のプロセス)を生成し、これら複数のプロセスを並行処理するものであってもよい。
【0093】
本実施形態において、フローチャートにおける一連の処理は、制御装置1の制御部11が行うとしたが、これに限定されない。当該一連の処理において、中速充電器2(制御ユニット21)及び制御装置1(制御部11)が協働して連携又は分散処理を行うことにより、これら処理を行うものであってもよい。又は、中速充電器2(制御ユニット21)、制御装置1(制御部11)及び外部サーバ3が協働して、これら処理を行うものであってもよい。又は、制御装置1は、中速充電器2及びゲートユニットGから取得した各種情報を外部サーバ3に送信し、外部サーバ3にて演算等された一連の処理結果を取得することにより、当該処理結果に基づき中速充電器2を制御するゲートウェイとして機能するものであってもよい。
【0094】
図10は、外部サーバ3の制御部31による処理手順の一例を示すフローチャートである。外部サーバ3の制御部31は、例えば、定常的又は周期的に、充電ステーションマスタテーブルにて登録及び管理されている充電ステーションそれぞれの制御装置1と通信し、当該フローチャートの処理を開始する。
【0095】
外部サーバ3の制御部31は、制御装置1から、充電完了予定時を取得したか否かを判定する(S151)。制御装置1から充電完了予定時を取得していない場合(S151:NO)、外部サーバ3の制御部31は、再度S151の処理を実行すべく、ループ処理を行う。
【0096】
制御装置1から充電完了予定時を取得した場合(S151:YES)、外部サーバ3の制御部31は、中速充電器2の利用者を特定する(S152)。外部サーバ3の制御部31は、制御装置1から取得した充電完了予定時に関連付けられているETCカード番号等に基づき、例えば、利用者マスタテーブルを参照することにより、当該充電完了予定時の対象となる利用者を特定し、当該利用者のメールアドレスを取得する。
【0097】
外部サーバ3の制御部31は、利用者の携帯端末KTに充電完了予定時に関する通知を出力する(S153)。外部サーバ3の制御部31は、制御装置1から取得した充電完了予定時に関する通知を、ETCカード番号から特定した利用者のメールアドレスに出力(送信)する。外部サーバ3の制御部31は、S153の処理後、再度S151の処理を実行すべくループ処理を行い、制御装置1からの送信に対する待機処理を行うものであってもよい。
【0098】
外部サーバ3の制御部31は、制御装置1から、中速充電器2の利用実績に関する情報(課金に関する情報)を取得したか否かを判定する(S154)。外部サーバ3の制御部31は、S154の処理と、S151の処理を、複数のプロセスを用いて並行処理するものであってもよい。利用実績に関する情報を取得していない場合(S154:NO)、外部サーバ3の制御部31は、再度S154の処理を実行すべく、ループ処理を行う。
【0099】
利用実績に関する情報を取得した場合(S154:YES)、外部サーバ3の制御部31は、中速充電器2の利用者を特定する(S155)。外部サーバ3の制御部31は、S152と同様に、制御装置1から取得した中速充電器2の利用実績に関する情報(課金に関する情報)に関連付けられているETCカード番号等に基づき、例えば、利用者マスタテーブルを参照することにより、中速充電器2の利用者を特定し、当該利用者のメールアドレスを取得する。
【0100】
外部サーバ3の制御部31は、中速充電器2の利用に対する利用料を導出する(S156)。制御装置1から取得した中速充電器2の利用実績に関する情報には、利用した中速充電器2に関する情報(ステーションID、充電器番号)、充電完了日時、及び充電電力量が含まれており、当該充電電力量は、課金に関する情報に相当する。外部サーバ3の制御部31は、充電電力量(課金に関する情報)に対し、所定の単価(例えば1KWhの料金)を乗算する従量制にて、利用者に課金する利用料を導出する、
【0101】
外部サーバ3の制御部31は、利用者の携帯端末KTに支払通知データを出力する(S157)。外部サーバ3の制御部31は、導出した利用料を含む支払通知データを生成し、生成した支払通知データをETCカード番号から特定した利用者のメールアドレスに出力(送信)する。
【0102】
外部サーバ3の制御部31は、決済サーバKSに支払要求データを出力する(S158)。外部サーバ3の制御部31は、導出した利用料を含む支払要求データを生成し、生成した支払要求データをETCカードに関する決済を行うクレジット会社の決済サーバKSに出力(送信)する。
【0103】
外部サーバ3の制御部31は、利用実績に関する情報等を充電管理DBに登録する(S159)。外部サーバ3の制御部31は、制御装置1から取得した利用実績に関する情報、及び導出した利用料を充電管理DBに登録する。外部サーバ3の制御部31は、利用実績に関する情報等を充電管理DBに登録するにあたり、例えば、当該充電管理DBに含まれる利用履歴テーブルに対する更新又は追記するものであってもよい。外部サーバ3の制御部31は、S159の処理後、再度S154の処理を実行すべくループ処理を行い、制御装置1からの送信に対する待機処理を行うものであってもよい。
【0104】
本実施形態によれば、車両充電システムSは、ゲートユニットGのETC路側機G1により取得したETCカードの情報と、充電による課金に関する情報とを、外部サーバ3に出力するため、車両Cの充電による課金に関する処理を効率的に行うことができる。すなわち、中速充電器2の利用者に対して充電による課金を行うにあたり、ETC処理システムとの連携を図ることにより、中速充電器2を利用する現地においてクレジットカード又は現金等による支払い等の利用者の手間を省き、中速充電器2を利用するにあたり利用者の利便性を向上させることができる。また、車両充電システムSは、ゲートユニットGの撮像装置G2により撮像された車両Cの第1撮像画像と、中速充電器2の撮像部24により撮像された車両Cの第2撮像画像とに基づき、充電される車両Cの特定を行う。ゲートユニットGの撮像装置G2により撮像された車両Cの第1撮像画像は、当該ゲートユニットGのETC路側機G1により取得されるETCカードの情報と関連付けられている。これにより、比較的に高価なETC路側機G1は、例えば、複数の中速充電器2が設けられた区域(充電ステーション)に出入りするための出入り口等のゲートに載置されるゲートユニットGのみに設けることにより、システム全体におけるコストを抑制することができる。
【0105】
本実施形態によれば、課金に関する情報は、中速充電器2から車両Cに供給された充電電力量であるため、使用電力量に応じた従量制にて、中速充電器2の利用者に課金する利用料を導出することができる。すなわち、充電による課金に関する情報は、中速充電器2から車両Cに供給された充電電力量に関する情報を含む。従って、中速充電器2を利用した時間に基づき課金(利用料が導出)される時間課金方式よりも、ユーザフレンドリーな課金サービスを、中速充電器2の利用者に提供することができる。
【0106】
本実施形態によれば、外部サーバ3は、制御装置1から取得したETCカードの情報及び課金に関する情報に基づき生成した支払要求データを、ETCカードの決済サーバKSに出力するため、車両充電システムSと、ETCカード系決済システムとを連携させ、課金に関する処理を効率的に行うことができる。
【0107】
本実施形態によれば、中速充電器2は、3相200Vを商用電源とし、最大の電力値である定格最大電力値を20kWから30kWとすることにより、定格最大電力値が50kW程度である急速充電器よりも比較的に簡易に導入することができる。急速充電器とは、例えば、30分で車両搭載バッテリー(蓄電池)の80%程度を充電可能であり、緊急充電用の充電器であり、比較的に高額である。すなわち、従来の急速充電器は比較的に高額であり、それ故に、例えばマンション等の集合住宅への設置が困難等であるため十分に普及していないという状況がある。また、当該急速充電器よりも安価な充電器としては、普通速充電器があるが、当該普通速充電器は、10時間で車両搭載バッテリー(蓄電池C2)の80%程度を充電可能な家庭充電用の充電器である。現状において、充電器の主流は、急速充電器又は普通速充電器のいずれかの充電器となっており、ビル、ホテル又はショッピングセンター等の商業施設、及び、マンション等の集合住宅においては、当該いずれかの充電器を採用せざるを得ないケースが多い。これら商業施設又は集合住宅においては、特定の利用者が充電器を占有するのでなく、複数の利用者により個々の充電器をシェアリングする運用形態が想定されるところ、普通速充電器においては充電に要する時間が長いこと、急速充電器においては設置費用の高額化、契約電力の増加、及び関連設備(高圧受電設備のトランス容量)の増設等が、これら充電器を導入する際の懸念事項となる。これに対し、本実施形態の車両充電システムSを用いることにより、普通充電装器よりも短時間で充電することができ、かつ急速充電器よりも安価な中速充電器2の導入を促進し、特にシェアリングが想定される運用形態においてユーザビリティの高い充電器(中速充電器2)を普及させることが期待される。更にシェアリングの観点からは、2時間から4時間程度の充電時間で車両搭載バッテリー(蓄電池C2)の80%程度を充電可能な中速充電器2を複数台設置し、これら全台の中速充電器2にて定格充電(定格最大電力値を用いた充電)を行う場合、契約電力の増加、及び関連設備(高圧受電設備のトランス容量)の増設等によって、供給側(中速充電器を用いて利用者に電力を供給する供給者)への負担が大きくなることが懸念される。これに対し、本実施形態の車両充電システムを用いることにより、制御装置は複数の中速充電器それぞれから出力される電力値の合計値が所定の閾値以下となるように出力電力値を制御するため、効果的かつ低コストの充電インフラを提供することができる。
【0108】
(実施形態2)
図11は、実施形態2(要約情報)に係る外部サーバ3の制御部31に含まれる機能部を例示する機能ブロック図である。外部サーバ3の制御部31は、外部サーバ3の記憶部32に記憶されているプログラムを実行することにより、更に、要約情報生成部315として機能する。
【0109】
要約情報生成部315は、充電管理DBに含まれる充電ステーションマスタテーブル及び利用履歴テーブルを参照し、充電ステーションごとの中速充電器2の利用実績に関する要約情報(実績情報)を生成する。要約情報生成部315は、例えば週単位又は月単位など定期的に要約情報を月次レポート又は週次レポートとして生成するものであってもよく、又は、管理者の情報端末JTから送信される要求に基づき、当該要求時点を基準にして先月又は先週における要約情報を生成するものであってもよい。
【0110】
要約情報生成部315は、例えば、充電ステーションマスタテーブルにて保存されているステーションIDごとに、利用履歴テーブルにて保存されている中速充電器2それぞれの稼働状況を抽出及び集計し、充電ステーションごとの要約情報を生成する。当該要約情報は、例えば、一か月等の所定の期間において、当該充電ステーションに含まれる(載置されている)複数の中速充電器2それぞれの充電電力量(出力電力量)累計、稼働時間累計、稼働率、及び利用時間帯等、当該中速充電器2の稼働状況を含む。要約情報は、更に、いずれかの中速充電器2の出力電力値が、定格最大電力値よりも小さい値となるように制御された期間を含むものであってもよい。要約情報は、更に、利用者ごとの利用回数及び充電電力量累計など、利用者の利用傾向に関する情報を含むものであってもよい。要約情報生成部315は、中速充電器2の稼働状況からの集計結果に基づき、充電ステーションの管理者に対するアドバイス情報を生成するものであってもよい。
【0111】
外部サーバ3の出力部314は、要約情報生成部315が生成した充電ステーションごとの要約情報を、各充電ステーションの管理者の情報端末JTに出力する。外部サーバ3の出力部314は、例えば、充電ステーションマスタテーブルにて格納されているメールアドレスを用いて、要約情報を出力するものであってもよい。外部サーバ3の出力部314による要約情報の出力形態は、例えば、テキスト形式による出力形態、PDF等のファイル形式による出力形態、又は、html等の画面形式による出力形態を含む。
【0112】
要約情報生成部315は利用履歴テーブル等を参照し利用実績に関する要約情報(実績情報)を生成するとしたが、これに限定されず、要約情報生成部315は利用履歴テーブル等を参照し、所定期間における利用実績のデータそのものを抽出し、出力部は、抽出した当該データを管理者の情報端末JTに出力するものであってもよい。管理者の情報端末JTは、自端末に予めインストールされているクライアントアプリケーションにより、外部サーバ3から取得したデータに基づき、当該データに含まれる利用実績を集計等行い、要約情報として自端末のディスプレイに表示するものであってもよい。
【0113】
図12は、要約情報を表示するレポート画面の一例を説明する図である。外部サーバ3は、上述のとおり、充電ステーションマスタテーブル及び利用履歴テーブル等を参照し、それぞれの充電ステーションの管理者の情報端末JTに要約情報を出力(送信)する。当該管理者の情報端末JTは、外部サーバ3から出力された要約情報に基づき、自端末のディスプレイ等の表示部に要約情報のレポート画面を表示する。
【0114】
要約情報のレポート画面は、管理者情報表示エリア、中速充電器2稼働状況表示エリア、利用者傾向表示エリア、出力電力値の制御状況表示エリア、及びアドバイス表示エリアを含む。管理者情報表示エリアには、充電ステーションに関する書誌事項として、ステーションID、所在地、充電器台数、施設区分、及び所有者名の項目の情報が表示される。これら表示される情報に基づき、管理者は、自身が管理する充電ステーションの情報を容易に把握することができる。
【0115】
中速充電器2稼働状況表示エリアには、例えば、所定の集計期間として1年、1か月及び1週間における中速充電器2それぞれの充電電力量累計(出力電力量累計)及び稼働率が表示される。利用者傾向表示エリアには、例えば、所定の集計期間として1年、1か月及び1週間における各利用者の充電電力量累計及び利用回数が表示される。
【0116】
出力電力値の制御状況表示エリアには、例えば、所定の集計期間として、前月において、いずれかの中速充電器2の出力電力値が、定格最大電力値よりも小さい値となるように制御された期間と、当該期間における利用された中速充電器2の台数(充電中の中速充電器2の台数)とが、表示される。アドバイス表示エリアには、例えば、所定の集計期間にていずれかの中速充電器2の出力電力値が、定格最大電力値よりも小さい値となるように制御された期間に基づき、現在設定されている所定の閾値の変更の要否に関するアドバイス文が表示される。
【0117】
図13は、外部サーバ3の制御部31による処理手順の一例を示すフローチャートである。外部サーバ3の制御部31は、例えば、週単位又は月単位など定期的に、当該フローチャートの処理を開始する。又は、外部サーバ3の制御部31は、管理者の情報端末JTから送信される要求に基づき、当該フローチャートの処理を開始するものであってもよい。
【0118】
外部サーバ3の制御部31は、中速充電器2の利用実績に関する要約情報を生成する(S201)。外部サーバ3の制御部31は、例えば充電管理DBに含まれる充電ステーションマスタテーブル及び利用履歴テーブルを参照し、充電ステーションごとの中速充電器2の利用実績に関する要約情報を生成する。充電ステーションごとの要約情報は、例えば、一か月等の所定の期間において、当該充電ステーションに含まれる(載置されている)複数の中速充電器2それぞれの充電電力量(出力電力量)累計、稼働時間累計、稼働率、及び利用時間帯等、当該中速充電器2の稼働状況を含む。充電ステーションごとの要約情報は、更に、いずれかの中速充電器2の出力電力値が、定格最大電力値よりも小さい値となるように制御された期間を含むものであってもよい。充電ステーションごとの要約情報は、更に、利用者ごとの利用回数及び充電電力量累計など、利用者の利用傾向に関する情報を含むものであってもよい。充電ステーションごとの要約情報は、中速充電器2の稼働状況及び、利用者の利用傾向に関する情報に基づき、管理者に対するアドバイス情報を含むものであってもよい
【0119】
外部サーバ3の制御部31は、中速充電器2の管理者の情報端末JTに要約情報を出力する(S202)。外部サーバ3の制御部31は、生成した充電ステーションごとの要約情報を、例えば、当該充電ステーションの管理者のメールアドレスに出力(送信)する。又は、外部サーバ3の制御部31は、管理者からのサインイン等を受け付け、当該管理者専用のページ(My管理ページ:レポート画面)を、当該管理者によって操作される情報端末JTに出力(送信)するものであってもよい。管理者の情報端末JTは、外部サーバ3から出力された要約情報を取得し、自端末に接続されるディスプレイに、本実施形態にて例示するレポート画面を表示する。
【0120】
本実施形態によれば、外部サーバ3は、要約情報(レポート画面)を充電ステーション(中速充電器2)の管理者の情報端末JTに出力(送信)するため、当該管理者に対し、例えば、中速充電器2の稼働率、利用者の傾向等を把握するための参考情報を提供し、中速充電器2の運用及び管理の支援を図ることができる。
【0121】
(実施形態3)
図14は、実施形態3(集合住宅)に係る車両充電システムSの概要を示す説明図である。
図15は、充電ステーションマスタテーブルのデータレイアウトを例示する説明図である。実施形態3の車両充電システムSは、中速充電器2が設けられた区域(充電ステーション)は、集合住宅が設けられた領域内に含まれ、外部サーバ3は、ETCカードの情報等を含む利用実績に関する情報に基づき、集合住宅の費用を請求するための費用請求サーバHSを特定し、生成した支払要求データを、特定した費用請求サーバHSに出力する点で、実施形態1と異なる。
【0122】
充電ステーションマスタテーブルにて管理される項目の種類(メタデータ)は、更に費用請求サーバHSの管理項目を含む。費用請求サーバHSの項目(フィールド)には、対応する充電ステーションの中速充電器2で充電した場合、費用請求先となる費用請求サーバHSのホスト名又はIPアドレスが格納されている。このような費用請求サーバHSのホスト名等が格納されている充電ステーションの施設区分は集合住宅となり、利用者は当該集合住宅の住民等である。
【0123】
外部サーバ3の出力部314は、制御装置1から取得した中速充電器2の利用実績に関する情報に基づき、当該中速充電器2が設置されている充電ステーションを特定する。外部サーバ3の出力部314は、特定した充電ステーションの施設区分が集合住宅であり、かつ費用請求サーバHSの項目(フィールド)に費用請求サーバHSのホスト名等が格納されている場合、支払要求データを費用請求サーバHSに出力する。支払要求データには課金した請求額及び利用者に関する情報が含まれており、費用請求サーバHSは、取得した支払要求データに基づき、支払要求データに含まれる請求額を集合住宅の家賃に含ませて、利用者に支払いを請求する。
【0124】
本実施形態によれば、集合住宅に載置される中速充電器2の利用による課金の請求を、当該集合住宅の家賃に含ませて、利用者に支払いを請求するため、中速充電器2の利用者の利便性を向上させることができる。
【0125】
(実施形態4)
図16は、実施形態4(商業施設)に係る車両充電システムSの概要を示す説明図である。
図17は、充電ステーションマスタテーブルのデータレイアウトを例示する説明図である。実施形態4の車両充電システムSは、中速充電器2が設けられた区域(充電ステーション)は、商業施設が設けられた領域内に含まれ、外部サーバ3は、ETCカードの情報等を含む利用実績に関する情報に基づき、商業施設の金銭的ポイントと連携するためのポイント連携サーバPSを特定し、生成した支払要求データを、特定したポイント連携サーバPSに出力する点で、実施形態1と異なる。
【0126】
充電ステーションマスタテーブルにて管理される項目の種類(メタデータ)は、更にポイント連携サーバPSの管理項目を含む。ポイント連携サーバPSの項目(フィールド)には、対応する充電ステーションの中速充電器2で充電した場合、ポイント連携先となるポイント連携サーバPSのホスト名又はIPアドレスが格納されている。このようなポイント連携サーバPSのホスト名等が格納されている充電ステーションの施設区分は、大型小売店舗、ホテル、又はコインパーキング等の商業施設となる。
【0127】
外部サーバ3の出力部314は、制御装置1から取得した中速充電器2の利用実績に関する情報に基づき、当該中速充電器2が設置されている充電ステーションを特定する。外部サーバ3の出力部314は、特定した充電ステーションの施設区分が商業施設であり、かつポイント連携サーバPSの項目(フィールド)にポイント連携サーバPSのホスト名等が格納されている場合、支払要求データをポイント連携サーバPSに出力する。支払要求データには課金した請求額及び利用者に関する情報が含まれており、ポイント連携サーバPSは、取得した支払要求データに基づき、支払要求データに含まれる請求額に応じて、利用者に対するポイント還元を行う。
【0128】
外部サーバ3の出力部314は、商業施設における駐車料を導出し、導出した駐車料についても、支払通知データ及び支払要求データに含め、利用者の携帯端末KT及び決済サーバKS等に出力するものであってもよい。外部サーバ3の出力部314は、中速充電器2の撮像部24による画像に基づき、中速充電器2の駐車スペースに入庫した車両Cの駐車時間を導出し、当該駐車時間に基づき駐車料を導出する。外部サーバ3の出力部314は、例えば、充電が完了した際、充電完了日時及び充電電力量と共に、導出した駐車料を利用者に関連付けられた携帯端末KTに、支払通知データとして送信する。また、外部サーバ3の出力部314は、導出した駐車料を支払要求データに含めて、当該支払要求データを決済サーバKS及びポイント連携サーバPSに出力する。
【0129】
外部サーバ3の出力部314は、ゲートユニットGの撮像装置G2によって撮像された車両Cの第1撮像画像と、中速充電器2の撮像部24によって撮像された車両Cの第2撮像画像とに基づき、ゲートユニットGを通過して充電ステーションに進入した車両Cであって、かつ中速充電器2を利用することなく充電ステーションから退出した車両Cを特定し、当該車両Cのナンバープレート等を含む特定結果を、管理者の情報端末JTへの出力するものであってもよい。すなわち、外部サーバ3の出力部314は、第1撮像画像に含まれる車両Cのナンバープレートであって、第2撮像画像に含まれない車両Cのナンバープレートは、充電ステーションに進入した車両Cであって、かつ中速充電器2を利用しなかった車両Cのナンバープレートであると特定する。このように第1撮像画像と第2撮像画像とを対比することにより、ゲートユニットGを通過したにもかかわらず、中速充電器2を利用しなかった車両Cを特定し、充電ステーションを運用管理するための参考情報として用いることができる。外部サーバ3の出力部314は、このように中速充電器2を利用しなかった車両Cに対しては、当該車両Cに搭載されたETCカードの情報に基づき、充電ステーションに滞在した時間に応じた駐車料を導出し、当該駐車料を決済サーバKS等に出力するものであってもよい。
【0130】
本実施形態によれば、商業施設に載置される中速充電器2の利用に応じて、当該商業施設にて有効なポイントに還元するため、中速充電器2の利用者の利便性を向上させることができる。
【0131】
(実施形態5)
図18は、実施形態5(中速充電器の構成)に係る車両充電システムの概要を示す説明図である。
図19は、車両充電システムに含まれる中速充電器等の構成例を示すブロック図である。実施形態1と同様に、複数の中速充電器2は、制御装置1に接続され、制御装置1から出力される出力電力値に関する制御信号に基づき、当該出力電力値にて自器に接続される電気自動車等の車両Cに電力を供給し、当該車両Cの蓄電池C2を充電する。
【0132】
単一の中速充電器2は、例えば、4台の車両Cに対し、同時に充電ができるように構成されており、接続される複数の車両Cそれぞれに対応した複数のPCS22、接続部23及び撮像部24を備えている。実施形態1と同様に、これら複数のPCS22及び撮像部24それぞれは、制御ユニット21と例えば内部バス等により通信可能に接続されている。
【0133】
複数のPCS22には、商用電源から接続される電力線が分岐された電力線(分岐電力線)が、接続される。中速充電器2は、制御装置1と通信することにより、これらPCS22それぞれに接続される車両Cを充電するにあたり、制御装置1からPCS22それぞれに対する出力電力値を取得し、当該出力電力値に基づき、それぞれのPCS22から車両Cに供給される出力電力値を制御する。
【0134】
充電ステーションに含まれるそれぞれの中速充電器2には、これら中速充電器2を一意に識別するための充電器番号が付与されている。更に本実施形態のように単一の中速充電器2が複数のPCS22及び接続部23を備える場合、これらPCS22及び接続部23に対応して、充電器番号に枝番号を付与した番号(1(充電器番号)-1(枝番号)~4(枝番号))により、PCS22及び接続部23それぞれにおける接続状態又は充電状態を管理するものであってもよい。
【0135】
接続部23それぞれに対し、接続部23の個数(本実施形態では4個)と同数の撮像部24が、中速充電器2に設けられている。中速充電器2の外殻となる筐体は、例えば、平面視にて矩形状を成し、それぞれの撮像部24は、当該矩形状の筐体の角部に設けられている。それぞれの撮像部24を矩形状の筐体の角部に設けることにより、中速充電器2に接続部23を介して接続される車両Cのナンバープレーを含む画像を精度良く撮像することができる。
【0136】
中速充電器2は、それぞれの撮像部24によって撮像される画像に車両Cのナンバープレートが含まれること、それぞれの接続部23に車両Cが接続されたこと、又は、これら事象が共に確認されたことに基づき、いずれの接続部23に対応する駐車スペースに車両Cが駐車されたかを把握することができる。中速充電器2は、いずれの接続部23に対応する駐車スペースに車両Cが駐車された場合、その旨を制御装置1に出力(送信)することにより、制御装置1から当該車両Cを充電するための電力出力値を取得(受信)するものであってもよい。
【0137】
本実施形態によれば、単一の中速充電器2が例えば4個等の複数の接続部23を備えるため、車両充電システムSに含まれる中速充電器2による設置面積を小さくし、省スペース化を図ることができる。
【0138】
本実施形態及び他の実施形態において、制御装置1に接続される充電器は中速充電器2であるとしたが、これに限定されない。制御装置1に接続され、充電ステーションを構成する充電器は、中速充電器2及び急速充電器が混在したものであってもよく、又は制御装置1に接続される複数の充電器は、急速充電器のみからなる構成であってもよい。中速充電器2及び急速充電器が混在して制御装置1に接続される場合、制御装置1は、中速充電器2よりも、急速充電器を優先して、充電器それぞれにおける出力電力値を導出するものであってもよい。このような構成とすることにより、車両充電システムSの可用性を向上させることができる。
【0139】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0140】
S 車両充電システム
C 車両
C1 ETC車載器
C2 蓄電池
C3 受電部
KT 携帯端末(利用者側端末)
JT 情報端末(管理者側端末)
N 外部ネットワーク
3 外部サーバ(情報処理装置)
31 制御部
311 取得部
312 利用料導出部
313 利用者特定部
314 出力部
315 要約情報生成部
32 記憶部
33 通信部
KS 決済サーバ
HS 費用請求サーバ
PS ポイント連携サーバ
G ゲートユニット
G1 ETC路側機
G2 撮像装置
K 高圧受電設備
M スマートメータ
1 制御装置
11 制御部
111 取得部
112 出力電力値決定部
113 充電完了予定時導出部
114 利用実績集約部
115 出力部
12 記憶部
13 Bルート用通信部
14 無線通信部
15 充電器用通信部
2 中速充電器
21 制御ユニット
22 PCS
23 接続部
24 撮像部