IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱重工メカトロシステムズ株式会社の特許一覧 ▶ テクノドローン株式会社の特許一覧

特許7466142煙突筒身内面点検装置及び煙突筒身内面点検方法
<>
  • 特許-煙突筒身内面点検装置及び煙突筒身内面点検方法 図1
  • 特許-煙突筒身内面点検装置及び煙突筒身内面点検方法 図2
  • 特許-煙突筒身内面点検装置及び煙突筒身内面点検方法 図3
  • 特許-煙突筒身内面点検装置及び煙突筒身内面点検方法 図4
  • 特許-煙突筒身内面点検装置及び煙突筒身内面点検方法 図5
  • 特許-煙突筒身内面点検装置及び煙突筒身内面点検方法 図6
  • 特許-煙突筒身内面点検装置及び煙突筒身内面点検方法 図7
  • 特許-煙突筒身内面点検装置及び煙突筒身内面点検方法 図8
  • 特許-煙突筒身内面点検装置及び煙突筒身内面点検方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】煙突筒身内面点検装置及び煙突筒身内面点検方法
(51)【国際特許分類】
   F23J 13/00 20060101AFI20240405BHJP
【FI】
F23J13/00 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020038423
(22)【出願日】2020-03-06
(65)【公開番号】P2021139563
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】518200282
【氏名又は名称】テクノドローン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】槇元 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】杉本 望
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-132340(JP,U)
【文献】特開2012-202173(JP,A)
【文献】特開2019-156221(JP,A)
【文献】特開2017-032186(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23J13/00-13/02
E21D5/00,8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
煙突筒身の頂部及び底部の少なくとも一方に支持され、上下方向に延びるガイド部材と、
前記ガイド部材に沿って昇降可能な架台と、
前記架台に複数設けられ、前記煙突筒身の内面の周方向の全範囲が視野に収まるように配置された撮影部と、
一端が前記架台に接続され、他端が前記煙突筒身の前記頂部に引き出され、前記架台を吊り下げた状態で昇降させる昇降用部材と
前記煙突筒身の前記内面における基準位置となり前記撮影部で撮影可能な指標を前記煙突筒身の内部に形成する指標形成部と
を備え、
前記架台及び複数の前記撮影部を含む、昇降用部材によって吊り下げられる構造物の総重量が15kg以下に設定される
煙突筒身内面点検装置。
【請求項2】
前記架台は、前記ガイド部材を上下方向に貫通させる貫通穴を有し、
複数の前記撮影部は、前記貫通穴を囲う位置に配置される
請求項1に記載の煙突筒身内面点検装置。
【請求項3】
前記指標は、前記煙突筒身の前記内面の周方向おける基準位置である
請求項1又は請求項2に記載の煙突筒身内面点検装置。
【請求項4】
前記指標は、前記煙突筒身の前記内面の前記頂部から前記底部に亘って、鉛直方向に沿って直線状に形成される
請求項に記載の煙突筒身内面点検装置。
【請求項5】
少なくとも1つの前記撮影部についての、前記煙突筒身の前記内面の周方向における視野の向き及び上下方向についての視野の高さ位置の少なくとも一方を検出可能な検出部を更に備える
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の煙突筒身内面点検装置。
【請求項6】
前記検出部の検出結果を、前記撮影部により撮影される画像に対応付けて出力する制御部を更に備える
請求項に記載の煙突筒身内面点検装置。
【請求項7】
前記検出部は、ジャイロセンサを含む
請求項又は請求項に記載の煙突筒身内面点検装置。
【請求項8】
煙突筒身の頂部及び底部の少なくとも一方に支持され、上下方向に延びるガイド部材に沿って、前記煙突筒身の頂部から引き出された昇降用部材により、総重量が15kg以下に設定される架台及び複数の撮影部を含む構造物を吊り下げた状態で上下方向の一方に移動させることと、
前記架台を移動させつつ、前記煙突筒身の内面における基準位置となり前記撮影部で撮影可能な指標が形成された前記煙突筒身の前記内面の周方向の全範囲が視野に収まるように前記架台に配置された複数の前記撮影部により前記煙突筒身の前記内面を撮影することと
を含む煙突筒身内面点検方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、煙突筒身内面点検装置及び煙突筒身内面点検方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、煙突内部を点検する場合には、煙突筒身の頂部からテレビカメラを搭載した架台を吊り下げ、テレビカメラを煙突の内部で周方向に回転させながら筒身の内面を撮影し、撮像された画像に基づいて点検を行っている。この場合、高所での作業が回避され、煙突内部の点検作業が安全かつ確実に行われる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-109068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、架台の昇降移動を停止し、カメラを回転させて撮影する必要があるため、撮影時間を要する。また、特許文献1に記載の技術では、カメラの重量が40kg以上あり、架台の総重量が重くなる。そのため、架台を吊り下げるための大掛かりな吊り下げ機構を設置する必要があり、設置までに時間とコストを要する。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであり、装置の設置に要する時間及びコストを抑え、撮影時間を短縮化することが可能な煙突筒身内面点検装置及び煙突筒身内面点検方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る煙突筒身内面点検装置は、煙突筒身の頂部及び底部の少なくとも一方に支持され、上下方向に延びるガイド部材と、前記ガイド部材に沿って昇降可能な架台と、前記架台に複数設けられ、前記煙突筒身の内面の周方向の全範囲が視野に収まるように配置された撮影部と、一端が前記架台に接続され、他端が前記煙突筒身の前記頂部に引き出され、前記架台を吊り下げた状態で昇降させる昇降用部材とを備え、前記架台及び複数の前記撮影部を含む、昇降用部材によって吊り下げられる構造物の総重量が15kg以下に設定される。
【0007】
本開示に係る煙突筒身内面点検方法は、煙突筒身の頂部及び底部の少なくとも一方に支持され、上下方向に延びるガイド部材に沿って、前記煙突筒身の頂部から引き出された昇降用部材により、総重量が15kg以下に設定される架台及び複数の撮影部を含む構造物を吊り下げた状態で上下方向の一方に移動させることと、前記架台を移動させつつ、前記煙突筒身の内面の周方向の全範囲が視野に収まるように前記架台に配置された複数の前記撮影部により前記煙突筒身の前記内面を撮影することとを含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、装置の設置に要する時間及びコストを抑え、撮影時間を短縮化することが可能な煙突筒身内面点検装置及び煙突筒身内面点検方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る煙突筒身内面点検装置の一例を示す図である。
図2図2は、架台における撮影部の配置の一例を示す図である。
図3図3は、筒身内面の周方向について撮影部の撮影範囲の一例を示す図である。
図4図4は、煙突筒身内面点検方法の一例を模式的に示す図である。
図5図5は、撮影部により撮影された画像の一例を示す図である。
図6図6は、第2実施形態に係る煙突筒身内面点検装置の一例を示す図である。
図7図7は、撮影部により撮影された画像の一例を示す図である。
図8図8は、第3実施形態に係る煙突筒身内面点検装置の一例を示す図である。
図9図9は、制御部から出力される画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
以下、本開示に係る煙突筒身内面点検装置及び煙突筒身内面点検方法の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0011】
図1は、本実施形態に係る煙突筒身内面点検装置100の一例を示す図である。図1に示す煙突筒身内面点検装置100は、煙突筒身101の内部を点検するものである。点検内容としては、例えば、煙突筒身101の内面101aに施されたライニングの剥離や亀裂等の有無を点検したり、煙突筒身101の内面101aに形成される構造物の変形等の有無を点検したりするものである。本実施形態において、煙突筒身101は、例えば円筒状であり、鉛直方向に沿った状態で建造されている。
【0012】
図1に示すように、煙突筒身内面点検装置100は、ガイド部材10と、架台20と、撮影部30と、昇降用部材40とを備える。
【0013】
ガイド部材10は、例えばロープ、ワイヤ等の上下方向に延びる線状部材であり、煙突筒身101の頂部101b及び底部101cに支持される。ガイド部材10は、例えば平面視において煙突筒身101の中央部に配置される。ガイド部材10は、上端において放射状に分岐される。ガイド部材10は、各分岐部分の端部がチェーンブロック11等により、テンションをかけた状態で頂部101bに支持される。
【0014】
架台20は、ガイド部材10に沿って昇降可能である。架台20は、ガイド部材10を上下方向に貫通する貫通穴21を有する。架台20は、一人の作業者が手作業で昇降可能な程度の重量で形成される。
【0015】
撮影部30は、架台20に複数設けられ、煙突筒身101の内面101aを撮影する。撮影部30としては、例えばウェアラブルカメラ等の小型かつ軽量のカメラが用いられる。なお、架台20には、煙突筒身101の内面101aに光を照射する不図示の照明装置が搭載される。照明装置としては、例えばLED等が用いられる。
【0016】
撮影部30で撮影された画像は、例えば煙突筒身101の外部に設けられる表示装置50によりリアルタイムで表示可能である。表示装置50は、有線通信又は無線通信により、撮影部30で撮影された画像を取得可能である。
【0017】
昇降用部材40は、例えばロープ、ワイヤ等の線状部材であり、一端が架台20に接続され、他端が煙突筒身101の頂部101bから外部に引き出される。昇降用部材40は、架台20を吊り下げた状態で昇降可能である。昇降用部材40によって吊り下げられる、架台20、複数の撮影部30及び照明装置を合わせた構造物の重量は、作業者が手で持って扱える程度の重量であり、15kg以下に設定される。本実施形態において、当該構造物の重量は、例えば3kg以下に設定される。つまり、構造物の総重量が3kg以下となるように、架台20の材料、寸法等が設定され、撮影部30の個々の重量、台数が設定され、照明装置の種類、個数が設定される。昇降用部材40は、架台20を底部101cに到達させるために十分な長さを有している。昇降用部材40は、例えば煙突筒身101の頂部101bに設けられる滑車41を介して煙突筒身101の外部に引き出される。このため、作業者は、昇降用部材40の繰り出し及び繰り寄せを円滑に行うことが可能となっている。
【0018】
図2は、架台20における撮影部30の配置の一例を示す図である。図2は、架台20及び撮影部30を情報から見た構成を示している。図2に示すように、複数の撮影部30は、架台20の貫通穴21を囲う位置に配置される。つまり、複数の撮影部30は、貫通穴21の中心軸AXの軸回り方向に配置される。複数の撮影部30は、中心軸AXの軸回り方向に等間隔で配置される。本実施形態において、複数の撮影部30は、例えば6台配置されるが、これに限定されず、5台以下又は7台以上であってもよい。
【0019】
図3は、内面101aの周方向について撮影部30の撮影範囲の一例を示す図である。図3に示すように、それぞれ撮影部30は、内面101aの周方向について、撮影範囲(視野角)S1、S2、S3、S4、S5、S6を有している。撮影範囲S1、S2、S3、S4、S5、S6は、例えば同一の角度となっているが、これに限定されず、少なくとも1つの値が異なってもよい。複数の撮影部30は、内面101aの周方向の全範囲が撮影範囲S1、S2、S3、S4、S5、S6に収まるように配置される。つまり、複数の撮影部30により、架台20を中心軸AXの軸回り方向に回転させることなく、内面101aの周方向の全範囲が同時に撮影可能となっている。
【0020】
次に、上記のように構成された煙突筒身内面点検装置100を用いて煙突内部を点検する煙突筒身内面点検方法について説明する。図4は、煙突筒身内面点検方法の一例を模式的に示す図である。
【0021】
本実施形態に係る煙突筒身内面点検方法は、昇降用部材40により架台20及び複数の撮影部30を含む総重量が15kg以下に設定された構造物を吊り下げた状態で、架台20をガイド部材10に沿って上下方向の一方(例えば、下方向)に移動させることと、架台20を移動させつつ、煙突筒身101の内面101aの周方向の全範囲が視野に収まるように架台20に配置された複数の撮影部30により当該内面101aを撮影することと、を含む。
【0022】
具体的には、まず、架台20をガイド部材10の上端に配置した状態で撮影部30による撮影を開始する。撮影部30は、上下方向について、撮影範囲(視野角)Tを有している。撮影範囲Tは、例えば煙突筒身101の内面101a上においては高さ範囲Hに対応する。したがって、撮影部30による撮影を行う場合には、高さ範囲Hに鑑み、上下方向の全範囲をもれなく撮影するように架台20の高さを調整しつつ、撮影を行う。例えば作業者が昇降用部材40を把持して繰り出すことにより、架台20を自重で下方向に移動させることができる。架台20の総重量が15kg以下であるため、作業者が容易に架台20を移動させることができる。撮影部30により撮影された画像は、表示装置50において表示可能である。作業者は、表示装置50の表示を確認しつつ、架台20の高さを調整してもよい。
【0023】
図4では、例えば撮影部30の撮影範囲Tが内面101aにおける高さ位置h0、h1、h2、h3、h4、h5、h6の隣り合う2つの位置それぞれ含むように撮影する場合を例に挙げている。なお、撮影態様は、上記に限定されない。なお、撮影部30において動画を撮影可能である場合、架台20を一定の速度で下方向に移動させつつ、撮影部30により動画を撮影してもよい。
【0024】
図5は、撮影部30により撮影された画像の一例を示す図である。図5に示す画像P1は、内面101aのうち高さ位置h0から高さ位置h1の範囲を撮影した画像である。同様に、画像P2は、内面101aのうち高さ位置h1から高さ位置h2の範囲を撮影した画像である。また、画像P3は、内面101aのうち高さ位置h2から高さ位置h3の範囲を撮影した画像である。画像P4は、内面101aのうち高さ位置h3から高さ位置h4の範囲を撮影した画像である。画像P5は、内面101aのうち高さ位置h4から高さ位置h5の範囲を撮影した画像である。画像P6は、内面101aのうち高さ位置h5から高さ位置h6の範囲を撮影した画像である。
【0025】
作業者は、撮影された画像P1から画像P6に基づいて、煙突筒身101の内面101aにライニングの剥離や亀裂、構造物の変形等の特定箇所の有無を検出する。図5においては、例えば、画像P1、P3、P4、P6に特定箇所E1、E3、E4、E6がそれぞれ確認される。この場合、作業者は、例えば画像P1から画像P6に含まれ内面101aにおいて上下方向に連続する特徴的な構造部101dを基準として、各画像P1から画像P6の位置を合わせることができる。このような位置合わせを行うことにより、位置合わせ後の画像P1Aから画像P6Aを用いて、特定箇所E1、E3、E4、E6の位置関係を正確に特定することができる。
【0026】
以上のように、本実施形態に係る煙突筒身内面点検装置100は、煙突筒身101の頂部101b及び底部101cの少なくとも一方に支持され、上下方向に延びるガイド部材10と、ガイド部材10に沿って昇降可能な架台20と、架台20に複数設けられ、煙突筒身101の内面の周方向の全範囲が視野に収まるように配置された撮影部30と、一端が架台20に接続され、他端が煙突筒身101の頂部101bに引き出され、架台20を吊り下げた状態で昇降させる昇降用部材40とを備え、架台20及び複数の撮影部30を含む、昇降用部材40によって吊り下げられる構造物の総重量が15kg以下に設定される。
【0027】
本実施形態に係る煙突筒身内面点検装置100は、昇降用部材40によって吊り下げられる構造物の総重量が15kg以下に設定されるため、作業者が手で昇降用部材40を把持しつつ繰り出し及び繰り寄せが可能となる。これにより、架台20を吊り下げるための大掛かりな吊り下げ機構が不要となり、装置の設置に要する時間及びコストを抑制できる。また、複数の撮影部30が、煙突筒身101の内面の周方向の全範囲が視野に収まるように配置されるため、カメラを回転させて撮影する必要がなく、撮影時間の短縮化を図ることができる。
【0028】
本実施形態に係る煙突筒身内面点検装置100において、架台20は、ガイド部材10を上下方向に貫通させる貫通穴21を有し、複数の撮影部30は、貫通穴21を囲う位置に配置される。従って、複数の撮影部30の撮影範囲内にガイド部材10が配置されることを回避できる。これにより、撮影部30で撮影される画像にガイド部材10が映り込むことを回避できる。
【0029】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態を説明する。図6は、第2実施形態に係る煙突筒身内面点検装置200の一例を示す図である。図6に示すように、煙突筒身内面点検装置200は、第1実施形態に係る煙突筒身内面点検装置100の各構成に加えて、指標形成部70を更に備えている。
【0030】
指標形成部70は、煙突筒身101の内部に指標71を形成する。指標71は、撮影部30で撮影可能であり、煙突筒身101の内面101aにおける基準位置となるものである。本実施形態において、指標71は、煙突筒身101の内面101aの周方向における基準位置となるものであり、頂部101bから底部101cにかけて鉛直方向に沿って直線状に形成される。
【0031】
指標71は、例えばロープ等の線状部材を用いて形成することができる。この場合、指標形成部70は、ロープ等の線状部材を頂部101bと底部101cとに支持させることで、指標71を形成することができる。
【0032】
また、指標71は、テープ等の帯状部材を用いて形成することができる。この場合、指標形成部70は、テープ等の帯状部材を内面101aの頂部101bから底部101cにかけて張り渡すことにより、指標71を形成することができる。
【0033】
また、指標71は、レーザ光等により形成することができる。この場合、指標形成部70は、内面101aの頂部101bから底部101cにかけてレーザ光を照射することにより、指標71を形成することができる。
【0034】
また、指標71は、照明装置等の発光体や、光ファイバ等の導光部材により形成することができる。この場合、指標形成部70は、発光体又は導光部材を頂部101bから底部101cにかけて配置し、発光体又は導光部材を発光させることにより、指標71を形成することができる。
【0035】
図7は、撮影部30により撮影された画像の一例を示す図である。図7に示す画像P11から画像P16は、第1実施形態における画像P1から画像P6に対応した高さ範囲を撮影した画像である。図7に示すように、画像P11から画像P16には、指標71の画像である指標画像71Pが含まれている。この場合、作業者は、例えば画像P11から画像P16に含まれる指標画像71Pを基準として、各画像P11から画像P16の位置を合わせることができる。内面101aの特徴物等を用いる場合に比べて、指標画像71Pが明確に映っているため、位置合わせをより容易に行うことができる。このような位置合わせを行うことにより、位置合わせ後の画像P11Aから画像P16Aを用いて、特定箇所E1、E3、E4、E6の位置関係を正確に特定することができる。
【0036】
なお、上記の説明では、煙突筒身101の内面101aの周方向における基準位置となる指標71を例に挙げて説明したが、これに限定されない。指標形成部70は、内面101aの高さ方向における基準位置となる指標を形成してもよい。この場合、作業者は、高さ方向について、指標を基準位置として、画像の位置合わせを容易に行うことができる。
【0037】
以上のように、本実施形態に係る煙突筒身内面点検装置200は、煙突筒身101の内面101aにおける基準位置となり撮影部30で撮影可能な指標を内面に形成する指標形成部70を更に備える。これにより、撮影部30で撮影される画像に指標画像71Pを含ませることができるため、画像の位置合わせを容易に行うことができる。
【0038】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態を説明する。図8は、第3実施形態に係る煙突筒身内面点検装置300の一例を示す図である。図8に示すように、煙突筒身内面点検装置300は、第1実施形態に係る煙突筒身内面点検装置100の各構成に加えて、検出部80及び制御部90を更に備えている。
【0039】
検出部80は、少なくとも1つの撮影部30についての、煙突筒身101の内面101aの周方向における視野の向き及び上下方向についての視野の高さ位置の少なくとも一方を検出可能である。
【0040】
本実施形態において、検出部80としては、例えばジャイロセンサを用いることができる。この場合、検出部80は、例えば架台20又は複数の撮影部30のいずれかの位置に配置することができる。撮影部30が検出部80を内蔵した構成であってもよい。検出部80は、検出結果に基づいて、中心軸AXの軸回り方向についての架台20の回転位置及び架台20の高さ位置の両方について検出することができる。検出部80は、検出結果を制御部90に送信可能である。
【0041】
制御部90は、検出部80の検出結果と、架台20及び複数の撮影部30の位置関係とに基づいて、内面101aの周方向における撮影部30の視野の向き、及び上下方向における撮影部30の視野の高さ位置を求めることができる。制御部90は、架台20に搭載されてもよいし、煙突筒身101の外部に配置されてもよい。
【0042】
制御部90は、検出部80の検出結果を、撮影部30により撮影される画像に対応付けて出力することができる。この場合、複数の撮影部30は、画像を撮影する際、撮影時刻を取得し、撮影時刻を対応づけた画像を生成する。また、検出部80は、回転位置及び高さ位置を検出する際に検出時刻を記憶し、検出時刻と対応づけた検出結果を生成する。制御部90は、撮影時刻と検出時刻とを対応させることにより、当該撮影時刻に撮影された画像と、当該検出時刻に検出された検出結果とを対応付けることができる。制御部90は、例えば検出部80の検出結果と画像に反映させた状態で、当該画像を出力することができる。
【0043】
図9は、制御部90から出力される画像の一例を示す図である。図9に示す画像P21から画像P26は、第1実施形態における画像P1から画像P6に対応した高さ範囲を撮影した画像である。図9に示すように、画像P21から画像P26には、検出部80の検出結果である撮影部30の撮影方向及び高さ位置が含まれている。図9では、撮影方向として例えば北の方角(N)が示され、高さ位置として高さ位置h0から高さ位置h6(図4参照)までが示されている。この場合、作業者は、例えば画像P21から画像P26に含まれる撮影方向を基準として、内面101aの周方向について各画像P21から画像P26の位置を合わせることができる。また、作業者は、例えば画像P21から画像P26に含まれる高さ位置を基準として、内面101aの上下方向について各画像P21から画像P26の位置を合わせることができる。この場合、内面101aの周方向だけでなく高さ方向についても容易に位置合わせを行うことができる。このような位置合わせを行うことにより、位置合わせ後の画像P21Aから画像P26Aを用いて、特定箇所E1、E3、E4、E6の位置関係を正確に特定することができる。
【0044】
以上のように、本実施形態に係る煙突筒身内面点検装置300は、少なくとも1つの撮影部30についての、煙突筒身101の内面101aの周方向における視野の向き及び上下方向についての視野の高さ位置の少なくとも一方を検出可能な検出部80を更に備える。これにより、内面101aの周方向及び上下方向の少なくとも一方についての撮影部30の撮影方向を取得することができるため、撮影部30で撮影される画像の位置合わせを容易に行うことができる。
【0045】
本実施形態に係る煙突筒身内面点検装置300は、検出部80の検出結果を、撮影部30により撮影される画像に対応付けて出力する制御部90を更に備える。従って、検出結果が反映された画像を用いて位置合わせを行うことができるため、位置合わせがより容易となる。
【0046】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。例えば、第1実施形態の構成、第2実施形態の構成及び第3実施形態の構成のうち、少なくとも2つを組み合わせることも可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0047】
10 ガイド部材
11 チェーンブロック
20 架台
21 貫通穴
30 撮影部
40 昇降用部材
41 滑車
50 表示装置
70 指標形成部
71 指標
71P 指標画像
80 検出部
90 制御部
100,200,300 煙突筒身内面点検装置
101 煙突筒身
101a 内面
101b 頂部
101c 底部
101d 構造部
E1,E3,E4,E6 特定箇所
H,S1,T,S2,S3,S4,S5,S6 撮影範囲
P1,P2,P11,P3,P21,P4,P5,P6,P16,P26,P1A,P11A,P21A,P6A,P16A,P26A 画像
AX 中心軸
h0,h1,h2,h3,h4,h5,h6 位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9