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特許7466067液化廃棄物ポリマーを処理するための方法
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  • 特許-液化廃棄物ポリマーを処理するための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】液化廃棄物ポリマーを処理するための方法
(51)【国際特許分類】
   C10G 45/38 20060101AFI20240404BHJP
   C10G 9/36 20060101ALI20240404BHJP
   C10G 45/08 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
C10G45/38
C10G9/36
C10G45/08 Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2023539374
(86)(22)【出願日】2021-10-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-14
(86)【国際出願番号】 FI2021050732
(87)【国際公開番号】W WO2022144491
(87)【国際公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-09-11
(31)【優先権主張番号】20206385
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505081261
【氏名又は名称】ネステ オサケ ユキチュア ユルキネン
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アールト、ペッカ
(72)【発明者】
【氏名】アールトネン、ヘイッキ
(72)【発明者】
【氏名】オヤラ、アンチ
(72)【発明者】
【氏名】ペレス ネブレダ、アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】サイラネン、エンマ
(72)【発明者】
【氏名】パーシカッリオ、ビッレ
(72)【発明者】
【氏名】クルキイェルビ、アンチ
【審査官】森 健一
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-533041(JP,A)
【文献】特表2019-527758(JP,A)
【文献】特開2009-242555(JP,A)
【文献】米国特許第05904838(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化廃棄物ポリマー(LWP)を処理するための方法であって、以下の工程:
a)ジオレフィンおよびナフサを含むLWPストリームを提供する工程、
b)ジオレフィンおよびナフサを含む蒸留物ならびに蒸留塔底物を得るために、LWPストリームを水蒸気ストリッパーに付す工程、
c)ジオレフィン枯渇蒸留物を生成するために、水素および1または複数の水素化処理触媒の存在下、蒸留物を水素化処理反応条件に付す工程であって、前記水素化処理反応条件が、120~210℃の温度、1~50bargの圧力、1~5h-1、好ましくは4~4.5h-1であるLHSVを含み、および、前記1または複数の水素化処理触媒が、CoMoおよびNiMoから選択される工程、ならびに
d)前記ジオレフィン枯渇蒸留物を、
大気圧下で180℃より低い温度で沸騰する少なくとも1つのナフサ留分、
任意には、大気圧下で180℃~360℃の間で沸騰する中間留分
を含む1または複数の留分と、
塔底留分と
に分離する工程
を含む方法。
【請求項2】
e)水素化ナフサを製造するために、水素および1または複数の水素処理触媒の存在下、前記工程d)の前記ナフサ留分を水素処理反応条件に付す工程
を含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記工程e)の前記水素処理反応条件が、280~350℃の温度および20~100barg、好ましくは20~50bargの圧力を含む請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記水素処理反応条件が、1~5h-1のLHSV、および、100~900Nm3/m3の水素/炭化水素比を含む請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記1または複数の水素処理触媒が、CoMoおよびNiMoから選択される請求項2~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記水素化ナフサをスチームクラッカーに供給する工程を含む請求項2~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
混和物を製造するために、前記工程d)の塔底留分と粗油とを混和する工程を含む請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記混和物を粗油蒸留ユニットに供給する工程を含む請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記工程d)の前記1または複数の留分が、大気圧下で180℃~360℃の間で沸騰する中間留分を含む請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記中間留分を粗油蒸留ユニットに供給する工程を含む請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記LWPが、廃プラスチック熱分解油および水熱液化廃プラスチック油またはそれらの混合物から選択される請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記LWPが、廃プラスチック熱分解油を含む請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
請求項2~12のいずれか1項に記載の方法にしたがって製造される水素化ナフサの、スチームクラッカーフィードとしての使用。
【請求項14】
粗油と請求項1記載の方法にしたがって得られる前記工程d)の前記塔底留分との混合物の、精油フィードとしての使用。
【請求項15】
粗油と請求項1記載の方法にしたがって得られる前記工程d)の前記中間留分との混合物の、精油フィードとしての使用。
【請求項16】
粗油と請求項1記載の方法にしたがって得られる前記工程b)の前記蒸留塔底物との混合物の、精油フィードとしての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化廃棄物ポリマー(LWP)を処理するための方法に関し、特には、ストリームストリッパーを利用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば廃プラスチック熱分解油(waste plastic pyrolysis oils、WPPO)および水熱液化廃プラスチック油(hydrothermally liquefied waste plastic oils)などの液化廃棄物ポリマー(liquefied waste polymers、LWP)の油蒸留ユニットを用いる処理は容易ではない。LWPはファウリングされやすく、および、非常に広い沸点の種々の成分を含む。原油蒸留ユニットにおいて、蒸留は可能ではあろうが、原油蒸留ユニットからの生成物は、通常、オレフィン系フィード用には設計されていないユニットへと導かれる。例えば、LWPに含まれるジオレフィンは、これらの成分を含まない原油由来のナフサ留分用に設計された水素化処理プロセスで問題を引き起こす可能性がある。
【0003】
LWPは、液化されるポリマー廃棄物の供給源に主に左右されるが、適用される液化技術にも左右される種々の元素の不純物を含む。例えば、ポリマー廃棄物の大規模な潜在的な発生源としてみなされているポストコンシューマ廃プラスチック(リサイクルされたコンシューマプラスチック)では、最も関連する不純物は窒素、酸素、硫黄および塩素であり、しかしながら、例えば臭素およびフッ素などの他のハロゲンも存在し得る。臭素を含む不純物は、主に、産業由来のポリマー廃棄物(例えば難燃剤などに由来する)中に含まれ得る。さらに、例えば添加物および汚染に由来するメタロイドなどの金属およびその他の不純物もまた、LWP中で検出され得る。これらの不純物は、LWPの直接的な利用に有害な影響を及ぼす。熱分解プロセスまたは水熱液化によって製造されるLWPは、通常、顕著な量のオレフィンおよび芳香族化合物を含んでおり、これらのそれぞれが、例えば高温での重合(またはコーキング)などのいくつかの下流プロセスにおいて問題を引き起こし得る。
【0004】
特許文献1は、使用済みの材料の解重合によって化学原料および液体燃料成分を回収するための、使用済みまたは廃棄物のプラスチック材料を処理するための方法であって、それらが汲み上げ可能な相および揮発性の相に変換される方法を開示している。揮発性の相が分離された後に残る汲み上げ可能な相は、液相水素化、ガス化、低温炭化、またはそれらのプロセスの組み合わせに付される。
【0005】
特許文献2は、廃プラスチックの最終的な石油化学製品への転換のための統合プロセスを開示している。プロセスは、水素化、および、スチームクラッカーの要件を満たす仕様への炭化水素ストリームの成分の脱塩素化を同時に提供する水素処理反応での運転を可能にする。
【0006】
特許文献3は、特許文献2と類似のプロセスを記載しているが、ポリッシングゾーンにおいて処理された炭化水素ストリームをさらに脱塩素化するオプションを有している。
【0007】
しかしながら、廃棄物ポリマーを処理するためのさらなる方法に対する必要性が依然として存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第5849964号明細書
【文献】国際公開第2016/142808号
【文献】米国特許出願公開第20160264874号明細書
【発明の概要】
【0009】
以下では、本発明の様々な実施形態のいくつかの側面について基本的な理解を提供するために、簡略化した要約を示す。この要約は、本発明の広範な概要ではない。また、本発明の重要な要素または決定的な要素を特定することや、本発明の範囲を描写することも意図されていない。以下の要約は、本発明の例示的な実施形態のより詳細な説明の前段階として、簡略化した形で本発明のいくつかの概念を提示するにすぎない。
【0010】
ナフサを含む留分が水蒸気ストリッパーを用いてLWPから分離された場合、LWP処理に関連するいくつかの問題が回避されうる、または少なくとも緩和され得ることが観察された。
【0011】
本発明にしたがい、液化廃棄物ポリマー(LWP)を処理するための新しい方法が提供され、ここで該方法は以下の工程を含む:
a)ジオレフィンおよびナフサを含むLWPストリームを提供する工程、
b)ジオレフィンおよびナフサを含む蒸留物ならびに蒸留塔底物を得るために、LWPストリームを水蒸気ストリッパーに付す工程、
c)ジオレフィン枯渇蒸留物を生成するために、水素および1または複数の水素化処理触媒の存在下、蒸留物を水素化処理反応条件に付す工程、ならびに
d)ジオレフィン枯渇蒸留物を、
大気圧下で180℃より低い温度で沸騰する少なくとも1つのナフサ留分、および任意には大気圧下で180℃~360℃の間で沸騰する中間留分を含む1または複数の留分と、
塔底留分と
に分離する工程。
【0012】
本発明にしたがい、スチームクラッカーフィードとしての水素化されたナフサの新たな使用がまた提供され、ここで該水素化されたナフサは、以下を含む方法によって製造される:
a)ジオレフィンおよびナフサを含むLWPストリームを提供する工程、
b)ジオレフィンおよびナフサを含む蒸留物ならびに蒸留塔底物を得るために、LWPストリームを水蒸気ストリッパーに付す工程、
c)ジオレフィン枯渇蒸留物を生成するために、水素および1または複数の水素化処理触媒の存在下、蒸留物を水素化処理反応条件に付す工程、
d)ジオレフィン枯渇蒸留物を、
大気圧下で180℃より低い温度で沸騰する少なくとも1つのナフサ留分、および任意には大気圧下で180℃~360℃の間で沸騰する中間留分を含む1または複数の留分と、
塔底留分と
に分離する工程、ならびに
e)水素および1または複数の水素処理触媒の存在下、工程d)のナフサ留分を水素処理反応条件に付す工程。
【0013】
本発明にしたがい、粗油と請求項1に記載の塔底留分との混合物の精油フィードとしての新たな使用もまた提供される。
【0014】
本発明にしたがい、粗油と請求項1に記載の中間留分との混合物の精油フィードとしての新たな使用もまた提供される。
【0015】
本発明の多数の例示的かつ非限定的な実施形態が、添付の従属請求項に記載されている。
【0016】
本発明の、および操作方法に対する様々な例示的かつ非限定的な実施形態は、その付加的な目的および利点とならんで、添付の図面と関連して読まれた場合、特定の例示的な実施形態の以下の説明から最もよく理解される。
【0017】
本明細書において、「含む(to comprise)」および「含む(to include)」という動詞は、言及されていない特徴の存在も排除したり、または要求したりするものではない開かれた限定として使用される。従属項に記載されている特徴は、他に明示的に記載されていない限り、相互に自由に組み合わせられ得る。さらに、本明細書を通じて、「一つの(a)」または「一つの(an)」、すなわち単数形の使用は、複数形を排除するものではないことが理解されるべきである。
【0018】
本明細書中で定義されるように、「水素処理(hydroprocessing)」とは、水素の反応が、例えば酸素、硫黄、窒素、リン、ケイ素および金属などの不純物を除去するため、炭素-炭素結合を飽和するため、炭素-炭素結合を切断するため、平均分子量を低下させるため、フィードの分子構造を組み替えるため、またはそれらの組み合わせのために使用される、水素化処理および水素化分解を含む一連の触媒化学技術プロセスを指す。
【0019】
本明細書中で定義されるように、「水素化処理(hydrotreating)」との用語は、水素の反応が、例えば酸素、硫黄、窒素、リン、ケイ素および金属などの不純物を除去するために、および/または、炭素-炭素結合を飽和するために、特には石油精製の一環として、使用される化学技術プロセスを指す。
【0020】
水素化処理は、1または複数のリアクターユニットまたは触媒床中で、1または複数の工程で行われ得る。
【0021】
本発明の例示的および非限定的な実施形態ならびにそれらの利点が、ジオレフィンを含む液化廃棄物ポリマー10を処理するための例示的な非限定的なフローチャートを示している添付の図面を参照して、以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、ジオレフィンを含む液化廃棄物ポリマー10を処理するための例示的な非限定的なフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、例えば廃プラスチック熱分解油などの液化廃棄物ポリマー(LWP)を処理するための方法に関する。本方法の原理が図1に示されている。従って、ジオレフィンを含むLWPストリーム10は、蒸留物20と蒸留塔底物30とが分離される水蒸気ストリッパー容器Aに供給される。蒸留物は、ジオレフィンおよびナフサを含み、一方、金属不純物は、主に、蒸留塔底物中に残存する。蒸留物は、ジオレフィン枯渇LWPストリーム40を製造するために水素化処理ユニットBに供給される。水素化処理反応が、水素および当該技術分野において周知の1または複数の水素化処理触媒の存在下、温和な、好ましくは液相条件下で実施される場合、主に、LWP中に存在するジオレフィンのみが還元される。ジオレフィンの選択的還元のための例示的な水素化処理反応の条件は、120~210℃の温度および1~50bargの圧力を含む。例示的な圧力は28.5bargである。液体時空間速度(LHSV)は、典型的には、1~5h-1、好ましくは4~4.5h-1である。例示的な水素/炭化水素比は、15Nm3/m3である。例示的な水素化処理触媒は、好ましくは担体に担持されている、NiMoおよびCoMoを含む。例示的な水素化処理触媒は、NiMo/Al23である。別の例示的な水素化処理触媒は、CoMo/Al23である。
【0024】
ナフサを含むジオレフィン枯渇蒸留物は、例えば蒸留ユニットCなどの分離ユニットに供給され、ここで、大気圧下で180℃より低い温度で沸騰する少なくとも1つのナフサ留分50と塔底留分70とを含む1または複数の留分が分離される。一実施形態において、蒸留は、大気圧下で180℃より低い温度で沸騰するナフサ留分50および大気圧下で180℃より高い温度で沸騰する物質を含む塔底留分70を製造する。
【0025】
別の実施形態において、蒸留は大気圧下で180℃より低い温度で沸騰するナフサ留分50と大気圧下で180℃~360℃の間で沸騰する中間蒸留物60とを生成する。本実施形態において、塔底留分70は、大気圧下で360℃より高い温度で沸騰する物質を含む。
【0026】
一実施形態において、蒸留は大気圧で行われる。別の実施形態において、蒸留は減圧下で行われる。さらに別の実施形態において、蒸留は過剰圧力下で行われる。
【0027】
好ましい実施形態において、ナフサ留分50は、水素処理ユニットDに供給される。水素処理は、好ましくは、ナフサ留分中の例えば塩素、酸素、硫黄および窒素などの残存するヘテロ原子を除去し、ならびに同時に、その中に存在するオレフィンおよび芳香族化合物の水素化を行うNiMo型およびCoMo型触媒を用いて行われる。ナフサの水素処理は、通常、水素の存在下、高温および高圧の気相中で行われる。例示的な水素処理反応条件は、280~350℃の温度、20~100barg、好ましくは20~50bargの圧力を含む。LHSVは、典型的には、1~5h-1であり、および、水素/炭化水素比は、100~900Nm3/m3、例えば360Nm3/m3などである。例示的な非限定的な水素処理触媒は、CoMo/Al23およびNiMo/Al23である。生成物は水素化ナフサ留分80である。
【0028】
スチームクラッカーが、フィードのオレフィン系、芳香族およびヘテロ原子の含有量に関する仕様を有していることは周知である。従って、水素化ナフサ留分80は、スチームクラッカーEのフィードとして適切である。
【0029】
LWPは、石油精製所において粗油と一緒に処理され得る。しかしながら、粗油蒸留ユニットからの生成物は、通常、オレフィン系フィード用に設計されていないユニットへと導かれるため、オレフィン系成分、および特にはジオレフィンが存在していないことは有益である。前述の制限は、直留ナフサの処理用に設計されているナフサ水素処理ユニットの場合に特に関連する。このようなユニットは、通常、気相で操作され、そして、全体的な発熱、すなわち化学反応によって放出される熱に起因してリアクター内部で起こる温度上昇が制限される。このようなリアクターにオレフィン系フィードを添加することは、全体の発熱量における実質的な増加をもたらし得、これは、結果として水素処理触媒の寿命を短くし得る。従って、製油所での共処理の前にLWPからナフサ留分を除去することは、製油所の観点からも有益である。中間蒸留物および例えば重質ガスオイルまたは真空ガスオイルなど用に設計された水素処理ユニットはまた、例えばビスブレーキングユニットまたはディレードコーキングユニットなどからの熱分解フィードの処理にも使用されるため、精製所でのより重質なLWP留分の共処理は、ナフサ留分と比較して問題が少ない。
【0030】
特定の実施形態において、塔底留分70は、混和物100を製造するために、例えば混合ユニットF中で粗油90と混和され、これは次いで粗油蒸留ユニットGに供給され、そこで混和物は1または複数の蒸留ストリーム110、120に分離される。
【0031】
別の実施形態において、中間留分60は、混和物を製造するために、例えば混合ユニットH中で粗油90と混和され、これは次いで粗油蒸留ユニットIに供給され、そこで混和物は1または複数の蒸留ストリーム140、150に分離される。
【0032】
別の実施形態において、蒸留塔底物30は、混和物160を製造するために、例えば混合ユニットJ中で粗油90と混和され、これは次いで粗油蒸留ユニットHに供給され、そこで混和物は1または複数の蒸留ストリーム170、180に分離される。
【0033】
別の実施形態において、本発明は、ジオレフィンを含むLWPから製造される水素化ナフサのスチームクラッカーフィードとしての使用に関する。スチームクラッカーフィードは、以下の工程を含む方法によって製造される:
a)ジオレフィンおよびナフサを含むLWPストリームを提供する工程、
b)ジオレフィンおよびナフサを含む蒸留物ならびに蒸留塔底物を得るために、LWPストリームを水蒸気ストリッパーに付す工程、
c)ジオレフィン枯渇蒸留物を生成するために、水素および1または複数の水素化処理触媒の存在下、蒸留物を水素化処理反応条件に付す工程、
d)ジオレフィン枯渇蒸留物を、
大気圧下で180℃より低い温度で沸騰する少なくとも1つのナフサ留分、および任意には大気圧下で180℃~360℃の間で沸騰する中間留分を含む1または複数の留分と、
塔底留分と
に分離する工程、ならびに
e)水素および1または複数の水素処理触媒の存在下、ナフサ留分を水素処理反応条件に付す工程。
【0034】
本発明の方法は、例えば廃プラスチック熱分解油(WPPO)および水熱液化廃プラスチック油などの種々のタイプの液化廃棄物ポリマーおよびそれらの混合物を処理するために適切である。一実施形態において、液化廃棄物ポリマーはWPPOを含む。別の実施形態において、液化廃棄物ポリマーは、水熱液化廃プラスチック油を含む。
【0035】
LWPを処理するための方法における水蒸気ストリッパーの使用は、以下の優位点を有している。
カラム内でジオレフィンによって引き起こされるファウリングが減少される。
水蒸気ストリッピングは、LWP中に存在する金属の大部分を蒸留塔底物に蓄積させ、これゆえ、ナフサ中の低い金属含有量を実現している。これにより、ジオレフィン除去触媒が保護され、その寿命が延長される。
工程b)の蒸留塔底物、ならびに、工程d)の塔底留分および任意の中間留分は、主にジオレフィンを含まないため、粗油と混合され得、および石油精製におけるフィードとして使用され得る。
【0036】
上記の説明で提供された具体例は、添付の特許請求の範囲の範囲および/または適用可能性を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1