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特許7466024時計ムーブメントの機能を選択および制御するためのデバイス
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  • 特許-時計ムーブメントの機能を選択および制御するためのデバイス 図1
  • 特許-時計ムーブメントの機能を選択および制御するためのデバイス 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】時計ムーブメントの機能を選択および制御するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   G04B 27/00 20060101AFI20240404BHJP
   G04B 19/25 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
G04B27/00 Z
G04B19/25 Q
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023041475
(22)【出願日】2023-03-16
(65)【公開番号】P2023161561
(43)【公開日】2023-11-07
【審査請求日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】22169828.5
(32)【優先日】2022-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504341564
【氏名又は名称】モントレー ブレゲ・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ジェローム・マセ
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-197004(JP,A)
【文献】特開2006-78423(JP,A)
【文献】実開昭56-31429(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0124388(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 27/00
G04B 19/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計ムーブメントの機能を選択および制御するためのデバイス(10)であって、作用が及ぼされると、一体となって回転するために互いに一体化された複数の同軸カム(42)を備えたコラム・ホイール(40)を単一の回転方向に回転させるようになされたセレクタ部材(20)を備え、前記デバイスは複数のトランスミッション・ヨーク(50)を備え、前記複数のトランスミッション・ヨーク(50)の各々は、その各トランスミッション・ヨーク(50)に固有のカム(42)に寄り掛かり、前記カム(42)の角位置に応じて休止位置およびアクティブ位置を連続的に占有することができるようになされ、各トランスミッション・ヨーク(50)は、各トランスミッション・ヨーク(50)が前記アクティブ位置を占有すると、制御部材(30)の経路中に配置されるように構成され、休止位置から前記制御部材(30)に作用が及ぼされると、前記制御部材(30)は、アクティブ位置にある前記トランスミッション・ヨーク(50)を、そのトランスミッション・ヨーク(50)に固有の機能を制御するための位置に向かって駆動することが意図されていることを特徴とするデバイス(10)。
【請求項2】
前記カム(42)は、前記トランスミッション・ヨーク(50)のうちの1つだけに、前記コラム・ホイール(40)の2つの連続する角位置の間で、その休止位置からそのアクティブ位置まで移動させ、また、前記複数のトランスミッション・ヨーク(50)のうちの別のトランスミッション・ヨークに、そのアクティブ位置からその休止位置まで移動させるように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記カム(42)は、前記コラム・ホイール(40)が定義済み角位置を占有すると、すべての前記トランスミッション・ヨーク(50)がそれらの休止位置を占有するように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記カム(42)は同じ輪郭を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記コラム・ホイール(40)と共に回転するための前記コラム・ホイール(40)と一体のディスプレイ、または前記コラム・ホイール(40)に運動学的に接続されたディスプレイを備え、前記ディスプレイは、前記コラム・ホイール(40)の前記角位置を表す位置を取るように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
各カム(42)は、一方では、中心が前記カム(42)の回転軸と一致する円(43)の少なくとも1つの扇形を含み、また、他方では、円(43)の前記扇形を越えて半径方向に展開する少なくとも1つの歯(44)を含む輪郭を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
各トランスミッション・ヨーク(50)は、前記ヨークが前記アクティブ位置にあるとき、前記時計ムーブメントの構成要素と協同するように適合されたキャッチ(52)を含み、それにより前記ヨークに固有の所与の機能を実施する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記セレクタ部材(20)が前記コラム・ホイール(40)にもたれ掛かる休止位置に前記セレクタ部材をバイアスするばね、前記制御部材(30)をその休止位置にバイアスするばね、およびそれぞれトランスミッション・ヨーク(50)が前記コラム・ホイール(40)に寄り掛かるようにトランスミッション・ヨーク(50)を保持するようになされた複数のばねを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記制御部材(30)は、制御プッシュ片(32)が寄り掛かる制御レバー(31)を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記セレクタ部材(20)はセレクタ・レバー(21)を含み、前記セレクタ・レバー(21)に対して選択プッシュ片が配置される、請求項1に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は時計学の分野に関し、詳細には時計ムーブメントに関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、時計ムーブメントの機能を選択および制御するためのデバイスと、前記デバイスを備える時計ムーブメントとに関する。
【背景技術】
【0003】
典型的には、現在の時刻を設定する、または主ぜんまいを巻く、等々などの時計ムーブメントの機能は巻真を使用して実施される。詳細には、これらの機能の各々は、巻真が特定の軸方向の位置を占有する際のその巻真の回転によって制御される。日付インジケータを有する腕時計が同じく存在しており、前記巻真を回転させることによって日付すなわち日インジケータを設定するために、巻真を特定の軸方向の位置へ移動させることができる。
【0004】
これらの腕時計では、設定すべき機能の数は、巻真によって占有され得る軸方向の位置の数によって制限される。使いやすさを維持するには、4つ以上の軸方向の位置を有する巻真を有する腕時計を得ることは困難であることが理解される。
【0005】
さらに、巻真の軸方向の位置が4つ以上、すなわち制御すべき機能が4つ以上の場合、所与の機能に作用を及ぼすことができるようにするために、その軸方向の位置毎に巻真を時計ムーブメントの特定の構成要素に運動学的に接続しなければならないため、時計ムーブメントはその実現がとりわけ複雑になる。
【0006】
これらの腕時計の別の欠点は、巻真が前記巻真の自由端に取り付けられた龍頭によってユーザによって操作されることである。この龍頭は、典型的には小さい寸法を有しており、とりわけ所望の機能を制御するために巻真を所与の軸方向の位置へ移動させる場合、その取扱いが困難であり得る。
【0007】
コンプリート・カレンダ、月相、別の時間帯、等々などの特定の機能を修正するために、いくつかの時計ムーブメントは、典型的には適切なツールを使用して加えられる圧力によって操作されるコレクタを含んでいる。しかしながら、これらのコレクタの使用は容易ではなく、腕時計をユーザの手首から外さなければならないことがしばしばである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ユーザにとって単純で、かつ、速やかな方法で時計ムーブメントの機能を選択および制御するための解決法を提供することによって上記の欠点を克服する。
【0009】
さらに、本発明の別の目的は、詳細には構成要素の数を制限し、その一方で、選択および制御することができる機能の数を最大化することによって時計ムーブメントの内側へのその統合を容易にするために、単純な設計のデバイスを提案することである。
【0010】
本発明の別の利点は、選択される機能を表示することができることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そのために、本発明は、時計ムーブメントの機能を選択および制御するためのデバイスに関しており、デバイスは、作用が及ぼされると、一体となって回転するために互いに一体化された複数の同軸カムを備えたコラム・ホイールを単一の回転方向に回転させるようになされたセレクタ部材を備えている。デバイスは複数のトランスミッション・ヨークをさらに含み、複数のトランスミッション・ヨークの各々は、そのトランスミッション・ヨークに固有のカムに寄り掛かり、前記カムの角位置に応じて休止位置およびアクティブ位置を連続的に占有することができるようになされており、各トランスミッション・ヨークは、各トランスミッション・ヨークがアクティブ位置を占有すると、制御部材の経路中に配置されるように構成されており、休止位置からその制御部材に作用が及ぼされると、制御部材は、アクティブ位置にあるトランスミッション・ヨークを、そのトランスミッション・ヨークに固有の機能を制御するための位置に向かって駆動することが意図されている。
【0012】
特定の実施形態では、本発明は、単独で、または技術的に可能な任意の組合せに従って考察しなければならない以下の特徴のうちの1つまたは複数をさらに含むことができる。
【0013】
特定の実施形態では、カムは、トランスミッション・ヨークのうちの1つだけに、コラム・ホイールの2つの連続する角位置の間で、その休止位置からそのアクティブ位置まで移動させ、また、複数のトランスミッション・ヨークのうちの別のトランスミッション・ヨークに、そのアクティブ位置からその休止位置まで移動させるように構成され、したがって他のトランスミッション・ヨークはそれらの休止位置に保持される。
【0014】
特定の実施形態では、カムは、コラム・ホイールが定義済み角位置を占有すると、すべてのトランスミッション・ヨークがそれらの休止位置を占有するように構成される。
【0015】
特定の実施形態では、カムは同じ輪郭を有している。
【0016】
特定の実施形態では、本発明によるデバイスは、コラム・ホイールと共に回転するためのコラム・ホイールと一体のディスプレイ、またはコラム・ホイールに運動学的に接続されたディスプレイを備え、前記ディスプレイは、前記コラム・ホイールの角位置を表す位置を取るように構成される。
【0017】
特定の実施形態では、各カムは、一方では、中心が前記カムの回転軸と一致する円の少なくとも1つの扇形を含み、また、他方では、円の前記扇形を越えて半径方向に展開する少なくとも1つの歯を含む輪郭を有している。
【0018】
特定の実施形態では、各トランスミッション・ヨークは、前記ヨークがアクティブ位置にあるとき、時計ムーブメントの構成要素と協同するように適合されたキャッチを含み、それにより前記ヨークに固有の所与の機能を実施する。
【0019】
特定の実施形態では、本発明によるデバイスは、セレクタ部材がコラム・ホイールにもたれ掛かる休止位置にセレクタ部材をバイアスするばね、制御部材をその休止位置にバイアスするばね、およびそれぞれトランスミッション・ヨークがコラム・ホイールに寄り掛かるようにトランスミッション・ヨークを保持するようになされた複数のばねを含む。
【0020】
特定の実施形態では、制御部材は、制御プッシュ片が寄り掛かる制御レバーを含む。
【0021】
特定の実施形態では、セレクタ部材はセレクタ・レバーを含み、このセレクタ・レバーに対して選択プッシュ片が配置される。
【0022】
本発明の他の特徴および利点は、非制限の例として与えられる以下の詳細な説明を添付の図面を参照して読めば明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の好ましい例示的実施形態による時計ムーブメントの機能を選択および制御するためのデバイスの斜視図である。
図2図1のデバイスの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図は、分かり易くするために必ずしもスケール通りには描かれていないことに留意されたい。
【0025】
本発明による、時計ムーブメントの機能を選択および制御するためのデバイス10は、機能セレクタ部材20および選択された機能を制御するための部材30を備えている。本発明の範囲内では、参照される機能は、例えば、日、日付、月および/または年の設定、カウントダウン・タイマの開始、停止およびリセット、アラームの秒、時間および/または分の設定、あるいは現在の時刻の設定、等々である。
【0026】
選択および制御デバイス10には、時計ムーブメントを備えた腕時計(図には示されていない)のケースの中に配置されることが意図されており、セレクタ部材20および制御部材30は、ユーザによるアクセスが可能であり、また、ユーザによって作用が及ぼされるよう、ケースの外側に開くように配置されている。
【0027】
以下で詳細に説明されるように、セレクタ部材20および制御部材30は、それらが運動学的に互いに接続されていない意味で互いに独立している。
【0028】
選択および制御デバイス10はコラム・ホイール40を含み、ユーザによってセレクタ部材20に作用が及ぼされると、セレクタ部材20は、前記コラム・ホイール40を単一の回転方向に、定義済み角度だけ回転させるようにこのコラム・ホイール40と協同する。
【0029】
詳細には、図1および図2に示されているように、本発明の好ましい例示的実施形態では、セレクタ部材20は、第1の自由端で時計ムーブメントの構造に対して回転することができるようになされたセレクタ・レバー21を含む。セレクタ・レバー21は、第2の自由端にフック22およびビーク23を備えており、それらの間に刻み目が形成され、その中にコラム・ホイール40が配置されている。言い換えると、コラム・ホイール40は、本発明の好ましい例示的実施形態では、フック22とビーク23との間にはさまれている。
【0030】
セレクタ部材20は、ばねの作用を受けて、フック22がコラム・ホイール40にもたれ掛かる休止位置に保持されるようにバイアスされることが好ましい。
【0031】
フック22およびビーク23は、セレクタ・レバー21がユーザによって作用を及ぼされる毎にコラム・ホイール40のラチェット41と交互に協同するように適合されることが有利である。より特定的には、ユーザがセレクタ・レバー21に圧力を加えると、ビーク23がラチェット41の歯と接触し、コラム・ホイール40を力のモーメントにさらして、コラム・ホイール40を特定の角度だけ回転させる。ユーザがセレクタ・レバー21に作用を及ぼすのを停止すると、ばねによって前記セレクタ・レバー21がその休止位置へ移動し、また、フック22がラチェット41の2つの歯の間に係合する。したがってコラム・ホイールは、フック22とラチェット41との間の協同によって安定位置に保持される。
【0032】
コラム・ホイール40は、互いに重畳した複数の同軸カム42を備えている。これらのカム42は、一体となって回転するために互いに一体化されており、また、ラチェット41とも一体である。図1および図2に示されているように、複数のカム42の各々は、各カム42に固有のトランスミッション・ヨーク50を受け取っており、トランスミッション・ヨーク50は、コラム・ホイール40が回転すると、トランスミッション・ヨーク50が前記カム42によって、以下、「休止位置」および「アクティブ位置」と呼ばれる2つの極端位置の間を交互回転で駆動されるように各カムに寄り掛かる。言い換えると、これらのカム42は、コラム・ホイール40が回転すると、それらのカム42によってトランスミッション・ヨーク50がそれらのアクティブ位置とそれらの休止位置との間を交互に移動するように構成されている。
【0033】
これらのカム42は、コラム・ホイール40が回転すると、一度に1つのトランスミッション・ヨーク50のみがアクティブ位置へ移動し、前記トランスミッション・ヨーク50は、次々に連続的にそれらのアクティブ位置へ駆動されるようになされていることが好ましい。言い換えると、複数のトランスミッション・ヨーク50のうちの1つがそのアクティブ位置にあると、他のすべてのカム42は、それらの休止位置にある。
【0034】
図1および図2に示されているように、これらのカム42はすべて同じカム輪郭を有していることが好ましく、また、これらのカム42は互いに角度的にオフセットされていることが好ましい。詳細には、各カム42は、一方では、中心が前記カム42の回転軸と一致する円43の少なくとも1つの扇形を含み、また、他方では、円43の前記扇形を越えて半径方向に展開する少なくとも1つの歯44を含む。図に示されている例では、各カム42は、歯44によって互いに分離された、円43の3つの扇形を含む。
【0035】
図から分かるように、デバイスをよりコンパクトにするために、トランスミッション・ヨーク50を互いに重畳させることができ、また、同じ回転軸の周りを回転で移動させることができる。各トランスミッション・ヨーク50は、第1の自由端であって、この第1の自由端を介して各トランスミッション・ヨーク50がコラム・ホイール40と協同することが意図されている、第1の自由端と、第2の自由端であって、この第2の自由端を介して各トランスミッション・ヨーク50が制御部材30と協同するように適合される、第2の自由端との間を展開している。
【0036】
各トランスミッション・ヨーク50の第1の自由端は、ばねの効果の下で、その第1の自由端が複数のカム42のうちの1つに寄り掛かるように保持されることが意図されたフィーラ-スピンドル51を含む。トランスミッション・ヨーク50のフィーラ-スピンドル51がカム42の円43の複数の扇形のうちの、フィーラ-スピンドル51が結合される1つに寄り掛かると、トランスミッション・ヨーク50は休止位置にあり、また、フィーラ-スピンドル51がカム42の歯44のうちの、フィーラ-スピンドル51が結合される1つにもたれ掛かると、トランスミッション・ヨーク50はアクティブ位置にある。
【0037】
複数のトランスミッション・ヨーク50のうちの1つがアクティブ位置にあると、そのトランスミッション・ヨーク50は、ユーザによって休止位置から制御部材30に作用が及ぼされると、その制御部材30がアクティブ位置にあるトランスミッション・ヨーク50を、そのトランスミッション・ヨーク50に固有の機能を制御するための位置に駆動するよう、その制御部材30の経路中に配置されることが有利である。トランスミッション・ヨーク50が制御位置に駆動されると、トランスミッション・ヨーク50は、トランスミッション・ヨーク50のフィーラ-スピンドル51がフィーラ-スピンドル51と結合されているカム42ともはや接触しないよう、コラム・ホイール40から離れる方向に移動される。
【0038】
言い換えると、また、図2に示されているように、トランスミッション・ヨーク50がそれらの休止位置にある場合、制御部材30はそれらを駆動することができない。
【0039】
詳細には、図1および図2に示されているように、複数のトランスミッション・ヨーク50のうちの1つがアクティブ位置にある場合、そのトランスミッション・ヨーク50を制御位置へ移動させることができる制御部材30によって、そのトランスミッション・ヨーク50をその第2の自由端で力のモーメントにさらすことができる。
【0040】
カム42は、コラム・ホイール40が定義済み角位置を占有すると、すべてのトランスミッション・ヨーク50がそれらの休止位置を占有するように構成されることが好ましい。したがってユーザは、セレクタ部材20に作用を及ぼすことによって選択および制御デバイス10の中立状態を選択することができ、その状態では、制御部材30により時計ムーブメントの機能を操作することができない。
【0041】
制御部材30に作用が及ぼされた場合に、前記トランスミッション・ヨーク50に固有の所与の機能を実施するように適合された時計ムーブメント(図示せず)の構成要素と相互作用することができるようにするために、各トランスミッション・ヨーク50はキャッチ52を含む。
【0042】
本発明の好ましい例示的実施形態では、各トランスミッション・ヨーク50のキャッチ52は第2の自由端に配置され、前記トランスミッション・ヨーク50の側壁から展開している。図1および図2に示されているように、キャッチ52は、トランスミッション・ヨークの各々が異なる機能を制御することができるよう、それらが時計ムーブメントの異なる構成要素に作用を及ぼすことができ、または異なる方法で作用することができるよう、それぞれ互いに異なる場所でトランスミッション・ヨーク50の上に配置されていることが有利である。より特定的には、キャッチは、トランスミッション・ヨーク50の回転軸とトランスミッション・ヨーク50の第2の自由端との間を展開する方向に互いにオフセットされている。
【0043】
当業者は、各キャッチ52と、各キャッチ52が相互作用することを意図された所与の機能を実施するように適合された時計ムーブメントの構成要素との間のリンクすなわち運動チェーンを設計することができることに留意されたい。さらに、選択および制御デバイス10の要素以外の時計ムーブメントの構成要素は、それらが本発明のこのような部品ではない限りは図には示されていないが、そのために本発明の説明の正しい理解が妨げられることはない。
【0044】
制御部材30は、ばねの作用を受けてその休止位置にバイアスされることが好ましい。したがってユーザによって作用が及ぼされていない場合、制御部材30はバイアスされてその休止位置を占有し、したがってトランスミッション・ヨーク50はそれらのアクティブ位置に移動することができる。
【0045】
図1および図2に示されている例示的実施形態では、制御部材30は、制御プッシュ片32が寄り掛かる制御レバー31を含み、制御レバー31は、選択された機能を制御するためにユーザによって作用が及ぼされることが意図されている。さらに、セレクタ・レバー21は、セレクタ部材20に作用を及ぼすためにユーザがこの加圧領域210を押すことが意図された加圧領域210を含む。
【0046】
あるいは、セレクタ部材20は、セレクタ・レバー21の加圧領域210に対して配置された選択プッシュ片(図には示されていない)を含むことも可能であり、セレクタ部材20に作用を及ぼすためにユーザがこの選択プッシュ片を押すことが意図される。
【0047】
本発明によるデバイスは、有利には、選択された機能、すなわち制御部材30に作用が及ぼされた場合に、トランスミッション・ヨーク50が操作することができる機能をユーザに示し、あるいは任意選択で前記デバイスの中立状態を示す、ディスプレイ(図には示されていない)を含むことができる。
【0048】
詳細には、ディスプレイは、コラム・ホイール40と共に回転するためにコラム・ホイール40と一体であるか、またはコラム・ホイール40に運動学的に接続され、また、前記コラム・ホイール40の角位置を表す位置を取るように構成される。
【0049】
選択および制御デバイス10が動作する様子を要約すると、ユーザがセレクタ部材20、詳細にはセレクタ部材20の加圧領域210を押す毎に、コラム・ホイール40が定義済み角度だけ回転し、また、トランスミッション・ヨーク50がそのアクティブ位置へピボットする。したがってユーザは、所望の機能を選択するために、所望の機能と結合したトランスミッション・ヨーク50がアクティブ位置にピボットするまでトランスミッション・ヨーク50を次々にピボットさせるべく、必要な回数だけセレクタ部材20を押さなければならない。
【0050】
所望の機能が選択されると、その機能は、アクティブ位置にあるトランスミッション・ヨーク50をその制御位置へ制御レバー31が押し、次に、所与の機能を実施するように適合された時計ムーブメントの構成要素と相互作用するまで、ユーザが制御部材30、詳細には、本発明の好ましい例示的実施形態では制御プッシュ片32を押すことによって操作することができる。
【0051】
本発明のこの説明を読めば理解されるように、時計ムーブメントの機能を選択および制御するためのデバイス10は、選択し、制御すべき機能の数だけトランスミッション・ヨーク50およびカム42を含む。
【0052】
一般的に言えば、上で考察した実施態様および実施形態は、非制限の例によって説明されていること、また、したがって他の代替実施態様および実施形態が想定され得ることに留意されたい。
【符号の説明】
【0053】
10 デバイス
20 機能セレクタ部材
21 セレクタ・レバー
22 フック
23 ビーク
30 選択された機能を制御するための部材、制御部材
31 制御レバー
32 制御プッシュ片
40 コラム・ホイール
41 ラチェット
42 同軸カム、カム
43 (カムの)円
44 (カムの)歯
50 トランスミッション・ヨーク
51 フィーラ-スピンドル
52 キャッチ
210 加圧領域
図1
図2