(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】車両用パワートランスミッション機構およびトランスミッションアセンブリのギアを適用するための方法
(51)【国際特許分類】
F16H 3/087 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
F16H3/087
(21)【出願番号】P 2022525783
(86)(22)【出願日】2019-11-05
(86)【国際出願番号】 EP2019080274
(87)【国際公開番号】W WO2021089126
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2022-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】512272672
【氏名又は名称】ボルボトラックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【氏名又は名称】網屋 美湖
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(72)【発明者】
【氏名】ヘドマン,アンデシュ
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05329828(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 3/087
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用パワートランスミッション機構(100)であって、
第1の入力シャフト(10)、第2の入力シャフト(20)、及び共通出力シャフト(30)を備えるトランスミッションアセンブリ(1)と、
前記第1の入力シャフト(10)を駆動させるために前記第1の入力シャフトに駆動可能に接続された第1の駆動手段(EM1)と、
前記第2の入力シャフト(20)を駆動させるために前記第2の入力シャフトに駆動可能に接続された第2の駆動手段(EM2)と
を備え、
前記トランスミッションアセンブリ(1)は、さらに、
前記第1の入力シャフト(10)上に軸方向に互いに離間して配置された第1の入力シャフト第1のギアホイール(11)及び第1の入力シャフト第2のギアホイール(12)と、
前記第2の入力シャフト(20)上に軸方向に互いに離間して配置された第2の入力シャフト第1のギアホイール(21)及び第2の入力シャフト第2のギアホイール(22)と、
前記共通出力シャフト(30)上に軸方向に互いに離間して配置された出力シャフト第1のギアホイール(31)及び出力シャフト第2のギアホイール(32)と、
を備え、
前記第1の入力シャフト第1のギアホイール(11)及び前記第2の入力シャフト第1のギアホイール(21)は、各々、前記出力シャフト第1のギアホイール(31)と噛合い、前記第1の入力シャフト第2のギアホイール(12)及び前記第2の入力シャフト第2のギアホイール(22)は、各々、前記出力シャフト第2のギアホイール(32)と噛合うパワートランスミッション機構(100)において、
前記出力シャフト第1のギアホイール(31)は、前記共通出力シャフト(30)に対して自由に回転可能に配置され、前記第1の入力シャフト第1のギアホイール(11)は、前記第1の入力シャフト(10)に対して自由に回転可能に配置され
、
前記第2の入力シャフト第1のギアホイール(21)は、前記第2の入力シャフト(20)に一緒に回転するように固定して配置されることを特徴とする、パワートランスミッション機構(100)。
【請求項2】
前記第1の入力シャフト第1のギアホイール(11)、前記第2の入力シャフト第1のギアホイール(21)、及び前記出力シャフト第1のギアホイール(31)は、第1のギア面を一緒に形成し、及び/又は前記第1の入力シャフト第2のギアホイール(12)、前記第2の入力シャフト第2のギアホイール(22)、及び前記出力シャフト第2のギアホイール(32)は、第2のギア面を一緒に形成する、請求項
1に記載のパワートランスミッション機構(100)。
【請求項3】
前記出力シャフト第2のギアホイール(32)は、前記共通出力シャフト(3)に一緒に回転するように固定して配置され、前記第1の入力シャフト第2のギアホイール(12)は、前記第1の入力シャフト(10)に対して自由に回転可能に配置され、前記第2の入力シャフト第2のギアホイール(22)は、前記第2の入力シャフト(20)に対して自由に回転可能に配置される、請求項
1または2に記載のパワートランスミッション機構(100)。
【請求項4】
前記出力シャフト第1のギアホイール(31)を前記出力シャフト(30)に対して選択的に係合及び離脱させるように構成された出力シャフトクラッチ部材(33)を更に備え、前記出力シャフト第1のギアホイール(31)は、係合されると、前記出力シャフト(30)に一緒に回転するように係止され、離脱されると、前記出力シャフト(30)に対して自由に回転可能である、請求項
1から3のいずれか1つに記載のパワートランスミッション機構(100)。
【請求項5】
前記第2の入力シャフト第2のギアホイール(22)を前記第2の入力シャフト(20)に対して選択的に係合及び離脱させるように構成された第2の入力シャフトクラッチ部材(23)を更に備え、前記第2の入力シャフト第2のギアホイール(22)は、係合されると、前記第2の入力シャフト(20)に一緒に回転するように係止され、離脱されると、前記第2の入力シャフト(20)に対して自由に回転可能である、請求項
1から4のいずれか1つに記載のパワートランスミッション機構(100)。
【請求項6】
前記出力シャフトクラッチ部材(33)及び前記第2の入力シャフトクラッチ部材(23)は、前記出力シャフト第1のギアホイール(31)及び前記第2の入力シャフト第2のギアホイール(22)のいずれか1つを係合及び離脱させる時に、同時に移動するように構成される、請求項
4を引用する請求項5に記載のパワートランスミッション機構(100)。
【請求項7】
前記出力シャフトクラッチ部材(33)及び前記第2の入力シャフトクラッチ部材(23)を同時に移動させるように構成されたアクチュエータを更に備える、請求項
6に記載のパワートランスミッション機構(100)。
【請求項8】
前記出力シャフトクラッチ部材(33)及び前記第2の入力シャフトクラッチ部材(23)は、前記出力シャフト第1のギアホイール(31)及び前記第2の入力シャフト第2のギアホイール(22)が離脱される共通の離脱状態を取るように更に構成される、請求項
6または7に記載のパワートランスミッション機構(100)。
【請求項9】
第1の入力シャフトクラッチ部材(13)を更に備え、
前記第1の入力シャフトクラッチ部材(13)は、前記第1の入力シャフト第1のギアホイール(11)を前記第1の入力シャフト(10)に対して選択的に係合及び離脱させるように構成され、前記第1の入力シャフト第1のギアホイール(11)は、係合されると、前記第1の入力シャフト(10)に一緒に回転するように係止され、離脱されると、前記第1の入力シャフト(10)に対して自由に回転可能であり、及び/又は
前記第1の入力シャフトクラッチ部材(13)は、前記第1の入力シャフト第2のギアホイール(12)を前記入力シャフト(10)に対して選択的に係合及び離脱させるように構成され、前記第1の入力シャフト第2のギアホイール(12)は、係合されると、前記第1の入力シャフト(10)に一緒に回転するように係止され、離脱されると、前記第1の入力シャフト(10)に対して自由に回転可能である、請求項
1から8のいずれか1つに記載のパワートランスミッション機構(100)。
【請求項10】
前記第1の入力シャフトクラッチ部材(13)は、前記第1の入力シャフト第1のギアホイール(11)及び前記第1の入力シャフト第2のギアホイール(12)の両方が離脱される完全な離脱状態を取るように更に構成される、請求項
9に記載のパワートランスミッション機構(100)。
【請求項11】
前記第1の入力シャフト第1のギアホイール(11)と前記出力シャフト第1のギアホイール(31)との間のギア比は、前記第2の入力シャフト第1のギアホイール(21)と前記出力シャフト第1のギアホイール(31)との間のギア比よりも大きい、請求項
1から10のいずれか1つに記載のパワートランスミッション機構(100)。
【請求項12】
前記第1の入力シャフト第2のギアホイール(12)と前記出力シャフト第2のギアホイール(32)との間のギア比は、前記第2の入力シャフト第2のギアホイール(22)と前記出力シャフト第2のギアホイール(32)との間のギア比よりも大きい、請求項
1から11のいずれか1つに記載のパワートランスミッション機構(100)。
【請求項13】
前記第1の入力シャフト第2のギアホイール(12)と前記出力シャフト第2のギアホイール(32)との間の前記ギア比は、前記第2の入力シャフト第1のギアホイール(21)と前記出力シャフト第1のギアホイール(31)との間の前記ギア比よりも小さい、請求項
11および12に記載のパワートランスミッション機構(100)。
【請求項14】
前記第2の入力シャフト第1のギアホイール(21)は、前記第2の入力シャフト(20)の一体化された部分として設けられる、請求項
1から13のいずれか1つに記載のパワートランスミッション機構(100)。
【請求項15】
前記共通出力シャフト(30)に駆動可能に接続されたレンジギア(40)を更に備え、前記レンジギアは、車両の被駆動車軸に駆動可能に接続されるように構成される、請求項
1から14のいずれか1つに記載のパワートランスミッション機構(100)。
【請求項16】
前記レンジギア(40)は、遊星ギアである、請求項
15に記載のパワートランスミッション機構(100)。
【請求項17】
前記第1及び第2の駆動手段(EM1,EM2)の少なくとも1つが電気モータである、請求項
1から16のいずれか1つに記載のパワートランスミッション機構(100)。
【請求項18】
請求項
1から17のいずれか1つに記載のパワートランスミッション機構(100)を備える車両(110)。
【請求項19】
トランスミッションアセンブリ(1)のギアを適用するための方法であって、
前記トランスミッションアッセンブリ(1)は、
第1の入力シャフト(10)、第2の入力シャフト(20)、及び共通出力シャフト(30)と、
前記第1の入力シャフト(10)上に軸方向に互いに離間して配置された第1の入力シャフト第1のギアホイール(11)及び第1の入力シャフト第2のギアホイール(12)と、
前記第2の入力シャフト(20)上に軸方向に互いに離間して配置された第2の入力シャフト第1のギアホイール(21)及び第2の入力シャフト第2のギアホイール(22)と、
前記共通出力シャフト(30)上に軸方向に互いに離間して配置された出力シャフト第1のギアホイール(31)及び出力シャフト第2のギアホイール(32)とを備え、
前記第1の入力シャフト第1のギアホイール(11)及び前記第2の入力シャフト第1のギアホイール(21)は、各々、前記出力シャフト第1のギアホイール(31)と噛合い、前記第1の入力シャフト第2のギアホイール(12)及び前記第2の入力シャフト第2のギアホイール(22)は、各々、前記出力シャフト第2のギアホイール(32)と噛合い、
前記出力シャフト第1のギアホイール(31)は、前記共通出力シャフト(30)に対して自由に回転可能に配置され、前記第1の入力シャフト第1のギアホイール(11)は、前記第1の入力シャフト(10)に対して自由に回転可能に配置され、
前記第2の入力シャフト第1のギアホイール(21)は、前記第2の入力シャフト(20)に一緒に回転するように固定して配置され、
前記方法は、前記第2の入力シャフト(20)から出力シャフト(30)に至る第1のトルク経路を定めることによって前記ギアを適用するステップを含み、前記第1のトルク経路は、前記出力シャフト第1のギアホイール(31)が前記出力シャフト(30)に対して自由に回転可能である離脱状態において、前記第2の入力シャフト第2のギアホイール(22)及び前記出力シャフト第2のギアホイール(32)を経由するものとして規定される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用トランスミッションアセンブリ、車両用パワートランスミッション機構、車両、及び/又はトランスミッションアセンブリのギアを適用するための方法に関する。
【0002】
本発明は、トラック、バス、及び建設機械のような大型車両に適用可能である。本発明は、大型トラックに関して説明されるが、この特定の車両に制限されず、軽量トラック、関節式運搬車、掘削機、ホイールローダー及びバックホーローダーのような他の車両、並びに乗用車に用いられてもよい。
【背景技術】
【0003】
ギアボックスとしても知られる車両用トランスミッションアセンブリは、駆動可能に接続された多数のギアホイールを用いることによって、動力を入力シャフトから出力シャフトに制御して供給するように構成される。従って、トランスミッションアセンブリは、回転動力源から、例えば、車両の1つ又は複数の被駆動車軸へ速度及びトルクを変換して提供するための1つ又は複数のギアホイールを備える。
【0004】
回転動力源は、例えば、内燃エンジン及び1つ又は複数の電気モータなど、どのような種類の動力源であってもよい。従って、トランスミッションアセンブリは、1つ又は複数の動力源を備える車両用パワートランスミッション機構の一部とすることができる。例えば、少なくとも2つの個別の動力源を備える車両が知られており、この場合、これらの動力源からの動力は、トランスミッションアセンブリのそれぞれの入力シャフトを介して供給される。それ故、このようなトランスミッションアセンブリは、少なくとも2つの入力シャフト及び少なくとも1つの共通出力シャフトを備えるとよい。
【0005】
例えば、前述のトランスミッションアセンブリは、互いに噛合うそれぞれのギアホイールによってもたらされる4つの異なるギアを備えることができる。これらのギアの2つは、入力シャフトの一方と共通出力シャフトとの間に設けられ、他の2つのギアは、入力シャフトの他方と共通出力シャフトとの間に配置される。トランスミッションアセンブリの4つのギアは、軸方向に互いに離間した2つのギア面に構成されるとよい。すなわち、第1及び第2のギアは、第1のギア面にあり、第3及び第4のギアは、第2のギア面にある。入力シャフトのギアホイールは、自由に回転可能であり、共通出力シャフトのギアホイールは、共通出力シャフトに一緒に回転するように固定される。入力シャフトの種々のギアホイールを係合/離脱させるために、ドッグクラッチのようなクラッチ部材が用いられる。
【0006】
前述のトランスミッションアセンブリは、少なくとも2つの動力源から1つの共通出力シャフトに動力を効率的に伝達することを示しているが、更に改良されたトランスミッションアセンブリを開発するための努力が依然としてなされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記に鑑み、本発明の目的は、少なくともいくつかの点において先行技術の欠点の少なくとも1つを軽減する、改良された車両用トランスミッションアセンブリ、パワートランスミッション機構、車両、及び/又はトランスミッションアセンブリのギアを適用するための方法を提供すること、及び/又は少なくとも有用な選択肢を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、上記の目的は、請求項1に記載の車両用トランスミッションアセンブリによって達成される。本発明の第2の態様によれば、上記の目的は、請求項18に記載の車両用パワートランスミッション機構によって達成される。本発明の第3の態様によれば、上記の目的は、請求項20に記載の車両によって達成される。本発明の第4の態様によれば、上記の目的は、請求項21に記載の方法によって達成される。
【0009】
本発明の第1の態様によれば、上記の目的は、第1の入力シャフト、第2の入力シャフト、及び共通出力シャフトを備える車両用トランスミッションアセンブリによって達成される。トランスミッションアセンブリは、第1の入力シャフト上に軸方向に互いに離間して配置された第1の入力シャフト第1のギアホイール及び第1の入力シャフト第2のギアホイールと、第2の入力シャフト上に軸方向に互いに離間して配置された第2の入力シャフト第1のギアホイール及び第2の入力シャフト第2のギアホイールとを更に備える。更に、トランスミッションアセンブリは、共通出力シャフト上に軸方向に互いに離間して配置された出力シャフト第1のギアホイール及び出力シャフト第2のギアホイールを備える。第1の入力シャフト第1のギアホイール及び第2の入力シャフト第1のギアホイールは、各々、出力シャフト第1ギアホイールと噛合い、第1の入力シャフト第2ギアホイール及び第2の入力シャフト第2のギアホイールは、各々、出力シャフト第2のギアホイールと噛合う。出力シャフト第1ギアホイールは、共通出力シャフトに対して自由に回転可能に配置され、第1の入力シャフト第1のギアホイールは、第1の入力シャフトに対して自由に回転可能に配置される。
【0010】
本明細書に開示される本発明の提示によって、改良されたトランスミッションアセンブリを達成することができる。実際、本発明者は、周知のトランスミッションアセンブリにおいて、第1の入力シャフト第1のギアホイールは、出力シャフト第2のギアホイールを介するトルク経路を有するギアの少なくとも1つが係合された時に比較的高速で回転することを認識していた。出力シャフト第1のギアホイール及び第1の入力シャフト第1ギアホイールをそれぞれのシャフトに対して自由に回転可能とすることによって、トルクが入力シャフトのいずれか一方又は両方から出力シャフト第2のギアホイールを介して共通出力シャフトに伝達される時、第1の入力シャフト第1のギアホイールをより低速で回転させることができる。これによって、第1の入力シャフト第1ギアホイール及びその関連部品の摩耗を低減させることができる。更に、トランスミッションアセンブリの電力損失も低減させることができる。関連する構成要素は、例えば、第1の入力シャフト第1のギアホイールを第1の入力シャフト上で支持するためのボール軸受及び/又はローラ軸受のような転がり軸受である。
【0011】
任意選択的に、第2の入力シャフト第1のギアホイールは、第2の入力シャフトに一緒に回転するように固定して配置されてもよい。第2の入力シャフトに一緒に回転するように固定された第2の入力シャフト第1のギアホイールを設けることによって、それほど複雑ではないトランスミッションアセンブリをその機能性を損なうことなくもたらすことができる。更に具体的には、ギア、例えば、「第2のギア」は、第2の入力シャフト第1のギアホイールを係合/離脱させるための第2の入力シャフト上のクラッチ部材を必要とすることなく、係合/離脱することができる。更に、第2の入力シャフトに一緒に回転するように固定された第2の入力シャフト第1のギアホイールを設けることによって、例えば、それらの間に転がり軸受を設ける必要がなく、これによって、自由に回転可能に設けた場合と比較して部品点数を少なくすることができる。更に、以下に更に詳述するように、一緒に回転するように固定された第2の入力シャフト第1のギアホイールを設けることによって、トランスミッションアセンブリの製造を容易にすることができる。
【0012】
任意選択的に、第1の入力シャフト第1のギアホイール、第2の入力シャフト第1のギアホイール、及び出力シャフト第1のギアホイールは、第1のギア面を一緒に形成してもよく、及び/又は第1の入力シャフト第2のギアホイール、第2の入力シャフト第2のギアホイール、及び出力シャフト第2のギアホイールは、第2のギア面を一緒に形成してもよい。
【0013】
任意選択的に、出力シャフト第2ギアホイールは、共通出力シャフトに一緒に回転するように固定されてもよく、第1の入力シャフト第2ギアホイールは、第1の入力シャフトに対して自由に回転可能に配置されてもよく、第2の入力シャフト第2ギアホイールは、第2の入力シャフトに対して自由に回転可能に配置されてもよい。これによって、少なくとも4つの異なる個別のギアが設けられる。
【0014】
任意選択的に、トランスミッションアセンブリは、出力シャフト第1のギアホイールを出力シャフトに対して選択的に係合及び離脱させるように構成された出力シャフトクラッチ部材を更に備えてもよく、これによって、出力シャフト第1のギアホイールは、係合されると、出力シャフトに回転可能に係止され、離脱されると、出力シャフトに対して自由に回転可能である。
【0015】
任意選択的に、トランスミッションアセンブリは、第2の入力シャフト第2のギアホイールを第2の入力シャフトに対して選択的に係合及び離脱させるように構成された第2の入力シャフトクラッチ部材を更に備えてもよく、これによって、第2の入力シャフト第2のギアホイールは、係合されると、第2の入力シャフトに回転可能に係止され、離脱されると、第2の入力シャフトに対して自由に回転可能である。
【0016】
任意選択的に、出力シャフトクラッチ部材及び第2の入力シャフトクラッチ部材は、出力シャフト第1のギアホイール及び第2の入力シャフト第2のギアホイールのいずれか1つを係合及び離脱させる時に、同時に移動するように構成されてもよい。これによって、例えば、これらのクラッチ部材を移動させるためのわずかな追加的な構成要素によって、移動を容易に制御することができる。従って、更に任意選択的に、トランスミッションアセンブリは、出力シャフトクラッチ部材及び第2の入力シャフトクラッチ部材を同時に移動させるように構成されたアクチュエータを更に備えてもよい。これによって、1つのアクチュエータのみを用いて、このような移動をもたらすことができる。また、これによって、トランスミッションアセンブリのコストを削減することもできる。
【0017】
任意選択的に、出力シャフトクラッチ部材及び第2の入力シャフトクラッチ部材は、出力シャフト第1のギアホイール及び第2の入力シャフト第2のギアホイールが離脱される共通の離脱状態を取るように更に構成されてもよい。これによって、トルクは、このような状態においてのみ、第1の入力シャフトから共通出力シャフトに伝達される。例えば、このようなギア状態では、わずかな動力しか消費されず、エネルギー効率を向上させることができる。このような状態は、例えば、車両がその速度を維持又は増大させるためにわずかなエネルギーしか必要としない時、例えば、高速道路のクルーズ走行時及び/又は坂道を下る時に用いられると有利である。
【0018】
任意選択的に、トランスミッションアセンブリは、第1の入力シャフトクラッチ部材を更に備えてもよい。第1の入力シャフトクラッチ部材は、第1の入力シャフト第1のギアホイールを第1の入力シャフトに選択的に係合及び離脱させるように構成され、これによって、第1の入力シャフト第1のギアホイールは、係合されると、第1の入力シャフトに回転可能に係止され、離脱されると、第1の入力シャフトに対して自由に回転可能であり、及び/又は第1の入力シャフト第2の入力シャフトを第1の入力シャフトに対して選択的に係合及び離脱させるように構成され、これによって、第1の入力シャフト第2のギアホイールは、係合されると、第1の入力シャフトに回転可能に係止され、離脱されると、第1の入力シャフトに対して自由に回転可能である。
【0019】
任意選択的に、第1の入力シャフトクラッチ部材は、第1の入力シャフト第1のギアホイール及び第1の入力シャフト第2のギアホイールの両方が離脱される完全な離脱状態を取るように更に構成されてもよい。前述したように、このような状態では、第2の入力シャフトから共通出力シャフトにのみトルクが伝達され、これによって、消費電力を削減することができる。
【0020】
任意選択的に、第1の入力シャフト第1のギアホイールと出力シャフト第1のギアホイールとの間のギア比は、第2の入力シャフト第1のギアホイールと出力シャフト第1のギアホイールとの間のギア比より大きくてもよい。
【0021】
本明細書において用いられる「ギア比」という用語は、以下のように定義することができる。すなわち、もしも第1のギアホイールが第2のギアホイールと噛合っているのであれば、第1のギアホイールと第2のギアホイールとの間のギア比は、使用中の第1のギアホイールの回転速度と第2のギアホイールの回転速度との比である。
【0022】
任意選択的に、第1の入力シャフト第2のギアホイールと出力シャフト第2のギアホイールとの間のギア比は、第2の入力シャフト第2のギアホイールと出力シャフト第2のギアホイールとの間のギア比より大きくてもよい。
【0023】
更に任意選択的に、第1の入力シャフト第2のギアホイールと出力シャフト第2のギアホイールとの間のギア比は、第2の入力シャフト第1のギアホイールと出力シャフト第1のギアホイールとの間のギア比より小さくてもよい。
【0024】
上記を考慮し、異なるギア比を有する少なくとも2つのギア、例えば、4つのギアを有利に設けることができ、第1の入力シャフト第1のギアホイールの摩耗及び/又は動力損失を低減することができる。
【0025】
任意選択的に、第2の入力シャフト第1のギアホイールは、第2の入力シャフトの一体部分として設けられてもよい。これによって、わずかな個別の構成要素しか必要とせず、コスト面で有益である。更に、個別の構成要素の数が少ないことは、トランスミッションアセンブリの堅牢性及び信頼性の向上のために有利である。更に具体的には、第2の入力シャフト第1のギアホイールを第2の入力シャフトと一体化することによって、このような部品の製造を単一の製造プロセスによって行うことができる。これは、製造コストの削減を意味する。また、第2の入力シャフト第1のギアホイールと第2の入力シャフトとの間の境界面における摩耗、腐食、不要な隙間等の問題が生じるおそれを低減又は排除することができる。
【0026】
任意選択的に、トランスミッションアセンブリは、共通出力シャフトに駆動可能に接続されたレンジギアを更に備えてもよく、レンジギアは、車両の被駆動車軸に駆動可能に接続されるように構成される。レンジギアは、低ギア状態及び高ギア状態のような更なるギア状態をもたらすことができる。これによって、レンジギアは、トランスミッションアセンブリの汎用性と性能を向上させることができる。更に任意選択的に、レンジギアは、遊星ギアであってもよい。
【0027】
本発明の第2の態様によれば、上記の目的は、本発明の第1の態様の実施形態のいずれか1つによるトランスミッションアセンブリを備える車両用パワートランスミッション機構によって達成される。パワートランスミッション機構は、第1の入力シャフトを駆動するために第1の入力シャフトに駆動可能に接続された第1の駆動手段と、第2の入力シャフトを駆動するために第2の入力シャフトに駆動可能に接続された第2の駆動手段とを更に備える。
【0028】
本発明の第2の態様によってもたらされる利点及び効果は、本発明の第1の態様によってもたらされる利点及び効果とほぼ同様である。また、本発明の第2の態様の全ての実施形態は、本発明の第1の態様の全ての実施形態に適用可能であり、かつそれらと組合わせ可能であり、逆もまた同様であることに留意されたい。
【0029】
任意選択的に、第1及び第2の駆動手段の少なくとも1つは、電気モータであってもよい。本発明は、駆動手段として電気モータを用いる場合に特に有用であることが見出されている。実際、1つのみではなく少なくとも2つの電気モータを設けると有利である。これは、よりコンパクトな設計が提供される点、及び電気モータが別々に及び/又は一緒に作動される場合により効率的なパワートレインが達成される点において有益である。更に、電気モータの一方が他方の電気モータによって駆動される発電機として使用いられてもよく、これによって、例えば、車両のバッテリーのようなエネルギー貯蔵源を充電するためのパワーハーベストモードをもたらすことができる。
【0030】
本発明の第3の態様によれば、上記の目的は、本発明の第1の態様の実施形態のいずれか1つによるトランスミッションアセンブリ及び/又は本発明の第2の態様の実施形態のいずれか1つによるパワートランスミッション機構を備える車両によって達成される。
【0031】
本発明の第3の態様によってもたらされる利点及び効果は、本発明の第1及び第2の態様によってもたらされる利点及び効果とほぼ同様である。本発明の第3の態様の全ての実施形態は、本発明の第1及び第2の態様の全ての実施形態に適用可能であり、かつそれらと組合わせ可能であり、逆もまた同様であることに留意されたい。
【0032】
本発明の第4の態様によれば、上記の目的は、本発明の第1の態様の実施形態のいずれか1つによるトランスミッションアセンブリのギアを適用するための方法によって達成される。この方法は、第2の入力シャフトから出力シャフトに至る第1のトルク経路を定めることによってギアを適用するステップを備え、第1のトルク経路は、出力シャフト第1のギアホイールが出力シャフトに対して自由に回転可能である離脱状態において、第2の入力シャフト第2のギアホイール及び出力シャフト第2のギアホイールを経由するものとして規定される。
【0033】
本発明の第4の態様によってもたらされる利点及び効果は、本発明の第1の態様によってもたらされる利点及び効果とほぼ同様である。本発明の第4の態様の全ての実施形態は、本発明の第1、第2、及び第3の態様の全ての実施形態に適用可能であり、かつそれらと組合せ可能であり、逆もまた同様であることに留意されたい。
【0034】
以下、添付の図面を参照して、本発明の例示的な実施形態を更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の実施形態によるトランスミッションアセンブリ及びパワートランスミッション機構を備えるトラックの形態にある車両を示す図である。
【
図2a】本発明の一実施形態によるトランスミッションアセンブリの概略図である。
【
図2b】本発明の一実施形態によるトランスミッションアセンブリの概略図である。
【
図2c】本発明の一実施形態によるトランスミッションアセンブリの概略図である。
【
図2d】本発明の一実施形態によるトランスミッションアセンブリの概略図である。
【
図3】本発明によるトランスミッションアセンブリの種々のギアの表を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態によるパワートランスミッション機構の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図面は、本発明の実施形態を例示する略図を示すものであり、必ずしも縮尺通りに描かれていない。図面に基づいて記載される実施形態は、例示であり、本発明は、これらの実施形態に制限されないことを理解されたい。また、本発明をより明瞭に説明しかつ例示するために、図面におけるいくつかの細部が誇張される場合があることに留意されたい。特に明記しない限り、実施形態の全体を通して、同様の参照番号は、同様の要素を示すものとする。
【0037】
大型トラックの形態にある車両110が、
図1に示される。このトラックは、本発明の実施形態によるトランスミッションアセンブリ1及びパワートランスミッション機構100を備える。トランスミッションアセンブリ1は、2つの電気モータEM1,EM2をプロペラシャフト50に駆動可能に接続し、プロペラシャフト50は、例えば、ディファレンシャルギア(図示せず)を備える被駆動車軸60に駆動可能に接続される。1つの被駆動車軸が示されるが、プロペラシャフト50は、車輪のような接地手段を駆動するために2つ以上の被駆動車軸に接続されてもよいことに留意されたい。また、前述したように、本発明は、トラックに制限されず、バス、建設機械車両等の他の形式の車両に用いられてもよい。
【0038】
特に
図2a-2dに関して、本発明による車両用トランスミッションアセンブリ1の実施形態が概略的に示される。
【0039】
トランスミッションアセンブリ1は、第1の入力シャフト10、第2の入力シャフト20、及び共通出力シャフト30を備える。トランスミッションアセンブリ1は、第1の入力シャフト10上に軸方向に互いに離間して配置された第1の入力シャフト第1のギアホイール11及び第1の入力シャフト第2のギアホイール12と、第2の入力シャフト20上に軸方向に互いに離間して配置された第2の入力シャフト第1のギアホイール21及び第2の入力シャフト第2のギアホイール22とを更に備える。更に、トランスミッションアセンブリ1は、共通出力シャフト30上に軸方向に互いに離間して配置された出力シャフト第1のギアホイール31及び出力シャフト第2のギアホイール32を備える。第1の入力シャフト10、第2の入力シャフト20、及び共通出力シャフト30は、それぞれの回転軸A1,A2,A3を中心として回転するように構成される。これによって、本明細書に用いられる「軸方向に互いに離間して配置される」という用語は、複数のギアホイールが該当する回転軸A1,A2,A3に沿って互い離間して設けられることを意味する。
【0040】
更に、図示されるように、第1の入力シャフト第1のギアホイール11及び第2の入力シャフト第1のギアホイール21は、各々、出力シャフト第1のギアホイール31と噛合い、第1の入力シャフト第2のギアホイール12及び第2の入力シャフト第2のギアホイール22は、各々、出力シャフト第2のギアホイール32と噛合う。これによって、第1の入力シャフト第1のギアホイール11、第2の入力シャフト第1のギアホイール21、及び出力シャフト第1のギアホイール31は、第1のギア面を一緒に形成し、第1の入力シャフト第2のギアホイール12、第2の入力シャフト第2のギアホイール22、及び出力シャフト第2のギアホイール32は、第2のギア面を一緒に形成する。これらのギア面は、図示の実施形態に示されるように、回転軸A1,A2,A3とほぼ直交する。
【0041】
更に、出力シャフト第1のギアホイール31は、共通出力シャフト30に対して自由に回転可能に配置され、第1の入力シャフト第1のギアホイール11は、第1の入力シャフト10に対して自由に回転可能に配置される。これによって、例えば、(
図2dに関して以下に更に説明するように及び
図3に示されるように)「第4の」ギアが係合された時、第1の入力シャフト第1のギアホイール11は、出力シャフト第1のギアホイール31が共通出力シャフト30に一緒に回転するように固定された時と比較して、より低い速度で回転することとなる。
【0042】
第2の入力シャフト第1のギアホイール21は、図示の実施形態では、第2の入力シャフト20に一緒に回転するように固定して配置される。従って、第1の入力シャフト第1のギアホイール11が第1の入力シャフト10に係合されると共に出力シャフト第1のギアホイール31が共通出力シャフト30に係合される時の「第1の」ギアでは、第1の入力シャフト10が回転している時、第2の入力シャフト20も回転する。このギア状態は、
図2aに示される。
【0043】
更に、例えば、
図2a-2dに示される実施形態では、出力シャフト第2のギアホイール32は、共通出力シャフト30に一緒に回転するように固定して配置され、第1の入力シャフト第2のギアホイール12は、第1の入力シャフト10に対して自由に回転可能に配置され、第2の入力シャフト第2のギアホイール22は、第2の入力シャフト20に対して自由に回転可能に配置される。
【0044】
更に示されるように、トランスミッションアセンブリ1は、出力シャフトクラッチ部材33を更に備える。出力シャフトクラッチ部材33は、出力シャフト第1のギアホイール31を出力シャフト30に対して選択的に係合及び離脱させるように構成され、これによって、出力シャフト第1のギアホイール31は、係合されると、出力シャフト30に一緒に回転するように係止され、離脱されると、出力シャフト30に対して自由に回転可能である。
【0045】
トランスミッションアセンブリ1は、第2の入力シャフトクラッチ部材23を更に備える。第2の入力シャフトクラッチ部材23は、第2の入力シャフト第2のギアホイール22を第2の入力シャフト20に対して選択的に係合及び離脱させるように構成され、これによって、第2の入力シャフト第2のギアホイール22は、係合されると、第2の入力シャフト20に一緒に回転するように係止され、離脱されると、第2の入力シャフト20に対して自由に回転可能である。
【0046】
更に、例えば、
図2a-2dに示されるように、出力シャフトクラッチ部材33及び第2の入力シャフトクラッチ部材23は、出力シャフト第1のギアホイール31及び第2の入力シャフト第2のギアホイール22のいずれか1つを係合及び離脱させる時、同時に移動するように構成されるとよい。これは、
図2a-2d及び
図4においてクラッチ部材23,24間の矢印によって示される。トランスミッションアセンブリ1は、出力シャフトクラッチ部材33及び第2の入力シャフトクラッチ部材23を同時に移動させるように構成されたアクチュエータ(図示せず)を更に備えるとよい。従って、1つのアクチュエータによって、2つのシャフトクラッチ部材を十分に移動させることができる。前述のシャフトクラッチ部材は、当業者に既知のいかなる適切な形態によって構成されてもよく、例えば、スリップ/摩擦クラッチ及び/又は非スリップクラッチ、例えば、ドッグクラッチのいずれか1つであるとよい。更に、シャフトクラッチ部材は、その係合/離脱のためにそれぞれのシャフト上をほぼ軸方向に移動される。
【0047】
出力シャフトクラッチ部材33及び第2の入力シャフトクラッチ部材23は、図示の実施形態では、出力シャフト第1のギアホイール31及び第2の入力シャフト第2のギアホイール22が離脱される共通の離脱状態を取るように更に構成される。これによって、トランスミッションアセンブリ1を、トルクを第2の入力シャフト20から共通出力シャフト30に伝達することができない状態に置くこともできる。従って、このような状態では、第1の入力シャフト10からのトルクのみが共通出力シャフト30に伝達されるか、又はトルクが共通出力シャフト30に全く伝達されないこととなる。このような状態の例が、例えば、
図2cに示される。ここでは、第1の入力シャフト10から共通出力シャフト30に至るトルク経路のみがもたらされる。
【0048】
更に具体的には、例えば、
図2cに示されるように、トランスミッションアセンブリ1は、第1の入力シャフトクラッチ部材13を更に備えるとよい。第1の入力シャフトクラッチ部材13は、第1の入力シャフト第1のギアホイール11を第1の入力シャフト10に対して選択的に係合及び離脱させるように構成され、これによって、第1の入力シャフト第1のギアホイール11は、係合されると、第1の入力シャフト10に一緒に回転するように係止され、離脱されると、第1の入力シャフト10に対して自由に回転可能である。図示される第1の入力シャフトクラッチ部材13は、また、第1の入力シャフト第2のギアホイール12を第1の入力シャフト10に対して選択的に係合及び離脱させるように構成され、これによって、第1の入力シャフト第2のギアホイール12は、係合されると、第1の入力シャフト10に一緒に回転するように係止され、離脱されると、第1の入力シャフト10に対して自由に回転可能である。
図2cに示される状態では、トランスミッションアセンブリ1は、第1の入力シャフトクラッチ部材13が第1の入力シャフト第2のギアホイール12に係合されて第2の入力シャフトクラッチ部材23が共通の離脱状態にある「第3の」ギアにある。
【0049】
第1の入力シャフトクラッチ部材13は、第1の入力シャフト第1のギアホイール11及び第1の入力シャフト第2のギアホイール12の両方が離脱される完全な離脱状態を取るように更に構成されてもよい(
図2d及び
図2b参照)。
【0050】
更に
図2a-2dに示されるように、第1の入力シャフト第1のギアホイール11と出力シャフト第1のギアホイール31との間のギア比は、第2の入力シャフト第1のギアホイール21と出力シャフト第1のギアホイール31との間のギア比より大きいとよい。更に、第1の入力シャフト第2のギアホイール12と出力シャフト第2のギアホイール32との間のギア比は、第2の入力シャフト第2のギアホイール22と出力シャフト第2のギアホイール32との間のギア比より大きいとよい。したがって、
図2a-2dに示すように、これらのギアホイールは互いに異なる外径を有する。更に、図示されるように、第1の入力シャフト第2のギアホイール12と出力シャフト第2のギアホイール32との間のギア比は、第2の入力シャフト第1のギアホイール21と出力シャフト第1のギアホイール31との間のギア比より小さいとよい。
【0051】
図3は、
図2a-2dに示されるトランスミッションアセンブリ1の種々の可能性のあるギア状態の表を示している。「G12-G4」とラベル付けされた列は、出力シャフトクラッチ部材33及び第2の入力シャフトクラッチ部材23の位置を示している。すなわち、出力シャフト第1のギアホイール31と係合するために左に移動した位置(表において左向きの矢印によって示される位置)、第2の入力シャフト第2のギアホイール22と係合するために右に移動した位置(表においての右向きの矢印によって示される位置)、又は共通の離脱状態にある位置(表において矢印がない位置)を示す。「G13」とラベル付けされた列は、第1の入力シャフトクラッチ部材13の位置を示している。すなわち、第1の入力シャフト第1のギアホイール12と係合するために左に移動した位置(表において左向きの矢印によって示される位置)、第1の入力シャフト第2のギアホイール12と係合するために右に移動した位置(表において右向きの矢印によって示される位置)、又は共通の離脱状態にある位置(表において矢印がない位置)を示す。表は、6つの可能性のあるギア状態、すなわち、「1&2」、「2」、「2&3」、「3」、「3&4」、及び「4」を示している。ギア状態「1&2」は、
図2aに示される状態に対応し、ギア状態「2」は、
図2bに示される状態に対応し、ギア状態「3」は、
図2cに示される状態に対応し、ギア状態「4」は、
図2dに示される状態に対応する。従って、6つのギア状態の4つが
図2a-2dに示されている。
【0052】
本発明は、車両110用のパワートランスミッション機構100に更に関し、その実施形態は、
図4に示される。図示されるパワートランスミッション機構100は、
図2a-2dに示されるトランスミッションアセンブリ1を備える。更に、パワートランスミッション機構100は、第1の入力シャフト10を駆動するために第1の入力シャフト10に駆動可能に接続された第1の駆動手段EM1と、第2の入力シャフト20を駆動するために第2の入力シャフト20に駆動可能に接続された第2の駆動手段EM2とを備える。駆動手段は、ここでは電気モーターの形態にある。これらのモータは、時計回り又は反時計回りのいずれかに回転することができる。また、電気モーターEMI及びEM2は、必要に応じて、発電機として用いられれてもよい。図示の実施形態では、トランスミッションアセンブリ1は、
図2dにも示されるギア「4」の状態にある。これによって、電気モーターEM2から第2の入力シャフト20、第2の入力シャフトギアホイール22、出力シャフト第2のギアホイール32を経由して出力シャフト30に至る矢印によって示されるトルク経路が得られる。また、このトルク経路は、例えば、トルク経路が
図1に示されるように更にプロペラシャフト50に至るまでに、レンジギア40も経由する。
【0053】
従って、図示のパワートランスミッション機構100は、共通出力シャフト30に駆動可能に接続されたレンジギア40を更に備え、レンジギア40は、
図1に示されるように、車両110のプロペラシャフト50に駆動可能に接続されるように構成される。レンジギアは、図示されるように、遊星ギアである。
【0054】
本発明は、本発明の第1の態様の実施形態のいずれか1つによるトランスミッションアセンブリ1のギアを適用するための方法に更に関する。この方法は、第2の入力シャフト20から出力シャフト30に至る第1のトルク経路を定めることによってギアを適用するステップを有し、第1のトルク経路は、出力シャフト第1のギアホイール31が出力シャフト30に対して自由に回転可能である離脱状態において、第2の入力シャフト第2のギアホイール22及び出力シャフト第2のギアホイール32を経由するものとして規定される。この状態は、
図2d及び
図4に示されている。
【0055】
この方法は、トランミッションアセンブリ1がシャフトクラッチ部材をそれぞれの位置に移動させることによって
図3の表に略示されるギア状態のいずれか1つを取る任意選択的なステップを更に含んでもよい。この方法は、電気モータを時計方向又は反時計方向の少なくとも一方に回転させることによって、車両を前進又は後進させることを可能にする更なる任意選択的なステップを含んでもよい。この方法は、電気モータの少なくとも1つを発電モードで用いる更なる任意選択的なステップを含んでもよい。
【0056】
本明細書に開示されるトランスミッションアセンブリの方法のステップは、車両の電子制御ユニット、例えば、当業者に既知の車両のギアボックス制御ユニット(GCU)、任意の他の電子制御ユニット、又は2つ以上の電子制御ユニットによって、自動的に行われてもよい。従って、本発明の実施形態によれば、トランスミッションアセンブリ1及び/又はパワートランスミッション機構100は、GCUのような少なくとも1つの電子制御ユニットを更に備えるとよい。これによって、トランスミッションアセンブリは、トラックのような車両用のオートメーティッドマニュアルトランスミッション又は機械式オートマチックトランスミッション(AMT)であってもよい。
【0057】
本発明は、図面に基づいて前述された実施形態に制限されないことを理解されたい。むしろ、当業者は、添付の特許請求の範囲内において多くの変更及び修正がなされ得ることを認識するだろう。