(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】収納装置
(51)【国際特許分類】
A47F 10/02 20060101AFI20240405BHJP
A47G 29/20 20060101ALI20240405BHJP
F25D 23/02 20060101ALI20240405BHJP
F25D 13/02 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
A47F10/02
A47G29/20
F25D23/02 303H
F25D23/02 301C
F25D23/02 306J
F25D13/02
(21)【出願番号】P 2020165343
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高野 樹
(72)【発明者】
【氏名】根岸 正樹
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-274929(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0041122(US,A1)
【文献】実開昭48-109554(JP,U)
【文献】実開平02-085985(JP,U)
【文献】実開昭56-026384(JP,U)
【文献】実開昭54-036864(JP,U)
【文献】実開昭54-060763(JP,U)
【文献】米国特許第05193892(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 1/00-13/08
F25D23/00-23/12
A47G29/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に開口する開口部を有する筐体と、
前記筐体内に形成され物品を収容可能な収容室と、
前記収容室の前面に配置され、幅方向に延びる仮想軸を中心に回動可能に支持されて前記収容室の前面を開閉可能に閉塞する収容室の扉と、
を備えた収納装置であって、
前記収容室の扉は、前記収容室を開放する開放位置と、前記収容室を閉塞する閉塞位置との間を回動可能に支持され、
前記収容室の扉は、
前記収容室の扉の重心が、前記仮想軸を通過する重力方向に延びる仮想線
よりも前記筐体の開口部側にある場合に、前記閉塞位置に向けて自重で回動し、前記重心が前記仮想線よりも前記筐体の背面側にある場合に、前記開放位置に向けて自重で回動するように構成されている、
ことを特徴とする収納装置。
【請求項2】
前記収容室の扉は、幅方向に延びる扉本体部と、前記扉本体部を支持し前記
仮想軸から径方向に延びる側壁部とを備え、
前記収容室の扉は、前記閉塞位置に移動した場合に前記収容室の前面に配置され、前記開放位置に移動した場合に前記収容室の内部上方に配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の収納装置。
【請求項3】
前記収容室の扉に設けられたロック部材と、
前記ロック部材に係脱可能に係合する電動ロック機構と、
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の収納装置。
【請求項4】
前記開口部を上下方向に延びて区分けする枠体を備え、
前記電動ロック機構は、前記枠体の背面側に配置されることを特徴とする請求項3に記載の収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、物品を保存、特に冷蔵、冷凍保存可能な収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、物品を冷蔵、冷凍保存可能な自動販売機を開示する。この自動販売機は、外扉と、外扉の内側に配置され、各商品収納室の前面を開閉可能に閉塞する小扉とを備える。小扉は上部に幅方向に延びる回転中心を有し、商品収容室の前面を閉塞したり、商品収容室の前方側に持ち上げられて商品収容室の前面を開放する構成が記載されている。特許文献1の小扉は自重で商品収容室の前面を閉塞する位置に回動可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、物品の出し入れがし易い自重で回動する扉を備えた収納装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における収納装置は、前面に開口する開口部を有する筐体と、前記筐体内に形成され物品を収容可能な収容室と、前記収容室の前面に配置され、幅方向に延びる仮想軸を中心に回動可能に支持されて前記収容室の前面を開閉可能に閉塞する収容室の扉と、を備える。前記収容室の扉は、前記収容室を開放する開放位置と、前記収容室を閉塞する閉塞位置との間を回動可能に支持される。前記収容室の扉は、前記収容室の扉の重心が、前記仮想軸を通過する重力方向に延びる仮想線よりも前記筐体の開口部側にある場合に、前記閉塞位置に向けて自重で回動し、前記重心が前記仮想線よりも前記筐体の背面側にある場合に、前記開放位置に向けて自重で回動するように構成されている。
【発明の効果】
【0006】
本開示における収納装置は、幅方向に延びる軸を中心に回動可能な収容室の扉は、閉塞位置から開放位置に回動する場合に、軸を通過する重力方向に延びる仮想線を越えるため、開放位置に移動した場合には、モーメントの作用により、自重で開放位置側に回動しようとする。そのため、開放位置に収容室の扉を自重で保持することが可能であり、作業者が収容室の扉を開放位置に保持しながら作業する場合に比べて、物品の出し入れをし易くできる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】実施の形態1における収納装置から外扉の図示を省略した斜視図
【
図3】実施の形態1における収納装置の内部構造の斜視図
【
図4】実施の形態1における右側の内扉ユニットの斜視図であり、内扉が閉塞位置に移動した状態を示す図
【
図5】実施の形態1における右側の内扉ユニットの斜視図であり、内扉が開放位置に移動した状態を示す図
【
図6】実施の形態1における収納装置の縦断面図であり内扉の回動状態を示す図
【
図7】実施の形態1における右側の内扉ユニットを左右内側から見た斜視図であり、内扉が閉塞位置に移動した状態を示す図
【
図8】実施の形態1における右側の内扉ユニットを左右内側から見た斜視図であり、内扉が閉塞位置に移動した状態を示す図
【
図9】実施の形態1における電動ロック機構の模式図
【
図10】実施の形態1における収納装置管理システムの概略構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、外扉の内側に配置され、各商品収納室の前面を開閉可能に閉塞する小扉について、手作業で小扉を開放位置に移動させる構成が知られている。手作業で小扉を開放させる構成は簡素な構造である一方で、物品の取り出し時には小扉を手作業で開放し続けねばならず、物品を取り出し難いと言う課題を発明者らは発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
そこで本開示は、物品の出し入れがし易い自重で回動する扉を備えた収納装置を提供する。
【0009】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0010】
(実施の形態1)
以下、
図1~
図9を用いて、実施の形態1を説明する。
[1-1.構成]
[1-1-1.収納装置の構成]
図1は、実施の形態1における収納装置1の斜視図である。
収納装置1は、内部に収められた物品を常温、または所定温度下で保管可能な冷蔵・冷凍用の収納装置である。収納装置1は、物品を陳列して販売するための販売用ショーケースとして用いたり、物品受け取り用のロッカーとして使用可能である。収納装置1は、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗等に設置される。
【0011】
収納装置1は、断熱壁を備えた箱状の筐体2を備える。筐体2は、下部の機械室3と、機械室3の上方の貯蔵室4とを備える。
機械室3には、圧縮機、凝縮器、膨張器、蒸発器等の冷凍回路を構成する装置が収められており、これらの装置が駆動することによって、貯蔵室4の温度調節が行われる。
【0012】
貯蔵室4の前面には、前方に開口する開口部4Aが形成されている。開口部4Aは、幅方向一対の外扉(開口部の扉)5、6で開閉可能に閉塞される。外扉5、6は、それぞれ、開口部4Aの左右外端で、上下端がヒンジで回動可能に支持されている。外扉5、6は、いわゆる、観音開きである。
外扉5、6は、矩形状の枠体5A、6Aと、枠体5A、6Aに嵌め込まれた透明板5B、6Bと、外扉5、6が閉じた際に外扉5、6同士の近接する部位に設けられた取っ手5C、6Cとを備える。収納装置1は、外扉5、6を閉じた状態で、透明板5B、6Bを介して外部から貯蔵室4の内部を視認可能に構成されている。
【0013】
右側の外扉6の前面には、作業者、利用者への入力部及び表示部として機能するタッチパネル7が設けられている。タッチパネル7は、各種の情報が表示されるとともに、表示された情報の部位に触れることによって、収納装置1の設定情報など、各種の情報を入力することが可能に構成される。
タッチパネル7の下方には、作業者、利用者の認証処理を実行するための認証情報を取得する取得部8が設けられている。取得部8は、例えば、作業者などが所持する携帯情報端末(スマートフォン等)から作業者の認証情報を取得する。認証情報に基づいて、外扉5、6の電子錠(
図1では不図示)が開錠、施錠される。
【0014】
図2は、実施の形態1における収納装置1から外扉5、6の図示を省略した斜視図である。
筐体2は、背面の断熱壁20と、左右の断熱壁21、22と、上下の断熱壁23、24と、上下の前面壁25、26とを有する。
下側の前面壁26の上部には、板状のデッキパン27が配置される。デッキパン27により、筐体2内が上下に区分けされる。筐体2内において、デッキパン27の下方に、機械室3が形成される。また、デッキパン27の上方に貯蔵室4が形成される。左右の断熱壁21、22と、上下の前面壁25、26との囲み形状により、貯蔵室4の前面で開口する開口部4Aが形成される。
【0015】
デッキパン27の後部には、上方に延びる不図示の冷気送風用パイプと空気回収用パイプが設けられる。機械室3で冷却された冷気は冷気送風用パイプで貯蔵室4の上方に送られ、上方のファン(図示せず)で貯蔵室4に導入される。貯蔵室4に導入された冷気は貯蔵室4を冷却した後に空気回収用パイプで機械室3に戻る。冷気は筐体2内を循環可能である。
【0016】
図3は、実施の形態1における収納装置1の内部構造の斜視図である。
貯蔵室4の四隅には、
図3に示すように、上下方向に延びる支柱フレーム41がそれぞれ配置される。貯蔵室4の幅方向中央部には、上下方向に延びる支柱フレーム、いわゆる、センターピラー42が配置される。センターピラー42は貯蔵室4の前後に一対配置される。センターピラー42により、貯蔵室4は、左側の貯蔵室4L(
図2参照)と、右側の貯蔵室4R(
図2参照)に区分けされる。左右の貯蔵室4L、4Rにおいて、センターピラー42と支柱フレーム41との間には、網板状の複数の網棚43(
図3参照)が支持される。網棚43は、上下方向に所定の間隔を空けて配置される。これにより、各貯蔵室4L、4Rには、網棚43を底部とする複数の収容室44(
図3参照)が形成される。収容室44には、物品を配置可能である。本実施形態では、収容室44は、左右方向に2列、上下方向に6段、形成されるが、収容室44の数は適宜の数に構成可能である。
【0017】
図4は、実施の形態1における右側の内扉ユニット51の斜視図であり、内扉61が閉塞位置に移動した状態を示す図である。
図5は、実施の形態1における右側の内扉ユニット51の斜視図であり、内扉61が開放位置に移動した状態を示す図である。
図6は、実施の形態1における収納装置1の縦断面図であり内扉61の回動状態を示す図である。なお、
図6において、最上段の内扉61は開放位置に移動した状態を示し、最下段の内扉61は閉塞位置に移動した状態を示し、中段の内扉61は開放位置と閉塞位置との間の回動状態を示している。
【0018】
左右の貯蔵室4L、4Rの各収容室44には、内扉ユニット51が配置される。内扉ユニット51は、左側の貯蔵室4Lと右側の貯蔵室4Rとでその構成が略左右対称に構成されているが、基本的な構成は同様であるため、以下では、右側の内扉ユニット51について説明する。
【0019】
図4,
図5に示すように、内扉ユニット51は、左右方向に延びる板状のトッププレート52を有する。トッププレート52の左右両端には、矩形板状のサイドプレート53、54が支持されている。左右のサイドプレート53、54には、前後方向に延びる連結フレーム56、57が接続されている。
図3に示すように、左右内側の連結フレーム56は、前後のセンターピラー42に支持される。左右外側の連結フレーム57は、前後の支柱フレーム41に支持される。これにより、内扉ユニット51が収容室44に配置される。トッププレート52、左右のサイドプレート53、54、および、網棚43が形成する囲み形状により、収容室44の前面開口44Aが形成される。
【0020】
前面開口44Aには、内扉(収容室の扉)61が配置される。内扉61は、左右方向に矩形状に延びる扉本体部62を備える。扉本体部62の左右内端には後方に延びる内側の側壁部(
図5参照)63が形成される。扉本体部62の左右外端には、後方に延びる外側の側壁部(
図4参照)64が形成されている。
内側の側壁部63および外側の側壁部64は、台形板状に形成されており、内扉61が閉じた状態で下縁63A、64Aが収納装置1の後方に進むにしたがって上方に傾斜している。収納装置1の内側の側壁部63および収納装置1の外側の側壁部64の後端部は、左右に延びる回動軸53A、54Aに回動可能に支持される。回動軸53A、54Aはサイドプレート53、54に支持されている。回動軸53A、54Aは同一の軸線上に配置される。内扉61は回動軸53A、54Aを回動中心(仮想軸)L0として回動可能に支持される。
【0021】
よって、内扉61は、前面開口44Aを閉塞する
図4に示す閉塞位置と、前面開口44Aを開放する
図5に示す開放位置との間を回動軸53A、54Aを中心に回転移動する。内扉61は、移動方向の径方向に延びる内側の側壁部63および外側の側壁部64で回動可能に支持されるため、開放位置に移動した場合には収容室44の上方に内扉61が配置され、内扉61がトッププレート52の下面に対向した状態で収容室44に収容可能である。
【0022】
内扉ユニット51のサイドプレート53、54の内面には、回動軸53A、54Aの前下方に対応して、ストッパピン53B、54Bが支持されている。ストッパピン53B、54Bは、側壁部63、64に対して収容室44の内側に向かって突出する。ストッパピン53B、54Bは、同一の軸線上に配置されている。ストッパピン53B、54Bは、内扉61の下縁63A、64Aに接触した場合に、内扉61が自重で回動することを規制する。これにより、内扉61は、収容室44の前面開口44Aを閉塞する閉塞位置に保持される。
【0023】
扉本体部62の下部には、幅方向に延びる把持部62Aが形成されている。
図6に示すように、把持部62Aは、側面視で、下方に進むに連れて前方に傾斜している。把持部62Aは、
図6の下段で示されるように、閉塞位置では前面開口44Aよりも前方に突出している。把持部62Aは、左右方向に矩形状に形成されており、その左右中央部には凹むように切り欠かれた切り欠き部62A1が形成されている。切り欠き部62A1を通じて把持部62Aの内面側に触れることが可能である。
【0024】
把持部62Aは、収容室44の前面開口44Aの下方まで十分に長く延びており、前面開口44Aを閉塞する。把持部62Aは、回動軸53A、54Aの移動方向の径方向において、把持部62Aの先端から回動軸53A、54Aまでの距離が、
回動軸53A、54Aから外扉5、6の内端L1までの距離よりも小さくなっている。よって、仮に外扉5,6が閉じた状態で内扉61が回動しても、
図6の中段に示すように、内扉61が外扉5、6に接触しない。これにより振動などで自然に内扉61に力が加わり、開放位置から閉塞位置に移動しても外扉6に傷などの負荷を与えない構造となっている。
把持部62Aは、開放位置に移動した場合に、トッププレート52に接触し、内扉61が自重で回動することを規制する。これにより、内扉61は前面開口44Aを開放する開放位置に保持される。
【0025】
図7は、実施の形態1における右側の内扉ユニット51を左右内側から見た斜視図であり、内扉61が閉塞位置に移動した状態を示す図である。
図8は、実施の形態1における右側の内扉ユニット51を左右内側から見た斜視図であり、内扉61が開放位置に移動した状態を示す図である。
左右内側のサイドプレート53には、サイドプレート53を厚み方向に貫通する弧状孔53Cが形成されている。弧状孔53Cは、回動軸53Aを中心とする円弧状に形成されている。弧状孔53Cには、左右方向に延びる接続軸53Dが配置される。接続軸53Dは、弧状孔53Cを通じて、内扉61の内側の側壁部63に固定される。
【0026】
接続軸53Dの左右方向内端側には、屈曲板状のロック部材66が固定される。ロック部材66は、サイドプレート53に沿って延びる固定部67と、固定部67の上端から左右方向内側に延びる係合板部68と、係合板部68の左右方向内端から下方に屈曲するガイド部69とを備える。
【0027】
ロック部材66の固定部67は、後端部が回動軸53Aに回動可能に支持される。また、固定部67は、前端部では接続軸53Dに接続される。したがって、ロック部材66は、回動軸53Aを回動中心L0として回動可能であると共に、接続軸53Dを介して内扉61と一体に回動可能である。
【0028】
ここで、
図6に示すように、回動軸53A、54Aを通過する重力方向に延びる仮想線を重心線L2とする。この場合に、内扉61の重心61G、すなわち、一体に回動する内扉61とロック部材66との全体の重心61Gは、内扉61が閉塞位置から開放位置に移動する場合に、重心61Gが、重心線L2を越えるように設定される。すなわち、内扉61は、重心線L2よりも重心61Gが前側にある場合には、閉塞位置に向けて自重で回動し、重心線L2よりも重心61Gが後側にある場合には、開放位置に向けて自重で回動するように構成されている。
【0029】
図9は、実施の形態1における電動ロック機構71の模式図である。
ロック部材66の後上方側には、電動ロック機構71が配置される。電動ロック機構71は電装フレーム81を介してサイドプレート53に固定される(
図7、
図8参照)。電動ロック機構71は、円柱状の電磁石本体72を有する。電磁石本体72は、筐体フレーム73に固定される。筐体フレーム73は断面L字状に形成されており、基部73Aと、基部73Aの上端から左右方向に屈曲して延出する延出部73Bとを備える。基部73Aには、電磁石本体72の底部72Aが固定される。延出部73Bは、電磁石本体72の円柱形状側面に沿って配置され、電磁石本体72の軸方向に延出する。延出部73Bの先端には、平板状のストッパ板74がヒンジ機構75により揺動可能に支持される。ストッパ板74は、磁力で吸着可能な材料で製造されており、例えば、鉄製である。ストッパ板74は、電磁石本体72の磁力による吸着部72Bに対向した状態で配置される。ストッパ板74は、吸着部72Bに対して接近離間可能に揺動可能に支持される。
【0030】
ストッパ板74の基端部には、付勢部材の一例としての引張ばね76の一端が連結される。引張ばね76の他端は、筐体フレーム73の基部73Aに連結される。引張ばね76は弾性変形した状態で、ストッパ板74と、筐体フレーム73との間に配置される。
電磁石本体72がOFFで非通電の場合には、引張ばね76の弾性力によりストッパ板74の基部が引っ張られるため、ストッパ板74の先端部側が電磁石本体72の吸着部72Bから離間する。よって、電磁石本体72がOFFで非通電の場合には、ストッパ板74は、
図9の実線で示すロック位置に移動する。また、電磁石本体72がONにされ通電された場合には、電磁力により、ストッパ板74が引張ばね76の弾性力に抗して吸着部72Bに吸着され、
図9の破線で示す解除位置に移動する。
【0031】
ストッパ板74の先端側には、ストッパ板74の辺の両端部に対応して、前後一対の突出部74Aが形成されている(
図7参照)。突出部74Aは、ストッパ板74がロック部材66の係合板部68に対して後上方に進入可能に配置される。ストッパ板74は、係合板部68の辺の両端側で当接可能であり、係合板部68に点で当接可能な場合に比べて幅広に当接可能である。
電動ロック機構71のストッパ板74は、電磁石本体72のONにより、ロック部材66の回動領域から退避し、電磁石本体72のOFFにより、ロック部材66の回動領域に進入可能に構成されている。
本実施形態の電動ロック機構71は、ストッパ板74を引張ばね76と電磁石本体72で移動させる、いわゆる、ソレノイドである。
【0032】
電動ロック機構71は、電装フレーム81に固定される。電装フレーム81は、折り曲げ板状のフレームである。電装フレーム81は、内扉ユニット51のセンターピラー42に固定される上部延出部82を有する。上部延出部82は左右方向内側に向かって延出している。上部延出部82の左右内端には、下方に延びる板状のソレノイド固定部83が形成されている。ソレノイド固定部83の下端には、内扉61側に階段状に屈曲して下方に延びる下部延出部84が形成されている。下部延出部84の左右方向内側にロック部材66が配置される。電装フレーム81において、ソレノイド固定部83が最も左右方向内側に突出している。ソレノイド固定部83は、サイドプレート53に対して、センターピラー42の左右幅の半分よりも小さい突出量に設定されている。
【0033】
下部延出部84には、左右幅を有し下方に延びる第2電装フレーム91が固定されている。第2電装フレーム91の前面には、案内灯92が支持されている。案内灯92は、例えば、LED(Light Emitting Diode)光源により構成される。例えば、物品受け取り時に、物品の収容された収容室44の案内灯92が点灯することにより、対象の物品の収容室44が作業者に示すことが可能である。
【0034】
電装フレーム81と第2電装フレーム91とは、前後のセンターピラー42の間に配置されるため、デッドスペースとなり易い前後のセンターピラー42間のスペースを有効利用できる。
【0035】
[1-1-2.収納装置管理システムの構成]
図10は、実施の形態1における収納装置管理システム100の概略構成を示す図である。
収納装置管理システム100は、収納装置1を管理するための情報を処理するシステムである。収納装置管理システム100は、収納装置1と、収納装置管理サーバ110と、決済ゲートウェイサーバ112とを備える。本実施形態では、これらの収納装置1と各サーバとがそれぞれ1台ずつ設けられる場合を説明するが、これに限らず、収納装置管理システム100が管理する機器は、いずれも複数設けられてもよい。
【0036】
本実施の形態の収納装置管理システム100において、収納装置1は、コンビニエンスストアや売店といった店舗施設105に設置される。
収納装置管理サーバ110は、各収容室44に物品が収められるか否か、すなわち収納装置1の在庫状況を保存するサーバである。また、収納装置管理サーバ110は、価格や各収容室44に収められた日付等といった収容室44に収められる物品に関わる各種の情報、及び収納装置1を操作可能な資格情報等を保存する。
【0037】
決済ゲートウェイサーバ112は、金融機関や決済サービス事業者等が運営する決済サーバであり、当該決済ゲートウェイサーバ112は、例えば、銀行口座からの引き落とし、クレジットカード決済、電子マネーや仮想通貨による物品の対価の決済等を実行する。
【0038】
収納装置管理システム100は、収納装置1の内部に収められた物品を購入する利用者Uが所持する利用者所持端末114や作業者Sが所持する作業者所持端末116が接続可能に構成される。利用者所持端末114と作業者所持端末116とは、データ通信機能を備え、収納装置1、及び上述した各サーバとの間でデータ通信を実行する。
利用者所持端末114と作業者所持端末116とは、決済ゲートウェイサーバ112と通信して物品の決済処理が可能な携帯端末であり、当該利用者所持端末114、及び作業者所持端末116は、例えば、携帯電話やスマートホン、タブレット等である。これらの利用者所持端末114、及び作業者所持端末116では、収納装置管理システム100に係る所定のアプリケーションプログラムが実行可能となる。本実施の形態では、これらの利用者所持端末114、及び作業者所持端末116は、認証情報である二次元コードを表示可能に構成される。
なお、収納装置管理システム100が含む利用者所持端末114、及び作業者所持端末116の数は、特に制限されない。
【0039】
通信ネットワーク120は、収納装置1や収納装置管理サーバ110等の収納装置管理システム100が含む各機器を相互にデータ通信可能に接続する。通信ネットワーク120は、公衆回線網、専用線、各種の無線通信回線を含んでもよく、サーバ、ルータ、無線通信アクセスポイント等の機器を含んでもよい。収納装置管理システム100が含む各機器と通信ネットワーク120との接続は、無線であってもよいし、有線であってもよい。
【0040】
上述の通り、収納装置1は、通信部として機能する制御装置95を備える。すなわち、制御装置95は、通信ネットワーク120を介して収納装置管理システム100が有する各サーバや端末に情報を送受可能に構成されている。
制御装置95は、収納装置管理サーバ110と通信を行うことによって、各収容室44に収められた物品に関する情報や、貯蔵室4における物品の在庫状況を送受する。
制御装置95は、物品が購入される場合に、決済ゲートウェイサーバ112に決済要求をし、また、決済ゲートウェイサーバ112から送られた各種の信号を処理する。
なお、制御装置95は、CPUやMPUなどのプロセッサと、ROMやRAMなどのメモリデバイスとを有したコンピュータを備え、収納装置1の各部を制御する。
制御装置95は、メモリデバイスに記録されたプログラムをプロセッサが実行することで、収納装置1の各部を制御する制御部として機能する。
【0041】
[1-2.動作]
以上のように構成された収納装置1について、その動作を以下説明する。
収納装置1には、外扉5、6が閉じた状態で物品が収容される。取得部8を介して作業者の認証情報が認証されると、外扉5、6が開錠され、外扉5、6が開放可能となる共に、作業者が対象とする物品の内扉ユニット51が制御される。
すなわち、対象の物品の内扉ユニット51では、案内灯92が点灯して、対象の収容室44が作業者に案内される。また、電動ロック機構71が作動して、対象の内扉61が開錠される。
【0042】
内扉ユニット51では、内扉61は閉塞位置に保持されている。作業者が内扉61の把持部62Aを掴むなどして、内扉61を上方に回動させることにより開放位置に移動可能となる。このとき、内扉61の重心61Gが、重心線L2を越えて開放位置に移動する。このため、作業者が内扉61から手を離したとしても、モーメントにより、把持部62Aがトッププレート52に接触した状態に保持され、内扉61が自重で開放位置に保持される。よって、作業者が手を触れ続けなくても内扉61を開放させた状態を維持することができ、作業者は、物品を取り出し易くなっている。
【0043】
物品を取り出した後に、作業者が内扉61を開放位置から閉塞位置に移動させる場合には、内扉61の重心61Gが重心線L2を越える。このため、作業者が手を離したとしても、内扉61の下縁63A、64Aがストッパピン53B,54Bに接触した状態に保持され、内扉61が自重で閉塞位置に保持される。
ここで、所定の作業終了条件が満たされたと収納装置1に判別された場合には、電動ロック機構71がOFFにされる。電動ロック機構71がOFFにされると、閉塞位置に移動したロック部材66の後方に、ストッパ板74が引張ばね76の弾性力により進入する。よって、内扉61を開放しようとしても、ロック部材66がストッパ板74に当接して移動が規制されるため、内扉61は移動できない施錠された状態となる。
【0044】
また、作業者が内扉61を閉塞位置に移動させず、内扉61が開放位置に移動した状態で、電動ロック機構71がOFFにされた場合には、ストッパ板74の側面がロック部材66のガイド部69の側面に面接触状態で接触する。よって、ストッパ板74がロック部材66の回動領域には進入できないため施錠されない。この場合、内扉61を閉塞位置に移動させることは可能であり、ストッパ板74とガイド部69とを接触させた状態のまま、内扉61を閉塞位置に移動させることが可能である。内扉61が閉塞位置に移動した場合には、ロック部材66が閉塞位置に移動するため、ストッパ板74がロック部材の後方に進入して内扉61が施錠される。
【0045】
また、作業者が内扉61を閉じずに外扉5、6を閉めようとしても、
図6の上段で示すように、内扉61は収容室44の内部上方に保持されるため、内扉61と外扉5,6とは干渉しない。よって、外扉5、6を閉じることが可能である。なお、
図6の下段で示すように内扉61が閉塞位置に移動している場合には、外扉5、6を閉じることができる。よって、内扉61は自重で回動する簡易な構成でありながら、作業者が内扉61から手を放す等した場合には、内扉61は開放位置と閉塞位置とのいずれかに移動するため、内扉61と干渉することなく、外扉5、6を閉めることができるようになっている。
【0046】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、収納装置1は、冷媒回路を備え、前面に開口する開口部4Aを有する筐体2と、筐体2内に形成され物品を収容可能な収容室44と、収容室44の前面に配置され、幅方向に延びる回動中心L0を有する軸53A、54Aを中心に回動可能に支持されて収容室44の前面を開閉可能に閉塞する内扉61と、を備える。内扉61は、収容室44を開放する開放位置と、収容室44を閉塞する閉塞位置との間を回動可能に支持される。内扉61は、閉塞位置から開放位置に回動する場合に、軸53A、54Aを通過する重力方向に延びる重心線L2を越える位置に重心61Gが設定されている。これにより、重心線L2に対して、閉塞位置と開放位置とで重心61Gの位置が異なるため、モーメントの作用により、自重で閉塞位置と開放位置との一方に回動させることできる。このため、内扉61が開放位置に移動した場合には内扉61の自重で開放位置に保持可能であり、作業者が内扉61を開放位置に保持しながら作業する場合に比べて、物品の出し入れをし易くできる。
【0047】
本実施形態のように、収納装置1は、筐体2に支持され開口部4Aを開閉可能に閉塞する外扉5、6を備える。内扉61は、幅方向に延びる扉本体部62と、扉本体部62を支持し軸53A、54Aから径方向に延びる側壁部63、64とを備える。内扉61は、閉塞位置に移動した場合に収容室44の前面に配置され、開放位置に移動した場合に収容室44の内部上方に配置されてもよい。これにより、内扉61が保持される場合の配置スペースを外扉5、6と収容室44との間に確保する必要がないため、内扉61が開放位置または閉塞位置に移動した状態で、外扉5、6を閉めることができる。このため、内扉61を収容室44の外側で開閉させる構成に比べて、収容室44を外扉5,6に近接できる程度の大きさにして収容室44の載置容量を確保し易くできる。
【0048】
また、本実施形態のように、内扉61に設けられたロック部材66と、ロック部材66に係脱可能に係合する電動ロック機構71と、を備えてもよい。このため、電動制御により、内扉61をロックできる。
【0049】
また、本実施形態のように、開口部4Aを上下方向に延びて区分けするセンターピラー42を備え、電動ロック機構71は、センターピラー42の背面側に配置されてもよい。このため、デッドスペースとなり易いセンターピラー42の背面側に、電動ロック機構71を配置することで、センターピラー42の背面側のスペースを有効利用できる。また、収容室44の内部に電動ロック機構71が配置されないため、収容室44の載置容量を確保し易くできる。
【0050】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
【0051】
実施の形態1では、外扉5、6を有する収納装置1を説明し、収納装置1は外扉5,6を有することが望ましいが、外扉5、6はなくてもよい。
実施の形態1では、外扉5、6を左右に一対有する収納装置1を説明したが、外扉の数は1つや、3つ以上でもよい。
実施の形態1では、電動ロック機構71の一例として、いわゆる、ソレノイドの構成を説明したが、電動モータなどを利用してもよい。
実施の形態1では、内扉61が閉塞状態から回転駆動により上方向に移動する例を説明したが、閉塞状態から下方向に移動するものであってもよい。また内扉が閉塞状態から上方向に移動する内扉ユニットと内扉が閉塞状態から下方向に移動する内扉ユニットとを備える収納装置であってもよい。
【0052】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本開示は、冷蔵、冷凍が必要な物品を陳列して販売する販売用ショーケースや、そのような物品の受取用のロッカーなどの収納装置に、適用可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 収納装置
2 筐体
4A 開口部
5 外扉(開口部の扉)
6 外扉(開口部の扉)
42 センターピラー(枠体)
44 収容室
61 内扉(収容室の扉)
61G 重心
62 扉本体部
63 側壁部
64 側壁部
66 ロック部材
71 電動ロック機構
L0 回動中心(仮想軸)
L2 重心線(仮想線)