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  • 特許-スケルトンバケット 図1
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  • 特許-スケルトンバケット 図3
  • 特許-スケルトンバケット 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】スケルトンバケット
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/40 20060101AFI20240405BHJP
【FI】
E02F3/40 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021168556
(22)【出願日】2021-10-14
(65)【公開番号】P2023058823
(43)【公開日】2023-04-26
【審査請求日】2023-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】521419488
【氏名又は名称】大里興業有限会社
(73)【特許権者】
【識別番号】594105534
【氏名又は名称】有限会社藤木工業
(74)【代理人】
【識別番号】100069073
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 和保
(72)【発明者】
【氏名】中里 久雄
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-266255(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設用重機のアームの先端に動作自在及び着脱自在に装着されるバケット本体と、バケット本体の底部に着脱自在に設けられ、所定の大きさの開口部を有する網目状のふるい部材と、該ふるい部材を振動させる振動装置とによって少なくとも構成されるスケルトンバケットにおいて、
前記振動装置は、前記バケット本体の対向する一対の側面部に、制振部材を介して固定される両側面、該両側面を底面とする略円筒状の振動ケースと、該振動ケース内に固定された振動プレートと、この振動プレート上に固定された低周波振動モータと、前記円筒状の振動ケースからふるい部材に向けて延出する少なくとも1つの振動アームとによって構成され、
前記ふるい部材の略中央部分には、前記振動アームの先端と固定手段を介して連結される振動部材が、前記振動アームに対応して形成されることを特徴とするスケルトンバケット。
【請求項2】
前記ふるい部材は、一対の側部ロッドを有して、前記底部の周囲に対応するフレーム部と、該フレーム部内に所定の大きさの開口部を形成するための複数の縦桟及び複数の横桟によって形成されるふるい部と、前記前記振動アームに対応する位置に形成される振動部材とによって構成され、
前記フレーム部のそれぞれの側部ロッドは、前記バケット本体の側面部の前記底部に対応する箇所に形成される突条部と、該突条部に対峙して前記側面部の下部に着脱自在に固定される固定プレートとによって、振動可能に挟持固定されることを特徴とする請求項1記載のスケルトンバケット。
【請求項3】
前記振動ケースの側面部には、開口部が形成されることを特徴とする請求項1又は2記載のスケルトンバケット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に騒音の低減を図ったスケルトンバケットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2019-31084号公報)は、バケット本体の縦桟及び横桟により複数区画に分割し、該分割した各区画に多数の桝目を有する板状の枠対を交換可能に溶接固定したスケルトンバケットを開示する。この特許文献1に開示されるスケルトンバケットは、バケット本体の底部を、縦桟及び横桟により複数区画に分割し、分割した各区画に板状の枠体を交換可能に溶接固定したものであり、このため板状の枠体の取り外しは、縦桟、横桟、側板、先端エッジ、ベース板との溶接箇所をバーナーで溶断していくものである。
【0003】
特許文献2(特開平10-266255号公報)は、少なくとも底面にマス目状フレームを備えたスケルトンバケットの内部に、油圧モータにより偏心駆動される駆動用主軸をバケット本体の側面フレーム館に装架し、上記駆動用主軸よりバケット本体の開口端側へと延在する支持フレームを、間隔をあけて設け、この支持フレーム上にふるい網を着脱自在に取り付け、上記駆動用主軸を油圧モータにより上下及び水平方向へ振動させ、駆動用主軸に上記支持フレーム及びふるい網を連動させてバケット本体に収容した土砂や破砕物を、ふるい網を通してふるい分ける構成としたスケルトンバケットを開示する。
【0004】
特許文献3(特開2000-279890号公報)は、除礫作業などは、バックホーの動作によって行われたり、自動式の装置を用いて行われているが、機械の摩耗及び故障、運転手の疲労が激しいなどの問題点を解決するために、起振動装置部によりふるい落し装置本体に振動を与えるように構成された土砂ふるい落し装置を開示する。
【0005】
従来、建造物の解体時に発生する石材、コンクリート材などの瓦礫は、先ずクラッシャーで砕いた後、スケルトンバケットを使って破砕物をすくい取り、このスケルトンバケットを取り付けた油圧ショベルのアームを作動させることにより、スケルトンバケットのフレームで仕切られた穴より所用の大きさの破砕物を落下させて、破砕物の大きさに応じたふるい分けが行われてきた。また、破砕物だけではなく、玉石、砂利採取、土砂などのふるい分け作業もスケルトンバケットを用いて行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2019-31084号公報
【文献】特開平10-266255号公報
【文献】特開2000-279890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のスケルトンバケットによる篩い分け作業は、油圧シャベルのアームを作動させて行うものであるが、スケルトンバケットの底部に設けられるふるい部材が、摩耗により、取り替える必要が生じた場合、例えば特許文献1では、枠体を交換可能に溶接固定するが、枠体の溶接固定作業及び交換時の枠体の溶断作業に工数がかかりすぎるという不具合が生じる。
【0008】
また、特許文献2に開示されるふるい装置付きスケルトンバケットでは、ふるい網自体を上下及び前後に振動させるようにしたものであるが、油圧モータの回転軸に偏心して固定された駆動用主軸によって生じるふるい網の上下及び前後の移動は、ふるい網上に瓦礫等を取り込んだ場合、その重量により移動速度が遅いという問題点を有する。また、特許文献2は、ふるい網とバケット本体とを非接触とすることによって騒音を防止することを試みているが、ふるい作業の騒音の原因は、ふるい網と瓦礫との接触、瓦礫同士の接触に由来するものであるため、ふるい作業の騒音を防止するという課題は達成できない。
【0009】
特許文献3では、起振動装置部(低周波、高周波)起振動装置(エクセン社製インバーターH115B)をふるい落し装置本体、具体的には後方の横架材の上面における中央位置に配置したものであり、ふるい落し装置本体全体を振動させるようにしたものであるが、ふるい落し装置全体を振動させるためには、大きな出力の振動装置を使用する必要が生じるため、装置自体が大変高価になる。
【0010】
このため、本発明は、安価であり、ふるい部材を簡単に着脱できると共に、ふるい部材に効果的に振動させることができるスケルトンバケットを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本発明は、建設用重機のアームの先端に動作自在及び着脱自在に装着されるバケット本体と、バケット本体の底部に着脱自在に設けられ、所定の大きさの開口部を有する網目状のふるい部材と、該ふるい部材を振動させる振動装置とによって少なくとも構成されるスケルトンバケットにおいて、前記振動装置は、前記バケット本体の対向する一対の側面部に、制振部材を介して固定される両側面、該両側面を底面とする略円筒状の振動ケースと、該振動ケース内に固定された振動プレートと、この振動プレート上に固定された低周波振動モータと、前記円筒状の振動ケースからふるい部材に向けて延出する少なくとも1つの振動アームとによって構成され、前記ふるい部材の略中央部分には、前記振動アームの先端と固定手段を介して連結される振動部材が、前記振動アームに対応して形成されるものである。
【0012】
これによって、低周波振動モータのよって生じる振動は、振動プレートを介して振動ケースに伝動し、さらに振動アームを介して振動アーム先端に、例えばボルトによって固定された振動部材が振動することから、ふるい部材を振動させることができるものである。また、振動ケースとバケット本体の間は、制震装置を介して連結されていることから、振動ケースの振動はバケット本体には伝わらないため、バケット本体の振動を抑制できるため、騒音を低減することができるものである。さらに、電動の低周波振動モータを使用することによって、油圧配管を使用する場合によりも配線の引き回しが容易であるとともに、運転席での操作も簡略化できるものである。
【0013】
さらに、前記ふるい部材は、一対の側部ロッドを有して、前記底部の周囲に対応するフレーム部と、該フレーム部内に所定の大きさの開口部を形成するための複数の縦桟及び複数の横桟によって形成されるふるい部と、前記前記振動アームに対応する位置に形成される振動部材とによって構成され、前記フレーム部のそれぞれの側部ロッドは、前記バケット本体の側面部の前記底部に対応する箇所に形成される突条部と、該突条部に対峙して前記側面部の下部に着脱自在に固定される固定プレートとによって、振動可能に挟持固定されることが望ましい。
【0014】
これによって、ふるい部材は、バケット本体の突条部と、バケット本体にボルト止めされた固定プレートによって、バケット本体に振動可能に取り付けれることから、ふるい部材とバケット本体とが、強固に連結されていないため、ふるい部材の振動がバケット本体に伝わることを抑制でき、さらにふるい部材を振動しやすくすることができるものである。
【0015】
さらにまた、前記振動ケースの側面部には、開口部が形成されることが望ましい。
【0016】
これによって、低周波振動モータの着脱が容易となると共に、低周波振動モータの振動による騒音を開口部から逃がすことができるため、振動による騒音を抑制できるものである。
【発明の効果】
【0017】
以上の構成により、低周波振動装置が配置される振動ケースと、バケット本体との間を制震部材で連結するとともに、ふるい部材をバケット本体と振動可能に固定したことから、ふるい部材の振動がバケット本体に伝わることを抑制できるため、ふるい部材によるふるい作業の振動による騒音を抑制できるものである。
【0018】
また、低周波振動モータによる低周波振動により、瓦礫等が大きく衝突することを避けられるので、ふるい作業によって生じる騒音を大きく抑制できるものである。
【0019】
さらに、ふるい部材と振動装置との間、ふるい装置とバケット本体との間を固定手段、例えばボルトによって固定するようにしたため、ふるい部材の着脱、いわゆるふるい部材の交換を容易に行うことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の実施例にかかるスケルトンバケットの概略構成図である。
図2図2(a)は本発明の実施例にかかるふるい装置部の概略構成図であり、図2(b)はふるい部の側面図であり、図2(c)はふるい部の平面図である。
図3図3は、ふるい部の装着状態を示した説明図である。
図4図4は,ふるい装置部の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施例について図面により説明する。
【実施例
【0022】
本発明に実施例に係るスケルトンバケット1は、建設用重機、例えば油圧ショベルのアームの先端に着脱自在に装着され、主に破砕された建築物の瓦礫のふるい分けに使用されるもので、例えば図1に示されるように、図示しない建設用重機のアームの先端に取り付けるための取り付け部2と、バケット本体3とによって構成される。
【0023】
前記バケット本体3は、一対の側面部4,5と、上面部6と、底面部9に設けられるふるい部材7と、このふるい部材7を振動させる振動装置8によって構成される。底面部9の先端には、瓦礫等を掻き込むための複数の爪部10が設けられる。
【0024】
前記振動装置8は、図1図2(a)、図4に示すように、略円形の両側面15を底面とする略円筒状の振動ケース16と、この円筒状の振動ケース14からふるい部材7に向けて延出する少なくとも1つの振動アーム17とを有し、前記ふるい部材7の略中央部分には、前記振動アーム17の先端と固定手段、例えばボルト18を介して連結される振動部材19が、前記振動アーム17に対応して形成されるものである。
【0025】
前記側面部4,5のそれぞれには、固定台11が設けられる。この固定台11は、前記側面部4,5に溶接等によって固定される固定脚部12と、この固定脚部12に溶接等によって固定プレート13が固定される。前記振動装置8の振動ケース16の両側面15は、制振部材14を介して前記固定プレート13に固定される。これによって、振動装置8の振動は、制振部材14で吸収されているので、バケット本体3に振動が伝わらないようにできるために、騒音を低減できる。
【0026】
前記振動装置8は、略円筒状の振動ケース16内に固定された振動プレート20と、この振動プレート20上に固定された低周波振動モータ21と、前記円筒状の振動ケース16からふるい部材7に向けて延出する少なくとも1つの振動アーム17を有し、前記ふるい部材7の略中央部分には、前記振動アーム17の先端と固定手段、例えばボルト18を介して連結される振動部材19が、前記振動アーム17に対応して形成される。尚、電動の低周波振動モータ21を使用することによって、配線の引き回しが容易となると共に、ふるい部材7の振動作業を容易に行うことができるものである。
【0027】
これによって、低周波振動モータ21が通電されることによって振動し、この振動は振動プレート20を介して振動ケース16に伝達され、さらに振動アーム17及び振動部材19を介して振動がふるい部材7に伝達され、ふるい作業が実行されるものである。尚、振動ケース16の後方には、開口部60が形成され、低周波振動モータ21の着脱を容易にできると共に、振動ケース16内の騒音を後方に逃がすことが可能となるため、騒音を抑制できるものである。
【0028】
前記ふるい部材7は、図1図2(a),(b),(c)に示すように、一対の側部ロッド22,23を有して、前記底部9の周囲に対応するフレーム部30と、このフレーム部30内に所定の大きさの開口部31を形成するための複数の縦桟32及び複数の横桟33によって形成されるふるい部34と、前記前記振動アーム17に対応する位置に形成される振動部材19とによって構成される。
【0029】
また、前記フレーム部30のそれぞれの側部ロッド22,23は、図3に示されるように、前記バケット本体3の側面部4,5の前記底部9に対応する箇所に形成される突条部40と、この突条部40に対峙して前記側面部4,5の下部にボルト51等によって着脱自在に固定される固定プレート50とによって、振動可能に挟持固定される。これによって前記ふるい部材7は、前後方向への振動に対して自由となるように固定されるので、ふるい部材7のふるい作業を確実に実行できるものである。
【符号の説明】
【0030】
1 スケルトンバケット
2 取り付け部
3 バケット本体
4,5 側面部
6 上面部
7 ふるい部材
8 振動装置
9 底面部
10 爪部
11 固定台
14 制振部材
15 両側面
16 振動ケース
17 振動アーム
19 振動部材
20 振動プレート
21 低周波振動モータ
30 フレーム部
40 突条部
50 固定プレート

図1
図2
図3
図4