IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社フジタの特許一覧

<>
  • 特許-代行車両の遠隔制御システム 図1
  • 特許-代行車両の遠隔制御システム 図2
  • 特許-代行車両の遠隔制御システム 図3
  • 特許-代行車両の遠隔制御システム 図4
  • 特許-代行車両の遠隔制御システム 図5
  • 特許-代行車両の遠隔制御システム 図6
  • 特許-代行車両の遠隔制御システム 図7
  • 特許-代行車両の遠隔制御システム 図8
  • 特許-代行車両の遠隔制御システム 図9
  • 特許-代行車両の遠隔制御システム 図10
  • 特許-代行車両の遠隔制御システム 図11
  • 特許-代行車両の遠隔制御システム 図12
  • 特許-代行車両の遠隔制御システム 図13
  • 特許-代行車両の遠隔制御システム 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】代行車両の遠隔制御システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20240404BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20240404BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20240404BHJP
【FI】
G08G1/09 V
G01C21/34
G06Q50/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020151353
(22)【出願日】2020-09-09
(65)【公開番号】P2022045652
(43)【公開日】2022-03-22
【審査請求日】2023-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】石坂 仁
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 光男
【審査官】西畑 智道
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/180700(WO,A1)
【文献】特開平09-252605(JP,A)
【文献】特開2019-194809(JP,A)
【文献】特開2019-185451(JP,A)
【文献】特開2019-129453(JP,A)
【文献】特開2016-018238(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転代行事業者が提供する運転代行サービスにおいて、前記運転代行事業者が所有する代行車両を遠隔制御する代行車両の遠隔制御システムであって、
運転者によって操作される前記代行車両の運転を行なうための複数の操作部材をそれぞれ操作する複数のアクチュエータと、
遠隔操作司令情報を受信する代行車両側通信部と、
前記代行車両側通信部で受信された前記遠隔操作司令情報に基づいて前記複数のアクチュエータをそれぞれ操作する操作部材制御部とを備え、
前記複数のアクチュエータは、運転席に着座した前記運転者による前記操作部材の手動操作を妨げない箇所に設けられ、
前記操作部材制御部は、前記遠隔操作司令情報に基づいて前記複数のアクチュエータをそれぞれ制御して前記複数の操作部材をそれぞれ操作する遠隔操作モードと、前記複数の操作部材の前記運転者による手動操作をそれぞれ可能とする手動操作モードとに選択可能に構成されている、
ことを特徴とする代行車両の遠隔制御システム。
【請求項2】
前記複数のアクチュエータによる前記複数の操作部材の操作量をそれぞれ検出する複数の検出部と、
前記複数の検出部でそれぞれ検出された前記複数の操作量に基づいて前記複数のアクチュエータのサーボ制御をそれぞれ行なうサーボ制御部とをさらに備え、
前記操作部材制御部の前記遠隔操作モードは、前記サーボ制御部を介して前記複数のアクチュエータをそれぞれ操作することでなされ、
前記操作部材制御部の前記手動操作モードは、前記サーボ制御部の制御動作を無効として前記複数のアクチュエータをサーボフリーとすることでなされる、
ことを特徴とする請求項1記載の代行車両の遠隔制御システム。
【請求項3】
前記代行車両に、前記代行車両の周辺を撮像して画像情報を生成する画像情報生成部を設け、
前記遠隔操作司令情報を生成する司令情報生成部と、前記代行車両側通信部と通信可能に構成され前記遠隔操作司令情報を前記代行車両側通信部に送信する遠隔制御側通信部と、表示部とを備える遠隔操作装置を設け、
前記代行車両側通信部は、前記画像情報生成部で生成された前記画像情報を前記遠隔制御側通信部に送信し、
前記表示部は、前記遠隔制御側通信部で受信された前記画像情報を表示する、
ことを特徴とする請求項1または2記載の代行車両の遠隔制御システム。
【請求項4】
前記代行車両に、前記代行車両の位置を測位して測位情報を生成する測位部を設け、
前記遠隔操作司令情報を生成する司令情報生成部と、前記代行車両側通信部と通信可能に構成され前記遠隔操作司令情報を前記代行車両側通信部に送信する遠隔制御側通信部と、表示部と、地図情報を記憶する地図データベースとを備える遠隔操作装置を設け、
前記代行車両側通信部は、前記測位部で生成された前記測位情報を前記遠隔制御側通信部に送信し、
前記表示部は、前記遠隔制御側通信部で受信された前記測位情報に基づいて前記地図データベースから読み出された前記地図情報上に前記代行車両の位置を表示する、
ことを特徴とする請求項3記載の代行車両の遠隔制御システム。
【請求項5】
前記地図データベースは、目的地を特定する目的地情報と前記地図情報とを関連付けて記憶しており、
前記遠隔操作装置は、
前記目的地情報を入力する操作入力部と、
前記操作入力部に入力された前記目的地情報に基づいて前記地図情報から前記目的地の位置情報を特定する位置情報特定部と、
前記遠隔制御側通信部で受信された前記測位情報と前記目的地の位置情報とに基づいて前記地図情報から走行すべき走行経路を探索する経路探索部とを備え、
前記表示部は、前記経路探索部で探索された前記走行経路に基づいて道路案内の表示を行なう、
ことを特徴とする請求項4記載の代行車両の遠隔制御システム。
【請求項6】
前記複数の操作部材は、前記代行車両に搭載されたエンジンの始動、停止を行なうためのエンジンスイッチと、前記代行車両の操舵を行なうためのハンドルと、トランスミッションの変速を行なうためのシフトレバーと、前記シフトレバーのロックを解除するための操作ボタンと、前記代行車両の制動を行なうためのブレーキペダルと、前記エンジンの回転数を制御するためのアクセルペダルと、前記代行車両の駐車時の制動を行なうためのパーキングブレーキペダルと、方向指示器を操作するためのウィンカーレバーと、前照灯、スモールライトの点灯、滅灯を操作するためのライトスイッチとを含み、
前記アクチュエータは、それらエンジンスイッチ、ハンドル、シフトレバー、操作ボタン、ブレーキペダル、アクセルペダル、ウィンカーレバー、ライトスイッチに対応してそれぞれ設けられている、
ことを特徴とする請求項1~5の何れか1項記載の代行車両の遠隔制御システム。
【請求項7】
前記複数のアクチュエータは、運転席に着座した前記運転者による前記操作部材の手動操作を妨げない箇所に着脱可能に設けられている、
ことを特徴とする請求項1~6の何れか1項記載の代行車両の遠隔制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、代行車両の遠隔制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両での外出先で飲酒した場合など、利用者が自身の車両の運転をできなくなった場合に代行者に自身の車両の運転を依頼する運転代行が知られている。
一般に、運転代行を依頼した際には、運転代行の依頼先(便宜的に「代行事業者」という)から2名の係員が派遣される。
利用者から運転代行のサービスの依頼を受け付けると、2名の係員は、代行事業者の営業所の事務所から駐車場まで徒歩で移動し、駐車されている代行車両(随伴車両ともいう)に乗車して運転し利用者の車両が停車する箇所に到着し、一方の係員(運転の代行者)は利用者の車両を運転して利用者の指定する目的地に向かい、他方の係員は代行車両を運転し利用者の車両を追尾して目的地に向かう。利用者の指定する目的地に到着すると、2名の係員は代行車両に乗り代行事業者の営業所の駐車場に戻る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-62844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのため、事務所から離れた駐車場まで徒歩で移動する必要があり、代行車両の運転を開始するまでに無駄な時間を要している。
また、降雨時や降雪時には傘をさして事務所から駐車場まで歩かなくてはならず、代行車両に乗車するまでの作業性の向上を図る上で改善の余地がある。
そこで、遠隔操作できるように代行車両を改造することによって、係員が乗車することなく、代行車両を駐車場から事務所の近傍まで走行させることが考えられる。
しかしながら、遠隔制御可能に代行車両を改造した場合でその後、遠隔制御が不要となった場合、代行車両を改造前の状態に戻すことは容易ではなく、また、コストもかさむ。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、代行車両を遠隔制御可能とすることができ、また、代行車両を元の状態に戻すことなく運転席に座って運転できる代行車両の遠隔制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、運転代行サービスで用いられる代行車両を遠隔制御する代行車両の遠隔制御システムであって、運転者によって操作される前記代行車両の運転を行なうための複数の操作部材をそれぞれ操作する複数のアクチュエータと、遠隔操作司令情報を受信する代行車両側通信部と、前記代行車両側通信部で受信された前記遠隔操作司令情報に基づいて前記複数のアクチュエータをそれぞれ操作する操作部材制御部とを備え、前記複数のアクチュエータは、運転席に着座した前記運転者による前記操作部材の手動操作を妨げない箇所に設けられ、前記操作部材制御部は、前記遠隔操作司令情報に基づいて前記複数のアクチュエータをそれぞれ制御して前記複数の操作部材をそれぞれ操作する遠隔操作モードと、前記複数の操作部材の前記運転者による手動操作をそれぞれ可能とする手動操作モードとに選択可能に構成されていることを特徴とする。
また、本発明は、前記複数のアクチュエータによる前記複数の操作部材の操作量をそれぞれ検出する複数の検出部と、前記複数の検出部でそれぞれ検出された前記複数の操作量に基づいて前記複数のアクチュエータのサーボ制御をそれぞれ行なうサーボ制御部とをさらに備え、前記操作部材制御部の前記遠隔操作モードは、前記サーボ制御部を介して前記複数のアクチュエータをそれぞれ操作することでなされ、前記操作部材制御部の前記手動操作モードは、前記サーボ制御部の制御動作を無効として前記複数のアクチュエータをサーボフリーとすることでなされることを特徴とする。
また、本発明は、前記代行車両に、前記代行車両の周辺を撮像して画像情報を生成する画像情報生成部を設け、前記遠隔操作司令情報を生成する司令情報生成部と、前記代行車両側通信部と通信可能に構成され前記遠隔操作司令情報を前記代行車両側通信部に送信する遠隔制御側通信部と、表示部とを備える遠隔操作装置を設け、前記代行車両側通信部は、前記画像情報生成部で生成された前記画像情報を前記遠隔制御側通信部に送信し、前記表示部は、前記遠隔制御側通信部で受信された前記画像情報を表示することを特徴とする。
また、本発明は、前記代行車両に、前記代行車両の位置を測位して測位情報を生成する測位部を設け、前記遠隔操作司令情報を生成する司令情報生成部と、前記代行車両側通信部と通信可能に構成され前記遠隔操作司令情報を前記代行車両側通信部に送信する遠隔制御側通信部と、表示部と、地図情報を記憶する地図データベースとを備える遠隔操作装置を設け、前記代行車両側通信部は、前記測位部で生成された前記測位情報を前記遠隔制御側通信部に送信し、前記表示部は、前記遠隔制御側通信部で受信された前記測位情報に基づいて前記地図データベースから読み出された前記地図情報上に前記代行車両の位置を表示することを特徴とする。
また、本発明は、前記地図データベースは、目的地を特定する目的地情報と前記地図情報とを関連付けて記憶しており、前記遠隔操作装置は、前記目的地情報を入力する操作入力部と、前記操作入力部に入力された前記目的地情報に基づいて前記地図情報から前記目的地の位置情報を特定する位置情報特定部と、前記遠隔制御側通信部で受信された前記測位情報と前記目的地の位置情報とに基づいて前記地図情報から走行すべき走行経路を探索する経路探索部とを備え、前記表示部は、前記経路探索部で探索された前記走行経路に基づいて道路案内の表示を行なうことを特徴とする。
また、本発明は、前記複数の操作部材は、前記代行車両に搭載されたエンジンの始動、停止を行なうためのエンジンスイッチと、前記代行車両の操舵を行なうためのハンドルと、トランスミッションの変速を行なうためのシフトレバーと、前記シフトレバーのロックを解除するための操作ボタンと、前記代行車両の制動を行なうためのブレーキペダルと、前記エンジンの回転数を制御するためのアクセルペダルと、前記代行車両の駐車時の制動を行なうためのパーキングブレーキペダルと、方向指示器を操作するためのウィンカーレバーと、前照灯、スモールライトの点灯、滅灯を操作するためのライトスイッチとを含み、前記アクチュエータは、それらエンジンスイッチ、ハンドル、シフトレバー、操作ボタン、ブレーキペダル、アクセルペダル、ウィンカーレバー、ライトスイッチに対応してそれぞれ設けられていることを特徴とする。
また、本発明は、前記複数のアクチュエータは、運転席に着座した前記運転者による前記操作部材の手動操作を妨げない箇所に着脱可能に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、運転代行サービスで用いられる代行車両の運転を行なうための複数の操作部材をそれぞれ操作する複数のアクチュエータを、運転席に着座した運転者による複数の操作部材の手動操作を妨げない箇所に設け、操作部材制御部の遠隔操作モードを選択することで、遠隔操作指令情報に基いて複数のアクチュエータを制御して複数の操作部材を操作することによって、代行車両を遠隔制御することができるようにし、操作部材制御部の手動操作モードを選択することで、複数の操作部材を手動操作できるようにした。
したがって、遠隔制御を行なうために代行車両の改造を行なう必要がなく、代行車両を遠隔制御可能とすることができ、代行車両を元の状態に戻すことなく運転席に座って手動操縦することができ、使い勝手の向上を図る上で有利となる。
すなわち、代行事業者の係員が運転代行の依頼を利用者から受け付けた場合、係員は事務所から離れた駐車場の代行車両の場所まで徒歩で移動する必要がなく、係員が代行車両に乗車して運転を開始するまでの時間を短縮できるので、係員の利便性の向上を図り、また、代行車両の運用効率を高める上で有利となる。
また、係員は降雨時や降雪時には傘をさして歩く必要がないため、代行車両に乗車するまでの作業性の向上を図る上で有利となる。
また、操作部材制御部の遠隔操作モードは、サーボ制御部を介して複数のアクチュエータをそれぞれ操作することでなされ、手動操作モードは、サーボ制御部の制御動作を無効として複数のアクチュエータをサーボフリーとすることでなされるようにすると、簡単な構成で遠隔操作モードと手動操作モードとを切り替える上で有利となる。
また、代行車両に、代行車両の周辺を撮像して画像情報を生成する画像情報生成部を設けると共に、遠隔操作装置に表示部を設けると、表示部に表示された画像情報によって代行車両の周辺の状況を把握することができ、代行車両から離れた箇所から代行車両を的確に遠隔操作する上で有利となる。
したがって、代行運転のサービスを利用する利用者が所在していた第1目的地(例えば飲食店)に係員が代行車両を乗り捨てした場合でも、表示部で表示される画像情報に基づいて係員の視界外で代行車両を遠隔操作できるため、第1目的地から離れた第2目的地(例えば利用者の自宅)に向かって代行車両を走行させることができる。
そのため、従来、代行車両1台について2名の係員が必要であったのに対して、1名の係員で足りるため、運転代行のサービスを提供するための人的コストの低減を図る上で有利となり、このコスト減を運転代行の利用代金に反映すれば、運転代行の利用率が増加し飲酒運転を抑制する上で有利となる。また、代行者1人でも運転代行事業を行うことができるので、運転代行事業者が増えて利用者の利用のハードルを低くする上で有利となる。
また、事務所に所在する事務所側係員が事務所に設置された事務所側の遠隔操作装置を用いて代行車両を遠隔操作して利用者の車両を追尾して第1目的地から第2目的地まで走行させるようにしてもよく、この場合は、係員は第2目的地において直ちに代行車両に乗り換えることができ、短時間で営業所に戻ることができる。
したがって、2名の係員が必要となるものの代行車両の運用効率を高め、運転代行のサービスに要するコストの低減を図る上で有利となる。
また、代行車両に、代行車両の位置を測位して測位情報を生成する測位部を設けると共に、遠隔操作装置に表示部と地図データベースとを設けると、表示部により、測位情報に基づいて地図データベースから読み出された地図情報上に代行車両の位置を表示することができ、代行車両の現在位置を把握することができ、代行車両から離れた箇所から代行車両を的確に遠隔操作する上で有利となる。
したがって、代行運転のサービスを利用する利用者が所在していた第1目的地に係員が代行車両を乗り捨てした場合でも、表示部で表示される代行車両の位置が表示された地図情報に基づいて係員の視界外で代行車両を遠隔操作できるため、第1目的地から離れた第2目的地に向かって代行車両を走行させることができる。
そのため、従来、代行車両1台について2名の係員が必要であったのに対して、1名の係員で足りるため、運転代行のサービスを提供するための人的コストの低減を図る上で有利となり、このコスト減を運転代行の利用代金に反映すれば、運転代行の利用率が増加し飲酒運転を抑制する上で有利となる。また、代行者1人でも運転代行事業を行うことができるので、運転代行事業者が増えて利用者の利用のハードルを低くする上で有利となる。
また、地図データベースは、目的地を特定する目的地情報と、地図情報とを関連付けて記憶しており、遠隔操作装置は、目的地情報を入力する操作入力部と、操作入力部に入力された目的地情報に基づいて地図情報から目的地の位置情報を特定する位置情報特定部と、遠隔制御側通信部で受信された測位情報と目的地の位置情報とに基づいて地図情報から走行すべき走行経路を探索する経路探索部とを備え、表示部により経路探索部で探索された走行経路に基づいて道路案内の表示を行なうようにすると、代行車両から離れた箇所から代行車両を的確に遠隔操作し、また、代行車両を短時間で目的地まで移動させることができる。
したがって、代行運転のサービスを利用する利用者が所在していた第1目的地に係員が代行車両を乗り捨てした場合でも、表示部で表示される画像情報および地図情報を用いた道路案内に基づいて操縦者の視界外で代行車両を的確に遠隔操作できるため、第1目的地から離れた第2目的地に向かって代行車両をより円滑にかつ短時間で走行させることができる。
そのため、代行車両の遠隔操作による走行に要する時間を短縮できるため、代行車両の運用効率を高める上でより有利となる。
また、複数の操作部材は、エンジンスイッチ、ハンドル、シフトレバー、操作ボタン、ブレーキペダル、アクセルペダル、ウィンカーレバー、ライトスイッチを含み、アクチュエータは、それらエンジンスイッチ、ハンドル、シフトレバー、操作ボタン、ブレーキペダル、アクセルペダル、ウィンカーレバー、ライトスイッチに対応してそれぞれ設けられていると、代行車両の遠隔制御を的確に行なう上で有利となる。
また、複数のアクチュエータは、運転席に着座した操縦者による操作部材の手動操作を妨げない箇所に着脱可能に設けられていると、複数のアクチュエータの着脱を容易に行なえ、複数のアクチュエータのメンテンナンス作業を効率的に行なう上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施の形態に係る代行車両の遠隔制御システムが適用される代行車両の制御系の構成を示すブロック図である。
図2】第1の実施の形態に係る代行車両の遠隔制御システムの遠隔操作装置の構成を示すブロック図である。
図3】代行車両のイグニッションスイッチの操作を行なう第1アクチュエータの説明図であり、(A)は車幅方向から見た側面図、(B)は(A)のB-B線矢視図である。
図4】代行車両のハンドルの操作を行なう第2アクチュエータの説明図であり、(A)はハンドルを正面から見た正面図、(B)は(A)のX-X線矢視図である。
図5】代行車両のシフトレバーの操作を行なう第3アクチュエータ、操作ボタンの操作を行なう第4アクチュエータの説明図であり、(A)はシフトレバーを代行車両の車幅方向から見た側面図、(B)は(A)のB矢視図である。
図6】(A)は代行車両のブレーキペダルの操作を行なう第5アクチュエータを車幅方向から見た側面図、(B)は代行車両のアクセルペダルの操作を行なう第6アクチュエータを車幅方向から見た側面図、(C)は代行車両のパーキングブレーキペダルの操作を行なう第7アクチュエータを車幅方向から見た側面図である。
図7】代行車両のウィンカーレバーの操作を行なう第8アクチュエータおよびライトスイッチの操作を行なう第9アクチュエータの説明図であり、(A)は車両後方から見た正面図、(B)は(A)のB矢視図である。
図8】運転代行のサービスを提供する代行事業者の営業所の敷地の平面図であり、(A)は代行車両が駐車場に駐車した状態を示し、(B)は遠隔操作された代行車両が営業所前の停車スペースに移動した状態を示す。
図9】第2の実施の形態に係る代行車両の遠隔制御システムが適用される代行車両の制御系の構成を示すブロック図である。
図10】第2の実施の形態に係る代行車両の遠隔制御システムの遠隔操作装置の構成を示すブロック図である。
図11】表示部の表示画面に画像情報と地図情報とが表示された状態を示す説明図である。
図12】第3の実施の形態に係る代行車両の遠隔制御システムの遠隔操作装置の構成を示すブロック図である。
図13】表示部の表示画面に画像情報と地図情報とが表示された状態を示す説明図である。
図14】第5の実施の形態に係る代行車両の遠隔制御システムにおける第2アクチュエータの説明図であり、(A)はハンドルを正面から見た正面図、(B)は(A)のB-B線矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
まず、本実施の形態に係る代行車両について説明する。
図1に示すように、代行車両10は運転代行サービスで用いられる車両であって、複数の操作部材と、複数のアクチュエータと、代行車両側制御装置12とを含んで構成され、本実施の形態では、代行車両10はAT車である。
複数の操作部材は、代行車両10の運転を行なうために運転代行サービスを提供する代行事業者(以下単に代行事業者という)の係員である運転者が操作する部材であり、本実施の形態では、エンジンスイッチ14、ハンドル16(ステアリング)、シフトレバー18(セレクトレバー)、操作ボタン20、ブレーキペダル22、アクセルペダル24、パーキングブレーキペダル26、ウィンカーレバー28、ライトスイッチ30である。
なお、以下の図面では、符号FRは車両前方、符号INは車幅方向内方、符号OUTは車幅方向外方、符号UPは車両上方を示す。
【0009】
エンジンスイッチ14は、代行車両10に搭載されているエンジンの始動、停止を操作するものであり、例えば、図3(A)、(B)に示すように、ステアリングコラム1002(コラムカバー)に設けられている。
エンジンスイッチ14は、押圧される押しボタン1402を備えている。
押しボタン1402は常時突出した突出位置に付勢され、押圧操作されることで突出位置から没入位置に移動し、これによりエンジンの始動、停止が操作される。
なお、以下の図面では、符号FRは車両前方、符号INは車幅方向内方、符号OUTは車幅方向外方、符号UPは車両上方を示す。
【0010】
ハンドル16は、代行車両10の操舵を行なうために回転操作する部材である。
図4(A)、(B)に示すように、ハンドル16は、断面が円形状で円環状に延在するハンドル本体1602と、ハンドル本体1602のハンドルシャフト1604と、ハンドルシャフト1604とハンドル本体1602とを接続するスポーク1606とを備えている。
また、ハンドルシャフト1604はステアリングコラム1002(図3(A)参照)によって覆われている。
【0011】
シフトレバー18は、代行車両10のトランスミッションを変速させるために揺動操作する部材である。
図5(A)、(B)に示すように、シフトレバー18は、センターコンソール1004から車両前後方向に揺動可能に設けられた揺動軸1802と、揺動軸1802の先端に設けられ手により把持される被把持部1804(シフトノブ)とを備えている。
シフトレバー18のシフト位置は、例えば、P(パーキング)レンジ、R(リバース)レンジ、N(ニュートラル)レンジ、D(ドライブ)レンジである。
Pレンジは駐車時に選択され、Pレンジが選択されることでトランスミッションのギアがロックされる。
Rレンジは、車両の後進時に選択される。
Nレンジは、故障時に牽引される場合などに選択され、Nレンジが選択されることでエンジンの動力が駆動輪に伝達されない。
Dレンジは、車両の前進時に選択される。
操作ボタン20は、被把持部1804の車幅方向の外側の箇所に設けられ、シフトレバー1810の位置がロックされている際にロックを解除するために押圧操作するものである。
操作ボタン20は常時突出した突出位置に付勢され、押圧されることで突出位置から没入位置に移動され、これによりシフトレバー1810の位置のロックが解除される。
【0012】
ブレーキペダル22は、代行車両10の制動を行なうためのものである。
図6(A)に示すように、ブレーキペダル22は、車室空間とエンジンルームとを仕切るダッシュパネル1006の下部に取り付けられた不図示のブラケットに支軸2202を介して揺動可能に設けられたペダルアーム2204と、ペダルアーム2204の下端に設けられ運転者の足裏が当接するペダル踏面部2206とを備えている。
【0013】
アクセルペダル24は、代行車両10のエンジンの回転数を制御するためのものである。
図6(B)に示すように、アクセルペダル24は、ブレーキペダル22と同様に、ダッシュパネル1006の下部に取り付けられた不図示のブラケットに支軸2402を介して揺動可能に設けられたペダルアーム2404と、ペダルアーム2404の下端に設けられ運転者の足裏が当接するペダル踏面部2406とを備えている。
【0014】
パーキングブレーキペダル26は、代行車両10の駐車時の制動を行なうためのものである。
図6(C)に示すように、パーキングブレーキペダル26は、ブレーキペダル22と同様に、ダッシュパネル1006の下部に取り付けられた不図示のブラケットに支軸2602を介して揺動可能に設けられたペダルアーム2604と、ペダルアーム2604の下端に設けられ運転者の足裏が当接するペダル踏面部2606とを備えている。
【0015】
ウィンカーレバー28は、代行車両10の方向指示器を操作するためのものである。
図7(A)、(B)に示すように、ウィンカーレバー28は、ハンドル16近傍のステアリングコラム1002の車幅方向外側の箇所から車幅方向外側で斜め上方に向かって延在し、上下方向に揺動可能に設けられたレバー本体2802を備えている。
ウィンカーレバー28は、中立位置から上方に揺動すると、左側の方向指示器が点滅し、ウィンカーレバー28を中立位置から下方に揺動すると、右側の方向指示器が点滅し、中立位置では左右の方向指示器が滅灯する。
【0016】
ライトスイッチ30は、代行車両10の前照灯、スモールライトの点灯、滅灯を操作するためのものである。
図7(A)、(B)に示すように、ライトスイッチ30は、レバー本体2802の先端にレバー本体2802と一体的に揺動可能に、かつ、レバー本体2802の中心軸を中心として回動可能に設けられている。
ライトスイッチ30は、前照灯の点灯位置、スモールライトの点灯位置、前照灯およびスモールライトの滅灯位置の3つの位置に回転可能である。
【0017】
複数のアクチュエータは、上述した複数の操作部材を操作するものである。
図1に示すように、本実施の形態では、以下に示す9つのアクチュエータが設けられている。
1)エンジンスイッチ14を操作する第1アクチュエータ32。
2)ハンドル16を操作する第2アクチュエータ34。
3)シフトレバー18を操作する第3アクチュエータ36。
4)操作ボタン20を操作する第4アクチュエータ38。
5)ブレーキペダル22を操作する第5アクチュエータ40。
6)アクセルペダル24を操作する第6アクチュエータ42。
7)パーキングブレーキペダル26を操作する第7アクチュエータ44。
8)ウィンカーレバー28を操作する第8アクチュエータ46。
9)ライトスイッチ30を操作する第9アクチュエータ48。
【0018】
図3(A)、(B)に示すように、第1アクチュエータ32は、直動式シリンダ32A(直動式電気シリンダ)で構成され、シリンダ本体3202と、シリンダ本体3202に組み込まれたモータ(不図示)と、シリンダ本体3202に組み込まれたピストンロッド3204とを備えている。
直動式シリンダ32Aは、運転席に着座した運転者によるエンジンスイッチ14の手動操作を妨げない箇所(ステアリングコラム1002)にブラケットB1を介して着脱可能に設けられている。
シリンダ本体3202は、ピストンロッド3204の出没方向を車幅方向に合致させて配置されている。
ピストンロッド3204の先端には、ゴムなどの弾性体からなるカバー3206が装着され、ピストンロッド3204の先端はカバー3206を介してエンジンスイッチ14の押しボタン1402の表面に当接可能に設けられ、これにより押しボタン1402の保護が図られている。
したがって、代行車両側制御装置12によってモータに駆動信号が供給されることで、シリンダ本体3202に対してピストンロッド3204が出没し、押しボタン1402が押圧されることで、エンジンの始動、停止が操作される。
また、代行車両側制御装置12によってモータに供給される駆動信号がオフとされることでモータはサーボフリーとなり、運転席に着座した運転者は、エンジンスイッチ14の手動操作が可能となっている。
すなわち、押しボタン1402は常時突出位置に付勢されているため、モータがサーボフリーとなることで、突出位置に付勢された押しボタン1402によりピストンロッドは後退し、エンジンスイッチ14の手動操作が可能となっている。
【0019】
図4(A)、(B)に示すように、第2アクチュエータ34は、モータ3402と駆動ローラ3404とを含んで構成されている。
モータ3402と駆動ローラ3404は、運転席に着座した運転者によるハンドル16の手動操作を妨げない箇所(インストルメントパネル)に不図示のブラケットを介して着脱可能に設けられている。
モータ3402は、インストルメントパネルに取着された状態でその駆動軸3406をハンドル16のハンドルシャフト1604とほぼ直交させるように配置されている。
駆動ローラ3404は、駆動軸3406の先端に取着されている。
駆動ローラ3404は、ハンドル本体1602の周方向の一部の車両前方で斜め下方に配置され、ハンドル本体1602に係合し、駆動ローラ3404が回転されることによりハンドル本体1602の回動を可能とする。
駆動ローラ3404は、ハンドル本体1602のうち車体の前方で斜め下方に向いた面に係合する凹溝3408を備え、モータ3402の回転駆動力が駆動ローラ3404の凹溝3408を介してハンドル本体1602に効率よく伝達されるように図られている。
【0020】
モータ3402は、代行車両側制御装置12から駆動信号が供給されることにより駆動軸3406、駆動ローラ3404を介してハンドル16を正逆回転させる。
したがって、モータ3402が正逆回転することにより駆動ローラ3404によりハンドル本体1602が正逆方向に回転され、代行車両10の転舵角の調整がなされる。
また、代行車両側制御装置12によってモータ3402に供給される駆動信号がオフとされることでモータ3402はサーボフリーとなり、運転席に着座した運転者は、ハンドル16の手動操作が可能となっている。
【0021】
図5(A)、(B)に示すように、第3アクチュエータ36は、直動式シリンダ36A(直動式電気シリンダ)で構成され、シリンダ本体3602と、シリンダ本体3602に組み込まれたモータ(不図示)と、シリンダ本体3602に組み込まれたピストンロッド3604とを備えている。
直動式シリンダ36Aは、運転席に着座した運転者によるシフトレバー18の手動操作を妨げない箇所(センターコンソール1004)に不図示のブラケットを介して着脱可能に設けられている。
シリンダ本体3602は、ピストンロッド3604の出没方向を車両前後方向に合致させて配置されている。
ピストンロッド3604の先端は、シフトレバー18の揺動軸1802の長手方向の中間部に連結部3606の不図示の球面軸受を介して連結されている。
したがって、代行車両側制御装置12によってモータに駆動信号が供給されることで、シリンダ本体3602に対してピストンロッド3604が出没し、シフトレバー18が各シフト位置にわたって傾倒され、これにより、トランスミッションの変速がなされる。
また、代行車両側制御装置12によってモータに供給される駆動信号がオフとされることでモータはサーボフリーとなり、運転席に着座した運転者は、シフトレバー18の手動操作が可能となっている。
【0022】
図5(B)に示すように、第4アクチュエータ38は、直動式シリンダ38A(直動式電気シリンダ)で構成され、シリンダ本体3802と、シリンダ本体3802に組み込まれたモータ(不図示)と、シリンダ本体3802に組み込まれたピストンロッド3804とを備えている。なお、図5(A)において第4アクチュエータ38は図示を省略している。
直動式シリンダ38Aは、運転席に着座した運転者による操作ボタン20の手動操作を妨げない箇所(シフトレバー18の揺動軸1802)にブラケットB2を介して着脱可能に設けられている。
シリンダ本体3802は、ピストンロッド3804の出没方向を車幅方向に合致させて配置されている。
ピストンロッド3804の先端には、ゴムなどの弾性体からなるカバー3806が装着され、ピストンロッド3804の先端はカバー3806を介して操作ボタン20の表面に当接可能に設けられ、これにより操作ボタン20の保護が図られている。
したがって、代行車両側制御装置12によってモータに駆動信号が供給されることで、シリンダ本体3802に対してピストンロッド3804が出没し、操作ボタン20が押圧されることで、エンジンの始動、停止が操作される。
また、代行車両側制御装置12によってモータに供給される駆動信号がオフとされることでモータはサーボフリーとなり、運転席に着座した運転者は、操作ボタン20の手動操作が可能となっている。
すなわち、操作ボタン20は常時突出位置に付勢されているため、モータがサーボフリーとなることで、突出位置に付勢された操作ボタン20によりピストンロッドは後退し、操作ボタン20の手動操作が可能となっている。
【0023】
図6(A)に示すように、第5アクチュエータ40は、直動式シリンダ40A(直動式電気シリンダ)で構成され、シリンダ本体4002と、シリンダ本体4002に組み込まれたモータ(不図示)と、シリンダ本体4002に組み込まれたピストンロッド4004とを備えている。
直動式シリンダ40Aは、運転席に着座した運転者によるブレーキペダル22の手動操作(踏み込み操作)を妨げない箇所(ダッシュパネル1006)にブラケットB3を介して着脱可能に設けられている。
シリンダ本体4002は、ピストンロッド4004の出没方向を車両前後方向に合致させて配置されている。
ピストンロッド4004の先端は、ペダルアーム2604の長手方向の中間部に連結部4006の不図示の球面軸受を介して連結されている。
したがって、代行車両側制御装置12によってモータに駆動信号が供給されることで、シリンダ本体4002に対してピストンロッド4004が出没し、ペダルアーム2604が揺動され、これにより、代行車両10の制動がなされる。
また、代行車両側制御装置12によってモータに供給される駆動信号がオフとされることでモータはサーボフリーとなり、運転席に着座した運転者は、ブレーキペダル22の手動操作が可能となっている。
【0024】
図6(B)に示すように、第6アクチュエータ42は、直動式シリンダ42A(直動式電気シリンダ)で構成され、シリンダ本体4202と、シリンダ本体4202に組み込まれたモータ(不図示)と、シリンダ本体4202に組み込まれたピストンロッド4204とを備えている。
直動式シリンダ42Aは、運転席に着座した運転者によるアクセルペダル24の手動操作(踏み込み操作)を妨げない箇所(ダッシュパネル1006)にブラケットB4を介して着脱可能に設けられている。
シリンダ本体4202は、ピストンロッド4204の出没方向を車両前後方向に合致させて配置されている。
ピストンロッド4204の先端は、ペダルアーム2604の長手方向の中間部に連結部4206の不図示の球面軸受を介して連結されている。
したがって、代行車両側制御装置12によってモータに駆動信号が供給されることで、シリンダ本体4202に対してピストンロッド4204が出没し、ペダルアーム2404が揺動され、これにより、代行車両10のエンジンの回転制御がなされる。
また、代行車両側制御装置12によってモータに供給される駆動信号がオフとされることでモータはサーボフリーとなり、運転席に着座した運転者は、アクセルペダル24の手動操作が可能となっている。
【0025】
図6(C)に示すように、第7アクチュエータ44は、直動式シリンダ45A(直動式電気シリンダ)で構成され、シリンダ本体4402と、シリンダ本体4402に組み込まれたモータ(不図示)と、シリンダ本体4402に組み込まれたピストンロッド4404とを備えている。
直動式シリンダ45Aは、運転席に着座した運転者によるパーキングブレーキペダル26の手動操作(踏み込み操作)を妨げない箇所(ダッシュパネル1006)にブラケットB5を介して着脱可能に設けられている。
シリンダ本体4402は、ピストンロッド4404の出没方向を車両前後方向に合致させて配置されている。
ピストンロッド4404の先端は、ペダルアーム2604の長手方向の中間部に連結部4406の不図示の球面軸受を介して連結されている。
したがって、代行車両側制御装置12によってモータに駆動信号が供給されることで、シリンダ本体4402に対してピストンロッド4404が出没し、ペダルアーム2604が揺動され、これにより、代行車両10の駐車時の制動、制動解除がなされる。
また、代行車両側制御装置12によってモータに供給される駆動信号がオフとされることでモータはサーボフリーとなり、運転席に着座した運転者は、パーキングブレーキペダル26の手動操作が可能となっている。
【0026】
図7(A)、(B)に示すように第8アクチュエータ46は、直動式シリンダ46A(直動式電気シリンダ)で構成され、シリンダ本体4602と、シリンダ本体4602に組み込まれたモータ(不図示)と、シリンダ本体4602に組み込まれたピストンロッド4604とを備えている。
直動式シリンダ46Aは、運転席に着座した運転者によるウィンカーレバー28の手動操作(揺動操作)を妨げない箇所(ステアリングコラム1002)にブラケットB6を介して着脱可能に設けられている。
シリンダ本体4602は、ピストンロッド4604の出没方向を上下方向に合致させて配置されている。
ピストンロッド4604の先端は、ウィンカーレバー28のレバー本体2802の長手方向の中間部に連結部4606の不図示の球面軸受を介して連結されている。
したがって、代行車両側制御装置12によってモータに駆動信号が供給されることで、シリンダ本体4602に対してピストンロッド4604が出没し、ウィンカーレバー28が揺動され、これにより、代行車両10の方向指示器の点滅、滅灯が制御される。
また、代行車両側制御装置12によってモータに供給される駆動信号がオフとされることでモータはサーボフリーとなり、運転席に着座した運転者は、ウィンカーレバー28の手動操作が可能となっている。
【0027】
図7(A)、(B)に示すように第9アクチュエータ48は、直動式シリンダ48A(直動式電気シリンダ)と、回転部材49とを含んで構成されている。
直動式シリンダ48Aは、シリンダ本体4802と、シリンダ本体4802に組み込まれたモータ(不図示)と、シリンダ本体4802に組み込まれたピストンロッド4804とを備えている。
直動式シリンダ48Aは、運転席に着座した運転者によるライトスイッチ30の手動操作を妨げない箇所(ウィンカーレバー28)にブラケットB7を介して着脱可能に設けられている。
シリンダ本体4802は、ピストンロッド4804の出没方向を車両前後方向に合致させて配置されている。
回転部材49は、円環状を呈し、ライトスイッチ30の外周を挟持してライトスイッチ30と一体回転可能に取り付けられ、回転部材49の周方向から半径方向外側に連結片4902が突設されている。
直動式シリンダ48Aのピストンロッド4804の先端は、回転部材49に連結片4902の不図示の球面軸受を介して連結されている。
したがって、代行車両側制御装置12によってモータに駆動信号が供給されることで、シリンダ本体4802に対してピストンロッド4804が出没し、ライトスイッチ30が回動され、これにより、代行車両10の前照灯、スモールライトの点灯、滅灯が制御される。
また、代行車両側制御装置12によってモータに供給される駆動信号がオフとされることでモータはサーボフリーとなり、運転席に着座した運転者は、ライトスイッチ30の手動操作が可能となっている。
【0028】
次に、図2を参照して、遠隔操作装置45について詳細に説明する。
遠隔操作装置45は、第1~第9遠隔操作レバー50A~50Iと、第1~第9角度センサ52A~52Iと、モード切替スイッチ54と、制御部56と、遠隔制御側通信部58とを含んで構成されている。
第1~第9遠隔操作レバー50A~50Iは、エンジンスイッチ14、ハンドル16(ステアリング)、シフトレバー18、操作ボタン20、ブレーキペダル22、アクセルペダル24、パーキングブレーキペダル26、ウィンカーレバー28、ライトスイッチ30を遠隔制御するための揺動操作がなされる遠隔制御用の操作部材(ジョイスティック)で構成されている。
第1~第9角度センサ52A~52Iは、第1~第9遠隔操作レバー50A~50Iに対応して設けられ、第1~第9遠隔操作レバー50A~50Iの操作位置に対応する角度を示す検知信号を出力するものである。
【0029】
モード切替スイッチ54は、後述する遠隔制御モードと、手動操作モードとを切り替える際に切り替え操作されるものである。
【0030】
制御部56は、CPU、制御プログラムなどを格納・記憶するROM、制御プログラムの作動領域としてのRAM、各種データを書き換え可能に保持するEEPROM、第1~第9角度センサ52A~52I、モード切替スイッチ54、周辺回路等とのインターフェースをとるインターフェース部などを含んで構成される。
制御部56は、上記制御プログラムを実行することにより指令情報生成部56Aとして機能する。
指令情報生成部56Aは、第1~第9角度センサ52A~52Iから供給される検知信号に基いて遠隔操作指令情報を生成するものである。
また、指令情報生成部56Aは、モード切替スイッチ54から供給される操作信号に基いてモード切替司令情報を生成するものである。
遠隔制御側通信部58は、後述する代行車両側通信部60と無線回線を介して通信可能に構成され、指令情報生成部56Aで生成された遠隔操作指令情報、モード切替司令情報を代行車両側通信部60に無線回線を介して送信するものである。
【0031】
図1に示すように、代行車両側制御装置12は、代行車両側通信部60と、第1~第9検出部62A~62Iと、サーボ制御部64と、制御部66とを含んで構成されている。
代行車両側通信部60は、遠隔制御側通信部58から無線回線を介して送信される遠隔操作指令情報、モード切替司令情報を受信するものである。
第1~第9検出部62A~62Iは、第1~第9アクチュエータ32~48によるエンジンスイッチ14、ハンドル16(ステアリング)、シフトレバー18、操作ボタン20、ブレーキペダル22、アクセルペダル24、パーキングブレーキペダル26、ウィンカーレバー28、ライトスイッチ30の操作量を検出するものである。
【0032】
すなわち、第1検出部62Aは、第1アクチュエータ32(直動式の電気シリンダ)30のピストンロッド3204の移動量を操作量として検出する。
第2検出部62Bは、第2アクチュエータ34(モータ)の駆動軸3406の回転量(角度)を操作量として検出する。
第3検出部62Cは、第3アクチュエータ36(直動式の電気シリンダ)のピストンロッド3604の移動量を操作量として検出する。
第4検出部62Cは、第4アクチュエータ38(直動式の電気シリンダ)のピストンロッド3804の移動量を操作量として検出する。
第5検出部62Cは、第5アクチュエータ40(直動式の電気シリンダ)のピストンロッド4004の移動量を操作量として検出する。
第6検出部62Cは、第6アクチュエータ42(直動式の電気シリンダ)のピストンロッド4204の移動量を操作量として検出する。
第7検出部62Cは、第7アクチュエータ44(直動式の電気シリンダ)のピストンロッド4404の移動量を操作量として検出する。
第8検出部62Cは、第8アクチュエータ46(直動式の電気シリンダ)のピストンロッド4604の移動量を操作量として検出する。
第9検出部62Cは、第9アクチュエータ(直動式の電気シリンダ)48のピストンロッド4804の移動量を操作量として検出する。
サーボ制御部64は、操作部材制御部66Aの制御により第1~第9検出部62A~62Iでそれぞれ検出された操作量に基づいて第1~第9アクチュエータ32~48のサーボ制御をそれぞれ行なう。
【0033】
制御部66は、CPU、制御プログラムなどを格納・記憶するROM、制御プログラムの作動領域としてのRAM、各種データを書き換え可能に保持するEEPROM、第1~第9検出部62A~62I、サーボ制御部64、周辺回路等とのインターフェースをとるインターフェース部などを含んで構成される。
制御部66は、上記制御プログラムを実行することにより操作部材制御部66Aとして機能する。
操作部材制御部66Aは、代行車両側通信部60を介して受信した遠隔操作指令情報に基いて、第1~第9検出部62A~62Iの検出結果を監視しつつ、サーボ制御部64を制御することで第1~第9アクチュエータ32~48を駆動制御してエンジンスイッチ14、ハンドル16(ステアリング)、シフトレバー18、操作ボタン20、ブレーキペダル22、アクセルペダル24、パーキングブレーキペダル26、ウィンカーレバー28、ライトスイッチ30を動かすものである。
【0034】
また、操作部材制御部66Aは、遠隔操作装置45のモード切替スイッチ54の操作によって、制御部56で生成されたモード切替指令情報を、遠隔制御側通信部58、代行車両側通信部60を介して受信することで、遠隔制御モードと、手動操作モードとに選択可能に構成されている。
操作部材制御部66Aは、モード切替指令情報に応じて遠隔制御モードに設定された場合は、遠隔操作装置45の操作に応じて遠隔制御を行う。
すなわち、操作部材制御部66Aは、遠隔操作指令情報に基いて第1~第9アクチュエータ32~48を制御してエンジンスイッチ14、ハンドル16(ステアリング)、シフトレバー18、操作ボタン20、ブレーキペダル22、アクセルペダル24、パーキングブレーキペダル26、ウィンカーレバー28、ライトスイッチ30を操作する。
【0035】
また、操作部材制御部66Aは、モード切替指令情報に応じて手動操作モードに設定された場合は、サーボ制御部64を制御して第1~第9アクチュエータ32~48の各モータへの駆動信号をオフとすることで、すなわち、サーボ制御64のサーボ制御を無効とすることで、第1~第9アクチュエータ32~48をサーボフリーとしてエンジンスイッチ14、ハンドル16(ステアリング)、シフトレバー18、操作ボタン20、ブレーキペダル22、アクセルペダル24、パーキングブレーキペダル26、ウィンカーレバー28、ライトスイッチ30の手動操作を可能とする。
なお、モード切替スイッチ54を代行車両側制御装置12に設け、モード切替スイッチ54の操作を受け付けた操作部材制御部66Aが遠隔制御モードと、手動操作モードとを選択するようにしてもよい。
【0036】
次に、本実施の形態の遠隔制御システムを用いて代行車両10を遠隔制御する場合について説明する。
なお、遠隔操縦を行なう操縦者(代行事業者の係員)による代行車両10の遠隔操作は、操縦者がその視界内で代行車両10を監視しながら行なうものとする。
操縦者が遠隔操作装置45の第1~第9遠隔操作レバー50A~50Iを操作することにより、第1~第9角度センサ52A~52Iで検出された検知信号に基いて指令情報生成部56Aが遠隔操作指令情報を生成する。遠隔操作指令情報は、無線回線を介して遠隔制御側通信部58から代行車両側通信部60に無線回線を介して送信される。
代行車両10では、代行車両側通信部60を介して受信された遠隔操作指令情報が操作部材制御部66Aに供給され、操作部材制御部66Aは、遠隔操作指令情報に基いて、第1~第9検出部62A~62Iの検出結果を監視しつつ、サーボ制御部64を制御することで第1~第9アクチュエータ32~48を駆動制御してエンジンスイッチ14、ハンドル16(ステアリング)、シフトレバー18、操作ボタン20、ブレーキペダル22、アクセルペダル24、パーキングブレーキペダル26、ウィンカーレバー28、ライトスイッチ30を操作させる。
すなわち、第1アクチュエータ32によってエンジンスイッチ14が操作されることにより、エンジン1404の停止、始動がなされる。
また、第2アクチュエータ34によってハンドル16が操作されることにより、代行車両10の転舵角の調整が行なわれ、代行車両10が操舵される。
また、第3アクチュエータ36によってシフトレバー18が操作され、また、第4アクチュエータ38によって操作ボタン20が操作されることにより、代行車両10のトランスミッションの変速が行なわれる。
また、第5アクチュエータ40によってブレーキペダル22が操作されることにより、代行車両10の制動がなされる。
また、第6アクチュエータ42によってアクセルペダル24が操作されることにより、代行車両10のエンジンの回転数の制御が行なわれる。
また、第7アクチュエータ44によってパーキングブレーキペダル26が操作されることにより、代行車両10の駐車時の制動がなされる。
また、第8アクチュエータ46によってウィンカーレバー28が操作されることにより、代行車両10の方向指示器が制御される。
また、第9アクチュエータ48によってライトスイッチ30が操作されることにより、代行車両10の前照灯、スモールライトの点灯、滅灯が制御される。
【0037】
このような代行車両10の遠隔操作を、代行事業者の営業所で行なう場合について具体的に説明する。
図8(A)、(B)は営業所を模式的に示す平面図である。
営業所の敷地62内には駐車場64と事務所66がある。
駐車場64には多数の代行車両10が駐車されている。
事務所66は、道路68に面した出入口70のそばに設置されており、事務所66と出入口70の間に代行車両10が停車可能な停車スペース72が確保されている。
運転代行サービスの利用者は、営業所に電話を入れ、運転代行の依頼を行ない、利用者を迎えに行く代行車両10の第1目的地(例えば飲食店)、利用者を送り届ける第2目的地(例えば利用者の自宅)、代行車両10の到着時刻などを決める。
【0038】
図8(A)に示すように、運転代行の依頼を受け付けると、係員は、事務所66から外に出て、代行車両10が視認できる箇所、例えば、停車スペース72に移動して待機する。
次に、図8(B)に示すように、係員は、遠隔操作装置45の第1~第9遠隔操作レバー50A~50Iを操作することにより代行車両10の遠隔操作を行ない、代行車両10を停車スペース72まで走行させ、停車させる。
そして、遠隔操作装置45のモード切替スイッチ54を操作して遠隔操作モードから手動操作モードに切り替えたのち、代行運転を行なう係員と、代行車両10を運転して利用者の車両を追尾する係員との2人の係員が代行車両10に乗車する。
一方の係員(運転者)は代行車両10の運転席に着座して運転を行ない、代行車両10を出入口70から道路68へ移動させ、道路68上を走行し、第1目的地に向かう。
【0039】
第1目的地に到着後は、代行運転を行なう係員が利用者と共に利用者の車両に乗車し、車両を運転して利用者を送り届ける第2目的地に向かう。
残りの係員は、代行車両10を運転して利用者の車両を追尾し第2目的地に向かう。
第2目的地に到着したならば、利用者の車両を利用者に引き渡し、2人の係員は代行車両10に乗車して営業所に向かって移動する。
代行車両10を営業所の停車スペース72まで戻して降車したのち、一方の係員は、遠隔操作装置45のモード切替スイッチ54を操作して手動操作モードから遠隔操作モードに切り替えたのち、遠隔操作装置45の第1~第9遠隔操作レバー50A~50Iを操作することにより代行車両10の遠隔操作を行ない、代行車両10を駐車場64の空車スペースまで走行させ、駐車させ、一連の作業を終了する。
【0040】
次に本実施の形態の遠隔制御システムを用いて代行車両10に乗車した係員(以下運転者ともいう)がエンジンスイッチ14、ハンドル16(ステアリング)、シフトレバー18、操作ボタン20、ブレーキペダル22、アクセルペダル24、パーキングブレーキペダル26、ウィンカーレバー28、ライトスイッチ30を手動操作する場合について説明する。
予め、代行車両側制御装置12はモード切替スイッチ54により手動操作モードに設定されているものとする。
運転席に着座した運転者の手動操作によって、エンジンスイッチ14が押圧操作されることで、エンジン1404の停止、始動がなされる。
また、運転者の手動操作によって、ハンドル16が操作されることによって、代行車両10が操舵される。
また、運転者の手動操作によって、シフトレバー18および操作ボタン20が操作されることによって、代行車両10のトランスミッションの変速がなされる。
また、運転者の手動操作によって、ブレーキペダル22が操作されることによって、代行車両10の制動がなされる。
また、運転者の手動操作によって、アクセルペダル24が操作されることによって、代行車両10のエンジンの回転数の制御が行なわれる。
また、運転者の手動操作によって、パーキングブレーキペダル26が操作されることによって、代行車両10の駐車時の制動が行なわれる。
また、運転者の手動操作によって、ウィンカーレバー28が操作されることによって、代行車両10の方向指示器の操作が行なわれる。
また、運転者の手動操作によって、ライトスイッチ30が操作されることにより、代行車両10の前照灯、スモールライトの点灯、滅灯が制御される。
この際、第1~第9アクチュエータ32~48はサーボフリーとされているため、エンジンスイッチ14、ハンドル16(ステアリング)、シフトレバー18、操作ボタン20、ブレーキペダル22、アクセルペダル24、パーキングブレーキペダル26、ウィンカーレバー28、ライトスイッチ30の手動操作は妨げられない。
このようにして運転者は通常の車両と同様に手動操作によって代行車両10を走行させることができる。
【0041】
本実施の形態によれば、運転者によって操作される代行車両10の運転を行なうための操作部材を操作する第1~第9アクチュエータ32~48を、運転席に着座した運転者による操作部材の手動操作を妨げない箇所に着脱可能に設け、操作部材制御部66Aの遠隔操作モードを選択することで、遠隔操作指令情報に基いて第1~第9アクチュエータ32~48を制御してエンジンスイッチ14、ハンドル16(ステアリング)、シフトレバー18、操作ボタン20、ブレーキペダル22、アクセルペダル24、パーキングブレーキペダル26、ウィンカーレバー28、ライトスイッチ30を操作することによって、代行車両10を遠隔制御することができるようにし、操作部材制御部66Aの手動操作モードを選択することで、第1~第9アクチュエータ32~48をサーボフリーとしてエンジンスイッチ14(イグニッションキー2004)、ハンドル16、シフトレバー18、操作ボタン20、ブレーキペダル22、アクセルペダル24、パーキングブレーキペダル26、ウィンカーレバー28、ライトスイッチ30を運転席に着座した運転者が手動操作できるようにした。
すなわち、代行車両10を元の状態に戻すことなく運転者が運転席に着座して代行車両10を操縦することも、また、運転者が乗車せずに遠隔制御することもでき、代行車両10の使い勝手の向上を図る上で有利となる。
したがって、代行事業者の係員が運転代行の依頼を利用者から受け付けた場合、係員は事務所66から離れた駐車場64の代行車両10の場所まで徒歩で移動する必要がなく、係員が代行車両10に乗車して運転を開始するまでの時間を短縮できるので、係員の利便性の向上を図り、また、代行車両10の運用効率を高める上で有利となる。
また、係員は降雨時や降雪時には傘をさして歩く必要がないため、代行車両10に乗車するまでの作業性の向上を図る上で有利となる。
なお、第1~第9アクチュエータ32~48を、運転席に着座した運転者による操作部材の手動操作を妨げない箇所に着脱不能に設けてもよいが、本実施の形態のように着脱可能に設けると、第1~第9アクチュエータ32~48を容易に取り外せるので、第1~第9アクチュエータ32~48のメンテンナンス作業を効率的に行なう上で有利となる。
【0042】
また、本実施の形態では、サーボ制御部64は、第1~第9検出部62A~62Iでそれぞれ検出された操作量に基づいて第1~第9アクチュエータ32~48のサーボ制御をそれぞれ行ない、操作部材制御部66Aの遠隔操作モードは、サーボ制御部64を介して第1~第9アクチュエータ32~48をそれぞれ操作することでなされ、手動操作モードは、サーボ制御部64の制御動作を無効としそれら第1~第9アクチュエータ32~48をサーボフリーとすることでなされるようにした。
したがって、簡単な構成により遠隔操作モードと手動操作モードとを切り替える上で有利となる。
なお、第1~第9アクチュエータ32~48と各操作部材とを係脱可能に、あるいは、接離可能に構成し、遠隔操作モードと手動操作モードとを切り替えるようにしてもよい。
しかしながら、その場合は、複数のアクチュエータや複雑な機構が必要となりコストがかさむ不利がある。
これに対して本実施の形態のように第1~第9アクチュエータ32~48のサーボ制御とサーボフリーとを切り替えるようにすれば足りるため、そのようなコストを抑制する上で有利となる。
【0043】
また、本実施の形態では、操作部材は、エンジンスイッチ14、ハンドル16(ステアリング)、シフトレバー18、操作ボタン20、ブレーキペダル22、アクセルペダル24、パーキングブレーキペダル26、ウィンカーレバー28、ライトスイッチ30とを含むので、代行車両10の遠隔制御を的確に行なう上で有利となる。
【0044】
また、本実施の形態では、第1アクチュエータ32は、エンジンスイッチ14に当接可能なピストンロッド3204と、ピストンロッド3204を揺動軸1802を揺動させる方向に移動させるシリンダ本体3202とを備える直動式シリンダ32Aを含んで構成されているので、第1アクチュエータ32の構成の簡素化を図り、エンジンスイッチ14の操作を的確に行なう上で有利となる。
【0045】
また、本実施の形態では、第2アクチュエータ34は、ハンドル16の周方向の一部に係合しハンドル16の回動を可能とした駆動ローラ3404と、駆動ローラ3404を回転駆動するモータ3402とを含んで構成されているので、第2アクチュエータ34の構成の簡素化を図り、ハンドル16の操作を的確に行なう上で有利となる。
【0046】
また、本実施の形態では、第3アクチュエータ36は、シフトレバー18の揺動軸1802に結合されたピストンロッド3604と、ピストンロッド3604を揺動軸1802を揺動させる方向に移動させるシリンダ本体3602とを備える直動式シリンダ36Aを含んで構成されているので、第3アクチュエータ36の構成の簡素化を図り、シフトレバー18の操作を的確に行なう上で有利となる。
【0047】
また、本実施の形態では、第4アクチュエータ38は、シフトレバー18の操作ボタン20に当接可能なピストンロッド3804と、ピストンロッド3804を操作ボタン20を押圧させる方向に移動させるシリンダ本体3802とを備える直動式シリンダ38Aを含んで構成されているので、第4アクチュエータ38の構成の簡素化を図り、操作ボタン20の操作を的確に行なう上で有利となる。
【0048】
また、本実施の形態では、第5アクチュエータ40は、ブレーキペダル22のペダルアーム2204に結合されたピストンロッド4004と、ピストンロッド4004をペダルアーム2604を揺動させる方向に移動させるシリンダ本体4002とを備える直動式シリンダ40Aを含んで構成されているので、第5アクチュエータ40の構成の簡素化を図り、ブレーキペダル22の操作を的確に行なう上で有利となる。
【0049】
また、本実施の形態では、第6アクチュエータ42は、アクセルペダル24のペダルアーム2404に結合されたピストンロッド4204と、ピストンロッド4204をペダルアーム2404を揺動させる方向に移動させるシリンダ本体4202とを備える直動式シリンダ42Aを含んで構成されているので、第6アクチュエータ42の構成の簡素化を図り、アクセルペダル24の操作を的確に行なう上で有利となる。
【0050】
また、本実施の形態では、第7アクチュエータ44は、パーキングブレーキペダル26のペダルアーム2604に結合されたピストンロッド4404と、ピストンロッド4404をペダルアーム2604を揺動させる方向に移動させるシリンダ本体4402とを備える直動式シリンダ45Aを含んで構成されているので、第7アクチュエータ44の構成の簡素化を図り、パーキングブレーキペダル26の操作を的確に行なう上で有利となる。
【0051】
また、本実施の形態では、第8アクチュエータ46は、ウィンカーレバー28に結合されたピストンロッド4604と、ピストンロッド4604をウィンカーレバー28を揺動させる方向に移動させるシリンダ本体4602とを備える直動式シリンダ46Aを含んで構成されているので、第8アクチュエータ46の構成の簡素化を図り、ウィンカーレバー28の操作を的確に行なう上で有利となる。
【0052】
また、本実施の形態では、第9アクチュエータ48は、ライトスイッチ30に結合されたピストンロッド4804と、ピストンロッド4804をライトスイッチ30を回動させる方向に移動させるシリンダ本体4802とを備える直動式シリンダ48Aを含んで構成されているので、第9アクチュエータ48の構成の簡素化を図り、ライトスイッチ30の操作を的確に行なう上で有利となる。
【0053】
なお、第1の実施の形態では、第2アクチュエータ34が、ハンドル16の周方向の一部に係合しハンドル16の回動を可能とした駆動ローラ3404と、駆動ローラ3404を回転駆動するモータ3402とを含んで構成されている場合について説明したが、ハンドル16を回転駆動するアクチュエータとして以下に例示するように従来公知の様々な構成が使用可能である。
1)ハンドルシャフト1604にモータの駆動軸を結合し、モータの回転駆動力によってハンドルシャフト1604(ハンドル16)を回動させ操舵を行なう。
2)図4に示した駆動ローラ3404、モータ3402をハンドル本体1602の周方向に間隔をおいて複数設け、各駆動ローラ3404を各モータ3402で回転駆動させ、ハンドル16を回動させ操舵を行なう。
3)ハンドルシャフト1604の回転軸を中心として円環状に延在するリングをハンドルシャフト1604と一体回転可能に設け、リングの周方向の一部に係合しリングの回動を可能とした駆動ローラと、駆動ローラを回転駆動するモータとを設け、モータの回転駆動力によってリングを介してハンドル16を回動させ操舵を行なう。
4)ハンドルシャフト1604に従動スプロケットを設け、モータの駆動軸に駆動スプロケットを設け、従動スプロケットと駆動スプロケットとにチェーンをかけ回し、モータの回転駆動力により駆動スプロケット、チェーン、従動スプロケットを介してハンドルシャフト1604(ハンドル16)を回動させ操舵を行なう。
5)ハンドルシャフト1604に従動ピニオンを設け、モータの駆動軸に駆動ピニオンを設け、それら従動ピニオンと駆動ピニオンに噛合するラックを設け、モータの回転駆動力により駆動ピニオン、ラック、従動ピニオンを介してハンドルシャフト1604(ハンドル16)を回動させ操舵を行なう。
【0054】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について図9図11を参照して説明する。
なお、以下の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の部分、部材については第1の実施の形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
第1の実施の形態では、遠隔操作を行なう代行事業者の係員がその視界内で代行車両10を監視しつつ遠隔操作を行なう場合について説明したが、第2の実施の形態では、遠隔操作を行なう係員から代行車両10が視認できない視界外の範囲で遠隔操作を行なうことを可能としたものである。
具体的には以下のように係員を1名に削減することができようにしたものである。
すなわち、代行車両10に乗車する係員を1名とし、この係員が代行車両10を運転して第1目的地に到着したならば、代行車両10を第1目的地で乗り捨て、係員が利用者を乗せた車両を運転して第2目的地に移動して車両を利用者に引き渡す。
次いで、係員は、第2目的地に所在した状態で、第1目的地に乗り捨てた代行車両10を、遠隔操作によって第2目的地まで移動させたのち、代行車両10に乗車して営業所まで戻る。
そのため、第2の実施の形態では、代行車両10の周辺の画像情報と代行車両10の測位情報を取得し、それら画像情報と測位情報とに基づいて遠隔操作装置45A側で画像情報を表示させると共に、地図上で代行車両10の現在位置を表示させるようにした。
【0055】
図9に示すように、代行車両10には、画像情報生成部を構成する前方カメラ74A、後方カメラ74B、左方カメラ74C、右方カメラ74Dの4つのカメラと、測位部76とが設けられている。
前方カメラ74Aは、代行車両10の前方を撮像して画像情報を生成するものである。
後方カメラ74Bは、代行車両10の後方を撮像して画像情報を生成するものである。
左方カメラ74Cは、代行車両10の左方を撮像して画像情報を生成するものである。
右方カメラ74Dは、代行車両10の右方を撮像して画像情報を生成するものである。
それら4つの画像情報は、代行車両側通信部60から遠隔操作装置45Aの遠隔操作装置側通信部58に無線回線を介して送信される。
なお、画像情報は、動画であっても一定の時間間隔で生成された静止画であってもよい。
【0056】
測位部76は、測位衛星から受信した測位信号に基づいて代行車両10の位置を測位し測位情報を生成するものである。
このような測位衛星は、GPS、GLONASS、Galileo、準天頂衛星(QZSS)等のGNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)で用いられるものであり、それら測位システムで使用される測位衛星の1つを用いてもよく、あるいは、2つ以上の測位衛星を組み合わせて用いても良い。
測位部76で生成された測位情報は、代行車両側通信部60から遠隔操作装置45Aの遠隔操作装置側通信部58に無線回線を介して送信される。
【0057】
図10に示すように、遠隔操作装置45Aには、操作入力部78、地図データベース80、表示部82が設けられている。
操作入力部78は、遠隔操作を行なう操縦者の操作を受け付けるものであり、例えば、表示部82の表示面に設けられたタッチパネルや表示部82とは独立して設けられたキースイッチで構成されている。
操作入力部78は、操作に応じて後述する報知部56Bに対して表示部82で表示する情報の切り替えを指示するものである。
【0058】
地図データベース80は、代行車両10が走行する場所を含む地図情報を格納しており、地図情報は地球上の測位情報(位置情報)と関連付けられている。
地図情報は、道路、交差点、信号機などの車両が走行するために必要な情報、および、代行車両10が出発地あるいは目的地とする店鋪や施設、集合住宅などの情報、山や河川、港などの地形を示す情報などを含んでいる。
【0059】
表示部82は、後述する報知部56Bの制御に基づいて、代行車両10の周辺の画像情報を表示し、また、遠隔制御側通信部58で受信された測位情報に基づいて地図データベース80から読み出された地図情報上に代行車両10の位置を表示する。
【0060】
遠隔操作装置45Aの制御部56は、制御プログラムを実行することにより司令情報生成部56Aに加え、報知部56Bとして機能する。
報知部56Bは、代行車両側通信部60から無線回線を介して送信された画像情報を表示部82に表示させ、また、代行車両側通信部60から無線回線を介して送信された測位情報に基づいて地図データベース80から地図情報を読み出し、測位情報に基づいてその地図情報上に代行車両10の現在位置を示すアイコンを重ね合わせて表示部82に表示させる。
また、報知部56Bは、操作入力部78の操作に応じて画像情報および地図情報を表示部82に表示させる。
【0061】
図11に示す表示例では、表示部82の表示画面8202が左右に2分割され、表示画面8202の左側に前方の画像情報Dgが、右側に地図情報Dmがそれぞれ表示されており、図中、符号84Aは道路を示し、符号84Bは代行車両10の進行方向と位置を示す矢印アイコンである。
画像情報Dgの表示は、代行車両10の前方、後方、左方、右方の画像情報Dgのうち、前方の画像情報Dgのみを常時表示するようにしておき、操作入力部78の操作に応じて後方、左方、右方の画像情報Dgから選択した画像情報Dgを切り替えて表示するようにしてもよい。あるいは、前方、後方、左方、右方の全てあるいは前方、後方、左方、右方から選択された2つ以上の画像情報Dgを表示させるようにしてもよい。
なお、画像情報Dgと地図情報Dmの表示形態は、本例に限定されるものではない。
例えば、表示画面8202の大半に画像情報Dgを表示させると共に、表示画面8202の片隅に地図情報Dmを小さい表示面積で表示させるといった表示形態など、従来公知の様々な表示形態が採用可能である。
【0062】
なお、遠隔操作装置45Aは以下のように構成してもよい。
すなわち、営業所の事務室内に、代行車両10と同様の運転席を設けると共に、運転席の前方に大きな表示部82を設ける。
遠隔操作装置45Aの第1~第9遠隔操作レバー50A~50Iに代えて、エンジンスイッチ14、ハンドル16(ステアリング)、シフトレバー18、操作ボタン20、ブレーキペダル22、アクセルペダル24、パーキングブレーキペダル26、ウィンカーレバー28、ライトスイッチ30に模した遠隔操作部材を運転席の近傍にそれぞれ設ける。
第1~第9角度センサ52A~52Iに代えてそれら各遠隔操作部材の操作量を検出する第1~第9操作量検出センサを設ける。
司令情報生成部56は、第1~第9操作量検出センサで検出された操作量に基づいて遠隔操作指令情報を生成する。
このようにすると、あたかも実際の代行車両10を運転操作するのと同じ操作で代行車両10の遠隔操作を行なうことができ、代行車両10を遠隔操作する際の操作性の向上を図る上で有利となる。
【0063】
次に、1名の係員で代行車両10を運用して利用者に運転代行のサービスを提供する場合について具体的に説明する。
利用者からの運転代行の依頼を受け付けたならば、第1の実施の形態と同様の手順で営業所の駐車場64から停車スペース72まで代行車両10を遠隔操作により移動させる。
次いで、係員は、遠隔操作装置45Aのモード切替スイッチ54を操作して遠隔操作モードから手動操作モードに切り替え、代行車両10に乗車して運転操作を行ない利用者が所在する第1目的地まで移動する。ここで、係員は遠隔操作装置45Aを所持して代行車両10に乗車する。
代行車両10が第1目的地に到着したならば、係員はそこで代行車両10を乗り捨てると共に、遠隔操作装置45Aを所持して利用者と共に利用者の車両に乗り換え、利用者の車両を第2目的地まで運転する。
利用者の車両が第2目的地に到着したならば、係員は利用者の車両から遠隔操作装置45Aを所持して降車し、利用者の車両を利用者に引き渡して運転代行のサービスを終了する。
【0064】
次いで、係員(以下操縦者ともいう)は、所持していた遠隔操作装置45Aのモード切替スイッチ54を操作して手動操作モードから遠隔操作モードに切り替える。
この際、図11に示すように、操縦者は表示部82に表示される例えば前方カメラ74Aで撮像された画像情報Dgと代行車両10の現在位置が矢印アイコン84Bで表示された地図情報Dmを視認しつつ遠隔操作装置45Aを操作し、代行車両10を第2目的地へ向かって走行させる。
したがって、表示部82で表示される画像情報Dgおよび代行車両10の現在位置が矢印アイコン84Bで表示された地図情報Dmに基づいて操縦者の視界外で代行車両10を遠隔操作できるため、代行車両10から離れた箇所である第2目的地に代行車両10を移動させることができる。
【0065】
代行車両10が第2目的地に到着したならば、係員は、遠隔操作装置45Aのモード切替スイッチ54を操作して遠隔操作モードから手動操作モードに切り替え、代行車両10に乗車して営業所まで運転する。
営業所の停車スペース72に到着したならば、係員は、遠隔操作装置45Aのモード切替スイッチ54を操作して手動操作モードから遠隔操作モードに切り替え、代行車両10を遠隔操作により駐車場64の空車スペースに移動させ駐車させる。
以上で1名の係員による代行車両10を運用した利用者に対する運転代行のサービスにまつわる作業が終了する。
【0066】
第2の実施の形態によれば、係員が代行車両10を利用者が所在していた第1目的地に乗り捨てした場合でも、表示部82で表示される画像情報Dgおよび代行車両10の現在位置が矢印アイコン84Bで表示された地図情報Dmに基づいて係員の視界外で代行車両10を遠隔操作できるため、第1目的地から離れた第2目的地に向かって代行車両10を走行させることができる。
そのため、代行車両10の1台について従来2名の係員が必要であったのに対して、1名の係員で足りるため、運転代行のサービスを提供するための人的コストの低減を図る上で有利となり、このコスト減を運転代行の利用代金に反映すれば、運転代行の利用率が増加し飲酒運転を抑制する上で有利となる。また、代行者1人でも運転代行事業を行うことができるので、運転代行事業者が増えて利用者の利用のハードルを低くする上で有利となる。
【0067】
なお、測位部76および地図データベース80を省略し、表示部82に画像情報Dgのみを表示させる構成としても、操縦者が表示部82に表示された画像情報Dgを視認しつつ代行車両10の遠隔操作を行なうことができる。
しかしながら、本実施の形態のように測位部76および地図データベース80を設け、表示部82に画像情報Dgおよび代行車両10の現在位置が表示された地図情報Dmを表示させるようにすると、操縦者が知らない場所であっても代行車両10の位置を地図情報Dm上で把握できるため、代行車両10の遠隔操作を簡単に確実に行なう上で有利となる。
【0068】
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態について図8図12図13を参照して説明する。
第3の実施の形態は、第2の実施の形態の変形例であり、目的地を設定することで経路を探索し、探索された経路に基づいて道路案内を行えるようにしたものである。
なお、第3の実施の形態では、代行車両10および代行車両側制御装置12の構成は第2の実施の形態と同様である。
【0069】
図12に示すように、地図データベース80は、第2の実施の形態で説明した地図情報Dmに加え、目的地を特定する目的地情報と、地図情報Dmとを関連付けて記憶している。
ここで目的地情報とは、目的地に紐付けられた店鋪の名称、施設の名称、住宅の名称、住所、電話番号などを含み、目的地情報に基づいて地図データベース80から目的地に対応した地図情報Dmを特定することが可能となる。
また、操作入力部78は、操作に応じて後述する目的地情報を入力し後述する位置情報特定部56Cに与える機能をさらに有している。
また、表示部82は、後述する経路探索部56Dで探索された走行経路に基づいて道路案内の表示を行なう機能をさらに有している。
【0070】
遠隔操作装置45Bの制御部56は、制御プログラムを実行することにより司令情報生成部56A、報知部56Bに加え、位置情報特定部56C、経路探索部56Dとして機能する。
位置情報特定部56Cは、操作入力部78に入力された目的地情報に基づいて地図情報Dmから目的地の位置情報を特定するものである。
経路探索部56Dは、遠隔制御側通信部58で受信された測位情報と目的地の位置情報とに基づいて地図情報Dmから走行すべき走行経路を探索するものである。
【0071】
次に、このような遠隔操作装置45Bを用いて、1名の係員で代行車両10を運用して利用者に運転代行のサービスを提供する場合について具体的に説明する。
係員が利用者からの運転代行の依頼を受け付けてから、利用者を第2目的地に送り届け、第2目的地で利用者の車両を利用者に引き渡すまでの作業内容は第2の実施の形態と同様であるため説明を省略する。
【0072】
利用者の車両を利用者に引き渡したならば、係員(操縦者)は、遠隔操作装置45Bのモード切替スイッチ54を操作して手動操作モードから遠隔操作モードに切り替える。
次いで、係員は、利用者を送り届ける第2目的地に対応する目的地情報を、操作入力部78を操作して入力する。
これにより位置情報特定部56Cは、操作入力部78に入力された目的地情報に基づいて地図情報Dmから目的地の位置情報を特定する。
さらに、経路探索部56Dは、遠隔制御側通信部58で受信された測位情報と目的地の位置情報とに基づいて地図情報Dmから走行すべき走行経路を探索する。
すると、表示部82は、経路探索部56Dで探索された走行経路に基づいて道路案内の表示を行なう。
【0073】
具体的には、図13に示すように、目的地が目的地アイコン86で示され、代行車両10の現在位置を示す矢印アイコン84が示され、目的地と現在地を結ぶ走行経路88が他の道路と異なる形態(色や太さ)で表示される。
次いで、操縦者は、遠隔操作装置45Bの第1~第9遠隔操作レバー50A~50Iを操作して、代行車両10を第1目的地から目的地である第2目的地まで走行させる。
この際、図13に示すように、操縦者は表示部82に表示される前方カメラ74A、後方カメラ74B、左方カメラ74C、右方カメラ74Dで撮像された画像情報Dgと地図情報Dmを用いた道路案内を視認しつつ遠隔操作装置45Bを操作し、代行車両10を目的地へ向かって走行させる。
したがって、表示部82で表示される画像情報Dgおよび地図情報Dmを用いた道路案内(走行経路88)に基づいて操縦者の視界外で代行車両10を遠隔操作できるため、代行車両10から離れた箇所である第2目的地に代行車両10を移動させることができる。
【0074】
代行車両10が第2目的地に到着したならば、係員(操縦者)は、遠隔操作装置45Bのモード切替スイッチ54を操作して遠隔操作モードから手動操作モードに切り替え、代行車両10に乗車して営業所まで運転する。
営業所の停車スペース72に到着したならば、係員は、遠隔操作装置45Bのモード切替スイッチ54を操作して手動操作モードから遠隔操作モードに切り替え、代行車両10を遠隔操作により駐車場64の空車スペースに移動させ駐車させる。
以上で1名の係員による代行車両10を運用した利用者に対する運転代行のサービスにまつわる作業が終了する。
【0075】
第3の実施の形態によれば、係員が代行車両10を利用者が所在していた第1目的地に乗り捨てした場合でも、表示部82で表示される画像情報Dgおよび地図情報Dmを用いた道路案内(走行経路88)に基づいて操縦者の視界外で代行車両10を的確に遠隔操作できるため、第1目的地から離れた第2目的地に向かって代行車両10をより円滑にかつ短時間で走行させることができる。
そのため、第2の実施の形態と同様の効果が奏されることは無論のこと、代行車両10の遠隔操作による走行に要する時間を短縮できるため、代行車両10の運用効率を高め、運転代行のサービスに要するコストの低減を図る上でより有利となる。
【0076】
なお、第2、第3の実施の形態では、前方カメラ74A、後方カメラ74B、左方カメラ74C、右方カメラ74Dの4台のカメラを設けた場合について説明したが、カメラの数や配置は任意である。また、複数のカメラを設ける代わりに、撮像範囲が広範囲である全天球カメラや半天球カメラを用いるなど任意である。
【0077】
(第4の実施の形態)
次に第4の実施の形態について図8図9図10図11を流用して説明する。
第4の実施の形態は、第1目的地に到着した代行車両10を乗り捨てにしたのち、第2目的地に到着した係員が遠隔操作装置45Aを用いて代行車両10を遠隔操作するのではなく、事務所66に所在する別の係員(以下事務所側係員という)が事務所66に設置された事務所側の遠隔操作装置45Aを用いて代行車両10を遠隔操作して利用者の車両を追尾して第1目的地から第2目的地まで走行させるようにするものである。
【0078】
次に、事務所側係員と代行車両10を運転する係員とで、代行車両10を運用して利用者に運転代行のサービスを提供する場合について具体的に説明する。
なお、第4の実施の形態では、事務所側の遠隔操作装置45Aと、これとは別の係員が所持する遠隔操作装置45Aとの2台の遠隔操作装置45Aを用いる。
利用者からの運転代行の依頼を受け付けたならば、係員は自らが所持する遠隔操作装置45Aを用いて、第1の実施の形態と同様の手順で営業所の駐車場64から停車スペース72まで代行車両10を遠隔操作により移動させる。
【0079】
次いで、係員は、自らが所持する遠隔操作装置45Aのモード切替スイッチ54を操作して遠隔操作モードから手動操作モードに切り替え、代行車両10に乗車して運転操作を行ない利用者が所在する第1目的地まで移動する。
代行車両10が第1目的地に到着したならば、係員はそこで代行車両10を乗り捨てて利用者の車両に乗り換え、利用者を車両に乗せて第2目的地まで利用者の車両を運転する。
この際、係員は、代行車両10を遠隔操作することにより代行車両10で利用者の車両を追尾する旨を事務所側係員に対して例えば電話連絡により依頼する。
【0080】
依頼を受けた事務所側係員(操縦者)は、事務所側の遠隔操作装置45Aのモード切替スイッチ54を操作して手動操作モードから遠隔操作モードに切り替える。
そして、図11に示すように、事務所側係員は表示部82に表示される例えば前方カメラ74Aで撮像された画像情報Dgと代行車両10の現在位置が矢印アイコン84Bで表示された地図情報Dmを視認しつつ事務所側の遠隔操作装置45Aを操作し、代行車両10によって利用者の車両を追尾させ第2目的地へ向かって走行させる。
利用者の車両および代行車両10が第2目的地に到着したならば、係員は利用者の車両から降車し、利用者の車両を利用者に引き渡して運転代行のサービスを終了する。
【0081】
次いで、事務所側係員(操縦者)は、事務所側の遠隔操作装置45Aのモード切替スイッチ54を操作して遠隔操作モードから手動操作モードに切り替え、遠隔操作の作業を終了し、これ以降は代行車両10の遠隔操作を行なわない。
係員は、第2目的地で代行車両10に乗車して営業所まで運転する。
営業所の停車スペース72に到着したならば、係員は、自らが所持する遠隔操作装置45Aのモード切替スイッチ54を操作して手動操作モードから遠隔操作モードに切り替え、代行車両10を遠隔操作により駐車場64の空車スペースに移動させ駐車させる。
以上で事務所側係員および係員による代行車両10を運用した利用者に対する運転代行のサービスにまつわる作業が終了する。
【0082】
第4の実施の形態によれば、1名の事務所側係員が必要となるものの、従来2名必要だった代行車両10に乗車する係員が1名で足りるため、第2の実施の形態と同様に、運転代行のサービスを提供するための人的コストの低減を図る上で有利となる。
また、通常の代行運転のサービスと同様に第1目的地から第2目的地に移動する利用者の車両を追尾するように代行車両10を遠隔操作するため、係員は第2目的地に到着した代行車両10に直ちに乗り換えることができ、第2、第3の実施の形態に比較して代行車両10を短時間で営業所に戻すことができる。
したがって、代行車両10の運用効率を高め、運転代行のサービスに要するコストの低減を図る上で有利となる。
なお、測位部76および地図データベース80を省略し、表示部82に画像情報Dgのみを表示させる構成とし、操縦者が表示部82に表示された画像情報Dgを視認しつつ代行車両10で利用者の車両を追尾するように遠隔操作を行なうようにしてもよいが、第4の実施の形態のように、画像情報Dgと代行車両10の現在位置が表示された地図情報Dmを視認しつつ事務所側の遠隔操作装置45Aを操作できるようにすると、代行車両10の遠隔操作をより的確に行なう上で有利となる。
【0083】
(第5の実施の形態)
次に第5の実施の形態について図14(A)、(B)を参照して説明する。
第5の実施の形態は、第1の実施の形態の変形例であり、ハンドル16を操作する第2アクチュエータ90の構成が第1の実施の形態と異なっている。
【0084】
図14(A)、(B)に示すように、第2アクチュエータ90は、2つの直動式シリンダ90A、90B(直動式電気シリンダ)を含んで構成されている。
各直動式シリンダ90A、90Bは、シリンダ本体9002と、シリンダ本体9002に組み込まれたモータ(不図示)と、シリンダ本体9002に組み込まれたピストンロッド9004とを備えている。
図14(A)に示すように、ハンドル16の中立位置(転舵角が0度)に位置した状態で、ハンドル本体1602の上部に連結部92が取り付けられている。
連結部92には、ハンドルシャフト1604の中心軸と平行に延在するハンドル側支軸1610が代行車両10後方に向けて突設されている。
また、ハンドル16を代行車両10の後方から見た状態で、車幅方向でハンドル16を挟むインストルメントパネルの2箇所にハンドルシャフト1604の中心軸と平行に延在する車体側支軸1010A、1010Bがそれぞれ代行車両10後方に向けて突設されており、それら2つの車体側支軸1010A、1010Bは、ハンドルシャフト1604の中心軸を対称点として点対称な位置に不図示のブラケットを介して設けられている。
【0085】
2つの直動式シリンダ90A、90Bのうち一方の直動式シリンダ90Aは、そのシリンダ本体9002の基端が一方の車体側支軸1010Aを介して揺動可能に支持され、ピストンロッド9004の先端がハンドル側支軸1610に揺動可能に支持されている。
2つの直動式シリンダ90A、90Bのうち他方の直動式シリンダ90Bは、そのシリンダ本体9002の基端が他方の車体側支軸1010Bを介して揺動可能に支持され、ピストンロッド9004の先端がハンドル側支軸1610に揺動可能に支持されている。
したがって、各直動式シリンダ90A、90Bは、運転席に着座した運転者によるハンドル16の手動操作を妨げない箇所(インストルメントパネル)に着脱可能に設けられている。
【0086】
第5の実施の形態の制御系について図1を流用して説明すると、第2検出部62Bは、第2アクチュエータ90を構成する2つの直動式シリンダ90A、90Bのピストンロッド9004の移動量を操作量としてそれぞれ検出する。
サーボ制御部64は、操作部材制御部66Aの制御により第2検出部62Bでそれぞれ検出された操作量に基づいて第2アクチュエータ90(直動式シリンダ90A、90B)のサーボ制御をそれぞれ行なう。
具体的には、一方のピストンロッド9004が突出し、他方のピストンロッド9004が収縮することによって各直動式シリンダ90A、90Bは車体側支軸1010A、1010Bを支点としてそれぞれ揺動しつつ、各ピストンロッド9004からハンドル側支軸1610、連結部92を介してハンドル16に対して回転方向への力が作用し、これによりハンドル16が回転される。
遠隔操作モード時、代行車両側制御装置12によって各直動式シリンダ90A、90Bのモータに駆動信号が供給されることで、シリンダ本体9002に対してピストンロッド9004が出没し、ハンドル16が正逆回転されることで代行車両10の転舵角の調整がなされる。
手動操作モード時、代行車両側制御装置12によって各直動式シリンダ90A、90Bのモータに供給される駆動信号がオフとされることで各直動式シリンダ90A、90Bはサーボフリーとなり、運転席に着座した運転者は、ハンドル16の手動操作が可能となっている。
このような第5の実施の形態によっても第1の実施の形態と同様の効果が奏される。
【符号の説明】
【0087】
10 代行車両
12 代行車両側制御装置
14 エンジンスイッチ
1402 押しボタン
16 ハンドル(ステアリング)
1602 ハンドル本体
18 シフトレバー
1802 揺動軸
1804 被把持部
20 操作ボタン
22 ブレーキペダル
24 アクセルペダル
26 パーキングブレーキペダル
28 ウィンカーレバー
2802 レバー本体
30 ライトスイッチ
32 第1アクチュエータ
34 第2アクチュエータ
36 第3アクチュエータ
38 第4アクチュエータ
40 第5アクチュエータ
42 第6アクチュエータ
44 第7アクチュエータ
46 第8アクチュエータ
48 第9アクチュエータ
45、45A、45B 遠隔操作装置
50A~50I 第1~第9操作レバー
52A~52I 第1~第9角度センサ
54 モード切替スイッチ
56 制御部
56A 司令情報生成部
56B 報知部
58 遠隔制御側通信部
60 代行車両側通信部
74A 前方カメラ
74B 後方カメラ
74C 左方カメラ
74D 右方カメラ
76 測位部
78 操作入力部
80 地図データベース
82 表示部
8202 表示画面
Dg 画像情報
Dm 地図情報
84A 道路
84B 矢印アイコン
86 目的地アイコン
88 走行経路
90 第2アクチュエータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14