(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】光源装置
(51)【国際特許分類】
H05B 45/12 20200101AFI20240405BHJP
H05B 45/22 20200101ALI20240405BHJP
H05B 47/155 20200101ALI20240405BHJP
H05B 47/165 20200101ALI20240405BHJP
G01N 21/84 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
H05B45/12
H05B45/22
H05B47/155
H05B47/165
G01N21/84 E
(21)【出願番号】P 2022175002
(22)【出願日】2022-10-31
【審査請求日】2023-09-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504174434
【氏名又は名称】レボックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105315
【氏名又は名称】伊藤 温
(74)【代理人】
【識別番号】100173680
【氏名又は名称】納口 慶太
(72)【発明者】
【氏名】幅崎 智靖
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-184852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/12
H05B 45/22
H05B 47/155
H05B 47/165
G01N 21/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる色の光を出射する複数の光源部と、
各色の光の照度を検出するために設けられた複数の光センサ部と、
前記光源部を駆動し、前記光センサ部の検出結果に基づき前記光源部から出射された光の照度を判定することが可能な制御部と、を備え、
前記制御部は、
運用に先立って校正値テーブルの作成を行い、
前記校正値テーブルの作成の際に、各色の前記光源部を順に発光させ、前記光センサ部の検出結果に基づいて各色の前記光源部についての校正値を規定し、
運用時において、少なくとも1つの前記光センサ部の検出結果に基づき所定量以上の照度の低下が検出された場合に、
前記校正値に基づき、前記光源部を駆動するための目標値を算出し、
前記目標値に基づき前記光源部を駆動
し、
前記光センサ部は、対応付けられていない色の前記光源部の照度も検出可能であり、
前記制御部は、前記校正値テーブルを作成する際に、
発光した前記光源部に対応する前記光センサ部の検出結果と、発光していない前記光源部に対応する前記光センサ部の検出結果とに基づいて前記校正値を規定する光源装置。
【請求項2】
前記運用時には、ユーザーが、前記光源部の照度を設定するための複数の調光値のうちのいずれかを選択可能であり、
前記校正値テーブルの作成は、
前記調光値毎に前記光源部を発光させて行われる請求項
1に記載の光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品検査等に用いることが可能な光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
後掲の特許文献1(段落0035など)には、表示装置において、LEDチップの発光強度を発光色ごとに制御信号によってフィードバック制御することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、検査用の照明を行う光源装置には、複数色の光源の光を混色して検査光を生成するものがある。そして、このようなタイプの光源装置についても、光の照度を的確に制御できることが望ましい。
【0005】
そこで、本発明は、光の照度を的確に制御することが可能な光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による光源装置の特徴は、
異なる色の光を出射する複数の光源部と、
各色の光の照度を検出するために設けられた複数の光センサ部と、
前記光源部を駆動し、前記光センサ部の検出結果に基づき前記光源部から出射された光の照度を判定することが可能な制御部と、を備え、
前記制御部は、
運用に先立って校正値テーブルの作成を行い、
前記校正値テーブルの作成の際に、各色の前記光源部を順に発光させ、前記光センサ部の検出結果に基づいて各色の前記光源部についての校正値を規定し、
運用時において、少なくとも1つの前記光センサ部の検出結果に基づき所定量以上の照度の低下が検出された場合に、
前記校正値に基づき、前記光源部を駆動するための目標値を算出し、
前記目標値に基づき前記光源部を駆動し、
前記光センサ部は、対応付けられていない色の前記光源部の照度も検出可能であり、
前記制御部は、前記校正値テーブルを作成する際に、
発光した前記光源部に対応する前記光センサ部の検出結果と、発光していない前記光源部に対応する前記光センサ部の検出結果とに基づいて前記校正値を規定することである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、光の照度を的確に制御することが可能な光源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】発明の実施形態に係る光源装置の斜視図である。
【
図3】光源装置の内部構成を概略的に示す平面図である。
【
図4】制御回路の構成を概略的に示すブロック図である。
【
図5】フィードバック制御の概念を示すグラフである。
【
図6】キャリブレーション処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】漏れ光検出に係る変形例を概略的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1の実施の態様>
第1の実施の態様の光源装置は、
異なる色(赤、緑、青など)の光を出射する複数の光源部(R-LED34、G-LED36、B-LED38など)と、
各色の光の照度を検出するために設けられた複数の光センサ部(光センサ42R、42G、42Bなど)と、
前記光源部を駆動し、前記光センサ部の検出結果に基づき前記光源部から出射された光の照度を判定することが可能な制御部(CPU50など)と、を備え、
前記制御部は、
運用に先立って校正値テーブルの作成を行い、
前記校正値テーブルの作成の際に、各色の前記光源部を順に発光させ、前記光センサ部の検出結果に基づいて各色の前記光源部についての校正値を規定し、
運用時において、少なくとも1つの前記光センサ部の検出結果に基づき所定量以上の照度の低下(3%を超える照度の低下など)が検出された場合に、
前記校正値に基づき、前記光源部を駆動するための目標値を算出し、
前記目標値に基づき前記光源部を駆動する。
【0010】
<第2の実施の態様>
第2の実施の態様の光源装置は、第1の実施の態様において、
前記光センサ部は、対応付けられていない色の前記光源部の照度も検出可能である。
【0011】
<第3の実施の態様>
第3の実施の態様の光源装置は、第2の実施の態様において、
前記制御部は、前記校正値テーブルを作成する際に、
発光した前記光源部(R-LED34など)に対応する前記光センサ部(光センサ42Rなど)の検出結果と、発光していない前記光源部(G-LED36など)に対応する前記光センサ部(光センサ42Gなど)の検出結果とに基づいて前記校正値を規定する。
【0012】
<第4の実施の態様>
第4の実施の態様の光源装置は、第3の実施の態様において、
前記運用時には、ユーザーが、前記光源部の照度を設定するための複数の調光値(「1023」、「1001」、・・・、「101」、「1」、「0」など)のうちのいずれかを選択可能であり、
前記校正値テーブルの作成は、
前記調光値毎に前記光源部を発光させて行われる。
【0013】
<<<<本実施の形態>>>>
以下、本発明の実施形態について、図面に基づき説明する。本明細書及び図面においては、同一の符号が付された構成要素は、実質的に同一の構造又は機能を有するものとする。
【0014】
<<<光源装置100の概要>>>
光源装置100は、例えば、製品検査等のように産業用の用途で使用することが可能である。光源装置100は、検査用光を出射し、検査用光は、例えば、光ファイバーを利用したライトガイドを介して、検査対象物に照射される。光源装置100は、検査対象物を照明し、検査対象物における傷等の欠陥を画像処理や目視により確認できるようにする。
【0015】
<<<光源装置100の全体構成>>>
図1~
図4を参照しながら光源装置100の全体構成を説明する。
図1は、光源装置100を斜め前方から見た状態を示しており、
図2は、光源装置100を背面から見た状態を示している。
図1におけるXYZ軸は直交しており、X軸の方向は、光源装置100の幅方向に一致している。Y軸の方向は、光源装置100の高さ方向に一致しており、Z軸の方向は、光源装置100の奥行方向に一致している。
【0016】
光源装置100は、アルミ合金製の筐体10を備えている。筐体10は、正面部、背面部、天面部、底面部、左側面部、右側面部とからなる箱状の形状となっている。筐体10は、複数の板金部品を組み合わせて構成されており、光源装置100の各種部品を収納している。筐体10は、一部を取り外して、光源装置100の内部を露出させることが可能な構造を有している。
【0017】
<<筐体10の正面構成>>
筐体10の正面部11には、表示部12、コントラスト調整ねじ13、ライトガイド装着用アダプター14、パワーランプ15、エラーランプ16、操作つまみ17、ON/OFFボタン18、MENUボタン(以下では「メニューボタン」と称する)19、及び、電源スイッチ20が設けられている。
【0018】
表示部12は、液晶等による表示画面を備え、光源装置100の状態や設定画面、エラーの表示画面等を表示する。コントラスト調整ねじ13は、表示部12の画面の見え具合を調整するために用いられる。ライトガイド装着用アダプター14は、検査で使用されるライトガイド21の装着に用いられる。
【0019】
パワーランプ15は、光源装置100の電源がONの状態にあるときに点灯する。エラーランプ16は、光源装置100のエラー発生時に点灯や点滅を行う。操作つまみ17は、ユーザーによる回転や押下の操作を検出可能である。ON/OFFボタン18は、手動制御のときに有効となるボタンであり、検査用光の点灯、消灯の切り替えに用いられる。
【0020】
メニューボタン19は、メニュー画面を表示部12に表示させる際に用いられるボタンである。ユーザーがメニューボタン19を所定時間(例えば約4秒)以上にわたり長押しすることにより、メニュー画面が表示される。メニューボタン19の操作が所定時間に満たない状況では、表示部12に運用画面が表示される。
【0021】
<<筐体10の背面構成>>
筐体10の背面部22には、4つの一般用冷却ファン排気孔23、モニター端子台24、ACインレット25、インシュレーター26、トリガー入力コネクタ27、及び、LANコネクタ28、及び、電源用冷却ファン排気孔29が設けられている。
【0022】
一般用冷却ファン排気孔23は、筐体10の内部の熱を排出するファンの排気に用いられる。モニター端子台24は、外部モニター装置の接続に用いられる。ACインレット25は、電力供給のための交流電源との接続に用いられる。インシュレーター26は、光源装置100の、接地面との電気的絶縁や滑り止めなどを行う。電源用冷却ファン排気孔29は、筐体10の内部の、特に電源の熱を排出するファンの排気に用いられる。
【0023】
トリガー入力コネクタ27は、所定の通信ケーブル(ここではRS-232C)の接続に用いられる。LANコネクタ28は、イーサネットケーブルの接続に用いられる。
【0024】
<<筐体10の内部構成>>
筐体10の内部には、
図3に概略的に示すように、3つの光源ユニット30R、30G、30Bや、2つのダイクロイックミラー(第1ダイクロイックミラー32、及び、第2ダイクロイックミラー33)等が設けられている。
【0025】
光源ユニット30Rは、赤色発光用のLEDモジュール(以下では「R-LED」と称する)34を備えている。光源ユニット30Gは、緑色発光用のLEDモジュール(以下では「G-LED」と称する)36を備えており、光源ユニット30Bは、青色発光用のLEDモジュール(以下では「B-LED」と称する)38を備えている。
【0026】
光源ユニット30R、30G、30Bは、レンズ部40R、40G、40Bや、光センサ42R、42G、42B等を有している。光源ユニット30R、30G、30Bには、ヒートシンク(ヒートパイプであってもよい)44R、44G、44Bなどの放熱器が装着されている。
【0027】
光源ユニット30Rは、赤色の光46Rを出射する。光源ユニット30Gは緑色の光46Gを出射する。光源ユニット30Bは青色の光46Bを出射する。光源ユニット30R、30G、30Bは、互いに異なる向きに、それぞれの光46R、46G、46Bを出射する。
【0028】
光源ユニット30R、30G、30Bの光46R、46G、46Bは、第1ダイクロイックミラー32、及び、第2ダイクロイックミラー33により、同じ方向に導かれて重なり合い、3色が混色される。混色される前の光、及び、混色された後の光のいずれについても、「LED光」や「光源光」などと称することが可能である。混色される前の光46R、46G、46Bも、混色された後の光も、いずれも「検査用光」である。いずれか1色のみの光や、2色を混色して形成された光が、検査用の照明光として用いられる場合もある。
【0029】
第1ダイクロイックミラー32は、赤色の光46Rを反射し、緑色の光46Gと青色の光46Bを透過させる。第2ダイクロイックミラー33は、青色の光46Bを反射し、緑色の光46Gを透過させる。混色された光は、出射レンズ系47、及び、出射部48を通る。
【0030】
出射部48は、ライトガイド装着用アダプター14により囲われた空間部分である。出射部48を通る光は、ライトガイド装着用アダプター14に装着されたライトガイド21を介して、筐体10の外部に導かれる。
【0031】
光源装置100は、筐体10内に、冷却ファン49(
図2)や、フィルターチェンジャー80等も備えている。フィルターチェンジャー80には、光学フィルターや減光フィルター90を装着可能である。フィルターチェンジャー80は、回転して、光学フィルターや減光フィルター90を、混色された光の経路中に配置することや、経路外に配置することができる。フィルターチェンジャー80や、光学フィルター、及び、減光フィルター90については後述する。
【0032】
<<制御回路の基本構成>>
図4は、光源装置100に備えられた制御回路の構成を概略的に示している。光源装置100には、前述したように、赤色用のR-LED34、緑色用のG-LED36、青色用のB-LED38が備えられている。これらのR-LED34、G-LED36、B-LED38は、電気的に並列に接続されている。
【0033】
R-LED34、G-LED36、及び、B-LED38には、CPU50の制御により、電源52から電力の供給が行われる。各色のLED34、36、38には、定電流回路54R、54G、54Bが接続されている。
【0034】
各定電流回路54R、54G、54Bには、DAコンバータ(デジタル-アナログコンバータ)56R、56G、56B、オペアンプ58R、58G、58B、トランジスタ60R、60G、60B、抵抗62R、62G、62B、及び、ADコンバータ(アナログ-デジタルコンバータ)64R、64G、64B等がそれぞれ備えられている。本実施形態では、トランジスタ60R、60G、60Bとして、FET(電界効果トランジスタ)が用いられている。
【0035】
CPU50と、各定電流回路54R、54G、54Bの間には、FPGA(Field-Programmable Gate Array)66が設けられている。本実施形態において、FPGA66は、CPU50の信号を、各定電流回路54R、54G、54Bに対して中継する機能を果たしている。また、図示は省略するが、制御回路には、RAMやROM等の各種の記憶手段や、信号の入出力に用いられるインターフェース回路なども備えられている。
【0036】
CPU50から、各定電流回路54R、54G、54BのDAコンバータ56R、56G、56Bに対しては、FPGA66を経由して、デジタル値(DAC値)を示す信号が入力される。このデジタル値(DAC値)は、各色のLED34、36、38に流れる電流を制御するのに用いられる。なお、FPGA66を省略し、CPU50からDAコンバータ56R、56G、56BへFPGA66を介さずに、デジタル値(DAC値)を示す信号を入力してもよい。
【0037】
DAコンバータ56R、56G、56Bは、CPU50から入力されたデジタル値(DAC値)の信号を、アナログ信号に変換する。DAコンバータ56R、56G、56Bの出力信号は、オペアンプ58R、58G、58Bの正帰還端子(図示略)に入力される。図示は省略するが、抵抗62R、62G、62Bの一方の端子は、トランジスタ60R、60G、60Bの端子(例えばソース端子)、及び、オペアンプ58R、58G、58Bの負帰還端子に接続されている。
【0038】
トランジスタ60R、60G、60Bは、オペアンプ58R、58G、58Bから入力される信号に基づいてスイッチング動作を行う。トランジスタ60R、60G、60Bのスイッチング動作に伴い、各LED34、36、38に電流が流れる。
【0039】
LED34、36、38に流れる電流の値は、DAコンバータ56R、56G、56Bからの出力信号の電圧値と、抵抗62R、62G、62Bの抵抗値との比率に応じた値になる。LED34、36、38に電流が流れることにより、LED34、36、38が発光する。LED34、36、38に供給された電流の値は、ADコンバータ64R、64G、64Bを介して、CPU50に入力される。
【0040】
LED34、36、38から出射された光の照度は、光センサ42R、42G、42Bにより検出される。光センサ42R、42G、42Bは、主に、近接して配置されたLED(対応するLED)34、36、38の光を検出する。光センサ42R、42G、42Bの検出結果は、CPU50に入力される。
【0041】
<<調光機能>>
本実施形態の光源装置100は、調光機能を備えている。調光機能は、ユーザーが、表示部12を確認しながら、或いは、コンピュータ機器等の外部接続機器(図示略)を介して、各色の光の明るさを設定できるようにした機能である。
【0042】
CPU50から各定電流回路54R、54G、54Bへ出力されるデジタル値(DAC値)は、ユーザーにより事前に設定された調光値(LS)や目標の照度等に応じ、色毎に異なり得る。調光は、色(各波長)毎に行われる。調光が可能な範囲(調光範囲)は、色毎に、0~1023の1024段階である。
【0043】
調光の状況は、調光値(0~1023の整数)により表される。調光値は、表示部12に表示することが可能である。調光値の表示は、色毎に行われる。調光値の表示態様には、0~1023の数値で表示される態様と、割合(パーセンテージ)により表示される態様とがある。
【0044】
割合による調光値の表示が行われる場合には、調光値により調光可能な範囲である1023を分母とし、ユーザーにより設定された調光値を分子とした演算が行われる。調光の割合は、例えば、1%刻みの数値に変換されて、表示部12に表示される。
【0045】
なお、本実施形態の光源装置100においては、1024段階の調光(10ビットの調光)のほかに、256(0~255)段階の調光(8ビットの調光)が可能である。これらの1024段階の調光と、256段階の調光とのうち、いずれの調光を可能とするかは、ユーザーの設定により切り換えることができる。
【0046】
<<調光レンジ切り替え機能>>
本実施形態の光源装置100は、調光レンジ切り替え機能を備えている。調光レンジ切り替え機能は、調光モードを、HIGH分解能(HIGH分解能モード)と、LOW分解能(LOW分解能モード)との間で切り替える。調光モードの切り替えは、ユーザーが、表示部12を確認しながら、或いは、コンピュータ機器等の外部接続機器(図示略)を介して、行うことが可能である。
【0047】
調光レンジ切り替えにおいては、定電流回路54R、54G、54Bの調光レンジが設定される。調光レンジがHIGH分解能の場合には、最大値(最大光量)の0~100%の範囲で調光が可能であり、調光レンジがLOW分解能の場合には、最大値(最大光量)の0~60%の範囲で調光が可能である。HIGH分解能では、最大光量の100%が調光最大値に対応し、LOW分解能では、最大光量の60%が調光最大値に対応する。ただし、後述するフィードバック(以下では「FB」と称する)機能との組み合わせにより、出射される光の照度は変化する。
【0048】
<<FB機能の概要>>
本実施形態の光源装置100は、FB機能を備えている。FB機能は、CPU50のFB制御により、LED34、36、38の点灯時間が累積して生じる経年劣化(経時劣化、照度経年劣化、照度経時劣化などともいう)を補正するための機能である。FB制御においては、光センサ42R、42G、42Bの受光量(PDS)が、校正値(TBL)に従った値になるよう、各色のLED34、36、38の出力が補正される。校正値(TBL)については後述する。ここで、「受光量(PDS)」の値と「照度」の値は厳密には同じにならないが、両者の間には、互いに比例しほぼ同じになる関係がある。
【0049】
図5のグラフは、FB制御を概念的に示している。
図5において、横軸は、LEDを安定的に発光させている時間(発光時間)を、対数目盛を用いて示している。縦軸は、LEDが出力する光の明るさに係る相対強度(単位:%)を示している。相対強度(%)は、基準時となる過去のLEDの明るさ(強度)に対する、そのときの明るさの割合である。基準時となる過去は、LEDの累積発光時間が0時間の頃のタイミングを例示できる。
【0050】
FB制御を行わない場合、
図5の曲線A(破線)で示すように、LEDの安定化時間が増えると、相対強度は徐々に低下する。
図5の例において、相対強度(%)は、LEDの安定化時間が30,000時間に達する辺りまでは、緩やかに低下している。その後、相対強度(%)の低下は、それまでよりも急激になっている。
【0051】
これに対し、FB制御を行った場合は、
図5の曲線B(実線)で示すように、LEDの安定化時間が増えても、相対強度は徐々に低下する。
図5の例においては、相対強度(%)は、LEDの安定化時間が所定時間(ここでは30,000時間)に達するまで、100%を保っている。
【0052】
前述したように
図5は、あくまでも照度のFB制御を概念的に示すものであり、FB制御を行った場合でも、常に使用開始時(累積発光時間が0時間の頃)の強度が保証されるわけではない。しかし、FB制御を行うことにより、強度の低下は、所定量(例えば3%)以内程度に抑えられる。
【0053】
FB制御は、相対強度の低下が所定量(例えば3%)を超えると実行される。FB制御においては、強度の低下が所定量(例えば3%)以内に達するまで(戻るまで)、対応するLED34、36、38に係る出力の補正が繰り返される。出力の補正は、以下の式(1)により計算される値が、3%の減少である0.97以上になると停止される。
現在の受光量(PDS)/校正値(TBL) ・・・式(1)
【0054】
これらのうち、分母である「現在の受光量(PDS)」は、そのときの光センサ42R、42G、42Bによる測定結果を示す値である。分母である「校正値(TBL)」は、光源装置100のキャリブレーション時に取得された受光量の値である。例えば、式(1)で算出される値が、0.97未満になると補正が開始され、0.97以上に戻ると補正が停止する。
【0055】
キャリブレーションは、光源装置100のユーザーが、ライトガイド21などの周辺機器を装着し、設置環境(使用環境)を整えたうえで行われる。実際に使用するライトガイド21などの特性によって照明光の照度が変化することが考えられるため、ユーザーの設置環境ごとにキャリブレーションが実施される。
【0056】
キャリブレーションは、ユーザーが、光源装置100を、検査等の目的の用途に運用するのに先立ち(実際の運用に先立ち)行われる。詳細は後述するが、キャリブレーションは、1つの色毎に行われる。キャリブレーションにおいては、最大調光値で照度が安定するまでの待機時間を経てから、徐々に調光値を下げて校正値が取得される。
【0057】
なお、以下では、発光した光源部(ここではLED)については「発光光源部」と称することが可能であり、発光していない光源部については「非発光光源部」と称することが可能である。また、発光光源部に対応付けられた光センサ部を「発光光源部用光センサ部」と称することが可能であり、非発光光源部に対応付けられた光センサ部を「非発光光源部用光センサ部」と称することが可能である。
【0058】
<<キャリブレーションの処理>>
図6は、光源装置100により行われるキャリブレーションの処理(キャリブレーション処理)を概略的に示している。キャリブレーション処理は、ユーザーが、電源投入後にメニューボタン19や、操作つまみ17を所定の手順で操作すると開始される。
【0059】
具体的には、
図6のキャリブレーション処理に先立ち、ユーザーが、メニューボタン19(
図1)を押下しながら電源スイッチ20を操作して、電源を投入する。図示は省略するが、初期画面が表示された後、ユーザーが、メニューボタン19から手指を離してメニューボタン19を解放すると、光源装置100は、ユーザーメンテナンスモードにて立ち上がる。
【0060】
ユーザーメンテナンスモードでは、表示部12にパスワード入力画面が表示される。ユーザーが、操作つまみ17を操作して数字を選択し、パスワードとして定められた数字の組み合わせを入力する。パスワードが入力された状態で、入力完了の操作が行われると、表示部12の表示がメニュー画面に切り替わる。メニュー画面には、キャリブレーションの項目が表示されており、キャリブレーションの項目が選択された状態で操作つまみ17が押下されると、画面表示が、キャリブレーション画面に遷移する。
【0061】
キャリブレーション画面が表示された状態で操作つまみ17が押下されると、
図6に示すキャリブレーションの処理が開始される。キャリブレーションの処理は、2段階の分解能(HIGH/LOW)のそれぞれについて行われる。
図6の例では、先ず、分解能がHIGHに設定される(S(ステップ)11)。さらに、RGBの各色について、調光値(LS)が0(ゼロ)に設定される(S12)。
【0062】
続いて、R(赤色)について、キャリブレーションが完了したか否かの判定が行われる(S13)。キャリブレーションが完了していない場合には(S13の判定結果がNOの場合)には、R-LED34(
図3、
図4)が点灯される(S14)。
【0063】
上述のS13において、判定結果がYESの場合には、G-LED36について、キャリブレーションが完了したか否かが判定される(S15)。キャリブレーションが完了していない場合(S15がNOの場合)には、G-LED36が点灯される(S16)。S15において、判定結果がYESの場合には、B-LED38が点灯される(S17)。
【0064】
点灯されたLED(LED34、36、38のうちの点灯されたもの)についてのLS(調光値)が「1023」に設定され(S18)、照度安定待機の処理が所定時間(ここでは10分間)にわたり継続される(S19)。照度安定待機の処理は、点灯されたLEDの照度が安定するのを待つための処理である。
【0065】
照度安定待機の処理(S19)が完了すると、点灯しているLEDについて、HIGH分解能における照度の測定結果が求められ、測定結果が保存(記憶)される(S20)。上記S20での照度の測定においては、点灯しているLEDに対応した光センサ(例えば光センサ42R)のみでなく、消灯しているLEDに対応した光センサ(例えば光センサ42G、42B)の測定結果も保存される。
【0066】
照度の測定(S20)において、消灯しているLEDに対応した光センサにより検出される光は、筐体10内に発生する漏れ光である。漏れ光は、点灯しているLED(LEDのパッケージ)や、そのLEDの光源ユニット(光源ユニット30R、30G、30B)から筐体10内に漏れた光である。漏れ光の経路は不明であるが、漏れ光には、直接的に光センサに入射するものや、筐体10内で反射して光センサ42R、42G、42Bに入射するものがあると考えられる。
【0067】
例えば、R-LED34のみが点灯している場合、消灯しているG-LED36に対応した光センサ42Gや、B-LED38に対応した光センサ42Bによっても、R-LED34の光が、漏れ光として検出される。各色用の光センサ42R、42G、42Bは、対応する色(対応色)のLED34、36、38の検出に適した位置(LED34、36、38の近傍の位置など)に配置されている。
【0068】
このため、光センサ42R、42G、42Bは、対応色のLED34、36、38から出射された光を最も多く検出する。例えば、R-LED34が点灯している場合、対応色の光センサ42Rによる測定結果の値に対して、対応色でない色(非対応色)の光センサ42G、42Bによる測定結果の値は、数%以下になる。このことは、G-LED36が点灯している場合における光センサ42R、42Bや、B-LED38が点灯している場合における光センサ42R、42Gについても同様である。
【0069】
FB制御は、前述したように、相対強度の低下が所定量(例えば3%)を超えると実行される。このため、例えば1%の測定結果の低下であっても、全体の相対強度の低下に対する割合は大きい。つまり、非対応色についての測定結果の値が例え全体相対強度の1%であったとしても、FB制御の実行条件である所定量(ここでは3%)と比較すれば約33%に相当し、割合が大きいため、非対応色についての測定結果を考慮することは重要である。
【0070】
漏れ光の発生を完全に防ぐことは困難であり、特段の工夫を施さなくても、漏れ光は検出される。しかし、例えば
図8に示すように、漏れ光の検出に適した構造を採用することも可能である。
図8の詳細については後述する。
【0071】
前述したS20(照度の測定と保存)で保存される測定結果は、キャリブレーションの最初の段階では、HIGH分解能においてLS(調光値)が「1023」の場合の照度である。HIGH分解能におけるLS=1023の場合の測定結果が得られると、LEDが消灯され(S21)、LS=1023のまま、分解能がLOWに切り替えられる(S22)。
【0072】
LOW分解能の状態において、測定の対象となるLEDが、そのときのLS(ここでは1023)に基づき点灯される(S23)。そして、点灯しているLEDについて、LOW分解能における照度の測定結果が求められ、測定結果が保存(記憶)される(S24)。
【0073】
つまり、照度の測定(S20)にて、HIGH分解能におけるLS=1023の測定結果が得られた直後のS24では、R-LED34について、LOW分解能におけるLS=1023の測定結果が保存される。その後、LEDが消灯され(S25)、分解能がHIGHに切り替えられる(S26)。
【0074】
LSが「0」になったか否かの判定が行われ(S27)、LS=0でない場合(S27がNOの場合)は、LSが次段階の値に変更される(S28)。LSの変更は、色毎に、13段階にわたって行われる。
【0075】
本実施形態においてLSの変更は、0~1023の連続した値のうち、「0」、「1」、「101」、「201」、「301」、「401」、「501」、「601」、「701」、「801」、「901」、「1001」、「1023」の13個の値について行われる(S28)。LSの値毎に、S20~S28の処理が繰り返され、HIGH分解能、LOW分解能の順で測定結果が得られる。
【0076】
LS=1023で照度の測定と保存(S20、S24)が行われた後には、LSが1段階下げられ、LS=1001とされる。さらに、同じR-LED34について、HIGH分解能、LOW分解能の順で、LS=1001での測定結果が得られ(S20~S26)、次には、LS=901での測定結果が得られる(S20~S26)。
【0077】
このように、LSを段階的に、「1023」、「1001」、「901」、「801」、「701」、「601」・・・と下げて同様の処理が行われる(S20~S26)。LSが「0」に達した場合(S27がYESの場合)には、B-LED38についての処理が完了しているか否かが判定され(S29)、完了していない場合(S29でNOの場合)には、処理がS13に移行する。
【0078】
S13では、前述のようにR-LED34についての処理が完了しているか否かが判定され、完了していない場合(S30でNOの場合)には、R-LED34が点灯される(S14)。そして、S18以降の処理が実行される。
【0079】
S13で、R-LED34についての処理が完了した旨の判定がされた場合(S13でYESの場合)には、G-LED36についての処理が完了しているか否かが判定され(S15)、完了していない場合(S15でNOの場合)には、G-LED36が点灯される(S16)。そして、G-LED36について、R-LED34の場合と同様に、S18以降の処理が実行される。
【0080】
S15で、G-LED36についての処理が完了した旨の判定がされた場合(S15でYESの場合)には、B-LED38が点灯される(S17)。そして、B-LED38について、R-LED34やG-LED36の場合と同様に、S18以降の処理が実行される。
【0081】
このように、R-LED34、G-LED36、B-LED38の順で同様の処理が繰り返される。そして、B-LED38について、LS=0に達した場合には、S29で肯定判定(YESの判定)が行われ、キャリブレーションが終了する。
【0082】
<<測定結果の一例>>
図7の表は、キャリブレーションにより得られた測定結果の一例を示している。
図7の例では、表の左端列(表側)に示すHIGH分解能とLOW分解能で、LS毎に、表の最上行(表頭)に示すように各色のLED34、36、38を点灯した場合における、光センサ42R、42G、42Bの測定結果(受光量(PDS))を示している。
【0083】
より詳細には、HIGH分解能、及び、LOW分解能の右側の欄には、LSの値として上段から、「1023」、「1001」、「901」、・・・、「101」、「1」、「0」の値が示されている。各々のLSについて、表頭に「R点灯時」、「G点灯時」、及び、「B点灯時」の欄が示されており、これらの欄は、「<R>PDS」、「<G>PDS」、及び、「<B>PDS」の欄に分けられている。
【0084】
これらのうち、「<R>PDS」は、R-LED34に対応した光センサ42Rの測定結果であることを示している。「<G>PDS」は、G-LED36に対応した光センサ42Gの測定結果であることを示している。「<B>PDS」は、B-LED38に対応した光センサ42Bの測定結果であることを示している。
【0085】
例えば、「R点灯時」の欄における、HIGH分解能のLS=1023については、<R>PDS、<G>PDS、<B>PDSの値が、それぞれ「53526」、「651」、「420」となっている。これらの数値は、HIGH分解能のLS=1023でR-LED34を点灯した場合に、赤色用の光センサ42Rの測定結果が「53526」であり、緑色用の光センサ42Gの測定結果が「651」であり、青色用の光センサ42Bの測定結果が「420」であったことを表している。
【0086】
また、
図7には、例えば、LOW分解能のLS=1023でR-LED34を点灯した場合に、赤色用の光センサ42Rの測定結果が「32116」であり、緑色用の光センサ42Gの測定結果が「391」であり、青色用の光センサ42Bの測定結果が「252」であったことが示されている。
【0087】
ここでは、R-LED34をLS=1023で点灯させた場合の例を説明したが、R-LED34を他のLSで点灯した場合についても同様に、各色用の光センサ42R、42G、42Bで測定結果が得られる。また、G-LED36やB-LED38を点灯した場合についても同様に、各色用の光センサ42R、42G、42Bで測定結果が得られる。
【0088】
前述したように、点灯させていない(非点灯の)LEDに対応した光センサにおいても測定結果が得られるのは、漏れ光が検出されるためである。漏れ光の測定結果は、例えば、LOW分解能でのR-LED34の点灯時における赤色用の光センサ42Rの測定結果が「32116」であるのに対し、光センサ42Gの測定結果は「391」であり、割合は約1.2%(=391/32116)である。また、光センサ42Bの測定結果は「252」であり、割合は約0.7%(=252/32116)である。
【0089】
<<目標値の演算例>>
図6に示すキャリブレーションの処理が実行されて、
図7に示すようなテーブル(校正値テーブル)が作成される。校正値テーブルに規定された値(校正値)は、キャリブレーションにおける測定結果の値である。測定が行われないLSでの校正値については後述する。
【0090】
校正値は、光源装置100がユーザーによって検査に用いられる運用時には、各色のLED34、36、38が、設定された調光値で光を出射するための目標値となる。目標値に基づき、各色のLED34、36、38を駆動するためのデジタル値(DAC値)が決定される。このデジタル値(DAC値)は、前述したように、各色のLED34、36、38に流れる電流を制御するために、CPU50からDAコンバータ56R、56G、56Bに対して供給される信号の大きさである。測定結果が目標範囲(ここでは3%以内)に達しない場合は、自動的にLED34、36、38に流れる電流値が少しずつ(決められた量ずつ)調整される。
【0091】
目標値は、以下のように演算される。例えば、ユーザーによる設定内容が、HIGH分解能で、且つ、R-LED34についてはLS=501、G-LED36についてはLS=301、B-LED38についてはLS=701であったとする。
【0092】
この場合、R-LED34の駆動に用いられる目標値は、「33837」となる。この目標値は、
図7に示す校正値テーブルの、HIGH分解能のLS=501の欄における、R点灯時の<R>PDSの値である「32716」と、HIGH分解能のLS=301の欄における、G点灯時の<R>PDSの値である「843」と、HIGH分解能のLS=701の欄における、B点灯時の<R>PDSの値である「278」との合計(32716+843+278=33837)である。
図7において、R-LED34の目標値の算出に係る各数値の欄は、実線の枠により囲われている。
【0093】
また、G-LED36の駆動に用いられる目標値は、HIGH分解能のLS=501の欄における、R点灯時の<G>PDSの値である「482」と、HIGH分解能のLS=301の欄における、G点灯時の<G>PDSの値である「24112」と、HIGH分解能のLS=701の欄における、B点灯時の<G>PDSの値である「155」との合計である「24749」(=482+24112+155)とされる。
図7において、G-LED36の目標値の算出に係る各数値の欄は、二重線の枠により囲われている。
【0094】
さらに、B-LED38の駆動に用いられる目標値は、HIGH分解能のLS=501の欄における、R点灯時の<B>PDSの値である「286」と、HIGH分解能のLS=301の欄における、G点灯時の<B>PDSの値である「1221」と、HIGH分解能のLS=701の欄における、B点灯時の<B>PDSの値である「23771」との合計である「25278」(=286+1221+23771)とされる。
図7において、B-LED38の目標値の算出に係る各数値の欄は、破線の枠により囲われている。
【0095】
これらの例のように、所定の調光値において、目的の色(点灯目的色)のLEDを点灯駆動するのに用いられる目標値は、(1)点灯目的のLED(点灯目的光源)に対応した光センサについての校正値と、(2)点灯目的以外のLED(非点灯目的光源)に対して設定された調光値で、且つ、非点灯目的光源における点灯目的色の光センサに係る校正値と、を用いて決定される。
【0096】
点灯目的色が赤である場合、点灯目的光源は、R-LED34である。非点灯目的光源は、G-LED36とB-LED38である。赤色に係る所定の調光値として、前述の例のようにHIGH分解能のLS=501が設定された場合、上記(1)の事項に関して、点灯目的光源に対応した光センサ42Rについての校正値は「32716」である。
【0097】
また、上記(2)の事項に関して、非点灯目的光源であるG-LED36とB-LED38に対応して設定された調光値は、前述の例では、G-LED36についてはLS=301であり、B-LED38についてはLS=701である。
【0098】
同じく上記(2)の事項に関して、これらの非点灯目的光源における点灯目的色(ここでは赤色)の光センサ42Rに係る校正値は、G-LED36については「843」であり、B-LED38については「278」である。そして、これらの値が合計され、目標値として、前述の「33837」(=32716+843+278)が算出される。
【0099】
LOW分解能の場合も同様である。例えば、ユーザーによる設定内容が、LOW分解能で、且つ、R-LED34についてはLS=1023、G-LED36についてはLS=101、B-LED38についてはLS=1であったとする。
【0100】
この場合、R-LED34の駆動に用いられる目標値は、LOW分解能のLS=1023の欄における、R点灯時の<R>PDSの値である「32116」と、LOW分解能のLS=101の欄における、G点灯時の<R>PDSの値である「225」と、LOW分解能のLS=1の欄における、B点灯時の<R>PDSの値である「11」との合計である「32352」(=32116+225+11)である。
【0101】
また、G-LED36の駆動に用いられる目標値は、LOW分解能のLS=1023の欄における、R点灯時の<G>PDSの値である「391」と、LOW分解能のLS=101の欄における、B点灯時の<G>PDSの値である「6507」と、LOW分解能のLS=1の欄における、G点灯時の<G>PDSの値である「5」との合計である「6903」(=391+6507+5)となる。
【0102】
さらに、B-LED56の駆動に用いられる目標値は、LOW分解能のLS=1023の欄における、R点灯時の<B>PDSの値である「252」と、LOW分解能のLS=101の欄における、G点灯時の<B>PDSの値である「309」と、LOW分解能のLS=1の欄における、B点灯時の<B>PDSの値である「1015」との合計である「1576」(=252+309+1015)となる。
【0103】
<<校正値の補間>>
図7に示す校正値テーブルには、調光値として、「0」、「1」、「101」、「201」、「301」、「401」、「501」、「601」、「701」、「801」、「901」、「1001」、「1023」の13個(13階調、13ポイント)のみが規定されている。キャリブレーションでは、13ポイントごとにRGBの受光量が取得され、13にポイントについてのみ実測値が保存される。これらの13ポイントを、以下では「実測ポイント」と称する。
【0104】
調光値としては、0~1023の値がある。各調光値について、校正値が定められるが、実測ポイント以外の調光値については、実測値を利用した直線補間(線形補間、1次補間などともいう)により算出され、保存されている。校正値の算出は、以下の式(2)により求めることが可能である。
Y=Y1+[(Y2-Y1)/(X2-X1)]×(X-X1) ・・・式(2)
X:任意の調光値
X1:Xより小さく当該Xに最も近い実測ポイント
X2:Xより大きく当該Xに最も近い実測ポイント
Y:算出される校正値
Y1:Yより小さくYに最も近い実測値の校正値
Y2:Yより大きくYに最も近い実測値の校正値
【0105】
例えば、HIGH分解能でR点灯させた場合のR-LED34について、調光値が「750」であれば、上記式(2)より、校正値は以下のように求められる。
Y=42425+[(46734-42425)/(801-701)]×(750-701)
=[4309/100]×49=42425+2111.41
=44536.41
≒44536
【0106】
このような校正値の算出は、HIGH分解能の他の実測ポイント以外の調光値に係る、いずれの校正値についても同様である。また、漏れ光の校正値についても同様である。さらに、LOW分解能における、いずれの実測ポイント以外の調光値についても同様である。
【0107】
<<FB制御に係る他の事項>>
照明光の照度が低下し、FB制御が行われている状況(FB制御時)には、エラーランプ16のLED(エラーLED)が、FB制御時である旨の報知動作を行う。この場合の報知動作の態様としては、例えば所定時間(1秒など)間隔での点滅等を例示できる。FB制御できない状況である場合には、エラーランプ16が、FB制御不許可時である旨の報知動作を行う。この場合の報知動作の態様としては、例えば所定時間(0.2秒など)間隔での点滅等を例示できる。
【0108】
FB制御不許可時としては、光源装置100が、発光対象のLED(LED34、36、38の全て又は一部)が断続的(ここでは周期的)に点滅する状態(パルス駆動される状態)であるパルス点灯モードで動作している場合を挙げることができる。
【0109】
つまり、光源装置100は、複数の点灯モードを備えており、点灯モードには、上述のパルス点灯モードと、常時点灯モードが含まれる。常時点灯モードは、発光対象のLEDが連続して点灯を継続している状態(常時点灯駆動される状態)である。
【0110】
本実施形態の光源装置100において、FB機能は、点灯モードが常時点灯モードに設定されている場合に有効になる。また、点灯モードの設定時においても、FB機能を有効にするか無効にするかの設定(FB機能ON/OFFの設定)を行うことができる。点灯モードの設定や、FB機能ON/OFFの設定は、ユーザーが、表示部12を確認しながら、或いは、コンピュータ機器等の外部接続機器(図示略)を介して、行うことが可能である。FB機能がONに設定されている状況では、表示部12に、その旨のアイコンが表示される。
【0111】
<<漏れ光の検出に係る変形例>>
図8は、漏れ光を一層効率よく検出できるようにするための構成(
図3の例に対する変形例)を概略的に示している。
図8の例では、LED(ここではR-LED34を例とする)が、遮光性ケース82の中に収容されている。遮光性ケース82は、アルミ合金などの素材を加工して形成されている。遮光性ケース82の壁部には、光検出用孔84が貫通するよう形成されている。
【0112】
この光検出用孔84は、例えば、真円状に開口しており、その直径は1mm以下~数mm程度である。遮光性ケース82には、レンズ部40Rが装着されている。R-LED34の光は、レンズ部40Rを介して、外部(ここでは光源ユニット30R)の外部へ出射される。
【0113】
遮光性ケース82の外部には、対応色の光センサ(ここでは光センサ42R)が配置されている。光センサ42Rは、光検出用孔84に対向するように配置されている。光センサ42Rは、遮光性ケース82内に設置されているR-LED34の光の照度を、光検出用孔84により絞った状態で測定(検出)する。このような光検出構造は、他の色のLED(ここではG-LED36、B-LED38)にも同様に採用されている。
【0114】
R-LED34の光の一部は、光検出用孔84を通って漏れ光となり、筐体10(
図3)内を進む。図示は省略するが、他のG-LED36や、B-LED38の光の一部も同様に、漏れ光となって筐体10(
図3)内を進む。G-LED36やB-LED38の漏れ光は、それぞれの遮光性ケース82の外部に設けられた光センサ42Rにより検出される。
【0115】
このような光検出構造を採用することにより、光センサ42R、42G、42B(ここでは「光センサ42R等」と称する)は、非対応色の漏れ光をより確実に検出することが可能になる。また、光センサ42R等が遮光性ケース82の外部に配置されることから、光センサ42R等の感度を遮光性ケース82と、光検出用孔84により調整することが可能である。さらに、LED34、36、38の光を光検出用孔84に通すため、漏れ光の量を絞って抑制できる。また、漏れ光の量を抑制することにより、光センサ42R等の経年劣化(経時劣化)を抑制できる。
【0116】
<<<本実施形態に係る発明のメリット>>>
以上説明したように、本実施形態の光源装置100によれば、光源装置100の運用に先立ち、各色のLED34、36、38を順に発光させ、光センサ42R、42G、42Bの検出結果に基づいて各色のLED34、36、38についての校正値が規定される。さらに、光源装置100の運用時に、少なくとも1つの光センサ42R、42G、42Bの検出結果に基づき所定量以上の照度の低下が検出された場合に、校正値に基づき、LED34、36、38を駆動するための目標値が算出され、目標値に基づきLED34、36、38が駆動される。
【0117】
したがって、運用前の状況に基づき、的確に照度の補正を行うことが可能である。さらに、色毎にFB制御を行うことができ、例えば、混色された光を検出してFB制御を行う場合に比べて、FB制御を一層緻密に行うことが可能である。
【0118】
さらに、光源装置100によれば、光センサ42R、42G、42Bは、対応付けられていない色のLED34、36、38の照度も検出可能である。したがって、漏れ光を含めて、より的確に照度の補正を行うことが可能である。
【0119】
また、光源装置100によれば、CPU50は、校正値テーブルを作成する際に、発光したLEDに対応する光センサの検出結果と、発光していないLEDに対応した光センサの検出結果とに基づいて校正値を規定する。したがって、より的確に照度の補正を行うことが可能である。
【0120】
さらに、光源装置100によれば、運用時には、ユーザーが、LED34、36、38の照度の度合いを指定するための複数の調光値のうちのいずれかを選択可能であり、校正値テーブルの作成は、調光値毎にLED34、36、38を発光させて行われる。したがって、より的確に照度の補正を行うことが可能である。
【0121】
なお、光源装置100における光の色の数は、3色に限らず、3色未満や、4色以上であってもよい。
【0122】
<<<光センサ42R、42G、42Bの応用>>>
<<応用例1>>
光センサ42R、42G、42Bについても、経年劣化(経時劣化)が生じることが分かっている。例えば、RGBの3色であれば、B-LED38に対応して設けられた光センサ42Bが、最も劣化を生じ易い。このため、3色の光センサ42R、42G、42Bで比較した場合には、光センサ42Bの検出精度が、最も早く低下する。
【0123】
このように劣化の程度に違いが生じることを利用して、相対的に劣化の進み具合が大きい光センサを判別する、といったことが考えられる。具体的には、キャリブレーション時に得られた校正値と、運用時における光センサ42R、42G、42Bの測定値とを色毎に比較する。校正値に比べて測定値が低下している状況で、低下の程度(例えば、校正値に対する割合)が、所定量(例えば数%程度など)以上に達した光センサを見付け出す。
【0124】
そして、例えばCPU50において、該当する光センサについて、劣化が所定程度以上に進んだことを判定し、他の光センサよりも劣化していることを、例えば、表示部12に表示する。さらに、その旨の情報を外部機器に出力できるようにする。
【0125】
<<応用例2>>
他の応用例として、光学系に青色の波長カットフィルター(ロングパスフィルター)を設けることが考えられる。このようにすることで、青色用の光センサ42Bの劣化を抑制することができる。
【0126】
<<応用例3>>
他の応用例として、光学系に青色励起蛍光体を使用した光学素子を設けることが考えられる。青色励起蛍光体は、青色の補色である黄色の粒子や薄膜により、青色成分を励起光として白色で発光する。光学素子の作製にあたっては、青色成分が透過しないよう、青色励起蛍光体の粒子を基材(透明板)中に分散させたり、青色励起蛍光体の薄膜を基材に形成したりする。青色励起蛍光体としては、例えば、株式会社NTKセラテックのフォスセラ(登録商標)などがある。
<<応用例4>>
また、他の応用例として、検査に使用されるカメラ(検査用カメラ、図示略)との感度の適合を図ることが考えられる。例えば、光源装置100が使用される環境では、検査用カメラもセットで使用されることが多い。しかし、光センサ42R、42G、42Bの感度と、カメラの感度とは異なるので、感度の相違への対応策が必要となる場合がある。
【0127】
このため、光源装置100に光学フィルター(図示略)を追加し、光源装置100側の感度を変更する。光学フィルターは、光センサ42R、42G、42Bに対して個々に設置される。光学フィルターの特性は、光センサ42R、42G、42Bと検査用カメラとの間の感度の相違を解消できる特性を有するものとする。光センサ42R、42G、42Bと検査用カメラとの感度の相違は、予め確認され、確認結果は、光学フィルターの選定の際に利用される。
【0128】
<<応用例5>>
また、光源装置100に、検査用カメラからの信号、あるいは検査用カメラで取得した画像の情報(例えば平均輝度値等)を入力できるようにする。そして、上記の検査用カメラからの信号、あるいは検査用カメラで取得した画像の情報を、光源装置100において使用し、検査用カメラとの特性の整合を図る。例えば、検査用カメラにより、キャリブレーション用のサンプルを撮像して、補正用のテーブルを作成しておく。キャリブレーションは、リアルタイムでは行わずに定期的(例えば1日1回など)に実行する。
【0129】
あるいは、他の方法として、初期設定において事前に、キャリブレーション用のサンプルを検査用カメラにより撮像しておく。その後のキャリブレーション時には、すべての色について同じ明るさにするために各色のLEDの出力を何%上げたのかを保存(記憶)し、保存された値を補正値として利用する。
【0130】
<<<本実施の形態の詳細>>>
上述したように、本発明は、本実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす記載及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきでない。このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことはもちろんである。
【符号の説明】
【0131】
10 :筐体
21 :ライトガイド
30R :赤色用の光源ユニット
30G :緑色用の光源ユニット
30B :青色用の光源ユニット
32 :第1ダイクロイックミラー
33 :第2ダイクロイックミラー
34 :R-LED
36 :G-LED
38 :B-LED
42R :赤色用の光センサ
42G :緑色用の光センサ
42B :青色用の光センサ
46R :赤色の光
46G :緑色の光
46B :青色の光
47 :出射レンズ系
48 :出射部
50 :CPU
100 :光源装置
【要約】
【課題】光の照度を的確に制御することが可能な光源装置を提供する。
【解決手段】LED34、36、38を駆動し、光センサ42G、42G、42Bの検出結果に基づきLED34、36、38から出射された光の照度を判定することが可能なCPU50を備え、CPU50は、運用に先立って校正値テーブルの作成を行い、校正値テーブルの作成の際に、各色のLED34、36、38を順に発光させ、光センサ42G、42G、42Bの検出結果に基づいて各色のLED34、36、38についての校正値を規定し、運用時において、少なくとも1つの光センサ部の検出結果に基づき所定量以上の照度の低下が検出された場合に、校正値に基づき、LED34、36、38を駆動するための目標値を算出し、目標値に基づきLED34、36、38を駆動する。
【選択図】
図4