(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】サーバ装置、発注システム、情報提供方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G02C 7/02 20060101AFI20240405BHJP
【FI】
G02C7/02
(21)【出願番号】P 2019175625
(22)【出願日】2019-09-26
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】598041566
【氏名又は名称】学校法人北里研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】391007507
【氏名又は名称】伊藤光学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】川守田 拓志
(72)【発明者】
【氏名】福井 慎一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 一壽
【審査官】吉川 陽吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-169432(JP,A)
【文献】特開2007-156208(JP,A)
【文献】国際公開第2015/125868(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 30/0601
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科の端末装置から、前記眼科において計測された利用者の
視野、網膜または神経障害の位置を含む視野の状態を含む眼球データ、および前記利用者のレンズ度数を特定可能な屈折検査データのうち、患者管理番号に紐づけられた眼球データを受信する眼球データ受信部と、
眼鏡店の端末装置から、前記眼鏡店において前記屈折検査データに基づいて特定されたレンズ度数を含むレンズ設計データであって、前記患者管理番号に紐づけられたレンズ設計データを受信するレンズ設計データ受信部と、
同一の患者管理番号に紐づけられる前記眼球データおよび前記レンズ設計データを一つの発注管理番号に紐づけてレンズメーカの端末装置に向けて送信する発注データ送信部と、
を備えるサーバ装置。
【請求項2】
前記レンズメーカの端末装置から、当該レンズメーカが製造したレンズの実際のレンズ度数を受信するレンズ度数受信部と、
当該レンズ度数を前記患者管理番号に紐づけて前記眼科の端末装置に送信するレンズ度数送信部と、
をさらに備える請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のサーバ装置と、
眼鏡店に設置され、前記眼鏡店で取得されたレンズ設計データを、眼科にて取得された患者管理番号と紐づけてサーバ装置に送信するレンズ設計データ送信部を備える端末装置と、
を備える発注システム。
【請求項4】
サーバ装置が、眼科の端末装置から、前記眼科において計測された利用者の
視野、網膜または神経障害の位置を含む視野の状態を含む眼球データ、および前記利用者のレンズ度数を特定可能な屈折検査データのうち、患者管理番号に紐づけられた眼球データを受信するステップと、
前記サーバ装置が、眼鏡店の端末装置から、前記眼鏡店において前記屈折検査データに基づいて特定されたレンズ度数を含むレンズ設計データであって、前記患者管理番号に紐づけられたレンズ設計データを受信するステップと、
前記サーバ装置が、同一の患者管理番号に紐づけられる前記眼球データおよび前記レンズ設計データを一つの発注管理番号に紐づけてレンズメーカの端末装置に向けて送信するステップと、
を有する情報提供方法。
【請求項5】
サーバ装置に、
眼科の端末装置から、前記眼科において計測された利用者の
視野、網膜または神経障害の位置を含む視野の状態を含む眼球データ、および前記利用者のレンズ度数を特定可能な屈折検査データのうち、患者管理番号に紐づけられた眼球データを受信するステップと、
前記サーバ装置が、眼鏡店の端末装置から、前記眼鏡店において前記屈折検査データに基づいて特定されたレンズ度数を含むレンズ設計データであって、前記患者管理番号に紐づけられたレンズ設計データを受信するステップと、
前記サーバ装置が、同一の患者管理番号に紐づけられる前記眼球データおよび前記レンズ設計データを一つの発注管理番号に紐づけてレンズメーカの端末装置に向けて送信するステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバ装置、発注システム、情報提供方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
利用者に適した眼鏡レンズを設計する技術として、例えば特許文献1には、個別的眼球モデルを用いた眼鏡レンズの最適化手法が記載されている。この特許文献1によれば、利用者個々の眼球形状の測定データ(以下、眼球データとも記載する)を用いて、各利用者に適した眼鏡レンズを設計することができる。
【0003】
また、特許文献2には、眼鏡レンズを製造するための方法および装置、並びに眼鏡レンズを製造するためのシステムおよびコンピュータプログラム製品が記載されている。この特許文献2では、利用者のフィッティングデータ(角膜頂点間距離、前傾角、反り角等)を用いて眼鏡レンズの設計を実施している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6209722号公報
【文献】特許第4824031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、利用者の眼球データは眼科で測定されるが、この眼球データは個人情報であるので、プライバシー保護の観点から眼鏡店に提供することが困難であった。このため、このような眼球データを用いてより利用者個々に適したレンズを提供するにあたり、プライバシーを保護しつつ、発注手続きを効率化することが求められている。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、利用者個々に適したレンズを提供するにあたり、利用者のプライバシーを保護しつつ、発注手続きの効率化を図ることができるサーバ装置、端末装置、発注システム、情報提供方法、およびプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、サーバ装置は、眼科の端末装置から、患者管理番号に紐づけられた眼球データを受信する眼球データ受信部と、眼鏡店の端末装置から、前記患者管理番号に紐づけられたレンズ設計データを受信するレンズ設計データ受信部と、同一の患者管理番号に紐づけられる前記眼球データおよび前記レンズ設計データを一つの発注管理番号に紐づけてレンズメーカの端末装置に向けて送信する発注データ送信部と、を備える。
【0008】
また、本発明の第2の態様によれば、上述のサーバ装置において、前記眼球データには、視野の状態が含まれる。
【0009】
また、本発明の第3の態様によれば、上述のサーバ装置は、前記レンズメーカの端末装置から、当該レンズメーカが製造したレンズの実際のレンズ度数を受信するレンズ度数受信部と、当該レンズ度数を前記患者管理番号に紐づけて前記眼科の端末装置に送信するレンズ度数送信部と、をさらに備える。
【0010】
また、本発明の第4の態様によれば、眼鏡店に設置される端末装置は、前記眼鏡店で取得されたレンズ設計データを、眼科にて取得された患者管理番号と紐づけてサーバ装置に送信するレンズ設計データ送信部を備える。
【0011】
また、本発明の第5の態様によれば、発注システムは、第1から第3のいずれか一の態様に記載のサーバ装置と、第4の態様に記載の端末装置と、を備える。
【0012】
また、本発明の第6の態様によれば、情報提供装置は、サーバ装置が眼科の端末装置から、患者管理番号に紐づけられた眼球データを受信するステップと、前記サーバ装置が眼鏡店の端末装置から前記患者管理番号に紐づけられたレンズ設計データを受信するステップと、前記サーバ装置が同一の患者管理番号に紐づけられる前記眼球データおよび前記レンズ設計データを一つの発注管理番号に紐づけてレンズメーカの端末装置に向けて送信するステップと、を有する。
【0013】
また、本発明の第7の態様によれば、プログラムは、サーバ装置に、眼科の端末装置から、患者管理番号に紐づけられた眼球データを受信するステップと、前記サーバ装置が、眼鏡店の端末装置から、前記患者管理番号に紐づけられたレンズ設計データを受信するステップと、前記サーバ装置が、同一の患者管理番号に紐づけられる前記眼球データおよび前記レンズ設計データを一つの発注管理番号に紐づけてレンズメーカの端末装置に向けて送信するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0014】
上述のサーバ装置、端末装置、発注システム、情報提供方法、およびプログラムによれば、利用者個々に適したレンズを提供するにあたり、利用者のプライバシーを保護しつつ、発注手続きの効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1の実施形態に係る発注システムの全体構成を示す図である。
【
図2】第1の実施形態に係るサーバ装置の機能構成を示す図である。
【
図3】第1の実施形態に係る端末装置の機能構成を示す図である。
【
図4】第1の実施形態に係る発注システムの処理フローを示す図である。
【
図5】第2の実施形態に係る発注システムの全体構成を示す図である。
【
図6】第2の実施形態に係るサーバ装置の機能構成を示す図である。
【
図7】第2の実施形態に係る発注システムの処理フローを示す図である。
【
図8】少なくとも一つの実施形態に係るサーバ装置および端末装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態に係る発注システムについて、
図1~
図4を参照しながら説明する。
【0017】
(発注システムの全体構成)
図1は、第1の実施形態に係る発注システムの全体構成を示す図である。
図1を参照しながら、発注システム1全体の構成について詳しく説明する。
【0018】
図1に示すように、発注システム1は、サーバ装置10と、眼科に設置される端末装置20と、眼鏡店に設置される端末装置30と、レンズメーカに設置される端末装置40とを有している。
【0019】
眼科では、眼科医あるいはその他のメディカルスタッフにより、患者の眼球データ(眼球形状、視野の状態)が計測される。この眼球データは、患者を識別するための番号である患者管理番号と紐づけられる。眼科医あるいはその他のメディカルスタッフは、端末装置20を操作して、患者管理番号と、これに紐づく眼球データとをサーバ装置10に送信する。また、眼科では、患者に対して眼球の屈折検査が行われる。屈折検査データは、患者管理番号と紐づけられて、処方箋として患者に通知される。
【0020】
眼鏡店では、来店した利用者(患者)について、レンズ設計データ(レンズ度数およびフィッティングデータ)が計測され、取得される。利用者は、眼科医より通知された処方箋(屈折検査データおよび患者管理番号)を眼鏡店の担当者に渡す。眼鏡店の担当者は、屈折検査データに基づいてレンズ度数を特定する。また、眼鏡店の担当者は、利用者のフィッティングデータを取得する。フィッティングデータは、利用者の顔の形状、両目の間隔などに応じたパラメータ群であって、例えば、角膜頂点間距離、前傾角、反り角などである。眼鏡店の担当者は、端末装置30を用いてレンズを発注する。このとき、眼鏡店の担当者は、レンズ設計データ(レンズ度数およびフィッティングデータ)を、患者管理番号および発注ごとに付される発注管理番号と紐づけてサーバ装置10に送信する。
【0021】
レンズメーカでは、眼鏡店からの発注に応じてレンズを製造する。レンズメーカの担当者は、端末装置40を介して、サーバ装置10から、一つの発注管理番号に紐づくデータ群を取得する。このデータ群には、眼科で取得された眼球データと、眼鏡店で取得されたレンズ設計データとを含む。なお、一人の利用者(患者)についての眼球データおよびレンズ設計データは、サーバ装置10にて、同一の患者管理番号によって紐づけられる。レンズメーカの担当者は、一つの発注管理番号に紐づけられた眼球データおよびレンズ設計データに基づいてレンズを製造する。眼球データおよびレンズ設計データに基づいて、利用者に適したレンズを製造する方法については、例えば、特願2019-007326に開示する技術が適用されてよい。
【0022】
(サーバ装置の機能構成)
図2は、第1の実施形態に係るサーバ装置の機能構成を示す図である。
図2を参照しながら、サーバ装置10の機能構成について詳しく説明する。
【0023】
図2に示すように、サーバ装置10は、CPU100と、記憶媒体101とを具備する。CPU100は、所定のプログラムに基づいて動作することで、眼球データ受信部1000、レンズ設計データ受信部1001、発注データ送信部1002としての機能を発揮する。
【0024】
眼球データ受信部1000は、眼科の端末装置20から、患者管理番号に紐づけられた眼球データを受信する。
【0025】
レンズ設計データ受信部1001は、眼鏡店の端末装置30から、患者管理番号に紐づけられたレンズ設計データを受信する。
【0026】
発注データ送信部1002は、同一の患者管理番号に紐づけられる前記眼球データおよび前記レンズ設計データを、一つの発注管理番号に紐づけてレンズメーカの端末装置40に向けて送信する。
【0027】
記憶媒体101には、複数の発注データD1(
図1)が記録、蓄積されている。ここで、発注データD1とは、一つの発注管理番号に紐づけられた眼球データおよびレンズ設計データの組である。また、発注データD1は、
図1に示すように、さらに患者管理番号と紐づけられる。
【0028】
(端末装置の機能構成)
図3は、第1の実施形態に係る端末装置の機能構成を示す図である。
図3を参照しながら、眼鏡店の端末装置30の機能構成について詳しく説明する。
【0029】
図3に示すように、端末装置30は、CPU300と、記憶媒体301とを具備する。CPU300は、所定のプログラムに基づいて動作することで、レンズ度数取得部3000、フィッティングデータ取得部3001、レンズ設計データ送信部3002としての機能を発揮する。
【0030】
レンズ度数取得部3000は、眼鏡店の担当者による操作を介して、レンズ度数を取得する。
【0031】
フィッティングデータ取得部3001は、眼鏡店の担当者による操作を介して、フィッティングデータ(角膜頂点間距離、前傾角、反り角など)を取得する。
【0032】
レンズ設計データ送信部3002は、レンズ度数およびフィッティングデータを含むレンズ設計データを、眼科にて取得された患者管理番号および発注管理番号と紐づけて、サーバ装置10に送信する。
【0033】
(発注システムの処理フロー)
図4は、第1の実施形態に係る発注システムの処理フローを示す図である。
ここでは、
図4を参照しながら、本実施形態に係る発注システム1の処理の一例について詳細に説明する。
【0034】
まず、眼科では、眼科医あるいはその他のメディカルスタッフにより、患者の眼球データとして眼球形状および視野の状態が計測される。眼球形状は、光干渉断層計、眼軸長測定装置、角膜形状解析装置、前眼部写真撮影装置などを用いて計測されるパラメータであって、例えば角膜、房水、瞳孔、毛様体筋、外眼筋、水晶体、硝子体、網膜といった要素それぞれの形状、屈折率、要素間の距離などが含まれる。視野の状態は、光干渉断層計、眼底カメラ、自動視野計などを用いて計測されるパラメータであって、例えば視野、網膜、または神経障害の位置が含まれる。眼球データには、これらのパラメータのうち少なくとも一つが含まれる。眼科の端末装置20は、眼科医あるいはその他のメディカルスタッフによる操作を介して、各種計測装置で計測された眼球データを取得する(ステップS101)。
【0035】
また、眼科では、眼科医あるいはその他のメディカルスタッフにより患者に対して眼球の屈折検査が行われる。屈折検査データは患者管理番号と紐づけられて、処方箋として患者に通知される。
【0036】
次に、眼科の端末装置20は、眼科医あるいはその他のメディカルスタッフによる操作を介して、患者管理番号と、これに紐づく眼球データとをサーバ装置10に送信する(ステップS102)。
【0037】
サーバ装置10の眼球データ受信部1000は、眼科の端末装置20から患者管理番号および眼球データを受信すると、これらを記憶媒体101に記録する(ステップS103)。
【0038】
眼鏡店では、担当者により利用者(患者)のレンズ設計データが計測される。レンズ設計データには、レンズ度数およびフィッティングデータが含まれる。まず、眼鏡店の担当者は、処方箋に記録された利用者の屈折検査データに基づいてレンズ度数を特定する。そうすると、眼鏡店の端末装置30のレンズ度数取得部3000は、眼鏡店の担当者による操作を介して、特定されたレンズ度数を取得する(ステップS104)。
【0039】
また、眼鏡店の担当者は、利用者のフィッティングデータを計測する。たとえば、眼鏡店の担当者は、専用のアプリケーションがインストールされたタブレット端末、専用装置、定規などを用いて利用者の角膜頂点間距離、眼鏡のレンズの前傾角および反り角などをフィッティングデータとして計測する。そうすると、眼鏡店の端末装置30のフィッティングデータ取得部3001は、眼鏡店の担当者による操作を介して、利用者のフィッティングデータを取得する(ステップS105)。
【0040】
次に、眼鏡店の担当者は、眼鏡店の端末装置20を操作してレンズの発注を行う。このとき、眼鏡店の端末装置30のレンズ設計データ送信部3002は、眼鏡店の担当者の発注操作を受け付けると、取得したレンズ設計データ(レンズ度数およびフィッティングデータ)を、患者管理番号および発注管理番号を紐づけてサーバ装置10に送信する(ステップS106)。
【0041】
サーバ装置10のレンズ設計データ受信部1001は、眼鏡店の端末装置30のレンズ設計データ送信部3002から患者管理番号、発注管理番号、およびレンズ設計データを受信する(ステップS107)。
【0042】
次に、サーバ装置10の発注データ送信部1002は、レンズメーカの端末装置40に発注データを送信する(ステップ109)。発注データには、発注管理番号、眼球データ、およびレンズ設計データが含まれる。発注データ送信部1002は、記憶媒体101から、レンズ設計データ受信部1001が受信した患者管理番号と紐づけられた眼球データを検索して抽出する。そして、発注データ送信部1002は、レンズ設計データ受信部1001が受信した発注管理番号およびレンズ設計データと、抽出した眼球データとを含む発注データD1(
図1)をレンズメーカの端末装置40に送信する。
【0043】
レンズメーカの担当者は、端末装置40を介してサーバ装置10から発注データを受信すると(ステップS110)、この発注データに含まれるレンズ設計データおよび眼球データに基づいて、利用者(患者)に適したレンズを製造し、眼鏡店に納品する。
【0044】
(作用、効果)
以上に説明した構成によれば、眼科で取得された患者の眼球データと、眼鏡店で取得された利用者(患者)のレンズ設計データとが、サーバ装置10にて関連付けられ、これらを統合した発注データD1がレンズメーカの端末装置40に送信されて発注されることとなる。これにより、利用者の眼球データを、眼鏡店などの第三者を通さずにレンズメーカに伝えることができるので、より利用者個々に適したレンズを提供するサービスの実現にあたって、プライバシーの保護および発注手続きの効率化を図ることができる。
【0045】
また、眼球データには、視野の状態が含まれる。視野の状態とは、例えば視野、網膜、または視神経の障害の位置である。これにより、サーバ装置10は、利用者の視野の状態に応じた適切なレンズを設計可能な情報を、レンズメーカに提供することができる。
【0046】
また、以上に説明した構成によれば、眼鏡店の端末装置30は、眼鏡店で取得したレンズ設計データを患者管理番号に紐づけてサーバ装置10に送信する。これにより、サーバ装置10において、眼科の端末装置20から取得した眼球データと、眼鏡店の端末装置30から取得したレンズ設計データとを、患者管理番号で紐づけて統合することができる。
【0047】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態に係る発注システムについて
図5~
図7を参照しながら説明する。
第1の実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
【0048】
(発注システムの全体構成)
図5は、第2の実施形態に係る発注システムの全体構成を示す図である。
レンズメーカでは、端末装置40を介してサーバ装置10から取得した眼球データおよびレンズ設計データに基づいてレンズの製造を行う。このとき、実際に製造されるレンズのレンズ度数は、眼球データおよびフィッティングデータに基づく調整を行うことにより、眼科医の処方箋に含まれる屈折検査データ、および眼鏡店の端末装置30(レンズ度数取得部3000)が取得したレンズ度数と異なる可能性がある。このため、本実施形態に係るサーバ装置10は、
図5に示すように、レンズメーカの端末装置40から、製造されたレンズの発注管理番号と、実際のレンズ度数とを紐づけたデータを取得する。
【0049】
(サーバ装置の機能構成)
図6は、第2の実施形態に係るサーバ装置の機能構成を示す図である。
図6に示すように、本実施形態に係るサーバ装置10において、CPU100は、第1の実施形態にかかる各機能に加え、レンズ度数受信部1003、レンズ度数送信部1004としての機能をさらに発揮する。
【0050】
レンズ度数受信部1003は、レンズメーカの端末装置40から、当該レンズメーカが製造したレンズの実際のレンズ度数を受信する。
【0051】
レンズ度数送信部1004は、レンズ度数受信部1003が受信したレンズ度数を、患者管理番号に紐づけて眼科の端末装置20に送信する。
【0052】
(発注システムの処理フロー)
図7は、第2の実施形態に係る発注システムの処理フローを示す図である。
ここでは、
図6を参照しながら、本実施形態に係る発注システム1の処理の一例について詳細に説明する。なお、
図5のステップS101~S110については、第1の実施形態の処理(
図4のステップS101~S110)と同様であるため、説明を省略する。
【0053】
レンズメーカの担当者は、サーバ装置10から取得した眼球データおよびレンズ設計データに基づいてレンズを製造すると、端末装置40を介して、製造したレンズの実際のレンズ度数を示すレンズ度数データを、発注管理番号と紐づけてサーバ装置10に送信する(ステップS201)。
【0054】
サーバ装置10のレンズ度数受信部1003は、レンズメーカの端末装置40から発注管理番号および実際のレンズ度数を受信すると、これらデータを記憶媒体101に記録する(ステップS202)。このとき、レンズ度数受信部1003は、記憶媒体101から、レンズメーカの端末装置40から受信した発注管理番号と紐づけられたデータ群を検索する。そして、レンズ度数受信部1003は、例えば
図5に示すように、検索したデータ群に、実際のレンズ度数を示すレンズ度数データD2を追加して記録する。このようにすることで、サーバ装置10は、一の利用者(患者)に紐づけられた患者管理番号、発注データD1(発注管理番号、眼球データ、レンズ設計データ)、およびレンズ度数データD2を一組のデータ群として記録、蓄積することができる。
【0055】
また、眼科の眼科医あるいはその他のメディカルスタッフは、端末装置20を介して、診察時などに必要に応じて、患者が実際に使用している眼鏡のレンズのレンズ度数をサーバ装置10に要求することができる。このとき、眼科の端末装置20は、眼科医あるいはその他のメディカルスタッフによる患者管理番号の指定を受け付けると、サーバ装置10に対し、当該患者管理番号に紐づけられた実際のレンズ度数を送信するように要求する(ステップS203)。
【0056】
サーバ装置10のレンズ度数送信部1004は、眼科の端末装置20からの要求を受け付けると、記憶媒体101から患者管理番号に紐づけられたレンズ度数データD2を検索する。そして、レンズ度数送信部1004は、検索したレンズ度数データD2(実際のレンズ度数)を、患者管理番号と紐づけて眼科の端末装置20に送信する(ステップS204)。
【0057】
眼科の端末装置20は、サーバ装置10からレンズ度数データD2を受信すると、これを不図示のモニタ等に表示して、眼科医あるいはその他のメディカルスタッフに通知する(ステップS205)。
【0058】
(作用、効果)
以上に説明した構成によれば、サーバ装置10は、レンズメーカが眼球データおよびフィッティングデータに基づいて調整後の実際のレンズ度数を取得して、眼科医あるいはその他のメディカルスタッフの求めに応じて提供することができる。このようにすることで、眼科医あるいはその他のメディカルスタッフは実際に患者が使用している眼鏡(レンズ)の状態に応じて適切な診察、眼鏡度数調整などを行うことが可能となる。
【0059】
(ハードウェア構成)
図8は、少なくとも一つの実施形態に係るサーバ装置および端末装置のハードウェア構成の例を示す図である。
以下、
図8を参照しながら、本実施形態に係るサーバ装置10および端末装置20、30、40のハードウェア構成について説明する。
【0060】
コンピュータ900は、プロセッサ901、主記憶装置902、補助記憶装置903、インタフェース904を備える。
【0061】
上述のサーバ装置10、および端末装置20、30、40は、コンピュータ900に実装される。そして、上述した各機能部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。プロセッサ901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ901は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域を主記憶装置902に確保する。プロセッサ901の例としては、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、マイクロプロセッサなどが挙げられる。
【0062】
プログラムは、コンピュータ900に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、補助記憶装置903に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。なお、他の実施形態においては、コンピュータ900は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサ901によって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。このような集積回路も、プロセッサの一例に含まれる。
【0063】
補助記憶装置903の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。補助記憶装置903は、コンピュータ900のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース904または通信回線を介してコンピュータ900に接続される外部記憶装置910であってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、補助記憶装置903は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0064】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置903に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0065】
以上のとおり、本発明に係るいくつかの実施形態を説明したが、これら全ての実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
1 発注システム
10 サーバ装置
100 CPU
1000 眼球データ受信部
1001 レンズ設計データ受信部
1002 発注データ送信部
1003 レンズ度数受信部
1004 レンズ度数送信部
101 記憶媒体
109 ステップ
20、30、40 端末装置
300 CPU
3000 レンズ度数取得部
3001 フィッティングデータ取得部
3002 レンズ設計データ送信部
301 記憶媒体