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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】建具運搬治具及び建具運搬方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/16 20060101AFI20240405BHJP
   E04G 21/14 20060101ALI20240405BHJP
   E06B 7/28 20060101ALN20240405BHJP
【FI】
E04G21/16
E04G21/14
E06B7/28 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019208749
(22)【出願日】2019-11-19
(65)【公開番号】P2021080734
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】本橋 成哲
(72)【発明者】
【氏名】轟 奈美恵
【審査官】菅原 奈津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-180750(JP,A)
【文献】特開2005-145518(JP,A)
【文献】特開2012-171640(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0128034(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/14-21/16
B65D 57/00-59/08
B65D 81/00-81/17
B65G 7/00- 7/12
E05D 15/00-15/58
E06B 1/00- 1/70
E06B 3/00- 3/99
E06B 5/00- 5/20
E06B 7/00- 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レールが形成された下枠を有する枠体と、前記レールに戸車を介して支持された障子とを備える建具を運搬する建具運搬治具であって、
前記レールを覆うように形成されたカバー部材と、
前記カバー部材の基端から上方に起立し板状に形成されたエンド部材と、を備える、建具運搬治具。
【請求項2】
前記カバー部材には、前記エンド部材が位置する側とは反対側の先端に向かうほど前記レールが位置する側に傾斜したテーパ面が形成されている、請求項1に記載の建具運搬治具。
【請求項3】
前記テーパ面は、前記障子と前記レールとの間の隙間に挿入されるように形成されている、請求項2に記載の建具運搬治具。
【請求項4】
前記エンド部材は、前記障子の見込面の下方に取り付けられる、請求項1から3のうちいずれか1項に記載の建具運搬治具。
【請求項5】
前記カバー部材は、前記障子に挿入された際、前記障子が前記レールの延在方向に対して直交方向へ移動することを規制するように形成されている、請求項1から4のうちいずれか1項に記載の建具運搬治具。
【請求項6】
前記カバー部材は、前記障子に挿入された際、前記障子を上方に移動させ前記戸車と前記レールとの間に隙間を生じさせるように形成されている、請求項1から5のうちいずれか1項に記載の建具運搬治具。
【請求項7】
レールが形成された下枠を有する枠体と、前記レールに戸車を介して支持された障子とを備える建具の建具運搬方法であって、
前記レールを覆うように形成されたカバー部材と、前記カバー部材の基端から上方に起立し板状に形成されたエンド部材と、を備える、建具運搬治具を前記カバー部材が前記レールと前記障子との間に設置されるように前記障子の両側の見込面の下方にそれぞれ取り付け、
前記建具を略鉛直方向に立てた状態で運搬する、建具運搬方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具運搬治具及び建具運搬方法に関する。
【背景技術】
【0002】
サッシ枠に窓が取り付けられた障子を運搬するトラック等の車両を用いて運搬する場合、平積み、横置き、縦置き等様々な運搬方法がある。施工対象が位置する場所が狭小な場合、施工しやすいように障子は縦置きの状態に保持して運搬されることが望ましい。障子を縦置きの状態に保持して運搬する場合、障子を立てかけるように構成された架台が用いられる(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された技術のように障子と、障子が取り付けられる枠体とは別々に運搬されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-264570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
運搬された障子は、現場において枠体に取り付けられて建具が形成される。施工対象の工期を短縮するために、枠体に障子が取り付けられた建具の状態により運搬したいという需要がある。しかしながら、特許文献1に記載された技術を建具の運搬に適用しようとすると、輸送中に生じる振動の影響により障子の下部に設けられた戸車と戸車が走行するように枠側に設けられたレールとが衝突し、戸車やレールが傷付く虞がある。
【0005】
本開示は、枠に障子が取り付けられた建具の運搬に用いられる建具運搬治具及び建具運搬方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、レールが形成された下枠を有する枠体と、前記レールに戸車を介して支持された障子とを備える建具を運搬する建具運搬治具であって、前記レールを覆うように形成されたカバー部材と、前記カバー部材の基端に板状に形成されたエンド部材と、を備える建具運搬治具である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態の建具運搬治具が施工される建具の構成を示す図である。
図2】建具運搬治具の使用状態を示す正面図である。
図3】建具運搬治具の使用状態を示す断面図である。
図4】建具運搬治具の構成を示す斜視図である。
図5】建具運搬治具の構成を示す斜視図である。
図6】建具運搬治具の施工方法を示す図である。
図7】建具運搬治具の施工方法を示す図である。
図8】建具運搬治具の施工方法を示す図である。
図9】建具運搬治具の施工方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態に係る建具運搬治具及び建具運搬方法について説明する。
【0009】
図1に示されるように、建具運搬治具1の保護対象である建具100は、一対の障子120と、一対の障子120が開閉自在に取り付けられた枠体130とを備える。一対の障子120は、例えば、引き違い戸である。
【0010】
障子120は、窓Gと、窓Gの周囲に取り付けられたサッシ枠122とを備える。サッシ枠122は、例えば、アルミニウムの押し出し材で形成されている。サッシ枠122は、矩形の枠状に形成された枠体である。サッシ枠122は、左右一対の縦框123,124と、上下一対の横框125,126(横枠)とを備える。縦框123,124は、上下方向に延在する縦方向の枠部材である。縦框123,124は、矩形断面に形成されている。縦框123,124は、見込面123A,124A及び見付面123B,124Bが形成されている。
【0011】
見込面123A,124Aは、障子120の移動方向に直交する方向に形成されたサッシ枠122の端面である。縦框123,124の見込面123A,124Aの下方にレール135用の切欠き部123C,124Cが形成されている。見付面123B,124Bは、見込面123A,124Aに直交し障子120の移動方向に沿った方向に形成された面である。横框125,126は、水平方向に延在する横方向の枠部材である。サッシ枠122の下辺に位置する横框126には、後述のように複数の戸車Rが取り付けられている。
【0012】
枠体130は、矩形の枠状に形成されている。枠体130は、例えば、アルミニウムの押し出し材で形成されている。枠体130は、上下に対向した上枠131と、下枠132と、左右に対向した縦枠133,134と、を備える。枠体130内に障子120が摺動自在に取り付けられる。障子120の上部は、溝部(不図示)が形成され、溝部が枠体130の上辺に位置する上枠131に形成されたレール135に取り付けられる。
【0013】
図2及び図3に示されるように、枠体130の下辺に位置する下枠132にレール135が形成されている。障子120の下部(横框126)は、レール135に戸車Rを介して取り付けられる。レール135は、戸車Rを介して障子120を支持している。レール135は、下枠132から上方に起立して帯状に形成されている。レール135は、障子120の移動方向に沿って下枠132に延在して形成されている。
【0014】
レール135は、枠体130に障子120が取り付けられた状態により運搬された場合、障子120が振動し、戸車Rと衝突を繰り返し破損する虞がある。建具運搬治具1は、障子120の下部の横框126と下枠132との間に取り付けられ、レール135と障子120との間の隙間に挿入されるに形成されている。
【0015】
建具運搬治具1は、建具100において障子120の下部と枠体130との間に取り付けられる部材である。建具運搬治具1は、建具100の運搬時に障子120を保護する。建具運搬治具1は、レール135に取り付けられるカバー部材2と、障子120のサッシ枠122の縦框123,124の見込面123A,124A(端面)の下方に取り付けられるエンド部材10とを備える。本実施形態では、建具運搬治具1は、サッシ枠122の両側の見込面123A,124Aに取り付けられる側に応じて縦框123,124の見付面123B,124Bの方向に対して面対称に形成されている。
【0016】
見込面123A,124Aに取り付けられる建具運搬治具1は、必ずしも面対称に形成されていなくてもよく、同じ形状に形成されていてもよい。建具運搬治具1は、例えば、枠体130やサッシ枠122に対する傷を防止するためにポリプロピレン、ABS等の樹脂材料により形成されている。
【0017】
カバー部材2は、レール135を上方から所定の長さ(例えば、数cm程度)により覆うように形成されている。カバー部材2は、レール135の断面形状に合わせてレール135を覆うように形成されている。カバー部材2は、例えば、断面が馬蹄形に形成されている。カバー部材2は、レール135の断面形状に合わせて段差部2Dを形成する等して適宜変更されてもよい。
【0018】
カバー部材2は、縦框123,124の切欠き部123C、124C(図6図7参照)に挿入され、縦框123,124とレール135との間の隙間を埋めるように形成されている。カバー部材2は、切欠き部123C、124Cに挿入されると、障子120を上方に移動させ、戸車Rとレール135との間に隙間を生じさせるように形成されている。即ち、カバー部材2は、障子120の戸車Rのレール135の延在方向に対して直交方向への移動を規制すると共に、戸車Rがレール135に衝突することを防止する。
【0019】
図4及び図5に示されるように、カバー部材2の先端2A側には、テーパ面3が形成されている。テーパ面3は、上面が端部に向かうほど下方に傾斜するように形成されている。テーパ面3は、両側面が端部に向かうほど互いに近づくように形成されている。テーパ面3は、後述のように縦框123,124の切欠き部123C、124Cに挿入しやすいように形成されている。
【0020】
カバー部材2の基端2B側には、基端2Bから上方に起立するようにエンド部材10が形成されている。エンド部材10は、矩形の板状に形成されている。エンド部材10は、一端面12側に下方から突出してカバー部材2が形成されている。エンド部材10は、他端面13側が枠体130の縦枠133,134に面する。
【0021】
エンド部材10の下方には、レール135の断面形状に合わせた馬蹄形の切欠き部10Rが形成されている。エンド部材10の両側の側面10A,10Bには内方に窪んだ矩形の切欠き部11A,11Bが形成されている。カバー部材2は、レール135の形状、縦框123,124の形状等に合わせてエンド部材10の両側の側面10A,10Bのいずれかの側にオフセットされて形成されている。カバー部材2のエンド部材10に対するオフセット量は、適宜調整される。オフセット量は、無くてもよい。
【0022】
切欠き部11A,11Bは、作業者が取り付け及び取り外しの際にエンド部材10の両側の側面10A,10Bを、指等を用いてつまみ易く把持するように形成されている。エンド部材10と縦框123,124との間の隙間に作業者の爪、工具等を挿入しやすくなり、建具運搬治具1を簡便にサッシ枠122から取り外せる。
【0023】
次に、建具運搬治具1を用いた建具100の運搬方法について説明する。
【0024】
図6に示されるように、作業者は、枠体130に対して障子120を開放する方向に移動する。作業者は、レール135の上部に建具運搬治具1を載置し、エンド部材10を縦枠133に当接させる。作業者は、障子120を縦枠133側に走行させ、縦框123の切欠き部123Cに先端2A側を挿入する。
【0025】
図7に示されるように、作業者は、更に障子120を縦枠133側に走行させ、カバー部材2を切欠き部123Cに挿入する。障子120は、カバー部材2のテーパ面3を乗り上げ、カバー部材2の上に載置され、上方に上昇し、戸車Rとレール135との間に隙間が生じる。
【0026】
図8及び図9に示されるように、作業者は、反対側の縦框124側の切欠き部124Cに建具運搬治具1を先端2A側から挿入する。作業者は、建具運搬治具1をエンド部材10が見込面124Aに当接するまで押し込む。これにより、障子120とレール135との間の隙間を埋めて固定すると共に、障子120を上方に移動させ戸車Rとレール135との間に隙間を生じさせ、障子120と戸車Rとレール135とを保護する。上記各工程の他に、障子120を枠体130に対して開放状態にしておき、障子120の両側から建具運搬治具1を挿入するようにしてもよい。
【0027】
作業者は、障子120と一対をなす引き違いの障子120にも同様に2個の建具運搬治具1を取り付け、一対の障子120を固定する。作業者は、例えば、一対の障子120を施錠により固定する。一対の障子120は、粘着テープ等を用いて固定されてもよい。作業者は、複数の建具100に建具運搬治具1を取り付け、複数の建具100を固定する治具(不図示)を用いて複数の建具100をトラック等の車両を用いて運搬する。運搬後、施工現場において建具100を施工対象に設置した後、建具運搬治具1を取り外すと、建具100を使用可能状態にできる。
【0028】
上述したように建具運搬治具1によれば、枠体130に一対の障子120が取り付けられた建具100を略鉛直方向に立てた状態に保持して運搬できる。このとき、建具運搬治具1は、レール135をと障子120との間の隙間を埋めて固定すると共に、戸車Rをレール135の上方に離間させ、レール135をと戸車Rとの衝突を防止できる。建具運搬治具1は、戸車Rがレール135に衝突してレール135が変形することを防止できる。建具運搬治具1は、樹脂材料を用いて形成されているため、安価に形成できる。
【0029】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、適宜変更、置換が可能である。例えば、建具運搬治具は、建具を縦置きの状態に保持して運搬するために用いることを例示したが、これに限らず建具を平置きの状態を保持して運搬するために用いてもよい。建具運搬治具は、障子だけでなく、網戸その他のレールに戸車を介して支持された他の板状体に適用してもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 建具運搬治具、2 カバー部材、3 テーパ面、10 エンド部材、10R 切欠き部、11A 切欠き部、11B 切欠き部、12 一端面、13 他端面、100 建具、120 障子、122 サッシ枠、123 縦框、123A 見込面、123B 見付面、123C 切欠き部、124 縦框、124A 見込面、124B 見付面、124C 切欠き部、125 横框、126 横框、130 枠体、131 上枠、132 下枠、133 縦枠、134 縦枠、135 レール、G 窓、R 戸車、R1 溝部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9