(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
F24C 3/12 20060101AFI20240404BHJP
F24C 3/02 20210101ALI20240404BHJP
【FI】
F24C3/12 C
F24C3/12 X
F24C3/02 E
(21)【出願番号】P 2020175176
(22)【出願日】2020-10-19
【審査請求日】2023-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩井 拓磨
(72)【発明者】
【氏名】梅津 祥充
(72)【発明者】
【氏名】銅島 誠二
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-153556(JP,A)
【文献】特開昭59-107121(JP,A)
【文献】特開昭59-081426(JP,A)
【文献】特開2000-046339(JP,A)
【文献】特開2019-020014(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0191450(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/12
F24C 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナと、
被加熱物を収容する加熱庫と、
前記バーナから前記加熱庫へ燃焼ガスを送る送風装置と、
前記加熱庫からの排気ガスが流れる排気ダクトと、
前記加熱庫の上面に沿って伸びており、かつ前記排気ダクトの周囲を囲んでおり、第1給気口を介して外部から流入して第1排気口を介して外部に流出する空気が通過する第1空気通路と、
前記第1空気通路の上面に沿って伸びており、第2給気口を介して外部から流入して第2排気口を介して外部に流出する空気が通過する第2空気通路と、
前記第2空気通路内に配置された回路基板と、
前記第2空気通路内に配置された冷却装置と、
前記第2空気通路内に配置された温度センサを備えており、
前記排気ダクトが、前記第1空気通路と連通する連通口を有しており、
前記温度センサが、前記排気ダクトから前記連通口を介して前記第1空気通路に流入する排気ガスが流れる箇所に対向して配置されており、
前記温度センサで検出される温度が所定の条件を満たす場合に、前記バーナの火力を制限する、加熱調理器。
【請求項2】
前記排気ダクトが、下流側よりも流路面積が狭い流路絞り部を有しており、
前記連通口が、前記流路絞り部の下流側に配置されている、請求項1の加熱調理器。
【請求項3】
前記排気ダクトの内部に配置されており、前記排気ガスを前記連通口に向けて案内する案内部材をさらに備えている、請求項1または2の加熱調理器。
【請求項4】
前記第1空気通路内に配置されており、前記排気ダクトから前記連通口を介して前記第1空気通路に流入する前記排気ガスが前記第1給気口に向けて流れることを防止する逆流防止部材をさらに備えている、請求項1から3の何れか一項の加熱調理器。
【請求項5】
前記温度センサが、前記第1空気通路を挟んで前記連通口に対向する位置に配置されている、請求項1から4の何れか一項の加熱調理器。
【請求項6】
前記温度センサが、水平に対して傾斜した傾斜板に配置されている、請求項5の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、加熱調理器が開示されている。前記加熱調理器は、バーナと、被加熱物を収容する加熱庫と、前記バーナから前記加熱庫へ燃焼ガスを送る送風装置と、前記加熱庫からの排気ガスが流れる排気ダクトと、前記加熱庫の上面に沿って伸びており、かつ前記排気ダクトの周囲を囲んでおり、第1給気口を介して外部から流入して第1排気口を介して外部に流出する空気が通過する第1空気通路と、前記第1空気通路の上面に沿って伸びており、第2給気口を介して外部から流入して第2排気口を介して外部に流出する空気が通過する第2空気通路と、前記第2空気通路内に配置された回路基板と、前記第2空気通路内に配置された冷却装置と、前記第2空気通路内に配置された温度センサを備えている。前記加熱調理器は、前記温度センサで検出される温度が所定の条件を満たす場合に、前記バーナの火力を制限する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の加熱調理器では、冷却装置に何らかの異常が生じて、第2空気通路の温度が上昇していく場合でも、温度センサの検出温度は比較的緩やかに上昇していくので、異常の発生を検出するまでにある程度の時間を要する。本明細書では、冷却装置に異常が発生した場合に、速やかにバーナの火力を低減することが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する加熱調理器は、バーナと、被加熱物を収容する加熱庫と、前記バーナから前記加熱庫へ燃焼ガスを送る送風装置と、前記加熱庫からの排気ガスが流れる排気ダクトと、前記加熱庫の上面に沿って伸びており、かつ前記排気ダクトの周囲を囲んでおり、第1給気口を介して外部から流入して第1排気口を介して外部に流出する空気が通過する第1空気通路と、前記第1空気通路の上面に沿って伸びており、第2給気口を介して外部から流入して第2排気口を介して外部に流出する空気が通過する第2空気通路と、前記第2空気通路内に配置された回路基板と、前記第2空気通路内に配置された冷却装置と、前記第2空気通路内に配置された温度センサを備えている。前記排気ダクトは、前記第1空気通路と連通する連通口を有している。前記温度センサは、前記排気ダクトから前記連通口を介して前記第1空気通路に流入する排気ガスが流れる箇所に対向して配置されている。前記加熱調理器は、前記温度センサで検出される温度が所定の条件を満たす場合に、前記バーナの火力を制限する。
【0006】
上記の構成によれば、加熱調理器が加熱運転を実行中に、温度センサは、第2空気通路内に配置された冷却装置によって冷却されるとともに、排気ダクトから連通口を介して第1空気通路に流入した排気ガスからの伝熱によって加熱される。このため、加熱調理器が加熱運転を実行中に、冷却装置に異常が発生した場合には、温度センサで検出される温度は急激に上昇していく。このような構成とすることによって、冷却装置に異常が発生した場合に、温度センサによって冷却装置の異常の発生を速やかに検出して、バーナの火力を制限することができる。また、上記の構成によれば、加熱調理器が加熱運転を実行していない場合には、排気ガスからの伝熱による温度センサの加熱が行われないので、例えば加熱庫の余熱によって温度センサの温度が上昇する場合でも、温度センサの検出温度がそれほど高温になることがない。このような構成とすることによって、冷却装置の異常の発生以外の原因によって温度センサで検出される温度が上昇した場合でも、冷却装置に異常が発生していると誤検知してしまうことを防止することができる。
【0007】
前記加熱調理器において、前記排気ダクトは、下流側よりも流路面積が狭い流路絞り部を有していてもよい。前記連通口は、前記流路絞り部の下流側に配置されていてもよい。
【0008】
上記の構成によれば、流路絞り部から下流側に流れた排気ガスの拡散効果によって、より多くの排気ガスを排気ダクトから連通口を介して第1空気通路に流出させることができる。冷却装置に異常が発生した場合に温度センサで検出される温度の上昇をより急激なものとすることができ、冷却装置の異常の発生を速やかに検出することができる。
【0009】
前記加熱調理器は、前記排気ダクトの内部に配置されており、前記排気ガスを前記連通口に向けて案内する案内部材をさらに備えていてもよい。
【0010】
上記の構成によれば、より多くの排気ガスを排気ダクトから連通口を介して第1空気通路に流出させることができる。冷却装置に異常が発生した場合に温度センサで検出される温度の上昇をより急激なものとすることができ、冷却装置の異常の発生を速やかに検出することができる。
【0011】
前記加熱調理器は、前記第1空気通路内に配置されており、前記排気ダクトから前記連通口を介して前記第1空気通路に流入する前記排気ガスが前記第1給気口に向けて流れることを防止する逆流防止部材をさらに備えていてもよい。
【0012】
上記の構成によれば、排気ダクトから連通口を介して第1空気通路に流入した排気ガスが、第1空気通路を逆流して第1給気口から流出してしまうことを抑制することができる。
【0013】
前記加熱調理器において、前記温度センサは、前記第1空気通路を挟んで前記連通口に対向する位置に配置されていてもよい。
【0014】
上記の構成によれば、温度センサを、排気ガスからの伝熱によって加熱されやすくすることができる。冷却装置に異常が発生した場合に温度センサで検出される温度の上昇をより急激なものとすることができ、冷却装置の異常の発生を速やかに検出することができる。
【0015】
前記加熱調理器において、前記温度センサは、水平に対して傾斜した傾斜板に配置されていてもよい。
【0016】
上記の構成によれば、仮に第2空気通路内に煮こぼれ等の液体が入り込んだ場合でも、傾斜板に液体が滞留することはないので、第2空気通路に入り込んだ液体が温度センサによる温度検出に影響を及ぼすことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施例の加熱調理器10の概略の構成を示す図である。
【
図2】実施例の加熱調理器10の排気ダクト44近傍の縦断面図である。
【
図3】実施例の加熱調理器10の流路部材51の斜視図である。
【
図4】実施例の加熱調理器10の制御基板68が行う処理を示すフローチャートである。
【
図5】変形例の加熱調理器10の排気ダクト44近傍の縦断面図である。
【
図6】別の変形例の加熱調理器10の排気ダクト44近傍の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施例)
図1に示す本実施例の加熱調理器10は、業務用に使用されるコンベクションオーブンである。加熱調理器10は、筐体12と、加熱庫14と、バーナ室16と、循環ファン室18と、電装品室20と、ファンモータ室21を備えている。加熱庫14と、バーナ室16と、循環ファン室18と、電装品室20と、ファンモータ室21は、筐体12の内部に収容されている。
【0019】
加熱庫14は、上下方向に並んで配置された複数のトレー22を備えている。それぞれのトレー22には、食材や調理容器などの被加熱物Wを載置可能である。ユーザは、前扉24を開いた状態で、加熱庫14に被加熱物Wを出し入れ可能である。前扉24は、筐体12に対して前扉24の下端を回動軸として前後に回動させることで、開閉可能である。
【0020】
バーナ室16は、加熱庫14より下方に配置されている。バーナ室16には、燃料ガスを燃焼させるバーナ26が設けられている。バーナ26には、図示しないガス供給管から燃料ガスが供給される。ガス供給管には、図示しないガス開閉弁とガス流量調整弁が設けられている。ガス供給管のガス開閉弁が開かれた状態で、図示しないイグナイタが点火動作を行うと、バーナ26は点火する。バーナ26の燃焼中に、ガス供給管のガス流量調整弁の開度を調整することで、バーナ26の火力を調整することができる。バーナ26の燃焼中に、ガス供給管のガス開閉弁が閉じられると、バーナ26は消火する。バーナ室16の前端には、外部から空気が流入する給気口28が設けられている。バーナ室16の後端は、燃焼ガス通路30の下端に連通している。
【0021】
燃焼ガス通路30は、加熱庫14の後面に沿って上下方向に伸びている。加熱庫14と燃焼ガス通路30の間には、フィルタ32が配置されている。燃焼ガス通路30の後方には、循環ファン室18が配置されている。燃焼ガス通路30と循環ファン室18は、開口34を介して連通している。
【0022】
循環ファン室18には、循環ファン36が配置されている。循環ファン36は、ファンモータ38によって回転駆動される。ファンモータ38は、ファンモータ室21に配置されている。ファンモータ室21は、循環ファン室18より後方に配置されている。循環ファン室18の下部は、循環通路40の後端に連通している。循環通路40の前端は、加熱庫14内の最下部で開口している。
【0023】
加熱庫14内の最上部には、排気通路42の前端が連通している。排気通路42の後端は、排気ダクト44の下端に連通している。排気ダクト44は、上下方向に伸びている。排気ダクト44の上端は、冷却通路46内で開口している。冷却通路46の上端は、筐体12の上面に形成された排気口48に連通している。排気ダクト44の上端の開口は、排気口48に対向している。
【0024】
ファンモータ室21の下端には、外部から空気が流入する給気口23が設けられている。ファンモータ室21の前上部には、冷却ダクト25の下端が連通している。冷却ダクト25は、排気ダクト44の後方に、排気ダクト44に隣接して配置されている。冷却ダクト25は、上下方向に伸びている。冷却ダクト25の上端は、冷却通路46内で開口している。冷却ダクト25の上端の開口は、排気口48に対向している。
【0025】
加熱調理器10において、循環ファン36を回転させて、バーナ26を燃焼させると、バーナ26からの燃焼ガスが、バーナ室16から燃焼ガス通路30を経由して循環ファン室18へ流入し、循環通路40を経由して加熱庫14内の最下部に送り出される。加熱庫14内に流れ込んだ燃焼ガスは、トレー22に載置された被加熱物Wの周囲を流動して、被加熱物Wを加熱する。加熱庫14内の一部の燃焼ガスは、循環ファン36の回転によって、フィルタ32を介して燃焼ガス通路30に吸引され、再び循環ファン室18、循環通路40を経由して、加熱庫14内の最下部に送り出される。加熱庫14内の残りの燃焼ガスは、排気通路42を介して排気ダクト44へ流入し、排気ダクト44の上端から排気口48に向けて流れて、筐体12の外部に排出される。なお、バーナ26の燃焼用の空気は、循環ファン36の回転によって、筐体12の外部から給気口28を介してバーナ室16内に吸引される。
【0026】
冷却通路46は、加熱庫14、燃焼ガス通路30、循環ファン室18、排気通路42よりも上方に配置されている。冷却通路46は、加熱庫14、排気通路42の上面を覆っているとともに、排気ダクト44、冷却ダクト25の周囲を囲っている。冷却通路46の前端には、給気口50が形成されている。
【0027】
前扉24は、内側冷却通路52と、外側冷却通路54を備えている。内側冷却通路52は、加熱庫14の前面を覆う形状に形成されている。外側冷却通路54は、内側冷却通路52の前面を覆う形状に形成されている。内側冷却通路52の下端には、外部から空気が流入する給気口56が形成されている。外側冷却通路54の下端には、外部から空気が流入する給気口58が形成されている。内側冷却通路52の上端は、開口60を介して外側冷却通路54に連通している。外側冷却通路54の最上部の後面には、排気口62が形成されている。排気口62は、前扉24が閉じられた時に、冷却通路46の給気口50に近接して対向する位置に配置されている。
【0028】
加熱調理器10が燃焼ガスによって加熱庫14内の被加熱物Wを加熱する際には、排気ダクト44から排気口48へ排出される排気ガスの流れに引っ張られて、冷却通路46内の空気も排気口48へ排出される。この空気の流れによって、前扉24の給気口56と給気口58のそれぞれに空気が流入する。給気口56に流入した空気は、内側冷却通路52を下方から上方に向けて流れた後、開口60を介して外側冷却通路54に流入する。給気口58に流入した空気は、外側冷却通路54を下方から上方に向けて流れる。この内側冷却通路52と外側冷却通路54を流れる空気の流れによって、前扉24の前面が加熱庫14からの熱によって高温となることを抑制することができる。外側冷却通路54の上端まで流れた空気は、排気口62から排出されて、給気口50を介して冷却通路46に流入する。冷却通路46に流入した空気は、加熱庫14の上面に沿って前方から後方に向けて流れた後、排気口48から排出される。
【0029】
また、加熱調理器10が燃焼ガスによって加熱庫14内の被加熱物Wを加熱する際には、排気ダクト44から排気口48へ排出される排気ガスの流れに引っ張られて、冷却ダクト25内の空気も排気口48へ排出される。この空気の流れによって、ファンモータ室21の給気口23に空気が流入する。給気口23に流入した空気は、ファンモータ室21を下方から上方に向けて流れた後、冷却ダクト25を下方から上方に向けて流れる。このようなファンモータ室21内での空気の流れによって、ファンモータ室21の内部に配置されたファンモータ38が冷却される。これによって、加熱庫14からの熱によってファンモータ38が高温となることを抑制することができる。
【0030】
電装品室20は、加熱庫14よりも上方であって、排気ダクト44よりも前方に配置されている。電装品室20と加熱庫14の間には、冷却通路46が介在している。また、電装品室20と排気ダクト44の間にも、冷却通路46が介在している。電装品室20の前端には、操作基板64が配置されている。操作基板64は、筐体12の前面に設けられた操作パネル66に接続されている。操作パネル66は、ユーザに加熱調理器10の状態を表示する表示部(図示せず)と、ユーザから加熱調理器10に対する操作入力を受け入れる操作部(図示せず)を備えている。操作基板64は、操作パネル66の表示部の動作を制御するとともに、ユーザからの操作パネル66の操作部への操作入力を検出する回路基板である。電装品室20の操作基板64よりも後方には、制御基板68が配置されている。制御基板68は、操作基板64に接続されている。制御基板68は、加熱調理器10の各電気部品の動作を制御する回路基板である。
【0031】
上記したように、加熱調理器10が燃焼ガスによって加熱庫14内の被加熱物Wを加熱する際には、電装品室20と加熱庫14の間の冷却通路46に空気が流れる。このため、加熱庫14からの熱によって電装品室20が高温となることを抑制することができる。また、加熱調理器10が燃焼ガスによって加熱庫14内の被加熱物Wを加熱する際には、電装品室20と排気ダクト44の間の冷却通路46に空気が流れる。このため、排気ダクト44からの熱によって電装品室20が高温となることを抑制することができる。
【0032】
電装品室20の前端は、筐体12の前面に形成された給気口70に連通している。電装品室20の後端は、筐体12の上面に形成された排気口72に連通している。電装品室20の制御基板68よりも後方には、冷却ファン74が配置されている。冷却ファン74は、ファンモータ(図示せず)によって回転駆動される。冷却ファン74が回転すると、筐体12の外部から給気口70を介して電装品室20に空気が流入するとともに、電装品室20から排気口72を介して筐体12の外部に空気が流出する。このような電装品室20内での空気の流れによって、電装品室20の内部に配置された操作基板64、制御基板68が冷却される。なお、電装品室20の下部には、略水平な底板75が設けられており、電装品室20の後端の下部には、底板75の後端から上方に屈曲しており、水平よりも傾斜した傾斜板76が設けられている。傾斜板76には、温度センサ78が設けられている。温度センサ78は、冷却通路46を挟んで排気ダクト44に対向する位置に配置されている。
【0033】
図2に示すように、排気ダクト44の下部には、排気ダクト44の後方下部に設けられた壁部材45によって流路絞り部47が形成されている。流路絞り部47の流路面積は、流路絞り部47よりも下流側の(すなわち、壁部材45よりも上方の)排気ダクト44の流路面積よりも小さい。流路絞り部47よりも下流側の排気ダクト44の前面には、連通口49が形成されている。連通口49は、電装品室20の傾斜板76を挟んで、温度センサ78に対向する位置に配置されている。
【0034】
図3に示すように、排気ダクト44の連通口49には、流路部材51が取り付けられている。流路部材51は、連通口49の下端から電装品室20の傾斜板76に向けて冷却通路46内を延びる下側案内板53と、連通口49の右端から傾斜板76に向けて冷却通路46内を延びる右側案内板55と、連通口49の左端から傾斜板76に向けて冷却通路46内を延びる左側案内板57を備えている。下側案内板53の右端は、右側案内板55の下端に接続している。下側案内板53の左端は、左側案内板57の下端に接続している。なお、下側案内板53、右側案内板55および左側案内板57は、電装品室20の傾斜板76には当接していない。このため、排気ダクト44が高温となる場合であっても、流路部材51を介した伝熱によって電装品室20が高温となることが抑制されている。
【0035】
加熱調理器10が燃焼ガスによって加熱庫14内の被加熱物Wを加熱する際には、排気ダクト44を流れる排気ガスの一部は、連通口49を介して冷却通路46に流入する。連通口49を介して冷却通路46に流入した高温の排気ガスは、流路部材51によって案内されて、電装品室20の傾斜板76に沿って流れた後、排気口48から排出される。冷却通路46に流入した排気ガスは、下側案内板53によって、冷却通路46の上流側へ流れることが抑制されている。
【0036】
加熱調理器10が燃焼ガスによって加熱庫14内の被加熱物Wを加熱する際には、温度センサ78は、連通口49を介して冷却通路46に流入した排気ガスからの傾斜板76を介した伝熱によって加熱される。一方で、温度センサ78は、冷却ファン74の回転によって電装品室20内を流れる空気の流れによって冷却される。このため、加熱調理器10が加熱運転を行っている時に、冷却ファン74が正常に動作している場合には、温度センサ78はそれほど高温となることはない。これに対して、加熱調理器10が加熱運転を行っている時に、冷却ファン74が正常に動作していない場合には、温度センサ78は高温となる。このため、加熱調理器10が加熱運転を行っている時に、温度センサ78の温度を監視することによって、冷却ファン74の異常の有無を判別することができる。
【0037】
以下では
図4を参照して、加熱調理器10の動作について説明する。ユーザから操作パネル66を介して加熱運転の開始が指示されると、制御基板68は
図4に示す処理を実行する。
【0038】
S2では、制御基板68は、冷却ファン74を駆動する。
【0039】
S4では、制御基板68は、循環ファン36を駆動する。
【0040】
S6では、制御基板68は、バーナ26を点火する。これによって、加熱庫14内の被加熱物Wの加熱が開始される。
【0041】
S8では、制御基板68は、温度センサ78で検出される温度が上限温度(例えば200℃)を超えているか否かを判断する。温度センサ78で検出される温度が上限温度を超えている場合(YESの場合)、制御基板68は、冷却ファン74に異常が生じていると判断して、処理はS10へ進む。
【0042】
S10では、制御基板68は、バーナ26を消火する。
【0043】
S12では、制御基板68は、循環ファン36を停止する。
【0044】
S14では、制御基板68は、冷却ファン74を停止する。
【0045】
S16では、制御基板68は、操作パネル66を介して、加熱運転が異常終了したことをユーザに報知する。S16の後、
図4の処理は終了する。
【0046】
S8で、温度センサ78で検出される温度が上限温度以下の場合(NOの場合)、処理はS18へ進む。
【0047】
S18では、制御基板68は、S6でバーナ26を点火してからの経過時間が所定時間(例えば30分)に達したか否かを判断する。所定時間は、加熱調理器10の加熱運転の所要時間として、予め設定された時間である。経過時間が所定時間に達していない場合(NOの場合)、処理はS8へ戻る。経過時間が所定時間に達すると(YESとなると)、処理はS20へ進む。
【0048】
S20では、制御基板68は、バーナ26を消火する。
【0049】
S22では、制御基板68は、循環ファン36を停止する。
【0050】
S24では、制御基板68は、冷却ファン74を停止する。
【0051】
S26では、制御基板68は、操作パネル66を介して、加熱運転が正常終了したことをユーザに報知する。S26の後、
図4の処理は終了する。
【0052】
本実施例の加熱調理器10では、加熱運転の実行中に、温度センサ78で上限温度を超える温度が検出された場合に、冷却ファン74に異常が生じていると判断して、燃焼ガスによる被加熱物Wの加熱を終了して、ユーザに異常を報知する。このような構成とすることによって、操作基板64や制御基板68が過度に高温となって加熱調理器10が異常な動作をすることを抑制することができる。
【0053】
なお、
図4の処理において、加熱調理器10が加熱運転を実行中に温度センサ78で上限温度を超える温度が検出された場合に、バーナ26を消火せずに、バーナ26の火力を通常の火力よりも低い所定の制限火力まで低減した状態で、加熱運転を継続する構成としてもよい。この場合、S8において温度センサ78で検出される温度が上限温度以下の場合(NOの場合)に、制御基板68は、バーナ26の火力を制限火力まで低減した上で、操作パネル66を介して、異常の発生によりバーナ26の火力を制限していることをユーザに報知する。その後、処理はS8へ戻る。
【0054】
仮に、排気ダクト44が連通口49を備えておらず、冷却通路46内で排気ガスが傾斜板76に沿って流れない構成とした場合、加熱調理器10が加熱運転を行っている時に、冷却ファン74が正常に動作していない場合であっても、温度センサ78で検出される温度の上昇は緩やかなものとなる。このため、加熱調理器10が加熱運転を行っている時に、冷却ファン74が正常に動作している場合に温度センサ78で検出される温度と、冷却ファン74が正常に動作していない場合に温度センサ78で検出される温度の差は、小さなものとなる。従って、上記のような構成とした場合、
図4のS8の判定で用いる上限温度をより低い温度(例えば90℃)に設定する必要がある。しかしながら、温度センサ78で検出される温度は、冷却ファン74に異常が発生していない場合でも、ある程度の温度まで上昇することがある。例えば、加熱調理器10が加熱運転を終了し、循環ファン36や冷却ファン74が停止すると、高温となった加熱庫14からの伝熱によって、加熱調理器10の内部全体が高温となり、温度センサ78も高温となる。この状態から、再び加熱調理器10の加熱運転が開始されると、
図4のS8において温度センサ78で上限温度を超える温度が検出されてしまい、冷却ファン74が正常に動作しているにも関わらず、冷却ファン74に異常が発生していると誤検知してしまう。
【0055】
これに対して、本実施例のように、排気ダクト44に連通口49を設けて、冷却通路46内で排気ガスが傾斜板76に沿って流れる構成とした場合、加熱調理器10が加熱運転を行っている時に、冷却ファン74が正常に動作していない場合、温度センサ78で検出される温度の上昇は急激なものとなる。このため、加熱調理器10が加熱運転を行っている時に、冷却ファン74が正常に動作している場合に温度センサ78で検出される温度と、冷却ファン74が正常に動作していない場合に温度センサ78で検出される温度の差が、大きなものとなる。従って、
図4のS8の判定で用いる上限温度を高い温度(例えば200℃)に設定しても、冷却ファン74の異常の有無を判定することができる。このため、冷却ファン74の異常の発生以外の原因によって温度センサ78で検出される温度がある程度の温度まで上昇した場合でも、冷却ファン74に異常が発生していると誤検知してしまうことを防止することができる。
【0056】
本実施例の加熱調理器10では、排気ダクト44の流路絞り部47よりも下流側に連通口49が設けられている。このため、流路絞り部47から下流側に流れた排気ガスの拡散効果によって、排気ガスを連通口49から流出させることができる。排気ダクト44に流路絞り部47が設けられていない場合に比べて、より多くの排気ガスを連通口49から流出させることができる。
【0057】
上記の実施例において、温度センサ78は、検出される温度が上限温度(例えば200℃)を超えるか否かを検知するサーモスイッチであってもよいし、制御基板68に検出温度を出力するサーミスタや他の種類の温度センサであってもよい。制御基板68が温度センサ78の検出温度を取得可能な場合、
図4のS8において、温度センサ78で検出される温度を上限温度と比較する代わりに、例えば、制御基板68が温度センサ78で検出される温度の時間変化率を算出して、算出された時間変化率が所定値を超える場合に、S10の処理に移行し、算出された時間変化率が所定値以下の場合に、S18の処理に移行してもよい。
【0058】
上記の実施例において、温度センサ78の周囲をカバー(図示せず)により覆ってもよい。この場合、仮に排気口72から電装品室20内に煮こぼれ等の液体が入り込んだ場合でも、温度センサ78に液体が接触して温度センサ78の動作に影響を及ぼすことを抑制することができる。
【0059】
上記の実施例において、
図5に示すように、排気ダクト44の内部に、流路絞り部47から流出した排気ガスを連通口49に向けて案内する案内板59を設けてもよい。このような構成とすることによって、より多くの排気ガスを連通口49から流出させることができる。
【0060】
上記の実施例において、温度センサ78は、電装品室20の傾斜板76ではなく、電装品室20の底板75に設けられていてもよい。この場合、
図6に示すように、流路部材51の代わりに、連通口49からの排気ガスを、温度センサ78に対応する箇所の底板75に向けて案内する流路部材61を設けることによって、連通口49から冷却通路46に流出した排気ガスを、温度センサ78の下方の底板75に沿って流すことができ、排気ガスからの伝熱によって温度センサ78を加熱することができる。
【0061】
上記の実施例では、電装品室20内の空気の流れに関して、冷却ファン74が温度センサ78よりも上流側に配置されている場合について説明したが、冷却ファン74は、電装品室20内の他の箇所に配置されていてもよく、例えば温度センサ78よりも下流側に配置されていてもよい。
【0062】
上記の実施例では、排気ダクト44の上端が、冷却通路46内で開口している構成について説明したが、排気ダクト44の上端を、排気口48に連通させる構成としてもよい。この場合も、排気ダクト44から排気口48を介して外部に排出される排気ガスの流れに引っ張られて、冷却通路46内の空気も排気口48を介して外部に排出されて、冷却通路46内に空気の流れが生じる。
【0063】
上記の実施例では、冷却通路46の給気口50が、前扉24の排気口62に対向して配置されており、前扉24を通過した空気が冷却通路46に流入する構成について説明した。これとは異なり、冷却通路46の給気口50を筐体12の前面に露出させ、外部の空気が給気口50に直接流入する構成としてもよい。
【0064】
以上のように、一又はそれ以上の実施形態において、加熱調理器10は、バーナ26と、被加熱物Wを収容する加熱庫14と、バーナ26から加熱庫14へ燃焼ガスを送る循環ファン36(送風装置の例)と、加熱庫14からの排気ガスが流れる排気ダクト44と、加熱庫14の上面に沿って伸びており、かつ排気ダクト44の周囲を囲んでおり、給気口56,58(第1給気口の例)を介して外部から流入して排気口48(第1排気口の例)を介して外部に流出する空気が通過する冷却通路46(第1空気通路の例)と、冷却通路46の上面に沿って伸びており、給気口70(第2給気口の例)を介して外部から流入して排気口72(第2排気口の例)を介して外部に流出する空気が通過する電装品室20(第2空気通路の例)と、電装品室20内に配置された操作基板64、制御基板68(回路基板の例)と、電装品室20内に配置された冷却ファン74(冷却装置の例)と、電装品室20内に配置された温度センサ78を備えている。排気ダクト44は、冷却通路46と連通する連通口49を有している。温度センサ78は、排気ダクト44から連通口49を介して冷却通路46に流入する排気ガスが流れる箇所に対向して配置されている。加熱調理器10は、温度センサ78で検出される温度が所定の条件を満たす場合に、バーナ26の火力を制限する。
【0065】
上記の構成によれば、加熱調理器10が加熱運転を実行中に、温度センサ78は、電装品室20内に配置された冷却ファン74によって冷却されるとともに、排気ダクト44から連通口49を介して冷却通路46に流入した排気ガスからの伝熱によって加熱される。このため、加熱調理器10が加熱運転を実行中に、冷却ファン74に異常が発生した場合には、温度センサ78で検出される温度は急激に上昇していく。このような構成とすることによって、冷却ファン74に異常が発生した場合に、温度センサ78によって冷却ファン74の異常の発生を速やかに検出して、バーナ26の火力を制限することができる。また、上記の構成によれば、加熱調理器10が加熱運転を実行していない場合には、排気ガスからの伝熱による温度センサ78の加熱が行われないので、例えば加熱庫14の余熱によって温度センサ78の温度が上昇する場合でも、温度センサ78の検出温度がそれほど高温になることがない。このような構成とすることによって、冷却ファン74の異常の発生以外の原因によって温度センサ78で検出される温度が上昇した場合でも、冷却ファン74に異常が発生していると誤検知してしまうことを防止することができる。
【0066】
一又はそれ以上の実施形態において、排気ダクト44は、下流側よりも流路面積が狭い流路絞り部47を有している。連通口49は、流路絞り部47の下流側に配置されている。
【0067】
上記の構成によれば、流路絞り部47から下流側に流れた排気ガスの拡散効果によって、より多くの排気ガスを排気ダクト44から連通口49を介して冷却通路46に流出させることができる。冷却ファン74に異常が発生した場合に温度センサ78で検出される温度の上昇をより急激なものとすることができ、冷却ファン74の異常の発生を速やかに検出することができる。
【0068】
一又はそれ以上の実施形態において、加熱調理器10は、排気ダクト44の内部に配置されており、排気ガスを連通口49に向けて案内する案内板59(案内部材の例)をさらに備えている。
【0069】
上記の構成によれば、より多くの排気ガスを排気ダクト44から連通口49を介して冷却通路46に流出させることができる。冷却ファン74に異常が発生した場合に温度センサ78で検出される温度の上昇をより急激なものとすることができ、冷却ファン74の異常の発生を速やかに検出することができる。
【0070】
一又はそれ以上の実施形態において、加熱調理器10は、冷却通路46内に配置されており、排気ダクト44から連通口49を介して冷却通路46に流入する排気ガスが給気口56,58に向けて流れることを防止する下側案内板53(逆流防止部材の例)をさらに備えている。
【0071】
上記の構成によれば、排気ダクト44から連通口49を介して冷却通路46に流入した排気ガスが、冷却通路46を逆流して給気口56,58から流出してしまうことを抑制することができる。
【0072】
一又はそれ以上の実施形態において、温度センサ78は、冷却通路46を挟んで連通口49に対向する位置に配置されている。
【0073】
上記の構成によれば、温度センサ78を、排気ガスからの伝熱によって加熱されやすくすることができる。冷却ファン74に異常が発生した場合に温度センサ78で検出される温度の上昇をより急激なものとすることができ、冷却ファン74の異常の発生を速やかに検出することができる。
【0074】
一又はそれ以上の実施形態において、温度センサ78は、水平に対して傾斜した傾斜板76に配置されている。
【0075】
上記の構成によれば、仮に電装品室20内に煮こぼれ等の液体が入り込んだ場合でも、傾斜板76に液体が滞留することはないので、電装品室20に入り込んだ液体が温度センサ78による温度検出に影響を及ぼすことを抑制することができる。
【0076】
以上、実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0077】
10 :加熱調理器
12 :筐体
14 :加熱庫
16 :バーナ室
18 :循環ファン室
20 :電装品室
21 :ファンモータ室
22 :トレー
23 :給気口
24 :前扉
25 :冷却ダクト
26 :バーナ
28 :給気口
30 :燃焼ガス通路
32 :フィルタ
34 :開口
36 :循環ファン
38 :ファンモータ
40 :循環通路
42 :排気通路
44 :排気ダクト
45 :壁部材
46 :冷却通路
47 :流路絞り部
48 :排気口
49 :連通口
50 :給気口
51 :流路部材
52 :内側冷却通路
53 :下側案内板
54 :外側冷却通路
55 :右側案内板
56 :給気口
57 :左側案内板
58 :給気口
59 :案内板
60 :開口
61 :流路部材
62 :排気口
64 :操作基板
66 :操作パネル
68 :制御基板
70 :給気口
72 :排気口
74 :冷却ファン
75 :底板
76 :傾斜板
78 :温度センサ