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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/52 20230101AFI20240405BHJP
   G03B 17/55 20210101ALI20240405BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
H04N23/52
G03B17/55
H05K7/20 B
H05K7/20 G
H05K7/20 H
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021118405
(22)【出願日】2021-07-19
(62)【分割の表示】P 2021035600の分割
【原出願日】2021-03-05
(65)【公開番号】P2022135869
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2022-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】天野 拓也
【審査官】吉川 康男
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-057890(JP,A)
【文献】特開2020-113889(JP,A)
【文献】国際公開第2021/049144(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0261763(US,A1)
【文献】特開2004-363525(JP,A)
【文献】国際公開第2019/242697(WO,A1)
【文献】特開2013-098430(JP,A)
【文献】特開2017-156021(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/52
H05K 7/20
G03B 17/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気が流れるダクトと、
前記ダクト内に空気の流れを発生させるファンと、
前記ダクト外に配置された第1の冷却対象と、
前記第1の冷却対象の熱を吸収し、前記ダクト内に露出する複数の第1のフィンを備える第1のヒートシンクと、
前記ダクト外に配置された第2の冷却対象と、
前記第2の冷却対象の熱を吸収し、前記ダクト内に露出する複数の第2のフィンを備える第2のヒートシンクと、
前記ダクト外に配置された第3の冷却対象と、
前記第3の冷却対象の熱を吸収し、前記ダクト内に露出する複数の第3のフィンを備える第3のヒートシンクと、を有し、
前記第1のフィン、第2のフィン、および第3のフィンのそれぞれが、前記ダクト内の空気の流れ方向視で、互いに重なり合っていない、撮像装置。
【請求項2】
空気が流れる流路を形成し、前記流路の延在方向に対して垂直な断面である流路断面が矩形又は三角形状のダクトと、
前記ダクト内に空気の流れを発生させるファンと、
前記ダクト外に配置された第1の冷却対象と、
前記第1の冷却対象の熱を吸収し、前記ダクトの第1の辺から前記ダクト内に露出する複数の第1のフィンを備える第1のヒートシンクと、
前記ダクト外に配置された第2の冷却対象と、
前記第2の冷却対象の熱を吸収し、前記ダクトの第2の辺から前記ダクト内に露出する複数の第2のフィンを備える第2のヒートシンクと、
前記ダクト外に配置された第3の冷却対象と、
前記第3の冷却対象の熱を吸収し、前記ダクトの第3の辺から前記ダクト内に露出する複数の第3のフィンを備える第3のヒートシンクと、を有し、
前記ダクトの前記流路断面において前記ダクトの流路を覆うように前記第1のフィン、第2のフィン、および第3のフィンのそれぞれが互いに異なる方向に延在する 、撮像装置。
【請求項3】
前記第1-第3のフィンの表面積は、夫々の少なくとも前記第1-第3の冷却対象の熱量に基づいて決定されてなる、請求項1又は請求項2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第1-第3のフィンの表面積は、夫々の前記第1-第3の冷却対象の熱量及び許容温度に基づいて決定されてなる、請求項3記載の撮像装置。
【請求項5】
前記決定された第1-第3のフィンの表面積は、夫々のフィンの延在長およびフィン数によって実現されている、請求項3記載の撮像装置。
【請求項6】
前記複数の第1のフィン、前記複数の第2のフィン、および前記複数の第3のフィンの夫々は、他の複数のフィンから分離されている、請求項1又は請求項2記載の撮像装置。
【請求項7】
隣接する2つの前記第1のフィンの間を最小長さで結んだ状態で前記複数の第1のフィン全てを最小周長で囲む第1の囲み線によって画定される第1の空間、隣接する2つの前記第2のフィンの間を最小長さで結んだ状態で前記複数の第2のフィン全てを最小周長で囲む第2の囲み線によって画定される第2の空間、および隣接する2つの前記第3のフィンの間を最小長さで結んだ状態で前記複数の第3のフィン全てを最小周長で囲む第3の囲み線によって画定される第3の空間の夫々は、前記ダクト内の空気の流れ方向視で他の空間から独立している、請求項6記載の撮像装置。
【請求項8】
前記複数の第1のフィン、前記複数の第2のフィン、および前記複数の第3のフィンのうち、少なくとも1つの複数のフィンは、異なる長さを有する、請求項6記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、ダクトと、ダクト内に配置されたファンと、冷却対象の熱を吸収するヒートシンクと、空気が流れるダクト内に配置され、ヒートシンクに熱的に接続されている複数のフィンとを含む冷却機構を有する撮像装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2016/031369号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数の冷却対象が存在し、複数の冷却対象それぞれに対してフィンを設け、それらのフィンを1つのダクト内に配置する場合、一部の冷却対象を不必要に冷却する可能性がある。例えば、許容温度の1つの冷却対象に対しては適切に冷却すると、許容温度に達していない別の冷却対象に対しては無駄に冷却する可能性がある。
【0005】
そこで、本開示は、複数の冷却対象それぞれに熱的に接続された複数のフィンが1つのダクト内に配置される撮像装置において、許容温度が異なる複数の冷却対象を効率的に冷却することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するために、本開示の一態様によれば、
空気が流れるダクトと、
前記ダクト内に空気の流れを発生させるファンと、
前記ダクト外に配置された第1の冷却対象と、
前記第1の冷却対象の熱を吸収し、前記ダクト内に露出する複数の第1のフィンを備える第1のヒートシンクと、
前記ダクト外に配置された第2の冷却対象と、
前記第2の冷却対象の熱を吸収し、前記ダクト内に露出する複数の第2のフィンを備える第2のヒートシンクと、
前記ダクト外に配置された第3の冷却対象と、
前記第3の冷却対象の熱を吸収し、前記ダクト内に露出する複数の第3のフィンを備える第3のヒートシンクと、を有する、撮像装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、複数の冷却対象それぞれに熱的に接続された複数のフィンが1つのダクト内に配置される撮像装置において、許容温度が異なる複数の冷却対象を効率的に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施の形態に係る撮像装置の斜視図
図2】冷却に関連する構成要素を含む撮像装置のサブアセンブリの斜視図
図3図2に示すサブアセンブリの分解斜視図
図4】撮像ユニットの分解斜視図
図5】画像処理ユニットの分解斜視図
図6】書き込みユニットの分解斜視図
図7】ダクトを示す撮像装置の断面図
図8】ダクト内のフィンレイアウトを示す図
図9】メインフレームを省略した、図2に示すサブアセンブリの斜視図
図10】フィン表面積を決定するためのフィン表面積決定テーブルを示す図
図11図8に対応するフィン表面積決定テーブルを示す図
図12】別の実施の形態に係る撮像装置おける、ダクト内のフィンレイアウトを示す図
図13図12に対応するフィン表面積決定テーブルを示す図
図14】異なる実施の形態に係る撮像装置における、ダクト内のフィンレイアウトを示す図
図15図14に対応するフィン表面積決定テーブルを示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0010】
なお、発明者(ら)は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0011】
以下、本開示の実施の形態に係る撮像装置について図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は、本開示の一実施の形態に係る撮像装置の斜視図である。また、図2は、冷却に関連する構成要素を含む撮像装置のサブアセンブリの斜視図である。さらに、図3は、図2に示すサブアセンブリの分解斜視図である。
【0013】
なお、図に示すX-Y-Z直交座標系は、本開示の理解を容易にするためのものであって、本開示を限定するものではない。X軸方向は撮像装置の前後方向を示し、Y軸方向は撮像装置の左右方向を示し、Z軸方向は高さ方向を示している。また、本明細書においては、撮像装置の被写体が存在する側を「前側」とし、被写体に対して撮像装置が存在する側を「後側」としている。
【0014】
図1に示すように、本実施の形態の場合、撮像装置10は、略立方体形状の筺体12と、その内部に配置された撮像素子(第1の冷却対象)14とを有する。撮像素子14は、例えばCCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサなどであって、動作中に発熱するので、その温度を許容温度内に維持するために冷却される必要がある。撮像素子14の受光面14aには、レンズ取り付け部16に取り付けられたレンズ(図示せず)を透過した光(被写体の像)が入射する。撮像素子14は、入射した像に対応する電気信号を出力する、すなわち撮像する(静止画像や動画を撮影する)。
【0015】
図2におよび図3に示すように、撮像装置10はまた、筺体12内に配置されたメインフレーム18を有する。メインフレーム18は、撮像ユニット20、画像処理ユニット22、および書き込みユニット24を支持する。
【0016】
図4は、撮像ユニットの分解斜視図である。
【0017】
図4に示すように、撮像ユニット20は、撮像素子14と、撮像素子14を支持して熱を吸収する放熱板26と、放熱板26に取り付けられるヒートシンク(第1のヒートシンク)28とを含んでいる。撮像素子14は基板30に搭載され、基板30は放熱板26に支持されている。基板30には、撮像素子14からの信号を処理して画像処理ユニット22に送信する回路などが設けられている。また、基板30には、貫通穴30aが形成されている。この貫通穴30aにより、放熱板26に設けられた凸部26aが撮像素子14に直接的に接触することができる。その結果、放熱板26は、撮像素子14の熱を効率的に吸収して撮像素子14を冷却することができる。
【0018】
ヒートシンク28は、熱伝導率が高いアルミニウムなどの金属材料から作製され、放熱板26に取り付けられるベース部28aと、ベース部28aから互いに平行に延在する複数のフィン(第1のフィン)28bとを備える。本実施の形態の場合、ヒートシンク28は、放熱板26を介して、撮像素子14の熱を吸収する。詳細は後述するが、ヒートシンク28の複数のフィン28bは、メインフレーム18のダクト内を流れる空気によって冷却される。
【0019】
図5は、画像処理ユニットの分解斜視図である。
【0020】
図5に示すように、画像処理ユニット22は、撮像素子14によって撮像された画像を処理する複数のICチップ(第2の冷却対象)32と、ICチップ32が搭載された基板34と、ICチップ32の熱を吸収する放熱板36と、放熱板36に取り付けられるヒートシンク(第2のヒートシンク)38とを含んでいる。ICチップ32は、動作中に発熱するので、その温度を許容温度内に維持するために冷却される必要がある。放熱板36は、伝熱シート40を介して、複数のICチップ32に接触している。その結果、放熱板36は、複数のICチップ32の熱を吸収してこれらを冷却することができる。
【0021】
ヒートシンク38は、熱伝導率が高いアルミニウムなどの金属材料から作製され、放熱板36に取り付けられるベース部38aと、ベース部38aから互いに平行に延在する複数のフィン(第2のフィン)38bとを備える。本実施の形態の場合、ヒートシンク38は、放熱板36を介して、複数のICチップ32の熱を吸収する。詳細は後述するが、ヒートシンク38の複数のフィン38bは、メインフレーム18のダクト内を流れる空気によって冷却される。
【0022】
図6は、書き込みユニットの分解斜視図である。
【0023】
図6に示すように、書き込みユニット24は、ICチップ32によって処理された画像が記録される記録媒体M1、M2それぞれが差し込まれる複数のコネクタ(第3の冷却対象)42と、コネクタ42が搭載された基板44と、コネクタ42の熱を吸収する放熱板46と、放熱板46に取り付けられるヒートシンク(第3のヒートシンク)48とを含んでいる。コネクタ42は、概略、記録媒体M1、M2の端子と電気的に接続する端子(図示せず)が設けられた基板44の一部分と、その基板44の一部分を覆って基板44上の端子と記録媒体M1、M2の端子との接触を維持するコネクタフレーム42aとから構成されている。コネクタ42は自ら発熱しないが、コネクタ42に差し込まれている記録媒体M1、M2が書き込み中に発熱する。その記録媒体M1、M2は、適温で維持されるために、コネクタ42を介して冷却される。すなわち、書き込み中の記録媒体M1、M2を直接的に冷却することができないので、コネクタ42を直接的に冷却することにより、記録媒体M1、M2が間接的に冷却される。なお、記録媒体M1、M2は、例えばCFexpressカードである。
【0024】
放熱板46は、伝熱シート50を介して、およびコネクタ42に含まれる基板44の一部分から熱を吸収する。その結果、放熱板46は、コネクタ42に差し込まれている記録媒体M1、M2を冷却することができる。なお、放熱板46が、コネクタ42のコネクタフレーム42aから熱を吸収することにより、記録媒体M1、M2を冷却することも可能である。
【0025】
ヒートシンク48は、熱伝導率が高いアルミニウムなどの金属材料から作製され、放熱板46に取り付けられるベース部48aと、ベース部38aから互いに平行に延在する複数のフィン(第3のフィン)48bとを備える。本実施の形態の場合、ヒートシンク48は、放熱板46を介して、複数のコネクタ42に含まれる基板44の部分の熱を吸収する。詳細は後述するが、ヒートシンク48の複数のフィン48bは、メインフレーム18のダクト内を流れる空気によって冷却される。
【0026】
上述したように、撮像ユニット20のヒートシンク28の複数のフィン28b、画像処理ユニット22のヒートシンク38の複数のフィン38b、および書き込みユニット24のヒートシンク48の複数のフィン48bは、メインフレーム18のダクト内を流れる空気によって冷却される。
【0027】
図7は、ダクトを示す撮像装置の断面図である。また、図8は、ダクト内のフィンレイアウトを示す図である。そして、図9は、メインフレームを省略した、図2に示すサブアセンブリの斜視図である。
【0028】
図7に示すように、撮像装置10のメインフレーム18は、空気(破線矢印)が流れるダクト18aを備える。空気は、図1に示すように、筺体12の右側面12aに形成された吸気口12bを介してダクト18a内に流入する。ダクト18a内に流入した外気は、排気口12cを介して筺体12の外部に流出する。
【0029】
図7に示すように、メインフレーム18のダクト18a内には、ファン52が配置されている。ファン52が回転することにより、空気が吸気口12bを介してダクト18a内に流入し、ダクト18a内の空気が排気口12cを介して筺体12の外部に流出する。
【0030】
図8に示すように、撮像ユニット20の撮像素子14、画像処理ユニット22のICチップ32、および書き込みユニット24のコネクタ42は、ダクト18a外に位置する。これらの熱を吸収する、撮像ユニット20のヒートシンク28の複数のフィン28b、画像処理ユニット22のヒートシンク38の複数のフィン38b、および書き込みユニット24のヒートシンク48の複数のフィン48bは、ダクト18a内に露出する。そのために、図7に示すように、ダクト18aには、ヒートシンク28が通過する貫通穴18bと、ヒートシンク38が通過する貫通穴18cと、ヒートシンク48が通過する貫通穴(図示せず)とが連通して形成されている。
【0031】
本実施の形態の場合、図8に示すように、ダクト18aは、矩形状の流路断面を備える。また、撮像ユニット20(撮像素子14)と書き込みユニット24(コネクタ42)が、ダクト18aを挟んで対向するように、メインフレーム18に支持されている。
【0032】
図8に示すように、ヒートシンク28の複数のフィン28b、ヒートシンク38の複数のフィン38b、およびヒートシンク48の複数のフィン48bそれぞれは、ダクト18a内の空気の流れ方向(Z軸方向)視で、互いに異なる方向に延在している。本実施の形態の場合、複数のフィン28bと複数のフィン48bは、撮像装置10の前後方向(X軸方向)に延在し、複数のフィン38bは、撮像装置10の左右方向(Y軸方向)に延在する。
【0033】
また、ヒートシンク28の複数のフィン28b、ヒートシンク38の複数のフィン38b、およびヒートシンク48の複数のフィン48bそれぞれは、他のフィンに対して所定の距離をあけて接近するまで延在する。所定の距離は、異なるフィン間(すなわちフィン28bとフィン38bの間、フィン38bとフィン48bの間、フィン48bとフィン28bの間)で熱伝達が起こらない距離である。例えば、所定の距離は、モノづくりのバラツキで干渉(接触)しないような値よりも広く、且つ、フィン28bのピッチ、フィン38bのピッチ、およびフィン48bのピッチに比べて小さい距離であって、例えば0.5~3.1mmである。
【0034】
さらに、本実施の形態の場合、図9に示すように、ヒートシンク28の複数のフィン28b、ヒートシンク38の複数のフィン38b、およびヒートシンク48の複数のフィン48bは、ダクト18a内の空気の流れ方向(Z軸方向)の位置について同一である。さらにまた、これらは、流れ方向のサイズが同一である。
【0035】
このようなフィン28b、38b、および48bによれば、図8に示すように、ダクト18a全体に、フィン28b、38b、および48bが、互いに接触することなく、密に配置される。その結果、ダクト18全体の流路抵抗の分布が一様にされる。また、フィン28b、38b、および48bは、ダクト18a内の空気の流れ方向(Z軸方向)に対して並列に配置される。その結果、フィン28b、38b、および48bに対して、実質的に同一温度の空気が接触する。これと異なり、フィン28b、38b、および48bが流れ方向に直列に配置されている場合、上流のフィンによって温められた空気が、下流のフィンに接触する。その結果、下流のフィンを備えるヒートシンクの冷却効率が低下する。
【0036】
このようなフィン28b、38b、および48bは、実質的に同一の条件で空気によって冷却され、互いに対して熱的に接続されていない。すなわち、フィン28b、38b、および48bそれぞれは、他のフィンから熱的な影響を実質的に受けずに、熱的に実質的に互いに独立している。したがって、撮像ユニット20の撮像素子14、画像処理ユニット22のICチップ32、書き込みユニット24のコネクタ42の熱量に基づいて、フィン28b、38b、および48bそれぞれの延在長およびフィン数を設定するだけでよい。
【0037】
撮像素子14、ICチップ32の熱量は、例えば、画像の解像度、動画の解像度およびフレームレートなどの撮像条件によって決まり、実験などによって予め求めることができる。コネクタ42の熱量は、記録するデータの種類(例えば画像、動画のファイルタイプなど)、記録形式(例えば、リレー記録、バックアップ記録など)などの記録条件によって決まり、実験などによって予め求めることができる。なお、リレー記録は、最初は記録媒体M1にデータを記録し、記録媒体M1の容量がなくなると、記録媒体M2への記録を開始する記録形式である。また、バックアップ記録は、同一のデータを、複数の記録媒体M1、M2に記録する記録形式である。
【0038】
ヒートシンク28の複数のフィン28b、ヒートシンク38の複数のフィン38b、およびヒートシンク48の複数のフィン48bそれぞれの延在長およびフィン数を設定する前に、まず、それぞれのフィンの表面積が決定される。
【0039】
図10は、フィン表面積を決定するためのフィン表面積決定テーブルを示している。
【0040】
図10に示すように、フィン表面積は、複数の冷却対象それぞれの熱量および許容温度に基づいて決定される。まず、複数の冷却対象それぞれの熱量および許容温度のデータを取得し、その大小が比較される。本実施の形態の場合、複数の冷却対象として、撮像素子14、ICチップ32、およびコネクタ42が存在する。撮像素子14、ICチップ32、およびコネクタ42それぞれの保持しうる熱量と正常に動作するための許容温度(許容温度範囲)とを取得する。そして、取得した熱量と許容温度の大小を比較する。
【0041】
本実施の形態の場合、熱量に関しては、ICチップ32が最も大きく、コネクタ42が最も小さい。許容温度に関しては、ICチップ32が最も高く、撮像素子14が最も低い。すなわち、図10における冷却対象X1、Y1がICチップ32に相当し、冷却対象X2、Y3が撮像素子14に相当し、冷却対象X3、Y2がコネクタ42に相当する。
【0042】
図11は、図8に対応するフィン表面積決定テーブルを示している。
【0043】
図10に示すX1~X3、Y1~Y3に撮像素子14、ICチップ32、およびコネクタ42を代入すると、図11に示すフィン表面積決定テーブルが得られる。このテーブルによれば、撮像素子14に対応するヒートシンク28のフィン28bの表面積が最も大きく、コネクタ42に対応するヒートシンク48のフィン48bの表面積が最も小さく決定される。これらの決定されたフィン表面積の大小関係から、フィン28b、38b、およびフィン48bそれぞれの延在長およびフィン数が決定される。なお、フィン表面積の大きさは、言い換えれば冷却の優先度の高さを表している。
【0044】
そのフィン表面積の大小の比較結果として、図8に示すように、撮像素子14の熱を吸収するヒートシンク28の複数のフィン28bの平均の延在長(X軸方向のサイズ)は、他のヒートシンク38の複数のフィン38bの平均の延在長(Y軸方向のサイズ)に比べて大きい。また、ヒートシンク28の複数のフィン28bのフィン数は、他のヒートシンク38、48の複数のフィン38b、48bのフィン数に比べて多い。
【0045】
このように、冷却の優先度が最も高い撮像素子14の熱を吸収するヒートシンク28のフィン28bについては、最も大きい表面積を備えるために、その平均の延在長が他のヒートシンクのフィンの平均の延在長に比べて大きく、そのフィン数が他のヒートシンクのフィンのフィン数に比べて多い。これにより、ヒートシンク28は、冷却の優先度が最も高い撮像素子14を確実に冷却することができる。
【0046】
なお、冷却の優先度が最も低いコネクタ42の熱を吸収するヒートシンク48のフィン48bは、最も小さな表面積を備えるために、そのフィン数が、他の複数のフィン28b、38bのフィン数に比べて少ない。ただし、複数のフィン48bの延在長およびフィン数は、コネクタ42の冷却に必要な延在長およびフィン数に設定されている。すなわち、複数のフィン48bは、最低限必要な表面積を備えている。
【0047】
また、ヒートシンク28、38、および48の複数のフィン28b、38b、および48bそれぞれの平均の延在長とフィン数は、許容できる風切り音で回転するファン52の回転数の条件の下で決定される。
【0048】
以上のような本実施の形態によれば、複数の冷却対象である撮像素子14、ICチップ32、およびコネクタ42それぞれに熱的に接続された複数のフィン28b、38b、および48bが1つのダクト18a内に配置される撮像装置10において、許容温度が異なる撮像素子14、ICチップ32、およびコネクタ42を効率的に冷却することができる。
【0049】
すなわち、フィン28b、38b、および48bそれぞれが熱的に独立しているので、それぞれの平均の延在長およびフィン数、言い換えると合計の表面積を検討するだけでよい。
【0050】
なお、1つのヒートシンクの複数のフィンの平均の延在長およびフィン数を必要な値に設定すると、他のヒートシンクの複数のフィンの平均の延在長およびフィン数を必要な値に設定できない可能性がある。この場合、ファン52の回転数を上げることにより、1つのヒートシンクの複数のフィンの平均の延在長およびフィン数の値を低く設定することができる。その結果、他のヒートシンクの複数のフィンの平均の延在長およびフィン数を必要な値に設定することが可能になる。
【0051】
以上、上述の実施の形態を挙げて本開示の実施の形態を説明したが、本開示の実施の形態は上述の実施の形態に限定されない。
【0052】
例えば、上述の実施の形態の場合、撮像素子14、ICチップ32、およびコネクタ42の中、撮像素子14が冷却の優先度が最も高く、コネクタ42の冷却の優先度が最も低い。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。
【0053】
図12は、別の実施の形態に係る撮像装置おける、ダクト内のフィンレイアウトを示す図である。また、図13は、図12に対応するフィン表面積決定テーブルを示す図である。さらに、図14は、異なる実施の形態に係る撮像装置における、ダクト内のフィンレイアウトを示す図である。そして、図15は、図14に対応するフィン表面積決定テーブルを示す図である。
【0054】
図12に示す別の実施の形態に係る撮像装置110においては、図13に示すように、撮像素子14、ICチップ32、およびコネクタ42の中、ICチップ32の冷却の優先度が最も高く、コネクタ42の冷却の優先度が最も低い。そのため、ICチップ32に対応するヒートシンク138のフィン表面積が最も大きく、コネクタ42に対応するヒートシンク148のフィン面積が最も小さい。その結果として、ヒートシンク138の複数のフィン138bのフィン数が、他のヒートシンク128、148の複数のフィン128b、148bのフィン数に比べて多い。
【0055】
図14に示す異なる実施の形態に係る撮像装置210においては、図15に示すように、撮像素子14、ICチップ32、およびコネクタ42の中、コネクタ42の冷却の優先度が最も高く、撮像素子14の冷却の優先度が最も低い。そのため、コネクタ42に対応するヒートシンク248のフィン表面積が最も大きく、撮像素子14に対応するヒートシンク228のフィン表面積が最も小さい。その結果として、ヒートシンク248の複数のフィン248bの平均の延在長(X軸方向のサイズ)が他のヒートシンク128、138の複数のフィン128b、138bの平均の延在長に比べて大きい。また、ヒートシンク248の複数のフィン248bは、ダクト18aの半分を越えて延在している。
【0056】
また、上述の実施の形態の場合、図9に示すように、複数のフィン28b、複数のフィン38b、および複数のフィン48bは、空気の流れ方向(Z軸方向)のサイズが同一され、空気の流れ方向の位置が同一にされている。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。空気の流れ方向のサイズは異なっていてもよい。しかし、この場合、フィンの平均延在長およびフィン数に加えて、空気の流れ方向のサイズを考慮してフィンレイアウトを検討する必要がある。また、空気の流れ方向の位置が異なる場合、1つのフィンが、他のフィンの熱的な影響を少し受ける可能性がある。すなわち、上流側のフィンによって温められた空気の一部が、下流側のフィンに接触する可能性がある。
【0057】
さらに、上述の実施の形態の場合、図8に示すように、ダクト18aは矩形状の流路断面を備える。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。ダクト18aの流路断面は、矩形状以外の形状、例えば三角形であってもよい。
【0058】
さらにまた、上述の実施の形態の場合、図8に示すように、複数の冷却対象として撮像素子14、ICチップ32、およびコネクタ42が存在し、それぞれにヒートシンク28、38、および48が設けられている。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。4つ目の冷却対象としてあるいは代わりの冷却対象としてとして、例えばバッテリが存在し、そのバッテリに対してヒートシンクが設けられてもよい。
【0059】
すなわち、本開示の実施の形態に係る撮像装置は、広義には、空気が流れるダクトと、前記ダクト内に空気の流れを発生させるファンと、前記ダクト外に配置された第1の冷却対象と、前記第1の冷却対象の熱を吸収し、前記ダクト内に露出する複数の第1のフィンを備える第1のヒートシンクと、前記ダクト外に配置された第2の冷却対象と、前記第2の冷却対象の熱を吸収し、前記ダクト内に露出する複数の第2のフィンを備える第2のヒートシンクと、前記ダクト外に配置された第3の冷却対象と、前記第3の冷却対象の熱を吸収し、前記ダクト内に露出する複数の第3のフィンを備える第3のヒートシンクと、を有するものである。
【0060】
以上のように、本開示における技術の例示として、上述の実施の形態を説明してきた。そのために、図面および詳細な説明を提供している。したがって、図面及び詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上述の技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0061】
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略等を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本開示は、複数の冷却対象があって、これらの冷却対象をフィンを利用して冷却する撮像装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0063】
10 撮像装置
14 第1の冷却対象(撮像素子)
18a ダクト
28 第1のヒートシンク(ヒートシンク)
28b 第1のフィン(フィン)
32 第2の冷却対象(ICチップ)
38 第2のヒートシンク(ヒートシンク)
38b 第2のフィン(フィン)
42 第3の冷却対象(コネクタ)
48 第3のヒートシンク(ヒートシンク)
48b 第3のフィン(フィン)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15