(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】情報処理方法、プログラム及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240404BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2023200558
(22)【出願日】2023-11-28
【審査請求日】2023-11-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 徹
【審査官】加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2023/204207(WO,A1)
【文献】特開2022-173996(JP,A)
【文献】特許第7297276(JP,B1)
【文献】特開2023-122856(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに実行させる、
発行されたユーザに固有のトークンである第1トークンの発行を要求する発行要求情報を取得する発行要求情報取得ステップと、
前記発行要求情報に基づく前記第1トークンの発行先となるユーザに対して発行された、前記第1トークンと異なるトークンである第2トークンであって、発行されたユーザに固有のトークンである前記第2トークンを、該第2トークンが記録されたブロックチェーンを参照して取得するトークン取得ステップと、
同一のユーザに対して前記第1トークンと前記第2トークンを重複して発行することが許可されるか否かを示す発行条件であって、前記第1トークン又は前記第2トークンに関連付けられた前記発行条件を取得する条件取得ステップと、
前記発行条件に基づいて、前記第1トークンを前記第2トークンと重複して発行することが許可される場合に、前記発行要求情報において発行先であることを示すユーザに対して前記第1トークンを発行するよう制御する発行制御ステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項2】
前記発行制御ステップにおいては、
(1)前記トークン取得ステップにおいて前記第2トークンが取得されない場合、又は、
(2)前記発行条件に基づいて、前記第1トークンを前記第2トークンと重複して発行することが許可される場合に、
前記発行要求情報において発行先であることを示すユーザに対して前記第1トークンを発行するよう制御する、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記第2トークンは、トークンの種別が関連付けられており、
前記条件取得ステップにおいては、同一のユーザに対して前記第1トークンと重複して発行することが許可されないトークンの種別である発行禁止種別を含む前記発行条件を取得し、
前記発行制御ステップにおいては、前記発行条件が示す発行禁止種別と前記第2トークンの種別が一致しない場合に、前記発行要求情報において発行先となるユーザに対して前記第1トークンを発行する、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記条件取得ステップにおいては、前記第2トークンにブロックチェーン上で関連付けられた発行禁止種別であって、前記第2トークンと重複して発行することが許可されないトークンの種別を示す発行禁止種別を含む前記発行条件を取得し、
前記発行制御ステップにおいては、前記第1トークンの種別が、前記発行条件が示す前記発行禁止種別と一致しない場合に、前記発行要求情報において発行先であることを示すユーザに対して前記第1トークンを発行するよう制御する、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記発行条件に基づいて、前記第1トークンを前記第2トークンと重複して発行することが許可されない場合、前記発行要求情報を送信した送信元に対して前記第1トークンが発行できないことを通知する通知ステップをさらに有する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記第1トークン及び前記第2トークンは、発行されたユーザの指示に基づく削除又は移転が許可されないことを特徴とする、
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記第2トークンの発行元の事業者から前記第2トークンの削除の要求を受付けた場合に、前記削除の要求が示すトークンを無効化するようブロックチェーンに記録させるよう制御する削除制御ステップをさらに有する、
請求項6に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記第1トークン及び前記第2トークンは、ユーザに対して所定の便益を与える機関によって発行されるトークンである、
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記第1トークン及び前記第2トークンはそれぞれ、同一の前記機関、提携する前記機関又は同種の前記機関によって発行されるトークンである、
請求項8に記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記第1トークンは、前記所定の便益を受ける権利又は前記所定の便益を受けた実績を示すトークンである、
請求項9に記載の情報処理方法。
【請求項11】
前記第2トークンは、前記所定の便益を受ける権利又は前記所定の便益を受けた実績を示すトークンである、
請求項9に記載の情報処理方法。
【請求項12】
コンピュータに実行させる、
発行されたユーザに固有のトークンである第1トークンの発行を要求する発行要求情報を取得する発行要求情報取得ステップと、
前記発行要求情報に基づく前記第1トークンの発行先となるユーザに対して発行された、前記第1トークンと異なるトークンである第2トークンであって、発行されたユーザに固有のトークンである該第2トークンが記録されたブロックチェーンを参照して取得するトークン取得ステップと、
同一のユーザに対して前記第1トークンと前記第2トークンを重複して発行することが許可されるか否かを示す発行条件であって、前記第1トークン又は前記第2トークンに関連付けられた前記発行条件を取得する条件取得ステップと、
前記発行条件に基づいて、前記第1トークンを前記第2トークンと重複して発行することが許可される場合に、前記発行要求情報において発行先であることを示すユーザに対して前記第1トークンを発行するよう制御する発行制御ステップと、
を有するプログラム。
【請求項13】
発行されたユーザに固有のトークンである第1トークンの発行を要求する発行要求情報を取得する発行要求取得部と、
前記発行要求情報に基づく前記第1トークンの発行先となるユーザに対して発行された、前記第1トークンと異なるトークンである第2トークンであって、発行されたユーザに固有のトークンである該第2トークンが記録されたブロックチェーンを参照して取得するトークン取得部と、
同一のユーザに対して前記第1トークンと前記第2トークンを重複して発行することが許可されるか否かを示す発行条件であって、前記第1トークン又は前記第2トークンに関連付けられた前記発行条件を取得する条件取得部と、
前記発行条件に基づいて、前記第1トークンを前記第2トークンと重複して発行することが許可される場合に、前記発行要求情報において発行先であることを示すユーザに対して前記第1トークンを発行するよう制御する発行制御部と、
を有する情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法、プログラム及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発行されたユーザ以外に譲渡できない性質を有するSBT(Soul Bound Token)が提案されている。(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】E. Glen Weyl, Puja Ohlhaver, Vitalik Buterin著, “Decentralized Society: Finding Web3's Soul”, https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=4105763[2023年11月20日閲覧]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなトークンを例えば証明書等に用いることが検討されているが、同一のユーザに重複して発行しないことがもとめられる。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、ユーザに固有のトークンの発行可否を管理できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報処理方法においては、コンピュータに実行させる、発行されたユーザに固有のトークンである第1トークンの発行を要求する発行要求情報を取得する発行要求情報取得ステップと、前記発行要求情報に基づく前記第1トークンの発行先となるユーザに対して発行された、前記第1トークンと異なるトークンである第2トークンであって、発行されたユーザに固有のトークンである前記第2トークンを、該第2トークンが記録されたブロックチェーンを参照して取得するトークン取得ステップと、同一のユーザに対して前記第1トークンと前記第2トークンを重複して発行することが許可されるか否かを示す発行条件であって、前記第1トークン又は前記第2トークンに関連付けられた前記発行条件を取得する条件取得ステップと、前記発行条件に基づいて、前記第1トークンを前記第2トークンと重複して発行することが許可される場合に、前記発行要求情報において発行先であることを示すユーザに対して前記第1トークンを発行するよう制御する発行制御ステップと、を有する。
【0007】
前記発行制御ステップにおいては、(1)前記トークン取得ステップにおいて前記第2トークンが取得されない場合、又は、(2)前記発行条件に基づいて、前記第1トークンを前記第2トークンと重複して発行することが許可される場合に、前記発行要求情報において発行先であることを示すユーザに対して前記第1トークンを発行するよう制御してもよい。
【0008】
前記第2トークンは、トークンの種別が関連付けられており、前記条件取得ステップにおいては、同一のユーザに対して前記第1トークンと重複して発行することが許可されないトークンの種別である発行禁止種別を含む前記発行条件を取得し、前記発行制御ステップにおいては、前記発行条件が示す発行禁止種別と前記第2トークンの種別が一致しない場合に、前記発行要求情報において発行先となるユーザに対して前記第1トークンを発行してもよい。
【0009】
前記条件取得ステップにおいては、前記第2トークンにブロックチェーン上で関連付けられた発行禁止種別であって、前記第2トークンと重複して発行することが許可されないトークンの種別を示す発行禁止種別を含む前記発行条件を取得し、前記発行制御ステップにおいては、前記第1トークンの種別が、前記発行条件が示す前記発行禁止種別と一致しない場合に、前記発行要求情報において発行先であることを示すユーザに対して前記第1トークンを発行するよう制御してもよい。
【0010】
前記発行条件に基づいて、前記第1トークンを前記第2トークンと重複して発行することが許可されない場合、前記発行要求情報を送信した送信元に対して前記第1トークンが発行できないことを通知する通知ステップをさらに有してもよい。
【0011】
前記第1トークン及び前記第2トークンは、発行されたユーザの指示に基づく削除又は移転が許可されないことを特徴としてもよい。
【0012】
前記第2トークンの発行元の事業者から前記第2トークンの削除の要求を受付けた場合に、前記削除の要求が示すトークンを無効化するようブロックチェーンに記録させるよう制御する削除制御ステップをさらに有してもよい。
【0013】
前記第1トークン及び前記第2トークンは、ユーザに対して所定の便益を与える機関によって発行されるトークンであってもよい。
【0014】
前記第1トークン及び前記第2トークンはそれぞれ、同一の前記機関、提携する前記機関又は同種の前記機関によって発行されるトークンであってもよい。
【0015】
前記第1トークンは、前記所定の便益を受ける権利又は前記所定の便益を受けた実績を示すトークンであってもよい。
【0016】
前記第2トークンは、前記所定の便益を受ける権利又は前記所定の便益を受けた実績を示すトークンであってもよい。
【0017】
本発明の第2の態様のプログラムにおいては、コンピュータに実行させる、発行されたユーザに固有のトークンである第1トークンの発行を要求する発行要求情報を取得する発行要求情報取得ステップと、前記発行要求情報に基づく前記第1トークンの発行先となるユーザに対して発行された、前記第1トークンと異なるトークンである第2トークンであって、発行されたユーザに固有のトークンである該第2トークンが記録されたブロックチェーンを参照して取得するトークン取得ステップと、同一のユーザに対して前記第1トークンと前記第2トークンを重複して発行することが許可されるか否かを示す発行条件であって、前記第1トークン又は前記第2トークンに関連付けられた前記発行条件を取得する条件取得ステップと、前記発行条件に基づいて、前記第1トークンを前記第2トークンと重複して発行することが許可される場合に、前記発行要求情報において発行先であることを示すユーザに対して前記第1トークンを発行するよう制御する発行制御ステップと、を有する。
【0018】
本発明の第3の態様の情報処理装置においては、発行されたユーザに固有のトークンである第1トークンの発行を要求する発行要求情報を取得する発行要求取得部と、前記発行要求情報に基づく前記第1トークンの発行先となるユーザに対して発行された、前記第1トークンと異なるトークンである第2トークンであって、発行されたユーザに固有のトークンである該第2トークンが記録されたブロックチェーンを参照して取得するトークン取得部と、同一のユーザに対して前記第1トークンと前記第2トークンを重複して発行することが許可されるか否かを示す発行条件であって、前記第1トークン又は前記第2トークンに関連付けられた前記発行条件を取得する条件取得部と、前記発行条件に基づいて、前記第1トークンを前記第2トークンと重複して発行することが許可される場合に、前記発行要求情報において発行先であることを示すユーザに対して前記第1トークンを発行するよう制御する発行制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ユーザに固有のトークンの発行可否を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】情報処理システムSの概要を説明するための図である。
【
図2】情報処理装置1の構成を示すブロック図である。
【
図3】トークンTのデータ構造の一例を示す図である。
【
図4】条件取得部133が取得する発行条件のデータ構造の一例を示す図である。
【
図5】通知部135が通知する情報の一例を示す図である。
【
図6】情報処理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[情報処理システムSの概要]
図1は、情報処理システムSの概要を説明するための図である。情報処理システムSは、所定の資産を流通するためのシステムである。所定の資産は、一例として、中央銀行、地方自治体又は民間企業等が発行する、流通可能な地域、コミュニティ又は目的を限定したデジタル通貨である。情報処理システムSは、情報処理装置1及び情報端末2を有する。
【0022】
所定の資産の流通を促進することを目的として、企業や自治体等が拠出する給付金を原資として、所定の資産をユーザに給付する場合がある。このような給付金は、同一のユーザに重複して給付されないように管理されることが求められる。そこで、情報処理システムSにおいては、給付金を給付したユーザにトークンTを発行し、給付金の給付履歴を管理する。トークンTは、発行されたユーザに固有のトークンである。トークンTは、一例として、発行されたユーザ以外に譲渡ができない性質を有するソウルバウンドトークン(Soul Bound Token)である。トークンTは、ユーザに対して所定の便益を与える機関によって発行される。所定の機関は、一例として、給付金を給付する自治体、企業などの団体である。トークンTは、所定の便益を受ける権利又は所定の便益を受けた実績を示す。以下では、発行の要求にかかるトークンを「第1トークン」と言い、既に発行済みのトークンを「第2トークン」と言う場合がある。
【0023】
情報処理装置1は、ユーザ又は所定の資産を発行する団体等からの資産を発行する要求に応じてトークンTを発行するための装置である。情報処理装置1は、ブロックチェーンBに参加しているノードであってもよいし、ブロックチェーンBにアクセス可能なノードにトークンTを発行させるよう制御してもよい。
【0024】
なお、トークンTは、ユーザが保有する資産を管理するよう構成されてもよい。この場合、情報処理装置1は、トークンTに関連付けられたユーザの資産を移転等することによって、ユーザの保有する所定の資産を管理する。この場合のトークンTにおいては、ユーザが保有する所定の資産を管理するためのウォレットが関連付けられていてもよいし、所定の資産の残高を示す情報が含まれていてもよい。
【0025】
情報端末2は、ユーザが使用するスマートフォン、タブレット又はパーソナルコンピュータである。情報端末2は、ユーザの操作に応じてトークンTを発行するための発行要求情報を情報処理装置1に送信する。
【0026】
情報処理装置1の処理について説明する。情報端末2は、発行要求情報を送信する(
図1における(1))。発行要求情報は、第1トークンT1の発行を要求するための情報である。発行要求情報は、トークンTの発行を要求するユーザ(以下、「要求元ユーザ」と言う)のユーザID(Identification)、発行対象のトークンの種別を少なくとも含む。トークンの種別は、一例として、ユーザに付与される便益(例えば給付金)の種別を示す。
【0027】
情報処理装置1は、ブロックチェーンBを参照し、発行要求情報に含まれるユーザIDに関連付けられた第2トークンT2を取得する(
図1における(2))。情報処理装置1は、発行条件を取得する(
図1における(3))。発行条件は、同一のユーザに対して第1トークンT1と第2トークンT2を重複して発行することが許可されるか否かを示す条件である。発行条件においては、一例として、第1トークンT1及び第2トークンT2がそれぞれ、同一の機関、提携する機関又は同種の機関によって発行され、かつ、第1トークンT1及び第2トークンT2が同種の便益に関するトークンであることを示す場合に第1トークンT1の発行が禁止されることが示される。
【0028】
情報処理装置1は、一例として、ブロックチェーンB上に記録された第1トークンT1の発行条件を取得する。発行条件においては、一例として、当該トークンと重複して発行することが許可されない他のトークンTの種別(以下、「発行禁止種別」と言う)が含まれる。発行条件においてはさらにトークンTを発行する団体を示す情報が含まれていてもよい。なお、発行条件はブロックチェーンBの外部に記憶されていてもよい。
【0029】
情報処理装置1は、取得した第2トークンT2と発行条件とに基づいて、第1トークンT1の発行が許可されるか否かを判定する(
図1における(4))。一例として、情報処理装置1は、取得した第2トークンT2の種別が、第1トークンT1に基づいて取得した発行禁止種別と一致しない場合、第1トークンT1の発行が許可されると判定する。情報処理装置1は、発行要求情報に含まれる要求元ユーザのユーザIDに関連付けて第1トークンT1をブロックチェーンBに記録し、発行させる(
図1における(5))。
【0030】
情報処理システムSがこのように構成されることで、給付履歴の管理を汎用的な技術を用いて実現することができる。
【0031】
[情報処理装置1の構成]
図2は、情報処理装置1の構成を示すブロック図である。情報処理装置1は、通信部11、記憶部12及び制御部13を有する。制御部13は、発行要求取得部131、トークン取得部132、条件取得部133、発行制御部134、通知部135及び変更制御部136を有する。
【0032】
通信部11は、ネットワークを介して他の装置とデータの送受信をするための通信インターフェースである。記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、SSD(Solid State Drive)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを予め記憶している。
【0033】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサである。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、発行要求取得部131、トークン取得部132、条件取得部133、発行制御部134、通知部135及び変更制御部136として機能する。
【0034】
発行要求取得部131は、発行されたユーザに固有のトークンである第1トークンT1の発行を要求する発行要求情報を取得する。発行要求取得部131は、情報端末2から発行要求情報を取得する。
【0035】
トークン取得部132は、発行要求情報に基づく第1トークンT1の発行先となるユーザに対して発行された、第1トークンT1と異なるトークンである第2トークンT2であって、発行されたユーザに固有のトークンである第2トークンT2を、該第2トークンT2が記録されたブロックチェーンBを参照して取得する。
図3は、トークンTのデータ構造の一例を示す図である。トークンTにおいては、「トークンID」、「トークン種別」「発行者」、「保有者」、「発行条件」及び「ウォレット」が関連付けられている。
【0036】
「トークンID」は、当該トークンを識別するためのトークンIDである。「トークン種別」はユーザに付与された便益の種別を示す。「発行者」は、当該トークンを発行した発行者を示す情報である。「発行者」においては、当該トークンを発行した発行者のIDを含んでいてもよいし、名称を含んでいてもよい。「保有者」は、当該トークンを保有する保有者を識別するためのIDである。「発行条件」は、同一のユーザに対して当該トークンと重複して発行することが許可されないトークンTの種別を示す。「ウォレット」は、当該トークンに紐づけられた所定の資産を管理するためのウォレットのIDを示す。ウォレットは、ブロックチェーンBにおいて記録されたユーザが保有する所定の資産を管理するためのウォレットである。なお、トークンTが有する情報の一部(例えば給付ID)はトークンTの外部に記憶されていてもよい。この場合、トークンTは、トークンTの外部に記憶された情報にアクセスするためのURI(Universal Resource Identifier)を含む。
【0037】
条件取得部133は、第1トークンT1又は第2トークンT2に関連付けられた発行条件を取得する。
図4は、条件取得部133が取得する発行条件情報のデータ構造の一例を示す図である。発行条件情報においては、「トークン種別」と「発行禁止種別」とが関連付けられている。「トークン種別」は、発行することを要求されたトークンTの種別を示す。「発行禁止種別」は、「トークン種別」が示すトークン種別と同一のユーザに重複して発行することが禁止されるトークン種別を示す。一例として、条件取得部133は、ブロックチェーンBに第1トークンT1のトークン種別と関連付けて記憶された発行禁止種別を取得する。なお、ブロックチェーンBに記録された発行条件においては、発行禁止種別を取得するためのURI等の情報が含まれていてもよい。
【0038】
発行制御部134は、第1トークンT1の発行可否を判定する。発行制御部134は、第1トークンT1のトークン種別に関連付けられた発行禁止種別とトークン取得部132が取得した第2トークンT2のトークン種別と一致する場合、第1トークンT1の発行が許可されないと判定する。発行制御部134は、第1トークンT1のトークン種別に関連付けられた発行禁止種別とトークン取得部132が取得した第2トークンT2のトークン種別と一致しない場合、第1トークンT1の発行が許可されると判定する。
【0039】
発行制御部134は、条件に基づいて、第1トークンT1を第2トークンT2と重複して発行することが許可される場合に、発行要求情報において発行先であることを示すユーザに対して第1トークンT1を発行するよう制御する。第2トークンT2の発行が許可されると判定する場合、発行制御部134は、発行要求情報に含まれる要求元ユーザのユーザIDに関連付けた第1トークンT1をブロックチェーンBに記録することで、第1トークンT1を発行させる。なお、発行制御部134は、ブロックチェーンBにアクセス可能なノードに上記のとおり第1トークンT1を発行させるよう指示してもよい。
【0040】
なお、上記の例では、発行制御部134が第1トークンT1のトークン種別に関連付けられた発行禁止種別とトークン取得部132が取得した第2トークンT2のトークン種別とを比較して第1トークンの発行可否を判定する例を説明したが、これに限られない。すなわち、トークン取得部132が取得した第2トークンT2のトークン種別に発行条件情報において関連付けられた発行禁止種別と第1トークンT1のトークン種別とを比較して第1トークンの発行可否を判定するよう、発行制御部134が構成されてもよい。
【0041】
このように情報処理装置1が構成されることで、ユーザに固有のトークンの発行可否を管理することができる。
【0042】
なお、条件取得部133は、発行元や得られる便益において第1トークンT1と同種のトークンであって、他のユーザに発行済みの他のトークンT2に関連付けられたトークンTに関連付けられた発行条件を取得し、発行制御部134は、第2トークンのトークン種別と、取得した発行条件と、に基づいて発行可否を判定してもよい。
【0043】
同一のユーザに発行された他のトークンTが無い場合には、第1トークンT1の発行を要求したユーザに第1トークンT1を発行してもよい。
【0044】
具体的には、発行制御部134は、以下のいずれかの条件を満たす場合に第1トークンT1を発行する。第1の条件は、発行要求情報が示す要求元ユーザと同一のユーザに対して発行された第2トークンT2をトークン取得部132が取得しないことである。要求元ユーザに発行済みの第2トークンT2がブロックチェーンBに記憶されていない場合、トークン取得部132は、第2トークンT2を取得しない。第2の条件は、既に述べた通り、発行条件に基づいて、第1トークンT1を第2トークンT2と重複して発行することが許可されることである。
【0045】
発行条件は第2トークンT2に関連付けられており、第2トークンT2に関連付けられた発行条件に基づいて、第1トークンT1の発行可否を判定するよう情報処理装置1が構成されてもよい。
【0046】
条件取得部133においては、第2トークンT2にブロックチェーンB上で関連付けられた発行禁止種別を含む発行条件を取得する。この場合、条件取得部133は、トークン取得部132が取得した第2トークンT2に関連付けられている発行条件を取得する。
【0047】
発行制御部134は、発行要求情報に含まれる第1トークンT1のトークン種別と、第2トークンT2に関連付けられた発行禁止種別とに基づいて、第1トークンT1の発行可否を判定する。発行要求情報に含まれる第1トークンT1のトークン種別と、第2トークンT2に関連付けられた発行禁止種別とが一致する場合、第1トークンT1の発行が許可されないと判定する。発行制御部134は、第1トークンT1のトークン種別が、第2トークンT2に関連付けられた発行禁止種別と一致しない場合、第1トークンT1の発行が許可されることを判定する。第1トークンT1の発行が許可される場合、発行制御部134は、上述のとおり、第1トークンT1を発行する。
【0048】
発行条件に基づいてトークンTの発行ができないと判定される場合、トークンTの発行を要求したユーザに通知されるよう情報処理装置1が構成されてもよい。
【0049】
通知部135は、発行条件に基づいて、第1トークンT1を第2トークンT2と重複して発行することが許可されない場合、発行要求情報を送信した送信元に対して所定の情報を通知する。所定の情報は、一例として、第1トークンT1が発行できないことを示す。通知部135は、一例として、発行要求情報を送信したユーザの情報端末2に所定の情報を送信する。
図5は、通知部135が通知する情報の一例を示す図である。通知部135が通知する情報においては、第1トークンT1が発行できないこと及びユーザに発行済みのトークンTのうち、第1トークンT1と重複して発行できないトークンTを示す情報が含まれる。
【0050】
情報処理装置1がこのように構成されることで、ユーザは、トークンTの発行が許可されないことを認識することができる。
【0051】
上述したようにトークンTは、ユーザに対して給付された便益の履歴などを管理するために発行されるため、ユーザ間での自由な移転や削除は制限されることが望ましい。すなわち、情報処理システムSにおいては、第1トークンT1及び第2トークンT2について、発行されたユーザの指示に基づく削除又は移転は許可されない。
【0052】
ただし、トークンTを発行する事業者等の特別な権限を有するアカウントからは移転や削除を可能とすることが望ましい。変更制御部136は第2トークンT2の発行元の事業者から第2トークンT2の削除の要求を受付けた場合に、削除の要求が示すトークンTを無効化するようブロックチェーンBに記録させるよう制御する。一例として、変更制御部136は、発行済みのトークンTの削除を要求することを示す削除要求を情報端末2又は外部装置(不図示)から取得する。削除要求においては、削除を要求する対象のトークンIDを含む。変更制御部136は、削除要求を送信した送信元が所定の事業者のアカウントであるか否かを判定する。所定の事業者は、例えば、トークンTを発行した発行元事業者である。
【0053】
変更制御部136は、削除要求を送信した送信元が所定の事業者のアカウントである場合、削除要求に含まれるトークンIDに対応するトークンTを無効化(削除)するよう制御する。変更制御部136は、削除要求を送信した送信元が所定の事業者のアカウントではない場合、削除要求に含まれるトークンIDに対応するトークンTを無効化しない。
【0054】
このように構成されることで所定のアカウントのみトークンTを削除でき、例えば、条件等が変更された場合において発行済みのトークンTを管理することが可能となる。
【0055】
なお、上記の例においては削除を例に説明したが、移転の場合においては、移転を要求するための移転要求において移転元ユーザのユーザID、移転先ユーザのユーザID及び移転対象のトークンIDを含む。そして、移転要求を送信した送信元が所定の事業者のアカウントである場合、変更制御部136は、移転要求に含まれるトークンIDに対応するトークンTを移転要求に従って移転させるよう制御する。
【0056】
[情報処理装置1における処理の流れ]
図6は、情報処理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。
図6に示すフローチャートは、発行要求情報を取得した時点から開始している。
【0057】
発行要求取得部131は、発行要求情報を取得する(S01)。トークン取得部132は、発行要求情報に含まれる発行元ユーザのユーザIDに関連付けられた第2トークンT2を取得する(S02)。
【0058】
条件取得部133は、発行条件を取得する(S03)。条件取得部133は、一例として、第1トークンT1のトークン種別に関連付けてブロックチェーンBに記録された発行禁止種別を発行条件として取得する。
【0059】
発行制御部134は、第1トークンT1の発行が許可されるか否かを判定する(S04)。一例として、発行制御部134は、条件取得部133が取得した発行禁止種別とトークン取得部132が取得した第2トークンT2のトークン種別とを比較し、第1トークンT1の発行が許可されるか否かを判定する。
【0060】
第1トークンT1の発行が許可される場合(S04におけるYES)、発行制御部134は、発行要求情報に含まれる要求元ユーザのユーザIDに関連付けて第1トークンT1を発行するよう制御する(S05)。そして、情報処理装置1は、処理を終了する。
【0061】
第1トークンT1の発行が許可されない場合(S04におけるNO)、通知部135は、第1トークンT1が発行できないことを要求元ユーザの情報端末2に通知する(S06)。そして、情報処理装置1は、処理を終了する。
【0062】
[情報処理装置1による効果]
以上説明したように情報処理装置1においては、ユーザに固有のトークンの発行可否を管理することができる。
【0063】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0064】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0065】
1 情報処理装置
2 情報端末
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 発行要求取得部
132 トークン取得部
133 条件取得部
134 発行制御部
135 通知部
136 変更制御部
【要約】
【課題】ユーザに固有のトークンの発行可否を管理する。
【解決手段】コンピュータが実行する、第1トークンの発行を要求する発行要求情報を取得する発行要求情報取得ステップと、発行要求情報に基づく第1トークンの発行先となるユーザに対して発行された第2トークンを、該第2トークンが記録されたブロックチェーンを参照して取得するトークン取得ステップと、同一のユーザに対して第1トークンと第2トークンを重複して発行することが許可されるか否かを示す発行条件を取得する条件取得ステップと、発行条件に基づいて、第1トークンを第2トークンと重複して発行することが許可される場合に、発行要求情報において発行先であることを示すユーザに対して第1トークンを発行するよう制御する発行制御ステップと、を有する情報処理方法である。
【選択図】
図6