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特許7465816端子保護用両面テープ及び電磁波シールド膜付き半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】端子保護用両面テープ及び電磁波シールド膜付き半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20240404BHJP
   C09J 7/29 20180101ALI20240404BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20240404BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240404BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20240404BHJP
   H01L 23/00 20060101ALI20240404BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20240404BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20240404BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J7/29
C09J201/00
H05K7/20 F
H05K9/00 Q
H01L23/00 C
H01L23/30 D
B32B27/00 M
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020561539
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(86)【国際出願番号】 JP2019050020
(87)【国際公開番号】W WO2020130127
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-09-30
(31)【優先権主張番号】P 2018238855
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】坂東 沙也香
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 明徳
(72)【発明者】
【氏名】中石 康喜
(72)【発明者】
【氏名】岡本 直也
【審査官】川嶋 宏毅
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-067713(JP,A)
【文献】特開平10-292158(JP,A)
【文献】国際公開第98/024860(WO,A1)
【文献】特開2012-122058(JP,A)
【文献】特開2017-054891(JP,A)
【文献】特開2018-010964(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
B32B 27/00
H01L 21/301,23/00,
23/28
H05K 7/20,9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子付き半導体装置に電磁波シールド膜を形成する工程に用いられる端子保護用両面テープであって、
粘弾性層と、基材と、第2粘着剤層と、を有し、
前記粘弾性層、前記基材、前記第2粘着剤層のうち、少なくとも1層が熱伝導層であり、
前記熱伝導層の熱伝導率は、1.0W/(m・K)以上であり、
前記端子保護用両面テープの総厚みに対する熱伝導層の総厚みの割合は、0.1以上であり、
前記粘弾性層が、埋め込み層及び第1粘着剤層を有する端子保護用両面テープ。
【請求項2】
前記粘弾性層と、前記基材と、前記第2粘着剤層のうち、2層以上が熱伝導層である請求項1に記載の端子保護用両面テープ。
【請求項3】
前記第1粘着剤層と、前記埋め込み層と、前記基材と、前記第2粘着剤層と、をこの順で有する請求項1又は2に記載の端子保護用両面テープ。
【請求項4】
請求項1~のいずれか1項に記載の端子保護用両面テープの粘弾性層に、端子付き半導体装置の端子を埋設させる工程と、
前記端子保護用両面テープの粘弾性層に埋設されていない前記端子付き半導体装置の露出面に電磁波シールド膜を形成する工程と、
を含む電磁波シールド膜付き半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1~のいずれか1項に記載の端子保護用両面テープの粘弾性層に、端子付き半導体装置集合体の端子を埋設させる工程と、
前記端子付き半導体装置集合体をダイシングして、前記端子付き半導体装置集合体を、前記端子保護用両面テープの粘弾性層に端子が埋設された端子付き半導体装置とする工程と、
前記端子保護用両面テープの粘弾性層に埋設されていない前記端子付き半導体装置の露出面に電磁波シールド膜を形成する工程と、
を含む電磁波シールド膜付き半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子保護用両面テープ及びそれを用いる電磁波シールド膜付き半導体装置の製造方法に関する。
本願は、2018年12月20日に、日本に出願された特願2018-238855号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
従来、MPUやゲートアレー等に用いる多ピンのLSIパッケージをプリント配線基板に実装する場合には、複数の電子部品を備える半導体装置として、その接続パッド部に共晶ハンダ、高温ハンダ、金等からなる凸状電極(以下、本明細書においては「端子」と称する)が形成されたものを用いている。そして、それらの端子をチップ搭載用基板上の相対応する端子部に対面、接触させ、溶融/拡散接合する実装方法が採用されている。
【0003】
パーソナルコンピュータの普及と共にインターネットは一般的となり、現在では、スマートフォンやタブレット端末もインターネットに接続され、デジタル化された映像、音楽、写真、文字情報などを無線通信技術によりインターネットを介して伝達されるシーンが益々増えている。更には、IoT(Internet of Things)が普及して、家電、自動車などの様々なアプリケーション分野でセンサー、RFID(Radio frequency identifier)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、ワイヤレスコンポーネント等の半導体デバイスをよりスマートに使用するためのパッケージ技術に革新的な変革がもたらされようとしている。
【0004】
このように電子機器の進化が続く中で、半導体デバイスへの要求水準は年々高まっている。特に、高性能化、小型化、高集積化、低消費電力化、低コスト化へのニーズに答えようとすると、熱対策、ノイズ対策の2つが重要なポイントとなる。
【0005】
このような熱対策、ノイズ対策に対応して、例えば特許文献1に開示されるように、電子部品モジュールを導電材料で被覆して電磁波シールド膜を形成する方法が採用されている。特許文献1では、個片化された電子部品モジュールの天面及び側面に塗布された導電性樹脂を加熱し硬化させて、電磁波シールド膜を形成している。
【0006】
端子付き半導体装置を、導電性金属、導電性樹脂(以下、これらを総称して「導電材料」ともいう。)で被覆して電磁波シールド膜を形成する方法としては、スパッタリング、イオンプレーティング、スプレーコート等の方法がよく知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2011-151372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1で開示されている電子部品の製造方法では、集合基板の裏面に設けられた外部端子電極は、粘着性シートに埋め込まれた状態で導電性樹脂が塗布される。粘着性シートの所定の位置にマスキング部が設けられているので、外部端子電極と電磁波シールド膜とが電気的にショートすることを防止することができる。
【0009】
しかしながら、粘着性シートの所定の位置にマスキング部を設けることは工程上煩雑である。そのため、はんだボール等の凹凸を有し、浮きの生じやすい外部端子電極であっても埋め込むことが可能な端子保護用テープが求められている。
【0010】
一方、導電材料を塗布するスパッタリング、イオンプレーティング、スプレーコート等の方法による電磁波シールド膜形成工程においては、粘着性シートの表面温度が上昇し、それに伴い粘着性シートの表面に面荒れが生じることがある。粘着性シートの表面に面荒れが生じると、埋め込まれていた外部端子電極が一部露出し、電磁波シールド膜と電気的にショートするという問題がある。また、粘着シートの表面の面荒れにより、前記個片化された電子部品モジュールの側面の一部が粘着シートに埋め込まれ、前記部分には電磁波シールド膜が形成されないという問題もある。
【0011】
そこで、本発明は、端子付き半導体装置に電磁波シールド膜を形成する工程に用いられる端子保護用両面テープであって、導電材料を塗布するスパッタリング、イオンプレーティング、スプレーコート等の方法による電磁波シールド膜形成工程においても、前記端子保護用両面テープの表面温度の上昇、並びに面荒れを抑制することが可能な端子保護用両面テープ、及びそれを用いる電磁波シールド膜付き半導体装置の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち、本発明は、以下の端子保護用両面テープ及びそれを用いる電磁波シールド膜付き半導体装置の製造方法を提供する。
【0013】
[1] 端子付き半導体装置に電磁波シールド膜を形成する工程に用いられる端子保護用両面テープであって、
粘弾性層と、基材と、第2粘着剤層と、を有し、
前記粘弾性層、前記基材、前記第2粘着剤層のうち、少なくとも1層が熱伝導層である端子保護用両面テープ。
[2] 前記粘弾性層と、前記基材と、前記第2粘着剤層のうち、2層以上が熱伝導層である[1]に記載の端子保護用両面テープ。
[3] 前記熱伝導層の熱伝導率が1.0W/(m・K)以上である[1]又は[2]に記載の端子保護用両面テープ。
[4] 前記端子保護用両面テープの総厚みに対する前記熱伝導層の総厚みが、0.01以上である[1]~[3]のいずれか1項に記載の端子保護用両面テープ。
[5] 前記粘弾性層が、埋め込み層及び第1粘着剤層を有する、[1]~[4]のいずれか1項に記載の端子保護用両面テープ。
[6] 前記第1粘着剤層と、前記埋め込み層と、前記基材と、前記第2粘着剤層と、をこの順で有する[5]に記載の端子保護用両面テープ。
【0014】
[7] [1]~[6]のいずれか1項に記載の端子保護用両面テープの粘弾性層に、端子付き半導体装置の端子を埋設させる工程と、
前記端子保護用両面テープの粘弾性層に埋設されていない前記端子付き半導体装置の露出面に電磁波シールド膜を形成する工程と、
を含む電磁波シールド膜付き半導体装置の製造方法。
[8] [1]~[6]のいずれか1項に記載の端子保護用両面テープの粘弾性層に、端子付き半導体装置集合体の端子を埋設させる工程と、
前記端子付き半導体装置集合体をダイシングして、前記端子付き半導体装置集合体を、前記端子保護用両面テープの粘弾性層に端子が埋設された端子付き半導体装置とする工程と、
前記端子保護用両面テープの粘弾性層に埋設されていない前記端子付き半導体装置の露出面に電磁波シールド膜を形成する工程と、
を含む電磁波シールド膜付き半導体装置の製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、端子付き半導体装置に電磁波シールド膜を形成する工程に用いられる端子保護用両面テープであって、導電材料を塗布するスパッタリング、イオンプレーティング、スプレーコート等の方法による電磁波シールド膜形成工程においても、前記端子保護用両面テープの表面温度の上昇、並びに面荒れを抑制することが可能な端子保護用両面テープ、及びそれを用いる電磁波シールド膜付き半導体装置の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の端子保護用両面テープの一の実施形態を模式的に示す断面図である。
図2】本発明の端子保護用両面テープの他の実施形態を模式的に示す断面図である。
図3】本発明の電磁波シールド膜付き半導体装置の製造方法の一の実施形態を模式的に示す断面図である。
図4】本発明の電磁波シールド膜付き半導体装置の製造方法の他の実施形態を模式的に示す断面図である。
図5】本発明の電磁波シールド膜付き半導体装置の製造方法の他の実施形態を模式的に示す断面図である。
図6】スパッタリング後の実施例1の端子保護用両面テープの表面(第1粘着剤層表面)の写真である。
図7】スパッタリング後の実施例2の端子保護用両面テープの表面(第1粘着剤層表面)の写真である。
図8】スパッタリング後の比較例1の端子保護用両面テープの表面(第1粘着剤層表面)の写真である。
図9】スパッタリング後の比較例2の端子保護用両面テープの表面(第1粘着剤層表面)の写真である。
図10】スパッタリング後の比較例3の端子保護用両面テープの表面(第1粘着剤層表面)の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の端子保護用両面テープの一実施形態を模式的に示す断面図である。なお、以下の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
【0018】
図1に示す端子保護用両面テープ1は、端子付き半導体装置に電磁波シールド膜を形成する工程に用いられる端子保護用両面テープ1であって、第1粘着剤層14及び埋め込み層13からなる粘弾性層12、基材11及び第2粘着剤層15をこの順で有する。前記粘弾性層12、前記基材11、前記第2粘着剤層15の少なくとも1層が熱伝導層である。
【0019】
本実施形態の端子保護用両面テープは、図1に示すように、粘弾性層12の第1粘着剤層14の側の最表層に剥離フィルム20を備えていてもよい。また、第2粘着剤層15の側の最表層に剥離フィルム22を備えていてもよい。
本実施形態の端子保護用両面テープは、図1に示すものに限定されず、本発明の効果を損なわない範囲内において、図1に示すものにおいて、一部の構成が変更、削除又は追加されたものであってもよい。
【0020】
図1に示す端子保護用両面テープ1は、剥離フィルム22を剥離して、図2に示すように、支持体30に固定し、更に、剥離フィルム20を剥離して、粘弾性層12に、端子付き半導体装置を、端子の側を下にして押し付けて、粘弾性層12に端子を埋設し、更にその上から導電材料をスパッタリング、イオンプレーティング、スプレーコート等により塗布することにより、電磁波シールド膜を形成する工程に使用することができる。本実施形態の端子保護用両面テープは、粘弾性層、基材、第2粘着剤層のうち、少なくとも1層が熱伝導層であることによって、導電材料を塗布するスパッタリング、イオンプレーティング、スプレーコート等の方法による電磁波シールド膜形成工程においても、前記端子保護用両面テープの表面温度の上昇、並びに面荒れを抑制することができる。
【0021】
本明細書において、「熱伝導層」とは、熱伝導率が0.5(W/(m・K))以上である層を意味する。熱伝導率は、下記式(1)により算出することができる。
熱伝導率(W/(m・K))=熱拡散率×密度×比熱 式(1)
前記式(1)において、熱拡散率は熱拡散率・熱伝導率測定装置(例えば、アイフェイズ(株)製、ai-Phase Mobile lu)を用いて温度波法(TWA法)により測定することができる。前記式(1)において、比熱はDSC法により、密度はアルキメデス法により算出することができる。
【0022】
熱伝導層の熱伝導率としては、1.0(W/(m・K))以上であることが好ましく、5.0(W/(m・K))以上であることがより好ましい。熱伝導層の熱伝導率が前記下限値以上であると、導電材料を塗布するスパッタリング、イオンプレーティング、スプレーコート等の方法による電磁波シールド膜形成工程において、端子保護用両面テープの放熱の効果が高まり、結果として、端子保護用両面テープの表面温度の上昇、並びに面荒れを抑制することができる。
熱伝導層の熱伝導率は、本発明の効果を有する限り特に限定されないが、例えば、30.0(W/(m・K))以下であってもよく、25.0(W/(m・K))以下であってもよい。
上記上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
組み合わせの例としては、1.0~30.0(W/(m・K))が好ましく、5.0~25.0(W/(m・K))がより好ましい。
【0023】
粘弾性層と、基材と、第2粘着剤層とを有する本実施形態の端子保護用両面テープにおいては、前記粘弾性層、前記基材、前記第2粘着剤層の少なくとも1層が熱伝導層であることが好ましく、2層以上が熱伝導層であることがより好ましい。本実施形態の端子保護用両面テープは、前記粘弾性層、前記基材、前記第2粘着剤層の少なくとも1層が熱伝導層であることにより、導電材料を塗布するスパッタリング、イオンプレーティング、スプレーコート等の方法による電磁波シールド膜形成工程において、端子保護用両面テープの放熱の効果が高まり、結果として、端子保護用両面テープの表面温度の上昇、並びに面荒れを抑制することができる。前記粘弾性層、前記基材、前記第2粘着剤層のどの層が熱伝導層であってもよいが、前記基材が熱伝導層であることが特に好ましい。
【0024】
端子保護用両面テープの総厚みに対する熱伝導層の総厚みは0.01以上であることが好ましく、0.05以上であることがより好ましく、0.1以上であることがさらに好ましい。
端子保護用両面テープの総厚みに対する熱伝導層の総厚みは、本発明の効果を有する限り特に限定されないが、例えば、1.0以下であってもよく、0.8以下であってもよく0.6以下であってもよい。
上記上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
組み合わせの例としては、0.01~1.0であることが好ましく、0.05~0.8であることが好ましく、0.1~0.6であることがさらに好ましい。
本明細書において、「端子保護用両面テープの総厚み」とは、端子保護用両面テープ全体の厚みを意味し、端子保護用両面テープを構成する全ての層の合計の厚みを意味する。また、本明細書において、「熱伝導層の総厚み」とは、端子保護用両面テープに含まれる熱伝導層の合計の厚みを意味する。端子保護用両面テープの総厚みに対する熱伝導層の総厚みが前記下限値以上であると、導電材料を塗布するスパッタリング、イオンプレーティング、スプレーコート等の方法による電磁波シールド膜形成工程において、端子保護用両面テープの放熱の効果が高まり、結果として、端子保護用両面テープの表面温度の上昇、並びに面荒れを抑制することができる。
本明細書において、各層の厚みは例えば、JIS K6783、JIS Z1702、JIS Z1709に準拠して、株式会社テクロック製の定圧厚さ測定器(型番:「PG-02J」)によって測定することができる。
【0025】
次に、本実施形態の端子保護用両面テープを構成する各層について説明する。
【0026】
◎基材
基材は、シート状又はフィルム状であり、その構成材料としては、例えば、各種樹脂及び金属材料等が挙げられる。本明細書において、「シート状又はフィルム状」とは、薄い膜状で、面内の厚さのばらつきが小さく、フレキシブル性を有するものを意味する。
前記樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPEともいう。)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPEともいう。)、高密度ポリエチレン(HDPEともいう。)等のポリエチレン;ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ノルボルネン樹脂等のポリエチレン以外のポリオレフィン;エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVAともいう。)、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン-ノルボルネン共重合体等のエチレン系共重合体(すなわち、モノマーとしてエチレンを用いて得られた共重合体);ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂(すなわち、モノマーとして塩化ビニルを用いて得られた樹脂);ポリスチレン;ポリシクロオレフィン;ポリエチレンテレフタレート(PETともいう。)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート、すべての構成単位が芳香族環式基を有する全芳香族ポリエステル等のポリエステル;2種以上の前記ポリエステルの共重合体;ポリ(メタ)アクリル酸エステル;ポリウレタン;ポリウレタンアクリレート;ポリイミド;ポリアミド;ポリカーボネート;フッ素樹脂;ポリアセタール;変性ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリスルホン;ポリエーテルケトン等が挙げられる。
また、前記樹脂としては、例えば、前記ポリエステルとそれ以外の樹脂との混合物等のポリマーアロイも挙げられる。前記ポリエステルとそれ以外の樹脂とのポリマーアロイは、ポリエステル以外の樹脂の量が比較的少量であるものが好ましい。
また、前記樹脂としては、例えば、ここまでに例示した前記樹脂の1種又は2種以上が架橋した架橋樹脂;ここまでに例示した前記樹脂の1種又は2種以上を用いたアイオノマー等の変性樹脂も挙げられる。
【0027】
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の両方を包含する概念とする。(メタ)アクリル酸と類似の用語についても同様であり、例えば、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を包含する概念であり、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」及び「メタクリロイル基」の両方を包含する概念である。
【0028】
前記金属材料としては、熱伝導率が1.0(W/(m・K))以上の金属材料が好ましく、熱伝導率が5.0(W/(m・K))以上の金属材料がより好ましい。熱伝導率は、すでに説明した前記式(1)より算出することができる。
このような金属材料としては銅、金、銀、アルミニウム等が例として挙げられ、中でも銅が好ましい。基材が前記金属材料を含有する場合は、その形状としては金属箔状であることが好ましく、前記樹脂に粘着剤層を介して金属箔を金属層として積層することが好ましい。樹脂と金属層を貼合するための粘着剤は、本分野で公知のものでよく、後述の第1粘着剤層で説明する粘着剤の中から樹脂及び金属層の種類に合わせて適宜選択することができる。前記粘着剤層を形成するための粘着剤組成物は、第1粘着剤層で説明する粘着剤組成物と同様のものを使用することができる。また、前記粘着剤組成物は、後述の第1粘着剤層で説明する粘着剤組成物の製造方法と同様の方法で製造することができる。
【0029】
基材を構成する樹脂及び金属材料は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
【0030】
前述の通り、基材は1層(単層)のみでもよいし、2層以上の複数層でもよく、複数層である場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
なお、本明細書においては、基材の場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよく、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の構成材料及び厚みの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
【0031】
基材の厚みは、5~1000μmであることが好ましく、10~500μmであることがより好ましく、15~300μmであることがさらに好ましく、20~150μmであることが特に好ましい。
ここで、「基材の厚み」とは、基材全体の厚みを意味し、例えば、複数層からなる基材の厚みとは、基材を構成するすべての層の合計の厚みを意味する。例えば、前述の樹脂と金属層を粘着剤層を介して積層して得られる基材の場合、その基材の厚みは、前記樹脂と、前記金属層と、前記粘着剤層の合計の厚みを意味する。
【0032】
基材が複数層からなり、かつ1層以上の金属層を有する場合、基材の厚みに対する金属層の総厚みは、0.05以上であることが好ましく、0.10以上であることがより好ましく、0.15以上であることがさらに好ましい。
基材の厚みに対する金属層の総厚みは、本発明の効果を有する限り特に限定されないが、例えば、1.0以下であってもよく、0.8以下であってもよく、0.6以下であってもよい。
上記上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
組み合わせの例としては、0.05~1.0であることが好ましく、0.10~0.8であることがより好ましく、0.15~0.6であることがさらに好ましい。
本明細書において、「金属層の総厚み」とは、基材に含まれる金属層の合計の厚みを意味する。基材の厚みに対する金属層の総厚みが、前記範囲の下限値以上であると、基材の熱伝導率が上がり、前記基材を用いた前記端子保護用両面テープの表面温度の上昇、並びに面荒れを抑制することができる。
【0033】
樹脂を基材として用いる場合、厚みの精度が高いもの、すなわち、部位によらず厚みのばらつきが抑制されたものが好ましい。上述の構成材料のうち、このような厚みの精度が高い基材を構成するのに使用可能な材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリエチレン以外のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等が挙げられる。
【0034】
基材は、前記樹脂等の主たる構成材料以外に、フィラー、着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、有機滑剤、触媒、軟化剤(可塑剤)等の公知の各種添加剤を含有していてもよい。
【0035】
上記添加剤の中でも、基材はフィラーを含有していることが好ましく、中でも熱伝導性フィラーを含有していることが好ましい。
本明細書において、「熱伝導性フィラー」とは、熱伝導率が1.0(W/(m・K))以上であるフィラーを意味する。熱伝導率は、すでに説明した前記式(1)より算出することができる。
【0036】
熱伝導性フィラーの熱伝導率は、1.0(W/(m・K))以上であることが好ましく、4.0(W/(m・K))以上であることがより好ましい。基材に含まれる熱伝導性フィラーの熱伝導率が前記下限値以上であると基材の熱伝導率が上がり、前記基材を用いた前記端子保護用両面テープの表面温度の上昇、並びに面荒れを抑制することができる。
熱伝導性フィラーの熱伝導率は、本発明の効果を有する限り特に限定されないが、例えば、30.0(W/(m・K))以下であってもよく、25.0(W/(m・K))以下であってもよい。
上記上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
組み合わせの例としては、1.0~30.0(W/(m・K))が好ましく、4.0~25.0(W/(m・K))がより好ましい。
【0037】
熱伝導性フィラーは、上記熱伝導率の下限値以上であれば特に限定されず、有機フィラーであっても、無機フィラーであってもよいが、無機フィラーであることが好ましい。無機フィラーとしては、無機酸化物、無機炭化物、無機窒化物等が例として挙げられ、無機フィラーとしての熱伝導率が高いことから、無機炭化物、無機窒化物が好ましく、無機窒化物がより好ましい。
無機炭化物としては、炭化ケイ素、無機窒化物としては、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素が例として挙げられ、この中でも熱伝導率が高いという点で、窒化ホウ素が好ましい。
また、熱伝導性フィラーは。1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
【0038】
熱伝導性フィラーの形状は、本発明の効果を有する限り特に限定されず、例えば、球状、板状、繊維状等が例として挙げられる。また、熱伝導性フィラーは、樹脂中に均一に分散していることが好ましい。
【0039】
熱伝導性フィラーの平均粒子径は、本発明の効果を有する限り特に限定されず、例えば、0.01~20μmであり、0.05~10μmがより好ましい。熱伝導性フィラーの平均粒子径が前記範囲の下限値以上であると、熱伝導性が効率よく確保できる。熱伝導性フィラーの平均粒子径が前記範囲の上限値以下であると、基材表面の平滑性が確保される。
本明細書において、「熱伝導性フィラーの平均粒子径」は、堀場製作所社製「レーザー回折式粒度分布測定装置」を用いて測定することができる。
【0040】
基材の総質量に対する熱伝導性フィラーの含有量は、35~95質量%であることが好ましく、40~90質量%であることがより好ましい。基材の総質量に対する熱伝導性フィラーの含有量が前記範囲の下限値以上であると、基材の熱伝導率が上がり、前記基材を用いた前記端子保護用両面テープの表面温度の上昇、並びに面荒れを抑制することができる。基材の総質量に対する熱伝導性フィラーの含有量が前記範囲の上限値以下であると、基材としての性能が確保可能である。
【0041】
基材は、透明であってもよいし、不透明であってもよく、目的に応じて着色されていてもよいし、他の層が蒸着されていてもよい。
前記粘弾性層がエネルギー線硬化性である場合、基材はエネルギー線を透過させるものが好ましい。
【0042】
基材は、公知の方法で製造できる。例えば、樹脂を含有する基材は、前記樹脂を含有する樹脂組成物を成形することで製造できる。
【0043】
基材が熱伝導性フィラーを含む樹脂である場合、前記基材は、粉末混錬法、及びワニス法によって製造することができる。
【0044】
・粉末混錬法
熱伝導性フィラーを樹脂に添加し、樹脂と熱伝導性フィラーを混合機中で分散させ、所定の型にはめて加熱しながらプレス成型することによって熱伝導性フィラーを含む樹脂からなる基材を得ることができる。また、前記混合機中で分散させる際には、適宜溶媒を使用することができる。
【0045】
・ワニス法
熱伝導性フィラーを表面処理したのちに、ワニスと混合して均一分散させ、その状態でシートの上に流し込むことによって熱伝導性フィラーを含む樹脂からなる基材を得ることができる。前記表面処理としては、対水性、対湿性、対薬品性処理、対樹脂とのカップリング処理、表面円滑化処理など、公知の表面処理が例として挙げられる。また、前記ワニスとの混合の際には、適宜溶媒を使用することができる。
【0046】
◎粘弾性層
本実施形態の端子保護用両面テープにおいて、粘弾性層は、端子付き半導体装置の端子形成面(換言すると回路面)、及びこの端子形成面上に設けられた端子を保護するために用いられる。
前記粘弾性層は、埋め込み層及び第1粘着剤層を有することが好ましい。
【0047】
粘弾性層の厚みは1~1000μmであることが好ましく、5~800μmであることがより好ましく、10~600μmであることがさらに好ましい。
粘弾性層の厚みが前記下限値以上であることで、はんだボール等の浮きの生じやすい端子電極であっても埋設することができる。また、粘弾性層の厚みが前記上限値以下であることで、端子保護用両面テープが過剰な厚みとなることが抑制される。
ここで、「粘弾性層の厚み」とは、粘弾性層全体の厚みを意味し、埋め込み層及び第1粘着剤層の複数層からなる粘弾性層の厚みは、埋め込み層及び第1粘着剤層の合計の厚みを意味する。
【0048】
端子付き半導体装置の端子形成面を粘弾性層12に密着させるに際しては、端子付き半導体装置の端子形成面を粘弾性層12中の第1粘着剤層14に直接密着させることが好ましい。このとき、端子形成面及び端子にのり残りを防ぐために、第1粘着剤層14は、埋め込み層13よりも硬く設定することが好ましい。
【0049】
〇埋め込み層
本実施形態の端子保護用両面テープにおいて、埋め込み層は、粘弾性層のうち端子付き半導体装置の端子を埋設して保護する層である。
埋め込み層は、シート状又はフィルム状であり、前記条件の関係を満たす限り、その構成材料は、特に限定されない。
【0050】
例えば、保護対象となる端子付き半導体装置の端子形成面を覆う粘弾性層に、半導体表面に存在する端子の形状が反映されることによって、粘弾性層が変形してしまうことの抑制を目的とする場合、前記埋め込み層の好ましい構成材料としては、埋め込み層の貼付性がより向上する点から、アクリル系樹脂等が挙げられる。
【0051】
埋め込み層は、前記アクリル系樹脂等の主たる構成材料以外に、フィラー、着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、有機滑剤、触媒、軟化剤(可塑剤)等の公知の各種添加剤を含有していてもよい。
【0052】
上記添加剤の中でも、埋め込み層はフィラーを含有していることが好ましく、中でも上述の熱伝導性フィラーを含有していることが好ましい。埋め込み層が上述の熱伝導性フィラーを含有することによって、埋め込み層の熱伝導率が上がり、前記埋め込み層を用いた前記端子保護用両面テープの表面温度の上昇、並びに面荒れを抑制することができる。
【0053】
埋め込み層の総質量に対する熱伝導性フィラーの含有量は、20~80質量%であることが好ましく、30~70質量%であることがより好ましい。埋め込み層の総質量に対する熱伝導性フィラーの含有量が前記範囲の下限値以上であると、埋め込み層の熱伝導率が上がり、前記埋め込み層を用いた前記端子保護用両面テープの表面温度の上昇、並びに面荒れを抑制することができる。埋め込み層の総質量に対する熱伝導性フィラーの含有量が前記範囲の上限値以下であると、埋め込み層としての性能が確保可能である。
【0054】
埋め込み層は1層(単層)のみでもよいし、2層以上の複数層でもよく、複数層である場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
【0055】
埋め込み層の厚みは、粘弾性層の厚みが1~1000μmとなる範囲で、保護対象となる端子付き半導体装置の端子形成面の端子の高さに応じて適宜調節できるが、比較的高さが高い端子の影響も容易に吸収できる点から、10~500μmであることが好ましく、20~450μmであることがより好ましく、30~400μmであることが特に好ましい。埋め込み層の厚みが前記下限値以上であることで、端子の保護性能がより高い粘弾性層を形成できる。また、埋め込み層の厚みが前記上限値以下であることで、生産性とロール形状での巻取り適性が向上する。
ここで、「埋め込み層の厚み」とは、埋め込み層全体の厚みを意味し、例えば、複数層からなる埋め込み層の厚みとは、埋め込み層を構成するすべての層の合計の厚みを意味する。
【0056】
埋め込み層は、端子を埋設するに相応しい、柔らかい性質を有することが好ましく、第1粘着剤層よりも柔らかいことが好ましい。
【0057】
(埋め込み層形成用組成物)
埋め込み層は、その構成材料を含有する埋め込み層形成用組成物を用いて形成できる。
例えば、埋め込み層の形成対象面に埋め込み層形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させ、エネルギー線の照射によって硬化させることで、目的とする部位に埋め込み層を形成できる。また、剥離フィルムに埋め込み層形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させ、エネルギー線の照射によって硬化させることで、目的とする厚みの埋め込み層を形成でき、目的とする部位に埋め込み層を転写することもできる。埋め込み層のより具体的な形成方法は、他の層の形成方法とともに、後ほど詳細に説明する。埋め込み層形成用組成物中の、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、埋め込み層の前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。ここで、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15~30℃の温度が挙げられる。
【0058】
埋め込み層形成用組成物の塗工は、公知の方法で行えばよく、例えば、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター、ロールナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ナイフコーター、スクリーンコーター、マイヤーバーコーター、キスコーター等の各種コーターを用いる方法が挙げられる。
【0059】
埋め込み層形成用組成物の乾燥条件は、特に限定されないが、埋め込み層形成用組成物が、後述する溶媒を含有している場合、加熱乾燥させることが好ましく、この場合、例えば、70~130℃で10秒間~5分間の条件で乾燥させることが好ましい。
埋め込み層形成用組成物は、エネルギー線硬化性を有する場合、エネルギー線の照射により硬化させることが好ましい。また、本発明の一つの側面としては、埋め込み層形成用組成物が、エネルギー線硬化性を有する場合、エネルギー線の照射により硬化させないことが好ましい。
【0060】
埋め込み層形成用組成物としては、例えば、アクリル系樹脂を含有する埋め込み層形成用組成物(I)が挙げられる。
【0061】
{埋め込み層形成用組成物(I)}
埋め込み層形成用組成物(I)は、アクリル系樹脂を含有する。
埋め込み層形成用組成物(I)としては、後述する、第1粘着剤組成物(I-1)のうち、アクリル系樹脂である粘着性樹脂(I-1a)と、エネルギー線硬化性化合物と、を含有する組成物、第1粘着剤組成物(I-2)のうち、アクリル系樹脂である粘着性樹脂(I-1a)の側鎖に不飽和基が導入されたエネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I-2a)を含有する組成物を、埋め込み層形成用組成物(I)として用いることができる。
【0062】
埋め込み層形成用組成物(I)において用いる粘着性樹脂(I-1a)及びエネルギー線硬化性化合物は、後述する第1粘着剤組成物(I-1)で用いる粘着性樹脂(I-1a)及びエネルギー線硬化性化合物の説明と同じである。
埋め込み層形成用組成物(I)において用いる粘着性樹脂(I-2a)は、後述する第1粘着剤組成物(I-2)において用いる粘着性樹脂(I-2a)の説明と同じである。
埋め込み層形成用組成物(I)は、さらに架橋剤を含有することが好ましい。埋め込み層形成用組成物(I)において用いる架橋剤は、後述する第1粘着剤組成物(I-1)、第1粘着剤組成物(I-2)で用いる架橋剤の説明と同じである。
埋め込み層形成用組成物(I)は、さらに光重合開始剤、その他の添加剤を含有していてもよい。埋め込み層形成用組成物(I)において用いる光重合開始剤、その他の添加剤は、後述する第1粘着剤組成物(I-1)、第1粘着剤組成物(I-2)で用いる光重合開始剤、その他の添加剤の説明と同じである。また、上述の熱伝導性フィラーを含有する埋め込み層を製造する場合、埋め込み層形成用組成物(I)は、添加剤として熱伝導性フィラーを含有する。
埋め込み層形成用組成物(I)は、溶媒を含有していてもよい。埋め込み層形成用組成物(I)において用いる溶媒は、後述する第1粘着剤組成物(I-1)、第1粘着剤組成物(I-2)で用いる溶媒の説明と同じである。
【0063】
埋め込み層形成用組成物(I)のうち、粘着性樹脂(I-1a)の分子量及びエネルギー線硬化性化合物の分子量のいずれか一方又は両方を調整することで、埋め込み層が、端子を埋設するに相応しい、柔らかい性質を有するよう設計することができる。
また、埋め込み層形成用組成物(I)のうち、架橋剤の含有量を調整することで、埋め込み層が、端子を埋設するに相応しい、柔らかい性質を有するよう設計することができる。
【0064】
<<埋め込み層形成用組成物の製造方法>>
埋め込み層形成用組成物(I)は、これを構成するための各成分を配合することで得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの配合成分と混合してこの配合成分を予め希釈しておくことで用いてもよいし、溶媒以外のいずれかの配合成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら配合成分と混合することで用いてもよい。
配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15~30℃であることが好ましい。
【0065】
{埋め込み層の組成}
本実施形態における、埋め込み層の組成は、上述の埋め込み層形成用組成物(I)から溶媒を除いたものである。
埋め込み層形成用組成物(I)が、後述する、第1粘着剤組成物(I-1)のうち、アクリル系樹脂である粘着性樹脂(I-1a)と、エネルギー線硬化性化合物と、を含有する組成物である場合の埋め込み層(1)における、埋め込み層(1)の総質量に対するアクリル系樹脂である粘着性樹脂(I-1a)の含有割合は50~99質量%であることが好ましく、55~95質量%であることがより好ましく、60~90質量%であることがさらに好ましい。本発明の別の側面としては、埋め込み層(1)の総質量に対するアクリル系樹脂である粘着性樹脂(I-1a)の含有割合は45~90質量%であってもよく、50~85質量%であってもよい。また、埋め込み層(1)の総質量に対するエネルギー線硬化性化合物の含有割合は0.5~50質量%であることが好ましく、5~45質量%であることがさらに好ましい。埋め込み層(1)が架橋剤を含有する場合、埋め込み層(1)の総質量に対する架橋剤の含有割合は0.1~10質量%であることが好ましく、0.2~9質量%であることがより好ましく、0.3~8質量%であることがさらに好ましい。
【0066】
埋め込み層形成用組成物(I)が、アクリル系樹脂である粘着性樹脂(I-1a)の側鎖に不飽和基が導入されたエネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I-2a)を含有する組成物である場合の埋め込み層(2)における、埋め込み層の総質量に対する側鎖に不飽和基が導入されたエネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I-2a)の含有割合は10~70質量%であることが好ましく、15~65質量%であることがより好ましく、20~60質量%であることがさらに好ましい。埋め込み層(2)が架橋剤を含有する場合、埋め込み層(2)の総質量に対する架橋剤の含有割合は0.1~10質量%であることが好ましく、0.2~9質量%であることがより好ましく、0.3~8質量%であることがさらに好ましい。本実施形態の埋め込み層(2)はさらに前記アクリル系樹脂である粘着性樹脂(I-1a)を含有していてもよい。この場合、埋め込み層(2)の総質量に対するアクリル系樹脂である粘着性樹脂(I-1a)の含有割合は、20~70質量%であることが好ましく、25~65質量%であることがより好ましく、30~60質量%であることがさらに好ましい。また、本実施形態の埋め込み層(2)がさらに前記アクリル系樹脂である粘着性樹脂(I-1a)を含有する場合、前記粘着性樹脂(I-2a)100質量部に対する、前記粘着性樹脂(I-1a)の含有量は、70~100質量部であることが好ましく、75~100質量部であることがより好ましく、80~100質量部であることがさらに好ましい。
【0067】
埋め込み層(1)に含まれるアクリル系樹脂である粘着性樹脂(I-1a)、エネルギー線硬化性化合物、埋め込み層(2)に含まれる粘着性樹脂(I-1a)の側鎖に不飽和基が導入されたエネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I-2a)の組成等は、後述する第1粘着剤組成物(I-1)で用いるアクリル系樹脂である粘着性樹脂(I-1a)、エネルギー線硬化性化合物、粘着性樹脂(I-1a)の側鎖に不飽和基が導入されたエネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I-2a)の説明と同じでもよい。
【0068】
本実施形態においては、粘着性樹脂(I-2a)、粘着性樹脂(I-1a)、及び架橋剤を含む埋め込み層(2)であることが好ましい。この場合、粘着性樹脂(I-1a)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位と、カルボキシ基含有モノマー由来の単位を有するアクリル系重合体であることが好ましい。また、粘着性樹脂(I-2a)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位、水酸基含有モノマー由来の単位を有するアクリル系重合体に、イソシアネート基及びエネルギー線重合性不飽和基を有する不飽和基含有化合物を反応させて得られたアクリル系重合体であることが好ましい。架橋剤は、後述の第1粘着剤組成物(I-1)において例示される化合物を使用することができ、トリレン-2,6-ジイソシアネートを使用することが特に好ましい。
【0069】
粘着性樹脂(I-1a)の総質量に対する(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位の含有割合は、75~99質量%であることが好ましく、80~98質量%であることがより好ましく、85~97質量%であることがさらに好ましい。粘着性樹脂(I-1a)の総質量に対するカルボキシ基含有モノマーの構成単位の含有割合は、1.0~30質量%であることが好ましく、2.0~25質量%であることがより好ましく、3.0~20質量%であることがさらに好ましく、5.0~15質量%であることが特に好ましい。粘着性樹脂(I-1a)における(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、アルキル基の炭素数が4~12であることが好ましく、4~8であることがより好ましい。また、粘着性樹脂(I-1a)においては、アクリル酸アルキルエステルであることが好ましい。中でも前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、アクリル酸n-ブチルであることが特に好ましい。また、粘着性樹脂(I-1a)におけるカルボキシ含有モノマーとしては、エチレン性不飽和モノカルボン酸、エチレン性不飽和ジカルボン酸、エチレン性不飽和ジカルボン酸の無水物等が挙げられ、中でもエチレン性不飽和モノカルボン酸が好ましく、(メタ)アクリル酸がより好ましく、アクリル酸が特に好ましい。
本実施形態の粘着性樹脂(I-1a)の重量平均分子量は、100,000~800,000であることが好ましく、150,000~700,000であることがより好ましく、200,000~600,000であることがさらに好ましい。
なお、本明細書において、「重量平均分子量」とは、特に断りのない限り、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算値である。
【0070】
粘着性樹脂(I-2a)の総質量に対する(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位の含有割合は、1.0~95質量%であることが好ましく、2.0~90質量%であることがより好ましく、3.0~85質量%であることがさらに好ましい。粘着性樹脂(I-2a)の総質量に対する水酸基含有モノマー由来の単位の含有割合は、1.0~50質量%であることが好ましく、2.0~45質量%であることがより好ましく、3.0~40質量%であることがさらに好ましい。粘着性樹脂(I-2a)における(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、アルキル基の炭素数が1~12であることが好ましく、1~4であることがより好ましい。粘着性樹脂(I-2a)は、2種以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位を有することが好ましく、(メタ)アクリル酸メチル及び(メタ)アクリル酸n-ブチル由来の構成単位を有することがより好ましく、メタクリル酸メチル及びアクリル酸n-ブチル由来の構成単位を有することがさらに好ましい。粘着性樹脂(I-2a)における水酸基含有モノマーとしては、後述の第1粘着剤組成物(I-1)において例示されるものを使用することができ、アクリル酸2-ヒドロキシエチルを使用することが特に好ましい。イソシアネート基及びエネルギー線重合性不飽和基を有する不飽和基含有化合物としては、後述の第1粘着剤組成物(I-2)において例示される化合物を使用することができ、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを使用することが特に好ましい。前記水酸基含有モノマーに由来する全水酸基を100molとしたときの、前記イソシアネート基及びエネルギー線重合性不飽和基を有する不飽和基含有化合物の使用量は、50~150molが好ましく、55~140molがより好ましく、60~135molがさらに好ましい。
本実施形態の粘着性樹脂(I-2a)の重量平均分子量は、10,000~500,000であることが好ましく、20,000~400,000であることがより好ましく、30,000~300,000であることがさらに好ましい。
【0071】
〇粘着剤層
以下、粘弾性層を構成する粘着剤層を、後述の、支持体に貼合するための第2粘着剤層と区別して、「第1粘着剤層」と称することがある。
第1粘着剤層は、シート状又はフィルム状であり、粘着剤を含有する。
前記粘着剤としては、例えば、アクリル系樹脂((メタ)アクリロイル基を有する樹脂からなる粘着剤)、ウレタン系樹脂(ウレタン結合を有する樹脂からなる粘着剤)、ゴム系樹脂(ゴム構造を有する樹脂からなる粘着剤)、シリコーン系樹脂(シロキサン結合を有する樹脂からなる粘着剤)、エポキシ系樹脂(エポキシ基を有する樹脂からなる粘着剤)、ポリビニルエーテル、ポリカーボネート等の粘着性樹脂が挙げられ、アクリル系樹脂が好ましい。
【0072】
なお、本発明において、「粘着性樹脂」とは、粘着性を有する樹脂と、接着性を有する樹脂と、の両方を含む概念であり、例えば、樹脂自体が粘着性を有するものだけでなく、添加剤等の他の成分との併用により粘着性を示す樹脂や、熱又は水等のトリガーの存在によって接着性を示す樹脂等も含む。
【0073】
第1粘着剤層は、前記樹脂等の主たる構成材料以外に、フィラー、着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、有機滑剤、触媒、軟化剤(可塑剤)等の公知の各種添加剤を含有していてもよい。
【0074】
上記添加剤の中でも、第1粘着剤層はフィラーを含有していることが好ましく、中でも上述の熱伝導性フィラーを含有していることが好ましい。第1粘着剤層が上述の熱伝導性フィラーを含有することによって、第1粘着剤層の熱伝導率が上がり、前記第1粘着剤層を用いた前記端子保護用両面テープの表面温度の上昇、並びに面荒れを抑制することができる。
【0075】
第1粘着剤層の総質量に対する熱伝導性フィラーの含有量は、20~80質量%であることが好ましく、30~70質量%であることがより好ましい。第1粘着剤層の総質量に対する熱伝導性フィラーの含有量が前記範囲の下限値以上であると、第1粘着剤層の熱伝導率が上がり、前記第1粘着剤層を用いた前記端子保護用両面テープの表面温度の上昇、並びに面荒れを抑制することができる。第1粘着剤層の総質量に対する熱伝導性フィラーの含有量が前記範囲の上限値以下であると、第1粘着剤層としての性能が確保可能である。
【0076】
第1粘着剤層は1層(単層)のみでもよいし、2層以上の複数層でもよく、複数層である場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
【0077】
第1粘着剤層の厚みは1~1000μmであることが好ましく、2~100μmであることがより好ましく、5~20μmであることが特に好ましい。
ここで、「第1粘着剤層の厚み」とは、第1粘着剤層全体の厚みを意味し、例えば、複数層からなる第1粘着剤層の厚みとは、第1粘着剤層を構成するすべての層の合計の厚みを意味する。
【0078】
第1粘着剤層は、エネルギー線硬化性粘着剤を用いて形成されたものでもよいし、非エネルギー線硬化性粘着剤を用いて形成されたものでもよい。エネルギー線硬化性粘着剤を用いて形成された第1粘着剤層は、硬化前及び硬化後での物性を、容易に調節できる。
本発明において、「エネルギー線」とは、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するものを意味し、その例として、紫外線、電子線等が挙げられる。
紫外線は、例えば、紫外線源として高圧水銀ランプ、ヒュージョンHランプ又はキセノンランプ等を用いることで照射できる。電子線は、電子線加速器等によって発生させたものを照射できる。
本発明において、「エネルギー線硬化性」とは、エネルギー線を照射することにより硬化する性質を意味し、「非エネルギー線硬化性」とは、エネルギー線を照射しても硬化しない性質を意味する。
【0079】
{第1粘着剤組成物}
第1粘着剤層は、粘着剤を含有する第1粘着剤組成物を用いて形成できる。例えば、第1粘着剤層の形成対象面に第1粘着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、目的とする部位に第1粘着剤層を形成できる。また、剥離フィルムに第1粘着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、目的とする厚みの第1粘着剤層を形成でき、目的とする部位に第1粘着剤層を転写することもできる。第1粘着剤層のより具体的な形成方法は、他の層の形成方法とともに、後ほど詳細に説明する。第1粘着剤組成物中の、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、第1粘着剤層の前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。なお、本実施形態において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、即ち平常の温度を意味し、例えば、15~25℃の温度が挙げられる。
【0080】
第1粘着剤組成物の塗工は、公知の方法で行えばよく、例えば、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター、ロールナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ナイフコーター、スクリーンコーター、マイヤーバーコーター、キスコーター等の各種コーターを用いる方法が挙げられる。
【0081】
第1粘着剤組成物の乾燥条件は、特に限定されないが、第1粘着剤組成物が、後述する溶媒を含有している場合、加熱乾燥させることが好ましく、この場合、例えば、70~130℃で10秒間~5分間の条件で乾燥させることが好ましい。
【0082】
第1粘着剤層がエネルギー線硬化性である場合、エネルギー線硬化性粘着剤を含有する第1粘着剤組成物、即ち、エネルギー線硬化性の第1粘着剤組成物としては、例えば、非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I-1a)(以下、「粘着性樹脂(I-1a)」と略記することがある)と、エネルギー線硬化性化合物と、を含有する第1粘着剤組成物(I-1);非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I-1a)の側鎖に不飽和基が導入されたエネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I-2a)(以下、「粘着性樹脂(I-2a)」と略記することがある)を含有する第1粘着剤組成物(I-2);前記粘着性樹脂(I-2a)と、エネルギー線硬化性低分子化合物と、を含有する第1粘着剤組成物(I-3)等が挙げられる。
【0083】
{第1粘着剤組成物(I-1)}
第1粘着剤組成物(I-1)は、上述の様に、非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I-1a)と、エネルギー線硬化性化合物と、を含有する。
【0084】
(粘着性樹脂(I-1a))
前記粘着性樹脂(I-1a)は、アクリル系樹脂であることが好ましい。
前記アクリル系樹脂としては、例えば、少なくとも(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位を有するアクリル系重合体が挙げられる。
前記アクリル系樹脂が有する構成単位は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
【0085】
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、アルキルエステルを構成するアルキル基の炭素数が1~20であるのものが挙げられ、前記アルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、より具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸n-ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリルともいう。)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル((メタ)アクリル酸ミリスチルともいう。)、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル((メタ)アクリル酸パルミチルともいう。)、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル((メタ)アクリル酸ステアリルともいう。)、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸イコシル等が挙げられる。
【0086】
第1粘着剤層の粘着力が向上する点から、前記アクリル系重合体は、前記アルキル基の炭素数が4以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位を有することが好ましい。そして、第1粘着剤層の粘着力がより向上する点から、前記アルキル基の炭素数は、4~12であることが好ましく、4~8であることがより好ましい。また、前記アルキル基の炭素数が4以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、アクリル酸アルキルエステルであることが好ましい。
【0087】
前記アクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位以外に、さらに、官能基含有モノマー由来の構成単位を有することが好ましい。
前記官能基含有モノマーとしては、例えば、前記官能基が後述する架橋剤と反応することで架橋の起点となったり、前記官能基が不飽和基含有化合物中の不飽和基と反応することで、アクリル系重合体の側鎖に不飽和基の導入を可能とするものが挙げられる。
【0088】
官能基含有モノマー中の前記官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、エポキシ基等が挙げられる。
即ち、官能基含有モノマーとしては、例えば、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー等が挙げられる。
【0089】
前記水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル;ビニルアルコール、アリルアルコール等の非(メタ)アクリル系不飽和アルコール(すなわち、(メタ)アクリロイル骨格を有しない不飽和アルコール)等が挙げられる。
【0090】
前記カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸(エチレン性不飽和結合を有するモノカルボン酸);フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和ジカルボン酸(エチレン性不飽和結合を有するジカルボン酸);前記エチレン性不飽和ジカルボン酸の無水物;2-カルボキシエチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸カルボキシアルキルエステル等が挙げられる。
【0091】
官能基含有モノマーは、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマーが好ましく、水酸基含有モノマーがより好ましい。
【0092】
前記アクリル系重合体を構成する官能基含有モノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
【0093】
前記アクリル系重合体において、官能基含有モノマー由来の構成単位の含有量は、構成単位の全量に対して、1~35質量%であることが好ましく、3~32質量%であることがより好ましく、5~30質量%であることが特に好ましい。
【0094】
前記アクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位、及び官能基含有モノマー由来の構成単位以外に、さらに、他のモノマー由来の構成単位を有していてもよい。
前記他のモノマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等と共重合可能なものであれば特に限定されない。
前記他のモノマーとしては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリルアミド等が挙げられる。
【0095】
前記アクリル系重合体を構成する前記他のモノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
【0096】
前記アクリル系重合体は、上述の非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I-1a)として使用できる。
一方、前記アクリル系重合体中の官能基に、エネルギー線重合性不飽和基(エネルギー線重合性基)を有する不飽和基含有化合物を反応させたものは、上述のエネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I-2a)として使用できる。
なお、本発明において、「エネルギー線重合性」とは、エネルギー線を照射することにより重合する性質を意味する。
【0097】
第1粘着剤組成物(I-1)が含有する粘着性樹脂(I-1a)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
【0098】
第1粘着剤組成物(I-1)において、粘着性樹脂(I-1a)の含有量は、第1粘着剤組成物(I-1)の総質量に対して、5~99質量%であることが好ましく、10~95質量%であることがより好ましく、15~90質量%であることが特に好ましい。
【0099】
(エネルギー線硬化性化合物)
第1粘着剤組成物(I-1)が含有する前記エネルギー線硬化性化合物としては、エネルギー線重合性不飽和基を有し、エネルギー線の照射により硬化可能なモノマー又はオリゴマーが挙げられる。
エネルギー線硬化性化合物のうち、モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-へキサンジオール(メタ)アクリレート等の多価(メタ)アクリレート;ウレタン(メタ)アクリレート;ポリエステル(メタ)アクリレート;ポリエーテル(メタ)アクリレート;エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エネルギー線硬化性化合物のうち、オリゴマーとしては、例えば、上記で例示したモノマーが重合したオリゴマー等が挙げられる。
エネルギー線硬化性化合物は、分子量が比較的大きく、第1粘着剤層の貯蔵弾性率を低下させにくいという点では、ウレタン(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。
本明細書において、「オリゴマー」とは、重量平均分子量又は式量が5,000以下の物質を意味する。
【0100】
第1粘着剤組成物(I-1)が含有する前記エネルギー線硬化性化合物は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
【0101】
第1粘着剤組成物(I-1)において、前記エネルギー線硬化性化合物の含有量は、第1粘着剤組成物(I-1)の総質量に対して、1~95質量%であることが好ましく、5~90質量%であることがより好ましく、10~85質量%であることが特に好ましい。
【0102】
(架橋剤)
粘着性樹脂(I-1a)として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位以外に、さらに、官能基含有モノマー由来の構成単位を有する前記アクリル系重合体を用いる場合、第1粘着剤組成物(I-1)は、さらに架橋剤を含有することが好ましい。
【0103】
前記架橋剤は、例えば、前記官能基と反応して、粘着性樹脂(I-1a)同士を架橋するものである。
架橋剤としては、例えば、トリレン-2,6-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、これらジイソシアネートのアダクト体等のイソシアネート系架橋剤(イソシアネート基を有する架橋剤);エチレングリコールグリシジルエーテル、N,N’―(シクロヘキサン-1,3-ジイルビスメチレン)ビス(グリシジルアミン)等のエポキシ系架橋剤(グリシジル基を有する架橋剤);ヘキサ[1-(2-メチル)-アジリジニル]トリフオスファトリアジン等のアジリジン系架橋剤(アジリジニル基を有する架橋剤);アルミニウムキレート等の金属キレート系架橋剤(金属キレート構造を有する架橋剤);イソシアヌレート系架橋剤(イソシアヌル酸骨格を有する架橋剤)等が挙げられる。
粘着剤の凝集力を向上させて第1粘着剤層の粘着力を向上させる点、及び入手が容易である等の点から、架橋剤はイソシアネート系架橋剤であることが好ましい。
【0104】
第1粘着剤組成物(I-1)が含有する架橋剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
【0105】
第1粘着剤組成物(I-1)において、架橋剤の含有量は、粘着性樹脂(I-1a)の含有量100質量部に対して、0.01~50質量部であることが好ましく、0.1~20質量部であることがより好ましく、1~10質量部であることが特に好ましい。
【0106】
(光重合開始剤)
第1粘着剤組成物(I-1)は、さらに光重合開始剤を含有していてもよい。光重合開始剤を含有する第1粘着剤組成物(I-1)は、紫外線等の比較的低エネルギーのエネルギー線を照射しても、十分に硬化反応が進行する。
【0107】
前記光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール等のベンゾイン化合物;アセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン等のアセトフェノン化合物;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド化合物;ベンジルフェニルスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のスルフィド化合物;1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のα-ケトール化合物;、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;チタノセン等のチタノセン化合物;チオキサントン等のチオキサントン化合物;パーオキサイド化合物;ジアセチル等のジケトン化合物;ベンジル、ジベンジル、ベンゾフェノン、2,4-ジエチルチオキサントン、1,2-ジフェニルメタン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン、2-クロロアントラキノン等が挙げられる。
また、前記光重合開始剤としては、例えば、1-クロロアントラキノン等のキノン化合物;アミン等の光増感剤等を用いることもできる。
【0108】
第1粘着剤組成物(I-1)が含有する光重合開始剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
【0109】
第1粘着剤組成物(I-1)において、光重合開始剤の含有量は、前記エネルギー線硬化性化合物の含有量100質量部に対して、0.01~20質量部であることが好ましく、0.03~10質量部であることがより好ましく、0.05~5量部であることが特に好ましい。
【0110】
(その他の添加剤)
第1粘着剤組成物(I-1)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
前記その他の添加剤としては、例えば、帯電防止剤、酸化防止剤、軟化剤(可塑剤)、充填剤(フィラー)、防錆剤、着色剤(顔料、染料)、増感剤、粘着付与剤、反応遅延剤、架橋促進剤(触媒)等の公知の添加剤が挙げられる。また、上述の熱伝導性フィラーを含有する第1粘着剤層を製造する場合、第1粘着剤組成物(I-1)は、添加剤として熱伝導性フィラーを含有する。
なお、反応遅延剤とは、例えば、第1粘着剤組成物(I-1)中に混入している触媒の作用によって、保存中の第1粘着剤組成物(I-1)において、目的としない架橋反応が進行するのを抑制するものである。反応遅延剤としては、例えば、触媒に対するキレートによってキレート錯体を形成するものが挙げられ、より具体的には、1分子中にカルボニル基(-C(=O)-)を2個以上有するものが挙げられる。
【0111】
第1粘着剤組成物(I-1)が含有するその他の添加剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
【0112】
第1粘着剤組成物(I-1)において、その他の添加剤の含有量は特に限定されず、その種類に応じて適宜選択すればよい。
【0113】
(溶媒)
第1粘着剤組成物(I-1)は、溶媒を含有していてもよい。第1粘着剤組成物(I-1)は、溶媒を含有していることで、塗工対象面への塗工適性が向上する。
【0114】
前記溶媒は有機溶媒であることが好ましく、前記有機溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン;酢酸エチル等のエステル(カルボン酸エステル);テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;シクロヘキサン、n-ヘキサン等の脂肪族炭化水素;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;1-プロパノール、2-プロパノール等のアルコール等が挙げられる。
【0115】
前記溶媒としては、例えば、粘着性樹脂(I-1a)の製造時に用いたものを粘着性樹脂(I-1a)から取り除かずに、そのまま第1粘着剤組成物(I-1)において用いてもよいし、粘着性樹脂(I-1a)の製造時に用いたものと同一又は異なる種類の溶媒を、第1粘着剤組成物(I-1)の製造時に別途添加してもよい。
【0116】
第1粘着剤組成物(I-1)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
【0117】
第1粘着剤組成物(I-1)において、溶媒の含有量は特に限定されず、適宜調節すればよい。
【0118】
{第1粘着剤組成物(I-2)}
第1粘着剤組成物(I-2)は、上述の様に、非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I-1a)の側鎖に不飽和基が導入されたエネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I-2a)を含有する。
【0119】
(粘着性樹脂(I-2a))
前記粘着性樹脂(I-2a)は、例えば、粘着性樹脂(I-1a)中の官能基に、エネルギー線重合性不飽和基を有する不飽和基含有化合物を反応させることで得られる。
【0120】
前記不飽和基含有化合物は、前記エネルギー線重合性不飽和基以外に、さらに粘着性樹脂(I-1a)中の官能基と反応することで、粘着性樹脂(I-1a)と結合可能な基を有する化合物である。
前記エネルギー線重合性不飽和基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基(エテニル基ともいう。)、アリル基(2-プロペニル基ともいう。)等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
粘着性樹脂(I-1a)中の官能基と結合可能な基としては、例えば、水酸基又はアミノ基と結合可能なイソシアネート基及びグリシジル基、並びにカルボキシ基又はエポキシ基と結合可能な水酸基及びアミノ基等が挙げられる。
【0121】
前記不飽和基含有化合物としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリロイルイソシアネート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられ、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートが好ましく、その中でも2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネートが特に好ましい。
前記イソシアネート化合物は、粘着性樹脂(I-1a)中の水酸基と結合可能であり、粘着性樹脂(I-1a)中の全水酸基を100molとしたときの、前記イソシアネート化合物の使用量は、10~150molが好ましく、20~140molがより好ましく、30~130molがさらに好ましい。
【0122】
第1粘着剤組成物(I-2)が含有する粘着性樹脂(I-2a)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
【0123】
第1粘着剤組成物(I-2)において、粘着性樹脂(I-2a)の含有量は、第1粘着剤組成物(I-2)の総質量に対して、5~99質量%であることが好ましく、10~95質量%であることがより好ましく、10~90質量%であることが特に好ましい。
【0124】
(架橋剤)
粘着性樹脂(I-2a)として、例えば、粘着性樹脂(I-1a)におけるものと同様な、官能基含有モノマー由来の構成単位を有する前記アクリル系重合体を用いる場合、第1粘着剤組成物(I-2)は、さらに架橋剤を含有していてもよい。
【0125】
第1粘着剤組成物(I-2)における前記架橋剤としては、第1粘着剤組成物(I-1)における架橋剤と同じものが挙げられる。
第1粘着剤組成物(I-2)が含有する架橋剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
【0126】
第1粘着剤組成物(I-2)において、架橋剤の含有量は、粘着性樹脂(I-2a)の含有量100質量部に対して、0.01~50質量部であることが好ましく、0.1~20質量部であることがより好ましく、1~10質量部であることが特に好ましい。
【0127】
(光重合開始剤)
第1粘着剤組成物(I-2)は、さらに光重合開始剤を含有していてもよい。光重合開始剤を含有する第1粘着剤組成物(I-2)は、紫外線等の比較的低エネルギーのエネルギー線を照射しても、十分に硬化反応が進行する。
【0128】
第1粘着剤組成物(I-2)における前記光重合開始剤としては、第1粘着剤組成物(I-1)における光重合開始剤と同じものが挙げられる。
第1粘着剤組成物(I-2)が含有する光重合開始剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
【0129】
第1粘着剤組成物(I-2)において、光重合開始剤の含有量は、粘着性樹脂(I-2a)の含有量100質量部に対して、0.01~20質量部であることが好ましく、0.03~10質量部であることがより好ましく、0.05~5質量部であることが特に好ましい。
【0130】
(その他の添加剤)
第1粘着剤組成物(I-2)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
第1粘着剤組成物(I-2)における前記その他の添加剤としては、第1粘着剤組成物(I-1)におけるその他の添加剤と同じものが挙げられる。
第1粘着剤組成物(I-2)が含有するその他の添加剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
【0131】
第1粘着剤組成物(I-2)において、その他の添加剤の含有量は特に限定されず、その種類に応じて適宜選択すればよい。
【0132】
(溶媒)
第1粘着剤組成物(I-2)は、第1粘着剤組成物(I-1)の場合と同様の目的で、溶媒を含有していてもよい。
第1粘着剤組成物(I-2)における前記溶媒としては、第1粘着剤組成物(I-1)における溶媒と同じものが挙げられる。
第1粘着剤組成物(I-2)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
第1粘着剤組成物(I-2)において、溶媒の含有量は特に限定されず、適宜調節すればよい。
【0133】
{第1粘着剤組成物(I-3)}
第1粘着剤組成物(I-3)は、上述の様に、前記粘着性樹脂(I-2a)と、エネルギー線硬化性低分子化合物と、を含有する。
【0134】
第1粘着剤組成物(I-3)において、粘着性樹脂(I-2a)の含有量は、第1粘着剤組成物(I-3)の総質量に対して、5~99質量%であることが好ましく、10~95質量%であることがより好ましく、15~90質量%であることが特に好ましい。
【0135】
(エネルギー線硬化性低分子化合物)
第1粘着剤組成物(I-3)が含有する前記エネルギー線硬化性低分子化合物としては、エネルギー線重合性不飽和基を有し、エネルギー線の照射により硬化可能なモノマー及びオリゴマーが挙げられ、第1粘着剤組成物(I-1)が含有するエネルギー線硬化性化合物と同じものが挙げられる。
第1粘着剤組成物(I-3)が含有する前記エネルギー線硬化性低分子化合物は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
【0136】
第1粘着剤組成物(I-3)において、前記エネルギー線硬化性低分子化合物の含有量は、粘着性樹脂(I-2a)の含有量100質量部に対して、0.01~300質量部であることが好ましく、0.03~200質量部であることがより好ましく、0.05~100質量部であることが特に好ましい。
【0137】
(光重合開始剤)
第1粘着剤組成物(I-3)は、さらに光重合開始剤を含有していてもよい。光重合開始剤を含有する第1粘着剤組成物(I-3)は、紫外線等の比較的低エネルギーのエネルギー線を照射しても、十分に硬化反応が進行する。
【0138】
第1粘着剤組成物(I-3)における前記光重合開始剤としては、第1粘着剤組成物(I-1)における光重合開始剤と同じものが挙げられる。
第1粘着剤組成物(I-3)が含有する光重合開始剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
【0139】
第1粘着剤組成物(I-3)において、光重合開始剤の含有量は、粘着性樹脂(I-2a)及び前記エネルギー線硬化性低分子化合物の総含有量100質量部に対して、0.01~20質量部であることが好ましく、0.03~10質量部であることがより好ましく、0.05~5量部であることが特に好ましい。
【0140】
(その他の添加剤)
第1粘着剤組成物(I-3)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
前記その他の添加剤としては、第1粘着剤組成物(I-1)におけるその他の添加剤と同じものが挙げられる。
第1粘着剤組成物(I-3)が含有するその他の添加剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
【0141】
第1粘着剤組成物(I-3)において、その他の添加剤の含有量は特に限定されず、その種類に応じて適宜選択すればよい。
【0142】
(溶媒)
第1粘着剤組成物(I-3)は、第1粘着剤組成物(I-1)の場合と同様の目的で、溶媒を含有していてもよい。
第1粘着剤組成物(I-3)における前記溶媒としては、第1粘着剤組成物(I-1)における溶媒と同じものが挙げられる。
第1粘着剤組成物(I-3)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
第1粘着剤組成物(I-3)において、溶媒の含有量は特に限定されず、適宜調節すればよい。
【0143】
{第1粘着剤組成物(I-1)~(I-3)以外の第1粘着剤組成物}
ここまでは、第1粘着剤組成物(I-1)、第1粘着剤組成物(I-2)及び第1粘着剤組成物(I-3)について主に説明したが、これらの含有成分として説明したものは、これら3種の第1粘着剤組成物以外の全般的な第1粘着剤組成物(本実施形態においては、「第1粘着剤組成物(I-1)~(I-3)以外の第1粘着剤組成物」と称する)でも、同様に用いることができる。
【0144】
第1粘着剤組成物(I-1)~(I-3)以外の第1粘着剤組成物としては、エネルギー線硬化性の第1粘着剤組成物以外に、非エネルギー線硬化性の第1粘着剤組成物も挙げられる。
非エネルギー線硬化性の第1粘着剤組成物としては、例えば、アクリル系樹脂((メタ)アクリロイル基を有する樹脂)、ウレタン系樹脂(ウレタン結合を有する樹脂)、ゴム系樹脂(ゴム構造を有する樹脂)、シリコーン系樹脂(シロキサン結合を有する樹脂)、エポキシ系樹脂(エポキシ基を有する樹脂)、ポリビニルエーテル、又はポリカーボネート等の粘着性樹脂を含有するものが挙げられ、アクリル系樹脂を含有するものが好ましい。
【0145】
第1粘着剤組成物(I-1)~(I-3)以外の第1粘着剤組成物は、1種又は2種以上の架橋剤を含有することが好ましく、その含有量は、上述の第1粘着剤組成物(I-1)等の場合と同様とすることができる。
【0146】
<第1粘着剤組成物の製造方法>
第1粘着剤組成物(I-1)~(I-3)等の前記第1粘着剤組成物は、前記粘着剤と、必要に応じて前記粘着剤以外の成分等の、第1粘着剤組成物を構成するための各成分を配合することで得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの配合成分と混合してこの配合成分を予め希釈しておくことで用いてもよいし、溶媒以外のいずれかの配合成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら配合成分と混合することで用いてもよい。
配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15~30℃であることが好ましい。
【0147】
{第1粘着剤層の組成}
本実施形態における、第1粘着剤層の組成は、上述の第1粘着剤層組成物から溶媒を除いたものである。
第1粘着剤層組成物が、前記第1粘着剤組成物(I-1)である場合の第1粘着剤層(I-1)における、第1粘着剤層(I-1)の総質量に対する粘着性樹脂(I-1a)の含有割合は、50~99質量%であることが好ましく、55~95質量%であることがより好ましく、60~90質量%であることがさらに好ましい。また、本発明の別の側面としては、第1粘着剤層(I-1)の総質量に対する粘着性樹脂(I-1a)の含有割合は、25~80質量%であってもよく、30~75質量%であってもよく、35~70質量%であってもよい。また、第1粘着剤層(I-1)の総質量に対するエネルギー線硬化性化合物の含有割合は、1~50質量%であることが好ましく、2~48質量%であることがより好ましく、5~45質量%であることがさらに好ましい。第1粘着剤層(I-1)が架橋剤を含有する場合、第1粘着剤層(I-1)の総質量に対する架橋剤の含有割合は0.1~10質量%であることが好ましく、0.2~9質量%であることがより好ましく、0.3~8質量%であることがさらに好ましい。
【0148】
第1粘着剤層組成物が、前記第1粘着剤組成物(I-2)である場合の第1粘着剤層(I-2)における、第1粘着剤層(I-2)の総質量に対する粘着性樹脂(I-2a)の含有割合は、70~100質量%であることが好ましく、75~100質量%であることがより好ましく、80~100質量%であることがさらに好ましく、80~99.6質量%であることが特に好ましい。第1粘着剤層(I-2)が架橋剤を含有する場合、第1粘着剤層(I-2)の総質量に対するか架橋剤の含有割合は、0.1~10質量%であることが好ましく、0.2~9質量%であることがより好ましく、0.3~8質量%であることがさらに好ましい。
【0149】
第1粘着剤層組成物が、前記第1粘着剤組成物(I-3)である場合の第1粘着剤層(I-3)における、第1粘着剤層(I-3)の総質量に対する粘着性樹脂(I-2a)の含有割合は、50~99質量%であることが好ましく、55~95質量%であることがより好ましく、60~90質量%であることがさらに好ましい。また、第1粘着剤層(I-3)の総質量に対するエネルギー線硬化性低分子化合物の含有割合は、1~50質量%であることが好ましく、2~48質量%であることがより好ましく、5~45質量%であることがさらに好ましい。第1粘着剤層(I-3)が架橋剤を含有する場合、第1粘着剤層(I-3)の総質量に対する架橋剤の含有割合は0.1~10質量%であることが好ましく、0.2~9質量%であることがより好ましく、0.3~8質量%であることがさらに好ましい。
【0150】
本実施形態においては、粘着性樹脂(I-2a)、及び架橋剤を含む第1粘着剤層(I-2)であることが好ましい。この場合、粘着性樹脂(I-2a)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位、水酸基含有モノマー由来の単位を有するアクリル系重合体に、イソシアネート基及びエネルギー線重合性不飽和基を有する不飽和基含有化合物を反応させて得られたアクリル系重合体であることが好ましい。架橋剤は、第1粘着剤組成物(I-1)において例示した化合物を使用することができ、トリレン-2.6-ジイソシアネートを使用することが特に好ましい。
【0151】
粘着性樹脂(I-2a)の総質量に対する(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位の含有割合は、50~99質量%であることが好ましく、60~98質量%であることがより好ましく、70~97質量%であることがさらに好ましい。粘着性樹脂(I-2a)の総質量に対する水酸基含有モノマー由来の単位の含有割合は、0.5~15質量%であることが好ましく、1.0~10質量%であることがより好ましく、2.0~10質量%であることがさらに好ましい。粘着性樹脂(I-2a)における(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、アルキル基の炭素数が1~12であることが好ましく、1~4であることがより好ましい。粘着性樹脂(I-2a)は、2種以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位を有することが好ましく、(メタ)アクリル酸メチル及び(メタ)アクリル酸n-ブチル由来の構成単位を有することがより好ましく、メタクリル酸メチル及びアクリル酸n-ブチル由来の構成単位を有することがさらに好ましい。粘着性樹脂(I-2a)における水酸基含有モノマーとしては、上述の粘着性樹脂(I-1a)において例示されるものを使用することができ、アクリル酸2-ヒドロキシエチルを使用することが特に好ましい。イソシアネート基及びエネルギー線重合性不飽和基を有する不飽和基含有化合物としては、第1粘着剤組成物(I-2)において例示した化合物を使用することができ、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを使用することが特に好ましい。前記水酸基含有モノマーに由来する全水酸基を100molとしたときの、前記イソシアネート基及びエネルギー線重合性不飽和基を有する不飽和基含有化合物の使用量は、20~80molが好ましく、25~75molがより好ましく、30~70molがさらに好ましい。
【0152】
◎剥離フィルム
前記剥離フィルムは、本分野で公知のものでよい。
好ましい前記剥離フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂製フィルムの少なくとも一方の表面が、シリコーン処理等によって剥離処理されたもの;フィルムの少なくとも一方の表面が、ポリオレフィンで構成された剥離面となっているもの等が挙げられる。
剥離フィルムの厚みは、基材の厚みと同様であることが好ましい。
【0153】
◎第2粘着剤層
第2粘着剤層(すなわち、貼合粘着剤層)は、本実施形態の端子保護用両面テープを支持体に貼合するための粘着剤層である。
前記第2粘着剤層は、本分野で公知のものでよく、上述の第1粘着剤層で説明したものから、支持体に合わせて適宜選択することができる。
【0154】
第2粘着剤層の厚みは5~50μmであることが好ましく、10~45μmであることがより好ましく、15~40μmであることが特に好ましい。
ここで、「第2粘着剤層の厚み」とは、第2粘着剤層全体の厚みを意味し、例えば、複数層からなる第2粘着剤層の厚みとは、第2粘着剤層を構成するすべての層の合計の厚みを意味する。
【0155】
第2粘着剤層を形成するための第2粘着剤組成物は、前記第1粘着剤組成物と同様であり、第2粘着剤組成物の製造方法も、前記第1粘着剤組成物の製造方法と同様である。
【0156】
第2粘着剤層としては、上述の粘着性樹脂(I-1a)を含むことが好ましい。
この場合、第2粘着剤層の総質量に対する粘着性樹脂(I-1a)の含有割合は、70~100質量%であることが好ましく、75~100質量%であることがより好ましく、80~100質量%であることがさらに好ましく、80~99.98質量%であることが特に好ましい。また、第2粘着剤層はさらに架橋剤を含んでいてもよい。第2粘着剤層の総質量に対する架橋剤の含有割合は、0.005~0.1質量%であることが好ましく、0.01~0.09質量%であることがより好ましく、0.015~0.08質量%であることがさらに好ましい。また、粘着剤樹脂(I-1a)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位と、カルボキシ基含有モノマー由来の単位を有するアクリル系重合体であることが好ましい。架橋剤は上述の架橋剤を使用することができ、イソシアネート系架橋剤を使用することが特に好ましい。
【0157】
粘着性樹脂(I-1a)の総質量に対する(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位の含有割合は、70~100質量%であることが好ましく、75~100質量%であることがより好ましく、80~100質量%であることがさらに好ましい。粘着性樹脂(I-1a)の総質量に対するカルボキシ基含有モノマーの構成単位の含有割合は、0~20質量%であることが好ましく、0.5~19質量%であることがより好ましく、0.7~18質量%であることがさらに好ましく、1.0~17質量%であることが特に好ましい。粘着性樹脂(I-1a)における(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、アルキル基の炭素数が4~12であることが好ましく、4~8であることがより好ましい。また、粘着性樹脂(I-1a)においては、アクリル酸アルキルエステルであることが好ましい。中でも前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、アクリル酸n-ブチルであることが特に好ましい。また、粘着性樹脂(I-1a)におけるカルボキシ含有モノマーとしては、エチレン性不飽和モノカルボン酸、エチレン性不飽和ジカルボン酸、エチレン性不飽和ジカルボン酸の無水物等が挙げられ、中でもエチレン性不飽和モノカルボン酸が好ましく、(メタ)アクリル酸がより好ましく、アクリル酸が特に好ましい。
本実施形態の粘着性樹脂(I-1a)の重量平均分子量は、100,000~800,000であることが好ましく、150,000~700,000であることがより好ましく、200,000~600,000であることがさらに好ましい。
【0158】
◇端子保護用両面テープの製造方法
前記端子保護用両面テープは、上述の各層を対応する位置関係となるように順次積層することで製造できる。各層の形成方法は、先に説明したとおりである。
【0159】
例えば、剥離フィルムの剥離処理面上に、上述の埋め込み層形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、埋め込み層を積層する。別の剥離フィルムの剥離処理面上に、上述の第1粘着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、第1粘着剤層を積層する。剥離フィルム上の埋め込み層を、別の剥離フィルム上の第1粘着剤層と貼り合わせることで、剥離フィルム、埋め込み層、第1粘着剤層及び剥離フィルムがこの順に積層された端子保護用テープを得る。剥離フィルムは、端子保護用テープの使用時に取り除けばよい。
【0160】
続いて、上述の、剥離フィルム、埋め込み層、第1粘着剤層及び剥離フィルムがこの順に積層された端子保護用テープの埋め込み層の側の剥離フィルムを剥離し、これを基材と貼り合わせることで、基材上に埋め込み層、第1粘着剤層及び剥離フィルムがこの順に積層された端子保護用テープを得ることができる。
【0161】
また、例えば、基材に対して、埋め込み層形成用組成物を押出成形することにより、基材上に埋め込み層を積層する。剥離フィルムの剥離処理面上に、上述の第1粘着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、第1粘着剤層を積層する。そして、この剥離フィルム上の第1粘着剤層を基材上の埋め込み層と貼り合わせることでも、基材上に埋め込み層、第1粘着剤層及び剥離フィルムがこの順に積層された端子保護用テープを得ることができる。
【0162】
基材上に埋め込み層、第1粘着剤層及び剥離フィルムがこの順に積層された上述の端子保護用テープを準備する。別の剥離フィルムの剥離処理面上に、上述の第2粘着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、第2粘着剤層を積層する。そして、この剥離フィルム上の第2粘着剤層を前記端子保護用テープの基材と貼り合わせることで、剥離フィルム、第2粘着剤層、基材、埋め込み層、第1粘着剤層及び剥離フィルムがこの順に積層された本実施形態の端子保護用両面テープを得ることができる。剥離フィルムは、端子保護用両面テープの使用時に取り除けばよい。
【0163】
上述の各層以外の他の層を備えた端子保護用両面テープは、上述の製造方法において、前記他の層の積層位置が適切な位置となるように、前記他の層の形成工程及び積層工程のいずれか一方又は両方を適宜追加して行うことで、製造できる。
【0164】
◇電磁波シールド膜付き半導体装置の製造方法
本実施形態の端子保護用両面テープは、例えば、以下の電磁波シールド膜付き半導体装置の製造方法に使用できる。
図3は、本実施形態の電磁波シールド膜付き半導体装置の製造方法であって、第1粘着剤層14と、埋め込み層13と、基材11と、第2粘着剤層15と、をこの順で有する端子保護用両面テープ1を、支持体30に固定して、電磁波シールド膜付き半導体装置の製造を行う場合の、一の実施形態を模式的に示す断面図である。
【0165】
まず、図3(a)、(b)に示す様に、端子保護用両面テープの粘弾性層12に、端子付き半導体装置65を、端子91の側、すなわち回路基板63の端子形成面63aを下にして押し付けて、粘弾性層12に端子91を埋設させる。
このとき、端子付き半導体装置65の端子91に粘弾性層12を接触させて、端子保護用両面テープに端子付き半導体装置65を押し付ける。これにより、粘弾性層12の第1粘着剤層14の側の最表面を、端子91の表面及び回路基板63の端子形成面63aに、順次圧着させる。このとき、粘弾性層12を加熱することで、粘弾性層12は軟化し、端子91を覆うようにして端子91間に広がり、端子形成面63aに密着するとともに、端子91の表面、特に端子形成面63aの近傍部位の表面を覆って、端子91を埋設させる。
【0166】
端子保護用両面テープに端子付き半導体装置65を圧着させる方法としては、各種シートを対象物に圧着させて貼付する公知の方法を適用でき、例えば、ラミネートローラーや真空ラミネーターを用いる方法等が挙げられる。
【0167】
端子付き半導体装置65を、端子保護用両面テープに圧着させるときの圧力は、特に限定されないが、0.1~1.5MPaであることが好ましく、0.3~1.3MPaであることがより好ましい。加熱温度は、30~70℃が好ましく、35~65℃がより好ましく、40~60℃が特に好ましい。また、粘弾性層12の第1粘着剤層14を端子形成面63aに貼り合わせることが好ましい。
【0168】
端子保護用両面テープの粘弾性層12に埋設されていない端子付き半導体装置65の露出面に導電性樹脂101を塗布し(図3(c))、更に、熱硬化させることで、導電材料からなる電磁波シールド膜10を形成する(図3(d))。導電材料で被覆して電磁波シールド膜10を形成する方法としては、スパッタリング、イオンプレーティング、スプレーコート等の方法を用いることができる。
【0169】
スパッタリングの方法としては、DCスパッタリング、RFスパッタリング、DCマグネトロンスパッタリング、イオンビームスパッタリング等の本分野において公知のスパッタリング方法を採用することができる。
【0170】
前記端子保護用両面テープが、粘弾性層、基材、第2粘着剤層を有し、前記粘弾性層、前記基材、前記第2粘着剤層のうち、少なくとも1層が熱伝導層であることによって、導電性樹脂を塗布するスパッタリング、イオンプレーティング、スプレーコート等の方法による電磁波シールド膜形成工程においても、前記端子保護用両面テープの表面温度の上昇、並びに面荒れを抑制することができる。
【0171】
本実施形態の端子保護用両面テープ1から、電磁波シールド膜付き半導体装置66をピックアップすることによって、電磁波シールド膜10で被覆された電磁波シールド膜付き半導体装置66を取り出すことができる(図3(e))。
【0172】
図3に示す電磁波シールド膜付き半導体装置の製造方法で、電磁波シールドの対象となる端子付き半導体装置65は、個別に製造された端子付き半導体装置65であってもよく、ダイシング法によって個片化された端子付き半導体装置65であってもよい。
【0173】
図3に示す電磁波シールド膜付き半導体装置の製造方法では、個片化され個々の電子部品61、62が封止樹脂64で封止された端子付き半導体装置65を、端子保護用両面テープ1を用いて、電磁波シールドする方法を示したが、次の様に、個片化する前の端子付き半導体装置集合体6から、端子保護用両面テープ1を用いて、端子付き半導体装置65を電磁波シールドすることもできる。
【0174】
図4及び図5は、本実施形態の電磁波シールド膜付き半導体装置の製造方法であって、第1粘着剤層14と、埋め込み層13と、基材11と、第2粘着剤層15と、をこの順で有する端子保護用両面テープ1を用いて、端子付き半導体装置65を電磁波シールドする方法の他の実施形態を模式的に示す断面図である。
【0175】
まず、図4(a)、(b)に示す様に、端子保護用両面テープの粘弾性層12に、回路基板63によって連結された端子付き半導体装置集合体6を、端子91の側、すなわち回路基板63の端子形成面63aを下にして押し付けて、前記図3(a)、(b)のときと同様に、粘弾性層12に端子91を埋設させる。
【0176】
このとき、端子付き半導体装置集合体6に上側から圧力をかけながら、前記図3(a)、(b)のときと同様に、端子保護用両面テープの粘弾性層12に、端子91を埋設させる。
【0177】
また、粘弾性層12を加熱しながら貼り合わせることで、粘弾性層12を軟化させ、粘弾性層12を回路基板63の端子形成面63aに密着させることができる。端子付き半導体装置集合体6を、端子保護用両面テープに圧着させるときの圧力は、特に限定されないが、0.1~1.5MPaであることが好ましく、0.3~1.3MPaであることがより好ましい。加熱温度は、30~70℃が好ましく、35~65℃がより好ましく、40~60℃が特に好ましい。また、粘弾性層12の第1粘着剤層14を端子形成面63aに貼り合わせることが好ましい。
【0178】
次いで、端子付き半導体装置集合体6をダイシングして、端子付き半導体装置65とする(図4(c))。電磁波シールド膜を形成する工程に用いられる本実施形態の端子保護用両面テープは、端子付き半導体装置集合体6のダイシングテープを兼ねることになる。そして、図3に示す電磁波シールド膜付き半導体装置の製造方法において、電磁波シールドの対象となる端子付き半導体装置65が、ダイシング法によって個片化された端子付き半導体装置65であるときは、ダイシングテープ上の端子付き半導体装置をピックアップして、端子保護用両面テープに貼り換える作業(図3(a))が必要になる。一方、図4に示す電磁波シールド膜付き半導体装置の製造方法では、ダイシングテープ上の端子付き半導体装置65を端子保護用両面テープに貼り換える作業を省略することができる。
【0179】
続いて、剥離テープ22を剥離し、第2粘着剤層15を介して端子保護用両面テープを支持体30上に固定する。そして、端子保護用両面テープの粘弾性層12に埋設されていない端子付き半導体装置65の露出面に導電性樹脂101を塗布する(図4(d))。このとき、端子付き半導体装置集合体6の各端子付き半導体装置65の境界部分において導電性樹脂101の分離が不充分な場合には、エキスパンド装置等を用いて端子保護用両面テープを延伸してもよい。個片化された端子付き半導体装置65のそれぞれの側面に導電性樹脂101が塗布された状態で、個々の端子付き半導体装置65を個片化することができる。更に、個片化された端子付き半導体装置65の天面及び側面に塗布された導電性樹脂101を加熱し硬化させて、端子保護用両面テープの粘弾性層12に埋設されていない端子付き半導体装置65の露出面に、導電材料からなる電磁波シールド膜10を形成させる(図4(e))。端子付き半導体装置65(図4(c))に直接導電材料をスパッタリング、イオンプレーティング、スプレーコート等の方法により、電磁波シールド膜10を形成させてもよい(図4(e))。導電材料をスパッタンリング、イオンプレーティング、スプレーコート等の方法により塗布する際の導電材料の温度は、常温~250℃である。
【0180】
前記端子保護用両面テープが、粘弾性層12と、基材11と、第2粘着剤層15と、を有し、前記粘弾性層12、前記基材11、前記第2粘着剤層15のうち、少なくとも1層が熱伝導層であることによって導電性樹脂を塗布するスパッタリングイオンプレーティング、スプレーコート等の方法による電磁波シールド膜形成工程においても、前記端子保護用両面テープの表面温度の上昇、並びに面荒れを抑制することができる。
【0181】
本実施形態の端子保護用両面テープから、電磁波シールド膜付き半導体装置66をピックアップすることによって、電磁波シールド膜10で被覆された端子付き半導体装置65を取り出すことができる(図4(f))。
【0182】
なお、図5(a)~(c)に示す通り、上述の端子保護用両面テープの粘弾性層12に端子91を埋設させる工程、端子付き半導体装置集合体6をダイシングして、端子付き半導体装置65とする工程は、第2粘着剤層15を介して支持体30上に固定された端子保護用両面テープ上で行ってもよい。
【0183】
本実施形態の端子保護用両面テープにおいて、端子91の高さh0は、粘弾性層12の厚みd1よりも低いことが好ましく、1.2≦ d1/h0 ≦5.0であることが好ましい。具体的には、端子91の高さは、20~300μmであることが好ましく、30~270μmであることがより好ましく、40~240μmであることが特に好ましい。端子91の高さが前記下限値以上であることで、端子91の機能をより向上させることができる。また、端子91の高さが前記上限値以下であることで、端子91上部での粘弾性層12の残存を抑制する効果がより高くなる。
なお、本明細書において、「端子の高さ」とは、端子のうち、端子形成面から最も高い位置に存在する部位での高さを意味する。端子付き半導体装置集合体及び端子付き半導体装置65が複数の端子91を有する場合、端子91の高さh0はそれらの平均とすることができる。端子の高さは、例えば、非接触型3次元光干渉式表面粗さ計(日本Veeco社製、商品名:Wyko NT1100)によって測定することができる。
【0184】
端子91の幅は特に限定されないが、170~350μmであることが好ましく、200~320μmであることがより好ましく、230~290μmであることが特に好ましい。端子91の幅が前記下限値以上であることで、端子91の機能をより向上させることができる。また、端子91の幅が前記上限値以下であることで、端子91上部での粘弾性層12の残存を抑制する効果がより高くなる。
なお、本明細書において、「端子の幅」とは、端子形成面に対して垂直な方向から端子を見下ろして平面視したときに、端子表面上の異なる2点間を直線で結んで得られる線分の最大値を意味する。端子が球形、又は半球形であるときは、「端子の幅」とは、端子を見下ろして平面視したときのその端子の最大直径(端子径)をいう。
【0185】
隣り合う端子91間の距離(すなわち、端子間ピッチ)は、特に限定されないが、250~800μmであることが好ましく、300~600μmであることがより好ましく、350~500μmであることが特に好ましい。前記距離が前記下限値以上であることで、端子91の埋め込み性をより向上させることができる。また、前記距離が前記上限値以下であることで、端子91上部での粘弾性層12の残存を抑制する効果がより高くなる。
なお、本明細書において、「隣り合う端子間の距離」とは、隣り合う端子同士の表面間の距離の最小値を意味する。
【実施例
【0186】
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
【0187】
<モノマー>
略記しているモノマーの正式名称を、以下に示す。
HEA:アクリル酸2-ヒドロキシエチル
BA:アクリル酸n-ブチル
MMA:メタクリル酸メチル
AAc:アクリル酸
【0188】
(第2粘着剤層形成用組成物Aの製造)
BA91質量部、AAc9質量部からなるアクリル系共重合体の溶液(重量平均分子量(Mw)500,000、粘着剤主剤、固形分濃度33.6%、日本カーバイド工業株式会社製、製品名「ニッセツ PE-121」)100質量部に対して、架橋剤としてN,N’―(シクロヘキサン-1,3-ジイルビスメチレン)ビス(グリシジルアミン)(濃度5%、三菱ガス化学株式会社製、製品名「TETRAD-C」)0.2質量部を添加し、30分間撹拌を行って第2粘着剤層形成用組成物Aを調製した。
【0189】
(第2粘着剤層Aの製造)
ポリエチレンテレフタレート製フィルムの片面がシリコーン処理により剥離処理された剥離フィルム(リンテック社製「SP-PET381031」、厚み38μm)の剥離処理面に、前記第2粘着剤層形成用組成物Aを塗工し、100℃で1分間加熱乾燥させることにより、厚み20μmの第2粘着剤層Aを製造した。
【0190】
(第1粘着剤層形成用組成物Bの製造)
BA74質量部、MMA20質量部及びHEA6質量部からなるアクリル系共重合体に対して、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(HEAに対して約50モル%)を付加した樹脂の溶液(重量平均分子量(Mw)500,000、粘着剤主剤、固形分35質量%、日本合成化学工業株式会社製、製品名「コーポニール UN-4730-D」)100質量部に対して、架橋剤としてトリレン-2,6-ジイソシアネート(トーヨーケム株式会社製、製品名「BHS-8515」、固形分濃度:37.5%)を0.5質量部添加し、30分間攪拌を行って第1粘着剤層形成用組成物Bを調製した。
【0191】
(第1粘着剤層Bの製造)
ポリエチレンテレフタレート製フィルムの片面がシリコーン処理により剥離処理された剥離フィルム(リンテック社製「SP-PET381031」、厚み38μm)の剥離処理面に、前記第1粘着剤層形成用組成物Bを塗工し、100℃で1分間加熱乾燥させることにより、厚み10μmの第1粘着剤層Bを製造した。
【0192】
(埋め込み層形成用組成物Aの製造)
BA91質量部、AAc9質量部からなるアクリル系共重合体の溶液(重量平均分子量(Mw)500,000、粘着剤主剤、固形分濃度33.6%、日本カーバイド工業株式会社製、製品名「ニッセツ PE-121」)100質量部と、BA62質量部、MMA10質量部及びHEA28質量部からなるアクリル系共重合体に2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネートをHEA100mol%に対して付加率が80mol%となるように付加した樹脂の溶液(重量平均分子量(Mw)370,000、粘着剤主剤、固形分濃度45%、日本合成化学工業株式会社製、製品名「コーポニール UN-2528LM1」)75質量部と、架橋剤としてトリレン-2,6-ジイソシアネート(トーヨーケム株式会社製、製品名「BHS-8515」、固形分濃度:37.5%)15質量部を添加し、30分間撹拌して埋め込み層形成用組成物Aを調製した。
【0193】
(基材A)
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み25μm)に粘着剤を粘着剤層の厚みが22μmとなるように塗布し、厚み9μmの銅箔を貼合し、基材Aを得た。なお、粘着剤層の形成には、BA46質量部、2-エチルヘキシルアクリレート37質量部、酢酸ビニル9質量部、AAc6質量部、及び無水マレイン酸2質量部からなるアクリル系共重合体(粘着剤主剤、固形分濃度30%)100質量部に対して、架橋剤としてトリレン-2,6-ジイソシアネート(トーヨーケム株式会社製、製品名「BHS-8515」、固形分濃度:37.5%)2.18質量部を添加し、30分間撹拌して調製した粘着剤組成物を使用した。
(基材B)
ポリイミド樹脂に窒化ホウ素フィラーを分散させたフィルムを厚み25μmとなるよう製膜し基材Bとした。基材の総質量に対する窒化ホウ素フィラーの含有率は50質量%とした。
(基材C)
高耐熱特殊ポリエステル(製品名「トルセナ」、厚み50μm、株式会社東レ製)の一方の表面に銅を蒸着させたフィルムを基材Cとして用いた。蒸着した銅の厚みは0.1μmとした。
(基材D)
PETフィルム(厚み50μm)を基材Dとして用いた。
【0194】
(端子付き半導体装置の準備)
実施例及び比較例の端子保護用両面テープの埋め込み性を評価するに当たり、次の端子付き半導体装置を準備した。
・端子付き半導体装置
半導体装置の大きさ:6mm×6mm
端子の高さ:50μm
端子径:250μm
端子間ピッチ:400μm
端子の数:13×13=169個
【0195】
<熱伝導率の測定>
熱拡散率・熱伝導率測定装置((株)アイフェイズ製、製品名「ai-Phase Mobile 1u」)を用いて、基材、粘弾性層、第2粘着剤層の熱拡散率を測定した。
そして、下記計算式(2)より、基材、粘弾性層、第2粘着剤層の熱伝導率を算出した。
なお、基材、粘弾性層、第2粘着剤層の比熱はDSC法により、密度はアルキメデス法により算出した。
熱伝導率(W/(m・K))=熱拡散率×密度×比熱 式(2)
【0196】
<スパッタリング時の端子保護用両面テープの表面温度の測定>
実施例及び比較例の端子保護用両面テープに端子付き半導体装置を後述の方法により載置した。この端子保護用両面テープの端子付き半導体装置が載置されていない粘弾性層表面(第1粘着剤層表面)の箇所に温度測定用ラベル(日油技研工業社製、真空用サーモラベル)を貼付し、その表面を耐熱テープにて保護した。この端子保護用両面テープに後述の条件でスパッタリングを行った。その後、耐熱テープを剥がすことにより、スパッタリングの際の端子保護用両面テープの表面温度を確認した。
【0197】
<スパッタリング処理>
図1の形態の端子保護用両面テープ1の第2粘着剤層15側の剥離フィルム22を剥離し、無アルカリガラス(コーニング社製、EagleXG、100mm角、0.7mm厚)上に実施例、比較例の端子保護用両面テープを第2粘着剤層を介して貼付し、測定用のサンプルとした。このサンプルに対して、端子付き半導体装置を以下のように載置した。
図3の(a)のように、前記端子付き半導体装置の端子の側を下にして、この粘弾性層12に、プレス圧力(荷重1.1MPa)、プレス時間40s、加熱温度50℃で押し付け、端子付き半導体装置を端子保護用両面テープに載置した。
その後、下記条件にて銅層をスパッタリングにより成膜した。
・ターゲット:銅
・手法:DCマグネトロンスパッタリング
・印加方法:DC500W
・基材加熱:150℃
・キャリアガス:アルゴン
・成膜圧力:3.4Pa
スパッタリング後の端子保護用両面テープの表面(第1粘着剤層表面)を目視により観察した。表面にひび割れやシワ、剥がれといった表面の荒れがないものを合格(A)とし、表面にひび割れやシワ、剥がれといった表面の荒れがあるものを不合格(B)とした。
【0198】
[実施例1]
埋め込み層形成用組成物Aをポリエチレンテレフタレート製フィルムの片面がシリコーン処理により剥離処理された剥離フィルム(リンテック社製「SP-PET381031」、厚み38μm)の剥離処理面に塗工し、100℃で1分間加熱乾燥させた後、埋め込み層形成用組成物Aの上にポリエチレンテレフタレート製フィルムの片面がシリコーン処理により剥離処理された剥離フィルム(リンテック社製「SP-PET382150」、厚み38μm)の剥離処理面をラミネートし、厚み50μmの埋め込み層を製造した。次に、厚み10μmの第1粘着剤層Bに厚み50μmの埋め込み層Aを貼合した。続いて、埋め込み層Aの側の剥離フィルムを剥離し、基材Aと貼り合わせた。最後に、基材の埋め込み層Aとは反対側に、前記第2粘着剤層Aを積層して、図1に示す形態の実施例1の端子保護用両面テープ1を製造した。
端子保護用両面テープ1を用いて、スパッタリング処理を行い、スパッタリング時の端子保護用両面テープ1の表面温度を測定、スパッタリング後の端子保護用両面テープ1の表面を目視により観察した。粘弾性層、基材A、第2粘着剤層の熱伝導率と、スパッタリング時の端子保護用両面テープ1の表面温度、並びにスパッタリング後の端子保護用両面テープ1の表面の観察結果を表1に示す。また、スパッタリング後の端子保護用両面テープ1の表面(第1粘着剤層表面)の写真を図6に示す。
【0199】
[実施例2]
基材Aに代えて基材Bを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、端子保護用両面テープ2を製造した。
端子保護用両面テープ2を用いて、スパッタリング処理を行い、スパッタリング時の端子保護用両面テープ2の表面温度を測定、スパッタリング後の端子保護用両面テープ2の表面を目視により観察した。粘弾性層、基材B、第2粘着剤層の熱伝導率と、スパッタリング時の端子保護用両面テープ2の表面温度、並びにスパッタリング後の端子保護用両面テープ2の表面の観察結果を表1に示す。また、スパッタリング後の端子保護用両面テープ2の表面(第1粘着剤層表面)の写真を図7に示す。
【0200】
[比較例1]
基材Aに代えて基材Cを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、端子保護用両面テープ3を製造した。
端子保護用両面テープ3を用いて、スパッタリング処理を行い、スパッタリング時の端子保護用両面テープ3の表面温度を測定、スパッタリング後の端子保護用両面テープ3の表面を目視により観察した。粘弾性層、基材C、第2粘着剤層の熱伝導率と、スパッタリング時の端子保護用両面テープ3の表面温度、並びにスパッタリング後の端子保護用両面テープ3の表面の観察結果を表1に示す。また、スパッタリング後の端子保護用両面テープ3の表面(第1粘着剤層表面)の写真を図8に示す。
【0201】
[比較例2]
基材Aに代えて基材Dを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、端子保護用両面テープ4を製造した。
端子保護用両面テープ4を用いて、スパッタリング処理を行い、スパッタリング時の端子保護用両面テープ4の表面温度を測定、スパッタリング後の端子保護用両面テープ4の表面を目視により観察した。粘弾性層、基材D、第2粘着剤層の熱伝導率と、スパッタリング時の端子保護用両面テープ4の表面温度、並びにスパッタリング後の端子保護用両面テープ4の表面の観察結果を表1に示す。また、スパッタリング後の端子保護用両面テープ4の表面(第1粘着剤層表面)の写真を図9に示す。
【0202】
[比較例3]
埋め込み層Aの厚みを160μmとしたこと以外は、比較例2と同様にして、端子保護用両面テープ5を製造した。
端子保護用両面テープ5を用いて、スパッタリング処理を行い、スパッタリング時の端子保護用両面テープ5の表面温度を測定、スパッタリング後の端子保護用両面テープ5の表面を目視により観察した。粘弾性層、基材D、第2粘着剤層の熱伝導率と、スパッタリング時の端子保護用両面テープ5の表面温度、並びにスパッタリング後の端子保護用両面テープ5の表面の観察結果を表1に示す。また、スパッタリング後の端子保護用両面テープ5の表面(第1粘着剤層表面)の写真を図10に示す。
【0203】
【表1】
【0204】
表1に示される結果から、本発明の実施例に係る端子保護用両面テープを用いて、端子付き半導体装置を電磁波シールドするにあたり、粘弾性層、基材、第2粘着剤層のうち、少なくとも1層が熱伝導層であることによって、導電材料を塗布するスパッタリング工程においても、前記端子保護用両面テープの表面温度の上昇、並びに面荒れを抑制することができることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0205】
本発明の端子保護用両面テープは、端子付き半導体装置を電磁波シールドする際に、端子付き半導体装置の端子を保護する用途に用いることができる。本発明の端子保護用両面テープを用いて、端子付き半導体装置を電磁波シールドすることができ、電磁波シールド膜付き半導体装置を製造することができる。
【符号の説明】
【0206】
1・・・端子保護用両面テープ、10・・・電磁波シールド膜、11・・・基材、12・・・粘弾性層、13・・・埋め込み層、14・・・第1粘着剤層、15・・・第2粘着剤層(貼合粘着剤層)、30・・・支持体、6・・・端子付き半導体装置集合体、60・・・半導体装置集合体、61、62・・・電子部品、63・・・回路基板、63a・・・端子形成面、64・・・封止樹脂層、65・・・端子付き半導体装置、66・・・電磁波シールド膜付き半導体装置、91・・・端子、101・・・導電性樹脂、20,22・・・剥離フィルム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10