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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】移動体
(51)【国際特許分類】
   B61B 13/00 20060101AFI20240405BHJP
   B66F 9/24 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
B61B13/00 A
B66F9/24 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020553096
(86)(22)【出願日】2019-10-08
(86)【国際出願番号】 JP2019039691
(87)【国際公開番号】W WO2020080200
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-08-08
(31)【優先権主張番号】P 2018194042
(32)【優先日】2018-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018194043
(32)【優先日】2018-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018194044
(32)【優先日】2018-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018194045
(32)【優先日】2018-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018194046
(32)【優先日】2018-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 秀治
(72)【発明者】
【氏名】福嶋 正造
(72)【発明者】
【氏名】下見 雅也
(72)【発明者】
【氏名】北田 匡智
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-184749(JP,A)
【文献】国際公開第2016/181627(WO,A1)
【文献】特開平10-006979(JP,A)
【文献】国際公開第2015/134529(WO,A1)
【文献】特開2015-016005(JP,A)
【文献】実開平04-083807(JP,U)
【文献】国際公開第2018/008385(WO,A1)
【文献】特開2004-194715(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 13/00
B66F 9/06, 3/44
G05D 1/00
B65G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体を移動面に沿って移動させる移動用モータと、
前記移動面に対して独立して昇降可能な複数の昇降部を動作させる複数の昇降用モータと、
前記移動用モータと前記複数の昇降用モータに電力を供給するバッテリと、
を備え、
前記複数の昇降用モータ、前記移動用モータ及び前記バッテリは、前記筐体内に収まり、前記移動面に直交する方向に見て、分散しており、
記複数の昇降部の各々に対して搬送物が載ったことを検知する複数の載置センサを更に備え、
前記複数の昇降部における、前記複数の載置センサが基準時点から前記搬送物が載ったことを検知する時点までの時間の差に応じて、前記複数の昇降部の動作を変える、
移動体。
【請求項2】
前記搬送物が載ったことを検知する時点までの時間の差に応じて、前記搬送物の種類を判定することで、前記複数の昇降部の動作を変える、
請求項1に記載の移動体。
【請求項3】
前記筐体を前記移動面上で支える駆動輪を更に備え、
前記移動用モータによる移動方向は、前後方向の少なくとも一方であり、
前記複数の昇降用モータは前記前後方向に離れており、
前記移動用モータと前記複数の昇降用モータと前記バッテリは、前記移動面に垂直な方向において、前記駆動輪の直径で規定される範囲内に収まっている、
請求項1又は2に記載の移動体。
【請求項4】
前記移動用モータは、前記複数の昇降用モータの間に配置されている、
請求項1~3のいずれか1項に記載の移動体。
【請求項5】
前記移動用モータ及び前記バッテリは、前記移動面に平行な方向に見て、少なくとも一部が重なっている、
請求項1~4のいずれか1項に記載の移動体。
【請求項6】
前記移動面の段差を検出する少なくとも一つの段差センサを更に備え、
前記段差センサ、前記移動用モータ及び前記バッテリは、前記移動面に直交する方向に見て分散している、
請求項1~5のいずれか1項に記載の移動体。
【請求項7】
前記段差センサを少なくとも四つ備え、
前記移動用モータによる移動方向は、前後方向の少なくとも一方であり、
前記四つの段差センサは、前記前後方向の両端部において、前記前後方向に交差する方向に離れて配置されている、
請求項6に記載の移動体。
【請求項8】
前記段差センサは、前記筐体の底板上に配置され前記移動面に光をあてて前記段差を検出する光学式センサであり、
前記筐体における前記移動面に対向する面には、前記光を通す少なくとも一つの孔が形成されている、
請求項6又は7に記載の移動体。
【請求項9】
前記移動体は、前記昇降部に前記搬送物が載せられる搬送装置である、
請求項1~8のいずれか1項に記載の移動体。
【請求項10】
中間カバーを更に備え、
前記中間カバーは、前記複数の昇降部の間をつなぐ、
請求項1~9のいずれか1項に記載の移動体。
【請求項11】
前記筐体を前記移動面上で支える駆動輪と、
前記駆動輪による移動を補助する複数の補助輪と、
前記補助輪から入力された衝撃をやわらげる複数の緩衝機構と、
を更に備え、
前記複数の緩衝機構の各々は少なくとも一つの緩衝ばねを有し、
前記複数の補助輪のうちのいずれか一つに対応する前記緩衝機構と、前記複数の補助輪のうちの他の一つに対応する前記緩衝機構とでは、前記緩衝ばねの全たわみが異なる、
請求項1~10のいずれか1項に記載の移動体。
【請求項12】
前記筐体を前記移動面上で支える駆動輪と、
前記筐体内に配置され、前記駆動輪を駆動する駆動源を更に備え、
前記筐体は、
上方向に開口するように形成された少なくとも一つの吸気口と、
前記吸気口に通じており、前記吸気口よりも下方に形成された少なくとも一つの排気口と、を有する、
請求項1~11のいずれか1項に記載の移動体。
【請求項13】
少なくとも一つの樹脂製の保護体を更に備え、
前記筐体は、前記移動面に対向し少なくとも一部が金属板である底板を有し、
前記保護体は、少なくとも一部が前記金属板と前記移動面との間に位置し、
前記底板と前記保護体は、異なる材料で形成されている、
請求項1~12のいずれか1項に記載の移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動体に関する。より詳細には、移動面に沿って移動する移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、経路データに従って走行エリア内を移動する無人搬送車(移動体)が開示されている。この無人搬送車は、荷を積んで移動したり、荷を降ろしたりする。また、この無人搬送車は、走行中において前方に障害物を検知すると、その障害物を回避して走行する機能を有する。
【0003】
しかし、走行に必要なモータと、昇降に必要なモータと、バッテリとを筐体内に入れた移動体において、走行面に直交する方向の寸法を抑えた走行体は存在しなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】日本国公開特許公報2012-053838号
【発明の概要】
【0005】
本開示の目的は、走行面に直交する方向の筐体の寸法を抑えることができる移動体を提供することである。
【0006】
本開示に係る一態様の移動体は、筐体と、移動用モータと、バッテリと、を備える。移動用モータは、筐体を移動面に沿って移動させる。バッテリは、移動用モータに電力を供給する。移動体では、移動用モータ及びバッテリは、移動面に直交する方向に見て、異なる位置に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本開示の一実施形態の移動体の斜視図である。
図2図2は、同上の移動体と搬送物との斜視図である。
図3図3は、同上の移動体の駆動輪ユニットの斜視図である。
図4図4は、同上の移動体の補助輪ユニットの断面図である。
図5図5は、同上の補助輪ユニットの分解斜視図である。
図6図6は、同上の移動体の昇降機構の概略平面図である。
図7図7は、同上の移動体の支持ユニットの斜視図である。
図8図8は、同上の支持ユニットの断面図である。
図9図9は、同上の支持ユニットの支持部が上方向に動いた状態の断面図である。
図10図10は、同上の支持部の可動部の拡大断面図である。
図11図11は、同上の移動体の前部の拡大斜視図である。
図12図12は、同上の移動体の後部の拡大斜視図である。
図13図13は、同上の移動体のブロック図である。
図14図14は、同上の移動体の分解斜視図である。
図15図15は、同上の移動体の底面図である。
図16図16は、同上の移動体の側面図である。
図17図17は、同上の移動体の平面図である。
図18図18は、同上の移動体の側面図である。
図19図19は、同上の移動体の平面図である。
図20図20は、同上の移動体の筐体の内部の要部断面図である。
図21図21は、同上の移動体の吸気口の近傍の断面図である。
図22図22は、同上の移動体の後部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(1)実施形態
(1.1)概要
本実施形態に係る移動体1Aは、移動面100に沿って移動する(図2参照)。移動体1Aは、図17に示すように、移動用モータ220と、バッテリ92と、筐体7と、を備える。
【0009】
移動面100は、その上を移動体1Aが移動する面である。移動面100は、床面、マットの上面、地面、アスファルトの上面、コンクリートの上面等である。移動面100は、屋内又は屋外のいずれの場所であってもよい。場所としては、例えば、倉庫、工場、建設現場、店舗(ショッピングモールを含む)、物流センタ、事務所、公園、住宅、学校、病院、駅、空港、駐車場、乗り物の内部等が挙げられる。乗り物の内部は、船舶、電車、飛行機等の内部が例示される。移動面100は水平でなくてもよいし、凹凸を有してもよい。
【0010】
移動用モータ220は、筐体7を移動面100に沿って移動させる。移動用モータ220は、複数であってもよいし単数であってもよい。移動用モータ220は、例えば、移動面100上に筐体7を支える車輪を駆動するモータであってもよいし、ラック・ピニオンのうちのピニオンを駆動するモータ、ワイヤをけん引する際にワイヤを巻き取るモータ等であってもよい。移動用モータ220は、これらを駆動する駆動源22として用いられる。
【0011】
バッテリ92は、移動用モータ220及び昇降用モータ510に電力を供給する。移動用モータ220及びバッテリ92は、移動面100に直交する方向に見て、異なる位置に配置されている。ここでいう「異なる位置に配置されている」とは、各要素が、移動面100に直交する方向に見て重なり合っていないことを意味し、各要素間の距離は特に問わない。例えば、二つの要素が、隣り合うように接触しているだけで、移動面100に直交する方向に見て重なり合っていない場合には、「異なる位置に配置されている」ことに含まれる。
【0012】
このため、本実施形態に係る移動体1Aによれば、走行面(移動面100)に直交する方向において、移動用モータ220及びバッテリ92が重なっていないため、走行面(移動面100)に直交する方向の筐体7の寸法をできる限り小さく抑えることができる。
【0013】
(1.2)詳細
(1.2.1)全体構成
以下、本実施形態に係る移動体1Aについて詳細に説明する。以下では、特に断りのない限り、移動面100は水平面であるとして説明するが、移動面100は、水平面でなくてもよい。また、移動面100に直交する互いに反対向きの二方向を併せて「上下方向」として定義し、移動体1Aの前進時において移動体1Aが進む方向を「前方向」、その逆を「後方向」とし、前方向及び後方向を併せて「前後方向」という場合がある。また、上下方向及び前後方向の両方向に直交する互いに反対向きの二方向を「左右方向」として定義する。ただし、これらの方向の定義は、移動体1Aの使用態様を限定する趣旨ではない。また、図面中の各方向を示す矢印は、説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。
【0014】
移動体1Aは、移動面100に沿って移動する装置である。本実施形態では、移動体1Aとして、移動面100の上を複数の車輪10で移動する態様を一例として説明する。ただし、「(2)変形例」で述べるように、移動体1Aとしては、複数の車輪10で移動する態様に限らない。
【0015】
図1及び図2に示すように、移動体1Aは、移動面100に接地した車輪10が、移動面100に平行な回転軸R1回りに回転することで、移動面100に沿って移動する。本実施形態では、移動体1Aは、搬送物X1を載せた状態で目的とする場所にまで移動する。要するに、本実施形態に係る移動体1Aは、搬送物X1を移動させる搬送装置1である。以下では、移動体1Aの一例である搬送装置1について詳細に説明する。
【0016】
搬送装置1は、本実施形態では、所定エリア内で制御信号を受信し、当該制御信号による指示を受けて、搬送物X1を搬送するという作業を実行する。本開示にいう「所定エリア」とは、一例として、倉庫、工場、建設現場、店舗(ショッピングモールを含む)、物流センタ、事務所、公園、住宅、学校、病院、駅、空港、駐車場等である。さらに、「所定エリア」とは、例えば、船舶、電車又は飛行機等の乗り物の内部であってもよい。本実施形態では、所定エリアは、物流倉庫である。
【0017】
搬送物X1は、搬送される対象となる物である。搬送物X1としては、荷物、製造工場での製品、製造途中の製品(半成品)、荷物が載せられたパレット等が例示される。本実施形態では、搬送物X1は、図2に示すように、荷物が載せられたロールボックスパレットである。本開示では、搬送物X1について「載置物」という場合がある。
【0018】
本実施形態に係る搬送装置1は、搬送物X1が載せられる昇降部70を備える。昇降部70は、移動面100に対して上昇及び下降する。搬送装置1は、搬送物X1の下方に入るように移動し、昇降部70を上昇させ、昇降部70に搬送物X1を載せる。搬送装置1は、この状態で目的地まで移動し、昇降部70を下降させる。これによって、本実施形態に係る搬送装置1は、搬送物X1を搬送する。昇降部70については、「(1.2.4)昇降機構」で詳述する。
【0019】
搬送装置1は、図1に示すように、昇降部70を含む筐体7と、制御部9(図13参照)と、複数(ここでは二つ)の駆動輪ユニット2と、複数(ここでは二つ)の補助輪ユニット3と、複数(ここでは二つ)の昇降機構5(図6参照)と、を備える。また、搬送装置1は、検知部91(図13参照)と、バッテリ92(図17参照)と、を更に備える。
【0020】
(1.2.2)駆動輪ユニット
駆動輪ユニット2は、搬送装置1を移動面100に沿って移動させる。駆動輪ユニット2は、本実施形態では、図1に示すように、前後方向の中央部に配置されている。ここでいう「中央部」とは、搬送装置1の前後方向の全長の1/3の長さで、搬送装置1の前後方向の中心から前後方向に均等に振り分けた一範囲を持つ部分を意味する。ただし、駆動輪ユニット2の配置される位置には特に制限はない。二つの駆動輪ユニット2は、図3に示すように、搬送装置1の前後方向の中央部において、互いに左右対称となるように配置されている。
【0021】
各駆動輪ユニット2は、基台21と、駆動源22と、駆動プーリ23及び従動プーリ24と、動力伝達体25と、シャフト26と、軸受けユニット27と、車輪10と、を備える。駆動源22で発生した動力は、駆動プーリ23、動力伝達体25、従動プーリ24、シャフト26及び車輪10の順で伝達する。車輪10は、筐体7を移動面100の上で支えるが、ここでいう車輪10については、本開示では「駆動輪28」という場合がある。本開示にいう「駆動輪28」は、駆動源22から直接的又は間接的に動力を受けて作動する車輪10のことである。ここにおいて、二つの駆動輪ユニット2は互いに同じ構造であるため、同一の符号を付して重複する説明は適宜省略する。
【0022】
基台21は、筐体7に対して固定されている。基台21は、本実施形態では、上下方向を幅方向とし、かつ前後方向を長さ方向とする矩形状の板材で構成されている。基台21には、駆動源22と、駆動プーリ23と、従動プーリ24と、軸受けユニット27の一部とが取り付けられている。
【0023】
駆動源22は、動力の発生源であり、駆動輪28を駆動する。本実施形態では、駆動源22は、移動用モータ220である。本実施形態に係る移動用モータ220は、電動モータである。ただし、駆動源22としては、油圧モータ、エアモータ等であってもよい。移動用モータ220の出力軸(不図示)は、左右方向に沿って延びており、特に、出力軸の先端は、左右方向のうちの中央側に向いている。移動用モータ220の出力軸の先端部には駆動プーリ23がつながっている。
【0024】
駆動プーリ23及び従動プーリ24は、基台21に対し、左右方向に平行な軸回りに回転可能に取り付けられている。駆動プーリ23と従動プーリ24とは、前後方向に間隔をおいて離れている。駆動プーリ23は、移動用モータ220から動力を受けて、移動用モータ220の出力軸の回転軸回りに回転する。駆動プーリ23と従動プーリ24とは、動力伝達体25を介して、動力を伝達可能につながっている。
【0025】
動力伝達体25は、駆動プーリ23から従動プーリ24に対して動力を伝達する。動力伝達体25は、本実施形態では無端状のベルトである。ただし、動力伝達体25は、チェーン、ワイヤ、ロープ、シャフト、ギア等であってもよい。
【0026】
従動プーリ24は、動力伝達体25を介して、駆動プーリ23からの動力が伝達されるプーリである。本実施形態では、従動プーリ24の外径は、駆動プーリ23の外径よりも大きい。ただし、従動プーリ24の外径は、駆動プーリ23の外径以下であってもよい。従動プーリ24には、同心となるようにシャフト26がつながっている。
【0027】
シャフト26は、駆動輪28と従動プーリ24とをつなぐ。シャフト26は、軸受けユニット27によって、左右方向に延びた回転軸R1回りに回転可能に支えられている。要するに、シャフト26は、駆動輪28を回転軸R1回りに回転させる。
【0028】
駆動輪28は、駆動源22から伝達した動力で回転する。駆動輪28は、シャフト26の長手方向の端部につながっている。駆動輪28は、本実施形態では、シャフト26につながったホイール281と、タイヤ282とを備える。
【0029】
タイヤ282は、本実施形態では、ホイール281の周囲にライニングされた樹脂で構成されている。ただし、タイヤ282は、ゴムタイヤであってもよく、この場合、中実又は中空のいずれであってもよい。また、駆動輪28は、ホイール281を備えなくてもよく、全体が樹脂等で形成された車輪であってもよい。また、駆動輪28は、無限軌道(クローラ)を備えてもよい。
【0030】
本実施形態に係る駆動輪ユニット2では、移動用モータ220から発生した動力が、駆動プーリ23、動力伝達体25、従動プーリ24及びシャフト26の順で伝達し、駆動輪28を駆動する。要するに、駆動輪28は、移動用モータ220によって間接的に動力を受ける。ただし、移動用モータ220の出力軸に対し、直接的に駆動輪28をつないだり、インホイールモータを用いたりするなど、駆動輪28に対して直接的に駆動力を与えてもよい。
【0031】
ところで、各駆動輪ユニット2の移動用モータ220は、出力軸の回転方向を、正転方向と逆転方向とを、適宜、切り替えることができる。ここでいう「正転方向」とは、搬送装置1が前方向に移動するときの出力軸の回転方向を意味し、「逆転方向」とは、搬送装置1が後方向に移動するときの出力軸の回転方向を意味する。
【0032】
本実施形態では、二つの駆動輪ユニット2において、一方の駆動輪ユニット2の移動用モータ220は、他方の駆動輪ユニット2の移動用モータ220に対して独立して作動する。要するに、各駆動輪ユニット2は独立している。したがって、本実施形態に係る搬送装置1では、二つの駆動輪28が互いに異なる角速度で回転することで、左右方向のいずれかに旋回することができ、互いに同じ角速度で回転することで、直線的に走行することができる。したがって、本実施形態に係る搬送装置1は、前進、後進、左右方向への旋回(信地旋回及び超信地旋回を含む)を行うことができる。
【0033】
搬送装置1は、本実施形態では、後進の速度は、前進の速度よりも遅い。ただし、搬送装置1の前進と後進とは、同じ速度であってもよい。
【0034】
二つの駆動輪ユニット2は、筐体7の前後方向の中央部において、左右方向に離れて配置されている。特に、本実施形態では、上述したように、二つの駆動輪ユニット2は、左右対称に配置されており、駆動輪28の左右方向の外側の端面は、筐体7の左右方向の外側の端面よりも内側に位置している。すなわち、二つの駆動輪28は、平面視において、筐体7に収まっている。
【0035】
ここで、図1に示すように、二つの補助輪ユニット3は、前後方向に離れて配置されており、駆動輪ユニット2は、二つの補助輪ユニット3の間に配置されている。各補助輪ユニット3は、後述の「(1.2.3)補助輪ユニット」で説明するように、少なくとも一つの補助輪45を有する。要するに、少なくとも一つの駆動輪28は、複数の補助輪45の間に配置されている。
【0036】
本実施形態では、二つの駆動輪ユニット2は、前後方向に同じ位置に配置されていたが、前後方向にずれた位置に配置されてもよい。また、搬送装置1は、一つの駆動輪ユニット2のみを備える搬送装置1としてもよい。この場合、駆動輪28を左右方向の略全長にわたる幅に形成してもよいし、左右方向の中央に配置してもよい。この場合にあっても、少なくとも一つの駆動輪ユニット2は、二つの補助輪ユニット3の間に配置されていることが好ましい。
【0037】
(1.2.3)補助輪ユニット
補助輪ユニット3は、駆動輪28による移動を補助する車輪10(図4参照)を含むユニットである。本実施形態では、図1に示すように、複数の補助輪ユニット3のうちの一つは、複数の駆動輪ユニット2よりも前方に配置され、他の一つは、複数の駆動輪ユニット2よりも後方に配置される。以下では、複数の駆動輪ユニット2よりも前方に配置される補助輪ユニット3を、「第一補助輪ユニット3A」とし、複数の駆動輪ユニット2よりも後方に配置される補助輪ユニット3を「第二補助輪ユニット3B」とする。
【0038】
第一補助輪ユニット3Aは、本実施形態では、筐体7の底板74の前部において、左右方向の中央に配置される。ここでいう「前部」とは、筐体7において、前後方向の中央部よりも前方の一範囲を持つ部分を意味する。ここで、図4には、第一補助輪ユニット3Aの鉛直面での断面図を示す。第一補助輪ユニット3Aは、ケース31と、補助輪支持部34と、緩衝機構39と、車輪10と、を備える。
【0039】
ケース31は、第一補助輪ユニット3Aにおいて筐体7に取り付けられる部分である。ケース31は、図5に示すように、ケース本体32と、フランジ片33と、を備える。ケース本体32は、複数の側板321と、上板322と、を備え、下方向に開口面を有する直方体状に形成されている。フランジ片33は、ケース本体32の開口面の外側に形成されている。ここで、図4に示すように、筐体7の底板74には第一補助輪ユニット3Aを取り付けるための開口部746が形成されている。第一補助輪ユニット3Aが底板74に取り付けられると、ケース本体32は当該開口部746に通されて筐体7の内部に収まり、フランジ片33は筐体7の底板74の下面に沿って配置される。フランジ片33は、底板74にねじ止めされる。
【0040】
車輪10は、筐体7を移動面100の上で支えるが、ここでいう車輪10については、本開示では「補助輪45」という場合がある。本開示にいう「補助輪45」は、駆動源22から動力を受けない車輪10のことであり、複数の駆動輪28による筐体7の動きに従って動く。補助輪45は、図5に示すように、複数のローラ451と、複数の軸受け452と、を備える。
【0041】
各ローラ451は、中心軸が回転軸となった円筒状に形成されている。各ローラ451は、一例として、樹脂製である。ただし、ローラ451は、例えば、ゴム、エラストマ、ウレタン、ナイロン、フェノール、ポリカーボネート等で構成されてもよい。また、ローラ451の色は、移動面100の色と同系色であることが好ましい。複数のローラ451は、回転軸に沿って隣り合っている。
【0042】
複数の軸受け452は、複数のローラ451の中央部に同心状にはめ込まれている。軸受け452は、補助輪支持部34に含まれる取付け軸35と、複数のローラ451との間に配置される。軸受け452は、玉軸受、ころ軸受等で構成される。
【0043】
補助輪支持部34は、補助輪45を、移動面100に平行な回転軸回りに回転可能に支持する。さらに、補助輪支持部34は、緩衝機構39に含まれる可動フレーム40に対して、上下方向に延びた軸回りに回転可能に支持される。補助輪支持部34は、取付け軸35と、支持部本体36と、抜け止め部材37と、ストッパ38と、を備える。
【0044】
取付け軸35は、補助輪45を回転軸回りに回転可能に支持する。取付け軸35は、移動面100に沿って一方向に延びている。具体的に、取付け軸35は、軸受け452の内輪の中央に挿し入れられる。取付け軸35は、支持部本体36によって支持される。
【0045】
支持部本体36は、取付け軸35が取り付けられる部材である。支持部本体36は、本実施形態では、一対の溝361と、上当たり面362と、を備える。各溝361は、下方向に開口しており、開口を通して取付け軸35の端部がはまり込む。ここで、抜け止め部材37は、一対の溝361に取付け軸35の対応する端部がはまり込んだ状態で、支持部本体36に取り付けられる。抜け止め部材37は、一対の溝361に対応する端部がはめ込まれた状態にある取付け軸35が下方向へ移動することを規制する。
【0046】
上当たり面362は、上方向に向く面であって、緩衝機構39の軸受け体42の下面に当たる。支持部本体36は、補助輪45から上方向の力が与えられると、当該力を、上当たり面362によって軸受け体42に伝える。
【0047】
ストッパ38は、緩衝機構39に含まれる軸受け体42によって、上下方向に沿った回転軸R2回りに回転可能に支持される。また、ストッパ38は、支持部本体36に対して固定される。軸受け体42は、後述のように、緩衝機構39に含まれる可動フレーム40に取り付けられるため、ストッパ38は、可動フレーム40に対して回転軸R2回りに回転可能に支持される。
【0048】
ストッパ38は、軸受け体42の中心に通される軸部381と、軸部381の上端部からラジアル方向に突出するフランジ部382と、を備える。フランジ部382は、軸受け体42の上面に載る。軸部381の下端には、支持部本体36が取り付けられる。
【0049】
緩衝機構39は、補助輪45から入力された衝撃をやわらげる機構である。本実施形態に係る搬送装置1では、補助輪ユニット3が緩衝機構39を備える一方、駆動輪ユニット2は緩衝機構39を備えない。要するに、本実施形態に係る搬送装置1には、駆動輪28から入力された衝撃をやわらげる緩衝機構39が設けられていない。このため、複雑な機構になりやすい駆動輪ユニット2の構造をできる限り簡略化する一方、補助輪ユニット3に緩衝機構39を設けることで、搬送装置1として上下方向の小型化を図りながらスムーズな移動を実現できる。
【0050】
緩衝機構39は、可動フレーム40と、複数の滑り体41と、軸受け体42と、押さえ板43と、複数の緩衝ばね44と、を備える。
【0051】
可動フレーム40は、ケース31に対して上下方向に移動可能に取り付けられている。可動フレーム40とケース31との取付けは、はまり込んでいるのみであってもよいし、移動可能にねじ止めされてもよい。可動フレーム40は、貫通穴401と、複数のばね取付け部402とを備える。貫通穴401は、軸受け体42を収め、かつストッパ38の軸部381を通す。貫通穴401は、上方から見て(以下、平面視)円形状であり、可動フレーム40の中央に形成されている。複数のばね取付け部402は、複数の緩衝ばね44を取り付けるための部分である。各ばね取付け部402は、本実施形態では、緩衝ばね44の下端に当たるばね当たり面403と、固定ピン441が通る通し穴404とを備える。通し穴404は、可動フレーム40を上下方向に貫通していてもよいし、非貫通であってもよい。
【0052】
滑り体41は、可動フレーム40の外側面と、ケース31の内側面との間に配置され、可動フレーム40の上下方向への移動の際に発生し得る摩擦を低減する。滑り体41は、本実施形態では板状に形成されている。滑り体41の主面は鉛直面であり、ケース31の内側面に対向する。滑り体41は、本実施形態では可動フレーム40に取り付けられている。滑り体41の摩擦係数は、可動フレーム40の摩擦係数よりも小さい。滑り体41は、例えば、フッ素樹脂、ナイロン、四フッ化エチレン樹脂等で構成される。ただし、滑り体41は、ケース31の内側面の全面にわたって取り付けられてもよいし、ケース31の側板321が、滑り体41の摩擦係数以下の素材で形成されてもよい。
【0053】
軸受け体42は、回転軸R2回りにストッパ38を回転可能に支え、つまり、軸受け体42は、補助輪支持部34を支える。軸受け体42は、可動フレーム40の貫通穴401にはめ込まれ、これによって、可動フレーム40に取り付けられる。軸受け体42は、例えば、転がり軸受(玉軸受、ころ軸受等)、すべり軸受、流体軸受等で構成される。
【0054】
押さえ板43は、軸受け体42の上方向への移動を規制する。押さえ板43は、可動フレーム40の貫通穴401にはめ込まれた軸受け体42の上方において、可動フレーム40に対して固定される。これにより、補助輪45から入力された上方向の力が、補助輪支持部34を介して軸受け体42に掛かっても、押さえ板43で受けることができる。当該力を押さえ板43で受けると、ケース31に対して、可動フレーム40が上方向に移動する。
【0055】
複数の緩衝ばね44は、可動フレーム40の上面とケース31の上板322の下面との間に配置される。各緩衝ばね44は、上下方向に弾性変形可能である。このため、可動フレーム40がケース31に対して上方向に移動した際に、複数の緩衝ばね44は、上下方向に弾性変形して、衝撃を吸収することができる。
【0056】
各緩衝ばね44は、本実施形態では、上下方向に対して平行な中心軸を持つコイルばねである。ただし、緩衝ばね44は、コイルばねに限らず、ばね性を持っていればよい。緩衝ばね44は、例えば、板ばね(薄板ばねを含む)、皿ばね、ラバースプリング、空気ばね、防振ゴム、クッションゴム等であってもよい。
【0057】
複数の緩衝ばね44は、本実施形態では、可動フレーム40の四隅に形成されたばね取付け部402に取り付けられる。これによって、可動フレーム40がケース31に対して上方向に移動した際に、複数の緩衝ばね44が略均等にたわむ。これにより、可動フレーム40は、上下方向に沿って平行移動が可能である。
【0058】
本実施形態では、複数の緩衝ばね44の全たわみは、すべて同じである。本開示でいう「全たわみ」とは、荷重が掛かっていない高さ(自由高さ)から、荷重が掛かって最大限圧縮した高さ(密着高さ)を減算したたわみを意味する。本実施形態では、第一補助輪ユニット3Aの緩衝ばね44の全たわみは、約3mmである。
【0059】
第二補助輪ユニット3Bは、図1に示すように、筐体7の底板74の後部において、左右方向の中央に配置される。ここでいう「後部」とは、筐体7において、前後方向の中央部よりも後方の一範囲を持つ部分を意味する。第二補助輪ユニット3Bは、第一補助輪ユニット3Aと同じ構造である。
【0060】
ただし、第二補助輪ユニット3Bの緩衝ばね44は、第一補助輪ユニット3Aの緩衝ばね44と全たわみが異なっている。本実施形態では、第二補助輪ユニット3Bの緩衝ばね44の全たわみは、約8mmである。すなわち、上述したように、第一補助輪ユニット3Aの緩衝ばね44の全たわみは、約3mmであるから、第二補助輪ユニット3Bの緩衝ばね44の全たわみは、第一補助輪ユニット3Aの緩衝ばね44よりも大きい。これによって、第一補助輪ユニット3Aに対応する筐体7の部分(本実施形態では筐体7の前部)が下方向に移動し得る量を小さくすることができる。これにより、第一補助輪ユニット3Aに対応する位置に搬送物X1が載ったときに、搬送装置1の前部の沈み量を抑えることができる。この結果、例えば、搬送装置1の前部にレーザセンサがある場合等に、搬送装置1の前部が過度に沈んで、センサが走行面(移動面100)を誤検知してしまうのを抑制できる。
【0061】
(1.2.4)昇降機構
(1.2.4.1)全体の構成
本実施形態に係る搬送装置1は、図1に示すように、移動面100に対して独立して昇降可能な複数の昇降部70を備える。昇降部70は、搬送物X1(載置物)が載る部分であり、本実施形態では、筐体7の一部である。図2に示すように、本実施形態に係る搬送装置1は、荷物が載せられたロールボックスパレット(搬送物X1)の下方にある隙間の中に移動し、その後、複数の昇降部70の少なくとも一方が上昇して搬送物X1を持ち上げる。そして、搬送装置1は、搬送物X1を持ち上げた状態で移動する。ただし、搬送装置1が搬送物X1の下方に移動し、昇降部70が上昇して、搬送物X1を積載するのは動作例の一例に過ぎない。本開示に係る搬送装置1では、例えば、昇降部70が上昇することなく、昇降部70に対して作業者が搬送物X1を載せ、この状態で搬送装置1が移動してもよい。
【0062】
本実施形態では、搬送装置1は、複数の昇降部70を上昇させる複数の昇降機構5(図6参照)を備える。
【0063】
昇降機構5は、搬送物X1が載る昇降部70を昇降させる機構である。本実施形態に係る搬送装置1は、複数(ここでは二つ)の昇降機構5を備える。複数の昇降機構5は、複数の昇降部70に対して、一対一の関係にある。複数の昇降機構5のうちの一つの昇降機構5は筐体7の前部に配置され、他の昇降機構5は筐体7の後部に配置される。前部に配置された昇降機構5と後部に配置された昇降機構5とは、同じ機構である。ここでは、前部に配置された昇降機構5について主に説明する。
【0064】
図6には、前部に配置された昇降機構5の概略図を示す。各昇降機構5は、一つの駆動源51と、駆動シャフト52と、複数(ここでは二つ)の支持ユニット53と、載置センサ95(図13参照)と、を備える。
【0065】
(1.2.4.2)駆動源
駆動源51は、動力の発生源であり、支持ユニット53を駆動する。昇降部70は支持ユニット53の動作に応じて動くため、駆動源51は昇降部70を駆動する。本実施形態では、駆動源51は、昇降用モータ510である。本実施形態に係る昇降用モータ510は、電動機である。ただし、駆動源51は、油圧モータ、エアモータ等であってもよい。昇降用モータ510の出力軸から出力された動力は、駆動シャフト52に伝達し、駆動シャフト52を回転軸R3回りに回転させる。本実施形態では、昇降用モータ510の出力軸には、駆動ギア511が固定されている。
【0066】
(1.2.4.3)駆動シャフト
駆動シャフト52は、昇降用モータ510から入力された動力を、互いに離れた複数箇所に分け、複数の支持ユニット53に伝達する。駆動シャフト52の一部には、駆動ギア511にかみ合う従動ギア521が固定されている。昇降用モータ510が回転すると、その動力は、駆動ギア511と従動ギア521とを介して駆動シャフト52に伝達する。すると、駆動シャフト52は、回転軸R3回りに回転する。駆動シャフト52の両端は、支持ユニット53に連結されている。これにより、昇降用モータ510から出力された動力を、互いに離れた複数の支持ユニット53に伝達することができる。
【0067】
(1.2.4.4)支持ユニット
各支持ユニット53は、昇降部70を昇降させるためのユニットである。本実施形態では、複数の支持ユニット53は、連動して作動する。したがって、複数の支持ユニット53の上昇動作と、下降動作とは同期する。ここで、図7には、一つの支持ユニット53の斜視図を示す。支持ユニット53は、設置台54と、ギアボックス55と、支持部56と、ガイド部61と、を備える。
【0068】
(1.2.4.4.1)設置台
設置台54は、ギアボックス55、支持部56及びガイド部61が取り付けられた状態で、筐体7に対して固定される。設置台54は、本実施形態では、移動面100に略平行な第一板541と、第一板541に取り付けられる第二板542と、を備える。第二板542は、第一板541に対して立ち上げられている。
【0069】
(1.2.4.4.2)ギアボックス
ギアボックス55は、駆動シャフト52につながり、駆動シャフト52の回転軸R3回りの動力が入力される。ギアボックス55は複数のギアを含み、入力された動力を、図8に示すように、上下方向に延びた回転軸R4回りの動力として出力する。ギアボックス55の出力軸は、第一板541の下方に突出している。ギアボックス55の出力軸には、回転軸R4回りに回転可能な第一ギア551が固定されている。
【0070】
本実施形態に係るギアボックス55では、入力される動力の回転軸と、出力する動力の回転軸とは、互いに直交する。ただし、入力される動力の回転軸と、出力する動力の回転軸とのなす角度は、直交する場合に限らず、0°より大きく、かつ90°未満であってもよいし、90°よりも大きくてもよい。要するに、入力される動力の回転軸と、出力する動力の回転軸とのなす角度は、交差していればよい。また、ギアボックス55は、入力された回転速度を、異なる回転速度で出力する減速機能を有してもよい。
【0071】
第一ギア551は、支持部56に含まれる第二ギア57にかみ合っており、第二ギア57を上下方向に沿った回転軸R5回りに回転させる。
【0072】
(1.2.4.4.3)支持部
支持部56は、昇降用モータ510から出力された動力によって、上下方向に沿って動く部分である。本実施形態では、支持部56が上方向に動くことで昇降部70は上昇し、支持部56が下方向に動くことで昇降部70は下降する。要するに、支持部56は、複数の昇降部70のうちの一つの昇降部70を支持し、この昇降部70を昇降方向に沿って移動させる。ここでいう「上下方向に沿って動く」とは、支持部56の少なくとも一部が上下方向に沿って移動することを意味し、一部が変形するようにして動くことや、全体が移動する場合も含まれる。「上方向に動く」及び「下方向に動く」についても同様である。
【0073】
支持部56は、第二ギア57と、回転筒58と、移動子59と、伸縮カバー60と、を備える。
【0074】
第二ギア57は、第一ギア551にかみ合っており、第一ギア551の回転に伴って、回転軸R5回りに回転する。第二ギア57は、本実施形態では、第一板541の下面に対し、回転軸R5回りに回転可能に取り付けられている。第二ギア57の中央には、上下方向に貫通する通り穴が形成されている。通り穴には、移動子59の一部が通される。
【0075】
回転筒58は、第二ギア57に固定されており、回転筒58の回転に伴って、回転軸R5回りに回転する。回転筒58は、第二ギア57に対して、同心状に取り付けられる。回転筒58と第二ギア57との取付けは、本実施形態では、ねじ止めであるが、そのほか、例えば、溶接、ピン止め、はめ合い等で実現されてもよい。また、回転筒58と第二ギア57とは、鋳造、ダイカスト等で一体に形成されてもよい。
【0076】
回転筒58は、円筒状に形成されている。回転筒58の内周面には、第一係合部581が形成されている。第一係合部581は、移動子59に係わり合う部分である。ここでいう「係わり合う」とは、移動子59に対して、回転筒58からの動力を与えて、移動子59を上下方向に沿って移動させことができる程度に係り合うことを意味する。第一係合部581は、本実施形態では、雌ねじで実現されている。雌ねじは、本実施形態では、台形ねじであるが、そのほか、例えば、角ねじ、三角ねじ、丸ねじ等であってもよい。
【0077】
移動子59は、回転筒58の回転に伴って、上下方向に沿って移動する。移動子59は、回転筒58の第一係合部581に係り合った状態で、回転筒58の内側に配置される。移動子59の上端は、昇降部70に対して固定されており(具体的には、バックアッププレート75に取り付けられている)、移動子59は、回転筒58の回転に伴って、上下方向に沿って移動するものの、回転軸R5回りには回転しない。移動子59は、本実施形態では、軸本体591と、可動部593と、弾性体597と、を備える。
【0078】
軸本体591は、第一係合部581に対して係わり合いながら、上下方向に沿って移動する。軸本体591は、上下方向に沿って延びている。軸本体591は、第一係合部581に対して係わり合う第二係合部592を有する。第二係合部592は、軸本体591の下端部の外周面に形成されている。
【0079】
第二係合部592は、第一係合部581に対して係わり合う部分である。第二係合部592は、回転筒58の回転軸R5回りの回転に伴い、回転軸R5に沿って(上下方向に沿って)移動する。第二係合部592は、本実施形態では、雄ねじである。雄ねじは、第一係合部581の雌ねじに対応する。本実施形態に係る雄ねじは、台形ねじである。ただし、第一係合部581の雌ねじが、角ねじ、三角ねじ又は丸ねじである場合、第二係合部592は、それに対応するねじである。
【0080】
ところで、第一係合部581及び第二係合部592は、互いに係わり合いながら、軸本体591が上下方向に沿って移動すればよいため、具体的な構成については雌ねじ及び雄ねじに限らない。第一係合部581及び第二係合部592は、例えば、いずれか一方を、ねじ又は螺旋状の溝とし、他方を、螺旋状の溝に係わり合う突起又はねじとしてもよい。また、ボールねじのような構造を採用し、第一係合部581と第二係合部592とを、複数のボール等の中間物を介して係わり合わせてもよい。
【0081】
可動部593は、軸本体591に対して、軸本体591の中心軸に沿って移動可能に軸本体591の上端部に取り付けられている。可動部593が軸本体591の上端部に取り付けられていることで、昇降部70に対して搬送物X1から衝撃が加わったときに、当該衝撃をやわらげることができる。可動部593は、弾性体597によって上方向に常時押されている。可動部593は、図10に示すように、可動部本体594と、複数のガイドピン595と、複数のスリーブベアリング596a,596bと、を備える。
【0082】
可動部本体594は、筒状に形成されており、上下方向の中間部分において、中央に向かって突出した中間仕切り594aを有する。中間仕切り594aには、各ガイドピン595を通すための孔が形成されており、可動部本体594は、各ガイドピン595の長手方向(上下方向)に沿って移動する。
【0083】
ガイドピン595は、可動部本体594の移動をガイドする。ガイドピン595の長手方向は上下方向に沿っている。ガイドピン595の下端部は、軸本体591の上端部に固定されている。複数のガイドピン595は、回転軸R5(図8参照)回りに当ピッチで配置されている。
【0084】
スリーブベアリング596a,596bは、可動部本体594が、軸本体591に対して上下方向に移動する際の摩擦力を低減する。スリーブベアリング596a,596bは、可動部本体594の内面と軸本体591の外面との間に配置される。本実施形態では、スリーブベアリング596a,596bは、円筒形状に形成されており、可動部本体594の内面に取り付けられている。
【0085】
弾性体597は、可動部593を上方向に向かって押す。弾性体597は、本実施形態ではコイルばねである。ただし、弾性体597は、コイルばねに限らず、ばね性を持っていればよい。弾性体597は、例えば、板ばね(薄板ばねを含む)、皿ばね、ラバースプリング、空気ばね、防振ゴム、クッションゴム等であってもよい。
【0086】
図9に示すように、伸縮カバー60は、移動子59の移動に伴って伸縮するカバーである。伸縮カバー60は、移動子59及び回転筒58の外周面を覆う。伸縮カバー60の上端は、昇降部70に対して固定されている(具体的には、バックアッププレート75に取り付けられている)。移動子59が上方向に移動し、昇降部70が上昇すると、伸縮カバー60が上方向に伸びる。一方、移動子59が下方向に移動し、昇降部70が下降すると、伸縮カバー60が下方向に縮む。伸縮カバー60は、本実施形態では、固定筒部601と、第一可動筒部602と、第二可動筒部603と、を備える。
【0087】
固定筒部601は、第一板541に固定される。固定筒部601は、回転筒58の外径よりも大きい外径を持ち、回転筒58に対して同心状に配置される。固定筒部601と、回転筒58との間には、複数の軸受けが配置される。これら複数の軸受けによって、固定筒部601に対する、回転筒58の、回転軸R5回りのスムーズな回転を実現することができる。固定筒部601の上端には、第一可動筒部602が上方向へ抜けることを妨げる第一抜け止め部601aが設けられている。
【0088】
第一可動筒部602は、固定筒部601に対して上下方向に移動可能である。第一可動筒部602は、固定筒部601の外径よりも大きい外径を持ち、固定筒部601に対して、同心状に配置される。第一可動筒部602と、固定筒部601との間には、円筒状のスラスト軸受け602aが配置される。このスラスト軸受け602aによって、固定筒部601に対する第一可動筒部602の上下方向のスムーズな移動を実現することができる。第一可動筒部602の上端には、第一可動筒部602に対して、第二可動筒部603が上方向に抜けることを妨げる第二抜け止め部602bが設けられている。
【0089】
第二可動筒部603は、第一可動筒部602に対して上下方向に移動可能である。第二可動筒部603は、第一可動筒部602の外径よりも大きい外径を持ち、第一可動筒部602に対して、同心状に配置される。第二可動筒部603と、第一可動筒部602との間には、円筒状のスラスト軸受け603aが配置される。このスラスト軸受け603aによって、第一可動筒部602に対する第二可動筒部603の上下方向のスムーズな移動を実現することができる。
【0090】
第二可動筒部603の上端は、上述したように、筐体7のバックアッププレート75(図14参照)に対して固定されている。このため、図9に示すように、移動子59が上方向に移動すると、昇降部70が上昇し、それに追従して第二可動筒部603が上方向に移動する。第二可動筒部603が上方向に移動している途中に第二可動筒部603の下端が、スリーブベアリング603aを介して第一可動筒部602の第二抜け止め部602bに引っ掛かり、第一可動筒部602が上方向に持ち上げられる。これによって、伸縮カバー60は上方向に伸長する。
【0091】
このように、本実施形態に係る伸縮カバー60は、固定筒部601、第一可動筒部602及び第二可動筒部603を備えた、いわゆるテレスコピックパイプ状のカバーである。ただし、伸縮カバー60は、蛇腹状のカバーや、昇降部70に固定された上筒と、第一板541に固定された下筒とを重ねたカバーであってもよい。
【0092】
(1.2.4.4.4)ガイド部
ガイド部61は、支持部56の上下方向に沿った動きをガイドする部分である。ガイド部61は、図7に示すように、支持部56に隣り合って配置されている。ガイド部61は、第一板541に取り付けられている。ガイド部61は、図9に示すように、可動軸62と、第一ガイド筒部材63と、第二ガイド筒部材64と、を備える。
【0093】
可動軸62は、昇降部70に対して固定される(具体的には、バックアッププレート75に取り付けられている)。可動軸62は、本実施形態では、軸状であるが、中実構造か中空構造であるかは問わない。可動軸62は、上下方向に沿って延びており、下端部にフランジ部621が形成されている。
【0094】
第一ガイド筒部材63は、可動軸62に対して、可動軸62の長手方向(上下方向)に沿って移動可能な部材である。第一ガイド筒部材63と、可動軸62との間にはスラスト軸受け63aが配置されている。第一ガイド筒部材63の上端には、スラスト軸受け63aが上方向に抜けるのを妨げる上抜け止め部63bが設けられている。第一ガイド筒部材63の下端には、第二ガイド筒部材64の上端に引っ掛かる下抜け止め部63cが設けられている。
【0095】
第二ガイド筒部材64は、第一ガイド筒部材63に対して、上下方向に沿って移動可能な部材である。第一ガイド筒部材63と、第二ガイド筒部材64との間にはスラスト軸受け64aが配置されている。第二ガイド筒部材64の上端には、スラスト軸受け64aが上方向に抜けるのを妨げる上抜け止め部64bが設けられている。第二ガイド筒部材64の下端は、第一板541に固定されている。
【0096】
可動軸62の上端は、上述したように、昇降部70に対して固定されている。このため、図9に示すように、支持部56が上方向に移動すると、昇降部70が上昇し、それに追従して可動軸62が上方向に移動する。可動軸62が上方向に移動すると、可動軸62のフランジ部621が、スラスト軸受け63aに当たり、第一ガイド筒部材63が上方向に引き上げられる。このとき、第一ガイド筒部材63は、第二ガイド筒部材64によって、上下方向に沿った移動がガイドされ、可動軸62は、第一ガイド筒部材63によって、上下方向に沿った移動がガイドされる。
【0097】
(1.2.4.5)載置センサ
図13に示す載置センサ95は、各昇降部70に対して、搬送物X1が載ったことを検知する。載置センサ95は、例えば、支持部56の移動子59(図8参照)の上端部に取り付けられる。載置センサ95は、本実施形態では非接触センサであり、具体的には近接センサである。近接センサとして、本実施形態では、誘導形近接センサが用いられているが、静電容量形近接センサであってもよい。ただし、非接触式センサは、超音波センサ、光電センサ等であってもよく、搬送物X1の属性によって適宜選択される。また、載置センサ95は、非接触センサに限らず、接触センサであってもよい。接触センサとしては、一例として、重量センサが挙げられる。
【0098】
本実施形態では、載置センサ95に搬送物X1が近接した検知結果を出力したことをもって、搬送物X1が昇降部70に載ったことを検知する。本実施形態では、搬送物X1の下方において、昇降部70が上昇すると、昇降部70が搬送物X1の下面に当たる。この場合、搬送物X1の下面が昇降部70に当たると、載置センサ95は搬送物X1が近接したことの検知結果を出力するため、これをもって、昇降部70に搬送物X1が載ったことを検知する。
【0099】
本実施形態では、複数の載置センサ95は、複数の昇降部70に対応して設置されている。このため、例えば、搬送物X1の下面に高さの差がある場合には、載置センサ95による搬送物X1の検出のタイミングがずれる。これらの載置センサ95の検知結果は、後述の制御部9に出力される。
【0100】
(1.2.5)検知部
検知部91は、搬送装置1の挙動、及び搬送装置1の周辺状況等を検知する。ここでいう「挙動」は、動作及び様子等を意味する。つまり、搬送装置1の挙動は、搬送装置1が走行中/停止中を表す搬送装置1の動作状態、搬送装置1の速度(及び速度変化)、搬送装置1に作用する加速度、及び搬送装置1の姿勢等を含む。具体的には、検知部91は、例えば、速度センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ等のセンサを含み、これらのセンサにて搬送装置1の挙動を検知する。また、検知部91は、例えば、イメージセンサ(カメラ)、ソナーセンサ、レーダ、及びLiDAR(Light Detection and Ranging)等のセンサを含み、これらのセンサにて搬送装置1の周辺状況を検知する。搬送装置1の周辺状況には、例えば、搬送装置1の進行方向の前方に存在する物体(障害物等)の有無、及び物体の位置(距離及び方位)等が含まれる。障害物には、他の移動体1A及び人も含まれる。
【0101】
検知部91は、本実施形態では、図11、12に示すように、複数(ここでは四つ)の段差センサ93と、複数(ここでは二つ)のバンパーセンサ94と、を備える。図11は、本実施形態に係る移動体1Aの前部の拡大図である。図12は、本実施形態に係る移動体1Aの後部の拡大図である。
【0102】
段差センサ93は、移動面100の段差を検出する。段差センサ93は、本実施形態では、移動面100に光をあてて段差を検出する光学式センサ(測距センサ)である。具体的には、光学式センサは、発光素子から出射した光を対象物に当て、反射した光を、受光素子で受ける。そして、受光素子に入射するときの位置から、三角測量の原理を用いて、対象物との距離を測定する。受光素子は、PSD(Position Sensing Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)、CCD(Charge-Coupled Device)を含む。ただし、段差センサ93としては、光学式センサに限らず、超音波式の測距センサを用いてもよい。
【0103】
図11,12に示すように、底板74には、光学式センサの光を通す複数の孔745が形成されている。複数の孔745として、出光用孔と入光用孔とが設けられる。ただし、出光用孔と入光用孔とがつながって一つの孔745を形成してもよい。また、本実施形態では、孔745は透明板で塞がれていないが、孔745を透明板で塞いでもよい。
【0104】
複数の段差センサ93は、図11,12に示すように、筐体7において、前後方向の両端部に配置されている。さらに、筐体7の前部において、図11に示すように、複数の段差センサ93の並ぶ方向は、前後方向に交差する。本実施形態では、複数の段差センサ93の並ぶ方向は左右方向に平行である。筐体7の後部において、図12に示すように、複数の段差センサ93の並ぶ方向は、前後方向に交差する。本実施形態では、複数の段差センサ93の並ぶ方向は左右方向に平行である。要するに、本実施形態では、四つの段差センサ93は、筐体7において四隅に配置されている。したがって、複数の段差センサ93は、平面視で、移動用モータ220、昇降用モータ510及びバッテリ92とは異なる位置に配置されている。
【0105】
このような段差センサ93は、制御部9に対して、電気信号を送信可能に接続されており、検出結果を制御部9に出力することができる。
【0106】
バンパーセンサ94は、搬送装置1が移動中に障害物に接触したことを検知する。バンパーセンサ94は、筐体7の底板74の前後方向の前側の端部と、後側の端部との両方に設けられている。バンパーセンサ94は、バンパーセンサ94に障害物が接触すると、検知結果を制御部9に出力する。バンパーセンサ94は、本実施形態では、非常停止用のセンサとして用いられている。
【0107】
(1.2.6)制御部
図13に示す制御部9は、複数の移動用モータ220及び複数の昇降用モータ510の駆動を制御する。制御部9は、複数の移動用モータ220、複数の昇降用モータ510、載置センサ95及び検知部91に接続されている。本実施形態では、制御部9は、外部のサーバ装置等の指令部からの指示に従って、移動用モータ220及び昇降用モータ510に対して、制御信号を出力する。
【0108】
制御部9は、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを主構成とする。すなわち、マイクロコントローラのメモリに記録されたプログラムを、マイクロコントローラのプロセッサが実行することにより、制御部9の機能が実現される。プログラムはメモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよいし、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0109】
制御部9は、載置センサ95及び検知部91からの検知結果の電気信号が入力されると、検知結果に応じて、昇降用モータ510及び移動用モータ220の動作を制御する。本実施形態における制御部9による昇降用モータ510及び移動用モータ220の動作例は、後述の「(1.3)動作」で詳述する。
【0110】
また、制御部9は、本実施形態では、第一昇降部771(図14参照)に対応する載置センサ95の検知結果と、第二昇降部781に対応する載置センサ95の検知結果とから、搬送物X1の種類を判定する判定処理を実行する。制御部9は、例えば、基準時点から、第一昇降部771に対応する載置センサ95が搬送物X1を検知するまでの時間T1と、第二昇降部781に対応する載置センサ95が搬送物X1を検知するまでの時間T2とを取得して、T1とT2との差分T3を算出する。そして、このT3の値に応じて、搬送物X1の下面の形状に応じた種類を判定できる。
【0111】
本実施形態では「基準時点」は、第一昇降部771と第二昇降部781との動作が開始した時点であるが、第一昇降部771と第二昇降部781との動作中の時点であってもよい。
【0112】
制御部9は、搬送物X1の種類を判定し、これに応じて、移動用モータ220及び昇降用モータ510の動作を変える。例えば、制御部9は、搬送物X1の底面の形状、すなわちロールボックスパレットの底面の形状に応じて積載する荷物の種類を判定することで、荷物に応じて搬送装置1の動作を変えることができる。一例として、制御部9は、荷物の種類に応じて、搬送物X1の上昇量を変えたり、搬送装置1の走行速度を変えたりすることができる。
【0113】
(1.2.7)バッテリ
バッテリ92(図17参照)は、移動用モータ220及び昇降用モータ510に電力を供給する。具体的には、バッテリ92は、制御部9を介して、移動用モータ220及び昇降用モータ510に電力を供給する。ただし、バッテリ92は、移動用モータ220及び昇降用モータ510に直接的に電力を供給してもよい。バッテリ92は、本実施形態では、リチウムイオンバッテリである。ただし、バッテリ92は、鉛蓄電池、ニッケル水素電池、NAS電池(ナトリウム硫黄電池)等であってもよい。
【0114】
バッテリ92は、本実施形態では、移動用モータ220と、筐体7の前部に配置された昇降機構5との間に配置されている(図17参照)。
【0115】
(1.2.8)筐体
筐体7は、制御部9と、移動用モータ220と、昇降用モータ510を含む昇降機構5等とを収める。筐体7は、図14に示すように、筐体本体71と、複数のバックアッププレート75と、カバー76と、を備える。
【0116】
筐体本体71は、筐体7の主体をなす部分である。筐体本体71は、左右方向よりも前後方向に長く、かつ左右方向及び前後方向よりも上下方向の寸法が小さい直方体状である。上述したように、本実施形態に係る筐体7は、搬送物X1の下方にある隙間に収まるように、筐体7の上下方向の寸法が、筐体7の左右方向の寸法に比べても十分に小さい。筐体本体71は、天板72と、複数の側板73と、底板74(図15参照)と、を備える。
【0117】
天板72は、筐体本体71において上方向に向く面を構成する板である。天板72には、平面視で四隅に形成された開口(以下、昇降機構用開口723という)と、吸気用の開口(以下、吸気口721という)とが形成されている。これらの開口721,723は、天板72を厚み方向に貫通しており、筐体本体71の内部に通じている。ここでいう「四隅」とは、筐体本体71の前後方向の両端部で、かつ左右方向の両端部に位置する一範囲を持つ部分を意味する。
【0118】
複数の昇降機構5の少なくとも一部は、筐体本体71に収まっている。各昇降機構5は、平面視において、昇降機構用開口723の内側に収まり、支持部56が上方向に動くと、支持部56は昇降機構用開口723を通って天板72の上面よりも上方向に突出する。
【0119】
複数の側板73は、天板72及び底板74に交差し、筐体本体71のうち、移動面100に平行な方向の外側(外側方)を向く面を構成する板である。
【0120】
底板74は、筐体7において下方向を向く面を構成する板である。底板74の下面は、移動面100に対向する。底板74は、平板状に形成されている。底板74は、図15に示すように、底板本体741と、複数(ここでは二つ)の隣接部742とを有する。
【0121】
底板本体741は、底板74の大部分をなす部分である。底板本体741は、本実施形態では、平面視で天板72と重なる。底板本体741は、複数(ここでは四つ)の隅部を有する。隅部は、底板74の前後方向に延びた辺と、左右方向に延びた辺とでなす角を含む一範囲を持つ部分である。底板本体741は、本実施形態では金属製であるが、硬質樹脂、カーボン、木材等であってもよい。
【0122】
隣接部742は、底板本体741の隅部に対して隣接して配置される板である。本実施形態では、複数の隣接部742は、底板本体741に対し、前後方向の両側に配置される。本実施形態では、図22に示すように、各隣接部742の下面が、底板本体741の下面よりも上方に位置するように、各隣接部742は、底板本体741に取り付けられる。各隣接部742は、金属製であり、本実施形態ではアルミニウム製である。底板本体741と隣接部742とは、同じ素材であってもよいし、互いに異なる素材であってもよい。
【0123】
図14に示すように、複数のバックアッププレート75は、カバー76を補強的に支える。本実施形態では、バックアッププレート75の厚さは、カバー76の厚さよりも厚い。複数のバックアッププレート75は、筐体本体71とカバー76との間に配置される。複数のバックアッププレート75は、第一昇降部771と、第二昇降部781との各々に対応する位置に配置される。ここで、第一昇降部771に対応するバックアッププレート75を「第一バックアッププレート751」とする。また、第二昇降部781に対応するバックアッププレート75を「第二バックアッププレート752」とする。
【0124】
第一バックアッププレート751は、筐体7の前部の昇降機構5に対し、平面視で重なる位置に配置される。第一バックアッププレート751には、昇降機構5の複数の支持部56、複数の第二可動筒部603及び複数のガイド部61の可動軸62がそれぞれ取り付けられている。これによって、支持部56が上方向に移動すると、第一バックアッププレート751が上昇し、第一昇降部771が上昇する。
【0125】
第二バックアッププレート752は、筐体7の後部の昇降機構5に対し、平面視で重なる位置に配置される。第二バックアッププレート752には、第一バックアッププレート751と同様に、筐体7の後部の昇降機構5の複数の支持部56、複数の第二可動筒部603及び複数のガイド部61の可動軸62がそれぞれ取り付けられている。これによって、支持部56が上方向に移動すると、第二バックアッププレート752が上昇し、第二昇降部781が上昇する。
【0126】
カバー76は、筐体本体71を少なくとも上から覆う。カバー76は、第一カバー77と、第二カバー78と、中間カバー79とを備える。
【0127】
第一カバー77は、筐体本体71の天板72の前部を覆う。第一カバー77は、第一昇降部771と、一対の側面部772とを有する。第一昇降部771は、移動面100に対して昇降し、搬送物X1が載せられる部分である。第一昇降部771は、昇降機構5の上方向への動き及び下方向への動きに伴って、上昇及び下降を行うことができる。第一昇降部771は、搬送物X1の滑り止めとなる左右方向に離れた一対の滑り止め部771aを有する。
【0128】
第二カバー78は、筐体本体71の天板72の後部を覆う。第二カバー78は、第二昇降部781と、一対の側面部782とを有する。第二昇降部781は、第一昇降部771と同様に、移動面100に対して昇降し、搬送物X1が載せられる部分である。第二昇降部781は、昇降機構5の上方向への動き及び下方向への動きに伴って、上昇及び下降を行うことができる。第二昇降部781は、搬送物X1の滑り止めとなる左右方向に離れた一対の滑り止め部781aを有する。本開示では、特に区別が必要でない場合、第一昇降部771と第二昇降部781との各々を、「昇降部70」という場合がある。
【0129】
中間カバー79は、第一カバー77と第二カバー78との間をつなぐ。中間カバー79は、第一カバー77と第二カバー78に対して左右方向に延びた軸回りに回転可能に取り付けられている。したがって、図16の想像線で示すように、第二昇降部781が第一昇降部771よりも高い位置にある場合には、中間カバー79は、第二カバー78から第一カバー77に向かって下り傾斜する。また、第一昇降部771が第二昇降部781よりも高い位置にある場合には、中間カバー79は、第一カバー77から第二カバー78に向かって下り傾斜する。第一昇降部771と第二昇降部781とが同じ高さである場合には、中間カバー79の上面は、第一カバー77の上面及び第二カバー78の上面と同一平面上に位置する。
【0130】
(1.2.9)機器の配置
次に、筐体7に収まる機器の配置について説明する。本実施形態に係る搬送装置1は、図17に示すように、複数の昇降用モータ510と、複数の移動用モータ220と、バッテリ92と、複数の段差センサ93と、を備える。これら複数の昇降用モータ510、複数の移動用モータ220、バッテリ92及び複数の段差センサ93は、平面視で(すなわち、移動面100に直交する方向に見て)分散している。ここで、本開示でいう「分散している」とは、各要素が平面視で重なり合っていないことを意味し、例えば、二つの要素が、隣り合っているだけで平面視において重なり合っていない場合には、「分散している」ことに含まれる。
【0131】
また、ここで言う「複数の昇降用モータ510」、「複数の移動用モータ220」、「バッテリ92」及び「複数の段差センサ93」は、本体部分のみを意味するものとし、例えば、ケーブルや付属品等は含まれない。したがって、例えば、二つの移動用モータ220が隣り合っている場合において、平面視で一方の移動用モータ220のケーブルが他方の移動用モータ220のケーブルに重なっている場合であっても、本開示でいう「分散している」ことに含まれる。また、二つの移動用モータ220が隣り合っている場合において、一方の移動用モータ220のケーブルが他方の移動用モータ220の本体部分に重なっている場合であっても、本開示でいう「分散している」ことに含まれる。
【0132】
したがって、複数の移動用モータ220及びバッテリ92は、平面視で異なる位置に配置されている。本開示で言う「異なる位置に配置」されているとは、「分散している」と同様に、各要素が平面視で重なり合っていないことを意味し、各要素間の距離は特に問わない。
【0133】
複数の昇降用モータ510、複数の移動用モータ220、バッテリ92及び複数の検知部91は、平面視では分散している。ただし、図18に示すように、複数の昇降用モータ510、複数の移動用モータ220、バッテリ92及び複数の段差センサ93は、少なくとも一部が、移動面100に平行な一つの仮想面上に位置する。要するに、複数の昇降用モータ510、複数の移動用モータ220、バッテリ92及び複数の段差センサ93は、移動面100に平行な方向に見て、少なくとも一部が重なる。特に、本実施形態では、複数の昇降用モータ510、複数の移動用モータ220及び複数の段差センサ93は、バッテリ92の厚み(上下方向の寸法)内に収まっている。
【0134】
したがって、本実施形態に係る搬送装置1では、主要な部品が平面視で分散する上に、上下方向に一定の高さ内に収まっているため、筐体7の上下方向の寸法をできる限り小さくすることができる。これにより、搬送物X1の下方にある隙間に入り込むことが可能な高さ寸法を持つ搬送装置1を実現することができる。
【0135】
(1.2.10)吸気口・排気口
図19には、本実施形態に係る搬送装置1の平面図を示す。移動体1Aは、吸気口721と、複数の排気口743(図20参照)と、を備える。吸気口721から筐体7の内部に取り込んだ空気によって、移動用モータ220、昇降用モータ510及び制御部9を実現する基板の少なくとも一つと熱交換を行い、その後、空気を排気口743から出すことで、筐体7の内部の冷却を行うことができる。
【0136】
吸気口721は、筐体本体71の内部(すなわち、筐体7の内部)に空気を取り込むための開口である。吸気口721は、図14に示すように、筐体本体71の天板72に形成されており、筐体本体71の内部に通じている。本実施形態に係る吸気口721は、平面視において、第二カバー78と中間カバー79との間の隙間791(図21参照)に重なる位置又はその近傍に形成されている。
【0137】
排気口743は、筐体本体71の内部の空気を、外部に出す開口である。本開示でいう「外部」とは、搬送装置1の外側の空間を意味し、屋内であるか屋外であるかは問わない。排気口743は吸気口721よりも下方に形成されている。本実施形態では、排気口743は、図20に示すように、底板74に形成されている。ただし、排気口743は、筐体本体71の側板73に形成されてもよいし、天板72に段差が形成されるなどして天板72の上面に高さの差がある場合には、天板72に形成されてもよい。
【0138】
ところで、本実施形態の搬送装置1とは異なり、底板74に吸気口721が形成され、底板74と移動面100との間から空気を取り込むように構成されていると仮定する。この構造の場合、移動面100が濡れていたり、ほこり等で移動面100が汚れていたりすると、吸気口721から取り込まれる空気に乗って、水分やほこり等が筐体7の内部に入りやすい。
【0139】
しかし、本実施形態では、吸気口721が上方向に向き、かつ排気口743が吸気口721よりも下方に形成されているから、水分やほこり等が筐体7の内部に取り込まれるのを抑えることができる。要するに、本実施形態に係る搬送装置1では、筐体7の内部への浸水を抑えながらも、筐体7の内部における温度上昇を抑えることができる。
【0140】
また、本実施形態に係る搬送装置1は、外部から吸気口721、筐体7の内部、排気口743から外部へと、順に流れる空気の流れ(気流)を形成するための複数(ここでは二つ)のファン744(図19参照)を備える。ファン744は、本実施形態では、底板74の上面のうちの複数の排気口743に対応する位置に配置されている。これによって、強制的に、外部から空気を取り込み、かつ筐体7の内部から外部に出すような気流を形成することができる。
【0141】
本実施形態では、搬送装置1は、複数の排気口743に対して、一対一の関係となるように、複数のファン744を備えたが、複数の排気口743に対して一つのファン744を備えてもよいし、一つの排気口743に対して複数のファン744を備えてもよい。
【0142】
図21には、吸気口721の周辺の拡大図を示す。吸気口721には、堰部725を有する内カバー722と、外カバー726と、複数の透孔が形成された透孔板727と、が取り付けられている。
【0143】
透孔板727には、複数の透孔(貫通孔)が形成されている。透孔板727は、水分やほこり等の侵入をある程度抑えながらも、空気を通すことができる。透孔板727は、内カバー722に載り、吸気口721を覆うようにして配置される。
【0144】
内カバー722は、吸気口721にはめ込まれるはめ込み部724と、はめ込み部724から吸気口721の外側に延びた堰部725とを備える。堰部725は、平面視において吸気口721を囲む。本実施形態では、内カバー722の外周の全長にわたって連続するようにして形成されている。堰部725は、筐体本体71の天板72の上面よりも上方向に突出する。堰部725が設けられていることで、気流に乗った水分やほこり等の侵入を抑えることができる。
【0145】
本実施形態では、堰部725は、筐体7とは別部材で設けられるが、これに限らない。堰部725は、例えば、筐体7に対して溶接等で形成されてもよいし、筐体7の天板72にエンボス加工等を施し、吸気口721を囲むようにして堰部725を一体に形成してもよい。また、堰部725は、本実施形態では、吸気口721の外周の全長にわたって連続しているが、部分的に途切れていてもよい。
【0146】
(1.2.11)保護体
本実施形態に係る搬送装置1は、図22に示すように、筐体7の底板74に取り付けられた複数(ここでは二つ)の保護体8を備える。複数の保護体8は、筐体7の底面が移動面100に接触するのを妨げる部材である。保護体8の少なくとも一部は、筐体7のうちの金属板(ここでは、隣接部742)と移動面100との間に位置する。
【0147】
本開示でいう「金属板と移動面100との間」とは、底板74が移動面100に近接した状態における、金属板と移動面100との間を意味する。本実施形態では、複数の保護体8は、底板74のうちの底板本体741に取り付けられているが、底板74が移動面100に近接した状態では、金属板と移動面100との間に複数の保護体8が介在して、金属板が移動面100に接触するのを妨げる。
【0148】
保護体8は、本実施形態では、樹脂製であり、具体的には、白色のMCナイロン(登録商標)である。ただし、保護体8は、ゴム、エラストマ、ウレタン、ナイロン、フェノール、ポリカーボネート等で構成されてもよい。保護体8は、ブロック状でなくてもよく、シール状、シート状等であってもよい。保護体8の色は、移動面100の色と同系色であることが好ましい。
【0149】
保護体8は、本実施形態では、底板74に対して、固着具により固定されている。保護体8には、固着具の頭部が収まるザグリ加工部81が形成されている。これにより、底板74に対して保護体8が取り付けられた状態では、固着具の頭部は、保護体8の表面(最下面)から非突出である。これによって、固着具が移動面100に接触するのを防ぐことができる。ザグリ加工部81には、深ザグリ、皿ザグリ等が含まれる。
【0150】
保護体8は、本実施形態では、底板74に対して取外し可能に取り付けられている。本実施形態では、「取外し可能」であることは、固着具をねじとすることで実現されている。底板74に対して保護体8が取外し可能に取り付けられる構成としては、例えば、はめ合い、引掛け、接着、差し込み等が例示される。
【0151】
保護体8は、前後方向のうちの少なくとも前側の下角部に面取り82が形成されている。本実施形態では、保護体8は、前後方向のうちの後側の下角部にも面取り83が形成されている。保護体8は、下方向に行くに従って幅狭となるような断面台形状に形成されている。
【0152】
複数の保護体8は、図15に示すように、底板本体741の少なくとも二つの隅部に取り付けられる。ここでいう二つの隅部は、底板本体741の前後方向の後側の隅部である。複数の隅部と複数の保護体8との関係は一対一の関係である。また、本実施形態では、複数の保護体8は、下方からみて(以下、底面視という)、前後方向において、補助輪45よりも外側に配置されている。本実施形態では、保護体8は、底板本体741の後部において、後側の補助輪45よりも前後方向の外側に配置されたが、底板本体741の前部において、前側の補助輪45よりも前後方向の外側に配置されてもよい。また、保護体8は、底板本体741のすべての隅部に配置されてもよい。
【0153】
また、保護体8は、底板本体741の後部において後側の補助輪45よりも前後方向の外側に配置されている。ここで、前後方向の後側の第二補助輪ユニット3Bの緩衝機構39を第二緩衝機構39とし、前側の第一補助輪ユニット3Aの緩衝機構39を第一緩衝機構39とする。保護体8と第二緩衝機構39との距離D1は、保護体8と第一緩衝機構39との距離D2よりも小さい。
【0154】
(1.3)動作
以下、本実施形態に係る搬送装置1の動作について説明する。
【0155】
(1.3.1)搬送装置の基本動作
まず、搬送装置1の基本動作について説明する。搬送装置1は、定常時には、制御部9によって移動用モータ220を制御することで、複数の駆動輪28を駆動し、移動面100を自律走行する。このとき、搬送装置1は、メモリ(例えば、制御部9のメモリ)に記憶してある電子地図に従って、移動面100を自律走行する。電子地図は、例えば、外部のシステムとの無線通信によって、更新することができる。また、搬送装置1は、走行中において、搬送装置1の周辺状況等を検知部91にて検知する。そして、搬送装置1は、例えば検知部91にて走行の妨げとなる障害物を検知した場合、その場で停止し、作業者等によって障害物がその場から取り除かれるまで待機する。検知部91による障害物の検知がOFFになると、搬送装置1は再度移動し始める。
【0156】
ただし、本開示に係る搬送装置1では、検知部91にて走行の妨げとなる障害物を検知した場合、移動経路を逸脱しない範囲内で障害物を避けるように自律走行してもよい。
【0157】
また、搬送装置1は、搬送指令を受けている場合、搬送物X1の位置まで到達すると、搬送物X1を載せる。具体的には、搬送装置1は、まず昇降部70が可動域の下限位置にある状態で、搬送物X1の下方に潜り込む。この状態で、昇降用モータ510を作動させ、昇降部70を可動域の上限位置まで上昇させることにより、昇降部70にて搬送物X1を持ち上げる。これにより、昇降部70に搬送物X1を積載することができる。
【0158】
(1.3.2)動作例
搬送装置1は、検知部91による検知結果に応じて、例えば、次のように動作する。本実施形態では、段差センサ93によって、移動面100に段差があることを検知した場合、制御部9は、移動用モータ220を制御して、搬送装置1を停止させる。段差センサ93によって、移動面100に段差があることを検知した場合、搬送装置1は、後退又は旋回して、段差を避けるように自律走行してもよい。
【0159】
ここで、本実施形態では、筐体7の四隅に配置されている複数の段差センサ93のうちのいずれか一つにより、所定以上(例えば、35mm以上)の段差を検知すると、移動用モータ220を停止させる。筐体7の四隅の段差センサ93のうちの前側の一対の段差センサ93が段差を検知した場合、搬送装置1を後退させてもよい。また、前側の一対の段差センサ93のうちの一方のみが段差を検知した場合、左右方向のうち、段差を検知した側とは反対側に搬送装置1を旋回させてもよい。また、ソナーセンサと段差センサ93との検知結果を組み合わせて、搬送装置1の動作を適宜設定してもよい。
【0160】
(1.3.3)昇降部の上昇動作の例
制御部9は、搬送装置1が搬送物X1の下方に潜り込んだ状態で、昇降用モータ510を動作させることで、昇降部70を上昇させる。このとき制御部9は、第一昇降部771及び第二昇降部781を同期して上昇させる。
【0161】
搬送物X1の下面の形状が異なる場合(例えば、第一昇降部771に対応する箇所が第二昇降部781に対応する箇所よりも低い場合)、次のように動作する。搬送装置1は、第一昇降部771及び第二昇降部781を同期して上昇させる。すると、最初に、第一昇降部771に対応する載置センサ95が搬送物X1を検知する。このとき、第二昇降部781に対応する載置センサ95は、搬送物X1を検知しないが、第二昇降部781については、そのまま一定時間、上昇を続ける。
【0162】
第二昇降部781を一定時間上昇させると、第二昇降部781に搬送物X1が載る。すると、第二昇降部781に対応する載置センサ95が搬送物X1を検知し、上述したように、基準時点から各載置センサ95が搬送物X1を検知するまでの時間の差分により、搬送物X1の種類を判定し、搬送物X1の種類に応じた動作を実行する。この場合、本実施形態では、第一昇降部771と第二昇降部781とを一定寸法(例えば、20mm)上昇させる。
【0163】
第二昇降部781を一定時間上昇させても、第二昇降部781に対応する載置センサ95が搬送物X1を検知しない場合には、上昇を停止するか、あるいは一旦停止した後、第一昇降部771及び第二昇降部781を下降させてもよい。
【0164】
また、搬送物X1の種類に応じて、第一昇降部771と第二昇降部781とを上昇させる寸法を変えてもよいし、移動体1Aの移動速度を変えてもよい。このように、本実施形態では、制御部9は、複数の載置センサ95が基準時点から搬送物X1(載置物)が載ったことを検知する時点までの時間の差に応じて、複数の昇降部70の動作を変えるように制御する。
【0165】
(2)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0166】
上記実施形態では、移動体1Aは搬送装置1であったが、移動体1Aは、車輪10が移動面100に平行な回転軸回りに回転して移動する移動体1Aに限らない。移動体1Aには、例えば、ラック・ピニオンにより移動する移動体1A、ワイヤをけん引することで移動する移動体1A等が含まれる。
【0167】
移動体1Aは、無人搬送車(AGV:Automated Guided Vehicle)、移動ロボット及びドローン等を含む。本開示でいう「移動ロボット」は、例えば、車輪10型、クローラ451型のロボットである。移動体1Aは、所定エリア内を移動するだけでなく、例えば、搬送、ピッキング、溶接、実装、陳列、接客、警備、組立及び検査等の様々な作業を実行する機能を有していてもよい。
【0168】
上記実施形態では、移動面100を移動するための駆動源22は、移動用モータ220であったが、例えば、直動式のアクチュエータであってもよく、モータに限らない。また昇降用モータ510についても同様である。
【0169】
上記実施形態では、駆動輪28は、二つの補助輪45の間に配置されていたが、駆動輪28を二つの補助輪45の間に配置し、かつ別の駆動輪28を二つの補助輪45の外側に配置してもよい。また、補助輪45と駆動輪28とを前後方向において交互に配置してもよい。
【0170】
上記実施形態では、搬送装置1は、駆動輪28よりも前方に配置される補助輪45として、左右方向の中央に配置された一つの補助輪45を備えたが、左右方向に離れた複数の補助輪45を備えてもよい。同様に、搬送装置1は、駆動輪28よりも後方に配置される補助輪45として、左右方向に離れた複数の補助輪45を備えてもよい。
【0171】
上記実施形態では、搬送装置1は、四つの緩衝ばね44を備えたが、一つの対角にのみ配置された二つの緩衝ばね44を備えてもよい。また、搬送装置1は、可動フレーム40の平面視中央に一つの緩衝ばね44を備えてもよい。要するに、緩衝ばね44は少なくとも一つあればよい。
【0172】
上記実施形態に係る搬送装置1では、移動面100の上において、車輪10に支えられた筐体7を支える。車輪10の回転軸R1は、上述のように、水平方向に沿って延びている。本実施形態の搬送装置1は、複数の車輪10として、複数(ここでは二つ)の駆動輪28と、複数(ここでは二つ)の補助輪45とを備える。ただし、複数の車輪10の全てが駆動輪28であってもよいし、複数の車輪10のうちの一つが駆動輪28であり、他の全てが補助輪45であってもよいし、複数の車輪10のうちの一つが補助輪45であり、他の全てが駆動輪28であってもよい。
【0173】
上記実施形態では、補助輪45は車輪10であったが、本開示でいう「補助輪45」には、移動面100上を転がる球体も含まれる。
【0174】
本開示における搬送装置1(移動体1A)は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における搬送装置1(移動体1A)としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用できる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0175】
また、本開示にて、「略平行」、又は「略直交」のように「略」を伴った表現が、用いられる場合がある。例えば、「略平行」とは、実質的に「平行」であることを意味し、厳密に「平行」な状態だけでなく、数%程度の誤差を含む意味である。他の「略」を伴った表現についても同様である。
【0176】
また、本開示において「先端部」及び「先端」などのように、「…端部」と「…端」とで区別した表現が用いられている。例えば、「先端部」とは、「先端」を含む一定の範囲を持つ部分を意味する。他の「…端部」を伴った表現についても同様である。
【0177】
(3)態様
以上説明したように、第1の態様に係る移動体(1A)は、筐体(7)と、移動用モータ(220)と、バッテリ(92)と、を備える。移動用モータ(220)は、筐体(7)を移動面(100)に沿って移動させる。バッテリ(92)は、移動用モータ(220)に電力を供給する。移動体(1A)では、移動用モータ(220)及びバッテリ(92)は、移動面(100)に直交する方向に見て、異なる位置に配置されている。
【0178】
この態様によれば、移動面(100)に直交する方向において、移動用モータ(220)及びバッテリ(92)が重なっていないため、移動面(100)に直交する方向の筐体(7)の寸法をできる限り小さく抑えることができる。
【0179】
第2の態様に係る移動体(1A)では、第1の態様において、移動面(100)に対して昇降可能な昇降部(70)を動作させる昇降用モータ(510)を更に備える。昇降用モータ(510)、移動用モータ(220)及びバッテリ(92)は、移動面(100)に直交する方向に見て分散している。
【0180】
この態様によれば、移動面(100)に直交する方向において、昇降用モータ(510)、移動用モータ(220)及びバッテリ(92)が重なっていないため、移動面(100)に直交する方向の筐体(7)の寸法をできる限り小さく抑えることができる。
【0181】
第3の態様に係る移動体(1A)では、第2の態様において、昇降用モータ(510)を複数備える。移動用モータ(220)による移動方向は、前後方向の少なくとも一方である。複数の昇降用モータ(510)は前後方向に離れている。
【0182】
この態様によれば、複数の昇降用モータ(510)を配置しながらも、走行面(移動面100)に直交する方向の筐体(7)の寸法をできる限り小さく抑えることができる。
【0183】
第4の態様に係る移動体(1A)では、第3の態様において、移動用モータ(220)は、複数の昇降用モータ(510)の間に配置されている。
【0184】
この態様によれば、複数の昇降用モータ(510)及び移動用モータ(220)を配置しながらも、移動面(100)に直交する方向の筐体(7)の寸法をできる限り小さく抑えることができる。
【0185】
第5の態様に係る移動体(1A)では、第1~第4のいずれか一つの態様において、移動用モータ(220)及びバッテリ(92)は、移動面(100)に平行な方向に見て、少なくとも一部が重なっている。
【0186】
この態様によれば、移動面(100)に直交する方向において、移動用モータ(220)及びバッテリ(92)を集約することができるため、移動面(100)に直交する方向の筐体(7)の寸法をできる限り小さく抑えることができる。
【0187】
第6の態様に係る移動体(1A)では、第1~第5のいずれか一つの態様において、移動面(100)の段差を検出する少なくとも一つの段差センサ(93)を更に備える。段差センサ(93)、移動用モータ(220)及びバッテリ(92)は、移動面(100)に直交する方向に見て分散している。
【0188】
この態様によれば、複数の段差センサ(93)を設けても、移動面(100)に直交する方向の筐体(7)の寸法が大きくなるのを抑えることができる。
【0189】
第7の態様に係る移動体(1A)では、第6の態様において、移動用モータ(220)による移動方向は、前後方向の少なくとも一方である。移動体(1A)は、段差センサ(93)を少なくとも四つ備える。四つの段差センサ(93)は、移動体(1A)の前後方向の両端部において、前後方向に交差する方向に離れて配置されている。詳しくは、四つの段差センサ(93)のうちの二つは、移動体(1A)の前後方向の前側の端部に配置され、かつ並ぶ方向が前後方向に交差する。他の二つは、移動体(1A)の前後方向の後側の端部に配置され、かつ並ぶ方向が前後方向に交差する。
【0190】
この態様によれば、移動体(1A)が、移動面(100)に沿ったどの方向に移動しても、移動面(100)にある段差を検知することができる。
【0191】
第8の態様に係る移動体(1A)では、第6又は第7の態様において、段差センサ(93)は、筐体(7)の底板(74)上に配置され移動面(100)に光をあてて段差を検出する光学式センサである。筐体(7)における移動面(100)に対向する面には、光を通す少なくとも一つの孔(745)が形成されている。
【0192】
この態様によれば、筐体(7)の底板(74)の上に段差センサ(93)を配置することができ、移動面(100)に沿う方向における小型化を図ることができる。
【0193】
第9の態様に係る移動体(1A)では、第1~第8のいずれか一つの態様において、移動体(1A)は、移動面(100)に対して昇降可能な昇降部(70)に搬送物(X1)が載せられる搬送装置(1)である。
【0194】
この態様によれば、移動面(100)に直交する方向の寸法が小さい移動体(1A)を、搬送装置(1)に活用することができる。
【0195】
第10の態様に係る移動体(1A)は、第1~第8のいずれか一つの態様において、移動面(100)に対して昇降し、搬送物(X1)が載せられる複数の昇降部(70)を更に備える。複数の昇降部(70)は、独立して昇降するように構成されている。
【0196】
この態様によれば、搬送物(X1)の下面の形状に応じて昇降部(70)を上昇させることができ、下面の形状が異なる複数種類の搬送物(X1)に対して、安定した状態で搬送物(X1)を上昇させることができる。
【0197】
第11の態様に係る移動体(1A)は、第1~第10のいずれか一つの態様において、少なくとも一つの駆動輪(28)と、少なくとも一つの補助輪(45)と、少なくとも一つの緩衝機構(39)と、を更に備える。駆動輪(28)は、駆動源(22)から伝達した動力で駆動する。補助輪(45)は、駆動輪(28)による移動を補助する。緩衝機構(39)は、補助輪(45)から入力された衝撃をやわらげる。
【0198】
この態様によれば、移動面(100)に凹凸があっても、安定して走行することができる。
【0199】
第12の態様に係る移動体(1A)は、第1~第11のいずれか一つの態様において、筐体(7)を移動面(100)上で支える駆動輪(28)と、筐体(7)内に配置され、駆動輪(28)を駆動する駆動源(22)と、を更に備える。筐体(7)は、上方向に開口するように形成された少なくとも一つの吸気口(721)と、少なくとも一つの排気口(743)とを備える。排気口(743)は、吸気口(721)に通じており、吸気口(721)よりも下方に形成される。
【0200】
この態様によれば、筐体(7)の内部への浸水を抑えながらも、筐体(7)の内部に配置された駆動源(22)の温度上昇を抑えることができる。
【0201】
第13の態様に係る移動体(1A)は、第1~第12のいずれか一つの態様において、少なくとも一つの樹脂製の保護体(8)を更に備える。筐体(7)は、移動面(100)に対向し少なくとも一部が金属板である底板(74)を有する。保護体(8)は、少なくとも一部が金属板と移動面(100)との間に位置する。
【0202】
この態様によれば、金属板が移動面(100)に接触するのを抑えることができ、移動面(100)及び底板(74)の少なくとも一方が損傷するのを抑えることができる。
【0203】
第14の態様に係る移動体(1A)では、第10の態様において、複数の昇降部(70)に対して一対一で設けられた複数の昇降機構(5)を更に備える。複数の昇降機構(5)の各々は、複数の昇降部(70)のうちの一つの昇降部(70)を支持し、一つの昇降部(70)を昇降方向に沿って移動させる複数の支持部(56)と、複数の支持部(56)を動かす一つの駆動源(51)と、を有する。
【0204】
この態様によれば、各昇降部(70)について、安定した昇降方向の移動を実現できる。
【0205】
第15の態様に係る移動体(1A)では、第10又は第14の態様において、複数の昇降部(70)の間をつなぐ中間カバー(79)を更に備える。
【0206】
この態様によれば、各昇降部(70)の移動中に物を挟むのを抑えることができる。
【0207】
第16の態様に係る移動体(1A)では、第10、第14~第15のいずれか一つの態様において、複数の昇降部(70)の各々に対して搬送物(X1)が載ったことを検知する複数の載置センサ(95)を更に備える。
【0208】
この態様によれば、昇降部(70)が上昇した際に、昇降部(70)に搬送物(X1)が載ったことを検知することができる。
【0209】
第17の態様に係る移動体(1A)では、第16の態様において、複数の載置センサ(95)の各々は、非接触式センサである。
【0210】
この態様によれば、昇降部(70)に対して、例えば搬送物(X1)から衝撃が加わっても、載置センサ(95)が破損するのを抑えることができる。
【0211】
第18の態様に係る移動体(1A)では、第10、第14~第17のいずれか一つの態様において、複数の昇降部(70)における、複数の載置センサ(95)が基準時点から搬送物(X1)が載ったことを検知する時点までの時間の差に応じて、複数の昇降部(70)の動作を変える。
【0212】
この態様によれば、下面の形状が異なる複数種類の搬送物(X1)に応じた動作を実行することができる。
【0213】
第19の態様に係る移動体(1A)では、第10、第14~第18のいずれか一つの態様において、第一昇降部(771)と、第二昇降部(781)とを有する。第一昇降部(771)は、複数の昇降部(70)のうちの一つである。第二昇降部(781)は、複数の昇降部(70)のうちの他の一つであり、第一昇降部(771)から離れた位置に配置されている。
【0214】
この態様によれば、移動面(100)に沿った方向に大きい搬送物(X1)を、安定して上昇させることができる。
【0215】
第20の態様に係る移動体(1A)では、第11の態様において、駆動輪(28)から入力された衝撃をやわらげる緩衝機構(39)が設けられていない。
【0216】
駆動輪(28)に緩衝機構(39)が設けられると、移動体(1A)として上下方向の寸法が大きくならざるを得ないが、この態様によれば、補助輪(45)で衝撃をやわらげることができるため、移動体(1A)として上下方向の寸法を抑えることができる。
【0217】
第21の態様に係る移動体(1A)では、第11又は第20の態様において、補助輪(45)及び緩衝機構(39)を複数備える。複数の緩衝機構(39)の各々は少なくとも一つの緩衝ばね(44)を有する。複数の補助輪(45)のうちのいずれか一つに対応する緩衝機構(39)と、他の一つに対応する緩衝機構(39)とでは、緩衝ばね(44)の全たわみが異なる。
【0218】
この態様によれば、移動体(1A)の全体としてのたわみ量を確保しながらも、たわみ量を抑制したい部分については、たわみ量を抑えることができる。
【0219】
第22の態様に係る移動体(1A)では、第21の態様において、駆動輪(28)は、複数の補助輪(45)の間に配置されている。
【0220】
この態様によれば、バランスよく補助輪(45)を配置することができる。
【0221】
第23の態様に係る移動体(1A)では、第11、第20~第22のいずれか一つの態様において、補助輪支持部(34)を更に備える。補助輪支持部(34)は、移動面(100)に沿って延びる回転軸回りに補助輪(45)を回転可能に支持し、かつ移動面(100)に直交する軸回りに回転可能である。
【0222】
この態様によれば、駆動輪(28)の動作に応じて補助輪(45)を動かすことができ、移動体(1A)として適切な動作を実現することができる。
【0223】
第24の態様に係る移動体(1A)では、第12の態様において、排気口(743)は、筐体(7)の底面に形成されている。
【0224】
この態様によれば、移動面(100)が濡れていても、排気口(743)から浸水するのを抑えることができる。
【0225】
第25の態様に係る移動体(1A)では、第12又は第24の態様において、吸気口(721)から筐体(7)内に取り込まれ、かつ排気口(743)から出る気流を形成する少なくとも一つのファン(744)を更に備える。
【0226】
この態様によれば、強制的に、吸気口(721)から空気を筐体(7)内に取り込み、排気口(743)から空気を出すことができるため、一層、筐体(7)内への浸水を抑えながらも、筐体(7)内の駆動源(51)等の温度上昇を抑えることができる。
【0227】
第26の態様に係る移動体(1A)では、第12、第24~第25のいずれか一つの態様において、吸気口(721)を囲む堰部(725)を更に備える。
【0228】
この態様によれば、吸気口(721)から浸入する水を抑えることができる。
【0229】
第27の態様に係る移動体(1A)では、第12、第24~第26のいずれか一つの態様において、筐体(7)は、排気口(743)を複数有する。
【0230】
この態様によれば、排気口(743)が一つである場合に比べて、排気の流量を増やすことができる。
【0231】
第28の態様に係る移動体(1A)では、第13の態様において、保護体(8)は、底板(74)に対して、少なくとも一つの固着具により固定されている。
【0232】
この態様によれば、保護体(8)の取付け状態を安定させることができる。
【0233】
第29の態様に係る移動体(1A)では、第28の態様において、保護体(8)には、固着具の頭部を収めるザグリ加工部(81)が形成されている。
【0234】
この態様によれば、固着具の頭部が保護体(8)から非突出とすることができるため、固着具の頭部で走行面が損傷するのを抑えることができる。
【0235】
第30の態様に係る移動体(1A)では、第13、第28~第29のいずれか一つの態様において、保護体(8)は、筐体(7)に対して取外し可能に取り付けられている。
【0236】
この態様によれば、保護体(8)が摩耗した際に交換することができる。
【0237】
第31の態様に係る移動体(1A)では、第13、第28~第30のいずれか一つの態様において、保護体(8)を複数備える。底板(74)は、複数の隅部を有する底板本体741と、複数の隅部に隣接する金属板としての少なくとも一つの隣接部(742)と、を有する。複数の保護体(8)は、複数の隅部に設けられている。
【0238】
この態様によれば、移動面(100)及び底板(74)の少なくとも一方を、適切に保護することができる。
【0239】
第32の態様に係る移動体(1A)では、第13、第28~第31のいずれか一つの態様において、筐体(7)を移動面(100)上で支え、移動方向に離れた複数の車輪(10)を更に備える。保護体(8)は、移動方向において、車輪(10)よりも外側に設けられている。
【0240】
この態様によれば、底板(74)が傾いたときに、保護体(8)によって、移動面(100)及び底板(74)の少なくとも一方を適切に保護することができる。
【0241】
第33の態様に係る移動体(1A)では、第32の態様において、複数の車輪(10)のうちの少なくとも二つの車輪(10)から入力された衝撃をやわらげる少なくとも二つの緩衝機構(39)を更に備える。二つの緩衝機構(39)のうちの一方は、少なくとも一つの緩衝ばね(44)を有する第一緩衝機構である。二つの緩衝機構(39)のうちの他方は、緩衝ばね(44)よりも全たわみが小さい緩衝ばね(44)を有する第二緩衝機構である。複数の保護体(8)の各々と第一緩衝機構との距離(D1)は、複数の保護体(8)の各々と第二緩衝機構との距離(D2)よりも短い。
【0242】
この態様によれば、緩衝ばね(44)の全たわみに差がある緩衝機構(39)を有する移動体(1A)において、移動面(100)及び底板(74)の少なくとも一方を適切に保護することができる。
【0243】
第34の態様に係る移動体(1A)では、第13、第28~第33のいずれか一つの態様において、複数の保護体(8)は、筐体(7)の後部に配置されている。
【0244】
この態様によれば、勢いよく移動する移動体(1A)において、後部が移動面(100)に近接しても、移動面(100)及び底板(74)の少なくとも一方を適切に保護することができる。
【0245】
第35の態様に係る移動体(1A)では、第13、第28~第34のいずれか一つの態様において、保護体(8)は、前側の下角部が面取りされている。
【0246】
この態様によれば、保護体(8)が走行面に接触した際にも、走行面に対して保護体(8)を面状に接触させることができる。
【0247】
第2~第35の態様に係る構成については、移動体(1A)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0248】
1 搬送装置
1A 移動体
10 車輪
22 駆動源
220 移動用モータ
28 駆動輪
39 緩衝機構
45 補助輪
510 昇降用モータ
7 筐体
70 昇降部
721 吸気口
74 底板
743 排気口
8 保護体
92 バッテリ
93 段差センサ
100 移動面
X1 搬送物
図1
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