IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ATN1の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】中敷き及び履物
(51)【国際特許分類】
   A43B 17/00 20060101AFI20240405BHJP
【FI】
A43B17/00 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023039751
(22)【出願日】2023-03-14
【審査請求日】2023-05-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523093712
【氏名又は名称】株式会社ATN1
(74)【代理人】
【識別番号】100007983
【弁理士】
【氏名又は名称】笹川 拓
(72)【発明者】
【氏名】與那嶺 茂人
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-000237(JP,A)
【文献】特開2006-102335(JP,A)
【文献】特開2011-45481(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0006079(US,A1)
【文献】特開2001-46104(JP,A)
【文献】登録実用新案第3108243(JP,U)
【文献】国際公開第2007/086251(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
履物の足収容空間に置かれるパッドを有する中敷きであって、
前記パッドは、前記パッドの平面視で幅方向の中心線を隔てて配置される内側領域及び外側領域に区分され、
前記パッドの平面視、前記内側領域は足の親指が位置する領域であり、
前記パッドの平面視、前記外側領域は前記足の小指が位置する領域であり、
前記パッドは、前記履物の接地部が前記外側領域に対応する位置で前記足の踵から受ける荷重を、前記接地部が前記内側領域に対応する位置で前記足の踵から受ける荷重を超えさせる、前記パッドを厚さ方向に貫通する孔により構成された補助機構を有し、
前記孔は、前記パッドの平面視、設けられている領域内に、足裏の重心に相当する位置を有して、前記足の踵骨の下端が前記孔の真上に位置するように配され、
内周形状が、前記内側領域及び前記外側領域に亘って設けられ、前記外側領域に配置されている面積は、前記内側領域に配置されている面積を超えており、前記内側領域に配置されている部分の平面形状が、半月形状であり、
前記外側領域に配置されている部分の平面形状が、台形状であり、
前記外側領域に配置されている部分の後端が、当該孔の前記内側領域に配置されている部分の後端と、前記パッドの後端との間に位置することにより、
前記足の踵骨の下端を平面視した形状となっていることを特徴とする中敷き。
【請求項2】
前記孔に置換して、前記パッドを厚さ方向にくぼませた凹部により前記補助機構を構成することを特徴とする請求項1に記載の中敷き。
【請求項3】
人の足が挿入される本体部と、前記本体部に固定されて接地される接地部と、を有する履物であって、
記本体部は、足が挿入される足収容空間と、
前記足収容空間に設けられる請求項1に記載の中敷きと、を有し、
前記本体部は、前記本体部の平面視で、前記本体部の幅方向の中心線を隔てて配置される本体部内側領域及び本体部外側領域に区分され、
前記本体部の平面視、前記本体部内側領域は前記足の親指が位置する領域であり、前記本体部外側領域は前記足の小指が位置する領域であり、
前記接地部は、前記本体部の平面視、前記本体部内側領域及び前記本体部外側領域に亘って配置され、
前記接地部が前記外側領域に対応する位置で前記足の踵から受ける荷重を、前記接地部が前記内側領域に対応する位置で前記足の踵から受ける荷重を超えさせる設定機構を有し、
当該設定機構は、前記足の踵側から見た正面視、前記本体部内側領域に対応する箇所の厚さが略一定であり、前記本体部外側領域に対応する箇所の厚さが、前記本体部内側領域に対応する箇所の厚さ未満に構成されていることを特徴とする履物。
【請求項4】
当該設定機構は、前記足の踵側から見た正面視、前記本体部外側領域に対応する箇所の厚さが前記本体部内側領域に近づくことに伴い増加することを特徴とする請求項3に記載の履物。
【請求項5】
前記孔に置換して、前記パッドを厚さ方向にくぼませた凹部により前記補助機構を構成することを特徴とする請求項3に記載の履物。
【請求項6】
人の足が挿入される本体部と、前記本体部に固定されて接地される接地部と、を有する履物であって、
前記本体部は、前記本体部の平面視で、前記本体部の幅方向の中心線を隔てて配置される内側領域及び外側領域に区分され、
前記本体部の平面視、前記内側領域は前記足の親指が位置する領域であり、
前記外側領域は前記足の小指が位置する領域であり、
前記接地部は、前記本体部の平面視で、前記内側領域及び前記外側領域に亘って配置され、
前記本体部は、足が挿入される足収容空間を有し、前記接地部に固定され、かつ、前記足収容空間を形成する底部が設けられ、
前記底部は、前記足収容空間に面する箇所において前記足の踵が載せられる箇所に、前記履物の接地部が前記外側領域に対応する位置で前記足の踵から受ける荷重を、前記接地部が前記内側領域に対応する位置で前記足の踵から受ける荷重を超えさせる凹部からなる補助機構を有し、
当該凹部は、前記本体部の平面視、設けられている領域内に、足裏の重心に相当する位置を有して、前記足の踵骨の下端が前記凹部の真上に位置するように配され、
内周形状が、前記内側領域及び前記外側領域に亘って設けられ、前記外側領域に配置されている面積は、前記内側領域に配置されている面積を超えており、前記内側領域に配置されている部分の平面形状が、半月形状であり、
前記外側領域に配置されている部分の平面形状が、台形状であり、
前記外側領域に配置されている部分の後端が、当該凹部の前記内側領域に配置されている部分の後端と、前記底部の後端との間に位置することにより、
前記足の踵骨の下端を平面視した形状となっていることを特徴とする履物。
【請求項7】
前記接地部が前記外側領域に対応する位置で前記足の踵から受ける荷重を、前記接地部が前記内側領域に対応する位置で前記足の踵から受ける荷重を超えさせる設定機構を有し、
当該設定機構は、前記足の踵側から見た正面視、前記本体部内側領域に対応する箇所の厚さが略一定であり、前記本体部外側領域に対応する箇所の厚さが、前記本体部内側領域に対応する箇所の厚さ未満に構成されていることを特徴とする請求項6記載の履物。
【請求項8】
当該設定機構は、前記足の踵側から見た正面視、前記本体部外側領域に対応する箇所の厚さが前記本体部内側領域に近づくことに伴い増加することを特徴とする請求項7に記載の履物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人の足に着用される履物に設けられる中敷き及び履物に関する。
【背景技術】
【0002】
人の足に着用される履物の内部に設けられる中敷き一例が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載されている中敷きは、足の指を配置させるように形成された爪先部、足の幅が左右に最も張り出す中足骨の先端部を配置させるように形成された張り出し部、中足骨から外果の直下までを配置させるように形成されたアーチ部、及び外果の直下とその後方の踵骨を配置させるように形成された踵部を有し靴の底面の全体に配置される少なくとも2層の発泡樹脂層を備えている。
【0003】
また、特許文献1に記載された中敷きは、2層の下面に貼り合わされ、第2層の発泡樹脂よりも硬質の素材で形成された支持プレートを備えている。さらに、特許文献1に記載された支持プレートには、踵により掛かる荷重を第1層及び第2層の踵部で受けて吸収させるための開口部が形成されている。また、中敷きの踵に対応する箇所の厚さが、その左右の厚さよりも薄く設計されているものが、特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第7090857号公報
【文献】特開2006-102335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、特許文献1及び特許文献2に記載されている中敷きでは、人が安定した姿勢で立ち、かつ、安定した姿勢で歩行するためには、未だ改善の余地がある、という課題を認識した。
【0006】
本開示の目的は、人が安定した姿勢で立ち、かつ、安定した姿勢で歩行可能な中敷き及び履物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、履物の足収容空間に置かれるパッドを有する中敷きであって、前記パッドは、前記パッドの平面視で幅方向の中心線を隔てて配置される内側領域及び外側領域に区分され、前記パッドの平面視で、前記内側領域は前記足の親指が位置する領域であり、前記パッドの平面視で、前記外側領域は前記足の小指が位置する領域であり、前記パッドは、前記履物の接地部が前記外側領域に対応する位置で前記足の踵から受ける荷重を、前記接地部が前記内側領域に対応する位置で前記足の踵から受ける荷重を超えさせる補助機構を有する中敷きである。
【0008】
本開示は、人の足が挿入される本体部と、前記本体部に固定されて接地される接地部と、を有する履物であって、前記本体部は、前記本体部の平面視で、前記本体部の幅方向の中心線を隔てて配置される内側領域及び外側領域に区分され、前記本体部の平面視で、前記内側領域は前記足の親指が位置する領域であり、前記本体部の平面視で、前記外側領域は前記足の小指が位置する領域であり、前記接地部は、前記本体部の平面視で、前記内側領域及び前記外側領域に亘って配置され、前記接地部は、前記接地部が前記外側領域に対応する位置で前記足の踵から受ける荷重を、前記接地部が前記内側領域に対応する位置で前記足の踵から受ける荷重を超えさせる設定機構を有する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の中敷きによれば、人が安定した姿勢で立ち、かつ、安定した姿勢で歩行可能である。本開示の中敷きを設けた履物によれば、人が安定した姿勢で立ち、かつ、安定した姿勢で歩行可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】中敷きを設けた履物の第1実施例を足の踵側から見た正面図である。
図1B図1Aに示す左半足部の側面図である。
図2A】第7実施例の中敷きを設けた履物の左半足部及び右半足部の模式的な平面図である。
図2B図2AのII-II線における正面断面図である。
図3A】中敷きを設けた履物の第2実施例を足の踵側から見た正面図である。
図3B図3Aに示す左半足部の側面図である。
図4A】中敷きを設けた履物の第3実施例を足の踵側から見た正面図である。
図4B図4Aに示す左半足部の側面図である。
図5】中敷きを設けた履物の第4実施例を足の踵側から見た正面図である。
図6】中敷きを設けた履物の第5実施例を足の踵側から見た正面図である。
図7】中敷きを設けた履物の第6実施例を足の踵側から見た正面図である。
図8】第8実施例の中敷きを設けた履物の左半足部及び右半足部の模式的な平面図である。
図9】中敷き、左足及び骨格を示す模式的な側面断面図である。
図10】第9実施例の底部を設けた履物の左半足部及び右半足部の模式的な平面図である。
図11図10のIII-III線における正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(概要)
人間が裸足で、砂・草・柔らかい土の上に立つと、踵骨が足の外側に位置していることから踵の外側が沈み、人間本来の自然な状態となり、安定した立ち姿勢、安定した歩行となる。履物、例えば、靴を履いても、その自然な状態となるよう、中敷きや靴のアウトソールによってその状態を作ることで、人間本来の安定した立ち姿勢となり、歩行時にも、人の足が踵の外側から着地し、次に、足の中足骨の外側を通り、最後に足の指先で地面をけり出す理想的な歩行に近づけられる。
【0012】
本開示の中敷き及び履物は、上記のような技術的思想に基づくものである。中敷きは、履物に固定されるか、または、履物に取り付け及び取り外しができる。履物は、人の足に装着して使用される。中敷きは、インソールと呼ばれることもある。履物は、アッパーと、アッパーに固定される、アウトソールとを有する。本開示では、中敷き及び履物に含まれるいくつかの実施形態が、図面に基づいて説明されている。本開示では、中敷き及び履物の実施形態を説明するための図において、同一部には原則として同一の符号が付されており、その繰り返しの説明は省略されている。
【0013】
(第1実施例)
図1Aは、履物10を踵側から見た正面図、図2Aは、履物10を真上から見た平面図である。真上とは、重力の作用方向における真上を意味する。履物10は、例えば、ビジネス用の革靴であり、履物10は、左足F1に装着される左半足部11、及び右足F2に装着される右半足部12を1組として構成されている。履物10を平面視すると、左半足部11及び右半足部12は、左右対称の形状を有しているため、便宜上、左半足部11を例として説明する。左半足部11は、アッパー13、アウトソール14、及び中敷き15を有する。
【0014】
図1Bのように、左半足部11のアッパー13は、左足F1を収容する本体部であり、アッパー13は、例えば、本革製または合成皮革製である。アウトソール14は、例えは、本革製または合成皮革製または合成樹脂製である。アッパー13は、アウトソール14に対して、縫製または加硫接着により固定されている。アッパー13の内部に中敷き15が設けられており、アッパー13と中敷き15とにより、左半足部11に足収容空間16が形成されている。
【0015】
さらに、アウトソール14と中敷き15との間に底部64が設けられている。底部64は、中物と呼ばれることもある。底部64は、布製、合成樹脂製等で構成されたシート状の部材である。底部64の上面は、略平坦である。履物10を平面視すると、底部64の外周形状と、中敷き15の外周形状とは、略同じである。底部64は、アウトソール14に固定されている。中敷き15は、底部64またはアウトソール14に固定されていてもよいし、中敷き15は、底部64またはアウトソール14に取り付け及び取り外しできる構成でもよい。なお、右半足部12のアッパー13は、右足F2を収容する本体部である。アッパー13と中敷き15とにより、右半足部12に足収容空間16が形成されている。
【0016】
中敷き15は、パッド60を有する。左半足部11に設けられるパッド60は、左半足部11に近似する形状を有している。右半足部12に設けられるパッド60は、右半足部12に近似する形状を有している。パッド60は、先端62及び後端63を有する。先端62は、足の指に近い位置であり、後端63は、足の踵に近い位置である。アッパー13の内面にはライニングが施されているが、ライニングの図示は省略されている。
【0017】
図2Aには、左半足部11の幅方向の両端に接する2つの接線A1,A2、中敷き15のパッド60の幅方向の両端に接する2つの接線B1,B2が、それぞれ示されている。接線A1は、左半足部11が左足F1に装着された場合に、親指に最も近く、接線A2は、左半足部11が左足F1に装着された場合に、小指に最も近い。また、2つの接線A1,A2の間に中心線C1が配置されている。中心線C1は、左半足部11及び中敷き15のパッド60の幅方向の中心を通る仮想線である。左半足部11を平面視すると、中心線C1と接線A1との間に形成された内側領域D1と、中心線C1と接線A2との間に形成された外側領域D2とに区分される。4つの接線A1,A2,B1,B2及び中心線C1は、互いに平行な仮想線、つまり、直線である。接線B1は、中心線C1と接線A1との間に位置する。接線B2は、中心線C1と接線A2との間に位置する。アッパー13、中敷き15のパッド60及びアウトソール14は、内側領域D1及び外側領域D2に亘って配置されている。
【0018】
右半足部12について、接線A1は、右半足部12が右足F2に装着された場合に、親指に最も近く、接線A2は、右半足部12が右足F2に装着された場合に、小指に最も近い。右半足部12いついて、中心線C1は、右半足部12及び中敷き15の幅方向の中心を通る仮想線である。右半足部12を平面視すると、中心線C1と接線A1との間に形成された内側領域D1と、中心線C1と接線A2との間に形成された外側領域D2とに区分される。さらに、図2Aには、左足F1の骨格、及び右足F2の骨格が示されている。足のつま先側から踵側に向けて趾骨17、中足骨18、足根骨19等があり、足根骨19は、楔状骨、舟状骨、及び踵骨20を含む。
【0019】
人が左足F1に左半足部11を装着し、人が右足F2に右半足部12を装着して所定の場所E1に立つと、左半足部11のアウトソール14、及び右半足部12のアウトソール14が、場所E1にそれぞれ接触する。場所E1は、床、地面、アスファルト道路等のうちの何れであってもよい。そして、2つのアウトソール14のうち、踵部21は、足の踵、具体的には、足裏の重心に相当する位置から人の荷重の一部を受ける。図2Aのように左半足部11及び右半足部12を平面視すると、足裏の重心Q1は、外側領域D2内で踵骨20が存在する領域内に位置する。重心Q1は、中心線C1に沿った方向で、先端62と後端63との間に位置する。
【0020】
図1Aのように、2つのアウトソール14の踵部21を正面視すると、踵部21は、内縁30及び側面31を有する。内縁30は、内側領域D1に位置、つまり、中心線C1と接線A1との間に位置する。側面31は、外側領域D2に位置、つまり、中心線C1と接線A2との間に位置する。内縁30は、アウトソール14の厚さ方向、つまり、高さ方向に沿って直線状に延ばされている。アウトソール14は、側面31から底面31Bに向けて湾曲形状または円弧形状に面取りされ、かつ、底面31Bにつながる傾斜面31Aを有する。傾斜面31Aは、図1Aに示すアウトソール14の正面視、及び図1Bに示すアウトソール14の側面視の何れにおいても、底面31Bに対して傾斜されている。なお、底面31Bは平坦である。
【0021】
アウトソール14の踵部21を正面視すると、内側領域D1に対応する箇所の厚さは、略一定である。つまり、アウトソール14の踵部21を正面視すると、外側領域D2に位置する側面31付近の厚さは、踵部21の他の部位の厚さ未満である。言い換えると、図1Bに示す左足F1の踵50、及び右足F2の踵から、アウトソール14の踵部21に加わる厚さ方向の圧縮荷重に対する剛性は、外側領域D2の剛性が内側領域D1の剛性より低い。このため、外側領域D2の弾性変形量は、内側領域D1の弾性変形量を超える。つまり、アウトソール14が、外側領域D2で踵から受ける荷重は、内側領域D1で踵から受ける荷重を超える。具体的には、左半足部11のアウトソール14、及び右半足部12のアウトソール14は、主として重心Q1に対応する位置で荷重を受けることができる。したがって、人が安定した姿勢で立つことができ、かつ、安定した姿勢で歩行及び走ることができる。
【0022】
中敷き15において、踵50より外側に対応する箇所で、アウトソール14が外側領域D2で踵50から荷重を受ける。人間が裸足で、砂・草・柔らかい土の上に立つと、踵骨20が中心線C1より外側に位置していることから踵50の外側が沈み、人間本来の自然な状態となり安定した立ち姿勢、安定した歩行となる。ビジネスシューズ等の履物10の中敷き15のうち、踵50より外側に踵骨20の形状と同様な凹みがあるかの如くに、裸足で、砂・草・土の上に立つのと同様に踵50の外側が下へ沈み、人間本来の安定した立ち姿勢となり、歩行時にも、踵50の外側から着地し、次に中足骨18の外側を通り、最後に指先で地面をけり出す理想的な歩行に近づけることができる。
【0023】
具体的には、立ち姿勢及び歩行姿勢がよくなり、膝、足首、腰等に係る負担を軽減でき、楽になる。また、足指がスムーズに動き、かつ、足指の可動域も広がる。さらに、外反母趾の軽減及び予防に寄与できる。さらに、開帳足の軽減及び予防に寄与できる。さらに、浮指の軽減及び予防に寄与できる。さらに、巻き爪の軽減及び予防に寄与できる。また、運動機能が向上するため、単に歩く、単に走るだけでなく、あらゆるスポーツにおいて、足の潜在能力を引き出すことができる。さらに、お尻の穴がキュッとしまり、お尻の筋肉(大殿筋)が使われ、ヒップアップの感覚を得られる。
【0024】
(第2実施例)
図3Aは、履物10の第2実施例を示す正面図である。なお、図2Aに示す左半足部11及び右半足部12の平面図は、図3Aの履物10にも当てはまる。図3Aに示す履物10は、例えば、スニーカーである。図3Bは、図3Aの左半足部11を示す側面図である。2つのアウトソール14の踵部21を正面視すると、図2Aの内側領域D1に位置する内縁30と、外側領域D2に位置する側面32と、側面32に接続された底面32Aと、を有する。底面32Aは、平坦である。側面32は、図3Aに示すアウトソール14の正面視、及び図3Bに示すアウトソール14の側面視の何れにおいても、底面32Aに対して傾斜されている。アウトソール14のうち、外側領域D2に対応する箇所の厚さは、底面32Aに近づくことに伴い増加されている。これに対して、アウトソール14のうち、内側領域D1に対応する箇所の厚さは、略一定である。
【0025】
つまり、アウトソール14の踵部21を正面視すると、外側領域D2に位置する側面32付近の厚さは、踵部21の他の部位の厚さ未満である。言い換えると、図3Bに示す左足F1の踵50、及び右足F2の踵から、アウトソール14の踵部21に加わる厚さ方向の圧縮荷重に対する剛性は、外側領域D2の剛性が内側領域D1の剛性より低い。このため、アウトソール14が、外側領域D2で踵から受ける荷重は、内側領域D1で踵から受ける荷重を超える。したがって、履物10の第2実施例は、履物10の第1実施例と同様の効果を得ることができる。ビジネスシューズ等の履物10のうち、踵50の外側に対応する箇所を内側に傾斜させることで、裸足で、砂・草・土の上に立つのと同様に踵50の外側が下へ沈み、人間本来の安定した立ち姿勢となり、歩行時にも、踵50の外側から着地し、次に中足骨18の外側を通り、最後に指先で地面をけり出す理想的な歩行に近づけることができる。
【0026】
(第3実施例)
図4Aには、履物10の第3実施例が示されている。なお、図2Aに示す左半足部11及び右半足部12の平面図は、図4Aの履物10にも当てはまる。図4Aに示す履物10は、例えば、パンプスである。2つのアウトソール14は、左足F1の踵、及び右足F2の踵に対応する位置にヒール部25を有する。ヒール部25は、アウトソール14の厚さ方向、つまり、高さ方向に突出されている。ヒール部25は、例えば、合成樹脂の芯を巻皮で覆ったものである。ヒール部25は、釘を用いてアウトソール14へ固定されている。図4Bは、図4Aの左半足部11の側面図である。
【0027】
図4Aには、ヒール部25の幅方向における中心線C2が示されている。中心線C2と中心線C1とは、90度の角度で交差する。中心線C2は、ヒール部25の幅方向において、ヒール部25の上端29の中心を通る仮想線である。ヒール部25は、側面26,27,28、底面28Aを有する。側面26は、内側領域D1に配置され、かつ、直線状に延ばされている。側面26は、アッパー13から離れることに伴い、中心線C2に近づくように、中心線C2に対して傾斜されている。側面27,28は、外側領域D2に配置されている。アッパー13、中敷き15のパッド60、及びヒール部25は、内側領域D1及び外側領域D2に亘って配置されている。
【0028】
側面27は、アウトソール14につながっている。側面27は、アッパー13から離れることに伴い、中心線C2に近づくように、中心線C2に対して傾斜されている。側面26と中心線C2との間に形成される鋭角側の角度と、側面27と中心線C2との間に形成される鋭角側の角度と、が同じである。側面27は直線状に延ばされている。側面28は、側面27及び底面28Aに接続されている。図4Aに示すヒール部25の正面視、及び図4Bに示すヒール部25の側面視の何れにおいても、側面28は、湾曲形状または円弧形状を有する。底面28Aは、平坦である。上記構成を有するヒール部25の先端面、つまり、下端面のうち、外側領域D2に配置されている部位の面積は、内側領域D1に配置されている部位の面積より狭い。側面26は、中心線C2に対して傾斜されている。側面26と底面28Aとの接続部分が、図4Aでは便宜上、エッジ状に示されているが、側面26と底面28Aとの接続部分は、実際には湾曲形状または円弧形状に面取りされている。
【0029】
左半足部11を左足F1に装着し、右半足部12を右足F2に装着して、2つのヒール部25の下端面を場所E1に接触させて人が立つと、重心Q1は、ヒール部25の外側領域D2に対応する位置にある。そして、ヒール部25の先端面、つまり、下端面のうち、外側領域D2に配置されている部位の面積は、内側領域D1に配置されている部位の面積より狭い。このため、左半足部11は、図4Aで右半足部12から離間する方向に傾斜し易い。また、右半足部12は、図4Aで左半足部11から離間する方向に傾斜し易い。その結果、ヒール部25が、外側領域D2で踵から受ける荷重は、内側領域D1で踵から受ける荷重を超える。したがって、履物10の第3実施例は、履物10の第1実施例と同様の効果を得ることができる。パンプス等の履物10における踵50の外側を内側に傾斜させることで、裸足で、砂・草・土の上に立つのと同様に踵50の外側が下へ沈み、人間本来の安定した立ち姿勢となり、歩行時にも、踵50の外側から着地し、次に中足骨18の外側を通り、最後に指先で地面をけり出す理想的な歩行に近づけることができる。
【0030】
(第4実施例)
図5には、履物10の第4実施例が示されている。履物10の第4実施例は、ヒール部25の幅が、図4に示すヒール部25の幅より狭い例である。アッパー13、中敷き15のパッド60及びヒール部25は、内側領域D1及び外側領域D2に亘って配置されている。また、側面28と底面28Aとの境界は、中心線C2上に位置する。このため、内側領域D1に配置されている底面28Aが場所E1に接触され、ヒール部25のうち、外側領域D2に配置されている部位は、場所E1にほとんど接触しない。
【0031】
したがって、ヒール部25のうち、外側領域D2に配置されている部位の面積は、内側領域D1に配置されている部位の面積より狭い。このため、左半足部11は、側面28が場所E1に近づく方向に傾斜し易い。また、右半足部12は、側面28が場所E1に近づく方向に傾斜し易い。その結果、ヒール部25が、外側領域D2で踵から受ける荷重は、内側領域D1で踵から受ける荷重を超える。履物10の第4実施例は、履物10の第1実施例と同様の効果を得ることができる。パンプス等の履物10における踵50の外側を内側に傾斜させることで、裸足で、砂・草・土の上に立つのと同様に踵50の外側が下へ沈み、人間本来の安定した立ち姿勢となり、歩行時にも、踵50の外側から着地し、次に中足骨18の外側を通り、最後に指先で地面をけり出す理想的な歩行に近づけることができる。
【0032】
(第5実施例)
図6は、履物10の第5実施例を示す正面図である。履物10の第5実施例は、ヒール部25の幅が底面26Aに近づくことに伴い狭くなっている例である。アッパー13、中敷き15のパッド60及びヒール部25は、内側領域D1及び外側領域D2に亘って配置されている。側面26は、内側領域D1に配置され、側面27は、外側領域D2に配置されている。側面26の上端と中心線C2との間の距離は、側面27の上端と中心線C2との間の距離と同じである。また、側面26と中心線C2との間の鋭角側の角度は、側面27と中心線C2との間の鋭角側の角度未満である。さらに、ヒール部25の底面26Aが、側面26及び側面27に接続されている。底面26Aは平坦であり、底面26Aと側面26との接続箇所、底面26Aと側面27との接続箇所は、角がある形状、湾曲形状または円弧形状の何れでもよい。底面26Aは、内側領域D1及び外側領域D2に亘って配置されている。
【0033】
ヒール部25の先端面、つまり、底面26Aのうち、外側領域D2で場所E1に接地する部位の面積は、内側領域D1で場所E1に接地する部位の面積より広い。その結果、ヒール部25が、外側領域D2で踵から受ける荷重は、内側領域D1で踵から受ける荷重を超える。したがって、履物10の第5実施例は、ヒール部25のうち、外側領域D2で重心Q1の荷重を受け易くなり、履物10の第1実施例と同様の効果を得ることができる。図2Aで説明した例と同様に、体の荷重が最も掛る踵骨20の位置が、中心線C1より足の外側に位置しているので、履物10のヒール部25の位置を踵骨20の位置に合わせて、外側にずらすことにより、履物10のヒール部25が荷重をしっかり受け止めることができ、足首、膝への負担が軽減し、姿勢が安定する。歩行時においても、踵50の外側から着地し、次に中足骨18の外側を通り、最後に指先で地面をけり出す理想的な歩行に近づけることができる。
【0034】
(第6実施例)
図7には、履物10の第6実施例が示されている。履物10の第6実施例は、ヒール部25の幅が底面26Aに近づくことに伴い狭くなっている例である。また、図7に示すヒール部25の幅は、図6に示すヒール部25の幅未満である。アッパー13、中敷き15のパッド60及びヒール部25は、内側領域D1及び外側領域D2に亘って配置されている。側面26と中心線C2との間の鋭角側の角度と、側面27と中心線C2との間の鋭角側の角度とが同じである。側面26の上端と中心線C2との間の距離は、側面27の上端と中心線C2との間の距離未満である。このため、ヒール部25の先端面、つまり、底面26Aのうち、外側領域D2で場所E1に接地する部位の面積は、内側領域D1で場所E1に接地する部位の面積より広い。したがって、履物10の第6実施例は、ヒール部25のうち、外側領域D2で重心Q1の荷重を受け易くなり、履物10の第1実施例と同様の効果を得ることができる。図2Aで説明した例と同様に、体の荷重が最も掛る踵骨20の位置が、中心線C1より足の外側に位置しているので、履物10のヒール部25の位置を踵骨20の位置に合わせて、外側にずらすことにより、履物10のヒール部25が荷重をしっかり受け止めることができ、足首、膝への負担が軽減し、姿勢が安定する。歩行時においても、踵50の外側から着地し、次に中足骨18の外側を通り、最後に指先で地面をけり出す理想的な歩行に近づけることができる。
【0035】
(第7実施例)
図2Aに示す中敷き15は、履物10の第1実施例、履物10の第2実施例、履物10の第3実施例、履物10の第4実施例、履物10の第5実施例、履物10の第6実施例の全てに用いることができる。2つの中敷き15は、図2B及び図9のように、パッド60と、パッド60の外周から立ち上げた立ち上げ部61と、パッド60を厚さ方向に貫通する孔40と、を有する。立ち上げ部61は、パッド60の外周から湾曲するように設けられている。また、立ち上げ部61は、中心線C1に沿った前後方向で、略中央から後端63に亘る領域に設けられている。パッド60は、左足F1の踵50の下面の一部、右足F2の踵の下面の一部に接触され、立ち上げ部61は、左足F1の踵50の側面の一部、右足F2の踵の側面の一部に接触される。
【0036】
中敷き15を平面視すると、孔40は、中心線C1に沿った方向で、中敷き15の略中央と後端63との間に配置されている。中敷き15を平面視すると、孔40の内周形状は、例えば、図9に示す踵骨20の下端20Aを平面視した形状と同じであることが望ましい。孔40が設けられている領域内に、重心Q1が位置する。中敷き15を平面視すると、中心線C1に沿った方向で、孔40の略中央に重心Q1が位置する。また、中敷き15を平面視すると、孔40のうち、外側領域D2に配置されている部分の面積は、内側領域D1に配置されている部分の面積を超えている。中敷き15を平面視すると、孔40のうち、内側領域D1に配置されている部分の平面形状は、例えば、半月形状である。中敷き15を平面視すると、孔40のうち、外側領域D2に配置されている部分の平面形状は、例えば、台形状である。中敷き15を平面視すると、孔40のうち、外側領域D2に配置されている部分の後端は、孔40のうち、内側領域D1に配置されている部分の後端と、パッド60の後端63との間に位置する。なお、中敷き15を平面視すると、孔40の内周形状は、円形、楕円形、または、その他の形状であってもよい。
【0037】
さらに、孔40の一部は、立ち上げ部61に設けられている。孔40の内周面は、パッド60の内面及び外面に対して緩やかに湾曲されて接続されている。図2Bのように、左半足部11及び右半足部12を、正面側から縦断面視すると、孔40の内周面は、底部64の上面に対して傾斜されている。孔40の内周面は、孔40が底部64に近づくことに伴い、孔40の幅が狭くなる向きで傾斜されている。左半足部11の幅方向における縦断面内で、孔40の内周面のうち内側領域D1に位置する箇所と、底部64の上面との間に形成される鋭角側の角度θ1は、孔40の内周面のうち外側領域D2に位置する箇所と、底部64の上面との間に形成される鋭角側の角度θ2未満である。角度θ1,θ2は共に90度未満である。
【0038】
さらに、図2A及び図9のように、中敷き15の表面には、厚さ方向に突出されたサポート部65を有する。中敷き15を平面視すると、サポート部65の形状は、楕円形、円形等のうちの何れでもよい。中敷き15を平面視すると、サポート部65の配置領域は、中足骨18が位置する領域に設けられていてもよいし、中足骨18及び足根骨19の両方が位置する領域にまたがって設けられていてもよい。
【0039】
そして、左半足部11を左足F1に装着し、右半足部12を右足F2に装着して、人が場所E1に立つと、左足F1の踵50の下面の一部、右足F2の踵50の下面の一部が、それぞれ中敷き15の孔40に沈み込む。このため、左足F1及び右足F2のそれぞれについて、片足28個の骨が正常な位置になる。このため、アウトソール14が、外側領域D2で踵から受ける荷重は、内側領域D1で踵50から受ける荷重を超える。したがって、履物10の第1実施例で述べた効果が更に増す。
【0040】
中敷き15に孔40が設けられていると、左足F1及び右足F2の骨が起き上がった状態になり、左足F1の下面及び右足F2の下面と、中敷き15との間に隙間が生じる。また、サポート部65が左足F1の下面、及び右足F2の下面を支持する。このため、左足F1及び右足F2が、幅方向でアーチ形状になりやすくなる。したがって、地面からの衝撃を吸収し易くなり、左足F1及び右足F2の膝、足首、腰への負担を軽減できる。また、左足F1の下面及び右足F2の下面と、中敷き15との隙間にサポート部65が位置するため、左足F1の踵50の下面の一部、右足F2の踵の下面の一部が、それぞれ中敷き15の孔40に沈み込む状態を、一層、保持し易くなり、効果的である。
【0041】
さらに、孔40の内周面は、底部64の上面に対して傾斜されている。左半足部11の幅方向で、孔40の内周面のうち内側領域D1に位置する箇所と底部64の上面との間に形成される鋭角側の角度θ1は、孔40の内周面のうち外側領域D2に位置する箇所と底部64の上面との間に形成される鋭角側の角度θ2未満である。角度θ1,θ2は共に90度未満である。したがって、踵50の下面が孔40の内周面に沿って滑らかに沈み込み易く、かつ、踵50の下面のうち、孔40の内周面のうち小指に近い方の箇所で支持されることで、踵50が中敷き15に対して幅方向に位置決めされる。
【0042】
したがって、踵骨20の下端20Aが孔40の真上に位置する状態を保持でき、踵部21が外側領域D2に対応する位置で踵50から受ける荷重を、踵部21が内側領域D1に対応する位置で踵50から受ける荷重を超えさせることができ、第1実施例の効果を一層高めることができる。
【0043】
(第8実施例)
図8に示す中敷き15は、履物10の第1実施例、履物10の第2実施例、履物10の第3実施例、履物10の第4実施例、履物10の第5実施例、履物10の第6実施例の全てに用いることができる。2つの中敷き15のパッド60には、切り欠き部41がそれぞれ設けられている。なお、切り欠き部41の形状は、任意である。そして、切り欠き部41が設けられている領域内に、重心Q1が位置する。切り欠き部41のうち、外側領域D2に配置されている面積は、内側領域D1に配置されている面積を超えている。
【0044】
そして、左半足部11を左足F1に装着し、右半足部12を右足F2に装着して、人が場所E1に立つと、左足F1の踵50、及び右足F2の踵の表面の一部が、それぞれ中敷き15の切り欠き部41に沈み込む。このため、アウトソール14が、外側領域D2で踵から受ける荷重は、内側領域D1で踵から受ける荷重を超える。したがって、履物10の第1実施例で述べた効果が更に増す。
【0045】
なお、図2A及び図8に示す中敷き15は、面取りを有する側面31、傾斜した側面27,28,32等が設けられていないアウトソールを有する履物の足収容室に設けることができる。この場合、左半足部を左足に装着し、右半足部を右足に装着して、人が場所に立つと、左足の踵、及び右足の踵の表面の一部が、それぞれ中敷き15の孔40または切り欠き部41へ沈み込む。このため、アウトソールが、外側領域D2で踵から受ける荷重は、内側領域D1で踵から受ける荷重を超える。したがって、履物の第1実施例で述べたと同様の効果を得ることができる。
【0046】
(第9実施例)
図10及び図11に示す左半足部11及び右半足部12は、何れも前述の中敷き15を備えていない。左半足部11及び右半足部12にそれぞれ設けられた底部64が、凹部66をそれぞれ有する。底部64を真上から平面視すると、凹部66は、中心線C1に沿った方向で、底部64の略中央と後端67との間に配置されている。底部64の上面は、足収容空間16に面しており、底部64の上面に凹部66が設けられている。凹部66は、底部64の上面の一部を、底部64の厚さ方向にくぼませたものである。
【0047】
底部64を平面視すると、凹部66は、中心線C1に沿った方向で、底部64の略中央と後端67との間に配置されている。底部64を平面視すると、凹部66の形状は、例えば、図9に示す踵骨20の下端20Aを平面視した形状と同じであることが望ましい。凹部66が設けられている領域内に、重心Q1が位置する。底部64を平面視すると、中心線C1に沿った方向で、凹部66の略中央に重心Q1が位置する。また、底部64を平面視すると、凹部66のうち、外側領域D2に配置されている部分の面積は、内側領域D1に配置されている部分の面積を超えている。底部64を平面視すると、凹部66のうち、内側領域D1に配置されている部分の平面形状は、例えば、半月形状である。底部64を平面視すると、凹部66のうち、外側領域D2に配置されている部分の平面形状は、例えば、台形状である。底部64を平面視すると、凹部66のうち、外側領域D2に配置されている部分の後端は、凹部66のうち、内側領域D1に配置されている部分の後端と、底部64の後端67との間に位置する。なお、底部64を平面視すると、凹部66の形状は、円形、楕円形、または、その他の形状であってもよい。
【0048】
そして、左半足部11を左足F1に装着し、右半足部12を右足F2に装着して、人が場所E1に立つと、左足F1の踵50の下面の一部、右足F2の踵50の下面の一部が、それぞれ底部64の凹部66に沈み込む。このため、左足F1及び右足F2のそれぞれについて、片足28個の骨が正常な位置になる。このため、アウトソール14が、外側領域D2で踵から受ける荷重は、内側領域D1で踵から受ける荷重を超える。したがって、履物10の第1実施例で述べた効果と同様の効果を得ることができる。なお、図10及び図11に底部64は、履物10の第1実施例、履物10の第2実施例、履物10の第3実施例、履物10の第4実施例、履物10の第5実施例、履物10の第6実施例、履物10の第7実施例、履物10の第8実施例の全てに用いることができる。
【0049】
また、左半足部11及び右半足部12のそれぞれが、孔40を有する中敷き15、及び凹部66を有する底部64の両方を備えている場合、中敷き15を平面視すると、孔40の配置領域と、凹部66の配置領域とが、少なくとも一部で重なる。また、左半足部11及び右半足部12のそれぞれが、切り欠き部41を有する中敷き15、及び凹部66を有する底部64の両方を備えている場合、中敷き15を平面視すると、切り欠き部41の配置領域と、凹部66の配置領域とが、少なくとも一部で重なる。
【0050】
(補足説明)
人が、裸足で、砂や草、柔らかい土の上に立つと、図2A図8の例で説明したように、踵骨20が中心線C1より外側に位置していることにより、足の踵(外側)が沈み込むような状態となり、人間本来の正しい立ち姿勢になり、安定した立ち姿勢、安定した歩行となる。履物を履いても、その自然な状態となるよう、中敷き、底部、履物のヒール部によってその状態を作ることで、人間本来の安定した立ち姿勢となり、歩行時にも、踵の外側から着地し、次に中足骨の外側を通り、最後に指先で地面をけり出す理想的な歩行に近づけられる。本開示の中敷き、アウトソールを有する履物、底部を有する履物は、全てこの効果を得ることができる。
【0051】
本実施形態で説明した事項の技術的意味の一例は、次の通りである。アッパー13は、本体部の一例である。アウトソール14、踵部21、ヒール部25は、接地部の一例である。履物10は、履物の一例である。中心線C1は、中心線の一例である。内側領域D1は内側領域の一例である。外側領域D2は、外側領域の一例である。角度θ1は、第1角度の一例であり、角度θ2は、第2角度の一例である。底部64は、底部の一例である。凹部66は、凹部の一例である。側面31に設けられた面取り、側面32を構成する傾斜面、側面27,28は、設定機構の一例である。側面27,28,30,31,32は、側面の一例である。足収容空間16は、足収容空間の一例である。
【0052】
中敷き15は、中敷きの一例である。パッド60は、パッドの一例である。孔40及び切り欠き部41は、それぞれ補助機構の一例である。なお、中敷きの孔または切り欠き部に代えて凹部またはくぼみを設け、中敷きの厚さを部分的に他の箇所よりも薄くする構成を採用してもよい。さらに、各図において、踵部、ヒール部、アウトソール等の要素に角部があるように示されている箇所があるが、あくでも図面上のことであり、実際には、これらの箇所に滑らかな面取りが施されているか、または、滑らかに湾曲された形状を有している。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本開示は、人の足に着用される履物内に設けられる中敷き及び履物として利用可能である。
【符号の説明】
【0054】
10…履物、13…アッパー、14…アウトソール、15…中敷き、16…足収容空間、21…踵部、25…ヒール部、27,28,30,31,32…側面、40…孔、41…切り欠き部、60…パッド、64…底部、66…凹部、C1…中心線、D1…内側領域、D2…外側領域、θ1、θ2…角度
【要約】
【課題】人が安定した姿勢で立ち、かつ、安定した姿勢で歩行可能な履物用の中敷きを提供する。
【解決手段】履物の足挿入部に置かれるパッド60を有する中敷き15であって、パッド60は、パッド60の平面視で幅方向の中心線C1を隔てて配置される内側領域D1及び外側領域D2に区分され、パッド60の平面視で、内側領域D1は足の親指が位置する領域であり、パッド60の平面視で、外側領域D2は足の小指が位置する領域であり、パッド60は、履物の接地部が外側領域D2に対応する位置で足の踵から受ける荷重を、履物の接地部が内側領域D1に対応する位置で足の踵から受ける荷重を超えさせる孔40を有する、中敷き15を構成した。
【選択図】図2A
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11