(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】カテーテル
(51)【国際特許分類】
A61M 25/14 20060101AFI20240404BHJP
A61B 8/12 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
A61M25/14 512
A61B8/12
(21)【出願番号】P 2021014792
(22)【出願日】2021-02-02
【審査請求日】2023-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【氏名又は名称】田邊 淳也
(74)【代理人】
【識別番号】100157277
【氏名又は名称】板倉 幸恵
(72)【発明者】
【氏名】西岸 誠
【審査官】鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/189826(WO,A1)
【文献】特表2017-532104(JP,A)
【文献】米国特許第8771203(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/14
A61B 8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトを有するカテーテルであって、
前記シャフトは、
前記シャフトの長手方向に延びるワイヤルーメンと、
前記ワイヤルーメンと並んで配置されたセンサルーメンと、
前記ワイヤルーメンを含み、前記センサルーメンの先端よりも先端側に突出した突出部であって、先端において前記ワイヤルーメンに連通する先端開口が形成された突出部と、
前記突出部よりも基端側に形成された、前記ワイヤルーメンに連通する切り欠きである第1切欠部と、
を備え、
前記第1切欠部は、前記シャフトの側面のうち、前記ワイヤルーメンの中心軸を基準として、前記センサルーメンの反対側に位置する側面に形成されており、
前記シャフトは、前記第1切欠部が形成されている区間において、前記第1切欠部に対向する底部と、前記底部から前記センサルーメンの反対側に向かって延びる一対の側壁と、を有
し、
前記第1切欠部は、前記ワイヤルーメンの側から前記シャフトを見た場合に、前記ワイヤルーメンの中心軸に沿って延びる第1長軸と、前記中心軸に垂直に延びる第1短軸と、を有する楕円形状であり、前記第1短軸の長さは、前記ワイヤルーメンの内径と等しい、カテーテル。
【請求項2】
請求項
1に記載のカテーテルであって、
前記シャフトは、さらに、前記第1切欠部よりも先端側または基端側に形成された、前記ワイヤルーメンに連通する切り欠きである第2切欠部を備え、
前記第2切欠部は、前記シャフトの側面のうち、前記第1切欠部と同じ側の側面に形成されており、
前記シャフトは、前記第2切欠部が形成されている区間において、前記第2切欠部に対向する底部と、前記底部から前記センサルーメンの反対側に向かって延びる一対の側壁と、を有する、カテーテル。
【請求項3】
請求項
2に記載のカテーテルであって、
前記第2切欠部は、前記ワイヤルーメンの側から前記シャフトを見た場合に、
前記ワイヤルーメンの中心軸に沿って延びる第2長軸と、前記中心軸に垂直に延びる第2短軸と、を有する楕円形状であり、
前記第2短軸の長さは、前記ワイヤルーメンの内径と等しく、かつ、前記第2長軸の長さは、前記第1切欠部の前記第1長軸の長さよりも短い、カテーテル。
【請求項4】
請求項1から請求項
3のいずれか一項に記載のカテーテルであって、
前記シャフトは、さらに、
前記シャフトの先端と基端との間において、前記ワイヤルーメンから分岐した分岐ルーメンと、
前記ワイヤルーメンと前記分岐ルーメンとの接続部に形成された分岐部と、
を備え、
前記分岐ルーメンは、
前記分岐ルーメンの先端側が前記ワイヤルーメンに接続され、
前記分岐ルーメンの基端側が、前記先端側よりも前記シャフトの基端側に位置し、
前記分岐ルーメンの基端側は、前記シャフトの側面に形成されたポートを介して外部に連通しており、
前記分岐部は、
前記ワイヤルーメンの他の部分と比べてルーメンの内径が相対的に大きい太径部と、
前記太径部よりも基端側において、前記ワイヤルーメンと前記分岐ルーメンとを隔てる境界壁と、を有している、カテーテル。
【請求項5】
請求項
4に記載のカテーテルであって、
前記ポートは、前記シャフトの中心軸に対して傾斜しており、
前記シャフトの長手方向において、前記境界壁の先端は、前記ポートの先端位置と同じ位置、または、前記ポートの先端位置よりも先端側に位置している、カテーテル。
【請求項6】
請求項
4または請求項
5に記載のカテーテルであって、
前記境界壁の前記シャフトの長手方向における長さは、前記ポートの前記シャフトの長手方向における長さ以上である、カテーテル。
【請求項7】
請求項
4から請求項
6のいずれか一項に記載のカテーテルであって、
前記分岐部は、さらに、前記ワイヤルーメンを規定する内周面のうち、前記太径部よりも先端側であって、前記分岐ルーメンが延伸する側とは反対側の領域が、前記分岐ルーメンが延伸する側に向かって隆起した隆起部を有している、カテーテル。
【請求項8】
請求項
7に記載のカテーテルであって、
ワイヤが前記先端開口から前記ワイヤルーメンに挿入された第1の場合に、当該ワイヤの基端部を前記隆起部に接触させることで、当該ワイヤの基端部が前記分岐ルーメンに向かうように誘導し、
ワイヤが前記シャフトの基端側から前記ワイヤルーメンに挿入された第2の場合に、当該ワイヤの先端部を前記境界壁に接触させることで、当該ワイヤの先端部が前記分岐ルーメンに向かうことを抑制する、カテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
慢性完全閉塞(CTO:Chronic Total Occlusion)のように、血管内が閉塞物によって閉塞されてしまう場合がある。CTO開通のための手技では、一般に、デリバリーガイドワイヤを用いて、カテーテルをCTO病変の位置までデリバリした後、貫通用ガイドワイヤを用いて、貫通用ガイドワイヤを偽腔から真腔へと再入させる。なお、偽腔とは、医療デバイスにより形成された真腔以外の全ての解離腔を指す。
【0003】
CTO開通のための手技は複雑であることから、センサのガイド下(例えばIVUS Guide)で手技を行いたいという要望がある。例えば特許文献1~3には、センサのガイド下での手技において使用できるカテーテルが開示されている。特許文献1~3のカテーテルは、センサルーメン(画像用ルーメン)と、ワイヤルーメン(ガイドワイヤルーメン)とを個別に有しており、センサルーメンに挿入されたセンサによる観察下で、ワイヤルーメンに挿入された貫通用ガイドワイヤの操作を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許4065167号公報
【文献】特開2017-153621号公報
【文献】特開2018-33507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、血管内に挿入されるカテーテルは、可能な限り細径化されることが好ましい。この点、特許文献1,2に記載のカテーテルでは、単一のワイヤルーメンを、デリバリーガイドワイヤと貫通用ガイドワイヤとで併用できるため、カテーテルの細径化が可能である。一方、特許文献1,2に記載のカテーテルでは、カテーテルの長手方向に延びるワイヤルーメンが、第1ガイドワイヤルーメンと、第2ガイドワイヤルーメンとから構成されており、第1及び第2ガイドワイヤルーメンの間において、ガイドワイヤルーメンが存在しない領域が設けられている。このため、特許文献1,2に記載のカテーテルでは、カテーテルにデリバリーガイドワイヤを挿入する際、このガイドワイヤルーメンが存在しない領域においてデリバリーガイドワイヤが外れてしまい、使い勝手に劣るという課題があった。また、特許文献3に記載のカテーテルでは、3つのワイヤルーメンを備えるため、使い勝手はよいものの、カテーテルが太径化するという課題があった。
【0006】
なお、このような課題は、CTOの開通に限らず、デリバリーガイドワイヤと、貫通用ガイドワイヤのように、異なる医療デバイスを交換しつつ手技を進めるデバイスの全般に共通する。また、このような課題は、血管系に限らず、リンパ腺系、胆道系、尿路系、気道系、消化器官系、分泌腺及び生殖器官といった、生体管腔内に挿入されるデバイスの全般に共通する。
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、センサのガイド下での手技を実現可能であり、かつ、異なる医療デバイスを交換しつつ手技を進めることが可能なカテーテルにおいて、細径化と使い勝手の向上との両立を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0009】
(1)本発明の一形態によれば、シャフトを有するカテーテルが提供される。このカテーテルにおいて、前記シャフトは、前記シャフトの長手方向に延びるワイヤルーメンと、前記ワイヤルーメンと並んで配置されたセンサルーメンと、前記ワイヤルーメンを含み、前記センサルーメンの先端よりも先端側に突出した突出部であって、先端において前記ワイヤルーメンに連通する先端開口が形成された突出部と、前記突出部よりも基端側に形成された、前記ワイヤルーメンに連通する切り欠きである第1切欠部と、を備える。前記第1切欠部は、前記シャフトの側面のうち、前記ワイヤルーメンの中心軸を基準として、前記センサルーメンの反対側に位置する側面に形成されており、前記シャフトは、前記第1切欠部が形成されている区間において、前記第1切欠部に対向する底部と、前記底部から前記センサルーメンの反対側に向かって延びる一対の側壁と、を有する。
【0010】
この構成によれば、カテーテルのシャフトは、ワイヤルーメンと、ワイヤルーメンと並んで配置されたセンサルーメンとを備えるため、センサルーメンに挿入されたセンサ(例えば、IVUS)のガイド下での手技を実現可能であり、かつ、ワイヤルーメンにおいて異なる医療デバイス(例えば、デリバリーガイドワイヤと、貫通用ガイドワイヤ)を交換しつつ手技を進めることが可能なカテーテルを提供できる。また、突出部の先端には先端開口が形成されているため、デリバリーガイドワイヤを、この先端開口からワイヤルーメン内に簡単に挿入できる。ここで、シャフトは、第1切欠部が形成されている区間において、第1切欠部に対向する底部と、底部からセンサルーメンの反対側に向かって延びる一対の側壁と、を有している。このため、ワイヤルーメン内のデリバリーガイドワイヤを基端側へと押し進める際に、第1切欠部がある区間に設けられた側壁によってデリバリーガイドワイヤを支持できるため、デリバリーガイドワイヤが外れて、シャフトの外側へ飛び出すことを抑制できる。さらに、シャフトの側面のうち、センサルーメンの反対側に位置する側面には第1切欠部が形成されているため、貫通用ガイドワイヤを、この第1切欠部から外部へと簡単に突出させることができる。この際、第1切欠部がある区間に設けられた側壁を利用して、貫通用ガイドワイヤの先端部を外部に向かって押し出すことができるため、貫通用ガイドワイヤの先端部を、精度良く対象組織へと突出させることができる。これらの結果、本構成によれば、センサのガイド下での手技を実現可能であり、かつ、異なる医療デバイスを交換しつつ手技を進めることが可能なカテーテルにおいて、細径化と使い勝手の向上との両立を図ることができる。
【0011】
(2)上記形態のカテーテルにおいて、前記第1切欠部は、前記ワイヤルーメンの側から前記シャフトを見た場合に、前記ワイヤルーメンの中心軸に沿って延びる第1長軸と、前記中心軸に垂直に延びる第1短軸と、を有する楕円形状であり、前記第1短軸の長さは、前記ワイヤルーメンの内径と等しくてもよい。
この構成によれば、第1切欠部は楕円形状であり、第1切欠部の第1短軸の長さは、ワイヤルーメンの内径と等しいため、第1切欠部をワイヤルーメンの周方向に対して、広範囲に設けることができる。このため、カテーテルを生体管腔内に挿入した際に、カテーテルの第1切欠部の位置と、対象組織との周方向における位置が離れている場合であっても、カテーテルを回転させずに、対象組織へと貫通用ガイドワイヤの先端部を向けやすい。
【0012】
(3)上記形態のカテーテルにおいて、前記シャフトは、さらに、前記第1切欠部よりも先端側または基端側に形成された、前記ワイヤルーメンに連通する切り欠きである第2切欠部を備え、前記第2切欠部は、前記シャフトの側面のうち、前記第1切欠部と同じ側の側面に形成されており、前記シャフトは、前記第2切欠部が形成されている区間において、前記第2切欠部に対向する底部と、前記底部から前記センサルーメンの反対側に向かって延びる一対の側壁と、を有していてもよい。
この構成によれば、シャフトの側面には、さらに、第1切欠部よりも先端側または基端側において第2切欠部が形成されているため、貫通用ガイドワイヤを、第1切欠部または第2切欠部から、選択的に外部へと突出させることができる。また、シャフトは、第2切欠部が形成されている区間において、第2切欠部に対向する底部と、底部からセンサルーメンの反対側に向かって延びる一対の側壁と、を有している。このため、ワイヤルーメン内のデリバリーガイドワイヤを基端側へと押し進める際に、第2切欠部がある区間に設けられた側壁によってデリバリーガイドワイヤを支持できるため、デリバリーガイドワイヤが外れて、シャフトの外側へ飛び出すことを抑制できる。さらに、第2切欠部がある区間に設けられた側壁を利用して、貫通用ガイドワイヤの先端部を外部に向かって押し出すことができるため、貫通用ガイドワイヤの先端部を、精度良く対象組織へと突出させることができる。
【0013】
(4)上記形態のカテーテルにおいて、前記第2切欠部は、前記ワイヤルーメンの側から前記シャフトを見た場合に、前記ワイヤルーメンの中心軸に沿って延びる第2長軸と、前記中心軸に垂直に延びる第2短軸と、を有する楕円形状であり、前記第2短軸の長さは、前記ワイヤルーメンの内径と等しく、かつ、前記第2長軸の長さは、前記第1切欠部の前記第1長軸の長さよりも短くてもよい。
この構成によれば、第2切欠部は楕円形状であり、第2切欠部の第2短軸の長さは、ワイヤルーメンの内径と等しいため、第2切欠部をワイヤルーメンの周方向に対して、広範囲に設けることができる。このため、カテーテルを生体管腔内に挿入した際に、カテーテルの第2切欠部の位置と、対象組織との周方向における位置が離れている場合であっても、カテーテルを回転させずに、対象組織へと貫通用ガイドワイヤの先端部を向けやすい。また、第2切欠部の第2長軸の長さは、第1切欠部の第1長軸の長さよりも短いため、シャフトの長手方向における第2切欠部の長さを、第1切欠部の長さよりも短くできる。このため、第2切欠部では、第1切欠部と比べて、貫通用ガイドワイヤの先端部の対象組織に対する位置決めをより容易にできる。術者は、カテーテルと対象組織の位置関係や、対象組織の大きさ等の状況に応じて、第1切欠部と第2切欠部とを選択的に使い分けることができるため、カテーテルの使い勝手をより向上できる。
【0014】
(5)上記形態のカテーテルにおいて、前記シャフトは、さらに、前記シャフトの先端と基端との間において、前記ワイヤルーメンから分岐した分岐ルーメンと、前記ワイヤルーメンと前記分岐ルーメンとの接続部に形成された分岐部と、を備える。前記分岐ルーメンは、前記分岐ルーメンの先端側が前記ワイヤルーメンに接続され、前記分岐ルーメンの基端側が、前記先端側よりも前記シャフトの基端側に位置し、前記分岐ルーメンの基端側は、前記シャフトの側面に形成されたポートを介して外部に連通しており、前記分岐部は、前記ワイヤルーメンの他の部分と比べてルーメンの内径が相対的に大きい太径部と、前記太径部よりも基端側において、前記ワイヤルーメンと前記分岐ルーメンとを隔てる境界壁と、を有している。
この構成によれば、カテーテルのシャフトにおいて、突出部の先端には先端開口が形成されているため、デリバリーガイドワイヤを、この先端開口からワイヤルーメン内に簡単に挿入できる。ここで、ワイヤルーメンから分岐した分岐ルーメンの基端側は、シャフトの側面に形成されたポートを介して外部に連通している。このため、ワイヤルーメン内のデリバリーガイドワイヤの基端部を、このポートから外部に引き出すことができるため、カテーテルに対するデリバリーガイドワイヤの挿通を迅速に行うことができる。さらに、ワイヤルーメンと分岐ルーメンとの接続部に形成された分岐部は、ワイヤルーメンと分岐ルーメンとを隔てる境界壁を有している。このため、貫通用ガイドワイヤを、シャフトの基端側からワイヤルーメン内に挿入して、シャフトの先端側に向かって押し進める際に、貫通用ガイドワイヤの先端部を境界壁に接触させることで、貫通用ガイドワイヤの先端部が分岐ルーメンに向かうことを抑制できる。これらの結果、本構成によれば、センサのガイド下での手技を実現可能であり、かつ、異なる医療デバイスを交換しつつ手技を進めることが可能なカテーテルにおいて、細径化と使い勝手の向上との両立を図ることができる。
【0015】
(6)上記形態のカテーテルにおいて、前記ポートは、前記シャフトの中心軸に対して傾斜しており、前記シャフトの長手方向において、前記境界壁の先端は、前記ポートの先端位置と同じ位置、または、前記ポートの先端位置よりも先端側に位置していてもよい。
この構成によれば、シャフトの長手方向において、境界壁の先端は、ポートの先端位置と同じ位置、または、ポートの先端位置よりも先端側に位置している。このため、貫通用ガイドワイヤを、シャフトの基端側からワイヤルーメン内に挿入して、シャフトの先端側に向かって押し進める際に、貫通用ガイドワイヤの先端部が分岐ルーメンに向かうことを確実に抑制できる。
【0016】
(7)上記形態のカテーテルにおいて、前記境界壁の前記シャフトの長手方向における長さは、前記ポートの前記シャフトの長手方向における長さ以上であってもよい。
この構成によれば、境界壁のシャフトの長手方向における長さは、ポートのシャフトの長手方向における長さ以上であるため、貫通用ガイドワイヤを、シャフトの基端側からワイヤルーメン内に挿入して、シャフトの先端側に向かって押し進める際に、貫通用ガイドワイヤの先端部が分岐ルーメンに向かうことを確実に抑制できる。
【0017】
(8)上記形態のカテーテルにおいて、前記分岐部は、さらに、前記ワイヤルーメンを規定する内周面のうち、前記太径部よりも先端側であって、前記分岐ルーメンが延伸する側とは反対側の領域が、前記分岐ルーメンが延伸する側に向かって隆起した隆起部を有していてもよい。
この構成によれば、分岐部は、さらに隆起部を有しているため、隆起部によってワイヤを誘導することができる。
【0018】
(9)上記形態のカテーテルにおいて、ワイヤが前記先端開口から前記ワイヤルーメンに挿入された第1の場合に、当該ワイヤの基端部を前記隆起部に接触させることで、当該ワイヤの基端部が前記分岐ルーメンに向かうように誘導し、ワイヤが前記シャフトの基端側から前記ワイヤルーメンに挿入された第2の場合に、当該ワイヤの先端部を前記境界壁に接触させることで、当該ワイヤの先端部が前記分岐ルーメンに向かうことを抑制してもよい。
この構成によれば、デリバリーガイドワイヤが先端開口からワイヤルーメンに挿入された第1の場合に、デリバリーガイドワイヤの基端部を隆起部に接触させることで、デリバリーガイドワイヤの基端部が分岐ルーメンに向かうように誘導する。換言すれば、隆起部は、カテーテルをラピッドエクスチェンジタイプ(Rxタイプ)として用いる第1の場合に、デリバリーガイドワイヤの基端部を、ポートがある分岐ルーメンに向かうように誘導することで、Rxタイプのカテーテルとしての使い勝手を向上させる。また、分岐部の境界壁は、貫通用ガイドワイヤがシャフトの基端側からワイヤルーメンに挿入された第2の場合に、貫通用ガイドワイヤの先端部を境界壁に接触させることで、貫通用ガイドワイヤの先端部が分岐ルーメンに向かうことを抑制する。換言すれば、境界壁は、カテーテルをオーバーザワイヤタイプ(OTWタイプ)として用いる第2の場合に、貫通用ガイドワイヤの先端部がワイヤルーメンの先端に向かうように誘導することで、OTWタイプのカテーテルとしての使い勝手を向上させる。このように本構成のカテーテルは、ワイヤルーメンを異なる医療デバイス(デリバリーガイドワイヤ、貫通用ガイドワイヤ)で共有することができるため、カテーテルを細径化することができる。
【0019】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、カテーテル、カテーテルの製造または使用方法、カテーテルとセンサ、デリバリーガイドワイヤ、貫通用ガイドワイヤ等の他のデバイスとを含むカテーテルシステム、カテーテルシステムの製造または使用方法などの形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】再開通カテーテルシステムの構成を例示した説明図である。
【
図2】カテーテルの先端側の一部分における構成を例示した説明図である。
【
図3】
図2のA方向から見たカテーテルの構成を例示した説明図である。
【
図4】カテーテルの横断面構成を例示した説明図である。
【
図5】カテーテルの横断面構成を例示した説明図である。
【
図6】第1の場合における隆起部の動作について説明する図である。
【
図7】第2の場合における境界壁の動作について説明する図である。
【
図9】再開通カテーテルシステムの使用方法について説明する図である。
【
図10】再開通カテーテルシステムの使用方法について説明する図である。
【
図11】第2実施形態のカテーテルの先端側の一部分における構成を例示した説明図である。
【
図12】第3実施形態のカテーテルの先端側の一部分における構成を例示した説明図である。
【
図13】第4実施形態のカテーテルの先端側の一部分における構成を例示した説明図である。
【
図14】第5実施形態のカテーテルの横断面構成を例示した説明図である。
【
図15】第6実施形態のカテーテルの横断面構成を例示した説明図である。
【
図16】第7実施形態のカテーテルの横断面構成を例示した説明図である。
【
図17】第8実施形態のカテーテルの先端側の一部分における構成を例示した説明図である。
【
図18】第9実施形態のカテーテルの先端側の一部分における構成を例示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<第1実施形態>
図1は、再開通カテーテルシステム1の構成を例示した説明図である。再開通カテーテルシステム1は、例えば、血管に生じたCTO(慢性完全閉塞、CTO:Chronic Total Occlusion)を順行性アプローチで治療する場合に用いられる。再開通カテーテルシステム1は、カテーテル100と、イメージングセンサ200と、イメージングコンソール300と、貫通用ガイドワイヤ400と、を備えている。
図1では、カテーテル100の概略側面図を表すと共に、カテーテル100に挿入されたイメージングセンサ200の先端側の一部分と、貫通用ガイドワイヤ400の先端側の一部分とを、それぞれ破線で表している。
【0022】
図1では、説明の便宜上、各構成部材の大きさの相対比を実際とは異なるように記載している部分を含んでいる。また、各構成部材の一部を誇張して記載している部分を含んでいる。また、
図1には、相互に直交するXYZ軸を図示する。X軸はカテーテル100の長手方向に対応し、Y軸はカテーテル100の高さ方向に対応し、Z軸はカテーテル100の幅方向に対応する。
図1の左側(-X軸方向)をカテーテル100及び各構成部材の「先端側」と呼び、
図1の右側(+X軸方向)をカテーテル100及び各構成部材の「基端側」と呼ぶ。また、カテーテル100及び各構成部材の長手方向(X軸方向)における両端のうち、先端側に位置する一端を「先端」と呼び、基端側に位置する他端を「基端」と呼ぶ。また、先端及びその近傍を「先端部」と呼び、基端及びその近傍を「基端部」と呼ぶ。先端側は生体内部へ挿入され、基端側は医師等の術者により操作される。これらの点は、
図1以降においても共通する。
【0023】
図2は、カテーテル100の先端側の一部分における構成を例示した説明図である。
図3は、
図2のA方向から見たカテーテル100の構成を例示した説明図である。
図3の下段吹き出し内には、分岐部150近傍の拡大断面図を示す。
図2及び
図3の上段では、カテーテル100の内部に形成されたワイヤルーメン150L及びセンサルーメン160Lを、破線で表している。また、
図2及び
図3の一部分には、ワイヤルーメン150Lの中心軸Oを一点鎖線で表している。
【0024】
図4及び
図5は、カテーテル100の横断面構成を例示した説明図である。
図4(A)は、
図2のB1-B1線におけるカテーテル100の横断面図である。
図4(B)は、
図2のB2-B2線におけるカテーテル100の横断面図である。
図5は、
図2のC-C線におけるカテーテル100の横断面図である。以降、
図1~
図5を用いて、カテーテル100の構成について説明する。なお、
図2~
図5では、イメージングセンサ200及び貫通用ガイドワイヤ400は図示されていない。
【0025】
図1に示すように、カテーテル100は、シャフト110と、調節器105とを備えている。
図2及び
図3に示すように、シャフト110は、ワイヤルーメン150Lと、センサルーメン160Lと、突出部112と、切欠部130と、分岐部150(
図3)と、を有している。
【0026】
図2に示すように、ワイヤルーメン150L及びセンサルーメン160Lは、それぞれ、シャフト110の長手方向(X軸線方向)に延びるルーメンである。シャフト110の内側において、ワイヤルーメン150Lとセンサルーメン160Lとは、互いに略平行となるように、並んで配置されている。
【0027】
センサルーメン160Lは、シャフト110の先端から基端まで直線状に延びている。一方、
図3に示すように、ワイヤルーメン150Lは、シャフト110の先端と基端との間(例えば、先端から200mm~400mm程の任意の位置)において二股に分岐しており、一方はシャフト110の基端まで略直線状に延び、他方はシャフト110の側面に形成されたポート110eを介して、外部に連通している。以降、ワイヤルーメン150Lから分岐して、ポート110eに繋がるルーメンを「分岐ルーメン150Lb」とも呼ぶ。また、シャフト110のうち、ワイヤルーメン150Lと、分岐ルーメン150Lbとの接続部周辺を「分岐部150」とも呼ぶ。分岐部150及び分岐ルーメン150Lbの詳細は、後述する。
【0028】
図2に示すように、ワイヤルーメン150Lの先端側の一部分は、センサルーメン160Lの先端よりも、先端側(-X軸方向側)に位置している。以降、シャフト110のうち、このワイヤルーメン150Lの先端側の一部分を取り囲む部分を「突出部112」とも呼ぶ。なお、ワイヤルーメン150L及びセンサルーメン160LのX軸方向の長さは、センサルーメン160Lよりもワイヤルーメン150Lが長い限りにおいて、任意に決定できる。
【0029】
突出部112は、上述の通り、シャフト110が、センサルーメン160Lの先端よりも先端側に突出した部分であり、内側にワイヤルーメン150Lの先端側の一部分を含んでいる。突出部112の先端側の一部分には、突出部112の周囲を取り囲むようにして、先端チップ120が接合されている。先端チップ120は、先端部にRが付された略円柱形状の部材である。なお、先端チップ120は任意の形状とでき、例えば、基端側から先端側に向かって外径が縮径した略円錐台状であってもよい。先端チップ120は、視認性を向上させるために着色されていてもよく、放射線不透過性を有する材料により形成されていてもよい。先端チップ120とシャフト110との接合には、例えば、熱溶融による樹脂同士の接合や、エポキシ系接着剤などの絶縁性の接着剤による接合を採用できる。
【0030】
シャフト110のうち、ワイヤルーメン150Lの先端(換言すれば、突出部112の先端)に対応する位置には、ワイヤルーメン150Lと外部とを連通する先端第1開口110aが設けられている。先端第1開口110aは「先端開口」に相当する。シャフト110のうち、ワイヤルーメン150Lの基端に対応する位置には、ワイヤルーメン150Lと外部とを連通する基端第1開口110cが設けられている(
図1)。また、シャフト110のうち、センサルーメン160Lの先端に対応する位置には、センサルーメン160Lと外部とを連通する先端第2開口110bが設けられている。シャフト110のうち、センサルーメン160Lの基端に対応する位置には、センサルーメン160Lと外部とを連通する基端第2開口110dが設けれている(
図1)。
【0031】
ここで、本実施形態のカテーテル100では、先端第2開口110bは、先端第1開口110aよりも基端側に位置している。また、先端第2開口110bは、シャフト110の長手方向(X軸方向)に対して傾斜している。先端第2開口110bは、基端第2開口110dからセンサルーメン160Lの内部へと注入された流体を排出するための開口である。このため、先端第2開口110bは、シャフト110の長手方向に対して垂直であってもよい。また、先端第2開口110bは、センサルーメン160Lの先端に対応する位置に設けられていなくてもよく、センサルーメン160Lの先端部近傍の一部分と、外部とを連通する位置に設けられていれば足りる。
【0032】
図4(A)に示すように、シャフト110は、アウターシャフト114と、第1インナーシャフト115と、第2インナーシャフト116と、封止部材111とを有している。
【0033】
アウターシャフト114、第1インナーシャフト115、及び第2インナーシャフト116は、いずれも中空の長尺状である。アウターシャフト114は、略楕円形状の横断面を有している。第1インナーシャフト115及び第2インナーシャフト116は、略円形状の横断面を有している。第1インナーシャフト115及び第2インナーシャフト116は、アウターシャフト114のルーメン内に挿入されており、アウターシャフト114の長手方向に沿って、互いに略平行に延びている。第1インナーシャフト115のルーメンは、上述したワイヤルーメン150Lとして機能する。一方、第2インナーシャフト116のルーメンは、上述したセンサルーメン160Lとして機能する。
図4(A)に示すように、第1インナーシャフト115の内径Φ150(ワイヤルーメン150Lの内径)は、第2インナーシャフト116の内径Φ160(センサルーメン160Lの内径)よりも小さい。なお、内径Φ150,Φ160は任意に決定できる。
【0034】
封止部材111は、アウターシャフト114内において、第1インナーシャフト115及び第2インナーシャフト116を封止(固定)している。封止部材111は、アウターシャフト114の内側、かつ、第1インナーシャフト115及び第2インナーシャフト116の外側に配置されている。アウターシャフト114、第1インナーシャフト115、第2インナーシャフト116、及び封止部材111の接合には、例えば、熱溶融による樹脂同士の接合や、エポキシ系接着剤などの絶縁性の接着剤による接合を採用できる。
【0035】
図2に示すように、切欠部130は、突出部112よりも基端側において、シャフト110に形成された切り欠きであって、ワイヤルーメン150Lと外部とを連通する切り欠きである。本実施形態では、切欠部130は、2つの切欠部(第1切欠部131、第2切欠部132)を含んでいる。
【0036】
第1切欠部131は、シャフト110の側面のうち、ワイヤルーメン150Lの中心軸Oを基準として、センサルーメン160Lの反対側に位置する側面に形成されている。
図3に示すように、第1切欠部131は、ワイヤルーメン150Lの側からシャフト110を見た場合に、ワイヤルーメン150Lの中心軸Oに沿って延びる長軸(以降「第1長軸」とも呼ぶ)と、中心軸Oに垂直に延びる短軸(以降「第1短軸」とも呼ぶ)と、を有する楕円形状である。
図3及び
図4に示すように、第1切欠部131の第1短軸の長さL131aは、ワイヤルーメン150Lの内径Φ150と等しい。なお、本実施形態において「等しい」とは、概ね同じであることを意味し、製造誤差等に起因した差異を許容する。
【0037】
図4(B)に示すように、第1切欠部131が形成されている区間において、シャフト110は、底部1311と、一対の側壁1312とを有している。底部1311は、シャフト110のうち、第1切欠部131に対向する部分である。側壁1312は、シャフト110のうち、底部1311から、センサルーメン160Lの反対側に向かって延びる部分である。換言すれば、シャフト110は、第1切欠部131が形成されている区間では、底部1311と側壁1312とにより取り囲まれた、略半円形の溝を形成している。
【0038】
図2に示すように、第2切欠部132は、第1切欠部131よりも先端側に設けられている。第2切欠部132は、シャフト110の側面のうち、第1切欠部131と同じ側の側面(すなわち、ワイヤルーメン150Lの中心軸Oを基準として、センサルーメン160Lの反対側に位置する側面)に形成されている。
図3に示すように、第2切欠部132は、ワイヤルーメン150Lの側からシャフト110を見た場合に、ワイヤルーメン150Lの中心軸Oに沿って延びる長軸(以降「第2長軸」とも呼ぶ)と、中心軸Oに垂直に延びる短軸(以降「第2短軸」とも呼ぶ)と、を有する楕円形状である。第2切欠部132の第2短軸の長さL132aは、ワイヤルーメン150Lの内径Φ150と等しい。第2切欠部132が形成されている区間において、シャフト110は、第2切欠部132に対向する底部と、底部からセンサルーメン160Lの反対側に向かって延びる一対の側壁とを有している。詳細は、第1切欠部131と同様である。
【0039】
図3に示すように、第2切欠部132の第2長軸の長さL132bは、第1切欠部131の第1長軸の長さL131bよりも短い。このため、
図3のように、ワイヤルーメン150Lの側からシャフト110を見た場合において、第2切欠部132の楕円形状の面積は、第1切欠部131の楕円形状の面積よりも小さい。なお、第2切欠部132の第2長軸の長さL132bは、ワイヤルーメン150Lの側からシャフト110を見た場合(
図3の視点)における、第2切欠部132の楕円の先端側の端と、最も基端側の端との間の長さを意味する。第1切欠部131の第1長軸の長さL131bについても同様である。
【0040】
図2及び
図3に示すように、シャフト110の外周面のうち、第1切欠部131と第2切欠部132との間には、マーカー141が接合されている。マーカー141は、シャフト110の外周面に沿った半円形状の部材である。マーカー141は、視認性を向上させるために着色されていてもよく、放射線不透過性を有する材料により形成されていてもよい。マーカー141とシャフト110との接合には、例えば、熱溶融による樹脂同士の接合や、エポキシ系接着剤などの絶縁性の接着剤による接合を採用できる。
【0041】
なお、本実施形態の例では、第2切欠部132は、第1切欠部131よりも先端側に設けられているとした。しかし、第2切欠部132は、第1切欠部131よりも基端側(
図2及び
図3:+X軸方向)に設けられていてもよい。また、マーカー141は、省略されてもよい。
【0042】
図3下段に示すように、分岐ルーメン150Lbの先端側は、ワイヤルーメン150Lに接続されている。分岐ルーメン150Lbの基端側は、先端側よりもシャフト110の基端側に位置している。分岐ルーメン150Lbの基端側は、シャフト110の側面に形成されたポート110eを介して、外部に連通している。換言すれば、シャフト110のうち、分岐ルーメン150Lbの基端に対応する位置には、分岐ルーメン150Lbと外部とを連通する開口であるポート110eが設けられている。分岐ルーメン150Lbは、シャフト110の先端側から基端側に向かうに連れて、ワイヤルーメン150Lから離間する方向に延びている。
【0043】
分岐部150は、太径部151と、隆起部152と、境界壁153と、を有している。太径部151(
図3下段:破線丸枠)は、ワイヤルーメン150Lの他の部分と比べて、ルーメンの内径が相対的に大きい部分である。
図5に示すように、太径部151におけるルーメンの内径Φ151は、ワイヤルーメン150Lの内径Φ150よりも大きい。なお、太径部151では、略楕円形状のルーメンのうちの、長手方向の内径を「ルーメンの内径Φ151」とする。
図5では説明の便宜上、C-C断面には表れない境界壁153を、破線で表している。
【0044】
図3下段に示すように、隆起部152は、分岐部150の内周面のうちのワイヤルーメン150Lを規定する内周面152iの一部分が隆起した部分である。隆起部152は、分岐部150の内周面152iのうち、太径部151よりも先端側、かつ、分岐ルーメン150Lbが延伸する側とは反対側の領域に設けられている。隆起部152では、分岐部150の内周面152iが、分岐ルーメン150Lbが延伸する側に向かって隆起している。
図3下段に示すように、本実施形態の隆起部152は、分岐部150の内周面152iから滑らかに盛り上がった形状を有している。隆起部152のシャフト110の長手方向(X軸方向)における長さは、任意に決定してよい。
【0045】
境界壁153は、太径部151よりも基端側に設けられたシャフト110の一部分であって、ワイヤルーメン150Lと分岐ルーメン150Lbとを隔てる部分である。
図5に示すように、本実施形態の境界壁153は湾曲板形状であるが、境界壁153は、ワイヤルーメン150Lと分岐ルーメン150Lbとを隔てる限りにおいて、板状や羽状など任意の形状とできる。
図3下段に示すように、シャフト110の長手方向(X軸方向)において、境界壁153の先端P1は、ポート110eの先端P2よりも先端側に位置している。なお、境界壁153の先端P1は、ポート110eの先端P2と同じ位置であってもよい。本実施形態において「同じ」とは、概ね同じであることを意味し、製造誤差等に起因した差異を許容する。境界壁153のX軸方向の長さL153は、ポート110eのX軸方向の長さL110以上である。ここで、ポート110eは、シャフト110の中心軸Oに対して傾斜している。このため、ポート110eのX軸方向の長さL110は、
図3下段に示すように、ポート110eをX軸上に投影した場合の長さを意味する。
【0046】
図6は、第1の場合における隆起部152の動作について説明する図である。
図6(A)は、
図2と同じ方向から見たカテーテル100の側面図を表し、
図6(B)は、
図3と同じ方向から見たカテーテル100の下面図を表す。なお、
図6では、ワイヤの一例であるデリバリーガイドワイヤ70を、ドットハッチングを付して表す。デリバリーガイドワイヤ70が、先端第1開口110aからワイヤルーメン150Lに挿入されて、ワイヤルーメン150Lの内側を先端側から基端側に向かって進む場合を「第1の場合」と呼ぶ。換言すれば、第1の場合は、カテーテル100をラピッドエクスチェンジタイプ(Rxタイプ)のカテーテルとして用いる場合である。
【0047】
第1の場合、術者は、デリバリーガイドワイヤ70の基端部を、先端第1開口110aからワイヤルーメン150Lに挿通し、分岐ルーメン150Lbを介して、ポート110eから外部へ引き出す。この時、
図6(B)に示すように、デリバリーガイドワイヤ70の基端部は、隆起部152に接触することで、自然に分岐ルーメン150Lb側(太線矢印の方向)に向かい、分岐ルーメン150Lbの基端にあるポート110eから、外部へと導かれる。
【0048】
図7は、第2の場合における境界壁153の動作について説明する図である。
図7(A)は、
図2と同じ方向から見たカテーテル100の側面図を表し、
図7(B)は、
図3と同じ方向から見たカテーテル100の下面図を表す。なお、
図7では、ワイヤの一例である貫通用ガイドワイヤ400を、ドットハッチングを付して表す。貫通用ガイドワイヤ400が、基端第1開口110cからワイヤルーメン150Lに挿入されて、ワイヤルーメン150Lの内側を基端側から先端側に向かって進む場合を「第2の場合」と呼ぶ。換言すれば、第2の場合は、カテーテル100をオーバーザワイヤタイプ(OTWタイプ)のカテーテルとして用いる場合である。
【0049】
第2の場合、術者は、貫通用ガイドワイヤ400の先端部を、先端第2開口110bからワイヤルーメン150Lに挿通し、分岐部150を直進させて(分岐ルーメン150Lbに貫通用ガイドワイヤ400を迷入させることなく)、第1切欠部131または第2切欠部132から外部へ引き出す。この時、
図7(B)に示すように、貫通用ガイドワイヤ400の先端部は、境界壁153に接触することで、分岐ルーメン150Lbへ向かうことを抑制されつつ、自然に分岐部150を直進し(太線矢印の方向に進み)、第1切欠部131または第2切欠部132がある部分へと到達する。
【0050】
図1に戻り、説明を続ける。調節器105は、センサルーメン160Lにおけるイメージングセンサ200の前進後退を行うための操作部である。調節器105は、術者が操作可能なダイヤルを備えており、ダイヤルを回転させることで、センサルーメン160Lに挿入されたイメージングセンサ200が、前進、または後退する。
【0051】
アウターシャフト114、第1インナーシャフト115、第2インナーシャフト116、封止部材111、及び調節器105は、例えば、ポリアミドなどのナイロン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体などのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタラートなどのポリエステル、ポリ塩化ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、架橋型エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリウレタンなどの熱可塑性樹脂、ポリアミドエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、ポリウレタンエラストマー、シリコーンゴム、ラテックスゴム等の公知の材料により形成され得る。アウターシャフト114、第1インナーシャフト115、第2インナーシャフト116、封止部材111、及び調節器105は、同一の材料で形成されていてもよく、少なくとも一部、または全部が、他とは異なる材料により形成されていてもよい。なお、アウターシャフト114、第1インナーシャフト115、第2インナーシャフト116、及び封止部材111について、少なくとも切欠部130(第1切欠部131及び第2切欠部132)の近傍に位置する一部分については、生体組織との音響インピーダンスの差が小さい樹脂、例えば、ポリエチレンで形成されることが好ましい。これは、イメージングセンサ200から生体組織に向けて発信される超音波を阻害しないためである。
【0052】
先端チップ120及びマーカー141は、柔軟性を有する樹脂材料、例えば、ポリウレタンエラストマーで形成できる。先端チップ120及びマーカー141は、放射線不透過性を有する樹脂材料や金属材料により形成してもよい。例えば、放射線不透過性の樹脂材料を用いる場合、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂等に対して、三酸化ビスマス、タングステン、硫酸バリウム等の放射線不透過材料を混ぜて形成できる。例えば、放射線不透過性の金属材料を用いる場合、金、白金、タングステン、またはこれらの元素を含む合金(例えば、白金ニッケル合金)等で形成できる。先端チップ120及びマーカー141は、同一の材料で形成されていてもよく、異なる材料により形成されていてもよい。
【0053】
図8は、イメージングセンサ200の概略図である。イメージングセンサ200は、長尺状の外形を有し、生体組織の情報を取得する「センサ」である。イメージングセンサ200は、トランスデューサ201と、ドライビングケーブル202と、コネクタ203を有している。トランスデューサ201は、生体組織に向けて超音波を発信し、生体組織を伝搬して反射した超音波を受信する超音波探触子(超音波振動子、圧電体、超音波送受信素子、超音波素子とも呼ばれる)を備えている。ドライビングケーブル202はその内側に、トランスデューサ201とモータドライブ204とを電気的に接続する同軸線を有する。コネクタ203は、ドライビングケーブル202の同軸線とトランスデューサ201の回転を制御するモータドライブ204とを接続する。なお、モータドライブ204はケーブル50によりイメージングコンソール300と電気的に接続されている。
【0054】
図1に示すイメージングコンソール300は、イメージングセンサ200を制御すると共に、画像を生成し、表示する。具体的には、イメージングコンソール300は、調節器105の操作に応じて、センサルーメン160L内のトランスデューサ201を、シャフト110の長手方向(X軸方向)に移動させ、また、シャフト110の周方向(YZ軸方向)に回転させる。また、イメージングコンソール300は、図示しない入力手段を介した術者の操作に応じて、トランスデューサ201から超音波を発信し、トランスデューサ201によって反射波を受信させる。トランスデューサ201が受信した反射波は、ドライビングケーブル202及びケーブル50を介して、イメージングコンソール300に送信される。イメージングコンソール300は、受信した反射波の強度に応じた濃淡の諧調を付した画像(2次元画像)を生成し、生成した画像をディスプレイ302に表示させる。以降、イメージングセンサ200により取得され、ディスプレイ302に表示された画像を「センサ画像」とも呼ぶ。
【0055】
図1に示す貫通用ガイドワイヤ400は、先端に尖状部を備える長尺な医療デバイスである。尖状部は、基端側から先端側に向かって、やじり形状或いは楔形状とされた部分である。貫通用ガイドワイヤ400では、先端に設けられた尖状部によって、生体組織を貫通することができる。貫通用ガイドワイヤ400は「生体組織を貫通するガイドワイヤ」に相当する。
【0056】
図9及び
図10は、再開通カテーテルシステム1の使用方法について説明する図である。
図9及び
図10では、生体管腔の一例としての冠動脈80と、冠動脈80に発生したCTO81と、冠動脈80の内膜または内膜下に形成された偽腔82(デリバリーガイドワイヤ70により形成された真腔以外の全ての解離腔)と、真腔84と、偽腔82と真腔84との間に存在する線維性皮膜またはプラーク83(以下「線維性皮膜83」とも呼ぶ)と、をそれぞれ示す。なお、線維性皮膜83は、CTO病変の表面に繊維状に形成されることがある。
【0057】
図9(A)は、冠動脈80にデリバリーガイドワイヤ70を挿入した様子を示す。
図9(A)では、術者が操作するデリバリーガイドワイヤ70が、冠動脈80の内膜に迷入し、あるいは内膜下で偽腔82を形成している。
【0058】
図9(B)は、デリバリーガイドワイヤ70を用いてカテーテル100をデリバリする様子を示す。術者は、
図6で説明した操作を行うことによって、カテーテル100にデリバリーガイドワイヤ70を挿通する。
図6で説明した通り、本実施形態のカテーテル100では、隆起部152によって、デリバリーガイドワイヤ70の基端部が、ポート110eのある分岐ルーメン150Lbへと誘導される。このため、デリバリーガイドワイヤ70の基端部を、ポート110eから外部へと容易に引き出すことができる。また、本実施形態のカテーテル100では、デリバリーガイドワイヤ70を、基端側の基端第1開口110c(
図1)から引き出す従来の場合と比較して、ワイヤルーメン150L内においてデリバリーガイドワイヤ70を送り出す距離を短くできる。これらの結果、カテーテル100にデリバリーガイドワイヤ70を挿通するために要する時間を短縮できる。その後、術者は、
図9(B)に示すように、デリバリーガイドワイヤ70に沿わせて、カテーテル100を偽腔82までデリバリする。
【0059】
図10(A)は、カテーテル100及びイメージングセンサ200の位置を調整する様子を示す。術者は、次のa1~a3に示す各位置の調整を行う。なお、調整a2は省略してもよい。
(a1)カテーテル100の長手方向(
図1:X軸方向)における位置の調整。術者は、カテーテル100を冠動脈80に沿って移動させることで、カテーテル100の第1切欠部131及び第2切欠部132を、貫通用ガイドワイヤ400による真腔84への穿通のために最適な位置に配置する。調整a1は、センサ画像上の冠動脈80の位置、または、X線画像上のマーカー141の位置を確認しつつ、実施できる。
(a2)カテーテル100の周方向(
図1:YZ軸方向)における向きの調整。術者は、カテーテル100を周方向に回転させることで、カテーテル100が、図示の向き(すなわち、第1切欠部131及び第2切欠部132が、CTO81側に位置する向き)となるよう調整する。調整a2は、センサ画像上のデリバリーガイドワイヤ70と冠動脈80との位置関係を確認しつつ、実施できる。
(a3)イメージングセンサ200のトランスデューサ201についての、長手方向(
図1:X軸方向)における位置の調整。術者は、調節器105を操作することで、トランスデューサ201が、貫通用ガイドワイヤ400の穿通を観察するために適した位置となるよう、トランスデューサ201を移動させる。調整a3は、センサ画像上の冠動脈80を確認しつつ、実施できる。
【0060】
図10(B)は、貫通用ガイドワイヤ400で生体組織を貫通する様子を示す。まず術者は、デリバリーガイドワイヤ70を抜去する。この際、本実施形態のカテーテル100では、ワイヤルーメン150L内に挿入されているデリバリーガイドワイヤ70の長さが、
図8(B)で説明した従来の場合よりも短いため、従来の場合と比較して、デリバリーガイドワイヤ70を容易に抜去できる。
【0061】
デリバリーガイドワイヤ70の抜去後、術者は、
図7で説明した操作を行うことによって、カテーテル100に貫通用ガイドワイヤ400を挿通する。
図7で説明した通り、本実施形態のカテーテル100では、境界壁153によって、貫通用ガイドワイヤ400の先端部が、分岐ルーメン150Lbに迷入することを抑制される。このため、貫通用ガイドワイヤ400の先端部を、スムーズに第1切欠部131または第2切欠部132から突出させることができる。その後、術者は、センサ画像上の貫通用ガイドワイヤ400の先端を確認しつつ、貫通用ガイドワイヤ400の尖状部を、前述の穿通の至適部位に誘導する。その後、貫通用ガイドワイヤ400の尖状部を用いて生体組織(対象組織)を貫通し、貫通用ガイドワイヤ400の先端を真腔84に到達させる。
【0062】
このような方法により、再開通カテーテルシステム1によるCTO81の開通が可能となる。なお、上述した方法はあくまで一例であり、再開通カテーテルシステム1は、種々の手技で使用できる。例えば、再開通カテーテルシステム1は、偽腔82から真腔84へのアプローチに限らず、近位側の真腔84から遠位側の真腔84へのCTOを貫通するアプローチを行う際に使用されてもよい。
【0063】
<効果例1>
以上のように、第1実施形態のカテーテル100によれば、シャフト110は、ワイヤルーメン150Lと、ワイヤルーメン150Lと並んで配置されたセンサルーメン160Lとを備えるため、センサルーメン160Lに挿入されたイメージングセンサ200(例えば、IVUS)のガイド下での手技を実現可能であり、かつ、ワイヤルーメン150Lにおいて異なる医療デバイス(例えば、デリバリーガイドワイヤ70と、貫通用ガイドワイヤ400)を交換しつつ手技を進めることが可能なカテーテル100を提供できる(
図9、
図10)。また、突出部112の先端には先端第1開口110aが形成されているため、デリバリーガイドワイヤ70を、この先端第1開口110aからワイヤルーメン150L内に簡単に挿入できる(
図6(A))。ここで、シャフト110は、第1切欠部131が形成されている区間において、第1切欠部131に対向する底部1311と、底部1311からセンサルーメン160Lの反対側に向かって延びる一対の側壁1312と、を有している(
図4(B))。このため、ワイヤルーメン150L内のデリバリーガイドワイヤ70を基端側へと押し進める際に、第1切欠部131がある区間に設けられた側壁1312によってデリバリーガイドワイヤ70を支持できるため、デリバリーガイドワイヤ70が外れて、シャフト110の外側へ飛び出すことを抑制できる。さらに、シャフト110の側面のうち、センサルーメン160Lの反対側に位置する側面には第1切欠部131が形成されているため、貫通用ガイドワイヤ400を、この第1切欠部131から外部へと簡単に突出させることができる(
図7(A))。この際、第1切欠部131がある区間に設けられた側壁1312を利用して、貫通用ガイドワイヤ400の先端部を外部に向かって押し出すことができるため、貫通用ガイドワイヤ400の先端部を、精度良く生体組織(対象組織)へと突出させることができる。これらの結果、第1実施形態のカテーテル100によれば、イメージングセンサ200のガイド下での手技を実現可能であり、かつ、異なる医療デバイスを交換しつつ手技を進めることが可能なカテーテル100において、細径化と使い勝手の向上との両立を図ることができる。
【0064】
また、第1実施形態のカテーテル100によれば、第1切欠部131は楕円形状であり、第1切欠部131の第1短軸の長さL131aは、ワイヤルーメン150Lの内径Φ150と等しいため、第1切欠部131をワイヤルーメン150Lの周方向に対して、広範囲に設けることができる(
図3)。このため、カテーテル100を生体管腔内に挿入した際に、カテーテル100の第1切欠部131の位置と、生体組織(対象組織)との周方向における位置が離れている場合であっても、カテーテル100を回転させずに、対象組織へと貫通用ガイドワイヤ400の先端部を向けやすい。このため、第1実施形態のカテーテル100では、例えば上述した調整a2を省略することが可能となる。
【0065】
さらに、第1実施形態のカテーテル100によれば、シャフト110の側面には、さらに、第1切欠部131よりも先端側または基端側において第2切欠部132が形成されている(
図2、
図3)。このため、貫通用ガイドワイヤ400を、第1切欠部131または第2切欠部132から、選択的に外部へと突出させることができる。また、シャフト110は、第2切欠部132が形成されている区間において、第2切欠部132に対向する底部と、底部からセンサルーメンの反対側に向かって延びる一対の側壁と、を有している。このため、ワイヤルーメン150L内のデリバリーガイドワイヤ70を基端側へと押し進める際に、第2切欠部132がある区間に設けられた側壁によってデリバリーガイドワイヤ70を支持できるため、デリバリーガイドワイヤ70が外れて、シャフト110の外側へ飛び出すことを抑制できる。さらに、第2切欠部132がある区間に設けられた側壁を利用して、貫通用ガイドワイヤ400の先端部を外部に向かって押し出すことができるため、貫通用ガイドワイヤ400の先端部を、精度良く生体組織(対象組織)へと突出させることができる。
【0066】
さらに、第1実施形態のカテーテル100によれば、第2切欠部132は楕円形状であり、第2切欠部132の第2短軸L132aの長さは、ワイヤルーメン150Lの内径と等しいため、第2切欠部132をワイヤルーメン150Lの周方向に対して、広範囲に設けることができる(
図3)。このため、カテーテル100を生体管腔内に挿入した際に、カテーテル100の第2切欠部132の位置と、生体組織(対象組織)との周方向における位置が離れている場合であっても、カテーテル100を回転させずに、対象組織へと貫通用ガイドワイヤ400の先端部を向けやすい。また、第2切欠部132の第2長軸の長さL132bは、第1切欠部131の第1長軸の長さL131bよりも短いため、シャフト110の長手方向における第2切欠部132の長さを、第1切欠部131の長さよりも短くできる(
図3)。このため、第2切欠部132では、第1切欠部131と比べて、貫通用ガイドワイヤ400の先端部の対象組織に対する位置決めをより容易にできる。術者は、カテーテル100と対象組織の位置関係や、対象組織の大きさ等の状況に応じて、第1切欠部131と第2切欠部132とを選択的に使い分けることができるため、カテーテル100の使い勝手をより向上できる。
【0067】
<効果例2>
以上のように、第1実施形態のカテーテル100によれば、シャフト110において、突出部112の先端には先端第1開口110aが形成されているため、デリバリーガイドワイヤ70を、この先端第1開口110aからワイヤルーメン150L内に簡単に挿入できる(
図6(A))。ここで、ワイヤルーメン150Lから分岐した分岐ルーメン150Lbの基端側は、シャフト110の側面に形成されたポート110eを介して外部に連通している。このため、ワイヤルーメン150L内のデリバリーガイドワイヤ70の基端部を、このポート110eから外部に引き出すことができるため、カテーテル100に対するデリバリーガイドワイヤ70の挿通を迅速に行うことができる(
図6(A))。さらに、ワイヤルーメン150Lと分岐ルーメン150Lbとの接続部に形成された分岐部150は、ワイヤルーメン150Lと分岐ルーメン150Lbとを隔てる境界壁153を有している(
図5)。このため、貫通用ガイドワイヤ400を、シャフト110の基端側からワイヤルーメン150L内に挿入して、シャフト110の先端側に向かって押し進める際に、貫通用ガイドワイヤ400の先端部を境界壁153に接触させることで、貫通用ガイドワイヤ400の先端部が分岐ルーメン150Lbに向かうことを抑制できる(
図7(B))。これらの結果、第1実施形態のカテーテル100によれば、イメージングセンサ200のガイド下での手技を実現可能であり、かつ、異なる医療デバイスを交換しつつ手技を進めることが可能なカテーテル100において、細径化と使い勝手の向上との両立を図ることができる。
【0068】
さらに、第1実施形態のカテーテル100によれば、シャフト110の長手方向において、境界壁153の先端P1は、ポート110eの先端位置P2と同じ位置、または、ポート110eの先端位置P2よりも先端側に位置している(
図3下段)。このため、貫通用ガイドワイヤ400を、シャフト110の基端側からワイヤルーメン150L内に挿入して、シャフト110の先端側に向かって押し進める際に、貫通用ガイドワイヤ400の先端部が分岐ルーメン150Lbに向かうことを確実に抑制できる。
【0069】
さらに、第1実施形態のカテーテル100によれば、境界壁153のシャフト110の長手方向における長さL153は、ポート110eのシャフト110の長手方向における長さL110以上である(
図3下段)。このため、貫通用ガイドワイヤ400を、シャフト110の基端側からワイヤルーメン150L内に挿入して、シャフト110の先端側に向かって押し進める際に、貫通用ガイドワイヤ400の先端部が分岐ルーメン150Lbに向かうことを確実に抑制できる。
【0070】
さらに、第1実施形態のカテーテル100によれば、分岐部150は、さらに隆起部152を有しているため、隆起部152によってデリバリーガイドワイヤ70を誘導することができる。具体的には、デリバリーガイドワイヤ70が先端第1開口110aからワイヤルーメン150Lに挿入された第1の場合に、デリバリーガイドワイヤ70の基端部を隆起部152に接触させることで、デリバリーガイドワイヤ70の基端部が分岐ルーメン150Lbに向かうように誘導する(
図6(B))。換言すれば、隆起部152は、カテーテル100をRxタイプとして用いる第1の場合に、デリバリーガイドワイヤ70の基端部を、ポート110eがある分岐ルーメン150Lbに向かうように誘導することで、Rxタイプのカテーテル100としての使い勝手を向上させる。
【0071】
また、分岐部150の境界壁153は、貫通用ガイドワイヤ400がシャフト110の基端側からワイヤルーメン150Lに挿入された第2の場合に、貫通用ガイドワイヤ400の先端部を境界壁153に接触させることで、貫通用ガイドワイヤ400の先端部が分岐ルーメン150Lbに向かうことを抑制する(
図7(B))。換言すれば、境界壁153は、カテーテル100をOTWタイプとして用いる第2の場合に、貫通用ガイドワイヤ400の先端部がワイヤルーメン150Lの先端に向かうように誘導することで、OTWタイプのカテーテル100としての使い勝手を向上させる。以上のように、第1実施形態のカテーテル100は、ワイヤルーメン150Lを異なる医療デバイス(デリバリーガイドワイヤ70、貫通用ガイドワイヤ400)で共有することができるため、カテーテル100を細径化することができる。
【0072】
<第2実施形態>
図11は、第2実施形態のカテーテル100Aの先端側の一部分における構成を例示した説明図である。第
2実施形態の再開通カテーテルシステム1は、第1実施形態で説明したカテーテル100に代えて、
図11に示すカテーテル100Aを備える。カテーテル100Aのシャフト110Aは、切欠部130に代えて切欠部130Aを有する。切欠部130Aは、第1実施形態で説明した第2切欠部132を有しておらず、単一の第1切欠部131のみを有する。
【0073】
このように、切欠部130Aの構成は種々の変更が可能であり、単一の第1切欠部131のみから切欠部130Aが構成されてもよい。この際、マーカー141は、第1切欠部131よりも先端側に配置されていてもよく、第1切欠部131よりも基端側に配置されていてもよい。以上のような第2実施形態のカテーテル100Aにおいても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0074】
<第3実施形態>
図12は、第3実施形態のカテーテル100Bの先端側の一部分における構成を例示した説明図である。第
3実施形態の再開通カテーテルシステム1は、第1実施形態で説明したカテーテル100に代えて、
図12に示すカテーテル100Bを備える。カテーテル100Bのシャフト110Bは、切欠部130に代えて切欠部130Bを有する。切欠部130Bは、第1実施形態で説明した第1切欠部131及び第2切欠部132に加えてさらに、第3切欠133を含んでいる。
【0075】
第3切欠133は、第2切欠部132よりも先端側に設けられている。第3切欠133は、シャフト110Bの側面のうち、第1切欠部131と同じ側の側面に形成されている。第3切欠133は、ワイヤルーメン150Lの側からシャフト110Bを見た場合に、長軸と短軸とを有する楕円形状である。第3切欠133の短軸の長さは、ワイヤルーメン150Lの内径Φ150と等しい。第3切欠133の長軸の長さL133bは、第1切欠部131の第1長軸の長さL131bよりも短く、かつ、第2切欠部132の第2長軸の長さL132bよりも短い。第3切欠133が形成されている区間において、シャフト110Bは、第3切欠133に対向する底部と、底部からセンサルーメン160Lの反対側に向かって延びる一対の側壁を有している。
【0076】
また、シャフト110Bの外周面のうち、第2切欠部132と第3切欠133との間には、第2マーカー142が接合されている。第2マーカー142は、シャフト110Bの外周面に沿った半円形状の部材である。第2マーカー142は、第1実施形態で説明したマーカー141と同様に、視認性を向上させるために着色されていてもよく、放射線不透過性を有する材料により形成されていてもよい。
【0077】
このように、切欠部130Bの構成は種々の変更が可能であり、3つ以上の切欠部(第1切欠部131、第2切欠部132、第3切欠133)から切欠部130Bが構成されてもよい。また、第3切欠133は、第1切欠部131よりも基端側に設けられていてもよい。以上のような第3実施形態のカテーテル100Bにおいても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0078】
<第4実施形態>
図13は、第4実施形態のカテーテル100Cの先端側の一部分における構成を例示した説明図である。
図13は、
図3と同じ方向から見たカテーテル100Cの下面図を表す。第4実施形態の再開通カテーテルシステム1は、第1実施形態で説明したカテーテル100に代えて、
図13に示すカテーテル100Cを備える。カテーテル100Cのシャフト110Cは、分岐部150に代えて分岐部150Cを有する。分岐部150Cは、第1実施形態で説明した隆起部152と境界壁153とを有していない。
【0079】
このように、分岐部150Cの構成は種々の変更が可能であり、隆起部152と、境界壁153と、の少なくとも一方、または両方を有していなくてもよい。以上のような第4実施形態のカテーテル100Cにおいても、第1の場合と第2の場合におけるワイヤの誘導効果を除いて、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0080】
<第5実施形態>
図14は、第5実施形態のカテーテル100Dの横断面構成を例示した説明図である。
図14上段には、
図2のB2-B2線における横断面図を表し、
図14下段には、第1切欠部131Dが設けられる範囲についての説明図を表す。第4実施形態の再開通カテーテルシステム1は、第1実施形態で説明したカテーテル100に代えて、
図14に示すカテーテル100Dを備える。カテーテル100Dのシャフト110Dは、第1実施形態で説明した第1切欠部131に代えて第1切欠部131Dを有する。
【0081】
第1切欠部131Dは、第1実施形態で説明した第1切欠部131と同様の側に形成されており、第1短軸と第1長軸とを有する楕円形状である。一方、第1実施形態の第1切欠部131は、ワイヤルーメン150Lの全周に占める第1切欠部131の角度が約180度であったのに対して、本実施形態の第1切欠部131Dは、ワイヤルーメン150Lの全周に占める第1切欠部131Dの角度θが約240度である(
図14下段)。このため、第1切欠部131Dの側壁1312Dは、第1実施形態で説明した側壁1312よりも短い。また、第1切欠部131Dの第1短軸の長さL131aは、ワイヤルーメン150Lの内径Φ150よりも短い。
【0082】
このように、第1切欠部131Dの構成は種々の変更が可能であり、ワイヤルーメン150Lの全周に占める第1切欠部131Dの角度θは、任意に変更できる。第2切欠部132についても同様に、ワイヤルーメン150Lの全周に占める第2切欠部132の角度を任意に変更してよい。以上のような第5実施形態のカテーテル100Dにおいても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0083】
<第6実施形態>
図15は、第6実施形態のカテーテル100Eの横断面構成を例示した説明図である。
図15には、
図2のB1-B1線における横断面構成を表す。第6実施形態の再開通カテーテルシステム1は、第1実施形態で説明したカテーテル100に代えて、
図15に示すカテーテル100Eを備える。カテーテル100Eのシャフト110Eは、第1実施形態で説明したアウターシャフト114、第1インナーシャフト115、第2インナーシャフト116、及び封止部材111を有しておらず、単一のシャフト110Eにより構成されている。シャフト110Eは、単一の部材により構成されている点を除いて、第1実施形態で説明したシャフト110と同様の構成を有する。すなわち、シャフト110Eは、第1実施形態で説明した、ワイヤルーメン150L、センサルーメン160L、突出部112、切欠部130、及び分岐部150を有している。
【0084】
このように、カテーテル100Eの構成は種々の変更が可能であり、単一のシャフト110Eにより構成されてもよい。また、シャフト110Eは、アウターシャフト114及び封止部材111を有しておらず、第1インナーシャフト115と第2インナーシャフト116とが接合された構成であってもよい。さらに、シャフト110Eは、封止部材111を有しておらず、アウターシャフト114の内側に、第1インナーシャフト115と第2インナーシャフト116とが収容された構成であってもよい。以上のような第6実施形態のカテーテル100Eにおいても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0085】
<第7実施形態>
図16は、第7実施形態のカテーテル100Fの横断面構成を例示した説明図である。
図16には、
図2のC-C線における横断面構成を表す。第7実施形態の再開通カテーテルシステム1は、第1実施形態で説明したカテーテル100に代えて、
図16に示すカテーテル100Fを備える。カテーテル100Fのシャフト110Fにおいて、ワイヤルーメン150Lと、分岐ルーメン150Lbとは、Z軸方向に対して傾斜して配置されている。
【0086】
このように、シャフト110Fの構成は種々の変更が可能であり、シャフト110Fの内部におけるワイヤルーメン150L、分岐ルーメン150Lb、及びセンサルーメン160Lの配置は任意に変更することができる。以上のような第7実施形態のカテーテル100Fにおいても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0087】
<第8実施形態>
図17は、第8実施形態のカテーテル100Gの先端側の一部分における構成を例示した説明図である。
図17(A)は、カテーテル100Gの側面図を表し、
図17(B)は、カテーテル100Gの下面図を表す。第8実施形態の再開通カテーテルシステム1は、第1実施形態で説明したカテーテル100に代えて、
図17に示すカテーテル100Gを備える。
【0088】
カテーテル100Gのシャフト110Gは、第1実施形態で説明したワイヤルーメン150Lに代えて、ワイヤルーメン150LGを有している。ワイヤルーメン150LGは分岐しておらず、シャフト110Gの先端から基端まで直線状に延びている。このため、シャフト110Gは、第1実施形態で説明した、分岐ルーメン150Lb、ポート110e、分岐部150、太径部151、隆起部152、及び境界壁153を有していない。本実施形態のカテーテル100Gでは、デリバリーガイドワイヤ70が、先端第1開口110aからワイヤルーメン150LGに挿入されて、ワイヤルーメン150LGの内側を先端側から基端側に向かって進む第1の場合において、デリバリーガイドワイヤ70の基端部を、シャフト110Gの基端第1開口110cから引き出す。
【0089】
このように、シャフト110Gの構成は種々の変更が可能であり、分岐しないワイヤルーメン150LGを有していてもよい。以上のような第8実施形態のカテーテル100Gにおいても、上述した第1実施形態で説明した効果のうち、効果例1において説明したと同様の効果を奏することができる。
【0090】
<第9実施形態>
図18は、第9実施形態のカテーテル100Hの先端側の一部分における構成を例示した説明図である。
図18(A)は、カテーテル100Hの側面図を表し、
図18(B)は、カテーテル100Hの下面図を表す。第9実施形態の再開通カテーテルシステム1は、第1実施形態で説明したカテーテル100に代えて、
図18に示すカテーテル100Hを備える。
【0091】
カテーテル100Hのシャフト110Hは、第1実施形態で説明した切欠部130(第1切欠部131、第2切欠部132)を有していない。本実施形態のカテーテル100Hでは、貫通用ガイドワイヤ400が、基端第1開口110cからワイヤルーメン150Lに挿入されて、ワイヤルーメン150Lの内側を基端側から先端側に向かって進む第2の場合において、貫通用ガイドワイヤ400の先端部を、シャフト110Hの先端第1開口110aから突出させる。
【0092】
このように、シャフト110Hの構成は種々の変更が可能であり、切欠部130を有してなくてもよい。以上のような第9実施形態のカテーテル100Hにおいても、上述した第1実施形態で説明した効果のうち、効果例2において説明したと同様の効果を奏することができる。
【0093】
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0094】
[変形例1]
上記第1~第9実施形態では、再開通カテーテルシステム1の構成の一例を示した。しかし、再開通カテーテルシステム1の構成は種々の変更が可能である。例えば、イメージングセンサ200として、超音波の発進及び受信以外の他の手段で生体組織の画像を取得するセンサを利用してもよい。また、イメージングセンサ200に替えてOCT(Optical Coherence Tomography)やカメラを挿入して血管内の生体組織の画像を取得することもできる。
【0095】
例えば、再開通カテーテルシステム1は、貫通用ガイドワイヤ400を使用せずに、プラズマを利用した生体組織のアブレーションを行うプラズマガイドワイヤを用いてCTOの開通を図るシステムとして構成されてもよい。この場合、カテーテル100,100A~100Hにおいて、シャフト110の先端部に電極を設けることが好ましい。そうすれば、シャフト110の先端部に設けられた電極と、プラズマガイドワイヤの先端電極との間とに高周波電力を出力することで、両電極間の放電によって放出されたエネルギーを用いて、生体組織のアブレーションを行うことができる。なお、シャフト110の先端部の電極は、先端チップ120よりも基端側、かつ、切欠部130よりも先端側に配置されることが好ましい。
【0096】
例えば、再開通カテーテルシステム1は上述しない他の方法で使用されてもよい。例えば、再開通カテーテルシステムは、冠動脈以外の血管(例えば脳血管等)に使用されてもよく、血管以外の生体管腔内において使用されてもよい。例えば、再開通カテーテルシステム1は、CTOの開通以外の他の治療や、検査のために使用されてもよい。
【0097】
[変形例2]
上記第1~第9実施形態では、カテーテル100,100A~100Hの構成の一例を示した。しかし、カテーテル100,100A~100Hの構成は種々の変更が可能である。例えば、カテーテル100が有するワイヤルーメン150Lと、センサルーメン160Lとは、略同一の径とされてもよく、ワイヤルーメン150Lの方がセンサルーメン160Lよりも細径に構成されてもよい。例えば、カテーテル100は、ワイヤルーメン150L及びセンサルーメン160Lのほかに、他の医療デバイスのため、またはデリバリーガイドワイヤ70と貫通用ガイドワイヤ400とを同時に挿通させるための更なるルーメンを備えていてもよい。
【0098】
例えば、境界壁153の先端P1(
図3下段)は、ポート110eの先端P2よりも基端側に位置していてもよい。例えば、境界壁153のシャフト110の長手方向における長さL153(
図3下段)は、ポート110eのシャフト110の長手方向における長さL110より小さくてもよい。例えば、シャフト110,110A~110Hの外表面、第1インナーシャフト115の外表面または内表面、第2インナーシャフト116の外表面または内表面、アウターシャフト114の外表面または内表面のうちの少なくともいずれかは、任意の樹脂層(例えば、親水性樹脂層、疎水性樹脂層、親水性樹脂層や疎水性樹脂層の接合性を高めるための下地層など)によりコーティングされていてもよく、表面に薬剤が塗布されていてもよい。
【0099】
[変形例3]
第1~9実施形態のカテーテル100,100A~100Hの構成、及び上記変形例1,2のカテーテル100,100A~100Hの構成は、適宜組み合わせてもよい。例えば、第8実施形態で説明したカテーテル100Gにおいて、第2,3,4,7実施形態で説明した構成を採用してもよい。例えば、第9実施形態で説明したカテーテル100Hにおいて、第4実施形態で説明した構成を採用してもよい。例えば、第2実施形態または第3実施形態で説明したカテーテル100A,Bにおいて、第5,7実施形態で説明した構成を採用してもよい。例えば、第2~5,7~9実施形態で説明したカテーテル100A~D,F~Hにおいて、第6実施形態で説明した構成を採用してもよい。
【0100】
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
【符号の説明】
【0101】
1…再開通カテーテルシステム
50…ケーブル
70…デリバリーガイドワイヤ
100,100A~100H…カテーテル
105…調節器
110,110A~110H…シャフト
110a…先端第1開口
110b…先端第2開口
110c…基端第1開口
110d…基端第2開口
110e…ポート
111…封止部材
112…突出部
114…アウターシャフト
115…第1インナーシャフト
116…第2インナーシャフト
120…先端チップ
130,130A,130B…切欠部
131,131D…第1切欠部
132…第2切欠部
133…第3切欠
141…マーカー
142…第2マーカー
150,150C…分岐部
150L,150LG…ワイヤルーメン
150Lb…分岐ルーメン
151…太径部
152…隆起部
152i…内周面
153…境界壁
160L…センサルーメン
200…イメージングセンサ
201…トランスデューサ
202…ドライビングケーブル
203…コネクタ
204…モータドライブ
300…イメージングコンソール
302…ディスプレイ
400…貫通用ガイドワイヤ
1311…底部
1312,1312D…側壁