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特許7465949ステータアセンブリ、その製造方法、およびステータアセンブリを含むトルクコンバータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】ステータアセンブリ、その製造方法、およびステータアセンブリを含むトルクコンバータ
(51)【国際特許分類】
   F16H 41/24 20060101AFI20240404BHJP
   F16H 41/28 20060101ALI20240404BHJP
   F16H 41/26 20060101ALI20240404BHJP
   F16D 41/064 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
F16H41/24 A
F16H41/28
F16H41/26
F16D41/064
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022507698
(86)(22)【出願日】2020-08-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-11
(86)【国際出願番号】 CN2020107064
(87)【国際公開番号】W WO2021023216
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2022-04-01
(31)【優先権主張番号】201910716990.1
(32)【優先日】2019-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522048982
【氏名又は名称】ヴァレオ、カペック、トルク、コンバーターズ、(ナンジン)、カンパニー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】VALEO KAPEC TORQUE CONVERTERS(NANJING) CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【弁理士】
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】チャン、チンポン
(72)【発明者】
【氏名】フー、シュン
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】実開平1-128055(JP,U)
【文献】特開2011-236991(JP,A)
【文献】特開2018-91439(JP,A)
【文献】特開2015-34610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 41/24
F16H 41/28
F16H 41/26
F16D 41/064
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トルクコンバータ用ステータアセンブリであって、前記ステータアセンブリは、
中央に貫通ホール(13、13’)を含むステータボディ(11、11’)、前記貫通ホールは開放され、軸方向に対向する第1端部(131、131’)および第2端部(132、132’)を含み、前記第2端部(132、132’)は前記貫通ホール(13、13’)の周辺から半径方向内側に延びる第1フランジ(15、15’)を含み;および
前記ステータボディ(11、11’)の周辺から半径方向外側に延びる複数のブレード(12、12’);
を含むステータ(10、10’);
外側リング(21)と、内側リング(22)と、前記外側リング(21)と前記内側リング(22)との間に配列され、ストップ-ホイールパッド(24)が収容されるストップ-ホイールパッド容器(23)とを含むワンウェイクラッチ(20)-前記ワンウェイクラッチ(20)は前記貫通ホール(13、13’)に少なくとも部分的に組立てられ、前記第1フランジ(15、15’)によって軸方向に支持されるのに用いられ;および
前記貫通ホール(13、13’)の前記第1端部(131、131’)側において前記ステータボディ(11、11’)に装着されるように意図されるリテーニングプレート(30);
を含み、
前記複数のブレード(12、12’)は、前記ステータボディ(11、11’)と一体に形成され、前記複数のブレード(12、12’)の半径方向の最外郭端部が前記ステータ(10、10’)の回転軸に垂直な平面から傾斜するように折曲げられ、複数のブレード(12、12’)のうち隣接したブレードの半径方向の最外郭端部は互いに離隔し、
前記ワンウェイクラッチ(20)が前記貫通ホール(13、13’)に設けられる時、前記第1フランジ(15、15’)は前記内側リング(22)の軸方向端部面(221)の少なくとも一部を少なくとも軸方向に支持し、
前記ワンウェイクラッチ(20)は、
第1円周方向ショルダ(25)と、前記内側リング(22)内に延びる第1半径方向ショルダ面(251)と、前記第1半径方向ショルダ面(251)を軸方向に支持する前記第1フランジ(15、15’)とを備え、
前記ワンウェイクラッチ(20)は、前記第1円周方向ショルダ(25)から軸方向にオフセットされる第2円周方向ショルダ(26)と、前記外側リング(21)内に延びる前記第2円周方向ショルダ(26)の第2半径方向ショルダ面(261)とを備え、
前記ステータボディ(11、11’ )は前記第2円周方向ショルダ(26)と形状が相補的で協力する第2フランジ(16、16’)を備え、
前記第2フランジ(16、16’)は前記貫通ホール(13、13’)の周辺から半径方向内側に延びるように構成され、前記第1フランジ(15、15’)と軸方向延長部(14、14’)を介して連結され、前記第1フランジ(15、15’)とオフセットされ、平行であり、
前記第2フランジ(16、16’)は前記外側リング(21)の軸方向端部面の少なくとも一部を軸方向に支持する一方、前記第1フランジ(15、15’)は前記内側リング(22)と前記ストップ-ホイールパッド容器(23)の軸方向端部面を軸方向に少なくとも支持する、ステータアセンブリ。
【請求項2】
前記複数のブレードは、前記貫通ホールの前記第1端部側において前記ステータボディの軸方向端部にスタンピングされて形成される、請求項1に記載のステータアセンブリ。
【請求項3】
前記複数のブレードが前記ステータボディからスタンピングされて形成されるリターン端部(191’)を形成するために、前記ステータボディは前記第1端部に備えられる半径方向外側に延びる延長部(19’)によって軸方向に折り畳まれて復帰する、請求項1に記載のステータアセンブリ。
【請求項4】
前記ステータ(10、10’)は、単一片を形成するために板金からスタンピングされる、請求項1~3のいずれか1項に記載のステータアセンブリ。
【請求項5】
前記ステータボディ(11、11’)の前記貫通ホール(13、13’)の内側周辺は第1リブ(17)または第1溝を備え、前記ワンウェイクラッチ(20)の前記外側リング(21)の外側周辺は対応する第2溝または第2リブを備え、前記ステータボディ(11、11’と前記外側リング(21)との間の相対回転を防止するために、前記第1リブ(17)が前記第2溝と協力するか、または前記第1溝が前記第2リブと協力する、請求項1~3のいずれか1項に記載のステータアセンブリ。
【請求項6】
前記ステータボディ(11、11’)の前記貫通ホール(13、13’)の前記第1端部(131、131’)側において、結合溝(18)が前記ステータボディ(11、11’)の軸方向端部面に配列され、前記結合溝(18)と協力する結合爪(38)が前記リテーニングプレート(30)の半径方向外側周辺に配列される、請求項1~3のいずれか1項に記載のステータアセンブリ。
【請求項7】
前記複数のブレード(12、12’)は、円周方向に互いにオフセットされ、曲面プロファイルを有するように構成される、請求項1~3のいずれか1項に記載のステータアセンブリ。
【請求項8】
トルクコンバータ用ステータアセンブリの製造方法であって、前記方法は、
中央に貫通ホール(13、13’)が形成されるステータボディ(11、11’)、前記貫通ホール(13、13’)は開放され、軸方向に対向する第1端部(131、131’)と第2端部(132、132’)、および前記第2端部(132、132’)に形成される前記貫通ホール(13、13’)の周辺から半径方向内側に延びる第1フランジ(15、15’)を含み;および
前記ステータボディ(11、11’)の周辺から半径方向外側に延びる複数のブレード(12、12’);
を含むステータ(10、10’)を提供する段階;
外側リング(21)と、内側リング(22)と、前記外側リング(21)と前記内側リング(22)との間に配列され、ストップ-ホイールパッド(24)が収容されるストップ-ホイールパッド容器(23とを含むワンウェイクラッチ(20)を提供する段階;
前記ワンウェイクラッチは前記貫通ホールで少なくとも部分的に組立てられ、前記第1フランジによって少なくとも軸方向に支持され;
リテーニングプレート(30)を提供して、前記貫通ホール(13、13’)の前記第1端部(131、131’)側において前記ステータボディ(11、11’)に前記リテーニングプレート(30)を装着する段階、
を含み、
前記ステータ(10、10’)を提供する段階は、前記複数のブレードを前記ステータボディと一体に形成する段階と、前記複数のブレードを折曲げる段階とをさらに含み、その半径方向の最外郭端部が前記ステータの回転軸に垂直な平面から傾斜するようにし、隣接したブレードの半径方向の最外郭端部が互いに離隔するように前記複数のブレード(12、12’)を構成し、
前記貫通ホール(13、13’)に前記ワンウェイクラッチ(20)を設ける段階において、
前記第1フランジ(15、15’)は前記内側リング(22)の軸方向端部面(221)の少なくとも一部を少なくとも軸方向に支持し、
前記ワンウェイクラッチ(20)に第1円周方向ショルダ(25)を提供する段階-前記第1円周方向ショルダ(25)は第1半径方向ショルダ面(251)が前記内側リング(22)内に延びるように構成され;
をさらに含み、
前記第1フランジ(15、15’)は前記第1半径方向ショルダ面(251)を軸方向に支持するように備えられ、
前記第1円周方向ショルダ(25)から軸方向にオフセットされる第2円周方向ショルダ(26)は前記ワンウェイクラッチ20に備えられ、前記第2円周方向ショルダ(26)は第2半径方向ショルダ面(261)が前記外側リング(21)内に延びるように構成され;
前記第2円周方向ショルダ(26)と形状が相補的で協力する第2フランジ(16、16’は前記ステータボディ(11、11’)に対応するように備えられ、前記第2フランジ(16、16’)は前記貫通ホール(13、13’)の周辺から半径方向内側に延び、軸方向延長部(14、14’)を介して前記第1フランジ(15、15’)と連結され、前記第1フランジ(15、15’)と半径方向にオフセットされ、平行であり;
前記第2フランジ(16、16’)は前記外側リング(21)の軸方向端部面の少なくとも一部を軸方向に支持する一方、前記第1フランジ(15、15’)は前記ストップ-ホイールパッド容器(23)と前記内側リング(22)の軸方向端部面を軸方向に少なくとも支持するように構成される、方法。
【請求項9】
前記ステータを提供する段階は、
前記貫通ホールの前記第1端部側において前記ステータボディの軸方向端部にスタンピングによって前記複数のブレードを形成する段階をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ステータを提供する段階は、
前記ステータボディの前記第1端部から半径方向外側に延びる延長部(19’)を形成する段階をさらに含み、
前記複数のブレードが前記ステータボディからスタンピングされて形成されるリターン端部(191’)を形成するために、前記ステータボディは前記延長部によって軸方向に折り畳まれて復帰する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記ステータ(10、10’)を提供する段階は、
プレートをスタンピングして単一片として前記ステータ(10、10’)を形成する段階をさらに含む、請求項8~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記ステータボディ(11、11’ )の前記貫通ホール(13、13’)の内側周辺は第1リブ(17)または第1溝を備え;
第2溝または第2リブが前記ワンウェイクラッチ(20)の外側リング(21)の外側周辺に対応して備えられ;
前記第1リブが前記第2溝と協力するか、または前記第1溝が前記第2リブが協力するように構成されて、前記ステータボディ(11、11’ )と前記外側リング(21)との間の相対回転を防止する、請求項8~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記ステータボディ(11、11’)の前記貫通ホール(13、13’)の前記第1端部131、131’側において、結合溝(18が前記ステータボディ(11、11’)の軸方向端部面に備えられ、前記結合溝(18)と協力する結合爪(38)が前記リテーニングプレート(30)の半径方向外側周辺に備えられる、請求項8~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記複数のブレード(12、12’)を円周方向に互いにオフセットさせ、曲面プロファイルを有するように構成する段階をさらに含む、請求項8~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1~7のいずれか1項に記載のステータアセンブリ(1)を含むトルクコンバータ。
【請求項16】
請求項8~14のいずれか1項に記載の方法で製造されるステータアセンブリ(1)を含むトルクコンバータ。
【請求項17】
請求項15または16に記載のトルクコンバータを含む自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トルクコンバータ用ステータアセンブリ、その製造方法、ステータアセンブリを含むトルクコンバータ、およびトルクコンバータを含む自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
公知のトルクコンバータは、フレキシブルディスクに統合されたカバーに固定され、流体によって回転するようにタービンを駆動できるインペラを含む。タービンは、ギヤボックスの入力シャフトに回転可能に連結されるのに用いられるハブと統合される。ステータボディの周辺には、トルクコンバータで作動流体をガイドし、トルクコンバータが作動する時、流れ方向を変更するのに用いられる複数のブレードが円周方向に沿って配列される。このようなステータは、現場でガイドホイール、リアクタなどと称される。ステータのブレードの形状、表面積、方向およびプロファイルはトルクコンバータの性能に重要な影響を及ぼし得る。
【0003】
従来技術において、トルクコンバータで用いられるステータは、一般に鋳造(casting)によって形成される。鋳造によってステータを形成することは、大量の余剰材料を除去しなければならないので、実現が非常に難しく、多くの時間を消耗しながら大量の材料を浪費するので、製造費用と材料費用がそれによって非常に高い。また、鋳造によって形成されるステータ自体の剛性が十分に高くない場合が多いため、ステータブレードの半径方向の最外郭端部を強化するための固定リング(retaining ring)が必要であり、これは、製造工程をさらに複雑化し、より多くの材料を必要とし、剛性の不足は不安定な作動と短い寿命をもたらす傾向がある。これと同時に、鋳造工程は柔軟性が不足し、鋳造によって形成されるブレードはすべての種類の複雑な曲面プロファイルを高い精度で実現できないので、すべての種類の性能要求事項を満たしにくく、ステータの標準化された製造に役立たず、製造費用がさらに増加する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、向上したステータアセンブリを提案することによって、従来技術のデメリットを克服することを目的とする。このようなステータアセンブリは、簡単な構造、簡単な製造、材料の節約、便利な組立および高い費用効率性のメリットを有し、より柔軟な設計および構成によって多様な性能要求事項を容易に満たすことができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1態様によれば、本発明は、中央に貫通ホールを含むステータボディ、前記貫通ホールは開放され、軸方向に対向する第1端部および第2端部を含み、前記第2端部は前記貫通ホールの周辺から半径方向内側に延びる第1フランジを含み;および前記ステータボディの周辺から半径方向外側に延びる複数のブレード;を含むステータ;
外側リングと、内側リングと、前記外側リングと前記内側リングとの間に配列され、ストップ-ホイールパッドが収容されるストップ-ホイールパッド容器とを含むワンウェイクラッチ-前記ワンウェイクラッチは前記貫通ホールに少なくとも部分的に組立てられ、前記第1フランジによって軸方向に支持されるのに用いられ;および
前記貫通ホールの前記第1端部の側面において前記ステータボディに装着されるリテーニングプレート-前記リテーニングプレートはトーラス形状であり;を含むトルクコンバータ用ステータアセンブリを提案し、
前記ステータアセンブリは、前記複数のブレードが前記ステータボディと一体に形成され、前記複数のブレードの半径方向の最外郭端部が前記ステータの回転軸に垂直な平面から傾斜するように折曲げられ、複数のブレードのうち隣接したブレードの半径方向の最外郭端部は互いに離隔する。
【0006】
本発明の第1態様によるトルクコンバータ用ステータアセンブリにおいて、ステータの複数のブレードがステータボディと一体に形成され、複数のブレードのうち隣接したブレードの半径方向の最外郭端部が互いに離隔して、ステータブレードの半径方向の最外郭端部を取り囲んでブレードを固定し、取り囲むリテーニングリングを必要とせず、材料費用と製造工程を減少させ、ステータアセンブリの体積を減少させることができ、有効作業量(effective working volume)を増加させることができる。ステータのブレードの半径方向の最外郭端部はステータの回転軸に垂直な平面から傾斜するので、作動流体をガイドし偏向させる役割をより良く果たすことができる。
【0007】
本発明の第1態様のステータアセンブリの好ましい変形によれば、前記複数のブレードは、前記貫通ホールの前記第1端部の側面において前記ステータボディの軸方向端部にスタンピングされて形成される。
【0008】
軸方向端部に複数のブレードを提供することは、スタンピング工程の実現の可能性を確保する一方、スタンピングによってステータボディに複数のブレードを一体に形成することによって、ステータのさらに向上した剛性を確保することができ、重複した材料を除去する追加的かつ複雑で時間が費やされる工程を必要としないので、材料と作業時間が節約され、および費用効率性がさらに向上できる。
【0009】
本発明の第1態様のステータアセンブリの他の好ましい変形によれば、前記複数のブレードが前記ステータボディからスタンピングされて形成されるリターン端部を形成するために、前記ステータボディは半径方向外側に延びて、前記第1端部に備えられる延長部によって軸方向に折り畳まれて復帰する。前記リターン端部は前記ステータボディの貫通ホールの第2端部と軸方向に同じ高さに配列されるか、または貫通ホールの第1端部と第2端部との間に配列されるか、または第2端部に対して突出するように配列される。
【0010】
このような方法で構成されたステータの剛性はさらに向上し、ステータボディの第1端部と第2端部に対する複数のブレードの軸方向位置は、空間要求事項、性能要求事項、設置要求事項などといった実際の要求に応じて設定可能であり、ステータアセンブリのための設置空間を柔軟に調整可能なため、コンパクトな構成を実現することができる。また、複数のブレードの構成および位置がワンウェイクラッチによって影響されないため、標準化されたワンウェイクラッチが使用できる。
【0011】
本発明の第1態様のステータアセンブリの他の好ましい実施例によれば、前記ステータは、単一片を形成するためにプレートからスタンピングされる。非制限的な例示によれば、前記ステータは、単一操作を形成するために板金からスタンピングされる。
【0012】
このようなステータは、最高の製造正確度を満たすことができ、製造工程がさらに簡単で、設置時間と材料を大きく節約し、費用の利点を極大化する。また、このような方法で製造されたステータは、構造が簡単で体積が小さくて、例えば、鋳造ステータ(cast stator)と比較して、体積は50%低減可能で、より軽くてコンパクトである。
【0013】
本発明の第1態様のステータアセンブリの変形によれば、前記ワンウェイクラッチが前記貫通ホールに設けられる時、前記第1フランジは前記内側リングの軸方向端部面の少なくとも一部を少なくとも軸方向に支持する。
【0014】
したがって、ワンウェイクラッチを支持するための他の支持部品の使用を回避できると同時に、簡単な構造と方式でワンウェイクラッチの安定した支持と正確な位置を確保可能であり、引いては部品数を低減することができる。
【0015】
本発明の第1態様のステータアセンブリの他の好ましい変形によれば、前記ワンウェイクラッチは、第1円周方向ショルダと、前記内側リング内に延びる第1半径方向ショルダ面と、前記第1半径方向ショルダ面を軸方向に支持する前記第1フランジとを備える。
【0016】
このようなステータアセンブリにおいて、第1フランジはワンウェイクラッチの軸方向端部に対して突出しないので、必要に応じて、ステータアセンブリの軸方向の大きさが減少できる。
【0017】
さらに好ましくは、前記ワンウェイクラッチは、前記第1円周方向ショルダから軸方向にオフセットされる第2円周方向ショルダと、前記内側リングの外側周辺に延びる第2半径方向ショルダ面とを備え、前記ステータボディは前記第2円周方向ショルダと形状が相補的で協力する第2フランジを対応するように備え、前記第2フランジは前記貫通ホールの周辺から半径方向内側に延びるように構成され、前記第1フランジと軸方向延長部を介して連結され、前記第1フランジと半径方向にオフセットされ、平行であり、前記第2フランジは前記ストップ-ホイールパッド容器と前記外側リングの軸方向端部面を軸方向に支持する。
【0018】
このような第2フランジはスタンピングまたは他の折曲工程によって容易に実現可能であり、ステータボディの軸力(axial force)を共有して、ワンウェイクラッチの支持を安定的に行うことができる。
【0019】
代案的に、前記ワンウェイクラッチは、前記第1円周方向ショルダから軸方向にオフセットされる第2円周方向ショルダと、前記外側リング内に延びる前記第2円周方向ショルダの第2半径方向ショルダ面とを備え、前記ステータボディは前記第2円周方向ショルダと形状が相補的で協力する第2フランジを備え、前記第2フランジは前記貫通ホールの周辺から半径方向内側に延びるように構成され、前記第1フランジと軸方向延長部を介して連結され、前記第1フランジとオフセットされ、平行である。前記第2フランジは前記外側リングの軸方向端部面の少なくとも一部を軸方向に支持する一方、前記第1フランジは前記内側リングのストップ-ホイールパッド容器の軸方向端部面を軸方向に少なくとも支持する。
【0020】
スタンピング工程は、簡単な方法でステータボディの構成を変更可能なため、多様な類型のワンウェイクラッチと結合させることができる。
【0021】
また、好ましくは、前記ステータボディの前記貫通ホールの内側周辺は第1リブまたは第1溝を備え、前記ワンウェイクラッチの前記外側リングの外側周辺は対応する第2溝または第2リブを備え、前記ステータボディと前記外側リングとの間の相対回転を防止するために、前記第1リブが前記第2溝と協力するか、または前記第1溝が前記第2リブと協力する。
【0022】
したがって、スタンピングによってステータボディにリブまたは溝を形成することによって、コンパクトな組立を満たしながら簡単な方法でワンウェイクラッチの外側リングとステータボディとの間の相対回転を防止することが可能である。
【0023】
また、好ましくは、前記ステータボディの前記貫通ホールの前記第1端部の側面において、結合溝が前記ステータボディの軸方向端部面に配列され、前記結合溝と協力する結合爪が前記リテーニングプレートの半径方向外側周辺に配列される。
【0024】
したがって、簡単なスタンピング工程でステータボディの軸方向端部面に結合溝を提供可能で、リテーニングプレートとの結合連結(engaging connection)を確保することができる。
【0025】
また、好ましくは、前記複数のブレードは、円周方向に互いにオフセットされ、曲面プロファイルを有するように構成される。
【0026】
スタンピングにより、ブレードの複雑な曲面プロファイルを形成することができ、曲面プロファイルの曲率を実際の要求に応じて便利に調整可能なため、ステータの優れた性能を確保し、異なる要求を満たすことができる。
【0027】
本発明の第2態様によれば、本発明はまた、上述したトルクコンバータ用ステータアセンブリの製造方法に関し、前記方法は、中央に貫通ホールが形成されるステータボディ、前記貫通ホールは開放され、軸方向に対向する第1端部と第2端部、および前記第2端部に形成される前記貫通ホールの周辺から半径方向内側に延びる第1フランジを含み、および前記ステータボディの周辺から半径方向外側に延びる複数のブレードを含むステータを提供する段階;
外側リングと、内側リングと、前記外側リングと前記内側リングとの間に配列され、ストップ-ホイールパッドが収容されるストップ-ホイールパッド容器とを含むワンウェイクラッチを提供する段階;
前記ワンウェイクラッチは前記貫通ホールで少なくとも部分的に組立てられ、前記第1フランジによって少なくとも軸方向に支持され;
トーラス形状のリテーニングプレートを提供して、前記貫通ホールの前記第1端部の側面において前記ステータボディに前記リテーニングプレートを装着する段階を含む。
【0028】
前記ステータを提供する段階は、前記複数のブレードを前記ステータボディと一体に形成する段階と、前記複数のブレードを折曲げる段階とをさらに含み、その半径方向の最外郭端部が前記ステータの回転軸に垂直な平面から傾斜するようにし、前記複数のブレードは隣接したブレードの半径方向の最外郭端部が互いに離隔するように構成される。
【0029】
本発明の第2態様の方法の好ましい変形によれば、前記ステータを提供する段階は、前記貫通ホールの前記第1端部の側面において前記ステータボディの軸方向端部にスタンピングによって前記複数のブレードを形成する段階をさらに含む。
【0030】
本発明の第2態様の方法の他の好ましい変形によれば、前記ステータを提供する段階は、前記ステータボディの前記第1端部から半径方向外側に延びる延長部を形成する段階をさらに含み、前記複数のブレードが前記ステータボディからスタンピングされて形成されるリターン端部を形成するために、前記ステータボディは前記延長部によって軸方向に折り畳まれて復帰する。
【0031】
さらに好ましくは、前記ステータを提供する段階は、プレートをスタンピングして単一片として前記ステータを形成する段階をさらに含む。
【0032】
さらに好ましくは、本発明の第2態様の方法によれば、前記貫通ホールに前記ワンウェイクラッチを設ける段階において、前記第1フランジは前記内側リングの軸方向端部面の少なくとも一部を少なくとも軸方向に支持する。
【0033】
さらに好ましくは、本発明の第2態様による方法は、前記ワンウェイクラッチに第1円周方向ショルダを提供する段階-前記第1円周方向ショルダは第1半径方向ショルダ面が前記内側リング内に延びるように構成され;をさらに含み、前記第1フランジは前記第1半径方向ショルダ面を軸方向に支持する。
【0034】
本発明の第2態様による方法の実施例は、前記第1円周方向ショルダから軸方向にオフセットされる第2円周方向ショルダはワンウェイクラッチに提供する段階-前記第2円周方向ショルダはその第2半径方向ショルダ面が前記内側リングの外側周辺に延びるように構成され;をさらに含み、
前記第2円周方向ショルダと形状が相補的で協力する第2フランジは前記ステータボディに対応するように備えられ、前記第2フランジは前記貫通ホールの周辺から半径方向内側に延び、軸方向延長部を介して前記第1フランジに連結され、前記第1フランジと半径方向にオフセットされ、平行であり;
前記第2フランジは前記外側リングと前記ストップ-ホイールパッド容器の軸方向端部面を軸方向に支持するように構成される。
【0035】
本発明の第2態様の方法の他の実施例によれば、前記方法は、前記第1円周方向ショルダ25から軸方向にオフセットされる第2円周方向ショルダ26を前記ワンウェイクラッチに提供する段階-前記第2円周方向ショルダ26は第2半径方向ショルダ面261が前記外側リング21内に延びるように構成され;をさらに含み、
前記第2円周方向ショルダと形状が相補的で協力する第2フランジは前記ステータボディに対応するように備えられ、前記第2フランジは前記貫通ホールの周辺から半径方向内側に延び、軸方向延長部を介して前記第1フランジと連結され、前記第1フランジと半径方向にオフセットされ、平行であり;
前記第2フランジは前記外側リングの軸方向端部面の少なくとも一部を軸方向に支持する一方、前記第1フランジは前記ストップ-ホイールパッド容器と前記内側リングの軸方向端部面を軸方向に少なくとも支持するように構成される。
【0036】
さらに好ましくは、本発明の第2態様による方法は、前記ステータボディの前記貫通ホールの内側周辺に第1リブまたは第1溝を備える段階;
前記ワンウェイクラッチの外側周辺に第2溝または第2リブを対応して備える段階;をさらに含み、
前記第1リブが前記第2溝と協力するか、または前記第1溝が前記第2リブと協力するように構成されて、前記ステータボディと前記外側リングとの間の相対回転を防止する。
【0037】
さらに好ましくは、本発明の第2態様による方法は、前記ステータボディの前記貫通ホールの前記第1端部の側面において、結合溝が前記ステータボディの軸方向端部面に備えられ、前記結合溝と協力する結合爪が前記リテーニングプレートの半径方向外側周辺に備えられる。
【0038】
さらに好ましくは、本発明の第2態様による方法は、前記複数のブレードを円周方向にオフセットさせる段階と、それらが曲面プロファイルを有するように構成する段階とをさらに含む。
【0039】
したがって、異なる性能要求事項を満たすことができるステータアセンブリは、本発明の方法による相対的に簡単な工程で製造可能で、標準化された生産に有利であり、前記製造方法は、材料と作業時間を節減し、より高い費用効率性を達成することができる。
【0040】
本発明の第3態様によれば、本発明は、上述したステータアセンブリを含むトルクコンバータを提案する。
【0041】
本発明の第4態様によれば、本発明は、上述した方法によって製造されたステータアセンブリを含むトルクコンバータを提供する。
【0042】
本発明の第5態様によれば、本発明は、上述したトルクコンバータを含む自動車を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
発明の実施例の技術的解決手段をさらに明確に説明するために、本発明の実施例の図面を簡略に紹介する。図面は本発明の一部の実施例を示すためのものに過ぎず、本発明のすべての実施例を制限するわけではない。図面において:
図1】リテーニングプレートがステータアセンブリに装着されていない本発明によるステータアセンブリの斜視図;
図2】本発明によるステータアセンブリに用いられるステータの一実施例の斜視図;
図3図2に示されたステータの平面図;
図4】本発明によるステータアセンブリに用いられるステータの他の実施例の軸方向断面図;
図5】リテーニングプレート、ワンウェイクラッチおよびステータが共に組立てられた本発明の一実施例によるステータアセンブリの軸方向断面図;
図6】リテーニングプレート、ワンウェイクラッチおよびステータが共に組立てられた図5に示された変形実施例によるステータアセンブリの軸方向断面図;
図7】本発明の他の実施例によるステータアセンブリに記述されたステータの軸方向断面図;
図8図7によるステータを用いる本発明によるステータアセンブリの軸方向断面図;
図9図8に示されたステータアセンブリの変形例の軸方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
他の図面において同一の要素は同一または類似の図面符号を有する。
本開示の実施例の目的、技術的解決手段、および利点を明確にするために、本開示の添付した図面と共に、本開示の実施例の技術的解決手段を明確かつ完全に説明する。図面において、同一の図面符号は同一の構成要素を示す。明確には、記述された実施例は、本開示のすべての実施例ではなく、本開示の一部である。本開示の説明された実施例に基づいて、独創的な作業なしに通常の技術者によって得られる他のすべての実施例は本開示の保護範囲内にある。
他に定義されない限り、本明細書で使用される技術用語または科学用語は、本開示の属する分野における通常の技術者によって理解される通常の意味を有する。本明細書で使用される「第1」、「第2」およびこれと類似の単語は順序、数量、または重要度を示さず、単に互いに異なる構成要素を区別するために使用される。これと類似に、「1つ」または「前記」のような類似の単語は、必ずしも定量的な制限を意味しない。「含む」または「構成する」および他の類似の単語は、単語の前に現れる要素または対象が他の要素または対象を排除せず、単語上に並べられる要素または対象およびこれに相応するものを含むことを意味する。「連結される」または「合流する」といった単語は、物理的または機械的連結に限定されず、直接的であれ間接的であれ電気的連結を含むことができる。本文で言及される「上側」、「下側」、「左側」、「右側」、「上」、「底」、「時計方向」、「反時計方向」のような方向の用語は、図面について相対位置関係を説明するためにのみ使われ、説明された対象の絶対位置が変更されると、相対位置関係はそれに応じて変更可能である。
【0045】
図1図4に示されているように、本発明の第1態様によるトルクコンバータ用ステータアセンブリ1、1’は、共に組立てられるように意図されるステータ10、10’、ワンウェイクラッチ20およびリテーニングプレート30を含む。ステータ10、10’は、ステータボディ11、11’と、ステータボディ11、11’の周辺から半径方向外側に延び、好ましくは、円周方向に規則的に分布する複数のブレード12、12’とを含む。ステータボディ11、11’は中央に貫通ホール13、13’を含む。貫通ホール13、13’は開放され、軸方向に対向する第1端部131、131’および第2端部132、132’を含み、第2端部132、132’は貫通ホール13、13’の周辺から半径方向内側に延びる。ワンウェイクラッチ20は、外側リング21と、内側リング22と、外側リング21と内側リング22との間に配置されるストップ-ホイールパッド容器23とを含む。ストップ-ホイールパッド容器23には、ストップ-ホイールパッド24が収容され、好ましくは、複数のストップ-ホイールパッド24が収容され、ストップ-ホイールパッド容器23は円周方向に規則的に分布する。ワンウェイクラッチ20は、少なくとも部分的に貫通ホール13、13’に嵌合し、ステータボディ11、11’の第1フランジ15、15’によって少なくとも軸方向に支持されるように意図される。リテーニングプレート30は、貫通ホール13、13’の第1端部131、131’側においてステータボディ11、11’に装着されるのに用いられる。リテーニングプレート30は、トーラス(torus)形状であり、リテーニングプレート30のトーラスは、装着された状態で複数のストップ-ホイールパッド24を覆って固定するように構成される。
【0046】
図1図4に示されているように、本発明のステータアセンブリ1、1’において、複数のブレード12、12’は、ステータボディ11、11’と一体に形成され、複数のブレード12、12’の半径方向の最外郭端部はステータ10、10’の回転軸に垂直な平面から傾斜するように折曲げられ、つまり、半径方向平面から傾斜し、複数のブレード12、12’のうち隣接したブレードの半径方向の最外郭端部は互いに離隔する。したがって、このようなステータを製造する時、複数のブレード12、12’のうち隣接したブレードの半径方向の最外郭端部が離隔するため、ブレード12、12’の半径方向の最外郭端部を維持するためのリテーニングリングを用いる必要がなく、材料と製造工程段階をさらに減少させることができ、費用効率性を向上させる。
【0047】
図1図3、および図5図9に示されているように、本発明のステータアセンブリの具体的な実施例によれば、複数のブレード12は、貫通ホール13の第1端部131側においてステータボディ11の軸方向端部にスタンピングされて形成される。軸方向端部に複数のブレード12の配置は、スタンピング工程の妥当性を確保すると同時に、複数のブレード12とステータボディ11との一体型製造を最も単純な構造と共に最も材料を節減できる方式で実現することができ、余剰材料を除去するための連続的かつ複雑で時間が費やされる工程を必要としないので、材料と作業時間を節約して費用効率性をさらに向上させることができる。これと同時に、このようなスタンピング製造によって、全体としてステータ10のより良い剛性が確保される。
【0048】
図4に示されているように、本発明のステータアセンブリ1’の他の具体的な実施例によれば、ステータボディ11’から複数のブレード12’がスタンピングされて形成されるリターン端部191’を形成するために、ステータ10’のステータボディ11’は第1端部131’に備えられる半径方向外側に延びる延長部19’によって軸方向の裏に折り畳まれる。リターン端部191’は、選択的に、ステータボディ11’の貫通ホール13’の第2端部132’と軸方向に同じ高さに備えられるか、貫通ホール13’の第1端部131’と第2端部132’との間に備えられるか、または貫通ホール13’の第2端部132’に対して突出するように備えられる。代案的に、ステータボディ11’を補強するための補強材(図示せず)が軸方向に折り畳まれた部分と貫通ホール13’の周辺との間に備えられる。このようなステータ10’において、半径方向外側に延びる延長部19’の存在によってステータボディ11’の剛性がさらに向上できる。そして、ステータボディ11’に対する複数のブレード12’の軸方向位置がさらに柔軟に備えられるので、異なる空間要求事項、性能要求事項、設置要求事項などが満たされ、これによってさらにコンパクトなステータアセンブリを実現することができる。そして、ワンウェイクラッチがステータ10’の複数のブレード12’の構成と位置に影響を及ぼさないので、相対的に標準化されたワンウェイクラッチを使用可能で、ステータアセンブリの費用をさらに節減することができる。
【0049】
好ましくは、図1図4に示されているように、本発明によるステータアセンブリ1、1’において、ステータ10、10’は、プレートからスタンピングされて単一片を形成する。また、好ましくは、ステータ10、10’は、板金(sheet plate)からスタンピングされて単一片を形成する。つまり、ステータ全体がスタンピングされた単一片として形成されて、最も高い製造精度を満たすことができるステータを簡単かつ操作しやすい製造工程で形成することが可能で、製造時間と材料をさらに大きく節約することができ、費用効率性を極大化する。また、このような方式で製造されたステータは、例えば、鋳造したステータ(cast stator)と比較して構造が簡単で軽く体積が小さくて、体積は50%減少させることができ、質量も50%減少させることが可能で、実際の必要に応じてブレードの表面積を増加させ、優れた性能を保障するなどのよりコンパクトかつ有効作業量(effective working volume)を増加させることができる。
【0050】
図5図9に示されているように、本発明のステータアセンブリ1、1’の一実施例によれば、ワンウェイクラッチ20がステータ10、10’のステータボディ11、11’の中央に位置した貫通ホール13、13’に設けられる時、ステータボディ11、11’の第1フランジ15、15’はワンウェイクラッチ20の内側リング22の軸方向端部面221の少なくとも一部を少なくとも軸方向に支持する。もちろん、実際の要求に応じて内側リング22の全体軸方向端部面221を軸方向に支持するために第1フランジ15、15’が備えられる。好ましくは、ステータボディ11、11’の中央の貫通ホール13、13’はワンウェイクラッチ20の外側リング21の外周面に接触する。
【0051】
図5に示されているように、特定の実施例によれば、半径方向外側から内側にワンウェイクラッチ20に順次に含まれる外側リング21、ストップ-ホイールパッド容器23および内側リング22の下側軸方向端部面は略軸方向に同じ高さを有し、ステータ10、10’とワンウェイクラッチ20とが組立てられた状態で、ステータボディ11、11’の第1フランジ15、15’はこのような同じ高さの軸方向端部面の外側でこのような同じ高さの軸方向端部面を固定し支持する。したがって、ワンウェイクラッチを支持するための他の支持部品を用いることを排除することができ、特に、別途の支持部品を用いることを排除することができて、部品数を節減するのに役立つ。これと同時に、簡単な構造と方式でワンウェイクラッチの安定した支持と正確な位置決定が保障される。
【0052】
図6に示されているように、本発明のステータアセンブリ1、1’の変形実施例によれば、ワンウェイクラッチ20は、第1円周方向ショルダ25を備え、第1円周方向ショルダ25の第1半径方向ショルダ面251はワンウェイクラッチ20の内側リング22内に延び、ステータボディ11、11’の第1フランジ15、15’は第1半径方向ショルダ面251を軸方向に支持する。
【0053】
図6に示されているように、変形された特定の実施例によれば、ワンウェイクラッチ20の第1円周方向ショルダ25の第1半径方向ショルダ面251は軸方向において対応するストップ-ホイールパッド容器23の外側リング21の軸方向端部面と略同じ高さであり、ステータボディ11、11’の第1フランジ15、15’は対応するストップ-ホイールパッド容器23および外側リング21の軸方向端部面と第1半径方向ショルダ面251を同時に軸方向に支持する。好ましくは、このようなステータアセンブリにおいて、ステータボディ11、11’の第1フランジ15、15’はワンウェイクラッチ20の第1円周方向ショルダ25と協力して、第1フランジ15、15’がワンウェイクラッチ20の軸方向端部に対して突出しないようにし、ステータアセンブリの軸方向の大きさは、必要な場合、減少することができ、これは、軸方向にコンパクトなステータアセンブリを実現するのに有利である。図7図8に示されているように、本発明のステータアセンブリ1、1’の他の好ましい実施例によれば、ワンウェイクラッチ20は、第1円周方向ショルダ25から軸方向にオフセットされる第2円周方向ショルダ26を備え、第2円周方向ショルダ26の第2半径方向ショルダ面261は内側リング22の外周に延び、ステータボディ11、11’は第2円周方向ショルダ26と形状が相補的で協力する第2フランジ16、16’を対応して備える。第2フランジ16、16’はステータボディ11、11’の貫通ホール13、13’の周辺から半径方向内側に延び、軸方向延長部14を介して第1フランジ15、15’と連結され、第1フランジ15、15’と半径方向にオフセットされ、平行に構成される。第2フランジ16、16’は外側リング21とワンウェイクラッチ20のストップ-ホイールパッド容器23の軸方向端部面それぞれを軸方向に支持するように構成される。
【0054】
図8に示されているように、この好ましい実施例の特定の実施例によれば、上述の対応する外側リング21とワンウェイクラッチ20のストップ-ホイールパッド容器23の軸方向端部面は略軸方向に同じ高さであり、第2円周方向ショルダ26の第2半径方向ショルダ面261が第2フランジ16、16’によって軸方向に支持されるように構成され、第2半径方向ショルダ面261と第1円周方向ショルダ25の第1半径方向ショルダ面251は軸方向に交差する。図8に示されているように、このような構成は、ステータボディ11、11’の中央に存在する貫通ホール13、13’が下側軸方向端部から上側軸方向端部に次第に拡張する。スタンピングまたは他のベンディング工程によって容易に実現できるこのような構成は、貫通ホール13、13’でワンウェイクラッチ20の位置決定および安定した支持にさらに便利であり、ステータアセンブリの剛健性を向上させる。
【0055】
図7および図9に示されているように、本発明のステータアセンブリ1、1’の他の好ましい実施例によれば、ワンウェイクラッチ20上の第1円周方向ショルダ25から軸方向にオフセットされるように備えられる第2円周方向ショルダ26の第2半径方向ショルダ面261はワンウェイクラッチ20の外側リング21内に延び、ステータボディ11、11’は第2円周方向ショルダ26と形状が相補的で協力する第2フランジ16、16’を対応して備える。第2フランジ16、16’は貫通ホール13、13’の周辺から半径方向内側に延び、軸方向延長部14を介して第1フランジ15、15’と連結され、第1フランジ15、15’と半径方向にオフセットされ、平行である。つまり、このような第2フランジ16、16’はワンウェイクラッチ20の外側リング21の対応する軸方向端部面の一部または全部を少なくとも軸方向に支持する一方、第1フランジ15、15’はストップ-ホイールパッド容器23とワンウェイクラッチ20の内側リング22の対応する軸方向端部面を少なくとも軸方向に支持する。
【0056】
つまり、スタンピング工程、特にスタンピングプレートによって、ステータボディの構造は、実際の必要に応じて操作が容易に変更可能であり、特に、多段(multi-stage)フランジまたは段差(step)が簡単に形成可能で、異なる類型のワンウェイクラッチと結合することができる。このようなフランジまたは段差の半径方向に延びる面は半径方向に正確に延びる必要はないが、傾斜してステータアセンブリの中心回転軸周囲に円錐形表面(conical surface)を形成できるという点に留意しなければならない。これと同時に、ステータボディの貫通ホール周辺の任意の部分はスタンピング工程によって取得できるステータアセンブリの中心回転軸周辺にテーパの表面を形成できるという点に留意しなければならない。円錐形表面は、特にステータとワンウェイクラッチとの間の安定した組立にさらに役立つ。また、本発明によるステータアセンブリにおいて、剛性改善、容易な組立、製造、および維持補修などのために、関連するすべての角には、必要に応じて、面取り(chamfer)、ラウンド(rounded)またはラウンドの遷移部分(rounded transition part)が備えられるという点に留意しなければならない。
【0057】
好ましくは、図1図3に示されているように、本発明によるステータアセンブリ1、1’のすべての実施例において、ステータボディ11、11’の貫通ホール13、13’の内周には第1リブ17または第1溝(図示せず)が備えられ、ワンウェイクラッチ20の外側リング21の外周には第2溝(図示せず)または第2リブ(図示せず)が対応して備えられ、第1リブ17が第2溝と協力するか、または第1溝が第2リブと協力してステータボディ11、11’と外側リング21との間の相対回転を防止する。したがって、ステータボディにリブまたは溝を形成して、好ましくは、スタンピングによって、ワンウェイクラッチの外側リングとステータボディとの間の相対回転を簡単に防止しかつ、コンパクトで安定した組立を満たすことができる。もちろん、本発明がステータボディと外側リングとの間の他の実現可能な固定方法(本発明が溶接、リベッティング、ねじ結合など)を排除しない。
【0058】
好ましくは、図1図3に示されているように、本発明によるステータアセンブリ1、1’のすべての実施例において、ステータボディ11、11’の貫通ホール13、13’の第1端部131、131’側において、ステータボディ11、11’の軸方向端部面に結合溝18が備えられ、リテーニングプレート30の半径方向外周に結合溝が備えられる。したがって、簡単なスタンピング工程でステータボディの軸方向端部面に結合溝が備えられることが可能であり、リテーニングプレートとの結合連結を保障することができる。もちろん、本発明がステータボディとリテーニングプレートとの間の他の実現可能な固定方法(例えば、接着、リベッティング、ねじ結合など)を排除しない。代案的に、リテーニングプレートはワンウェイクラッチに固定されてもよい。
【0059】
好ましくは、図1図3に示されているように、本発明によるステータアセンブリ1、1’のすべての実施例において、複数のブレード12、12’は、円周方向に互いにオフセットされ、曲面プロファイルを有するように構成される。スタンピングにより、ブレードの複雑な曲面プロファイルが形成され、曲面の曲率は、実際の必要に応じて便利に調整可能であり、優れた性能を補正し、異なる要求を満たすことができる。つまり、ステータが異なる性能要求事項を有する時、ステータボディの構造を変更せずにブレードの構造のみ変更可能なため、相対的な標準化を実現することができ、これは、費用と大量生産に役立つ。
【0060】
本発明の第2態様によれば、図1図4に示されているように、上述したトルクコンバータ用ステータアセンブリ1、1’の製造方法に関し、前記方法は、
中央に貫通ホール13、13’が形成されるステータボディ11、11’、前記貫通ホール13、13’は開放され、軸方向に対向する第1端部131、131’と第2端部132、132’、および前記第2端部132、132’に形成される前記貫通ホール13、13’の周辺から半径方向内側に延びる第1フランジ15、15’を含み;前記ステータボディ11、11’の周辺から半径方向外側に延びる複数のブレード12、12’;を含むステータ10、10’を提供する段階;
外側リング21と、内側リング22と、前記外側リング21と前記内側リング22との間に配列され、ストップ-ホイールパッド24が収容されるストップ-ホイールパッド容器23とを含むワンウェイクラッチ20を提供する段階;
前記ワンウェイクラッチは前記貫通ホール13、13’で少なくとも部分的に組立てられ、前記第1フランジ15、15’によって少なくとも軸方向に支持され;
リテーニングプレート30を提供して、前記貫通ホール13、13’の前記第1端部131、131’側において前記ステータボディ11、11’に前記リテーニングプレート30を装着する段階を含み、
前記ステータ10、10’を提供する段階は、前記複数のブレードを前記ステータボディと一体に形成する段階と、前記複数のブレードを折曲げる段階とをさらに含み、その半径方向の最外郭端部が前記ステータの回転軸に垂直な平面から傾斜するようにし、隣接したブレードの半径方向の最外郭端部が互いに離隔するように前記複数のブレード12、12’を構成する。
【0061】
本発明の第2態様の方法の好ましい実施例によれば、ステータ10、10’を提供する段階は、貫通ホール13、13’の第1端部131、131’の側面においてステータボディ11、11’の軸方向端部にスタンピングによって複数のブレード12、12’を形成する段階をさらに含む。
【0062】
本発明の第2態様の方法の他の好ましい実施例によれば、ステータ10、10’を提供する段階は、複数のブレード12、12’がステータボディ11、11’からスタンピングされて形成されるリターン端部191’を形成するために、第1端部131、131’からステータボディ11、11’に半径方向外側に延びる延長部を形成する段階と、延長部を介してステータボディ11、11’を軸方向の裏に折り畳む段階とをさらに含む。
本発明の第2態様の方法によれば、好ましくは、ステータ10、10’を提供する段階は、板金によって単一片としてステータ10、10’を形成する段階をさらに含む。例えば、ステータ10、10’は、アルミニウムプレートをスタンピングして単一片として形成される。
【0063】
本発明の第2態様の方法によれば、貫通ホール13、13’にワンウェイクラッチ20を設ける段階において、第1フランジ15、15’は内側リング22の軸方向端部面221の少なくとも一部を少なくとも軸方向に支持することが好ましい。
【0064】
本発明の第2態様による方法は、好ましくは、ワンウェイクラッチ20に第1円周方向ショルダ25を提供する段階をさらに含み、第1円周方向ショルダ25は第1半径方向ショルダ面251が内側リング22内に延びるように構成され;
第1フランジ15、15’は第1半径方向ショルダ面251を軸方向に支持するように備えられる。
【0065】
本発明の第2態様による方法は、好ましくは、第1円周方向ショルダ25から軸方向にオフセットされる第2円周方向ショルダ26はワンウェイクラッチ20に備えられ、第2円周方向ショルダ26は第2半径方向ショルダ面261が内側リング22の外側周辺に延びるように構成され;
第2円周方向ショルダ26と形状が相補的で協力する第2フランジ16、16’はステータボディ11、11’に対応するように備えられ、第2フランジ16、16’は貫通ホール13、13’の周辺から半径方向内側に延び、軸方向延長部14、14’を介して第1フランジ15、15’に連結され、第1フランジ15、15’と半径方向にオフセットされ、平行である。
【0066】
第2フランジ16、16’は外側リング21とストップ-ホイールパッド容器23の軸方向端部面を軸方向に支持するように備えられる。
【0067】
本発明の第2態様による方法は、選択的に、
第1円周方向ショルダ25から軸方向にオフセットされる第2円周方向ショルダ26はワンウェイクラッチ20に備えられ、第2円周方向ショルダ26は第2半径方向ショルダ面261が外側リング21内に延びるように構成され;
第2円周方向ショルダ26と形状が相補的で協力する第2フランジ16、16’はステータボディ11、11’に対応するように備えられ、第2フランジ16、16’は貫通ホール13、13’の周辺から半径方向内側に延び、軸方向延長部14を介して第1フランジ15、15’と連結され、第1フランジ15、15’と半径方向にオフセットされ、平行であり;
第2フランジ16、16’は外側リング21の軸方向端部面の少なくとも一部を軸方向に支持する一方、第1フランジ15、15’はストップ-ホイールパッド容器23と内側リング22の軸方向端部面を少なくとも軸方向に支持するように備えられる。
【0068】
本発明の第2態様による方法は、好ましくは、ステータボディ11、11’の貫通ホール13、13’の内側周辺は第1リブ17または第1溝を備え;
第2溝または第2リブがワンウェイクラッチ20の外側リング21の外側周辺に対応して備えられ;
第1リブ17が第2溝と協力するか、または第1溝が第2リブと協力するように構成されて、ステータボディ11、11’と外側リング21との間の相対回転を防止する。
【0069】
本発明の第2態様による方法は、好ましくは、ステータボディ11、11’の貫通ホール13、13’の第1端部131、131’の側面において、結合溝18がステータボディ11、11’の軸方向端部面に備えられ、結合溝18と協力する結合爪38がリテーニングプレート30の半径方向外側周辺に備えられる。
【0070】
本発明の第2態様の方法によれば、複数のブレード12、12’を円周方向に互いにオフセットさせ、曲面プロファイルを有するように構成する段階をさらに含むことがより好ましい。
【0071】
したがって、異なる性能要求事項を満たすことができるステータアセンブリは、本発明の方法による相対的に簡単な工程段階で製造可能で、標準化された生産に有利であり、製造方法は、材料と作業時間を節約し、より高い費用効率性を達成することができる。
【0072】
本発明の第3態様によれば、本発明は、上述のようなステータアセンブリ1、1’を含むトルクコンバータを提案する。
【0073】
本発明の第4態様によれば、本発明は、上述のような方法によって製造されたステータアセンブリを含むトルクコンバータを提供する。
【0074】
本発明の第5態様によれば、本発明は、上述したトルクコンバータを含む自動車を提供する。
【0075】
本発明により提案されたトルクコンバータ用ステータアセンブリおよびその製造方法の例示的な実施形態を好ましい実施例を参照して詳細に説明したが、通常の技術者であれば、本発明の概念を逸脱することなく本発明の上述した特定の実施形態について多様な修正および変形が可能であり、本発明で提案される多様な技術的特徴および構造は本発明の保護範囲を逸脱しない範囲で多様な方式で組合わされる。
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図9