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  • 特許-燃焼コントローラ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】燃焼コントローラ
(51)【国際特許分類】
   F23N 5/12 20060101AFI20240405BHJP
   F23N 5/24 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
F23N5/12 B
F23N5/24 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019210654
(22)【出願日】2019-11-21
(65)【公開番号】P2021081151
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100101133
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 初音
(74)【代理人】
【識別番号】100199749
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 成
(74)【代理人】
【識別番号】100197767
【弁理士】
【氏名又は名称】辻岡 将昭
(74)【代理人】
【識別番号】100201743
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 和真
(72)【発明者】
【氏名】山岸 覚
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 貴司
(72)【発明者】
【氏名】石井 重樹
(72)【発明者】
【氏名】熊澤 雄一
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-031547(JP,A)
【文献】特開2014-073035(JP,A)
【文献】特開2001-166776(JP,A)
【文献】特開平03-230016(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23N 1/02 - 5/24
F23Q 3/00 - 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧を出力する電源回路と、
火炎検出器駆動用の電圧を出力する火炎検出器用電源と、
火炎検出回路駆動用の電圧を出力する火炎検出回路用電源と、
火炎検出器側回路、統合絶縁用回路、及び最後段回路を含み、前記火炎検出器側回路が前記火炎検出回路用電源により出力された電圧により駆動し、前記火炎検出器用電源により出力された電圧を火炎検出器に出力し、前記統合絶縁用回路が前記火炎検出回路用電源により出力された電圧により駆動し、前記火炎検出器側回路を前記最後段回路から絶縁し、前記最後段回路が前記電源回路により出力された電圧により駆動する、火炎検出回路と、
前記電源回路により出力された電圧により駆動し、前記最後段回路により出力されるフレーム電圧のための出力端子を含む、複数のフィールド配線を接続する複数の端子、を備える二次側入出力回路と、を備え、
前記フレーム電圧は、前記火炎検出器から入力される火炎検出信号のレベルを示すものであり、
前記火炎検出器用電源から出力される電圧は数百Vの高電圧であり、
前記二次側入出力回路は、端子のそれぞれごとの個別に設置される絶縁用の回路が不要である、
燃焼コントローラ。
【請求項2】
前記統合絶縁用回路は、
入力側が前記火炎検出器側回路に接続されたアイソレーションアンプと、
入力側が前記アイソレーションアンプの出力側に接続され、出力側が前記最後段回路に接続された増幅回路と、を有する、
請求項1記載の燃焼コントローラ。
【請求項3】
前記統合絶縁用回路は、
入力側が前記火炎検出器側回路に接続されたAD変換器と、
入力側が前記AD変換器の出力側に接続されたフォトカプラと、
入力側が前記フォトカプラの出力側に接続され、出力側が前記最後段回路に接続されたDA変換器と、を有する、
請求項1記載の燃焼コントローラ。
【請求項4】
前記火炎検出器用電源は、交流電源より電圧を生成して出力し、
前記火炎検出回路用電源は、前記交流電源より電圧を生成して出力する、
請求項1記載の燃焼コントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、火炎検出器に対して駆動用の電圧を供給する燃焼コントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バーナの点火制御、当該バーナの火炎監視、及び、当該バーナへの燃料の供給と停止を制御する安全遮断弁の制御等を行う燃焼コントローラが知られている(例えば特許文献1参照)。このような燃焼コントローラでは、例えば図4に示すように、一次側の回路が、複数のフィールド配線(不図示)から絶縁されている。図4において、符号101が絶縁部分を示し、符号102がフィールド配線の接続箇所を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許6491876号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、昨今、一次側の回路だけではなく、二次側において高電圧が印加される回路(火炎検出器3に対する駆動用の電圧が印加される回路)を、複数のフィールド配線から絶縁することが要求されている。すなわち、フィールド配線はユーザが直接接触可能な部位であり、感電回避のため、高電圧が印加される回路をフィールド配線から絶縁する必要がある。図4に示す燃焼コントローラ1bでは、火炎検出器用電源13から火炎検出回路15bを介して火炎検出器3に出力される電圧が高電圧となる。
【0005】
従来の燃焼コントローラ1bにおいて上記高電圧が印加される回路と複数のフィールド配線との間を絶縁しようとした場合、例えば図5に示すような構成となる。図5では、フィールド配線が接続される二次側入出力回路17bが、入力側と出力側とで絶縁されている(図5の符号501に示す絶縁部分)。この場合、二次側入出力回路17bが有する構成毎に絶縁回路(不図示)が必要となる。図5では、二次側入出力回路17bが5つの構成(入力回路171b、出力回路172b、通信回路173b、通信回路174b及び電圧出力回路175b)を有しており、当該構成毎に絶縁回路が設けられる。また、二次側入出力回路17bの出力側を駆動するための電源回路14bが別途設けられる必要がある。
【0006】
このように、従来の燃焼コントローラ1bにおいて上記高電圧が印加される回路と複数のフィールド配線との間を絶縁しようとした場合、複数の部品の追加が必要となり、コスト及び実装面積が増加してしまう。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、従来構成に対して少ない部品の追加で、高電圧が印加される回路とフィールド配線との間を絶縁可能となる燃焼コントローラを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示技術に係る燃焼コントローラは、電圧を出力する電源回路と、火炎検出器駆動用の電圧を出力する火炎検出器用電源と、火炎検出回路駆動用の電圧を出力する火炎検出回路用電源と、火炎検出器側回路、統合絶縁用回路、及び最後段回路を含み、火炎検出器側回路が火炎検出回路用電源により出力された電圧により駆動し、火炎検出器用電源により出力された電圧を火炎検出器に出力し、統合絶縁用回路が火炎検出回路用電源により出力された電圧により駆動し、火炎検出器側回路を最後段回路から絶縁し、最後段回路が電源回路により出力された電圧により駆動する、火炎検出回路と、電源回路により出力された電圧により駆動し、最後段回路により出力されるフレーム電圧のための出力端子を含む、複数のフィールド配線を接続する複数の端子、を備える二次側入出力回路と、を備え、フレーム電圧は、火炎検出器から入力される火炎検出信号のレベルを示すものであり、火炎検出器用電源から出力される電圧は数百Vの高電圧であり、二次側入出力回路は、端子のそれぞれごとの個別に設置される絶縁用の回路が不要である、というものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、上記のように構成したので、従来構成に対して少ない部品の追加で、高電圧が印加される回路とフィールド配線との間を絶縁可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る燃焼コントローラの構成例を示す図である。
図2】実施の形態1における火炎検出回路の構成例を示す図である。
図3】実施の形態1における火炎検出回路の別の構成例を示す図である。
図4】従来の燃焼コントローラの構成例を示す図である。
図5】従来の燃焼コントローラにおいて絶縁を行った場合の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係る燃焼コントローラ1の構成例を示す図である。
燃焼コントローラ1は、バーナ(不図示)の点火制御、当該バーナの火炎監視、及び、当該バーナへの燃料の供給と停止を制御する安全遮断弁の制御等を行う。以下では、燃焼コントローラ1が有する構成のうち、上記高電圧が印加される回路と複数のフィールド配線(不図示)との間の絶縁に関する構成についてのみ説明を行う。燃焼コントローラ1は、図1に示すように、一次側入出力回路11、電源回路12、火炎検出器用電源13、火炎検出回路用電源14、火炎検出回路15、制御部16及び二次側入出力回路17を備えている。
【0012】
一次側入出力回路11は、AC(Alternating Current)電源(交流電源)2に接続された負荷の入出力を行う。
【0013】
電源回路12は、AC電源2より、燃焼コントローラ1の各部を駆動するための電圧を生成する。電源回路12により生成された電圧は、火炎検出回路15における後述する他の回路153側の回路、制御部16及び二次側入出力回路17に出力される。
【0014】
火炎検出器用電源13は、AC電源2より、火炎検出器3を駆動するための電圧を生成する。火炎検出器用電源13により生成された電圧は、火炎検出回路15における後述する火炎検出器側回路151に出力される。
【0015】
なお、火炎検出器3としてはUV(UltraViolet)センサ又はフレームロッド等が挙げられるが、何れの火炎検出器3についてもその駆動用の電圧は高電圧(数百V)となる。
【0016】
火炎検出回路用電源14は、火炎検出回路15における火炎検出器側回路151側の回路を駆動するための電圧を生成する。図1では、火炎検出回路用電源14は、AC電源2より、電圧を生成する。火炎検出回路用電源14は、火炎検出器用電源13と同相の電源である。すなわち、火炎検出回路用電源14により生成される電圧は、火炎検出器用電源13により生成される電圧が印加される火炎検出器側回路151側で用いられる駆動用の電圧である。火炎検出回路用電源14により生成された電圧は、火炎検出回路15における後述する火炎検出器側回路151側の回路に出力される。
【0017】
なお、一次側入出力回路11、電源回路12及び火炎検出器用電源13は、入力側と出力側とがそれぞれ絶縁されている。この絶縁については、従来の燃焼コントローラ1bにおける一次側の回路と複数のフィールド配線との間の絶縁と同一である。また、火炎検出回路用電源14についても、入力側と出力側とがトランス等により絶縁されている。図1において、符号101が一次側の回路と複数のフィールド配線との間の絶縁部分を示している。
【0018】
火炎検出回路15は、例えば図2に示すように、火炎検出器側回路151、絶縁回路152及び他の回路153を有する。
【0019】
火炎検出器側回路151は、火炎検出回路用電源14により出力された電圧により駆動し、火炎検出器用電源13により出力された電圧を火炎検出器3に出力する。火炎検出器側回路151は、高電圧が印加される回路である。
なお、火炎検出器3は、火炎検出器側回路151により出力された電圧により駆動し、火炎の有無に応じた火炎検出信号を火炎検出回路15に出力する。
【0020】
絶縁回路152は、火炎検出回路15において、火炎検出器側回路151を他の回路153から絶縁する。絶縁回路152は、入力側が火炎検出回路用電源14により出力された電圧により駆動し、出力側が電源回路12により出力された電圧により駆動する。図1において、符号103が火炎検出器側回路151と他の回路153との間の絶縁部分を示している。
【0021】
絶縁回路152は、例えば図2に示すように、アイソレーションアンプ1521及び増幅回路1522を有している。アイソレーションアンプ1521は、入力側が火炎検出器側回路151に接続されている。また、増幅回路1522は、入力側がアイソレーションアンプ1521の出力側に接続され、出力側が他の回路153に接続されている。この場合、アイソレーションアンプ1521の入力側が、絶縁回路152の入力側に相当する。また、アイソレーションアンプ1521の出力側及び増幅回路1522が、絶縁回路152の出力側に相当する。
【0022】
また、絶縁回路152は、例えば図3に示すように、AD(Analog-to-Digital)変換器1523、フォトカプラ1524及びDA(Digital-to-Analog)変換器1525を有していてもよい。AD変換器1523は、入力側が火炎検出器側回路151に接続されている。また、フォトカプラ1524は、入力側がAD変換器1523の出力側に接続されている。また、DA変換器1525は、入力側がフォトカプラ1524の出力側に接続され、出力側が他の回路153に接続されている。この場合、AD変換器1523及びフォトカプラ1524の入力側が、絶縁回路152の入力側に相当する。また、フォトカプラ1524の出力側及びDA変換器1525が、絶縁回路152の出力側に相当する。
【0023】
他の回路153は、火炎検出回路15が有する回路のうちの、火炎検出器側回路151及び絶縁回路152以外の回路である。他の回路153は、電源回路12により出力された電圧により駆動し、火炎検出器3により出力された火炎検出信号に基づいて火炎検出信号のレベルを示すフレーム電圧を二次側入出力回路17に出力する。
【0024】
制御部16は、電源回路12により出力された電圧により駆動し、燃焼コントローラ1内の各部の動作を制御する。図1では、制御部16は、一次側入出力回路11、火炎検出回路15及び二次側入出力回路17の動作を制御する。制御部16は、メモリ等に記憶されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等により実現される。
【0025】
二次側入出力回路17は、電源回路12により出力された電圧により駆動し、各種の信号の入出力を行う。図1では、二次側入出力回路17は、入力回路171、出力回路172、通信回路173、通信回路174及び電圧出力回路175を有している。また、二次側入出力回路17には、自身が有する構成(図1では入力回路171、出力回路172、通信回路173、通信回路174及び電圧出力回路175)毎に、フィールド配線が接続される。図1において、符号102がフィールド配線の接続箇所を示している。
【0026】
入力回路171は、外部から入力負荷(起動、インターロック又は異常時でのリセット等)を示す信号が入力される。入力回路171に入力された入力負荷を示す信号は、制御部16に出力される。
【0027】
出力回路172は、制御部16から出力負荷(警報又はイベント発生有無等)を示す信号が入力される。出力回路172に入力された出力負荷を示す信号は、外部に出力される。
【0028】
通信回路173は、外部と制御部16との間で燃焼コントローラ1の遠隔監視用の通信を行うための信号の入出力を行う。
通信回路174は、外部と制御部16との間で燃焼コントローラ1の機器設定用の通信を行うための信号の入出力を行う。
【0029】
電圧出力回路175は、火炎検出回路15により出力されたフレーム電圧を外部に出力する。
【0030】
このように、実施の形態1に係る燃焼コントローラ1では、火炎検出回路15において、絶縁回路152によって、高電圧である火炎検出器3に対する駆動用の電圧が印加される火炎検出器側回路151が、他の回路153から絶縁されている。また、この燃焼コントローラ1では、上記絶縁に伴い、火炎検出器側回路151及び絶縁回路152の入力側を駆動するための電圧を出力する火炎検出回路用電源14が電源回路12とは独立して追加されている。これにより、この燃焼コントローラ1では、従来構成のようにフィールド配線毎に絶縁を行う必要はなくなり、部品の追加が最小限に抑えられる。その結果、この燃焼コントローラ1では、従来構成に対し、コストの削減及び実装面積の削減が実現できる。
【0031】
なお図1では、火炎検出回路用電源14が、AC電源2より、電圧を生成して出力する場合を示した。しかしながら、これに限らず、火炎検出回路用電源14は、AC電源2とは独立して構成されていてもよい。一方で、火炎検出回路用電源14は、AC電源2より電圧を生成する構成の方が、コストの削減及び実装面積の削減において有利である。
【0032】
以上のように、この実施の形態1によれば、燃焼コントローラ1は、火炎検出器駆動用の電圧を出力する火炎検出器用電源13と、火炎検出回路駆動用の電圧を出力する火炎検出回路用電源14と、火炎検出回路用電源14により出力された電圧により駆動し、火炎検出器用電源13により出力された電圧を火炎検出器3に出力する火炎検出器側回路151、及び、入力側が火炎検出回路用電源14により出力された電圧により駆動し、火炎検出器側回路151を他の回路153から絶縁する絶縁回路152を有する火炎検出回路15とを備えた。これにより、実施の形態1に係る燃焼コントローラ1は、従来構成に対して少ない部品の追加で、高電圧が印加される回路とフィールド配線との間を絶縁可能となる。
【0033】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、若しくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 燃焼コントローラ
2 AC電源(交流電源)
3 火炎検出器
11 一次側入出力回路
12 電源回路
13 火炎検出器用電源
14 火炎検出回路用電源
15 火炎検出回路
16 制御部
17 二次側入出力回路
151 火炎検出器側回路
152 絶縁回路(統合絶縁用回路)
153 他の回路(最後段回路)
171 入力回路
172 出力回路
173 通信回路
174 通信回路
175 電圧出力回路
1521 アイソレーションアンプ
1522 増幅回路
1523 AD変換器
1524 フォトカプラ
1525 DA変換器
備考1:絶縁回路152は、普通名詞として使われる「絶縁回路」と区別し、固有名詞として扱うことを明確にするため、特許請求の範囲においては、「統合絶縁用回路」と言い換えている。
備考2:他の回路153は、普通名詞として使われる「他の回路」と区別し、固有名詞として扱うことを明確にするため、特許請求の範囲においては、「最後段回路」と言い換えている。
図1
図2
図3
図4
図5