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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】物品移動方法および物品移動装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 25/06 20060101AFI20240405BHJP
   B65G 47/34 20060101ALI20240405BHJP
   B65G 47/52 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
B65G25/06
B65G47/34
B65G47/52 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020101920
(22)【出願日】2020-06-11
(65)【公開番号】P2021195207
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000152815
【氏名又は名称】株式会社日本キャリア工業
(72)【発明者】
【氏名】越智 一志
(72)【発明者】
【氏名】浅井 裕司
(72)【発明者】
【氏名】牧野 伸司
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-214108(JP,A)
【文献】特公昭45-017732(JP,B1)
【文献】特開2021-195185(JP,A)
【文献】特開2018-203371(JP,A)
【文献】特開2007-222153(JP,A)
【文献】特開平07-329919(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03318516(EP,A1)
【文献】中国実用新案第206482769(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2011/0124276(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 25/06
B65G 21/14
B65G 25/06
B65G 47/34
B65G 47/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を移動させるための方法であって、支持部材(202)の上部に、この支持部材(202)に対して移動自在な移送部材(295)が備えられ、前記支持部材(202)を、物品を移送部材(295)上に受ける位置から、この移送部材(295)上の物品を降ろす位置にわたって横移動させ、この支持部材(202)の横移動中に、前記移送部材(295)を、支持部材(202)に対して相対的に、支持部材(202)の移動に応じて支持部材(202)の移動方向とは逆の方向に移動させて、移送部材(295)上の物品を降ろす物品移動方法において、
前記支持部材(202)の横移動中に、前記移送部材(295)を、支持部材(202)に対して相対的に、支持部材(202)の移動に応じて支持部材(202)の移動方向とは逆の方向へ略同速度で移動させて、この移送部材(295)上の物品の横移動を少なくしながら所定の位置に降ろすことを特徴とする物品移動方法。
【請求項2】
物品を搬送する搬送部材(95)が備えられ、前記支持部材(202)が搬送部材(95)の下側にあるときに、この搬送部材(95)から移送部材(295)上に物品を受け、この後、前記支持部材(202)を横移動させて移送部材(295)上の物品を降ろす請求項1に記載の物品移動方法。
【請求項3】
物品を移動させるための方法であって、複数の支持部材(202,202)が横方向に対向して配置され、各支持部材(202,202)の上部に、各支持部材(202,202)に対して移動自在な移送部材(295,295)が備えられ、前記複数の支持部材(202,202)の夫々を、互いに対向する部位の間隔を縮小して物品を各移送部材(295,295)上に受ける位置から、互いに対向する部位の間隔を拡大して各移送部材(295,295)上の物品を降ろす位置にわたって横移動させ、これら複数の支持部材(202,202)が横移動する間に、前記各移送部材(295,295)を、各支持部材(202,202)に対して相対的に、各支持部材(202,202)の移動に応じて各支持部材(202,202)の移動方向とは逆の方向へ移動させて、各移送部材(295,295)上の物品を降ろす物品移動方法において、
前記各支持部材(202,202)の夫々が横移動する間に、各移送部材(295,295)を、各支持部材(202,202)に対して相対的に、各支持部材(202,202)の移動に応じて各支持部材(202,202)の移動方向とは逆の方向へ略同速度で移動させて、各移送部材(295,295)上の物品の横移動を少なくしながら所定の位置へ降ろすことを特徴とする物品移動方法。
【請求項4】
複数列の物品を搬送する搬送部材(95)が備えられ、前記各支持部材(202,202)が搬送部材(95)の下側にあるときに、この搬送部材(95)から各移送部材(295,295)上に物品を受け、この後、各支持部材(202,202)を横移動させて各移送部材(295,295)上の物品を降ろす請求項に記載の物品移動方法。
【請求項5】
物品を移動させるための装置であって、支持部材(202)の上部側に、この支持部材(202)に対して移動自在な移送部材(295)を設け、前記支持部材(202)を、物品を移送部材(295)上に受ける位置と、この移送部材(295)上の物品を降ろす位置とにわたって横移動させる横移動手段(225,241)を設け、前記移送部材(295)を、支持部材(202)に対して相対的に、支持部材(202)の移動に応じて支持部材(202)の移動方向に対して逆の方向へ移動させる逆方向移動手段(RA)を設け、前記横移動手段(225,241)による支持部材(202)の横移動中に、前記逆方向移動手段(RA)によって前記移送部材(295)を、支持部材(202)に対して相対的に、支持部材(202)の移動方向とは逆の方向へ移動させて、この移送部材(295)上の物品を降ろす構成とした物品移動装置において、
前記横移動手段(225,241)による支持部材(202)の横移動中に、前記逆方向移動手段(RA)によって移送部材(295)を、支持部材(202)に対して相対的に、支持部材(202)の移動に応じて支持部材(202)の移動方向とは逆の方向へ略同速度で移動させて、この移送部材(295)上の物品の横移動を少なくしながら所定の位置に降ろす構成としたことを特徴とする記載の物品移動装置。
【請求項6】
物品を搬送する搬送部材(95)を設け、この搬送部材(95)から移送部材(295)上に物品を受け、この後、前記支持部材(202)を横移動させる構成とした請求項に記載の物品移動装置。
【請求項7】
物品を移動させるための装置であって、複数の支持部材(202,202)を横方向に対向して配置し、各支持部材(202,202)の上部に、各支持部材(202,202)に対して移動自在な移送部材(295,295)を設け、前記複数の支持部材(202,202)の夫々を、物品を各移送部材(295,295)上に受ける位置と、各移送部材(295,295)上の物品を降ろす位置にわたって横移動させる横移動手段(225,241)を設け、前記各移送部材(295,295)を、各支持部材(202,202)に対して相対的に、各支持部材(202,202)の移動に応じて各支持部材(202,202)の移動方向とは逆の方向へ移動させる逆方向移動手段(RA,RA)を設け、前記横移動手段(225,241)による複数の支持部材(202,202)の横移動中に、前記逆方向移動手段(RA,RA)によって各移送部材(295,295)を、各支持部材(202,202)に対して相対的に、各支持部材(202,202)の移動方向とは逆の方向へ移動させて、各移送部材(295,295)上の物品を降ろす構成とした物品移動装置において、
前記横移動手段(225,241)による複数の支持部材(202,202)の横移動中に、前記逆方向移動手段(RA,RA)によって各移送部材(295,295)を、各支持部材(202,202)に対して相対的に、各支持部材(202,202)の移動に応じて各支持部材(202,202)の移動方向とは逆の方向へ略同速度で移動させて、各移送部材(295,295)上の物品の横移動を少なくしながら所定の位置に降ろす構成としたことを特徴とする物品移動装置。
【請求項8】
複数列の物品を搬送する搬送部材(95)を設け、この搬送部材(95)から各移送部材(295,295)上に物品を受け、この後、各支持部材(202,202)を横移動させる構成とした請求項に記載の物品移動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を移動させる方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の物品移動装置として、例えば、コンベア等によって移送されてきた食品、薬品、工業原材料、工業製品、建設・土木資材、輸送用貨物などの種々の物品を、このコンベアの移送終端部に配置された所定の位置へ移動させる装置や、コンベアの移送終端部に待機させた容器の中へ移動させる装置などがある。
このような物品移動装置として、特許文献1には、物品を移送するコンベアを設け、このコンベアの終端部を移送方向へ往復移動自在に構成し、このコンベアの移送終端部からトレー等の容器内へ、物品を斜め下方に順次流し落とすように移動させる技術が開示されている。
なお、特許文献2には、板部材の上面から下面にわたって無端帯を巻き掛け、この無端帯を板部材の進行方向とは逆の方向へ駆動しながら、コンベア上の物品を掬い上げる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-64808号公報
【文献】特開2017-214108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、物品をコンベアの終端または無端帯の終端から斜め下方へ順次流し落とすように移動させる構成であるため、この落下時に物品の姿勢が乱れ、目標とする位置へ整った姿勢で移動させることが困難となる問題があった。
本発明は、上述のような従来技術の課題を解決し、物品を整った姿勢で移動させることのできる物品移動方法および物品移動装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するために、以下の技術的手段を講じる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、物品を移動させるための方法であって、支持部材(202)の上部に、この支持部材(202)に対して移動自在な移送部材(295)が備えられ、前記支持部材(202)を、物品を移送部材(295)上に受ける位置から、この移送部材(295)上の物品を降ろす位置にわたって横移動させ、この支持部材(202)の横移動中に、前記移送部材(295)を支持部材(202)に対して相対的に、支持部材(202)の移動に応じて支持部材(202)の移動方向とは逆の方向に移動させて、移送部材(295)上の物品を降ろすことを特徴とする物品移動方法とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記支持部材(202)の横移動中に、前記移送部材(295)を支持部材(202)に対して相対的に、支持部材(202)の移動に応じて支持部材(202)の移動方向とは逆の方向へ略同速度で移動させて、この移送部材(295)上の物品の横移動を少なくしながら所定の位置に降ろす請求項1に記載の物品移動方法とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、物品を搬送する搬送部材(95)が備えられ、前記支持部材(202)が搬送部材(95)の下側にあるときに、この搬送部材(95)から移送部材(295)上に物品を受け、この後、前記支持部材(202)を横移動させて移送部材(295)上の物品を降ろす請求項1または請求項2に記載の物品移動方法とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、物品を移動させるための方法であって、複数の支持部材(202,202)が横方向に対向して配置され、各支持部材(202,202)の上部に、各支持部材(202,202)に対して移動自在な移送部材(295,295)が備えられ、前記複数の支持部材(202,202)の夫々を、互いに対向する部位の間隔を縮小して物品を各移送部材(295,295)上に受ける位置から、互いに対向する部位の間隔を拡大して各移送部材(295,295)上の物品を降ろす位置にわたって横移動させ、これら複数の支持部材(202,202)が横移動する間に、前記各移送部材(295,295)を各支持部材(202,202)に対して相対的に、各支持部材(202,202)の移動に応じて各支持部材(202,202)の移動方向とは逆の方向へ移動させて、各移送部材(295,295)上の物品を降ろすことを特徴とする物品移動方法とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、前記各支持部材(202,202)の夫々が横移動する間に、各移送部材(295,295)を各支持部材(202,202)に対して相対的に、各支持部材(202,202)の移動に応じて各支持部材(202,202)の移動方向とは逆の方向へ略同速度で移動させて、各移送部材(295,295)上の物品の横移動を少なくしながら所定の位置へ降ろす請求項4に記載の物品移動方法とする。
【0010】
請求項6に記載の発明は、複数列の物品を搬送する搬送部材(95)が備えられ、前記各支持部材(202,202)が搬送部材(95)の下側にあるときに、この搬送部材(95)から各移送部材(295,295)上に物品を受け、この後、各支持部材(202,202)を横移動させて各移送部材(295,295)上の物品を降ろす請求項4または請求項5に記載の物品移動方法とする。
【0011】
請求項7に記載の発明は、物品を移動させるための方法であって、支持部材(202)の上部に、この支持部材(202)に対して移動自在な移送部材(295)が備えられ、前記支持部材(202)を、物品を移送部材(295)上に受ける第1位置(PS1)と、この第1位置(PS1)から所定距離偏倚した第2位置(PS2)と、移送部材(295)上の物品を降ろす第3位置(PS3)とにわたって横移動させ、前記支持部材(202)が第1位置(PS1)から第2位置(PS2)へ移動する間は、この支持部材(202)に対する移送部材(295)の移動を停止して移送部材(295)上の物品を前記支持部材(202)と共に移動させ、前記支持部材(202)が第2位置(PS2)から第3位置(PS3)へ移動する間に、前記移送部材(295)を支持部材(202)に対して相対的に、支持部材(202)の移動に応じて支持部材(202)の移動方向とは逆の方向へ移動させて、移送部材(295)上の物品を降ろすことを特徴とする物品移動方法とする。
【0012】
請求項8に記載の発明は、前記支持部材(202)が第2位置(PS2)から第3位置(PS3)へ移動する間に、前記移送部材(295)を支持部材(202)に対して相対的に、支持部材(202)の移動に応じて支持部材(202)の移動方向とは逆の方向へ略同速度で移動させて、この移送部材(295)上の物品の横移動を少なくしながら所定の位置に降ろす請求項7に記載の物品移動方法とする。
【0013】
請求項9に記載の発明は、物品を搬送する搬送部材(95)が備えられ、前記支持部材(202)が第1位置(PS1)にあるときに、前記搬送部材(95)から移送部材(295)上に物品を受け、この後、前記支持部材(202)を第2位置(PS2)へ移動させた後に第3位置(PS3)へ移動させる請求項7または請求項8に記載の物品移動方法とする。
【0014】
請求項10に記載の発明は、物品を移動させるための方法であって、複数の支持部材(202,202)が横方向に対向して配置され、各支持部材(202,202)の上部側に、各支持部材(202,202)に対して移動自在な移送部材(295,295)が備えられ、前記複数の支持部材(202,202)の夫々を、互いに対向する部位の間隔を第1間隔(P1)に縮小して物品を各移送部材(295,295)上に受ける第1位置(PS1,PS1)と、この第1位置(PS1,PS1)から互いに離間する方向へ所定距離偏倚し、対向する部位の間隔が第2間隔(P2)に拡大される第2位置(PS2,PS2)と、この第2位置(PS2,PS2)から互いに離間する方向へ偏倚することで互いに対向する部位の間隔が第3間隔(P3)に拡大されて、各移送部材(295,295)上の物品を降ろす第3位置(PS3,PS3)とにわたって横移動させ、前記複数の支持部材(202,202)の夫々が第1位置(PS1,PS1)から第2位置(PS2,PS2)へ移動する間は、これら複数の支持部材(202,202)に対する各移送部材(295)の移動を停止して各移送部材(295,295)上の物品を各支持部材(202,202)と共に移動させて各物品の間隔を拡大し、前記複数の支持部材(202,202)の夫々が第2位置(PS2,PS2)から第3位置(PS3,PS3)へ移動する間に、各移送部材(295,295)を支持部材(202,202)に対して相対的に、各支持部材(202,202)の移動に応じて各支持部材(202,202)の移動方向とは逆の方向へ移動させて、各移送部材(295,295)上の物品の夫々を降ろすことを特徴とする物品移動方法とする。
【0015】
請求項11に記載の発明は、前記各支持部材(202,202)の夫々が第2位置(PS2,PS2)から第3位置(PS3,PS3)へ移動する間に、各移送部材(295,295)を各支持部材(202,202)に対して相対的に、各支持部材(202,202)の移動に応じて各支持部材(202,202)の移動方向とは逆の方向へ略同速度で移動させて、各移送部材(295,295)上の物品の横移動を少なくしながら所定の位置に降ろす請求項10に記載の物品移動方法とする。
【0016】
請求項12に記載の発明は、複数列の物品を搬送する搬送部材(95)が備えられ、前記各支持部材(202,202)が第1位置(PS1,PS1)にあるときに、前記搬送部材(95,95)から各移送部材(295,295)上に物品を受け、この後、前記各支持部材(202,202)を第2位置(PS2,PS2)へ移動させた後に第3位置(PS3,PS3)へ移動させる請求項10または請求項11に記載の物品移動方法とする。
【0017】
請求項13に記載の発明は、前記第2位置を変更自在とする請求項7から請求項12のいずれか一項に記載の物品移動方法とする。
【0018】
請求項14に記載の発明は、物品を移動させるための装置であって、支持部材(202)の上部側に、この支持部材(202)に対して移動自在な移送部材(295)を設け、前記支持部材(202)を、物品を移送部材(295)上に受ける位置と、この移送部材(295)上の物品を降ろす位置とにわたって横移動させる横移動手段(225,241)を設け、前記移送部材(295)を支持部材(202)に対して相対的に、支持部材(202)の移動に応じて支持部材(202)の移動方向に対して逆の方向へ移動させる逆方向移動手段(RA)を設け、前記横移動手段(225,241)による支持部材(202)の横移動中に、前記逆方向移動手段(RA)によって前記移送部材(295)を支持部材(202)に対して相対的に、支持部材(202)の移動方向とは逆の方向へ移動させて、この移送部材(295)上の物品を降ろす構成としたことを特徴とする物品移動装置とする。
【0019】
請求項15に記載の発明は、前記横移動手段(225,241)による支持部材(202)の横移動中に、前記逆方向移動手段(RA)によって移送部材(295)を支持部材(202)に対して相対的に、支持部材(202)の移動に応じて支持部材(202)の移動方向とは逆の方向へ略同速度で移動させて、この移送部材(295)上の物品の横移動を少なくしながら所定の位置に降ろす構成とした請求項14に記載の物品移動装置とする。
【0020】
請求項16に記載の発明は、物品を搬送する搬送部材(95)を設け、この搬送部材(95)から移送部材(295)上に物品を受け、この後、前記支持部材(202)を横移動させる構成とした請求項14または請求項15に記載の物品移動装置とする。
【0021】
請求項17に記載の発明は、物品を移動させるための装置であって、複数の支持部材(202,202)を横方向に対向して配置し、各支持部材(202,202)の上部に、各支持部材(202,202)に対して移動自在な移送部材(295,295)を設け、前記複数の支持部材(202,202)の夫々を、物品を各移送部材(295,295)上に受ける位置と、各移送部材(295,295)上の物品を降ろす位置にわたって横移動させる横移動手段(225,241)を設け、前記各移送部材(295,295)を各支持部材(202,202)に対して相対的に、各支持部材(202,202)の移動に応じて各支持部材(202,202)の移動方向とは逆の方向へ移動させる逆方向移動手段(RA,RA)を設け、前記横移動手段(225,241)による複数の支持部材(202,202)の横移動中に、前記逆方向移動手段(RA,RA)によって各移送部材(295,295)を各支持部材(202,202)に対して相対的に、各支持部材(202,202)の移動方向とは逆の方向へ移動させて、各移送部材(295,295)上の物品を降ろす構成としたことを特徴とする物品移動装置とする。
【0022】
請求項18に記載の発明は、前記横移動手段(225,241)による複数の支持部材(202,202)の横移動中に、前記逆方向移動手段(RA,RA)によって各移送部材(295,295)を、各支持部材(202,202)に対して相対的に、各支持部材(202,202)の移動に応じて各支持部材(202,202)の移動方向とは逆の方向へ略同速度で移動させて、各移送部材(295,295)上の物品の横移動を少なくしながら所定の位置に降ろす構成とした請求項17に記載の物品移動装置とする。
【0023】
請求項19に記載の発明は、複数列の物品を搬送する搬送部材(95)を設け、この搬送部材(95)から各移送部材(295,295)上に物品を受け、この後、各支持部材(202,202)を横移動させる構成とした請求項17または請求項18に記載の物品移動装置とする。
【0024】
請求項20に記載の発明は、物品を移動させるための装置であって、支持部材(202)の上部に、この支持部材(202)に対して移動自在な移送部材(295)を設け、前記支持部材(202)を、物品を移送部材(295)上に受ける第1位置(PS1)と、この第1位置(PS1)から所定距離偏倚した第2位置(PS2)とにわたって横移動させる第1手段(225)を設け、前記支持部材(202)を、前記第2位置(PS2)と、前記移送部材(295)上の物品を降ろす第3位置(PS3)とにわたって横移動させる第2手段(241)を設け、前記移送部材(295)を支持部材(202)に対して相対的に、支持部材(202)の移動に応じて各支持部材(202)の移動方向に対して逆の方向へ移動させる第3手段(RA)を設け、前記第1手段(225)によって支持部材(202)が第1位置(PS1)から第2位置(PS2)へ移動する間は、前記第3手段(RA)による支持部材(202)に対する移送部材(295)の移動を停止して移送部材(295)上の物品を前記支持部材(202)と共に移動させ、前記第2手段(241)によって支持部材(202)が第2位置(PS2)から第3位置(PS3)へ移動する間に、前記第3手段(RA)によって移送部材(295)を支持部材(202)に対して相対的に、支持部材(202)の移動方向とは逆の方向へ移動させて、この移送部材(295)上の物品を降ろす構成としたことを特徴とする物品移動装置とする。
【0025】
請求項21に記載の発明は、前記支持部材(202)が第2位置(PS2)から第3位置(PS3)へ移動する間に、前記第3手段(RA)によって移送部材(295)を支持部材(202)に対して相対的に、支持部材(202)の移動に応じて各支持部材(202)の移動方向とは逆の方向へ略同速度で移動させて、この移送部材(295)上の物品の横移動を少なくしながら所定の位置に降ろす構成とした請求項20に記載の物品移動装置とする。
【0026】
請求項22に記載の発明は、物品を搬送する搬送部材(95)を設け、前記支持部材(202)が第1位置(PS1)にあるときに、前記搬送部材(95)から移送部材(295)上に物品を受け、この後、前記支持部材(202)を第2位置(PS2)へ移動させた後に第3位置(PS3)へ移動させる構成とした請求項20または請求項21に記載の物品移動装置とする。
【0027】
請求項23に記載の発明は、物品を移動させるための装置であって、複数の支持部材(202,202)を横方向に対向して配置し、各支持部材(202,202)の上部に、各支持部材(202,202)に対して移動自在な移送部材(295,295)を設け、前記複数の支持部材(202,202)の夫々を、互いに対向する部位の間隔を第1間隔(P1)に縮小して物品を各移送部材(295,295)上に受け取る第1位置(PS1,PS1)と、この第1位置(PS1,PS1)から互いに離間する方向へ所定距離偏倚し、対向する部位の間隔が第2間隔(P2)に拡大される第2位置(PS2,PS2)とにわたって横移動させる第1手段(225,225)を設け、前記複数の支持部材(202,202)の夫々を、前記第2位置(PS2,PS2)から、対向する部位の間隔が第3間隔(P3)に拡大されて各移送部材(295,295)上の物品を降ろす第3位置(PS3,PS3)にわたって横移動させる第2手段(241,241)を設け、前記各移送部材(295,295)を各支持部材(202,202)に対して相対的に、各支持部材(202,202)の移動に応じて各支持部材(202,202)の移動方向とは逆の方向へ移動させる第3手段(RA,RA)を設け、前記第1手段(225,225)によって複数の支持部材(202,202)の夫々が第1位置(PS1,PS1)から第2位置(PS2,PS2)へ移動する間は、前記第3手段(RA,RA)による複数の支持部材(202,202)に対する各移送部材(295,295)の移動を停止し、各移送部材(295,295)上の物品を各支持部材(202,202)と共に移動させて各物品の間隔を拡大し、前記第2手段(241,241)によって複数の支持部材(202,202)の夫々が第2位置(PS2,PS2)から第3位置(PS3,PS3)へ移動する間に、前記第3手段(RA,RA)によって各移送部材(295,295)を各支持部材(202,202)に対して相対的に、各支持部材(202,202)の移動方向とは逆の方向へ移動させて、各移送部材(295,295)上の物品の夫々を降ろす構成としたことを特徴とする物品移動装置とする。
【0028】
請求項24に記載の発明は、前記複数の支持部材(202,202)の夫々が第2位置(PS2,PS2)から第3位置(PS3,PS3)へ移動する間に、前記第3手段(RA,RA)によって各移送部材(295,295)を、各支持部材(202,202)に対して相対的に、各支持部材(202,202)の移動に応じて各支持部材(202,202)の移動方向とは逆の方向へ略同速度で移動させて、各移送部材(295)上の物品の横移動を少なくしながら所定の位置に降ろす構成とした請求項23に記載の物品移動装置とする。
【0029】
請求項25に記載の発明は、複数列の物品を搬送する搬送部材(95)を設け、前記各支持部材(202,202)が第1位置(PS1,PS1)にあるときに、前記搬送部材(95)から各移送部材(295,295)上に物品を受け、この後、前記各支持部材(202,202)を第2位置(PS2,PS2)へ移動させた後に第3位置(PS3,PS3)へ移動させる構成とした請求項23または請求項24に記載の物品移動装置とする。
【0030】
請求項26に記載の発明は、前記第2位置を変更設定自在な構成とした請求項20から請求項25のいずれか一項に記載の物品移動装置とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、物品を目標位置へ整った姿勢で移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の物品移動装置を備えた食品切断搬送装置の平面図である。
図2】折り畳まれた食品の集合体(物品)を示す説明用左側面図である。
図3】第2搬送作用部の右側面図である。
図4】閉鎖状態における物品移動装置の平面図である。
図5】閉鎖状態における物品移動装置の正面図である。
図6】間隔調整時における物品移動装置の平面図である。
図7】間隔調整時における物品移動装置の正面図である。
図8】開放状態における物品移動装置の平面図である。
図9】開放状態における物品移動装置の正面図である。
図10】物品移動装置の左側面図であり、(a)は作業状態、(b)はメンテナンス状態を示す。
図11】物品移動装置の移送部材の説明図である。
図12】物品移動装置の作動状態説明用の正面図であり、(a)は閉鎖状態、(b)は開放状態を示す。
図13】容器供給部の説明用背面図である。
図14】容器供給部の要部の説明図である。
図15】容器供給部の要部の説明図である。
図16】物品移動装置周辺の作動状態説明用の左側面図である。
図17】物品移動装置周辺の作動状態説明用の左側面図である。
図18】間隔調整前の初期状態における物品移動装置周辺の説明用平面図である。
図19】間隔調整前の初期状態における物品移動装置周辺の説明用正面図である。
図20】間隔調整時における物品移動装置周辺の説明用平面図である。
図21】間隔調整時における物品移動装置周辺の説明用正面図である。
図22】開放途中状態における物品移動装置周辺の説明用平面図である。
図23】開放途中状態における物品移動装置周辺の説明用正面図である。
図24】開放状態における物品移動装置周辺の説明用平面図である。
図25】開放状態における物品移動装置周辺の説明用正面図である。
図26】収容完了状態における物品移動装置周辺の作動状態説明用の左側面図である。
図27】制御装置のブロック回路図である。
図28】収容部の制御フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明を実施するための形態について、塊状肉を連続的に切断して搬送するスライサーに備えられ、切断された肉片の集合体(請求項における「物品」)をトレーに収容する物品移動装置を、実施例として詳述する。
なお、集合体の搬送方向に沿う方向を前後方向と定義し、この搬送方向と平面視で直交する方向を左右方向と定義する。
【0034】
(スライサーの全体構成)
図1に示すように、スライサー1は、機台2に対して、供給部3と、切断部4と、搬送部5と、収容部6と、制御部7を設けて構成する。
供給部3は、作業者によって投入された塊状肉を切断部4側へ搬送するものであり、切断部4は、供給部3の前端部から突出した塊状肉の前端部を所定の厚さに切断するものである。
搬送部5は、切断部4で切断された肉片の集合体を収容部6側へ搬送するものであり、収容部6は、搬送されてきた肉片の集合体を容器に収容して搬出するものである。
この収容部6に、本発明の物品移動装置が備えられる。
制御部7は、各部を駆動する電動モーターやエアシリンダー等の作動状態を制御するものである。
【0035】
しかして、図2に示すように、切断部4で切断され、折り畳まれた複数の肉片mが、その一部どうしが上下に重なるように、搬送作動中の無端ベルト96の搬送始端部上に順次置かれ、肉片の集合体(請求項における「物品」)Mが形成される。
また、一つの肉片の集合体Mと次の肉片の集合体Mとの間に所定の間隔が形成される。
【0036】
(搬送部)
図3に示すように、搬送部5は、後端部の従動ローラーと、搬送駆動モーター112で駆動される駆動ローラーと、上部従動ローラーと、後述する往復移動コンベア(請求項の「搬送部材」)95を形成する従動ローラー群とにわたって無端ベルト96を巻き掛け、コンベアとして構成する。
この搬送部5において、前部支持台116の上部から、左右の延設板118,118を、後方へ向けて延設する。
また、この左右の延設板118,118の各内側方には、前後方向のガイドレール119,119を配置する。
【0037】
そして、搬送方向に沿う左右の移動板121,121と、前側連結棒122および後側連結棒123から、枠組みされた移動枠124を形成する。
そして、左右の斜設板125,125の後端部を、左右の移動板121,121間に架設した後部支持軸126の左右両端部に、上下回動自在に軸支する。
この後部支持軸126には、左右方向に広幅の屈折部従動ローラー127を回転自在に軸受する。
さらに、左右の斜設板125,125の前端部外側に、左右の支持アーム131,131を取り付け、この左右の支持アーム131,131の前端部間を連結軸132で連結する。
そして、この連結軸132に左右方向に広幅の前端部従動ローラー133を回転自在に軸受する。
【0038】
そして、左右の移動板121,121の外側面における前後2箇所にボス部材134,134を取り付け、このボス部材134,134を上述の左右のガイドレール119,119に前後方向摺動自在に篏合する。
また、部支持台116における右側の板部材115の右側面に伸縮用電動モーター135から動力が供給されるギヤケース136を固定する。
このギヤケース136の出力軸137に、揺動アーム138の下端部を固定する。
この揺動アーム138の上端部と、前側連結棒122の突出端部を連結する。
【0039】
以上の構成により、伸縮用電動モーター135が駆動すると、屈折部従動ローラー127と前端部従動ローラー133が一体で前後方向に移動し、無端ベルト96の搬送終端部が前後方向に位置変更する。
この無端ベルト96における屈折部従動ローラー127から前端従動ローラー133にわたる部位を、上述の往復移動コンベア(請求項の「搬送部材」)95と呼ぶ。
【0040】
(収容部)
図4図10に示す物品移動装置200に備えた受面201を、往復移動コンベア95の搬送終端部の前後移動範囲の下側に配置する。
この物品移動装置200は、右側の移動ユニット200Rと左側の移動ユニット200Lからなり、その上部に受面201,201を形成した略水平方向の左右の受板(請求項の「支持部材」)202,202を備える。
この左右の受板202,202の形状、支持構造、駆動構造は、左右の移動ユニット200R,200Lにおいて略左右対称に構成する。
このため、以下の構造および作動状態に関する説明は、特に指定しない限り、左右両側の移動ユニット200R,200Lの双方に対して、左右対称に適用される。
【0041】
(収容部の支持構造)
しかして、まず、機台203の上部に、左右の支持ステー204,204の下端部をボルト205,205で固定し、この左右の支持ステー204,204の上端部に設けた左右方向の孔部に、左右方向の支点軸206を、軸心回りに回転自在に挿通する。
また、この支点軸206の外周に、支点軸筒207を、軸心回りに回転自在および軸心方向へ摺動自在に篏合する。
そして、支点軸206における左右外側の支持ステー204から外方へ突出した左右一側端部(外側端部)に、左右一側(外側)に配置された上部支持ステー208の下端部をボルト209で固定する。
また、支点軸206における左右内側の支持ステー204から内方へ突出した左右他側端部(内側端部)に、左右他側(内側)に配置された略矩形状の内側支持板210の下端部をボルト211で固定する。
【0042】
(収容部の枠組み)
図4図10に示すように、上述の左右一側(外側)に配置された上部支持ステー208の外側方に、間隔をおいて、略矩形状の外側支持板212を配置し、この外側支持板212と内側支持板210の間を以下のように連結して枠組みする。
すなわち、内側支持板210の前部における上下方向中間部の内側面と、外側支持板212の前部における下部内側面に、丸棒状の第1連結棒213の両端部をボルト214,214で固定する。
また、この第1連結棒213の左右方向中間部は、左右外側の上部支持ステー208の上部に形成した孔に貫通させて固定する。
なお、左右外側の上部支持ステー208上部内側面と、左右の内側支持板210の前部における上下方向中間部内側面に、丸棒状の下部連結棒215の両端部をボルト216,216で固定している。
【0043】
そして、内側支持板210における後部の上部内側面と、外側支持板212における後部の下部内側面に、丸棒状の第2連結棒217の両端部をボルト218,218で固定する。
また、内側支持板210における後部の上部内側面と、外側支持板212における後部の上部内側面に、丸棒状の第3連結棒219の両端部をボルト220,220で固定する。
これにより、第3連結棒219は、第2連結棒217の直上方に配置される。
【0044】
また、内側支持板210の後端部における上部内側面と、左右の外側支持板212の後端部における上下方向中間部の内側面に、丸棒状の第4連結棒221の両端部をボルト222,222で固定する。
また、右側の移動ユニット200Rに備えた内側支持板210における前後方向中間部の上端部左側面に、左右方向の摺動案内棒SS1の基部をボルトSS2で固定する。
一方、左側の移動ユニット200Lに備えた内側支持板210における前後方向中間部の上端部左側面に、左右方向の穴部を備えた摺動案内筒SS3の基部を固定する。
そして、摺動案内棒SS1の先端部を摺動案内筒SS3の穴部に摺動自在に嵌入させる。
【0045】
これにより、左右の移動ユニット200L,200Rが独立して支点軸206の軸心方向へ移動することを許容し、かつ、この左右の移動ユニット200L,200Rが独立して支点軸206回りに上下揺動することを規制する位置規制部PKが形成される。
なお、第1連結棒213と、第2連結棒217と、第3連結棒219と、第4連結棒221と、摺動案内棒SS1は、水平方向に、且つ、相互に平行に配置される。
また、外側支持板212の上部後端面と内側支持板210の上部後端面に、上下方向に幅狭に形成された左右方向の後部連結板223の左右端部前面を当て、ボルト224,224で固定する。
【0046】
(物品移動装置の間隔調節機構)
図4図10に示すように、内側支持板210の前側下部内側面に、間隔調節用の複動型の第1エアシリンダー(請求項の「第1手段」、ないし「横移動手段」の一部)225の基部を取り付ける。
また、支点軸筒207の左右方向中間部にステー226の基部を固着し、これによって垂直に立設されたステー226の上部内側面に、ボックス状のホルダー227を固定する。
このホルダー227は、その内部を中空とし、ステー226に固定した部位とは反対側の側面に開口部を有する。
【0047】
このホルダー227の内部に、前述の開口部よりも大きく形成されたアジャストボルト228の頭部を、ホルダー227の内壁との間に隙間を有して姿勢変化自由な状態で配置し、このアジャストボルト228の雄螺子部を、前述の開口部から内側方へ突出させる。
この雄螺子部の先端を、第1エアシリンダー225のピストン229の先端部に形成した雌螺子部に螺合して連結し、ロックナット230で固定する。
しかして、左右の第1エアシリンダー225,225を共に伸縮作動させることによって、右側の移動ユニット200Rと左側の移動ユニット200Lが互いに左右逆方向へ移動する。
【0048】
このとき、摺動案内棒SS1が摺動案内筒SS3に摺動自在に嵌入していることによって、右側の移動ユニット200Rと左側の移動ユニット200Lの相対姿勢は維持される。
また、後述するように、物品移動装置200を支点軸206の軸心を中心として上昇揺動させる場合に、摺動案内棒SS1が摺動案内筒SS3に摺動自在に嵌入していることによって、右側の移動ユニット200Rと左側の移動ユニット200Lは一体で上昇揺動する。
【0049】
(受板)
図4図10に示すように、受板202は、矩形の鋼板から形成され、前側の縁部を垂直上方に向けて折り曲げ、後側の縁部を後下がり傾斜姿勢に折り曲げ、左右外側の縁部を外側下がり傾斜姿勢に折り曲げ、左右方向内側の縁部を下側へ巻き込むように丸めて形成する。
なお、この受板202の前側の二隅には、上述の内側支持板210および外側支持板212との干渉を防ぐために、切り欠き部202K,202Kを形成する。
【0050】
また、この受板202の後側の二隅には、後述する第1インデックスプランジャー270操作用の切り欠き部202L,202Lを形成する。
このように形成された受板202における前後方向中間部の上側に、水平方向の受面201が形成される。
【0051】
(受板の摺動機構)
しかして、上述の第3連結棒219に対して、左右外側および左右内側に配置される摺動部材231,231を、左右方向に所定の間隔をおいて摺動自在に篏合する。
この摺動部材231,231には、第3連結棒219を挿通する貫通孔を有し、この貫通孔部に、第3連結棒219に対する摺動抵抗を低減するためのボール式の滑動部材を設け、この滑動部材に作用するグリスを封入する。
そして、摺動部材231,231の後側面に、受板202の前端部に形成した垂直上方への折り曲げ部を当接させ、ボルト232,232で固定する。
【0052】
(タイミングベルトによる連動手段)
また、この外側の摺動部材231の下部に、第1タイミングプーリー233を前後方向の軸心234回りに回転自在に軸支する。
一方、内側の摺動部材231の下部には、第2タイミングプーリー235を前後方向の軸心236回りに回転自在に軸支する。
これら第1タイミングプーリー233と第2タイミングプーリー235の有効径は等しく設定している。
【0053】
そして、第1タイミングプーリー233と第2タイミングプーリー235にわたってタイミングベルト237を巻き回す。
このタイミングベルト237の上側巻回域の一部を、固定部材238を介して第3連結棒219の長手方向中央部に固定する。
この固定部材238は、その上部を第3連結棒219に対して長手方向に位置調節可能に締結固定し、その下部にタイミングベルト237の一部を固定的に保持する。
すなわち、この固定部材238によって、タイミングベルト237の上側巻回域の一部が定点に保持される。
【0054】
また、外側の摺動部材231と内側の摺動部材231を、これらの前側に間隔をおいて配置される左右方向の支持板239の左右両端部に、ボルト240,240で夫々連結する。
なお、このボルト240,240の先端部に、上述の第1タイミングプーリー233と第2タイミングプーリー235を軸受支持する軸部を形成するとよい。
この第1タイミングプーリー233、第2タイミングプーリー235、タイミングベルト237、固定部材238、第1摺動子246、牽引板250によって、移載ベルト(請求項の「移送部材」)295を受板202の移動に連動して移動させる連動手段(請求項の「第3手段」ないし「逆方向移動手段」)RAが構成される。
【0055】
(摺動駆動)
また、摺動用の複型の第2エアシリンダー(請求項の「第2手段」、ないし「横移動手段」の一部)241の基部を、内側支持板210における前後方向中間部の上部内側面に取り付けた前後のステー242,242に前後方向のピン243で軸支して取り付ける。
そして、この第2エアシリンダー241のピストン244の先端部を、上述の支持板239の外側端部から下方に向けて屈折した屈折部の下端部にボルト245で連結する。
なお、上述の第1エアシリンダー225と第2エアシリンダー241を含む駆動装置を、特定請求項において「横移動手段」と称する。
【0056】
(牽引板)
また、第3連結棒219の直下方に位置する第2連結棒217に、第1摺動子246を摺動自在に支持し、この第1摺動子246をタイミングベルト237の下側巻回域の直下に配置する。
そして、この第1摺動子246の上面と、この第1摺動子246の上部に取り付ける板部材247の下面によって、タイミングベルト237の下側巻回域の一部を上下から挟み、板部材247をボルト248で第1摺動子246に固定する。
また、第1摺動子246の左右両側に、ボール式の滑動部材を内蔵しグリスを封入した第2摺動子249,249を配置し、この第2摺動子249,249を第2連結棒217に対して摺動および回動自在に支持させる。
この左右の第2摺動子249,249の後面には、垂直面部と水平面部を有してL字型に屈折形成した牽引板(牽引部材)250の垂直面部をボルト251で固定する。
【0057】
これによって、牽引板250と、第1摺動子246を挟んで配置される2つの第2摺動子249,249が一体化され、牽引板250は左右方向へ摺動自在、および、上下方向に回動自在に支持される。
なお、牽引板250の水平面部の前端部と後端部は、前後方向中間の部位よりも幅広に形成し、移載ベルト295の端部を安定して係止できるものとする。
【0058】
(受板と牽引板の後端部の支持、物品移動装置の上方回動機構)
図4図10に示すように、後部連結板223の後面の左右方向外側部に、前後方向に長尺の円筒状フレーム252の前端部をボルト253で固定する。
また、後部連結板223の後面の左右方向中間部に、前後方向に長尺の角筒状フレーム254の前端部をボルト255で固定する。
そして、上述の円筒状フレーム252の後端部と角筒状フレーム254の後端部に、連結板256の左右両端部前面を当接させ、ボルト257,258で夫々固定する。
【0059】
図10に示すように、この連結板256の下端部に断面形状が逆L字型のホルダー259を固定する。
そして、このホルダー259の上辺部の下面に第1樹脂レール260の上面を当接させ、この第1樹脂レール260の下面にプレート261を当接させ、プレート261の下面に脱落防止プレート262を重ねてボルト263で共締め固定する。
この第1樹脂レール260は、その断面形状を上辺が下辺よりも長い台形状に形成し、前面に後下がり姿勢の傾斜案内面260Sを形成する。
【0060】
この傾斜案内面260Sによって、受板202の後端部に形成された後下がり傾斜姿勢の後側縁部を、その上側から摺接案内できるものとする。
これによって、第3連結棒219の軸心を中心とした受板202の上方回動が規制される。
【0061】
また、脱落防止プレート262は、断面形状が二辺に屈折した形状とし、その前辺部は、上述の固定状態において前下がり傾斜姿勢とする。
これにより、後述するように物品移動装置200が支点軸206を中心として上方回動するときに、この前下がり傾斜した前辺部の上面に受板202の後端が当接し、この受板202の下方への脱落回動が防止される。
【0062】
また、ホルダー259の左右両端部に支持アーム264,264の一端部をボルトピン265で上下回動自在に取り付け、この左右の支持アーム264,264の他端部に取付板266の左右両端部をボルト267で固定する。
この取付板266の前面に当接する左右方向に長尺の第2樹脂レール268を、この第2樹脂レール268の前面に当接する板部材269と取付板266との間に挟んで固定する。
【0063】
図10に示すように、この第2樹脂レール268の前側上部に、牽引板250の後端部下面を載置支持して摺動案内する第1平面部268Aを形成する。
また、この第2樹脂レール268の後端上部を上方へ突設させ、この上端部に、受板202の後端部下面を載置支持して摺動案内する第2平面部268Bを形成する。
なお、上述の左右の支持アーム264,264部には、その上下回動を固定および固定解除する第1インデックスプランジャー270,270を設ける。
そして、上述のホルダー259の下端部前側に支持板271の上端部を固定し、この支持板271の下端部後面側に、前後方向の軸心回りに回転自在な複数のガイドローラー272をピンボルト273で取り付ける。
【0064】
一方、図10に示すように、上下方向の支持板274の下端部を機台203側と一体化されたフレーム275に固定する。
この支持板274は、その左右両端部および上部を後方へ折り曲げ、側壁部274Sと上側壁274Uを形成する。
そして、側壁部274Sの上部に、左右の回動アーム276,276をボルトピン277,277で上下回動自在に取り付ける。
【0065】
この回動アーム276,276のうち、左右外側の回動アーム276には、側壁部274Sへのノーズの係合によって回動アーム276を起立姿勢で固定可能な第2インデックスプランジャー278を取り付ける。
また、この左右の回動アーム276,276の後面に、側面視で逆L字型に屈折形成したロックプレート279の前面を当接させ、ボルト280,280で固定する。
このロックプレート279の上部には、前方へ向けて屈折した規制部279Kを形成する。
【0066】
(物品移動装置の上方揺動機構)
図4図10に示すように、左右の移動ユニット200L,200Rに備えた内側支持板210,210の間に、扇型に形成された回動板281を上下方向の姿勢で配置する。
また、機台203側に、支持板282をボルト283で固定し、この支持板282の前方延出部に左側のステー284Lと右側のステー284Rを起立姿勢としてボルト285で締結固定し、この左右のステー284L,284Rの間に回動板281の下部を配置する。
そして、この回動板281の下部を、左右方向の軸286によって左右のステー28L,284R間に前後揺動自在に軸支する。
なお、右側のステー284Rは左側のステー284Lよりも高く形成し、この右側のステー284Rの上部に第3インデックスプランジャー287を取り付ける。
【0067】
回動板281の下部における軸286よりも前側の部位に第1貫通孔288を形成し、この第1貫通孔28に第3インデックスプランジャー287のノーズが挿通された状態で、回動板281は後上がり傾斜姿勢に保持される。
また、回動板281における軸286の上側の部位に第2貫通孔289を形成し、回動板281を前方へ揺動させた状態で、この第2貫通孔289に第3インデックスプランジャー287のノーズが挿通される。
【0068】
そして、右側の移動ユニット200Rにおける内側支持板210の前後方向中央下部に、左右方向の揺動支持軸290の右側端部をボルト291で固定する。
また、この揺動支持軸290の左側の部位を、左側の移動ユニット200Lにおける内側支持板210の前後方向中央下部に形成した穴に摺動自在に貫通させ、更に左方へ延設する。
【0069】
図10に示すように、上述の回動板281には、その下端部ほど軸286からの距離が短く、その上端部ほど軸286からの距離が長くなる円弧状のカム溝292を貫通形成し、このカム溝292に上述の揺動支持軸290を挿通させる。
また、回動板281の後部には、長尺のパイプ等の操作具293を篏合可能な上方延出部294を一体形成する。
【0070】
(物品移動装置の上方揺動)
しかして、図10の(a)に示すように、第2インデックスプランジャー278のノーズを側壁部274Sに係合させた状態では、回動アーム276,276と共にロックプレート279が起立している。
この状態では、ガイドローラー272が上側壁274Uの上面に載り、このガイドローラー272の上側に規制部279Kが位置する。
これによって、ガイドローラー272は、上側壁274U上に左右方向転動自在に支持され、かつ、規制部279Kによって浮き上がりが規制される。
これにより、物品移動装置200の受板202は、その後端部下面が第2樹脂レール268の第2平面部268Bの上面に支持され、略水平な姿勢に維持される。
【0071】
また、牽引板250の後端部下面は第2樹脂レール268の第1平面部268Aの上面に支持され、受板202の下面に沿う姿勢に維持される。
この状態で、物品移動装置200による肉片の容器への収容作業が行なわれる。
【0072】
一方、図10の(b)に示すように、物品移動装置200のメンテナンスを行なう際には、第2インデックスプランジャー278のノブを引いてノーズを側壁部274Sから離脱させ、ロックプレート279の上部に形成された規制部279Kを、ガイドローラー272の上側から後方へ退避させる。
これによって、左右の移動ユニット200L,200Rを、支点軸206中心に上方へ揺動可能な状態となる。
【0073】
また、第3インデックスプランジャー287のノブを引いてノーズを第1貫通孔288から離脱させ、回動板281を後方揺動可能な状態とする。
この状態で、作業者は、回動板281の上方延出部294に操作具293を篏合させ、この操作具293を前下方へ操作して回動板281を後方へ揺動させる。
この回動板281の後方揺動によってカム溝292が軸286を中心として揺動し、揺動支軸290と、このカム溝292における軸286から遠い側の内縁部との摺接によって、この揺動支持軸290が下方へ引かれる(押し下げられる)。
【0074】
これによって、軽い操作力で、左右の移動ユニット200L,200Rからなる物品移動装置200を、支点軸206を中心として前上方へ揺動させることができる。
このとき、左右の移動ユニット200L,200Rは、位置規制部PKによって一体で前上方へ揺動する。
また、このように物品移動装置200が前上方へ揺動して開放した状態では、物品移動装置200の重心位置が支点軸206の前側から後側へ移動しており、これに加えて、第3インデックスプランジャー287のノーズを第2貫通孔289に挿通することで、物品移動装置200が開放状態で安定支持される。
【0075】
なお、図10(b)に示すように、物品移動装置200を開放した状態で、牽引板250の下方回動が第4連結棒221との当接によって規制される。
このように、物品移動装置200を開放することで、後述する空間Qに配置されたトレー搬送装置305の上方が開放され、このトレー搬送装置305のメンテナンスを容易に行なえる状態となる。
【0076】
(移載ベルトの着脱構造)
図4に示すように、上述の牽引板250を形成するにあたり、その前後両端部を幅広に形成し、その前後方向中間部を長尺にわたって幅狭に形成し、この幅狭の部位から幅広の部位に切り換わる隅部に、前後方向の切り欠き部を形成している。
しかして、移載ベルト295の装着は、図10(b)に示すように物品移動装置200を開放した状態で行なう。
【0077】
この状態で、第1インデックスプランジャー270のノブを引いて左右の支持アーム264,264の固定を解除し、この左右の支持アーム264,264を下方回動させる。
これによって、第2樹脂レール268が下方へ退避し、この第2樹脂レール268によって支持されていた牽引板250を下方回動させることができる。
この牽引板250の第2連結棒217を中心とする下方回動位置は、この牽引板250の前端部下面が第4連結棒221に当接した状態で規制される。
【0078】
なお、第2樹脂レール268によって支持されていた受板202の後端部の下方回動(脱落)は、脱落防止プレート262への当接によって阻止される。
この状態で、図11に示すように、牽引板250を、移載ベルト295の一端を袋綴じ状にして形成された第1間隙295Sに挿通し、移載ベルト295における第1間隙295Sを包囲する部位の前後両端部を、牽引板250に形成した前後の切り欠き部に引っ掛ける。
これにより、移載ベルト295の一端側が牽引板250に取り付けられ、この牽引板250に引かれて移動するようになる。
【0079】
一方、上述の円筒状フレーム252の前端部と後部には、フック部材296の基部を固定する。
そして、このフック部材296の上部に、斜め外側上方へ向けて開口する開口部が形成されると共に、この開口部の入り口を閉鎖するノーズを備えた第4インデックスプランジャー297,297を設ける。
これにより、円筒状フレーム252の周面に形成した穴に、第4インデックスプランジャー297,297のノーズの先端が嵌入した状態で、開口部の入り口が閉鎖される。
また、この第4インデックスプランジャー297,297のノブを引き上げ、ノーズが穴から抜けて更に上動退避すると、開口部の入り口が開放される。
【0080】
また、移載ベルト295の他端を袋綴じ状にして形成された第2間隙295Eには、移載ベルト295の前後幅よりも長尺の丸棒298を挿通する。
しかして、移載ベルト295の他端側を、受板202の下面に沿わせて左右方向内側へ引いた後、この受板202の左右方向内側の縁部に巻き掛けて受板202の上面側へ折り返す。
そして、この移載ベルト295の他端側を、受板202の上面に沿わせて左右方向外側へ引き、角筒状フレーム254の下側を通し、円筒状フレーム252の下側を通してからこの円筒状フレーム252の外側周面で巻き返す。
【0081】
そして、この移載ベルト295の他端に挿通した丸棒298の前後両端部を、前後のフック部材296,296の開口部から嵌入させて係止する。
この状態で、前後の第4インデックスプランジャー297,297のノーズ先端を円筒状フレーム252の周面に形成した穴に嵌入させ、フック部材29,29の開口部からの丸棒298の脱落を阻止する。
これにより、移載ベルト295の他端部が円筒状フレーム252に取り付けられ、定点で固定される。
【0082】
以上により、受板202の上面に形成される受面201上に、移載ベルト295の上部巻回域下面が摺接支持される。
なお、円筒状フレーム252の周面に前後方向の溝を形成し、この溝に、移載ベルト295の他端に挿通した丸棒298を嵌入させてから、第4インデックスプランジャー297,297で脱落を阻止する構成としてもよい。
なお、移載ベルト295を取り外す作業は、上述と逆の順序で行なわれる。
【0083】
(物品移動装置の要部の作動)
以下において、第1位置PS1、第2位置PS2、第3位置PS3は、移載ベルト295を支持した受面201ないし受板202の内側端部の位置を基準として説明する。
【0084】
(第1位置)
すなわち、受面201ないし受板202の内側端部が第1位置PS1に位置した状態で、この受面201ないし受板202は、その下方に搬送されてきたトレーG1の上側の全域を覆う。(この状態は、平面視において、受面201ないし受板202がトレーG1の全域に重合した状態を指す。)
そして、このように左右の受面201,201ないし左右の受板202,202の内側端部が第1位置PS1,PS1に位置した状態で、2列搬送されてくる肉片mまたは肉片mの集合体M(本発明における「物品」)の夫々が、往復移動コンベア(請求項の「搬送部材」)95の搬送終端部から左右の移載ベルト295,295上に供給される。
【0085】
(第1位置から第2位置への移動)
また、左右の受面201,201ないし受板202,202の内側端部が、第1位置PS1,PS1から僅かな距離だけ外側方へ偏倚した第2位置PS2,PS2に移動した状態でも、この受面201,201ないし受板202,202は、その下方に搬送されてきた隣接する2つのトレーG1,G1の夫々の上側を略覆っている。(この状態は、平面視において、トレーG1,G1の端部の僅かな部分が覆われずに露出している状態を含む。)
なお、このように左右の受面201,201ないし左右の受板202,202の内側端部が、第1位置PS1,PS1から第2位置PS2,PS2に移動する間、左右の移載ベルト295,295は左右の受板202,202に対して移動しない。
すなわち、左右の移載ベルト295,295は、左右の受板202,202と一体で第1位置PS1,PS1から第2位置PS2,PS2へ移動する。
【0086】
これによって、左右の移載ベルト295,295上の肉片mまたは肉片mの集合体Mの左右方向間隔が拡大され、下方に待機する隣接した2つのトレーG1,G1の夫々に載置可能な位置に位置合わせされる。
なお、この、左右の移載ベルト295,295上の肉片mまたは肉片mの集合体Mの左右方向間隔の調節量は、切断部4における塊状肉搬送装置9の2つの搬送通路20,20の左右方向間隔と、トレー搬送装置305によって搬送される多数のトレーG1の搬送ピッチによって定まる。
すなわち、トレー搬送装置305によって搬送される多数のトレーG1の搬送ピッチは、このトレーG1自体の左右幅によって決まるため、この搬送ピッチを小さくするには限界がある。
【0087】
一方、切断部4において切り出され搬送されてくる2列の肉片mまたは肉片mの集合体Mの左右方向間隔は、塊状肉搬送装置9の2つの搬送通路20,20の左右方向間隔で決まる。
そして、上述の搬送ピッチで搬送されてきた隣接する2つのトレーG1,G1(一般的に使用される規格の食品用トレー)の中心間距離は、塊状肉搬送装置9の2つの搬送通路20,20の中心間距離よりも長い(左右方向での幅が広い)。
したがって、2列の肉片mまたは肉片mの集合体Mを2つの隣接するトレーG1,G1に載置するためには、上述の2つの中心間距離の差を無くするだけ、2列の狭い間隔で搬送されてきた肉片mまたは肉片mの集合体Mの左右方向間隔を拡大する必要がある。
【0088】
このために、上述のように、左右の受面201,201ないし左右の受板202,202の内側端部を、第1位置PS1,PS1から第2位置PS2,PS2に移動させることによって、左右の移載ベルト295,295上の肉片mまたは肉片mの集合体Mの左右方向間隔を拡大し、下方に待機する隣接した2つのトレーG1,G1の夫々に載置可能な位置に位置合わせするのである。
なお、第2位置PS2,PS2は、後述する制御装置によって任意に変更調節できるものとしている。
【0089】
(第2位置から第3位置への移動)
そして、受面201ないし受板202の内側端部が、第2位置PS2から外側方へ大きく移動して第3位置P3に位置した状態では、この受面201ないし受板202は、その下方に搬送されてきたトレーG1の上側から退避し、このトレーG1の上側の全域が開放される。
また、このように左右の受面201,201ないし左右の受板202,202の内側端部が、第2位置PS2,PS2から第3位置PS3,PS3へ移動するときに、左右の移載ベルト295,295の夫々の上面が左右の受板202,202に対して内側方へ移動する。
これによって、この左右の移載ベルト295,295上にあった肉片mまたは肉片mの集合体Mが、左右方向の位置変化を伴うことなく2つのトレーG1,G1の夫々に降ろされて収容される。
【0090】
(受板と移載ベルト部の作動説明)
しかして、図12は、第1エアシリンダー225,225の短縮作動によって左右両側の移動ユニット200R,200Lが外側方向(互いに離間する方向)へ移動した状態において、この後の各移動ユニットの作動状態を説明するための正面図である。
すなわち、この図12において、(a)の状態では、左右の第1エアシリンダー225,225が短縮し、移載ベルト295,295を支持した受面201,201ないし受板202,202の内側端部が、その下方に搬送されてきた2つのトレーG1,G1の上側の全域を覆う第1位置PS1,PS1から、僅かな距離だけ外側方へ偏倚した第2位置PS2,PS2へ移動している。
【0091】
これによって、左右の受板202,202の内側端部の間隔が、図4に示す最小間隔(請求項の「第1間隔」)P1から図6に示す中間間隔(請求項の「第2間隔」)P2に拡大している。
この状態でも、この移載ベルト295,295を支持した受面201,201ないし受板202,202によって、その下方に搬送されてきた2つのトレーG1,G1の上側が略覆われている。
【0092】
また、左右の第2エアシリンダー241,241が短縮し、この第2エアシリンダー241,241のピストン244,244の先端部に一体化された左右の受板202,202が、物品移動装置200の内側へ移動している。
しかして、この状態から、第2エアシリンダー241が伸長作動すると、(b)に示すように、移載ベルト295を支持した受面201ないし受板202の内側端部が第2位置PS2から第3位置PS3まで移動する。
【0093】
これによって、左右の受板202,202の内側端部の間隔が、図6に示す中間間隔(請求項の「第2間隔」)P2から、図8に示す最大間隔(請求項の「第3間隔」)P3に拡大する。
また、この受板202と共に、第2エアシリンダー241のピストン244の先端部に一体化された第1タイミングプーリー233の軸心234と第2タイミングプーリー235の軸心236が外側方へ全ストローク移動する。
【0094】
ここで、第1タイミングプーリー233と第2タイミングプーリー235に巻き回されたタイミングベルト237の上側巻回域の一部が、固定部材238によって定位置に保持されている。
このため、第1タイミングプーリー233の軸心234と第2タイミングプーリー235の軸心236が外側方へ移動するときに、この2つのタイミングプーリー233,235が同方向へ回転しながら、タイミングベルト237の下側巻回域が外側方へ移動する。
これによって、このタイミングベルト237の下側巻回域に取り付けられた第1摺動子246が牽引板250と一体で外側方へ移動し、この牽引板250によって移載ベルト295の一端部が外側方へ引かれる。
【0095】
このとき、移載ベルト295は、受板202の上面から受板202の内側端部で折り返し、受板202の下面に沿わせているため、移載ベルト295に弛みを発生させることなく、受板202の内側端部を外側方へ移動させるためには、受板202の外側方への移動量に対して、牽引板250を外側方へ2倍の距離だけ移動させる必要がある。
すなわち、図10における(a)から(b)への状態変化に示すように、移載ベルト295における受板202上の部位に仮想定点CP1を設定し(図12の(a))、この移載ベルト295を支持した受板202の内側端がこの仮想定点CP1まで移動する状態(図12の(b))を想定する。
このとき、移載ベルト295を支持した受面201ないし受板202の内側端が仮想定点CP1に達するまでの第1移動距離Sに対して、牽引板250の外側端部は第1移動距離Sの2倍となる第2移動距離Tだけ移動する必要がある。
【0096】
このために、上述のタイミングベルト237および2つのタイミングプーリー233,235からなる機構を設けており、これによって、受板202の外側方への移動速度(第2エアシリンダー241のピストン244の伸長速度)に対して、牽引板250の外側方への移動速度は2倍の速度となる。
これによって、移載ベルト295を支持した受面201ないし受板202が第2位置PS2から第3位置PS3まで移動するときに、移載ベルト295は、この受面201の移動方向とは逆の方向へ、同じ大きさの速度で移動する。
なお、図12において、(a)は移載ベルト295を支持した受板202ないし受面201がトレーG1の上方に侵入してこのトレーG1の上方を略覆う閉鎖状態、(b)は受板202(受面201)がトレーG1の上方から退避してこのトレーG1の上方を開放した開放状態である。
【0097】
(b)の状態において、受板202の内側端部での移載ベルト295の折り返し移動によって、移載ベルト295上の肉片mまたは肉片mの集合体M(本発明における「物品」)が移載ベルト295の表面から剥離され、トレーG1内に落下して収容される。
すなわち、第2搬送作用部5Rの搬送終端部から受面201上に載置されていた肉片mまたは肉片mの集合体Mは、左右方向および前後方向の位置をそのままの位置とした状態で、直下方のトレーG1内に落下するように降ろされて載置され、収容される。
【0098】
なお、図4図5は、移載ベルト295を支持した受面201ないし受板202がトレーG1の上側の全域を覆う第1位置PS1に位置する状態を示し、図6図7は、受面201ないし受板202がトレーG1の上側を略覆う第2位置PS2(請求項の「第1位置から所定距離偏倚した第2位置」)まで外側方へ移動した状態を示す。
そして、図8図9は、移載ベルト295を支持した受面201ないし受板202がトレーG1の上方を開放する第3位置(請求項の「移送部材上の物品を降ろす第3位置」)PS3まで外側方へ移動した状態を示す。
なお、上述のように、この受面201ないし受板202は、第2搬送作用部5Rの搬送終端部の前後移動範囲の下側に配置される。
【0099】
(トレー搬送装置)
図13図15に、容器供給部300を備えたトレー搬送装置305を示す。
図13に示すように、容器供給部300には、レール状のトレー収容部303と、トレー剥離装置304を備える。
トレー収容部303は、重ね合わせた多数の空のトレーG1を収容し、脱落を防止しながら斜め下方へ滑動案内するレール状の枠部材から構成する。
また、トレー剥離装置304は、トレー収容部303の下端部からトレーG1を一皿ずつ剥離して取り出すものである。
【0100】
このトレー剥離装置304は、先端部に吸盤306を備えた回動アーム307と、この回動アーム307を回動させる電動モーター308を備える。
そして、吸盤306には、回動アーム307内に配策した吸気管(図示省略)の先端部が連通されており、回動アーム307が上昇回動したときに負圧を発生させて、トレーG1の下面を吸着する構成としている。
この吸着後に回動アーム307を下降回動させて負圧を解除し、吸着されていたトレーG1をトレー搬送装置305上に載置するように構成されている。
【0101】
このトレー搬送装置305は、トレー剥離装置304によって剥離されたトレーG1を、上述の搬送部5と平面視で直交する方向へ搬送し、収容部6における物品移動装置200の左右の受板202,202の下方に形成される空間Q内を右側から左側へ通過させるものである。
このトレー搬送装置305は、その搬送終端側に配置した駆動スプロケット315と搬送始端側に配置した従動スプロケット314の間に無端チェーン316を巻き掛けて構成する。
この無端チェーン316には、トレーG1の幅に相当する間隔をおいて多数の係止板317を備える。
【0102】
また、トレーG1の前後位置および上下位置を規制しながら搬送案内する断面形状がコ字型の搬送案内レール318を、トレーG1の搬送方向に3分割して配置する。
この搬送案内レール318は、物品移動装置200の受面201が容器G1の上側を覆う第1位置(物品を受け取る第1位置)PS1に位置している状態で(第2位置PS2(受け取った物品を降ろす第2位置)に移動する前に)、左右の受面201,201の直下に搬送されて停止した2つの隣接するトレーG1を,G1所定距離だけ上昇させるエアシリンダー319,319を備える。
【0103】
(収容作動)
無端ベルト96上に形成された2列の肉片mの集合体M,Mは、各列の間に所定の狭い間隔が形成された状態で収容部6へ搬送されてくる。
この搬送中の集合体M,Mにおける各列の間隔を「肉列間隔P0」と呼ぶ。
【0104】
(受面上への集合体の引き継ぎ)
しかして、図16図17に示すように、収容作動の開始時には、まず、この肉列間隔P0を有して搬送されてくる2列の集合体M,Mを、搬送作動中にある往復移動コンベア95の搬送終端部を搬送方向上手側へ後退させながら、物品移動装置200の左右の受面201,201上に降ろすようにして引き継ぐ。
これにより、図4図18図19に示すように、左右の受面201,201上に左右の集合体M,Mが引き継がれた状態でも、左右の集合体M,Mの間隔は肉列間隔P0のままである。
【0105】
そして、この状態で2つのトレーG1,G1を左右の受面201,201の下側に並置状態で待機させる必要があるが、この2つのトレーG1,G1が重ならないように間隔をおいて配置する必要がある。
このため、受面201上に引き継がれた各集合体Mの左右方向での中心位置と、トレーG1の左右方向での中心位置とが左右方向にずれた状態となり、このまま、受面201上の集合体Mを落下させた場合、この集合体MがトレーG1からはみ出す事態が生じうる。(図18図19において実線で示す集合体Mと破線で示すトレーG1の位置ずれ。)
この集合体M,MとトレーG1,G1の左右方向の位置ずれを、以下のようにして解消する。
【0106】
(1段階目の作動)
まず、図4図5図18図19に示すように、左右の第1エアシリンダー225,225を伸長させて左右の受面201,201を最接近させ、左右の受板202,202の内側端部の間隔(厳密には左右の移載ベルト295,295の折り返し部の間隔)が最小間隔(請求項の「第1間隔」)P1となっている状態で、往復移動コンベア95の終端から、この左右の受面201,201上に二列の肉片群(肉片の集合体。請求項の「物品」)G1,G1を引き継ぐ。
このように、左右の受面201,201の内側端部の間隔が、最小間隔P1にある状態での左右の受面201,201の位置を、第1位置PS1と定義する。
【0107】
そして、この状態では、左右の受面201,201上の集合体M,Mが、下側に待機するトレーG1,G1の直上方に位置するようになる。
そして、この後、図6図20に示すように、左右の第1エアシリンダー225,225を設定量だけ短縮作動させて、左右の移動ユニット200L,200Rを外側方(相反する方向)へ移動させ、左右の受面201,201の内側端部の間隔を中間間隔(請求項の「第2間隔」)P2に拡大する。
このように、左右の受面201,201の内側端部の間隔が、中間間隔P2になった状態での左右の受面201,201の位置を、第2位置PS2と定義する。
なお、このように、左右の受面201,201の内側端部の間隔が、最小間隔P1から中間間隔P2に拡大されるまでの間にわたり、この左右の受面201,201がトレーG1,G1の上側に侵入し、この受面201,201によってトレーG1,G1の上方が略覆われている。
【0108】
(2段階目の作動)
この状態で、トレー搬送部302のエアシリンダー319を上昇作動させ、トレーG1,G1を設定位置まで上昇させる。
そして、図8図24に示すように、トレーG1,G1の上昇中または上昇完了後に、左右の第2エアシリンダー241,241を設定量だけ伸長作動させ、左右の受面201,201の内側端部の間隔を最大間隔P3まで拡大する。
このように、左右の受面201,201の内側端部の間隔が、最大間隔P3になった状態での左右の受面201,201の位置を、第3位置PS3と定義する。
この状態では、左右の受面201,201がトレーG1,G1の上側から左右外側へ退避し、このトレーG1,G1の上方が開放される。
なお、図22図23は、左右の受面201,201の内側端部の間隔が、中間間隔P2から最大間隔P3に拡大される途中の中間間隔PMにある状態を示すものである。
【0109】
このように、左右の受面201,201の内側端部の間隔が中間間隔P2から中間間隔PMを経て最大間隔P3に拡大するまでの間、すなわち、左右の受面201,201の双方が第2位置PS2から第3位置PS3まで移動するときに、各受面201,201に備えた移載ベルト295,295が、受面201,201の移動方向とは逆の方向へ同じ大きさの速度で移動する。
これによって、集合体M,Mは、左右および前後の位置変化を伴うことなく、トレーG1,G1内へ落下して収容される。
集合体M,Mを収容したトレーG1,G1は、初期位置へ下降し、トレー搬送装置305によって空間Qを通過し、左外側方へ搬出される。
【0110】
以上の作動が、集合体M,Mが搬送されてくる間隔に同調して繰り返される。
なお、往復移動コンベア95における無端ベルト96の下側巻回域は、左右の受面201,201の上側に近接する高さに設定し、集合体Mの引継性を高める。
【0111】
(スライサーの制御装置)
図27にスライサーの制御装置のブロック図を示す。なお、このブロック図では、供給部3、切断部4、搬送部5の一部の作動に関する部分を省略し、特に収容部6の作動に関する部分を示している。
しかして、制御部7に備えたコントローラー400に対して、その入力側に、起動スイッチ401と、コンベア移動距離計測用センサ417と、コンベア終端部進退位置計測用センサ418と、左側第1エアシリンダー伸縮位置計測用ポテンショメータ419と、右側第1エアシリンダー伸縮位置計測用ポテンショメータ420と、左側第2エアシリンダー伸縮位置計測用ポテンショメータ421と、右側第2エアシリンダー伸縮位置計測用ポテンショメータ422と、トレーコンベア移動距離センサ423と、剥離アーム回動位置計測用ポテンショメータ424を接続する。
【0112】
一方、コントローラー400の出力側には、搬送駆動用モータードライバ434と、伸縮用モータードライバ436と、左側第1エアシリンダー用バルブソレノイド437と、右側第1エアシリンダー用バルブソレノイド438と、左側第2エアシリンダー用バルブソレノイド439と、側第2エアシリンダー用バルブソレノイド440と、トレー搬送モータードライバ441と、トレー移動アーム用モータードライバ442と、吸着バルブ用ソレノイド443を接続する。
なお、このコントローラー400には、上述の左右の第1位置PS1,PS1、左右の第2位置PS2,PS2、左右の第3位置PS3,PS3がそれぞれ記憶されており、第2位置PS2を任意に変更できるものとしている。
【0113】
(入力側に接続されたスイッチおよびセンサ類の説明)
上述のコントローラー400の入力側に接続された起動スイッチ401は、スライサー1全体を起動するためのものであり、コントローラー400の出力側からモータードライバ等へ指令信号を出力可能な状態に切り替えるためのものである。この起動スイッチ401の入り操作によって、切断部4と供給部3と搬送部5の駆動が開始される。
【0114】
コンベア移動距離計測用センサ417は、搬送駆動モーター112の回転数等から、搬送部5における無端ベルト96の移動距離量(集合体Mの搬送距離)を計測するものである。
コンベア終端部進退位置計測用センサ418は、伸縮用電動モーター135の回転数等から、往復移動コンベア95の終端部の移動位置を計測するものである。
【0115】
左側第1エアシリンダー伸縮位置計測用ポテンショメータ419は、物品移動装置200における間隔調節用の左側の第1エアシリンダー225の伸縮位置を計測するものである。
右側第1エアシリンダー伸縮位置計測用ポテンショメータ420は、物品移動装置200における間隔調節用の右側の第1エアシリンダー225の伸縮位置を計測するものである。
【0116】
左側第2エアシリンダー伸縮位置計測用ポテンショメータ421は、物品移動装置200における摺動用の左側の第2エアシリンダー241の伸縮位置を計測するものである。
右側第2エアシリンダー伸縮位置計測用ポテンショメータ422は、物品移動装置200における摺動用の右側の第2エアシリンダー241の伸縮位置を計測するものである。
【0117】
トレーコンベア移動距離センサ423は、トレー搬送装置305を駆動する電動モーター313の回転数等から、このトレー搬送装置305によって搬送されるトレーG1の位置を計測するものである。
剥離アーム回動位置計測用ポテンショメータ424は、電動モーター308の回転数等から、トレーG1を積載部から剥離して取り出す回動アーム307の回動角度を計測するものである。
【0118】
(出力側に接続されたドライバ等の説明)
また、上述のコントローラー400の入力側に接続された搬送駆動用モータードライバ434は、搬送駆動モーター112に電力を供給して、搬送部5の無端ベルト96を駆動制御するものである。
伸縮用モータードライバ436は、伸縮用電動モーター135に電力を供給して、搬送部5の搬送方向下手側の搬送作用部5Rの搬送終端部を前後方向に移動制御するものである。
【0119】
左側第1エアシリンダー用バルブソレノイド437は、左側の第1エアシリンダー225に給排するエアー量を制御するバルブを作動させて、左側の移動ユニット200Lの左右方向位置を変更するものである。
右側第1エアシリンダー用バルブソレノイド438は、右側の第1エアシリンダー225に給排するエアー量を制御するバルブを作動させて、右側の移動ユニット200Rの左右方向位置を変更するものである。
【0120】
左側第2エアシリンダー用バルブソレノイド439は、左側の第2エアシリンダー241に給排するエアー量を制御するバルブを作動させて、左側の移動ユニット200の受板202(受面201)を左右方向に摺動させるものである。
右側第2エアシリンダー用バルブソレノイド440は、右側の第2エアシリンダー241に給排するエアー量を制御するバルブを作動させて、右側の移動ユニット200Rの受板202(受面201)を左右方向に摺動させるものである。
【0121】
トレー搬送モータードライバ441は、電動モーター313に電力を供給して、トレー搬送装置305の無端チェーン316を駆動制御するものである。
トレー移動アーム用モータードライバ442は、電動モーター308に電力を供給して、トレーG1を剥離してトレー搬送装置305上に受け渡す回動アーム307を回動制御するものである。
【0122】
吸着バルブ用ソレノイド443は、吸着バルブを作動させて、積層状態の多数のトレーG1のうち、最下位置にあるトレーG1の底面に吸着させるものである。
【0123】
(無端ベルトの搬送終端部の伸縮作動)
まず、切断する塊状肉(塊状食品)MFの種類や状態等に応じて作動条件を設定し、各部の設定条件等を変更し、起動スイッチ401をON操作する。
これによって、各センサ類418~424の測定結果に基づき、コントローラー400から、各モータードライバ434,436,441,442とバルブソレノイド437~440,443へ制御出力がなされ、上述の切断部4と、供給部3と、搬送部5の駆動と、収容部6の作動が開始される。
これによって、集合体Mが、無端ベルト96上に間隔を置きながら断続的に形成され、2列搬送される。
【0124】
そして、この2列搬送される集合体Mが無端ベルト96の搬送終端部(往復移動コンベア95の搬送終端部)に至った状態で、コントローラー400から伸縮用モータードライバ436への出力によって、伸縮用電動モーター135が作動し、無端ベルト96の搬送終端部が搬送方向下手側へ伸長する。
これによって、無端ベルト96の搬送終端部は、物品移動装置200の左右一側の受面201の下方に待機するトレーG1,G1の後端部上方まで進出する。
【0125】
そして、コンベア移動距離計測用センサ417によって計測される無端ベルト96の搬送距離(コンベアの移動距離)が、設定距離に到達した時点(後端部の集合体Mが搬送終端部から離脱した時点)で、コントローラー400から伸縮用モータードライバ436への出力がなされる。
これによって、伸縮用電動モーター135が逆方向へ作動し、無端ベルト96の搬送終端部がトレーG1,G1の上方の位置から搬送方向上手側へ設定された速度で後退を開始する。
【0126】
後退を開始した無端ベルト96の搬送終端部から放出される集合体Mは、物品移動装置200の左右の受面201,201上に引き継がれ、トレーG1,G1に収容される。
また、無端ベルト96の搬送終端部が後退を完了すると、この後退が完了した位置において設定時間だけ待機し、この設定時間が経過した後に、無端ベルト96の搬送終端部は再び進出を開始する。
【0127】
(収容部の制御)
図28に示す制御フローチャートに基づき、物品移動装置200を備えた収容部6の作動制御について説明する。
なお、左右の受板(請求項の「支持部材」)202,202が、第1位置PS1,PS1に移動した状態、第2位置PS2,PS2に移動した状態、第3位置PS3,PS3に移動した状態は、左側第1エアシリンダー伸縮位置計測用ポテンショメータ419および右側第1エアシリンダー伸縮位置計測用ポテンショメータ420と、左側第2エアシリンダー伸縮位置計測用ポテンショメータ421および右側第2エアシリンダー伸縮位置計測用ポテンショメータ422による計測結果に基づいて判定される。
【0128】
しかして、まず、収容部6の作動における初期状態では、左右の第1エアシリンダー(請求項の「第1手段」)225,225が最伸長し、左右の第2エアシリンダー(請求項の「第2手段」)241,241は最短縮している。
これにより、左右の受板202,202のそれぞれが第1位置PS1,PS1に位置し、この左右の受板202,202の内側端部の間隔は、最小間隔(請求項の「第1間隔」)P1となっている。(STEP1)
【0129】
そして、上述のようにして、往復移動コンベア95の搬送終端部(無端ベルト96の搬送終端部)が、集合体M,Mを物品移動装置200の左右の受面201,201上に引き継がせながら搬送方向上手側へ設定速度で後退する。(STEP2)
【0130】
この後退中において、コンベア後端部進退位置計測用センサ418の計測結果に基づき、往復移動コンベア95の後端部が予め設定された中間位置まで後退したか否かの判定が行なわれる。(STEP3)
この判定の結果、往復移動コンベア95の後端部がこの中間位置まで後退したと判定されると、コントローラー400から左側第1エアシリンダー用バルブソレノイド437と右側第1エアシリンダー用バルブソレノイド438へ、短縮作動用の出力が開始される。
【0131】
これによって、左右の第1エアシリンダー225,225が短縮作動し、左右の受板202,202の第2位置PS2,PS2への移動、すなわち左右の受板202,202の内側端部の間隔を中間間隔(請求項の「第2間隔」)P2に拡大する作動が開始される。(STEP4)
【0132】
このようにして左右の受板202,202の内側端部の間隔が中間間隔P2に拡大されると、微小な設定時間Tmにわたりこの状態が維持され、左右の受板202,202はこの位置で待機する。(STEP5)
そして、この設定時間Tmが経過すると、コントローラー400から左側第2エアシリンダー用バルブソレノイド439と右側第2エアシリンダー用バルブソレノイド440へ、伸長作動用の出力が開始される。
【0133】
これによって、左右の第2エアシリンダー241,241が伸長作動し、左右の受板202,202の第3位置PS3,PS3への移動、すなわち左右の受板202,202の内側端部の間隔を最大間隔(請求項の「第3間隔」)P3に拡大する作動が開始される。(STEP6)
なお、上述の設定時間Tmを設けない構成(Tm=0)としてもよい。
【0134】
そして、左側第1エアシリンダー伸縮位置計測用ポテンショメータ419および右側第1エアシリンダー伸縮位置計測用ポテンショメータ420と、左側第2エアシリンダー伸縮位置計測用ポテンショメータ421および右側第2エアシリンダー伸縮位置計測用ポテンショメータ422による計測結果に基づいて、左右の受板202,202の内側端部の間隔が最大間隔P3に達したか否かの判定が行なわれる。(STEP7)
【0135】
この判定の結果、左右の受板202,202の内側端部の間隔が最大間隔P3に達していれば、微小な設定時間Tgにわたりこの状態が維持され、左右の受板202,202はこの位置で待機する。(STEP8)
なお、この設定時間Tgを設けない構成(Tg=0)としてもよい。
【0136】
また、このように左右の受板202,202の内側端部の間隔が中間間隔P2から最大間隔P3に拡大されることによって、左右の受板202,202の左右の受面201,201上に受け渡されていた集合体M(物品)が、トレーG1,G1内に落下して収容される。
そして、上述の設定時間Tgが経過すると、コントローラー400から、左側第2エアシリンダー用バルブソレノイド439と右側第2エアシリンダー用バルブソレノイド440への短縮作動用の出力が開始される。
また、これと共に、コントローラー400から、左側第1エアシリンダー用バルブソレノイド437と右側第1エアシリンダー用バルブソレノイド438へ伸長作動用の出力が開始される。
【0137】
これによって、左右の第2エアシリンダー421,241が短縮作動を開始すると共に、左右の第1エアシリンダー225,225が伸長作動を開始し、左右の受板202,202の内側端部の間隔を最小間隔P1まで縮小する作動(最小間隔P1に復帰させる作動)が開始される。(STEP9)
なお、この最小間隔P1までの縮小において、中間間隔P2での待機時間は設けない。
【0138】
また、これと共に、コントローラー400から伸縮用モータードライバ436への出力によって伸縮用電動モーター135が進出方向へ作動し、往復移動コンベア95の終端部(無端ベルト96の搬送終端部)が左右の受板202,202上(左右の受面201,201上)へ進出を開始する。(STEP10)
以後、STEP1からSTEP10の作動が自動的に繰り返される。
【0139】
(適用範囲)
なお、この実施例は、食肉切断用のスライサーに備えられ、物品としての切断後の肉片または肉片群をトレーに載置する物品移動装置に関するものとしたが、この発明は、これに限定されるものではなく、他の食品や工業製品など、全ての物品を載置する装置に適用できる。
【符号の説明】
【0140】
95 往復移動コンベア(搬送部材)
200 物品移動装置
202 受板(支持部材)
225 第1エアシリンダー(第1手段/横移動手段の一部)
241 第2エアシリンダー(第2手段/横移動手段の一部)
295 移載ベルト(移送部材)
RA 連動手段(第3手段/逆方向移動手段)
P1 最小間隔(第1間隔)
P2 中間間隔(第2間隔)
P3 最大間隔(第3間隔)



図1
図2
図3
図4
図5
図6
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