(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】画像形成装置及び画像形成装置のプロセスユニット交換方法
(51)【国際特許分類】
G03G 15/16 20060101AFI20240404BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240404BHJP
G03G 21/12 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
G03G15/16
G03G15/00 550
G03G21/12
(21)【出願番号】P 2023065790
(22)【出願日】2023-04-13
(62)【分割の表示】P 2018237768の分割
【原出願日】2018-12-19
【審査請求日】2023-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神頭 典夫
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-091613(JP,A)
【文献】特開2003-043764(JP,A)
【文献】特開2005-189375(JP,A)
【文献】特開2018-004980(JP,A)
【文献】特開2012-150430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/16
G03G 15/00
G03G 21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体と、該感光体上にトナー像を形成するための帯電器および現像器とをそれぞれ含む複数のプロセスユニットと、
前記複数のプロセスユニットと対面するよう配置された無端状に巻回された転写ベルトを含む転写ユニットと、
前記転写ベルトの、少なくとも1つの前記感光体に対するポジションを切り替えるように、前記転写ベルトに当接離間可能なポジション切替部材と、
前記ポジション切替部材を前記転写ベルトから進退させるための操作部材と、
前記操作部材の操作により前記ポジション切替部材を前記転写ベルトから後退させる動作に連動して前記転写ベルトをサポートするサポート部材と、
前記感光体の長手方向において前記プロセスユニットの端部に対面するように配置され、かつ前記操作部材によりロックされる廃トナーボックスと、を有し、
前記操作部材の移動動作により、前記廃トナーボックスのロックが解除されるとともに、前記転写ベルトと前記感光体との距離が離間し、
前記操作部材の一部が前記廃トナーボックスに係合して前記廃トナーボックスがロックされ、前記操作部材の移動動作により前記廃トナーボックスとの係合が外れて前記廃トナーボックスのロックが解除され前記廃トナーボックスが引き出し可能になり、
前記サポート部材は、前記転写ベルトの移動方向に沿って最下流にある第1の前記プロセスユニットに含まれるモノクロ用の第1の前記感光体に対面する前記転写ベルトの端部領域近傍に配置され、
前記ポジション切替部材および前記サポート部材は、前記転写ベルトの移動方向に沿って前記第1のプロセスユニットの上流側に隣り合う第2の前記プロセスユニットに含まれる第2の前記感光体と、前記第1のプロセスユニットに含まれる前記モノクロ用の前記第1の感光体との間にあり、
前記ポジション切替部材は、前記転写ベルトの内側にあり、
前記転写ユニットは、前記転写ベルトの内側にあり前記転写ベルトを介して前記第1の感光体と対面するように配置され前記転写ベルトを前記第1の感光体に押圧可能な一次転写ローラを有し、
前記転写ベルトが前記第2の感光体から離れるとき、前記ポジション切替部材が前記転写ベルトを外側に押圧して、前記転写ベルトが前記第1の感光体に押圧され、前記ポジション切替部材が
前記一次転写ローラと連動して前記第1の感光体から離間する方向に移動して、前記転写ベルトが前記第1の感光体から離間する、
画像形成装置。
【請求項2】
画像形成装置は、
感光体と、該感光体上にトナー像を形成するための帯電器および現像器とをそれぞれ含む複数のプロセスユニットと、
前記複数のプロセスユニットと対面するよう配置された無端状に巻回された転写ベルトを含む転写ユニットと、
前記転写ベルトの、少なくとも1つの前記感光体に対する部分的ポジションを切り替えるように、前記転写ベルトに当接離間可能なポジション切替部材と、
前記感光体の長手方向に沿って、前記転写ベルトの端部近傍に設けられ、前記ポジション切替部材と連動して移動可能なサポート部材と、
前記ポジション切替部材を動かすための操作部材と、
前記感光体の長手方向において前記プロセスユニットの端部に対面するように配置され、かつ前記操作部材によりロックされる廃トナーボックスと、を有し、
前記サポート部材は、前記転写ベルトの移動方向に沿って最下流にある第1の前記プロセスユニットに含まれるモノクロ用の第1の前記感光体に対面する前記転写ベルトの端部領域近傍に配置され、
前記ポジション切替部材および前記サポート部材は、前記転写ベルトの移動方向に沿って前記第1のプロセスユニットの上流側に隣り合う第2の前記プロセスユニットに含まれる第2の前記感光体と、前記第1のプロセスユニットに含まれる前記モノクロ用の前記第1の感光体との間にあり、
前記ポジション切替部材は、前記転写ベルトの内側にあり、
前記転写ユニットは、前記転写ベルトの内側にあり前記転写ベルトを介して前記第1の感光体と対面するように配置され前記転写ベルトを前記第1の感光体に押圧可能な一次転写ローラを有し、
前記転写ベルトが前記第2の感光体から離れるとき、前記ポジション切替部材が前記転写ベルトを外側に押圧して、前記転写ベルトが前記第1の感光体に押圧され、前記ポジション切替部材が
前記一次転写ローラと連動して前記第1の感光体から離間する方向に移動して、前記転写ベルトが前記第1の感光体から離間し、
前記操作部材の移動動作に連動させて、前記ポジション切替部材を前記転写ベルトから離間させたときに、前記サポート部材に前記転写ベルトをサポートさせた状態で、前記複数のプロセスユニットが前記画像形成装置に対し交換可能となり、
前記操作部材の移動動作により、前記廃トナーボックスのロックが解除されるとともに、前記転写ベルトと前記感光体との距離が離間し、
前記操作部材の一部が前記廃トナーボックスに係合して前記廃トナーボックスがロックされた状態から、前記操作部材の移動動作により前記廃トナーボックスとの係合が外れて前記廃トナーボックスのロックが解除され前記廃トナーボックスが引き出し可能になる、画像形成装置のプロセスユニット交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像形成装置及び画像形成装置のプロセスユニット交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置(例えばMFPという)は転写ベルトや、感光体ドラムを含むプロセスユニットを備えている。感光体ドラムを含むプロセスユニットは消耗品であり、ユーザ自身が適宜交換するものである。プロセスユニット交換時には、転写ベルトに傷が生じることを防止するために、転写ベルトを感光体ドラムから離間する必要がある。転写ベルトを感光体ドラムに対して非接触状態にするために、転写ベルトの位置を転写ベルトの内側に配列したポジション切り換えローラで移動させている。
【0003】
しかしながら、経年使用により転写ベルトが劣化して伸張した場合、転写ベルトに十分な張力を架けることができない。そのため、転写ベルトを感光体ドラムから充分に離間させることができなくなる。プロセスユニットを交換する際、プロセスユニットの一部が転写ベルトを擦過したり引掛けたりして転写ベルトを破損するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、感光体の着脱時に転写ベルトの損傷を防止できる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の画像形成装置は、転写ベルトと、切り換え部材と、サポート部材と、を持つ。転写ベルトは、無端状に巻回されている。切り換え部材は、転写ベルトを感光体に当接する転写位置と感光体から離れた離間位置とに切り換えることができる。サポート部材は、切り換え部材と連動して転写ベルトを感光体から離間させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】実施形態の転写ベルトユニットのカラー印刷時ポジションを示す構成図。
【
図3】実施形態の転写ベルトユニットのモノクロ印刷時ポジションを示す構成図。
【
図4】実施形態の転写ベルトユニットのメンテナンス時ポジションを示す構成図。
【
図5】実施形態の転写ベルトユニットの分解斜視図。
【
図6】転写ローラの制御機構のカラー及びモノクロ印刷時ポジションを示すもので、(a)は要部正面図、(b)は要部斜視図。
【
図7】転写ローラの制御機構のメンテナンス時ポジションを示すもので、(a)は要部正面図、(b)は要部斜視図。
【
図8】転写ベルトユニットの転写ベルトと保持アームを示す要部斜視図。
【
図9】
図8のサポート部材と第一連動機構の要部拡大図。
【
図10】実施形態の転写ベルト及びサポート部材のカラー印刷時ポジションを示す要部拡大図。
【
図11】実施形態の転写ベルト及びサポート部材のモノクロ印刷時ポジションを示す要部拡大図。
【
図12】実施形態の転写ベルト及びサポート部材のメンテナンス時ポジションを示す要部拡大図。
【
図13】転写ベルトユニットの支軸及び第二テンション切り換えローラの要部斜視図。
【
図14】操作レバーと廃トナーボックスを示す要部斜視図であり、(a)は廃トナーボックスの抜け止め状態の図、(b)は抜け止め解除状態の図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の画像形成装置を、図面を参照して説明する。
図1から
図14を参照して、一つの実施形態の画像形成装置10における転写ベルトユニット6を説明する。
図1は画像形成装置10の概略構成例を示す模式図である。
図1では、見易さのため、各部材の寸法および形状は誇張あるいは簡略化されている(他の図面も同様)。
図1に示すように、実施形態の画像形成装置10は、例えばMFP(Multi-Function Peripherals)、プリンタ、複写機等である。以下では、画像形成装置10がMFPである場合の例を説明する。
【0009】
画像形成装置10の装置本体11は、高さ方向の中央部にプリンタ部17を有する。装置本体11は、下部に給紙カセット18と、手差しトレイ26と、を持つ。給紙カセット18は、装置本体11の内部に配置されている。手差しトレイ26は開閉可能である。手差しトレイ26は、装置本体11の一方の側部に設けた、後述する自動両面装置40に設置されている。自動両面装置40も開閉可能である。
装置本体11において各給紙カセット18の近傍には、搬送機構29(搬送部)が配置されている。搬送機構29は、給紙カセット18から給紙されたシートPを本体搬送路に給送する。搬送機構29は、例えばFRR給紙方式の構成が用いられてもよい。
【0010】
プリンタ部17は、スキャナ部によって読み取られた画像データ、またはパーソナルコンピュータなどで作成された画像データに基づいてシートPに画像を形成する。プリンタ部17は、例えばタンデム方式によるカラープリンタである。プリンタ部17は、画像形成装置本体1に対し着脱可能な、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のプロセスユニット20Y、20M、20C、20Kを持つ。また画像形成装置本体1は、露光器19と、転写ベルトユニット6と、を持つ。
プロセスユニット20Y、20M、20C、20Kは、転写ベルト21の下側に配置されている。プロセスユニット20Y、20M、20C、20Kは、転写ベルト21の下側の移動方向(図中左側から右側に向かう方向)における上流側から下流側に沿って並列に配置されている。
【0011】
露光器19は、プロセスユニット20Y、20M、20C、20Kにそれぞれ露光光を照射する。露光器19は、露光光としてレーザ走査ビームを発生するように構成されてもよい。露光器19は、露光光を発生するLEDなどの固体走査素子を含んで構成されてもよい。各プロセスユニット20Y、20M、20C、20Kの構成は、トナーの色が異なる以外は、互いに共通である。
各プロセスユニット20Y、20M、20C、20Kは、共通して、周知の電子写真方式の装置構成を持つ。例えば、各プロセスユニット20Y、20M、20C、20Kは、
図2~
図4に示す感光体ドラム(感光体)7Y、7M、7C、7Kを持つ。各感光体ドラム7Y、7M、7C、7Kの周囲には、感光体ドラム7Y、7M、7C、7Kの回転方向に沿って帯電器22および現像器23が配置されプロセスユニットを構成する。プロセスユニットは、さらにクリーニング装置を含んでいても良い。一次転写ローラ8Y,8M,8C,8Kは転写ベルト21を介して感光体ドラム7Y、7M、7C、7Kと対面するように配置されている。
【0012】
帯電器22は、感光体ドラム7Y、7M、7C、7Kの表面を一様に帯電する。露光器19は、各色の画像データに基づいて変調された露光光を生成する。露光光は、感光体ドラム7Y、7M、7C、7Kの表面を露光する。露光器19は、感光体ドラム7Y、7M、7C、7Kに静電潜像を形成する。現像器23は、現像バイアスが印加される現像ローラによってトナーを感光体ドラム7Y、7M、7C、7Kに供給する。現像器23は、感光体ドラム7Y、7M、7C、7K上の静電潜像を現像する。クリーナは、感光体ドラム7Y、7M、7C、7Kに当接するブレードを持つ。ブレードは、感光体ドラムの表面の残留トナーを除去する。
【0013】
図1に示すように、転写ベルトユニット6の上部には、トナーカートリッジ28が配置されている。トナーカートリッジ28は、プロセスユニット20Y、20M、20C、20Kの各現像器23にそれぞれトナーを供給する。トナーカートリッジ28は、トナーカートリッジ28Y、28M、28C、28Kを持つ。トナーカートリッジ28Y、28M、28C、28Kは、それぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーを収容する。
【0014】
転写ベルト21は無端状に形成され、循環して周回運動する。転写ベルト21は、駆動ローラ31および複数の従動ローラ32に張架される。転写ベルト21は、プロセスユニット20Y、20M、20C、20Kの各感光体ドラム7Y、7M、7C、7Kに上側から接触している。転写ベルト21において各感光体ドラム7Y、7M、7C、7Kに対向する位置には、転写ベルト21の内側に各プロセスユニット20Y、20M、20C、20Kの一次転写ローラ8Y、8M、8C、8Kが配置されている。
各一次転写ローラ8Y、8M、8C、8Kは一次転写電圧が印加されると、感光体ドラム7Y、7M、7C、7K上のトナー像を転写ベルト21に一次転写する。感光体ドラム7Y、7M、7C、7Kは、現像位置から一次転写位置までトナー像を担持する像担持体を構成する。
【0015】
駆動ローラ31には、転写ベルト21を挟んで二次転写ローラ33が対向している。転写ベルト21と二次転写ローラ33との当接部は、二次転写位置を構成する。駆動ローラ31は転写ベルト21を回転駆動する。回転駆動された転写ベルト21は、一次転写位置から二次転写位置までトナー像を担持する像担持体を構成する。二次転写ローラ33には、二次転写位置をシートPが通過する際に、二次転写電圧が印加される。二次転写ローラ33に二次転写電圧が印加されると、二次転写ローラ33は、転写ベルト21上のトナー像をシートPに二次転写する。
図1に示すように、テンションローラ43の付近には、ベルトクリーナ34が配置される。ベルトクリーナ34は、転写ベルト21上の残留転写トナーを転写ベルト21から除去する。
【0016】
各給紙カセット18から二次転写ローラ33に至る本体搬送路上には、搬送ローラ35B、35Aと、レジストローラ41と、が設けられている。レジストローラ41は、搬送ローラによって搬送されたシートPの先端の位置を整える。レジストローラ41はシートPを搬送し、シートPにおけるトナー像の転写領域の先端を二次転写位置に到達させる。トナー像の転写領域とは、シートPにおける端部白抜けの形成領域を除いた領域である。二次転写ローラ33の下流には、定着装置36が配置されている。定着装置36の下流には、搬送ローラ37が配置されている。搬送ローラ37はシートPを排出する。
定着装置36は、シートP上のトナー像を加熱および加圧することによって、トナー像を定着する。定着装置36の下流には、反転搬送路39が配置されている。反転搬送路39は、シートPを反転させてレジストローラ41の上流に導く。反転搬送路39は、両面印刷を行う際に使用される。反転搬送路39は自動両面装置40に設置されている。
【0017】
次に転写ベルトユニット6について
図2~
図14により説明する。
図2~
図5において、転写ベルトユニット6の転写ベルト21内には、上部の一端側に駆動ローラ31が設置され、他端側にテンションローラ43が設置されている。テンションローラ43はその外側に設けられたローラ支持部44に接続されている。ローラ支持部44は、転写ベルトユニット6の側部に設けた圧縮状態の張力スプリング45に接続されている。張力スプリング45の弾性力によってローラ支持部44が外側に押される。ローラ支持部44に支持されたテンションローラ43は転写ベルト21を外側に押圧している。張力スプリング45の弾性力によって転写ベルト21に張力を付与している。転写ベルト21の下部側は左右の端部にそれぞれ設けた第一ポジション切り換えローラ42と従動ローラ32によって張架されている。
【0018】
転写ベルト21の内側に、感光体への転写ベルト21の押圧と解除を制御するカラー用感光体の制御機構46Aと、モノクロ用感光体の制御機構46Bとを有する。
カラー用感光体の制御機構46Aについて説明する。転写ベルトユニット6の幅方向両側部(一側部だけでもよい)には、転写ベルト21の長手方向に沿ってスライダー47が設置されている。スライダー47の長手方向中間部には左右両側に押圧面48a、48bを形成した凹陥部48が設けられている。この凹陥部48内には基部49aに回転可能に支持された偏心カム49が設置されている。
例えば、偏心カム49のカム部50は180度回転可能である。偏心カム49のカム部50が図中左側に位置すると押圧面48aを押してスライダー47を左側に移動させる(
図2参照)。カム部50が図中右側に位置すると押圧面48bを押してスライダー47を右側に移動させる(
図3、
図4参照)。
【0019】
転写ベルト21の下側には、所定間隔を開けてプロセスユニット20Y、20M、20C、20Kの感光体ドラム7Y、7M、7C、7Kが設置されている。感光体ドラム7Y、7M、7Cはカラー用感光体であり、感光体ドラム7Kはモノクロ用感光体である。転写ベルト21の内側には、転写ベルト21をカラー用感光体の感光体ドラム7Y、7M、7Cに押圧可能な一次転写ローラ8Y、8M,8Cが所定間隔で設置されている。一次転写ローラ8Y、8M、8Cは略L字型のアーム部52の一端にそれぞれ固定されている。各アーム部52の他端部に連動部52aが設けられ、屈曲部に軸部53が設けられている。各アーム部52は軸部53を中心に所定角度回動可能である。
【0020】
スライダー47の長手方向には、所定間隔を開けて3カ所の切欠部51a、51b、51cが形成されている。各アーム部52の連動部52aは切欠部51a、51b、51cに連動可能に挿入されている。
図2に示すように、スライダー47も図示しないばね部材によって図中左側に付勢されている。この状態で、各アーム部52は、連動部52aが切欠部51a、51b、51cに非接触に保持される。各アーム部52は図示しないばね部材でこの状態に保持されていてもよい。
【0021】
偏心カム49で、スライダー47を図中左側に移動させると、各アーム部52は連動部52aが切欠部51a、51b、51cと非接触の位置に保持される(
図2参照)。スライダー47を図中右側に移動させると、各アーム部52は連動部52aが切欠部51a、51b、51cに押されて回動する。そして、一次転写ローラ8Y、8M,8Cが転写ベルト21を挟んで感光体ドラム7Y、7M、7Cから離間する(
図3、
図4参照)。
また、
図2~
図4において、スライダー47のテンションローラ43側の端部には凹部47aが形成されている。凹部47a内には、軸部55で回動可能に支持された略L字型の作動アーム54の一端部54aが係合されている。作動アーム54の作動部54bは第一ポジション切り換えローラ42を押圧している。第一ポジション切り換えローラ42は支軸57aを中心に回動可能な回動アーム57の他端に固定されている。第一ポジション切り換えローラ42は作動アーム54の作動部54bに押されて、転写ベルト21をカラー用感光体の感光体ドラム7Y、7M、7Cに押圧させている。回動アーム57は図示しないばね部材によって、第一ポジション切り換えローラ42をスライダー47側に付勢していてもよい。
【0022】
スライダー47を図中右側に移動させることで、
図3に示すように、作動アーム54が連動して軸部55を中心に時計回りに回転する。作動アーム54の作動部54bは第一ポジション切り換えローラ42から外れる。これにより、第一ポジション切り換えローラ42は転写ベルト21の張力によって反時計回りに回転してスライダー47に近づく。一次転写ローラ8Y、8M,8Cも第一ポジション切り換えローラ42と同時に後退する。そのため、転写ベルト21は感光体ドラム7Y、7M、7Cから離れる方向に変位する。転写ベルト21は、この変位の結果、
図2に示すカラー印刷時ポジションから、
図3に示すモノクロ印刷時ポジションへ移行する。
【0023】
次に、モノクロ用感光体の制御機構46Bについて、
図4、
図6、
図7を中心に説明する。転写ベルトユニット6において、転写ベルト21内でスライダー47と駆動ローラ31の間にモノクロ用感光体の制御機構46Bが設置されている。
モノクロ用感光体の制御機構46Bは、一次転写ローラ8Kが連結アーム60を介して回転軸61に連結されている。回転軸61には作動アーム62が連結されている。連結アーム60と作動アーム62は回転軸61を中心に一体に回転可能とされている。回転軸61に腕部を介して設けたフック61aと作動アーム62に設けたフック62aとの間には、第一コイルばね64が設置されている。第一コイルばね64は引っ張り状態に保持されている。
図6において、第一コイルばね64の付勢力により、回転軸61が反時計回りに付勢されている。連結アーム60に固定した一次転写ローラ8Kは転写ベルト21をモノクロ用の感光体ドラム7Kに押圧している。
【0024】
一次転写ローラ8Kの近傍には第二ポジション切り換えローラ66が設置されている。
図6(a)、(b)で、第二ポジション切り換えローラ66は転写ベルト21を外側に押圧している。第二ポジション切り換えローラ66は作動レバー68を一体に固定している。作動レバー68は、第二ポジション切り換えローラ66を中心に所定範囲で揺動可能である。作動アーム62に形成した長穴62bには、作動レバー68に設けたピン68aが摺動可能に挿入されている。作動レバー68はピン68aと長穴62bの範囲で揺動可能とされている。
【0025】
作動レバー68の他端部には係止溝68bが形成されている。基板に固定された支持部69には係止部69aが形成されている。作動レバー68の係止溝68bと支持部69の係止部69aには、引っ張り状態の第二コイルばね70が係止されている。しかも、第二ポジション切り換えローラ66の上方には支軸72を中心に回転可能なカム73が設けられている。カム73は第二ポジション切り換えローラ66の端部に当接して下方に押圧している。第二ポジション切り換えローラ66は、第二コイルばね70の付勢力に抗してカム73で下方に押圧されている。
【0026】
第二ポジション切り換えローラ66は感光体ドラム7Cと7Kの間で転写ベルト21を外側に押圧している。これにより、転写ベルト21は感光体ドラム7Cと7Kに押圧されている。上述したように、転写ベルト21がカラー用の感光体ドラム7Y、7M、7Cから離れても、転写ベルト21は第二ポジション切り換えローラ66によって感光体ドラム7Kに押圧されている(
図3参照)。転写ベルト21は、このとき、モノクロ印刷時ポジションをとる。
そして、
図6に示す支軸72を反時計回りに回転させると、
図7に示すようにカム73が第二ポジション切り換えローラ66から外れる。作動レバー68は第二コイルばね70の付勢力で支軸72側に引き上げられる。
【0027】
図7(a)、(b)は、第二ポジション切り換えローラ66の持ち上げ機構を開示している。カム73が第二ポジション切り換えローラ66から外れると、第二ポジション切り換えローラ66は作動レバー68と共に、第二コイルばね70の付勢力で上方に持ち上げられる。作動レバー68と第二ポジション切り換えローラ66は長穴62bとピン68aの連携の範囲で上下に揺動可能である。
カム73は約90度の回転によって作動アーム62の端部を押す。すると、作動アーム62は回転軸61を中心に時計回りに回転する。作動アーム62の回転に連動して、連結アーム60も時計回りに回転するため、一次転写ローラ8Kは感光体ドラム7Kから離間する。第二ポジション切り換えローラ66と一次転写ローラ8Kは、連動して感光体ドラム7Kから離間する方向に移動する。これにより、転写ベルト21は上方に変位して感光体ドラム7Kから離間する(
図4参照)。転写ベルト21は、このとき、メンテナンス時ポジションをとる。メンテナンス時ポジションとは、転写ベルト21と感光体ドラム7Kとが離間し、プロセスユニット20Y、20M、20C、20Kの交換が可能となるポジションである。
【0028】
図8~
図12は、転写ベルト21をモノクロ用の感光体ドラム7Kから離間させた状態で転写ベルト21をサポートするサポート部材としての保持アーム75を操作する第一連動機構74を示すものである。第一連動機構74は、感光体ドラムの長手方向にそって、転写ベルトユニット6の一方の端部と対面する装置本体11の側壁76に設置されている。側壁76には軸部77aを中心に回転可能な操作レバー77が設けられている。操作レバー77は例えば略くの字状に形成されているが、その形状は任意に形成できる。
軸部77aには歯車として例えば第一扇形歯車78が固定されている。第一扇形歯車78に噛合する円板状の歯車79には、円盤80aに同軸に固定された第二扇形歯車80が噛合している。第二扇形歯車80にはピン80bが固定されている。保持アーム75は、側壁76に固定された軸75aを中心に揺動可能に支持されている。保持アーム75はその自由端部にピン80bと係合する凹部75bが形成されている。保持アーム75はその長手方向中間部から外側に突出して略くの字状に屈曲した把持部75cを有している。把持部75cは転写ベルト21の幅方向の一端部から下面に延びている。
【0029】
操作レバー77を反時計回りに所定角度回転させることで、第一扇形歯車78、歯車79を介して第二扇形歯車80及び円盤80aを反時計回りに回転させる。ピン80bによって、保持アーム75が軸75aを中心に反時計回りに所定角度回転する。すると、保持アーム75の把持部75cで転写ベルト21を上方に持ち上げることができる。保持アーム75は、把持部75cで転写ベルト21の幅方向一端部を外側から抱き込んで持ち上げる。
カラー印刷時ポジション(
図10参照)および、モノクロ印刷時ポジション(
図11参照)では、操作レバー77が保持アーム75の把持部75cを転写ベルト21から離間している。
図10に示す転写ベルト21の位置を初期位置とする(
図10参照)。操作レバー77が所定角度回転して把持部75cで転写ベルト21を抱き込んだ作動位置がメンテナンスポジションとなる(
図12参照)。
【0030】
メンテナンスポジションでは、プロセスユニット20Kの交換時に、転写ベルト21を感光体ドラム7Kから離間させて損傷を防ぐことができる。転写ベルト21の移動方向に見て、保持アーム75は感光体ドラム7Kの上流側に設けた。本実施形態では、第一連動機構74は転写ベルト21の幅方向の一端部にのみ設けたが、両端部に設けてもよい。
操作レバー77と第一連動機構74と保持アーム75は画像形成装置10の前面側、即ち不図示の電子写真プロセスユニット(EPU)の前面側に設置することが好ましいが、操作レバー77と第一連動機構74と保持アーム75の設置位置は適宜選択できる。
【0031】
また、
図5は転写ベルトユニット6の側面6aから操作レバー77と第一連動機構74と保持アーム75を設けた側壁76を分離して示す図である。第一連動機構74における円盤80aは、側壁76を貫通して回転可能に支持されている。円盤80aの裏面には、略逆J字状または略U字状に突出する嵌合受け部82が形成されている。これに対向する転写ベルトユニット6の側面6aには、
図5及び
図13に示すように、支軸72の一方の端部72aが突出して例えばだるま型の板状に形成されている。端部72aは支軸72の円形部分が円盤80aと同軸に配設されている。しかも、端部72aのだるま型の小径の頭部には例えば嵌合突部83が突出して形成されている。この嵌合突部83は円盤80aの嵌合受け部82に嵌合している。円盤80aの嵌合受け部82と支軸72の端部72aの嵌合突部83はリンク嵌合部を構成する。
【0032】
そのため、操作レバー77を回転させると、第一連動機構74の円盤80aの回転に連動して支軸72が所定角度回転するため、支軸72のカム73が第二ポジション切り換えローラ66から外れる。すると、第二コイルばね70の付勢力で、第二ポジション切り換えローラ66及び一次転写ローラ8Kを感光体ドラム7Kから離間させる。操作レバー77を元の初期位置に復帰させると、第一連動機構74及び第二連動機構85が逆回転するため、保持アーム75と第二ポジション切り換えローラ66が初期位置に復帰する。
第一扇形歯車78、歯車79、円盤80a及び支軸72は、第一連動機構74と連動して第二ポジション切り換えローラ66を感光体ドラム7Kから離間させる第二連動機構85を構成する。
【0033】
図14において、画像形成装置10の装置本体11の例えば前面側に、トナーカートリッジ28の下側に廃トナーボックス87が設置されている。廃トナーボックス87は引き出し可能に装着されている。装置本体11に装着された状態で、廃トナーボックス87の一端の係合端部87aには、第一連動機構74の操作レバー77が係脱可能に装着されている。操作レバー77は第一連動機構74が設置された側壁76よりも軸部77aによって前方に突出した位置で回動可能に支持されている。
【0034】
図14(a)に示すように、操作レバー77は、その一部が初期位置で廃トナーボックス87の係合端部87aに係合している。この状態で廃トナーボックス87は引き出しできないようにロックされ、抜け止めされている。操作レバー77は、
図14(b)に示すように、初期位置から回動させた作動位置で廃トナーボックス87の係合端部87aから外れる。この状態で、廃トナーボックス87は装置本体11から引き出し可能である。そのため、操作レバー77は廃トナーボックス87の抜け止めを兼ねている。
つまり、廃トナーボックス87は、感光体ドラム6の長手方向においてプロセスユニット20の端部に対面配置される。従って、プロセスユニット20の交換時には、廃トナーボックス87を必ず抜き取る必要が生じる。そのため、プロセスユニット20を交換する場合には、必ず保持アーム75で転写ベルト21を持ち上げてから、まず廃トナーボックス87のロックを外すことになる。結果として、転写ベルト21は、感光体ドラム7Kから離間することになる。そのため、転写ベルト21を損傷させることなくプロセスユニット交換が可能となる。
なお、上述した説明では操作レバー77による第一連動機構74の作動と連動して第二連動機構85が作動すると記載したが、両者は略同時に作動する。操作レバー77による第二連動機構85の作動に連動して第一連動機構74が作動するとしてもよい。
【0035】
本実施形態による画像形成装置10及び転写ベルトユニット6は上述した構成を有している。次に転写ベルトユニット6の作動方法を、
図2~
図4及び
図10~
図12を中心に説明する。
図2及び
図10に示すカラー印刷時ポジションでは、スライダー47は左側に位置している。作動アーム54の作動部54bに押されて、第一ポジション切り換えローラ42が下側の転写ベルト21を押圧している。第二ポジション切り換えローラ66も支軸72のカム73によって下側の転写ベルト21を押圧している。転写ベルト21は一次転写ローラ8Y、8M、8C、8Kによって感光体ドラム7Y、7M、7C、7Kに押圧されている。保持アーム75の把持部75cは、転写ベルト21と非接触に保持される。
【0036】
この状態で、各一次転写ローラ8Y、8M、8C、8Kは、一次転写電圧が印加されると、感光体ドラム7Y、7M、7C、7K上のトナー像を転写ベルト21に一次転写する。シートPが、駆動ローラ31及び二次転写ローラ33の間の二次転写位置を通過する際に、二次転写ローラ33に二次転写電圧が印加される。二次転写ローラ33に二次転写電圧が印加されると、二次転写ローラ33は、転写ベルト21上のトナー像をシートPに二次転写する。そして、シートP上のトナー像を定着装置36で定着する。実施形態の画像形成装置10により、フルカラープリントが可能である。
【0037】
次に、カラー印刷時ポジションから、
図3及び
図11に示すモノクロ印刷時ポジションに移行するときには、カラー用感光体の制御機構46Aで偏心カム49を180度回転させる。すると、スライダー47が右側に移動する。スライダー47の移動に連動して作動アーム54が時計回りに回転し、第一ポジション切り換えローラ42から外れる。第一ポジション切り換えローラ42は転写ベルト21の張力で反時計回りに回転する。スライダー47の移動に連動して、3つのアーム部52も軸部53を中心に回転する。これにより、一次転写ローラ8Y、8M、8Cが感光体ドラム7Y、7M、7Cから離間する方向に回転する。転写ベルト21はその張力によってカラー用の感光体ドラム7Y,7M,7Cから離間する。
【0038】
一次転写ローラ8Kは転写ベルト21側に留まる。転写ベルト21はモノクロ用の感光体ドラム7Kにのみ当接するモノクロモードに設定される。第二ポジション切り換えローラ66は転写ベルト21を感光体ドラム7Kに押し付けている(
図6参照)。この場合でも、保持アーム75は、把持部75cが転写ベルト21から離間した状態に保たれる。
そのため、感光体ドラム7Kのみを用いるモノクロプリントが可能である。
【0039】
次に、モノクロ印刷時ポジションから、
図4及び
図12に示すメンテナンス時ポジションに移行する場合には、操作レバー77を初期位置から作動位置まで反時計回りに所定角度回転させる(
図9参照)。すると、第二連動機構85では、軸部77aを介して第一扇形歯車78が同一角度回転し、歯車79を介して第二扇形歯車80及び円盤80aが所定角度回転する。円盤80aの回転に連動して嵌合受け部82から支軸72の嵌合突部83を介して、支軸72を所定角度回転させる。すると、
図7に示すように、支軸72のカム73が第二ポジション切り換えローラ66から外れる。第二コイルばね70の付勢力で、第二ポジション切り換えローラ66を感光体ドラム7Kから離間させる。
これと同時に、第一連動機構74では、第二扇形歯車80の回転でピン80bを介して保持アーム75が軸75aを中心に反時計回りに所定角度回動する。
【0040】
また、
図4及び
図7において、回転する支軸72のカム73に押されて、作動アーム62が回転軸61を中心に時計回りに回転する。すると、連結アーム60も回転軸61を中心に回転するため、一次転写ローラ8Kが感光体ドラム7Kから離間する。第二ポジション切り換えローラ66及び一次転写ローラ8Kが移動すると、転写ベルト21はその張力によって感光体ドラム7Kから離間する。保持アーム75は把持部75cが所定角度持ち上げられるため、転写ベルト21の一端部を持ち上げて感光体ドラム7Kから離間した位置に保持する。
このように、操作レバー77の操作により、第二ポジション切り換えローラ66の感光体ドラム7Kからの後退と、保持アーム75の把持部75cによる転写ベルト21の持ち上げとが連動して行われる。
【0041】
こうして、転写ベルト21が、4つの感光体ドラム7Y、7M、7C、7Kから離間する位置に移動する。転写ベルト21と感光体ドラム7Y、7M、7C、7Kとの間に十分な空間を確保できる。転写ベルト21の幅方向両端が経年変化で伸びた場合でも、保持アーム75によって感光体ドラム7Y、7M、7C、7Kから離間した位置に保持できる。転写ベルト21が自重で感光体ドラム7Y,7M,7C,7K側に垂れ下がることがない。そのため、感光体ドラム7Y,7M,7C,7Kとその部品を転写ベルト21に接触させることなく取り外して、交換できる。
また、
図14において、操作レバー77の初期位置では複写可能状態であり、廃トナーボックス87はその係合端部87aにロックされ、引き出しができない。操作レバー77を作動位置まで回動させることで、操作レバー77は係合端部87aから外れる。この状態で、廃トナーボックス87を装置本体11から引き出すことができ、廃トナーを廃棄できる。
【0042】
上述したように、本実施形態による画像形成装置10及びその転写ベルトユニット6は、操作レバー77の操作によって、第二ポジション切り換えローラ66の感光体ドラム7Kからの離間と、保持アーム75の把持部75cによる転写ベルト21の持ち上げと、を連動して行える。転写ベルト21の両端部が経年変化で伸びたとしても、転写ベルト21を感光体ドラム7Y、7M、7C、7Kから離間させる位置で、十分な空間を確保できる。そのため、感光体ドラム7Y、7M、7C、7Kの交換時に転写ベルト21が損傷することを防止できる。
しかも、転写ベルト21の張力を増大させないので、転写ベルト21の伸びを増長させることもない。特に転写ベルト21は幅方向両端部が経時的に伸び易いため、転写ベルト21の一端部を保持アーム75で抱きかかえて保持する。これによって、転写ベルト21の伸びによる垂れさがりを防止できる。
また、操作レバー77の操作によって、転写ベルト21を保持アーム75の把持部75cで抱きかかえた作動位置でのみ、廃トナーボックス87を引き出し可能とした。そのため、この点でも転写ベルト21を損傷することを防止できる。
【0043】
以下に本実施形態の変形例について、上述した実施形態と同一または同様な部分、部材には同一の符号を用いて説明する。
上述した実施形態では、転写ベルト21の幅方向一端部に保持アーム75を設けて、転写ベルト21の端部のみを把持した。変形例として、転写ベルト21の幅方向両端部に保持アーム75をそれぞれ設けてもよい。また、保持アーム75を転写ベルト21の幅方向一端部または両端部に設けて、把持部75cを幅方向の全長に延ばして抱きかかえるようにしてもよい。
また、
図15に示すように、保持アーム75の把持部75cは、転写ベルト21に当接する面75dを凸曲面に形成してもよい。これによって、保持アーム75が転写ベルト21を傷つけるおそれをなくすことができる。別の例として、保持アーム75の把持部75cを丸棒状に形成してもよい。
【0044】
上述の実施形態では、転写ベルト21の移動方向において、保持アーム75を感光体ドラム7Kの上流側に設けた。これに代えて、保持アーム75を感光体ドラム7Kの下流側に設けてもよい。
また、保持アーム75は、側壁76に軸75aと第二扇形歯車80のピン80bに取り付ける構成に代えて、第二ポジション切り換えローラ66に取り付けてもよい。この場合、第二ポジション切り換えローラ66の位置の切り換えに連動して保持アーム75の把持部75cの位置を切り換えることができる。しかも、第一連動機構74と第二連動機構85が略同一の構成になる。そのため、保持アーム75は第二ポジション切り換えローラ66に連動して把持部75cで転写ベルト21を保持して、感光体ドラム7Kから離間させることができる。
【0045】
上述した実施形態では、画像形成装置10に設けた転写ベルトユニット6について説明した。実施形態による転写ベルトユニット6は、転写ベルト21を含むユニットについて説明した。しかし、本実施形態の転写ベルトユニット6は画像形成装置10に限定されない。無端状の転写ベルト21を有する各種の転写ベルトユニット6に適用可能である。
実施形態における、第二ポジション切り換えローラ66はローラに限定されない。棒材や板材等でもよい。これらの部材は切り換え部材に含まれる。操作レバー77はレバー形状に代えて、円板状やハンドル形状等でもよい。これらは操作部材に含まれる。第二ポジション切り換えローラ66はポジション切替部材に含まれる。第一連動機構74と第一連動機構85は制御部に含まれる。
【0046】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、操作レバー77によって第一連動機構74と第二連動機構85を連動させて、転写ベルト21の端部を保持する保持アーム75と転写ベルト21を感光体ドラム7Kから離間させる第二ポジション切り換えローラ66を設けた。そのため、転写ベルト21の両端部が経年変化で伸びたとしても、転写ベルト21を感光体ドラム7Y、7M、7C、7Kから離間させる位置で、十分な空間を確保できる。感光体ドラム7Y、7M、7C、7Kの交換時に転写ベルト21を損傷することを防止できる。しかも、転写ベルト21の張力を増大させる必要もない。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0048】
6…転写ベルトユニット、7Y、7M、7C、7K…感光体ドラム、8Y、8M、8C、8K…一次転写ローラ、10…画像形成装置、11…装置本体、21…転写ベルト、22…帯電器、23…現像器、66…第二ポジション切り換えローラ、72…支軸、72a…端部、73…カム、74…第一連動機構、75…保持アーム、77…操作レバー、78…第一扇形歯車、79…歯車、80…第二扇形歯車、80a…円盤、82…嵌合受け部、83…嵌合突部、85…第二連動機構、87…廃トナーボックス