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特許7465879セラミックス基板及びその製造方法、複合基板及びその製造方法、並びに、回路基板及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】セラミックス基板及びその製造方法、複合基板及びその製造方法、並びに、回路基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/00 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
H05K3/00 X
H05K3/00 P
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021535402
(86)(22)【出願日】2020-07-29
(86)【国際出願番号】 JP2020029146
(87)【国際公開番号】W WO2021020471
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】P 2019141146
(32)【優先日】2019-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100185591
【弁理士】
【氏名又は名称】中塚 岳
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 晃正
(72)【発明者】
【氏名】小橋 聖治
(72)【発明者】
【氏名】西村 浩二
【審査官】齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-201221(JP,A)
【文献】特開2010-50164(JP,A)
【文献】特開2001-36254(JP,A)
【文献】特開2003-101299(JP,A)
【文献】特開2004-79703(JP,A)
【文献】特開2004-179546(JP,A)
【文献】特開2013-102033(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/00―3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
区画線で区画される複数の区画部とアライメントマークとを有する主面を備え、
前記主面は前記アライメントマークよりも前記主面の中心寄りに少なくとも一つの前記区画線を有し、
前記アライメントマークは、交点及び回転対称な形状からなる群より選ばれる少なくとも一つを有するセラミックス基板。
【請求項2】
前記主面に、アライメントマークとは異なる形状を有する識別マークを有し、
前記識別マークよりも前記主面の中心寄りに少なくとも一つの前記区画線を有する、請求項1に記載のセラミックス基板。
【請求項3】
前記アライメントマークの数が2つ以上である、請求項1又は2に記載のセラミックス基板。
【請求項4】
前記主面の外縁と、前記区画線とによって区画される端部に前記アライメントマークを有する、請求項1~のいずれか一項に記載のセラミックス基板。
【請求項5】
請求項1~のいずれか一項に記載のセラミックス基板と、
前記主面を覆うように前記セラミックス基板に接合される金属基板と、を備える複合基板。
【請求項6】
区画線で区画される複数の区画部とアライメントマークとを有する主面を備え、前記主面は前記アライメントマークよりも前記主面の中心寄りに少なくとも一つの前記区画線を有するセラミックス基板と、
前記主面を覆うように前記セラミックス基板に接合される金属基板と、を備える複合基板。
【請求項7】
前記金属基板は切り欠き部及び貫通孔からなる群より選ばれる少なくとも一つを有し、
前記アライメントマークが前記切り欠き部又は前記貫通孔から露出している、請求項5又は6に記載の複合基板。
【請求項8】
請求項1~のいずれか一項に記載のセラミックス基板と、
前記区画線で画定される区画部毎に独立するように前記主面上に設けられる導体部と、を備え、
前記アライメントマークが、前記主面において露出している回路基板。
【請求項9】
主面にアライメントマークを有するセラミックスの基材を得る工程と、
前記主面にレーザー光を照射して、前記主面を複数の区画部に区画する区画線を形成してセラミックス基板を得る工程と、を有し、
前記セラミックス基板の前記主面は前記アライメントマークよりも前記主面の中心寄りに少なくとも一つの前記区画線を有し、
前記アライメントマークは、交点及び回転対称な形状からなる群より選ばれる少なくとも一つを有する、セラミックス基板の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の製造方法で得られたセラミックス基板の前記主面を覆うようにして金属基板を前記セラミックス基板に接合して複合基板を得る工程を有する、複合基板の製造方法。
【請求項11】
前記複合基板を得る前記工程では、前記金属基板の切り欠き部及び貫通孔からなる群より選ばれる少なくとも一つから前記アライメントマークが露出するように前記金属基板を接合する、請求項10に記載の複合基板の製造方法。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の製造方法で得られた複合基板における前記金属基板の一部を除去して前記区画線で画定される区画部毎に独立する導体部を形成し、前記セラミックス基板の前記主面における前記アライメントマークが露出する回路基板を得る工程を有する、回路基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、セラミックス基板及びその製造方法、複合基板及びその製造方法、並びに、回路基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスに搭載される回路基板には、絶縁性のセラミックス基板が用いられる場合がある。このような回路基板の製造方法としては、特許文献1に記載されるような以下の技術が知られている。すなわち、表面にスクライブラインが形成されているセラミックス基板の両面に金属層を接合して複合基板を形成する。そして、複合基板の表面の金属層をエッチングにより回路パターンに加工する。その後、スクライブラインに沿って複合基板を分割し複数の回路基板を製造する。
【0003】
一方、回路基板及びこれを含むパッケージを製造する際には、作業者及び自動組み立て機が製品情報を認識するために、標識(マーク)を形成する技術が知られている。例えば、特許文献2では、セラミックスの焼結体の特定部位を、他の部位と異なる色調にしてマーキング部とする技術が提案されている。特許文献3では、バーコード状のマーカーパターンを用いることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-324301号公報
【文献】特開2001-97786号公報
【文献】欧州特許出願公開3361504号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
セラミックス基板は、例えば回路等が形成された後に、切断等の加工がなされて製品又は部品となる。電子デバイスの更なる高性能化に伴い、このような回路形成及び加工時における加工精度を十分に高くすることが求められる。加工精度を高くするためには、各工程においてセラミックス基板の位置合わせを高い精度で行う必要がある。しかしながら、バーコード状のマーカーパターン等は、一枚毎に異なっていることが通常であり、位置合わせに利用することは困難である。
【0006】
そこで、本開示は、位置合わせ精度を高くすることが可能なセラミックス基板及びその製造方法を提供する。また、本開示は、金属基板とセラミックス基板の位置精度に優れる複合基板及びその製造方法を提供する。また、本開示は、分割して分割基板を得る際の位置合わせ精度に優れる回路基板、及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面に係るセラミックス基板は、区画線で複数に区画される複数の区画部とアライメントマークとを有する主面を備え、当該主面はアライメントマークよりも主面の中心寄りに少なくとも一つの区画線を有する。
【0008】
このようなセラミックス基板は、主面にアライメントマークを有することから、セラミックス基板を利用する際の位置合わせ精度を向上することができる。そして、当該主面においてアライメントマークよりも中心寄りに少なくとも一つの区画線を有することから、アライメントマークよりも中心寄りの部分を各種部品及び製品に有効利用することができる。なお、本開示における「アライメントマークよりも中心寄りの区画線」とは、アライメントマークとセラミックス基板の表面の中心を結ぶ線分と交差する区画線をいう。
【0009】
アライメントマークは、交点及び回転対称な形状からなる群より選ばれる少なくとも一つを有してよい。このような形状を有するアライメントマークであれば、位置合わせ精度を一層向上することができる。
【0010】
上記セラミックス基板は、主面に、アライメントマークとは異なる形状を有する識別マークを有し、識別マークよりも主面の中心寄りに少なくとも一つの区画線を有していてよい。識別マークを有することによって、トレーサビリティを向上し、品質管理を効率的に行うことができる。そして、この識別マークよりも中心寄りに区画線を有することから、識別マークよりも中心寄りの部分を各種部品及び製品に有効利用することができる。なお、本開示における「識別マークよりも中心寄りの区画線」とは、識別マークとセラミックス基板の表面の中心を結ぶ線分と交差する区画線をいう。
【0011】
上記セラミックス基板は、アライメントマークの数が2つ以上であってもよい。これによって、互いに大きさ又は形状が異なる複数のセラミックス基板の位置合わせを行う場合も、位置合わせ精度を向上することができる。
【0012】
上記主面の外縁と上記区画線とによって区画される端部にアライメントマークを有していてもよい。これによって、セラミックス基板のうち、製品又は部品として有効利用できない部分を低減し、セラミックス基板、及びこれを用いる部品及び製品の製造コストを低減することができる。
【0013】
本開示の一側面に係る複合基板は、上述のいずれかのセラミックス基板と、その主面を覆うように上記セラミックス基板に接合される金属基板と、を備える。この複合基板は上述のいずれかのセラミックス基板を備えることから、接合の際の位置合わせを高い精度で行うことができる。このため、金属基板とセラミックス基板の位置精度に優れる。
【0014】
金属基板は切り欠き部及び貫通孔からなる群より選ばれる少なくとも一つを有し、アライメントマークが切り欠き部又は貫通孔から露出していてよい。これによって、例えば、金属基板の接合、レジスト塗布、及び回路形成等の際の位置合わせ精度を向上することができる。
【0015】
本開示の一側面に係る回路基板は、上述のいずれかのセラミックス基板と、上記区画線で画定される区画部毎に独立するように主面上に設けられる導体部と、を備え、アライメントマークが、上記主面において露出している。このようなアライメントマークを有することによって、例えば、分割して分割基板を得る際の位置合わせ精度を向上することができる。
【0016】
本開示の一側面に係るセラミックス基板の製造方法は、主面にアライメントマークを有するセラミックスの基材を得る工程と、主面にレーザー光を照射して、主面を複数に区画する区画線を形成してセラミックス基板を得る工程と、を有する。このセラミックス基板の主面は、アライメントマークよりも主面の中心寄りに少なくとも一つの区画線を有する。
【0017】
この製造方法では、主面にアライメントマークを有するセラミックスの基材を用いていることから区画線を形成する際の位置合わせ精度を向上することができる。また、セラミックス基板は主面にアライメントマークを有することから、セラミックス基板を利用する際の位置合わせ精度を向上することができる。また、区画線が形成されたセラミックス基板は、アライメントマークよりも中心寄りに区画線を有することから、アライメントマークよりも中心寄りの部分を各種部品及び製品に有効利用することができる。
【0018】
本開示の一側面に係る複合基板の製造方法は、上記製造方法で得られたセラミックス基板の主面を覆うようにして金属基板をセラミックス基板に接合して複合基板を得る工程を有する。この製造方法では、アライメントマークを有するセラミックス基板を用いることから、セラミックス基板と金属基板の位置合わせ精度を高くすることができる。このため、セラミックス基板と金属基板の位置精度に優れる複合基板を製造することができる。
【0019】
上述の複合基板を得る工程では、金属基板の切り欠き部及び貫通孔からなる群より選ばれる少なくとも一つからアライメントマークが露出するように金属基板を接合してよい。切り欠き部又は貫通孔から露出するアライメントマークを用いれば、例えば、金属基板の接合、金属基板へのレジスト塗布、及び回路形成等の際の位置合わせ精度を向上することができる。
【0020】
本開示の一側面に係る回路基板の製造方法は、製造方法で得られた複合基板における金属基板の一部を除去して区画線で画定される区画部毎に独立する導体部を形成し、セラミックス基板の主面におけるアライメントマークが露出する回路基板を得る工程を有する。この製造方法で得られる回路基板は、セラミックス基板の主面において上記アライメントマークが露出していることから、例えば、分割して分割基板を得る際の位置合わせ精度を向上することができる。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、位置合わせ精度を高くすることが可能なセラミックス基板及びその製造方法を提供することができる。また、本開示は、金属基板とセラミックス基板の位置精度に優れる複合基板及びその製造方法を提供することができる。また、本開示は、分割して分割基板を得る際の位置合わせ精度に優れる回路基板、及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、一実施形態に係るセラミックス基板の斜視図である。
図2図2は、図1のセラミックス基板の一部を拡大して示す一部拡大図である。
図3図3は、別の実施形態に係るセラミックス基板の平面図である。
図4図4は、さらに別の実施形態に係るセラミックス基板の平面図である。
図5図5は、一実施形態に係る接合基板の斜視図である。
図6図6は、別の実施形態に係る接合基板の斜視図である。
図7図7は、一実施形態に係る回路基板の斜視図である。
図8図8は、セラミックスの基材の一例を示す平面図である。
図9図9は、ろう材が塗布されたセラミックス基板の一例を示す斜視図である。
図10図10は、主面にレジストパターンが形成された複合基板の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、場合により図面を参照して、本開示の一実施形態について説明する。ただし、以下の実施形態は、本開示を説明するための例示であり、本開示を以下の内容に限定する趣旨ではない。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用い、場合により重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、各要素の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0024】
図1は、一実施形態に係るセラミックス基板の斜視図である。図1のセラミックス基板100は、平板形状を有する。セラミックス基板100の主面100A(おもて面101A)は、区画線によって複数に区画されている。主面100Aには、区画線として、第1の方向に沿って延在し且つ等間隔で並ぶ複数の区画線L1と、第1の方向に直交する第2の方向に沿って延在し且つ等間隔で並ぶ複数の区画線L2と、が設けられている。区画線L1と区画線L2とは互いに直交している。
【0025】
区画線L1,L2は、例えば、複数の凹みが直線状に並んで構成されていてもよいし、線状に溝が形成されていてもよい。具体的には、レーザー光で形成されるスクライブラインであってよい。レーザー源としては、例えば、炭酸ガスレーザー及びYAGレーザー等が挙げられる。このようなレーザー源からレーザー光を間欠的に照射することによってスクライブラインを形成することができる。なお、区画線L1,L2は、等間隔で並んでいなくてもよく、また、直交するものに限定されない。また、直線状ではなく、曲線状であってもよいし、折れ曲がっていてもよい。
【0026】
セラミックス基板100は、区画線L1及び区画線L2によって画定される複数の区画部18を有する。セラミックス基板100は、主面100Aの端部10にアライメントマーク11と識別マーク12とを有する。端部10は、主面100Aの外縁14と、主面100Aの中心Cから最も離れた位置にある区画線L1及び区画線L2の一方又は双方とによって区画される外周領域である。セラミックス基板100が回路基板用である場合、導体部が形成される複数の区画部18を取り囲む領域が端部10に相当する。
【0027】
主面100Aは、アライメントマーク11及び識別マーク12よりも中心C寄りに、少なくとも一つの区画線L1,L2を有する。すなわち、中心Cとアライメントマーク11及び識別マーク12を結ぶそれぞれの線分と交差する区画線L1,L2を有する。この区画線L1,L2に沿って切断することによって、アライメントマーク11及び識別マーク12よりも中心C寄りの部分を各種部品及び製品に有効利用することができる。主面100Aは、中心Cを含む少なくとも一つの区画部18を有する。
【0028】
セラミックス基板100の主面100Aには、4つのアライメントマーク11と4つの識別マーク12が、それぞれ隣り合うようにして四隅に設けられている。このように、複数のアライメントマークを有することによって、位置合わせの精度を一層高くすることができる。
【0029】
セラミックス基板100の主面100B(裏面100B)も、主面100Aと同様に、区画線L1,L2、アライメントマーク11及び識別マーク12を有していてもよい。ただし、主面100Bにこれらの全てを有することは必須ではなく、例えば、主面100Bは区画線L1,L2、アライメントマーク11、及び識別マーク12の少なくとも一つを有していてもよいし、いずれも有していなくてもよい。
【0030】
図2は、セラミックス基板100の主面100Aの端部10における4つのアライメントマーク11及び識別マーク12のうち、一つのアライメントマーク11及び識別マーク12が設けられている部分を拡大して示す一部拡大図である。
【0031】
アライメントマーク11は平面視で十字状を呈している。アライメントマーク11は、例えば、カメラ又はビデオ等の撮像装置によって検出可能に構成される。アライメントマーク11は、2つ以上の線分が交差する交点を有するため位置合わせの基準が明確になり、位置合わせの精度を一層高くすることができる。同様の観点から、アライメントマーク11は、平面視で回転対称な形状を有していてよい。回転対称な形状を有する場合、回転中心を位置合わせの基準として位置合わせの精度を一層高くすることができる。アライメントマーク11は、例えば、平面視で、円形を有していてよく、三角形又は四角形を有していてよい。
【0032】
アライメントマーク11が円形である場合、その直径は50~450μmであってよい。アライメントマーク11の外形が多角形状である場合、その外接円を描いたときの直径は50~450μmであってよい。このようなサイズを有するアライメントマーク11であれば、セラミックス基板100のうち有効に利用できる部分を十分に大きくするとともに、撮像装置による検知精度を十分に高くすることができる。アライメントマーク11が深さを有する凹部(例えば、溝又は穴等)で構成される場合、その深さは10~50μmであってよい。ただし、アライメントマーク11が深さを有することは必須ではなく、二次元の模様であってよい。
【0033】
識別マーク12は、二次元コードであり、複数の凹部12aが所定の規則に従って並んで構成される。識別マーク12は、例えばQRコード(登録商標)等の二次元バーコードであってよく、バーコード等の一次元コードであってもよい。また、例えば凹部12aの深さに関する情報も利用して三次元コードとしてもよい。また、識別マーク12は、凹部12aで構成されるものに限定されず、例えば二次元の模様で構成されるものであってよいし、凹部12aと模様が組み合わされたものであってもよい。
【0034】
識別マーク12は、セラミックス基板100を識別するために設けられる。識別マーク12は何らかの情報と関連付けられたコードであってよい。情報としては、例えば、ロット、製造履歴、製品の種類、用途、品質、及び製造条件に関するものが挙げられる。識別マーク12を用いることによって、製造条件を最適化したり、品質、工程管理の精度、及びトレーサビリティ等を向上したりすることができる。
【0035】
識別マーク12は、例えば、以下(a),(b),(c)及び(d)の情報のうち1又は2以上がコード化されたものであってよい。
(a)セラミックス基板用のグリーンシートを製造する際の原材料に関する情報
(b)上記グリーンシートの成形条件に関する情報
(c)上記グリーンシートを積層する際に用いる離型剤に関する情報
(d)上記グリーンシート又はセラミックス基板のシリアルナンバー(通し番号)
【0036】
識別マーク12も、例えば、カメラ又はビデオ等の撮像装置によって検出可能に構成される。撮像装置は、例えば撮像した画像と予め記録された情報とを照合し、照合結果に基づいて情報を出力する情報処理部を有していてよい。
【0037】
識別マーク12を構成する凹部12aの深さは10~100μmであってよく、12~80μmであってよい。識別マーク12のサイズは、平面視で、各辺の長さが1~5mm程度であってよい。このようなサイズを有する識別マーク12であれば、セラミックス基板100のうち有効に利用できる部分を十分に大きくするとともに、撮像装置による検知精度を十分に高くすることができる。
【0038】
アライメントマーク11及び識別マーク12の位置及び数は、上述のものに限定されない。アライメントマーク11及び識別マーク12は、本実施形態のように端部10において互いに隣り合って設けられてもよいし、互いに離して設けられてもよい。また、アライメントマーク11及び識別マーク12の数は同じではなく異なっていてもよい。
【0039】
図3は、別の実施形態に係るセラミックス基板の平面図である。図3のセラミックス基板101は、図1及び図2に示すセラミックス基板100とは、アライメントマークの数、位置及び形状が異なっている。セラミックス基板101は、主面101Aの端部10に、円形である2つのアライメントマーク11Aが設けられている。2つのアライメントマーク11は、図3の左右の端部10のそれぞれにおいて、図3の上下方向における中央付近に設けられている。セラミックス基板101のアライメントマーク11以外の構成は、セラミックス基板100と同じであってよい。
【0040】
図4は、さらに別の実施形態に係るセラミックス基板の平面図である。図4のセラミックス基板102は、図1及び図2に示すセラミックス基板100とは、アライメントマーク及び識別マークの数及び位置が異なっている。また、区画線L3,L4が主面102Aの外縁まで伸びていない点でも異なっている。セラミックス基板102は、主面102Aの端部10のうち、互いに対角関係にある2つの角部付近にアライメントマーク11がそれぞれ設けられている。また、一方のアライメントマーク11の近傍に1つの識別マーク12が設けられている。
【0041】
セラミックス基板100,101,102のいずれも、主面100A,101A、102Aにアライメントマーク11,11Aを有することからセラミックス基板100,101,102を加工する際の位置合わせ精度を向上することができる。これによって不良品が発生したり、レーザー加工の際に識別マーク12を傷つけたりすることを抑制できる。アライメントマーク11,11A及び識別マーク12は端部10に設けられていることから、端部10よりも内側の部分を各種部品及び製品に用いることができる。このように、セラミックス基板100,101,102の大部分を有効利用することが可能となり、セラミックス基板100,101,102を用いる製品及び部品の製造コストを低減することができる。また、セラミックス基板100,101,102は、識別マーク12を端部10に有するため、トレーサビリティを向上し、品質管理を効率的に行うことができる。
【0042】
本開示のセラミックス基板は、上述のセラミックス基板100,101,102に限定されない。例えば、アライメントマークは、必ずしも複数設ける必要はなく、一つであってもよい。ただし、アライメントマークを2つ以上有することによって、位置合わせの精度を十分に高くすることができる。また、2つ以上のアライメントマークは、主面の端部において互いに離して設けることによって、位置合わせの精度を一層高くすることができる。例えば主面の外形が矩形である場合は互いに対角関係にある2つの角部に設けてよく、4つの角部に設けてもよい。
【0043】
上述のセラミックス基板は、いずれも、主面の外縁14と区画線L1及び区画線L2の少なくとも一方とによって区画される端部10にアライメントマーク11(11A)と識別マーク12を有する。ただし、これに限定されるものではなく、端部10以外の位置にアライメントマーク又は識別マークを有していてもよい。また、識別マークを有していなくてもよい。アライメントマーク11よりも中心C寄りに区画部(区画線)を有していれば、位置合わせの精度を高くしつつセラミックス基板を有効利用することができる。
【0044】
図5は、一実施形態に係る複合基板の斜視図である。複合基板200は、互いに対向するように配置された一対の金属基板110と、一対の金属基板110の間にセラミックス基板100を備える。一対の金属基板110は、セラミックス基板100の主面100A及び主面100Bを覆うようにセラミックス基板100に接合されている。金属基板110としては、銅板が挙げられる。セラミックス基板100と、金属基板110の形状及びサイズは同じであってもよいし、異なっていてもよい。金属基板110とセラミックス基板100は、例えば、ろう材によって接合されていてもよい。
【0045】
複合基板200はセラミックス基板100を備えることから、接合の際の位置合わせを簡便に行うことができる。また、複合基板200は、位置合わせ精度を高くすることが可能なセラミックス基板100を備えることから、セラミックス基板100と金属基板110の位置精度に優れる。
【0046】
図6は、別の実施形態に係る複合基板の斜視図である。複合基板210は、互いに対向するように配置された金属基板112,110と、金属基板112,110の間にセラミックス基板102を備える。金属基板112は、セラミックス基板102の主面102Aを覆うようにセラミックス基板102に接合されている。金属基板110は、主面102Aとは反対側の主面を覆うようにセラミックス基板102に接合されている。金属基板112,110とセラミックス基板102は、例えば、ろう材によって接合されていてもよい。
【0047】
金属基板112は、2つの切り欠き部25を有している。切り欠き部25は、セラミックス基板102のアライメントマーク11の位置に対応する部分に形成されている。このため、一方の切り欠き部25からアライメントマーク11及び識別マーク12が露出し、他方の切り欠き部25からアライメントマーク11が露出している(不図示)。このように、アライメントマーク11が露出する切り欠き部25を有することによって、例えば、金属基板112とセラミックス基板102の接合、金属基板112へのレジスト塗布、及び回路形成等の際の位置合わせ精度を向上することができる。また、切り欠き部25から識別マーク12を露出させることによって、複合基板210のトレーサビリティを向上することができる。
【0048】
複合基板210は、一方の金属基板112のみが切り欠き部25を有しているが、セラミックス基板の両方の主面にアライメントマーク11が設けられている場合は、両方の金属基板に切り欠き部25を設けてもよい。また、アライメントマーク11の形状、数及び位置に応じて、切り欠き部25の形状、数及び位置を適宜調整してよい。また、切り欠き部25に代えて貫通孔を有し、当該貫通孔からアライメントマーク11、又はアライメントマーク11及び識別マーク12が露出する金属基板を備えていてもよい。
【0049】
本開示の複合基板は、上述のものに限定されない。例えば、セラミックス基板100,102ではなく、セラミックス基板101を備えていてもよいし、これらとは異なるセラミックス基板を備えていてもよい。複合基板の一例としては、セラミックス基板が窒化アルミニウム又は窒化ケイ素で構成され、金属基板がアルミニウムで構成されるものが挙げられる。
【0050】
図7は、一実施形態に係る回路基板の斜視図である。回路基板300は、セラミックス基板100と、セラミックス基板100を挟んで対向配置された導体部20と、を備える。導体部20は、区画部18毎に独立して、主面100A及び主面100B上に設けられている。すなわち、区画部18毎に、互いに対向するように配置された一対の導体部20が設けられている。セラミックス基板100の主面100Aの端部10において、アライメントマーク11及び識別マーク12が露出している。
【0051】
回路基板300は、区画線L1,L2に沿って切断され、複数の分割基板に分割される。回路基板300は、セラミックス基板100の主面100Aにおいてアライメントマーク11が露出していることから、例えば、分割の際の位置合わせ精度を向上することができる。また、回路基板300は、有効に利用できる部分の割合が高いセラミックス基板100を用いているため、回路基板300及び分割基板を低い製造コストで製造することができる。分割基板は例えばパワーモジュール等の部品として用いられる。分割基板における導体部20には、例えば電子部品が実装される。
【0052】
本開示の回路基板は、上述のものに限定されない。例えば、セラミックス基板100ではなく、セラミックス基板101又はセラミックス基板102を備えていてもよいし、これらとは異なるセラミックス基板を備えていてもよい。回路基板の一例としては、セラミックス基板が窒化アルミニウム又は窒化ケイ素で構成され、導体部が銅又はアルミニウムで構成されるものが挙げられる。
【0053】
一実施形態に係るセラミックス基板の製造方法として、セラミックス基板100の製造方法を説明する。セラミックス基板100の製造方法は、主面にアライメントマークを有するセラミックスの基材を得る工程と、基材の主面にレーザー光を照射して主面を複数に区画する区画線L1,L2を形成してセラミックス基板100を得る工程と、を有する。
【0054】
図8は、セラミックスの基材の一例を示す平面図である。セラミックスの基材90は、以下の手順で製造することができる。まず、無機化合物の粉末、バインダ樹脂、焼結助剤、可塑剤、分散剤、及び溶媒等を含むスラリーを成形してグリーンシートを得る。
【0055】
無機化合物の例としては、窒化ケイ素(Si)、窒化アルミニウム(AlN)、炭化ケイ素、及び酸化アルミニウム等が挙げられる。焼結助剤としては、希土類金属、アルカリ土類金属、金属酸化物、フッ化物、塩化物、硝酸塩、及び硫酸塩等が挙げられる。これらは一種のみ用いてもよいし二種以上を併用してもよい。焼結助剤を用いることにより、無機化合物粉末の焼結を促進させることができる。バインダ樹脂の例としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、及び(メタ)アクリル系樹脂等が挙げられる。
【0056】
可塑剤の例としては、精製グリセリン、グリセリントリオレート、ジエチレングリコール、ジ-n-ブチルフタレート等のフタル酸系可塑剤、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル等の二塩基酸系可塑剤等が挙げられる。分散剤の例としては、ポリ(メタ)アクリル酸塩、及び(メタ)アクリル酸-マレイン酸塩コポリマーが挙げられる。溶媒としては、エタノール及びトルエン等の有機溶媒が挙げられる。
【0057】
スラリーの成形方法の例としては、ドクターブレード法及び押出成形法が挙げられる。成形したグリーンシートの主面に、レーザー光を照射して、アライメントマーク及び識別マークを構成する凹部を形成する。凹部の形成には、例えば、赤外線レーザー、可視光レーザー又は紫外線レーザーを用いてよい。
【0058】
次に、主面に凹部が形成されたグリーンシートの脱脂及び焼結を行って、セラミックスの基材90が得られる。脱脂は、例えば、400~800℃で、0.5~20時間加熱して行ってよい。これによって、無機化合物の酸化及び劣化を抑制しつつ、有機物(炭素)の残留量を低減することができる。焼結は、窒素、アルゴン、アンモニア又は水素等の非酸化性ガス雰囲気下、1700~1900℃に加熱して行う。これによって、基材90を得ることができる。
【0059】
グリーンシートの段階でアライメントマークを設けておけば、脱脂及び焼結の工程においても、位置合わせを高い精度で行うことができる。また、アライメントマークとともに識別マークを設けておけば、グリーンシートの段階までトレーサビリティを確保することができる。ただし、グリーンシートの段階でアライメントマーク及び識別マークを設けることは必須ではなく、少なくとも一方は、例えば基材90を作製した後に設けてもよい。
【0060】
上述の脱脂及び焼結は、グリーンシートを複数積層した状態で行ってもよい。アライメントマークを有するグリーンシートは高い位置精度で積層することができる。積層して脱脂及び焼結を行う場合、焼成後の基材の分離を円滑にするため、グリーンシート間に離型剤による離型層を設けてよい。離型剤としては、例えば、窒化ホウ素(BN)を用いることができる。離型層は、例えば、窒化ホウ素の粉末のスラリーを、スプレー、ブラシ、ロールコート、又はスクリーン印刷等の方法により塗布して形成してよい。ここでアライメントマークを利用すれば、離型層の位置精度も向上することができる。積層するグリーンシートの枚数は、セラミックス基板の量産を効率的に行いつつ、脱脂を十分に進行させる観点から、例えば8~100枚であってよく、30~70枚であってもよい。
【0061】
このようにして、主面にアライメントマーク11を有するセラミックスの基材90を得ることができる。通常、焼成の際、グリーンシートは均一に収縮しない。このため、得られた基材90を図8の切断線CL1に沿って切断し、外縁部を切り落としてもよい。これによって、セラミックス基板の寸法精度を向上することができる。さらに、切断の際、アライメントマーク11を用いて位置合わせを行えば、セラミックスの基材の寸法を高い精度で制御することができる。基材90の切断は、レーザー光によって行うことができる。
【0062】
基材90の切断前、切断後又は切断と同時に、基材90の一方の主面及び必要に応じて他方の主面にレーザー光を照射して、区画線L1,L2となるスクライブラインを形成する。このときも、アライメントマーク11を用いて位置合わせを行うことによって、区画線L1,L2の位置精度を高くすることができる。これによって、識別マーク12を誤って傷つけることを十分に抑制できる。区画線L1,L2は、後工程において、回路基板300を分割する際の切断線となる。切断及びスクライブラインの形成に用いるレーザー源としては、例えば、炭酸ガスレーザー及びYAGレーザー等が挙げられる。
【0063】
このようにして、図1及び図2に示すようなセラミックス基板100が得られる。セラミックス基板101,102も同様にして製造することができる。基材90がアライメントマーク11を有していることから、端部10のサイズを小さくして端部10に識別マーク12を設けても、区画線L1,L2を形成する際に識別マーク12が傷つくことを抑制できる。また、識別マーク12を区画線L1,L2形成後に設ける場合でも、狭い端部10に識別マーク12を高い位置精度で設けることができる。
【0064】
一実施形態に係る複合基板の製造方法は、上述のセラミックス基板100を用いる。すなわち、この製造方法は、セラミックス基板100の主面100A及び主面100Bを覆うようにそれぞれ金属基板110を積層し、一対の金属基板110をセラミックス基板100に接合して複合基板を得る工程を有する。金属基板110は、セラミックス基板100と同様の平板形状であってよい。一対の金属基板110は、ろう材を介して、セラミックス基板100の主面100A及び主面100Bにそれぞれ接合される。
【0065】
具体的には、まず、セラミックス基板100の主面100A及び主面100Bに、ロールコーター法、スクリーン印刷法、又は転写法等の方法によってペースト状のろう材を塗布する。ろう材は、例えば、銀及びチタン等の金属成分、有機溶媒、及びバインダ等を含有する。ろう材の粘度は、例えば5~20Pa・sであってよい。ろう材における有機溶媒の含有量は、例えば、5~25質量%、バインダ量の含有量は、例えば、2~15質量%であってよい。
【0066】
図9は、ろう材40が塗布されたセラミックス基板100を示す斜視図である。図9には、主面100A側のみを示しているが、主面100B側にも同様にろう材40が塗布されていてよい。ろう材40を塗布する際、アライメントマーク11を用いて位置合わせを行うことによって、主面100A及び主面100Bにおけるろう材40の位置精度を高くすることができる。また、金属基板110をセラミックス基板100の主面100A及び主面100Bに貼り合わせる際にもアライメントマーク11を用いて位置合わせを行うことによって、複合基板200におけるセラミックス基板100と金属基板110の位置精度を高くすることができる。
【0067】
このようにして、ろう材40が塗布されたセラミックス基板100の主面100A及び主面100Bに、金属基板110を貼り合わせる。その後、加熱炉で加熱してセラミックス基板100と金属基板110とを十分に接合させて、図5に示す複合基板200を得る。加熱温度は例えば700~900℃であってよい。炉内の雰囲気は窒素等の不活性ガスであってよく、大気圧未満の減圧下で行ってもよいし、真空下で行ってもよい。加熱炉は、複数の接合体を連続的に製造する連続式のものであってもよいし、一つ又は複数の接合体をバッチ式で製造するものであってもよい。加熱は、接合体を積層方向に押圧しながら行ってもよい。
【0068】
変形例では、金属基板110の代わりに、四隅に切り欠き部を有する金属基板を用いてもよい。これによって、切り欠き部からアライメントマーク11及び識別マーク12が露出した複合基板を得ることができる。別の変形例では、図4のセラミックス基板102を金属基板112及び金属基板110で挟むようにして接合して図6の複合基板210を得てもよい。
【0069】
これらの製造方法では、アライメントマークを有するセラミックス基板を用いることから、接合の際の位置合わせを簡便に行うことができる。このため、低い製造コストで複合基板を製造することができる。また、位置合わせ精度を高くすることが可能なセラミックス基板を用いることから、セラミックス基板と金属基板の位置合わせ精度を高くすることができる。
【0070】
一実施形態に係る回路基板の製造方法は、上述の複合基板の製造方法に引き続いて、複合基板200における金属基板110の一部を除去して区画部18毎に独立した導体部20を形成する工程を行う。この工程は、例えば、フォトリソグラフィによって行ってよい。具体的には、まず、図10に示すように、複合基板200の主面200Aに感光性を有するレジストを印刷する。そして、露光装置を用いて、所定形状を有するレジストパターンを形成する。レジストはネガ型であってもよいしポジ型であってもよい。未硬化のレジストは、例えば洗浄によって除去する。
【0071】
図10は、主面200Aにレジストパターン30が形成された複合基板200を示す斜視図である。図10には、主面200A側のみを示しているが、主面200B側にも同様のレジストパターンが形成される。レジストパターン30は、主面200A及び主面200Bにおいて、セラミックス基板100の各区画部18に対応する領域に形成される。
【0072】
レジストパターン30を形成した後、エッチングによって、金属基板110のうちレジストパターン30に覆われていない部分を除去する。これによって、当該部分にはセラミックス基板100の主面100A及び主面100Bが露出する。このとき、図7に示すように、主面100A(100B)の端部にあるアライメントマーク11及び識別マーク12が露出する。その後、レジストパターン30を除去して、区画部18毎に独立した導体部20を形成する。この導体部20は、図7に示すように、区画部18毎にセラミックス基板100を挟んで対をなすように形成される。以上の工程によって、図7に示すような回路基板300が得られる。
【0073】
このような製造方法で得られる回路基板300は、セラミックス基板100の主面100A(100B)においてアライメントマーク11が露出していることから、例えば、分割して分割基板を得る際の位置合わせ精度を向上することができる。また、セラミックス基板100を用いているため、低い製造コストで回路基板300を製造することができる。
【0074】
変形例では、複合基板200に代えて図6に示す複合基板210を用いてもよい。複合基板210では、切り欠き部25からアライメントマーク11が露出していることから、導体部20を形成するためのレジストパターン30の形成、及びエッチングの際にも、アライメントマーク11を用いて位置合わせを行うことができる。このため、導体部20の形状精度を十分に高くすることができる。また、切り欠き部25から識別マーク12が露出していることから、セラミックス基板102から回路基板300を得るまで、一貫してトレーサビリティを確保することができる。
【0075】
以上、本開示の幾つかの実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、各区画部18に設けられる導体部20の形状は同一である必要はなく、区画部18毎に異なる形状を有していてもよい。また、セラミックス基板及び複合基板は、四角柱状以外の形状を有していてもよい。
【0076】
回路基板300における導体部20には任意の表面処理を施してもよい。例えば、ソルダーレジスト等の保護層で導体部20の表面の一部を被覆し、導体部20の表面の他部にめっき処理を施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本開示によれば、位置合わせ精度を高くすることが可能なセラミックス基板及びその製造方法を提供することができる。また、本開示は、金属基板とセラミックス基板の位置精度に優れる複合基板及びその製造方法を提供することができる。また、本開示は、分割して分割基板を得る際の位置合わせ精度に優れる回路基板、及びその製造方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0078】
10…端部、11,11A…アライメントマーク、12…識別マーク、12a…凹部、14…外縁、18…区画部、20…導体部、25…切り欠き部、30…レジストパターン、40…ろう材、90…基材、100,101,102…セラミックス基板、100A,101A,102A,200A…主面(おもて面)、100B,200B…主面(裏面)、110,112…金属基板、200,210…複合基板、300…回路基板、L1,L2,L3,L4…区画線,C…中心。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10