(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】遠隔物体の一領域のハイパースペクトル画像を提供するためのハイパースペクトル撮像システム及び方法
(51)【国際特許分類】
G01J 3/51 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
G01J3/51
(21)【出願番号】P 2020530957
(86)(22)【出願日】2018-12-06
(86)【国際出願番号】 US2018064188
(87)【国際公開番号】W WO2019113279
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-12-06
(32)【優先日】2017-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100224775
【氏名又は名称】南 毅
(72)【発明者】
【氏名】サレー,モハンマド エー
(72)【発明者】
【氏名】ウッドマン,パトリック ウォレス
【審査官】平田 佳規
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-506679(JP,A)
【文献】特開2017-003533(JP,A)
【文献】特開2013-061175(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 3/00 - G01J 3/51
G01J 1/02 - G01J 1/04
G01J 1/42 - G01J 1/46
G01N 21/00 - G01N 21/01
G01N 21/17 - G01N 21/61
G03B 15/00
H04N 5/222- H04N 5/257
H04N 7/18
H04N 23/00
H04N 23/12 - H04N 23/17
H04N 23/40 - H04N 23/76
H04N 23/90 - H04N 23/959
H04N 25/10 - H04N 25/17
H04N 25/611
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイパースペクトル撮像システムであって、
光学部品と、
順に積み重ねられた第1の複数の導波路板からなる第1の積み重ねた導波路板と、
前記第1の積み重ねた導波路板の入射端に位置する第1スリットと、
前記第1の積み重ねた導波路板から分散された光を受光すると共に異なる波長の光の複数の配列を出力するよう構成されたスペクトルフィルター配列と、
前記異なる波長の光の複数の配列を前記スペクトルフィルター配列から受光すると共に複数の電気信号の配列を出力するよう構成された検出器配列と
を備え、
前記第1の積み重ねた導波路板は前記光学部品と前記スペクトルフィルター配列の間に配置され、前記スペクトルフィルター配列は前記第1の積み重ねた導波路板と前記検出器配列の間に配置されている、ハイパースペクトル撮像システム。
【請求項2】
順に積み重ねられた第2の複数の導波路板からなる第2の積み重ねた導波路板と、
前記第2の積み重ねた導波路板上に位置する第2スリットと
を更に備え、
前記第2の積み重ねた導波路板は前記第1の積み重ねた導波路板に隣接して配置され、前記第2の積み重ねた導波路板は前記光学部品と前記スペクトルフィルター配列の間に配置され、前記スペクトルフィルター配列は前記第2の積み重ねた導波路板と前記検出器配列の間に配置されている、請求項1記載のハイパースペクトル撮像システム。
【請求項3】
前記第1の積み重ねた導波路板は被膜が被覆された前記入射端を有し、前記被膜は前記第1スリットを形成するように構成されている、請求項1又は2記載のハイパースペクトル撮像システム。
【請求項4】
前記第1の複数の導波路板のそれぞれは前記第1スリットの一部を成す入射瞳を有する、請求項1~3のいずれかに記載のハイパースペクトル撮像システム。
【請求項5】
前記第1の複数の導波路板のそれぞれは(1)透過性ガラス材料、(2)透過性結晶材料、及び(3)ゲルマニウムのうち1つから作られる、請求項1~4のいずれかに記載のハイパースペクトル撮像システム。
【請求項6】
前記スペクトルフィルター配列は複数の異なる波長通過帯域フィルターを含み、
前記複数の波長通過帯域フィルターは前記第1の複数の導波路板のそれぞれと整列される、請求項1~5のいずれかに記載のハイパースペクトル撮像システム。
【請求項7】
前記検出器配列は複数の画素列を含み、前記各画素列は前記第1の複数の導波路板のそれぞれと整列される、請求項1~6のいずれかに記載のハイパースペクトル撮像システム。
【請求項8】
前記各画素列は前記第1の複数の導波路板の1つの厚みと一致する厚みを有する、請求項7記載のハイパースペクトル撮像システム。
【請求項9】
遠隔物体の一領域のハイパースペクトル画像を提供するための方法であって、
ハイパースペクトル撮像システムを準備するステップであって、前記ハイパースペクトル撮像システムは
光学部品と、
順に積み重ねられた複数の導波路板からなり入射端と前記入射端と反対側の射出端とを有する積み重ねた導波路板と、
前記積み重ねた導波路板の前記入射端に位置するスリットと、
スペクトルフィルター配列と、
検出器配列と
前記検出器配列に結合されたコントローラと
を備え、前記積み重ねた導波路板は前記光学部品と前記スペクトルフィルター配列の間に配置され、前記スペクトルフィルター配列は前記積み重ねた導波路板と前記検出器配列の間に配置されている、ステップと、
前記ハイパースペクトル撮像システムを前記遠隔物体に対して配置するステップであって、
前記光学部品が前記遠隔物体の前記領域と関連する光を受光し、前記遠隔物体の前記領域と関連する光を出力し、
前記スリットは前記光学部品から出力された前記光の少なくとも一部を受光し、前記積み重ねた導波路板は複数の分散された光を前記射出端から出力し、前記複数の導波路板のそれぞれは前記複数の分散された光の1つを出力し、
前記スペクトルフィルター配列は前記積み重ねた導波路板の前記射出端から出力された前記複数の分散された光を受光し、異なる波長フィルター処理された光の複数の配列を出力し、前記複数の分散された光のそれぞれは異なる波長フィルター処理された光の前記複数の配列の1つと関連し、
前記検出器配列は前記スペクトルフィルター配列から異なる波長フィルター処理された光の前記複数の配列を受光し、電気信号の複数の配列を出力し、異なる波長フィルター処理された光の前記複数の配列のそれぞれは電気信号の前記複数の配列の1つと関連し、
前記コントローラは前記検出器配列から電気信号の前記複数の配列を受信し、電気信号の前記複数の配列を組み合わせて前記遠隔物体の前記領域の前記ハイパースペクトル画像を生成し、前記遠隔物体の前記領域の前記ハイパースペクトル画像を出力するように、前記遠隔物体に対して配置するステップと
を含む方法。
【請求項10】
順に積み重ねられ
、各々が光を分散するよう構成された複数の導波路板からなり入射端を有する積み重ねた導波路板であって、前記複数の導波路板のそれぞれは矩形形状と前記入射端に位置する入射瞳とを有する、積み重ねた導波路板と、
前記積み重ねた導波路板の前記入射端
上に配置された被膜であって、連続するスリットが前記積み重ねた導波路板の各々の前記入射端上の前記被膜を前記複数の導波路板にわたって延びるよう前記入射端上に配置された被膜と
を備え
、
前記スリットが前記入射瞳からなる導波路。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2017年12月7日に出願された米国仮特許出願第62/595813号の優先権の利益を主張するものであり、その内容全体を本明細書に援用する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、遠隔物体の一領域のハイパースペクトル画像を提供するためのハイパースペクトル撮像システム及び方法に関する。1つの実施形態では、ハイパースペクトル撮像システムは光学部品、積み重ねた導波路板、スペクトルフィルター配列、検出器配列、及びコントローラを含む。本開示は、積み重ねた導波路板にも関する。
【背景技術】
【0003】
現在、2つの主要な種類のハイパースペクトル撮像システムが存在する。1つの種類のハイパースペクトル撮像システムはオフナー又はダイソン分光計を利用する(即ち、複雑な光学的解決策)。別の種類のハイパースペクトル撮像システムはカメラ焦点面の正に上にあるフィルター配列を利用する(即ち、拡張可能なフィルター解決策)。それぞれの種類のハイパースペクトル撮像システムは互いに比較すると利点と不利な点を有する。例えば、オフナー又はダイソン分光計を利用するハイパースペクトル撮像システムは、次の利点、例えばより高いスペクトル分解能及び全ての波長を同時に取得する能力を有する。オフナー又はダイソン分光計を利用するハイパースペクトル撮像システムは次の不利な点、例えば作製に費用がかかりうる複雑な光学システム、より高いコスト、より大きいシステム、及び拡張性の欠如も有する。一方、カメラ焦点面の正に上にあるフィルター配列を利用するハイパースペクトル撮像システムは次の利点、例えば容易に拡張可能で、小型で、より安い、及びより高い空間分解能(線形フィルター)を有する。カメラ焦点面の正に上にあるフィルター配列を利用するハイパースペクトル撮像システムは、次の不利な点、例えば限定されたスペクトル分解能、特定の画素について一度に一つだけの波長の光の限定された収集、及び空間データをスペクトルデータと整合させる追加のデータ処理も有する。追加のデータ処理及び限定された光収集は画像取得に必要な時間を増加させる。また、カメラ焦点面の正に上にあるフィルター配列を利用するハイパースペクトル撮像システムは撮像されている対象は静止している用途に通常限定される。対象が静止していない用途で使用された場合、複雑なデータ処理アルゴリズムが使用されなければならず、その物体の撮像の誤差を生じる。本開示は、拡張可能なフィルター配列解決策が複雑な光学システム解決策のように機能するのを本質的に可能にする一方、現在の拡張可能なフィルター配列解決策と複雑な光学システム解決策の両方の最良の特徴を有する新しいハイパースペクトル撮像システムを提供する。
【発明の概要】
【0004】
遠隔物体の一領域のハイパースペクトル画像を提供するためのハイパースペクトル撮像システム及び方法が本出願の独立請求項に記載されている。加えて、積み重ねた導波路板が本出願の独立請求項に記載されている。遠隔物体の一領域のハイパースペクトル画像を提供するためのハイパースペクトル撮像システム及び方法の有利な実施形態が従属請求項に記載されている。
【0005】
1つの態様では、本開示は、ハイパースペクトル撮像システムを提供する。この撮像システムは(1)光学部品、(2)複数の導波路板であって各導波路板が順に積み重ねられ、スリットが設けられた積み重ねた導波路板、(3)スペクトルフィルター配列、及び(4)検出器配列を備える。前記積み重ねた導波路板は前記光学部品と前記スペクトルフィルター配列の間に配置され、前記スペクトルフィルター配列は前記積み重ねた導波路板と前記検出器配列の間に配置されている。
【0006】
別の態様では、本開示は、遠隔物体の一領域のハイパースペクトル画像を提供するための方法を提供する。この方法はハイパースペクトル撮像システムを準備するステップであって、前記ハイパースペクトル撮像システムは(1)光学部品、(2)複数の導波路板であって各導波路板が順に積み重ねられ、スリットが設けられた積み重ねた導波路板、(3)スペクトルフィルター配列、及び(4)検出器配列を備え、前記積み重ねた導波路板は前記光学部品と前記スペクトルフィルター配列の間に配置され、前記スペクトルフィルター配列は前記積み重ねた導波路板と前記検出器配列の間に配置されている、ステップを含む。この方法は、前記ハイパースペクトル撮像システムを前記遠隔物体に対して配置するステップであって、(1)前記光学部品が前記遠隔物体の前記領域と関連する光を受光し、前記遠隔物体の前記領域と関連する光を出力し、(2)前記積み重ねた導波路板の入射端に位置する前記スリットは前記光学部品から出力された前記光の少なくとも一部を受光し、前記積み重ねた導波路板の前記入射端と反対側の射出端は複数の分散された光を出力し、前記複数の導波路板のそれぞれは前記複数の分散された光の1つを出力し、(3)前記スペクトルフィルター配列は前記積み重ねた導波路板の前記射出端から出力された前記複数の分散された光を受光し、異なる波長フィルター処理された光の複数の配列を出力し、前記複数の分散された光のそれぞれは異なる波長フィルター処理された光の前記複数の配列の1つと関連し、(4)前記検出器配列は前記スペクトルフィルター配列から異なる波長フィルター処理された光の前記複数の配列を受光し、電気信号の複数の配列を出力し、異なる波長フィルター処理された光の前記複数の配列のそれぞれは電気信号の前記複数の配列の1つと関連し、(5)前記コントローラは前記検出器配列から電気信号の前記複数の配列を受信し、電気信号の前記複数の配列を組み合わせて前記遠隔物体の前記領域の前記ハイパースペクトル画像を生成し、前記遠隔物体の前記領域の前記ハイパースペクトル画像を出力するように、前記遠隔物体に対して配置するステップを更に含む。
【0007】
更に別の態様では、本開示は特別に構成された導波路を提供する。この導波路は複数の導波路板であって各導波路板が順に積み重ねられ、スリットが設けられた積み重ねた導波路板を備え、前記積み重ねた導波路板は前記スリットを除き被膜が被覆された入射端を有し、前記スリットは前記入射端に位置し前記被膜で被覆されていない。各導波路板は矩形形状と前記スリットの一部を成す入射瞳とを有する。
【0008】
本開示の追加の態様は下記の詳細な説明、図、及び請求項において一部記述され、一部その詳細な説明から得られるか本開示を実施することにより認識されうる。上記概要説明と下記の詳細な説明の両方とも代表的で説明のためだけであり、本開示を限定するものでないことは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示のより完全な理解は下記の詳細な説明を添付図面と併せて参照することで得られる可能性がある。
【
図1A】本開示の実施形態に係る遠隔物体の一領域のハイパースペクトル画像を提供するよう構成された代表的なハイパースペクトル撮像システムの基本構成要素を例示する上面図である。
【
図1B】本開示の実施形態に係る遠隔物体の一領域のハイパースペクトル画像を提供するよう構成された代表的なハイパースペクトル撮像システムの基本構成要素を例示する側面図である。
【
図2】本開示の実施形態に係る遠隔物体の一領域のハイパースペクトル画像を提供するために
図1A及び
図1Bに示されたハイパースペクトル撮像システムを使用するための代表的な方法のステップを例示するフローチャートである。
【
図3A】本開示の実施形態に係る単一の導波路板の上面図を例示する。
【
図3B】本開示の実施形態に係る単一の導波路板の側面図を例示する。
【
図3C】本開示の実施形態に係る積み重ねた導波路板の端面図を例示する。
【
図3D】本開示の実施形態に係る積み重ねた導波路板の側面図を例示する。
【
図3E】本開示の実施形態に係る導波路板に入りその導波路板を通過する光のビーム路を例示する上面図である。
【
図4】本開示の実施形態に係る構成の代表的なスペクトルフィルター配列の前面図を例示する。
【
図5】本開示の実施形態に係る構成の代表的な検出器配列の前面図を例示する。
【
図6A】本開示の実施形態に係る遠隔物体の一領域のハイパースペクトル画像を提供するよう構成された別の代表的なハイパースペクトル撮像システムの基本構成要素を例示する上面図である。
【
図6B】本開示の実施形態に係る遠隔物体の一領域のハイパースペクトル画像を提供するよう構成された別の代表的なハイパースペクトル撮像システムの基本構成要素を例示する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1A及び
図1Bを参照すると、本開示の実施形態に係る遠隔物体104の領域103のハイパースペクトル画像102を提供するよう構成された代表的なハイパースペクトル撮像システム100の基本構成要素を例示する図が示されている。
図1A(上面図)及び
図1B(側面図)に示されているように、ハイパースペクトル撮像システム100は光学部品110(例えば、レンズ)、積み重ねた導波路板120
1、120
2、120
3、120
4、120
5、120
6、120
7、120
8、120
9、120
10(10個だけの導波路板が示されているが、任意の数の導波路板120
xであってもよい)、スペクトルフィルター配列130、検出器配列140(例えば、カメラ焦点面配列140)、及びコントローラ150を含む。導波路板120
1、120
2、120
3、120
4、120
5、120
6、120
7、120
8、120
9、120
10(本書では積み重ねた導波路板120と総称される)はスリット124が形成された入射端122と、入射端122と反対側の射出端126とを有する。積み重ねた導波路板120は光学部品110とスペクトルフィルター配列130の間に配置される。スペクトルフィルター配列130は積み重ねた導波路板120と検出器配列140の間に配置される。コントローラ150は検出器配列140に結合される。また、ハイパースペクトル撮像システム100は、光学部品110、積み重ねた導波路板120、スペクトルフィルター配列130、及び検出器配列140を囲み支持するハウジング160を含んでもよい。この例では、コントローラ150はハウジング160の外部に位置すると示されているが、それでも少なくとも検出器配列140と動作可能に結合される。ハイパースペクトル撮像システム100は当業者には既知の他の構成要素を含みうるが、明確さのために、本開示を説明し可能にするのに必要なこれらの構成要素110、120
1、120
2、120
3、120
4、120
5、120
6、120
7、120
8、120
9、120
10、130、140、及び150だけが本書で詳細に説明される。
【0011】
図2を参照すると、本開示の実施形態に係る遠隔物体104の領域103のハイパースペクトル画像102を提供するためにハイパースペクトル撮像システム100を使用するための代表的な方法200のステップを例示するフローチャートが示されている。ハイパースペクトル撮像システム100が準備され(ステップ202)、光学部品110が遠隔物体104の領域103に関連する光170を受光し遠隔物体104の領域103に関連する光172を出力できるように遠隔物体104に対して配置される(ステップ204)。積み重ねた導波路板120の入射端122に位置するスリット124は、光学部品110から出力される光172の少なくとも一部を受光する。積み重ねた導波路板120の射出端126は、複数の分散された光176、個々に176
1、176
2、176
3、176
4、176
5、176
6、176
7、176
8、176
9、176
10と呼ばれる光を出力する(例えば、1つの分散された光が各導波路板120
1、120
2、120
3、120
4、120
5、120
6、120
7、120
8、120
9、120
10から出力される)。スペクトルフィルター配列130は、積み重ねた導波路板120の射出端126から出力された複数の分散された光176
1、176
2、176
3、176
4、176
5、176
6、176
7、176
8、176
9、176
10を受光し、異なる波長フィルター処理した光178(個々に178
iと呼ばれる)の複数の配列を出力する。
図2において、178
1、178
2、178
3、178
4、178
5、178
6(例えば、6つの異なる波長フィルター処理した光178
iの10個の配列(10個の導波路板120
1、120
2、120
3、120
4、120
5、120
6、120
7、120
8、120
9、120
10に対応する))が示されているが、任意の数の配列及び任意の数の異なる波長フィルター処理した光178があってもよい。検出器配列140はスペクトルフィルター配列130からの異なる波長フィルター処理した光176
1、176
2、176
3、176
4、176
5、176
6の複数の配列を受光し複数の電気信号180(個々に180
iと呼ばれる)の複数の配列を出力する。
図2において、180
1、180
2、180
3、180
4、180
5、180
6(例えば、6つの異なる波長フィルター処理した光178の10個の配列に対応する6つの電気信号180の10個の配列)が示されているが、任意の数の配列及び任意の数の電気信号180があってもよい。コントローラ150は検出器配列140から電気信号180
1、180
2、180
3、180
4、180
5、180
6の複数の配列を受信する。コントローラ150は次に電気信号180
1、180
2、180
3、180
4、180
5、180
6の複数の配列を処理して遠隔物体104の領域103のハイパースペクトル画像102を生成する。その後、コントローラ150は遠隔物体104の領域103のハイパースペクトル画像102を出力する。ハイパースペクトル撮像システム100は繰り返し上記のやり方で動作し遠隔物体104の異なる領域103の異なるハイパースペクトル画像102を取得する。
【0012】
ハイパースペクトル撮像システム100は光学部品110が光172を積み重ねた導波路板120のスリット124に方向付けるように動作可能である。各導波路板120
1、120
2、120
3、120
4、120
5、120
6、120
7、120
8、120
9、120
10は、光172のそれが受光した部分の屈折角を低減し光のそれぞれの特定部分174
1、174
2、174
3、174
4、174
5、174
6、174
7、174
8、174
9、174
10を自身の中で一方向(例えば、
図1Aに示されたx方向)だけに広げる屈折率を有する。積み重ねた導波路板120の射出端126に、複数の異なる波長通過帯域フィルター(例えば)132
1、132
2、132
3、132
4、132
5、132
6を含むスペクトルフィルター配列130が、受光し、受光した分散された光176
1、176
2、176
3、176
4、176
5、176
6、176
7、176
8、176
9、176
10の特定の波長だけが異なる波長フィルター処理した光178
1、178
2、178
3、178
4、178
5、178
6の配列として通過するのを許すように配置されている。スペクトルフィルター配列130の出力端に、検出器配列140が異なる波長フィルター処理した光178
1、178
2、178
3、178
4、178
5、178
6の配列を受光しそれらの強度を電気信号180
1、180
2、180
3、180
4、180
5、180
6の対応する配列に変換する。このハイパースペクトル撮像システム100では、積み重ねた導波路板120用のスリット124の開口の長さ及びサイズは、一方向(例えば、
図1Aに示されたx方向)の空間寸法を決め、積み重ねた導波路板120の幅は別の方向(例えば、
図1Aに示されたz方向)の第2空間寸法を決め、スペクトルフィルター配列130の波長通過帯域フィルター132
1、132
2、132
3、132
4、132
5、132
6は本システムのスペクトル分解能を決める。これらのそれぞれは、ハイパースペクトル撮像システム100の特定の用途の要件を満たすように変更されうる。遠隔物体104の領域103に対応する2つ以上の画像102を取得するために、ハイパースペクトル撮像システム100は遠隔物体104を走査して遠隔物体104の他の領域をサンプリングしうる。ハイパースペクトル撮像システム100の異なる構成要素110、120
1、120
2、120
3、120
4、120
5、120
6、120
7、120
8、120
9、120
10、130、140、及び150についての詳細な説明が下記にされる。
【0013】
光学部品110
光学部品110(例えば、
図1A及び
図1Bに示されたようなレンズ)はハイパースペクトル撮像システム100の特定の用途(例えば、空中用途、マシンビジョン用途)の要件を満たすように選択された焦点距離を有しうる。例えば、焦点距離15~100mmの光学部品110が通常大多数の用途で使用される。光学部品110は標準の既製のレンズであってもよいが、また用途に依って特注のレンズであってもよい。同じ光学部品110は異なる用途、例えば空中用途及びマシンビジョン用途にしばしば使用されうる。
【0014】
積み重ねた導波路板120
本開示の重要な特徴は順に積み重ねられた多数の導波路板120
1、120
2、120
3、120
4、120
5、120
6、120
7、120
8、120
9、120
10である。
図3A(上面図)及び
図3B(側面図)は、分散された光176
1の所望の出力に依って変わりうる寸法の矩形形状を有する単一の導波路板120
1の異なる図を例示する。なお、その他の導波路板120
2、120
3、120
4、120
5、120
6、120
7、120
8、120
9、120
10は例示される必要がなく、それらも通常導波路板120
1と同じ矩形形状と同じ寸法を有する。例えば、単一の導波路板120
1は1mm~25mm(長さ、y方向)、0.4mm~15mm(幅、x方向)及び3μm~30μm(厚み、z方向)の範囲の寸法を有しうる。下記に説明するように、導波路板120
1、120
2、120
3、120
4、120
5、120
6、120
7、120
8、120
9、120
10は検出器配列140(例えば、カメラ焦点面配列140)の画素サイズに対応する厚みを有しうるか又は厚みは任意のサイズでありうる。なお、導波路板120
1、120
2、120
3、120
4、120
5、120
6、120
7、120
8、120
9、120
10の数は任意であるか又は使用されている検出器配列のより長い又は短い寸法と適合しうる。
【0015】
図3C(端面図)及び
図3D(側面図)は、積み重ねた導波路板120の異なる図を例示する。各導波路板120
1、120
2、120
3、120
4、120
5、120
6、120
7、120
8、120
9、120
10は単一の入射瞳124
1、124
2、124
3、124
4、124
5、124
6、124
7、124
8、124
9、124
10を有し、それらは集合的に積み重ねた導波路板120の入射端122にスリット124を形成する(
図2D参照)。スリット124は、被膜128(例えば、各導波路板120
1、120
2、120
3、120
4、120
5、120
6、120
7、120
8、120
9、120
10の入射端122に塗布された反射被膜又は塗料)を切断することで作られうる(なお、被膜128は
図3Cの積み重ねた導波路板120の入射端122にだけ陰影で示されているが、被膜128は導波路板120
1、120
2、120
3、120
4、120
5、120
6、120
7、120
8、120
9、120
10の外表面の全体又は一部に塗布されうる)。或いは、スリット124は積み重ねた導波路板120の入射端122をスリット形状でマスクし次に被膜128を少なくとも積み重ねた導波路板120の入射端122に塗布しそのマスクを取り去ってスリット124を露出させることで作られうる。更に別の選択肢では、スリット124は、積み重ねた導波路板120の入射端122はスリット124の領域で被膜128をはじく一方、入射端122の残りの領域及びことによると積み重ねた導波路板120の他の外表面は被膜128を引き寄せるように処置されるリソグラフィ印刷プロセスを使用して作られうる。
【0016】
図3E(上面図)は光174
1のビーム路を示す。光174
1はスリット124の対応する部分(又は入射瞳124
1)を通って導波路板120
1に入り、光学部品110の焦点距離に基づき導波路板120
1内で一つの軸中で分散され、導波路板120
1から分散された光176
1として出力される(
図1A及び
図1Bも参照)。その他の導波路板120
2、120
3、120
4、120
5、120
6、120
7、120
8、120
9、120
10は同様のビーム路を有し、入射端122のスリット124のそれぞれの部分(又は入射瞳124
2、124
3、124
4、124
5、124
6、124
7、124
8、124
9、124
10)を通って入った光174
iは、光学部品110の焦点距離に基づきそれぞれの導波路板120
2、120
3、120
4、120
5、120
6、120
7、120
8、120
9、120
10内で一つの軸中だけで分散され、それぞれの導波路板120
2、120
3、120
4、120
5、120
6、120
7、120
8、120
9、120
10から複数の分散された光176
2、176
3、176
4、176
5、176
6、176
7、176
8、176
9、176
10として出力される(
図1A及び
図1Bも参照)。即ち、積み重ねた導波路板120はスリット124を介して光174を集め、各導波路板120
1、120
2、120
3、120
4、120
5、120
6、120
7、120
8、120
9、120
10は光174を一つの軸中だけで分散させてそれぞれの分散された光176
1、176
2、176
3、176
4、176
5、176
6、176
7、176
8、176
9、176
10を出力する。
【0017】
導波路板1201、1202、1203、1204、1205、1206、1207、1208、1209、12010は、例えば(1)溶融石英、BK7などの透過性ガラス材料、(2)フッ化バリウム、フッ化カルシウム、セレン化亜鉛、硫化亜鉛などの結晶材料、及び(3)ゲルマニウムを含む材料から作られうる。選択される材料は通常導波路板1201、1202、1203、1204、1205、1206、1207、1208、1209、12010の製造可能性及び要求される透過率に基づいている。各導波路板1201、1202、1203、1204、1205、1206、1207、1208、1209、12010は上表面、底表面、及び結像面(即ち、検出器配列140)により多くの光を反射する反射被膜で覆われた細長い側面を有しうる。また、導波路板1201、1202、1203、1204、1205、1206、1207、1208、1209、12010はファイバーと同様に一体に接着される必要のあるずっと厚い導波路から始まって、そのより厚い導波路は用途に必要なサイズに削減されることで、ファイバーと同様に製造されうる。或いは、各導波路板1201、1202、1203、1204、1205、1206、1207、1208、1209、12010は複数の材料層を順に塗り重ねて積み重ねた導波路板120の各導波路板1201、1202、1203、1204、1205、1206、1207、1208、1209、12010を形成することを含むコーティングプロセスで作製されうる。
【0018】
スペクトルフィルター配列130
図4は代表的なスペクトルフィルター配列130の前面図(即ち、積み重ねた導波路板120の射出端126に隣接する)を例示する。代表的なスペクトルフィルター配列130は、各導波路板120
1、120
2、120
3、120
4、120
5、120
6、120
7、120
8、120
9、120
10と整列された異なる波長通過帯域フィルター132
1、132
2、132
3、132
4、132
5、132
6(6つだけ示されているが、任意の数の通過帯域フィルター132がありうる)を有する。即ち、スペクトルフィルター配列130は特定の波長フィルター132
1、132
2、132
3、132
4、132
5、132
6を有し分散された光176
1、176
2、176
3、176
4、176
5、176
6、176
7、176
8、176
9、176
10を一つの軸に沿った設定された数の波長(又は波長帯域)の光の配列に分離する(なお、各分散された光176
1、176
2、176
3、176
4、176
5、176
6、176
7、176
8、176
9、176
10と関連する設定された数の波長が存在する)。また、異なる波長通過帯域フィルター132
1、132
2、132
3、132
4、132
5、132
6は紫外線帯域から長波赤外線帯域まで含むフィルター範囲を有しうる。或いは、スペクトルフィルター配列130は、複数の導波路板120
1、120
2、120
3、120
4、120
5、120
6、120
7、120
8、120
9、120
10及び検出器配列140の画素の複数の列142
1、142
2、142
3、142
4、142
5、142
6、142
7、142
8、142
9、142
10と対応し整列された異なる波長通過帯域フィルター132
iの複数の列を有してもよい(例えば、スペクトルフィルター配列130は検出器配列140の画素144の行列に対応する通過帯域フィルター132
iの行列を有してもよい)。スペクトルフィルター配列130の異なる波長通過帯域フィルター132
1、132
2、132
3、132
4、132
5、132
6は、どの波長が検出器配列140(焦点面配列140)に渡されるかを決める。
【0019】
検出器配列140
図5は代表的な検出器配列140(例えば、カメラ焦点面配列140)の前面図(即ち、スペクトルフィルター配列130の出力端に隣接する)を例示する。検出器配列140は、画素144
1、144
2、144
3、144
4、144
5、144
6(6つだけの画素が示されているが任意の数の画素があってもよい)の複数の列142
1、142
2、142
3、142
4、142
5、142
6、142
7、142
8、142
9、142
10(10個だけの列が示されているが任意の数の列があってもよい)を有する。1つの例では、画素144
1、144
2、144
3、144
4、144
5、144
6の各列142
1、142
2、142
3、142
4、142
5、142
6、142
7、142
8、142
9、142
10はそれぞれの導波路板120
1、120
2、120
3、120
4、120
5、120
6、120
7、120
8、120
9、120
10と整列される。
【0020】
コントローラ150
コントローラ150は(1)検出器配列140から電気信号1801、1802、1803、1804、1805、1806の複数の配列を受信し、(2)電気信号1801、1802、1803、1804、1805、1806の複数の配列を処理し遠隔物体104の領域103のハイパースペクトル画像102を生成し、(3)遠隔物体104の領域103のハイパースペクトル画像102を出力するように動作可能である。1つの例では、コントローラ150はプロセッサ152とプロセッサ実行可能命令群を記憶するメモリ154とを備えてもよい。プロセッサ152はメモリ154と接続しプロセッサ実行可能命令群を実行し、それによりコントローラ150は(1)検出器配列140から電気信号1801、1802、1803、1804、1805、1806の複数の配列を受信し、(2)電気信号1801、1802、1803、1804、1805、1806の複数の配列を処理し遠隔物体104の領域103のハイパースペクトル画像102を生成し、(3)遠隔物体104の領域103のハイパースペクトル画像102を出力するように動作可能である。
【0021】
図6A及び
図6Bを参照すると、本開示の別の実施形態に係る遠隔物体104の領域103’のハイパースペクトル画像102を提供するよう構成された別の代表的なハイパースペクトル撮像システム100’の基本構成要素を例示する図が示されている。
図6A(上面図)及び
図6B(側面図)に示されているように、ハイパースペクトル撮像システム100’は光学部品110(例えば、レンズ)、複数の積み重ねた導波路板602a、602b、602c(3つだけの積み重ねた導波路板602a、602b、602cが示されていて、各積み重ねは10個の導波路板120
1、120
2、120
3、120
4、120
5、120
6、120
7、120
8、120
9、120
10を有するが、任意の数の導波路板120
iを有する任意の数の積み重ねた導波路板602
iであってもよい)、スペクトルフィルター配列130(異なる波長通過帯域フィルター132
1、132
2、132
3、132
4、132
5、132
6の複数の組132a、132b、132cを有する)、検出器配列140(例えば、カメラ焦点面配列140)、及びコントローラ150を含む。各積み重ねた導波路板602a、602b、602cはスリット124a、124b、124cが形成された入射端122a、122b、122cと、入射端122a、122b、122cとそれぞれ反対側の射出端126a、126b、126cとを有する(なお、各積み重ねた導波路板602a、602b、602cは複数の導波路板120
1、120
2、120
3、120
4、120
5、120
6、120
7、120
8、120
9、120
10(10個だけが示されているが任意の数であってもよい)を含む)。複数の積み重ねた導波路板602a、602b、602cが光学部品110とスペクトルフィルター配列130の間に配置されている。スペクトルフィルター配列130は複数の積み重ねた導波路板602a、602b、602cと検出器配列140の間に配置されている。コントローラ150は検出器配列140に結合されている。また、ハイパースペクトル撮像システム100’は、光学部品110、複数の積み重ねた導波路板602a、602b、602c、スペクトルフィルター配列130、及び検出器配列140を囲み支持するハウジング160を含んでもよい。この例では、コントローラ150はハウジング160の外部に位置すると示されているが、それでも少なくとも検出器配列140と動作可能に結合される。ハイパースペクトル撮像システム100’は当業者には既知の他の構成要素を含みうるが、明確さのために、本開示を説明し可能にするのに必要なこれらの構成要素110、602a、602b、602c、130、140、及び150だけが本書で詳細に説明される(又は説明された)。
【0022】
動作時、ハイパースペクトル撮像システム100’は、光学部品110が遠隔物体104の領域103’に関連する光170a、170b、170cを受光し遠隔物体104の領域103’に関連する光172a、172b、172cを出力できるように遠隔物体104に対して配置される。複数の積み重ねた導波路板602a、602b、602cの入射端122a、122b、122cに位置する各スリット124a、124b、124cはそれぞれ光学部品110から出力される光172a、172b、172cの少なくとも一部を受光する。積み重ねた導波路板602a、602b、602cの各射出端126a、126b、126cは複数の分散された光1761、1762、1763、1764、1765、1766、1767、1768、1769、17610の一組176a、176b、176cをそれぞれ出力する(例えば、1つの分散された光176が各導波路板1201、1202、1203、1204、1205、1206、1207、1208、1209、12010から出力される)。スペクトルフィルター配列130は、積み重ねた導波路板602a、602b、602cの射出端126a、126b、126cから出力された分散された光1761、1762、1763、1764、1765、1766、1767、1768、1769、17610の複数の組176a、176b、176cを受光し、異なる波長フィルター処理した光1781、1782、1783、1784、1785、1786の複数の配列の複数の組178a、178b、178cを出力する(例えば、6つの異なるフィルター処理した光178の10個の配列(10個の導波路板に対応する)の3つの組178(3つの積み重ねた導波路板120に対応する)が示されているが任意の数の組及び任意の数の配列及び任意の数の異なる波長フィルター処理した光178であってもよい)。検出器配列140はスペクトルフィルター配列130から異なる波長フィルター処理した光1781、1782、1783、1784、1785、1786の複数の配列の複数の組178a、178b、178cを受光し、電気信号1801、1802、1803、1804、1805、1806の複数の配列の複数の組180a、180b、180cを出力する(例えば、6つの波長フィルター処理した光178の10個の配列の3つの組に対応した6つの電気信号180の10個の配列の3つの組が示されているが任意の数の組、任意の数の配列、及び任意の数の電気信号180であってもよい)。コントローラ150は検出器配列140から電気信号1801、1802、1803、1804、1805、1806の複数の配列の複数の組180a、180b、180cを受信する。次にコントローラ150は受信した電気信号1801、1802、1803、1804、1805、1806の複数の配列の複数の組180a、180b、180cを処理して遠隔物体104の領域103’のハイパースペクトル画像102を生成する。その後、コントローラ150は遠隔物体104の領域103’のハイパースペクトル画像102を出力する。ハイパースペクトル撮像システム100’は繰り返し上記のやり方で動作して遠隔物体104の異なる領域103’の異なるハイパースペクトル画像102を取得できる。
【0023】
図示のように並列に使用される複数の組の積み重ねた導波路フィルター602a、602b、602cを有するハイパースペクトル撮像システム100’は空間列の複数の組が同時に取得されるのを可能にするか、又は異なる導波路寸法と共に使用されて異なる空間又はスペクトル分解能を同時に可能にしうる。例えば、第1の積み重ねた導波路フィルター602aは20nm帯域幅で400nm~1000nmを集め、第2の積み重ねた導波路フィルター602bは2nm帯域で400nm~1000nmを集め、第3の積み重ねた導波路フィルター602cは1nm帯域で400nm~1000nmを集めうる。例えば2nm帯域で500nm~600nmのように異なる波長範囲も使用できる一方、異なる導波路は10nm帯域で600nm~1000nmを集める。これは異なる空間分解能についても次のように行われうる。第1の積み重ねた導波路フィルター602aは単一画素の個別の導波路幅、例えば5μmで400nm~1000nmを集め、第2の積み重ねた導波路フィルター602bは2つの画素の個別の導波路幅10μmで400nm~1000nmを集め、第3の積み重ねた導波路フィルター602cは4つの画素の個別の導波路幅20μmで400nm~1000nmを集めうる。これは異なる空間分解能を選択する能力を可能にする。
【0024】
スペクトルフィルター配列130は 積み重ねた導波路板602a、602b、602cの射出端126a、126b、126c及び/又は検出器配列140に直接取り付けられうる(なお、同じことがハイパースペクトル撮像システム100にも当てはまる)。検出器配列140(例えば、カメラ)はスペクトル的に不均一な量子効率を有している場合があり、この問題に対処するために、スペクトルフィルター配列130はこれらのより多く照射される領域が検出器配列140(例えば、焦点面配列)のより低い量子効率波長と合わせられうるように配列されうる。これは検出器配列140上のスペクトル強度を均一する。加えて、これは検出器配列140のより低い量子効率領域(通常Siチップで380nm~450nm及び700nm~1000nm)におけるより高い信号強度を可能にする。また、積み重ねた導波路板602a、602b、602cの幾何形状のために、積み重ねた導波路板602a、602b、602cの中心は積み重ねた導波路板602a、602b、602cの縁より多くの光を受光する可能性が高い(例えば、xの次元において不均一)。従って、スペクトルフィルター配列130の異なる波長通過帯域フィルター1321、1322、1323、1324、1325、1326は、より多く照射された領域が検出器配列140のより低いカメラ量子効率(例えば、Siチップで>700nm又は<450nm)と合わせられるように配列されうる。
【0025】
ハイパースペクトル撮像システム100及び100’の上記の説明を考慮すると、スペクトルフィルター配列130及び検出器配列140と共に使用される1つ以上の積み重ねた導波路板120、602a、602b、602cはスリット画像を遠隔物体104の領域103の複数のスペクトルスライスに変換できることが理解できる。導波路板1201、1202、1203、1204、1205、1206、1207、1208、1209、12010は異なる形状でありうるが、通常矩形形状であり、異なる入射開口1241、1242、1243、1244、1245、1246、1247、1248、1249、12410を有し検出器配列140の特定の画素サイズに適合しうる。望むなら、空間分解能を最大化するために、導波路板1201、1202、1203、1204、1205、1206、1207、1208、1209、12010の数は検出器配列140内の画素の列1421、1422、1423、1424、1425、1426、1427、1428、1429、14210の数と一致しうる。積み重ねた導波路板120、602a、602b、602cは小型の広帯域拡散装置を可能にする。
【0026】
望むなら、複数のスリット124a、124b、124cを有する複数の積み重ねた導波路板602a、602b、602cが、ハイパースペクトル撮像システム100’に関して上記説明した複数の走査線(
図6A及び
図6B参照)を作るために使用されうる。この場合、別々の並列の積み重ねた導波路板602a、602b、602cは異なる空間及びスペクトル分解能が同時に得られるのを可能にする。これは、次に遠隔物体104に関連するハイパースペクトル立方体(複数の画像102)のより速い取得を可能にする。
【0027】
スペクトルフィルター配列130は積み重ねた導波路板120、602a、602b、602c又は検出器配列140に直接取り付けられうる。或いは、スペクトルフィルター配列130、積み重ねた導波路板120、602a、602b、602c、及び検出器配列140は空隙なく一体に接着されうる。
【0028】
望むなら、結像レンズが積み重ねた導波路板120、602a、602b、602cと検出器配列140の間に配置され、積み重ねた導波路板120、602a、602b、602cから出力された分散された光1761、1762、1763、1764、1765、1766、1767、1768、1769、17610を平行光にするか、又は積み重ねた導波路板120、602a、602b、602cからの分散された光1761、1762、1763、1764、1765、1766、1767、1768、1769、17610の投射される出力を変えうる。或いは、結像レンズ(又は更に別の結像レンズ)がスペクトルフィルター配列130と検出器配列140の間に配置されうる。
【0029】
望むなら、積み重ねた導波路板120、602a、602b、602cは、導波路板1201、1202、1203、1204、1205、1206、1207、1208、1209、12010内のスペクトルフィルター配列130から反射され戻されたいずれの光174、174a、174b、174cも再利用されスペクトルフィルター配列130の異なる位置に入射するように反射性被覆された入射端122、122a、122b、122cを有してもよく、全ての光174、174a、174b、174cがスペクトルフィルター配列130により受光される。即ち、反射性被膜がないと、スペクトルフィルター配列130により反射された光は導波路板1201、1202、1203、1204、1205、1206、1207、1208、1209、12010の上面に向かって伝搬して失われうる。従って、反射性被膜はその光をスペクトルフィルター配列130へ反射し戻して、光損失を制限し信号強度を上げて性能を向上させる。
【0030】
本開示は高価でなく小型のハイパースペクトル撮像システム100及び100’を作るのを可能にする。加えて、本開示はハイパースペクトル撮像システム100及び100’が背景技術の項で述べた拡張可能フィルター解決策及び複雑な光学システム両方のように機能し、従って本質的に両技術の最良の特徴を有するようにする。例えば、ハイパースペクトル撮像システム100及び100’はサイズと費用の利点を有す一方、全ての波長を同時に集めて撮像データの処理時間及び誤差を低減することで複雑な光学システム(オフナー/ダイソンシステム)と同様に機能するフィルター処理解決策を実現する。また、ハイパースペクトル撮像システム100及び100’はまた、従来のオフナー/ダイソン解決策で得られるよりずっと高い空間分解能システムも可能にする。
【0031】
ハイパースペクトル撮像システム100及び100’はまた、遠隔物体104の画像102のスライス及び通常のオフナー又はダイソン分光計に類似の全ての波長情報の収集を可能にする。しかし、ハイパースペクトル撮像システム100及び100’のサイズ及び費用は、非常に限定された空間/スペクトル分解能を有するか又は全ての波長を得るために走査する必要がある背景技術の項で述べたフィルターベース解決策に類似する。ハイパースペクトル撮像システム100及び100’は次の利点(例えば)(1)分光計ベース構成に比べて少ない費用及びサイズ、及び(2)例えば、空中用途又はマシンビジョン用途における動いている遠隔物体104の、背景技術の項で述べたフィルターベース構成より良い画像取込みを有する。
【0032】
様々な開示された実施形態はその特定の実施形態と関連して記述された特定の特徴、要素、又はステップを含んでもよいことは理解されるであろう。また、特定の実施形態に関して記述されているが特定の特徴、要素、又はステップは、様々な非例示の結合又は置換によって別の実施形態と交換又は組み合わされてもよいことは理解されるであろう。
【0033】
また、本明細書で使用されるように、そうでないと明らかに指示されない限り、英語の用語「the」、「a」、又は「an」は「少なくとも1つ」を意味し「1つだけ」に限定されるべきでないと理解されるべきである。従って、例えば、1つの開口への言及は、文脈からそうでないと明らかに示されない限り、2つ以上のそのような開口を有する例を含む。
【0034】
本明細書では範囲は、「約」特定の値から及び/又は「約」別の特定の値までとして表されうる。そのような範囲が表された時、複数の例はその1つの特定の値から及び/又はその別の特定の値までを含む。同様に、値が先行する「約」を使って近似値として表された時、その特定の値は別の態様を形成することは理解されよう。また、各範囲の端点は他方の端点と関係して、また他方の端点とは独立して意味があることは理解されよう。
【0035】
そうでないと明らかに指示されない限り、本明細書で表された全ての数値は、そう記述されていてもいなくても、「約」を含むと解釈されるべきである。しかし、「約」その値と表されているか否かに拘らず、記載された各数値は正確に意図されていることも理解されよう。従って、「10mm未満の寸法」及び「約10mm未満の寸法」は両方とも、「10mm未満の寸法」に加え「約10mm未満の寸法」の実施形態を含む。
【0036】
そうでないと明確に記述されていない限り、本明細書で明らかにされるどんな方法も、特定の順序でそのステップが実行されることを要求していると解釈されることを決して意図していない。従って、方法請求項がそのステップが従う順序を実際に明記しない場合、又は請求項又は説明でステップが特定の順序に限定されるべきであると明確に記述されていない場合、どんな特定の順序も推測されることは全く意図されていない。
【0037】
特定の実施形態の様々な特徴、要素、又はステップが従来の句「comprising」を使用して開示されることがあるが、従来の句「consisting」又は「consisting essentially of」を使用して記載される可能性がある特徴、要素、又はステップを含む別の実施形態が示唆されることは理解されるべきである。従って、例えば、A+B+Cを含む(comprising)方法の示唆される別の実施形態は、方法はA+B+Cから成る(consists of)実施形態、及び方法はA+B+Cから基本的に成る(consists essentially of)実施形態を含む。
【0038】
本開示の複数の実施形態が添付図面に例示され上記詳細な説明に記述されたが、本開示は開示された実施形態に限定されず、添付の請求項に明記され規定された本開示から逸脱することなく多数の再編成、部分変更、及び置換が可能であることは理解されるべきである。
【0039】
実施形態1
ハイパースペクトル撮像システムであって、
光学部品と、
順に積み重ねられた第1の複数の導波路板からなる第1の積み重ねた導波路板と、
前記第1の積み重ねた導波路板上に位置する第1スリットと、
スペクトルフィルター配列と、
検出器配列と
を備え、
前記第1の積み重ねた導波路板は前記光学部品と前記スペクトルフィルター配列の間に配置され、前記スペクトルフィルター配列は前記第1の積み重ねた導波路板と前記検出器配列の間に配置されている、ハイパースペクトル撮像システム。
【0040】
実施形態2
前記検出器配列に結合されたコントローラを更に備える実施形態1記載のハイパースペクトル撮像システム。
【0041】
実施形態3
順に積み重ねられた第2の複数の導波路板からなる第2の積み重ねた導波路板と、
前記第2の積み重ねた導波路板上に位置する第2スリットと
を更に備え、
前記第2の積み重ねた導波路板は前記第1の積み重ねた導波路板に隣接して配置され、前記第2の積み重ねた導波路板は前記光学部品と前記スペクトルフィルター配列の間に配置され、前記スペクトルフィルター配列は前記第2の積み重ねた導波路板と前記検出器配列の間に配置されている、実施形態1又は2記載のハイパースペクトル撮像システム。
【0042】
実施形態4
前記第1の積み重ねた導波路板は被膜が被覆された入射端を有し、前記被膜は前記第1スリットを形成するように構成されている、実施形態1~3のいずれかに記載のハイパースペクトル撮像システム。
【0043】
実施形態5
前記第1の複数の導波路板のそれぞれは矩形形状を有する、実施形態1~4のいずれかに記載のハイパースペクトル撮像システム。
【0044】
実施形態6
前記第1の複数の導波路板のそれぞれは前記第1スリットの一部を成す入射瞳を有する、実施形態1~5のいずれかに記載のハイパースペクトル撮像システム。
【0045】
実施形態7
前記第1の複数の導波路板のそれぞれは(1)透過性ガラス材料、(2)透過性結晶材料、及び(3)ゲルマニウムのうち1つから作られる、実施形態1~6のいずれかに記載のハイパースペクトル撮像システム。
【0046】
実施形態8
前記スペクトルフィルター配列は複数の異なる波長通過帯域フィルターを含み、前記複数の通過帯域フィルターは前記第1の複数の導波路板のそれぞれと整列される、実施形態1~7のいずれかに記載のハイパースペクトル撮像システム。
【0047】
実施形態9
前記複数の異なる波長通過帯域フィルターは紫外線帯域から長波赤外線帯域まで含む波長フィルター範囲を有する、実施形態8記載のハイパースペクトル撮像システム。
【0048】
実施形態10
前記検出器配列は複数の画素列を含み、前記各画素列は前記第1の複数の導波路板のそれぞれと整列される、実施形態1~9のいずれかに記載のハイパースペクトル撮像システム。
【0049】
実施形態11
前記各画素列は前記第1の複数の導波路板の1つの厚みと一致する厚みを有する、実施形態10記載のハイパースペクトル撮像システム。
【0050】
実施形態12
遠隔物体の一領域のハイパースペクトル画像を提供するための方法であって、
ハイパースペクトル撮像システムを準備するステップであって、前記ハイパースペクトル撮像システムは
光学部品と、
順に積み重ねられた複数の導波路板からなり入射端と前記入射端と反対側の射出端とを有する積み重ねた導波路板と、
前記積み重ねた導波路板の前記入射端に位置するスリットと、
スペクトルフィルター配列と、
検出器配列と
前記検出器配列に結合されたコントローラと
を備え、前記積み重ねた導波路板は前記光学部品と前記スペクトルフィルター配列の間に配置され、前記スペクトルフィルター配列は前記積み重ねた導波路板と前記検出器配列の間に配置されている、ステップと、
前記ハイパースペクトル撮像システムを前記遠隔物体に対して配置するステップであって、
前記光学部品が前記遠隔物体の前記領域と関連する光を受光し、前記遠隔物体の前記領域と関連する光を出力し、
前記スリットは前記光学部品から出力された前記光の少なくとも一部を受光し、前記積み重ねた導波路板は複数の分散された光を前記射出端から出力し、前記複数の導波路板のそれぞれは前記複数の分散された光の1つを出力し、
前記スペクトルフィルター配列は前記積み重ねた導波路板の前記射出端から出力された前記複数の分散された光を受光し、異なる波長フィルター処理された光の複数の配列を出力し、前記複数の分散された光のそれぞれは異なる波長フィルター処理された光の前記複数の配列の1つと関連し、
前記検出器配列は前記スペクトルフィルター配列から異なる波長フィルター処理された光の前記複数の配列を受光し、電気信号の複数の配列を出力し、異なる波長フィルター処理された光の前記複数の配列のそれぞれは電気信号の前記複数の配列の1つと関連し、
前記コントローラは前記検出器配列から電気信号の前記複数の配列を受信し、電気信号の前記複数の配列を組み合わせて前記遠隔物体の前記領域の前記ハイパースペクトル画像を生成し、前記遠隔物体の前記領域の前記ハイパースペクトル画像を出力するように、前記遠隔物体に対して配置するステップと
を含む方法。
【0051】
実施形態13
前記ハイパースペクトル撮像システムを繰り返し動作させて、前記遠隔物体の複数の異なる領域の複数のハイパースペクトル画像を生成し出力するステップを更に含む実施形態12記載の方法。
【0052】
実施形態14
前記入射端は前記スリットを形成するよう構成された被膜が被覆されている、実施形態12又は13記載の方法。
【0053】
実施形態15
前記複数の導波路板のそれぞれは矩形形状を有する、実施形態12~14のいずれかに記載の方法。
【0054】
実施形態16
前記複数の導波路板のそれぞれは前記スリットの一部を成す入射瞳を有する、実施形態12~15のいずれかに記載の方法。
【0055】
実施形態17
前記複数の導波路板のそれぞれは前記光学部品から出力された前記光を1つの次元中だけで分散するように構成されている、実施形態12~16のいずれかに記載の方法。
【0056】
実施形態18
前記スペクトルフィルター配列は複数の異なる波長通過帯域フィルターを含み、前記複数の通過帯域フィルターは前記複数の導波路板のそれぞれと整列される、実施形態12~17のいずれかに記載の方法。
【0057】
実施形態19
前記複数の異なる波長通過帯域フィルターは紫外線帯域から長波赤外線帯域まで含む波長フィルター範囲を有する、実施形態18記載の方法。
【0058】
実施形態20
前記検出器配列は複数の画素列を含み、前記各画素列は前記複数の導波路板のそれぞれと整列される、実施形態12~19のいずれかに記載の方法。
【0059】
実施形態21
前記各画素列は前記複数の導波路板の1つの厚みと一致する厚みを有する、実施形態20記載の方法。
【0060】
実施形態22
順に積み重ねられた複数の導波路板からなり入射端を有する積み重ねた導波路板であって、前記複数の導波路板のそれぞれは矩形形状と前記入射端に位置する入射瞳とを有する、積み重ねた導波路板と、
前記入射端を被覆し、前記入射瞳を含むスリットを形成するよう構成された被膜と
を備える導波路。
【符号の説明】
【0061】
100 ハイパースペクトル撮像システム
102 ハイパースペクトル画像
103 領域
104 遠隔物体
110 光学部品
120 積み重ねた導波路板
1201~12010 導波路板
122 入射端
124 スリット
1241~12410 入射瞳
126 射出端
130 スペクトルフィルター配列
1321~1326 波長通過帯域フィルター
140 検出器配列
1421~14210 画素の列
1441~1446 画素
150 コントローラ
152 プロセッサ
154 メモリ
160 ハウジング
170、172、174、1741~17410 光
176、1761~17610 分散された光
178、1781~1786 波長フィルター処理した光
180、1801~1806 電気信号
602a~602c 積み重ねた導波路板