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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】電源コードおよび電源コードの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/504 20060101AFI20240404BHJP
   H01R 43/00 20060101ALI20240404BHJP
   B25F 5/00 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
H01R13/504
H01R43/00 B
B25F5/00 G
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022518107
(86)(22)【出願日】2021-04-28
(86)【国際出願番号】 JP2021016921
(87)【国際公開番号】W WO2021221091
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-11-01
(31)【優先権主張番号】P 2020081283
(32)【優先日】2020-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】318001706
【氏名又は名称】京セラインダストリアルツールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100156177
【弁理士】
【氏名又は名称】池見 智治
(74)【代理人】
【識別番号】100130166
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 宏明
(72)【発明者】
【氏名】小寺 利英
【審査官】長清 吉範
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-235981(JP,A)
【文献】特開2015-41415(JP,A)
【文献】特開2019-59010(JP,A)
【文献】国際公開第2016/051489(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/504
H01R 13/40
H01R 13/639
H01R 43/00
H01R 43/20
B25F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動工具に着脱可能に装着される電源コードであって、
コードと、
前記コードの端部と接続された端子と、
前記端子の少なくとも一部を保持する第1端子カバーと、
前記第1端子カバーと接続されており、前記端子の少なくとも一部を覆うように配置された第2端子カバーと、
前記第1端子カバーおよび前記第2端子カバー上に配置された成形部材と、
前記コードを押圧するコード抑え部材と、を備え
前記第1端子カバーは、前記第2端子カバーよりも、前記コードの中心軸に沿った長さが長く、
前記コードの少なくとも一部は、前記コード抑え部材と前記第1端子カバーに挟み込まれるように配置され、
前記端子に対して、前記コード側を後ろ側としたとき、
前記コード抑え部材は、前記第2端子カバーおよび前記成形部材よりも後ろ側に配置されている、電源コード。
【請求項2】
電動工具に着脱可能に装着される電源コードであって、
コードと、
前記コードの端部と接続された端子と、
前記端子の少なくとも一部を保持する第1端子カバーと、
前記第1端子カバーと接続されており、前記端子の少なくとも一部を覆うように配置された第2端子カバーと、
前記第1端子カバーおよび前記第2端子カバー上に配置された成形部材と、
前記コードを押圧するコード抑え部材と、を備え、
前記第2端子カバーは、前記第1端子カバーよりも、前記コードの中心軸に沿った長さが長く、
前記コードの少なくとも一部は、前記コード抑え部材と前記第2端子カバーに挟み込まれるように配置され、
前記端子に対して、前記コード側を後ろ側としたとき、
前記コード抑え部材は、前記第1端子カバーおよび前記成形部材よりも後ろ側に配置されている、電源コード。
【請求項3】
電動工具に着脱可能に装着される電源コードであって、
コードと、
前記コードの端部と接続された端子と、
前記端子の少なくとも一部を保持する第1端子カバーと、
前記第1端子カバーと接続されており、前記端子の少なくとも一部を覆うように配置された第2端子カバーと、
前記第1端子カバーおよび前記第2端子カバー上に配置された成形部材と、を備え、
前記第1端子カバーおよび前記第2端子カバーの少なくとも一方は、電動工具に装着された際に電動工具と係合する係合凸部を備えており、
前記係合凸部は、第1凸部と、前記第1凸部上に配置された第2凸部とを備えており、
前記コードの中心軸方向に直交する断面視において、前記第1端子カバーおよび前記第2端子カバーが並ぶ方向を上下方向とし、前記上下方向に直交する方向を左右方向としたとき、
前記第2凸部の左右方向の長さは、前記第1凸部の左右方向の長さよりも短い、電源コード。
【請求項4】
前記コードを押圧するコード抑え部材をさらに備え、
前記第1端子カバーは、前記第2端子カバーよりも、前記コードの中心軸に沿った長さが長く、
前記コードの少なくとも一部は、前記コード抑え部材と前記第1端子カバーに挟み込まれるように配置されている、請求項に記載の電源コード。
【請求項5】
前記コードを押圧するコード抑え部材をさらに備え、
前記第2端子カバーは、前記第1端子カバーよりも、前記コードの中心軸に沿った長さが長く、
前記コードの少なくとも一部は、前記コード抑え部材と前記第2端子カバーに挟み込まれるように配置されている、請求項に記載の電源コード。
【請求項6】
前記第1端子カバーおよび前記第2端子カバーの少なくとも一方は、電動工具に装着された際に電動工具と係合する係合凸部を備えており、
前記係合凸部は、第1凸部と、前記第1凸部上に配置された第2凸部とを備えており、
前記コードの中心軸方向に直交する断面視において、前記第1端子カバーおよび前記第2端子カバーが並ぶ方向を上下方向とし、前記上下方向に直交する方向を左右方向としたとき、
前記第2凸部の左右方向の長さは、前記第1凸部の左右方向の長さよりも短い、請求項1または2に記載の電源コード。
【請求項7】
前記第1端子カバーおよび前記第2端子カバーは、係合部を備えており、
前記係合部によって前記第1端子カバーと前記第2端子カバーが係合されている、請求項1乃至6のいずれかに記載の電源コード。
【請求項8】
前記成形部材は、その全体が単一の部材からなる、請求項1乃至7のいずれかに記載の電源コード。
【請求項9】
前記前記第1端子カバーの沿面距離が4mm以上であり、
前記成形部材の厚みが1mm以上である、請求項1乃至8のいずれかに記載の電源コード。
【請求項10】
電動工具に着脱可能に装着される電源コードの製造方法であって、
コードの端部に端子を接続する第1のステップと、
前記端子の少なくとも一部を、第1端子カバーに装着する第2のステップと、
前記端子の少なくとも一部を覆うように、前記第1端子カバーに第2端子カバーを接続する第3のステップと、
前記第1端子カバーおよび前記第2端子カバーを金型内に配置し、インサート成形によって、前記第1端子カバーおよび前記第2端子カバー上に成形部材を形成する第4のステップと、を含み、
前記第1端子カバーは、前記第2端子カバーよりも、前記コードの中心軸に沿った長さが長く、
前記第1端子カバーと共に前記コードの少なくとも一部を挟み込むように、前記コードを押圧するコード抑え部材を配置する第5のステップをさらに含み、
前記端子に対して、前記コード側を後ろ側としたとき、
前記第5のステップでは、前記コード抑え部材を、前記成形部材および前記第2端子カバーよりも後ろ側に配置する、電源コードの製造方法。
【請求項11】
電動工具に着脱可能に装着される電源コードの製造方法であって、
コードの端部に端子を接続する第1のステップと、
前記端子の少なくとも一部を、第1端子カバーに装着する第2のステップと、
前記端子の少なくとも一部を覆うように、前記第1端子カバーに第2端子カバーを接続する第3のステップと、
前記第1端子カバーおよび前記第2端子カバーを金型内に配置し、インサート成形によって、前記第1端子カバーおよび前記第2端子カバー上に成形部材を形成する第4のステップと、を含み、
前記第2端子カバーは、前記第1端子カバーよりも、前記コードの中心軸に沿った長さが長く、
前記第2端子カバーと共に前記コードの少なくとも一部を挟み込むように、前記コードを押圧するコード抑え部材を配置する第5のステップをさらに含み、
前記端子に対して、前記コード側を後ろ側としたとき、
前記第5のステップでは、前記コード抑え部材を、前記成形部材および前記第1端子カバーよりも後ろ側に配置する、電源コードの製造方法。
【請求項12】
電動工具に着脱可能に装着される電源コードの製造方法であって、
コードの端部に端子を接続する第1のステップと、
前記端子の少なくとも一部を、第1端子カバーに装着する第2のステップと、
前記端子の少なくとも一部を覆うように、前記第1端子カバーに第2端子カバーを接続する第3のステップと、
前記第1端子カバーおよび前記第2端子カバーを金型内に配置し、インサート成形によって、前記第1端子カバーおよび前記第2端子カバー上に成形部材を形成する第4のステップと、を含み、
前記第1端子カバーは、前記第1端子カバーの外面から外側に突出する第1凸部を有し、
前記第2端子カバーは、前記第2端子カバーの外面から外側に突出する第2凸部を有し、
前記第4のステップでは、前記金型が前記第1端子カバーおよび前記第2端子カバーを挟み込むように前記第1凸部および前記第2凸部を押圧した状態で前記成形部材を形成する、電源コードの製造方法。
【請求項13】
前記第1端子カバーは、前記第2端子カバーよりも、前記コードの中心軸に沿った長さが長く、
前記第1端子カバーと共に前記コードの少なくとも一部を挟み込むように、前記コードを押圧するコード抑え部材を配置する第5のステップをさらに含む、請求項12に記載の電源コードの製造方法。
【請求項14】
前記第2端子カバーは、前記第1端子カバーよりも、前記コードの中心軸に沿った長さが長く、
前記第2端子カバーと共に前記コードの少なくとも一部を挟み込むように、前記コードを押圧するコード抑え部材を配置する第5のステップをさらに含む、請求項12に記載の電源コードの製造方法。
【請求項15】
前記第1端子カバーは、前記第1端子カバーの外面から外側に突出する第1凸部を有し、
前記第2端子カバーは、前記第2端子カバーの外面から外側に突出する第2凸部を有し、
前記第4のステップでは、前記金型が前記第1端子カバーおよび前記第2端子カバーを挟み込むように前記第1凸部および前記第2凸部を押圧した状態で前記成形部材を形成する、請求項10または11に記載の電源コードの製造方法。
【請求項16】
前記第1のステップでは、前記コードをコードホルダに挿通させ、
前記第4のステップでは、前記コードホルダを前記金型の外側に配置した後、インサート成形を行う、請求項10乃至15のいずれかに記載の電源コードの製造方法。
【請求項17】
前記第1端子カバーおよび前記第2端子カバーは、係合部を備えており、
前記第3のステップでは、前記係合部によって前記第1端子カバーと前記第2端子カバーとを係合させる、請求項10乃至16のいずれかに記載の電源コードの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源コードおよび電源コードの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動工具に対して電源コードを着脱自在とするための電動工具用コネクタ装置が知られている。(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-225272号公報
【発明の概要】
【0004】
実施形態の一態様に係る電源コードは、電動工具に着脱可能に装着される電源コードであって、コードと、前記コードの端部と接続された端子と、前記端子の少なくとも一部を保持する第1端子カバーと、前記第1端子カバーと接続されており、前記端子の少なくとも一部を覆うように配置された第2端子カバーと、前記第1端子カバーおよび前記第2端子カバー上に配置された成形部材と、を備える。
【0005】
実施形態の一態様に係る電源コードの製造方法は、電動工具に着脱可能に装着される電源コードの製造方法であって、コードの端部に端子を接続する第1のステップと、前記端子の少なくとも一部を、第1端子カバーに装着する第2のステップと、前記端子の少なくとも一部を覆うように、前記第1端子カバーに第2端子カバーを接続する第3のステップと、前記第1端子カバーおよび前記第2端子カバーを金型内に配置し、インサート成形によって、前記第1端子カバーおよび前記第2端子カバー上に成形部材を形成する第4のステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】電源コードの一例を示す斜視図である。
図2図1に示した電源コードの側面図である。
図3】電源コードの一例を示す斜視図である。
図4図3に示した電源コードの平面図である。
図5図4のv-v線断面図である。
図6図4のvi-vi線断面図である。
図7図4のvii-vii線断面図である。
図8】電源コードの一例を示す斜視図である。
図9図8に示した電源コードの側面図である。
図10】電動工具の一例を示す側面図である。
図11】電源コードの製造方法の一例を示す側面図である。
図12図11のxii-xii線断面図である。
図13図11のxiii-xiii線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付図面を参照して、電源コード10のいくつかの実施形態について説明する。
【0008】
図1は、電源コード10が電動工具100と接続された状態の一例を示す斜視図である。図2は、図1の側面図である。
【0009】
図1および図2に示すように、電源コード10は電動工具100に接続されて、電動工具100に電力を供給する。図1では電動工具100としていわゆるポリッシャを例示しているが、電動工具100はポリッシャに制限されるものではない。電動工具100としてはポリッシャの他に、例えばグラインダあるいはレシプロソー等の種々の電動工具が適用可能である。
【0010】
電源コード10は、電動工具100に対して着脱可能である。すなわち、電動工具100を使用する際には使用者が電源コード10を電動工具100に装着し、電動工具100を使用しない際には使用者が電源コード10を電動工具100から取り外すことが可能である。電源コード10を電動工具100に対して着脱可能とする構成の一例としては、上記の特許文献1に記載の電動工具用コネクタ装置を挙げることができる。
【0011】
電源コード10を電動工具100に対して着脱可能とすることによって、電源コード10の捩れ等により電源コード10に損傷が発生した場合に、電源コード10のみを交換することで電動工具100の使用を継続することができる。
【0012】
また、電源コード10を電動工具100に対して着脱可能とすることによって、長さの異なる複数の電源コード10を使用環境に応じて使い分けることができるため、使用者の利便性を向上させることができる。
【0013】
また、電源コード10を電動工具100に対して着脱可能とすることによって、1本の電源コード10を、複数種類の電動工具100の間で共用することが可能となるため、使用者の利便性を向上させることができる。
【0014】
図3は、電源コード10の一実施形態を示す斜視図である。図4は、図1の平面図である。図5は、図4のv-v線断面図である。図6は、図4のvi-vi線断面図である。図7は、図4のvii-vii線断面図である。
【0015】
図8は、図3に示す電源コード10の各構成部品を便宜的に示す分解斜視図である。図9は、図8の側面図である。
【0016】
図3図9等に示すように、電源コード10は、コード1と、コード1の端部と接続された端子2と、端子2の少なくとも一部を保持する第1端子カバー11と、第1端子カバー11と接続されており、端子2の少なくとも一部を覆うように配置された第2端子カバー12と、第1端子カバー11および第2端子カバー12上に配置された成形部材13と、を備えている。
【0017】
以下説明のために、コード1の中心軸方向を前後方向と定義する。そして、前後方向において、コード1に対して端子2側を前側と定義し、端子2に対してコード1側を後ろ側と定義する。さらに、前後方向に直交する方向を径方向と定義する。そして、径方向において、コード1の中心軸に近い側を内側、コード1の中心軸から遠い側を外側と定義して説明を行う。
【0018】
コード1の前側の端部には、端子2が接続されている。そして、コード1の後ろ側の端部には不図示の外部電源が接続される。電源コード10が電動工具100に接続された際、端子2は、電動工具100に設けられた端子(不図示)と接続される。この結果、電源コード10を介して外部電源から電動工具100に電力が供給される。
【0019】
コード1は例えば、銅線と、銅線を被覆する絶縁体とを備える。端子2は例えば、一対の銅板を備える。コード1と端子2の接続方法は特に制限されないが、例えばコード1の前側の端部の被覆を引き剥がし、内部の銅線を端子2とハンダ付けすることで接続してもよい。
【0020】
コード1の端部と接続された端子2の少なくとも一部が第1端子カバー11によって保持されている。換言すれば、第1端子カバー11は、端子2の少なくとも一部を保持している。第1端子カバー11の具体例を以下に記載するが、第1端子カバー11はこれに制限されるものではない。
【0021】
図7等に示すように、第1端子カバー11は、内側の面である内面11iと、外側の面である外面11eとを備えている。
【0022】
第1端子カバー11の内面11iには、一対の保持凹部11sが形成されている。一対の保持凹部11sの内部には、端子2の少なくとも一部がそれぞれ配置される。保持凹部11sの内部には、端子2と接続されたコード1の一部が配置されていてもよい。
【0023】
第1端子カバー11の外面11eは、例えば円弧形状である。より具体的には、外面11eは、電源コード10の前後方向に直交する断面視において、外面11eよりも内側に中心が存在する円弧形状である。外面11eの形状は上述したものに制限されず、例えば多角形状であってもよい。
【0024】
第1端子カバー11の沿面距離は、例えば4mm以上であってもよい。第1端子カバー11の沿面距離とは、第1端子カバー11の内面11iの端部から、端子2が配置される保持凹部11sまでの、内面11iに沿った最短距離を指す。より具体的には、図7において、第1端子カバー11の内面11iの端部11Lから、端子2が配置される保持凹部11sまでの、内面11iに沿った最短距離を指す。または、第1端子カバー11の内面11iの端部11Rから、端子2が保持される保持凹部11sまでの、内面11iに沿った最短距離を指す。
【0025】
第1端子カバー11には、種々の樹脂材料が適用可能である。
【0026】
第1端子カバー11には、第2端子カバー12が接続されている。より詳細には、第2端子カバー12は、第1端子カバー11と接続されているとともに、端子2の少なくとも一部を覆うように配置されている。第2端子カバー12の具体例を以下に記載するが、第2端子カバー12はこれに制限されるものではない。
【0027】
図7等に示すように、第2端子カバー12は、内面12iと、外面12eとを備えている。
【0028】
第2端子カバー12の内面12iの少なくとも一部は、第1端子カバー11と接している。さらに、端子2の少なくとも一部は、第2端子カバー12の内面12iと第1端子カバー11の内面11iとによって挟まれた状態である。「第2端子カバー12は、第1端子カバー11と接続されており、端子2の少なくとも一部を覆うように配置されている」とは、例えば上述した各部品の配置状態を指す。なお、第2端子カバー12の内面12iは、端子2と直接接触していなくてもよい。すなわち、第2端子カバー12の内面12iと、端子2との間には隙間が存在していてもよい。
【0029】
第2端子カバー12は、第1端子カバー11と同様に、端子2の少なくとも一部を保持していてもよい。より詳細には、第2端子カバー12の内面12iには、一対の保持凹部12sが形成されており、一対の保持凹部12sの内部に、端子2の少なくとも一部がそれぞれ配置されていてもよい。この場合、端子2は第1端子カバー11および第2端子カバー12の双方から保持されることとなる。保持凹部12sの内部には、端子2と接続されたコード1の一部が配置されていてもよい。
【0030】
第2端子カバー12の外面12eは円弧形状をなしている。より具体的には、外面12eは、電源コード10の前後方向に直交する断面視において、外面12eよりも内側に中心が存在する円弧形状である。外面12eの形状は上述したものに制限されず、例えば多角形状であってもよい。
【0031】
第2端子カバー12には、種々の樹脂材料が適用可能である。
【0032】
第2端子カバー12は、第1端子カバー11とは異なる部材である。ここで、第2端子カバー12と第1端子カバー11とが異なる部材であるとは、第2端子カバー12と第1端子カバー11は一体的に形成されておらず、それぞれが別体の部材であることをいう。なお、第2端子カバー12および第1端子カバー11は、同種類の材料から形成されていてもよい。
【0033】
図8等に示すように、第1端子カバー11と第2端子カバー12は、端子2を挟み込むいわゆる半割構造であって、第1端子カバー11と第2端子カバー12とが組み合わさって円筒形状をなしていてもよい。
【0034】
図6図8等に示すように、第1端子カバー11および第2端子カバー12上には、成形部材13が配置されている。より具体的には、第1端子カバー11および第2端子カバー12の少なくとも一部を覆うように、成形部材13が配置されている。成形部材13の具体例を以下に記載するが、成形部材13はこれに制限されるものではない。
【0035】
図8に示すように、成形部材13は、貫通孔13hを有する円筒状の部材である。貫通孔13hの内部には、第1端子カバー11および第2端子カバー12が配置される。成形部材13の内面13iは、第1端子カバー11の外面11eおよび第2端子カバー12の外面12eと接触した状態である。
【0036】
成形部材13は、その全体が単一の部材により形成されている。すなわち、成形部材13は、複数の異なる部材が組み合わされて形成されたものではない。したがって、成形部材13には、複数の異なる部材を接合した際に生じる合わせ面(接合面)が存在しない。
【0037】
成形部材13は、電源コード10の前後方向において、第1端子カバー11または第2端子カバー12の少なくとも一部を覆うように配置されていてもよいし、第1端子カバー11または第2端子カバー12の全体を覆うように配置されていてもよい。
【0038】
成形部材13の径方向の厚みは、例えば1mm以上であってもよい。成形部材13の径方向の厚みとは、例えば第1端子カバー11の内面11iの端部近傍における成形部材13の厚みである。より具体的には、図7において、第1端子カバー11の内面11iの端部11L近傍における、成形部材13の厚みであってもよい。または、第1端子カバー11の内面11iの端部11R近傍における、成形部材13の厚みであってもよい。
【0039】
成形部材13は、インサート成形によって形成される。インサート成形を用いることによって、第1端子カバー11および第2端子カバー12上に、上述した成形部材13を形成することができる。インサート成形の詳細については後述する。
【0040】
成形部材5には、種々の樹脂材料が適用可能である。
【0041】
上述したように、電源コード10においては、コード1の端部が接続された端子2を保持する第1端子カバー11および、第1端子カバー11と接続されており端子2の少なくとも一部を覆うように配置された第2端子カバー12上に、成形部材13がさらに配置されている。換言すれば、電源コード10においては、コード1の端部が接続された端子2を覆うように、第1端子カバー11および第2端子カバー12と、成形部材13とが重ねて配置されている。
【0042】
電源コード10を電動工具100に接続して電動工具100を使用する場合、電源コード10と電動工具100の電気的接続部である端子2付近には電気が流れる。これに対して、電源コード10が上述した構成を備えることにより、電源コード10において端子2付近の絶縁性能を向上させることができる。したがって、電源コード10が接続された電動工具100を使用する際の、使用者の安全性を向上させることができる。
【0043】
特に、成形部材13は、その全体が単一の部材により形成されている。したがって、成形部材13には、複数の部材を接合した際に生じる合わせ面(接合面)が存在しない。このような構成によれば、電源コード10の絶縁性能をさらに向上させることができる。
【0044】
以下、電源コード10のいくつかの実施形態について、さらに説明を行う。
【0045】
図8等に示すように、第1端子カバー11および第2端子カバー12は、係合部120を備えていてもよい。そして、係合部120によって第1端子カバー11と第2端子カバー12とが係合されていてもよい。係合部120は、インサート成形によって成形部材13を形成する際に特に効果を奏するものであるが、詳細については後述する。係合部120には、種々の係合手段が適用可能である。例えば、係合部120としては、第1端子カバー11に設けられた凸部と、該凸部に嵌合する第2端子カバー12に設けられた開口部を用いてもよい。また、第1端子カバー11および第2端子カバー12に設けられたネジ穴を係合部120とし、該ネジ穴にネジを挿通させることよって第1端子カバー11および第2端子カバー12とを係合してもよい。
【0046】
図8等に示すように、電源コード10はさらに、コード1を押圧するコード抑え部材14を備えていてもよい。コード抑え部材14は電源コード10においてコード1の外側に配置される。コード抑え部材14の内面14iには押圧凸部14pが形成されており、押圧凸部14pによってコード1を外側から内側へと押圧する。押圧凸部14pは、使用されるコード1の種類に応じてその形状が最適化されており、押圧凸部14pがコード1を押圧することによって、電源コード10においてコード1が適切な位置に保持される。この結果、電源コード10の接続信頼性を向上させることができる。
【0047】
コード抑え部材14は、第1端子カバー11、第2端子カバー12および成形部材13とは異なる部材である。より具体的には、コード抑え部材14は、第1端子カバー11、第2端子カバー12および成形部材13の一部分ではなく、一つの独立した部材である。このような構成によれば、コード抑え部材14の製造にあたって、コード抑え部材14専用の金型を準備することが可能となる。この結果、電源コード10の製造にあたって、使用されるコード1の種類に応じて柔軟にコード抑え部材14の形状を設定することが可能となり、製造コストの削減が可能となる。
【0048】
図9等に示すように、電源コード10がコード抑え部材14を備える場合、第1端子カバー11の前後方向の長さを、第2端子カバー12の前後方向の長さよりも長くしてもよい。そして、第1端子カバー11とコード抑え部材14とによってコード1を挟み込むように、コード1を配置してもよい。このような構成によれば、コード抑え部材14が例えば円筒状であって、コード抑え部材14のみでコード1を挟み込む場合に比べて、コード抑え部材14を小型化することができる。この結果、電源コード10の小型化を図ることができる。なお、コード抑え部材14は、この場合第2端子カバー12および成形部材13よりも後ろ側に配置される。
【0049】
図10は、電源コード10の別の実施形態を便宜的に示す分解側面図である。図10に示すように、電源コード10がコード抑え部材14を備える場合、第2端子カバー12の前後方向の長さを、第1端子カバー11の前後方向の長さよりも長くしてもよい。そして、第2端子カバー12とコード抑え部材14とによってコード1を挟み込むように、コード1を配置してもよい。このような構成によれば、コード抑え部材14が例えば円筒状であって、コード抑え部材14のみでコード1を挟み込む場合に比べて、コード抑え部材14を小型化することができる。この結果、電源コード10の小型化を図ることができる。なお、コード抑え部材14は、この場合第1端子カバー11および成形部材13よりも後ろ側に配置される。
【0050】
図8等に示すように、第1端子カバー11の外面11eには、外側に向かって突出した凸部11cが形成されていてもよい。凸部11cは、電源コード10の前後方向に沿って複数配置されていてもよい。同様に、第2端子カバー12の外面12eには、外側に向かって突出した凸部12cが形成されていてもよい。凸部12cは、電源コード10の前後方向に沿って複数配置されていてもよい。凸部11cおよび凸部12cの具体的な構成は、例えば以下のようであってもよい。
【0051】
図7に示すように、電源コード10の前後方向に直交する断面視において、第1端子カバー11と第2端子カバー12が並ぶ方向を上下方向と定義し、上下方向に直交する方向を左右方向と定義する。凸部11cは、第1端子カバー11の外面11eから外側に向かって突出しており、左右方向に延びる押圧面11pを有する。押圧面11pは、凸部11cの外側の面である。同様に、凸部12cは、第2端子カバー12の外面12eから外側に向かって突出しており、左右方向に延びる押圧面12pを有する。押圧面12pは、凸部12cの外側の面である。
【0052】
成形部材13は、凸部11cと径方向で略面一につながっている。より詳細には、成形部材13は、凸部11cの押圧面11pと略面一につながっている。同様に、成形部材13は、凸部12cと径方向で略面一につながっている。より詳細には、成形部材13は、凸部12cの押圧面12pと略面一につながっている。
【0053】
押圧面11pおよび押圧面12pは、例えばインサート成形によって成形部材13を形成する際に用いられるが、詳細については後述する。
【0054】
図6に示すように、凸部11cは、第1凸部11xと第2凸部11yを備えていてもよい。第1凸部11xは、第1端子カバー11の外面11eから外側に向かって突出しており、左右方向に延びる第1押圧面11xpを有する。第1押圧面11xpは、第1凸部11xの外側の面である。第2凸部11yは、第1凸部11x上に設けられており、第1押圧面11xpから外側に向かって突出しており、左右方向に延びる第2押圧面11ypを有する。第2凸部11yの第2押圧面11ypの長さは、第1凸部11xの第1押圧面11xpの長さよりも短い。同様に、凸部12cは、第1凸部12xと第2凸部12yを備えていてもよい。第1凸部12xは、第2端子カバー12の外面12eから外側に向かって突出しており、左右方向に延びる第1押圧面12xpを有する。第1押圧面12xpは、第1凸部12xの外側の面である。第2凸部12yは、第1凸部12x上に設けられており、第1押圧面12xpから外側に向かって突出しており、左右方向に延びる第2押圧面12ypを有する。第2凸部12yの第2押圧面12ypの長さは、第1凸部12xの第1押圧面12xpの長さよりも短い。
【0055】
成形部材13は、凸部11cの第1凸部11xと、径方向で略面一につながっている。より詳細には、成形部材13は、凸部11cの第1凸部11xの第1押圧面11xpと略面一につながっている。この場合、凸部11cの第2凸部11yは、成形部材13に対して外側に突出した状態である。同様に、成形部材13は、凸部12cの第1凸部12xと、径方向で略面一につながっている。より詳細には、成形部材13は、凸部12cの第1凸部12xの第1押圧面12xpと略面一につながっている。この場合、凸部12cの第2凸部12yは、成形部材13に対して外側に突出した状態である。
【0056】
凸部11cの第2凸部11yおよび凸部12cの第2凸部12yは、例えば電動工具100との係合部として用いることができる。より具体的には、電源コード10を電動工具100に接続した際に、凸部11cの第2凸部11yおよび凸部12cの第2凸部12yを、電動工具100側に設けられた不図示の係合部と係合部と係合させることができる。このような構成によれば、電動工具100の使用中に電源コード10が電動工具100から離脱することを低減することができるため、使用者の安全性を向上させることができる。
【0057】
なお、凸部11cの第1凸部11x(第1押圧面11xp)および凸部12cの第1凸部12x(第1押圧面12xp)は、インサート成形によって成形部材13を形成する際に特に効果を奏するものであるが、詳細については後述する。
【0058】
図8等に示すように、電源コード10はさらに、パイプ体15を備えていてもよい。パイプ体15は例えば、中空状の金属部材であって、電源コード10において前後方向の複数箇所に配置されていてもよい。パイプ体15は、電源コード10内に配置される各部品を一体化して接合するために用いられる。例えば、前側のパイプ体15は、その内部に成形部材13に覆われた第1端子カバー11および第2端子カバー12を嵌め込むように配置されており、成形部材13、第1端子カバー11および第2端子カバー12を一体化して接合する。電源コード10がコード抑え部材14を備えている場合、後ろ側のパイプ体15を、内部に第1端子カバー11(第2端子カバー12)およびコード抑え部材14を嵌め込むように配置し、第1端子カバー11(第2端子カバー12)およびコード抑え部材14を一体化して接合してもよい。パイプ体15を用いることで、接着剤を用いた接着接合や熱を利用した溶着接合といった接合手段を用いた場合に比べて、長期にわたって接合強度を維持させることが可能となる。
【0059】
図8等に示すように、電源コード10はさらに、ランプ3と、ランプ3の周辺に設置されるレンズ4とを備えていてもよい。ランプ3は例えば、ネオンランプである。ランプ3およびレンズ4は、第1端子カバー11の内部に配置される。ランプ3は、例えば1つの抵抗を介して端子2に接続されている。したがって、外部電源からコード1を介して端子2に電気が通電すると、ランプ3が発光する。ランプ3からの光は、レンズ4を透過して第1端子カバー11に設けられたランプ窓11wおよび成形部材13に設けられたランプ窓13wを通って外部に発光するので、使用者に対して電源コード10の電気的な接続状態を報知することが可能となる。したがって、電源コード10の安全性および操作性を向上させることができる。なお、第2端子カバー12がランプ口を備えており、ランプ3からの光がレンズ4を透過して第2端子カバー12のランプ口から外部に発光する構成としてもよい。
【0060】
次に、電源コード10の製造方法について、具体例を説明する。なお、電源コード10の製造方法は、以下に記載する具体例に制限されるものではない。
【0061】
はじめに、コード1の前側の端部を、端子2と接続する。
【0062】
コード1は例えば、銅線と、銅線を被覆する絶縁体とを備えている。端子2は例えば、一対の銅板を備えている。コード1と端子2の具体的な接続方法としては、コード1の前側の端部の被覆を引き剥がし、内部の銅線を端子2とハンダ付けによって接続してもよい。
【0063】
なお図8等に示すように、コード1を端子2と接続する前に、コード1をコードホルダ16に挿通させてから、コード1を端子2と接続してもよい。コードホルダ16は、樹脂やゴム等よって構成される中空状の軟質部材である。コード1をコードホルダ16に挿通させることにより、電源コード10の組立後において第1端子カバー11および第2端子カバー12に対するコード1(コードホルダ16)の柔軟な屈曲動作が可能となる。
【0064】
次に、端子2の少なくとも一部を第1端子カバー11に装着する。なお、第1端子カバー11は、あらかじめ所定の金型を用いて作製しておく。
【0065】
第1端子カバー11の内面11iには、保持凹部11sが形成されている。保持凹部11s内部に端子2を押し込むようにして、端子2の少なくとも一部を保持凹部11s内部に配置する。このとき、端子2と接続されたコード1の一部を保持凹部11s内部に配置してもよい。
【0066】
次に、第2端子カバー12を第1端子カバー11と接続する。なお、第2端子カバー12は、あらかじめ所定の金型を用いて作製しておく。
【0067】
第1端子カバー11と第2端子カバー12の接続にあたっては、第1端子カバー11および第2端子カバー12に設けられた係合部120を用いてもよい。係合部120とは具体的には、第1端子カバー11に設けられた凸部と、該凸部と嵌合する第2端子カバー12に設けられた開口部であってもよい。
【0068】
第1端子カバー11に接続された第2端子カバー12は、端子2の少なくとも一部を覆うように位置している。例えば、端子2の少なくとも一部は、第2端子カバー12の内面12iと第1端子カバー11の内面11iとによって挟まれた状態である。
【0069】
第2端子カバー12の内面12iに形成された保持凹部12s内部に端子2を押し込むようにして、端子2の少なくとも一部を保持凹部12s内部に配置してもよい。この場合、端子2は、第1端子カバー11と第2端子カバー12の双方から保持される。
【0070】
次に、上述したように組み立てた各部品を、をインサート成形用の金型50および金型55内に配置して、インサート成形を行う。なお、コードホルダ16を電源コード10に用いる場合、コードホルダ16を金型50の外側に配置した状態でインサート成形を行う。この結果、インサート成形によってコードホルダ16の位置が固定されず、インサート成形により形成された成形部材13に対してコードホルダ16を自由な位置に配置することが可能となる。
【0071】
インサート成形の詳細は、例えば以下の通りである。なお以下の説明においては、電源コード10の前後方向に直交する断面視において、第1端子カバー11と第2端子カバー12が並ぶ方向を上下方向と定義し、上下方向に直交する方向を左右方向と定義する。
【0072】
なお、図11は、電源コード10の製造方法の一実施形態を示す側面図である。図12は、図11のxii-xii線断面図である。図13は、図11のxiii-xiii線断面図である。
【0073】
図11図13に示すように、第1端子カバー11および第2端子カバー12の前側端部を覆い囲むように、金型55を配置する。次に、金型55、第1端子カバー11および第2端子カバー12を上下方向に挟み込むように、一対の金型50を配置する。このとき、はじめに金型55および第1端子カバー11を下側の金型50上に配置し、その後上側の金型50をさらに配置してもよい。その後、金型50内に樹脂材料を射出すると、図12および図13に示すように、第1端子カバー11および第2端子カバー12と金型50との間の空間部33に樹脂材料が充填される。この結果、第1端子カバー11および第2端子カバー12上に、第1端子カバー11および第2端子カバー12を覆うように成形部材13が形成される。なお、金型55を用いることで、成形部材13に用いる材料が第1端子カバー11および第2端子カバー12内に侵入する可能性を低減することができる。
【0074】
図13に示すように、インサート成形にあたって、第1端子カバー11の外面11eに、外側に向かって突出した凸部11cをあらかじめ形成してもよい。同様に、第2端子カバー12の外面12eに、外側に向かって突出した凸部12cをあらかじめ形成してもよい。
【0075】
凸部11cは、第1端子カバー11の外面11eから外側に向かって突出しており、左右方向に延びる押圧面11pを有する。押圧面11pは、凸部11cの外側の面である。同様に、凸部12cは、第2端子カバー12の外面12eから外側に向かって突出しており、左右方向に延びる押圧面12pを有する。押圧面12pは、凸部12cの外側の面である。
【0076】
そして、インサート成形時に、第1端子カバー11および第2端子カバー12を上下方向に挟み込むように、2つの金型50が第1端子カバー11の押圧面11pおよび第2端子カバー12の押圧面12pを押圧していてもよい。このような方法によれば、第1端子カバー11と第2端子カバー12との間に隙間が生じにくくなる。したがって、インサート成形時に成形部材13に用いる材料が第1端子カバー11および第2端子カバー12内に侵入する可能性を低減することができる。この結果、端子2付近に、成形部材13に用いる材料が侵入する可能性を低減できるため、電源コード10の安全性および接続信頼性を向上させることができる。
【0077】
さらに、図12に示すように、凸部11cは、第1凸部11xと第2凸部11yを備えていてもよい。第1凸部11xは、第1端子カバー11の外面11eから外側に向かって突出しており、左右方向に延びる第1押圧面11xpを有する。第1押圧面11xpは、第1凸部11xの外側の面である。第2凸部11yは、第1凸部11x上に設けられており、第1押圧面11xpから外側に向かって突出しており、左右方向に延びる第2押圧面11ypを有する。第2凸部11yの第2押圧面11ypの長さは、第1凸部11xの第1押圧面11xpの長さよりも短い。同様に、凸部12cは、第1凸部12xと第2凸部12yを備えていてもよい。第1凸部12xは、第2端子カバー12の外面12eから外側に向かって突出しており、左右方向に延びる第1押圧面12xpを有する。第1押圧面12xpは、第1凸部12xの外側の面である。第2凸部12yは、第1凸部12x上に設けられており、第1押圧面12xpから外側に向かって突出しており、左右方向に延びる第2押圧面12ypを有する。第2凸部12yの第2押圧面12ypの長さは、第1凸部12xの第1押圧面12xpの長さよりも短い。
【0078】
そして、インサート成形時に、第1端子カバー11および第2端子カバー12を上下方向に挟み込むように、2つの金型50が第1端子カバー11の第1押圧面11xpおよび第2押圧面11ypと、第2端子カバー12の第1押圧面12xpおよび第2押圧面12ypを押圧していてもよい。このような方法によれば、インサート成形後に、成形部材13に対して外側に突出する第2凸部11yおよび第2凸部12yを高い精度で形成することができる。なお、上述したように第2凸部11yおよび第2凸部12yは、電源コード10を電動工具100と接続した際に電動工具100と係合する係合部として用いることができる。
【0079】
成形部材13は、その全体が単一の部材により形成されている。すなわち、成形部材13は、複数の異なる部材が組み合わされて形成されたものではない。
【0080】
次に、図8に示すように、コード1を押圧するコード抑え部材14を配置してもよい。コード抑え部材14は、コード1の外側に配置する。コード抑え部材14の内面14iには押圧凸部14pが形成されており、押圧凸部14pを用いてコード1を外側から内側へと押圧する。なお、コード抑え部材14は、あらかじめ所定の金型を用いて作製しておく。
【0081】
図9に示すように、第1端子カバー11の前後方向の長さが、第2端子カバー12の前後方向の長さよりも長い場合、第1端子カバー11とコード抑え部材14とによってコード1を挟み込むように、コード抑え部材14を配置する。このとき、コード抑え部材14は、第2端子カバー12および成形部材13よりも後ろ側に配置する。
【0082】
図10に示すように、第2端子カバー12の前後方向の長さが、第1端子カバー11の前後方向の長さよりも長い場合、第2端子カバー12とコード抑え部材14とによってコード1を挟み込むように、コード抑え部材14を配置する。このとき、コード抑え部材14は、第1端子カバー11および成形部材13よりも後ろ側に配置する。
【0083】
次に、中空状の金属部材であるパイプ体15を用いて、それぞれの部品を一体化して接合する。パイプ体15は例えば、前後方向の2箇所に配置する。前側のパイプ体15は、その内部に成形部材13に覆われた第1端子カバー11および第2端子カバー12を嵌め込むように配置されており、成形部材13、第1端子カバー11および第2端子カバー12を一体化して保持する。電源コード10がコード抑え部材14を備えている場合、後ろ側のパイプ体15を、内部に第1端子カバー11(第2端子カバー12)およびコード抑え部材14を嵌め込むように配置し、第1端子カバー11(第2端子カバー12)およびコード抑え部材14を一体化して接合してもよい。
【0084】
以上、電源コード10および電源コード10の製造方法のいくつかの実施形態について説明したが、電源コード10および電源コード10の製造方法は上述した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0085】
10 電源コード
1 コード
2 端子
3 ランプ
4 レンズ
11 第1端子カバー
12 第2端子カバー
13 成形部材
14 コード抑え部材
15 パイプ体
16 コードホルダ
100 電動工具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13