(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】断熱カバー構造
(51)【国際特許分類】
F16L 59/147 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
F16L59/147
(21)【出願番号】P 2021067329
(22)【出願日】2021-04-12
【審査請求日】2022-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000244084
【氏名又は名称】明星工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102048
【氏名又は名称】北村 光司
(72)【発明者】
【氏名】若山 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】勝原 亜美
(72)【発明者】
【氏名】日野出 充樹
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-101761(JP,A)
【文献】特開2001-132890(JP,A)
【文献】実開昭62-087293(JP,U)
【文献】特開昭58-039895(JP,A)
【文献】特開昭58-065398(JP,A)
【文献】実開昭52-037624(JP,U)
【文献】特開2021-001659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 59/147
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
常温より高い高温流体を通流させる流体配管装置の外周部を、全周にわたって覆う無機材から成型された断熱材を設け、
前記断熱材を前記流体配管装置の周囲に沿う筒形状に形成するとともに、
筒形状の前記断熱材を周方向に分割して周方向分割断熱材を形成し、
前記流体配管装置の外周部全体を覆うように複数の前記周方向分割断熱材を装着した状態で、
前記周方向分割断熱材の外側に、非透水性の断熱材用外装材を被覆して断熱被覆可能に構成し、
前記断熱材用外装材を、合成樹脂フィルムの層厚内に金属層を備えた可撓性及び弾性のある金属ラミネートシートから構成し、
前記断熱材を被覆する前記断熱材外装材の内側を断熱性能や防水性能に支障が発生するのを防止すべく
前記周方向における前記断熱材用外装材の両端部どうしを前記流体配管装置の長手方向に沿って粘着剤を介して一体化する長手目地シール用帯状体を設け、
前記断熱材用外装材における前記長手目地シール用帯状体の近傍に、径方向外方に突出した蛇腹部を前記流体配管装置の長手方向に沿って設けて、
前記流体配管装置の周方向に伸縮自在な周方向伸縮許容部に形成し、
前記断熱材用外装材において前記蛇腹部または前記長手目地シール用帯状体の近傍以外の個所は、前記断熱材の外表面の筒形状に沿う形状に形成してあり、
前記断熱材用外装材に、前記断熱材に対して一体に接着してある接着部と、非接着部とを設け、前記非接着部に前記周方向伸縮許容部を設けてある断熱カバー構造。
【請求項2】
前記断熱材が珪酸カルシウムから成る多孔質の成型体を主体とするものである請求項1に記載の断熱カバー構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、常温より高い高温流体を通流させる流体配管装置の外周部を、全周にわたって覆う無機材から成型された断熱材を設け、前記断熱材を前記流体配管装置の周囲に沿う筒形状に形成するとともに、筒形状の前記断熱材を周方向に分割して周方向分割断熱材を形成し、前記流体配管装置の外周部全体を覆うように複数の前記周方向分割断熱材を装着した状態で、前記周方向分割断熱材の外側に、非透水性の断熱材用外装材を被覆して断熱被覆可能に構成してある断熱カバー構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、断熱カバー構造においては、一般的には前記断熱材用外装材を、塗装溶融亜鉛メッキ鋼板、亜鉛引き鉄板、ガルバニウム鋼板、ステンレス鋼板、並びに、アルミニウム板等から成る約0.25~0.5mm厚の金属板を筒状に曲げ加工した板金製品から形成しておいて、その断熱材用外装材を、施工現場における直管やエルボ管等の流体配管装置の外周部に全周にわたって覆った断熱材の外側に被覆し、その板金製品のハゼ加工やヒモ出しロール加工をした端部同士の連結により、流体配管装置に装着した断熱カバー構造を構成していた(周知技術である)。
しかし、上記断熱カバー構造においては、加工や流体配管装置への装着に、施工現場で熟練の技術者や専用の工具が必要であるばかりか、流体配管装置が室外配管の場合は、防水性が悪く、断熱材用外装材の端部同士の連結部から断熱材用外装材の内側に雨水が浸入して断熱材の断熱性能が低下する虞がある。
また、前記断熱材用外装材は、外力によって塑性変形して断熱材の断熱性能に悪影響を与える部分が生じたりするおそれがあった。
そこで、前記断熱材用外装材を、合成樹脂フィルムの層厚内にアルミニウム箔などの金属層を備えた可撓性及び弾性のある金属ラミネートシートから構成し(例えば、特許文献1参照)、前記流体配管装置の周方向における前記断熱材用外装材の両端部同士に亘って、金属ラミネートから成る長手目地シール用帯状体を、粘着剤を介して前記流体配管装置の長手方向に沿って粘着させて一体化することが考えられる(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2009-509816号公報
【文献】特開2012-225403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
つまり、上記断熱材用外装材によって、熟練工によらずとも断熱施工が容易にでき、しかも、金属ラミネートシートから構成される断熱材用外装材は可撓性及び弾性があるために、外力が作用しても、塑性変形しにくく復元力があり、流体に対する断熱性能を良好に維持できる。
しかし、流体配管装置に通流させる流体が、特に常温より高い高温流体の場合には、一般的に断熱材として、例えば珪酸カルシウム等から成る多孔質の無機成型体を使用することが多いが、流体配管装置に通流する流体の温度変化によって、配管が径方向に伸縮し、特に流体配管装置の周方向における断熱材用外装材端部間に大きな負荷が発生して、それらの目地部が開きすぎたり、場合によっては破壊されたりして断熱性能や防水性能に支障が発生する虞がある。
つまり、通常は流体配管装置に対する断熱カバーの施工時は、常温状態で施工し、その後に流体配管装置に高温の流体を通流するのが普通で、そのような状態変化時に配管が径方向に伸縮することが多く、上記問題が発生することが考えられる。
【0005】
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、流体配管装置に通流する流体の温度変化があっても、断熱カバー構造に支障が発生するのを防止できるようにするところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の特徴構成は、常温より高い高温流体を通流させる流体配管装置の外周部を、全周にわたって覆う無機材から成型された断熱材を設け、前記断熱材を前記流体配管装置の周囲に沿う筒形状に形成するとともに、筒形状の前記断熱材を周方向に分割して周方向分割断熱材を形成し、前記流体配管装置の外周部全体を覆うように複数の前記周方向分割断熱材を装着した状態で、前記周方向分割断熱材の外側に、非透水性の断熱材用外装材を被覆して断熱被覆可能に構成し、前記断熱材用外装材を、合成樹脂フィルムの層厚内に金属層を備えた可撓性及び弾性のある金属ラミネートシートから構成し、前記断熱材を被覆する前記断熱材外装材の内側を断熱性能や防水性能に支障が発生するのを防止すべく前記周方向における前記断熱材用外装材の両端部どうしを前記流体配管装置の長手方向に沿って粘着剤を介して一体化する長手目地シール用帯状体を設け、前記断熱材用外装材における前記長手目地シール用帯状体の近傍に、径方向外方に突出した蛇腹部を前記流体配管装置の長手方向に沿って設けて、前記流体配管装置の周方向に伸縮自在な周方向伸縮許容部に形成し、前記断熱材用外装材において前記蛇腹部または前記長手目地シール用帯状体の近傍以外の個所は、前記断熱材の外表面の筒形状に沿う形状に形成してあり、前記断熱材用外装材に、前記断熱材に対して一体に接着してある接着部と、非接着部とを設け、前記非接着部に前記周方向伸縮許容部を設けたところにある。
【0007】
本発明の第1の特徴構成によれば、一般的に配管と無機材から成型された断熱材とでは線膨張係数が大きく異なるばかりか、断熱材の内側と外側とでは温度差が大きく異なり、流体配管装置に通流する流体の温度変化によって、その温度変化の度合いによっては、配管が断熱材より大きく伸縮する。
そして、断熱材用外装材は、流体配管装置の周方向における両端部どうしが粘着剤を介して一体化してあり、しかも、断熱材によって断熱されているために、流体の温度変化は伝わりにくく、配管の径方向における膨張収縮に伴って長手目地シール用帯状体に負荷が発生する。
そのために、断熱材用外装材における流体配管装置の周方向における両端部どうしや、断熱材用外装材と長手目地シール用帯状体との粘着一体化部分が破壊されたり、断熱用外装材自身が破損したりする虞があるが、周方向伸縮許容部によって、配管の伸縮に伴って流体配管装置の周方向に作用する負荷が吸収緩和され、断熱材用外装材における流体配管装置の周方向における両端部どうしや、断熱材用外装材と長手目地シール用帯状体との粘着一体化部分の破壊を防止できる。
従って、室外配管部分においても、雨水に対する防水性能を高く維持できながら流体配管装置に対する断熱性を高く維持できる。
また、流体配管装置に対する温度変化以外に、風圧や地震動から受ける外力に対しても、周方向伸縮許容部がそれらの外力を吸収でき、流体配管装置に対する断熱性能を高く維持できる。
断熱材に対して一体に接着してある接着部を設けてあることにより、流体配管装置に対する断熱材と断熱材用外装材による断熱被覆の施工が短時間で簡単に行うことができる。
しかも、非接着部に設けた周方向伸縮許容部により、流体配管装置の径方向に対する膨張収縮に伴って断熱材用外装材にかかる負荷を吸収して、断熱カバー構造による断熱性能を高く維持できる。
【0008】
本発明の第2の特徴構成は、前記断熱材が珪酸カルシウムから成る多孔質の成型体を主体とするものである。
【0009】
本発明の第2の特徴構成によれば、本発明の第1の特徴構成による上述の作用効果を叶えることができるのに加えて、珪酸カルシウムから成型された断熱材は、流体配管装置に高温流体を通流させても高い断熱作用を発揮でき、そのうえ、たとえその断熱材と流体配管装置との線膨張係数に大きな差があっても、断熱材用外装材に設けた簡単な構造の蛇腹部によって伸縮が許容され、その結果、断熱カバー構造による断熱性能を高く維持できるようになる。
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図4】長手目地シール用帯状体又は周目地シール用帯状体の拡大断面図である。
【
図5】第1実施形態の要部断面図で、(a)は流体配管装置の膨張前、(b)は流体配管装置の膨張後を示す。
【
図6】第2実施形態の一例の要部断面図で、(a)は流体配管装置の膨張前、(b)は流体配管装置の膨張後を示す。
【
図7】第2実施形態の別例の要部断面図で、(a)は流体配管装置の膨張前、(b)は流体配管装置の膨張後を示す。
【
図8】第2実施形態の別例の要部断面図で、(a)は流体配管装置の膨張前、(b)は流体配管装置の膨張後を示す。
【
図9】第2実施形態の別例の要部断面図で、(a)は流体配管装置の膨張前、(b)は流体配管装置の膨張後を示す。
【
図10】第3実施形態の要部断面図で、(a)は流体配管装置の膨張前、(b)は流体配管装置の膨張後を示す。
【
図11】第3実施形態の別例の要部断面図で、(a)は流体配管装置の膨張前、(b)は流体配管装置の膨張後を示す。
【
図12】別実施形態の要部断面図で、(a)は流体配管装置の膨張前、(b)は流体配管装置の膨張後を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1~
図2に示すように、常温より高い高温流体を通流させる直管部やエルボ管部やバルブなどから成る流体配管装置1の外周部を、全周にわたって覆う、例えば珪酸カルシウム等の無機材から成型された多孔質の断熱材2を設け、その断熱材2を流体配管装置1の周囲に沿う筒形状に形成するとともに、筒形状の断熱材2を周方向に分割して周方向分割断熱材2Aを形成し、流体配管装置1の外周部全体を覆うように複数の周方向分割断熱材2Aを装着した状態で、周方向分割断熱材2Aの外側に、非透水性の断熱材用外装材3を被覆して断熱被覆可能に構成し、前記周方向における断熱材用外装材3の両端部どうしを、流体配管装置1の長手方向に沿って粘着剤を介して一体化する長手目地シール用帯状体4Aを設けると共に、流体配管装置1の長手方向に隣接する断熱材用外装材3同士に亘って、金属ラミネートから成る周目地シール用帯状体4Bを、粘着剤を介して流体配管装置1の周方向に巻き付けて一体化して断熱カバー構造を構成してある。
【0020】
前記断熱材用外装材3は、合成樹脂フィルムの層厚内に金属層5を備えた可撓性及び弾性のある金属ラミネートシートから構成してある。
つまり、
図3に示すように、最外層に紫外線の透過を防止するポリエステル樹脂(PET)層7を設け、そのポリエステル樹脂層7の内側に、厚さ9μmのアルミニウム箔から成る金属層5を設け、アルミニウム箔の内側に難燃性樹脂基材として難燃性ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)層8を設けて、厚さ0.23mmの断熱材用外装材3を構成してある。
【0021】
前記長手目地シール用帯状体4A、及び、周目地シール用帯状体4Bは、
図4に示すように、前記断熱材用外装材3と同様の樹脂シートを、アルミニウム箔厚さ9μmで全体シート厚さ0.035mm、幅50mmのテープ状に形成し、その内側面にアクリル系粘着剤9の層を設けてある。
【0022】
図5~
図7に示すように、流体配管装置1に通流する流体の温度変化、又は、断熱カバー施工時と輸送流体の通流時との温度変化に伴って、配管が径方向に膨張又は収縮し、特に流体配管装置1の周方向に隣接する断熱材用外装材端部間に大きな負荷が発生して、それらの目地部が開きすぎたり、場合によっては破壊されたりして断熱性能や防水性能に支障が発生する現象に対応できるように、前記断熱材用外装材3(
図5)または、長手目地シール用帯状体4A(
図6、
図7)の少なくともいずれか一方に流体配管装置1の周方向に伸縮自在な周方向伸縮許容部11を設けてある。
【0023】
また、周方向伸縮許容部11は、温度変化に伴う配管の伸縮に対応した断熱構造のみならず、風圧や地震動に基づく配管の振動や外力に対しても、それらの外力を吸収して、断熱性能を高く維持できる能力を発揮できる。
【0024】
次に、前記周方向伸縮許容部11を設けた断熱カバー構造の詳細を示す。
[第1実施形態]
図1~
図5に示すように、前記断熱材2が珪酸カルシウムから成る多孔質の成型体を主体とするものであり、周方向伸縮許容部11が流体配管装置1の周方向に凹凸の蛇腹部11Aを設けて構成してある。
前記蛇腹部は、断熱材用外装材3に設けてあり、流体配管装置1の膨張に伴って、その流体配管装置1を外周部全体を覆う断熱材全体の外径が増大するのを許容するように、蛇腹部11Aが伸びて断熱材用外装材3全体の外径が増大できる(
図5(a)→
図5(b))ように構成してある。
【0025】
[第2実施形態]
前記周方向伸縮許容部11は、
図6~
図7に示すように、長手目地シール用帯状体4Aに蛇腹部11Aを形成してもよい。
そして、流体配管装置1の膨張に伴って、その流体配管装置1を外周部全体を覆う断熱材2全体の外径が増大するのを許容するように、蛇腹部11Aが伸びて断熱材用外装材3全体で覆う被覆部の外径が増大できる(
図6(a)→(b)、
図7(a)→(b))のように構成してある。
尚、断熱材用外装材3の周方向における端部同士は、互いに重なるように断熱材2の外側に装着する場合(
図7)と、端部同士突き合わせる場合(
図6)とがある。
【0026】
施工を楽に行うために、長手目地シール用帯状体4Aに蛇腹部11Aを形成するためには、
図8及び
図9に示すように、径方向に伸縮可能な紐状のスポンジ20を配管長手方向に沿わせ、その上から長手目地シール用帯状体4Aを接着すれば効率よく蛇腹部11Aを形成することができる。
【0027】
[第3実施形態]
図10~
図11に示すように、前記周方向伸縮許容部11は、前記長手目地シール用帯状体4Aによる断熱材用外装材3の周方向の両端部どうしの一体化部に、前記周方向に弾性変形自在なクッション材21を介在して形成してある。
クッション材21により、断熱材用外装材の周方向の両端部どうしがずれて離間しようとしても、クッション材21の変形により吸収して、断熱材用外装材3の両端部どうしの一体化が維持されて、断熱カバー構造による断熱性能を高く維持できる。
尚、クッション材21は、
図10(a)、(b)のように、断熱材用外装材3の周方向の両端部どうしの間に設ける場合と、
図11(a)、(b)のように、断熱材用外装材3の周方向の両端部どうしと長手目地シール用帯状体4Aとの間に設けてある場合、または、それらの双方に設けてある場合(図外)がある。
【0028】
〔別実施形態〕
以下に他の実施の形態を説明する。
なお、以下の他の実施形態において、上記実施形態と同様の部材には同一の符号を附してある。
〈1〉 前述の断熱材用外装材3は、アルミ箔厚さ42μmで全体シート厚0.33mmの物を使用する場合があり、アルミ箔厚さ5~70μmで且つ全体シート厚さ0.2~0.50mmのものを使用するのが適切である。
また、前述の帯状体4A、4Bは、テープ全体の厚さ0.035~0.050mmの物が使用するのに適切である。
〈2〉 前記難燃性樹脂基材としては、難燃性ポリ塩化ビニル樹脂8以外に、更に不燃性を要求される場合にはガラスクロスを主材とする層であってもよい。
〈3〉前記断熱材2と断熱材用外装材3とは予め接着して一体化してあってもよく、この場合、前記断熱材用外装材3に、前記断熱材2に対して一体に接着してある接着部と、非接着部とを設け、前記非接着部に前記周方向伸縮許容部11を設けてある。
〈4〉
図12(a)、(b)に示すように、前記流体配管装置1の周方向に隣接する前記断熱材2の突合せ端部間に、ロックウールやグラスウール等の伸縮自在な耐熱性断熱材14を圧縮した状態で介在させてあれば(
図12(a))、温度変化に基づいて配管が径方向に膨張しても、断熱材2同士の突合せ端部間の目地には隙間が発生しにくく(
図12(b))、断熱性能を高く維持できる。
〈5〉 前記断熱材2としては、珪酸カルシウムからなる多孔質の成型体に代えて、パーライト、発泡ガラスからなるものや、グラスウール、ロックウールなどの無機繊維材から成るものでもよい。
〈6〉 前記耐熱性断熱材14としては、ロックウール、グラスウールの他に、生体溶解性繊維を使用してもよい。
〈7〉 断熱材2と流体配管装置1との間で線膨張係数に大きな差があって、高温流体の通流に基づいて、例え流体配管装置1が大きく伸長して、隣接する断熱材2同士の突合せ目地部に隙間が発生して熱リークが発生しやすくなるのを防止するためには、
図13に示すように、前記断熱材2の内側で、前記流体配管装置1との間に、前記断熱材2及び前記流体配管装置1と非接着の状態で補助断熱材15を配置し、前記流体配管装置1の周方向に隣接する前記断熱材2同士の突合せ目地部と、前記補助断熱材15同士の突合せ目地部とを、前記流体配管装置1の周方向に位置ずれさせて配設する。
〈8〉 周方向伸縮許容部11の形状は、前述の凹凸の蛇腹部11Aを設ける以外の形状でもよい。
〈9〉断熱材2と断熱材用外装材3との間には、
図14に示すように、アルミニウム箔を主体とする断熱シート22を介在してあってもよい。
尚、図中23は、両面テープであり、断熱材2は、グラスウールやロックウールから成る無機繊維材で形成してある例を示してある。
【0029】
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0030】
1 流体配管装置
2 断熱材
3 断熱材用外装材
4A 長手目地シール用帯状体
11 周方向伸縮許容部