(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】ベルベリン含有飲料
(51)【国際特許分類】
A23L 2/52 20060101AFI20240405BHJP
C12G 3/04 20190101ALI20240405BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20240405BHJP
A23L 2/68 20060101ALI20240405BHJP
A23L 2/60 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
A23L2/52
C12G3/04
A23L2/00 T
A23L2/68
A23L2/60
(21)【出願番号】P 2019177840
(22)【出願日】2019-09-27
【審査請求日】2022-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】518191588
【氏名又は名称】日和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077573
【氏名又は名称】細井 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100123009
【氏名又は名称】栗田 由貴子
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 佳那
【審査官】高山 敏充
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-501779(JP,A)
【文献】特開昭58-101659(JP,A)
【文献】特開2004-339113(JP,A)
【文献】特開2018-020970(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108576519(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104304553(CN,A)
【文献】オウバク(医薬品各条(生薬等)),第十七改正日本薬局方(平成28年3月7日 厚生労働省告示第64号)
【文献】道産生薬の規格設定に関する研究(第10報)黄柏中のベルベリン型アルカロイドの定量,道衛研所報第26集,1976年,pp.26-31
【文献】ポン酢を飲む ゆずポン酢のソーダ割り,クックパッド[オンライン],2013年10月18日,検索日:2023年8月17日,https://cookpad.com/recipe/2378350
【文献】男子ごはんで変わり種サワーを紹介!塩昆布トマト、わさび、ポン酢!,時短生活のススメ[オンライン],2018年09月16日,検索日:2023年8月16日,https://www.researchuseonly.com/archives/4489
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
C12G
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
日経テレコン
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルベリンを1ppm以上200ppm以下の範囲で含有するとともに、
ショ糖換算による甘味度が0.5w/v%以上15w/v%以下であり、かつ
アルコール度数が0%以上45%以下であって、
下記式(1)で表される風味指数Xが0.5以上250以下であ
り、
飲料に含まれる酸の量をクエン酸換算して得られた総酸値である酸味度が0.1w/v%以上2.11w/v%以下であり、
嗜好品飲料(但し、ニキビ性色素沈着抑制用組成物を除く)であることを特徴とするベルベリン含有飲料、
[数1]
風味指数X=ベルベリン濃度(ppm)×アルコール度数(%)/甘味度(ショ糖換算濃度w/v%)・・・(1)
(ただし、アルコール度数が0%以上1.0%以下の場合には、上記式(1)におけるアルコール度数は1とする)。
【請求項2】
炭酸ガスを含む請求項1に記載のベルベリン含有飲料。
【請求項3】
酸味成分を含み、
下記式(2)で表される爽快指数Yが0.4以上350以下である請求項1または2に記載のベルベリン含有飲料、
[数2]
爽快指数Y=酸味度(クエン酸換算による総酸値)×ベルベリン濃度(ppm)・・・(2)
【請求項4】
波長415nmの吸光度が、0.5以上2.5以下である請求項1から3のいずれか一項に記載のベルベリン含有飲料。
【請求項5】
容器に充填された容器詰め飲料である請求項1から4のいずれか一項に記載のベルベリン含有飲料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルベリンを含有する飲料、特にはベルベリンを含有する嗜好品飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
ビールに代表される苦味を特徴とした飲料において、苦味成分としてホップが良く知られる。またホップを用いて、ビールテイストのノンアルコール飲料が開発されている(例えば下記特許文献1)。
【0003】
また、飲料におけるホップ以外の苦味成分として、クワッシャー、キニーネ、キナ抽出物、コウチャポリフェノール、ナリンジン、ダンデライオン、センブリ、ガラナ、ユズポリフェノールまたはクロロゲン酸が知られる(たとえば下記特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6567134号
【文献】特開2017-112911号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の苦味を特徴とした飲料(特には嗜好品飲料)は、苦味が強く、これを苦手とする人も少なくなかった。
【0006】
またビールまたはビールテイスト飲料などの飲料は、苦味成分とともに炭酸が含有されており、苦味と炭酸の調和による喉ごしが多くの人に好まれる。しかし、これらの炭酸飲料は、容器が開放され、あるいはグラスに注がれると、時間の経過とともに炭酸が抜けてしまい、喉ごしが顕著に低下して苦味が目立ち、香味バランスが崩れ、美味しさが損なわれてしまうという問題があった。
【0007】
同様に苦味を想起させるとともに炭酸を含有するトニックウォーターは、香料によって苦味を想起させるものが多く、カクテルなどに用いられた場合、水っぽく感じさせる場合があり、また、炭酸が抜けると、べた甘さが強まり、香味バランスが崩れ、美味しさが損なわれてしまうという問題があった。
【0008】
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものである。即ち、本発明は、爽やかな苦味とともにほどよい甘味も有し、苦味と甘味との香味バランスに優れた飲料であって、グラスに注がれた後、時間が経過しても美味しさが損なわれ難い新たな飲料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のベルベリン含有飲料は、ベルベリンを1ppm以上200ppm以下の範囲で含有するとともに、ショ糖換算による甘味度が0.5w/v%以上15w/v%以下であり、かつアルコール度数が0%以上45%以下であって、下記式(1)で表される風味指数Xが0.5以上250以下であり、飲料に含まれる酸の量をクエン酸換算して得られた総酸値である酸味度が0.1w/v%以上2.11w/v%以下であり、嗜好品飲料(但し、ニキビ性色素沈着抑制用組成物を除く)である。
[数1]
風味指数X=ベルベリン濃度(ppm)×アルコール度数(%)/甘味度(ショ糖換算濃度w/v%)・・・(1)
(ただし、アルコール度数が0%以上1.0%以下の場合には、上記式(1)におけるアルコール度数は1とする)。
【発明の効果】
【0010】
本発明のベルベリン含有飲料は、苦味成分としてベルベリンを所定範囲の含有量で含むとともに適度な甘味も呈し香味バランスに優れた飲料であって、グラスに注がれた後、時間が経過しても美味しさが損なわれ難い。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、苦味成分として、ベルベリンを含有する飲料であり、もっぱら嗜好品飲料として提供されることを予定する飲料である。
上記ベルベリンは、一般的に生薬などに用いられることが知られており、苦味があることが知られていた。かかる苦味は、従来、好ましいものとして用いられるものではなかった。本発明者は、苦味と甘味とのバランスがとれた飲料を提供するため、鋭意検討し、飲料の苦味成分として一般的に代表されるホップ等ではなく、ベルベリンを用いるという着想に至った。本発明者の検討によれば、苦味成分としてベルベリンを用いるとともに、これに適度な甘味成分を加え、適宜、アルコール度数を調整することによって、苦味と甘味との香味バランスが良好で、爽快感に優れた飲料を提供することが可能となった。
【0012】
本発明のベルベリン含有飲料(以下、単に本発明の飲料という場合がある)は、ベルベリンを1ppm以上200ppm以下の範囲で含有するとともに、ショ糖換算による甘味度が0.5w/v%以上15w/v%以下であり、かつアルコール度数が0%以上45%以下であって、下記式(1)で表される風味指数Xが0.5以上250以下である。本発明に関しppmとはmg/Lと同意である。
[数2]
風味指数X=ベルベリン濃度(ppm)×アルコール度数(%)/甘味度(ショ糖換算濃度w/v%)・・・(1)
(ただし、アルコール度数が0%以上1.0%以下の場合には、上記式(1)におけるアルコール度数は1とする)。
【0013】
かかる構成を備える本発明は、苦味成分としてベルベリンを含むとともに甘味も含み、風味指数Xが特定の範囲に調整されることによって、苦味と甘味との香味バランスが図られており、従来の苦味が特徴である飲料とは異なる爽やかな苦味を呈する新たな飲料を提供することができる。
本発明は、アルコール飲料、アルコールテイストのノンアルコール飲料、非アルコール飲料、炭酸飲料、非炭酸飲料のいずれにも適用することができ、いずれの態様においても長所を有し、風味が優れ、また容器に注いだ後、時間が経過しても美味しさが損なわれ難い。以下に本発明の構成についてより詳細に説明する。
尚、本発明に関し、アルコールテイストのノンアルコール飲料とは、アルコール飲料を想起させつつもアルコール度が実質的に0%の飲料を意味し、非アルコール飲料とは、特段、アルコール飲料を想起させるものではなく、実質的にアルコール度0%の飲料を意味する。以下の説明においてアルコールテイストのノンアルコール飲料および非アルコール飲料を総括してノンアルコールまたはノンアルコール飲料と呼ぶ場合がある。また本発明に関し、アルコール度数が実質的に0%とは、アルコールが0%以上1%未満であることを意味する。
【0014】
風味指数X:
本発明は、ベルベリン、アルコール度数、および甘味度のバランスを図ることで優れた風味の飲料を提供可能とするものであり、かかるバランスを把握するために下記式(1)風味指数Xを特定の範囲に調整する。
[数3]
風味指数X=ベルベリン濃度(ppm)×アルコール度数(%)/甘味度(ショ糖換算濃度w/v%)・・・(1)
(ただし、アルコール度数が0%以上1.0%以下の場合には、上記式(1)におけるアルコール度数は1とする)。
【0015】
本発明において、風味指数Xは0.5以上250以下である。風味指数Xが0.5を下回ると、苦味のテイストが不足し、また250を上回ると苦味が強すぎて苦味と甘味との香味バランスが悪くなる場合がある。風味指数Xにおいてアルコール度数を要素に加える趣旨は、アルコールが苦味感を増長する因子になり得ることによる。本発明の飲料はアルコール度数が実質的に0%の態様およびアルコール度数が1%の態様を包含し、そのようなノンアルコールまたは低アルコールの態様では、アルコール度数を1%として風味指数Xを求めるものとする。アルコール度数が1%以下の場合には、アルコールに起因する苦味感の増長は殆ど感じられず、苦味は専らベルベリンに起因するからである。
【0016】
爽やかな苦味を良好に発揮させるという観点からは、風味指数Xは、1.0以上200以下であることが好ましく、1.5以上180以下であることがより好ましく、2.3以上150以下であることがさらに好ましく、3.5以上140以下であることが特に好ましい。
【0017】
ベルベリン:
本発明の飲料はベルベリンを1ppm以上200ppm以下の範囲で含有する。ベルベリンをかかる範囲の濃度で含むとともに、風味指数Xが所定範囲に調整されることによって、好ましい苦味を呈する飲料を提供することができる。ベルベリン濃度が1ppm未満であると適度な苦味が感じられ難い場合があり、200ppmを超えると苦味が強すぎる場合がある。
【0018】
たとえばベルベリンに起因する苦味がより好ましく感じられるという観点からは、ベルベリン濃度は、15ppm以上100ppm未満であることが好ましく、20ppm以上70ppm以下であることがより好ましく、30ppm以上50ppm以下であることがさらに好ましい。
またベルベリンは特有の黄色を呈する。そのため、ベルベリンを含有する飲料の色味は、黄色に調整され得る。このベルベリン特有の黄色が外観上美しく感じられるという観点からは、ベルベリン濃度は、5ppm以上80ppmであることが好ましく、10ppm以上50ppm以下であることがより好ましい。
飲料におけるベルベリンの含有量は、試料溶液の415nm~420nmにおける吸光度を吸光光度測定法により測定し、標準品における検量線より換算して求めることができる。上記吸光光度測定には、たとえば、分光光度計UV-1800(株式会社島図製作所製)を用いることができるが、これに限定されない。
【0019】
ベルベリンは、キハダ(ミカン科の木の皮、別名オウバク(黄柏、黄檗))、オウレン(黄連)等から抽出される成分として知られる。なかでも安定調達という観点からは、オオバク由来のベルベリンが、本発明の飲料の苦味成分として好ましい。ベルベリンは、苦味を有するとともに、透明感のある黄色を呈する上、耐光性を備える。したがって、本発明の飲料は、太陽光に照射される環境下において無色透明容器に充填された状態で保管されても、長期間、味や色味の安定性が良好である。
【0020】
上述するとおり、ベルベリンを含有する飲料は黄色を呈する。本発明の飲料の吸光度は、特に限定されないが、美しい黄色を呈するという観点から、希釈しないで飲むことが予定される飲料では、波長415nmの吸光度が、0.5以上3.0以下であることが好ましく、0.7以上3.0以下であることがより好ましい。また、同様に希釈用飲料では、その希釈倍率にもよるが、波長415nmの吸光度が、0.5以上であることが好ましく、0.7以上であることがより好ましく、1.0以上であることがさらに好ましい。希釈飲料の波長415nmの上限は特に限定されないが、たとえば5.0以下であることが好ましい。
上述する飲料の吸光度は、たとえば分光光度計UV-1800(株式会社島津製作所製)などで測定することができる、これに限定されない。
【0021】
ベルベリンを含む本発明の飲料は、上述するとおり、風味が良好なだけではなく、外観にも優れた飲料を提供することができる。したがって本発明の飲料は、飲む際に美しい黄色を楽しむことができるだけでなく、透明容器に詰められることによって、飲む前においてもその美しい外観を楽しむことができる。しかもベルベリンは耐光性に優れることから、透明容器に詰められた状態で、外観の美しさおよび風味を長期間維持することが可能である。そのため、透明容器に詰められた本発明の飲料は、消費者の購買意欲を高めることができるとともに、購入後、開封前において目につく場所で保管した場合であっても目で楽しむことができるという利点を有する。
【0022】
また本発明は、炭酸飲料に限定されるものではないが、本発明者の検討によれば、ベルベリンを用いることによって、炭酸飲料の喉ごしが改善されることがわかった。一般的に飲みごたえのある炭酸飲料を提供するために、飲料中に炭酸ガスを充分に含有させた場合、喉ごしが悪くなる傾向にある。これに対し、炭酸ガスとともにベルベリンが併用されることによって、炭酸飲料の喉ごしが改善され、爽やかな苦味があり、かつ喉ごしがよく、キレ、飲みごたえの良い炭酸飲料を提供することができる。したがって、本発明において炭酸ガスを含む態様は、特に好ましい態様の1つであるといえる。
【0023】
甘味度:
本発明の飲料は、甘味度が、0.5w/v%以上15w/v%以下である。かかる範囲であって、本発明に特定する風味指数Xの範囲を満たす範囲において、提供する飲料の種類等を勘案し、適宜、甘味度を調整することができる。甘味度が0.5w/v%未満であると、甘味と苦味との良好なバランスがとり難く、苦味が強くなり過ぎる虞があり、15w/v%を超えると後味がベタ甘く感じる場合があり、ベルベリンの苦味が活きない場合がある。
【0024】
たとえば適度な苦味とともに甘味も充分に味わうことができるという観点からは、上記甘味度は、1.0w/v%以上10.0w/v%以下であることが好ましく、5.0w/v%以上8.0w/v%以下であることがより好ましい。
【0025】
本発明における甘味度(w/v%)とは、含有される甘味料をショ糖換算して表された数値である。より詳しくは、本発明の甘味度(w/v%)は、20℃で測定された屈折率を、CUMSA(国際砂糖分析法統一委員会)の換算表に基づいてショ糖溶液の質量/ 質量パーセントに換算した値であり、所謂、ブリックス値に相当する。
【0026】
本発明に甘味度を付与するための甘味料は、飲料において甘さを呈するための成分として使用可能なものから適宜選択することができ、1種の甘味料または2種以上の甘味料を混合して用いることができる。
甘味料の例としては、たとえば、ブドウ糖、ショ糖、グラニュー糖、乳糖、果糖、麦芽糖、若しくは果糖ブドウ糖液糖等の糖類、キシリトール、若しくはD-ソルビトール等の低甘味度甘味料、またはステビア抽出物、アスパルテーム、スクラロース、タウマチン、グリチルリチン酸二ナトリウム、アセスルファムカリウム、サッカリン、若しくはネオテーム等の高甘味度甘味料などのいずれか、または2以上の組合せが挙げられる。また上記甘味料と併用して、あるいは上記甘味料の替りに、飲料に含まれる果汁、果実エキス、または果実を用いた酒類のいずれかまたは2種以上における糖分も、本発明における甘味度を構成する。
【0027】
アルコール度数
本発明の飲料のアルコール度数は、0%以上45%以下である。アルコール度は、飲料の種類によって適宜決定してよく、本発明はアルコール度数が実質的0%であるノンアルコール飲料を包含する。
【0028】
本発明において、アルコール度数が45%を超えるとベルベリンの苦味と相まって、飲料の苦味が強く感じられる場合がある。かかる観点からはベルベリン濃度にもよるが、アルコール度数は、35%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、20%以下であることがより好ましい。薄めずに飲むタイプの本発明の飲料を提供する場合には、アルコール度数は、0%を超えて20%以下であることが好ましく、2%以上10%以下であることがより好ましく、3%以上9%以下であることがさらに好ましい。
【0029】
上述する風味指数Xが所定の範囲である本発明の飲料は、アルコール度数が高くなるにつれ、ベルベリンの含有量を低減し、あるいは甘味度を高めることによって、苦味と甘味との香味バランスを良好に維持することができる。
一方、本発明によれば、たとえばアルコール度数が3%以下と低い場合であっても、ベルベリンが含有されているため、好ましい苦味が発揮され風味に優れる。そのため、本発明は、アルコール度数が低くても、アルコール飲料として満足度の高い飲料を提供することが可能であり、また実質的にアルコール度数が0%であっても、爽やかな苦味の風味を呈するアルコールテイストのノンアルコール飲料を提供することが可能である。
【0030】
本発明において、アルコールとは、特段の断りがない場合にはエタノールを指し、アルコール度数とは、エタノールの容量%を指す。上記エタノールの容量%は、公知の手法を用いて測定することができる。例えば、国税庁所定分析法(平19国税庁訓令第6号、平成19年6月22日改訂)に記載の測定方法に倣って計測することができ、また、アルコールが微量の場合には、ガスクロマトグラフィーを用いて分析してもよい。
【0031】
本発明においてアルコール度数が0%を超える態様とする場合、使用されるアルコールは特に限定されないが、たとえば、醸造用アルコールを用いてもよいし、各種アルコール飲料を用いてもよい。
上記各種アルコール飲料としては、ワイン、焼酎、若しくは清酒などの醸造酒、またはジン、ウォッカ、ラム、テキーラ若しくはブランデーなどの蒸留酒などから選択される1種または2種以上の組合せで用いることができる。ワインあるいはブランデーなどに代表される果実酒から作った蒸留酒は、本発明の飲料にアルコールを付与する材料として好ましく用いられる。
【0032】
アルコール度の測定方法は、公知のいずれかの方法であればよく、たとえば、振動式密度計などを用いて測定することができる。
尚、上述するアルコールに関する記載は、本発明の飲料であって、実質的にアルコールを有しないノンアルコール飲料の態様を何ら否定するものではない。
【0033】
酸味度(総酸値):
本発明の飲料は、酸味度(総酸値)について特に限定されないが、ベルベリンの苦味を引き立てて、より爽やかな風味の飲料を提供するという観点からは、適度な量の酸味成分を含んでいることが好ましく、具体的には、飲料の酸味度が、0.1w/v%以上10w/v%であることが好ましく、0.2w/v%以上9w/v%以下であることがより好ましく、0.4w/v%以上8w/v%以下であることがさらに好ましい。
【0034】
本発明に関し、酸味度とは、飲料に含まれる酸の量をクエン酸換算して得られた総酸値を指す。ここでクエン酸換算とは、飲料に含まれる酸の合計量をクエン酸の相当量に換算した値を指す。
【0035】
本発明の飲料において酸味度を付与するために用いられる酸味成分は、特に限定されず公知のものを適宜選択して使用することができる。たとえば酸味成分の具体例としては、クエン酸、リン酸、アジピン酸、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、フィチン酸、もしくはアスコルビン酸、または柑橘類などの果汁、果実を用いた酒類、もしくは果実エキス等の種々のエキス等が挙げられる。上記酸味成分は1種または2種以上を混合して使用することができる。
【0036】
本発明の飲料の酸味度を表すクエン酸換算して得られた総酸値は、たとえば、電位差自動滴定装置などを用いて中和滴定法によって測定することができる。より具体的には、例えば、総酸度測定器(HI 84530、ハンナインスツルメンツ社製)を用いて本発明の酸味度(総酸値)を測定することができる。
【0037】
爽快指数Y:
本発明は、上述するとおり適度な酸味成分を備えることによって、より優れた風味の飲料を提供可能である。酸味成分の付加によって、より確実に本発明の風味を向上させるためには、下記爽快指数Yを所定範囲となるよう調整するとよい。
即ち、本発明の飲料は、酸味成分を含み、下記式(2)で表される爽快指数Yが0.4以上350以下となるように調整されることが好ましい。
[数4]
爽快指数Y=酸味度(クエン酸換算による総酸値)×ベルベリン濃度(ppm)・・・(2)
【0038】
爽快指数Yは、本発明を何ら限定するものではないが、爽やかな苦味に優れる飲料を提供し易いという観点からは、0.4以上350.0以下であることが好ましく、5.0以上100.0以下であることがより好ましく、20.0以上50.0以下であることがさらに好ましく、20.0以上30.0以下であることが特に好ましい。
【0039】
甘味度/酸味度:
また、酸味成分を含む本発明の飲料は、上述する甘味度および酸味度の比率(甘味度/クエン酸換算による総酸値)が1以上50以下の範囲で調整されることが好ましい。ベルベリンを1ppm以上200ppm以下の範囲で含有する本発明の飲料において、さらに苦味と甘味とのバランスがとり易いからである。
【0040】
pH:
本発明の飲料のpHは、特に規定されないが、酸味成分を含有する本発明の態様によれば、pH4.0以下であることが好ましく、3.5以下であることがより好ましく、3.3以下であることが更に好ましい。
【0041】
その他の任意成分:
本発明の飲料は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、さらに1種または2種以上の任意の食品添加成分を含有してもよい。上記食品添加成分としては、たとえば、ビタミン類などの各種栄養成分、希釈剤、酸化防止剤、香料、乳化剤、保存料、増粘剤、品質安定剤などを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0042】
(炭酸ガス)
本発明の飲料は、炭酸ガスを含んでもよい。即ち、本発明は炭酸飲料の態様を包含する。
本発明に関し、炭酸飲料の態様において、炭酸ガス圧は特に限定されない。たとえば、喉ごしの良い飲料を提供するという観点からは、上記炭酸ガス圧は、2.0kgf/cm2以上であることが好ましく、2.5kgf/cm2以上であることがより好ましく、3.0kgf/cm2以上であることがさらに好ましい。炭酸ガス圧の上限は特に制限されないが、飲みやすさを勘案すると5.0kgf/cm2以下であることが好ましく、4.5kgf/cm2以下であることがより好ましく、4.0kgf/cm2以下であることがさらに好ましい。
【0043】
上述するとおりベルベリンが炭酸飲料の喉ごしを改善することから、炭酸ガスを含む態様の本発明の飲料は、優れた喉ごしの飲料を提供することができる。加えて本発明の飲料は、容器に注いだ後時間の経過とともに炭酸ガスが抜けた場合であっても、本発明に備わる優れた風味が好適に影響し、美味しく飲むことができる。特に炭酸が抜けた後の飲みやすさや味わいを考慮する場合、炭酸ガスが2.0kgf/cm2以上4.0kgf/cm2以下であって、かつ風味指数Xが0.5以上250以下であるとともに、上述する爽快指数Yが0.4以上350以下であることが好ましい。
【0044】
上記炭酸ガスの圧力は、当業者に通常知られる方法において適宜計測することができる。飲料の温度によって炭酸ガスの圧力が変化する場合には、20℃に調整された飲料を試料として炭酸ガスの圧力を測定するとよい。炭酸ガスの圧力を測定する計測器としては、たとえば、京都電子工業株式会社製のガスボリューム測定装置GVA-500Aを用いることができるが、これに限定されない。
【0045】
本発明の飲料に炭酸ガスを付与する方法は特に限定されず、当業者に通常知られる方法から適宜選択して付与することができる。たとえば、本発明の飲料に対し適度な加圧下で二酸化炭素を溶解させてもよいし、適当なミキサーを用いて二酸化炭素と飲料とを混合してもよいし、また、本発明の所定の成分を含む飲料と、炭酸水または任意の炭酸飲料とを混合してもよい。
【0046】
ところでビールなどの苦味のある飲料を冷えた状態で長く味わいたい場合であっても、ビールまたはビールテイスト飲料に氷を入れると、爽快さが低減し、また泡と氷が相まって見た目が悪くなるという問題がある。これに対し、本発明における炭酸ガスを含む態様では、透明感のある美しい黄色を有するとともに、ビールのような発泡もないため、氷を入れても見た目が悪くならず冷えた状態で長く味わうことが可能である。
尚、上述する炭酸ガスに関する記載は、本発明の飲料を炭酸飲料に何ら限定するものではない。本発明は炭酸ガスを含まない態様を包含する。
【0047】
容器詰め飲料:
本発明の飲料は、保管形態や販売時の形態について特に限定されない。取扱いが容易であって、小分けで流通するのに便利であるという観点からは、本発明の飲料は、容器に充填された容器詰め飲料であることが好ましい。容器の容量は特に限定されないが、たとえば150ml以上5000ml以下のものが挙げられる。また容器の種類は、ボトル(ビン)、缶、ペットボトル、アルミパウチ、樽等が挙げられるがこれに限定されない。
【0048】
ここで容器詰め飲料とは、任意の容器に充填され密封状態が維持された飲料を指す。容器としては、飲料業界で通常用いられ得る密封容器であればよく、構成部材は特に限定されない。一般的には、無色または有色のガラス、ポリエチレンテレフタレートなどのプラスチック、アルミ、若しくはスチール等の単体、複合材料または積層材料から構成された容器が挙げられる。
【0049】
本発明の飲料はベルベリンを含有するところ、上述するとおりベルベリンは美しい黄色を呈するとともに、耐光性にも優れる。そのため、本発明の飲料は、無色透明の容器に充填されることによって、外観に優れ、かつ良好な風味を長期間維持することのできる容器詰め飲料を提供することができる。
【0050】
飲料の種類:
本発明の飲料は、炭酸飲料、非炭酸飲料、アルコール飲料、アルコールテイスト飲料、および非アルコール飲料を包含し、並びに、希釈せずにそのまま飲むタイプ、希釈して飲むタイプ、他の飲料を希釈するために用いられるトニックウォーターのような希釈用飲料を包含する。以下に本発明の飲料に包含される種々の飲料の例について、より具体的に説明する。
【0051】
炭酸アルコール飲料:
本発明は、炭酸ガス圧が2.0kg/cm2以上4.0kg/cm2以下の範囲であり、アルコール度数が3%以上45%以下である炭酸アルコール飲料の態様を含む。
上記炭酸アルコール飲料としては、たとえばチューハイ、サワー、カクテル、スパークリングワイン、スパークリングリキュールなどを挙げることができるが、これに限定されない。炭酸アルコール飲料である本発明の態様は、ビール等とは異なる爽やか苦味と甘味との香味バランスのとれた良好な風味であって喉ごしにも優れた飲料を提供することができる。
【0052】
炭酸低アルコール飲料:
本発明は、炭酸ガス圧が2.0kg/cm2以上4.0kg/cm2以下の範囲であり、アルコール度数が1%以上3%未満である炭酸低アルコール飲料の態様を含む。
かかる態様では、アルコール度数が3%未満と低いが、ベルベリンを含有することで爽やかな苦味が発揮されるとともに炭酸ガスの喉ごしが良くすぐれたキレが発揮されるため、アルコール飲料として満足度の高い飲料を提供することが可能である。
【0053】
炭酸ノンアルコール飲料:
本発明は、炭酸ガス圧が2.0kg/cm2以上4.0kg/cm2以下の範囲であり、アルコール度数が0%以上1%未満である炭酸ノンアルコール飲料の態様を含む。
かかる態様では、アルコール度数が実質的に0%であるものの、ベルベリンを含有することで爽やかな苦味が発揮されるとともに炭酸ガスの喉ごしが良くすぐれたキレが発揮されるため、ノンアルコール飲料として満足度の高い飲料を提供することが可能である。上記炭酸ノンアルコール飲料には、アルコールテイスト飲料、アルコールを想起させない非アルコール飲料、他のアルコール飲料を希釈するために用いられるトニックウォーターのような希釈用飲料を含む。
【0054】
非炭酸アルコールまたは微炭酸アルコール:
本発明は、炭酸ガス圧が0kg/cm2以上2kg/cm2未満の範囲であり、アルコール度数が3%以上45%以下である非炭酸アルコールまたは微炭酸アルコールの態様を含む。
かかる態様では、炭酸が入っていないか、あるいは炭酸ガスの圧力が小さいが、ベルベリンを含み、かつ上述するとおり風味指数Xが所定範囲となるよう調整されているため、爽やかな苦味を呈し、べた甘さを感じさせない飲料を提供することができる。本態様は、たとえば、アルコール成分としてワインなどの果実酒を用い、非炭酸または微炭酸の果実酒テイストの飲料を提供することができる。
【0055】
非炭酸低アルコールまたは微炭酸低アルコール:
本発明は、炭酸ガス圧が0kg/cm2以上2kg/cm2未満の範囲であり、アルコール度数が1%以上3%未満である非炭酸低アルコールまたは微炭酸低アルコールの態様を含む。
かかる態様では、炭酸が入っていないか、あるいは炭酸ガスの圧力が小さい上、アルコール度数も低いが、ベルベリンを含み、かつ上述するとおり風味指数Xが所定範囲となるよう調整されているため、爽やかな苦味を呈し、べた甘さを感じさせず、炭酸およびアルコールが少ないことによる物足りなさを感じさせない飲料を提供することができる。
【0056】
非炭酸ノンアルコールまたは微炭酸ノンアルコール:
本発明は、炭酸ガス圧が0kg/cm2以上2kg/cm2未満の範囲であり、アルコール度数が実質的に0%である態様を包含する。かかる態様では、ベルベリンの含有量を所定の範囲において高めに調整することによって、苦味と甘味のバランスのとれた爽快感のある飲料とすることができ、ノンアルコールであっても満足感の高い飲料を提供することが可能である。
【実施例】
【0057】
以下に本発明のベルベリン含有飲料の実施例及び比較例を示す。実施例、比較例の飲料において用いた各成分を表1~表3に示す。各組成を秤量して混合し、残量を水で調整して総量が1000mlとなるよう各飲料を製造した。尚、非炭酸飲料を調製する際には上記水は、精製水を用いた。また炭酸飲料を製造する際には、上記水として、精製水および
株式会社OTOGINO社製の強炭酸水クオスを用い、実施例表に示す炭酸ガス圧になるよう調整して炭酸飲料を製造した。
表1~表3に示す各組成の数値は、各材料の実測値を示す。
また各成分の詳細は以下のとおりであり、ベルベリンとしては、オウバクを用いた。
【0058】
酸味料:クエン酸
pH調整剤:クエン酸Na
柑橘エキス:国産カボスeエキス(日本粉末薬品株式会社)と国産シークヮーサーeエキス(日本粉末薬品株式会社)を2:1の比率で混合した
柑橘果汁:ユズ果汁(日出づる里活性化組合;糖度9.2%)
苦味成分:オウバク流エキスS(小城製薬株式会社製;ベルベリン含有量1.1w/v%)
甘味料:果糖ぶどう糖液糖(加藤化学株式会社製;果糖・ブドウ糖 75.5w/v%)
甘味料:スクラロース(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社)
アルコール:醸造用アルコール(日本アルコール販売株式会社)
アルコール:白ワイン(東夢株式会社;アルコール度12.5%)
添加剤:黄色4号(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社;ベルベリンの代替として比較例1に使用)
【0059】
各表において実施例および比較例として示す組成の飲料を調製した。調製後、速やかに密封し、冷蔵庫で1日間冷却した。そして冷却された各飲料を取り出し、開封してグラスに注いだ後、速やかに各飲料を以下のとおり評価した。評価は、識別能力のあるパネラー4人によって実施し、評価結果は、表1~表3に示す。いずれの評価も△以上を販売可能なレベルとして判断した。また表1~表4にパネラーのコメントを合わせて掲載した。
【0060】
(成分等の測定)
苦味度(ベルベリン濃度)の測定
分光光度計(UV1800;株式会社島津製作所製)を用い、各実施例および各比較例の415nmにおける吸光度を吸光光度法にて測定し、標準品(オウバク流エキスSベルベリン含有量1.1w/v%)における検量線比較にてベルベリン濃度を算出した。
甘味度(ショ糖換算濃度)の測定
各実施例および各比較例を20℃に調整し、糖度計(RX-5000;アタゴ社製)にて屈折率を測定した。そして上記屈折率をCUMSA(国際砂糖分析法統一委員会)の換算表に基づいてショ糖溶液の質量/ 質量パーセントに換算し甘味度(w/v%)を求めた。高甘味度甘味料の甘味度については、スクラロースは砂糖の600倍を乗じて換算した。
アルコール度数の測定
振動式密度計(カタログ番号DA-155、京都電子工業株式会社製)にて各実施例および各比較例のアルコール度を測定した。
酸味度(総酸値の測定)
総酸度測定器(HI 84530;ハンナインスツルメンツ社製)を用いて各実施例および各比較例の酸味度を測定した。
【0061】
(黄色呈色評価)
各実施例および各比較例である「通常サンプル」、およびそれらを水で1/3に希釈した「希釈サンプル」を20℃に調整し、これらの吸光度(415nm)を測定した。測定には、分光光度計(商品名UV-1800、株式会社島津製作所製)を用いた。そして測定された吸光度の値から以下のとおり評価した。
【0062】
通常サンプル:
◎ 吸光度値が0.7以上3.0以下であった。
○ 吸光度値が0.5以上0.7未満であった。
△ 吸光度値が0.1以上0.5未満、または3.0を超えた。
× 吸光度値が0.1未満であった。
希釈サンプル:
◎ 吸光度値が0.7以上5.0以下であった。
○ 吸光度値が0.5以上0.7未満であった。
△ 吸光度値が0.1以上0.5未満であった。
× 吸光度値が0.1未満であった。
【0063】
(試飲評価1)
各実施例および各比較例である「通常サンプル」、およびそれらを水で1/3に希釈した「希釈サンプル」を約5℃に調整し、識別力のあるパネラー4人が試飲し、各評価項目について評価した。各評価は、4段階判定とし、4人のパネラーの評点の平均から以下のとおりに判定するものとする。
<判定基準>
◎ パネラーの評点の平均点が、3.25点を超え4点以下であった。
○ パネラーの評点の平均点が、2.5点を超え3.25点以下であった。
△ パネラーの評点の平均点が、1.75点を超え2.5点以下であった。
× パネラーの評点の平均点が、1点を以上1.75点以下であった。
【0064】
風味評価(爽やかな苦み)
4点 爽やかで適度な苦みを感じる
3点 爽やかであるがやや苦味が弱く感じる
2点 爽やかさに掛け、苦みが弱く感じる
1点 苦すぎる
【0065】
後味評価
4点 後味がとても良い
3点 後味が良い
2点 後味があまり感じられないか、あるいは甘さが残る
1点 後味が苦すぎるか、あるいは甘すぎる
【0066】
喉ごし評価
4点 喉ごしがとても良い
3点 喉ごしが良い
2点 喉ごしが感じられない
1点 喉ごしが悪く飲みにくい
【0067】
(試飲評価2)
試飲評価1に参加した4人のパネラーにより下記評価を行った。具体的には、各実施例および各比較例の通常サンプルをグラスに注いだ状態で室温下に60分間放置し「開放サンプル」とした。各開放サンプルを試飲して、下記風味評価を行った。判定基準は試飲評価1と同様とする。
【0068】
風味評価(苦味・甘味・酸味のバランス)
4点 苦味、甘味、酸味のバランスがよく、美味しさが維持されている
3点 苦味、甘味、酸味のバランスがよく、炭酸ガスが抜け、あるいは液温が上がっていることが気にならない
2点 苦味または甘味をやや強く感じる
1点 苦味または甘味が強く、風味が損なわれたと感じる
【0069】
総合評価
上述する各評価の判定基準を勘案し各実施例および各比較例を以下のとおり総合的に評価した。
◎ 各評価の結果において、全て○評価または◎評価である
○ 各評価の結果において、×を1つも含まず、かつ△評価を含む
× 各評価の結果において、×評価を含む
【0070】
(安定性試験)
実施例6、比較例1、および比較例19として用いた市販のビール(アルコール度5.5%)について、以下のとおり安定性試験を行った。安定性試験における評価は、上述する評価を行った4人のパネラーが行った。
【0071】
安定性試験におけるサンプルは以下のとおり準備した。
上述に示す実施例6、比較例1および購入後、冷蔵庫にて冷却した比較例19を「安定性試験前サンプル」とした。
また表1に示す実施例6および比較例1と同様の組成であって同様に製造した飲料、並びに市販のビールを、予め室内の直射日光のあたる窓際にて6ヵ月保管したものを「安定性試験後サンプル」とした。
【0072】
安定性試験前サンプルについて、外観評価、風味評価(爽やかな苦味)、後味評価、喉ごし評価を行った。また安定性試験後サンプルについて、外観評価、および安定性試験前サンプルとの対比による風味評価(対比)を行った。
ここでの外観評価は、グラスに注いだ飲料の外観をパネラー4人が目視で観察して評価し、最も多い意見をコメントとして表4に記載した。
安定性試験前サンプルに対する風味評価(爽やかな苦味)、後味評価、喉ごし評価については、上述する評価方法と同様に評価した。
安定性試験後サンプルに対する風味評価(対比評価)は、安定性試験前サンプルに対する対比評価であり、詳しくは以下のとおり評価し、上述に示す判定基準に倣い判定した。判定結果は、表4に示す。また安定性試験後サンプルに対するパネラーのコメントを併せて表4に示す。
【0073】
風味評価(対比評価)
4点 安定性試験前サンプルと同様の風味を感じた。
3点 安定性試験前サンプルとほぼ同様の風味を感じた。
2点 安定性試験前サンプルに比べて風味に変化が感じられた。
1点 安定性試験前サンプルに比べて不快な風味を感じた。
【0074】
安定性試験前サンプルおよび安定性試験後サンプルの評価を通し、実施例6、比較例1、比較例19の総合評価を行った。総合評価は、上述と同様の基準で行い、結果は、表4に示す。
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)ベルベリンを1ppm以上200ppm以下の範囲で含有するとともに、
ショ糖換算による甘味度が0.5w/v%以上15w/v%以下であり、かつ
アルコール度数が0%以上45%以下であって、
下記式(1)で表される風味指数Xが0.5以上250以下であることを特徴とするベルベリン含有飲料、
[数5]
風味指数X=ベルベリン濃度(ppm)×アルコール度数(%)/甘味度(ショ糖換算濃度w/v%)・・・(1)
(ただし、アルコール度数が0%以上1.0%以下の場合には、上記式(1)におけるアルコール度数は1とする)。
(2)炭酸ガスを含む上記(1)に記載のベルベリン含有飲料。
(3)酸味成分を含み、
下記式(2)で表される爽快指数Yが0.4以上350以下である上記(1)または(2)に記載のベルベリン含有飲料、
[数6]
爽快指数Y=酸味度(クエン酸換算による総酸値)×ベルベリン濃度(ppm)・・・(2)
(4)波長415nmの吸光度が、0.5以上2.5以下である上記(1)から(3)のいずれか一項に記載のベルベリン含有飲料。
(5)容器に充填された容器詰め飲料である上記(1)から(4)のいずれか一項に記載のベルベリン含有飲料。
(6)炭酸ガス圧は、2.0kg/cm2以上4.0kg/cm2以下の範囲であり、
アルコール度数が3%以上45%以下である上記(1)から(5)のいずれか一項に記載のベルベリン含有飲料。
(7)炭酸ガス圧は、2.0kg/cm2以上4.0kg/cm2以下の範囲であり、
アルコール度数が0%を超えて3%未満である上記(1)から(5)のいずれか一項に記載のベルベリン含有飲料。
(8)炭酸ガス圧は、2.0kg/cm2以上4.0kg/cm2以下の範囲であり、
アルコール度数が実質的に0%である上記(1)から(5)のいずれか一項に記載のベルベリン含有飲料。
(9)炭酸ガス圧は、0kg/cm2以上2kg/cm2未満の範囲であり、
アルコール度数が0%を超えて45%以下である上記(1)から(5)のいずれか一項に記載のベルベリン含有飲料。
(10)炭酸ガス圧は、0kg/cm2以上2kg/cm2未満の範囲であり、
アルコール度数が0%を超えて2%未満である上記(1)から(5)のいずれか一項に記載のベルベリン含有飲料。
(11)炭酸ガス圧は、0kg/cm2以上2kg/cm2未満の範囲であり、
アルコール度数が実質的に0%である上記(1)から(5)のいずれか一項に記載のベルベリン含有飲料。