(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】アクセサリアダプタおよびレンズ鏡筒
(51)【国際特許分類】
G03B 17/56 20210101AFI20240405BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20240405BHJP
G03B 11/04 20210101ALN20240405BHJP
【FI】
G03B17/56 Z
G02B7/02 E
G03B11/04 C
(21)【出願番号】P 2019239418
(22)【出願日】2019-12-27
【審査請求日】2022-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000133227
【氏名又は名称】株式会社タムロン
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】中村 教浩
(72)【発明者】
【氏名】平川 祥一朗
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-122043(JP,A)
【文献】特開2007-272163(JP,A)
【文献】特開2017-146516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/56
G02B 7/02
G03B 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ鏡筒の先端部の外周面に設けられる、レンズフード装着用の鏡筒外周側装着部と、前記レンズ鏡筒の先端部の内周面に設けられる、カメラアクセサリ装着用の鏡筒内周側装着部とを備えているレンズ鏡筒、に装着される環状のアクセサリアダプタであって、
前記アクセサリアダプタの像面側の内周面に設けられ、かつ前記鏡筒外周側装着部に装着される像面側装着部と、
前記アクセサリアダプタの対物側の内周面または外周面に設けられる、カメラアクセサリ装着用の少なくとも1つの対物側装着部とを備えており、
前記アクセサリアダプタの対物側の内径は、前記レンズ鏡筒の先端部
に装着される前記カメラアクセサリの外径よりも大きい、アクセサリアダプタ。
【請求項2】
前記鏡筒外周側装着部は、バヨネット方式の一方の係合部であり、
前記像面側装着部は、前記一方の係合部に係合される、前記バヨネット方式の他方の係合部である、請求項1に記載のアクセサリアダプタ。
【請求項3】
前記少なくとも1つの対物側装着部は、前記対物側の内周面に設けられる一方の対物側装着部と、前記対物側の外周面に設けられる他方の対物側装着部とを含む、請求項1または2に記載のアクセサリアダプタ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの対物側装着部のうちの1つは、前記対物側の内周面に設けられるメスねじである、請求項1~3のいずれか1項に記載のアクセサリアダプタ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの対物側装着部のうちの1つは、前記対物側の外周面に設けられる、頭頂に環状の凹部を有する環状のテーパー部である、請求項1~4のいずれか1項に記載のアクセサリアダプタ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの対物側装着部のうちの1つは、前記対物側の外周面に設けられるバヨネット方式の係合部である、請求項1~4のいずれか1項に記載のアクセサリアダプタ。
【請求項7】
先端部の外周面に設けられるレンズフード装着用の鏡筒外周側装着部と、先端部の内周面に設けられるカメラアクセサリ装着用の鏡筒内周側装着部とを備えているレンズ鏡筒であって、
請求項1~6のいずれか一項に記載の環状のアクセサリアダプタを前記鏡筒外周側装着部によって先端部の外周面に装着しているレンズ鏡筒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラのレンズ鏡筒に装着可能なアクセサリアダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、アタッチメント枠に係合装着されたフィルター枠本体はクリップ係合部に連繋されたクリップ係合解除ボタンを指先で挟むことにより板バネの可撓性にて2カ所のクリップ係合部が外れてフィルター枠本体に取外し・交換動作が可能に形成され、また、フィルター枠本体はアタッチメント枠に係合装着されている場合にアタッチメント枠に刻接設された係合溝に沿って任意に回転可能に構成されていることを特徴とするワンタッチフィルター枠が開示されている。
【0003】
特許文献2に、カメラの常着フィルター本体及び交換レンズ本体前面に、異径のネジ溝を数個取り付ける事により、異径フィルター及びフィルターキャップが簡単につく、応用範囲を広くしたところを特徴とするフィルター用アダプターが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-146516号公報
【文献】登録実用新案公報第3083784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した各従来技術には、ワンタッチフィルター枠またはフィルター用アダプターをレンズ鏡筒に装着すると、レンズ鏡筒の先端部に他のアクセサリを取り付けることができなくなる問題がある。
【0006】
本発明の一態様は、カメラアクセサリを装着可能なアクセサリアダプタがレンズ鏡筒に装着された状態において、レンズ鏡筒の先端部への他のカメラアクセサリの装着を可能とするアクセサリアダプタを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るアクセサリアダプタは、前記の課題を解決するために、レンズ鏡筒の先端部の外周面に設けられる、レンズフード装着用の鏡筒外周側装着部と、前記レンズ鏡筒の先端部の内周面に設けられる、カメラアクセサリ装着用の鏡筒内周側装着部とを備えているレンズ鏡筒、に装着される環状のアクセサリアダプタであって、前記アクセサリアダプタの像面側の内周面に設けられ、かつ前記鏡筒外周側装着部に装着される像面側装着部と、前記アクセサリアダプタの対物側の内周面または外周面に設けられる、カメラアクセサリ装着用の少なくとも1つの対物側装着部とを備えており、前記アクセサリアダプタの対物側の内径は、前記レンズ鏡筒の先端部の内径よりも大きい構成である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、カメラアクセサリを装着可能なアクセサリアダプタがレンズ鏡筒に装着された状態において、レンズ鏡筒の先端部への他のカメラアクセサリの装着を可能とするアクセサリアダプタを実現できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態1に係るレンズ鏡筒の構成を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態1に係るレンズ鏡筒の構成を示す断面図である。
【
図3】本発明の実施形態1に係るアクセサリアダプタの構成を示す斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態1に係るアクセサリアダプタの構成を示す側面図である。
【
図5】本発明の実施形態1に係るアクセサリアダプタの構成を示す断面図である。
【
図6】本発明の実施形態1に係るアクセサリアダプタの構成を示す正面図である。
【
図7】本発明の実施形態1に係るアクセサリアダプタの構成を示す背面図である。
【
図8】本発明の実施形態1に係るアクセサリアダプタのレンズ鏡筒への装着方法を説明する図である。
【
図9】本発明の実施形態1に係るアクセサリアダプタが装着されたレンズ鏡筒の構成を示す斜面図である。
【
図10】本発明の実施形態1に係るアクセサリアダプタが装着されたレンズ鏡筒の構成を示す断面図である。
【
図11】本発明の実施形態1に係るアクセサリアダプタ、レンズフィルター、およびマルチフードが装着されたレンズ鏡筒の構成を示す斜視図である。
【
図12】本発明の実施形態1に係るアクセサリアダプタ、レンズフィルター、およびマルチフードが装着されたレンズ鏡筒の構成を示す斜視図である。
【
図13】本発明の実施形態2に係るアクセサリアダプ
タの構成を示す斜視図である。
【
図14】本発明の実施形態2に係るアクセサリアダプ
タの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
(レンズ鏡筒2の構成)
図1は、本発明の実施形態1に係るレンズ鏡筒2の構成を示す斜視図である。
図2は、本発明の実施形態1に係るレンズ鏡筒2の構成を示す断面図である。レンズ鏡筒2は、カメラ本体(不図示)に取り付けられる交換レンズである。
図1および
図2に示すように、レンズ鏡筒2は、レンズ21、レンズ側突条部22(鏡筒外周側装着部)、およびメスねじ23(鏡筒内周側装着部)を備えている。
図2は、レンズ鏡筒2における、レンズ21の放線方向に平行な断面を示す。
【0011】
レンズ21は、レンズ鏡筒2の内部に配置されている。レンズ側突条部22は、レンズフード(不図示)をレンズ鏡筒2に装着するために用いられる。すなわちレンズ側突条部22は、レンズフード装着用の装着部である。
図1に示すように、レンズ側突条部22は、レンズ鏡筒2の先端部(対物側)の外周面に設けられている。レンズ側突条部22は、レンズ鏡筒2の外周面から突出すると共に、外周面の周方向に沿って延伸している。
図1では、互いに距離を置いて配置される複数のレンズ側突条部22が、レンズ鏡筒2の外周面に設けられている。レンズ側突条部22は、バヨネット方式の一方の係合部であり、バヨネット方式の他方の係合部を備えたレンズフードをレンズ鏡筒2に装着するために用いられる。
【0012】
レンズ側突条部22は、バヨネット方式の他方の係合部がレンズ側突条部22に当接した状態でレンズ側突条部22に沿って摺動するように設けられている。レンズ側突条部22には、バヨネット方式の他方の係合部の摺動範囲を規制する規制部が設けられていてもよい。
図1では、レンズ側突条部22には、規制部の一例として、レンズ側突条部22から像面側に突出する凸部22aが形成されている。
【0013】
メスねじ23は、レンズフィルターなどの各種のカメラアクセサリを、ねじ込み方式によりレンズ鏡筒2の先端部に装着するために用いられる。すなわちメスねじ23は、カメラアクセサリ装着用の装着部である。
図1に示すように、メスねじ23は、レンズ鏡筒2の先端部(対物側)の内周面に設けられている。
図1では、メスねじ23は、レンズ鏡筒2の先端部の内周面の全体に亘って環状に設けられている。
【0014】
(アクセサリアダプタ1の構成)
図3は、本発明の実施形態1に係るアクセサリアダプタ1の構成を示す斜視図である。
図4は、本発明の実施形態1に係るアクセサリアダプタ1の構成を示す側面図である。
図5は、本発明の実施形態1に係るアクセサリアダプタ1の構成を示す断面図である。
図6は、本発明の実施形態1に係るアクセサリアダプタ1の構成を示す正面図である。
図7は、本発明の実施形態1に係るアクセサリアダプタ1の構成を示す背面図である。
図4および
図5は、アクセサリアダプタ1における、レンズ21の放線方向に平行な断面を示す。
図6は、アクセサリアダプタ1の対物側の表面(前面)を示し、
図7は、アクセサリアダプタ1の像面側の表面(後面)を示す。
【0015】
アクセサリアダプタ1は、カメラアクセサリを間接的にレンズ鏡筒2に装着させるアダプタである。詳しくは後述するが、アクセサリアダプタ1は、レンズ鏡筒2の先端部の外周面に装着される。
図3~
図7に示すように、アクセサリアダプタ1は、アダプタ側係合部11(像面側装着部)、メスねじ12(対物側装着部)、およびテーパー部13(対物側装着部)を備えている。
【0016】
アダプタ側係合部11は、アクセサリアダプタ1を、バヨネット方式によってレンズ鏡筒2の先端部に取り付けるために用いられる。
図5および
図7に示すように、アダプタ側係合部11は、
アクセサリアダプタ1の像面側の内周面に設けられている。
図5などでは、互いに距離を置いて配置される複数のアダプタ側係合部11が、アクセサリアダプタ1の像面側の内周面に設けられている。アダプタ側係合部11は、レンズ鏡筒2のレンズ側突条部22に係合される、バヨネット方式の他方の係合部である。すなわち、アダプタ側係合部11は、アクセサリアダプタ1をレンズ鏡筒2に装着する際に、レンズ鏡筒2のレンズ側突条部22に装着される装着部である。
【0017】
アダプタ側係合部11は、第一突条部11a、第二突条部11b、及び凹部11cを有している。第一突条部11a及び第二突条部11bは、アクセサリアダプタ1の内周面に形成されるとともにその周方向に延在している。第一突条部11aは、レンズ側突条部22に当接可能である。第二突条部11bは、第一突条部11aがレンズ側突条部22に当接したアクセサリアダプタ1を回動させたときに、レンズ側突条部22よりも像面側からレンズ側突条部22に当接可能である。凹部11cは、第二突条部11bの凸縁部の一部を切り欠いた構成であり、レンズ側突条部22に形成されている凸部22aが嵌合可能な形状に形成されている。
【0018】
メスねじ12は、レンズフードおよびレンズフィルターなどの各種のカメラアクセサリを、ねじ込み方式によってアクセサリアダプタ1に装着するために用いられる。
図3、
図5、および
図6に示すように、メスねじ12は、アクセサリアダプタ1の
対物側の内周面に設けられている。
図3などでは、メスねじ
12は、
アクセサリアダプタ1の対物側の内周面の全体に亘って環状に設けられている。
【0019】
テーパー部13は、レンズフードなどの各種のカメラアクセサリを、かぶせ方式によってアクセサリアダプタ1に装着するために用いられる。
図3~
図6に示すように、テーパー部13は、アクセサリアダプタ1の対物側の外周面に設けられている。テーパー部13は、アクセサリアダプタ1の対物側の内周面から対物側の外周面に向かって突出すると共に、外周面の周方向に沿って延伸している。テーパー部13は、その頭頂に環状の凹部14を有している。凹部14は、テーパー部13の頭頂からテーパー部13の底に向かって凹むと共に、アクセサリアダプタ1の外周面の周方向に沿って延伸している。
図3などでは、テーパー部13および凹部14は、アクセサリアダプタ1の対物側の外周面の全体に亘って環状に設けられている。
【0020】
(アクセサリアダプタ1の装着)
図8は、本発明の実施形態1に係るアクセサリアダプタ1のレンズ鏡筒への装着方法を説明する図である。この図に示すように、アクセサリアダプタ1は、バヨネット方式によってレンズ鏡筒2に装着することができる。詳細には、アクセサリアダプタ1の像面側の端部をレンズ鏡筒2の先端に向けた状態で、アクセサリアダプタ1をレンズ鏡筒2の先端に近づける。これにより、アクセサリアダプタ1がレンズ鏡筒2の外周面に被さり、アダプタ側係合部11の第一突条部11aがレンズ側突条部22に当接する。
【0021】
つぎに、第一突条部11aがレンズ側突条部22に当接した状態で、アクセサリアダプタ1を所定方向に所定距離だけ回転させる。これにより、第一突条部11aがレンズ側突条部22に沿って摺動し、まず、レンズ側突条部22の像面側からレンズ側突条部22に第二突条部11bが当接する。すなわち、レンズ側突条部22は、軸方向において、第一突条部11aと第二突条部11bとの間に挟まれる。次に、アクセサリアダプタ1とレンズ鏡筒2とを周方向へ相対的に回動させると、第二突条部11bの一部がレンズ側突条部22の凸部22aを乗り越え、第二突条部11bに形成されている凹部11cとレンズ側突条部22の凸部22aとが係合する。これによって、レンズ鏡筒2に対するアクセサリアダプタ1の回転が抑制され、レンズ側突条部22におけるアダプタ側係合部11の摺動範囲が規制される。このように、アダプタ側係合部11がレンズ側突条部22に係合してアクセサリアダプタ1がレンズ鏡筒2に外嵌し、レンズ鏡筒2に対するアクセサリアダプタ1の装着が完了する。アクセサリアダプタ1は、周方向における、凸部22a及び凹部11cによって決定される所定の位置で、レンズ鏡筒2に装着される。
【0022】
なお、アクセサリアダプタ1は、バヨネット方式によりレンズ鏡筒2に取り付けられた状態をロックするロック機構(不図示)をさらに備えていてもよい。このとき、ロック機構としては、例えば、レンズ側突条部22の凸部22aとアダプタ側係合部11の凹部11cとが係合したときに、第二突条部11bをレンズ鏡筒2の径方向において進退可能とするスイッチ機構を採用することができる。当該ロック機構によれば、第二突条部11bの径方向への進退によって、第二突条部11bの凹部11cとレンズ側突条部22の凸部22aとの係合および係合の解除を制御することができる。これにより、アクセサリアダプタ1をレンズ鏡筒2に取り付けた際に、誤ってレンズ鏡筒2からアクセサリアダプタ1が外れてしまうことを防ぐことができる。
【0023】
図9は、本発明の実施形態1に係るアクセサリアダプタ1が装着されたレンズ鏡筒2の構成を示す斜面図である。
図10は、本発明の実施形態1に係るアクセサリアダプタ1が装着されたレンズ鏡筒2の構成を示す断面図である。
図10は、アクセサリアダプタ1およびレンズ鏡筒2のそれぞれにおける、レンズ21の放線方向に平行な断面を示す。
図9および
図10に示すように、アクセサリアダプタ1の対物側の内径は、レンズ鏡筒2の先端部の内径よりも大きい。すなわち、メスねじ12の直径はメスねじ23の直径よりも大きい。例えば、メスねじ23は、カメラの標準規格に合致した、あるサイズの直径を有しており、メスねじ12は、カメラの標準規格に合致した、より大きいサイズの直径を有している。
【0024】
(レンズフィルター3およびマルチフード4の装着)
図11は、本発明の実施形態1に係るアクセサリアダプタ1、レンズフィルター3、およびマルチフード4が装着されたレンズ鏡筒2の構成を示す斜視図である。
図12は、本発明の実施形態1に係るアクセサリアダプタ1、レンズフィルター3、およびマルチフード4が装着されたレンズ鏡筒2の断面を示す斜視図である。
図12は、アクセサリアダプタ1、レンズ鏡筒2、レンズフィルター3、およびマルチフード4のそれぞれにおける、レンズ21の放線方向に平行な断面を示す。
図11および
図12に示す例では、レンズ鏡筒2の先端部の外周面に、バヨネット方式によってアクセサリアダプタ1が装着されている。また、レンズ鏡筒2の先端部の内周面に、ねじ込み方式によってレンズフィルター3が装着されている。さらに、アクセサリアダプタ1の対物側の内周面に、ねじ込み方式によってマルチフード4が装着されている。マルチフード4は、レンズフードの一種である。
【0025】
レンズフィルター3は、レンズフィルター3の像面側の外周面に設けられるオスねじ31を備えている。レンズフィルター3は、レンズフィルター3のオスねじ31をレンズ鏡筒2のメスねじ23にねじ込むことによって、レンズ鏡筒2の先端部に装着される。マルチフード4は、マルチフード4の像面側の外周面に設けられるオスねじ41を備えている。マルチフード4は、マルチフード4のオスねじ41をアクセサリアダプタ1のメスねじ12にねじ込むことによって、アクセサリアダプタ1の対物側に装着される。
【0026】
(主要な作用効果)
アクセサリアダプタ1は、アクセサリアダプタ1のアダプタ側係合部11をレンズ鏡筒2のレンズ側突条部22に係合させることによって、レンズ鏡筒2の先端部の外周面に装着される。すなわち、アクセサリアダプタ1の装着時に、レンズ鏡筒2の先端部の内周面に設けられるメスねじ23を用いることはない。さらに、アクセサリアダプタ1の対物側の内径が、レンズ鏡筒2の先端部の内径よりも大きいため、アクセサリアダプタ1の装着後、アクセサリアダプタ1の開口を通じて、レンズフィルター3をレンズ鏡筒2の先端部の内周面まで確実に届かせることができる。これにより、アクセサリアダプタ1がレンズ鏡筒2に装着された状態で、アクセサリアダプタ1に邪魔されることなく、レンズフィルター3をねじ込み方式によりレンズ鏡筒2の先端部に装着することができる。さらに、アクセサリアダプタ1をレンズ鏡筒2に装着したまま、レンズフィルター3をレンズ鏡筒2から取り外すこともできる。したがって、アクセサリアダプタ1をレンズ鏡筒2に装着したまま、レンズフィルター3を他のレンズフィルターに交換することもできる。
【0027】
以上のように、本実施形態によれば、アクセサリアダプタ1をレンズ鏡筒2に装着した状態で、レンズ鏡筒2の先端部へのレンズフィルター3の装着を可能とするアクセサリアダプタ1を実現することができる。
【0028】
アクセサリアダプタ1をバヨネット方式によってレンズ鏡筒2に装着するため、アクセサリアダプタ1を装着させる際のアクセサリアダプタ1の回転後の位置を、一意に固定することができる。したがって、アクセサリアダプタ1を簡単にかつ短時間でレンズ鏡筒2に装着することができる。また、アクセサリアダプタ1をバヨネット方式によってレンズ鏡筒2から取り外すこともできるため、レンズ鏡筒2に装着させるアクセサリアダプタを、他のアクセサリアダプタと簡単にかつ短時間で交換することができる。さらには、アクセサリアダプタ1を繰り返しレンズ鏡筒2から脱着させる場合であっても、アクセサリアダプタ1をレンズ鏡筒2に装着させる位置を、容易に固定することができる。また、バヨネット方式のレンズ側突条部22を備えた他のレンズ鏡筒にもアクセサリアダプタ1を装着することができるので、レンズ鏡筒2を含む複数のレンズ鏡筒間でアクセサリアダプタ1を共用することができる。
【0029】
アクセサリアダプタ1をレンズ鏡筒2に装着する前に、マルチフード4を予めアクセサリアダプタ1に装着させておけば、マルチフード4付きのアクセサリアダプタ1をバヨネット方式によって簡単にかつ短時間でレンズ鏡筒2に装着することができる。これにより、マルチフード4をねじ込み方式によってレンズ鏡筒2の先端部に直接装着する場合に比べて、マルチフード4をより簡単にかつ短時間でレンズ鏡筒2に装着することができる。さらに、マルチフード4付きのアクセサリアダプタ1を、バヨネット方式により簡単にかつ短時間で取り外すこともできる。これにより、レンズ鏡筒2に間接的に装着させたマルチフード4を、簡単にかつ短時間で他のカメラアクセサリに交換することもできる。
【0030】
アクセサリアダプタ1の対物側の内径が、レンズ鏡筒2の先端部の内径よりも大きいため、当然に、アクセサリアダプタ1の対物側の内径は、レンズ21の直径よりも大きくなっている。これにより、レンズ21内に入射する光がアクセサリアダプタ1またはマルチフード4によって遮られないため、撮像画像におけるケラレの発生を防止することができる。
【0031】
アクセサリアダプタ1には、異なる2つのカメラアクセサリを一度に装着することもできる。例えば、アクセサリアダプタ1のメスねじ12に、レンズフィルター3よりも大きい他のレンズフィルターを装着すると共に、アクセサリアダプタ1のテーパー部13に、かぶせ方式のレンズフードを装着する。例えば、レンズフードの撮像側の内周面に設けられる凸部(不図示)を、テーパー部13の対物側のテーパー部分を乗り越えるように移動させて凹部14にはめ込むことによって、レンズフードをアクセサリアダプタ1に装着することができる。この場合、レンズ鏡筒2にレンズフィルター3を直接的に装着すると共に、アクセサリアダプタ1を介して、他のレンズフィルターおよびレンズフードをレンズ鏡筒2に間接的に装着することができる。すなわち、異なる3つのカメラアクセサリを、レンズ鏡筒2に一度に装着することができる。これにより、カメラのユーザは、3つの異なるカメラアクセサリを併用することができるので、カメラを用いた撮影の幅を広げることができる。
【0032】
アクセサリアダプタ1には、マルチフード4の代わりに、リングライトまたは角形フィルター枠などの、ねじ込み方式の他のカメラアクセサリを装着することもできる。
【0033】
(変形例)
アクセサリアダプタ1は、メスねじ12およびテーパー部13のうちいずれか一方のみを備えている構成であってもよい。すなわち、アクセサリアダプタ1は、アクセサリアダプタ1の対物側の内周面または外周面に設けられる、カメラアクセサリ装着用の少なくとも1つの装着部を備えているアクセサリアダプタとしても実現される。
【0034】
レンズ鏡筒2は、レンズ側突条部22の代わりに、レンズ鏡筒2の先端部の外周面に設けられるオスねじ(不図示)を備えていてもよい。また、アクセサリアダプタ1は、アダプタ側係合部11の代わりに、アクセサリアダプタ1の像面側の内周面に設けられるメスねじ(不図示)を備えていてもよい。これらの場合、アクセサリアダプタ1を、ねじ込み方式によってレンズ鏡筒2に装着することができる。
【0035】
〔実施形態2〕
図13は、本発明の実施形態2に係るアクセサリアダプタ1aの構成を示す斜視図である。
図14は、本発明の実施形態2に係るアクセサリアダプタ1aの断面を示す断面図である。
図14は、アクセサリアダプタ1aにおける、レンズ21の放線方向に平行な断面を示す。
図13および
図14に示すように、アクセサリアダプタ1aは、アダプタ側係合部11、メスねじ12、およびアダプタ側突条部15(対物側装着部)を備えている。アダプタ側係合部11およびメスねじ12は、実施形態1に係るアダプタ側係合部11およびメスねじ12と同一であるため、その説明を省略する。
【0036】
アダプタ側突条部15は、レンズフードなどの各種のカメラアクセサリを、バヨネット方式によってアクセサリアダプタ1aに装着するために用いられる。
図13および
図14に示すように、アダプタ側突条部15は、アクセサリアダプタ1aの対物側における外周面に設けられている。アダプタ側突条部15は、アクセサリアダプタ1aの外周面から突出すると共に、外周面の周方向に沿って延伸している。
図13では、互いに距離を置いて配置される複数のアダプタ側突条部15が、アクセサリアダプタ1aの外周面に設けられている。
【0037】
アダプタ側突条部15は、バヨネット方式の一方の係合部であり、バヨネット方式の他方の係合部を備えたレンズフードなどの各種のカメラアクセサリをアクセサリアダプタ1aに装着するために用いられる。アクセサリアダプタ1aがアダプタ側突条部15を備えているので、バヨネット方式の凹部を備えた各種のカメラアクセサリを、アクセサリアダプタ1aに簡単にかつ短時間で装着することができる。
【0038】
(変形例)
アクセサリアダプタ1aは、アダプタ側突条部15の代わりに、アクセサリアダプタ1aの対物側の外周面に設けられるオスねじ(不図示)を備えていてもよい。この構成では、アクセサリアダプタ1aの対物側の外周面および内周面に、異なる2つのカメラアクセサリのそれぞれをねじ込み方式によって装着することができる。
【0039】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るアクセサリアダプタは、レンズ鏡筒の先端部の外周面に設けられる、レンズフード装着用の鏡筒外周側装着部と、前記レンズ鏡筒の先端部の内周面に設けられる、カメラアクセサリ装着用の鏡筒内周側装着部とを備えているレンズ鏡筒、に装着される環状のアクセサリアダプタであって、前記アクセサリアダプタの像面側の内周面に設けられ、かつ前記鏡筒外周側装着部に装着される像面側装着部と、前記アクセサリアダプタの対物側の内周面または外周面に設けられる、カメラアクセサリ装着用の少なくとも1つの対物側装着部とを備えており、前記アクセサリアダプタの対物側の内径は、前記レンズ鏡筒の先端部の内径よりも大きい構成である。
【0040】
本発明の態様2に係るアクセサリアダプタは、前記態様1において、前記鏡筒外周側装着部は、バヨネット方式の一方の係合部であり、前記像面側装着部は、前記一方の係合部に係合される、前記バヨネット方式の他方の係合部である構成であってもよい。
【0041】
本発明の態様3に係るアクセサリアダプタは、前記態様1または2において、前記少なくとも1つの対物側装着部は、前記対物側の内周面に設けられる一方の対物側装着部と、前記対物側の外周面に設けられる他方の対物側装着部とを含む構成であってもよい。
【0042】
本発明の態様4に係るアクセサリアダプタは、前記態様1~3のいずれかにおいて、前記少なくとも1つの対物側装着部のうちの1つは、前記対物側の内周面に設けられるメスネジである構成であってもよい。
【0043】
本発明の態様5に係るアクセサリアダプタは、前記態様1~4のいずれかにおいて、前記少なくとも1つの対物側装着部のうちの1つは、前記対物側の外周面に設けられる、頭頂に環状の凹部を有する環状のテーパー部であってもよい。
【0044】
本発明の態様6に係るアクセサリアダプタは、前記態様1~4のいずれかにおいて、前記少なくとも1つの対物側装着部のうちの1つは、前記対物側の外周面に設けられるバヨネット方式の係合部である構成であってもよい。
【0045】
〔付記事項〕
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成できる。
【符号の説明】
【0046】
1,1a アクセサリアダプタ
2 レンズ鏡筒
3 レンズフィルター
4 マルチフード
11 アダプタ側係合部
11a 第一突条部
11b 第二突条部
11c 凹部
12 メスねじ
13 テーパー部
14 凹部
15 アダプタ側突条部
21 レンズ
22 レンズ側突条部
22a 凸部
23 メスねじ