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特許7465998エトキシ/プロポキシ変性ピラゾリン有機物、その使用、光硬化性組成物及びフォトレジスト
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】エトキシ/プロポキシ変性ピラゾリン有機物、その使用、光硬化性組成物及びフォトレジスト
(51)【国際特許分類】
   C07D 231/06 20060101AFI20240404BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20240404BHJP
   G03F 7/031 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
C07D231/06 C CSP
G03F7/004 512
G03F7/031
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022563920
(86)(22)【出願日】2021-03-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-29
(86)【国際出願番号】 CN2021081187
(87)【国際公開番号】W WO2021213087
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-10-25
(31)【優先権主張番号】202010323287.7
(32)【優先日】2020-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517427152
【氏名又は名称】常州強力電子新材料股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHANGZHOU TRONLY NEW ELECTRONIC MATERIALS Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Qianjia Industrial Park, Yaoguan Town, Wujin District Changzhou city, Jiangsu 213011, China
(73)【特許権者】
【識別番号】515324604
【氏名又は名称】常州強力先端電子材料有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHANGZHOU TRONLY ADVANCED ELECTRONIC MATERIALS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Wucheng Industrial Park, Zhenglu Town, Tianning,Changzhou, Jiangsu 213159,China
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】錢暁春
【審査官】松澤 優子
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-524285(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105085718(CN,A)
【文献】REGISTRY(STN)[online],2002年08月12日,[2023年10月17日検索], CAS登録番号 443668-26-6
【文献】REGISTRY(STN)[online],2002年08月09日,[2023年10月17日検索], CAS登録番号 443297-77-6
【文献】REGISTRY(STN)[online],2002年08月09日,[2023年10月17日検索], CAS登録番号 443295-94-1
【文献】REGISTRY(STN)[online],2002年08月09日,[2023年10月17日検索], CAS登録番号 443298-10-0
【文献】REGISTRY(STN)[online],2002年08月12日,[2023年10月17日検索], CAS登録番号 443636-47-3
【文献】REGISTRY(STN)[online],2002年08月12日,[2023年10月17日検索], CAS登録番号 443637-99-8
【文献】REGISTRY(STN)[online],2002年08月12日,[2023年10月17日検索], CAS登録番号 443667-06-9
【文献】REGISTRY(STN)[online],2002年08月16日,[2023年10月17日検索], CAS登録番号 444117-71-9
【文献】REGISTRY(STN)[online],2002年08月16日,[2023年10月17日検索], CAS登録番号 444058-43-9
【文献】REGISTRY(STN)[online],2002年08月12日,[2023年10月17日検索], CAS登録番号 443667-34-3
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
G03F
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)で示される構造を有することを特徴とするエトキシ/プロポキシ変性ピラゾリン化合物
【化19】

[式中、前記X及びYは、それぞれ独立に-CH-CH-又は-CH(CH)-CH-を表す。
p及びqは、それぞれ独立に0~9の整数を表し、かつ、両者は同時に0ではない。
は、フェニル基、ナフチル基、ピロリル基、イミダゾリル基、カルバゾリル基、インドリル基、C ~C 10 のアルケニル基、C ~C のシクロアルカジエニル基から選ばれ、これらの基における水素原子は、それぞれ独立にC ~C 10 の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、C ~C 10 のシクロアルキル基、C ~C 15 のアリール基、C ~C 12 のアルキルアリール基、C ~C 12 のアリールアルキル基、C 20 のヘテロアリール基により置換されていてもよい。
は、水素、C~C10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、C~C10のアルキルシクロアルキル基又はシクロアルキルアルキル基を表す。
は、水素、C 直鎖又は分岐鎖のアルキル基、又はC~C20のアリールアルキル基を表す。]
【請求項2】
p+q≦9あることを特徴とする請求項1に記載のエトキシ/プロポキシ変性ピラゾリン化合物
【請求項3】
記Rは、水素、C~Cの直鎖又は分岐鎖のアルキル基から選ばれ、
前記Rは、水素、C~Cの直鎖又は分岐鎖のアルキル基、ベンジル基から選ばれることを特徴とする請求項に記載のエトキシ/プロポキシ変性ピラゾリン化合物
【請求項4】
前記Rは、フェニル基、ナフチル基、ピロリル基、イミダゾリル基、カルバゾリル基、インドリル基、C~Cのアルケニル基、C~Cシクロアルカジエニル基、C~Cのアルキル基で置換されたフェニル基、C~Cのシクロアルキル基で置換されたフェニル基、C~C10のアリール基で置換されたアルケニル基、C~C10のアルキルアリール基で置換されたアルケニル基、C~C10のアリールアルキル基で置換されたアルケニル基から選ばれることを特徴とする請求項に記載のエトキシ/プロポキシ変性ピラゾリン化合物
【請求項5】
前記Rは、
【化20】

から選ばれることを特徴とする請求項に記載のエトキシ/プロポキシ変性ピラゾリン化合物
【請求項6】
前記Rは、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t-ブチル基又はCHC(CHCH-から選ばれることを特徴とする請求項に記載のエトキシ/プロポキシ変性ピラゾリン化合物。
【請求項7】
前記エトキシ/プロポキシ変性ピラゾリン化合物は、下記の化合物のうちから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項に記載のエトキシ/プロポキシ変性ピラゾリン化合物
【化21】
【請求項8】
p+q≦6であることを特徴とする請求項1に記載のエトキシ/プロポキシ変性ピラゾリン化合物。
【請求項9】
(A)アルカリ可溶性重合体と、(B)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物と、(C)第1の増感剤と、(D)光開始剤及び/又は第2の増感剤と、(E)その他の任意の助剤と、を含み、前記第1の増感剤が請求項1~のいずれか1項に記載のエトキシ/プロポキシ変性ピラゾリン化合物であり、前記第2の増感剤が前記第1の増感剤と異なることを特徴とする光硬化性組成物。
【請求項10】
前記アルカリ可溶性重合体は、(メタ)アクリル系重合体、スチレン系重合体、エポキシ系重合体、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート重合体、芳香族ウレタン(メタ)アクリレート重合体、アミド系樹脂、アミドエポキシ系樹脂、アルキッド系樹脂及びフェノール系樹脂からなる群より選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項に記載の光硬化性組成物。
【請求項11】
前記エチレン性不飽和二重結合を有する化合物は、α,β-不飽和カルボン酸と多価アルコールとを反応させて得られる化合物、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物、α,β-不飽和カルボン酸とグリシジル基含有化合物とを反応させて得られる化合物、分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物、ノニルフェノキシポリエチレンオキシアクリレート、γ-クロロ-β-ヒドロキシプロピル-β’-(メタ)アクリロイルオキシエチル-o-フタレート、β-ヒドロキシエチル-β’-(メタ)アクリロイルオキシエチル-o-フタレート、β-ヒドロキシプロピル-β’-(メタ)アクリロイルオキシエチル-o-フタレート、フタル酸系化合物、アルキル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項9に記載の光硬化性組成物。
【請求項12】
前記助剤は、水素供与体、染料、顔料、光発色剤、充填剤、可塑剤、安定化剤、塗布助剤及び剥離促進剤からなる群より選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項9に記載の光硬化性組成物。
【請求項13】
請求項1~のいずれか1項に記載のエトキシ/プロポキシ変性ピラゾリン化合物の、光硬化分野への使用。
【請求項14】
請求項に記載の光硬化性組成物を含むことを特徴とするフォトレジスト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光硬化分野に関し、具体的に、エトキシ/プロポキシ変性ピラゾリン有機物、その使用、光硬化性組成物及びフォトレジストに関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線硬化技術は、硬化速度が速く、環境への汚染が小さいなどの利点により広く応用されており、中でも、光開始剤は、硬化系全体の硬化効率に対して決定的な作用を有する。実際の使用過程において、一部の光開始剤は、吸収波長の制限により重合をよく開始させることができず、開始効率を向上させるために常に増感剤と組み合わせて使用される。増感剤は、吸収したエネルギーを光開始剤に伝達し続けることができ、光化学反応の触媒に該当する。しかしながら、増感剤の適用は、例えば、溶解性、吸収波長の整合性等、様々な要素により制限されている。現在、光開始剤の吸収波長と整合して相溶性が良い増感剤を求めることは、本分野の研究において注目を集められている。
【0003】
ピラゾリン類化合物は、非常に重要な増感剤であり、広く使用されている。しかし、従来のこれらのピラゾリン類化合物は、増感剤として使用されるとき、多かれ少なかれ溶解性が理想的ではなく、感度向上効果が良くない等の欠点が存在する。
【0004】
ドライフィルム現像段階において、通常、アルカリ水溶液を用いて未露光部分を洗浄するが、ピラゾリン類化合物は、極めて低い溶解性により、この時、析出して回路基板表面に吸着し、このように、ドライフィルムの使用に影響を及ぼすのみならず、製品の精密度を低下させるので、その後に回路基板表面の洗浄工程を追加する必要があり、プロセスが繁雑となり、コストが大きく増加してしまう。
【0005】
従来の文献には、ピラゾリン大分子類増感剤が提供されており、溶解度及び配合成分相溶性等の問題を解決したが、実際の適用において、添加量が大きく、感度向上が不十分であり、粘度が大きくて使用が不便利である問題を見出した。従って、更に最適化する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
本発明の主な目的は、従来のピラゾリン大分子類増感剤に存在する添加量が大きく、感度向上が不十分であり、粘度が大きくて使用が不便利である問題を解決するために、エトキシ/プロポキシ変性ピラゾリン有機物、その使用、光硬化性組成物及びフォトレジストを提供することにある。
【0007】
上記目的を実現するために、本発明の1つの態様によれば、下記の式(I)で示される構造を有するエトキシ/プロポキシ変性ピラゾリン有機物を提供する。
【0008】
【化1】

[式中、X及びYは、それぞれ独立に-CH-CH-又は-CH(CH)-CH-を表す。p及びqは、それぞれ独立に0~9の整数を表し、かつ、両者は同時に0ではない。Rは、ピラゾール環と共役する構造を有する置換基を表す。Rは、水素、C~C10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、C~C10のアルキルシクロアルキル基又はシクロアルキルアルキル基を表す。Rは、水素、C~C20の炭化水素基、又はC~C20のアリールアルキル基を表す。
【0009】
更なる態様として、p+q≦9、好ましくはp+q≦6。
【0010】
更なる態様として、Rは、フェニル基、ナフチル基、ピロリル基、イミダゾリル基、カルバゾリル基、インドリル基、C~C10のアルケニル基、C~Cのシクロアルカジニル基から選ばれるか、あるいは、基における水素原子は、それぞれ独立にC~C10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、C~C10のアルキルシクロアルキル基又はシクロアルキルアルキル基、C~C10のシクロアルキル基、C~C15のアリール基、C~C12のアルキルアリール基、C~C12のアリールアルキル基、C~C20のヘテロアリールにより置換される。Rは、水素、C~Cの直鎖又は分岐鎖のアルキル基から選ばれる。Rは、水素、C~Cの直鎖又は分岐鎖のアルキル基、ベンジル基から選ばれる。
【0011】
更なる態様として、Rは、フェニル基、ナフチル基、ピロリル基、イミダゾリル基、カルバゾリル基、インドリル基、C~Cのアルケニル基、C~Cのシクロアルカジニル基、C~Cのアルキル基で置換されたフェニル基、C~Cのシクロアルキル基で置換されたフェニル基、C~C10のアリール基で置換されたアルケニル基、C~C10のアルキルアリール基で置換されたアルケニル基、C~C10のアリールアルキル基で置換されたアルケニル基から選ばれる。
【0012】
更なる態様として、Rは、
【化2】

から選ばれる。
【0013】
更なる態様として、Rは、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t-ブチル基又はCHC(CHCH-から選ばれる。
【0014】
更なる態様として、エトキシ/プロポキシ変性ピラゾリン有機物は、下記の有機物から選ばれる1種又は2種以上である。
【0015】
【化3】
【0016】
本願のもう1つの態様は、(A)アルカリ可溶性重合体と、(B)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物と、(C)第1の増感剤と、(D)光開始剤及び/又は第2の増感剤と、(E)その他の任意の助剤とを含み、第1の増感剤は、上記エトキシ/プロポキシ変性ピラゾリン有機物を含み、第2の増感剤が第1の増感剤と異なる光硬化性組成物をさらに提供する。
【0017】
更なる態様として、アルカリ可溶性重合体は、(メタ)アクリル系重合体、スチレン系重合体、エポキシ系重合体、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート重合体、芳香族ウレタン(メタ)アクリレート重合体、アミド系樹脂、アミドエポキシ系樹脂、アルキッド系樹脂及びフェノール系樹脂からなる群より選ばれる1種又は2種以上である。
【0018】
更なる態様として、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物は、α,β-不飽和カルボン酸と多価アルコールとを反応させて得られる化合物、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物、α,β-不飽和カルボン酸とグリシジル基含有化合物とを反応させて得られる化合物、分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物、ノニルフェノキシポリエチレンオキシアクリレート、γ-クロロ-β-ヒドロキシプロピル-β’-(メタ)アクリロイルオキシエチル-o-フタレート、β-ヒドロキシエチル-β’-(メタ)アクリロイルオキシエチル-o-フタレート、β-ヒドロキシプロピル-β’-(メタ)アクリロイルオキシエチル-o-フタレート、フタル酸系化合物、アルキル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種又は2種以上である。
【0019】
更なる態様として、助剤は、水素供与体、染料、顔料、光発色剤、充填剤、可塑剤、安定化剤、塗布助剤及び剥離促進剤からなる群より選ばれる1種又は2種以上である。
【0020】
本願のさらにもう1つの態様は、エトキシ/プロポキシ変性ピラゾリン有機物の、光硬化分野への使用をさらに提供する。
【0021】
本願のさらにもう1つの態様は、上記光硬化性組成物を含むフォトレジストをさらに提供する。
【0022】
本発明の技術案を適用することにより、-CH-CH-O(EO)及び/又は-CH(CH)-CH-O(PO)の導入により、上記EO/PO変性ピラゾリン類有機物は、光硬化系中の他の成分との相溶性が優れるようになり、かつ固体であり、添加及び使用が便利である。同時に、式(I)で示される構造の吸収波長帯域が360~400nm間であり、増感剤として光硬化系(例えばビスイミダゾール類光開始剤を含有する系)へ使用することが特に好適であり、光硬化系の感度を大幅に向上させることができる。これに加えて、上記構造を有するEO/PO変性ピラゾリン類有機物は、高い感度向上性を有し、使用量が少なく、かつ固体であり、添加及び使用が便利である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
なお、衝突しない限り、本願における実施例及び実施例における特徴は互いに組み合わせられてもよい。以下、実施例を参照しながら本発明を詳しく説明する。
【0024】
本願における用語「スラッジ」及び「現像ゴミ」とは、現像液中で蓄積した物質を指し、現像液に不溶であって現像済みの基板に再沈殿し、現像液の効率を低下させてしまう。
【0025】
背景技術に記載されているように、従来のピラゾリン大分子類増感剤には、添加量が大きく、感度向上が不十分であり、粘度が大きくて使用が不便利である問題が存在する。上記技術課題を解決するために、本願は、下記式(I)で示される構造を有するエトキシ/プロポキシ変性ピラゾリン有機物を提供する。
【0026】
【化4】

[式中、X及びYは、それぞれ独立に-CH-CH-又は-CH(CH)-CH-を表す。p及びqは、それぞれ独立に0~9の整数を表し、かつ、両者は同時に0ではない。Rは、ピラゾール環と共役する構造を有する置換基を表す。Rは、水素、C~C10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、C~C10のアルキルシクロアルキル基又はシクロアルキルアルキル基を表す。Rは、水素、C~C20の炭化水素基、又はC~C20のアリールアルキル基を表す。]
-CH-CH-O(EO)及び/又は-CH(CH)-CH-O(PO)の導入により、上記EO/PO変性ピラゾリン類有機物は、優れた水溶性又は水乳化性能を有することとなり、かつ固体であり、添加及び使用が便利である。同時に、式(I)で示される構造の吸収波長帯域が360~400nm間であり、増感剤として光硬化系(例えばビスイミダゾール類光開始剤を含有する系)へ使用されることが特に好適であり、光硬化系の感度を大幅に向上させることができる。これに加えて、上記構造を有するEO/PO変性ピラゾリン類有機物は、高い感度向上性を有し、使用量が少なく、かつ添加及び使用が便利である。
【0027】
コスト、製造収率等の点から考慮すると、1つの好適な実施形態において、p+q≦9であり、より好ましくは、p+q≦6である。
【0028】
EO/PO変性ピラゾリン類有機物の総合性能をさらに向上させるために、1つの好適な実施形態において、Rは、フェニル基、ナフチル基、ピロリル基、イミダゾリル基、カルバゾリル基、インドリル基、C~C10のアルケニル基、C~Cのシクロアルカジニル基から選ばれるか、あるいは、前記基における水素原子は、それぞれ独立にC~C10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、C~C10のアルキルシクロアルキル基又はシクロアルキルアルキル基、C~C10のシクロアルキル基、C~C15のアリール基、C~C12のアルキルアリール基、C~C12のアリールアルキル基、C~C20のヘテロアリールにより置換される。Rは、水素、C~Cの直鎖又は分岐鎖のアルキル基から選ばれる。Rは、水素、C1~C6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、ベンジル基から選ばれる。
【0029】
と式(I)で示される増感剤との共役性を向上させて、その光感度を向上させるために、好ましくは、Rは、フェニル基、ナフチル基、ピロリル基、イミダゾリル基、カルバゾリル基、インドリル基、C~Cのアルケニル基、C~Cのシクロアルカジニル基、C~Cのアルキル基で置換されたフェニル基、C~Cのシクロアルキル基で置換されたフェニル基、C~C10のアリール基で置換されたアルケニル基、C~C10のアルキルアリール基で置換されたアルケニル基、C~C10のアリールアルキル基で置換されたアルケニル基から選ばれる。EO/PO変性ピラゾリン類有機物の合成難度をさらに低下させるために、より好ましくは、Rは、下記の基から選ばれる1種である。
【0030】
【化5】
【0031】
合成難度を低下させるとともに、増感剤の水溶性又は水乳化性能を向上させるために、1つの好適な実施例において、Rは、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t-ブチル基又はCHC(CHCH-から選ばれる。
【0032】
1つの好適な実施例において、エトキシ/プロポキシ変性ピラゾリン有機物は、下記有機物から選ばれる1種又は2種以上である。
【0033】
【化6】

他の構造の増感剤と比べて、上記のような増感剤は、光感度が良く、使用時の粘度が適切で、密着性が良く、合成しやすい等の利点を有する。
【0034】
本発明は、下記の工程を含む、式(I)で示されるEO/PO変性ピラゾリン類増感剤の製造方法をさらに提供する。
【0035】
(1)原料aと原料bとを、触媒を含有する溶媒中で反応させて中間体Aを得る。
【0036】
(2)中間体Aと原料cとを強アルカリの作用により反応させて中間体Bを得る。
【0037】
(3)中間体Bを酸の作用により反応させて中間体Cを得る。
【0038】
(4)中間体Cと原料dとを氷酢酸中で30~100℃で2~20h反応させて中間体Dを得る。
【0039】
(5)原料eと原料fとを、酸結合剤を含有する溶媒中で反応させて中間体Eを得る。
【0040】
(6)中間体Dと中間体Eとを、酸結合剤を含有する溶媒中で反応させて生成物Fを得る。
【0041】
反応方程式を以下に示す。
【0042】
【化7】
【0043】
本発明の増感剤は、従来の化合物構造に対する改進及び最適化である。上記合成ルートに示されるように、その製造方法に係る合成は、ピラゾリン環構造の構築、エーテル化等に関し、いずれも有機化学分野の常套プロセスである。合成プロセス及びその原理を明らかにした場合、具体的なプロセスパラメータは、当業者にとって容易に特定し得ることである。例えば、中国特許CN1515557A及び国際特許WO2009/060235Aに記載の内容を参照することができ、ここで、その全文を参考として導入する。
【0044】
好ましくは、工程(1)において、使用する溶媒については特に限定されず、反応試薬を溶解可能であって反応に関与しない常套有機試薬であればよく、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トルエン、ベンゼン、キシレン等である。触媒は、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ピリジニウム-p-トルエンスルホナートから選ばれてもよい。反応温度が0~50℃であり、反応時間が通常2~10hである。
【0045】
好ましくは、工程(2)において、前記の強アルカリは、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウム等である。反応は、有機溶媒中で行われ、溶媒の種類については特に限定されず、一般的にメタノール、エタノール等のアルコール類溶媒である。反応温度及び反応時間は、原料cの構造に応じて異なり、通常、反応温度が0~80℃であり、反応時間が通常2~10hである。
【0046】
好ましくは、工程(3)において、当該反応は、加水分解反応過程であり、典型的に、中間体Bを、酸を含有するジクロロメタン、ジクロロエタン等の炭化水素類溶媒中で行う。前記の酸は、塩酸、酢酸、メタンスルホン酸等であってもよい。反応温度が0~50℃であり、反応時間が通常1~10hである。
【0047】
好ましくは、工程(5)において、使用する溶媒の種類については特に限定されず、反応原料を溶解可能であって反応に悪影響がなければよく、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド等である。前記酸結合剤は、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、ナトリウムメトキシド、ピリジン、トリエチルアミン等であってもよい。反応温度が0~100℃であり、反応時間が通常1~6hである。
【0048】
好ましくは、工程(6)において、使用する溶媒の種類については特に限定されず、反応原料を溶解可能であって反応に悪影響がなければよく、例えば、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド等である。前記酸結合剤は、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、ナトリウムメトキシド、ピリジン、トリエチルアミン等であってもよい。反応温度が60~140℃であり、反応時間が通常4~10hである。
【0049】
本願のもう1つの態様は、(A)アルカリ可溶性重合体と、(B)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物と、(C)増感剤と、(D)光開始剤と、(E)その他の助剤と、を含み、増感剤は式(I)で示される増感剤である光硬化性組成物をさらに提供する。
【0050】
本発明の上記EO/PO変性ピラゾリン類増感剤は、溶解性能に優れ、吸収波長帯域が360~400nm間であり、増感剤として光硬化系、特にビスイミダゾール類光開始剤を含有する系へ使用されることが特に好適であり、感度の向上効果に優れる。本発明の上記EO/PO変性ピラゾリン類増感剤を感光性樹脂組成物に適用する際に、組成物は、相溶性が良く、感度が高く、解像度が高く、付着力が高く、現像性に優れる特徴を有し、かつ、現像時に良い親水性を有し、循環使用時の現像液におけるスラッジ量を著しく低減することができ、現像液を複数回繰り返し、有効に使用することができる。
【0051】
本発明のEO/PO変性ピラゾリン類増感剤は、水溶性又は水乳化性であり、当該特性により、現像剤及び剥離剤溶液におけるスラッジ及び残存物の蓄積、及び未硬化フォトフォトレジストの、装置及びプリント基板上におけるスラッジ及び残存物の沈殿を除去又は少なくとも低減し、プリント基板の歩留まり率を向上させることができる。
【0052】
(A)アルカリ可溶性重合体
アルカリ可溶性重合体は、感光性樹脂組成物に成膜機能を付与することができる。アルカリ可溶性重合体として、このような特性を有する重合体であれば適用可能であり、特に限定されない。
【0053】
1つの好適な実施例において、アルカリ可溶性重合体は、(メタ)アクリル系重合体、スチレン系重合体、エポキシ系重合体、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート重合体、芳香族ウレタン(メタ)アクリレート重合体、アミド系樹脂、アミドエポキシ系樹脂、アルキッド系樹脂及びフェノール系樹脂からなる群より選ばれる1種又は2種以上である。
【0054】
1つの好適な実施例において、上記アルカリ可溶性重合体は、重合性モノマーをラジカル重合して得られる。重合性モノマーとしては、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-エチルスチレン、p-クロロスチレン等、α-位又は芳香族環において置換された重合性スチレン誘導体;アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド誘導体;アクリロニトリル、ビニルn-ブチルエーテル等のビニルアルコールのエーテル類誘導体;(メタ)アクリル酸、α-ブロモ(メタ)アクリル酸、α-クロロ(メタ)アクリル酸、β-フリル(メタ)アクリル酸、β-スチリル(メタ)アクリル酸等の(メタ)アクリル酸誘導体;アルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類化合物;マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸モノエステル;フマル酸、ケイ皮酸、α-シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸、乳酸、N-ビニルカプロラクタム;N-ビニルピロリドン等が挙げられるが、これらに限られない。これらの重合性モノマーは、単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0055】
アルカリ現像性及び密着性の点から考慮すると、アルカリ可溶性重合体のアルカリ現像性及び密着性を向上させるために、カルボキシ基を含有するアルカリ可溶性重合体を使用することが好ましく、上記カルボキシ基を有するアルカリ可溶性重合体としては、(メタ)アクリル酸をモノマー単位として含み、(メタ)アクリル酸をモノマー単位として用いることでカルボキシ基を導入するアクリル樹脂;(メタ)アクリル酸に加えて、さらにアルキル(メタ)アクリレートをモノマー単位として含む共重合体;及び(メタ)アクリル酸に加えて、さらに(メタ)アクリル酸とアルキル(メタ)アクリレート以外の重合性モノマー(エチレン性不飽和基を含むモノマー)をモノマー成分として含む共重合体が挙げられるが、これらに限られない。
【0056】
もう1つの好適な実施例において、カルボキシ基を含有するアルカリ可溶性重合体は、カルボキシ基を有する重合性モノマーと、その他の重合性モノマーとをラジカル重合して得ることができ、特に、(メタ)アクリレート、エチレン性不飽和カルボン酸及びその他の共重合可能なモノマーを共重合してなる(メタ)アクリレート系重合体である。
【0057】
上記(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられるが、これらに限られない。これらの(メタ)アクリレートは、単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0058】
上記エチレン性不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸が挙げられるが、これらに限られず、好ましくはアクリル酸、メタクリル酸である。これらのエチレン性不飽和カルボン酸は、単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0059】
上記その他の共重合可能なモノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、n-ブチル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルナフタレン、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、ビニルシクロヘキサン等が挙げられるが、これらに限られない。これらのその他の共重合可能なモノマーは、単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0060】
上記アルカリ可溶性重合体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。2種以上組み合わせて使用するアルカリ可溶性重合体としては、異なる共重合成分で構成される2種以上のアルカリ可溶性重合体、重量平均分子量が異なる2種以上のアルカリ可溶性重合体、分散度が異なる2種以上のアルカリ可溶性重合体等であってもよい。
【0061】
本発明の感光性樹脂組成物において、アルカリ可溶性重合体の重量平均分子量については特に限定されず、具体的な応用環境に適すべきである。機械的強度とアルカリ現像性の点を併せて考慮すると、アルカリ可溶性重合体のアルカリ現像性能及びその成膜後の機械的強度をさらに向上させるために、好ましくは、アルカリ可溶性重合体の重量平均分子量は、好ましくは15000~200000であり、より好ましくは30000~150000であり、特に好ましくは30000~120000である。重量平均分子量が15000を超えると、露光後の耐現像液性がさらに向上する傾向があり、当該重量平均分子量が200000未満であると、現像時間が短くなる傾向があり、かつ、光開始剤等のその他の成分との相溶性を維持することができる。アルカリ可溶性重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により測定され、標準ポリスチレンの標準グラフを使用することで換算して得られる。
【0062】
アルカリ現像性を良好にする観点から考慮すると、アルカリ可溶性樹脂の酸価が小さい場合、アルカリ可溶性樹脂の現像速度が遅くなり、酸価が大きい場合、アルカリ可溶性樹脂の密着性が小さくなり、現像後、組成物の貯蔵安定性が低下し、粘度が上昇する問題が生じやすい。アルカリ可溶性重合体の現像性能及び密着性をさらに向上させるために、アルカリ可溶性重合体の酸価は、好ましくは50~300mgKOH/gであり、より好ましくは50~250mgKOH/gであり、さらに好ましくは70~250mgKOH/gであり、特に好ましくは100~250mgKOH/g。
【0063】
アルカリ可溶性樹脂の分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、好ましくは1.5~6.0であり、特に好ましくは1.8~3.7である。分子量分布が上記範囲にある場合、現像性に優れる。
【0064】
100重量部の感光性樹脂組成物において、アルカリ可溶性重合体の組成物における含有量は、好ましくは20~70重量部であり、より好ましくは30~60重量部である。アルカリ可溶性重合体の含有量が20重量部以上であると、感光性樹脂組成物の、めっき処理、エッチング処理等に対する耐久性が向上し、含有量が70重量部以下であると、感光性樹脂組成物の感度の向上に有利である。
【0065】
(B)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物
エチレン性不飽和二重結合を有する化合物は、感光性樹脂組成物の成膜を促進することができる。エチレン性不飽和二重結合を有する化合物については特に限定されず、分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物であれば使用可能である。好ましくは、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物としては、α,β-不飽和カルボン酸と多価アルコールとを反応させて得られる化合物、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物、α,β-不飽和カルボン酸とグリシジル基含有化合物とを反応させて得られる化合物、分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマー、ノニルフェノキシポリエチレンオキシアクリレート、γ-クロロ-β-ヒドロキシプロピル-β’-(メタ)アクリロイルオキシエチル-o-フタレート、β-ヒドロキシエチル-β’-(メタ)アクリロイルオキシエチル-o-フタレート、β-ヒドロキシプロピル-β’-(メタ)アクリロイルオキシエチル-o-フタレート、フタル酸系化合物、アルキル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種又は2種以上であるが、これらに限られない。他の種類のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物と比べて、上記のようなものを選択、使用することで感光性樹脂の成膜性の更なる向上、コスト低下に有利である。
【0066】
1つの好適な実施例において、上記α,β-不飽和カルボン酸と多価アルコールとを反応させて得られる化合物としては、エチレン基の数が2~14のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2~14のポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレン基の数が2~14であってプロピレン基の数が2~14のポリエチレン・ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO,PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種又は2種以上が挙げられるが、これらに限られない。
【0067】
もう1つの好適な実施例において、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物としては、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリブトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパンなどが挙げられるが、これらに限られない。
【0068】
より好ましくは、上記2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパンとしては、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシトリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシテトラエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシヘキサエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシヘプタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシオクタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシナノエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシウンデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシドデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシトリデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシテトラデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシヘキサデカエトキシ)フェニル)プロパンからなる群より選ばれる1種又は2種以上が挙げられるが、これらに限られない。
【0069】
上記2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパンの1分子内のエチレンオキサイド基の数は4~20であることが好ましく、8~15であることがより好ましい。これらの化合物は単独で又は2種類以上を組み合わせて用いられてもよい。
【0070】
1つの好適な実施例において、上記分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物としては、β位にOH基を有する(メタ)アクリル酸系モノマーとジイソシアネート化合物との付加反応物、トリス((メタ)アクリロキシテトラエチレングリコールイソシアネート)ヘキサメチレンイソシアヌレート、EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、EO,PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、これらに限られない。その中、ジイソシアネート化合物は、イソホロンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネート及び1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートからなる群より選ばれる1種又は2種以上が挙げられるが、これらに限られない。
【0071】
1つの好適な実施例において、上記ノニルフェノキシポリエチレンオキシアクリレートとしては、ノニルフェノキシテトラエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシペンタエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシヘキサエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシヘプタエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシオクタエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシノナエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシデカエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシウンデカエチレンオキシアクリレートからなる群より選ばれる1種又は2種以上が挙げられるが、これらに限られない。
【0072】
1つの好適な実施例において、上記フタル酸系化合物としては、γ-クロロ-β-ヒドロキシプロピル-β’-(メタ)アクリロイルオキシエチル-o-フタレート、β-ヒドロキシアルキル-β’-(メタ)アクリロルオキシアルキル-o-フタレートからなる群より選ばれる1種又は2種以上が挙げられるが、これらに限られない。
【0073】
1つの好適な実施例において、上記アルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、エトキシ化ノニルフェノール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールポリプロピレンエーテルジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジイルジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジイルジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリテトラメチレンエーテルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種又は2種以上が挙げられるが、これらに限られない。より好ましくは、アルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートからなる群より選ばれる1種又は2種以上が挙げられるが、これらに限られない。
【0074】
解像度、耐めっき性、密着性を向上させる観点から、感光性樹脂の解像度、耐めっき性、密着性を向上させるために、好ましくは、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物は、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物及び/又は分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物から選ばれる。
【0075】
感度及び解像度を向上させる観点から、感光性樹脂の感度及び解像度を向上させるために、好ましくは、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物が、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物である。
【0076】
ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物の市販品としては、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン(新中村化学工業株式会社製「BPE-200」)、2,2-ビス(4-(メタクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン(新中村化学工業株式会社製「BPE-5000」、日立化成株式会社製「FA-321M」)、2,2-ビス(4-((メタ)クリロキシポリブトキシ)フェニル)プロパン(新中村化学工業株式会社製「BPE-1300」)等が挙げられるが、これらに限られない。
【0077】
1つの好適な実施例において、100重量部の感光性樹脂組成物において、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物(B)の含有量が20~50重量部であり、より好ましくは25~45重量部である。前記エチレン性不飽和二重結合を有する化合物の含有量が20重量部以上である場合、感光性樹脂組成物の感度及び解像度がさらに向上する。その含有量が50重量部以下である場合、感光性樹脂組成物がより薄膜化しやすく、かつ、エッチング処理に対する耐久性がさらに向上する。
【0078】
第1の増感剤(C)
上記第1の増感剤(C)は、上記EO/PO変性ピラゾリン類増感剤のうちの1種又は2種以上であり、構造は前述した通りである。
【0079】
光硬化性組成物の増感性をさらに向上させるために、好ましくは、100重量部の感光性樹脂組成物において、第1の増感剤(C)(EO/PO変性ピラゾリン類増感剤)の含有量が0.001~10重量部であり、好ましくは0.005~5重量部である。含有量が小さ過ぎると、光感度が低下する欠陥が存在する。含有量が大きすぎると、フォトレジストパターンが広くなってフォトマスクの線幅を超える欠陥が存在する。増感剤の使用量を上記範囲内に限定することが、光硬化性組成物の光感度及び解像度の向上に有利である。
【0080】
その他の光開始剤及び/又は第2の増感剤(D)
上記感光性組成物において、上記EO/PO変性ピラゾリン類増感剤に加えて、光開始剤および他の種類の増感剤をさらに含んでもよく、光開始剤は、本分野で常用される種類を用いることもできる。上記光開始剤及び/又は第2の増感剤としては、ビスイミダゾール類有機物、アクリジン類有機物、芳香族ケトン類有機物、アントラキノン類有機物、ベンゾイン及びベンゾインアルキルエーテル類有機物、オキシムエステル類有機物、トリアジン類有機物、クマリン類有機物、チオキサントン類有機物のうちの1種又は2種以上が挙げられるが、これらに限られない。
【0081】
1つの好適な実施例において、ビスイミダゾール類化合物としては、2,2’-ビス(o-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-ジイミダゾール、2,2’,5-トリ(o-クロロフェニル)-4-(3,4-ジメトキシフェニル)-4’,5’-ジフェニル-1,1’-ジイミダゾール、2,2’,5-トリ(2-フルオロフェニル)-4-(3,4-ジメトキシフェニル)-4’,5’-ジフェニル-ジイミダゾール、2,2’-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-ジイミダゾール、2,2’-ビス(2-フルオロフェニル)-4-(o-クロロフェニル)-5-(3,4-ジメトキシフェニル)-4’,5’-ジフェニル-ジイミダゾール、2,2’-ビス(2-フルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-ジイミダゾール、2,2’-ビス(2-メトキシフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-ジイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロ-5-ニトロフェニル)-4,4’-ビス(3,4-ジメトキシフェニル)-5,5’-ビス(o-クロロフェニル)-ジイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロ-5-ニトロフェニル)-4-(3,4-ジメトキシフェニル)-5-(o-クロロフェニル)-4’,5’-ジフェニル-ジイミダゾール、2,2’-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,4’-ビス(3,4-ジメトキシフェニル)-5,5’-ビス(o-クロロフェニル)-ジイミダゾール、2-(2,4-ジクロロフェニル)-4-(3,4-ジメトキシフェニル)-2’,5-ビス(o-クロロフェニル)-4’,5’-ジフェニル-ジイミダゾール、2-(2,4-ジクロロフェニル)-2’-(o-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-ジイミダゾール、2,2’-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-ジイミダゾールが挙げられるが、これらに限られない。これらのビスイミダゾール類化合物は単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0082】
1つの好適な実施例において、アクリジン類化合物としては、9-フェニルアクリジン、9-p-メチルフェニルアクリジン、9-m-メチルフェニルアクリジン、9-o-クロロフェニルアクリジン、9-o-メチルフェニルアクリジン、1,7-ビス(9-アクリジニル)ヘプタン、9-エチルアクリジン、9-(4-ブロモフェニル)アクリジン、9-(3-クロロフェニル)アクリジン、1,7-ビス(9-アクリジニル)ヘプタン、1,5-ビス-(9-アクリジニル)ペンタン、1,3-ビス-(9-アクリジニル)プロパンが挙げられるが、これらに限られない。これらのアクリジン類化合物は単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0083】
1つの好適な実施例において、芳香族ケトン類化合物としては、アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、ベンゾフェノン、4-ベンゾイルジフェニルスルフィド、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルスルフィド、4-ベンゾイル-4’-エチルジフェニルスルフィド、4-ベンゾイル-4’-プロピルジフェニルスルフィド、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4-p-トリルチオベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(メチル/エチルアミノ)ベンゾフェノン、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール、α,α’-ジメチルベンジルケタール、α,α-ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロピオフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-p-ヒドロキシエチルエーテルフェニルプロパノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリニル-1-プロパン、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、2,4,6(トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド、2-ヒドロキシ-1-{3-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-フェニル]-1,1,3-トリメチル-インデン-5-イル}-2-メチル-プロパン-1-オン;ならびに2-ヒドロキシ-1-{1-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-フェニル]-1,3,3-トリメチル-インデン-5-イル}-2-メチル-プロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトンが挙げられるが、これらに限られない。これらの芳香族ケトン類化合物は単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0084】
1つの好適な実施例において、アントラキノン類化合物としては、2-フェニルアントラキノン、2,3-ジフェニルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2-メチルアントラキノン、2,3-ジメチルアントラキノン、2-エチルアントラセン-9,10-ジエチルエステル、1,2,3-トリメチルアントラセン-9,10-ジオクチルエステル、2-エチルアントラセン-9,10-ジ(4-クロロ酪酸メチル)、2-(3-((3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ)-3-オキソプロピル)アントラセン-9,10-ジエチルエステル、9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジエトキシ-2-エチルアントラセン、9,10-ビス(3-クロロプロポキシ)アントラセン、9,10-ジ(2-ヒドロキシエチルチオ)アントラセン、9,10-ジ(3-ヒドロキシ-1-プロピルチオ)アントラセンが挙げられるが、これらに限られない。これらのアントラキノン類化合物は単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0085】
1つの好適な実施例において、ベンゾイン及びベンゾインアルキルエーテル類化合物としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテルが、これらに限られない。これらのベンゾイン及びベンゾインアルキルエーテル類化合物は単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0086】
1つの好適な実施例において、オキシムエステル類化合物としては、1-(4-フェニルチオフェニル)-n-オクタン-1,2-ジオン-2-安息香酸オキシムエステル、1-(6-(2-メチルベンゾイル)-9-エチルカルバゾール-3-イル)-エタン-1-オン-オキシムアセテート、1-(6-(2-メチルベンゾイル)-9-エチルカルバゾール-3-イル)-ブタン-1-オン-オキシムアセテート、1-(6-(2-メチルベンゾイル)-9-エチルカルバゾール-3-イル)-プロパン-1-オン-オキシムアセテート、1-(6-(2-メチルベンゾイル)-9-エチルカルバゾール-3-イル)-1-シクロヘキシル-メタン-1-オン-オキシムアセテート、1-(6-(2-メチルベンゾイル)-9-エチルカルバゾール-3-イル)-3-シクロペンチル-プロパン-1-オン-オキシムアセテート、1-(4-フェニルチオフェニル)-(3-シクロペンチル)-プロパン-1,2-ジオン-2-安息香酸オキシムエステル、1-(4-フェニルチオフェニル)-(3-シクロヘキシル)-プロパン-1,2-ジオン-2-シクロヘキシルギ酸オキシムエステル、1-(6-(2-メチルベンゾイル)-9-エチルカルバゾール-3-イル)-(3-シクロペンチル)-プロパン-1,2-ジオン-2-オキシムアセテート、1-(6-o-メチルベンゾイル-9-エチルカルバゾール-3-イル)-(3-シクロペンチル)-プロパン-1,2-ジオン-2-安息香酸オキシムエステル、1-(4-ベンゾイルジフェニルスルフィド)-(3-シクロペンチルプロパノン)-1-オキシムアセテート、1-(6-o-メチルベンゾイル-9-エチルカルバゾール-3-イル)-(3-シクロペンチルプロパノン)-1-シクロヘキシルギ酸オキシムエステル、1-(4-ベンゾイルジフェニルスルフィド)-(3-シクロペンチルプロパノン)-1-シクロヘキシルギ酸オキシムエステル、1-(6-o-メチルベンゾイル-9-エチルカルバゾール-3-イル)-(3-シクロペンチル)-プロパン-1,2-ジオン-2-o-メチル安息香酸オキシムエステル、1-(4-フェニルチオフェニル)-(3-シクロペンチル)-プロパン-1,2-ジオン-2-シクロヘキシルギ酸オキシムエステル、1-(4-チエニルホルミル-ジフェニルスルフィド-4’-イル)-3-シクロペンチル-プロパン-1-オン-オキシムアセテート、1-(4-ベンゾイルジフェニルスルフィド)-(3-シクロペンチル)-プロパン-1,2-ジオン-2-オキシムアセテート、1-(6-ニトロ-9-エチルカルバゾール-3-イル)-3-シクロヘキシル-プロパン-1-オン-オキシムアセテート、1-(6-o-メチルベンゾイル-9-エチルカルバゾール-3-イル)-3-シクロヘキシル-プロパン-1-オン-オキシムアセテート、1-(6-チエニルホルミル-9-エチルカルバゾール-3-イル)-(3-シクロヘキシルプロパノン)-1-オキシムアセテート、1-(6-フランフロイル-9-エチルカルバゾール-3-イル)-(3-シクロペンチルプロパノン)-1-オキシムアセテート、1,4-ジフェニルプロパン-1,3-ジオン-2-オキシムアセテート、1-(6-フロイル-9-エチルカルバゾール-3-イル)-(3-シクロヘキシル)-プロパン-1,2-ジオン-2-オキシムアセテート、1-(4-フェニルチオフェニル)-(3-シクロヘキシル)-プロパン-1,2-ジオン-2-オキシムアセテート、1-(6-フルフリルホルミル-9-エチルカルバゾール-3-イル)-(3-シクロヘキシルプロパノン)-1-オキシムアセテート、1-(4-フェニルチオフェニル)-(3-シクロヘキシル)-プロパン-1,2-ジオン-3-安息香酸オキシムエステル、1-(6-チエニルホルミル-9-エチルカルバゾール-3-イル)-(3-シクロヘキシル)-プロパン-1,2-ジオン-2-オキシムアセテート、2-((ベンゾイルオキシ)イミノ)-1-フェニルプロパン-1-オン、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(オキソアセチル)オキシム、1-(4-フェニルチオフェニル)-2-(2-メチルフェニル)-エタン-1,2-ジオン-2-オキシムアセテート、1-(9,9-ジブチル-7-ニトロフルオンレン-2-イル)-3-シクロヘキシル-プロパン-1-オン-オキシムアセテート、1-(4-(4-(チエニル-2-ホルミル)フェニルチオ)フェニル)-3-シクロペンチルプロパン-1,2-ジオン-2-オキシムアセテート、1-(9,9-ジブチル-2-イル)-3-シクロヘキシルプロピルプロパン-1,2-ジオン-2-オキシムアセテート、1-(6-(2-(ベンゾイルオキシイミノ)-3-シクロヘキシルプロピル-9-エチルカルバゾール-3-イル)オクタン-1,2-ジオン-2-安息香酸オキシムエステル、1-(7-ニトロ-9,9-ジアリルフルオンレン-2-イル)-1-(2-メチルフェニル)ケトン-オキシムアセテート、1-(6-(2-メチルベンゾイル)-9-エチルカルバゾール-3-イル)-3-シクロペンチル-プロパン-1-オン-安息香酸オキシムエステル、1-(7-(2-メチルベンゾイル)-9,9-ジブチルフルオンレン-2-イル)-3-シクロヘキシルプロパン-1,2-ジオン-2-オキシムアセテート、1-(6-(フラン-2-ホルミル)-9-エチルカルバゾール-3-イル)-3-シクロヘキシルプロパン-1,2-ジオン-2-エトキシホルミルオキシムエステルが挙げられるが、これらに限られない。これらのオキシムエステル類化合物は単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0087】
1つの好適な実施例において、トリアジン類化合物としては、2-(4-エチルビフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(3,4-メチレンオキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、3-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}プロピオン酸、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル-3-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}プロピオネート、エチル-2-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}アセテート、2-エトキシエチル-2-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}アセテート、シクロヘキシル-2-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}アセテート、ベンジル-2-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}アセテート、3-{クロロ-4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}プロピオン酸、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-p-メトキシスチリル-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(1-p-ジメチルアミノフェニル)-1,3,-ブタジエニル-s-トリアジン、2-トリクロロメチル-4-アミノ-6-p-メトキシスチリル-s-トリアジンが挙げられるが、これらに限られない。これらのトリアジン類化合物は単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0088】
1つの好適な実施例において、クマリン類化合物としては、3,3’-カルボニルビス(7-ジエチルアミノクマリン)、3-ベンゾイル-7-ジエチルアミノクマリン、3,3’-カルボニルビス(7-メトキシクマリン)、7-(ジエチルアミノ)-4-メチルクマリン、3-(2-ベンゾチアゾリル)-7-(ジエチルアミノ)クマリン、7-(ジエチルアミノ)-4-メチル-2H-1-ベンゾピラン-2-オン(7-(ジエチルアミノ)-4-メチルクマリン)、3-ベンゾイル-7-メトキシクマリンが挙げられるが、これらに限られない。これらのクマリン類化合物は単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0089】
1つの好適な実施例において、チオキサントン類化合物としては、チオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジイソプロピルチオキサントンが挙げられるが、これらに限られない。これらのチオキサントン類化合物は単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0090】
1つの好適な実施例において、クマリン類化合物としては、3,3’-カルボニルビス(7-ジエチルアミノクマリン)、3-ベンゾイル-7-ジエチルアミノクマリン、3,3’-カルボニルビス(7-メトキシクマリン)、7-(ジエチルアミノ)-4-メチルクマリン、3-(2-ベンゾチアゾリル)-7-(ジエチルアミノ)クマリン、7-(ジエチルアミノ)-4-メチル-2H-1-ベンゾピラン-2-オン(7-(ジエチルアミノ)-4-メチルクマリン)、3-ベンゾイル-7-メトキシクマリンが挙げられるが、これらに限られない。これらのクマリン類化合物は単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0091】
1つの好適な実施例において、チオキサントン類化合物としては、チオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジイソプロピルチオキサントンが挙げられるが、これらに限られない。これらのチオキサントン類化合物は単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0092】
1つの好適な実施例において、100重量部の感光性樹脂組成物において、その他の光開始剤及び/又は第2の増感剤(D)の総含有量が0.01~10重量部である。
【0093】
(E)その他の助剤
上記の各成分に加えて、任意選択として、本発明の感光性樹脂組成物には、さらに必要に応じてその他の助剤を適量で含有してもよい。1つの好適な実施例において、助剤としては、水素供与体、染料、顔料、光発色剤、充填剤、可塑剤、安定化剤、塗布助剤、剥離促進剤のうちの1種又は2種以上が挙げられるが、これらに限られない。
【0094】
上記光硬化性組成物において、水素供与体の具体的な種類について特に限定されない。好ましくは、水素供与体としては、アミン類化合物、カルボン酸類化合物、メルカプト基含有有機硫黄化合物又はアルコール類化合物が挙げられるが、これらに限られない。これらの化合物は、単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。あるいは、水素供与体としては、トリエタノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、フェニルチオ酢酸、メチルフェニルチオ酢酸、エチルフェニルチオ酢酸、ジメトキシフェニルチオ酢酸、クロロフェニルチオ酢酸、ジクロロフェニルチオ酢酸、N-フェニルグリシン、フェノキシ酢酸、ナフチルチオ酢酸、N-ナフチルグリシン、ナフトキシ酢酸、2-メルカプトベンゾチアゾール(MBO)、2-メルカプトベンズイミダゾール(MBI)、ドデシルメルカプタン、エチレングリコールビス(3-メルカプトブチレート)等が挙げられるが、これらに限られない。
【0095】
1つの好適な実施例において、染料、顔料及び光発色剤としては、トリス(4-ジメチルアミノフェニル)メタン(即ち、ロイコクリスタルバイオレット,LCV)、トリス(4-ジメチルアミノ-2-メチルフェニル)メタン、フルオラン染料、トルエンスルホン酸一水和物、フクシン、フタロシアニン系染料(例えばフタロシアニングリーン及び/又はフタロシアニンブルー)、オーラミン塩基、パラマゼンタ、クリスタルバイオレット、メチルオレンジ、ナイルブルー2B、ビクトリアブルー、マラカイトグリーン、ダイヤモンドグリーン、ベーシックブルー20、ブリリアントグリーン、エオシン、エチルバイオレット、エリスロシンB、メチルグリーン、フェノールフタレイン、アリザリンレッドS、チモールフタレイン、メチルバイオレット2B、キナルジンレッド、ローズベンガル、メタニル-イエロー、チモールスルホフタレイン、キシレノールブルー、メチルオレンジ、オレンジIV、ジフェニルチロカルバゾン、2,7-ジクロロフルオレセイン、パラメチルレッド、コンゴーレッド、ベンゾプルプリン4B、α-ナフチル-レッド、フェナセタリン、メチルバイオレット、ビクトリア・ピュアブルーBOH、ローダミン6G、ジフェニルアミン、ジベンジルアニリン、トリフェニルアミン、N,N-ジエチルアニリン、ジフェニル-p-フェニレンジアミン、p-トルイジン、ベンゾトリアゾール、メチルベンゾトリアゾール、4,4’-ビフェニルジアミン、o-クロロアニリン、ロイコクリスタルバイオレット、ロイコマラカイトグリーン、ロイコアニリン、ロイコメチルバイオレット、アゾ系染料及び酸化チタンが挙げられるが、これらに限られない。これらの染料、顔料及び光発色剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0096】
1つの好適な実施例において、充填剤としては、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の充填剤(上記無機顔料を含まない)が挙げられるが、これらに限られない。充填剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0097】
1つの好適な実施例において、可塑剤としては、フタレート(例えば、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジアリルフタレート)、スルホンアミド類(例えば、トリエチレングリコールジアセテート、テトラエチレングリコールジアセテート等のエチレングリコールエステル;p-トルエンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、n-ブチルベンゼンスルホンアミド)、リン酸エステル類有機物(例えば、トリフェニルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリトリルホスフェート、トリキシリルホスフェート、トリルジフェニルホスフェート、トリキシリルホスフェート、2-ナフチルジフェニルホスフェート、トリルビス-2,6-キシリルホスフェート、芳香族縮合リン酸エステル、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、含ハロゲン縮合リン酸エステル)、アルコールエステル類有機物(例えば、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコール-ジ-2-エチルヘキシル酸エステル、テトラエチレングリコールジヘプタノアート、セバシン酸ジエチル、スベリン酸ジブチル、リン酸トリス(2-エチルエチル)、Brij30 [C1225(OCHCHOH]、及びBrij35[C1225(OCHCH20OH])などが挙げられるが、これらに限られない。上記光硬化性組成物において、可塑剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0098】
1つの好適な実施例において、安定化剤としては、ハイドロキノン、1,4.4-トリメチル-ジアゾビシクロ-(3,2,2)-ノン-2-エン-2,3-ジオキサイド、1-フェニル-3-ピラゾリドン、p-メトキシフェノール、ハイドロキノンとキノンのアルキルおよびアリール置換体、t-ブチルカテコール、ピロガロール、レジン酸銅、ナフチルアミン、β-ナフトール、塩化第1銅、2.6-ジーt-ブチルp-クレゾール、フェノチアジン、ピリジン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、p-トルキノンおよびフロラニール等が挙げられるが、これらに限られない。上記光硬化性組成物において、安定化剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0099】
1つの好適な実施例において、塗布助剤としては、アセトン、メタノール、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、シクロヘキサノン、γ-ブチロラクトン、ジクロロメタン等が挙げられるが、これらに限られない。上記光硬化性組成物において、塗布助剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0100】
1つの好適な実施例において、剥離促進剤としては、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、フェノールスルホン酸;メチル、プロピル、ヘプチル、オクチル、デシル、ドデシルなどのアルキルベンゼンスルホン酸等が挙げられるが、これらに限られない。上記光硬化性組成物において、剥離促進剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0101】
1つの好適な実施例において、100重量部の感光性樹脂組成物において、その他の助剤の含有量が1~10重量部である。
【0102】
本願のさらにもう1つの態様は、式(I)エトキシ/プロポキシ変性ピラゾリン有機物の、光硬化分野への使用をさらに提供する。
【0103】
-CH-CH-O(EO)及び/又は-CH(CH)-CH-O(PO)の導入により、上記EO/PO変性ピラゾリン類有機物は、優れた水溶性又は水乳化性能を有し、且つ固体であって、添加及び使用が便利である。同時に、式(I)で示される構造の吸収波長帯域が360~400nm間であり、特に増感剤として光硬化系(例えばビスイミダゾール類光開始剤を含有する系)への使用として好適であり、光硬化系の感度を大幅に向上させることができる。これに加えて、上記構造を有するEO/PO変性ピラゾリン類有機物高い感度向上性を有し、使用量が少なく、かつ添加及び使用が便利である。
【0104】
<ドライフィルム及びウェットフィルムの応用>
本発明の感光性樹脂組成物は、ドライフィルム、即ち、感光性樹脂積層体に製造して、さらにプリント基板、保護パターン、導体パターン、リードフレーム、半導体パッケージの製造へ応用し、異なる工程を経て異なる基材上に所望のパターンを形成することができる。
【0105】
本発明の感光性樹脂組成物は、ウェットフィルムコーダーにより各対応する製造工程における対応する基材上に直接に塗布されてもよく、即ち、ウェットフィルムとしてプリント基板、保護パターン、導体パターン、リードフレーム、半導体パッケージの製造に応用され、異なる工程を経て異なる基材上に所望のパターンを形成する。
【0106】
ドライフィルムの応用
本発明のドライフィルム、即ち、感光性樹脂積層体は、感光性樹脂組成物により形成された感光性樹脂層と、当該感光性樹脂層を支持する支持体と、を含む。
【0107】
通常、ドライフィルムの作製は、感光性樹脂組成物を支持体上に塗布し、乾燥して感光性樹脂層を形成する工程を含む。任意選択として、必要に応じて被覆フィルム(保護層)を貼り合わせる。好ましくは、上記乾燥工程の乾燥条件は、60~100℃下で0.5~15min乾燥することである。感光性樹脂層の厚さは、好ましくは5~95μmである。感光性樹脂の厚さは、上記範囲を含むが、これに限られず、それを上記範囲内に限定することでその絶縁性及び解像度の向上に有利である。より好ましくは、感光性樹脂の厚さが10~50μmであり、さらに好ましくは15~30μmである。
【0108】
支持体として、具体例は、各種のタイプのプラスチックフィルム、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、セルロースアセテート、ポリメタクリル酸アルキル、メタクリレート共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、セロファン、塩化ビニル共重合体、ポリアミド、ポリイミド、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレンであってもよい。また、2種又は2種以上の材料からなる複合材料を用いてもよい。好ましくは、極めて優れる光透過性を有するポリエチレンテレフタレートである。支持体の厚さは、好ましくは5~150μmであり、より好ましくは10~50μmである。
【0109】
感光性樹脂組成物の塗布方式については特に制限されず、例えば、スプレー法、ローラコート法、スピンコート法、スリットコート法、押出コーター法、カーテンコート法、ダイコート法、ワイヤバーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、スプレー法、ディップコート法などの一般的な方法を用いることができる。
【0110】
1つの好適な実施形態において、本発明は、上記ドライフィルムの、プリント基板の製造への応用を提供し、以下の工程を含む。
【0111】
(1)積層工程
感光性樹脂積層体を基板上に積層する。
【0112】
(2)露光工程
感光性樹脂積層体における感光性樹脂層を露光し、活性光線をパターン状に照射して露光部分を光硬化させる。
【0113】
(3)現像工程
感光性樹脂層の未露光部分を現像液で除去し、保護パターンを形成する。
【0114】
(4)導体パターン形成工程
銅張積層板又はフレキシブル基板表面の、保護パターンで被覆されていない部分をエッチング又はめっきする。
【0115】
(5)剥離工程
保護パターンを当該銅張積層板又はフレキシブル基板から剥離する。
【0116】
1つの好適な実施例において、積層工程において採用する基板としては、銅張積層板、フレキシブル基板、金属板、金属皮膜絶縁板、及び大規模集積回路を有するウェハのうちの1種又は2種以上が挙げられるが、これらに限られない。
【0117】
本発明は、上記ドライフィルムの、半導体パッケージの製造への応用を提供し、積層工程において感光性樹脂積層体が金属板上に積層された場合、導体パターン形成工程において、保護パターンにより被覆されていない部分をエッチングする。積層工程において感光性樹脂積層体が、大規模集積回路を有するウェハ上に積層された場合、導体パターン形成工程において、保護パターンにより被覆されていない部分をめっきする。
【0118】
ウェットフィルムの応用
本発明の感光性樹脂組成物は、プリント基板、保護パターン、導体パターン、リードフレーム、半導体パッケージなどの製造に用いるように、ウェットフィルム方式で基板上に直接に塗布して使用してもよい。
【0119】
非限定的に、ロールコート、ブレードコート、スプレーコート、ディップコートなどの一般的な方法を利用して感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、乾燥後に感光性樹脂層を形成してもよい。
【0120】
基板上に感光性樹脂層を形成した後、後続の工程、例えば露光工程、現像工程、導体パターン形成工程及び剥離工程は、いずれもドライフィルムの応用の方式を参照して行ってもよい。
【0121】
露光工程では、露光方法としては、マスク露光法(配線パターンのネガ又はポジマスクパターンを通して活性光線をパターン状に照射する方法)、投影露光法が挙げられ、レーザ直接画像形成露光法、デジタル光学処理露光法などの直接描画露光法により活性光線をパターン状に照射する方法を採用してもよい。活性光線の光源としては、公知の光源を用いることができ、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、アルゴンレーザ等のガスレーザ、YAGレーザ等の固体レーザ、半導体レーザ及びガリウムナイトライド系青紫色レーザなどの紫外線を有効に放射するものを用いてもよい。また、更に、写真用フラッド電球、太陽ランプ等の可視光を有効に放射する光源を用いてもよい。本発明の感光性樹脂組成物は、活性光線の光源種類について特に制限されず、露光量が10~1000mJ/cmであることが好ましい。
【0122】
現像工程では、感光性樹脂層の未露光部分を現像液で除去する。感光性樹脂層上に支持体が存在する場合、自動剥離器などを用いてまず支持体を除去し、その後、現像液(例えば、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤等)を用いて未露光部分を除去してもよい。好ましくは、アルカリ水溶液としては、0.1~5重量%の炭酸ナトリウム溶液、0.1~5重量%の炭酸カリウム溶液又は0.1~5重量%の水酸化ナトリウム溶液が挙げられるが、これらに限られず、pHは、好ましくは9~11である。より好ましくは、上記アルカリ水溶液は、さらに、界面活性剤、消泡剤又は有機溶媒のうちの1種又は2種以上を含む。現像方式としては、ディップ、スプレー、ブラッシングなどの一般的な方式が挙げられるが、これらに限られない。
【0123】
エッチング処理では、基板上に形成されたフォトレジストパターン(即ち、保護パターン)をマスクとして、回路形成用基板の被覆されていない導体層をエッチングにより除去し、導体パターンを形成する。エッチング処理の方法は、除去すべき導体層に応じて適宜選択してもよい。例えば、エッチング液としては、塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液、アルカリエッチング溶液、過酸化水素エッチング液等が挙げられる。
【0124】
めっき処理では、基板上に形成されたフォトレジストパターンをマスクとして、回路形成用基板の被覆されていない絶縁板上に銅及びはんだなどをめっきする。めっき処理の後、フォトレジストパターンを除去して、導体パターンを形成する。めっき処理の方法としては、電解めっき処理、又は無電解めっき処理が挙げられるが、これに限られず、好ましくは無電解めっき処理である。より好ましくは、無電解めっき処理としては、銅めっき(硫酸銅めっき及び/又はピロリン酸銅めっき)、はんだめっき(例えば、ハイスローはんだ(high-throw solder)めっき)、ニッケルめっき(ワット浴(硫酸ニッケル-塩化ニッケル)めっきおよびスルファミン酸ニッケル)、又は金めっき(ハード金めっき及び/又はソフト金めっき)が挙げられるが、これらに限られない。
【0125】
フォトレジストパターンの除去は、現像工程に用いたアルカリ性水溶液よりも強アルカリ性の水溶液を用いて剥離することができる。強アルカリ性水溶液の例としては、例えば、1~10重量%の水酸化ナトリウム水溶液を用いることができる。
【0126】
実施例
以下、具体的な実施例を参照しながら本願をさらに詳しく説明し、これらの実施例は、本願の保護範囲を制限するものではないと理解され得る。
【0127】
1. EO/PO変性ピラゾリン類増感剤の製造
1.1 生成物C1の製造
1.1.1 中間体Aの製造
【化8】

4つ口フラスコに183.1gのp-ヒドロキシベンズアルデヒドと、5.0gのピリジニウム-p-トルエンスルホナートと、300.0mLのジクロロエタンとをこの順に投入し、温度を45±5℃に制御して126.0gのジヒドロピランを滴下し、滴下時間が約1hであり、滴下終了後、引き続き2h撹拌した。HPLCによりインプロセス制御を行いp-ヒドロキシベンズアルデヒドの残量が1%未満となったときに、温度維持を終了した。反応系に52.0gの30%水酸化ナトリウム水溶液をゆっくり滴下し、水層を分離し、下層の有機層を100.0gの純水で1回洗浄し、回転蒸発によりジクロロメタンを除去し、275.2gの中間体Aを得、純度が98.12%であり、そのまま次工程の反応に用いる。
【0128】
LCMSを用いて中間体Aの構造を確認し、質量分析において装置に付随のソフトウェアを用いて207及び208分子フラグメントピークが得られ、製品の分子量が206であり、T+1およびT+2に一致する。
【0129】
1.1.2 中間体Bの製造
【化9】

4つ口フラスコに247.1gの中間体Aと、235.2gのアセチルビフェニルと、300.0mLのメタノールとをこの順に投入し、温度を25±5℃に制御して80.0gの40%水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、滴下時間が約2hであり、滴下終了後、引き続き6h撹拌した。HPLCによりインプロセス制御を行い、アセチルビフェニルの残量が1%未満となったときに、温度維持を終了した。ろ過して415.6gの中間体Bを得、純度が93.65%であり、そのまま次工程の反応に用いる。
【0130】
LCMSを使用して中間体Bの構造を確認し、質量分析において装置に付随するソフトウェアを利用して385及び386分子フラグメントピークが得られ、製品の分子量が384であり、T+1及びT+2に一致する。
【0131】
1.1.3 中間体Cの製造
【化10】

4つ口フラスコに384.4gの中間体Bと、50.0gの37%の濃塩酸と、500.0mLのジクロロエタンとをこの順に投入し、温度を25±5℃に制御して引き続き6h撹拌した。HPLCによりインプロセス制御を行い、中間体Bの残量が1%未満となったときに、温度維持を終了した。ろ過、乾燥して210.5gの中間体Cを得、純度が98.95%である。
【0132】
LCMSを使用して中間体Bの構造を確認し、質量分析において装置に付随するソフトウェアを利用して301及び302分子フラグメントピークが得られ、製品の分子量が300であり、T+1及びT+2に一致する。
【0133】
1.1.4 中間体Dの製造
【化11】

4つ口フラスコに180.0gの中間体Cと、500.0mLの氷酢酸とをこの順に投入し、温度を50±5℃に制御して108.0gのフェニルヒドラジンを滴下し、滴下時間が約2hであり、滴下終了後、引き続き8h撹拌した。ろ過して、メタノールで再結晶させ、乾燥して214.5gの中間体Dを得、純度が99.65%である。
【0134】
LCMSを使用して中間体Bの構造を確認し、質量分析において装置に付随するソフトウェアを利用して391及び392分子フラグメントピークが得られ、製品の分子量が390であり、T+1及びT+2に一致する。
【0135】
1.1.5 中間体Eの製造
【化12】

4つ口フラスコに56.1gのp-トルエンスルホニルクロリドと、50.0gのトリエチレングリコールモノメチルエーテルと、200.0gのジクロロメタンと、0.5gの4-ジメチルアミノピリジンとをこの順に投入し、30℃に昇温した後、34.0gのトリエチルアミンを滴下し、約30min後に滴下終了し、その後、温度を維持しながら反応させた。HPLCによりインプロセス制御を行い、p-トルエンスルホニルクロリドの残量が1%未満となったときに、温度維持を終了した。反応液を吸引ろ過した後、ろ過液を100gの純水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、ろ過、濃縮して、80.3gの中間体Eを得、純度が96.51%である。更なる精製を行う必要がなく、そのまま次工程の反応に用いた。
【0136】
LCMSを使用して中間体Eの構造を確認し、質量分析において装置に付随するソフトウェアを利用して319及び320分子フラグメントピークが得られ、製品の分子量が318であり、T+1及びT+2に一致する。
【0137】
1.1.6 生成物C1の製造
【化13】

4つ口フラスコに68.0gの中間体Eと、250.0gのアセトニトリルと、73.6gの中間体Dと、49.1gの炭酸カリウムとをこの順に投入し、撹拌を開始し、80℃に昇温し、温度を維持しながら反応させた。HPLCによりインプロセス制御を行い、中間体Dの残量が1%未満となったときに、温度維持を終了した。300gの純水と300gの酢酸エチルとを添加し、水層を分離し、上層の有機層を水で2回洗浄し、酢酸エチルを一倍量となるように減圧蒸留した後、100mLのメタノールを添加し、ろ過、乾燥した後に92.2gの生成物C1を得、純度が99.12%である。
【0138】
LCMSを使用して生成物C1の構造を確認し、質量分析において装置に付随するソフトウェアを利用して537及び538分子フラグメントピークが得られ、製品の分子量が536であり、T+1及びT+2に一致する。
【0139】
核磁気共鳴を使用して生成物C1の構造をさらに確認し、データを以下に示す。
【0140】
H NMR (400 MHz,DMSO-d6) 7.83 (d,2H),7.74 (d,4H),7.49 (t,2H),7.39 (t,1H),7.22 (d,2H),7.17 (t,2H),7.05 (d,2H),6.91 (d,2H),6.73 (t,1H),5.46 (dd,1H),4.06 (t,2H),3.71 (t,2H),3.57 (d,2H),3.56-3.22 (m,8H),3.14 (s,3H) ppm。
【0141】
1.2 生成物C2の製造
【化14】

生成物C1の合成方法を参照して、原料fであるトリエチレングリコールモノメチルエーテルをトリプロピレングリコールモノメチルエーテルに置き換え、生成物C2を得、純度が99.28%である。
【0142】
LCMSを使用して生成物C2の構造を確認し、質量分析において装置に付随するソフトウェアを利用して579及び580分子フラグメントピークが得られ、製品の分子量が578であり、T+1及びT+2に一致する。
【0143】
核磁気共鳴を使用して生成物C2の構造をさらに確認し、データを以下に示す。
【0144】
H NMR (400 MHz,DMSO-d6) 7.85 (d,2H),7.74 (d,4H),7.50 (t,2H),7.38 (t,1H),7.25 (d,2H),7.13 (t,2H),7.04 (d,2H),6.96 (d,2H),6.73 (t,1H),5.47 (dd,1H),4.06 (m,1H),3.71 (m,2H),3.56-3.22 (m,17H),3.19 (s,3H) ppm。
【0145】
1.3 生成物C3の製造
【化15】

生成物C1の合成方法を参照して、原料fであるトリエチレングリコールモノメチルエーテルをトリエチレングリコールモノベンジルエーテルに置き換え、生成物C3を得、純度が99.54%である。
【0146】
LCMSを使用して生成物C3の構造を確認し、質量分析において装置に付随するソフトウェアを利用して613及び614分子フラグメントピークが得られ、製品の分子量が612であり、T+1及びT+2に一致する。
【0147】
核磁気共鳴を使用して生成物C3の構造をさらに確認し、データを以下に示す。
【0148】
H NMR (400 MHz,DMSO-d6) H NMR (400 MHz,DMSO-d6) 7.84 (d,2H),7.77 (d,4H),7.63 (d,2H),7.45 (t,2H),7.39 (t,3H),7.25 (d,2H),7.15 (t,2H),7.02 (d,2H),6.95 (d,2H),6.72 (t,1H),5.48 (dd,1H),4.17 (s,2H),4.02 (t,2H),3.78 (t,2H),3.53 (d,2H),3.66-3.32 (m,8H) ppm。
【0149】
1.4 生成物C4の製造
【化16】

生成物C1の合成方法を参照し、原料aであるp-ヒドロキシベンズアルデヒドをm-ヒドロキシベンズアルデヒドに置き換え、生成物C4を得、純度が99.17%である。
【0150】
LCMSを使用して生成物C4の構造を確認し、質量分析において装置に付随するソフトウェアを利用して537及び538分子フラグメントピークが得られ、製品の分子量が536であり、T+1及びT+2に一致する。
【0151】
核磁気共鳴を使用して生成物C4の構造をさらに確認し、データを以下に示す。
【0152】
H NMR (400 MHz,DMSO-d6) 7.89 (d,2H),7.78 (d,2H),7.70 (s,1H),7.61 (t,2H),7.54 (t,2H),7.35 (t,1H),7.29(d,2H),7.21 (t,2H),7.14 (d,2H),6.98 (d,2H),6.80 (t,1H),5.52 (dd,1H),4.14 (t,2H),3.82 (t,2H),3.64 (d,2H),3.59-3.24 (m,8H),3.23 (s,3H) ppm。
【0153】
1.5 生成物C5の製造
【化17】

生成物C1の合成方法を参照し、原料cであるアセチルビフェニルをp-tert-ブチルベンズアルデヒドに置き換え、生成物C5を得、純度が99.49%である。
【0154】
LCMSを使用して生成物C5の構造を確認し、質量分析において装置に付随するソフトウェアを利用して543及び544分子フラグメントピークが得られ、製品の分子量が542であり、T+1及びT+2に一致する。
【0155】
核磁気共鳴を使用して生成物C5の構造をさらに確認し、データを以下に示す。
【0156】
H NMR (400 MHz,DMSO-d6) 7.84 (s,1H),7.76 (d,2H),7.44 (d,2H),7.39 (t,2H),7.33 (d,2H),7.04 (s,1H),7.02 (t,1H),6.91 (d,2H),6.80 (d,2H),5.29 (dd,1H),4.33 (t,2H),3.89 (t,2H),3.59-3.42 (m,10H),3.40 (s,3H),1.36 (s,9H) ppm。
【0157】
1.6 生成物C6の製造
【化18】

生成物C1の合成方法を参照して、原料cであるアセチルビフェニルを1-アセトナフトンに置き換え、生成物C6を得、純度が99.33%である。
【0158】
LCMSを使用して生成物C6の構造を確認し、質量分析において装置に付随するソフトウェアを利用して511及び512分子フラグメントピークが得られ、製品の分子量が510であり、T+1及びT+2に一致する。
【0159】
核磁気共鳴を使用して生成物C6の構造をさらに確認し、データを以下に示す。
【0160】
H NMR (400 MHz,DMSO-d6) 8.50 (d,1H),8.52 (d,1H),7.99 (t,1H),7.94 (d,2H),7.73 (t,1H),7.43 (t,1H),7.34-7.21 (m,4H),7.13-6.81 (m,5H),5.43 (dd,1H),4.11 (t,2H),3.72 (t,2H),3.58 (d,2H),3.65-3.25 (m,8H),3.17 (s,3H) ppm。
【0161】
2. 感光性樹脂組成物の製造
表1に示す配合成分を参照して、各成分を均一に混合して感光性樹脂組成物を製造した。別途説明がない限り、表1に示す部数がいずれも重量部である。
【0162】
【表1】

表1中の各成分の略称が表す意味を下記の表2に示す。
【0163】
【表2】
【0164】
3. 性能評価
3.1 評価方式
<ドライフィルムの作製>
感光性樹脂組成物を十分に撹拌し、支持体としての厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの表面上にバーコーターを用いて均一に塗布し、95℃の乾燥機中で5分間乾燥して厚さ40μmの感光性樹脂層を形成し、その後、感光性樹脂層の、ポリエチレンテレフタレートフィルムが積層されていない表面に、保護層としての厚さ15μmのポリエチレンフィルムを貼り合わせ、ドライフィルムを得る。
【0165】
<基板表面の平坦化>
基板として、厚さ35μmの圧延銅箔を積層した厚さ1.2mmの銅張積層板を用いて、表面を湿式ポリシングロール研磨[3M社製のScotch-Brite(登録商標)HD#600、2回通し]した。
【0166】
<積層>
ポリエチレンフィルム保護層をドライフィルムから剥離し、その後、ホットロールラミネーター(旭化成製のAL-70)を用いて、ロール温度105℃で、60℃に予め加熱した銅張積層板上に積層した。気体圧力が0.35MPaであり、積層速度が1.5m/minであった。
【0167】
<露光>
マスクを、支持体としてのポリエチレンテレフタレートフィルム上に放置し、超高圧水銀灯(オーク製作所製、HMW-201KB)を用いて、60mJ/cmの照射エネルギーで感光層を露光した。
【0168】
<現像>
ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、アルカリ現像機(富士機工製のドライフィルム用現像機)を用いて、30℃の1質量%NaCO水溶液を感光性樹脂層上にスプレーし、最小現像時間の2倍の時間で感光性樹脂層の未露光部分を溶解、除去した。未露光部分の感光性樹脂層が完全に溶解するのに必要な最短時間を最小現像時間とした。
【0169】
3.2 評価内容
(1)相溶性評価
表1に示す組成を有する感光性樹脂組成物を十分に撹拌、混合し、支持体としての厚さ19μmのポリエチレンテレフタレート薄膜の表面にバーコーダを用いて均一に塗布した。95℃の乾燥機中で4min乾燥し、感光性樹脂層を形成した。その後、塗布表面を目視により観察し、以下の方式でランク分けした。
【0170】
○:塗布面が均一
●:塗布面上に未溶解物が析出
【0171】
(2)感度評価
透明から黒色に21段階で明度が変化しているStouffer製21段ステップタブレットを用いて、ラミネート後の基板を15min露光し、その感度を評価した。露光後、最小現像時間の2倍の時間で現像し、フォトレジスト膜が完全に残存しているステップタブレット段数が8である露光量に応じて、以下のようにランク分けした。
【0172】
○:露光量が20mJ/cm以下
◎:露光量が20mJ/cm~50mJ/cm(上下限値を含まない)
●:露光量が50mJ/cm以上。
【0173】
(3)解像度評価
露光部と未露光部の幅が1:1の比率のラインパターンマスクにより、ラミネート後の基板を15min露光し、その後、最小現像時間の2倍の現像時間で現像し、硬化フォトレジストラインが正常に形成されている最小マスクライン幅を解像度の値とした。以下のようにランク分けした。
【0174】
○:解像度値が30μm以下
◎:解像度値が30μm~50μm(上下限値を含まない)
●:解像度値が50μm以上。
【0175】
(4)現像性評価
感光性樹脂積層体中の厚さ40μm、面積0.16mの感光層(フォトレジスト層)を、200mlの1質量%NaCO水溶液に溶解させ、循環式スプレー装置を用いてスプレー圧0.1MPa、3時間スプレーを行った。その後、現像液を1日放置し、凝集物の発生を観察した。凝集物が多量に発生するとスプレー装置の底部又は側面に粉状のもの又は油状のものが観察される。また、現像液に凝集物が浮遊することもある。現像液凝集性が良好な組成はこれら凝集物が全く発生しないか、もしくは発生しても極微量で水洗で簡単に洗い流すことが可能である。凝集物の発生状態については目視観察により以下のようにランク分けした。
【0176】
○:スプレー装置の底部もしくは側面には凝集物はなく、現像液に目視で確認可能な極微量の凝集物の浮遊が観察されるが水洗すると簡単に洗い流される。
◎:スプレー装置の底部もしくは側面の一部及び現像液に凝集物が浮遊している。水洗してもすべてを洗い流すことはできない。
●:スプレー装置全体に凝集物が見られ且つ現像液に凝集物が浮遊している。水洗でもすべてを洗い流すことは不可能でほとんどが残留する。
【0177】
(5)付着力評価
露光部と未露光部の幅が1:100の比率のラインパターンマスクにより、ラミネート後の基板を15min露光し、その後、最小現像時間の2倍の現像時間で現像し、硬化フォトレジストラインが正常に形成されている最小マスク幅を付着力の値とした。
【0178】
○:付着力値が30μm以下
◎:付着力値が30μm~50μm(上下限値を含まない)
●:付着力値が50μm以上。
【0179】
3.3 評価結果
評価結果を表3-1に示す。
【0180】
【表3】

本発明のEO/PO変性ピラゾリン類増感剤は、感光性樹脂組成物に適用される際に、生成物の相溶性が良く、感度が高く、解像度が高く、溶解性が高く、付着力が高く、現像性に優れ、現像時の親水性に優れ、循環使用時の現像液中のスラッジ量を明らかに低減し、現像液を複数回繰り返し、有効に使用することができる。当該感光性樹脂組成物は、ドライフィルム及びウェットフィルムの方式でプリント基板、保護パターン、導体パターン、リードフレーム、半導体パッケージ等の製造において広く使用される。
【0181】
以上は本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を制限するものではなく、当業者にとって、本発明は、種々の変更及び変化を有する。本発明の趣旨及び原則内で行われた全ての修正、均等置換、改進等も本発明の保護範囲内に含まれる。