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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】インジケータ及び濃度測定システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 31/22 20060101AFI20240405BHJP
【FI】
G01N31/22 121A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023061990
(22)【出願日】2023-04-06
【審査請求日】2023-04-06
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和4年4月12日、東京国立博物館(東京都台東区上野公園13-9)における打ち合わせにて開示した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和4年6月18日、文化財保存修復学会 第44回大会にて公開した。
(73)【特許権者】
【識別番号】391028122
【氏名又は名称】株式会社ガステック
(73)【特許権者】
【識別番号】000225304
【氏名又は名称】株式会社内外テクノス
(73)【特許権者】
【識別番号】501173461
【氏名又は名称】太平洋マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉野 友美
(72)【発明者】
【氏名】我妻 信行
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸口 健
(72)【発明者】
【氏名】田中 健一
(72)【発明者】
【氏名】中村 亜衣
(72)【発明者】
【氏名】高木 幸二郎
【審査官】倉持 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-345280(JP,A)
【文献】特開2018-141711(JP,A)
【文献】特開平07-055810(JP,A)
【文献】特表2011-524526(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0092969(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 31/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の気体を内部に取り入れる取入口を下底面に有する筒状の容器と、
前記容器に収容され、前記取入口から内部に取り入れられた気体を透過する除去部材と、
前記除去部材に含浸され、第一の気体を吸着する除去剤と、
前記容器に収容され、前記除去部材を透過した気体が通り抜ける通気部を有するスペーサと、
前記容器に収容され、前記スペーサに密接して配置され、前記容器の上底面を通して視認され、前記通気部を通り抜けた気体に晒される検知部材と、
前記検知部材に含浸され、前記第一の気体とは異なる第二の気体と反応して変色する検知剤と
前記容器の上底面の上に重ねて使用されるカバーと
を備え
前記カバーは、
前記通気部の上方に位置し、前記検知部材のうち、前記通気部の上にある部分を視認するための変色視認部と、
前記通気部以外の部分の上方に位置し、前記検知部材のうち、前記通気部以外の部分の上にある部分を視認するための未変色視認部と
を有する、インジケータ。
【請求項2】
前記検知部材は、略円板状であり、
前記通気部は、前記検知部材の中心軸を中心とする略円形である、
請求項1のインジケータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料ガス中に含まれる特定のガスの濃度を測定するインジケータ及び濃度測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、試料ガス中に含まれる特定のガスの濃度を長い時間をかけて測定し判定するインジケータを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-345280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のインジケータは、変色したか否かの判定が難しく、専門家に判定を仰ぐ必要がある。
この発明は、例えばこのような課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
インジケータは、外部の気体を内部に取り入れる取入口を下底面に有する筒状の容器と、前記容器に収容され、前記取入口から内部に取り入れられた気体を透過する除去部材と、前記除去部材に含浸され、第一の気体を吸着する除去剤と、前記容器に収容され、前記除去部材を透過した気体が通り抜ける通気部を有するスペーサと、前記容器に収容され、前記スペーサに密接して配置され、前記容器の上底面を通して視認され、前記通気部を通り抜けた気体に晒される検知部材と、前記検知部材に含浸され、前記第一の気体とは異なる第二の気体と反応して変色する検知剤とを有する。
前記検知部材は、略円板状であってもよい。前記通気部は、前記検知部材の中心軸を中心とする略円形であってもよい。
前記インジケータは、前記容器の上底面の上に重ねて使用されるカバーを更に有してもよい。前記カバーは、前記通気部の上方に位置し、前記検知部材のうち、前記通気部の上にある部分を視認するための変色視認部と、前記通気部以外の部分の上方に位置し、前記検知部材のうち、前記通気部以外の部分の上にある部分を視認するための未変色視認部とを有してもよい。
【発明の効果】
【0006】
前記インジケータは、検知部材のうちスペーサの通気部に対応する部分だけが変色するので、変色部分と未変色部分とが隣接して存在し、専門家でなくとも、検知部材の変色を容易に視認することができる。
また、気体濃度が高い場合は、検知部材のうちスペーサの通気部に対応する部分よりも外まで変色部分が広がるので、変色部分の大きさにより、気体濃度を容易に判定することができる。
カバーを使用すれば、検知部材のうちスペーサの通気部に対応する部分よりも外まで変色部分が広がったか否かを容易に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】インジケータの一例を示す平面図。
図2】インジケータの一例を示す側面視断面図。
図3】インジケータの一例を示す底面図。
図4】スペーサの一例を示す平面図。
図5】インジケータの変色の一例を示す平面図。
図6】カバーの一例を示す底面図。
図7】カバーの一例を示す側面視断面図。
図8】カバーを取り付けたインジケータの一例を示す平面図。
図9】カバーを取り付けたインジケータの一例を示す平面図。
図10】気体濃度測定システムの一例を示すブロック図。
図11】濃度測定処理の一例を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1~3を参照して、インジケータ10について説明する。
インジケータ10は、例えば美術館や博物館など空気中の化学物質を管理する必要がある場所で使用され、特定の化学物質に反応して変色する。
インジケータ10は、例えば、容器12と、除去部材13と、スペーサ14と、検知部材15とを有する。
【0009】
容器12は、例えば扁平な略円筒状であり、気体を透過しない透明な材料で形成されている。容器12には、下底面側に外部の気体を内部に取り入れるための取入口21が設けられている。使用開始前において、取入口21は、例えばシール(不図示)などにより密閉されている。
【0010】
除去部材13は、例えば略円形の濾紙であり、容器12のなかに収容されている。除去部材13は、取入口21を介して容器12のなかに取り入れられた気体を透過する。
除去部材13には、除去剤が含浸されている。除去剤は、空気中に含まれる化学物質のうち、インジケータ10が検出すべき化学物質とは異なる化学物質であって、インジケータ10の変色に悪影響を及ぼすもの(第一の気体の一例)と反応する。これにより、除去部材13は、取入口21から容器12のなかに取り入れられ除去部材13を透過する気体から、そのような化学物質を吸着して除去する。
例えば、インジケータ10がアンモニアを検出するものである場合、除去剤は、例えば、指示薬(例えば、チモールブルー、クレゾールレッド、メタクレゾールパープル、プロモフェノールブルー、ブロモチモールブルー、フェノールレッド、p-キシレノールブルーなどのpH指示薬など)、塩基性物質(例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸カリウムなど)、グリセリン、メタノールなどを含み、酢酸、アセトン、酢酸エチル、トルエン、ホルムアルデヒドなどと反応する。
あるいは、インジケータ10が有機酸を検出するものである場合、除去剤は、例えば、指示薬(例えば、チモールブルー、クレゾールレッド、メタクレゾールパープル、プロモフェノールブルー、ブロモチモールブルー、フェノールレッド、p-キシレノールブルーなどのpH指示薬など)、酸性物質(例えば、硫酸、硫酸塩、リン酸、リン酸塩、酢酸、酢酸塩など)、グリセリン、メタノールなどを含み、アンモニア、アセトン、酢酸エチル、トルエン、ホルムアルデヒドなどと反応する。
【0011】
スペーサ14は、例えば略円形の板であり、容器12のなかに収容されている。スペーサ14は、除去部材13の上に例えば密着して配置されている。
スペーサ14は、通気部41を有する。通気部41は、例えば、図4に示すとおり、略円形の開口であり、スペーサ14の略中央に設けられている。除去部材13を透過した気体は、通気部41を通り抜けるが、それ以外の部分は気体を通さない。
【0012】
検知部材15は、例えば略円形の濾紙であり、容器12のなかに収容されている。検知部材15は、スペーサ14の上に例えば密着して配置されている。
検知部材15には、検知剤が含浸されている。検知剤は、空気中に含まれる化学物質のうち、インジケータ10が検出すべき化学物質(第二の気体の一例)と反応して変色する。
例えば、アンモニアを検知するための検知剤は、例えば、指示薬(例えば、チモールブルー、クレゾールレッド、メタクレゾールパープル、プロモフェノールブルー、ブロモチモールブルー、フェノールレッド、p-キシレノールブルーなどのpH指示薬など)、酸性物質(例えば、硫酸、硫酸塩、リン酸、リン酸塩、酢酸、酢酸塩など)、グリセリン、メタノールなどを含む。
また、有機酸を検知するための検知剤は、例えば、指示薬(例えば、チモールブルー、クレゾールレッド、メタクレゾールパープル、プロモフェノールブルー、ブロモチモールブルー、フェノールレッド、p-キシレノールブルーなどのpH指示薬など)、塩基性物質(例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸カリウムなど)、グリセリン、メタノールなどを含む。
スペーサ14が存在することにより、除去部材13と検知部材15とは直接接触しないので、除去剤と検知剤とが混合するのを防ぐことができる。
【0013】
図示したとおり、検知部材15は、透明な容器12の上底面のすぐ下に配置されているので、容器12の上底面を通して検知部材15を観察することにより、検知剤の変色を視認することができる。
【0014】
使用時において、化学物質を検出したい場所にインジケータ10を持ち込み、取入口21を密閉しているシールなどを剥がして、インジケータ10のなかに外部の空気が流入できるようにしたのち、インジケータ10を設置する。
所定の期間(例えば4日間)が経過したのち、容器12の上底面を通して検知剤の変色を視認する。
【0015】
図5に示すように、検知部材15のうち、スペーサ14の通気部41の直上にある部分(変色領域51)は、通気部41を通り抜けた気体に直接晒されるので、検知部材15に含浸された検知剤が化学物質と反応して変色する。これに対し、それ以外の部分(未変色領域52)は、通気部41を通り抜けた気体に直接触れないので、検知部材15に含浸された検知剤は化学物質と反応せず、変色しない。
このように、通気部41の縁に対応する部分を境界として、変色領域51と未変色領域52とが隣接して存在することになるので、気体中の化学物質の濃度が低く、変色領域51の変色度合いが小さい場合でも、変色領域51の変色を視認しやすい。
【0016】
次に、図6及び7を参照して、カバー60について説明する。
カバー60は、インジケータ10に取り付けて使用される。
カバー60は、例えば略円筒状であり、下側が開口している。カバー60は、不透明な材料で形成され、インジケータ10を覆う。カバー60は、下側に鍔部64を有する。鍔部64には、固定穴65が設けられている。固定穴65には、インジケータ10を壁などに固定するための固定部材(不図示)が挿通される。
カバー60の上底面63は、インジケータ10の容器12の上底面に重ねられる。
【0017】
カバー60の上底面63には、変色視認部61と、未変色視認部62とが設けられている。
変色視認部61及び未変色視認部62は、例えば開口であり、そこを通して検知部材15を視認できる。
変色視認部61は、例えば略円形であり、スペーサ14の通気部41に対応する部分に設けられている。
未変色視認部62は、例えば略円形であり、変色視認部61と連通している。未変色視認部62は、スペーサ14の通気部41に対応しない部分に設けられている。
【0018】
図8に示すように、インジケータ10にカバー60を取り付けた状態で、検知部材15が変色すると、変色視認部61を通して変色領域51が視認され、未変色視認部62を通して未変色領域52が視認される。したがって、変色視認部61及び未変色視認部62を通して検知部材15の変色を視認することにより、変色領域51の変色を視認しやすい。
【0019】
なお、気体中の化学物質の濃度が高い場合など、スペーサ14の通気部41に対応する変色領域51に含まれる検知剤がすべて化学物質に反応すると、化学物質が検知部材15のなかを通ってスペーサ14の通気部41に対応しない部分まで到達し、変色領域51が広がる。
その結果、図9に示すように、変色領域51が変色視認部61からはみ出して未変色視認部62に達する。
したがって、変色領域51が変色視認部61からはみ出して未変色視認部62に達した場合に、化学物質の濃度が所定の許容濃度を超えたと判断することができる。
【0020】
このように、インジケータ10は、変色領域51の変色度合いや変色領域51の大きさによって、気体中の化学物質を容易に検出することができる。
【0021】
除去部材13や検知部材15は、例えば、以下のようにして作製する。
最初に、例えば上述した材料を配合して、多量(例えば100個分)の除去剤/検知剤を製造する。
次に、製造した除去剤/検知剤をスポイトなどで除去部材13/検知部材15に所定量含浸させる。
これにより、除去部材13/検知部材15に含浸される除去剤/検知剤の量をほぼ一定にすることができ、インジケータ10の外観を均一にすることができる。例えば、検知部材15の色のH色空間における色相Hのばらつきを例えば2%に抑えることができる。
【0022】
次に、図10を参照して、気体濃度測定システム70について説明する。
気体濃度測定システム70は、気体中の化学物質の濃度を測定する。気体濃度測定システム70は、例えば、スマートフォンなどの携帯端末装置と、サーバ装置とによって構成される。
気体濃度測定システム70は、例えば、撮影部71と、解析部72と、算出部73と、表示部74とを有する。
【0023】
撮影部71は、例えば携帯端末装置のカメラなどを用いて、インジケータ10の検知部材15を撮影する。撮影部71が撮影した画像は、解析部72に対して送信される。
【0024】
解析部72は、例えばサーバ装置を用いて、撮影部71が撮影した画像を受信し、受信した画像を解析する。解析部72は、画像を解析することにより、変色領域51の色と、未変色領域52の色とを取得する。
例えば、解析部72は、画像を解析することにより、容器12の上底面の輪郭を抽出し、抽出した輪郭に基づいて、画像のなかの検知部材15の中心の位置を算出し、その位置のピクセルのRGB値を取得することにより、変色領域51の色を取得する。あるいは、その周辺のピクセルを含む複数のピクセルのRGB値を取得し、その平均値を算出してもよい。
また、解析部72は、抽出した輪郭の直径(ピクセル数)と、容器12の上底面の実際の直径とから、画像の縮尺(画像内の1ピクセルが対応する実際の距離)を算出する。解析部72は、算出した縮尺に基づいて、画像のなかの中心の位置から所定の距離離れた位置を算出する。この距離は、スペーサ14の通気部41の半径より大きく、検知部材15の半径より小さい。そして、その位置のピクセルのRGB値を取得することにより、未変色領域52の色を取得する。あるいは、その周辺のピクセルを含む複数のピクセルのRGB値を取得し、その平均値を算出してもよい。
【0025】
なお、画像のなかにおける容器12の上底面の輪郭は、インジケータ10を真上から撮影した場合は真円になるが、斜めから撮影した場合は楕円になる。その場合、画像内の向きによって縮尺が異なることになるので、例えば、楕円の長径に基づいて画像の縮尺を算出し、中心から長径方向に離れた位置のピクセルのRGB値を取得する。
【0026】
算出部73は、解析部72が取得した変色領域51の色と、未変色領域52の色との間の差を算出する。例えば、解析部72が取得した変色領域51及び未変色領域52それぞれのピクセルのRGB値に基づいて、R値の差、G値の差、B値の差をそれぞれ算出し、算出した差の二乗和平方根を算出することにより、二つの色の差を算出する。なお、RGB値の差ではなく、RGB値をL値など、他の表色系の値に変換し、その差を算出してもよい。
算出部73は、算出した二つの色の差に基づいて、空気中に含まれる化学物質の濃度を算出する。
【0027】
検知部材15の変色度合いは、空気中に含まれる化学物質の濃度と、その空気に検知部材15が晒された時間との積に比例する。
したがって、シールを剥がしてインジケータ10を設置した時刻から撮影部71が撮影をした時刻までの経過時間がわかれば、空気中に含まれる化学物質の濃度を求めることができる。
あるいは、時間をおいて撮影部71が複数回撮影をして、それぞれの画像における検知部材15の変色度合いを比較すれば、インジケータ10を設置した正確な時刻がわからなくても、空気中に含まれる化学物質の濃度を求めることができる。
【0028】
なお、変色領域51の色を正確に取得するためには、規定の色温度・照度の照明を規定の角度から当てて、規定の角度からインジケータ10を撮影する必要がある。
しかし、照明の色温度・照度・照射角度や撮影角度の違いなどに起因する画像における色の誤差は、画像内のどの位置でもほぼ同じであると考えられるので、変色領域51の色と未変色領域52の色との差に基づいて化学物質の濃度を求めれば、変色領域51の色を正確に取得しなくても、空気中に含まれる化学物質の濃度を正しく算出できる。
【0029】
表示部74は、例えば携帯端末装置の液晶表示装置などを用いて、算出部73が算出した化学物質の濃度を表示する。
【0030】
図11を参照して、濃度測定処理80について説明する。
濃度測定処理80では、気体濃度測定システム70が気体中の化学物質の濃度を測定する。
濃度測定処理80は、例えば、撮影工程81と、解析工程82と、算出工程83と、表示工程84とを有する。
【0031】
最初に、撮影工程81から処理を開始する。
撮影工程81において、撮影部71がインジケータ10の検知部材15を撮影する。その後、解析工程82へ処理を進める。
解析工程82において、撮影工程81で撮影部71が撮影した画像を、解析部72が解析して、変色領域51及び未変色領域52の色を取得する。その後、算出工程83へ処理を進める。
【0032】
算出工程83において、解析工程82で解析部72が取得した二つの色の差に基づいて、空気中に含まれる化学物質の濃度を算出部73が算出する。その後、表示工程84へ処理を進める。
例えば、算出部73は、携帯端末装置のタッチパネルなどを用いて、インジケータ10を設置した日時を入力する。算出部73は、撮影工程81で撮影部71が撮影した画像の付属情報から、画像の撮影日時を取得する。算出部73は、入力した設置日時と取得した撮影日時とに基づいて、設置から撮影までの経過時間を算出する。算出部73は、解析工程82で解析部72が取得した二つの色の差に基づいて、空気中に含まれる化学物質の濃度と暴露時間との積を算出し、算出した積を、算出した経過時間で割った商を算出することにより、化学物質の濃度を算出する。
【0033】
撮影部71が撮影した画像が複数ある場合は、以下のようにして化学物質の濃度を算出してもよい。
例えば、算出部73は、二つの画像について、空気中に含まれる化学物質の濃度と暴露時間との積をそれぞれ算出する。また、算出部73は、その二つの画像について、撮影日時をそれぞれ取得する。そして、算出部73は、算出した積の差を、取得した撮影日時の差で割った商を算出することにより、化学物質の濃度を算出する。
これにより、インジケータ10を設置した日時を入力せずに、化学物質の濃度を算出することができる。
【0034】
表示工程84において、算出工程83で算出部73が算出した化学物質の濃度を表示部74が表示する。その後、濃度測定処理80を終了する。
【0035】
このように、インジケータ10を撮影した画像を解析して化学物質の濃度を算出するので、化学物質の濃度を正確に算出することができる。
変色部分と未変色部分とを同時に撮影してその差に基づいて化学物質の濃度を算出するので、照明や撮影角度など撮影条件の影響を排除することができる。
【0036】
以上説明した気体濃度測定システムは、前記インジケータの前記容器の前記上底面を通して前記検知部材を撮影する撮影部と、前記撮影部が撮影した画像を解析して、前記検知部材のうち、前記通気部の上にある部分の色と、前記通気部以外の部分の上にある部分の色とを取得する解析部と、前記解析部が取得した二つの色の差に基づいて、前記外部の気体に含まれる前記第二の気体の濃度を算出する算出部とを有する。
前記解析部は、前記撮影部が撮影した画像を解析して、前記検知部材の中心部分を判定して前記通気部の上にある部分とし、前記検知部材の中心から所定の距離離れた部分を判定して前記通気部以外の部分の上にある部分としてもよい。
前記解析部は、異なる時刻に前記撮影部が撮影した複数の画像を解析してもよい。前記算出部は、前記解析部が解析した複数の画像を前記撮影部が撮影した時刻の差と、前記解析部が解析した複数の画像における前記二つの色の差の変化とに基づいて、前記外部の気体に含まれる前記第二の気体の濃度を算出してもよい。
【0037】
インジケータを撮影した画像を解析して気体の濃度を算出すれば、気体の濃度を正確に算出することができる。変色部分と未変色部分とを同時に撮影し、その色の差に基づいて濃度を算出するので、照明や撮影角度などの撮影条件の影響を排除することができ、気体の濃度を容易に算出することができる。
異なる時刻に撮影した画像を解析し、撮影時刻の差と、色差の変化とに基づいて濃度を算出すれば、インジケータの設置時刻が正確にわからなくても、濃度を正確に算出することができる。
【0038】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例である。本発明は、これに限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって定義される範囲から逸脱することなく様々に修正し、変更し、追加し、又は除去したものを含む。これは、以上の説明から当業者に容易に理解することができる。
【符号の説明】
【0039】
10 インジケータ、12 容器、21 取入口、13 除去部材、14 スペーサ、41 通気部、15 検知部材、51 変色領域、52 未変色領域、60 カバー、61 変色視認部、62 未変色視認部、63 上底面、64 鍔部、65 固定穴、70 気体濃度測定システム、71 撮影部、72 解析部、73 算出部、74 表示部、80 濃度測定処理、81 撮影工程、82 解析工程、83 算出工程、84 表示工程。
【要約】
【課題】気体の濃度を容易に判定する。
【解決手段】筒状の容器12は、外部の気体を内部に取り入れる取入口21を下底面に有する。除去部材13は、容器12に収容され、取入口21から内部に取り入れられた気体を透過する。除去剤は、除去部材13に含浸され、第一の気体を吸着する。スペーサ14は、容器12に収容され、除去部材13を透過した気体が通り抜ける通気部41を有する。検知部材15は、容器12に収容され、スペーサ14に密接して配置され、容器12の上底面を通して視認され、通気部41を通り抜けた気体に晒される。検知剤は、検知部材15に含浸され、前記第一の気体とは異なる第二の気体と反応して変色する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11