(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】パター
(51)【国際特許分類】
A63B 53/10 20150101AFI20240405BHJP
A63B 53/12 20150101ALI20240405BHJP
A63B 53/06 20150101ALI20240405BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20240405BHJP
【FI】
A63B53/10 Z
A63B53/12 Z
A63B53/06 D
A63B102:32
(21)【出願番号】P 2023135421
(22)【出願日】2023-08-23
【審査請求日】2023-10-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523320906
【氏名又は名称】株式会社プラグデザイン
(74)【代理人】
【識別番号】110002435
【氏名又は名称】弁理士法人井上国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077919
【氏名又は名称】井上 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100172638
【氏名又は名称】伊藤 隆治
(74)【代理人】
【識別番号】100153899
【氏名又は名称】相原 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100159363
【氏名又は名称】井上 淳子
(72)【発明者】
【氏名】田中 吉彦
【審査官】田中 洋行
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0143161(US,A1)
【文献】特開2012-016560(JP,A)
【文献】特開2011-235080(JP,A)
【文献】実開昭52-106358(JP,U)
【文献】実公昭43-019946(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/00-53/14
A63B 102/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフト部と、前記シャフト部の外周面をカバーするグリップ部と、前記シャフト部の下端部に連結されるヘッド部とを備えているパターにおいて、
前記シャフト部は、
中空のシャフト本体部と、
前記シャフト本体部内に収容され、ボールを打ったときに撓む柱状体と、
前記シャフト本体部の上端部の内周面と前記柱状体の上端部の外周面との間に収容され、前記柱状体の上端部を支持する第1の支持部材と、
前記シャフト本体部の下端部の内周面と前記柱状体の下端部の外周面との間に収容され、前記柱状体の下端部を支持する第2の支持部材と
を有
し、
前記第1の支持部材および前記第2の支持部材はそれぞれ円柱状に形成され、前記柱状体の前記上端部および前記下端部は、それぞれ前記第1の支持部材の中心孔および前記第2の支持部材の中心孔に圧入され、前記第1の支持部材および前記第2の支持部材は、それぞれ前記シャフト本体部の前記上端部および前記シャフト本体部の前記下端部に圧入され、
前記第1の支持部材の外周面は、全面が前記シャフト本体部の上端部の前記内周面に接触し、前記第2の支持部材の外周面は、全面が前記シャフト本体部の下端部の前記内周面に接触している
ことを特徴とするパター。
【請求項2】
前記柱状体の中間部に装着されて前記柱状体の中間部の撓みを大きくするウエイトを更に備えている
ことを特徴とする請求項1に記載のパター。
【請求項3】
前記第1の支持部材の重量が前記ヘッド部の重量に応じて前記第2の支持部材の重量より大きくなっている
ことを特徴とする請求項1に記載のパター。
【請求項4】
前記ヘッド部の前後方向の寸法が、前記ヘッド部のトウの先端から前記ヘッド部のヒールの後端までの寸法
の1/5~1/3である
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のパター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はパターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のパターとして次のような特徴を有するものがある(特許文献1参照)。
シャフト部と、そのシャフト部が接続されるホーゼル部を含み、ボールを打球するフェース面と、そのフェース面に対して略直交するとともに前記フェース面の略中心を通過する仮想直交線を軸に線対称であり、前記フェース面の背面側に連接されたヘッド部とを備えるパターヘッドにおいて、
前記ヘッド部のトップ面には、所定半径からなる円の円弧が施されており、前記円の中心が打球方向側の前記仮想直交線上にあり、また、前記円の円弧は前記フェース面のトウ側端部とヒール側端部を通過する第1の円弧と、その第1の円弧と同心円状であり、かつその第1の円弧よりも半径が長い第2の円弧とから構成され、前記ヘッド部と前記フェース面を含まないバックヘッド部は一体型である、又は、前記第2の円弧を境界面として、前記フェース面を含むフロントヘッド部と、前記フェース面を含まないバックヘッド部に分離も可能であるように構成も可能であり、前記フロントヘッド部と前記バックヘッド部は、トウ側の側面の上端線及びヒール側の側面の上端線が平面視において直線となるように連設されており、前記トウ側の側面の上端線及び前記ヒール側の側面の上端線の打球方向側の各々の延長線は、平面視した場合の前記仮想直交線上において、各スパットへ交差する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のパターは、スパットに対してまっすぐボールを送り出すために、ヘッド部を大きくし形状も複雑にしたので、製造コストが高くなるという問題があった。
【0005】
本願発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その課題は、大きな製造コストをかけずに打球の直進性の高いパターを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するため請求項1に記載の発明は、シャフト部と、前記シャフト部の外周面をカバーするグリップ部と、前記シャフト部の下端部に連結されるヘッド部とを備えているパターにおいて、前記シャフト部は、中空のシャフト本体部と、前記シャフト本体部内に収容され、ボールを打ったときに撓む柱状体と、前記シャフト本体部の上端部の内周面と前記柱状体の上端部の外周面との間に収容され、前記柱状体の上端部を支持する第1の支持部材と、前記シャフト本体部の下端部の内周面と前記柱状体の下端部の外周面との間に収容され、前記柱状体の下端部を支持する第2の支持部材とを有し、前記第1の支持部材および前記第2の支持部材はそれぞれ円柱状に形成され、前記柱状体の前記上端部および前記下端部は、それぞれ前記第1の支持部材の中心孔および前記第2の支持部材の中心孔に圧入され、前記第1の支持部材および前記第2の支持部材は、それぞれ前記シャフト本体部の前記上端部および前記シャフト本体部の前記下端部に圧入され、前記第1の支持部材の外周面は、全面が前記シャフト本体部の上端部の前記内周面に接触し、前記第2の支持部材の外周面は、全面が前記シャフト本体部の下端部の前記内周面に接触していることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明のパターにおいて、前記柱状体の中間部に装着されて前記柱状体の中間部の撓みを大きくするウエイトを更に備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明のパターにおいて、前記第1の支持部材の重量が前記ヘッド部の重量に応じて前記第2の支持部材の重量より大きくなっていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1~3のいずれか1項に記載の発明のパターにおいて、前記ヘッド部の前後方向の寸法が、前記ヘッド部のトウの先端から前記ヘッド部のヒールの後端までの寸法の1/5~1/3であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
大きな製造コストをかけずに打球の直進性の高いパターを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1はこの発明の一実施形態に係るパターの破断面図である。
【
図4】
図4はシャフト本体部内に収容された柱状体と、その柱状体に装着された第1の支持部材及び第2の支持部材の斜視図である。
【
図5】
図5はシャフト本体部内に収容された柱状体と、その柱状体に装着された第1の支持部材、第2の支持部材及びウエイトの斜視図である。
【
図6】
図6はシャフト部の部分断面を示す概念図であり、
図6(a)はヘッド部がボールに当たる前の状態を示す図であり、
図6(b)はヘッド部がボールに当たった瞬間の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
この発明の一実施形態のパターは、
図1に示すように、シャフト部1と、シャフト部1の上端部をカバーするグリップ部2と、シャフト部1の下端部に連結されるヘッド部3とを備えている。
【0013】
シャフト部1は、
図2~
図4に示すように、中空のシャフト本体部11と、シャフト本体部11内に収容される柱状体12と、柱状体12の上端部がシャフト本体部11内で動かないようにその上端部を支持する第1の支持部材13と、柱状体12の下端部がシャフト部11内で動かないようにその下端部を支持する第2の支持部材14とを有する。
【0014】
シャフト本体部11は円筒状であり、スチール製もしくはカーボン製である。
【0015】
柱状体12の断面形状は円形である。柱状体12の断面形状としては円形に限られず四角形や六角形等でもよい。柱状体12は真鍮製であるが、柱状体12の材質としては真鍮以外の金属でもよいし、金属以外の材質(カーボンファイバー等)でもよい。
【0016】
第1の支持部材13は、シャフト本体部11の上端部の内周面と柱状体12の上端部の外周面との間に収容される。
第2の支持部材14は、シャフト本体部11の下端部の内周面と柱状体12の下端部の外周面との間に収容される。
第1の支持部材13、第2の支持部材14はそれぞれ円柱状である。第1の支持部材13、第2の支持部材14はそれぞれゴム製であるが、それらの材質として金属を用いてもよい。
第1の支持部材13、第2の支持部材14にはそれぞれ柱状体12を挿入する中心孔が形成されている。
第1の支持部材13の外径と第2の支持部材14の外径は等しく、第1の支持部材13の長さと第2の支持部材14の長さも等しい。
柱状体12の中間部(柱状体12の上端部及び下端部以外の部分)の外周面とシャフト本体部11の中間部の内周面とは接触していないので、第1の支持部材13と第2の支持部材14との間には空間が形成される。
【0017】
グリップ部2は円筒状であり、ゴム製である。グリップ部2の上端は閉じており、グリップ部2の下端は開いている。グリップ部2の内径は一定であるが、グリップ部2の外径はグリップ部2の上端から下端へ向かって次第に小さくなる(
図1、
図2参照)。
【0018】
ヘッド部3は金属製である(例えばアルミニュウム合金等)。ヘッド部3は、ヘッド本体部31と、シャフト部1の下端部を受容するシャフト受容部32と、ヘッド本体部31とシャフト受容部32とを連結する連結部33とを有する。ヘッド本体部31とシャフト受容部32と連結部33とは一体に連結されている。
このヘッド部3はいわゆるピン型であり、いわゆるマレット型やネオマレット型のヘッド部と比べ
図1に示すヘッド部3の前後方向BFの寸法L1と重量が小さい。
ヘッド部3のヘッド本体部31の平面視の形状は長方形である。その長方形の短辺の寸法(ヘッド部3の前後方向BFの寸法L1)は、ヘッド部3のヘッド本体部31のトウの先端31aからヘッド本体部31のヒールの後端31bまでの寸法L2のほぼ1/4である(
図1、
図3参照)。
【0019】
この実施形態のパターを組み立てるには、まず第1の支持部材13の中心孔に柱状体12の上端部を圧入するとともに、第2の支持部材14の中心孔に柱状体12の下端部を圧入する。
その後、柱状体12をシャフト本体部11内に挿入し、第2の支持部材14をシャフト本体部11の下端部に圧入し、第1の支持部材13をシャフト本体部11の上端部に圧入する。その結果、シャフト本体部11内の柱状体12の両端部がシャフト部1の径方向へ移動できないように支持され、シャフト部1が完成する。柱状体12の中間部の外周面とシャフト本体部11の内周面とは接触しておらず、第1の支持部材13と第2の支持部材14との間には空間が形成されるので、パターでボールを打ったとき柱状体12の中間部は撓む。
次に、グリップ部2の開口端にシャフト部1の上端部を挿入し、グリップ部2の閉塞端にシャフト部1の上端部が当たるまで、シャフト部1をグリップ部2内に押し込む。
最後に、シャフト部3の下端部をヘッド部3のシャフト受容部32に挿入し、固定する。その結果、シャフト部1とヘッド部3とが一体的に連結される。
以上のようにしてパターの組立が完了する。
【0020】
この実施形態では、パターのヘッド部3がボールに当たる前、シャフト本体部11と柱状体12とはほぼ平行である(
図6(a)参照)。パターのヘッド部3がボールに当たった瞬間、ヘッド部3がボールと衝突することによってヘッド部3とシャフト部1のシャフト本体部11の移動速度は落ちるが、柱状体12の中間部には慣性が働き、柱状体12の中間部は更に進行方向へ移動しようとする。その結果柱状体12は撓み(
図6(b)参照)、その慣性モーメントは第1の支持部材13と第2の支持部材14とを介してシャフト本体部11とヘッド部3とに伝わり、ボールを押し出す力として作用する。その結果、ボールがスパット(アドレスしたとき目標方向に正しく構えているかを確認するために使われる目印)に向かってまっすぐ転がる(打球の直進性)。
図6(b)には説明をわかりやすくするために柱状体12の撓みが強調して描かれている。
また、このパターは、コンパクトな振幅でも押し出されたボールがしっかり転がるのでロングパットにも資する。
【0021】
この実施形態は、打球の直進性を高めるためにヘッド部3を大きくし形状を複雑にする必要がないので、大きな製造コストをかけずに打球の直進性の高いパターを提供することができる。
【0022】
また、ヘッド部3を小さくし形状を単純にすることができるので、ヘッド部3のフェース面をコントロールしやすくなるし、手で転がすイメージで距離感を出しやすくもなり、パター使用者の感性が生かされる。
【0023】
次に、この発明の第1の変形例を
図5に基づいて説明する。
【0024】
上述の実施形態と共通する部分については同一符号を付してその説明を省略する。以下、上述の実施形態との主な相違部分についてだけ説明する。下記相違部分を除き、第1の変形例は上述の実施形態と同じ構成を有する。
【0025】
第1の変形例では、
図5に示すように柱状体12の上端部に第1の支持部材13が装着され、柱状体12の下端部に第2の支持部材14が装着されているだけでなく、柱状体12の中間部に柱状体12の中間部の振れを大きくするためのウエイト15が装着されている。ウエイト15の材質としては金属(例えばステンレス鋼等)を採用してもよい。
ウエイト15は円柱状である。ウエイト15には柱状体12を挿入する中心孔が形成されている。
ウエイト15の外径は第1の支持部材13や第2の支持部材14の外径より小さいので、ウエイト15の外周面とシャフト本体部11の中間部の内周面との間には空間が形成される。
この第1の変形例によれば、柱状体12の中間部にウエイト15が装着されているので、柱状体12の慣性モーメントが大きくなり、打球の直進性がより高まる。
【0026】
上述の実施形態、変形例では、第1の支持部材13と第2の支持部材14は外径と長さの点で等しく、材質がゴムである点も等しいが、第2の変形例として、第1の支持部材13の材質として金属(例えばステンレス鋼等)を採用するとともに、ヘッド部3の重量に応じて第1の支持部材13の長さ(第1の支持部材13の重量)を決めることによって、第1の支持部材13をカウンターウエイト(図示せず)として利用してもよい。この第2の変形例によれば、専用のカウンターウエイトを使う必要がなくなり、部品点数と組立工数を削減できるので、製造コストを減らすことができる。
【0027】
なお、上述の実施形態、変形例では、ヘッド部3のヘッド本体部31の前後方向BFの寸法L1が、ヘッド部3のヘッド本体部31のトウの先端31aからヘッド本体部31のヒールの後端31bまでの寸法L2のほぼ1/4であるが、ヘッド部3のヘッド本体部31の前後方向の寸法L1が、ヘッド部3のヘッド本体部31のトウの先端31aからヘッド本体部31のヒールの後端31bまでの寸法L2のほぼ1/5~1/3であれば、上述の実施形態や変形例と同様に、ヘッド部3のフェース面をコントロールしやすくなるし、手で転がすイメージで距離感を出しやすくもなり、パター使用者の感性が生かされる。
【符号の説明】
【0028】
1 シャフト部
11 シャフト本体部
12 柱状体
13 第1の支持部材
14 第2の支持部材
15 ウエイト
2 グリップ部
3 ヘッド部
31 ヘッド本体部
32 シャフト受容部
33 連結部
31a ヘッド部のヘッド本体部のトウの先端
31b ヘッド部のヘッド本体部のヒールの後端
L1 ヘッド部のヘッド本体部の前後方向の寸法
L2 ヘッド部のヘッド本体部のトウの先端からヘッド本体部のヒールの後端までの寸法
BF ヘッド部のヘッド本体部の前後方向
【要約】
【課題】大きな製造コストをかけずに打球の直進性の高いパターを提供する。
【解決手段】パターはシャフト部1とグリップ部2とヘッド部3とを備えている。シャフト部1は、中空のシャフト本体部11と、シャフト本体部11内に収容され、ボールを打ったときに撓む柱状体12と、シャフト本体部11の上端部の内周面と柱状体12の上端部の外周面との間に収容され、柱状体12の上端部を支持する第1の支持部材13と、シャフト本体部11の下端部の内周面と柱状体12の下端部の外周面との間に収容され、柱状体12の下端部を支持する第2の支持部材14とを有する。
【選択図】
図1