(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/06 20120101AFI20240404BHJP
G06Q 30/0601 20230101ALI20240404BHJP
【FI】
G06Q20/06 300
G06Q30/0601
(21)【出願番号】P 2023147661
(22)【出願日】2023-09-12
【審査請求日】2023-12-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】清水 徹
(72)【発明者】
【氏名】辻 恭平
【審査官】佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-80177(JP,A)
【文献】特開2019-125201(JP,A)
【文献】特開2003-58792(JP,A)
【文献】特開2002-109409(JP,A)
【文献】下村 真帆 MAHO SHIMOMURA,ブロックチェーン利活用による下請配送業者への対価支払迅速化システムの開発 Development of Immediate Payment System to Subcontractors by Using Blockchain,情報処理学会 研究報告 デジタルコンテンツクリエーション(DCC) 2022-DCC-030 [online] ,日本,情報処理学会,2022年01月25日,1-8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を受け取る権利を示すトークンであって、前記商品を販売した際に支払われた支払済みの対価を分配する条件を示す分配条件と、前記商品を提供可能な一又は複数の事業者であって、前記支払済みの対価の分配を受ける事業者の候補である一又は複数の提供事業者と、を関連付けた前記トークンをブロックチェーン上に記録する記録制御部と、
前記商品についての前記分配条件を満たした場合に、前記支払済みの対価の全部又は一部に相当する資産を前記提供事業者に移転するための処理を実行させ、前記資産の移転を前記ブロックチェーン上に記録させる、移転処理部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記記録制御部は、前記分配条件と、複数の異なる前記提供事業者と、を関連付けたトークンを記録し、
前記移転処理部は、前記複数の異なる前記提供事業者のうち前記分配条件を満たした事業者に、前記支払済みの対価の全部又は一部に相当する資産を移転するための処理を実行する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記記録制御部は、
(1)前記商品の対価が支払われ、かつ、前記商品を販売する事業者である販売事業者から前記商品を販売したことを示す情報を取得した場合、又は、
(2)前記商品の対価が支払われる前に、前記商品を販売する事業者である販売事業者から前記商品を販売したことを示す情報を取得した場合、
前記トークンを記録する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記分配条件は、前記商品が提供された場合に前記支払済みの対価を分配することを含み、
前記移転処理部は、前記提供事業者において前記トークンの保有者が認証され、かつ、前記商品が提供された場合に、前記分配条件に基づいて、前記支払済みの対価の全部又は一部に相当する資産を前記提供事業者に移転するための処理を実行する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記移転処理部は、前記提供事業者において前記トークンの保有者が認証され、かつ、前記商品が提供された場合に、前記分配条件に基づいて、前記支払済みの対価の全部又は一部に相当する資産を、前記商品を提供した提供事業者に移転するための処理を実行する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記分配条件は、前記商品の対価の支払い後であって、前記商品の提供前である所定のタイミングにおいて前記支払済みの対価を分配することを含み、
前記移転処理部は、前記所定のタイミングにおいて、前記分配条件に基づいて、前記支払済みの対価の全部又は一部に相当する資産を前記提供事業者に移転するための処理を実行する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記分配条件は、条件が満たされた場合に前記支払済みの対価のうち分配される対価の量を示す分配量を含み、
前記移転処理部は、前記分配条件を満たした場合に、前記分配量が示す量に相当する資産を前記提供事業者に移転するための処理を実行する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記分配条件は、前記提供事業者と、前記商品を提供可能な期間を示す有効期間と、前記商品が提供される前に前記トークンの有効期間を満了した場合に前記支払済みの対価を分配することを含み、
前記移転処理部は、前記トークンに含まれる有効期間を満了した場合に、前記支払済みの対価の全部又は一部に相当する資産を前記提供事業者に移転するための処理を実行する、
請求項1から7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記記録制御部は、前記分配条件と、複数の異なる前記提供事業者と、を関連付けたトークンを記録し、
前記分配条件は、前記提供事業者と、前記商品を提供可能な期間を示す有効期間と、前記商品が提供される前に前記トークンの有効期間を満了した場合に前記支払済みの対価を前記トークンに関連付けられた複数の前記提供事業者に分配することを含み、
前記移転処理部は、前記トークンに含まれる有効期間を満了した場合に、前記支払済みの対価の全部又は一部に相当する資産を前記トークンに関連付けられた複数の前記提供事業者に移転するための処理を実行する、
請求項1から7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記記録制御部は、前記分配条件と、前記提供事業者と、前記商品を提供可能な期間を示す有効期間と、を関連付けた前記トークンを記録し、
前記移転処理部は、前記トークンに含まれる前記有効期間が満了するまでに、前記商品が提供された場合に、前記支払済みの対価の全部又は一部に相当する資産を前記提供事業者に移転するための処理を実行する、
請求項1から7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記記録制御部は、前記分配条件と、前記提供事業者と、前記商品を提供可能な期間を示す有効期間と、前記トークンの保有者と、を関連付けた前記トークンを記録し、
前記移転処理部は、前記トークンに含まれる前記有効期間が満了するまでに、前記商品が提供されない場合、前記支払済みの対価の一部に相当する資産を前記保有者に移転するための処理を実行する、
請求項1から7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記記録制御部は、前記分配条件と、前記提供事業者と、前記トークンの保有者と、を関連付けた前記トークンを記録し、
前記移転処理部は、前記商品を提供できないことを示す通知を取得した場合、前記支払済みの対価の全部又は一部に相当する資産を前記保有者に移転するための処理を実行する、
請求項1から7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記分配条件は、前記商品の販売時に前記商品の対価の一部に相当する資産を前記提供事業者に移転することを含み、
前記移転処理部は、前記商品の対価が支払われ、かつ、前記商品を販売する事業者である販売事業者から前記商品を販売したことを示す情報を取得した場合に、前記分配条件に基づいて、前記商品を購入したユーザから前記販売事業者を介さずに前記提供事業者に資産を移転するための処理を実行させる、
請求項1から7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記分配条件は、
(1)前記商品の販売時に前記商品の対価の一部に相当する資産を複数の提供事業者に移転し、
(2)前記商品が提供された場合に、前記複数の提供事業者に移転された資産のうち前記商品を提供しなかった前記提供事業者に移転された資産を、前記商品を提供した提供事業者に移転させることを含む、
請求項1から7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項15】
コンピュータが実行する、
商品を受け取る権利を示すトークンであって、前記商品を販売した際に支払われた支払済みの対価を分配する条件を示す分配条件と、前記商品を提供可能な一又は複数の事業者であって、前記支払済みの対価の分配を受ける事業者の候補である一又は複数の提供事業者と、を関連付けた前記トークンをブロックチェーン上に記録するステップと、
前記分配条件を満たした場合に、前記支払済みの対価の全部又は一部に相当する資産を前記提供事業者に移転するための処理を実行するステップと、
前記資産の移転を前記ブロックチェーン上に記録させるステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項16】
コンピュータに、
商品を受け取る権利を示すトークンであって、前記商品を販売した際に支払われた支払済みの対価を分配する条件を示す分配条件と、前記商品を提供可能な一又は複数の事業者であって、前記支払済みの対価の分配を受ける事業者の候補である一又は複数の提供事業者と、を関連付けた前記トークンをブロックチェーン上に記録するステップと、
前記分配条件を満たした場合に、前記支払済みの対価の全部又は一部に相当する資産を前記提供事業者に移転ための処理を実行するステップと、
前記資産の移転を前記ブロックチェーン上に記録させるステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
購入した商品をユーザが店舗で受け取れるようにするためのシステムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術においては、ユーザが購入した商品を好きなお店において受領する場合、その利益を適切に分配するための処理が煩雑であった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、商品に関する対価を取引の結果に応じて分配できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報処理装置においては、商品を受け取る権利を示すトークンであって、前記商品を販売した際に支払われた支払済みの対価を分配する条件を示す分配条件と、前記商品を提供可能な一又は複数の事業者であって、前記支払済みの対価の分配を受ける事業者の候補である一又は複数の提供事業者と、を関連付けた前記トークンをブロックチェーン上に記録する記録制御部と、前記商品についての前記分配条件を満たした場合に、前記支払済みの対価の全部又は一部に相当する資産を前記提供事業者に移転するための処理を実行させ、前記資産の移転を前記ブロックチェーン上に記録させる、移転処理部と、を有する。
【0007】
前記記録制御部は、前記分配条件と、複数の異なる前記提供事業者と、を関連付けたトークンを記録し、前記移転処理部は、前記複数の異なる前記提供事業者のうち前記分配条件を満たした事業者に、前記支払済みの対価の全部又は一部に相当する資産を移転するための処理を実行してもよい。
【0008】
前記記録制御部は、(1)前記商品の対価が支払われ、かつ、前記商品を販売する事業者である販売事業者から前記商品を販売したことを示す情報を取得した場合、又は、(2)前記商品の対価が支払われる前に、前記商品を販売する事業者である販売事業者から前記商品を販売したことを示す情報を取得した場合、前記トークンを記録してもよい。
【0009】
前記分配条件は、前記商品が提供された場合に前記支払済みの対価を分配することを含み、前記移転処理部は、前記提供事業者において前記トークンの保有者が認証され、かつ、前記商品が提供された場合に、前記分配条件に基づいて、前記支払済みの対価の全部又は一部に相当する資産を前記提供事業者に移転するための処理を実行してもよい。
【0010】
前記移転処理部は、前記提供事業者において前記トークンの保有者が認証され、かつ、前記商品が提供された場合に、前記分配条件に基づいて、前記支払済みの対価の全部又は一部に相当する資産を、前記商品を提供した提供事業者に移転するための処理を実行してもよい。
【0011】
前記分配条件は、前記商品の対価の支払い後であって、前記商品の提供前である所定のタイミングにおいて前記支払済みの対価を分配することを含み、前記移転処理部は、前記所定のタイミングにおいて、前記分配条件に基づいて、前記支払済みの対価の全部又は一部に相当する資産を前記提供事業者に移転するための処理を実行してもよい。
【0012】
前記分配条件は、条件が満たされた場合に前記支払済みの対価のうち分配される対価の量を示す分配量を含み、前記移転処理部は、前記分配条件を満たした場合に、前記分配量が示す量に相当する資産を前記提供事業者に移転するための処理を実行してもよい。
【0013】
前記分配条件は、前記提供事業者と、前記商品を提供可能な期間を示す有効期間と、前記商品が提供される前に前記トークンの有効期間を満了した場合に前記支払済みの対価を分配することを含み、前記移転処理部は、前記トークンに含まれる有効期間を満了した場合に、前記支払済みの対価の全部又は一部に相当する資産を前記提供事業者に移転するための処理を実行してもよい。
【0014】
前記記録制御部は、前記分配条件と、複数の異なる前記提供事業者と、を関連付けたトークンを記録し、前記分配条件は、前記提供事業者と、前記商品を提供可能な期間を示す有効期間と、前記商品が提供される前に前記トークンの有効期間を満了した場合に前記支払済みの対価を前記トークンに関連付けられた複数の前記提供事業者に分配することを含み、前記移転処理部は、前記トークンに含まれる有効期間を満了した場合に、前記支払済みの対価の全部又は一部に相当する資産を前記トークンに関連付けられた複数の前記提供事業者に移転するための処理を実行してもよい。
【0015】
前記記録制御部は、前記分配条件と、前記提供事業者と、前記商品を提供可能な期間を示す有効期間と、を関連付けた前記トークンを記録し、前記移転処理部は、前記トークンに含まれる前記有効期間が満了するまでに、前記商品が提供された場合に、前記支払済みの対価の全部又は一部に相当する資産を前記提供事業者に移転するための処理を実行してもよい。
【0016】
前記記録制御部は、前記分配条件と、前記提供事業者と、前記商品を提供可能な期間を示す有効期間と、前記トークンの保有者と、を関連付けた前記トークンを記録し、前記移転処理部は、前記トークンに含まれる前記有効期間が満了するまでに、前記商品が提供されない場合、前記支払済みの対価の一部に相当する資産を前記保有者に移転するための処理を実行してもよい。
【0017】
前記記録制御部は、前記分配条件と、前記提供事業者と、前記トークンの保有者と、を関連付けた前記トークンを記録し、前記移転処理部は、前記商品を提供できないことを示す通知を取得した場合、前記支払済みの対価の全部又は一部に相当する資産を前記保有者に移転するための処理を実行してもよい。
【0018】
前記分配条件は、前記商品の販売時に前記商品の対価の一部に相当する資産を前記提供事業者に移転することを含み、前記移転処理部は、前記商品の対価が支払われ、かつ、前記商品を販売する事業者である販売事業者から前記商品を販売したことを示す情報を取得した場合に、前記分配条件に基づいて、前記商品を購入したユーザから前記販売事業者を介さずに前記提供事業者に資産を移転するための処理を実行させてもよい。
【0019】
前記分配条件は、(1)前記商品の販売時に前記商品の対価の一部に相当する資産を複数の提供事業者に移転し、(2)前記商品が提供された場合に、前記複数の提供事業者に移転された資産のうち前記商品を提供しなかった前記提供事業者に移転された資産を、前記商品を提供した提供事業者に移転させることを含んでいてもよい。
【0020】
本発明の第2の態様の情報処理方法においては、コンピュータが実行する、商品を受け取る権利を示すトークンであって、前記商品を販売した際に支払われた支払済みの対価を分配する条件を示す分配条件と、前記商品を提供可能な一又は複数の事業者であって、前記支払済みの対価の分配を受ける事業者の候補である一又は複数の提供事業者と、を関連付けた前記トークンをブロックチェーン上に記録するステップと、前記分配条件を満たした場合に、前記支払済みの対価の全部又は一部に相当する資産を前記提供事業者に移転するための処理を実行するステップと、前記資産の移転を前記ブロックチェーン上に記録させるステップと、を有する。
【0021】
本発明の第3の態様のプログラムにおいては、コンピュータに、商品を受け取る権利を示すトークンであって、前記商品を販売した際に支払われた支払済みの対価を分配する条件を示す分配条件と、前記商品を提供可能な一又は複数の事業者であって、前記支払済みの対価の分配を受ける事業者の候補である一又は複数の提供事業者と、を関連付けた前記トークンをブロックチェーン上に記録するステップと、前記分配条件を満たした場合に、前記支払済みの対価の全部又は一部に相当する資産を前記提供事業者に移転ための処理を実行するステップと、前記資産の移転を前記ブロックチェーン上に記録させるステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、商品に関する対価を取引の結果に応じて分配することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施形態にかかる情報処理システムSの概要を説明する図である。
【
図2】情報処理システムにおける対価の分配について説明するための図である。
【
図3】情報処理装置1の構成を示すブロック図である。
【
図4】記録制御部131が記録するトークンのデータ構造の一例を示す図である。
【
図5】記録制御部131がトークンを発行する処理の一例を示す図である。
【
図6】情報処理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[情報処理システムSの概要]
図1は、情報処理システムSの概要を説明する図である。情報処理システムSは、商取引を促進するためのシステムである。情報処理システムSにおいては、所定の条件が満たされた場合に、商品を販売した対価をその取引に関係する商品の販売者や提供者に分配するための処理をする。より具体的には、情報処理システムSにおいては、ブロックチェーンBに記録されたトークンに含まれる条件を満たした場合に、商品を購入した対価を移転する。なお、情報処理システムSにおいては、サービスを取引してもよく、以下において「商品」という場合には、取引の目的がサービスである場合を含む。情報処理システムSは、情報処理装置1、情報端末2及び店舗端末3を有する。
【0025】
情報処理装置1は、ブロックチェーンBにアクセス可能なノードである。ブロックチェーンBにおいては、取引された商品の提供を受ける権利を示すトークンが記録され、記録されたトークンの移転取引や商品の提供等に関するトランザクションが記録される。情報処理装置1は、ユーザが使用する情報端末2に対して商品の購入やトークンの移転等の取引を受付ける機能を提供する。
【0026】
情報端末2は、商品を購入したユーザが使用するスマートフォン、タブレット又はパーソナルコンピュータである。ユーザは、ブロックチェーンBに記録されたトークンの保有者を識別するための情報であるアドレスを保有している。情報端末2は、発行されたトークンのユーザの操作に応じてトークンを画面に表示させる。
【0027】
情報端末2は、発行されたトークンを情報端末2に格納してもよいし、情報端末2にインストールされたウォレットアプリを管理するサーバやブロックチェーンBから取得してもよい。店舗端末3は、ユーザが購入した商品を実際にユーザに提供する事業者において使用される端末装置である。店舗端末3は、例えばPOS(Point of Sale)レジである。
【0028】
情報処理システムSにおける処理について説明する。情報処理装置1は、商品を購入し、購入した商品を受領していないユーザに対してブロックチェーンB上にトークンを発行する(
図1における(1))。トークンにおいては、分配条件と、提供事業者と、が少なくとも関連付けられている。なお、情報処理装置1は、商品を購入したユーザの口座から商品を販売した事業者(以下、「販売事業者」と言う)の口座へ商品の対価に相当する資産が移転されたことを条件にトークンを発行してもよい。また、情報処理装置1は、商品の購入が行われた場合にトークンを発行し、トークン発行後所定のタイミングにおいて商品の対価に相当する資産を、商品を購入したユーザの口座から販売事業者の口座に移転してもよい。
【0029】
分配条件は、商品購入の対価を分配する条件を示す。分配条件においては、一例として、取引の目的の商品が引き渡された場合に、商品を引き渡した事業者に対価が支払われることが含まれる。また、分配条件においては、取引の有効期間を徒過した場合に支払われた対価の全部または一部を提供事業者に移転することが示されていてもよい。分配条件においては、複数の条件が含まれていてもよい。
【0030】
提供事業者は、ユーザが購入した商品を引き渡すことが可能な事業者である。また、提供事業者は、支払済みの対価の分配を受ける事業者の候補である。情報処理システムSにおいて発行されるトークンは、NFT(Non-Fungible Token)であってもよいし、SFT(Semi-Fungible Token)であってもよい。情報処理装置1は、発行したトークンを情報端末2に送信する。
【0031】
ユーザは、発行されたトークンを情報端末2に表示させ、提供事業者の店舗において、情報端末2に表示されたトークンを提示する(
図1における(2))。例えば、情報端末2は、QR(Quick Response)コード(登録商標)の形式でトークンを表示させる。トークンの提示を受けた事業者においては、店舗端末3は提示されたトークンを取得し、取得したトークンを認証する(
図1における(3))具体的には、店舗端末3は、情報端末2に表示されたトークンを読み取り、読み取ったトークンが真正であり、かつ、読み取ったトークンの保有者がトークンを提示したユーザ本人であるかを検証する。なお、店舗端末3は、トークンの認証を要求するために読み取ったトークンを情報処理装置1に送信し、情報処理装置1において実行されたトークンの認証結果を情報処理装置1から取得してもよい。
【0032】
トークンが認証された場合、事業者は、トークンが示す商品をユーザに提供する。商品が提供された場合、店舗端末3は、商品が提供されたことを示す通知(以下、「提供通知」と言う)を情報処理装置1に送信してもよい。そして、情報処理装置1は、トークンに含まれる分配条件に基づいて、商品の対価の全部又は一部を移転する処理を実行する(
図1における(4))。具体的には、分配条件が示す条件に基づいて移転対象の金額に相当する資産を、販売事業者の口座から商品を提供した事業者の口座に移転する。一例として、情報処理装置1は、トークンが対象とする取引に関連する事業者の口座情報を取得し、事業者の口座を指定したうえで口座間において資産を移転する指示をブロックチェーンに送信する。情報処理装置1は、対価が移転されたこと及び商品が引き渡されたことをブロックチェーンBに記録する。
【0033】
ここで、
図2を用いて情報処理システムSにおける対価の移転処理の概要を説明する。
図2(a)は発行されたトークンに含まれる分配条件を示す。
図2(a)に示す分配条件においては、商品の購入時点においては、対価の10%を提供事業者に、対価の90%を販売事業者に移転させることが含まれている。また、
図2(a)に示す分配条件においては、商品の提供時に対価の80%を販売事業者から提供事業者に移転することが含まれている。分配条件においては、トークンの有効期間が満了した場合の条件が含まれていてもよい。
【0034】
図2(a)の分配条件(1)、(2)及び(3)に基づいて取引された場合、
図2(b)に示すように分配条件に基づいて対価が移転される。すなわち、商品の購入時は商品の購入者から販売者及び提供事業者に資産が移転され、商品の提供時は、商品の販売者に移転された対価から商品の提供者に資産が移転される。なお、商品が提供された場合、トークンの有効期限が満了した場合の移転処理は実行されない。なお、商品が提供された場合は、有効期限が満了した場合の条件に基づく資産の移転は行われない。
【0035】
なお、上記の取引の例において、購入した商品を提供する提供事業者が複数ある場合、商品の購入時に販売者が取得した資産の一部、例えば分配条件(1)に示される移転額(対価の10%)を複数の提供事業者それぞれに分配してもよい。この場合、情報処理装置1は、商品の販売時に提供事業者に、分配条件(1)により分配される移転額を複数の提供事業者に按分して資産を移転してもよく、所定の分配率で分配しても移転してもよい。そして、商品が一の提供事業者から提供された場合、分配条件(1)により複数の提供事業者に分配された資産のうち、商品を提供しなかった提供事業者に分配された資産を、商品を提供した事業者に移転する。
【0036】
情報処理システムSにおいては、商品に関する対価を取引の結果に応じて分配することができるという効果を奏する。
【0037】
[情報処理装置1の構成]
図3は、情報処理装置の構成を示すブロック図ある。情報処理装置1は、通信部11及び記憶部12及び制御部13を有する。制御部13は、記録制御部131、移転処理部132、取得部133及び認証部134を有する。
【0038】
通信部11は、ネットワークを介して他の装置とデータの送受信をするための通信インターフェースである。記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、SSD(Solid State Drive)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを予め記憶している。
【0039】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサである。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、記録制御部131、移転処理部132、取得部133及び認証部134として機能する。
【0040】
記録制御部131は、商品を受け取る権利を示すトークンをブロックチェーンBに記録する。
図4は、記録制御部131が記録するトークンのデータ構造の一例を示す図である。
図4に示すトークンにおいては、「トークンID」、「保有者」、「商品」、「対価」、「発行日時」「有効期間」、「販売事業者」、「提供事業者」及び「分配条件」が関連付けられている。「トークンID」はトークンを識別するID(Identification)である。なお、「商品」、「対価」、「発行日時」「有効期間」、「販売事業者」、「提供事業者」及び「分配条件」の少なくともいずれかを示す情報にアクセスするためのURI(Universal Resource Identifier)が、トークンにおいてブロックチェーン上で記録されていてもよく、この場合「商品」、「対価」、「発行日時」「有効期間」、「販売事業者」、「提供事業者」及び「分配条件」少なくともいずれかを示す情報が、ブロックチェーンBの外部において管理されていてもよい。
【0041】
「保有者」は、当該トークンの保有者を示す。「保有者」は、例えば、当該トークンの保有者のアドレスを含む。「商品」は、当該トークンが対象とする取引における目的の商品を示す。「商品」においては、複数の取引対象の商品が含まれていてもよい。
【0042】
「対価」は、当該商品の売買の対価の金額を示す。対価の金額は法定通貨の通貨単位で示されてもよいし、仮想通貨の通貨単位で示されていてもよい。「発行日時」は、当該トークンを発行した日時を示す。「有効期間」は、当該トークンを商品に引換えることができる期間であり、商品を提供可能な期間を示す。すなわち、有効期間外に提示されたトークンを商品の提供のために認証することはできない。トークンにおいては「有効期間」に変えて、有効期限が含まれていてもよい。「販売事業者」は、商品を販売した事業者を示す。「提供事業者」は、商品を引き渡し可能な事業者を示す。「販売事業者」及び「提供事業者」においては、事業者のブロックチェーンBにおけるアドレスが含まれていてもよい。トークンにおいては、複数の異なる提供事業者が含まれていてもよい。
【0043】
「分配条件」においては、「トリガ」、「分配先」及び「移転額」が含まれている。「トリガ」は、対価を分配する処理を行うためのトリガを示す。「分配先」は、提供事業者のうち、当該トリガが引かれた場合に、対価の移転を受ける提供事業者を示す。「移転額」は、そのトリガが引かれた場合に移転される対価の量を示す。「分配条件」においては、移転される対価の移転元を示す「分配元」が含まれていてもよい。なお、当該トークンが対象とする商品が複数ある場合、商品ごとに分配条件が定められていてもよい。
【0044】
移転処理部132は、商品についての分配条件を満たした場合に、支払済みの対価の全部又は一部に相当する資産を提供事業者に移転するための処理を実行させ、資産の移転をブロックチェーンBに記録させる。移転処理部132は、トークンに含まれる分配条件のトリガが引かれた場合に、トリガに対応する分配条件において対応する量の対価を、当該トリガに分配条件において対応する移転先に移転するよう移転処理を実行する。一例として、移転処理部132は、所定の仮想通貨を管理する管理サーバに、当該トリガに対応する分配条件において対応する量の対価を移転するよう要求する。対価が移転されたことを示す情報を管理サーバから取得した場合、移転処理部132は、当該トークンにおける資産が移転されたことを、当該トークンのトークンIDに関連付けてブロックチェーンBに記録させる。移転処理部132は、スマートコントラクトにより資産の移転処理を実行してもよい。
【0045】
なお、上述の説明においては対価を仮想通貨により移転させる例を説明したが、電子マネーや法定通貨の残高を移転させることにより対価を移転させるよう情報処理装置1が構成されてもよい。
【0046】
分配条件における提供事業者が複数の異なる事業者を含む場合、移転処理部132は、複数の異なる提供事業者のうち分配条件を満たした事業者に、支払済みの対価の全部又は一部に相当する資産を移転するための処理を実行する。すなわち、対象となるトークンが複数の提供事業者を含む場合においては、移転処理部132は、トークンに含まれる提供事業者のうち、引かれたトリガに対応する分配条件において対応する分配先の提供事業者に資産を移転させるよう管理サーバに要求する。
【0047】
情報処理装置1がこのように構成されることで、商品に関する対価を取引の結果に応じて分配することができるという効果を奏する。
【0048】
[トークンの発行処理]
図5を用いて情報処理システムSにおけるトークンの発行処理の一例について説明する。取得部133は、商品の購入の申し込みを情報端末2から取得する(
図5における(1))。取得部133は、記憶部12に記憶された商品の提供可否を示す情報を参照し、取得した商品が販売可能な場合、申込があった商品の購入を承諾する(
図5における(2))。
【0049】
取得部133は、商品を販売した対価として商品を購入したユーザに関連付けられた資産を、販売事業者の口座に移転させる(
図5における(3))。なお、情報処理システムSにおいては、不図示の決済サーバを介してユーザの資産を販売事業者に移転させるように構成されてもよい。
【0050】
記録制御部131は、商品の対価が支払われ、かつ、商品が販売されたことを条件として、トークンをブロックチェーンBに記録し、トークンを発行する(
図5における(4))。一例として、記憶部12は商品と、商品を提供可能な提供事業者と、当該商品についての分配条件を関連付けた商品テーブルを記憶しており、記録制御部131は、商品テーブルを参照し、販売された商品についてのトークンを発行する。記録制御部131は、トークンをブロックチェーンBに記録し、トークンを発行する。
【0051】
なお、商品を販売した対価の支払いがトークンの発行の後であってもよい。この場合、記録制御部131は、商品の対価が支払われる前に、商品を販売する事業者である販売事業者から商品を販売したことを示す情報を取得した場合にトークンを発行してもよい。すなわち、ユーザの資産の移転は、記録制御部131が、トークンをブロックチェーンBに記録し、トークンを発行した後であってもよい。
【0052】
なお、
図5においては、商品を購入するための処理を情報処理装置1が行う例を説明したがこれに限られない。販売事業者が利用する外部装置(不図示)と情報端末2との間で商品を購入するための処理を実行し、外部装置から商品を販売したことを示す通知を情報処理装置1が取得したことを契機として、記録制御部131は、トークンを発行してもよい。
【0053】
[分配条件に基づく対価の分配]
トークンに含まれる分配条件について詳細に説明する。分配条件は、商品が提供された場合に支払済みの対価を分配することを含む。
図4に示すトークンにおいては、「分配条件(2)」において、商品が提供されたことをトリガとして、対価を分配することが示されている。一例として、情報処理システムSにおいては、店舗端末3が提示されたトークンを読み取り、読み取ったトークンを情報処理装置1が認証し、かつ、提供通知を取得した場合に商品が提供されたと判定する。
【0054】
移転処理部132は、提供事業者においてトークンが認証され商品が提供された場合に、分配条件に基づいて、支払済みの対価の全部又は一部に相当する資産を提供事業者に移転するための処理を実行する。一例として、認証部134は、トークンが提示された事業者の店舗端末3から、トークンの保有者の認証を要求する認証要求を取得する。認証要求においては、トークンを提示した保有者を識別するための情報(「保有者ID」と言う)と、提示されたトークンに含まれる情報と、を含む。認証部134は、取得した情報に基づいて取得したトークンの真正性とトークンの保有者の真正性を確認する。一例として、認証部134は、トークンのハッシュ値と、ブロックチェーンBに記録された当該トークンのハッシュ値と、を比較することで、トークンの真正性を検証する。
【0055】
また、認証部134は、取得したトークンの保有者IDと、ブロックチェーンBに記録された当該トークンの最新の保有者とが一致するか否かを判定する。保有者が一致すること検証できた場合、記録制御部131は、提示されたトークンについてブロックチェーンBに記録された取引の情報を参照し、提示されたトークンが対象とする取引における商品が提供済みでないことを判定する。
【0056】
提示されたトークンが対象とする取引における商品が提供済みでない場合、情報処理装置1は、トークンが認証されたこと及び、商品が提供済みでないことを示す通知を店舗端末3に送信する。商品がユーザに提供された場合、店舗端末3が操作され、店舗端末3は、提供通知を情報処理装置1に送信する。提供通知においては、対象のトークンのトークンID及び提供事業者を識別するためのIDを含む。提供通知においては、提供された商品を示す情報をさらに含んでいてもよい。提供通知を取得した場合、記録制御部131は、提示されたトークンが対象とする取引において商品が提供されたことをブロックチェーンBに記録させる。そして、移転処理部132は、トークンに含まれる分配条件に基づいて、トークンを提示された事業者に資産を移転させるよう処理を実行する。
【0057】
なお、トークンが対象とする商品が複数ある場合に一部の商品だけが提供されてもよい。この場合、認証要求においては、提供対象の商品を示す情報をさらに含む。記録制御部131は、トークンが認証できた場合、提示されたトークンについてブロックチェーンBに記録された取引の情報を参照し、提供対象の商品が提供済みでないことを判定する。提供対象の商品が提供済みでない場合、情報処理装置1は、トークンが認証されたこと及び、提供対象の商品が提供済みでないことを示す通知を店舗端末3に送信する。
【0058】
そして、取得部133は、提供された商品を含む提供通知を取得する。記録制御部131は、提示されたトークンにおいて提供対象の商品が提供されたことをブロックチェーンBに記憶させる。移転処理部132は、トークンに含まれる提供対象の商品に関連付けられた分配条件に基づいて、トークンを提示された提供事業者に資産を移転させるよう処理を実行する。
【0059】
分配条件においては、商品の提供前において対価を分配することを示す条件が含まれていてもよい。すなわち、トークンに含まれる分配条件においては、商品の対価の支払い後であって、商品の提供前である所定のタイミングにおいて支払済みの対価を分配することを含む。
図4に示すトークンにおいては、「分配条件(1)」において、ユーザが対価を支払った場合に、対価の10%分について、ユーザから販売事業者への移転を行わずに、ユーザから直接提供事業者として含まれる事業者に移転することが含まれている。
【0060】
移転処理部132は、所定のタイミングにおいて、分配条件に基づいて、支払済みの対価の全部又は一部に相当する資産を提供事業者に移転するための処理を実行する。すなわち、分配条件において、ユーザが対価を支払った場合に提供事業者に対価を移転することが示されている場合であって、ユーザが対価を支払ったことを示す情報を取得部133が取得した場合、移転処理部132は、分配条件が示す量の資産を、分配条件に示す移転先の事業者に移転するための処理を実行する。このように構成されることで、柔軟な取引が可能となる。
【0061】
分配条件においては、トークンの有効期間を満了するまでに商品が提供されなかった場合に対価を分配する条件が含まれていてもよい。
図4に示すトークンにおける「分配条件(4)」においては、商品が提供される前にトークンの有効期間を満了した場合に支払済みの対価の一部を「提供事業者」に含まれる事業者に分配することが含まれている。
【0062】
移転処理部132は、トークンに含まれる有効期間を満了した場合、支払済みの対価の全部又は一部に相当する資産を提供事業者に移転するための処理を実行する。
図4に示すトークンの場合、取得部133が提供通知を取得することなく有効期間を満了した場合、対価の10%に相当する資産を提供事業者の数で按分した量の資産をそれぞれの提供事業者に移転するよう管理サーバに要求する。なお、分配条件においては、提供事業者間で分配額に傾斜が付けられていてもよい。
【0063】
移転処理部132は、トークンに含まれる有効期間が満了するまでに、商品が提供された場合に、支払済みの対価の全部又は一部に相当する資産を提供事業者に移転するための処理を実行する。有効期限が満了するまでに商品が提供された場合の処理については既に説明した通りである。
【0064】
例えば、商品の提供が中止された場合等のようにユーザに起因する問題がないにも関わらず商品を提供できなくなった場合においては、支払い済みの対価をユーザに払い戻す必要がある。
【0065】
このような場合においては、取得部133は、提供不可通知を取得する。提供不可通知は商品を提供できないことを示す通知である。例えば、取得部133は、商品の販売者が使用する装置から提供不可通知を取得する。移転処理部132は、提供不可通知を取得した場合、支払済みの対価の全部又は一部に相当する資産を保有者に移転するための処理を実行する。移転処理部132は、支払済み対価の全部をトークンの保有者に払い戻すよう管理サーバに資産の移転を指示してもよい。また、移転処理部132は、支払済みの対価から所定の手数料を控除した量に相当する資産を保有者に払い戻すよう管理サーバに資産の移転を指示してもよい。
【0066】
情報処理装置1がこのように構成されることで、ユーザに原因がないにもかかわらず商品が提供されない場合にユーザの利益を保護することができ、その結果、取引を促進することができる。
【0067】
分配条件においては、商品の販売時に商品の対価の一部に相当する資産を直接提供事業者に移転することが含まれていてもよい。この場合、移転処理部132は、商品の対価が支払われ、かつ、販売事業者から商品を販売したことを示す情報を取得した場合に、分配条件に基づいて、商品を購入したユーザから前記提供事業者に資産を移転するための処理を実行させる。
【0068】
[情報処理装置1における処理の流れ]
図6は、情報処理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。
図6に示すフローチャートは、トークンの発行される時点から開始している。
【0069】
記録制御部131は、トークンをブロックチェーンBに記録し、トークンを発行する(S01)。取得部133は、発行したトークンについてのイベントを待機する(S02)。イベントは一例として、トークンの有効期限が経過したこと、トークンの移転指示を取得したこと、提供通知を取得したこと又は提供不可通知を取得したことである。
【0070】
移転処理部132は、トークンに含まれる有効期限が経過しているかを判定する(S03)。有効期限が経過している場合(S03におけるYES)、移転処理部132は、トークンに記憶された分配条件に基づいて資産を移転させる(S04)。一例として、移転処理部132は、トークンに含まれる商品を販売した販売者の口座から、トークンに含まれる提供事業者の口座に分配条件に示される金額に相当する資産を移転させる。記録制御部131は、対価の移転が完了したことをトークンに関連付けてブロックチェーンBに記録する(S05)。
【0071】
有効期限が経過していない場合、(S03におけるNO)、取得部133は、発生したイベントを判定する(S06)。発生したイベントがトークンの移転である場合(S06におけるCase1)、記録制御部131は、取得した移転要求に基づいて、トークンを移転させる(S07)具体的には、記録制御部131は、取得した移転要求に基づいて、トークンの保有者が変更されたことをブロックチェーンBに記録する。情報処理装置1は、処理をS02に進める。
【0072】
発生したイベントが商品の提供である場合(S06におけるCase2)、移転処理部132は、トークンに含まれる分配条件に基づいて資産を移転させる(S08)。一例として、移転処理部132は、トークンに含まれる商品を販売した販売者の口座から、商品を提供した提供事業者の口座に分配条件に示される金額に相当する資産を移転させる。記録制御部131は、商品が提供されたことをトークンに関連付けてブロックチェーンBに記録し(S09)、情報処理装置1は、処理を終了する。なお、トークンに含まれる商品の一部のみが提供された場合には、当該一部の商品が提供されたことをトークンに関連付けてブロックチェーンBに記録し、処理を終了せず、トークンについてのイベントを待機する処理(S02)に進めてもよい。
【0073】
発生したイベントが提供不可通知を取得したことである場合(S06におけるCase3)、移転処理部132は、トークンに含まれる分配条件に基づいて資産を移転させる(S10)。一例として、移転処理部132は、トークンに含まれる商品を販売した販売者の口座から、商品を購入したユーザの口座に分配条件に示される金額に相当する資産を移転させる。記録制御部131は、トークンを無効化したことをブロックチェーンBに記録し(S11)、情報処理装置1は、処理を終了する。
【0074】
[情報処理装置1による効果]
以上説明したように情報処理装置1が構成されることで、商品に関する対価を取引の結果に応じて分配することができる。
【0075】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0076】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0077】
1 情報処理装置
2 情報端末
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 記録制御部
132 移転処理部
133 取得部
134 認証部
【要約】
【課題】商品に関する対価を取引の結果に応じて分配できるようにする。
【解決手段】商品を受け取る権利を示すトークンであって、商品を販売した際に支払われた支払済みの対価を分配する条件を示す分配条件と、商品を提供可能な事業者であって、支払済みの対価の分配を受ける事業者の候補である提供事業者と、を関連付けたトークンをブロックチェーン上に記録する記録制御部131と、商品についての分配条件を満たした場合に、支払済みの対価の全部又は一部に相当する資産を提供事業者に移転するための処理を実行させ、資産の移転をブロックチェーン上に記録させる、移転処理部132と、を有する情報処理装置1である。
【選択図】
図3