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特許7465999後付け式インテリジェント締固め解析装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】後付け式インテリジェント締固め解析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/40 20060101AFI20240404BHJP
   E01C 19/28 20060101ALN20240404BHJP
【FI】
G01N3/40 C
E01C19/28
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022564094
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-01
(86)【国際出願番号】 US2020066077
(87)【国際公開番号】W WO2021133680
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】62/952,944
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522249970
【氏名又は名称】ネバダ リサーチ アンド イノベーション コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】NEVADA RESEARCH & INNOVATION CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】コンムリ,セシュ
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0172696(US,A1)
【文献】特開2000-110111(JP,A)
【文献】米国特許第08099218(US,B1)
【文献】特開2003-193416(JP,A)
【文献】米国特許第06122601(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/00 - 3/62
G01H 1/00 - 17/00
G01M 99/00
G01N 29/00 - 29/52
E01C 19/00 - 19/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
舗装材料の層の締固めレベルの推定値をリアルタイムで提示する方法であって、
一舗装区画での舗装材料の締固め中のローラ機の少なくとも1つのドラムのインパクト応答に対応する振動エネルギデータを、後付け式インテリジェント締固め解析(RICA)プロセッサがセンサモジュールから受信するステップと、
前記舗装区画で少なくとも1つの赤外線温度センサによって生成された温度データを、前記RICAプロセッサが前記センサモジュールから受信するステップと、
前記RICAプロセッサが、
締固め中の前記ローラ機の少なくとも1つのドラムの振動の基本周波数を、前記少なくとも1つのローラドラムが前記舗装区画の上を順方向及び逆方向に往復移動する際に、監視するステップと、
少なくとも1つの加速度計からの加速度計データをフィルタリングすることにより、前記基本周波数の高調波の各々における平均振動エネルギを抽出するステップと、
前記加速度計データ中の前記高調波における前記平均振動エネルギを正規化するステップと、
前記基本周波数及び前記高調波における前記平均振動エネルギを、締固めレベルの上昇を反映する周波数帯を表す、あらかじめ決定された数の振動クラスタにグループ分けするステップであって、密度推定値において必要とされる精度は、前記振動クラスタのあらかじめ決定された数を決定づける、当該グループ分けするステップと、
によって、
前記舗装区画の推定締固めレベルをリアルタイムで算出するステップと、
前記ローラ機の操作者がリアルタイムで見るためのディスプレイ装置に、前記RICAプロセッサが前記舗装区画の前記推定締固めレベルを表す密度レベル(%)の読み出しを表示するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記舗装区画において前記ローラ機のローラ通過によって達成された締固めの均一性の示度を、前記RICAプロセッサが前記ディスプレイ装置に表示するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記舗装区画のマット温度の示度を、前記RICAプロセッサが前記ディスプレイ装置に表示するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記RICAプロセッサが、平滑化関数を利用して、前記振動クラスタに関連付けられたデータを推定締固めレベルに関連付けるステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記RICAプロセッサが、前記推定締固めレベルを、既知の場所から抽出されたコアから測定された1つ以上の密度測定値に関連付けるステップと、
前記RICAプロセッサが、前記推定締固めレベルをパーセンテージ理論最大密度(%TMD)として表すステップと、
を更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記RICAプロセッサが、前記推定締固めレベルを記憶装置に記憶するステップと、
前記RICAプロセッサが、前記推定締固めレベルをリモートサーバコンピュータに送信するステップと、
のうちの少なくとも1つを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記RICAプロセッサが、前記ローラ機が前記舗装区画を横断する際に前記ローラ機の地理空間位置データをGPS装置から受信するステップと、
前記RICAプロセッサが、前記地理空間位置データを前記推定締固めレベルデータに関連付けるステップと、
前記RICAプロセッサが、前記地理空間位置データ及び前記関連付けられた推定締固めレベルデータをリモートサーバコンピュータに送信するステップと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記RICAプロセッサが、前記地理空間位置データ及び関連付けられた推定締固めレベルデータを記憶装置に記憶するステップを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
第2のローラ機に関連付けられた第2のRICAプロセッサから、前記第2のローラ機の動作に関連付けられた第2の推定締固めレベルを受信するステップと、
前記第2のRICAプロセッサが、前記第2の推定締固めレベルに基づいて、所望の締固めレベルをいかにして達成するかを決定する為に前記第2のローラ機の前記操作者が使用する第2の密度レベル(%)を第2のディスプレイ装置に表示するステップと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
舗装材料の層の締固めレベルの推定値をリアルタイムで提示する後付け式インテリジェント締固め解析(RICA)装置であって、
RICAプロセッサと、
前記RICAプロセッサに作用的に接続された通信装置と、
前記RICAプロセッサに作用的に接続されたディスプレイ装置と、
前記RICAプロセッサに作用的に接続されたセンサモジュールと、
前記RICAプロセッサに作用的に接続された記憶装置であって、前記記憶装置は、実行されると前記RICAプロセッサに、
一舗装区画での舗装材料の締固め中のローラ機の少なくとも1つのドラムのインパクト応答に対応する振動エネルギデータを前記センサモジュールから受信するステップと、
前記舗装区画で少なくとも1つの赤外線温度センサによって生成された温度データを前記センサモジュールから受信するステップと、
締固め中の前記ローラ機の少なくとも1つのドラムの振動の基本周波数を、前記少なくとも1つのローラドラムが前記舗装区画の上を順方向及び逆方向に往復移動する際に、監視するステップと、
少なくとも1つの加速度計からの加速度計データをフィルタリングすることにより、前記基本周波数の高調波の各々における平均振動エネルギを抽出するステップと、
前記加速度計データ中の前記高調波における前記平均振動エネルギを正規化するステップと、
前記基本周波数及び前記高調波における前記平均振動エネルギを、締固めレベルの上昇を反映する周波数帯を表す、あらかじめ決定された数の振動クラスタにグループ分けするステップであって、密度推定値において必要とされる精度は、前記振動クラスタのあらかじめ決定された数を決定づける、当該グループ分けするステップと、
によって、
前記舗装区画の推定締固めレベルをリアルタイムで算出するステップと、
前記ローラ機の操作者がリアルタイムで見るためのディスプレイ装置に、前記舗装区画の前記推定締固めレベルを表す密度レベル(%)の読み出しを表示するステップと、
を行わせるプロセッサ実行可能命令を記憶する、前記記憶装置と、
を含む装置。
【請求項11】
前記記憶装置は、実行されると前記RICAプロセッサに、前記舗装区画において前記ローラ機のローラ通過によって達成された締固めの均一性の示度を前記ディスプレイ装置に表示するステップを行わせる、更なるプロセッサ実行可能命令を記憶する、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記記憶装置は、実行されると前記RICAプロセッサに、前記舗装区画のマット温度の示度を前記ディスプレイ装置に表示するステップを行わせる、更なるプロセッサ実行可能命令を記憶する、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記記憶装置は、実行されると前記RICAプロセッサに、
前記推定締固めレベルを記憶装置に記憶するステップと、
前記推定締固めレベルをリモートサーバコンピュータに送信するステップと、
のうちの少なくとも1つを行わせる、更なるプロセッサ実行可能命令を記憶する、
請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記RICAプロセッサに作用的に接続されたGPS装置を更に含み、前記記憶装置は、実行されると前記RICAプロセッサに、
前記ローラ機が前記舗装区画を横断する際に地理空間位置データを前記GPS装置から受信するステップと、
前記地理空間位置データを前記推定締固めレベルデータに関連付けるステップと、
前記地理空間位置データ及び前記関連付けられた推定締固めレベルデータをリモートサーバコンピュータに送信するステップと、
を行わせる、更なるプロセッサ実行可能命令を記憶する、
請求項10に記載の装置。
【請求項15】
前記記憶装置は、実行されると前記RICAプロセッサに、前記地理空間位置データ及び前記関連付けられた推定締固めレベルデータを前記記憶装置に記憶するステップを行わせる、更なるプロセッサ実行可能命令を記憶する、請求項14に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
舗装材料の締固め中に締固めレベルの推定値を提示する方法及び装置である。具体的には、振動締固め機に後付けされて、舗装材料の締固めレベルの推定値をリアルタイムで操作者に提示することが可能な後付け式インテリジェント締固め解析装置である。締固めレベル推定値は、締固め機の操作者が、道路建設中に道路の特定部分の十分な締固めが達成されたと判断する為に理解して使用することに適する形式で、密度情報を提示することが可能である。
【背景技術】
【0002】
アスファルト舗装は、最小の物理的劣化、最高の安全性、及び最良の乗り心地で交通荷重を支えるように設計される。その設計に基づいて、アスファルト舗装は、20年超の寿命にわたって最大3000万等価単軸荷重(ESAL)の交通荷重に耐えることを期待されている。
【0003】
完成したアスファルト舗装は、仕様書に従う舗装設計から建設及び品質保証までの多段階プロセスの結果である。プロセスは、道路のタイプ、交通量、使用目的、基層の状態、及び道路が耐えるべき季節変動に基づく仕様書に従って舗装を設計することから始まる。次の工程は、設計に従う加熱混合アスファルトの製造と、製造施設から建設現場へのアスファルト混合物の輸送と、混合物の配置と、振動ローラを使用して混合物を締固めして所望の密度を達成することと、を含む。
【0004】
締固めは、建設された舗装の品質に大きな影響を及ぼしうる為、舗装建設における最も重要な工程の1つである。締固めにより、骨材同士の噛み合いが増えて、骨材間の空隙含有率が減る。研究によれば、アスファルト舗装の性能を最適化するには、空隙含有率は3~5%でなければならないとのことである。締固めが不十分な舗装は、疲労の増大により劣化が早い。実験によれば、所与のアスファルト-コンクリート混合物の空隙含有率を8%から5%に減らすことにより、舗装の疲労寿命を100%延ばすことが可能である。又、適切な締固めにより、混合物の透水性が低下し、耐荷重能力が向上し、変形(又は轍掘れ)に対する耐性が向上し、舗装の耐久性が向上する。又、適切な締固めにより、舗装の轍掘れ、酸化、湿害、歪、及び崩壊又は摩損による舗装の劣化が減る。従って、アスファルト舗装の適切な締固めは、その設計された特性を実現する為、及びその性能及び寿命を保証する為に必須である。
【0005】
道路のアスファルト舗装プロセスでは、様々な骨材グラデーションが用いられてよい。骨材は、典型的には、アスファルトセメント(タール)及び砂と混合され、約150~169C°まで加熱される。舗装工が、高温アスファルト混合物を敷設し、一連のオーガ及びスクレーパを使用してアスファルト混合物を均す。アスファルト材料は、道路を形成する為に敷設された当初は、アスファルト混合物中に形成された空隙の為に、車両交通を十分に支持するほどの密度になっていない。従って、典型的には、アスファルト材料の層(「アスファルトマット」)の上を何度も通過するローラ機が利用され、操作者がローラ機を運転してアスファルト材料の上を行ったり来たりさせるか、別の方法で十分な締固めを行うことにより、路面として必要な強度を有するアスファルトが形成される(又は個々の舗装層が形成される)。
【0006】
道路ローラは、振動締固め機が材料(例えば、土、アスファルト、その他)の上を行ったり来たりしているときに材料に締固めエネルギを印加することによって締固めを達成する。締固めエネルギの印加は、典型的には、振動締固め機のドラム内で回転する偏心ウエイトによって、又は道路の表面のしわを伸ばすことも行う振動スクリードによって行われる。米国では、州運輸省の材料締固め要件を満たす為に、典型的には、混合物を締め固めすぎることなく所望の剛性レベルまでアスファルトマットの締固めを達成することが必須である。更に、締め固めすぎると舗装又は道路に不可逆的損傷を与えうることが知られている。
【0007】
現時点では、完成した舗装の剛性を州運輸省が評価する為の一般に認められた品質保証方法は存在しない。アスファルトマットの品質レベルを評価する為に、多くの場合は、アスファルトの熱が冷めた後の完成した舗装成果物から1つ以上の道路コアが抽出され、その後、それらのコアに対して、その容量特性及び密度を測定する試験が行われる。基礎的な前提として、コアの密度は剛性に関連付けられ、他の全ての変数が一定であれば、剛性は密度に直接左右される。轍掘れ、疲労亀裂、及び他のタイプの損傷による舗装の劣化が早い場合、これは、締固めプロセスにおいて達成された剛性が不十分であることに起因する可能性がある。従って、州運輸省は、典型的には、受入試験の測定基準として、アスファルト混合物の理論最大密度(%TMD)の約94~96%を目標密度に指定している。路床が土の場合、受入試験は、通常、密度及び含水率に関して規定される。
【0008】
コア測定値の取得はコストと時間がかかるものであり、そのようなコア測定値は、グリッド状に分布する多数の点で取得されない限り、達成された締固めの全体を表すものにはならない可能性があるが、そのように取得することは、現場では困難であり、過度に高コストになる可能性もある。更に、米国内でも州が異なれば、且つ/又は郡及び/又は管轄区域又は自治体が異なれば、締固め密度要件がそれぞれ異なる場合がある。更に、舗装密度受入試験は通常、道路建設が完了してから実施される為、追加締固めが必要であってもこれを実施する機会はない。但し、目標密度要件を満たせないことはほとんどの州運輸省には受け入れられない為、必要に応じて改善措置が講じられるが、これは大幅なコスト超過を引き起こす可能性がある。
【0009】
近年、幾つかのインテリジェント締固め(IC)技術が振動締固め機又はローラ機の製造元によって導入されており、これは、締固めプロセス中に締固め機の機械パラメータ(例えば、振動の振幅及び周波数、推力のベクトル化等)を変化させることによって土路盤及び骨材路盤の両方の均一な締固めを達成しようとするものである。ローラ機のパラメータを動的制御することにより、締固めが不十分な場所にのみ振動エネルギを印加し、他の場所を締め固めすぎないようにして、舗装層の均一な締固めを達成することが可能になる。これらのインテリジェント締固め(IC)技術はある程度の将来性が期待できるものの、それらの全体的な性能は現場ではまだ十分に評価されていない。更に、これらのIC製品の多くは、この技術を装備した新しい振動締固め機を建設会社が購入することを必要としており、これはコストが高い。
【0010】
そこで、道路の建設中に、所望の品質レベルの締固めを達成する為に何らかの修正工程を実施すべきかどうかを判断する為に、操作者が道路建設中にリアルタイムで締固めレベルを推定することを可能にできる、既存の振動締固め機又はローラ機への後付けが可能なツール及び/又は技術が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記従来の技術における課題を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の幾つかの実施形態の特徴及び利点、並びにそれらを達成する方法が、後述の詳細説明を添付図面と併せて検討することによって、より容易に明らかになるであろう。添付図面は、好ましい例示的実施形態を図示しており、必ずしも正確な縮尺では描かれておらず、以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の実施形態による振動締固め機のブロック図である。
図2】本開示による後付け式インテリジェント締固め解析(RICA)装置の一実施形態の様々なモジュールのブロック図である。
図3A】本開示の幾つかの実施形態による、アスファルト舗装を締固めする、図2に示したようなローラ機のローラドラムの、舗装の一区画の各通過時の振動を時間に対して示すグラフである。
図3B】本開示の幾つかの実施形態による、締固めプロセス中の、図3Aに示した振動の周波数成分(単位はHz)を示す、振動のスペクトル写真である。
図4A】乃至
図4F】締固めプロセス中の、様々な周波数におけるローラドラムの振動を示すチャートである。
図5図4に示した周波数帯のそれぞれにおける正規化パワーを示すチャートである。
図6】本開示の実施形態による、舗装層の締固め中のローラドラムの振動を、様々な締固めレベルを表すクラスタに分類したものを示すチャートである。
図7A】乃至
図7C】本開示の実施形態による推定密度を示すチャートである。
図8】本開示の実施形態による、振動締固め機又はローラ機の操作者に対して提示されることが可能な、後付け式インテリジェント締固め解析(RICA)装置のディスプレイ画面を示す。
図9】本開示の実施形態による、舗装材料の締固めレベルの推定値をリアルタイムでローラ機の操作者に提示する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では様々な新規実施形態を詳細に参照する。添付図面にはそれらの実施形態の例を示す。図面及びその説明は、本発明をいずれかの特定の実施形態に限定するものではない。逆に、本明細書においてなされる説明は、それらの実施形態の代替形態、修正形態、及び等価形態を包含するものとする。以下の説明では、様々な実施形態の十分な理解が得られるように様々な具体的詳細を説明するが、それらの実施形態の幾つか又は全ては、それらの具体的詳細の一部又は全てがなくても実施可能である。又、場合によっては、新規な態様が不必要に曖昧にならないように、よく知られたプロセス作業については詳細には説明していない。
【0015】
全般的には、且つ、本開示の実施形態の概念を紹介することを目的として、本明細書では、締固めプロセス中に舗装材料の締固めレベル(又は密度)の推定値をリアルタイムでローラ機の操作者に提示する方法及び装置を開示する。一実施形態では、後付け式インテリジェント締固め解析(RICA)装置がローラ機又は振動ローラに後付けされる。RICA装置は、様々なセンサからのデータを利用して、道路の建設に使用されている舗装材料の締固めレベル推定値を、ローラ機の操作者に向けてリアルタイムで生成する。幾つかの実施形態では、締固めレベル推定値は、ローラ機の操作者が理解すること、並びに道路の特定部分の十分な締固めが達成されたと判断することに適する形式で、密度及び/又は剛性の情報を提示する。当然のことながら、本開示は、道路の建設中のアスファルト材料及び/又は舗装の締固めに関する実施例を含むが、本開示の方法、装置、及びシステムは、締固めされている材料(例えば土)の任意の路床の剛性情報の推定に使用されてよい。
【0016】
アスファルト混合物の締固めしやすさは、環境、混合特性、及び建設プロセスに関連する幾つかの要因に依存する。このような要因として、アスファルト混合物の敷設時の温度、層の厚さ、下層の温度及び硬度、周囲温度、空気の速度及び湿度、並びに太陽放射レベルがある。例えば、締固め中に骨材が再整列されて噛み合うことを可能にする為には、最小層厚が公称最大骨材サイズの3~4倍でなければならない。混合物は又、柔軟である為には、停止温度と呼ばれる特定温度を上回っていなければならない。これらの要因は、建設プロセス中に対処されない限り、舗装の締固めの不足及び/又は不均一につながる可能性がある。
【0017】
従って、高品質且つ長寿命のアスファルト舗装を実現するためには、適切に設計され、管理された締固めプロセスが不可欠である。一方では、締固めが不足すると、舗装の中に空隙が高い割合で放置されることになり、湿気侵入、酸化、及び亀裂が起こりやすくなる。他方では、締め固めすぎると、空隙が非常に少なくなり、その結果、暑い天候状態の間にアスファルトが舗装内に染み出す可能性がある。又、締め固めすぎると、骨材が押しつぶされて、舗装の機械的特性が変わる可能性がある。このように、締固めが不適切な舗装は、設計仕様どおりの性能を発揮せず、早くに劣化及び品質低下しがちである。耐久性のない舗装道路は、修繕や整備が非常に高くつき、交通渋滞を引き起こして、環境を汚染する自動車、バス、及びトラックの排気ガスを増大させる。
【0018】
上述のように、従来の道路締固めでは、一定速度で移動し、振幅及び周波数が一定の振動力を印加する振動ローラを使用する。振動ローラ又は締固め機は、骨材同士の噛み合いを増大させて、締め固められた混合物中の空隙を減らす為に、静的及び動的の両方の力(重量及び振動)を印加する。達成される締固めは、混合物条件及び環境条件に加えて、締固めプロセスに用いられるローラのタイプ、ローラの数、及びローリングパターンにも依存する。
【0019】
アスファルト舗装の機械的設計の目標の1つは、舗装の長期性能に対応することである。舗装の剛性は、道路の耐荷重能力に直接影響する重要な設計要因である。更に、轍掘れ又は疲労亀裂に起因する舗装の早期劣化が不適切な剛性に端を発するのは明らかである。全国共同高速道路研究プログラム(The National Cooperative Highway Research Program)(NCHRP)プロジェクトI-37A(「新規又は修復された舗装構造の設計に関する2002年指針の策定(Development of the 2002 Guide for the Design of New and Rehabilitated Pavement Structures)」)では、舗装の機械的設計における剛性の尺度として動的係数を使用することを推奨している。舗装の性能が剛性に依存することはよく知られているが、このパラメータが舗装の建設中に測定されることはめったにない。その代わりに、アスファルト舗装の建設中の現場における現行の品質管理は、完成した舗装の特定の場所の密度の測定に重点を置いている。
【0020】
本明細書に記載の方法及び装置は、振動ローラ機の操作者が舗装プロセス中に使用する、舗装全体の品質をリアルタイムで表す、優れた品質管理メカニズムを提供する。開示の実施形態では、振動ローラ機の操作者が、後付け式インテリジェント締固め解析(RICA)装置を利用して、上述の諸課題の多くを舗装の敷設中に識別して修正することにより、舗装の品質が向上して、舗装がその設計寿命にわたって持続可能になる。舗装の建設中のそのような品質管理作業により、舗装プロセスの全体的なパフォーマンスが有利に向上するだけでなく、結果として建設コスト及び保守コストが有利に下がる。
【0021】
図1は、後付け式インテリジェント締固め解析(RICA)装置112を後付けされた振動締固め機又はローラ機110の概略図100であり、RICA装置112は、アスファルト舗装又は道路114の各部分又は各区画の密度をリアルタイムで連続的に測定することが可能であり、これを舗装の建設中に舗装の全体長さにわたって行うことが可能である。幾つかの実施形態では、RICA装置112は、ローラ機110の挙動のいかなる態様も制御するものではなく、任意のタイプの既存の振動締固め機に後付け可能なスタンドアロン装置であってよい。本明細書に記載の実施形態では、RICA装置112は、建設中の舗装又は道路の複数の場所のアスファルトマットの密度に関連付けられたリアルタイム測定値を取得し、推定締固めレベルを算出して、推定締固めレベル情報をローラ機110の操作者に対して、操作者に分かる形式で表示する。そしてローラ操作者は、リアルタイム測定値情報を使用して、舗装又は道路の締固めが均一になるように、締固め不足に対処するように、且つ締め固めすぎないようにローラ機を操作する。
【0022】
図1を再度参照すると、幾つかの実施形態では、振動締固め機又はローラ機110は、前部ドラム120及び後部ドラム121を含む。前部ドラム120は、その中に偏心ウエイト126がマウントされており、幾つかの実施態様では、前部ドラム120及び後部ドラム121は両方とも、その中に偏心ウエイト126がマウントされている。偏心ウエイト126はモータ(図示せず)で回転し、ドラム120内でのウエイト126の回転によって、ドラム120と舗装面130との間の接触点においてインパクトが発生する。舗装面130は、ホットミックスアスファルト(HMA)で構成されてよく、アスファルトマットと呼ばれることもある。接触点におけるインパクトの間隔は、ローラ機110が舗装に沿って移動する際のローラ機の速度と、偏心ウエイト126の速度との関数である。例えば、幾つかのローラ機実施態様では、リニアフィート当たりおよそ10~12回のインパルス又はインパクトが発生しうる。
【0023】
幾つかの実施形態では、RICA装置112は、振動ローラ機110のフレーム128にマウントされたセンサモジュール122に作用的に接続されている。センサモジュール122は、最大10kHzの周波数の10g加速度(即ち、98.07メートル毎秒毎秒(98.07m/s))を測定することが可能な加速度計124と作用的に接続されてよく、この図ではフレーム128の下側部分に取り付けられている1つ以上の赤外線温度センサ125に作用的に接続されてよい。赤外線温度センサ125は、舗装面130の表面温度を測定する。従って、幾つかの実施態様では、ローラ機110の作業中に、センサモジュール122は振動締固め機110の振動を測定し、赤外線温度センサ125はアスファルトマット130の表面温度を測定する。従って、センサモジュール122に関連付けられたセンサ124、125は、本質的には、リアルタイムデータ収集システムを含む。
【0024】
RICA装置112は、特別に設計されたコンピュータであってよく、又は改造された又は改造されていないラップトップコンピュータ又はタブレットコンピュータであってよく、ディスプレイ画面116(タッチスクリーンであってよい)と、メモリ又は記憶装置(図示せず)とを有し、メモリ又は記憶装置は、振動ローラ110の操作者が見て使用するグラフィカルユーザインタフェース(GUI)(一例を図8に示す)を提示するコンピュータ実行可能命令を含む。操作者は、GUIを利用して、例えば、ローラ機の振動モータの振幅及び周波数を指定及び/又は制御すること、並びにアスファルトマット特性(例えば、混合タイプ及びリフト厚さを含んでよい)等のデータを入力することが可能である。操作者は又、GUIを利用して、他の初期入力パラメータ等のデータを入力すること、更に又、センサモジュール出力データ等のデータを見ることも可能である。
【0025】
幾つかの実施形態では、全地球測位システム(GPS)136が振動ローラ110にマウントされている。GPS136は、道路建設中に振動ローラ110が移動する際の振動ローラ110の位置を示すデータを提供し、例えば、この位置データはRICA装置112によって使用されてよく、それによって、例えば、道路の一部132の1つ以上の道路区画A-B、B-C、C-D、及び/又はD-Eの生成された密度の位置が記録及び/又は認識される。
【0026】
図1に示したRICA装置112は、振動ローラ110と道路114の下層舗装材料(例えば、ホットミックスアスファルト(HMA))とが結合系を形成することを前提として機能する。従って、振動ローラ110の応答は、その振動モータの周波数と、結合系の固有振動モードとによって決定される。アスファルトマット130の締固めによってその剛性が増し、結果として、異なる区画A-B、B-C、C-D、及び/又はD-Eのそれぞれに対して、指定又は所望の締固め品質が達成されるように必要に応じて締固め機の振動を変化させることが可能である。アスファルトマットの締固め品質は、舗装材料の特性と締固め機110の振動スペクトルとが分かれば、それによって推定することが可能である。
【0027】
上述のように、HMAの品質仕様は一般に、空隙のパーセンテージとして指定され、例えば、密度が100%であれば空隙が存在しないことになり、密度が90%であれば10%の空隙が存在することになる。従って、品質仕様は通常、空隙含有率(%)として、又はアスファルトマットの理論最大密度(TMD)(%)として指定される為、幾つかの実施形態では、RICA装置112は、建設中に道路の特定部分の舗装の締固め後の密度を推定して、パーセンテージをディスプレイ画面に表示して(図8のアイテム806を参照)、ローラ装置の操作者に見せる。本明細書に記載の実施形態では、特定の道路区画に更なる締固めが必要かどうかをローラ機110の操作者が決定できるように、舗装の締固め後の密度の推定値はリアルタイムで表示される。
【0028】
図2は、本開示の態様による後付け式インテリジェント締固め解析(RICA)装置の一例示的実施形態200を示すブロック図である。RICA装置200は、構成要素のハードウェア及び/又はアーキテクチャに関しては標準構成要素、及び/又は、カスタム設計且つ/又は独自開発の構成要素を含んでよく、RICA装置200を本明細書に記載のように機能させる為のソフトウェア及び/又はコンピュータプログラムの命令によって制御されてよい。例えば、RICA装置200は、サーバコンピュータハードウェアを含んでよい。
【0029】
図2に示すように、RICA装置200では、RICAプロセッサ202が通信装置204、入力装置206、出力装置208、及び記憶装置210と作用的に結合されてよい。RICAプロセッサ202は、1つ以上のマイクロプロセッサを構成してよく、更に、センサモジュール212及び全地球測位システム(GPS)装置214と作用的に結合されている。幾つかの実施形態では、センサモジュール212は、1つ以上の加速度計216と1つ以上の赤外線温度センサ218とを含む。RICAプロセッサ202は、RICA装置200を制御して所望の機能性を実現するように、以下に記載のプログラム命令に含まれる、プロセッサ実行可能ステップを実行するように動作する。
【0030】
幾つかの実施形態では、通信装置204は、(例えば)他の装置(例えば、サーバコンピュータ又はハンドヘルド装置(例えば、タブレットコンピュータ及び/又はスマートフォン)(これらは建設作業員によって操作されてよい))との通信を促進すること、及び/又は、別の操作者が操作する他の1つ以上のローラと通信することの為に使用されてよい。例えば、操作者が運転しているローラ機の下の土、舗装、又は道路の密度及び/又は剛性に関する締固めレベルデータ推定値を監視及び/又は記録すること、及び/又は、別の(第2の)操作者が操作している第2のローラ機の下の舗装又は道路の締固めレベルデータ推定値を監視することの為に必要とされる通信を含めて、RICA装置200が多数の他のコンピュータ及び他の装置と同時に通信することを可能にする為に、通信装置204は多数の通信ポート(別途図示せず)を含んでよい。そのような動作により、2人以上の操作者が協力して作業することで、道路の1つ以上の特定部分において所望の締固めレベルが達成されるようになる。従って、通信装置は、多様なタイプのネットワーク(インターネット等)を介して無線通信及び/又は有線通信を行うように、且つ/又は専用無線リンク等を介して通信を行うように構成されてよい。
【0031】
入力装置206は、典型的にはコンピュータへのデータ入力に使用される1つ以上の任意のタイプの周辺装置を含んでよい。例えば、入力装置206は、キーボード、マウス、及び/又はマイクロホン等の構成要素を含んでよい。出力装置208は、例えば、ディスプレイ構成要素及び/又はスピーカ及び/又はプリンタであってよい。幾つかの実施形態では、入力装置206及び出力装置208はタッチスクリーンを含む。
【0032】
記憶装置210は、任意の適切な情報記憶装置を含んでよく、これには、磁気記憶装置(例えば、ハードディスクドライブ)、光学式記憶装置(例えば、CD及び/又はDVD)、及び/又は半導体メモリ装置(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)装置及び読み出し専用メモリ(ROM)装置、並びにフラッシュメモリ及び/又はソリッドステートドライブ(SSD)等)の組み合わせが含まれる。そのような情報記憶装置のうちの任意の1つ以上が、非一時的コンピュータ可読記憶媒体又はコンピュータで使用可能な媒体又はメモリであると考えられてよい。
【0033】
記憶装置210は、RICA装置200を制御する1つ以上のコンピュータプログラムを記憶する。プログラムは、RICAプロセッサ202によって実行されてRICA装置200を本明細書に記載のように機能させる、RICA装置200のプロセッサ実行可能プロセスステップを含むプログラム命令(コンピュータ可読プログラムコード手段と呼ばれてよい)を含む。例えば、プログラムは1つ以上の従来式オペレーティングシステム(図示せず)を含んでよく、これらは、RICAプロセッサ202が、RICA装置200内のアクティビティ及びリソース共有を管理及びコーディネートすることと、RICA装置200上で動作するアプリケーションプログラムのホストとして働くことと、を行うように、RICAプロセッサ202を制御する。更に、記憶装置210は振動エネルギアプリケーション220を記憶してよく、これは、ローラドラムが舗装の上を順方向及び逆方向に往復移動する際に道路の締固め中のローラドラムの振動に関連するセンサから取得された基本周波数データ及び振幅データを利用し、加速度計216のうちの1つ以上の加速度計からの加速度計データをフィルタリングし、各高調波における平均振動エネルギデータを抽出する。更に、記憶装置はクラスタリングアプリケーション222を含んでよく、これは、RICAプロセッサが、加速度計データ中の高調波の平均エネルギを正規化することと、このエネルギを、あらかじめ指定又は決定された数のグループにグループ分けすることと、を行うように、RICAプロセッサを制御する。幾つかの実施形態では、記憶装置210は又、パーセンテージ理論最大密度(%TMD)アプリケーション224を記憶してよく、これは、RICAプロセッサが、既知の場所から抽出されたコアから測定された1つ以上の密度測定値に推定締固めレベルを関連付けることと、ローラ機が操作されているときにローラ機の操作者に対して1つ以上の出力グラフ(図示せず)をリアルタイムで表示することに使用可能な出力データを提供することと、を行うように、RICAプロセッサを制御する。
【0034】
記憶装置210は又、他のプログラム(図示せず)も記憶してよく、RICA装置200は又、他のプログラム(図示せず)も実行してよい。例えば、そのようなプログラムとして締固め密度推定レポートアプリケーションがあってよく、これは、RICAプロセッサ202が、道路の所定の長さ部分に関する密度レポートを通信装置204経由でリモートサーバコンピュータ(図示せず)に送信するように、RICAプロセッサ202を制御する。又、他のプログラムとして、例えば、1つ以上のデータ通信プログラム、データベース管理プログラム、デバイスドライバ等があってよい。
【0035】
記憶装置210は又、RICA装置200の動作に必要な1つ以上のデータベース226を記憶してよい。そのようなデータベースは、例えば、混合物グラデーション、ローラが通過するごとの通過後のマット上の各場所における推定密度、ローラが通過するごとの通過中のマットの表面温度、及び/又はローラのGPS座標とこれに対応する時刻に関するデータを含むデータベースを含んでよい。幾つかの実施態様では、そのようなデータは、例えば、センサモジュールからのセンサデータを適切に処理すること、及び/又は締固め密度推定値を生成することに利用されてよい。
【0036】
図1を再度参照すると、ローラ機110は、典型的には、道路建設中にアスファルトマット130の上を何度も通過する。アスファルトマット130は、規定の長さ(例えば、300フィート)を有する、道路の締固め対象部分132を含んでよい。そこで、道路のこの部分132上の各場所を、ここでは、図1の場所A-B-C、C-D、及びD-Eのように示して識別してよい。各場所の長さは、およそ75フィートであってよい。これらの道路場所は、ローラ機110の操作中にGPS装置136によってマーキングされてもよく、締固め操作中に道路部分132の推定密度に関連付けられる。具体的には、ローラ機110のローラ120が道路区画132の上を複数回通過する際に、ローラ120が道路部分132に沿って移動しながら、偏心ウエイト122、124がインパクトを発生させ、ローラ120の応答振動信号が加速度計124によって感知されて、RICAプロセッサ202に渡される。この振動データが、赤外線温度センサ124によって取得された温度データとともに使用されて、本明細書に開示のように締固め推定値が生成される。
【0037】
図3Aは、アスファルト舗装を締固めする為に、ローラ機110のローラドラム120が舗装の一部分の上を通過するごとの、通過中のローラドラム120の振動を時間に対して(ここでは、開始点(0)から約10分まで)示したグラフ300である。図3Bは、図3Aに示した振動の周波数成分(単位はHz)を示す、振動のスペクトル写真350である。グラフは、振動締固め機がアスファルト混合物の層の上を16回通過したことを示している。
【0038】
図3Bは、基本周波数、即ち、ローラドラム内の偏心器を回転させる周波数を示している。偏心質量が回転することにより、偏心質量が1回転するごとにインパルス力が1回発生する。ローラ及び下層舗装は結合系を形成する為、これらの系は両方とも、この入力に対する応答を示す。舗装層は粘弾性-塑性変形し、一方、ローラは、入力の周波数及びその高調波で振動する。励起周波数が65Hzであれば、65Hzの応答とともに130Hz、195Hz、280Hz、325Hz、及び390Hzの高調波が誘発される。ローラは他の周波数でも応答を示すことがあるが、入力に対する応答の振動エネルギのほとんどは、基本周波数及びその高調波に含まれる。特定周波数帯における振動のパワー成分は、振動の振幅に関連付けられ、デシベル(dB)を単位として表される。
【0039】
図4A~4Fは、ローラ機のドラム振動の選択された周波数に含まれるパワーを示すグラフ410~460を示す。具体的には、図4Aは、周波数65Hzにおけるドラム振動のパワーを示すグラフ410であり、図4Bは、周波数130Hzにおけるドラム振動のパワーを示すグラフ420であり、図4Cは、周波数195Hzにおけるドラム振動のパワーを示すグラフ430であり、図4Dは、周波数280Hzにおけるドラム振動のパワーを示すグラフ440であり、図4Eは、周波数325Hzにおけるドラム振動のパワーを示すグラフ450であり、図4Fは、周波数390Hzにおけるドラム振動のパワーを示すグラフ460である。
【0040】
図5は、一実施形態による、基本周波数における正規化パワーを示すグラフ500である。各周波数帯ごとに、舗装層のテストストレッチの締固め中の振動信号が解析され、最小パワーレベル(Pmin)及び最大パワーレベル(Pmax)が算出される。瞬時パワーPが与えられると、正規化パワーが100*(P-Pmin)/(Pmax-Pmin)として計算される。
【0041】
図6は、幾つかの実施形態に従って、ローラ機の振動応答をクラスタにグループ分けしたグラフ600である。各周波数帯の正規化パワーが、締固めレベルの上昇を反映する振動を表すクラスタにグループ分けされている。各周波数帯のパワーを表すこれらのベクトルをグループ分けすることに使用可能なアルゴリズムは多数存在し、例えば、k平均法、自己組織化写像等がある。最も低いパワーレベルは、ローラが未締固めアスファルト混合物の上にある為に、その応答がミュートされる場合に相当する。最も高いパワーレベルは、材料が十分に締固めされた為に、ローラが全周波数での振動の増大を示していることを示す。密度推定値において必要とされる精度は、必要なクラスタの数を決定づける。例えば、精度が実際の密度の1%以内である為には、クラスタが4~6個であれば十分である。クラスタの数が増えると誤分類エラーが増え、一方、クラスタの数が少なすぎると、達成される精度が制限されることになる。幾つかの実施形態では、ローパスフィルタを使用して、後続の各時間ステップにおいてクラスタから推定された密度が補間される。図6に示した例では、振動クラスタは、第1のクラスタ610、第2のクラスタ620、第3のクラスタ630、第4のクラスタ640、及び第5のクラスタ650を含む。
【0042】
図7A、7B、及び7Cは、それぞれ、図6のクラスタ情報を使用した、ローラ機の3回の通過のそれぞれにおける密度推定値のグラフ700、710、及び720を示す。具体的には、幾つかの実施形態では、RICA装置200は、ローラドラムが舗装の上を順方向及び逆方向に往復移動する際に締固め中のローラドラムの振動の基本周波数を監視し、フィルタのバンクを使用して1つ以上の加速度計からの加速度計データをフィルタリングし、各高調波における平均振動エネルギを抽出する。次にRICA装置200は、加速度計データ中の高調波の平均エネルギを正規化し、このエネルギを、あらかじめ指定又は決定された数のグループにグループ分けする。幾つかの実施形態では、クラスタリング技術を利用して、エネルギデータが、図6に示したような異なる5つの振動グループにグループ分けされる。次に、平滑化関数を使用して、それら5つの振動グループが推定締固めレベルに関連付けられてよい。次にRICA装置200は、その推定締固めレベルを、既知の場所から抽出されたコアから測定された1つ以上の密度測定値に関連付けることにより、推定締固めレベルをパーセンテージ理論最大密度(%TMD)として表すことが可能である。
【0043】
図8は、本開示による、振動締固め機(又はローラ機)110(図1を参照)の操作者に対して、振動締固め機に後付けされたRICA装置112のディスプレイ画面116に提示されることが可能なディスプレイ画面出力データ800を示す。幾つかの実施形態では、ディスプレイ画面データ800は、振動締固め機の速度を示す速度計802又は速度インジケータと、マット温度を示すマット温度ゲージ804と、現在の密度パーセンテージを示す密度パーセンテージ表示器806と、を含む。操作者は、操作ボタン808及び810を使用して、第1のローラ機に関連するデータと第2のローラ機(図示省略)に関連するデータの表示を切り替えてよい。偏心器の指定された周波数に対して、ローラ機速度からアスファルトマット上のインパクトの間隔が算出される。速度が定格速度を上回ると、マット上の、その後に続くインパクト場所の間隔が広がり、結果として締固めが不均一になる。速度が遅くなると、その後に続くインパクト場所の間隔が狭まり、舗装の締固め過ぎ及び損傷につながる可能性がある。そこで、速度インジケータ802及びマット温度インジケータ804は、ローラ操作者が所望の作業範囲内でローラ機を操作することを支援し、それによって、操作者のアクション(又は操作者のエラー)に起因する締固めのばらつきが最小化又は低減される。
【0044】
温度ゲージ804は又、様々なローラ機の作業に必要な温度範囲を含む。例えば、アスファルトマットは、破壊(BD)ローリングの為には270~350°F(即ち、約132~154.5℃)でなければならない。同様に、アスファルトマットは、中間(IR)ローリングの為には200~250°F(93~121℃)でなければならず、仕上げローリングの為には130~160°F(54~71℃)でなければならない。これらの温度範囲は、ジョブ又は締固めプロジェクトごとにコンピュータシステムに入力されてよく、それによって、振動ローラの操作者は、アスファルトマットがいつ締固め可能になるかについての分かりやすいガイダンスが得られる。
【0045】
グラフ812及び814は、ローラ機通過後に達成された締固めの示度を表示する。幾つかの実施態様では、各ローラ機通過中の密度推定値が色分けマップの形式で表示される。各マップは、ローラ機の経路と通過後に推定された密度とを示す。操作者は、これまでの通過を1ステップずつたどってアスファルトマットの網羅具合を調べて、ローラ機がマット上の全ての場所の締固めを完了したかどうかを判断し、達成された締固めレベルを見ることが可能である。更に、マップは又、締固めの均一性を視覚的に示す。これは、幾つかの実施態様では、同等の密度推定値を有する場所が同様又は同一の色で表示される為である。更に、グラフ812及び814のそれぞれは又、その特定の通過に対して推定された平均密度と、締固めの均一性
[=(1/(3×標準偏差)×100]とを表示することが可能である。
【0046】
幾つかの実施形態では、第1の操作者がトグルボタン808及び810を使用して、(第1の操作者が操作する)第1のローラ機と協力して作業していてよい、第2の操作者が操作している第2のRICA装備ローラ機のマット温度及び密度推定値を取得することが可能である。例えば、第1の操作者が操作している、第1のRICA装置を装備された第1のローラ機が、破壊作業、又は新しく敷設された高温アスファルトマットに対するローラ機の第1の締固め通過を実施することに使用されてよい。次に、第2のRICA装置を装備された別個の第2のローラ機を操作する第2の操作者が、道路の同じ部分に対する締固め作業及び仕上げ作業の実施を任されてよい。幾つかの実施形態では、第2のローラ操作者は、第2のRICA装置を利用して、第1の操作者及び第1のローラ機が実施した作業に関する推定締固めレベルデータを第1のRICA装置から取得してよい。次に、第1のRICA装置から受信して取得された推定締固めレベルデータを使用して、第2のRICA装置のディスプレイ画面に推定締固めレベルが表示されてよく、これにより、第2のローラ機の第2の操作者は、所望の締固め結果を達成する為に、例えば、第2のローラ機をどれだけの速度で進めるべきか、及び/又は第2のローラ機が道路の特定部分でどれだけの時間をかけるべきか、を判断することが可能である。従って、第1のローラ機からの推定締固めレベルとともに第2のローラ機の締固めの詳細をリアルタイムで見ることができ、これは、第2の操作者が、協力して作業をしている第1及び第2のローラの動作を調整して生産性を高めることに有利に役立つ。
【0047】
図9は、幾つかの実施形態による、舗装材料の締固めレベルの推定値をリアルタイムでローラ機の操作者に提示する方法を示すフローチャート900である。幾つかの実施形態では、ローラ機に後付けされた後付け式インテリジェント締固め解析(RICA)装置のRICAプロセッサが、センサモジュールから振動エネルギデータを受信する(902)。振動エネルギデータは、一舗装区画での舗装材料の締固め中のローラ機の少なくとも1つのドラムのインパクト応答に対応する。RICAプロセッサは又、センサモジュールから温度データを受信する(904)。温度データは、その舗装区画で少なくとも1つの赤外線温度センサによって生成されてよい。次にRICAプロセッサは、振動エネルギデータ、舗装材料特性データ、及び温度データに基づいてその舗装区画の推定締固めレベルをリアルタイムで算出し(906)、次に、その舗装区画の、推定締固めレベルに基づく密度レベル(%)をディスプレイ装置に表示して(908)、ローラ機の操作者に見せる。幾つかの実施形態では、RICAプロセッサは又、その舗装区画においてローラ機のローラ通過によって達成された締固めの均一性の示度をディスプレイ装置に表示する(910)。
【0048】
幾つかの実施形態では、RICAプロセッサは、ローラドラムが舗装の上を順方向及び逆方向に往復移動する際に締固め中のローラ機のローラドラムの振動の基本周波数を監視し、少なくとも1つの加速度計からの加速度計データをフィルタリングして各高調波における平均振動エネルギを抽出し、加速度計データ中の高調波の平均エネルギを正規化し、振動エネルギを、あらかじめ決定された数の振動クラスタにグループ分けすることによって推定締固めレベルを算出する(906)。更に、幾つかの実施態様では、RICAプロセッサは、振動クラスタに関連付けられたデータを、平滑化関数を使用して推定締固めレベルに関連付ける。幾つかの実施態様では、RICAプロセッサは、推定締固めレベルを、既知の場所から抽出されたコアから測定された1つ以上の密度測定値に関連付け、その推定締固めレベルをパーセンテージ理論最大密度(%TMD)として表す。
【0049】
図9を再度参照すると、幾つかの実施形態では、本プロセスは又、RICAプロセッサが推定締固めレベルを記憶装置に記憶すること(912)、及びRICAプロセッサが推定締固めレベルをリモートサーバに送信すること(914)の少なくとも一方を含む。幾つかの実施態様では、RICAプロセッサは又、振動ローラ機が舗装区画を横断する際に振動ローラ機の地理空間位置データをGPS装置から受信し、地理空間位置データを推定締固めレベルデータに関連付けて、地理空間位置データ及び関連付けられた推定締固めレベルデータをリモートコンピュータに送信してよい。更に、RICAプロセッサは次に、地理空間位置データ及び関連付けられた推定締固めレベルデータを記憶装置に記憶してよい。
【0050】
このように、本明細書に開示のシステム及び方法は有利なことに、振動締固め車両等の既存のローラ機に容易に後付け可能であって、ローラ機の操作者にリアルタイム締固めデータを提示することが可能な後付け式インテリジェント締固め解析(RICA)装置を提供する。ローラ機の操作者は有利なことに、道路建設中にリアルタイムで推定締固めレベル情報を使用し、それに応じたアクションを実施することが可能である。例えば、必要な基準が満たされていないことを締固めレベル情報が示している場合には、ローラ機の操作者は、舗装の建設中に所望の締固め品質レベルを達成する為に必要と考える修正ステップ(例えば、道路の区画をローラ機のドラムがもう一度通過すること)を実施してよい。そのようなアクションは有利なことに、欠陥が後から発覚した道路の一部を引き剥がさなければならない場合に比べて時間も費用も節約できる。
【0051】
本明細書では「コンピュータ」という用語は、単一コンピュータ、又は相互に通信する2つ以上のコンピュータを包含するものと理解されたい。
【0052】
本明細書では「プロセッサ」という用語は、単一プロセッサ、又は相互に通信する2つ以上のプロセッサを包含するものと理解されたい。
【0053】
本明細書では「メモリ」又は「記憶装置」という用語は、単一の非一時的メモリ又は記憶装置、又は2つ以上のメモリ又は記憶装置を包含するものと理解されたい。
【0054】
本明細書では「サーバ」は、他の電子装置からの非常に多数のサービス要求に応えるコンピュータ装置又はコンピュータシステムを包含する。
【0055】
上述のプロセスの説明及び図解は、本明細書においては、各プロセスステップを実施する順序が固定されていることを意味するものと見なされてはならない。むしろ、各プロセスステップは、少なくとも幾つかのステップを同時に実施すること、及び/又は要素又はステップを省略することを含めて、実施可能な任意の順序で実施されてよい。
【0056】
本開示を具体的な例示的実施形態と関連させて説明してきたが、当然のことながら、本開示の趣旨及び範囲から逸脱しない限り、本開示の実施形態に対して、当業者であれば明らかな、様々な変更、置換、及び修正が行われてよい。
〔付記1〕
舗装材料の層の締固めレベルの推定値をリアルタイムで提示する方法であって、
一舗装区画での舗装材料の締固め中のローラ機の少なくとも1つのドラムのインパクト応答に対応する振動エネルギデータを、後付け式インテリジェント締固め解析(RICA)プロセッサがセンサモジュールから受信するステップと、
前記舗装区画で少なくとも1つの赤外線温度センサによって生成された温度データを、前記RICAプロセッサが前記センサモジュールから受信するステップと、
前記RICAプロセッサが、前記振動エネルギデータ、舗装材料特性データ、及び前記温度データに基づいて前記舗装区画の推定締固めレベルをリアルタイムで算出するステップと、
前記舗装区画の、前記推定締固めレベルに基づく密度レベル(%)を、前記RICAプロセッサがディスプレイ装置に表示して、前記ローラ機の操作者に見せるステップと、
を含む方法。
〔付記2〕
前記舗装区画において前記ローラ機のローラ通過によって達成された締固めの均一性の示度を、前記RICAプロセッサが前記ディスプレイ装置に表示するステップを更に含む、付記1に記載の方法。
〔付記3〕
前記舗装区画のマット温度の示度を、前記RICAプロセッサが前記ディスプレイ装置に表示するステップを更に含む、付記1に記載の方法。
〔付記4〕
前記推定締固めレベルを算出するステップは、
前記RICAプロセッサが、前記ローラドラムが前記舗装の上を順方向及び逆方向に往復移動する際に締固め中の前記ローラ機のローラドラムの振動の基本周波数を監視するステップと、
前記RICAプロセッサが、少なくとも1つの加速度計からの加速度計データをフィルタリングして、前記基本周波数と前記基本周波数に対する高調波とにおける平均振動エネルギを抽出するステップと、
前記RICAプロセッサが、前記加速度計データ中の前記基本周波数及び前記高調波における前記平均振動エネルギを正規化するステップと、
前記RICAプロセッサが、前記基本周波数及び前記高調波における前記平均振動エネルギを、締固めレベルの上昇を反映する、あらかじめ決定された数の振動クラスタにグループ分けするステップと、
を含む、
付記1に記載の方法。
〔付記5〕
前記RICAプロセッサが、平滑化関数を利用して、前記振動クラスタに関連付けられたデータを推定締固めレベルに関連付けるステップを更に含む、付記4に記載の方法。
〔付記6〕
前記RICAプロセッサが、前記推定締固めレベルを、既知の場所から抽出されたコアから測定された1つ以上の密度測定値に関連付けるステップと、
前記RICAプロセッサが、前記推定締固めレベルをパーセンテージ理論最大密度(%TMD)として表すステップと、
を更に含む、付記5に記載の方法。
〔付記7〕
前記RICAプロセッサが、前記推定締固めレベルを記憶装置に記憶するステップと、
前記RICAプロセッサが、前記推定締固めレベルをリモートサーバに送信するステップと、
のうちの少なくとも1つを更に含む、付記1に記載の方法。
〔付記8〕
前記RICAプロセッサが、前記振動ローラ機が前記舗装区画を横断する際に前記振動ローラ機の地理空間位置データをGPS装置から受信するステップと、
前記RICAプロセッサが、前記地理空間位置データを前記推定締固めレベルデータに関連付けるステップと、
前記RICAプロセッサが、前記地理空間位置データ及び前記関連付けられた推定締固めレベルデータをリモートコンピュータに送信するステップと、
を更に含む、付記1に記載の方法。
〔付記9〕
前記RICAプロセッサが、前記地理空間位置データ及び関連付けられた推定締固めレベルデータを記憶装置に記憶するステップを更に含む、付記8に記載の方法。
〔付記10〕
前記RICAプロセッサが、第2のローラ機に関連付けられた第2のRICA装置の第2のRICAプロセッサから、前記舗装区画での前記第2のローラ機の動作に関連付けられた第2の推定締固めレベルを受信するステップと、
前記RICAプロセッサが、前記第2の推定締固めレベルに基づいて、所望の締固めレベルをいかにして達成するかを決定する為に前記ローラ機の前記操作者が使用する第2の密度レベル(%)を前記ディスプレイ装置に表示するステップと、
を更に含む、付記1に記載の方法。
〔付記11〕
舗装材料の層の締固めレベルの推定値をリアルタイムで提示する後付け式インテリジェント締固め解析(RICA)装置であって、
RICAプロセッサと、
前記RICAプロセッサに作用的に接続された通信装置と、
前記RICAプロセッサに作用的に接続されたディスプレイ装置と、
前記RICAプロセッサに作用的に接続されたセンサモジュールと、
前記RICAプロセッサに作用的に接続された記憶装置であって、前記記憶装置は、実行されると前記RICAプロセッサに、
一舗装区画での舗装材料の締固め中のローラ機の少なくとも1つのドラムのインパクト応答に対応する振動エネルギデータを前記センサモジュールから受信するステップと、
前記舗装区画で少なくとも1つの赤外線温度センサによって生成された温度データを前記センサモジュールから受信するステップと、
前記振動エネルギデータ、舗装材料特性データ、及び前記温度データに基づいて前記舗装区画の推定締固めレベルをリアルタイムで算出するステップと、
前記舗装区画の、前記推定締固めレベルに基づく密度レベル(%)を前記ディスプレイ装置に表示して、前記ローラ機の操作者に見せるステップと、
を行わせるプロセッサ実行可能命令を記憶する、前記記憶装置と、
を含む装置。
〔付記12〕
前記記憶装置は、実行されると前記RICAプロセッサに、前記舗装区画において前記ローラ機のローラ通過によって達成された締固めの均一性の示度を前記ディスプレイ装置に表示するステップを行わせる、更なるプロセッサ実行可能命令を記憶する、付記11に記載の装置。
〔付記13〕
前記記憶装置は、実行されると前記RICAプロセッサに、前記舗装区画のマット温度の示度を前記ディスプレイ装置に表示するステップを行わせる、更なるプロセッサ実行可能命令を記憶する、付記11に記載の装置。
〔付記14〕
前記記憶装置に記憶される、前記推定締固めレベルを算出する前記命令は、実行されると前記RICAプロセッサに、
前記ローラドラムが前記舗装の上を順方向及び逆方向に往復移動する際に締固め中の前記ローラ機のローラドラムの振動の基本周波数を監視するステップと、
少なくとも1つの加速度計からの加速度計データをフィルタリングして、前記基本周波数と前記基本周波数に対する高調波とにおける平均振動エネルギを抽出するステップと、
前記加速度計データ中の前記基本周波数及び前記高調波における前記平均振動エネルギを正規化するステップと、
前記基本周波数及び前記高調波における前記平均振動エネルギを、締固めレベルの上昇を反映する、あらかじめ決定された数の振動クラスタにグループ分けするステップと、
を行わせる命令を含む、
付記11に記載の装置。
〔付記15〕
前記記憶装置は、実行されると前記RICAプロセッサに、
前記推定締固めレベルを記憶装置に記憶するステップと、
前記推定締固めレベルをリモートサーバに送信するステップと、
のうちの少なくとも1つを行わせる、更なるプロセッサ実行可能命令を記憶する、
付記11に記載の装置。
〔付記16〕
前記RICAプロセッサに作用的に接続されたGPS装置を更に含み、前記記憶装置は、実行されると前記RICAプロセッサに、
前記振動ローラ機が前記舗装区画を横断する際に前記振動ローラ機の地理空間位置データを前記GPS装置から受信するステップと、
前記地理空間位置データを前記推定締固めレベルデータに関連付けるステップと、
前記地理空間位置データ及び前記関連付けられた推定締固めレベルデータをリモートコンピュータに送信するステップと、
を行わせる、更なるプロセッサ実行可能命令を記憶する、
付記11に記載の装置。
〔付記17〕
前記記憶装置は、実行されると前記RICAプロセッサに、前記地理空間位置データ及び前記関連付けられた推定締固めレベルデータを前記記憶装置に記憶するステップを行わせる、更なるプロセッサ実行可能命令を記憶する、付記16に記載の装置。
〔付記18〕
前記記憶装置は、実行されると前記RICAプロセッサに、
第2のローラ機に関連付けられた第2のRICA装置の第2のRICAプロセッサから、前記舗装区画での前記第2のローラ機の動作に関連付けられた第2の推定締固めレベルを受信するステップと、
前記第2の推定締固めレベルに基づいて、所望の締固めレベルをいかにして達成するかを決定する為に前記ローラ機の前記操作者が使用する第2の密度レベル(%)を前記ディスプレイ装置に表示するステップと、
を行わせる、更なるプロセッサ実行可能命令を記憶する、付記11に記載の装置。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9