IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パーパス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-給湯装置、プログラムおよび制御方法 図1
  • 特許-給湯装置、プログラムおよび制御方法 図2
  • 特許-給湯装置、プログラムおよび制御方法 図3
  • 特許-給湯装置、プログラムおよび制御方法 図4
  • 特許-給湯装置、プログラムおよび制御方法 図5
  • 特許-給湯装置、プログラムおよび制御方法 図6
  • 特許-給湯装置、プログラムおよび制御方法 図7
  • 特許-給湯装置、プログラムおよび制御方法 図8
  • 特許-給湯装置、プログラムおよび制御方法 図9
  • 特許-給湯装置、プログラムおよび制御方法 図10
  • 特許-給湯装置、プログラムおよび制御方法 図11
  • 特許-給湯装置、プログラムおよび制御方法 図12
  • 特許-給湯装置、プログラムおよび制御方法 図13
  • 特許-給湯装置、プログラムおよび制御方法 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】給湯装置、プログラムおよび制御方法
(51)【国際特許分類】
   F23N 5/24 20060101AFI20240405BHJP
   F23N 5/00 20060101ALI20240405BHJP
   F23N 5/12 20060101ALI20240405BHJP
   F24H 1/14 20220101ALI20240405BHJP
   F24H 15/365 20220101ALI20240405BHJP
   F24H 15/429 20220101ALI20240405BHJP
【FI】
F23N5/24 106A
F23N5/00 C
F23N5/00 R
F23N5/12 F
F24H1/14 B
F24H15/365
F24H15/429
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022184037
(22)【出願日】2022-11-17
(62)【分割の表示】P 2018223710の分割
【原出願日】2018-11-29
(65)【公開番号】P2023015324
(43)【公開日】2023-01-31
【審査請求日】2022-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000170130
【氏名又は名称】パーパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083725
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100140349
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 継立
(74)【代理人】
【識別番号】100153305
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 卓弥
(74)【代理人】
【識別番号】100206933
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】望月 融
(72)【発明者】
【氏名】佐野 吉昭
(72)【発明者】
【氏名】富岡 洋之
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-140964(JP,A)
【文献】特開2017-172921(JP,A)
【文献】特開2017-026224(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23N 5/00-5/26
F24H 1/00-15/493
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第一給湯ユニットと第二給湯ユニットを備え、前記第一給湯ユニットおよび前記第二給湯ユニットの何れか一方または双方からの給湯が可能な給湯装置であって、
前記第一給湯ユニットおよび前記第二給湯ユニットのそれぞれに第1バーナーユニットと第2バーナーユニットを備え、
前記第1バーナーユニットが複数のバーナーとともに炎センサーを備え、
前記第2バーナーユニットが前記第1バーナーユニットと異なり複数のバーナーのみを備え、
前記第1バーナーユニットのみを燃焼させる第1燃焼モード、前記第2バーナーユニットのみを燃焼させて前記第1燃焼モードを超える燃焼量が得られる第2燃焼モード、前記第1バーナーユニットおよび前記第2バーナーユニットの双方を燃焼させて前記第2燃焼モードを超える燃焼量が得られる第3燃焼モードが設定され、給湯要求に応じて前記第一給湯ユニットまたは前記第二給湯ユニットの何れか一方または双方の選択と、前記第1燃焼モード、前記第2燃焼モードまたは前記第3燃焼モードの何れかの選択とを行い、前記第1燃焼モードまたは前記第3燃焼モードの実行中のみ、前記炎センサーの炎検出に基づき燃焼制御を行う制御部を備える、給湯装置。
【請求項2】
少なくとも第一給湯ユニットと第二給湯ユニットを備え、前記第一給湯ユニットおよび前記第二給湯ユニットの何れか一方または双方からの給湯が可能であり、前記第一給湯ユニットおよび前記第二給湯ユニットのそれぞれに、複数のバーナーとともに炎センサーを含む第1バーナーユニットと、前記第1バーナーユニットと異なり複数のバーナーのみを含む第2バーナーユニットを備える給湯装置に搭載されたコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記第1バーナーユニットのみを燃焼させる第1燃焼モード、前記第2バーナーユニットのみを燃焼させて前記第1燃焼モードを超える燃焼量が得られる第2燃焼モード、前記第1バーナーユニットおよび前記第2バーナーユニットの双方を燃焼させて前記第2燃焼モードを超える燃焼量が得られる第3燃焼モードが設定され、給湯要求に応じて前記第一給湯ユニットまたは前記第二給湯ユニットの何れか一方または双方の選択と、前記第1燃焼モード、前記第2燃焼モードまたは前記第3燃焼モードの何れかの選択とを行い、前記第1燃焼モードまたは前記第3燃焼モードの実行中のみ、前記炎センサーの炎検出に基づき燃焼制御を行う機能を前記コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項3】
少なくとも第一給湯ユニットと第二給湯ユニットを備え、前記第一給湯ユニットおよび前記第二給湯ユニットの何れか一方または双方からの給湯が可能であり、前記第一給湯ユニットおよび前記第二給湯ユニットのそれぞれに、複数のバーナーとともに炎センサーを含む第1バーナーユニットと、前記第1バーナーユニットと異なり複数のバーナーのみを含む第2バーナーユニットを備える給湯装置の制御方法であって、
前記第1バーナーユニットのみを燃焼させる第1燃焼モード、前記第2バーナーユニットのみを燃焼させて前記第1燃焼モードを超える燃焼量が得られる第2燃焼モード、前記第1バーナーユニットおよび前記第2バーナーユニットの双方を燃焼させて前記第2燃焼モードを超える燃焼量が得られる第3燃焼モードが設定され、給湯要求に応じて前記第一給湯ユニットまたは前記第二給湯ユニットの何れか一方または双方の選択と、前記第1燃焼モード、前記第2燃焼モードまたは前記第3燃焼モードの何れかの選択とを行い、前記第1燃焼モードまたは前記第3燃焼モードの実行中のみ、前記炎センサーの炎検出に基づき燃焼制御を行う工程を含む、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のバーナー部を備える給湯ユニットを複数台備え、幅広い範囲の給湯要求に対応可能な給湯装置の燃焼制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
厨房などに用いられる給湯装置では、湯の大量消費に対応するために、単一の給湯装置の内部に複数の給湯ユニットを備えるものがある(たとえば、特許文献1)。また、燃焼部内にある複数のバーナーを数本ずつのバーナー部に区分けし、必要な燃焼量に応じて、これらのバーナー部を組み合せて燃焼させるものがある(たとえば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-172921号公報
【文献】特開2008-128575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、燃料ガスを燃焼させるバーナーなどの燃焼手段は、適切な燃焼状態か否かを定期的に監視している。この燃焼状態は、空気の供給量が関係しており、燃料ガスと空気の割合に応じて、燃焼による窒素酸化物(NOx)の発生量が変化するほか、バーナーの不完全燃焼状態などが発生するおそれがある。そのため、燃焼手段を備える給湯装置では、燃焼状態の監視結果に応じて燃焼改善処理を行っている。この燃焼状態の監視には、フレームロッドなどが利用されるが、コストや設置スペースなどにより給湯装置に設置される個数が限られている。
【0005】
また、給湯装置は、複数のバーナーを数本ずつにまとめて区分けし、給湯要求に応じて区分けられたバーナーを組み合せて燃焼させている。このようなバーナーを区分けして燃焼させる場合、フレームロッドから離間した区分のバーナーについては燃焼状態の監視を行うことができない。
【0006】
大容量の給湯消費を行う施設などでは、給湯要求の変動が少なく、かつ長時間継続的に同じ給湯要求が続く場合がある。このとき給湯装置は、たとえば給湯要求に合せて区分けされたバーナーが選択されて燃焼が継続すれば、フレームロッドによる燃焼状態の監視やバーナーの燃焼改善が行えない状態が続くおそれがある。
【0007】
斯かる課題について、特許文献1、2には開示や示唆はなく、特許文献1、2に開示された構成では斯かる課題を解決することができない。
【0008】
そこで、本発明は上記課題に鑑み、給湯要求に応じてバーナーの燃焼監視処理および燃焼改善処理が定期的に実行可能な燃焼制御を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の給湯装置の一側面によれば、少なくとも第一給湯ユニットと第二給湯ユニットを備え、前記第一給湯ユニットおよび前記第二給湯ユニットの何れか一方または双方からの給湯が可能な給湯装置であって、前記第一給湯ユニットおよび前記第二給湯ユニットのそれぞれに第1バーナーユニットと第2バーナーユニットを備え、前記第1バーナーユニットが複数のバーナーとともに炎センサーを備え、前記第2バーナーユニットが前記第1バーナーユニットと異なり複数のバーナーのみを備え、前記第1バーナーユニットのみを燃焼させる第1燃焼モード、前記第2バーナーユニットのみを燃焼させて前記第1燃焼モードを超える燃焼量が得られる第2燃焼モード、前記第1バーナーユニットおよび前記第2バーナーユニットの双方を燃焼させて前記第2燃焼モードを超える燃焼量が得られる第3燃焼モードが設定され、給湯要求に応じて前記第一給湯ユニットまたは前記第二給湯ユニットの何れか一方または双方の選択と、前記第1燃焼モード、前記第2燃焼モードまたは前記第3燃焼モードの何れかの選択とを行い、前記第1燃焼モードまたは前記第3燃焼モードの実行中のみ、前記炎センサーの炎検出に基づき燃焼制御を行う制御部を備える。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明のプログラムの一側面によれば、少なくとも第一給湯ユニットと第二給湯ユニットを備え、前記第一給湯ユニットおよび前記第二給湯ユニットの何れか一方または双方からの給湯が可能であり、前記第一給湯ユニットおよび前記第二給湯ユニットのそれぞれに、複数のバーナーとともに炎センサーを含む第1バーナーユニットと、前記第1バーナーユニットと異なり複数のバーナーのみを含む第2バーナーユニットを備える給湯装置に搭載されたコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記第1バーナーユニットのみを燃焼させる第1燃焼モード、前記第2バーナーユニットのみを燃焼させて前記第1燃焼モードを超える燃焼量が得られる第2燃焼モード、前記第1バーナーユニットおよび前記第2バーナーユニットの双方を燃焼させて前記第2燃焼モードを超える燃焼量が得られる第3燃焼モードが設定され、給湯要求に応じて前記第一給湯ユニットまたは前記第二給湯ユニットの何れか一方または双方の選択と、前記第1燃焼モード、前記第2燃焼モードまたは前記第3燃焼モードの何れかの選択とを行い、前記第1燃焼モードまたは前記第3燃焼モードの実行中のみ、前記炎センサーの炎検出に基づき燃焼制御を行う機能を前記コンピュータに実行させる。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の制御方法の一側面によれば、少なくとも第一給湯ユニットと第二給湯ユニットを備え、前記第一給湯ユニットおよび前記第二給湯ユニットの何れか一方または双方からの給湯が可能であり、前記第一給湯ユニットおよび前記第二給湯ユニットのそれぞれに、複数のバーナーとともに炎センサーを含む第1バーナーユニットと、前記第1バーナーユニットと異なり複数のバーナーのみを含む第2バーナーユニットを備える給湯装置の制御方法であって、前記第1バーナーユニットのみを燃焼させる第1燃焼モード、前記第2バーナーユニットのみを燃焼させて前記第1燃焼モードを超える燃焼量が得られる第2燃焼モード、前記第1バーナーユニットおよび前記第2バーナーユニットの双方を燃焼させて前記第2燃焼モードを超える燃焼量が得られる第3燃焼モードが設定され、給湯要求に応じて前記第一給湯ユニットまたは前記第二給湯ユニットの何れか一方または双方の選択と、前記第1燃焼モード、前記第2燃焼モードまたは前記第3燃焼モードの何れかの選択とを行い、前記第1燃焼モードまたは前記第3燃焼モードの実行中のみ、前記炎センサーの炎検出に基づき燃焼制御を行う工程を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、次のいずれかの効果が得られる。
(1) 給湯器の駆動台数制御とバーナーの燃焼制御を行い、少なくとも給湯器の運転中は炎センサーが設置されたバーナーを動作させることで、給湯要求の内容に関わらず燃焼状態の監視を継続することができる。
(2) 複数台の給湯器を組み合せて駆動させることで、幅広い給湯要求に対応することができる。
(3) 複数のバーナー部の一部に設置したフレームロッドによってバーナーの燃焼状態の監視が行えるので、部品数を減らすことができるとともに、燃焼状態の監視による燃焼改善による環境負荷の低減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施の形態に係る給湯装置の構成例を示す図である。
図2】給湯器ユニットに設置されるバーナーの燃焼モードの一例を示す図である。
図3】給湯制御ユニットの構成例を示す図である。
図4】給湯制御の一例を示すフローチャートである。
図5】実施例1に係る給湯装置の構成例を示す図である。
図6】給湯器ユニットの内部構成例を示す図である。
図7】バーナー制御データベースの一例を示す図である。
図8】給湯装置のハードウェア構成例を示す図である。
図9】給湯制御の一例を示すフローチャートである。
図10】給湯制御の一例を示すフローチャートである。
図11】給湯制御の一例を示すフローチャートである。
図12】実施例2に係る給湯装置の構成例を示す図である。
図13】フレームロッドによる燃焼状態の検出機能の一例を示す図である。
図14】燃焼改善処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔一実施の形態〕
<給湯装置2について>
図1は、一実施の形態に係る給湯装置の構成例を示している。図1に示す構成は一例であり、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
この給湯装置2には、たとえば図1に示すように、それぞれ独立して給湯可能な給湯器ユニット4-1、4-2や給湯装置2の駆動を制御する給湯制御ユニット6が装置筐体8内に設置されている。給湯器ユニット4-1は、本発明の第1の給湯器の一例である。給湯器ユニット4-2は、第2の給湯器の一例である。これらの給湯器ユニット4-1、4-2は給湯制御ユニット6に接続されており、給湯制御ユニット6の駆動制御情報によっていずれか一方または両方の駆動が制御される。
【0015】
各給湯器ユニット4-1、4-2は、少なくともバーナーユニット10、フレームロッド12を備えている。
バーナーユニット10は、給湯器ユニット4-1、4-2の燃焼手段の一例であり、供給された燃料ガスGと空気の混合気を燃焼させて燃焼排気を生成する。給湯器ユニット4-1、4-2では、被加熱流体である湯や水または熱媒を燃焼排気と熱交換させての出湯、または浴槽水の加熱、その他熱負荷に対する熱の供給を行う。バーナーユニット10は、たとえば仕切りにより燃料ガス混合気の放出部が複数形成されたバーナーを複数本備えており、これら複数本のバーナーを数本ずつ異なる本数をまとめて区分けしたバーナーユニット10-1、10-2を備える。バーナーユニット10-1は、本発明の第1のバーナー部の一例であり、一部または全部のバーナーの近傍にフレームロッド12が配置される。バーナーユニット10-2は、本発明の第2のバーナー部の一例であり、たとえばバーナーユニット10-1と異なる本数のバーナーを備えている。つまりバーナーユニット10-1、10-2は、たとえば図2のAに示すようにバーナーの本数を異ならせることでそれぞれ燃焼能力を異ならせている。
【0016】
フレームロッド12は、本発明の炎センサーの一例であり、バーナーユニット10-1の燃焼状態を検出する。この給湯装置2では、バーナーユニット10-1の燃焼状態を監視することで、バーナーの不完全燃焼、または燃料ガスGと空気の混合比率を調整する、燃焼改善機能を備える。
【0017】
<バーナーユニット10の燃焼モードについて>
各給湯器ユニット4-1、4-2には、それぞれ燃焼手段の燃焼制御として、給湯要求に対して必要な燃焼能力を調整するための燃焼モードが設定されている。
(1) バーナーユニット10には、たとえば燃焼量が少ない範囲であり、たとえば3号~8号の燃焼能力が得られる1段燃焼として、第1の燃焼モードが設定されている。この第1の燃焼モードは、たとえば図2のBに示すように、バーナーユニット10-1のみを燃焼させる。
(2) バーナーユニット10には、たとえば中程度の燃焼量の範囲であり、たとえば6号~16号の燃焼能力が得られる2段燃焼として、第2の燃焼モードが設定されている。この第2の燃焼モードは、たとえば図2のCに示すように、バーナーユニット10-2のみを燃焼させる。この第2の燃焼モードでは、バーナーユニット10-1が燃焼停止状態であるため、フレームロッド12が燃焼状態を監視することができない。そのため、本発明では、この第2の燃焼モードによる燃焼制御は行わない。
(3) バーナーユニット10には、たとえば高燃焼量の範囲であり、たとえば9号~24号の燃焼能力が得られる3段燃焼として、第3の燃焼モードが設定されている。この第3の燃焼モードは、たとえば図2のDに示すように、全てのバーナーユニット10-1、10-2を燃焼させる。
【0018】
給湯器ユニット4-1、4-2では、燃焼段数の切替えや燃焼量を調整する手段として、バーナーユニット10-1、10-2に対して燃料ガスGの流れを開通または遮断する切替弁22-1、22-2の開閉制御や、燃料ガスGの通流量を調整する給湯ガス比例弁47(図6)の制御が行われる。このように各給湯器ユニット4-1、4-2では、バーナーユニット10-1、10-2を組み合せるとともに、それぞれのバーナーユニット10-1、10-2の燃焼量を調整することで、幅広い給湯要求に対応することができる。
【0019】
そのほか、給湯装置2には、たとえば装置筐体8から給湯器ユニット4-1、4-2に共通するガス供給管14、給水管16、給湯管18、排水管20が引き出されている。
給湯器ユニット4-1にはガス供給管14からガス供給管14-1を通じて燃料ガスGが流れ込む。給湯器ユニット4-2にはガス供給管14からガス供給管14-2を通じて燃料ガスGが流れ込む。
給湯器ユニット4-1には給水管16から給水管16-1に給水Wが流れ込み、給湯器ユニット4-2には給水管16から給水管16-2に給水Wが流れ込む。給湯器ユニット4-1に得られる温水HWは給湯管18-1から給湯管18に流れ、給湯器ユニット4-2に得られる温水HWは給湯管18-2から給湯管18に流れる。
給湯器ユニット4-1内で生成されたドレンDは排水管20-1から排水管20に流され、給湯器ユニット4-2内で生成されたドレンDは排水管20-2から排水管20に流されて、装置筐体8から外部に排出される。
【0020】
<給湯制御ユニット6について>
図3は、給湯制御ユニットの構成例を示している。
給湯制御ユニット6は、本発明の制御部の一例であり、給湯要求に対する給湯装置の運転制御を行う。給湯制御ユニット6は、たとえば図3に示すように、統括制御部24や給湯器制御部26-1、26-2、記憶部28を備える。
統括制御部24は、給湯装置2の全体の給湯制御を実行する手段の一例であり、たとえば給湯要求に対して給湯器ユニット4-1、4-2のいずれを駆動させるか、かつどの燃焼モードでバーナーを燃焼させるかを設定し、動作指示を出力する。この給湯制御処理は、たとえば記憶部28に記憶されているバーナー制御データベース30を読み出して実行する。このバーナー制御データベース30は、たとえば給湯要求に対する給湯器ユニット4-1、4-2の駆動台数情報やバーナーユニット10の燃焼モードの設定データが格納されている。このバーナー制御データベース30には、バーナーの燃焼制御条件として、少なくともバーナーユニット10-1の燃焼を維持させることが設定されている。つまり、燃焼制御では、駆動する給湯器ユニットにおいて、第1の燃焼モードまたは第3の燃焼モードのいずれかで駆動させている。このような給湯器ユニット4-1、4-2の駆動条件およびバーナーユニット10-1、10-2の設定条件が本発明の駆動条件の一例である。
これにより、給湯装置2では、いずれの燃焼要求に対応しても、フレームロッド12による燃焼状態の監視を行える状態となっている。
給湯器制御部26-1はたとえば給湯器ユニット4-1の給湯制御を担当し、給湯器制御部26-2は給湯器ユニット4-2の給湯制御を担当する。
【0021】
<給湯制御ユニット6による給湯制御>
図4は、給湯装置2の給湯制御による処理手順を示している。図4に示す処理内容および処理手順は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されない。また、この給湯制御が本発明のプログラムまたは給湯方法の一例を示している。
この給湯制御には、少量給湯を給湯器ユニット4-1または給湯器ユニット4-2の何れか一方による給湯、大量給湯を給湯器ユニット4-1、4-2の双方で給湯する処理が含まれる。さらにこの給湯制御では、たとえば給湯要求に対し、少なくともバーナーユニット10-1での燃焼を含むように、給湯器ユニット4-1、4-2の駆動台数およびそれぞれのバーナーの燃焼モードの設定処理が含まれる。
【0022】
給湯制御ユニット6は、たとえば蛇口の開栓などにより給湯装置2側に給水Wが流入すると、その水量、設定温度、給水Wの給水温度などにより決まる給湯要求を読み込む(S11)。また、給湯制御ユニット6は、記憶部28に格納されているバーナー制御データベース30から給湯要求を満たす給湯器ユニット4-1、4-2の駆動台数や燃焼モードなどの駆動条件を読み出して決定する(S12)。
そして給湯制御ユニット6は、決定した駆動条件により、給湯器制御部26-1、26-2を介して、動作が割当てられた給湯器ユニット4-1、4-2を駆動させて、バーナーユニット10の燃焼制御を実行する(S13)。
【0023】
なお、給湯装置2には、たとえば装置筐体8の外部に図示しないリモコン装置を備えてもよい。このリモコン装置は、たとえば給湯制御ユニット6と有線または無線により接続されており、給湯制御ユニット6との間で制御情報を交換し、各給湯器ユニット4-1、4-2の起動操作や温度設定操作が実行できるほか、バーナーの燃焼状態についての検出結果の表示や燃焼改善の実行操作などを実行可能にしてもよい。
【0024】
<一実施の形態の効果>
この一実施の形態によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) 給湯器ユニット4-1または給湯器ユニット4-2の何れかによる給湯、給湯器ユニット4-1、4-2の双方による給湯が得られ、少量給湯から大量給湯まで幅広い連続した給湯が得られる。
(2) 給湯要求に対し、バーナーを第1の燃焼モードまたは第3の燃焼モードで燃焼させて、第2の燃焼モードにしない駆動条件を設定することで、駆動する給湯器ユニットのバーナーの燃焼状態を常に監視することができる。
(3) フレームロッド12で燃焼状態が検出されるバーナーユニット10-1を常に燃焼させる駆動条件により、全てのバーナーユニットにフレームロッド12を設置する必要がなく、部品数の削減や製造コストの低減が図れる。
(4) 燃焼モードに関わらずバーナーの燃焼状態を監視可能にし、混合気の燃料ガスGと空気の割合がガスリッチまたはエアリッチの状態を継続させないようにし、それによって環境負荷の軽減が図れる。
(5) フレームロッド12で燃焼状態が検出されるバーナーユニット10-1を常に燃焼させる駆動条件により、給湯状態を維持して燃焼監視を行うことができる。
【実施例1】
【0025】
<給湯装置2>
図5は、実施例1に係る給湯装置2を示している。図5において、図1と同一部分には同一符号を付してある。
この給湯装置2は、たとえば図5に示すように、給湯器ユニットI4-1、給湯器ユニットII4-2に、共通の給水管16から分岐した給水管16-1または給水管16-2を通じて給水Wが流れ込む。給水管16-1、16-2は、たとえば同量の給水Wが流入可能に形成される。そして、給湯器ユニットI4-1と給湯器ユニットII4-2から、それぞれ給湯管18-1または18-2を通じて加熱された湯HWが給湯され、共通の給湯管18で合流する。給湯器ユニットI4-1、II4-2からは、たとえば同等の流量および同等の温度に加熱された湯HWが給湯される。
【0026】
なお、給湯装置2において、たとえば給湯器ユニットI4-1と給湯器ユニットII4-2が同じ高さに配置され、かつ給水管16-1、16-2や給湯管18-1、18-2が同じ高さや同じ管径に形成される場合に限られない。給湯器ユニットI4-1、給湯器ユニットII4-2は、たとえば装置筐体8内の配置高さの違いや管路の傾斜の違い、管路の分岐位置などにより、異なる給水量で駆動する場合も含まれる。
【0027】
<給湯器ユニット4-1、4-2の内部構成例について>
図6は、給湯器ユニット4-1、4-2の内部構成例を示している。
この給湯器ユニット4には、たとえば図6に示すように、燃焼室36にバーナー38や熱交換器40、42が設置される。燃焼室36には給気ファン44により燃焼用空気が取り込まれる。バーナー38にはガス供給管14から燃料ガスGが供給される。このガス供給管14には、燃料ガスGを通過させ、または遮断する元ガス電磁弁46やバーナーに向けた燃料ガスGの流量を制御する給湯ガス比例弁47を備える。バーナー38は複数のバーナーユニット10-1、10-2を備えており、各バーナーユニットに対する燃料ガスGの供給が切替弁22-1、22-2によって切り替えられる。バーナー38の燃焼によって生じる燃焼排気は燃焼室36の排気口48から燃焼室36外に排出される。
【0028】
熱交換器40は、燃焼室36内で燃焼排気を流す排気経路の下流側に設置されており、低温の給水Wとの間で熱交換することで、主として燃焼排気の潜熱を回収する二次熱交換器の一例である。
熱交換器42は、排気経路の上流側に設置されており、熱交換器40で熱交換した給水Wとの間で熱交換することで、主として燃焼排気の顕熱を回収する一次熱交換器の一例である。
【0029】
給水Wを流す給水管16には、たとえば温度センサー50-1、水量センサー52、混合水制御弁54が備えられる。温度センサー50-1は、給水温度を検出する。水量センサー52は給湯に応ずる給水Wの水量を検出する。混合水制御弁54はバイパス管56に流れる給水Wの供給量を調整し、温水HWに対する給水Wの混合量を制御する。
熱交換器40および熱交換器42は直列に接続され、熱交換器42からの温水HWが出湯管58に流れる。この出湯管58には温度センサー50-2、水制御弁60が設置されている。温度センサー50-2は熱交換器42の出口側に流れる温水HWの出湯温度を検出する。水制御弁60は、開閉により給湯の有無を規制するが、バイパス管56を通して給水Wと温水HWとを混合するミキシング室を兼用している。給湯器ユニット4は、水制御弁60の開閉により給水Wの取込み、湯HWの出湯を制御している。すなわち、給湯器ユニット4は、水制御弁60を開状態として給水Wが流入可能な状態にすると、給水源からの水圧によって給水Wが給水管16に流入する。そして、給湯制御ユニット6は、給水量を水量センサー52で検出すると、その流量に応じて、自動で燃焼制御を開始する。
そのほか、給湯器ユニット4には、給湯管18上の一部に、給水Wと温水HWの混合後の給湯温度を検出する温度センサーを備えてもよい。
【0030】
さらに、燃焼室36には。熱交換器40の熱交換で生じるドレンDを溜めるドレン受け62が備えられる。このドレン受け62からドレンDがドレン管64を通してドレンタンク66に導かれる。このドレンタンク66内のドレンDは所定レベルを超えたとき、ドレンタンク66から排水管20に排出される。
【0031】
<バーナー制御データベース30について>
図7はバーナー制御データベースの一例を示している。図7に示す構成は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されない。
このバーナー制御データベース30には、たとえば図7に示すように、切替情報や給湯要求情報、給湯器ユニットIと給湯器ユニットIIのバーナー燃焼制御情報が含まれている。
切替情報は、給湯要求の変化に対してバーナーの燃焼モードを切替えるときの制御情報の一例である。この切替情報には、所定の号数毎に区分けされた給湯要求が増加または減少し、他の号数に変動する場合、バーナーの燃焼切替指示情報が記憶されている。
この燃焼切替指示情報は、たとえば、以下のものが含まれる。
A)給湯器ユニット単体で燃焼中のバーナーを切替える場合、第1の燃焼モードから第3の燃焼モードに切替える。または給湯器ユニット1台が稼動中の場合、稼動する給湯器ユニットを2台に増加させる。または給湯器ユニットが2台稼動中の場合、稼動する給湯器ユニットを1台に減少させる。
B)給湯器ユニットが1台稼動中であって、1台の給湯能力の上限に近づいた場合、給湯器ユニットの稼動台数を2台に増加させる。
C)給湯器ユニットが2台稼動中であって、2台の給湯能力の下限に近づいた場合、給湯器ユニットの稼動台数を1台に減少させる。
【0032】
給湯要求情報は、たとえば給湯装置2に設置される各給湯器ユニット4-1、4-2の給湯能力の下限や上限の組み合せ、およびそれぞれのバーナーユニット10-1、10-2の単独の燃焼能力または組み合せた燃焼能力により所定の号数毎に区分けしている。
このバーナー制御データベース30では、駆動条件として、給湯要求や給湯器ユニット4の燃焼能力を給湯号数によって区分しているがこれに限らない。駆動条件は、たとえば給湯温度や給湯流量、給気ファン44の回転数、給湯ガス比例弁47の開度などを利用して区分してもよい。また、バーナー制御データベース30には、たとえば給湯要求に対して稼動させる給湯器ユニット4-1、4-2やそれらのバーナーユニット10-1、10-2の組み合せを複数個格納されてもよい。そして、給湯制御ユニット6は、たとえば給湯器ユニット4-1、4-2の積算稼動時間などにより、稼動させる給湯器ユニット4-1、4-2やそのバーナーユニット10-1、10-2の組み合せを切替えてもよい。
【0033】
バーナー燃焼制御情報は、区分された給湯要求に対し、稼動させる給湯器ユニット4-1、4-2、および燃焼させるバーナーユニット10の燃焼指示情報の一例である。
【0034】
<給湯制御ユニット6について>
図8は、給湯制御ユニット6の構成例と、給湯器ユニット4-1、4-2との関係例を示している。
この給湯制御ユニット6はコンピュータで構成されており、たとえば図8に示すように、プロセッサ70、メモリ部72、外部のリモコン装置76に通信する通信部74および入出力部(I/O)78が備えられる。
プロセッサ70は、たとえばメモリ部72にあるプログラムを実行し、給湯器ユニット4-1、4-2の給湯制御などの情報処理を行う。
メモリ部72は、プログラムやバーナー制御データベース30などを格納する記憶手段であり、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random-Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory )などの記憶素子を備える。
通信部74は、プロセッサ70の制御により、リモコン装置76との通信を行い、給湯制御などに必要な情報やバーナーの燃焼状態の監視結果情報、その他、バーナーの燃焼改善処理情報などの情報交換を行う。
【0035】
I/O78は、プロセッサ70の制御により、給湯器ユニット4-1、4-2との連係制御に用いられる。給湯器ユニット4-1の給湯制御では、プロセッサ70の制御によりI/O78に温度センサー50-1、50-2、水量センサー52などのセンサーから検出信号が取り込まれ、I/O78から給気ファン44、混合水制御弁54、水制御弁60、燃焼系機能部である元ガス電磁弁46、給湯ガス比例弁47、切替弁22-1、22-2、フレームロッド12、イグナイター、給気ファン44などへの制御信号が出力される。
【0036】
<給湯器ユニットの稼動台数制御>
図9は、給湯制御の一例を示している。図9に示す処理内容、処理手順は一例である。またこの給湯制御は、本発明の給湯プログラムまたは給湯方法の一例である。
この給湯制御では、給湯制御ユニット6が給湯要求に対して、給湯器ユニット4-1、4-2の稼動台数を制御する駆動条件の設定処理を行う。
【0037】
給湯制御ユニット6は、給湯要求に応じて給湯器ユニットやバーナーユニットの稼動台数を切替えるマルチ処理の準備段階として、給湯装置2のイニシャライズ処理(S21)を実行した後、給湯器ユニットI4-1、給湯器ユニットII4-2の処理制御を行う(S22、S23)。このイニシャライズ処理および各給湯ユニットの処理制御には、たとえば給湯開始の準備処理や、給湯装置2に対する給水Wの流量、給水温度などから給湯要求に対応するための駆動条件を設定する処理などが含まれる。
そして給湯制御ユニット6は、稼動している給湯器ユニットが切り替え中か否かを判断し(S24)、切り替え中である場合(S24のYES)、燃焼モードである燃焼段数の増加(UP)または減少(DOWN)の予告指示をリセットして(S25)、給湯処理を継続させる。また給湯器ユニットが切り替え中でない場合(S24のNO)、給湯器ユニットが2台稼動中か否かを判断する(S26)。この予告指示は、バーナーユニット10-1、10-2の燃焼段数を増減させる指示情報の一例であり、たとえば給湯要求の変化や燃焼状態の監視結果に基づいて、給湯制御ユニット6から給湯器ユニットI4-1や給湯器ユニットII4-2に対して通知される。
給湯器ユニットが2台稼動中の場合(S26のYES)、全体の給湯要求に対し、バーナーユニット10の燃焼量が給湯器ユニット2台の燃焼能力の合計下限値として、たとえば6号以下か否かを判断する(S27)。給湯制御ユニット6は、燃焼量が合計下限値以下の場合(S27のYES)、給湯器ユニットの1台を停止させ、1台のみでの給湯処理に移行させる動作指示を出力する(S29)。
また給湯制御ユニット6は、燃焼量が合計下限値以下でない場合(S27のNO)、バーナーの燃焼段数の増加(UP)や減少(DOWN)の予告指示があるかを判断し(S28)、これらの予告指示がある場合(S28のYES)、給湯器ユニットの1台を停止させ、1台のみでの給湯処理に移行させる動作指示を出力する(S29)。バーナーの燃焼段数を増加(UP)または減少(DOWN)の予告指示がない場合(S28のNO)、現状の燃焼状態を維持させる。
【0038】
給湯器ユニットが2台稼動中でない場合(S26のNO)、給湯器ユニットが1台稼動中かを判断する(S30)。給湯制御ユニット6は、給湯器ユニットが1台稼動中でない場合(S30のNO)、現状の燃焼状態を維持させる。給湯器ユニットが1台稼動中の場合(S30のYES)、稼動中の給湯器ユニットにあるバーナーユニットの燃焼量が上限値として、たとえば24号に達しているか否かを判断し(S31)、この上限値に達していない場合(S31のNO)、燃焼段数の増加(UP)の予告指示または燃焼段数の減少(DOWN)の予告指示があるかの判断を行う(S32)。
そして、燃焼段数の増加(UP)の予告指示または燃焼段数の減少(DOWN)の予告指示がある場合(S32のYES)、または稼動中の給湯器ユニットにあるバーナーユニット10の燃焼量が上限値に達している場合(S31のYES)、給湯器ユニットの稼動台数を2台に増加させる動作指示を出力する(S33)。
【0039】
給湯制御ユニット6は、燃焼段数の増加(UP)の予告指示または燃焼段数の減少(DOWN)の予告指示がない場合(S32のNO)、たとえば各給湯器ユニットの稼動経過時間を参照し、同じ給湯器ユニットの連続駆動閾値として、たとえば30時間以上連続稼動しているか否かを判断し(S34)、連続駆動閾値を超えている場合(S34のYES)、停止中の給湯器ユニットに切替える動作指示を出力する(S35)。また、連続駆動閾値を超えていない場合(S34のNO)、稼動状態を維持させる。
【0040】
<稼動中の給湯器ユニットの燃焼モードの設定制御>
【0041】
図10および図11は、給湯制御の一例を示している。図10図11において、「X1」、「X2」、「X3」は連結子であり、同じ記号同士が連結された処理を表している。図10図11に示す処理内容、処理手順は一例である。またこの給湯制御は、本発明の給湯プログラムまたは給湯方法の一例であり、給湯運転指示が出された各給湯器ユニット4-1、4-2による燃焼モードの設定制御処理を示している。
給湯器ユニット4-1、4-2は、たとえば図10に示すように、給湯制御ユニット6からの給湯運転指示を受けると、常時処理を行う(S41)。この常時処理は、たとえば電源投入による初期化や給湯待機処理などが含まれる。給湯器ユニット4-1、4-2は、水量センサー52の検出結果から通水ありか否かを監視し(S42)、通水が無ければ(S42のNO)、燃焼停止状態にする(S43)。
また給湯器ユニット4-1、4-2に通水があり(S42のYES)、バーナーユニット10-1、10-2のいずれかまたは両方が燃焼していない場合(S44のNO)、給湯要求の駆動条件として、要求号数が1段燃焼(第1の燃焼モード)の燃焼範囲か否かを判断する(S45)。要求号数が1段燃焼の場合(S45のYES)、バーナーユニット10-1のみに対して1段燃焼にて点火する(S46)。また、要求号数が1段燃焼でない場合(S45のNO)、バーナーユニット10-1、10-2を燃焼させる3段燃焼(第3の燃焼モード)にて点火させる(S47)。この給湯装置2では、バーナーユニット10-1に利用した燃焼モードを基準とし、バーナーユニット10-2のみを燃焼させる2段燃焼(第2の燃焼モード)を実行させないように燃焼制御が行われる。
給湯器ユニット4-1、4-2は、バーナーユニット10-1、10-2のいずれかまたは両方が燃焼している場合(S44のYES)、たとえば給湯装置2からの出湯温度が設定温度T1から低温側に所定温度α〔℃〕の範囲内かを判断する(S48)。出湯温度が設定温度T1から所定温度α〔℃〕の範囲よりも低い温度、つまり(設定温度T1-α)より低い温度の場合(S48のYES)、給湯要求に対して設定された給湯号数が不足しているとして、給湯制御ユニット6から駆動条件の変更指示を受け、バーナーの燃焼量を増加させる(S49)。
【0042】
給湯制御ユニット6は、燃焼量の増加制御として、現在のバーナーユニット10に設定されている燃焼モードが1段燃焼中であるか判断する(S50)。1段燃焼である場合(S50のYES)、その燃焼量が段数を増加する(UP)条件に近いかを判断する(S51)。給湯制御ユニット6は、燃焼量が段数を増加する(UP)条件に近い場合(S51のYES)、段数増加(UP)の予告をメモリ部72に記憶し(S52)、燃焼量が段数増加(UP)の条件を判断する(S53)。燃焼量が段数増加(UP)の条件に達していれば(S53のYES)、3段燃焼の最小燃焼量に切替える(S54)。また、給湯制御ユニット6は、燃焼量が段数を増加(UP)する条件に近くない場合(S51のNO)、または燃焼量が段数を増加する(UP)条件に達していないと判断した場合(S53のNO)、給湯器ユニット4-1、4-2の燃焼状態を維持させる。
給湯制御ユニット6は、燃焼量の増加制御として、現在の燃焼量が1段燃焼でない場合(S50のNO)、2段燃焼中か否かを判断する(S55)。この給湯制御では、各バーナー10の駆動条件として、2段燃焼を設定しないように制御しているが、たとえば給湯要求の変化に対して燃焼段数を切り替えたときなどに、一時的に2段燃焼となる可能性もある。そこで、給湯制御ユニット6は、バーナーユニット10-2が単独で燃焼する、2段燃焼中となっている場合(S55のYES)、燃焼量が段数増加(UP)の条件を判断する(S56)。燃焼量が段数増加(UP)の条件に達していれば(S56のYES)、3段燃焼の同一燃焼量に切替える(S57)。また燃焼量が段数増加(UP)の条件に達していない場合(S56のNO)たとえば燃焼量の切り替えによる変化中などを考慮し、その燃焼状態を維持させる。
給湯制御ユニット6は、燃焼量の増加制御として、現在の燃焼量が2段燃焼でない場合(S55のNO)、3段燃焼中か否かを判断する(S58)。給湯制御ユニット6は、全てのバーナーユニット10-1、10-2が燃焼する3段燃焼中の場合(S58のYES)、燃焼量が給湯装置2の上限条件に達しているか否かを判断し(S59)、この上限条件に達していれば(S59のYES)、たとえば水制御弁60の開度を規制して(S60)、給水Wの制限を行えばよい。また、給湯制御ユニット6は、バーナーユニット10が3段燃焼でない場合(S58のNO)や、燃焼量が上限条件でない場合(S59のNO)、現状の燃焼監視を繰り返す。
【0043】
また給湯制御ユニット6は、出湯温度が設定温度T1から低温側に所定温度α〔℃〕の範囲内の温度である場合(S48のNO)、設定温度T1から高温側に所定温度α〔℃〕の範囲内の温度か、つまり(設定温度T1+α)より高い温度で出湯しているかの判断を行う(S61)。給湯制御ユニット6は、出湯温度が設定温度T1から所定温度α〔℃〕の範囲より高い温度でない場合(S61のNO)、現状の給湯処理を維持させ、出湯温度が設定温度T1から所定温度α〔℃〕の範囲より高い温度の場合(S61のYES)、燃焼量を減少させる指示を出力する(S62)。
【0044】
給湯制御ユニット6は、燃焼量の減少制御として、現在のバーナーユニット10に設定されている燃焼モードが3段燃焼中である場合(S63のYES)、その燃焼量が段数を減少する(DOWN)条件に近いかを判断する(S64)。給湯制御ユニット6は、燃焼量が段数を減少する(DOWN)条件に近い場合(S64のYES)、段数減少(DOWN)の予告を記憶し(S65)、燃焼量が段数減少(DOWN)の条件を判断する(S66)。燃焼量が段数減少(DOWN)の条件に達していれば(S66のYES)、1段燃焼の最大燃焼量に切替えさせる(S67)。また、給湯制御ユニット6は、燃焼量が段数を減少する(DOWN)条件に達していない場合(S64のNO)、または燃焼量が段数減少(DOWN)の条件に達していなければ(S66のNO)その燃焼状態を維持させる。
給湯制御ユニット6は、燃焼量の減少制御として、現在の燃焼量が3段燃焼でない場合(S63のNO)、2段燃焼中か否かを判断する(S68)。給湯制御ユニット6は、バーナーユニット10-2が単独で燃焼する、2段燃焼中となっている場合(S68のYES)、燃焼量が段数減少(DOWN)の条件を判断する(S69)。燃焼量が段数減少(DOWN)の条件に達していれば(S69のYES)、1段燃焼の同一燃焼量に切替える(S70)。また燃焼量が段数減少(DOWN)の条件に達していない場合(S69のNO)、たとえば燃焼量の切り替えによる変化中などを考慮し、その燃焼状態を維持させる。
給湯制御ユニット6は、燃焼量の減少制御として、現在の燃焼量が2段燃焼でない場合(S68のNO)、1段燃焼中か否かを判断する(S71)。給湯制御ユニット6は、バーナーユニット10-1のみが燃焼する1段燃焼中の場合(S71のYES)、燃焼量が給湯装置2の下限条件に達しているか否かを判断し(S72)、この下限条件に達していれば(S72のYES)、燃焼停止指示を出力する(S73)。また、給湯制御ユニット6は、バーナーユニット10が1段燃焼でない場合(S71のNO)や、燃焼量が下限条件でない場合(S72のNO)、現状の燃焼監視を繰り返す。
【0045】
<実施例1の効果>
この実施例1によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) 上記一実施の形態と同様の効果が得られる。
(2) フレームロッド12が設置されたバーナーユニット10-1を燃焼状態に維持させることで、どのような給湯要求に対応しても、燃焼状態の監視が行える。
(3) 給湯要求の変動に対し、駆動させる給湯器ユニット4-1、4-2の増加または減少または燃焼させるバーナーユニット10の燃焼モードの切り替えにより、フレームロッド12による燃焼状態の監視が可能となる。
(4) 燃焼状態の監視を維持させることで、所定タイミング毎にバーナーユニットの燃焼状態に対応した燃焼改善処理が実行できる。
(5) 複数の給湯器ユニット4-1、4-2と、バーナーユニット10-1、10-2を組み合せることで、給湯要求への精緻な対応が可能になるとともに、一部の給湯器ユニットやバーナーユニットに対してのみ燃焼による負荷がかかるのを防ぐために各々を平均的に動作さることで、機器の長寿命化が期待できる。
【実施例2】
【0046】
<給湯装置2>
図12は、実施例2に係る給湯装置2の構成例を示している。図12において、図1図5と同一部分には同一符号を付してある。
この給湯装置2は、給湯要求に対して給湯を行う場合、少なくともバーナーユニット10-1を常に燃焼状態にさせており、このバーナーユニット10-1の燃焼状態をフレームロッド12によって監視している。給湯装置2は、たとえば図12に示すように、給湯制御ユニット6内に燃焼調整部80を備える。
燃焼調整部80は、各給湯器ユニット4-1、4-2のフレームロッド12が検出した燃焼状態情報を取り込んで、バーナーユニット10-1の燃焼状態を判断するとともに、その燃焼状態の改善処理を行う機能部の一例である。
【0047】
フレームロッド12は、たとえば燃焼中の炎に接触させることで、その炎の状態に応じて変化する燃焼状態情報を検出するセンサーの一例である。燃焼中の炎の形状を示している図13A中の「FRA」が、フレームロッド12が炎に接触している部位である。ここでは、フレームロッド12は、炎の高さに応じて変化する炎電流値を検出している。
図13Bは、燃焼中の炎の部位と電流値との関係を示している。炎の中心部付近(PB)では検出される炎電流値が最大となり、それよりもバーナーに近い高さのPAや、炎の先端側のPCの位置では炎電流値が減少する。つまり、炎の中心部付近から離れるに従って電流値が減少する。すなわち、フレームロッド12は、配置位置が固定されているため、バーナーの燃焼状態に応じた炎の形状変化が電流値を利用して監視できる。つまり炎が小さくなり、PBがFRAに近づくと電流値が大きくなる。炎が大きくなりPBがFRAから離れると、電流値が小さくなる。
検出した電流値と炎の形状変化との関係を利用し、バーナーユニット10の燃焼改善を行う。この燃焼改善処理では、たとえばバーナー10に対して空気を送る給気ファン44の回転数の調整を行う。電流値が理想値より大きい場合には、給気ファン44の回転数を増加し、電流値が理想値より小さい場合には、給気ファン44の回転数を減少させる制御を行う。
【0048】
炎の理想形状は燃焼量(燃焼段数および給湯ガス比例弁の電流値)により変化し、フレームロッド12が検出する電流値の理想値も変化する。そこで、燃焼段数および給湯ガス比例弁の電流値に対し、理想電流値のデータを予め用意しておき、理想電流値に対する現在の炎電流値の状態を検知して給気ファン44の回転数の補正を行なえば、炎の形状を理想的な状態に制御することができる。
【0049】
<燃焼改善処理>
図14は、燃焼改善処理例を示している。図14に示す処理内容や処理手順は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されない。
この燃焼改善処理では、炎の監視に基づき、空気供給量の調整を行う。
燃焼調整部80は、フレームロッド12が検出した炎電流値を取得し(S81)、駆動条件により炎電流値の理想値を取得する(S82)。この炎電流値の理想値は、給気ファン44による理想給気量、またはその回転数の情報であり、図示しない給湯制御ユニット6の記憶部28に格納されてもよく、または通信部74により外部データベースなどから取得してもよい。
燃焼調整部80は、炎電流値が理想値未満であると判断した場合(S83のYES)、給気ファン44の回転数をマイナス側に補正(S84)する。
燃焼調整部80は、炎電流値が理想値未満でなければ(S83のNO)、炎電流値が理想値より大きい値かを判断する(S85)。燃焼調整部80は、炎電流値が理想値より大きい値の場合(S85のYES)、給気ファン44の回転数をプラス側に補正する(S86)。
また、燃焼調整部80は、炎電流値が理想値より大きい値でない場合(S85のNO)、バーナーの燃焼状態が理想状態であると判断し、給気ファン44の回転数を維持させる。
なお、給気ファン44の回転数の調整量は、給湯器ユニットの種類や大きさ、給湯可能な号数のほか、給湯装置に対する安全規制基準などの条件により設定される。
【0050】
<実施例2の効果>
この実施例2によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) 常にバーナーの一部を燃焼させる駆動条件を設定し、このバーナーの燃焼状態を監視することで、給湯要求に関わらず燃焼改善処理が実行できる。
(2) 燃焼改善により適切なガス給気比率での燃焼が行えることで、環境に対する負荷を軽減できる。
【0051】
以上説明した実施の形態や実施例について、その変形例を以下に列挙する。
【0052】
(1) 上記実施の形態では、バーナーユニット10-1、10-2を構成するバーナーの数を異ならせる場合を示したがこれに限らない。バーナーユニット10-1とバーナーユニット10-2は、燃焼能力を異ならせればよく、たとえば同じ数のバーナー数を配置し、流れるガス量などを異ならせて、異なる燃焼能力を有するバーナーで構成してもよい。
【0053】
(2) 上記実施の形態および実施例では、各給湯器ユニット4-1、4-2は、それぞれバーナーユニット10を2つに区分けし、これらを組み合せて3段階の燃焼モード(段数)により給湯要求に対応する場合を示したがこれに限らない。バーナーユニット10は、3つ以上に区分けしてそれらを組み合せた燃焼モードを設定してもよい。この場合、給湯装置2は、いずれの給湯要求に対しても、フレームロッド12が設置されたバーナーユニット10-1が燃焼状態になるように、他のバーナーユニット10-2、10-3、・・・・、10-Nを組み合せればよい。このようにバーナーユニットの区分を増やすことで、より細かい給湯要求に対応した燃焼モードを設定できる。
【0054】
(3) 上記実施の形態および実施例では、2つの給湯器ユニット4-1、4-2に対して、同量の給水Wを流し、同等の給湯処理を行わせて給湯要求に対応させる場合を示したがこれに限らない。給湯装置2では、たとえば2つの給湯器ユニット4-1、4-2間で異なる給湯処理を実行させてもよい。つまり、給湯装置2は、たとえば給湯器ユニット4-1側で多くの湯HWを生成させ、給湯器ユニット4-2側で少ない湯HWを生成させて、給湯要求を満たすように出湯させてもよい。この場合、給水管16には、たとえば分岐部分において管径を異ならせてもよく、または分岐部分において、各給水管16-1、16-2に対する流量を分割可能な開閉弁を備えてもよい。
【0055】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の給湯装置では、給湯要求に対し、複数の給湯器ユニットとバーナーユニットを組み合せ、少なくともフレームロッドが設置されたバーナーユニットを燃焼させる駆動条件を設定することで、常にバーナーの燃焼状態を監視しつつ給湯処理を継続させることができ、有用である。
【符号の説明】
【0057】
2 給湯装置
4、4-1、4-2 給湯器ユニット
6 給湯制御ユニット
8 装置筐体
10、10-1、10-2 バーナーユニット
12 フレームロッド
14、14-1、14-2 ガス供給管
16、16-1、16-2 給水管
18、18-1、18-2 給湯管
20、20-1、20-2 排水管
22-1、22-2 切替弁
24 統括制御部
26-1、26-2 給湯器制御部
28 記憶部
30 バーナー制御データベース
36 燃焼室
38 バーナー
40、42 熱交換器
44 給気ファン
46 元ガス電磁弁
47 給湯ガス比例弁
48 排気口
50-1、50-2 温度センサー
52 水量センサー
54 混合水制御弁
56 バイパス管
58 出湯管
60 水制御弁
62 ドレン受け
64 ドレン管
66 ドレンタンク
70 プロセッサ
72 メモリ部
74 通信部
76 リモコン装置
80 燃焼調整部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14