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特許7465882血管内石灰化病変用アテレクトミーデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】血管内石灰化病変用アテレクトミーデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/3207 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
A61B17/3207
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021546844
(86)(22)【出願日】2020-07-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-17
(86)【国際出願番号】 CN2020100091
(87)【国際公開番号】W WO2021169135
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2021-08-10
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521353791
【氏名又は名称】為泰医療器械(深▲セン▼)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】張 永▲チ▼
【審査官】羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-503966(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0299391(US,A1)
【文献】国際公開第2011/106606(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/181521(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アテレクトミーヘッドを設けた血管内石灰化病変用アテレクトミーデバイスであって、前記アテレクトミーヘッドは、ウォーターポンプを用いて水力タービンの駆動によって回転され、
前記水力タービンは、水車と動力伝達増速機構とから構成されると共に、
前記水車と前記動力伝達増速機構と前記アテレクトミーヘッドとは、同軸上に連結され、
前記ウォーターポンプは、定圧ウォーターポンプであり、
前記水車には前記定圧ウォーターポンプで加圧された流体が流入する流入口と、前記流体により中央軸を回転する水車回転子と、流体が流出する流出口とを備え、
前記定圧ウォーターポンプが流量制御弁、前記水力タービンを介して前記アテレクトミーヘッドに接続され、
前記流量制御弁の制御により、前記定圧ウォーターポンプの出力液圧が50Mpa以上で、前記アテレクトミーヘッドの回転数が70000~150000rad/minの範囲で、前記流量制御弁から前記流入口に向かう出力液体流量を調整し、前記アテレクトミーヘッドの回転数を70000~150000rad/min範囲の特定の値に制御され、
前記水車にシェルアセンブリ(2)が設けられ、前記シェルアセンブリ(2)内に前記水車回転子(1)が同軸に設けられ、前記シェルアセンブリ(2)の円筒の内径は、16~30mmの範囲、外径が18~34mmの範囲であり、円筒の中央部が円筒よりも直径が小さいそれぞれ前記流入口、前記流出口である別の2つの円筒と半径方向に沿って接続され、流入口、流出口の軸線が30°~60°の角度を成し、かつ、前記流入口、前記流出口の軸線は円筒の軸線に垂直であり、;前記水車回転子(1)に前記中央軸が設けられ、前記中央軸の軸線に沿って貫通穴が設けられ、前記中央軸に少なくとも2つのブレードが連結され、
前記動力伝達増速機構は、一次遊星増速歯車機構と二次遊星増速歯車機構とを連結し、前記アテレクトミーヘッドに六角形の中空軸が設けられ、前記六角形の中空軸の一端は、前記二次遊星増速歯車機構の出力軸と取り外し可能な連結構造を形成し、他端がアテレクトミースパイラルチューブの一端に連結され、前記アテレクトミースパイラルチューブの他端に前記アテレクトミーヘッドが外嵌され、前記アテレクトミースパイラルチューブが前記アテレクトミーヘッドから突き出す
ことを特徴とする、血管内石灰化病変用アテレクトミーデバイス。
【請求項2】
前記水力タービンは、水車と動力伝達増速機構を連結することよって構成されることを特徴とする、請求項1に記載の血管内石灰化病変用アテレクトミーデバイス。
【請求項3】
前記アテレクトミーヘッドの軸方向断面は、ひょうたん形であり、ひょうたん形の小端部が遠位端に面し、前記アテレクトミースパイラルチューブの軸線が前記アテレクトミーヘッドの軸線と重なることを特徴とする、請求項1に記載の血管内石灰化病変用アテレクトミーデバイス。
【請求項4】
前記アテレクトミーヘッドの軸方向断面は、台形と矩形の組み合わせた後の形状であり、台形の底部が矩形の長辺と重なり、前記アテレクトミースパイラルチューブの軸方向断面が矩形と重なり、前記アテレクトミースパイラルチューブの軸方向断面の上部外縁が前記アテレクトミーヘッドの台形の底部と重なることで、偏心アテレクトミーヘッドを構成させることを特徴とする、請求項1に記載の血管内石灰化病変用アテレクトミーデバイス。
【請求項5】
前記アテレクトミーヘッドの軸方向断面の遠位端は、ひょうたん形の小端形状であり、前記アテレクトミースパイラルチューブの軸線がひょうたん形の軸線と重なり、ひょうたん形小端の大きな外径を小端部とし、軸方向に沿って近位端に向けて第1円錐形を延在し、前記第1円錐形の大端部が円柱状に延在し、円柱状の外径を大端部として近位端に沿って第2円錐形を延在し、前記第2円錐形の小端部を第3円錐形の大端部とし、近位端に沿って前記第3円錐形を延在し、円柱状の長さが前記第1円錐形の軸方向の長さよりも短く、前記アテレクトミーヘッドの軸方向断面の下部が軸方向に沿って切り取られ、その下部外縁が前記第1円錐形の小端部の外径と同じになり、前記第3円錐形の大端部まで、偏心アテレクトミーヘッドを構成させることを特徴とする、請求項1に記載の血管内石灰化病変用アテレクトミーデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器に関し、特に、冠動脈石灰化病変への治療介入の機器に関する。
【背景技術】
【0002】
回転式アテレクトミー(Rotational atherectomy)は、例えば高度石灰化病変などの一部の特殊な病変に対する経皮的冠動脈インターベンションPCIをスムーズに完了させるために不可欠な手術である。高度狭窄、高度石灰化又は線維化の一部病変にとって、臨床的に有益な介入治療手段である。従来技術では、アテレクトミーデバイスを用い、人体の冠動脈内に介入する高速回転ダイヤモンドドリルで、動脈内の病変を削って高度閉塞している冠動脈を開通させる。1つは、高速モータの駆動を利用してダイヤモンドドリルを回転させものがあり、代表的な製品がCSI Diamondback 360 Coronary Orbital Atherectomy Systemである。もう1つは、高圧ガスの動力伝達を利用してガスの運動エネルギーをダイヤモンドドリル回転の機械的エネルギーに変換するもので、代表的な製品がボストン・サイエンティフィック社製Rotablatorである。
【0003】
上記の2つのアテレクトミーデバイスは、同時に次の欠点がある。
1.人体内でダイヤモンドドリルとドリルキャリアの高速回転は、大量の熱を発生し、血管痙攣、急性血栓症、急性心筋梗塞などの一連の合併症を患者に生じる可能性があり;
2.使用過程で、大量の潤滑冷却液を人体の動脈内に投与し、人体の腎臓に大きな負担をかけ;
3.使用過程で、駆動モータ及び高圧ガスが大きな騒音を発生し;
4.アテレクトミーヘッドが病変のアテレクトミー施行く過程で発生したアテレクトミー後の残余粒子が血液と潤滑剤によって洗い流して血管病変の遠位端に流れ込む。
【0004】
上記の2つのアテレクトミーデバイスは、各々次の欠点がある。
1.モータ駆動のダイヤモンドドリル構造形状が血管内の正方向狭窄の大面積閉塞(詰まり)病変のアテレクトミー施行について、効果的に血管を開通させにくく;モータを制御する多くの制御信号が必要とし、無線に干渉されやすく;モータ制御ボードにはバッテリーによる電力供給が必要で、バッテリーには、有効な蓄電容量時間のリスクが存在している。
2.高圧ガス動力伝達のダイヤモンドドリル構造形状は、血管壁の片側石灰化病変と血管分岐部石灰化病変の改善に適していなく;機器全体の体積も大きく、機器の接続も複雑である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、血管内石灰化病変のアテレクトミーデバイスを提供することであり、手術の安全性を向上し、コストを削減することを、その技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために以下のような技術的手段を講じた。
アテレクトミーヘッドを設けた血管内石灰化病変用アテレクトミーデバイスであって、前記アテレクトミーヘッドは、ウォーターポンプを用いて水力タービンの駆動によって回転されることを特徴とする。
【0007】
本発明のウォーターポンプは、定圧ウォーターポンプであり、定圧ウォーターポンプが流量制御弁、水力タービンを介してアテレクトミーヘッドに接続され、定圧ウォーターポンプの出力液圧が50Mpa以上で、アテレクトミーヘッドの回転数が70000~150000rad/minの範囲で、流量制御弁の出力液体流量を調整し、アテレクトミーヘッドの回転数を70000~150000rad/min範囲の特定の値に制御する。
【0008】
本発明の水力タービンは、水車と動力伝達増速機構を連結することよって構成される。
【0009】
本発明の水車と動力伝達増速機構とアテレクトミーヘッドとは、同軸上に連結される。
【0010】
本発明の水車にシェルアセンブリが設けられ、シェルアセンブリ内に水車回転子が同軸に設けられ、シェルアセンブリの円筒の内径は、16~30mmの範囲、外径が18~34mmの範囲であり、円筒の中央部が円筒よりも直径が小さいそれぞれ流入口、流出口である別の2つの円筒と半径方向に沿って接続され、流入口、流出口の軸線が円筒の軸線に垂直で、30°~60°に分布し;前記水車回転子に中央軸が設けられ、中央軸の軸線に沿って貫通穴が設けられ、中央軸に少なくとも2つのブレードが連結される。
【0011】
本発明の動力伝達増速機構は、一次遊星増速歯車機構と二次遊星増速歯車機構とを連結することによって構成される。
【0012】
本発明のアテレクトミーヘッドに六角形の中空軸が設けられ、六角形の中空軸の一端は、二次遊星増速歯車機構の出力軸と取り外し可能な連結構造を形成し、他端がアテレクトミースパイラルチューブの一端に連結され、アテレクトミースパイラルチューブの他端にアテレクトミーヘッドが外嵌され、アテレクトミースパイラルチューブがアテレクトミーヘッドから突き出す。
【0013】
本発明のアテレクトミーヘッドの軸方向断面は、ひょうたん形であり、ひょうたん形の小端部が遠位端に面し、アテレクトミースパイラルチューブの軸線がアテレクトミーヘッドの軸線と重なる。
【0014】
本発明のアテレクトミーヘッドの軸方向断面は、台形と矩形の組み合わせた後の形状であり、台形の底部が矩形の長辺と重なり、アテレクトミースパイラルチューブの軸方向断面が矩形と重なり、アテレクトミースパイラルチューブの軸方向断面の上部外縁がアテレクトミーヘッドの台形の底部と重なることで、偏心アテレクトミーヘッドを構成させる。
【0015】
本発明のアテレクトミーヘッドの軸方向断面の遠位端は、ひょうたん形の小端形状であり、アテレクトミースパイラルチューブの軸線がひょうたん形の軸線と重なり、ひょうたん形小端の大きな外径を小端部とし、軸方向に沿って近位端に向けて第1円錐形を延在し、第1円錐形の大端部が円柱状に延在し、円柱状の外径を大端部として近位端に沿って第2円錐形を延在し、第2円錐形の小端部を第3円錐形の大端部とし、近位端に沿って第3円錐形を延在し、円柱状の長さが第1円錐形の軸方向の長さよりも短く、アテレクトミーヘッドの軸方向断面の下部が軸方向に沿って切り取られ、その下部外縁が第1円錐形の小端部の外径と同じになり、第3円錐形の大端部まで、偏心アテレクトミーヘッドを構成させる。
【発明の効果】
【0016】
従来技術と比較して、本発明は、高圧液体衝撃水車を用いて、液体の運動エネルギーを水車回転の機械的エネルギーに変換し、動力伝達増速機構を駆動してアテレクトミーヘッドの回転を実現し、人体の末梢動脈と冠動脈の血管内の高度狭窄、高度石灰化或いは線維性の粥状動脈硬化病変を開通又は改善するために用いられ、アテレクトミーヘッドの高速回転や動力伝達の騒音も低く、アテレクトミー施行によってもたらされる人体内に滞留する摩擦熱を低減し、人体への冷却と潤滑溶液の投与量を減らし、人体の腎臓代謝負荷を軽減し、安全で信頼的で、構造が単純で、コストも低い。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の構造ブロック図である。
図2】本発明の水力タービン構造の分解図である。
図3】本発明の動力伝達増速機構構造の分解図である。
図4】本発明の水車構造の分解図である。
図5】本発明の水力タービンの外形図である。
図6】本発明の水力タービン軸方向断面図である。
図7】本発明の水力タービン部材構造の分解図である。
図8】本発明の水車の軸方向断面図である。
図9】本発明の動力伝達増速機構の軸方向断面図である。
図10】本発明のアテレクトミーヘッド概略構成図である。
図11】本発明のアテレクトミースパイラルチューブの概略構成図である。
図12】本発明のアテレクトミースパイラルチューブ軸方向断面図である。
図13】本発明のアテレクトミースパイラルチューブ断面図である。
図14】本発明のアテレクトミーヘッド構造の概略図(一)である。
図15】本発明のアテレクトミーヘッド構造の概略図(二)である。
図16】本発明のアテレクトミーヘッド構造の概略図(三)である。
図17】本発明のシェルアセンブリの流入口、流出口分布を示す概略図である。
図18図17の右側面図である。
図19】本発明の水車回転子の概略構成図である。
図20図19の左側面図である。
図21】本発明の水車取り付け位置を示す概略図である。
図22図21の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面及び実施例を参照しつつ本発明をさらに詳細に説明する。本発明の血管内石灰化病変用アテレクトミーデバイスは、高圧液体衝撃水車を用いて、運動エネルギーを水車回転の機械的エネルギーに変換し、回転している水車によって動力伝達増速機構を駆動して、アテレクトミーヘッドの回転を実現し、人体の末梢動脈と冠動脈の血管内の高度狭窄、高度石灰化或いは線維性の粥状動脈硬化病変を開通又は改善する。
【0019】
図1に示すように、本発明の血管内石灰化病変用アテレクトミーデバイスは、近位端から遠位端まで、順次接続される定圧ウォーターポンプ、流量制御弁、水力タービン及びアテレクトミーヘッドが設けられ、水力タービンが水車と動力伝達増速機構を連結することによって構成される。
【0020】
定圧ウォーターポンプの出力液体(水)の圧力は、50Mpa以上で、アテレクトミーヘッドの回転数が70000~150000rad/minの範囲である。操作者は、定圧ウォーターポンプの出力液圧、手術に必要なアテレクトミーヘッドの回転数に応じて、流量制御弁の出力ポートの直径サイズを調整して、流量制御弁の出口の大きさを制御し、流量制御弁の出力液体流量の調整を実現し、アテレクトミーヘッドの回転数を70000~150000rad/minの範囲内の適正値に制御することができる。
【0021】
図2図3図4及び図5に示すように、水力タービンは、水車(図2内の右側部分、図4及び図5)と動力伝達増速機構(図2内の左辺部分と図3に示す)を連結することによって構成する。
【0022】
図6及び図7に示すように、水車と動力伝達増速機構とアテレクトミーヘッドとは、同軸上に連結される。
【0023】
図8を参照すると、水車にシェルアセンブリ2が設けられ、シェルアセンブリ2内に水車回転子1が同軸に設けられる。
【0024】
シェルアセンブリ2に円筒が設けられ、円筒の中央部が円筒よりも直径が小さいそれぞれ流入口、流出口である別の2つの円筒と半径方向に沿って接続され、図17及び図18に示すように流入口、流出口の軸線が30°~60°の角度を成し、かつ、流入口、流出口の軸線は円筒の軸線に垂直である。
【0025】
本実施例において、円筒の内径は、16~30mmの範囲を選択でき、外径が18~34mmであり得、流入口、流出口が円筒の軸線方向に沿った中央位置に設けられる。
【0026】
水車回転子1に中央軸が設けられ、中央軸の軸線に沿って貫通穴が設けられ、中央軸に少なくとも2つのブレードが連結され、水車回転子1はシェルアセンブリ2内に組み込まれ、水車回転子1の中央軸の軸線とシェルアセンブリ2の円筒の軸線が同軸である。
【0027】
図19及び図20を参照すると、本実施例においてブレードは、4つあり、その断面がL形を呈し、ステンレス鋼を用いる。L形ブレードの短辺は、それぞれ中央軸の軸方向に沿って中央軸と連結し、L形ブレードが同じ方向に向き、円周方向に沿って中央軸上に均一に分布している。水車回転子1の最大外径は、異なる円筒の内径に応じて15.8~29.8mmの範囲を選択でき、ブレードの高さが(水車回転子の最大外径値-中央軸の外径)/2=3.7mm、ブレードの長さが13mm、中央軸の長さが15mm、水車回転子1の最大外径の弧長(L形ブレードの長辺)が2mmであり、ブレードの厚さがL形ブレードの短辺端部からL形ブレードの長辺端部へ徐々に薄くなり、つまり1.85mmから0.9mmである。
【0028】
図21及び図22に示すように、水車回転子1はシェルアセンブリ2内に取り付けられ、水車回転子1の最大外径とシェルアセンブリ2の内径との差が0.2mmで、水車回転子1がシェルアセンブリ2の中央位置にあり、この構造は、水車回転子1がシェルアセンブリ2内で回転することで起きる液体キャビテーションを防止できる。
【0029】
水車回転子1の中央軸の両端がリング状のベアリングアセンブリ5の穴内に支持され、ベアリングアセンブリ5は、ベアリング押さえ板4を介してシェルアセンブリ2の円筒内に設けられる。ベアリング押さえ板4は、端面が開いた蓋形状を呈し、蓋端部がブレードに面する。ベアリング押さえ板4の蓋端部に円環状シール仕切板3が設けられる。水車回転子1の中央軸の両端部付近の外縁に円周方向に沿って環状シール溝が設けられ、シール溝内に防水環状ゴムパッキン8が嵌め込まれるように設けられる。二組のシール仕切板3、ベアリング押さえ板4、ベアリングアセンブリ5、防水パッキン8及びシェルアセンブリ2で密封した空洞部を画成し、前記密封した空洞部が水車回転子1の回転領域であり、密封した空洞部により水車回転子1は加圧された液体がブレードを洗い流す時中央軸を回転させる。
【0030】
水車回転子1の両端に環状の押さえ板6及び円形の底板7が設けられ、水車の全体的な構造を構成する。押さえ板6の外側、シェルアセンブリ2の円筒の内穴が雌ねじで、遊星ギアキャリアアセンブリ11とのねじ込み結合に用いられる。
【0031】
水車が動作する時、加圧された液体が流入口から流入し、ブレードを洗い流した後、流出口から流出される。流量制御弁の出口の大きさを調整することにより、水流量を調整して、水車回転子1の中央軸の回転数を制御できる。
【0032】
図9に示すように、動力伝達増速機構に六角軸9が設けられる。六角軸9は、水車回転子1の中央軸と取り外し可能に連結され、水車回転子1の中央軸の回転により生じるトルクを六角軸9に伝達する。六角軸9の水車回転子1の中央軸と連結する端の軸断面が六角形であり、水車回転子1の中央軸の貫通穴の対応する六角形と取り外し可能な連結を形成する。
【0033】
六角軸9の中央の軸は、フランジベアリング10とベアリングアセンブリ19の内穴に設けられ、フランジベアリング10と隙間ばめを形成し、ベアリングアセンブリ19と締まりばめを形成する。ベアリングアセンブリ19の一端は、フランジベアリング10の一端に隣接し、フランジベアリング10の他端に位置規制用の環状ベアリングガード18及びサークリップ17が設けられる。フランジベアリング10及びベアリングアセンブリ19は、遊星ギアキャリア11の一端の内穴に嵌設され、遊星ギアキャリア11が円筒状であり、フランジベアリング10とベアリングアセンブリ19にある端が雄ねじで、シェルアセンブリ2の円筒の雌ねじとねじ込み結合を形成する。遊星ギアキャリア11の他端は、雌ねじである。
【0034】
ベアリングアセンブリ19の他端、遊星ギアキャリア11内に一次遊星増速歯車機構及びその出力端と連結する二次遊星増速歯車機構が順次設けられる。
【0035】
一次遊星増速歯車機構に一次遊星増速歯車底板12、3つの一次遊星増速歯車軸20及び連結される一次遊星増速歯車21、一次遊星増速歯車21と噛み合う一次遊星増速太陽歯車13が設けられる。一次遊星増速歯車底板12の軸方向断面は、T字形を呈し、軸方向中心貫通穴が六角軸9の他端と接続し、小端部が六角軸9に面し、大端部の端面に3つの均一に分布している貫通穴が穿設され、一次遊星増速歯車軸20の一端が各々3つの均一に分布している貫通穴内に固定配置され、一次遊星増速歯車軸20の他端に一次遊星増速歯車21が連結され、3つの一次遊星増速歯車21が一次遊星増速太陽歯車13と噛み合い、一次遊星増速太陽歯車13の軸線と一次遊星増速歯車底板12の軸方向中心貫通穴とが同軸である。一次遊星増速太陽歯車13の軸は、一次増速後の回転速度を出力する。
【0036】
六角軸9が回転した時一次遊星増速歯車底板12を回転させ、一次遊星増速歯車底板12に均一に分布された3本の一次遊星増速歯車軸20が一次遊星増速歯車底板12の軸線を中心に回転させ、一次遊星増速歯車軸20に連結される一次遊星増速歯車21が一次遊星増速歯車底板12の軸線を中心に回転させ、一次遊星増速歯車21と噛み合う一次遊星増速太陽歯車13を回転させ、回転速度を出力する。
【0037】
二次遊星増速歯車機構に二次遊星増速歯車底板22、3つの二次遊星増速歯車軸23及び連結される二次遊星増速歯車24、二次遊星増速歯車24と噛み合う二次遊星増速太陽歯車14が設けられる。二次遊星増速歯車底板22の軸方向断面は、T字形を呈し、軸方向中心貫通穴が一次遊星増速太陽歯車13の軸と接続し、小端部が一次遊星増速太陽歯車13に面し、大端部の端面に3つの均一に分布している貫通穴が穿設され、二次遊星増速歯車軸23の一端が各々3つの均一に分布している貫通穴内に固定配置され、二次遊星増速歯車軸23の他端に二次遊星増速歯車24が連結され、3つの二次遊星増速歯車24が二次遊星増速太陽歯車14と噛み合い、二次遊星増速太陽歯車14の軸線と一次遊星増速太陽歯車13の軸とが同軸である。二次遊星増速太陽歯車14の軸は、二次増速後の回転速度を出力する。二次遊星増速太陽歯車14に連結される出力軸の断面は、六角形である。
【0038】
一次遊星増速太陽歯車13は、二次遊星増速歯車底板22を回転させ、二次遊星増速歯車底板22に均一に分布された3本の二次遊星増速歯車軸23が二次遊星増速歯車底板22の軸線を中心に回転させ、二次遊星増速歯車軸23に連結される二次遊星増速歯車24が二次遊星増速歯車底板22の軸線を中心に回転させ、二次遊星増速歯車24と噛み合う二次遊星増速太陽歯車14を回転させ、回転速度を出力する。
【0039】
二次遊星増速歯車機構の出力端に環状の潤滑油バッフルプレートアセンブリ15が設けられ、バッフルプレートアセンブリ15の外側に蓋板16が設けられ、蓋板16が遊星ギアキャリア11の他端の雌ねじとねじ込み結合される。
【0040】
図10に示すように、動力伝達増速機構の出力端に連結されるアテレクトミーヘッドに六角形の中空軸が設けられ、六角形の中空軸の一端は、二次遊星増速歯車機構の出力軸及び二次遊星増速太陽歯車14の出力軸と取り外し可能な連結構造を形成し、六角形の中空軸の他端がアテレクトミースパイラルチューブの一端と溶接接合される。
【0041】
図11図12及び図13に示すように、アテレクトミースパイラルチューブは、少なくとも2本のステンレス鋼線を螺旋状に巻回することによって形成される。本実施例は、3本あり、1本のスパイラル鋼線のピッチP=0.5mm、外径OD=0.8255mm、内径ID=0.495mm、ステンレス鋼線の外径d=0.165mm、螺旋角α=11°となり、回転方向が右回りである。ステンレス鋼線を螺旋状に巻回した後、2000℃以上の温度で成形熱処理してから得られ、優れたトルク伝達能力、良好な曲げ能力を持つため、血管の複雑な屈曲部を通過できる。
【0042】
図14に示すように、アテレクトミースパイラルチューブの他端にアテレクトミーヘッドが設けられ、アテレクトミーヘッドは、アテレクトミースパイラルチューブの遠位端付近に外嵌され、アテレクトミースパイラルチューブの遠位端がアテレクトミーヘッドから突き出し、レーザ溶接で接合する。アテレクトミーヘッドの軸方向断面は、ひょうたん形で、ひょうたん形の小端部が遠位端に面し、アテレクトミースパイラルチューブの軸線がアテレクトミーヘッドの軸線と重なる。この形状のアテレクトミーヘッド構造は、血管中の正方向狭窄の大面積閉塞(詰まり)の状態に適する。
【0043】
図15に示すように、アテレクトミーヘッドの軸方向断面は、台形と矩形の組み合わせた後の形状であり、台形の底部が矩形の長辺と重なり、アテレクトミースパイラルチューブの軸方向断面が矩形と重なり、アテレクトミースパイラルチューブの軸方向断面の上部外縁がアテレクトミーヘッドの台形の底部と重なることで、偏心アテレクトミーヘッドを構成させる。アテレクトミースパイラルチューブは、アテレクトミーヘッドの遠位端から2~3cm突き出す。この形状のアテレクトミーヘッドは、血管中の正方向狭窄の大面積閉塞(詰まり)を削り取ることを目的とし、血管壁の片側石灰化病変及び血管分岐部石灰化病変の改善に適する。
【0044】
図16に示すように、アテレクトミーヘッドの軸方向断面の遠位端は、ひょうたん形の小端形状であり、ひょうたん形の小端部が遠位端に面し、アテレクトミースパイラルチューブの軸線がひょうたん形の軸線と重なり、ひょうたん形小端の大きな外径を小端部とし、軸方向に沿って近位端に向けて第1円錐形を延在し、第1円錐形の大端部が円柱状に延在し、円柱状の外径を大端部として近位端に沿って第2円錐形を延在し、第2円錐形の小端部を第3円錐形の大端部とし、近位端に沿って第3円錐形を延在し、円柱状の長さが第1円錐形の軸方向の長さよりも短く、アテレクトミーヘッドの軸方向断面の下部が軸方向に沿って切り取られ、その下部外縁が第1円錐形の小端部の外径と同じになり、第3円錐形の大端部まで、偏心アテレクトミーヘッドを構成させる。この形状のアテレクトミーヘッドは、正方向狭窄を開通できるだけではく、血管壁上の石灰化病変を改善させると共に分岐部病変の状況も配慮できる。
【0045】
本発明は、液体の運動エネルギーを介してアテレクトミーヘッド回転の機械的エネルギーに変換することによって、末梢動脈又は冠動脈内の完全閉塞病変を削り取るか、或いは改善する。液体の動力は、空気圧駆動及びモータ駆動に比べ、同じのアテレクトミー施行効果を奏し、アテレクトミーヘッドを病変治療に必要な高回転数要件を満たさせるだけではなく、アテレクトミーヘッドの高速回転状態下で伝動騒音を低減し、アテレクトミー施行によってもたらされる人体内に滞留する摩擦熱を低減し、人体への冷却と潤滑溶液の投与量を減らし、人体の腎臓代謝負荷を軽減し、手術の安全性も向上する。
【0046】
本発明は、定圧ウォーターポンプを用いて出力水圧が50Mpa以上にさせ、流量制御弁の出力ポートの直径サイズを調整して、流量制御弁の出口の大きさを制御し、流量制御弁の出力液体流量の調整を実現し、水車を駆動して水流の運動エネルギーを機械的エネルギーに変換し、動力伝達増速機構によって増速された後、アテレクトミーヘッドの回転数を70000~150000rad/minの範囲に制御する。構造は単純で、コストも低く、安全で信頼性の高い操作が可能である。
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