(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】電動開閉体
(51)【国際特許分類】
E06B 9/84 20060101AFI20240405BHJP
E06B 9/68 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
E06B9/84 C
E06B9/68 A
(21)【出願番号】P 2020175592
(22)【出願日】2020-10-19
【審査請求日】2023-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】中原 雅之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】小沢 公孝
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-307471(JP,A)
【文献】特開平7-158338(JP,A)
【文献】特開2004-132014(JP,A)
【文献】特開平6-346660(JP,A)
【文献】特開2005-42486(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/84
E06B 9/68
E05F 15/40-15/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャッターカーテンを巻き取り可能な巻き取り軸に回転動力を出力する電動部と、
前記電動部の回転に関連するパラメータの値を検出するパラメータ値検出部と、
前記パラメータ値検出部において検出した前記パラメータの値が第1しきい値を第1期間超えた場合、あるいは前記パラメータ値検出部において検出した前記パラメータの値が第2しきい値を第2期間超えた場合、
あるいは前記パラメータの値が第3しきい値を第3期間超えた場合、前記シャッターカーテンの負荷変動を検出する負荷変動検出部とを備え、
前記負荷変動検出部における前記第2しきい値は前記第1しきい値よりも小さく、かつ前記第2期間は前記第1期間よりも長
く、
前記負荷変動検出部における前記第3しきい値は、前記第1しきい値よりも小さく、かつ前記第2しきい値よりも大きく、
前記負荷変動検出部における前記第3期間は、前記第1期間よりも長く、かつ前記第2期間よりも短く、
前記第3しきい値と前記第3期間との組合せにおいて、前記第3しきい値が大きくなれば、前記第3期間が小さくなる電動開閉体。
【請求項2】
前記パラメータ値検出部は、前記パラメータの値として、前記電動部を回転させるための電流の値と、前記電動部の単位時間当たりの回転数と、前記電動部の温度のうちの少なくとも1つを検出する請求項1に記載の電動開閉体。
【請求項3】
前記パラメータ値検出部は、前記パラメータの値として、前記電動部を回転させるための電流の値の変化の傾き
と、前記電動部の温度の変化の傾きのうちの少なくとも1つを検出する請求項1に記載の電動開閉体。
【請求項4】
前記負荷変動検出部における前記第1しきい値と前記第2しきい値と前記第3しきい値のうちの少なくとも1つは本電動開閉体の設置後に修正可能である請求項
1に記載の電動開閉体。
【請求項5】
シャッターカーテンを巻き取り可能な巻き取り軸に回転動力を出力する電動部と、
前記電動部の回転に関連するパラメータの値を検出するパラメータ値検出部とを備える電動開閉体に実行させるためのプログラムであって、
前記パラメータ値検出部において検出した前記パラメータの値が第1しきい値を第1期間超えた場合、あるいは前記パラメータ値検出部において検出した前記パラメータの値が第2しきい値を第2期間超えた場合、あるいは前記パラメータの値が第3しきい値を第3期間超えた場合、前記シャッターカーテンの負荷変動を検出し、
前記第2しきい値は前記第1しきい値よりも小さく、かつ前記第2期間は前記第1期間よりも長く、
前記第3しきい値は、前記第1しきい値よりも小さく、かつ前記第2しきい値よりも大きく、
前記第3期間は、前記第1期間よりも長く、かつ前記第2期間よりも短く、
前記第3しきい値と前記第3期間との組合せにおいて、前記第3しきい値が大きくなれば、前記第3期間が小さくなるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、開閉体技術に関し、電動により開閉される電動開閉体に関する。
【背景技術】
【0002】
電動シャッター装置には、シャッターに人等を誤って引き込まない仕組みが必要になる。つまり、シャッターカーテンの作動が障害物などにより妨げられると、モータが過負荷に陥り得るので、モータに負荷がかかり過ぎる過負荷状態を検知する装置が求められる。例えば、シャッターカーテンの位置情報と、モータの負荷状態に関する電流情報とが関連づけて記憶され、運用状態において計測した電流値が、そのときの位置情報に対応した電流情報を逸脱した場合に、過負荷状態が検出される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先行技術によれば、計測した電流値をもとに過負荷状態が検出される。シャッターに挟み込んだ障害物が硬ければ、障害物が挟み込まれると直ちに電流値が変化する。一方、シャッターに挟み込んだ障害物が柔らかければ、障害物が挟み込まれても障害物が変形することによって電流値が遅れて変化する。そのため、障害物の硬さを考慮する必要がある。
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、障害物が柔らかくても過負荷状態を検出するまでの期間を短縮する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の電動開閉体は、シャッターカーテンを巻き取り可能な巻き取り軸に回転動力を出力する電動部と、電動部の回転に関連するパラメータの値を検出するパラメータ値検出部と、パラメータ値検出部において検出したパラメータの値が第1しきい値を第1期間超えた場合、あるいはパラメータ値検出部において検出したパラメータの値が第2しきい値を第2期間超えた場合、あるいはパラメータの値が第3しきい値を第3期間超えた場合、シャッターカーテンの負荷変動を検出する負荷変動検出部とを備える。負荷変動検出部における第2しきい値は第1しきい値よりも小さく、かつ第2期間は第1期間よりも長く、負荷変動検出部における第3しきい値は、第1しきい値よりも小さく、かつ第2しきい値よりも大きく、負荷変動検出部における第3期間は、第1期間よりも長く、かつ第2期間よりも短く、第3しきい値と第3期間との組合せにおいて、第3しきい値が大きくなれば、第3期間が小さくなる。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラム、またはコンピュータプログラムを記録した記録媒体などの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、障害物が柔らかくても過負荷状態を検出するまでの期間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1(a)-(b)は、実施例に係るシャッターシステムの構造を示す図である。
【
図2】
図1(a)-(b)のシャッターシステムの内部構造を示す図である。
【
図3】
図1(a)-(b)のシャッターシステムの構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4(a)-(b)は、本実施例に対応する課題を示す図である。
【
図5】
図5(a)-(b)は、
図3の電動化ユニットの動作概要を示す図である。
【
図6】
図6(a)-(d)は、
図3の電動化ユニットにおける第1しきい値、第2しきい値、第1期間、第2期間を示す図である。
【
図7】
図3の電動化ユニットによる検出手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施例を具体的に説明する前に、本実施例の概要を説明する。実施例は、住宅等の施設の開口部に設置されるシャッターシステムに関する。シャッターシステムは電動シャッターであり、電動シャッターはシャッター動作を自動化する。電動シャッターは、一般的に、シャッターカーテンが開状態でユーザが「閉」ボタンを一度押すと、シャッターカーテンのスラットが最下部に到達するまで閉動作を続ける。電動シャッターは数十秒かけて自動的に閉動作を実行するので、ユーザは電動シャッターの閉動作を見ていないことが想定される。その際、電動シャッターが障害物を挟み込んでもユーザは気づかない。したがって、電動シャッターには「障害物を挟み込んだ場合にそのことを検出する」機能が望まれる。
【0011】
電動シャッターのようなモータ駆動製品では、モータ電流が増加した場合に障害物の挟み込みが検出される。具体的に説明すると、障害物が挟み込まれるとモータ負荷が増大することによって、モータ電流が増加する。このモータ電流の増加が所定値を超えた場合に、挟み込みが発生したと判定される。シャッターに挟み込んだ障害物が硬ければ、障害物が挟み込まれると直ちにモータ電流が増加するので、障害物の挟み込みが直ちに検出される。しかしながら、シャッターに挟み込んだ障害物が柔らかければ、障害物が挟み込まれても障害物が変形することによってモータ電流の増加が遅れるので、障害物の挟み込みの検知が遅延する。
【0012】
障害物が柔らかくても過負荷状態を検出するまでの期間を短縮するために、本実施例に係るシャッターシステムは、硬い障害物の挟み込みを検出するために電流値と比較すべき第1しきい値に加えて、第1しきい値よりも小さい第2しきい値も設ける。シャッターシステムは、電流値が第1しきい値を超えなくても、第2しきい値を所定期間にわたって超えた場合に、障害物の挟み込みを検知してスラット動作を停止する。
【0013】
図1(a)-(b)は、シャッターシステム1000の構造を示す。
図1(a)は、施設を屋外から見た場合の構成を示し、
図1(b)は、施設を屋内から見た場合の構成を示す。シャッターシステム1000は、ガイドレール20、シャッターカーテン30、シャッターケース40、通信線200、コントローラ300を含み、シャッターカーテン30は、スラット32を含む。ここで、ガイドレール20、シャッターカーテン30、シャッターケース40はシャッターに含まれる。
【0014】
図1(a)に示されるように、開閉体であるシャッターは、住宅やビル等の施設において内外を仕切る外壁に形成された開口部10に設置される。開口部10は、施設において内外を連通する空間である。2つのガイドレール20は、上下方向に延びる形状を有するとともに、開口部10の左右方向の両側に互いに離間して、開口部10に設置されたサッシ等の枠材と外壁とに固定される。各ガイドレール20は、横断面略コ字状の内部構造を有する中空状の部材であり、2つのガイドレール20は、コ字状の開口が対向するように固定される。
【0015】
シャッターカーテン30は、ガイドレール20の長手方向に沿って上下に移動し、開口部10を開閉する。具体的には、シャッターカーテン30の左右方向両端部がガイドレール20に挿入されることによって、シャッターカーテン30の左右方向両端部は、ガイドレール20によって上下方向に移動可能である。シャッターカーテン30は、複数のスラット32の組合せによって構成される。各スラット32は、開口部10の左右方向に沿って延在する板状の部材であって、例えば、スチール、ステンレス、アルミニウム等により形成される。各スラット32の上端部と下端部にカール部(図示せず)が設けられており、隣接する2つのスラット32のうち、上側のスラット32の下端部のカール部と、下側のスラット32の上端部のカール部とは、回転自在に連結される。
【0016】
シャッターケース40は、開口部10およびガイドレール20の上方に設けられる縦断面略矩形状の収容体である。シャッターケース40は内部に収納空間を有するとともに、シャッターケース40の下面に設けられた貫通孔を介して収納空間は外部につながる。収納空間には、貫通孔を介してシャッターカーテン30を巻き取ったり、あるいは繰り出したりするための巻き取り機構が設けられる。ここで、「巻き取り」とは、シャッターカーテン30がガイドレール20に沿って上昇し、開口部10が開放されることであり、「繰り出し」とは、シャッターカーテン30がガイドレール20に沿って降下し、開口部10が閉鎖されることである。
【0017】
図1(b)に示されるように、開口部10を囲むようにサッシ12が取り付けられる。
図1(a)のシャッターケース40に接続された通信線200は、サッシ12の内部に埋没されて屋内まで延びる。屋内の壁面にはコントローラ300が設置され、コントローラ300に通信線200が接続される。このように通信線200は、屋外に設置された電動化ユニット100と、屋内に設置されたコントローラ300とを接続する。
【0018】
図2は、シャッターシステム1000の内部構造を示す。シャッターシステム1000は、シャッターカーテン30、シャッターケース40、巻き取り軸60を含む。シャッターカーテン30は、スラット32、ねじ34を含み、シャッターケース40は、ブラケット42と総称される第1ブラケット42a、第2ブラケット42b、支持軸44と総称される第1支持軸44a、第2支持軸44bを含む。巻き取り軸60は、回転枠62と総称される第1回転枠62a、第2回転枠62b、従動輪64、巻き取りばね66、固定部72、電動化ユニット80を含み、電動化ユニット80は、本体82、駆動輪84を含み、本体82は、モータ86、制御部88、減速機90、通信線200を含む。
【0019】
ここでは、シャッターケース40の内部構造を示すためにシャッターケース40が透明にして示される。シャッターケース40には、
図1(a)のガイドレール20の左右の方向に延びる筒状の支柱である巻き取り軸60が配置される。巻き取り軸60には複数の固定部72が設けられており、複数のねじ34を使用して複数の固定部72にシャッターカーテン30が固定される。そのため、巻き取り軸60は、シャッターカーテン30を巻き取り可能な軸であるといえる。
【0020】
シャッターケース40の収納空間の左側端部と右側端部には、巻き取り軸60を左右から挟むように、ブラケット42と総称される第1ブラケット42aと第2ブラケット42bが設けられる。具体的には、巻き取り軸60の左側には第1ブラケット42aが配置され、巻き取り軸60の右側には第2ブラケット42bが配置される。第1ブラケット42aは、巻き取り軸60の左側端部を回転可能に支持する支持部であり、第2ブラケット42bは、巻き取り軸60の右側端部を回転可能に支持する支持部である。巻き取り軸60の左側端部を「第1端部」と呼ぶ場合、巻き取り軸60の右側端部は「第2端部」と呼ばれる。
【0021】
第1ブラケット42aの右側面には、右側に向かって突出する第1支持軸44aが設けられる。第1支持軸44aは筒形状を有し、第1支持軸44aの側面には第1回転枠62aが嵌合される。第1回転枠62aは、巻き取り軸60の左側端部に配置されるとともに、第1支持軸44aの側面を囲む形状を有する。このような構造により、第1ブラケット42aに固定された第1支持軸44aを中心にして、第1回転枠62aが回転する。第2ブラケット42bの左側面には、左側に向かって突出する第2支持軸44bが設けられる。第2支持軸44bは筒形状を有し、第2支持軸44bの側面には第2回転枠62bが嵌合される。第2回転枠62bは、巻き取り軸60の右側端部に配置されるとともに、第2支持軸44bの側面を囲む形状を有する。このような構造により、第2ブラケット42bに固定された第2支持軸44bを中心にして、第2回転枠62bが回転する。さらに、第1回転枠62aと第2回転枠62bの回転によって巻き取り軸60も回転する。
【0022】
巻き取り軸60の内部の右側領域には、保持部(図示せず)が配置され、保持部に電動化ユニット80が取り付けられる。電動化ユニット80は、巻き取り軸60に回転動力を出力する電動装置(電動部)である。電動化ユニット80は、筒形状を有する本体82と、本体82の左側に配置される駆動輪84を含む。このような駆動輪84は、電動化ユニット80において巻き取り軸60の中央側を向いているともいえる。本体82の内部にはモータ86、制御部88、減速機90が搭載されており、モータ86の回転によって減速機90と駆動輪84も回転する。制御部88はモータ86の回転を制御する。特に、制御部88は、電動化ユニット80のモータ86を回転させるための電流値を制御する。
【0023】
巻き取り軸60の内部において、保持部の左側の領域、つまり電動化ユニット80に対して巻き取り軸60の中央側の領域には、従動輪64が設けられる。従動輪64は、駆動輪84の左側に配置されており、駆動輪84と組み合わされた場合に駆動輪84の回転によって回転する。また、従動輪64の回転によって巻き取り軸60も回転する。その結果、巻き取り軸60は、電動化ユニット80からの回転動力により回転するといえる。一方、駆動輪84と従動輪64とが組み合わされていない場合、巻き取り軸60は、電動化ユニット80からの回転動力ではなく、手動の回転動力により回転する。手動による巻き取り軸60の回転については説明を省略する。
【0024】
ここで、保持部は、本体82の側面の一部分、例えば、本体82の側面のうち、下側を含む部分を保持する。また、保持部の右側端部は第2支持軸44bに接続される。この接続により保持部は第2ブラケット42bに固定されるので、巻き取り軸60が回転する場合であっても、保持部に保持される本体82は回転しない。
【0025】
さらに詳細に説明すると、電動化ユニット80の本体82では、制御部88による制御によってモータ86が回転する。減速機90は、モータ86の回転動力のトルクを増幅させる。減速機90には公知の技術が使用されればよいが、例えば、太陽歯車を中心として、複数の遊星歯車が自転しつつ公転する構造を有する。減速機90の回転により駆動輪84が回転すると、駆動輪84と組み合わされた従動輪64も回転し、巻き取り軸60が回転する。
【0026】
図1(a)のようにシャッターカーテン30が開口部10を閉鎖した全閉状態から、巻き取り軸60が巻き取りの方向に回転すると、シャッターカーテン30は、巻き取り軸60の外周面に沿って巻き取られながら開口部10を開放する。この回転が継続すると、シャッターカーテン30は、1周目の回転において巻き取られたシャッターカーテン30上に積層されながら巻き取られ、開口部10の全域を開放する。また、シャッターカーテン30が開口部10を開放した全開状態から、巻き取り軸60が繰り出しの方向に回転すると、巻き取り軸60の外周面に積層されたシャッターカーテン30が順次繰り出される。この回転が継続すると、シャッターカーテン30は開口部10の全域を閉鎖する。
【0027】
図3は、シャッターシステム1000の構成を示すブロック図である。シャッターシステム1000は、電動化ユニット80、通信線200、コントローラ300を含む。電動化ユニット80は、モータ86、制御部88、温度検出部430を含み、制御部88は、第1接続部410、第1有線通信部412、位置制御部414、第1検出部416、速度制御部418、微分部420、電流制御部422、第2検出部424、第3検出部428を含む。コントローラ300は、操作部310、操作制御部312、第2有線通信部314、第2接続部316を含む。
【0028】
コントローラ300の操作部310は、複数のボタンを有するユーザインターフェイスであり、ユーザの操作を受けつける。コントローラ300の表面には、開ボタン、停止ボタン、閉ボタンが設けられる。開ボタン、停止ボタン、閉ボタンは例えば平面スイッチで構成される。開ボタンは、開口部10を開放するようにシャッターカーテン30を移動させるための指示(以下、「開放指示」という)を受けつけるボタンである。停止ボタンは、移動しているシャッターカーテン30を停止させるための指示(以下、「停止指示」という)を受けつけるボタンである。閉ボタンは、開口部10を閉鎖するようにシャッターカーテン30を移動させるための指示(以下、「閉鎖指示」という)を受けつけるボタンである。開ボタン、停止ボタン、閉ボタンのうちの1つが押し下げられることによって、開放指示、停止指示、閉鎖指示のうちの1つに応じた操作信号が操作部310から操作制御部312に出力される。
【0029】
操作制御部312は、操作部310から操作信号を受けつける。操作制御部312は、操作信号において示された開放指示、停止指示、閉鎖指示のうちの1つが含まれた指示信号を生成する。第2有線通信部314は、操作制御部312から指示信号を受けつけ、第2接続部316、通信線200を介して指示信号を電動化ユニット80に送信する。
【0030】
第2接続部316は、コントローラ300に通信線200を接続するためのインターフェイスである。また、電動化ユニット80の第1接続部410も通信線200を接続するためのインターフェイスである。第2接続部316に通信線200が接続されるとともに、第1接続部410に通信線200が接続されることによって、通信線200は、コントローラ300と電動化ユニット80とを接続する。このような接続によって、コントローラ300から電動化ユニット80に向かって、通信線200は、指示信号を伝送する。コントローラ300は屋内に設置され、電動化ユニット80は屋外に設置されるので、屋内から屋外に指示信号が送信される。
【0031】
第1有線通信部412は、第2接続部316、通信線200、第1接続部410を介して、第2有線通信部314からの指示信号を受信する。第1有線通信部412は、指示信号に含まれた開放指示、停止指示、閉鎖指示のうちの1つを位置制御部414に出力する。位置制御部414は、開放指示、停止指示、閉鎖指示のうちの1つを第1有線通信部412から受けつける。
【0032】
位置制御部414は、受けつけた開放指示、停止指示、閉鎖指示のうちの1つに応じて、シャッターカーテン30の位置(下端の位置)の目標値を更新する。例えば、位置制御部414は、開放指示を受けつけている場合に、これまでの目標値を高くするように更新する。また、位置制御部414は、第1検出部416からシャッターカーテン30の位置の帰還値を受けつける。第1検出部416における位置の帰還値の検出方法については後述する。ここで、シャッターカーテン30の位置はモータ86の回転の角度として示されてもよいが、以下では説明を明瞭にするために角度も位置に含める。位置制御部414は、目標値と帰還値の少なくとも1つが上限位置あるいは下限位置に達するまで、あるいは停止指示があるまでは非ゼロの一定速度で動作させるための速度の目標値を出力する。
【0033】
微分部420は、第1検出部416からシャッターカーテン30の位置の帰還値を受けつけ、位置の帰還値を微分することによって、速度の帰還値を導出する。微分部420は速度の帰還値を速度制御部418に出力する。速度制御部418は、位置制御部414から速度の目標値を受けつけ、微分部420から速度の帰還値を受けつける。速度制御部418は、速度の目標値から速度の帰還値を減じることによって速度偏差を導出してから、比例・積分制御等の速度ループ処理を行ってトルク(電流)の目標値を導出する。
【0034】
電流制御部422は、速度制御部418からトルク(電流)の目標値を受けつける。また、電流制御部422からモータ86に出力される電流の大きさ、つまり電動化ユニット80のモータ86を流れる総電流の値は第2検出部424において検出されており、電流制御部422は、検出された電流の帰還値を受けつける。第2検出部424は例えばシャント抵抗により構成される。電流制御部422は、電流の帰還値がトルク(電流)の目標値に近づくように、モータ86に出力すべき電流の大きさを決定する。この決定には公知の技術が使用されればよい。つまり、速度制御部418と電流制御部422は、第1検出部416において検出した位置の変化、つまり速度に応じて、モータ86を回転させるための電流値を決定する。
【0035】
電流制御部422から出力される電流値に応じた速度でモータ86が回転する。モータ86は、巻き取り軸60に回転動力を出力する。モータ86が3相ブラシレスモータである場合、電流制御部422からは3相の直流電流が出力される。
【0036】
このような構成により、制御部88は、制御信号が開放指示に相当する場合、巻き取り軸60が巻き取りの方向に回転するようにモータ86を回転させ、制御信号が閉鎖指示に相当する場合、巻き取り軸60が繰り出しの方向に回転するようにモータ86を回転させる。これらにおいてモータ86の回転方向は逆方向である。一方、制御部88は、制御信号が停止指示に相当する場合、モータ86の回転を停止させる。モータ86は制御部88に応じて回転し、開口部10を開閉するシャッターカーテン30、巻き取り軸60等に動力を供給する。
【0037】
モータ86の回転方向に応じてシャッターカーテン30が開閉される場合に、シャッターカーテン30の位置は第1検出部416で検出される。第1検出部416は、例えば、モータ86の側部に設けられ、モータ86の回転数を機械的にカウントして開閉位置あるいは上下限位置を検出するカウンタ式リミットスイッチにより構成される。また、第1検出部416は、モータ86に設けられたエンコーダによりパルスをカウントすることによって、シャッターカーテン30の開閉位置あるいは上下限位置を検出する構成であってもよい。また、第1検出部416は、モータ86の電流検出回路で構成され、モータ86に加わる負荷変動に対応した電流値変化から開閉位置あるいは上下限位置を検出する構成であってもよい。さらに、第1検出部416は、ガイドレール20の上下に設けられてシャッターカーテン30の開閉位置あるいは上下限位置を直接検出する機械的あるいは電気的なリミットスイッチであってもよい。第1検出部416において検出された位置は、位置の帰還値として、位置制御部414、微分部420に出力される。温度検出部430は、モータ86の温度を検出する。
【0038】
以下では、コントローラ300の閉ボタンが押し下げられて、シャッターカーテン30が繰り出されている状況において、シャッターカーテン30による障害物の挟み込みが発生する状況を説明する。
図4(a)-(b)は、本実施例に対応する課題を示す。ここでは、例えば、電流制御部422において検出される電流の帰還値がしきい値を超えた場合に、シャッターカーテン30に障害物が挟み込まれたとして、シャッターカーテン30の繰り出しが停止されることを想定する。
図4(a)では、障害物として硬い物体500が存在している状況下において、硬い物体500の上方からシャッターカーテン30が降下する。シャッターカーテン30の最下端に設けられる水切36が硬い物体500に接触すると、電流の帰還値が増加するので、シャッターカーテン30が停止する。
【0039】
図4(b)では、障害物として柔らかい物体510が存在している状況下において、柔らかい物体510の上方からシャッターカーテン30が降下する。シャッターカーテン30の最下端に設けられる水切36が柔らかい物体510に接触しても、電流の帰還値が増加しないので、シャッターカーテン30は降下を継続する。シャッターカーテン30の降下により柔らかい物体510がある程度変形した状態において、電流の帰還値が増加するので、シャッターカーテン30が停止する。
【0040】
図5(a)-(b)は、電動化ユニット80の動作概要を示す。
図5(a)は、モータ86の負荷の時間変化を示す。時間0からT1まで、シャッターカーテン30による障害物の挟み込みが発生していない。そのため、負荷はほぼ一定であり、シャッターカーテン30が繰り出される。時間T1においてシャッターカーテン30による障害物の挟み込みが発生すると、モータ86の負荷が増加する。障害物が硬い物体500である場合、例えば、モータ86の負荷は時間T2まで増加し、時間T2以降において負荷はほぼ一定である。これは、硬い物体500の挟み込みの発生によって、シャッターカーテン30が繰り出されない状況であるといえる。一方、障害物が柔らかい物体510である場合、例えば、モータ86の負荷は時間T5まで増加し、時間T5以降において負荷はほぼ一定である。ここで、時間T5は時間T2よりも後であるので、障害物が柔らかい物体510である場合には、障害物が硬い物体500である場合よりも負荷の増加の傾きが緩やかである。これは、前述のごとく、柔らかい物体510は、シャッターカーテン30によって変形するからである。
【0041】
図5(b)は、モータ86に出力される電流の大きさ、つまり第2検出部424において検出される電流の大きさの時間変化を示す。時間0からT1まで、シャッターカーテン30による障害物の挟み込みが発生していないので、電流の大きさはほぼ一定である。時間T1においてシャッターカーテン30による障害物の挟み込みが発生すると、電流が増加する。これは、モータ86の負荷が増加している状況において、シャッターカーテン30を繰り出すための制御がなされるので、モータ86に出力する電流が増加するからである。前述のごとく、障害物が硬い物体500であるか、あるいは柔らかい物体510であるかに応じて負荷の増加の傾きが異なるので、電流の増加の傾きも異なる。つまり、障害物が柔らかい物体510である場合の電流の増加の傾きは、障害物が硬い物体500である場合の電流の増加の傾きよりも緩やかになる。
【0042】
障害物が硬い物体500であっても、柔らかい物体510であっても、障害物を早期に検出するために、
図3の第3検出部428は次の処理を実行する。第3検出部428は、第2検出部424から電流値を受けつける。また、第3検出部428は、
図5(b)に示されるように電流に対するしきい値として、第1しきい値と、第1しきい値よりも小さい第2しきい値とを設定する。
【0043】
第1しきい値は硬い物体500の挟み込みを検出するためのしきい値であり、第3検出部428は、電流値が第1しきい値を第1期間超えた場合、障害物の挟み込み、つまりシャッターカーテン30の負荷変動を検出する。ここでは、第1期間が「0」に設定されるので、第3検出部428は、電流値が第1しきい値を超えると直ちにシャッターカーテン30の負荷変動を検出する。そのため、
図5(b)では、電流値が第1しきい値を超える時間T2においてシャッターカーテン30の負荷変動が検出される。一方、第1しきい値を柔らかい物体510の挟み込みを検出するために使用すると、
図5(b)では、時間T5において検出がなされ、検出までの遅延時間が長くなる。
【0044】
第2しきい値は柔らかい物体510の挟み込みを検出するためのしきい値であり、電流値が第2しきい値を第2期間520超えた場合、障害物の挟み込み、つまりシャッターカーテン30の負荷変動を検出する。
図5(b)において第2期間520は、時間T3から時間T4の期間として示されており、第1期間よりも長い。そのため、
図5(b)では、電流値が第2しきい値を超える時間T3から第2期間520を経過した時間T4においてシャッターカーテン30の負荷変動が検出される。時間T4は、前述の時間T5よりも先に到来するので、検出までの遅延時間が短縮される。このような第3検出部428は、負荷変動検出部であるといえる。また、第3検出部428における第1しきい値と第2しきい値のうちの少なくとも1つはシャッターシステム1000の設置後に修正可能である。
【0045】
第3検出部428は、負荷変動を検出すると、負荷変動の発生を電流制御部422に通知する。電流制御部422は、第3検出部428から負荷変動の発生を通知されると、モータ86の回転を停止させたり、モータ86の回転を反転させたりするように、モータ86を制御する。また、負荷変動の発生の通知に応じて、ランプやブザー等によるユーザへの通知がなされてもよい。
【0046】
ここでは、
図6(a)-(d)を使用しながら、第1しきい値、第2しきい値、第1期間、第2期間のさまざまな例を説明する。
図6(a)-(d)は、電動化ユニット80における第1しきい値、第2しきい値、第1期間、第2期間を示す。
図6(a)は、これまで説明した第1しきい値、第2しきい値、第1期間、第2期間を示す。第1期間は「0」とされる。前述のごとく、第1しきい値と第1期間が対応し、第2しきい値と第2期間が対応する。
図6(b)は、
図6(a)において第1期間が「0」よりも大きい値にされる。これは、誤判定を防止するためであり、それ以外は
図6(a)と同様である。
【0047】
図6(c)では、第1しきい値と第2しきい値の間に1つ以上のしきい値が設けられ、第1期間と第2期間との間に1つ以上の期間が設けられる。例えば、第2しきい値、第3しきい値、第4しきい値、第5しきい値、第1しきい値が順に大きくなるように設けられ、第2期間、第3期間、第4期間、第5期間、第1期間が順に短くなるように設けられる。第2しきい値と第2期間が対応し、第1しきい値と第1期間が対応するように、第3しきい値と第3期間が対応し、第4しきい値と第4期間が対応し、第5しきい値と第5期間が対応する。ここで、しきい値と期間との関係が階段状になるように規定される。第3検出部428は、電流値が第3しきい値を第3期間超えた場合、シャッターカーテン30の負荷変動を検出する。
【0048】
図6(d)では、第1しきい値と第2しきい値との間に第3しきい値が設けられ、第1期間と第2期間との間に第3期間が設けられる。第3しきい値は、第1しきい値から第2しきい値に向かって減少するように変化し、第3期間は、第1期間から第2期間に向かって増加するように変化する。つまり、第3しきい値と第3期間は連続的に変化する。第3検出部428は、電流値が第3しきい値を第3期間超えた場合、シャッターカーテン30の負荷変動を検出する。また、
図6(c)-(d)の第3しきい値等もシャッターシステム1000の設置後に修正可能である。
【0049】
これまでの説明では、第1しきい値と第2しきい値は、第2検出部424において検出された電流値と比較されている。第1しきい値と第2しきい値は、
図3における第1検出部416において検出されたモータ86の単位時間当たりの回転数と比較されてもよい。このような回転数は、第1検出部416におけるエンコーダあるいはホール素子あるいはセンサレス制御により検出される。センサレス制御は、モータ逆起電力波形からの推定に相当する。また、第1しきい値と第2しきい値は、
図3における温度検出部430において検出されたモータ86の温度と比較されてもよい。このような電流値、回転数、温度は、モータ86の回転に関連するパラメータの値と総称される。このような第1検出部416、第2検出部424、温度検出部430は、パラメータ値検出部といえる。第3検出部428は、電流値、回転数、温度のうちの2つ以上を使用してもよい。
【0050】
本開示における装置、システム、または方法の主体は、コンピュータを備えている。このコンピュータがプログラムを実行することによって、本開示における装置、システム、または方法の主体の機能が実現される。コンピュータは、プログラムにしたがって動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、またはLSI(Large Scale Integration)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録される。プログラムは、記録媒体に予め格納されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されてもよい。
【0051】
以上の構成によるシャッターシステム1000の動作を説明する。
図7は、電動化ユニット80による検出手順を示すフローチャートである。第2検出部424は電流値を検出する(S10)。電流値が第1しきい値より大きい場合(S12のY)、第3検出部428は負荷変動を検出する(S16)。電流値が第1しきい値より大きくない場合(S12のN)、電流値が第2しきい値を第2期間超えれば(S14のY)、第3検出部428は負荷変動を検出する(S16)。電流値が第2しきい値を第2期間超えない場合(S14のN)、処理が終了される。
【0052】
本実施例によれば、電流値が第1しきい値を第1期間超えた場合、あるいは電流値が第2しきい値を第2期間超えた場合、負荷変動を検出するので、障害物の硬さにかかわらず過負荷状態を検出できる。また、障害物の硬さにかかわらず過負荷状態が検出されるので、障害物が柔らかくても検出までの遅延時間を低減できる。また、障害物が柔らかくても検出までの遅延時間が低減されるので、障害物の変形量を小さくできる。また、電流値と回転数と温度のいずれか1つを使用して過負荷状態を検出するので、モータ負荷を単純な構成で検出できる。また、電流値と回転数と温度の2つ以上を使用して過負荷状態を検出するので、いずれかの検出手段に制約がある場合でも,確実にモータ負荷を検出できる。
【0053】
また、電流値が第1しきい値を超えると直ちに負荷変動を検出するので、検出までの時間を短くできる。また、3つ以上のしきい値を使用するので、さまざまな硬さの障害物に対して過負荷状態を検出できる。また、第1しきい値と第2しきい値との間で変化する第3しきい値を使用するので、さまざまな硬さの障害物に対して過負荷状態を検出できる。また、第1しきい値と第2しきい値のうちの少なくとも1つはシャッターシステム1000の設置後に修正可能であるので、設置環境に適した第1しきい値と第2しきい値を使用できる。また、第1しきい値と第2しきい値と第3しきい値のうちの少なくとも1つはシャッターシステム1000の設置後に修正可能であるので、設置環境に適した第1しきい値と第2しきい値と第3しきい値を使用できる。
【0054】
本開示の一態様の概要は、次の通りである。本開示のある態様の電動開閉体(1000)は、シャッターカーテン(30)を巻き取り可能な巻き取り軸(60)に回転動力を出力する電動部(80)と、電動部(80)の回転に関連するパラメータの値を検出するパラメータ値検出部(416、424、430)と、パラメータ値検出部(416、424、430)において検出したパラメータの値が第1しきい値を第1期間超えた場合、あるいはパラメータ値検出部(416、424、430)において検出したパラメータの値が第2しきい値を第2期間超えた場合、シャッターカーテン(30)の負荷変動を検出する負荷変動検出部(428)とを備える。負荷変動検出部(428)における第2しきい値は第1しきい値よりも小さく、かつ第2期間は第1期間よりも長い。
【0055】
パラメータ値検出部(416、424、430)は、パラメータの値として、電動部(80)を回転させるための電流の値と、電動部(80)の単位時間当たりの回転数と、電動部(80)の温度のうちの少なくとも1つを検出してもよい。
【0056】
パラメータ値検出部(416、424、430)は、パラメータの値として、電動部(80)を回転させるための電流の値の変化の傾きと、電動部(80)の単位時間当たりの回転数の変化の傾きと、電動部(80)の温度の変化の傾きのうちの少なくとも1つを検出してもよい。
【0057】
負荷変動検出部(428)は、パラメータの値が第1しきい値を超えると直ちにシャッターカーテン(30)の負荷変動を検出してもよい。
【0058】
負荷変動検出部(428)は、パラメータの値が第3しきい値を第3期間超えた場合、シャッターカーテン(30)の負荷変動を検出し、負荷変動検出部(428)における第3しきい値は、第1しきい値よりも小さく、かつ第2しきい値よりも大きく、負荷変動検出部(428)における第3期間は、第1期間よりも長く、かつ第2期間よりも短い。
【0059】
負荷変動検出部(428)は、パラメータの値が第3しきい値を第3期間超えた場合、シャッターカーテン(30)の負荷変動を検出し、負荷変動検出部(428)における第3しきい値は、第1しきい値から第2しきい値に向かって変化し、負荷変動検出部(428)における第3期間は、第1期間から第2期間に向かって変化してもよい。
【0060】
負荷変動検出部(428)における第1しきい値と第2しきい値のうちの少なくとも1つは本電動開閉体(1000)の設置後に修正可能であってもよい。
【0061】
負荷変動検出部(428)における第1しきい値と第2しきい値と第3しきい値のうちの少なくとも1つは本電動開閉体(1000)の設置後に修正可能であってもよい。
【0062】
以上、本開示を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0063】
本実施例に係るパラメータ値検出部である第1検出部416、第2検出部424、温度検出部430のうちの少なくとも1つは、パラメータの値として、電流の値と回転数と温度のうちの少なくとも1つを検出する。しかしながらこれに限らず例えば、第1検出部416、第2検出部424、温度検出部430のうちの少なくとも1つは、パラメータの値として、電流の値の変化の傾きと、回転数の変化の傾きと、温度の変化の傾きのうちの少なくとも1つを検出してもよい。本変形例によれば、変化の傾きをしきい値と比較するので、経年変化によるパラメータの値の変動を補正して、誤判定を抑制できる。
【0064】
変形例では、第2検出部424において検出される電流値が、トルク成分であってもよい。モータ86が3相ブラシレスモータである場合、3相ブラシレスモータに出力される3相の直流電流は、u相、v相、w相と示される。また、各相の電流ベクトルの合成ベクトルが周期的に角度を変化することによって、3相ブラシレスモータは回転する。第2検出部424は、u相、v相、w相の電流ベクトルを受けつけ、これらに対してq軸、d軸への2軸変換を実行する。このような変換には公知の行列演算が実行されればよいので、ここでは説明を省略する。ここで、d軸は励磁成分を示しq軸はトルク成分を示す。合成ベクトルは、2軸変換により、d軸方向の励磁ベクトルとq軸方向のトルクベクトルの組合せに変換される。これは、3相ブラシレスモータにおける3相の電流を、励磁成分とトルク成分との組合せに変換することに相当する。励磁成分とトルク成分のうち、トルク成分は外力による負荷に比例する特性がある。つまり、トルク成分には、合計荷重のトルクの変化が反映される。本変形例によれば、構成の自由度を向上できる。
【符号の説明】
【0065】
10 開口部、 12 サッシ、 20 ガイドレール、 30 シャッターカーテン、 32 スラット、 34 ねじ、 36 水切、 40 シャッターケース、 42 ブラケット、 44 支持軸、 60 巻き取り軸、 62 回転枠、 64 従動輪、 66 巻き取りばね、 72 固定部、 80 電動化ユニット(電動部)、 82 本体、 84 駆動輪、 86 モータ、 88 制御部、 90 減速機、 200 通信線、 300 コントローラ、 310 操作部、 312 操作制御部、 314 第2有線通信部、 316 第2接続部、 410 第1接続部、 412 第1有線通信部、 414 位置制御部、 416 第1検出部(パラメータ値検出部)、 418 速度制御部、 420 微分部、 422 電流制御部、 424 第2検出部(パラメータ値検出部)、 428 第3検出部(負荷変動検出部)、 430 温度検出部(パラメータ値検出部)、 1000 シャッターシステム(電動開閉体)。