(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】付加製造等の用途向けのAl-Mg-Si合金
(51)【国際特許分類】
C22F 1/04 20060101AFI20240404BHJP
B22F 9/08 20060101ALI20240404BHJP
B22F 1/00 20220101ALI20240404BHJP
B22F 10/64 20210101ALI20240404BHJP
B33Y 40/10 20200101ALI20240404BHJP
B33Y 70/00 20200101ALI20240404BHJP
C22C 21/00 20060101ALI20240404BHJP
C22F 1/00 20060101ALN20240404BHJP
【FI】
C22F1/04 H
B22F9/08 A
B22F1/00 N
B22F10/64
B33Y40/10
B33Y70/00
C22C21/00 N
C22F1/00 602
C22F1/00 604
C22F1/00 621
C22F1/00 628
C22F1/00 630A
C22F1/00 640A
C22F1/00 630K
C22F1/00 691B
C22F1/00 691C
C22F1/00 692
C22F1/00 692B
C22F1/00 687
C22F1/00 625
(21)【出願番号】P 2020529355
(86)(22)【出願日】2018-11-28
(86)【国際出願番号】 US2018062779
(87)【国際公開番号】W WO2019194869
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2021-11-22
(32)【優先日】2017-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515057827
【氏名又は名称】クエステック イノベーションズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100136249
【氏名又は名称】星野 貴光
(72)【発明者】
【氏名】ゴン ジャドン
(72)【発明者】
【氏名】オルソン グレゴリー ビー
(72)【発明者】
【氏名】スナイダー デイヴィッド アール
【審査官】河口 展明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/052776(WO,A1)
【文献】特開2017-066432(JP,A)
【文献】B.Johannesson, C.H.Caceres,Effect of Si additions and heat treatment on the mechanical behaviour of an Al-5Mg casting alloy,Ineranational Journal of Cast Metals Research,2004年,Vol.17,No.2,p.94-98
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 21/00-21/18
B22F 1/00,3/105、3/16、10/00-12/90
C22F 1/00、1/04-1/047
B33Y 40/10
B33Y 70/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
付加製造におけるアトマイズ合金粉末の使用方法であって、
合金化された粒子を含む前記アトマイズ合金粉末を受け取るステップであって、前記合金化された粒子は、質量パーセントで:
5%~6%のマグネシウム;
3.5%~4%のケイ素;
0.3%以下のマンガン;
0.2%以下の鉄;
0.15%以下の不純物
を含み、かつ
質量%による残部がアルミニウムであり、
前記アトマイズ合金粉末はMg
2Si相析出物を含む、受け取るステップ;
付加製造を実施して製造物品を作製するステップ;
前記製造物品を、炉等の加熱された容器内に所定の時間にわたって置くステップ、ここで、前記加熱された容器内の温度は170~200℃であり;かつ前記所定の時間は60~120分である;及び
前記製造物品を前記加熱された容器から取り出し、空気中で室温まで冷却するステップ
を含む、使用方法。
【請求項2】
前記製造物品は22℃で414M
Pa(60ksi)超の降伏強さを有し;かつ
前記製造物品は200℃で少なくとも241M
Pa(35ksi)の降伏強さを有する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記製造物品は22℃で483M
Pa(70ksi)超の極限引張強さを有し;
前記製造物品は200℃で276M
Pa(40ksi)超の極限引張強さを有し;かつ
前記製造物品は200℃で少なくとも4.5%の伸びを有する、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記加熱された容器内の温度は185~200℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記加熱された容器内の温度は185℃であり、かつ
前記所定の時間は120分である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記加熱された容器内の温度は200℃であり、かつ
前記所定の時間は60分である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
付加製造におけるアトマイズ合金粉末の使用方法であって、
合金化された粒子を含む前記アトマイズ合金粉末を受け取るステップであって、前記合金化された粒子は、質量パーセントで:
5~7.5%のマグネシウムかつ3.5~4%のケイ
素;
0.3%以下のマンガン;
0.2%以下の鉄;
0.15%以下の不純物
を含み、かつ
質量%による残部がアルミニウムであり、
前記アトマイズ合金粉末はMg
2Si相析出物を含む、受け取るステップ;
付加製造を実施して製造物品を作製するステップ;
前記製造物品を、加熱された容器内に所定の時間にわたって置くステップ、ここで、前記加熱された容器内の温度は185℃であり;かつ前記所定の時間は60~120分である、;及び
前記製造物品を前記加熱された容器から取り出し、空気中で室温まで冷却するステップ
を含む、使用方法。
【請求項8】
付加製造におけるアトマイズ合金粉末の使用方法であって、
合金化された粒子を含む前記アトマイズ合金粉末を受け取るステップであって、前記合金化された粒子は、質量パーセントで:
5~6%のマグネシウムかつ3~4%のケイ素;
0.3%以下のマンガン;
0.2%以下の鉄;
0.15%以下の不純物
を含み、かつ
質量%による残部がアルミニウムであり、
前記アトマイズ合金粉末はMg
2
Si相析出物を含む、受け取るステップ;
付加製造を実施して製造物品を作製するステップ;
前記製造物品を、加熱された容器内に所定の時間にわたって置くステップ、ここで、前記加熱された容器内の温度は185℃であり;かつ前記所定の時間は60~120分である、;及び
前記製造物品を前記加熱された容器から取り出し、空気中で室温まで冷却するステップ
を含む、使用方法。
【請求項9】
付加製造におけるアトマイズ合金粉末の使用方法であって、
合金化された粒子を含む前記アトマイズ合金粉末を受け取るステップであって、前記合金化された粒子は、質量パーセントで:
5%のマグネシウムかつ2~4%のケイ素;
0.3%以下のマンガン;
0.2%以下の鉄;
0.15%以下の不純物
を含み、かつ
質量%による残部がアルミニウムであり、
前記アトマイズ合金粉末はMg
2
Si相析出物を含む、受け取るステップ;
付加製造を実施して製造物品を作製するステップ;
前記製造物品を、加熱された容器内に所定の時間にわたって置くステップ、ここで、前記加熱された容器内の温度は185℃であり;かつ前記所定の時間は60~120分である、;及び
前記製造物品を前記加熱された容器から取り出し、空気中で室温まで冷却するステップ
を含む、使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2017年11月28日に出願された米国特許仮出願第62/591,515号の優先権を主張するものであり、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
(政府の権益)
本開示の態様は、米国海軍研究事務所によって与えられた契約番号N00014-15-C-0158に基づき、政府の支援によってなされた。米国政府は本発明において一定の権利を有する。
【0002】
本開示は、Al-Mg-Si合金を製造するための材料、方法及び技術に関する。
本明細書で開示及び企図されるAl-Mg-Si合金の用途の例としては、付加製造工程(additive manufacturing process)がある。
【背景技術】
【0003】
付加製造は、3-Dプリンティングとしても知られ、連続層生成を利用して製造品目を生産する製作技術である。典型的には、付加製造法は、粉末、ワイヤ、又は液体のベースを用いて、CAD(コンピュータ支援設計)データの指示により層を生成する。付加製造工程の例としては、ステレオリソグラフィ、選択的レーザー焼結法(SLS)、直接金属レーザー焼結法(DMLS)、電子ビーム溶解法(EBM)、及びレーザー粉末堆積法(LPD)が挙げられる。
この工程は、金型又は機械加工を用いずに非常に複雑な幾何形状のネットシェイプ製作を可能にすることによって、材料使用量、エネルギー消費、部材のコスト、及び製造時間の削減の可能性を与える。付加製造は、迅速な部材の製造、入手困難な部品の一度限りの製造、及び従来手段による製造が困難な部品(機械加工又は鋳造ができない複雑な幾何形状等)の製造を可能にする。結果として、付加製造は、特注部品又は交換部品を入手するエンドユーザーだけでなく、OEM業者(相手先ブランド名製造業者)にも、部品製造における融通性をもたらし得る。
付加製造(AM)加工に特に合わせたアルミニウム合金の範囲は現在非常に限られており、AM部材の設計者には、特にギヤボックス等の高温航空宇宙用途において、設計における融通性がほとんど残されていない。一般的に使用されるAl-Si合金(AlSi10Mg等)は、その共晶凝固により直接金属レーザー焼結法(DMLS)による加工性が高く、ビルド工程の間に熱間亀裂抵抗性(hot tearing resistance)を付与する。しかしながら、これらの合金はSi共晶を用いて設計され、該共晶はポストビルド工程中も残留して機械的特性に有害となる。従って、改善されたアルミニウム合金、特に付加製造工程のための合金が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本明細書で開示及び企図される材料、方法及び技術は、アルミニウム合金に関する。例えば、アルミニウム合金は、アルミニウム系合金であってもよい。一般に、アルミニウム系合金は、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ケイ素(Si)、マンガン(Mn)、及び鉄(Fe)を含む。
【0005】
一態様において、合金が開示される。合金は、質量パーセントで、5%~8%のマグネシウム、1.5%~4%のケイ素、0.3%以下のマンガン、0.2%以下の鉄を含み、質量%による残部が、アルミニウム並びに偶発元素(incidental elements)及び不純物を含む。
別の態様において、付加製造に使用可能なアトマイズ合金粉末が開示される。アトマイズ合金粉末は合金粒子を含む。合金粒子は、質量パーセントで、5%~8%のマグネシウム、1.5%~4%のケイ素、0.3%以下のマンガン、0.2%以下の鉄を含み、質量%による残部が、アルミニウム並びに偶発元素及び不純物を含む。
別の態様において、付加製造においてアトマイズ合金粉末を使用する方法が開示される。方法は、合金粒子を含むアトマイズ合金粉末を受け取るステップ、アトマイズ合金粉末を用いて付加製造を実施して製造物品を作製するステップ、及び製造物品を加熱容器内である時間にわたってエージングするステップを含む。アトマイズ合金粉末は合金粒子を含む。合金粒子は、質量パーセントで、5%~8%のマグネシウム、1.5%~4%のケイ素、0.3%以下のマンガン、0.2%以下の鉄を含み、質量%による残部が、アルミニウム並びに偶発元素及び不純物を含む。
【0006】
本開示によるいくつかの利益を得るために、アルミニウム合金に関する材料、技術又は方法が本明細書で特徴付けられる詳細の全てを含むことは特に要求されない。従って、本明細書で特徴付けられる特定の実施例は、記載された技術の例示的応用であることが意図され、別の方法が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】付加製造におけるアトマイズ合金粉末の例示の使用方法を示す。
【
図2】例示の多成分アルミニウム合金(Mg
2Si)の降伏強さを試験温度の関数としてプロットしたグラフである。2618-T6は鍛錬用合金であり、A356は鋳造合金であり、AlSi10Mgは従来の付加製造合金であり、Scalmalloyはスカンジウムを用いた付加製造合金である。
【
図3】例示の多成分アルミニウム合金(Mg
2Si)の極限引張強さを試験温度の関数として示したグラフである。
【
図4】例示の多成分アルミニウム合金(Mg
2Si)の伸びを試験温度の関数として示したグラフである。
【
図5A】7050ベースライン合金及び本明細書に開示される例示のMgSi合金の試験前(5A)及び24時間後(5B)の画像である。合金は、ASTM G34の手順に従って剥離腐食(Exco)試験で評価した。開示される合金は、7050を上回る改善された抵抗を示す。
【
図5B】7050ベースライン合金及び本明細書に開示される例示のMgSi合金の試験前(5A)及び24時間後(5B)の画像である。合金は、ASTM G34の手順に従って剥離腐食(Exco)試験で評価した。開示される合金は、7050を上回る改善された抵抗を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書で開示及び企図される材料、方法及び技術は、アルミニウム合金に関する。例示のアルミニウム合金には、アルミニウム、マグネシウム、ケイ素、並びに場合によっては鉄及び/又はマンガンを含む合金が含まれる。アルミニウム合金は、Mg2Si相析出物を含み得る。
本明細書で開示及び企図されるアルミニウム合金は、付加製造用途に十分に適している。例えば、付加製造に使用可能なアトマイズ合金粉末は、本明細書で開示及び企図されるアルミニウム合金を含む合金粒子を含み得る。
【0009】
場合によっては、本明細書で開示及び企図される例示のアルミニウム合金は、過酷な環境において、例えば7000系アルミニウム合金と比較したときに、改善された加工性、強度及び/又は耐腐食性を示すことができる。本明細書で開示及び企図されるアルミニウム系合金の例示の用途としては、航空宇宙、自動車、エネルギー産業、並びに材料が極度の温度及び/又は負荷条件におかれ得るその他の用途が挙げられる。本明細書で開示及び企図されるアルミニウム合金の例示の用途としては、高い強度を有すること及び耐腐食性であることが要求される材料も挙げられる。上記産業及び上記用途向けのものを含め、様々な製造物品を、本明細書に開示のアルミニウム合金を使用して製造できる。
【0010】
I.例示のアルミニウム合金
例示のアルミニウム合金は熱間亀裂抵抗性と強度を併せ持つことができ、このため該合金は、高い強度を要する物品(例えば、航空機部材)を製造するための付加製造に適している。例示のアルミニウム合金を、例示の成分及び量、相及びナノ構造特性、物理的特性、製造方法、例示の製造物品、及び例示の使用方法に関して以下に記載する。
【0011】
A.例示の成分及び量
本明細書で開示及び企図されるアルミニウム合金は、様々な成分を様々な量で含む。例えば、例示のアルミニウム合金は、マグネシウム、ケイ素、マンガン、及び鉄を含む。一般的に、本明細書で使用するとき、「アルミニウム合金」は、アルミニウム、マグネシウム、及びケイ素を含む合金を意味する。アルミニウム合金は、マンガン、及び鉄を更に含み得る。
【0012】
本明細書で開示及び企図される例示のアルミニウム合金は、マグネシウム(Mg)を含む。様々な実施において、アルミニウム合金は5~8質量パーセント(「質量%」)のMgを含む。例えば、アルミニウム合金は、5%、5.1%、5.2%、5.3%、5.4%、5.5%、5.6%、5.7%、5.8%、5.9%、6%、6.1%、6.2%、6.3%、6.4%、6.5%、6.6%、6.7%、6.8%、6.9%、7%、7.1%、7.2%、7.3%、7.4%、7.5%、7.6%、7.7%、7.8%、7.9%、又は8%のMgを含み得る。
本明細書で開示及び企図される例示のアルミニウム合金は、ケイ素(Si)を含む。様々な実施において、アルミニウム合金は1.5~4質量パーセント(「質量%」)のSiを含む。例えば、アルミニウム合金は、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3%、3.1%、3.2%、3.3%、3.4%、3.5%、3.6%、3.7%、3.8%、3.9%、又は4%のSiを含み得る。
本明細書で開示及び企図される例示のアルミニウム合金は、マンガン(Mn)を含む。様々な実施において、アルミニウム合金は、0.3質量パーセント(「質量%」)以下のMnを含む。例えば、アルミニウム合金は、0.3%、0.3%未満、0.25%未満、0.2%未満、0.15%未満、0.1%未満、0.05%未満、又は0.01%未満のMnを含み得る。いくつかの実施形態において、例示のアルミニウム合金はMnを含有しなくてもよい。
本明細書で開示及び企図される例示のアルミニウム合金は、鉄(Fe)を含む。様々な実施において、アルミニウム合金は、0.2質量パーセント(「質量%」)以下のFeを含む。例えば、アルミニウム合金は、0.2%、0.2%未満、0.15%未満、0.1%未満、0.05%未満、又は0.01%未満のFeを含み得る。いくつかの実施形態において、例示のアルミニウム合金はFeを含有しなくてもよい。
【0013】
質量%による残部は、アルミニウム並びに偶発元素及び不純物を含む。開示されるアルミニウム合金中の偶発元素及び不純物としては、鉄、酸素、マンガン、クロム、ガリウム、パラジウム、硫黄、炭素、原材料に付着している元素、又はこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。偶発元素及び不純物は、本明細書に開示される該合金中に、合計で0.15%以下、0.14%以下、0.13%以下、0.12%以下、0.11%以下、0.10%以下、0.9%以下、0.8%以下、0.7%以下、0.6%以下、0.5%以下、0.4%以下、0.3%以下、0.2%以下、0.1%以下、0.05%以下、0.01%以下、又は0.001%以下の量で存在し得る。
【0014】
本明細書に記載される多成分合金は、上記の構成成分のみからなってもよく、このような構成成分から本質的になってもよく、又は他の実施態様においては、追加の構成成分を含んでもよい。
【0015】
B.例示の相及びナノ構造特性
本明細書で開示及び企図されるアルミニウム合金は、様々な相及びナノ構造特性を有する。例えば、例示のアルミニウム合金は、安定なMg2Si共晶相を有する。例示のアルミニウム合金内の結晶粒構造は、結晶粒ピン止め分散を酸素ゲッタリング相(oxygen gettering phases)と併用して維持できる。これらの結晶粒構造は、ビルド処理及び任意によるポストビルド熱処理の間に微細粒径の維持を助けることができる。
例示のアルミニウム合金は、Mg2Si共晶相に加えてMg2Si相析出物を含み得る。
【0016】
C.例示の物理的特性
本明細書で開示及び企図される例示のアルミニウム合金は、1つ以上の望ましい物理的特性を有することができる。例えば、例示のアルミニウム合金は、付加製造工程の間に熱間亀裂抵抗性を有する場合があり、得られる合金は高い強度を有し得る。以下の節では例示のアルミニウム合金の特定の物理的特性を、降伏強さ、極限引張強さ、及び伸び抵抗、並びに耐腐食性等の機械的特性を含めて記載する。
【0017】
降伏強さは、引張強さ試験の間に得られるデータの評価によって決定できる。一般に、降伏強さは、引張強さ試験中の材料の降伏点に関連し、この降伏点を超えると、負荷を取り除いたときに材料の変形が回復不可能となる。例示のアルミニウム合金は、付加製造工程及び185℃で120分間のエージングを施された後、22℃で414MPa(60ksi)超の降伏強さを有し得る。例えば、アルミニウム合金は、22℃で414~483Mpa(60~70ksi)の降伏強さを有し得る。例えば、アルミニウム合金は、22℃で414Mpa(60ksi)、421Mpa(61ksi)、427Mpa(62ksi)、434Mpa(63ksi)、441Mpa(64ksi)、448Mpa(65ksi)、455Mpa(66ksi)、462Mpa(67ksi)、469Mpa(68ksi)、476Mpa(69ksi)、又は483Mpa(70ksi)の降伏強さを有し得る。例示のアルミニウム合金は、付加製造工程及び185℃で120分間のエージングを施された後、200℃で241Mpa(35ksi)超の降伏強さを有し得る。例えば、アルミニウム合金は、200℃で241~310Mpa(35~45ksi)の降伏強さを有し得る。例えば、アルミニウム合金は、200℃で241Mpa(35ksi)、248Mpa(36ksi)、255Mpa(37ksi)、262Mpa(38ksi)、269Mpa(39ksi)、276Mpa(40ksi)、283Mpa(41ksi)、290Mpa(42ksi)、296Mpa(43ksi)、303Mpa(44ksi)、又は310Mpa(45ksi)の降伏強さを有し得る。
【0018】
一般に、極限引張強さは、材料が引張伸びを経験しながら耐えることができる最大応力である。例示のアルミニウム合金に実施した引張強さ試験は、ASTM E8に従って室温で行った。例示のアルミニウム合金に実施した引張強さ試験は、ASTM E21に従って高温で行った。例示のアルミニウム合金は、付加製造工程を施された後及び185℃で120分間のエージングの後、22℃で483Mpa(70ksi)超の極限引張強さを有し得る。例えば、アルミニウム合金は、22℃で483~552Mpa(70~80ksi)の極限引張強さを有し得る。例えば、アルミニウム合金は、22℃で483Mpa(70ksi)、490Mpa(71ksi)、496Mpa(72ksi)、503Mpa(73ksi)、510Mpa(74ksi)、517Mpa(75ksi)、524Mpa(76ksi)、531Mpa(77ksi)、538Mpa(78ksi)、545Mpa(79ksi)、又は552Mpa(80ksi)の極限引張強さを有し得る。例示のアルミニウム合金は、付加製造工程を施された後及び185℃で120分間のエージングの後、200℃で276Mpa(40ksi)超の極限引張強さを有する。例えば、アルミニウム合金は、200℃で276~345Mpa(40~50ksi)の極限引張強さを有し得る。例えば、アルミニウム合金は、200℃で276Mpa(40ksi)、283Mpa(41ksi)、290Mpa(42ksi)、296Mpa(43ksi)、303Mpa(44ksi)、310Mpa(45ksi)、317Mpa(46ksi)、324Mpa(47ksi)、331Mpa(48ksi)、338Mpa(49ksi)、又は345Mpa(50ksi)の極限引張強さを有し得る。
【0019】
伸び率は、強化合金の延性の指標として使用できる。例示のアルミニウム合金は、付加製造工程を施された後及び185℃で120分間のエージングの後、22℃で少なくとも約4.5%の伸びを有し得る。例えば、アルミニウム合金は、22℃で4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、又は10%の伸びを有し得る。例示のアルミニウム合金は、付加製造工程を施された後及び185℃で120分間のエージングの後、200℃で少なくとも約4.5%の伸びを有し得る。例えば、アルミニウム合金は、200℃で4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、又は10%の伸びを有し得る。
【0020】
一般に、耐腐食性は、物質が酸化又は他の化学反応によって引き起こされる損傷にどの程度耐えることができるかを表す。耐腐食性試験を、例示のアルミニウム合金で、ASTM G34に従って実施した。例示のアルミニウム合金は、付加製造工程が施された後及び200℃で60分間のエージングの後、ASTM G34による24時間試験に供したときに、T74511テンパー条件において、アルミニウム合金7050と比べて改善された耐腐食性を有し得る。
【0021】
D.例示の製造方法
本明細書で開示及び企図される例示のアルミニウム合金は、対象とする付加製造システムに適した様々な供給原料形態に二次加工することができる。例えば、本明細書で開示及び企図される例示のアルミニウム合金を、不活性ガス噴霧等の利用可能なアトマイズ技術を使用して、アトマイズ合金粉末に二次加工することができる。得られたアトマイズ合金粉末は、粉末床溶融又は指向性エネルギー堆積システムに使用できる。
アトマイズ合金粉末の例示の製造方法は、元素金属供給原料又は所望の化学品が製造されるように予め合金化した供給原料を融解するステップを含む。上に開示した元素のいくつかの組み合わせでは、融解物の温度が、融解物中に固体材料部分がない温度以上に達すると、アトマイズ工程が起こる必要がある。
典型的には、融解は、供給原料元素の均質分布である。供給原料中の例示の成分が本明細書に記載されており、例えば、マグネシウム、ケイ素、マンガン、鉄、及びアルミニウム等が、本明細書で開示及び企図される量で含まれる。偶発元素及び不純物等の、供給原料中の追加成分が企図される。
次いで、融解物はノズルを通過し、直ちに高速の不活性ガス(アルゴン等)に曝露される。高速の不活性ガスは、融解物の流れを破断し、球形粉末を生成する。この球形粉末は、次いで、冷えて噴霧塔に入る。この例示の方法は、所望の流動特性及び高い化学的純度を有する球形粉末を製造できる。
【0022】
例示のアトマイズ合金粉末は、特定の用途及び/又は製造システムに合わせたサイズの粒子を有し得る。いくつかの実施形態では、例示のアトマイズ合金粉末は、20μm~63μmの直径を有する粒子を含む。
【0023】
本明細書で開示及び企図される例示のアルミニウム合金は、従来のインゴット冶金技術及びワイヤ引抜き技術によって、ワイヤベースの付加製造システムで使用するためのワイヤ形状に加工することもできる。
【0024】
E.例示の付加製造方法
本明細書で開示及び企図される例示のアルミニウム合金は、付加製造システムにおいて使用できる。付加製造は、コンピュータ制御されたエネルギー源(例えば、レーザー、電子ビーム、溶接トーチ等)を用いて金属を選択的に融解することにより、部品を層状に構築する工程である。付加製造は、ASTM F2792-12a「Standard Terminology for Additively Manufacturing Technologies」にも定義されている。
例示の付加層製造工程は、以下のものを含む:正確に制御された位置において、粉末媒体を焼結するのにレーザーが使用される、選択的レーザー焼結法;ワイヤ状供給原料がレーザーによって溶融され、次いで製品を構築するために正確な位置に堆積され、かつ凝固される、レーザーワイヤ堆積法;電子ビーム溶解法;レーザー加工ネットシェイピング;及び直接金属堆積法。一般的に、付加製造技術は、幾何学的制約のない自由形状造形における融通性、迅速な材料加工時間及び革新的な接合技術を与える。好適な付加製造システムとしては、EOS GmbH(Robert-Stirling-Ring 1,82152 Krailling/Munich(ドイツ))から入手可能な、EOSINT M280直接金属レーザー焼結(DMLS)付加製造システムが挙げられる。
【0025】
いくつかの実施において、直接金属レーザー焼結法(DMLS)を使用して、開示及び企図された例示のアルミニウム合金を含む物品が製造される。例示の工程の間に、アトマイズ合金粉末を床状に拡げてもよく、レーザーを使用して該床の領域を選択的に融解しかつ融合する。製造物品は、複数の粉末層を連続的に展開しかつ融合することにより、交互積層(layer-by-layer)様式で構築できる。
【0026】
DMLSを利用する実施において、製造物品に関して、多孔度を最小にし、伸び及び断面減少率(RA%)を最大にし、適切な強度特性をもたらすように、レーザー設定を選択することができる。1つの可能性のある実施における例示のDMLSレーザーパラメータは以下を含む:レーザー出力370W、スキャン速度1040mm/s、スキャン間隔0.17mm、及び積層厚30μm。
【0027】
ビルド工程の後で、様々な後処理操作を実施できる。場合によっては、後処理操作は「as-built」(積層まま)の製造物品の1つ以上の特性を改善する。場合によっては、ビルド工程の後、特定の物品は「as-built」で使用できない原因となる欠陥を含み得る。例えば、特定の物品は、許容できない多孔度、化学的不均質性、又は不均等を含み得る。後処理操作は、かかる欠陥を排除すること又は最小限に抑えることができる。
後処理操作は、様々な熱処理を含み得る。製造物品は、付加製造システムから加熱されたエンクロージャ(例えば、炉)内へ直接移送され、最初に物品の溶体化(固溶化熱処理とも呼ばれる)を必要としない場合がある。製造物品に適用されるこれらの熱処理は、本明細書で「エージング」工程と呼ばれる。熱処理のいくつかの実施では、加熱されたエンクロージャを加圧して、材料の熱間等方圧加圧を実施し、多孔度を低下させる場合がある。
後処理の熱処理は、アルミニウム合金物品の一部又は複数部分を応力緩和及び/又は強化し得る。例えば、熱処理は、アルミニウム合金部品の一部又は複数部分の析出物硬化をもたらし得る。エージングは、as-built物品を、ある温度の加熱環境に所与の時間にわたって置くことを含むことができる。場合によっては、エージングは、2つの異なる温度において2つの異なる時間にわたって行うことができる。
後処理の熱処理は、任意の好適な温度で実施できる。非限定例として、後処理の熱処理は、175~225℃の温度で実施できる。いくつかの実施では、熱処理は185℃~200℃の温度で実施できる。いくつかの実施では、熱処理は0.5~4時間の持続時間を有し得る。いくつかの実施では、熱処理は1~2時間の持続時間を有し得る。
【0028】
図1は、付加製造におけるアトマイズ合金粉末の例示の使用方法100を示す。例示の方法100は、アトマイズ合金粉末を受け取るステップで始まる(操作102)。アトマイズ合金粉末は、本明細書で開示及び企図される例示のアトマイズ合金粉末であり得る。いくつかの実施では、アトマイズ合金粉末は、質量パーセントで:5%~8%のマグネシウム、1.5%~4%のケイ素、0.3%以下のマンガン、0.2%以下の鉄を含み、質量%による残部が、アルミニウム並びに偶発元素及び不純物を含む、合金粒子を含む。
【0029】
次に、アトマイズ合金粉末を用いて付加製造が実施される(操作104)。付加製造を実施するステップ(操作104)は、所望の製造物品を製造するように付加製造システムを操作することを含む。例示の機器及びレーザーパラメータは上に記述されているが、異なる機器及びこれらのパラメータへの変更が企図され、本開示の範囲内である。製造物品中のアルミニウム合金は、付加製造加工中の耐熱間亀裂性(resistance to hot tearing)を改善するために、約10%の非平衡(可溶性)共晶成分がある状態で凝固できる。
【0030】
付加製造(操作104)実施後に、熱処理(操作106)が実施される。熱処理(操作106)は、本明細書で開示及び企図される後処理エージング操作を含むことができる。一般に、熱処理(操作106)は、製造物品を、炉等の加熱された容器内に、1つ又は複数の温度で、所定の時間にわたって置くことを含む。この工程は、本明細書でエージング工程とも呼ばれる。熱処理(操作106)の間に、共晶構成成分を溶解して単一相のアルミニウムマトリックスを復元することができ、該マトリックスは熱間亀裂抵抗性を提供する粗粒共晶構成成分を含まない可能性がある。
熱処理完了時に、製造物品は加熱された容器から取り除かれて、冷却される。冷却は、製造物品を、室温で非空気循環環境に置くことを含み得る。
【0031】
F.例示の製造物品
開示されたアルミニウム合金は、様々な物品を製造するために使用できる。代表的な物品としては、ギアボックスハウジング(例えば、ヘリコプターギアボックスハウジング)及び航空宇宙産業用構造部材が挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
II.実験例
本明細書で開示及び企図されるアルミニウム合金の実験例を作製し、試験した。場合によっては、アトマイズ合金粉末の実験例を作製し、付加製造工程に使用した。アトマイズ合金粉末を付加製造に使用して製造した物品を、場合によっては、既存の市販合金と比較した。
【0033】
A.降伏強さ測定の実験例
様々な試験温度における張力に関して、様々な熱処理を評価し、機械的に試験した。このデータを
図2に示し、図では降伏強さを試験温度の関数としてプロットしている。他の合金の既存データと比較したときに、QuesTek Mg
2Si(Scフリー)合金は、名目上、スカンジウム含有合金と同程度の性能であることが観察された。試験温度を上げていくと、Mg
2Si合金は、200℃の試験温度(ここで強度レベルは大幅に低下する)において、プロットされた他の全ての合金よりも性能が優れる。
【0034】
B.極限引張強さ測定の実験例
様々な試験温度における極限引張強さに関して、様々な熱処理を評価し、機械的に試験した。例示のアルミニウム合金に実施した引張強さ試験は、ASTM E8に従って室温で行った。例示のアルミニウム合金に実施した引張強さ試験は、ASTM E21に従って高温で行った。このデータを
図3に示し、図では極限引張強さを試験温度の関数としてプロットしている。試験温度を上げていくと、Mg
2Si合金は、200℃の試験温度(ここで極限引張強さレベルは大幅に低下する)において、プロットされた他の全ての合金よりも性能が優れる。
【0035】
C.伸び測定の実験例
様々な試験温度における伸びに関して、様々な熱処理を評価し、機械的に試験した。このデータを
図4に示し、図では伸び率を試験温度の関数としてプロットしている。
【0036】
D.耐腐食性測定の実験例
耐腐食性は、ASTM G34の手順に従って評価した。
図5に示すように、多成分アルミニウム合金は、ASTM G34による24時間試験に供したときに、T74511テンパー条件において、アルミニウム合金7050と比べて改善された耐腐食性を有する。
【0037】
本明細書における数値範囲の記述に関して、該数値範囲の間に介在する各数値は、同一の正確度で企図されている。例えば、6~9という範囲に対して、数値7及び8が、6及び9に加えて企図されており、また6.0~7.0という範囲に対して、数値6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9及び7.0が企図されている。別の実施例では、圧力範囲が大気圧と別の圧力との間として記載されるとき、大気圧である圧力は明示的に企図される。
【0038】
上記詳細な説明及び付随する実施例は、単に例示的なものであり、本開示の範囲の制限として解釈されるべきではないことは理解される。開示された実施形態に対する様々な変更及び修正は、当業者にとっては明らかであろう。このような変更及び修正は、化学構造、置換基、誘導体、中間体、合成、組成、処方、又は使用方法に関連するものを含むがこれらに限定されることなく、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく実施されてもよい。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕質量パーセントで:
5%~8%のマグネシウム;
1.5%~4%のケイ素;
0.3%以下のマンガン;
0.2%以下の鉄;を含み、かつ
質量%による残部がアルミニウム並びに偶発元素及び不純物を含む、
合金。
〔2〕Mg
2
Si相析出物を含む、前記〔1〕に記載の合金。
〔3〕付加製造工程を施された後及び185℃で120分間のエージングの後、22℃で414MPa(60ksi)超の降伏強さを有する、前記〔2〕に記載の合金。
〔4〕付加製造工程を施された後及び185℃で120分間のエージングの後、200℃で241Mpa(35ksi)超の降伏強さを有する、前記〔2〕に記載の合金。
〔5〕付加製造工程を施された後及び185℃で120分間のエージングの後、22℃で483Mpa(70ksi)超の極限引張強さを有する、前記〔2〕に記載の合金。
〔6〕付加製造工程を施された後及び185℃で120分間のエージングの後、200℃で276Mpa(40ksi)超の極限引張強さを有する、前記〔2〕に記載の合金。
〔7〕付加製造工程を施された後及び185℃で120分間のエージングの後、22℃で少なくとも4.5の伸びを有する、前記〔2〕に記載の合金。
〔8〕付加製造工程を施された後及び185℃で120分間のエージングの後、200℃で少なくとも4.5%の伸びを有する、前記〔2〕に記載の合金。
〔9〕付加製造工程を施された後及び200℃で60分間のエージングの後、ASTM G34による24時間試験に供したときに、T74511テンパー条件において、アルミニウム合金7050と比べて改善された耐腐食性を有する、前記〔2〕に記載の合金。
〔10〕付加製造に使用可能なアトマイズ合金粉末であって、
質量パーセントで:
5%~8%のマグネシウム;
1.5%~4%のケイ素;
0.3%以下のマンガン;
0.2%以下の鉄;を含み、かつ
質量%による残部がアルミニウム並びに偶発元素及び不純物を含む、合金粒子を含む、
アトマイズ合金粉末。
〔11〕Mg
2
Si相析出物を含む、前記〔10〕に記載のアトマイズ合金粉末。
〔12〕付加製造工程を施された後及び185℃で120分間のエージングの後、22℃で414Mpa(60ksi)超の降伏強さを有する、前記〔11〕に記載のアトマイズ合金粉末。
〔13〕付加製造工程を施された後及び185℃で120分間のエージングの後、200℃で241Mpa(35ksi)超の降伏強さを有する、前記〔11〕に記載のアトマイズ合金粉末。
〔14〕付加製造工程を施された後及び185℃で120分間のエージングの後、22℃で483Mpa(70ksi)超の極限引張強さを有する、前記〔11〕に記載のアトマイズ合金粉末。
〔15〕付加製造工程を施された後及び185℃で120分間のエージングの後、22℃で少なくとも4.5%の伸びを有する、前記〔11〕に記載のアトマイズ合金粉末。
〔16〕付加製造工程を施された後及び185℃で120分間のエージングの後、200℃で少なくとも4.5%の伸びを有する、前記〔11〕に記載のアトマイズ合金粉末。
〔17〕付加製造工程が施された後及び200℃で60分間のエージングの後、ASTM G34による24時間試験に供したときに、T74511テンパー条件において、アルミニウム合金7050と比べて改善された耐腐食性を有する、前記〔11〕に記載のアトマイズ合金粉末。
〔18〕付加製造におけるアトマイズ合金粉末の使用方法であって、
合金化された粒子を含む前記アトマイズ合金粉末を受け取るステップであって、前記合金化された粒子は、質量パーセントで:
5%~8%のマグネシウム;
1.5%~4%のケイ素;
0.3%以下のマンガン;
0.2%以下の鉄;を含み、かつ
質量%による残部がアルミニウム並びに偶発元素及び不純物を含み、
前記アトマイズ合金粉末はMg
2
Si相析出物を含む、受け取るステップ;
付加製造を実施して製造物品を作製するステップ;
前記製造物品を、炉等の加熱された容器内に所定の時間にわたって置くステップ;及び
前記製造物品を前記加熱された容器から取り出し、空気中で室温まで冷却するステップ
を含む、使用方法。
〔19〕前記加熱された容器内の温度は170~200℃であり;かつ
前記所定の時間は60~120分である、
前記〔18〕に記載の方法。
〔20〕前記製造物品は22℃で414Mpa(60ksi)超の降伏強さを有し;かつ
前記製造物品は200℃で少なくとも241Mpa(35ksi)の降伏強さを有する、
前記〔18〕に記載の方法。
〔21〕前記製造物品は22℃で483Mpa(70ksi)超の極限引張強さを有し;
前記製造物品は200℃で276Mpa(40ksi)超の極限引張強さを有し;かつ
前記製造物品は200℃で少なくとも4.5%の伸びを有する、
前記〔20〕に記載の方法。