(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】ヘッドマウントディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20240404BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20240404BHJP
G09G 5/34 20060101ALI20240404BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240404BHJP
G02B 5/04 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G09G5/00 550C
G09G5/34 A
G09F9/00 313
G09F9/00 366G
G02B5/04
G02B5/04 A
(21)【出願番号】P 2021024673
(22)【出願日】2021-02-18
【審査請求日】2023-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】501009849
【氏名又は名称】株式会社日立エルジーデータストレージ
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中村 俊輝
(72)【発明者】
【氏名】久野 拓馬
(72)【発明者】
【氏名】毛利 考宏
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/221026(WO,A1)
【文献】特表2020-512566(JP,A)
【文献】特表2019-535024(JP,A)
【文献】国際公開第2020/049542(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0209471(US,A1)
【文献】特開2018-101019(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01-27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの視野内に映像を表示するヘッドマウントディスプレイであって、
表示する映像を生成する映像表示部と、
前記映像表示部からの映像光を複製する第1導光板と第2導光板とを備え、
前記第1導光板及び前記第2導光板の夫々は、映像光を内部反射で閉じ込める平行な1組の主面を有し、
前記第1導光板は、映像光を内部へ反射する入射面と、前記第2導光板へ映像光を出射する2つ以上の出射反射面を備え、
前記第2導光板は、前記第1導光板からの映像光を内部へ結合する入力部と、ユーザの瞳へ映像光を出射する出力部とを備え、
第1導光板の映像光の複製方向と第2導光板の映像光の複製方向との成す角が、90°未満であ
り、前記第2導光板の映像光の複製方向は、前記第2導光板の端面に対して傾いた方向である、
ことを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項2】
請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイであって、
前記第1導光板の前記入射面と前記出射反射面は、互いに平行かつ前記主面とは異なる角度である、
ことを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項3】
請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイであって、
前記第2導光板の出力部は、2つ以上の部分反射ミラーであって、
前記2つ以上の部分反射ミラーには、同一の反射膜が形成される、
ことを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項4】
請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイであって、
前記第1導光板の出射反射面及び第2導光板の出力部は、部分反射ミラーであって、
所定の画角の映像光が前記部分反射ミラーに正常に入出射する第1の入射角度範囲と、前記部分反射ミラーに裏面から入射する第2の入射角度範囲と、があり、
前記第1の入射角度範囲は第2の入射角度範囲よりも小さく、
第2の入射角度範囲の中央から高角度側の反射率の領域に、前記第1の入射角度範囲の反射率よりも高い部分がある、
ことを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項5】
請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイであって、
前記第2導光板の入力部は、1つ以上の入射反射面であって、前記出力部は2つ以上の出射反射面を含む出射反射面群であり、
前記入射反射面と前記出射反射面群の夫々は、互いに平行かつ前記主面とは異なる角度である、
ことを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項6】
請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイであって、
前記第1導光板の出射反射面の配列方向軸と前記第2導光板の出射反射面の配列方向軸の成す角が90°未満である、
ことを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項7】
請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイであって、
前記第1導光板の出射反射面の反射率は、前記入射面から遠くなるほど高く、
前記第1導光板の出射反射面の反射面間隔および前記第2導光板の出射反射面の反射面間隔は、前記映像表示部からの映像光を前記第1導光板に投射する投射部の口径直径より小さい、
ことを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項8】
請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイであって、
前記第1導光板の領域の中心部に配置される出射反射面の配置間隔よりも、前記入射面に近い側に配置される出射反射面の配置間隔が狭くなる、
ことを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項9】
請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイであって、
前記第1導光板の主面と前記第2導光板の主面は、略平行であり、
前記第1導光板の主面と前記第2導光板の主面は、異なる平面内にあり、
前記第1導光板の主面は、前記第2導光板の主面よりも、前記映像表示部からの映像光を前記第1導光板に投射する投射部に近い側に配置される、
ことを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項10】
請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイであって、
前記第1及び第2導光板の主面に対する出射反射面の傾き角度は所定の角度θであって
前記傾き角度θは16°~40°の範囲にある、
ことを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項11】
請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイであって、
前記第2導光板の入力部は、偏光特性を持った膜を有する1つ以上の入射反射面である、
ことを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項12】
請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイであって、
前記第2導光板の入力部は入射透過面であって、前記出力部は2つ以上の出射反射面を含む出射反射面群であり、
前記入射透過面と前記出射反射面群の夫々は、互いに平行かつ前記主面とは異なる角度であり、
前記第1導光板と前記第2導光板の間には、頂角θを持つ光路補正プリズムが配置され、
前記第1導光板の主面は、前記第2導光板の主面に対して2θ傾いて配置される、
ことを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項13】
請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイであって、
前記第2導光板の入力部は入射透過面であって、前記出力部は2つ以上の出射反射面を含む出射反射面群であり、
前記入射透過面と前記出射反射面群の夫々は、互いに平行かつ前記主面とは異なる角度であり、
第1導光板の映像光の複製方向を第2導光板の主面に射影した軸と第2導光板の映像光の複製方向との成す角が、90°未満である、
ことを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項14】
請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイであって、
電力を供給する電力供給部と、
ユーザの位置や姿勢を検出するセンシング部と、
音声信号の入力または出力を行う音声処理部と、
前記電力供給部と前記センシング部と前記音声処理部の制御を行う制御部と、
を備えることを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項15】
請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイであって、
ユーザの頭の動きを検出する加速度センサと、
ユーザの頭の動きに応じて表示コンテンツを変えるヘッドトラッキング部と、
電力を供給する電力供給部と、
音声信号の入力または出力を行う音声処理部と、
前記加速度センサと前記ヘッドトラッキング部と前記電力供給部と前記音声処理部の制御を行う制御部と、
を備えることを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの頭部に装着され視野内に映像を表示するヘッドマウントディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドマウントディスプレイ(以下、HMDとも略す)のようなウェアラブルデバイスは、良好な視界の確保や映像の視認性といった表示性能だけでなく、小型であるとともに装着性に優れる構造が要求される。
【0003】
本技術分野における先行技術文献として特許文献1がある。特許文献1には、光を透過させる平面の基板、内部反射全体によって基板中へ光を連結するための光学手段、及び基板に所有される複数の部分反射面を含み、部分反射面が、互いに平行であると共に基板のどの縁に対しても平行ではない構成の光学デバイスが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
HMDの光学系は、光源部が発する光を小型ディスプレイ部へ伝える照明部を備えた映像表示部と、映像表示部により生成された映像光(虚像)を投射する投射部を有する。HMDがユーザの瞳に対して位置ずれすると、画面の見切れが生じてしまう。そこで、例えば、複製部を構成する導光板によってアイボックスの拡大を行うことができるが、アイボックス拡大により、光学系サイズが大きくなることや光学効率が低下するという課題が生じる。
【0006】
前記特許文献1においては、光学系のアイボックス拡大とHMD光学系の小型化との両立を図る上で、これらの問題について何ら考慮されていない。
【0007】
本発明の目的は、光学系の小型化とアイボックスの拡大とを両立させるHMDを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、その一例を挙げるならば、ユーザの視野内に映像を表示するヘッドマウントディスプレイであって、表示する映像を生成する映像表示部と、前記映像表示部からの映像光を複製する第1導光板と第2導光板とを備え、前記第1導光板及び前記第2導光板は夫々映像光を内部反射で閉じ込める平行な1組の主面を有し、前記第1導光板は映像光を内部へ反射する入射面と、前記第2導光板へ映像光を出射する2つ以上の出射反射面を備え、前記第2導光板は前記第1導光板からの映像光を内部へ結合する入力部と、ユーザの瞳へ映像光を出射する出力部とを備え、第1導光板の映像光の複製方向と第2導光板の映像光の複製方向との成す角が90°未満である構成とした。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、光学系の小型化とアイボックスの拡大とを両立させるHMDを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】実施例1におけるHMDのブロック構成図である。
【
図1B】
図1Aに示したHMDのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図2】実施例1における虚像映像生成部のブロック構成図である。
【
図3】実施例1におけるHMDの使用形態を示す図である。
【
図5A】実施例1における第1及び第2導光板の構成図である。
【
図5B】実施例1における第1及び第2導光板の構成図である。
【
図6】光閉じ込めのない映像光複製部と実施例1における第1導光板の比較構成図である。
【
図7】実施例1における第1導光板内の光線伝搬を示した模式図である。
【
図8A】実施例1における第1及び第2導光板の変形例である。
【
図8B】実施例1における第1及び第2導光板の変形例である。
【
図9】実施例1における第1導光板の技術課題の模式図である。
【
図10A】実施例2における第1、第2導光板の構成図である。
【
図10B】実施例2における第1、第2導光板の構成図である。
【
図11A】実施例2における第1、第2導光板の変形例の構成図である。
【
図11B】実施例2における第1、第2導光板の変形例の構成図である。
【
図13】第1及び第2導光板の構成図の一例である。
【
図14】実施例3におけるHMDの使用例を示す図である。
【
図15】実施例3におけるHMDのブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の記載および図面は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施する事が可能である。特に限定しない限り、各構成要素は単数でも複数でも構わない。
【0012】
図面において示す各構成要素の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
【0013】
以下の説明では、「テーブル」、「リスト」等の表現にて各種情報を説明することがあるが、各種情報は、これら以外のデータ構造で表現されていてもよい。データ構造に依存しないことを示すために「XXテーブル」、「XXリスト」等を「XX情報」と呼ぶことがある。識別情報について説明する際に、「識別情報」、「識別子」、「名」、「ID」、「番号」等の表現を用いた場合、これらについてはお互いに置換が可能である。
【0014】
同一あるいは同様な機能を有する構成要素が複数ある場合には、同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。ただし、これらの複数の構成要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明する場合がある。
【0015】
また、以下の説明では、プログラムを実行して行う処理を説明する場合があるが、プログラムは、プロセッサ(例えばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit))によって実行されることで、定められた処理を、適宜に記憶資源(例えばメモリ)および/またはインターフェースデバイス(例えば通信ポート)等を用いながら行うため、処理の主体がプロセッサとされてもよい。同様に、プログラムを実行して行う処理の主体が、プロセッサを有するコントローラ、装置、システム、計算機、ノードであってもよい。プログラムを実行して行う処理の主体は、演算部であれば良く、特定の処理を行う専用回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit))でもよい。
【0016】
プログラムは、プログラムソースから計算機のような装置にインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布サーバまたは計算機が読み取り可能な記憶メディアであってもよい。プログラムソースがプログラム配布サーバの場合、プログラム配布サーバはプロセッサと配布対象のプログラムを記憶する記憶資源を含み、プログラム配布サーバのプロセッサが配布対象のプログラムを他の計算機に配布してもよい。また、以下の説明において、2以上のプログラムが1つのプログラムとして実現されてもよいし、1つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
【実施例1】
【0017】
図1Aは、本実施例におけるHMDのブロック構成図である。
図1Aにおいて、HMD1は、虚像映像生成部101と、制御部102と、画像信号処理部103と、電力供給部104と、記憶部105と、センシング部106と、通信部107と、音声処理部108と、撮像部109と、入出力部91~93とを有する。
【0018】
虚像映像生成部101は、小型ディスプレイ部で生成した映像を虚像として拡大投射して、装着者(ユーザ)の視界に拡張現実(AR:Augmented Reality)や混合現実(MR:Mixed Reality)の映像を表示する。
【0019】
制御部102は、HMD1全体を統括的に制御する。制御部102は、CPU等の演算装置によってその機能が実現される。画像信号処理部103は、虚像映像生成部101内の表示部に対し、表示用の映像信号を供給する。電力供給部104は、HMD1の各部に対し電力を供給する。
【0020】
記憶部105は、HMD1の各部の処理に必要な情報や、HMD1の各部で生成された情報を記憶する。また、制御部102の機能がCPUによって実現される場合、CPUが実行するプログラムやデータを記憶する。記憶部105は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の記憶デバイスで構成される。
【0021】
センシング部106は、コネクタである入出力部91を介して各種センサと接続され、各種センサによって検出された信号に基づいて、HMD1の姿勢(すなわちユーザの姿勢、ユーザの頭の向き)や、動き、周囲温度等を検出する。各種センサとして、例えば、傾斜センサや加速度センサ、温度センサ、ユーザの位置情報を検出するGPS(Global Positioning System)のセンサ等が接続される。
【0022】
通信部107は、コネクタである入出力部92を介して、近距離無線通信、遠距離無線通信、または有線通信によって、外部の情報処理装置と通信を行う。具体的には、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、移動体通信ネットワーク、ユニバーサルシリアルバス(USB、登録商標)、高精細度マルチメディアインターフェース(HDMI(登録商標))等によって通信を行う。
【0023】
音声処理部108は、コネクタである入出力部93を介して、マイクやイヤホン、スピーカ等の音声入出力装置と接続され、音声信号の入力または出力を行う。撮像部109は、例えば小型カメラや小型TOF(Time Of Flight)センサであり、HMD1のユーザの視界方向を撮影する。
【0024】
図1Bは、HMD1のハードウェア構成の一例を示す図である。
図1Bに示すように、HMD1は、CPU201と、システムバス202と、ROM(Read Only Memory)203と、RAM204と、ストレージ210と、通信処理器220と、電力供給器230と、ビデオプロセッサ240と、オーディオプロセッサ250と、センサ260と、を有して構成されている。
【0025】
CPU201は、HMD1全体を制御するマイクロプロセッサユニットである。CPU201は、制御部102に対応するものである。システムバス202は、CPU201とHMD1内の各動作ブロックとの間でデータを送受信するためのデータ通信路である。
【0026】
ROM203は、オペレーティングシステム等の基本動作プログラムやその他の動作プログラムが格納されたメモリであり、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)やフラッシュROMのような書き換え可能なROMを用いることができる。
【0027】
RAM204は、基本動作プログラムやその他の動作プログラム実行時のワークエリアとなる。ROM203及びRAM204は、CPU201と一体の構成であってもよい。また、ROM203は、
図1Bに示したような独立構成ではなく、ストレージ210内の一部記憶領域を使用してもよい。
【0028】
ストレージ210は、情報処理装置100の動作プログラムや動作設定値、HMD1を使用するユーザの個人情報210a等を記憶する。以下では特に例示していないが、ネットワーク上からダウンロードした動作プログラムや、その動作プログラムが作成した各種データを記憶してもよい。また、ストレージ210の一部記憶領域が、ROM203の機能の一部または全部で代替されてもよい。ストレージ210には、例えば、フラッシュROMやSSD、HDD等のデバイスを用いてよい。ROM203、RAM204、ストレージ210は、記憶部105に対応するものである。なお、ROM203やストレージ210に記憶された上記動作プログラムは、ネットワーク上の各装置からダウンロード処理を実行することにより、更新及び機能拡張することができる。
【0029】
通信処理器220は、LAN(Local Area Network)通信器221、電話網通信器222、NFC(Near Field Communication)通信器223、BlueTooth通信器224を有して構成される。通信処理器220は通信部107に対応するものである。
図1Bでは、通信処理器220にLAN通信器221、NFC通信器223、BlueTooth通信器224が含まれる場合を例示しているが、
図1Aで説明したように、これらが入出力部92を介してHMD1外部の機器として接続されていてもよい。LAN通信器221は、アクセスポイントを介してネットワークと接続され、ネットワーク上の装置との間でデータを送受信する。NFC通信器223は、対応するリーダ/ライタが近接した際に無線通信してデータを送受信する。BlueTooth通信器224は、近接する情報処理装置と無線通信してデータを送受信する。なお、HMD1は、移動体電話通信網の基地局105との間で通話およびデータを送受信する電話網通信器222を有していてもよい。
【0030】
虚像映像生成機構225は、映像表示部120、投射部121、第1導光板122、および第2導光板123を有している。虚像映像生成機構225は虚像映像生成部101に対応するものである。虚像映像生成機構225の具体的な構成については、
図2を用いて後述する。
【0031】
電力供給器230は、所定の規格でHMD1に電力を供給する電源機器である。電力供給器230は、電力供給部104に対応するものである。
図1Bでは、HMD1に電力供給器230が含まれる場合を例示しているが、入出力部91~93のいずれかを介してHMD1外部の機器として接続され、HMD1が当該外部の機器から電源の供給を受けてもよい。
【0032】
ビデオプロセッサ240は、ディスプレイ241と、画像信号処理プロセッサ242と、カメラ243とを有して構成される。ビデオプロセッサ240は画像信号処理部103および虚像映像生成部101に対応するものである。また、カメラ243は撮像部109に対応するものであり、ディスプレイ241は上述した小型ディスプレイ部に対応するものである。
図1Bでは、ビデオプロセッサ240にディスプレイ241とカメラ243とが含まれる場合を例示しているが、
図1Aで説明したように、これらが入出力部(例えば、入出力部93)を介してHMD1外部の機器として接続されていてもよい。
【0033】
ディスプレイ241は、例えば、液晶ディスプレイ、デジタルマイクロミラーデバイス、有機ELディスプレイ、マイクロLEDディスプレイ、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、ファイバスキャニングデバイス等の表示デバイスであり、画像信号処理プロセッサ242が処理した画像データを表示する。画像信号処理プロセッサ242は、入力された画像データをディスプレイ241に表示させる。カメラ243は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等の電子デバイスを用いてレンズから入力した光を電気信号に変換することにより、周囲や対象物の画像データを入力する撮像装置として機能するカメラユニットである。
【0034】
オーディオプロセッサ250は、スピーカ251と、音声信号プロセッサ252と、マイク253とを有して構成される。オーディオプロセッサ250は音声処理部108に対応するものである。
図1Bでは、オーディオプロセッサ250にスピーカ251とマイク253とが含まれる場合を例示しているが、
図1Aで説明したように、これらが入出力部93を介してHMD1外部の機器として接続されていてもよい。
【0035】
スピーカ251は、音声信号プロセッサ252が処理した音声信号を出力する。音声信号プロセッサ252は、入力された音声データをスピーカ251に出力する。マイク253は、音声を音声データに変換し、音声信号プロセッサ252に出力する。
【0036】
センサ260は、情報処理装置100の状態を検出するためのセンサ群であり、GPS受信機261と、ジャイロセンサ262と、地磁気センサ263と、加速度センサ264と、照度センサ265と、近接センサ266とを有して構成される。センサ260は、センシング部106に対応するものである。
図1Bでは、センサ260にGPS受信機261と、ジャイロセンサ262と、地磁気センサ263と、加速度センサ264と、照度センサ265と、近接センサ266と、が含まれる場合を例示しているが、
図1Aで説明したように、これらが入出力部91を介してHMD1外部の機器として接続されていてもよい。これらの各センサは従来から知られている一般的なセンサ群であるため、ここではその説明を省略する。
図1Bに示したHMD1の構成はあくまで一例であり、必ずしもこれらの全てを備えていなくてもよい。
【0037】
図2は、本実施例における虚像映像生成部101のブロック構成図である。虚像映像生成部101は、映像表示部120、投射部121、第1導光板122、および第2導光板123で構成される。映像表示部120は、表示する映像を生成する装置であって、LEDやレーザなどの光源からの光を図示しない内蔵する小型ディスプレイ部に照射する。小型ディスプレイ部は、映像を表示するための素子であり、液晶ディスプレイ、デジタルマイクロミラーデバイス、有機ELディスプレイ、マイクロLEDディスプレイ、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、ファイバスキャニングデバイス等が用いられる。投射部121は、映像表示部120の映像光を拡大し、虚像として投射する装置である。第1導光板122はアイボックス拡大のために映像光の複製を行う。第2導光板123は、第1導光板122とは異なる方向にアイボックス拡大の為の映像光複製を行いかつ投射部121および第1導光板122からの映像光をユーザの瞳20へ伝達する。ユーザは、映像光が瞳20内の網膜に結像されることで映像を視認できる。
【0038】
図3は、本実施例におけるHMD1の使用形態を示す図である。
図3は、ユーザ2の頭上方向から見下ろした状態を示し、X軸は水平方向、Y軸は垂直方向、Z軸はユーザ2の視線方向である視軸方向である。以後の図面においても、X、Y、Z軸の方向を同様に定義する。
【0039】
HMD1はユーザ2の頭部に装着され、虚像映像生成部101で生成した映像を第2導光板123を介してユーザの瞳20に伝播させる。その際ユーザ2は、視野内の一部の映像表示領域111に、外界が視認可能な状態(シースルー型)で映像(虚像)を視認できる。
図3では片眼に映像を表示する構成を示しているが、両眼の構成としても構わない。また、HMD1は、
図1の撮像部109において、ユーザ2の視野範囲を撮影することも可能である。
【0040】
次に、ミラーアレイ型の導光板123を用いた虚像映像生成部101の従来の構成図を
図4に示す。
図4において、(a)は、視軸方向であるZ軸方向から見た虚像映像生成部101を示しており、(b)は、垂直方向であるY軸方向から見た虚像映像生成部101を示している。導光板123は主要な2つの平行平面(171、172)を有した平板状で、かつアイボックスを拡大するために内部に少なくとも2つ以上の部分反射面である出射反射面173を有する。映像光の一部を反射する反射膜を有した出射反射面173により、投射部121の映像光をX軸方向へ複製する機能を有する。また、反射映像光に角度ズレが生じないよう出射反射面173は互いに略平行であることが望ましい。
【0041】
虚像映像生成部101により形成されるアイボックスは、実用性の観点から2次元方向に拡大されることが望ましい。導光板123は水平方向のみのアイボックス拡大となるので、光学エンジンは垂直方向に光ビーム径の大きな映像光を入力する必要がある。従って、映像表示部120の光学系の当該方向のF値を小さくする必要があり、これにより、
図4(a)における映像表示部120及び投射部121の寸法A部分が大きくなり、虚像映像生成部101が大型化する。HMDは身に着けて使うという装置としての特性から、重量や外観のデザイン性も重要な要素であり、重量や外観のデザイン性は、商品価値を高めるうえで重要なポイントとなる。
【0042】
このように、HMDでは、アイボックスの2次元方向拡大と小型化を両立するうえで課題がある。以下、これらの解決法について説明する。
【0043】
図5A、5Bは、本実施例における虚像映像生成部101の構成図である。
図5A、5Bにおいて、
図4と同じ構成は同じ符号を付し、その説明は省略する。
図5A、5Bは、それぞれ、虚像映像生成部101を、側頭部側に配置した場合と、頭頂部側へ配置した場合を示している。本実施例では第1導光板122と第2導光板123によって前記課題を解決する。前述したように、虚像映像生成部101により形成されるアイボックスは、映像の視認性の観点から2次元方向に拡大されることが望ましい。アイボックスを2次元に拡大するために、第1導光板122によって
図5Aでは垂直方向のアイボックスが拡大され、
図5Bでは水平方向のアイボックスが拡大される。第1導光板122は、映像光を該第1導光板122の内部へ反射する入射面130と、映像光を内部反射となる全反射で閉じ込める主要な2つの平行平面(131、132)と、を有した平板状で、映像光を第1導光板外へ出射する2つ以上の出射反射面を含む出射反射面群133を内部に備える。前記出射反射面群133の隣接するミラーの間隔は、L1とする。第2導光板123は、映像光を第2導光板123の内部へ反射する入射面140(入力部)と、映像光を全反射で閉じ込める主要な2つの平行平面(141、142)と、を有した平板状で、映像光を該第2導光板外へ出射する2つ以上の出射反射面を含む出射反射面群143(出力部)を内部に備え、前記出射反射面群143の隣接するミラーの間隔は、L2とする。第2導光板123は、ユーザの瞳20に向かって映像を出射する。このように、本実施例における虚像映像生成部101は、第1導光板122及び第2導光板123は夫々映像光を内部反射で閉じ込める平行な1組の主面を有し、第1導光板122は、映像光を内部へ反射する入射面130と、第2導光板123へ映像光を出射する2つ以上の出射反射面を備え、入射面130と出射反射面は互いに平行かつ主面とは異なる角度であり、第2導光板123は、第1導光板122からの映像光を内部へ結合する上記入力部と、ユーザの瞳20へ映像光を出射する上記出力部とを有している。
【0044】
以下では、内部反射が2つの平行平面による全反射である場合を例示している。しかし、必ずしも全反射でなくてもよく、例えば、これらの平行平面を構成する導光板の平行平面の一部または全部に光を透過あるいは反射する材質のフィルムを張り付ける等して、正反射や拡散反射を生じさせる平行平面を有した導光板を用いてもよい。
【0045】
第1導光板122の出射反射面群133と第2導光板123の出射反射面群143は、一部の光を反射し、一部の光を透過又は吸収する部分反射面(出射反射面の一例である)の群であり、部分反射面はアレイ状に配列する。第1導光板122の出射反射面群133の配列方向と第2導光板123の出射反射面群143の配列方向とが異なることで、アイボックスの2次元方向拡大が実現される。従って、映像表示部120及び投射部121のレンズ口径を小さく(F値を大きく)でき、虚像映像生成部101の大幅な小型化を実現できる。なお、第1導光板122および第2導光板123において部分反射面をミラーにより形成することができ、本明細書中では、このミラーを部分反射ミラーと呼ぶことがある。
【0046】
図6の(A)は全反射閉じ込め機能のない映像光複製素子300の例を示している。投射部121から所定の画角をもって光線が出射されるが、映像光複製素子300の側面における迷光発生を防ぐために、外形が大きくなってしまうという課題がある。
図6の(B)は第1導光板122又は第2導光板123の場合であり、全反射によって映像光の閉じ込めを行うため素子のサイズを低減しつつ、映像光を複製してアイボックスを拡大できる利点がある。
【0047】
第1導光板122の出射反射面群133は、画質の観点から反射映像光に角度ズレが生じないよう互いに平行であることが望ましい。すなわち、出射反射面群133の部分反射面(出射反射面)は、互いに平行であることが望ましい。同様に第2導光板123の出射反射面群143も、互いに平行であることが望ましい。すなわち、出射反射面群143の部分反射面(出射反射面)は、互いに平行であることが望ましい。ここで、平行度が低下すると、出射反射面群133または出射反射面群143における反射後の光線角度が各反射面毎に異なり、迷光が生じて画質が劣化する。
【0048】
また、第1導光板122の入射面130と出射反射面群133も平行とすると、加工工程が簡素化され、製造コストの低減が実現する。これは各反射膜を製膜した平板を積み上げて接着一体化し切り出すことで、入射面から出射反射面までをまとめて加工できる上、複数枚の第1導光板122を切り出すことが可能となるからである。入射面130の角度が異なる場合、導光板を切り出し、更に入射面を所定の角度に切断するなどの工程の後に、入射面を製膜する必要がある。第2導光板123の入射反射面140と出射反射面群143も同様に平行であることで加工を簡素化しコストを抑制できる。
【0049】
また迷光の観点から、第1導光板122の出射反射面群133を反射した映像光は、主要な平行平面(131、132)に対して全画角で臨界角以下となり第1導光板122の外部へ出射されることが望ましい。出射反射面群133を反射した映像光に臨界角を上回る成分があり反射後も導光板の閉じ込め作用で内部を伝搬する場合、この光が再度出射反射面群133で反射して迷光になり、第2導光板123へ出力されるからである。同様に迷光回避の観点で、第2導光板123の出射反射面群143を反射した映像光は、主要な平行平面(141と142)に対して全画角で臨界角以下となり第2導光板123の外部へ出射されることが望ましい。
【0050】
より詳細な出射反射面の傾き角度θと全反射臨界角の幾何学的条件について説明する。出射反射面群133の出射反射面は、導光板外へ映像光を出射するよう方向を変える為に、平行平面である主面(131、132)に対して所定の傾き角θを持つ。
図7において実線(A)は画角中央の光線、1点鎖線(B)と2点鎖線(C)は画角端の光線を夫々表す。画角中心の光線Aは入射面130で反射後に、平行平面131及び132に対して入射角度2θで進む必要がある。また、入射面131での屈折を考慮すると、光線BとCの導光板内での平面131及び132に対する入射角は、2θに±arcsin[sin(Φ/2)/n]の範囲となる。迷光回避の観点を考慮すると、光線Bの平面131および132に対する入射角は、2θ+arcsin[sin(Φ/2)/n]<90°以下となる必要がある。また全反射条件を満たすためには、光線Cの平面131および132の入射角は、2θ-arcsin[sin(Φ/2)/n]<臨界角以下となる必要がある。ここで、nは基板の屈折率である。通常nは1.5程度であり、画角Φ30°程度を表示する場合、入射面130と出射面群133の傾き角θは16°~40°の範囲となる。
【0051】
第2導光板123においても同様の条件を満たす必要があり、入射反射面140と出射反射面群143の傾き角θは16°~40°の範囲となる。
【0052】
以上、第1導光板122と第2導光板123は、
図5A、5Bに示したように、第1導光板122から出射した映像光を第2導光板123が受け取るため、第1導光板122の主面(131、132)と第2導光板123の主面(141、142)は異なる平面内にあり、第1導光板の主面(131、132)は第2導光板123の主面(141、142)より投射部121に近い側に配置され、夫々の主要な2つの平行平面である主面(131、132)と主面(141、142)は平行に配置される。また、第1導光板122の主要な面132から出射した映像光を第2導光板123の入射反射面140が効率よく受け取る為には、第1導光板122と第2導光板123が近接している必要がある。
【0053】
第1導光板122内の映像光は、出射反射面群133の部分反射面で徐々に反射され光量を減らしながら内部を進み、最終的に出射反射面群133の最終面133-Fで全ての映像光が第2導光板123へ出力され、これにより、光利用効率の向上が実現される。従って、一例として、出射反射面群133の部分反射面の反射率が、入射面130に近い側から最終面133-Fに向かって徐々に高くなる構成とすることで、アイボックス内での映像光の光量均一性が向上する。
【0054】
ここで、ヘッドマウントディスプレイとしてのシースルー性を保持する場合、第2導光板123の出射反射面群143の反射率は、第1導光板122の出射反射面群133の反射率よりも低くなる。この場合、出射反射面群143での反射率が低いため、出射反射面群143の反射率がすべて同じであっても(つまり、それぞれの部分反射面に同じ反射膜を用いても)、大きな輝度ムラ要因とはならない。むしろ、それぞれの部分反射面を同一の成膜工程で加工できるので、製造コストの低減が実現する。なお、輝度均一性とシースルー性の双方の確保の観点では、第2導光板123の出射反射面群143の反射率は、10%以下とするのが望ましい。
【0055】
その一方で、シースルー性よりも光利用効率を重視する場合(つまり、反射率を高めに設定する場合)、一例として、出射反射面群143の反射膜の反射率を入射面140に近い側から徐々に高める構成により、アイボックス内での映像光の光量均一性がよくなり、画質が向上する。
【0056】
第1導光板122の出射反射面群133の隣接するミラーの間隔L1及び第2導光板123の出射反射面群143の隣接するミラーの間隔L2が、投射レンズ出射部の口径Pよりも広い場合、隣接する複製映像光同士のオーバーラップが不十分となり映像光量の少ないアイボックス領域が生じる。そこで、隣接する反射面の間隔L1及びL2を投射部121の口径Pより小さくすることで、アイボックスや視認映像内の輝度均一性が向上する。
【0057】
図8は第2導光板123の入射反射面140が反射面ではなく入射透過面145(入力部)となった変形例の構成図である。
図8A、8Bは、それぞれ、虚像映像生成部101を、頭頂部側に配置した場合と、側頭部側へ配置した場合を示している。
図8Aに示すように、第1導光板122から出射した映像光は、光路補正プリズム150を介して第2導光板123の入射透過面145へ入力される。この構成によれば、Y軸に射影した第1導光板幅を低減でき前記A寸法に相当する部分を見かけ上低減でき、デザイン性が向上する。
【0058】
前述したように、加工簡素化の点で入射透過面145と部分反射面群143は平行であり主面(141、142)に対する傾き角は夫々θである。出射反射面側(つまり、第1導光板122の主面132)では、傾き角θに対して2θ光線角度が変化するのに対し、入射透過面145ではθ分の変化となるため、映像にゆがみが生じる。そこで、
図8A、
図8Bに示すように、頂角が傾き角と同じθを持つ光路補正プリズム150を用いて、光路を補正する。よって、
図8では、第1導光板122の主面(131、132)は第2導光板123の主面(141、142)に対して2θ傾いて配置される。前述の通り傾き角θは迷光の観点から16°~40°の範囲となる。
【0059】
HMDは眼鏡形状のデザイン性への要求が高い。
図8Aや
図8Bの構成では映像表示部120や投射部121が第1導光板122と一緒に傾くことで、第1導光板122とユーザの瞳20の間に第2導光板123を簡単に配置でき、眼鏡形状のHMDデザインが行いやすいという利点もある。
【0060】
以上のように、本実施例によれば、光学系の小型化とアイボックスの拡大とを両立させるHMDを提供できる。
【実施例2】
【0061】
図9は、実施例1における導光板を広い画角の映像を表示する投射部121と組み合わせた際の光路を矢印で示している。第1導光板122の入射面130へ入力された所定の画角を有する映像光は、各画角で導光板内での伝搬方向が異なる為、出射反射面群133から第2導光板123へ出力される位置が異なる。特に入射面130から最も遠い最終面133-Fから出射される映像光は、画角によって大きく出射位置が異なる。広い画角の映像光ほど、この出射位置の乖離量は増加する。従って、これらの映像光のケラレを回避する場合、例えば
図9の配置では導光板のY軸方向が増大したり、素子のサイズが大きくなって素子製造時のコストが増加することや、HMDの寸法が増大してウェアラブルデバイスとしてのデザイン性が低下することが考えられる。
【0062】
さらに大きな課題として、有限の大きさである第2導光板123の入射反射面140では結合が難しくなり、像の輝度均一性の低下や光利用効率の低下が生じる。
図9では、表示映像(虚像)の4つの隅の画角の大まかな光路が、矢印で示されている。入射面130から離れた出射反射面133から出力される画角(虚像においても入射面130から遠い側となり、
図9に示した配置では画角8と画角6)が第1導光板122の入射面130から離れた出射反射面133から出力されるため、第2導光板123の入射反射面140に対する出力位置の乖離量が増大し、第2導光板123への結合が困難となる。
【0063】
図10A、10Bは、本実施例における導光板の構成図である。
図10A、10Bにおいて、
図5A、5Bと同じ構成は同じ符号を付し、その説明は省略する。
図10A、10Bは、それぞれ、虚像映像生成部101を、頭頂部側に配置した場合と、側頭部側へ配置した場合を示している。
図10A、
図10Bにおいて、
図5A、5Bと異なる点は、第2導光板123の入射反射面140が複数設けられていることと、入射反射面140及び出射反射面143の向き及び配列方向である。
【0064】
本実施例での第2導光板123の構成について説明する。前述の通り第1導光板122内で映像光は画角に応じて広がりを持って伝搬し、夫々の出射反射面133から出射される。従って、第1導光板122からの映像光を結合する第2導光板123の入射面140も所定の幅の広さが必要である。ここで、第2導光板123の入射面140の面積を増やすために導光板を厚くした場合、内部で閉じ込められた映像光の全反射の間隔が広くなり、複製映像光の出射間隔が広くなり、輝度ムラが生じる。また、厚み増加による重量や製造コストの増加も生じる。
【0065】
第2導光板123の厚みを増やさずに第1導光板122からの映像光の結合効率を高める方法として、入射面を2つ以上設けた入射面群140’とする方法がある。入射面を複数枚設けることで、厚みを増やさずに実効的な入射面の面積の増大が実現する。ここで、
図10は、入射面群140’として入射面140’-1~140’-3まで3面の入射面を設けた例を示している。また、入射面群140’の構成は、実施例1の
図5に示した第2導光板123に用いても、同様に画角周辺部の映像光の結合効率を向上できる。
【0066】
映像光の画質を維持する為には、入射面群140’の面は、夫々平行であることが望ましい。また、入射面140’-1を反射した映像光は、140’-2及び140’-3の面を透過する必要がある。したがって、入射面140’-1は、100%に近い反射率であり、瞳20に近くなる面ほど、反射率が低くなり透過率が高くなる。
【0067】
一般的に、誘電体多層膜で反射膜を形成する場合、s偏光の反射率が高くなる。従って、第1導光板122を伝搬する映像光は、出射反射面群133の終端部へ向かうほど、p偏光成分が多くなる。これは第2導光板の入射反射面群140’から見た場合では、出射反射面群133の終端部側ほど、s偏光成分が増加することとなる。そこで、第2導光板123の入射反射面群140’の反射膜を、偏光特性を待たせた膜として形成し、偏光に対応させて反射率又は透過率特性を調整することで、表示映像の輝度均一性を向上させることができる。
【0068】
前述の通り前記入射面群140’とした第2導光板123の構成は、画角周辺部の結合効率を向上し画面の輝度均一性を高めることはできるが、画面全体の輝度(光利用効率)は、反射面数が増えれば増えるほど、不要な反射も生じてしまうために低下する。従って、入射面群140’の枚数は、最小限に抑えることが望ましく、このためには、第1導光板122から出射される映像光の画角毎の位置乖離量を低減する必要がある。
【0069】
そこで、本実施例では、第2導光板123の入射面群140’と出射反射面群143を所定の角度回転させた構成としている。入射面群140’と出射反射面群143を回転することで、第2導光板123内の光路も回転させることが可能である。本構成により、第1導光板122のサイズを大型化させ、かつ、第2導光板123の入射面群140’の反射面枚数を増大させる要因である画角(図では画角8及び画角6)の第2導光板123内での光路を回転させることができるので、本構成により、第1導光板122からの当該画角(図では画角8と6)の出射位置を入射面130側に近づけることができる。そのため、本構成により、第1導光板122のサイズは小型化され、かつ、第1導光板122から出射される映像光の画角毎の位置乖離量が低減されて第2導光板123の入射面群140’の反射面枚数が減少する。これにより、第2導光板123の光利用効率の向上を図ることができ、かつ、製造コストの低減を図ることができる。
【0070】
従って、第1導光板122の出射反射面群133の反射面の配列方向を第1の配列軸とし、第2導光板123の入射面群140’及び出射反射面群143の反射面の配列方向を第2の配列軸とすると、第1の配列軸と第2の配列軸の成す角度を90°未満とすることで、第1導光板122のサイズの小型化が実現し、かつ、第2導光板123の入射面群140’の反射面枚数が抑制される。
【0071】
言い換えると、第1導光板122の出射反射面群133の反射面の配列方向は、映像光の複製方向でもあるので、これを第1の複製軸とし、第2導光板123の入射面群140’及び出射反射面群143の反射面の配列方向も、映像光の複製方向である為、これを第2の複製軸とすると、第1の複製軸と第2の複製軸の成す角度が90°未満となることが、第1導光板122のサイズを小型化し、かつ、第2導光板123の入射面群140’の反射面枚数を抑制する観点で望ましい。
【0072】
前記画角Φの映像光に対して、第2導光板123の入射面群140’と出射面群143の回転角度がΔであり(つまり、この例では、第2導光板123の端面に対する角度がΔであり)、各導光板の屈折率がnであるとする。この時、入射面から入力された前記画角8の光線が瞳20よりも遠い位置まで第1導光板内で伝搬しないための条件は、一例として、Δ<arcsin((sinΦ/2n)/2)となる。ここで、屈折率nは1.5程度を想定し、画角Φは20°~60°程度の範囲であることを想定すると、回転角度Δは10°以内の範囲とすることが望ましい。従って、第1の配列軸/複製軸と、第2の配列軸/複製軸の成す角度を80°以上90°未満とする構成が望ましい。
【0073】
第1導光板122及び第2導光板123の出射反射面の傾き角(つまり、主面に対する傾き角)について説明する。全反射臨界角や全反射による反転像を回避する条件、出射面反射後に導光板から臨界角を破って出射する条件を考慮すると、実施例1と同様に、傾き角度θは16°~40°の範囲にある。
【0074】
また、これまでは第2導光板123によって第2の配列軸又は複製軸を回転する構成を例として説明をしてきたが、第1導光板122の第1の配列軸又は複製軸を回転し、第1の配列軸/複製軸と、第2の配列軸/複製軸の成す角度が90°未満となるような構成としても、同様の効果が得られる。
【0075】
図11は、第2導光板123の入射反射面140が反射面ではなく入射透過面145となった変形例の構成図である。第1導光板122の入射面130及び出射反射面群133の出射反射面を回転し、第1導光板122の出射反射面群133の配列方向をxy面又は第2導光板の主面123に射影した第1の配列軸/複製軸と、第2導光板123の出射反射面群143の反射面の配列方向である第2の配列軸/複製軸の成す角度が90°未満となる構成として、入射面130から遠い領域における、第1導光板122から第2導光板123への結合する映像光の結合効率を高めている。
図11A、
図11Bは、それぞれ、虚像映像生成部101を、頭頂部側に配置した場合と、側頭部側へ配置した場合を示している。
図8や
図11に示すように、第1導光板122から出射した映像光は、光路補正プリズム150を介して第2導光板123の入射透過面145へ入力される。この構成によれば、Y軸に射影した第1導光板幅を低減でき、前記A寸法に相当する部分を見かけ上低減でき、デザイン性が向上する。
図11では第1導光板122によって第1の配列軸又は複製軸を回転する構成を例として説明をしてきたが、第2導光板123の第2の配列軸又は複製軸を回転し、第1の配列軸/複製軸と、第2の配列軸/複製軸の成す角度が90°未満となるような構成としても、同様の効果が得られる。
【0076】
前述したように加工簡素化の点で入射透過面145と部分反射面群143は平行であり主面(141、142)に対する傾き角は夫々θである。出射反射面側(つまり、主面131)では傾き角θに対して2θ光線角度が変化するのに対し、入射透過面145ではθ分の変化となるため、映像にゆがみが生じる。そこで、
図11A、
図11Bに示すように、頂角が傾き角と同じθを持つ光路補正プリズム150によって光路を補正する。従って、
図11では第1導光板122の主面(132)は、第2導光板123の主面(141、142)に対して2θ傾いて配置される。前述の通り、傾き角θは、迷光の観点から16°~40°の範囲となる。
【0077】
図12は、第1導光板122及び第2導光板123内での、反射面へ光線の入射と反射の様子を示した概略図である。第1導光板122及び第2導光板123内で所定の画角をもった映像光は、出射面群に所定の角度範囲で入射し導光板外へ出力される(正常反射)。その一方で、導光板内で光線は閉じ込めを受けている為、反射面群(133、140、143)の裏面から入射して反射光の発生する状態(裏面反射)が生じる。この裏面反射は、不要な反射であり迷光の発生や効率低下の要因となる。
【0078】
幾何学的な配置から出射反射面群(133、143)の反射面に対する入射角は、正常反射である場合にθ±arcsin[sin(Φ/2)/n]であり、裏面反射である場合に3θ±arcsin[sin(Φ/2)/n]となる。従って、正常反射の角度領域よりも入射角度が大きな角度領域の裏面反射を抑制して迷光を減少させ、かつ、導光板の光利用効率を向上する反射膜を形成することが理想的となる。
【0079】
しかし、一般的に反射膜を誘電体多層膜で形成した場合、入射角度の大きい光線は反射率が大きくなりやすく、これを抑制するために膜構造を複雑化すると膜総数が増加し製造コストが増加する。
【0080】
裏面反射の角度範囲内で入射角度の大きい側の光線は、入射面(130)から瞳20までの間で、第1導光板122から出力される(
図9において図示した例では、画角5、7からの光線が対応する)。同様の光線が、第2導光板123においても入射面(140)から瞳まで間で、出力される(
図9において図示した例では、画角5と6に関する光線が対応する)。ここで、出射面群(133)の前半部で出力される光や、出射面群(143)の前半部で出力される瞳20へ結合するための光について、裏面反射の反射率が大きくなっても、光利用効率や輝度ムラ等の影響が小さい。
【0081】
従って、裏面反射の角度範囲内の大きな入射角度側の反射率特性に正常反射の角度範囲の反射率よりも高い領域があっても、画質に大きな影響を与えずに誘電体多層膜の構造や膜総数を簡略化することができ、製造コストを抑制することができる。特に画角の中央程度までの範囲では影響が小さく、裏面反射の角度範囲内の中央から入射角度が大きい側の反射率に正常反射の角度範囲の反射率より高い部分があっても、画質に大きな影響を及ぼすことなく、誘電体多層膜の構造や膜総数を簡略化することができ、製造コストを抑制することができる。
【0082】
ここまでに説明した裏面反射に関する反射膜の構成は、これまでに説明したすべての実施例の第1及び第2導光板に適用して同様の効果を得られる。
【0083】
第1導光板122に入射した映像光は内部で伝搬する角度が異なる為、全反射の周期も画角毎に変化する。第1導光板122の入射面130に近い側で出力される画角(
図9において図示した例では画角5、7)ほど、主面(131、132)に対する入射角度が大きく全反射周期も長くなる。これにより、映像光の複製間隔が広がり、輝度均一性が低下する要因となる。そこで、第1導光板122の出射反射面群133における出射反射面の配置間隔について、該出射反射面群133の中央部の反射面間隔よりも入射面130に近い側の反射面間隔が狭く設定されることにより、輝度均一性が向上する。加えて、ユーザの瞳20から第1導光板122の出射反射面を見込んだ場合、幾何学的な関係から第1導光板122の出射反射面群133において入射面130に近い側では、隣接する出射反射面の間隔が広がって見える為、これも輝度均一性を低下させる要因となる。そこで、こうした観点についても、同様にして、第1導光板122の出射反射面群133における出射反射面の配置間隔について、該出射反射面群133の中央部の反射面間隔よりも入射面130に近い側の反射面間隔が狭く設定されることにより、輝度均一性が向上する。
【0084】
これは第2導光板123においても同様であり、第2導光板123に入射した映像光は内部で伝搬する角度が異なる為、全反射の周期も画角毎に変化する。第2導光板123の入射面(140)に近い側で出力される画角(図示した例では画角5、6)ほど、主面(141、142)に対する入射角度が大きくなり、全反射周期も長くなる。これにより、映像光の複製間隔が広がり、輝度均一性が低下する要因となる。そこで、第2導光板123の出射反射面群143の配置間隔について、該出射反射面群144の中央部よりも入射面140に近い側の反射面間隔が狭く設定されることにより、輝度均一性が向上する。加えて、ユーザの瞳20から第2導光板123の出射反射面を見込んだ場合、幾何学的な関係から第2導光板123の出射面群143において入射面140に近い側では、隣接する出射反射面の間隔が広がって見える為、これも輝度均一性を低下させる要因となる。そこで、こうした観点についても、同様にして、第2導光板123の出射反射面群143における出射反射面の配置間隔について、該出射反射面群143の中央部の反射面間隔よりも入射面140に近い側の反射面間隔が狭く設定されることにより、輝度均一性が向上する。
【0085】
投射部121からユーザ瞳20までの第1導光板122と第2導光板123の幾何学的な配置は、前記第1導光板122、第2導光板123、の主面は互いに略平行であり、第1導光板122の主面(131、132)と第2導光板123の主面(141、142)はそれぞれ異なる平面内にあり、第1導光板122の主面(131、132)は前記第2導光板123の主面(141、142)より投射部121に近い側に配置される構成となる。
【0086】
通常、広画角の映像光を導光板内に閉じ込める為には、基板材料を高屈折率化し全反射臨界角を低減して閉じ込め可能な光線角度範囲を増大させる必要がある。
【0087】
映像表示部120にマイクロディスプレイを用いた場合の投射部121の口径Pは、3~6ミリ程度のサイズとなり、映像光を効率よく受け取るためには、入射反射面130及び入射反射面群140’のサイズも、3~6ミリ程度となることが望ましい。また、映像表示部120をMEMSやファイバスキャニングデバイス等のレーザ走査型とした場合は、ビーム径が細く投射部の口径Pは~2mmとなり小さいため、入射反射面130及び入射反射面群140’のサイズも小型化でき、第1導光板122及び第2導光板123の厚みも薄く重量増加を抑制できる。
【0088】
ここまでは第1導光板122と第2導光板123にミラーアレイを用いた構成について説明してきたが、異なる方式を用いた導光板でアイボックスが拡大されてもよい。例えば、
図13は、第2導光板に回折格子や体積ホログラムを用いた導光板の例を示している。第2導光板123には、入力部146が設けられる。入力部146は、入射反射面140や入射透過面145に代えて、表面レリーフ回折格子や体積ホログラムであり、入力された映像光の進行方向を偏向し導光板内部へと導く。出力部147にも同様に表面レリーフ回折格子や体積ホログラムが形成されており、導光板内を伝搬した映像光の一部を瞳20へ偏向することで、アイボックスを拡大しつつ映像表示を実現する。出力部147の表面レリーフ回折格子や体積ホログラムは、外界の光に対する回折効率を低減させた設計とすることで、第2導光板123は、シースルー性を持つ。この構成においても、第1導光板122の映像光の複製方向である第1の複製軸と、第2導光板の映像光の複製方向である第2の複製軸の成す角度が90°未満となることが、第1導光板122のサイズの小型化や結合効率の向上の観点で望ましい。
【0089】
以上、本実施例に示した構成により広い画角の映像光が入射された場合にも、導光板のサイズ増加を抑制しつつアイボックスを拡大して高品質な映像を表示できる。
【0090】
よって、本実施例によれば、広画角な映像表示を実現しつつ、光学系の小型化とアイボックスの拡大を両立したHMDを提供できる。
【実施例3】
【0091】
本実施例では、各実施例で述べたHMDの応用例について説明する。
図14は、本実施例におけるHMDの使用例を示す図である。
【0092】
図14において、ユーザ2の視界には、HMD1からの映像(虚像)表示領域111にコンテンツが表示される。例えば産業機器の点検や組立て等における作業手順201や図面202が表示される。映像表示領域111には限りがあるので、これら作業手順書201や図面202を同時に表示するとコンテンツが小さくなり、視認性が悪くなる。そこで、ユーザ2の頭の向きを加速度センサで検出するヘッドトラッキングを行い、頭の向きに応じて表示コンテンツを変えることで、視認性が改善される。すなわち、
図14において、ユーザ2が左を向いた状態で映像表示領域111に作業手順201が表示されているが、ユーザが右を向くと、映像表示領域111に図面202が表示され、あたかも、作業手順201と図面202を広い視野で視認できる仮想の映像表示領域112があるように表示することができる。
【0093】
これにより、視認性が改善されるとともに、ユーザ2は、作業対象物(機器や工具など)と作業指示を同時に視認しながら作業を実行することができるので、より確実な作業が可能となりミスを低減することができる。
【0094】
図15は、本実施例におけるHMDのブロック構成図である。
図15において、
図1と同じ構成は同じ符号を付し、その説明は省略する。
図15において、
図1と異なる点は、特にヘッドトラッキング機能を付加した点である。すなわち、HMD1の画像信号処理部103Aには、ヘッドトラッキング部103Hを設けている。ヘッドトラッキング部103Hは、センシング部106Aの加速度センサ106Hの情報をもとにユーザ2の頭の向きを検出し、頭の向きに応じて表示コンテンツを変更する。
【0095】
また、HMDは屋内外で使用する。従って、周囲環境の明るさに応じて表示映像の輝度も調節する必要がある。一例として、センシング部106Aに照度センサ106Mを搭載し、照度センサ106Mの出力に応じて画像信号処理部103Aが表示する映像の輝度を調節すればよい。
【0096】
以上、本発明に係る実施例について説明したが、本発明は、上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記のHMDおよび虚像映像生成部101の機能構成は、理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。構成要素の分類の仕方や名称によって、本発明が制限されることはない。HMDおよび虚像映像生成部101の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【0097】
また、本発明はHMDだけでなく、各実施例で説明した虚像映像生成部101の構成を有する他の映像(虚像)表示装置にも同様に適用できることは言うまでもない。
【0098】
上記で説明された、第1の複製軸と第2の複製軸の成す角度を90°未満にする場合における、出射反射面群133、入射面群140’、及び、出射反射面群143の回転角度については、あくまでも一例であり、上記で説明された内容(角度の数値)に限定されない。また、導光板の主面や端面を基準にしないで、第1の複製軸と第2の複製軸の成す角度が90°未満に適宜に形成されてもよい。
【0099】
また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能である。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
【符号の説明】
【0100】
1:ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、101:虚像映像生成部、102:制御部、103:画像信号処理部、104:電力供給部、105:記憶部、106:センシング部、107:通信部、108:音声処理部、109:撮像部、91~93:入出力部、111:映像表示領域、112:仮想の映像表示領域、120:映像表示部、121:投射部、122:第1導光板、123:第2導光板