(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】空気式排出装置
(51)【国際特許分類】
B25C 1/06 20060101AFI20240405BHJP
B25C 1/04 20060101ALI20240405BHJP
B25C 7/00 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
B25C1/06
B25C1/04
B25C7/00 Z
(21)【出願番号】P 2021525373
(86)(22)【出願日】2019-07-18
(86)【国際出願番号】 EP2019069439
(87)【国際公開番号】W WO2020016383
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】102018117519.1
(32)【優先日】2018-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】521026116
【氏名又は名称】プレベーナ ビルフリート ボルネマン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100165995
【氏名又は名称】加藤 寿人
(72)【発明者】
【氏名】ベルナー リュックリンガー
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/174994(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0126527(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25C 1/00 - 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧室(23)内で圧縮可能なガス塊にさらされることのできる駆動ピストン(18)によって物体(14)または流体物質をリザーバから排出し、前記駆動ピストン(18)には、前記ガス塊を圧縮するための駆動機構(26)と、
圧縮されたガス塊を膨張させるためのトリガとが設けられている空気式排出装置(10)において、
前記加圧室(23)には、前記加圧室(23)を一時的に通気
し、前記加圧室内で形成された凝縮物を処分するためのレリーフ機構(37)と、前記通気された加圧室(23)に圧縮空気を充填するための充填機構(41)と
、が設けられ
、
前記充填機構(41)は、前記加圧室(23)に連結され、圧縮空気源に連結されるように機能する連結装置(43)を有し、
該連結装置(43)は前記加圧室(23)への充填に適した圧力に設定する減圧器(46)を有する、ことを特徴とする空気式排出装置。
【請求項2】
前記圧縮空気源が前記連結装置(43)に連結された交換可能な圧縮空気シリンダ(45)であることを特徴とする請求項
1に記載の空気式排出装置。
【請求項3】
前記駆動機構(26)は、排出プランジャ(19)であるリニア駆動部材(28)に係合され、前記駆動ピストン(18)に作用し、リニアガイド(20)内に収容される回転駆動部材(27)を有し、前記駆動機構(26)は、ピストンストッパ(24)により前記加圧室(23)を形成するシリンダユニット(17)に着脱可能に連結されていることを特徴とする、請求項
1又は2に記載の空気式排出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧室内で圧縮可能なガス塊(gas volume)にさらされることができる駆動ピストンによって、物体または液体物質をリザーバから排出するための空気式排出装置であって、駆動ピストンには、ガス塊を圧縮するための駆動機構と、圧縮されたガス塊を膨張させるためのトリガとが設けられている、空気式排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記種類の空気式排出装置は、駆動ピストンの上方への移動によって圧縮されたガス塊を、排出すべき物体に作用させる排出力を発生させるためのガス圧ばねとして使用する。この種の排出装置は、欧州特許第2243600号明細書(特許文献1)によって知られており、この文献では、加圧室が排出装置の寿命にわたって一定であるガス塊で充填されている。従って、この種の排出装置は、工場組立中に、所望の排出力、典型的には約8barの範囲に設定された充填圧力を有するガス塊で一旦充填される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
排出装置の動作中の交互の圧縮処理及び減圧処理の間には、圧縮空気が冷えるとき、或いは圧縮によって圧縮空気の飽和蒸気圧を超えるときに、圧縮空気に含まれる水蒸気が凝縮するため、付随する温度変化によって、加圧室内に貯蔵された圧縮空気内に凝縮物が生ずる。
【0005】
特に、典型的には酸性のpHの凝縮物による加圧室内の腐食によって、空気式排出装置の出力は、十分に多数回の排出の後に、著しく低下することとなり、加圧室の設計のため、加圧室の圧縮空気による再充填、即ち排出装置の修理は不可能である。結露による装置損傷の修理は、駆動ピストンに連結され、排出すべき物体と直接接触しているために特に高い摩耗を受ける排出プランジャの交換のように、加圧室を開けることを必要とする排出装置の構成要素の交換と同様に不可能である。
【0006】
従って、本発明の目的は、比較的高い寿命を有し、特に、加圧室にアクセスすることによって排出装置を修理することが可能である空気式排出装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明による排出装置は、請求項1の特徴を有する。
【0008】
本発明の排出装置において、加圧室には、加圧室を一時的に通気するためのレリーフ機構と、通気された加圧室に圧縮空気を充填するための充填機構とが設けられている。
【0009】
加圧室にはレリーフ機構と充填機構が装備されているため、ユーザーは加圧室を空にし、それらの選択時に加圧室に圧縮空気を再充填することができる。これは、例えば、加圧室内で形成された凝縮物をレリーフ機構によって処分するために、加圧室内に収容された圧縮空気塊を、規定された排出回数に応じて置き換えることができることを意味する。
【0010】
本発明による排出装置の設計により、排出装置のライフサイクル中に加圧室内に含まれる圧縮空気を容易に交換することができるので、駆動ピストンに連結された排出プランジャの交換や駆動ピストン自体の交換などのように、加圧室へのアクセスを必要とする修理を、排出装置上で行うことができる。装置の構成要素の修理又は交換後に、充填機構によって、加圧室を圧縮空気で再充填することができるので、排出装置を容易に再作動させることができる。
【0011】
好ましくは、圧縮機構又は充填機構には、加圧室内の所望の充填圧力が表示されたときにオペレータが充填プロセスを停止できる圧力計が設けられている。また、加圧室には、充填プロセスを停止させるための好ましくは設定可能な圧力除去バルブを設けることができる。
【0012】
加圧室に連結され、圧縮空気源、特に装置から独立した圧縮空気源に連結される役割を果たす連結機構を、充填機構が有する場合には、排出装置の加圧室は、特に容易に圧縮空気を再充填することができる。特に、この種の圧縮空気源は、排出装置の加圧室をネット依存の(net-dependent)圧縮空気源に連結するためのネット連結、又は移動式コンプレッサへの連結を可能にする連結機構とすることができる。
【0013】
圧縮空気源が連結機構に連結された交換可能な圧縮空気シリンダであることは、空気コンプレッサを設けることなく加圧室をネットに依存せずに圧縮空気で充填することを可能にするので、特に有利であることが証明されている。代わりに、排出装置の使用中にユーザーが容易に運ぶことができ、排出装置の加圧室の再充填を可能にする物流(logistics)を簡単にする、圧縮空気シリンダを使用することができる。
【0014】
連結機構が減圧器を有する場合、特に圧縮空気源として圧縮空気シリンダを用いる場合は、加圧室を充填するための圧縮空気シリンダを高い充填圧力で充填することができ、特に連結機構が小型で故に持ち運びが容易となる。
【0015】
駆動機構が、排出プランジャであるリニア駆動部材に係合され、駆動ピストンに作用し、リニアガイドに収容される回転駆動部材を有し、駆動機構がピストンストッパによって加圧室を形成するシリンダユニットに着脱可能に連結されることが、特に有利である。
【0016】
本発明のこの特定の実施形態では、修理のために加圧室を開くことができるだけでなく、加圧室を閉じた後に加圧室を再び作動させることができる。代わりに、排出装置の構成要素、即ちピストンストッパは、その本来の目的に従う排出ピストンのためのストッパとしてだけでなく、リニアガイドと加圧室との間の連結機構としても機能することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図4】
図4は、
図2に対応する図であり、充填バルブに連結された圧縮空気シリンダを備える排出装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態をより詳細に説明する。
【0019】
図1及び
図2は排出装置10を示し、排出装置10は実質的な構成要素として、排出ユニット13と、排出すべき物体14のリザーバとして機能し、フレーム11上で排出ユニット13の排出ノズル16に連結されるクリップ15とを有し、フレーム11はこの場合の支持構造としても機能し、フレーム11にはグリップ12が設けられている。
【0020】
排出ユニット13は駆動ピストン18を有し、駆動ピストン18はシリンダユニット17内に配置され、駆動ピストン18には、シリンダユニット17のシリンダ底部22を同時に形成するリニアガイド20に案内される排出プランジャ19が設けられている。シリンダ底部22にはプランジャ開口21が設けられている。
【0021】
図2において上死点位置に示されている駆動ピストン18の下停止位置を形成するピストンストッパ24は、加圧室23を形成するシリンダユニット17の一部にリニアガイド20を連結させる役割を果たす。
【0022】
図3に示すように、特に、駆動機構26が排出ユニット13のリニアガイド20に連結されており、該駆動機構26は回転駆動部材27とリニア駆動部材28とを含み、駆動ピストン18を
図2及び
図3に示す上死点に変位させることにより、圧縮された空気塊に抗して駆動ピストン18を予め駆動するように機能する。
図3に示すように、図示の実施形態では、駆動ピストン18が上方に移動するとき、リニア駆動部材28は回転駆動部材27に係合する排出プランジャ19の下部によって形成されている。この目的のために、回転駆動部材27は、ピン29として実現され、リニア駆動部材28上に形成された歯30と相互作用するドライバを有する。回転駆動部材27は、
図2に示すように、電気モータ31によって駆動される中間歯車装置32を介して駆動され、電気モータ31にエネルギーを供給するバッテリ33が設けられている。
【0023】
図3に示すように、回転駆動部材27のピッチ円34の全てにピン29が設けられているわけではなく、代わりに、回転駆動部材27はそのピッチ円34にセクション35を有し、ピッチ円34に沿った反時計回りの回転中には、ピン29とリニア駆動部材28の歯30との間の係合はない。この非係合の間、駆動ピストン18はピストンストッパ24に当接するまで上死点から下方に移動することができ、これに伴って加圧室23内の駆動ピストン18の上方に位置する圧縮空気塊が減圧され、駆動ピストン18が下方に加速され、排出プランジャ19によって排出ノズル16内に配置された物体14に、対応する排出力Fを作用させる。
【0024】
規定された方法で排出を始動させるために、排出装置10はグリップ12にトリガ36(
図2)を有し、トリガ36は、トリガ36が作動するまで、
図3に示す位置から下方への排出プランジャ19の経路を遮断するラッチ(
図2に示されていない)と相互作用する。
【0025】
図3に示すように、加圧室23にはレリーフ機構37が設けられており、このレリーフ機構37は、手元にある場合には、弁機構38により手動で作動させることができ、加圧室23から圧縮空気を通気するために加圧室23のチャンバ壁39に形成された通気口40を開くことができる。駆動ピストン18を上死点に戻すことによって、充填空気圧よりも高い排出空気圧に増大することとなる規定圧力の圧縮空気で加圧室23が満たされるように、加圧室23を圧縮空気で再充填するために、特に、
図4に示す充填機構41が加圧室23に連結されている。
【0026】
充填機構41は連結機構43を有し、連結機構43は、充填開口42を介して加圧室23に連結され、充填弁44を介して交換可能な圧縮空気シリンダ45を連結機構43に連結することができる。加圧室23には、加圧室23内の充填圧力をモニタリングするための圧力計47が設けられている。
【0027】
手元にある場合には、連結機構43には減圧器46が設けられており、好ましくは300barの充填圧力を有する圧縮空気シリンダ45を、充填弁44と、好ましくは設定可能な減圧器46とにより連結することができ、加圧室23の充填に適した約23barの充填圧力を設定することができる。
【0028】
図2と
図4との比較から分かるように、手元にある場合には、バッテリ33をハウジング11に配置するのに必要な空間が圧縮空気シリンダ45によって塞がれるので、排出装置10、より正確には排出装置10のハウジング11は、加圧室23を再充填するための圧縮空気シリンダ45が充填弁44に連結されていない場合にのみ、電動機31に連結されるバッテリ33に依存する排出装置10の使用が可能であるように構成されている。
なお、本発明の態様(構成)として以下に示すものがある。
[態様1]
加圧室(23)内で圧縮可能なガス塊にさらされることのできる駆動ピストン(18)によって物体(14)または流体物質をリザーバから排出し、前記駆動ピストン(18)には、前記ガス塊を圧縮するための駆動機構(26)と、前記圧縮ガス塊を膨張させるためのトリガとが設けられている空気式排出装置(10)において、
前記加圧室(23)には、前記加圧室(23)を一時的に通気するためのレリーフ機構(37)と、前記通気された加圧室(23)に圧縮空気を充填するための充填機構(41)とが設けられていることを特徴とする空気式排出装置。
[態様2]
前記充填機構(41)は、前記加圧室(23)に連結され、圧縮空気源に連結されるように機能する連結装置(43)を有することを特徴とする態様1に記載の空気式排出装置。
[態様3]
前記圧縮空気源が前記連結機構(43)に連結された交換可能な圧縮空気シリンダ(45)であることを特徴とする態様2に記載の空気式排出装置。
[態様4]
前記連結機構(43)が減圧器(46)を有することを特徴とする態様2又は3に記載の空気式排出装置。
[態様5]
前記駆動機構(26)は、排出プランジャ(19)であるリニア駆動部材(28)に係合され、前記駆動ピストン(18)に作用し、リニアガイド(20)内に収容される回転駆動部材(27)を有し、前記駆動機構(26)は、ピストンストッパ(24)により前記加圧室(23)を形成するシリンダユニット(17)に着脱可能に連結されていることを特徴とする、態様1から4のいずれか一項に記載の空気式排出装置。