(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】目標視野を有する三次元LIDARシステム
(51)【国際特許分類】
G01S 7/481 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
G01S7/481 A
(21)【出願番号】P 2021034674
(22)【出願日】2021-03-04
(62)【分割の表示】P 2018527972の分割
【原出願日】2016-11-25
【審査請求日】2021-04-01
(32)【優先日】2015-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518183103
【氏名又は名称】ベロダイン ライダー ユーエスエー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100067736
【氏名又は名称】小池 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100192212
【氏名又は名称】河野 貴明
(74)【代理人】
【識別番号】100200001
【氏名又は名称】北原 明彦
(72)【発明者】
【氏名】ホール,デイビッド エス.
(72)【発明者】
【氏名】レコー,マシュー ノエル
(72)【発明者】
【氏名】ネスティンガー, スティーブン エス.
(72)【発明者】
【氏名】ケルステンス, ピーター ジェイ.
【審査官】東 治企
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0216304(US,A1)
【文献】特開2015-148605(JP,A)
【文献】特開2002-323561(JP,A)
【文献】特開平11-296756(JP,A)
【文献】特開2001-125040(JP,A)
【文献】特開2003-008131(JP,A)
【文献】特開2008-275379(JP,A)
【文献】特開2007-198911(JP,A)
【文献】特開2011-095208(JP,A)
【文献】特開2014-153160(JP,A)
【文献】特開2015-081921(JP,A)
【文献】特表2013-539531(JP,A)
【文献】特開2015-132600(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0211194(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102004014041(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48-7/51
G01S 17/00-17/95
G01C 3/00-3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光検出及び測距(LIDAR)装置であって、前記装置は、
回転軸に対して垂直に配置された回転基板と、
前記回転基板に対して垂直に配向された電子基板と、
前記電子基板に取り付けられ、前記回転軸の周りを回転するように構成された複数の発光素子であって、前記複数の発光素子のそれぞれが前記LIDAR装置から照射光ビームを前記回転軸に対して異なる角度に出射するように構成された前記複数の発光素子と、
前記複数の発光素子の1つとそれぞれが対応する複数の光検出素子と、
前記LIDAR装置の照明光学サブシステムと、
前記LIDAR装置の集光光学サブシステムと、
前記照明光学サブシステムを前記集光光学サブシステムから空間的に分離し、光学的に覆い隠す中間電子基板と、
を有することを特徴とするLIDAR装置。
【請求項2】
前記照明光学サブシステムは、前記複数の発光素子から出射された光ビームをコリメートするように構成さ
れ、
前記集光光学サブシステムは、前記複数の光検出素子のそれぞれの光検出素子上に集光された光を集束するように構成され
る、
ことを特徴とする請求項1に記載のLIDAR装置。
【請求項3】
前記集光光学サブシステムの光学素子が、所定の波長範囲外の光を少なくとも50%吸収する1つ以上の材料から構成され、前記所定の波長範囲には、前記複数の発光素子により出射された光の波長が含まれることを特徴とする請求項
2に記載のLIDAR装置。
【請求項4】
前記照明光学サブシステムのレンズ素子が、前記複数の発光素子から出射された光の強度分布を平坦化するように構成されることを特徴とする請求項
2に記載のLIDAR装置。
【請求項5】
前記レンズ素子は回折光学素子を含むことを特徴とする請求項
4に記載のLIDAR装置。
【請求項6】
前記LIDAR装置がさらに、それぞれが前記複数の光検出素子の1つに固定的に結合された複数のオーバーモールドレンズを有することを特徴とする請求項1に記載のLIDAR装置。
【請求項7】
前記複数のオーバーモールドレンズの1つ以上がドーム状レンズ又は複合放物面集光器(CPC)であることを特徴とする請求項
6に記載のLIDAR装置。
【請求項8】
前記複数の発光素子の2つ以上が、同時に発光するように構成されることを特徴とする請求項1に記載のLIDAR装置。
【請求項9】
前記複数の発光素子の2つ以上が、連続的に発光するように構成されることを特徴とする請求項1に記載のLIDAR装置。
【請求項10】
前記複数の発光素子の第1のグループが実質的に同時に発光するように作動され、そして、プログラムされた期間経過後、前記複数の発光素子の第2のグループが実質的に同時に発光するように作動されることを特徴とする請求項1に記載のLIDAR装置。
【請求項11】
光検出及び測距(LIDAR)装置の発光・集光エンジンであって、前記エンジンは、
回転軸に対して垂直に配置された平坦面を有する回転電子基板と、
中間電子基板が前記回転電子基板の平坦面に対して垂直に配向されるように前記回転電子基板に結合された前記中間電子基板と、
前記回転軸の周りを回転するように構成された前記中間電子基板に取り付けられ、照射光ビームを前記回転軸に対して異なる角度に出射するように構成された複数の発光素子であって、前記複数の発光素子の少なくとも1つが前記回転軸と実質的に平行な照射光ビームを出射するように構成された前記複数の発光素子と、
前記複数の発光素子の1つとそれぞれが対応する複数の光検出素子であって、前記複数の光検出素子のそれぞれが、対応する照射光ビームによってそれぞれ照射された前記三次元環境内の異なる位置のそれぞれから反射された測定パルスの量を検出し、検出された光量を示す出力信号を発生するように構成された前記複数の光検出素子と、
を有し、
第2の中間電子基板が、光検出及び測距(LIDAR)装置の照明光学サブシステムの1つ以上のレンズ素子及び前記LIDAR装置の集光光学サブシステムの1つ以上のレンズ素子に機械的に結合し、前記第
2の中間電子基板が、前記照明光学サブシステムを前記集光光学サブシステムから空間的に分離し、光学的に覆い隠すことを特徴とする発光・集光エンジン。
【請求項12】
前記発光・集光エンジンがさらに、それぞれが前記複数の光検出素子の1つに固定的に結合された複数のオーバーモールドレンズを有することを特徴とする請求項
11に記載の発光・集光エンジン。
【請求項13】
前記発光・集光エンジンがさらに、
前記複数の光検出素子のそれぞれの光検出素子上に集光された光を集束するように構成された集光光学サブシステムを有し、
前記集光光学サブシステムの1つ以上の光学素子が、所定の波長範囲外の光を少なくとも50%吸収する1つ以上の材料から構成され、前記所定の波長範囲には、前記複数の発光素子のそれぞれにより出射された光の波長が含まれることを特徴とする請求項
11に記載の発光・集光エンジン。
【請求項14】
前記発光・集光エンジンがさらに、
前記複数の発光素子から出射された光ビームをコリメートするように構成された照明光学サブシステムを有し、
前記照明光学サブシステムの1つ以上のレンズ素子が、前記複数の発光素子のそれぞれから出射された光の強度分布を平坦化するように構成されることを特徴とする請求項
11に記載の発光・集光エンジン。
【請求項15】
前記複数のオーバーモールドレンズの1つ以上がドーム状レンズ又は複合放物面集光器(CPC)であることを特徴とする請求項
12に記載の発光・集光エンジン。
【請求項16】
前記複数の発光素子の2つ以上が、同時に発光するように構成されることを特徴とする請求項
11に記載の発光・集光エンジン。
【請求項17】
前記複数の発光素子の2つ以上が、連続的に発光するように構成されることを特徴とする請求項
11に記載の発光・集光エンジン。
【請求項18】
LIDAR装置の制御装置により、前記LIDAR装置の送信機に複数の発射信号を提供し、前記LIDAR装置の複数の発光素子による複数の照射光ビームの出射のタイミングを制御し、
方向範囲にわたって測定される三次元環境内に前記LIDAR装置から前記複数の照射光ビームを出射し、
前記複数の照射光ビームがそれぞれ、照射光の測定パルスで前記三次元環境内の異なる位置を照射し、前記LIDAR装置が、回転軸に対して垂直に配置された回転基板と、前記回転基板に対して垂直に配向された電子基板と、を有し、前記複数の発光素子が前記電子基板に取り付けられ、
前記LIDAR装置の前記制御装置により、前記LIDAR装置の受信機に複数のインデックス信号を提供し、前記複数の発光素子の1つにそれぞれ対応する複数の光検出素子によるデータ取得の為の複数の測定窓のタイミングを制御し、前記複数のインデックス信号のそれぞれは前記複数の発射信号の対応する1つの発射信号に対して期間により時間遅延しており、前記期間が、(i)前記LIDAR装置からの発光に関する信号通信遅延及び待機時間、並びに、(ii)集光と集光された光を示している信号発生に関する遅延、に基づいて決定され、
前記複数の発光素子の1つとそれぞれが対応する前記複数の光検出素子により、前記複数の照射光ビームにより照射された前記三次元環境内の異なる位置のそれぞれから反射された複数の前記測定パルスを検出し、
前記複数の発光素子及び前記複数の光検出素子の間に配置された中間基板を使用して検出光への照射光の混入を防止し、前記中間基板が、前記回転軸に対して平行に配置された平坦面を有し、
反射された複数の前記測定パルスの1つをそれぞれが示す複数の出力信号を発生し、
前記複数の出力信号のそれぞれをデジタル信号に変換することを特徴とする方法。
【請求項19】
さらに、前記複数の発光素子のそれぞれから出射された光の強度分布を平坦化することを特徴とする請求項
18に記載の方法。
【請求項20】
さらに、前記デジタル信号のそれぞれに基づいて前記LIDAR装置から前記三次元環境内のそれぞれの特定位置そしてそれぞれの前記特定位置から前記LIDAR装置に戻るまでのそれぞれの前記測定パルスの飛行時間を決定することを特徴とする請求項
18に記載の方法。
【請求項21】
前記LIDAR装置がさらに、
LIDAR測定が実行される物体に固定可能なハウジングと、
前記ハウジングに機械的に結合された固定電子基板と、
を有することを特徴とする請求項1に記載のLIDAR装置。
【請求項22】
前記LIDAR装置がさらに、検出された光量を示す出力信号を受信し、前記出力信号をデジタル信号に変換し、前記デジタル信号に基づいて前記LIDAR装置から前記三次元環境内の特定位置そして前記特定位置から前記LIDAR装置に戻るまでの測定パルスの飛行時間を決定するように構成された計算システムを有することを特徴とする請求項1に記載のLIDAR装置。
【請求項23】
前記LIDAR装置がさらに、
1)前記LIDAR装置の送信機に発射信号を提供し、特定の発光素子による特定の照射光ビームの出射のタイミングを制御し、2)前記LIDAR装置の受信機に対応するインデックス信号を提供し、対応する光検出素子によるデータ取得の為の測定窓のタイミングを制御するように構成された制御装置、
を有し、
前記インデックス信号は対応する前記発射信号に対して期間により時間遅延しており、前記期間が、(i)前記LIDAR装置からの発光に関する信号通信遅延及び待機時間、並びに、(ii)集光と集光された光を示している信号発生に関する遅延、に基づいて決定されることを特徴とする
請求項1に記載のLIDAR装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2016年11月23日に出願された、「目標視野を有する三次元LIDARシステム」という名称の米国特許出願15/360,903の優先権を主張するものであり、同様に、2015年11月25日に出願された、「目標視野を有する三次元LIDARシステム」という名称の米国仮出願62/260,205の優先権を主張するものであり、これらの出願は参照されることにより、本出願に援用される。
【技術分野】
【0002】
本発明は、三次元LIDARシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
LIDARシステムは光パルスを使用し、光パルスの飛行時間(TOF)に基づいて物体への距離を測定するものである。LIDARシステムの光源から出射された光パルスは遠位の物体と相互に作用する。物体から反射された光の一部がLIDARシステムの検出器に戻る。光パルスの出射から戻り光パルスの検出までに経過した時間に基づいて、距離が推定される。
【0004】
いくつかの例においては、パルスレーザー発光器を使用して光パルスが発生される。光パルスはレンズ又はレンズアセンブリを通して集束される。光パルスがパルスレーザー発光器の近くに設置された検出器に戻るまでの時間が測定される。高精度の時間測定から距離が得られる。
【0005】
いくつかの例においては、複数のパルスが連発して出射され、これらの出射方向が順次変更される。これらの例において、各距離測定をピクセルとみなすことができ、連発して出射されて捕捉されたピクセルの集合(即ち、ポイントクラウド)を画像として描画することができ、又は他の理由から分析することができる(例えば、障害物の検出)。いくつかの例においては、結果として得られたポイントクラウドを、使用者に三次元の画像として描画する閲覧ソフトを使用される。実写カメラで撮影されたような三次元画像として距離測定を描くために異なる方式を使用することができる。
【0006】
いくつかのLIDARシステムは、単一のレーザー発光器/検出器並びに回転ミラーの組み合わせを使用して、平面を横切って効果的に走査する。そのようなLIDARシステムにより実施された距離測定は実際上二次元(即ち、平面状)であり、捕捉された距離点は二次元(即ち、単一面)のポイントクラウドとして描画される。
【0007】
いくつかの例において、回転ミラーは数千rpmの非常に速い速度で回転する。上述のように、この設計は本質的には二次元のポイントクラウドだけを描画するものである。しかしながら、三次元のポイントクラウドを求められることが多い。他の次元はいくつかの方法で提供される。最も多いのは、ジンバル上で装置全体が上下及び/又は前後に作動されることであり、センサのノッディング又はウィンキングとして当業者には知られている方法である。したがって、単一ビームLIDARユニットを使用して、一度に一点であるにもかかわらず、三次元の距離点列全体を捕捉することができる。関連する例においては、レーザーパルスを複数層に分割するためにプリズムが使用され、各プリズムはわずかに異なる鉛直角を有する。これは、センサ自体が作動することはないが、上述のノッディング効果をシミュレートする。
【0008】
全ての上記の例において、単一レーザー発光器/検出器の組み合わせが主な前提であり、単一センサよりも広い視野を達成するために光路がどうにかして変更されている。単一レーザーからのパルスは毎秒のパルス数が限定されているので、装置は本質的に発生するピクセル数が限定されている。ビーム経路の変更は、ミラー、プリズム、又は装置の作動のいずれによるものであっても、ポイントクラウドの密度がより低くなることを引き起こすが、より広い領域をカバーすることができる。
【0009】
上述のように、いくつかの構成において三次元ポイントクラウドシステムが存在する。しかしながら、多くの用途において、広い視野にわたって見る必要がある。例えば、自立走行車両用途においては、道路内のくぼみに車両が進入した場合、縦視野は水平線より上に伸びているべきであり、そして、車両の前方の地面を見るためにできる限り近くまで下に伸びているべきである。また、現実世界で起きている行動とこれらの行動の画像化の間の遅れは最小限である必要がある。いくつかの例においては、毎秒少なくとも5回の完全な画像の更新を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
三次元撮像システムのポイントクラウド密度及び視野の改善が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
ここに、LIDAR測定を実施するためのシステム及び方法を提供する。1つの側面において、LIDAR装置から照射光の複数のビームが三次元環境内の角度範囲にわたって出射される。角度範囲はLIDAR装置の発光・集光エンジンの回転軸を含む。発光・集光エンジンは、複数の発光素子、光検出素子、照明光学系及び集光光学系を含む。
【0012】
更なる側面において、LIDAR装置は、回転軸の周りの複数の光ビームのそれぞれを走査するように構成されている。この様に、環境内に照射された各光ビームは円錐形パターンを描く。
【0013】
もう1つの側面において、発光・集光エンジンは、発光・集光エンジンの様々な構成要素と回転電子基板の間の電気的接続性及び機械的支持を提供する中間電子基板を有する。各中間電子基板は、各中間電子基板の平坦面が回転電子基板の平坦面に対して垂直に配向されるように、回転電子基板に結合される。
【0014】
もう1つの側面において、集光光学系、照明光学系又はその両方の光学素子の1つ以上が、各発光素子により出射される光の波長を含む所定の波長範囲外の光を吸収する1つ以上の材料から構成される。
【0015】
もう1つの側面において、1つ以上の光検出素子にオーバーモールドレンズが固定的に結合される。オーバーモールドレンズが光検出素子を保護し、そしてオーバーモールドレンズは、レンズ無しで集光可能な角度範囲よりも大きな角度範囲にわたって入射光を集光するような形状となっている。
【0016】
もう1つの側面において、発光素子と照明光学系の間の光路にレンズ素子が配置され、発光素子から出射された光の強度分布を平坦化する。これにより、LIDARシステムから出射される光のピーク強度を低減する。
【0017】
上記は概要であり、したがって、必要に応じて簡略化、一般化、及び詳細の省略を含み、結果として、概要は単に説明的なものであり、限定的なものではないことは当業者には理解できるであろう。ここの記載の装置及び/又は方法の他の側面、発明の特徴、及び利点は、以下に記載の非限定的な詳細な説明により明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】少なくとも1つの新しい側面における三次元LIDARシステム100の1つの実施形態を示す簡略図である。
【
図2】1つの例示的実施形態における三次元LIDARシステム100の分解図である。
【
図3】三次元LIDARシステム100の発光・集光エンジン112を示す図である。
【
図4】三次元LIDARシステム100の集光光学系116の詳細図である。
【
図5】集光された光118の各ビームの形状を示す三次元LIDARシステム100の集光光学系116の断面図である。
【
図6】
図2の光検出素子アレイ113の個別の光検出素子113Aの1つの例示的な実施形態を示す図である。
【
図7】
図2の発光素子アレイ114の個別の発光素子114Aの1つの例示的な実施形態を示す図である。
【
図8】パルス照射システム130、光検出システム150、及び制御装置140を含む三次元LIDARシステムの構成要素を示す図である。
【
図9】測定パルスビームの出射及び戻り測定パルスの捕捉のタイミングを示す図である。
【
図10】16個のパルス照射サブシステムの発光のタイミングを示す図である。
【
図11】少なくとも1つの新しい側面におけるLIDAR測定を実施する方法200を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明のいくつかの実施形態と添付の図面に図示されている背景的実施例の詳細について説明する。
【0020】
図1は、1つの例示的作動シナリオにおける三次元LIDARシステム100の実施形態を示す図である。三次元LIDARシステム100は、下部ハウジング101及び上部ハウジング102を有する。下部ハウジング101は、LIDAR測定の基準となる物体(例えば、車両、タワー、飛行機等)に取り付けられるように構成されたフレーム構造を有する。上部ハウジング102は、赤外光(例えば、700~1700nmのスペクトル領域内の波長を有する光)を透過させる材料から成るドーム状シェル要素103を有する。1つの実施例において、ドーム状シェル要素103は、905nmを中心とする狭い範囲の波長を有する光を透過させる。
【0021】
図1に図示されているように、三次元LIDARシステム100から複数の光ビーム105が、ドーム状シェル要素103を通って、回転の中心軸104から測定して角度範囲αにわたって、出射される。1つの側面において、複数の光ビーム105は、回転の中心軸104から回転の中心軸104から測定した角度αまでの角度範囲に広がっている。この場合、照射光の各ビームは回転の中心軸に対して異なる角度でLIDAR装置から出射され、そして、1つ以上の光ビーム105は、回転の中心軸104と平行であるかほぼ平行である。
【0022】
図1に図示されている実施形態において、各光ビームはX軸及びY軸により規定された平面上に互いに間隔を置いて複数の異なる位置に投射される。例えば、ビーム106はXY平面上の位置107に投射される。したがって、発光・集光エンジンから出射された照射光の各ビームは、照射光の測定パルスにより三次元環境内の異なる位置を照射する。
【0023】
更なる側面において、三次元LIDARシステム100は、回転の中心軸104の周りの複数の光ビーム105のそれぞれを走査するように構成される。
図1に図示されている実施形態において、XY平面状に投射された各光ビームは、回転の中心軸104とXY平面の交点を中心とする円形パターンを描く。例えば、XY平面上に投射されるビーム106は、時間とともに、回転の中心軸104を中心とする円形軌跡108を描く。XY平面は、三次元LIDARシステム100から出射されるビームの空間的分離を示すために
図1に図示されている。一般的に、三次元LIDARシステム100から出射されたビームは、周辺環境内に投射され、各ビームの経路内の物体上に投射する。
【0024】
図2は、1つの例示的実施形態における三次元LIDARシステム100の分解図である。三次元LIDARシステム100はさらに、回転の中心軸104の周りを回転する発光・集光エンジン112を有する。もう1つの側面において、発光・集光エンジン112の中心光軸117(例えば、LIDAR装置100から出射された照射光ビーム105の角度範囲αの中央)は、回転の中心軸104に対して角度βで傾斜している。一般的に、角度βは、0度からα/2度の間のどの角度でもよい。
【0025】
図2に図示されているように、三次元LIDARシステム100は、下部ハウジング101に対して固定位置に取り付けられた固定電子基板110を有する。固定電子基板110の上方に回転電子基板111が配置され、回転電子基板111は、発光・集光エンジン112とともに、固定電子基板110に対して所定の回転速度(例えば、200rpmより速い速度)で回転するように構成されている。電力信号及び電子信号が、固定電子基板110と回転電子基板111の間で、1つ以上の変圧器、容量素子又は光学素子を通して通信され、これらの信号の非接触送信をもたらす。発光・集光エンジン112は回転電子基板111に対して固定的に配置され、したがって、回転の中心軸104の周りを所定の角速度ωで回転する。回転電子基板111の平坦面は、回転の中心軸104に対して直角に配向されている。
【0026】
図2に図示されているように、発光・集光エンジン112は、発光素子アレイ114及び光検出素子アレイ113を有する。各発光素子から出射された光は、(図示しない)ミラーに向かっていく。ミラーから反射した光は、一連の照明光学系115を通過し、一連の照明光学系115が、出射光を
図1に図示されている三次元LIDARシステム100から出射される照射光ビームアレイ105にほぼコリメートする。
【0027】
一般的に、三次元LIDARシステム100から任意の数の光ビームを同時に出射するために任意の数の発光素子を配置することができる。また、三次元LIDARシステム100から任意の数の光ビームを連続的に出射するために任意の数の発光素子を配置することができる。1つの実施形態において、2つ以上の発光素子が実質的に同時に光を出射するように作動され、そして、プログラムされた期間経過後、次の2つ以上の発光素子が実質的に同時に光を出射するように作動される。
【0028】
環境内の物体から反射された光は、集光光学系116により集光される。集光された光は集光光学系116を通り、光検出素子アレイ113の各光検出素子上に集束される。名目上、各光検出素子は異なる発光素子に対応する。集光光学系116を通過後、集光された光は(図示しない)ミラーから各光検出素子上に反射される。実際には、各測定チャンネル間のクロストークにより同時に作動できるチャンネル数が限定される。しかしながら、撮像解像度を最大化するためには、可能な限り多くのチャンネルを同時に作動することが望ましく、それにより、飛行時間の測定が多くのチャンネルから、連続的にではなく、同時に得られる。
【0029】
図3は、発光・集光エンジン112を示すもう1つの図である。もう1つの側面において、発光・集光エンジン112は、発光・集光エンジン112の様々な構成要素と回転電子基板111の間の電気的接続性及び機械的支持を提供する中間電子基板121、122及び123を有する。例えば、光検出素子アレイ113の各光検出素子は中間電子基板121に取り付けられる。次に、中間電子基板121は回転電子基板111に機械的及び電気的に結合される。同様に、発光素子アレイ114の各発光素子は中間電子基板123に取り付けられる。次に、中間電子基板123は回転電子基板111に機械的及び電気的に結合される。もう1つの実施例において、照明光学系115及び集光光学系116は、中間電子基板122に機械的に取り付けられる。この実施例において、中間電子基板122は、照明光学系115を集光光学系116から空間的に分離し、光学的に覆い隠し、集光された光への照射光の混入を防止する。次に、中間電子基板122は、回転電子基板111に機械的及び電気的に結合される。この方法により、中間電子基板は、機械的及び電気的接続性を提供し、三次元LIDARシステム100の動作に必要な電気部品を取り付け可能な追加基板領域を提供する。各中間電子基板は、各中間電子基板の平坦面が回転電子基板の平坦面に対して直角に配向されているように、回転電子基板111に結合される。
【0030】
図4は、集光光学系116の詳細図である。
図4に図示されているように、集光光学系116は、光検出素子アレイ113の各光検出素子上に集光された光118を集束するように配置された4つのレンズ素子116A~116Dを有する。集光光学系116を通過した光は、ミラー124により反射され、光検出素子アレイ113の各光検出素子上に配向される。
【0031】
もう1つの側面において、集光光学系116の1つ以上の光学素子は、発光素子アレイ114の各発光素子により出射された光の波長を含む所定の波長範囲外の光を吸収する1つ以上の材料から構成される。1つの実施例において、1つ以上のレンズ素子は、発光素子アレイ114の各発光素子により発生された赤外光より低い波長を有する光の少なくとも50%を吸収する着色剤添加剤を含むプラスチック材料から構成される。もう1つの実施例において、プラスチック材料は、発光素子アレイ114の各発光素子により発生された赤外光より低い波長を有する光の少なくとも90%を吸収する。1つの実施例において、着色剤は、Aako BV(オランダ)から入手可能なEpolight 7276Aである。一般的に、望まないスペクトルの光を除去するために、集光光学系116の任意のプラスチックレンズ素子に任意の数の異なる着色剤を添加することができる。
【0032】
図5は、集光された光118の各ビームの形状を示す集光光学系116の断面図である。
【0033】
上述のように、集光光学系116の1つ以上の光学素子は、発光素子アレイ114の各発光素子により出射された光の波長を含む所定の波長範囲外の光を吸収する1つ以上の材料から構成される。しかしながら、一般的に、照明光学系115の1つ以上の光学素子も、発光素子アレイ114の各発光素子により出射された光の波長を含む所定の波長範囲外の光を吸収する1つ以上の材料から構成されることができる。
【0034】
図6は、
図2の光検出素子アレイ113の個別の光検出素子113Aの1つの例示的な実施形態を示す図である。個別の光検出素子113Aは、光検出素子131が取り付けられた電子基板130を有する。いくつかの実施形態において、光検出素子131は、アバランシェ・フォトダイオード(APD)素子である。しかしながら、一般的に、どんな適切な光検出素子を採用してもよい。
【0035】
もう1つの側面において、オーバーモールドレンズ132は、光検出素子131に固定的に結合している。オーバーモールドレンズ132は、光検出素子131を保護し、そしてレンズ無しで可能な角度範囲よりも大きな角度範囲にわたって入射光を集光する形状に形成される。いくつかの実施例において、オーバーモールドレンズ132はドーム状レンズである。いくつかの他の実施例において、オーバーモールドレンズ132は複合放物面集光器(CPC)形状に形成される。
【0036】
図7は、
図2の発光素子アレイ114の個別の発光素子114Aの1つの例示的な実施形態を示す図である。個別の発光素子114Aは、発光素子141が取り付けられた電子基板140を有する。いくつかの実施形態において、発光素子141はダイオードレーザー素子である。しかしながら、一般的に、どんな適切な光源を採用してもよい。
【0037】
もう1つの側面において、発光素子141から出射された光の強度分布を平坦化するために、発光素子141及び照明光学系114の間の光路内にレンズ素子142が配置される。一般的に、レーザーダイオードベースの発光素子は、ガウス強度分布を有する光を出射する。しかしながら、三次元LIDARシステム100は、眼の損傷をもたらす前の赤外光強度への耐性が限られている人間を含む非整備環境で一般的に作動される。光子束の総量を減衰させることなく、三次元LIDARシステム100の発光強度が許容限界より低く維持されることを保証するために、レンズ素子142がガウス分布を平坦化し、それにより、三次元LIDARシステム100から出射される光のピーク強度を低減する。いくつかの実施形態において、レンズ素子142は、ガウス分布をフラットトップ分布に変換するように構成された回折光学素子である。しかしながら、一般的に、ガウス分布を平坦化するように構成された光学素子であればどんな光学素子を検討してもよい。
【0038】
三次元LIDARシステム100の発光素子はパルス照射源であり、各発光素子はLIDAR装置から周囲環境内に照射光のパルスビームを出射する。いくつかの実施形態において、発光素子はレーザーベースである。いくつかの実施形態において、発光素子は1つ以上の発光ダイオードベースである。一般的に、どんな適切なパルス照射源を検討してもよい。
【0039】
各測定ビームが、照射光の測定パルスにより三次元環境(例えば、ピクセル)の特定位置を照射する。各測定パルスは、周囲環境内の1つの位置を問合せし、その結果として、三次元LIDARシステム100からその位置までの距離を推定する。その位置から反射された光は、測定窓の間、三次元LIDARシステム100の対応する光検出素子により検出される。光検出素子は、三次元周囲環境内の特定位置から反射された測定パルスを検出する。この方法により、各測定パルスの特定測定位置からの反射が三次元LIDARシステム100により捕捉される。
【0040】
更なる側面において、三次元LIDARシステム100は、LIDAR装置から三次元環境内の特定照射位置そして特定照射位置からLIDAR装置へ戻る測定パルスの飛行時間を測定する。飛行時間は、測定窓の間に検出された反射光に基づいて測定される。LIDAR装置と測定パルスにより照射された三次元環境内の特定位置の間の距離は、飛行時間及び既知の光の速度に基づいて測定される。
【0041】
図8は、1つの実施形態におけるパルス照射システム130、パルス光検出システム150、及び制御装置140を含む三次元LIDARシステムの構成要素を示す図である。
図8に図示されている実施形態は、非限定的な実施例として提供されており、本出願書類の範囲内で、ここに記載のパルスLIDAR測定を実施するための多くの他の適切な実施形態を検討することができる。
【0042】
パルス照射システム130は、パルス発光素子137を有する。パルス発光素子137は、パルス発光素子137に提供されるパルス電気信号136に応答してパルス発光を発生する。パルス発光素子137により発生された光は、三次元LIDARシステムの1つ以上の光学素子により、集束されて周辺環境内の特定位置138上に投射される。1つの実施例において、パルス発光素子137により出射された光は、
図1に図示される三次元LIDARシステム100から出射される光パルスビーム106に出射光をコリメートする照明光学系115により、集束されて特定位置に投射される。
【0043】
パルス照射システム130は、パルス発光素子137に選択的に結合された1つ以上の電気エネルギー蓄積素子(ESE)を有する。例示する目的で、
図8には1つの電気エネルギー蓄積素子(ESE132)が描かれているが、一般的に、照射光パルスを発生するために任意の数の電気エネルギー蓄積素子を採用することができる。いくつかの実施例において、各電気エネルギー蓄積素子はコンデンサである。電気エネルギー源131(例えば、電圧源)は、各電気エネルギー蓄積素子に電気的に接続され、各電気エネルギー蓄積素子に電気エネルギーを提供する。各電気エネルギー蓄積素子は、スイッチ素子によりパルス発光素子137に選択的に結合している。また、例示する目的で、
図8には1つのスイッチ素子(139)が描かれている。各スイッチ素子は、制御信号(例えば、デジタル制御信号、PC)の状態に応じて、2つの状態の間を切り替えるように構成されている。第1の状態において、スイッチ素子は実質的に非導電性である。第1の状態において、対応する電気エネルギー蓄積素子はパルス発光素子137から効果的に切断されている。第1の状態において、電気エネルギー源131から対応する各電気エネルギー蓄積素子へ電気エネルギーが流れ、電気エネルギー蓄積素子を効果的に充電する。第2の状態において、スイッチ素子は実質的に導電性である。第2の状態において、対応する電気エネルギー蓄積素子はパルス発光素子137に電気的に接続する。第2の状態において、電気エネルギー蓄積素子からパルス発光素子137へ電気エネルギーが流れる。
【0044】
図8に図示されているように、どの電気エネルギー蓄積素子によりパルス発光素子137に同時に供給されるどの電流も効果的に付加的である。この方法により、パルス発光素子137に提供された電流信号136は、制御信号PCにより効果的に整形される。例えば、制御信号PCがスイッチ素子139を制御して実質的に非導電状態から実質的に導電状態に切り替えた時に、電流信号136のパルスがパルス発光素子137に提供される。同様に、電流信号136のパルスを他の電気エネルギー蓄積素子からパルス発光素子137へ同時に提供することができる。
【0045】
図8に図示されているように、制御装置140は制御信号PCを発生し、制御信号PCはパルス発光素子137に電流パルスを提供するタイミングを制御し、それにより、LIDAR装置から出射される光パルスのタイミングを制御する。
【0046】
一般的に、制御装置140により指令された各パルスは、大きさ及び持続期間を変更することができる。さらに、パルス間の遅延時間も変更することができる。
【0047】
一般的に、パルス照射システム130は、パルス発光素子に選択的に結合された任意の数の電気エネルギー蓄積素子を有することができる。さらに、1つ以上の電気エネルギー蓄積素子は、1つ以上の他の電気エネルギー蓄積素子と異なるエネルギー蓄積能力を有することができる。
【0048】
更なる実施形態において、三次元LIDARシステム、例えば
図1に図示されている三次元LIDARシステム100は、共通の制御装置(例えば、制御装置140)と一体となって作動する16個のパルス照射システムを有する。
図10は、16個のパルス照射システムの各々の発光のタイミングを示す
図180である。
【0049】
図10に図示されているように、測定パルスは第1のパルス照射システムから出射される。遅延時間T
遅延経過後に、LIDAR装置の第2のパルス照射システムから測定パルスが出射される。この方法により、測定期間T
測定の間に、LIDAR装置から異なる方向に一連の16個の測定パルスが出射される。16個のパルス照射システムの各々の電気エネルギー蓄積素子は、測定期間後に充電期間T
充電の間充電される。充電期間後に、その次の測定期間にわたって、もう1つの測定パルスが各パルス照射システムから出射される。
【0050】
いくつかの実施形態において、遅延時間T遅延は、LIDAR装置の最大範囲に位置する物体へ向かい、該物体から戻ってくるまでの測定パルスの飛行時間よりも長く設定されている。この方法により、16個のパルス照射システムのいずれの間にもクロストークが生じない。
【0051】
いくつかの他の実施形態において、1つのパルス照射システムから出射された測定パルスがLIDAR装置に戻るまでの時間が経過する前に、もう1つのパルス照射システムから測定パルスを出射することができる。いくつかのこれらの実施形態において、クロストークを避けるために、各ビームにより問合せされた周囲環境の領域の間が十分に空間的に分離されることを確実にするように注意が払われている。
【0052】
図8に図示されているように、特定位置138から反射された光は、光検出素子155により検出される。光検出素子155は、アナログ相互インピーダンス増幅器152により増幅される出力信号151を発生する。一般的に、出力信号151の増幅は、複数の増幅段階を有することができる。この場合、アナログ相互インピーダンス増幅器152は非限定的な実施例として提供されており、多くの他のアナログ信号増幅構成が本出願書類の範囲内に含まれると考えることができる。
【0053】
増幅信号153は、制御装置140に伝達される。制御装置140のアナログ/デジタル変換器(ADC)144が、アナログ信号153を更なる処理において使用されるデジタル信号に変換するために使用される。制御装置140は、パルス制御信号PCと共同してADC144によるデータ取得のタイミングを制御するために使用されるイネーブル/ディスエーブル信号145を発生する。
【0054】
図9は、測定パルスの出射及び戻り測定パルスの捕捉に関わるタイミングを示す図である。
図9に図示されているように、測定は、制御装置140により発生されたパルス発射信号161(例えば、PC)とともに始まる。内部システムの遅延により、パルス発射信号161から時間遅延T
Dによりずれているインデックス信号162が決定される。時間遅延は、LIDARシステムからの発光に関する既知の遅延(例えば、信号通信遅延及びスイッチ素子、エネルギー蓄積素子及びパルス発光装置に関する待機時間)と、集光と集光された光を示している信号発生に関する既知の遅延(例えば、増幅器の待機時間、アナログ/デジタル変換遅延等)と、を含んでいる。インデックス信号は、システム内の時間遅延を測定するために発生される。そして、インデックス信号は、システム動作中のどの適切な時間においても再発生することができる。また、インデックス信号は、1つ以上の測定チャンネルに関する時間遅延を推定するために使用される。
【0055】
図9に図示されているように、戻り信号163は、特定位置の照明に対応してLIDARシステムにより検出される。測定窓(例えば、収集された戻り信号が特定測定パルスに関連付けられている期間)は、光検出素子150からのイネーブルデータ取得により開始される。制御装置140は、測定パルスの出射に対応する戻り信号が予期される時間の窓に対応する測定窓のタイミングを制御する。いくつかの実施例において、測定窓は、測定パルスが出射された時点で作動され、LIDARシステムの範囲の2倍の距離にわたる光の飛行時間に対応する時点において停止される。この方法により、測定窓は、LIDARシステムに近接する物体からの戻り光(わずかな飛行時間)からLIDARシステムの最大範囲に位置する物体からの戻り光までを集光するために開かれている。この方法により、有効な戻り信号として貢献することができない他の全ての光は除外される。
【0056】
図9に図示されているように、戻り信号163は、出射された測定パルスに対応する2つの戻り測定パルスを有する。一般的に、信号検出は、全ての検出された測定パルスに実施される。さらに、信号分析が、最も近い信号(例えば、最初の戻り測定パルス)、最も強い信号及び最も遠い信号(例えば、測定窓における最後の戻り測定パルス)を特定するために実施される。これらの事例は、LIDARシステムによる潜在的に有効な距離測定として報告することができる。例えば、
図9に図示されているように、飛行時間TOFは、出射された測定パルスに対応する最も近い(例えば、最も早い)戻り測定パルスから計算することができる。
【0057】
図11は、少なくとも1つの新しい側面におけるLIDAR測定を実施する方法200を示す図である。方法200は、本発明の
図1に図示されているLIDARシステム100のようなLIDARシステムにより実施するのに適している。1つの側面において、方法200のデータ処理ブロックは、制御装置140の1つ以上のプロセッサにより、又は他の汎用計算システムにより、実行される事前にプログラムされたアルゴリズムによって実行することができる。ここで、LIDARシステム100の特定構成は限定を示しているものではなく、単なる実例として解釈されるべきである。
【0058】
ブロック201において、照射光の複数のビームが、LIDAR装置の複数の発光素子の回転軸を含む角度範囲にわたって、LIDAR装置から三次元環境内に出射される。照射光の複数のビームはそれぞれ、照射光の測定パルスによって三次元環境内の異なる位置を照射する。
【0059】
ブロック202において、照射光の複数のビームにより照射された三次元環境内の異なる位置のそれぞれから反射された複数の測定パルスが検出される。
【0060】
ブロック203において、複数の出力信号が発生され、それぞれが反射された複数の測定パルスの1つを示している。
【0061】
ブロック204において、複数の出力信号のそれぞれは、デジタル信号に変換される。
【0062】
ブロック205において、それぞれのデジタル信号に基づいて、LIDAR装置から三次元環境内の各特定位置そして各特定位置からLIDAR装置に戻るまでのそれぞれの測定パルスの飛行時間が決定される。
【0063】
1つ以上の例示的な実施形態において、記載されている機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの組み合わせにおいて実施することができる。ソフトウェアにおいて実施される場合、機能は、コンピュータ可読媒体上の1つ以上の指令又はコードとして伝達又は記憶されることができる。コンピュータ可読媒体は、1つの場所から他の場所へのコンピュータプログラムの転送を容易にするどの媒体も含むことができる。記憶媒体は、汎用コンピュータ又は専用コンピュータによりアクセスすることができるどの利用可能な媒体を使用してもよい。限定としてではなく、例として、コンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROM又は他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置又は他の磁気記憶装置、又は、汎用コンピュータ又は専用コンピュータにより、又は汎用プロセッサ又は専用プロセッサによりアクセスすることができ、データ構造又は指令の形の所望のプログラムコードを記憶又は保持するために使用することができる他の媒体を含むことができる。また、どんな接続もコンピュータ可読媒体と呼ぶのにふさわしい。例えば、同軸ケーブル、光ファイバーケーブル、ツイストペアケーブル、デジタル加入者回線(DSL)、又は赤外線通信、無線通信、及びマイクロ波通信等の無線技術を使用して、ウェブサイト、サーバー、又は他の遠隔供給源からソフトウェアが伝送された場合、同軸ケーブル、光ファイバーケーブル、ツイストペアケーブル、デジタル加入者回線(DSL)、又は赤外線通信、無線通信、及びマイクロ波通信等の無線技術は、媒体の定義内に含まれる。ここで使用されるディスクは、コンパクトディスク(CD)、レーザーディスク、光ディスク、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、フロッピーディスク及びブルーレイディスクを含み、ディスクは通常データを磁気的に再生し、また、ディスクはデータをレーザーにより光学的に再生する。上記の組み合わせもコンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるものである。
【0064】
説明の目的で特定実施形態が上述されているが、この特許出願書類の教示は汎用性を有し、上記の特定実施形態に限定されるものではない。したがって、特許請求の範囲に記載の本発明の範囲から逸脱することなく、様々な改良、適応、及び上記実施形態の様々な構成の組み合わせを実行することができる。
【符号の説明】
【0065】
100 三次元LIDARシステム
101 下部ハウジング
102 上部ハウジング
103 ドーム状シェル要素
104 回転の中心軸
105 複数の光ビーム
106 ビーム
107 XY平面上の位置
108 円形軌跡
110 固定電子基板
111 回転電子基板
112 発光・集光エンジン
113 光検出素子アレイ
113A 個別の光検出素子
114 発光素子アレイ
114A 個別の発光素子
115 照明光学系
116 集光光学系
116A レンズ素子
116B レンズ素子
116C レンズ素子
116D レンズ素子
117 112の中心光軸
118 集光された光
121 中間電子基板
122 中間電子基板
123 中間電子基板
124 ミラー
130 パルス照射システム、電子基板
131 光検出素子、電気エネルギー源
132 オーバーモールドレンズ、電気エネルギー蓄積素子
136 パルス電気信号、電流信号
137 パルス発光素子
138 特定位置
140 制御装置
141 発光素子
142 レンズ素子
144 アナログ/デジタル変換器
145 イネーブル/ディスエーブル信号
150 光検出システム
151 出力信号
152 アナログ相互インピーダンス増幅器
153 増幅信号、アナログ信号
155 光検出素子
161 パルス発射信号
162 インデックス信号
163 戻り信号