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特許7466320スロッタヘッドおよびスロッタ装置並びに製函機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】スロッタヘッドおよびスロッタ装置並びに製函機
(51)【国際特許分類】
   B26D 1/28 20060101AFI20240405BHJP
   B31B 50/04 20170101ALI20240405BHJP
   B31B 50/26 20170101ALI20240405BHJP
   B31B 50/25 20170101ALI20240405BHJP
   B31B 50/60 20170101ALI20240405BHJP
   B31B 50/88 20170101ALI20240405BHJP
【FI】
B26D1/28 C
B26D1/28 D
B26D1/28 G
B31B50/04
B31B50/26
B31B50/25
B31B50/60
B31B50/88
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020014668
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021121455
(43)【公開日】2021-08-26
【審査請求日】2023-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】名達 光洋
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 保成
(72)【発明者】
【氏名】丹地 正宜
(72)【発明者】
【氏名】黒川 和重
(72)【発明者】
【氏名】藤野 真也
(72)【発明者】
【氏名】下羽坪 誠
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-254279(JP,A)
【文献】特開2007-136603(JP,A)
【文献】特開2001-277184(JP,A)
【文献】特開2018-103535(JP,A)
【文献】特開2017-114012(JP,A)
【文献】特開昭51-108986(JP,A)
【文献】特開2004-209837(JP,A)
【文献】特開2016-150407(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 1/28
B31B 50/04
B31B 50/22 - 50/26
B31B 50/60
B31B 50/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円板形状をなして回転自在に支持される刃物台と、
前記刃物台の外周部に装着される第1切刃と、
前記刃物台に周方向に沿って移動自在に支持される移動台と、
前記移動台の外周部に装着される第2切刃と、
前記刃物台を回転駆動する第1駆動装置と、
前記移動台を回転駆動する第2駆動装置と、
を備え、
前記第1駆動装置および前記第2駆動装置を駆動制御する制御装置を有し、制御装置は、前記第1駆動装置および前記第2駆動装置による前記刃物台および前記移動台の回転開始時に、前記刃物台と前記移動台との相対回転速度を調整することで、前記第1切刃と前記第2切刃の周方向の相対位置を調整し、
前記第1駆動装置の駆動力を前記刃物台に伝達する第1駆動力伝達系統と、前記第2駆動装置の駆動力を前記移動台に伝達する第2駆動力伝達系統とは独立しており、互いに交差しない、
スロッタヘッド。
【請求項2】
前記刃物台は、中心に第1回転軸が固定され、前記移動台は、前記刃物台と同心状に回転自在に支持されると共に、内周部に内歯歯車が設けられ、前記内歯歯車に第2回転軸の外歯歯車が噛み合い、前記第1駆動装置は、前記第1回転軸を回転可能であり、前記第2駆動装置は、前記第2回転軸を回転可能である、
請求項1に記載のスロッタヘッド。
【請求項3】
前記第2回転軸は、前記第1回転軸に隣接して平行に配置され、前記刃物台を貫通し、軸方向の各端部が前記第1回転軸の支持部材に回転自在に支持される、
請求項2に記載のスロッタヘッド。
【請求項4】
前記第2回転軸は、軸方向の端部に従動歯車が固定され、前記第1回転軸と同心状に回転筒が回転自在に支持され、前記回転筒の内周部に設けられた駆動歯車が前記従動歯車に噛み合い、前記第2駆動装置は、前記回転筒を回転可能である、
請求項2または請求項3に記載のスロッタヘッド。
【請求項5】
前記刃物台は、中心に第1回転軸が固定され、前記移動台は、前記刃物台と同心状に回転自在に支持されると共に、外周部に外歯歯車が設けられ、前記外歯歯車に第2回転軸の外歯歯車が噛み合い、前記第1駆動装置は、前記第1回転軸を回転可能であり、前記第2駆動装置は、前記第2回転軸を回転可能である、
請求項1に記載のスロッタヘッド。
【請求項6】
前記第2駆動装置の駆動力を前記移動台に伝達する駆動力伝達系統に過負荷保護装置が設けられる、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のスロッタヘッド。
【請求項7】
制御装置は、前記第1駆動装置および前記第2駆動装置により前記刃物台および前記移動台を一定の同じ回転速度に制御するとき、前記刃物台と前記移動台との相対回転速度を調整することで、前記第1切刃と前記第2切刃の周方向の相対位置を調整する、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のスロッタヘッド。
【請求項8】
前記制御装置は、前記第1駆動装置および前記第2駆動装置による前記刃物台および前記移動台の回転停止時に、前記刃物台と前記移動台との相対回転速度を調整することで、前記第1切刃と前記第2切刃の周方向の相対位置を調整する、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のスロッタヘッド。
【請求項9】
前記第2切刃は、円弧形状をなす円弧刃と、前記円弧刃の周方向の端部に設けられる突出刃とを有し、前記制御装置は、前記円弧刃がシートに接触するときの回転速度に対して、少なくとも前記突出刃がシートから離れるときの回転速度が低速になるように、前記第2駆動装置による前記移動台の回転速度を調整する、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のスロッタヘッド。
【請求項10】
前記制御装置は、生産管理装置から入力する前記第1切刃と前記第2切刃の周方向の相対位置情報に基づいて前記第1駆動装置および前記第2駆動装置を駆動制御する、
請求項1または請求項7から請求項9のいずれか一項に記載のスロッタヘッド。
【請求項11】
前記制御装置は、作業者操作する操作装置から入力する前記第1切刃と前記第2切刃の周方向の相対位置情報に基づいて前記第1駆動装置および前記第2駆動装置を駆動制御する、
請求項1または請求項7から請求項10のいずれか一項に記載のスロッタヘッド。
【請求項12】
回転自在に支持される上回転軸および下回転軸と、
前記上回転軸および前記下回転軸にそれぞれ固定されてシートの溝切り加工を行う上スロッタヘッドおよび下スロッタヘッドと、
を備え、
前記上スロッタヘッドとして請求項1から請求項11のいずれか一項に記載のスロッタヘッドが適用される、
ことを特徴とするスロッタ装置。
【請求項13】
シートを供給する給紙部と、
前記シートに対して印刷を行う印刷部と、
前記シートに対して表面に罫線加工を行うと共に溝切り加工を行う請求項12に記載のスロッタ装置を有する排紙部と、
前記シートを折り畳んで端部を接合することで箱体を形成するフォルディング部と、
前記箱体を計数しながら積み上げた後に所定数ごとに排出するカウンタエゼクタ部と、
を備える製函機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、段ボールシートなどのシート材に溝切り加工を行うスロッタヘッド、スロッタヘッドを備えるスロッタ装置、スロッタ装置を備える製函機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製函機は、シート材(例えば、段ボールシート)を加工することで箱体(段ボール箱)を製造する。製函機は、給紙部、印刷部、排紙部、ダイカット部、フォルディング部、カウンタエゼクタ部などから構成される。給紙部は、テーブル上に積み重ねられた段ボールシートを一枚ずつ送り出して一定の速度で印刷部に送る。印刷部は、複数の印刷ユニットを有し、段ボールシートに印刷を行う。排紙部は、段ボールシートに折り線となる罫線を形成すると共に、フラップをなす溝や接合用の糊代片の加工を施す。ダイカット部は、段ボールシートに手穴等の打ち抜き加工を施す。フォルディング部は、段ボールシートの糊代片に糊を塗布して罫線に沿って折り畳み、糊代片を接合することで扁平状の段ボール箱を製造する。カウンタエゼクタ部は、段ボール箱を積み重ね、所定数のバッチに仕分けして排出する。
【0003】
このような製函機にて、排紙部は、フラップを形成するための溝加工を行うスロッタ装置を有する。スロッタ装置は、上スロッタヘッドと下スロッタヘッドから構成される。上スロッタヘッドは、外周部に刃物が固定され、下スロッタヘッドは、外周部に刃物が嵌合する円周溝が設けられる。そのため、相対回転する上スロッタヘッドと下スロッタヘッドとの間にシート材が搬送されると、上スロッタヘッドの刃物が下スロッタヘッドの円周溝に嵌入するときに、シート材に溝が加工される。
【0004】
製函機は、異なる複数のサイズのシート材を加工して箱体を製造する。異なるサイズのシート材は、搬送方向における溝部の位置が相違する。上スロッタヘッドは、外周部に刃物が移動自在に装着されており、シート材における溝部の位置に応じて、上スロッタヘッドにおける刃物の周方向の位置を調整する必要がある。このようなスロッタ装置としては、例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開昭60-67118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上スロッタヘッドは、円板形状をなす刃物台を有し、第1切刃が刃物台に固定され、第2切刃が刃物台に対して周方向に移動自在に装着される。従来のスロッタ装置は、第1モータにより刃物台を回転可能であり、第2モータにより第2切刃を周方向に移動して第1切刃との相対位置を調整可能である。そして、上スロッタヘッドによりシートに溝加工を行うとき、第1モータにより刃物台を回転する。このとき、第1切刃と第2切刃の相対位置を維持する必要がある。そのため、第1モータにより刃物台を介して第1切刃を回転するとき、第1切刃と第2切刃の相対位置が変化しないように、第2モータにより第2切刃の位置調整を行っている。そのため、第1切刃と第2切刃の相対位置制御を行うための歯車機構が必要となり、装置が複雑化してしまうという課題がある。
【0007】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、装置の簡素化を図るスロッタヘッドおよびスロッタ装置並びに製函機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本開示のスロッタヘッドは、円板形状をなして回転自在に支持される刃物台と、前記刃物台の外周部に装着される第1切刃と、前記刃物台に周方向に沿って移動自在に支持される移動台と、前記移動台の外周部に装着される第2切刃と、前記刃物台を回転駆動する第1駆動装置と、前記移動台を回転駆動する第2駆動装置と、を備える。
【0009】
また、本開示のスロッタ装置は、回転自在に支持される上回転軸および下回転軸と、前記上回転軸および前記下回転軸にそれぞれ固定されてシートの溝切り加工を行う上スロッタヘッドおよび下スロッタヘッドと、を備え、前記上スロッタヘッドとして前記スロッタヘッドが適用される。
【0010】
また、本開示の製函機は、シートを供給する給紙部と、前記シートに対して印刷を行う印刷部と、前記シートに対して表面に罫線加工を行うと共に溝切り加工を行う前記スロッタ装置を有する排紙部と、前記シートを折り畳んで端部を接合することで箱体を形成するフォルディング部と、前記箱体を計数しながら積み上げた後に所定数ごとに排出するカウンタエゼクタ部と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示のスロッタヘッドおよびスロッタ装置並びに製函機によれば、装置の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本実施形態の製函機を表す概略構成図である。
図2図2は、排紙部で加工された段ボールシートの平面図である。
図3図3は、本実施形態のスロッタ装置を表す概略側面図である。
図4図4は、スロッタ装置を表す概略正面図である。
図5図5は、本実施形態のスロッタヘッドの正面図である。
図6図6は、スロッタヘッドの断面を表す図5のVI-VI断面図である。
図7図7は、変形例のスロッタヘッドの断面を表す断面図である。
図8図8は、スロッタ装置の始動時におけるスロッタナイフの回転制御を表すグラフである。
図9図9は、スロッタ装置の作動時におけるスロッタナイフの回転制御を表すグラフである。
図10図10は、スロッタ装置の停止時におけるスロッタナイフの回転制御を表すグラフである。
図11図11は、スロッタ装置の第1停止状態を表す概略図である。
図12図12は、スロッタ装置の第2停止状態を表す概略図である。
図13図13は、スロッタ装置の第3停止状態を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。また、実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0014】
[製函機の構成]
図1は、本実施形態の製函機を表す概略構成図である。
【0015】
本実施形態において、図1に示すように、製函機10は、段ボールシートSを加工することで段ボール箱(箱体)Bを製造するものである。製函機10は、給紙部11と、印刷部21と、排紙部31と、ダイカット部41と、フォルディング部51と、カウンタエゼクタ部61とから構成される。給紙部11と印刷部21と排紙部31とダイカット部41とフォルディング部51とカウンタエゼクタ部61は、段ボールシートSおよび段ボール箱Bを搬送する方向Dに沿って直線状をなして配置される。
【0016】
給紙部11は、段ボールシートSを一枚ずつ送り出して一定の速度で印刷部21に送る。給紙部11は、テーブル12と、前当て13と、供給ローラ14と、吸引装置15と、フィードロール16とを有する。テーブル12は、多数枚の段ボールシートSを積み重ねて載置可能であると共に、昇降可能に支持される。前当て13は、テーブル12上に積み重ねられた段ボールシートSの前端位置を位置決めすることができ、下端部とテーブル12との間に1枚の段ボールシートSが通過可能な隙間が確保される。供給ローラ14は、テーブル12に対応して段ボールシートSの搬送方向Dに複数配置されてなり、テーブル12が下降したときに、積み重ねられた多数枚の段ボールシートSのうちの最下位置にあるテーブル12を前方に送り出す。吸引装置15は、積み重ねられた段ボールシートSを下方、つまり、テーブル12や供給ローラ14側に吸引する。フィードロール16は、供給ローラ14により送り出された段ボールシートSを印刷部21に供給する。
【0017】
印刷部21は、段ボールシートSの表面に多色刷り(本実施形態では、4色刷り)を行うものである。印刷部21は、4つの印刷ユニット21A,21B,21C,21Dが直列をなして配置され、段ボールシートSの表面に4つのインキ色を使用して印刷を行う。各印刷ユニット21A,21B,21C,21Dは、ほぼ同様に構成され、印刷シリンダ22と、インキ供給ロール(アニロックスロール)23と、インキチャンバ24と、受ロール25とを有する。印刷シリンダ22は、外周部に印版26が取付けられ、回転可能に設けられる。インキ供給ロール23は、印刷シリンダ22の近傍にて印版26に対接するように配置され、回転可能に設けられる。インキチャンバ24は、インキを蓄えるものであり、インキ供給ロール23の近傍に設けられる。受ロール25は、印刷シリンダ22との間で段ボールシートSを挟持することで、所定の印圧を付与しながら搬送し、印刷シリンダ22の下方に対向して回転可能に設けられる。なお、図示しないが、各印刷ユニット21A,21B,21C,21Dは、その前後に上下一対の送りロールが設けられる。
【0018】
排紙部31は、段ボールシートSに対して、罫線加工を施すと共に、溝切り加工を施す。排紙部31は、スロッタ装置32を有する。スロッタ装置32は、段ボールシートSに対して溝切り加工を施す。排紙部31は、第1罫線ロール33と、第2罫線ロール34と、スリッタヘッド35と、スロッタヘッド36とを有する。
【0019】
第1罫線ロール33は、段ボールシートSの搬送方向Dに直交する水平方向に所定間隔で複数(本実施形態では、4個)配置され、図示しない駆動装置により回転可能である。第2罫線ロール34は、段ボールシートSの搬送方向Dに直交する水平方向に所定間隔で複数(本実施形態では、4個)配置され、図示しない駆動装置により回転可能である。第1罫線ロール33と第2罫線ロール34は、段ボールシートSの裏面(下面)に罫線加工を施す。
【0020】
スリッタヘッド35およびスロッタヘッド36は、段ボールシートSの搬送方向Dに直交する水平方向に所定間隔を空けて複数(本実施形態では、合せて5個)配置され、図示しない駆動装置により回転可能である。スリッタヘッド35は、1個で構成され、搬送される段ボールシートSにおける幅方向の端部に対応して設けられ、段ボールシートSにおける幅方向の端部を切断する。スロッタヘッド36は、4個で構成され、搬送される段ボールシートSにおける幅方向の所定の位置に対応して設けられ、段ボールシートSにおける所定の位置で溝切り加工を行うと共に、糊代片加工を行う。
【0021】
ダイカット部41は、段ボールシートSに対して手穴等の打ち抜き加工を施す。ダイカット部41は、上下一対の送り駒42と、アンビルシリンダ43およびヘッドシリンダ44を有する。送り駒42は、段ボールシートSを上下から挟持して搬送するものであり、回転可能に設けられる。アンビルシリンダ43およびヘッドシリンダ44は、それぞれ円形状に形成され、図示しない駆動装置により同期して回転可能である。この場合、アンビルシリンダ43は、外周部にアンビルが形成される一方、ヘッドシリンダ44は、外周部における所定の位置にヘッドおよびダイが形成される。
【0022】
フォルディング部51は、段ボールシートSを搬送方向Dに移動させながら折り畳み、幅方向の両端部を接合して扁平状の段ボール箱Bを形成する。フォルディング部51は、上搬送ベルト52と、下搬送ベルト53,54と、成形装置55とを有する。上搬送ベルト52および下搬送ベルト53,54は、段ボールシートSおよび段ボール箱Bを上下から挟持して搬送する。成形装置55は、左右一対の成形ベルトを有し、成形ベルトにより段ボールシートSにおける幅方向の各端部を下方に折り曲げながら折り畳む。また、フォルディング部51は、糊付装置56が設けられる。糊付装置56は、グルーガンを有し、所定のタイミングで糊を吐出することで、段ボールシートSにおける所定の位置に糊付けを行う。
【0023】
カウンタエゼクタ部61は、段ボール箱Bを計数しながら積み重ねた後、所定数のバッチに仕分けした後、排出する。カウンタエゼクタ部61は、ホッパ装置62を有する。ホッパ装置62は、段ボール箱Bが積み重ねられる昇降自在なエレベータ63を有し、エレベータ63には、整形手段としての図示しない前当板と整角板とが設けられる。なお、ホッパ装置62の下方に、搬出コンベア64が設けられる。
【0024】
[段ボールシート]
図2は、排紙部で加工された段ボールシートの平面図である。
【0025】
図2示すように、段ボールシートSは、表ライナ301と裏ライナ302との間に波形を成す中芯303が糊付けされて形成される。段ボールシートSは、製函機10の前工程にて、2つの折り線311,312が事前に形成される。折り線311,312は、製函機10にて製造された段ボール箱Bを、後に組み立てる際にフラップを折るためのものである。
【0026】
段ボールシートSは、排紙部31にて、罫線加工が施されると共に、溝切り加工を施される。段ボールシートSは、幅方向に所定間隔を空けて切断線321と罫線322,323,324,325が形成される。また、段ボールシートSは、幅方向に所定間隔を空けて溝331a,331b,332a,332b,333a,333bと切欠334a,334bが形成される。
【0027】
[製函機の作用]
図1に示すように、段ボールシートSは、給紙部11のテーブル12上に多数積み重ねられる。給紙部11にて、段ボールシートSは、前当て13により位置決めされ、テーブル12が下降することで、複数の供給ローラ14により最下位置にある段ボールシートSが送り出される。すると、段ボールシートSは、一対のフィードロール16により所定の一定速度で印刷部21に供給される。
【0028】
印刷部21にて、各印刷ユニット21A,21B,21C,21Dは、インキ供給ロール23の表面にインキチャンバ24からインキが供給されており、印刷シリンダ22およびインキ供給ロール23が回転すると、インキ供給ロール23の表面のインキが印版26に転移される。印刷シリンダ22と受ロール25との間に段ボールシートSが搬送されると、段ボールシートSが印版26と受ロール25とにより挟持され、段ボールシートSに印圧が付与されて表面に印刷が施される。印刷された段ボールシートSは、送りロールにより排紙部31に搬送される。
【0029】
排紙部31にて、図1および図2に示すように、段ボールシートSが第1罫線ロール33を通過するとき、段ボールシートSの裏面側、つまり、裏ライナ302に罫線322,323,324,325が形成される。段ボールシートSが第2罫線ロール34を通過するとき、第1罫線ロール33と同様に、段ボールシートSの裏面側、つまり、裏ライナ302に罫線322,323,324,325が再形成される。
【0030】
次に、罫線322,323,324,325が形成された段ボールシートSがスリッタヘッド35を通過するとき、切断線321により一方の端部330が切断される。また、段ボールシートSが各スロッタヘッド36を通過するとき、罫線322,323,324の下流側の位置に溝331a,332a,333a,切欠334aが形成され、罫線322,323,324の上流側の位置に溝331b,332b,333bと切欠334bが形成される。切欠334a,334bにより他方の端部335a,335bが切断されることで、糊代片(接合片)334が形成される。その後、罫線加工と溝切り加工が施された段ボールシートSは、ダイカット部41に搬送される。
【0031】
ダイカット部41にて、段ボールシートSがアンビルシリンダ43とヘッドシリンダ44との間を通過するとき、手穴341,342が形成される。手穴341,342が形成された段ボールシートSは、フォルディング部51に搬送される。
【0032】
フォルディング部51にて、段ボールシートSは、上搬送ベルト52および下搬送ベルト53,54により搬送方向Dに移動される。糊付装置56は、糊代片334に糊を塗布し、成形装置55は、罫線322,324を基点として段ボールシートSを下方に折り畳む。折り畳みが180度近くまで進むと、折り畳み力が強くなり、糊代片334と糊代片334に重なる段ボールシートSの端部とが押えられて互いに密着し、段ボールシートSの両端部が接合され、段ボール箱Bとなる。段ボール箱Bは、カウンタエゼクタ部61に搬送される。
【0033】
カウンタエゼクタ部61にて、良品と検出された段ボール箱Bは、ホッパ装置62に送られる。ホッパ装置62に送られた段ボール箱Bは、搬送方向Dの先端部が前当板に当たり、整角板により整形された状態でエレベータ63上に積み重ねられる。所定数の段ボール箱Bがエレベータ63上に積み重ねられると、エレベータ63が下降し、所定数の段ボール箱Bが1バッチとなって搬出コンベア64により排出され、製函機10の後行程に送られる。
【0034】
[排紙部]
ここで、本実施形態のスロッタ装置を有する排紙部31について詳細に説明する。図3は、本実施形態のスロッタ装置を表す概略側面図、図4は、スロッタ装置を表す概略正面図である。
【0035】
図3および図4に示すように、排紙部31は、スロッタ装置32を有し、段ボールシートSに対して、罫線加工を施すと共に溝切り加工を施す。排紙部31は、第1罫線ロール33と、第2罫線ロール34と、スリッタヘッド35と、スロッタヘッド36とを有する。
【0036】
第1罫線ロール33は、罫線ロール本体71と、受ロール72とを有する。罫線ロール本体71が下方に位置し、受ロール72が上方に位置する。罫線ロール本体71および受ロール72は、円板形状をなし、段ボールシートSの搬送方向Dに直交する水平方向に複数組配置される。第2罫線ロール34は、罫線ロール本体73と、受ロール74とを有する。罫線ロール本体73が下方に位置し、受ロール74が上方に位置する。罫線ロール本体73および受ロール74は、円板形状をなし、段ボールシートSの搬送方向Dに直交する水平方向に複数組配置される。第1罫線ロール33の外径は、第2罫線ロール34の外径より大きい。
【0037】
下ロール軸75および上ロール軸76は、上下に所定間隔を空けて平行をなし、段ボールシートSの搬送方向Dに直交する水平方向に沿って配置され、軸方向の各端部が図示しないフレームに回転自在に支持される。下ロール軸75は、複数の罫線ロール本体71が軸方向に所定間隔を空けて固定される。上ロール軸76は、複数の受ロール72が軸方向に所定間隔を空けて固定される。下ロール軸77および上ロール軸78は、下ロール軸75および上ロール軸76より段ボールシートSの搬送方向Dにおける下流側に配置される。下ロール軸75および上ロール軸76は、上下に所定間隔を空けて平行をなし、段ボールシートSの搬送方向Dに直交する水平方向に沿って配置され、軸方向の各端部が図示しないフレームに回転自在に支持される。下ロール軸77は、複数の罫線ロール本体73が軸方向に所定間隔を空けて固定される。上ロール軸78は、複数の受ロール74が軸方向に所定間隔を空けて固定される。
【0038】
罫線ロール本体71と受ロール72、罫線ロール本体73と受ロール74は、それぞれ上下に対向して配置される。そして、第1罫線ロール33と第2罫線ロール34は、ロール軸75,76,77,78の軸方向における同位置に配置される。
【0039】
そのため、段ボールシートSが第1罫線ロール33の罫線ロール本体71と受ロール72との間に搬送されると、罫線ロール本体71の外周部と受ロール72の外周部とが段ボールシートSを挟持し、段ボールシートSが両者の間を通過するときに下面に罫線が形成される。また、段ボールシートSが第2罫線ロール34の罫線ロール本体73と受ロール74との間に搬送されると、罫線ロール本体73の外周部と受ロール74の外周部とが段ボールシートSを挟持し、段ボールシートSが両者の間を通過するときに下面に罫線が再形成される。段ボールシートSは、同位置に第1罫線ロール33と第2罫線ロール34が罫線を形成することで、一つの罫線が形成される。
【0040】
スリッタヘッド35は、スリッタ上刃81と、スリッタ下刃82とを有する。スリッタ上刃81が上方に位置し、スリッタ下刃82が下方に位置する。スリッタ上刃81およびスリッタ下刃82は、円板形状をなし、段ボールシートSの搬送方向Dに直交する水平方向における端部に1組配置される。スリッタヘッド35は、スリッタ上刃81とスリッタ下刃82により、搬送される段ボールシートSにおける幅方向の端部に対応して設けられ、段ボールシートSにおける幅方向の端部を切断する。
【0041】
スロッタヘッド36は、上スロッタヘッド83と、下スロッタヘッド84とを有する。上スロッタヘッド83が上方に位置し、下スロッタヘッド84が下方に位置する。上スロッタヘッド83と下スロッタヘッド84は、円板形状をなし、段ボールシートSの搬送方向Dに直交する水平方向に所定間隔を空けて4組配置される。スロッタヘッド36は、上スロッタヘッド83と下スロッタヘッド84により、搬送される段ボールシートSにおける幅方向の所定の位置に対応して設けられ、段ボールシートSにおける所定の位置で溝切り加工を行うと共に、糊代片加工を行う。
【0042】
上スロッタ軸85および下スロッタ軸86は、上下に所定間隔を空けて平行をなし、段ボールシートSの搬送方向Dに直交する水平方向に沿って配置され、軸方向の各端部が図示しないフレームに回転自在に支持される。上スロッタ軸85は、スリッタ上刃81と4個の上スロッタヘッド83が軸方向に所定間隔を空けて固定される。下スロッタ軸86は、スリッタ下刃82と4個の下スロッタヘッド84が軸方向に所定間隔を空けて固定される。スリッタ上刃81とスリッタ下刃82、上スロッタヘッド83と下スロッタヘッド84は、それぞれ上下に対向して配置される。スリッタヘッド35とスロッタヘッド36は、段ボールシートSの搬送方向Dに直交する水平方向において、第1罫線ロール33および第2罫線ロール34と同位置に配置される。
【0043】
スロッタヘッド36は、上スロッタヘッド83の外周部にそれぞれ2個のスロッタナイフ87,88が装着される。スリッタヘッド35は、段ボールシートSの搬送方向Dに直交する水平方向の一端部に配置される。4個のスロッタヘッド36のうちの3個は、スロッタナイフ87,88が段ボールシートSの溝切り加工用として使用され、段ボールシートSの搬送方向Dに直交する水平方向の中間部に配置される。る。また、4個のスロッタヘッド36のうちの1個は、スロッタナイフ87,88が段ボールシートSの糊代片加工用として図示しない糊代ナイフを備え、段ボールシートSの搬送方向Dに直交する水平方向の他端部に配置される。
【0044】
そのため、段ボールシートSがスリッタヘッド35のスリッタ上刃81とスリッタ下刃82との間に搬送されると、スリッタ上刃81の外周部とスリッタ下刃82の外周部が段ボールシートSを挟持し、段ボールシートSが両者の間を通過するとき、段ボールシートSは、スリッタ上刃81とスリッタ下刃82により端部が切断される。また、段ボールシートSがスロッタヘッド36の上スロッタヘッド83と下スロッタヘッド84との間に搬送されると、上スロッタヘッド83の外周部と下スロッタヘッド84の外周部が段ボールシートSを挟持し、段ボールシートSが両者の間を通過するとき、段ボールシートSは、スロッタナイフ87,88により溝切り加工されると共に、糊代片が加工される。
【0045】
ところで、製函機10は、異なる複数のサイズの段ボールシートSを加工して段ボール箱Bを製造することができる。異なるサイズの段ボールシートSは、溝331a,331b,332a,332b,333a,333bと切欠334a,334bの位置が段ボールシートSの搬送方向Dで相違する。そのため、加工する段ボールシートSサイズが変更されるとき、スロッタヘッド36の上スロッタヘッド83に装着された2個のスロッタナイフ87,88における周方向の相対位置を調整する必要がある。
【0046】
[スロッタヘッドの構成]
図5は、本実施形態のスロッタヘッドの正面図、図6は、スロッタヘッドの断面を表す図5のVI-VI断面図である。
【0047】
図5および図6に示すように、上スロッタヘッド83は、外周部に2個のスロッタナイフ87,88が装着される。本実施形態では、上スロッタヘッド83は、第1スロッタナイフ87が固定され、第1スロッタナイフ87に対して第2スロッタナイフ88が周方向に移動自在に支持される。
【0048】
上スロッタヘッド83は、刃物台101と、第1スロッタナイフ(第1切刃)87と、移動台102と、第2スロッタナイフ(第2切刃)88と、第1駆動装置103と、第2駆動装置104とを備える。
【0049】
上スロッタ軸(第1回転軸)85は、軸方向の一端部が軸受111によりフレーム112に回転自在に支持され、軸方向の他端部が軸受113によりフレーム114に回転自在に支持される。上スロッタ軸85は、フレーム112,114の間で、外周部に刃物台101が一体回転可能に装着される。刃物台101は、円板形状をなし、第1支持部101aと第2支持部101bとが連結部101cにより一体に連結されて構成される。上スロッタ軸85は、中心O1を中心として回転自在であり、刃物台101は、上スロッタ軸85と共に中心O1を中心として回転自在である。上方フレーム115は、段ボールシートSの搬送方向Dに直交する水平方向(上スロッタ軸85の軸方向)に沿ってガイドレール116が固定される。案内部材117は、上端部の案内部117aがガイドレール116に移動自在に支持される。案内部材117は、下端部に円環形状をなす円環部117bが設けられ、円環部117bは、内周部に軸受118により刃物台101の第1支持部101aが回転自在に支持される。
【0050】
刃物台101は、第2支持部101bの外周部に軸受119により移動台102が回転自在に支持される。移動台102は、刃物台101の中心O1と同心状に回転自在に支持される。移動台102は、刃物台101に対して、周方向に相対回転可能であるが、軸方向には相対移動不能である。移動台102は、中央部に孔部が形成された円板形状をなし、円板部102aの外周部に円環部102bが一体に連結されて構成される。そして、刃物台101は、第2支持部101bの外周部の端面に第1スロッタナイフ87が複数のボルト120により固定される。また、移動台102は、円環部102bの端面に第2スロッタナイフ88が複数のボルト121により固定される。第1スロッタナイフ87と第2スロッタナイフ88は、周方向にずれて配置されるが、軸方向には同位置に配置される。
【0051】
第1スロッタナイフ87および第2スロッタナイフ88は、円弧形状をなし、外周部に円弧刃87a,88aと突出刃87b,88bが設けられる。円弧刃87a,88aは、第1スロッタナイフ87および第2スロッタナイフ88の外周部に周方向に沿って設けられ、上スロッタ軸85の中心からの外径寸法が周方向で同一寸法である。突出刃87b,88bは、第1スロッタナイフ87および第2スロッタナイフ88の外周部における周方向の一端部に設けられ、上スロッタ軸85の中心からの外径寸法が円弧刃87a,88aの外径寸法より大きい寸法である。円弧刃87a,88aと突出刃87b,88bは、外径が段差なく曲線により滑らかに連続することが好ましい。また、図示しないが、第1スロッタナイフ87および第2スロッタナイフ88は、円弧刃87a,88aに対して突出刃87b,88bが着脱自在に設けられることで、交換可能である。
【0052】
移動台102は、円板部102aの内周部に内歯歯車102cが設けられる。スプライン軸(第2回転軸)131は、上スロッタ軸85に所定隙間を空けて隣接し、上スロッタ軸85に対して平行に配置される。刃物台101は、軸方向に貫通する貫通孔132が形成される。スプライン軸131は、刃物台101の貫通孔132に隙間を空けて貫通する。上スロッタ軸85は、軸方向における各端部に円板形状をなす支持部材133,134が固定される。スプライン軸131は、軸方向の各端部が軸受135,136により支持部材133,134に回転自在に支持される。スプライン軸131は、外歯歯車131aが移動台102の内歯歯車102cに噛み合う。スプライン軸131は、上スロッタ軸85および刃物台101と共に中心O1を中心としてその周囲を回転(公転)自在に支持され、中心O2を中心として回転(自転)自在に支持される。
【0053】
フレーム114は、軸受137により回転筒138が回転自在に支持され、回転筒138は、軸受113により上スロッタ軸85が回転自在に支持される。なお、フレーム114に上スロッタ軸85を直接回転自在に支持してもよい。上スロッタ軸85と回転筒138は、中心O1を中心として相対回転自在である。回転筒138は、円筒形状をなし、軸方向の一端部に内歯歯車(駆動歯車)138aが設けられ、軸方向の他端部に外歯歯車138bが設けられる。スプライン軸131は、軸方向の一端部にピニオン歯車(従動歯車)139が設けられ、スプライン軸131のピニオン歯車139が回転筒138の内歯歯車138aに噛み合う。
【0054】
第1駆動装置103は、上スロッタ軸85を介して刃物台101を回転可能である。第2駆動装置104は、スプライン軸131を介して移動台102を回転可能である。すなわち、第1駆動装置103は、例えば、モータおよび減速機である。第1駆動装置103は、上スロッタ軸85を駆動回転することで、上スロッタ軸85に固定された刃物台101を回転することができる。第2駆動装置104は、例えば、モータおよび減速機である。第2駆動装置104は、駆動歯車140を駆動回転することができる。駆動歯車140は、回転筒138の外歯歯車138bに噛み合う。そのため、駆動歯車140の回転力が回転筒138およびピニオン歯車139を介してスプライン軸131に伝達される。スプライン軸131が回転することで、スプライン軸131に噛み合う移動台102を回転することができる。また、第2駆動装置104と駆動歯車140との間にトルクリミッタ(過負荷保護装置)141が設けられる。更に、第2駆動装置104は、トルクセンサ(過負荷保護装置)142が設けられる。
【0055】
この場合、第1駆動装置103および第2駆動装置104は、フレーム112,114などに設けられる。そして、第1駆動装置103の駆動回転力を刃物台101に伝達する駆動力伝達系統171と、第2駆動装置104の駆動回転力を移動台102に伝達する駆動力伝達系統172とは、独立している。つまり、駆動力伝達系統171と駆動力伝達系統172とが交差することはなく、第1駆動装置103と第2駆動装置104を個別に制御することで、刃物台101と移動台102の回転速度を個別に調整することができる。この場合、トルクリミッタ141やトルクセンサ142は、第2駆動装置104の駆動力を伝達する駆動力伝達系統172に設けられる。なお、トルクリミッタ141やトルクセンサ142は、どちらか一方のみ設けられていてもよい。
【0056】
また、段ボールシートSの搬送方向Dに直交する水平方向(上スロッタ軸85の軸方向)に沿ってねじ軸143が配置される。ねじ軸143は、案内部材117に螺合する。ねじ軸143は、第3駆動装置144により駆動回転可能である。そのため、第3駆動装置144によりねじ軸143を正回転または逆回転することで、ねじ軸143が螺合する案内部材117を段ボールシートSの搬送方向Dに直交する水平方向に沿って移動し、上スロッタヘッド83を段ボールシートSの搬送方向Dに直交する水平方向に移動することができる。
【0057】
制御装置151は、第1駆動装置103、第2駆動装置104、第3駆動装置144を駆動制御可能である。制御装置151は、生産管理装置152から段ボールシートSの製造情報が入力される。段ボールシートSの製造情報は、製造する段ボールシートSのサイズや溝331a,331b,332a,332b,333a,333bおよび切欠334a,334bの位置を含む。製造する段ボールシートSのサイズや溝331a,331b,332a,332b,333a,333bおよび切欠334a,334bの位置は、第1スロッタナイフ87および第2スロッタナイフ88の周方向の相対位置情報である。制御装置151は、生産管理装置152から入力する第1スロッタナイフ87および第2スロッタナイフ88の周方向の相対位置情報に基づいて第1駆動装置103および第2駆動装置104を駆動制御する。このとき、制御装置151は、トルクセンサ142が検出した第2駆動装置104のトルクが入力される。制御装置151は、トルクセンサ142から入力したトルクが予め設定された上限トルクを超えると、第1駆動装置103および第2駆動装置104を停止し、製函機10全体が駆動を停止される。
【0058】
また、制御装置151は、操作装置153が接続され、作業者が操作装置153を操作することで出力された指令情報が入力される。指令情報は、第1スロッタナイフ87および第2スロッタナイフ88の周方向の相対位置情報を含む。制御装置151は、操作装置153から入力する第1スロッタナイフ87および第2スロッタナイフ88の周方向の相対位置情報に基づいて第1駆動装置103および第2駆動装置104を駆動制御するように構成してもよい。
【0059】
[スロッタヘッドの変形例]
図7は、変形例のスロッタヘッドの断面を表す断面図である。
【0060】
スロッタヘッドの変形例において、図7に示すように、上スロッタヘッド83Aは、刃物台101Aと、第1スロッタナイフ87と、移動台102Aと、第2スロッタナイフ88と、第1駆動装置103と、第2駆動装置104とを備える。
【0061】
上スロッタ軸85は、軸方向の一端部が軸受111によりフレーム112に回転自在に支持される。上スロッタ軸85は、外周部に刃物台101Aが一体回転可能に装着される。上スロッタ軸85と刃物台101Aは、中心O1を中心として回転自在である。刃物台101Aは、外周部に軸受119により移動台102Aが回転自在に支持される。移動台102Aは、刃物台101の中心O1と同心状に回転自在に支持される。移動台102Aは、刃物台101に対して、周方向に相対回転可能であるが、軸方向には相対移動不能である。移動台102Aは、リング形状をなす。そして、刃物台101Aは、外周部の端面に第1スロッタナイフ87が複数のボルト120により固定される。また、移動台102Aは、端面に第2スロッタナイフ88が複数のボルト121により固定される。第1スロッタナイフ87と第2スロッタナイフ88は、周方向にずれて配置されるが、軸方向には同位置に配置される。
【0062】
移動台102Aは、外周部に外歯歯車102dが設けられる。第2回転軸161は、上スロッタ軸85に対して平行に配置される。第2回転軸161は、軸受162によりフレーム112に回転自在に支持される。第2回転軸161は、ピニオン歯車(外歯歯車)163が固定され、ピニオン歯車163が移動台102Aの外歯歯車102dに噛み合う。第2回転軸161は、中心O2を中心として回転自在に支持される。
【0063】
第1駆動装置103は、上スロッタ軸85を介して刃物台101Aを回転可能である。第2駆動装置104は、第2回転軸161を介して移動台102Aを回転可能である。第1駆動装置103の駆動回転力を刃物台101に伝達する駆動力伝達系統171と、第2駆動装置104の駆動回転力を移動台102に伝達する駆動力伝達系統172とは、独立している。そして、駆動力伝達系統172は、トルクリミッタ141とトルクセンサ142が設けられる。
【0064】
[スロッタヘッドの作用]
図8は、スロッタ装置の始動時におけるスロッタナイフの回転制御を表すグラフ、図9は、スロッタ装置の作動時におけるスロッタナイフの回転制御を表すグラフ、図10は、スロッタ装置の停止時におけるスロッタナイフの回転制御を表すグラフ、図11は、スロッタ装置の第1停止状態を表す概略図、図12は、スロッタ装置の第2停止状態を表す概略図、図13は、スロッタ装置の第3停止状態を表す概略図である。
【0065】
図5および図6に示すように、制御装置151は、第1スロッタナイフ87および第2スロッタナイフ88の周方向の相対位置情報が入力される。制御装置151は、製函機10(排紙部31)の始動時、第1駆動装置103により刃物台101を介して第1スロッタナイフ87を駆動回転すると共に、第2駆動装置104により移動台102を介して第2スロッタナイフ88を駆動回転する。このとき、第1駆動装置103による第1スロッタナイフ87の回転速度に対して第2駆動装置104による第2スロッタナイフ88の回転速度を異ならせることで、第1スロッタナイフ87に対する第2スロッタナイフ88の相対位置を調整する。
【0066】
以下、制御装置151による第1スロッタナイフ87および第2スロッタナイフ88の位相制御について具体的に説明する。ここで、第1スロッタナイフ87と第2スロッタナイフ88との間隔を狭くするとは、第1スロッタナイフ87の突出刃87bの端部と第2スロッタナイフ88の突出刃88b側の端部との間隔を狭くすることである。一方、第1スロッタナイフ87と第2スロッタナイフ88との間隔を広くするとは、第1スロッタナイフ87の突出刃87bの端部と第2スロッタナイフ88の突出刃88b側の端部との間隔を広くすることである。
【0067】
図5および図8の実線で示すように、第1駆動装置103により第1スロッタナイフ87の回転速度を第1上昇率で上昇させ、時間t5にて、一定の運転速度vaで維持する。ここで、第1スロッタナイフ87と第2スロッタナイフ88との間隔を狭くする場合、図5および図8の一点鎖線で示すように、第2駆動装置104により第2スロッタナイフ88の回転速度を第1上昇率より高い第2上昇率で上昇させ、時間t1にて、一定の運転速度で維持した後、時間t3にて、第1スロッタナイフ87と同様の第1上昇率で上昇させ、時間t5にて、一定の運転速度vaで維持する。一方、第1スロッタナイフ87と第2スロッタナイフ88との間隔を広くする場合、図5および図8の二点鎖線で示すように、第2駆動装置104により第2スロッタナイフ88の回転速度を第1上昇率より低い第3上昇率で上昇させ、時間t2にて、第1上昇率より高い第4上昇率で上昇させた後、時間t4にて、第1スロッタナイフ87と同様の第1上昇率で上昇させ、時間t5にて、一定の運転速度vaで維持する。なお、第2駆動装置104により第2スロッタナイフ88の回転速度を第2上昇率で上昇させた後、時間t1にて、所定の上昇率で上昇させてもよい。
【0068】
そして、制御装置151は、製函機10(排紙部31)の作動時、第1駆動装置103および第2駆動装置104を駆動制御することで、第1スロッタナイフ87および第2スロッタナイフ88を一定の運転速度vaに応じた速度で回転させる。但し、製函機10の作動中に第1スロッタナイフ87と第2スロッタナイフ88の間隔を調整することができる。例えば、第1スロッタナイフ87と第2スロッタナイフ88との間隔を狭くする場合、図8の一点鎖線で示すように、時間t6にて、第2駆動装置104により第2スロッタナイフ88の回転速度を一時的に上昇させる。一方、第1スロッタナイフ87と第2スロッタナイフ88との間隔を広くする場合、図8の二点鎖線で示すように、時間t7にて、第2駆動装置104により第2スロッタナイフ88の回転速度を一時的に下降させる。
【0069】
そして、図5および図6に示すように、制御装置151は、製函機10(排紙部31)の作動時、第1駆動装置103により第1スロッタナイフ87を1回転させると共に、第2駆動装置104により第2スロッタナイフ88を1回転させるとき、所定の位相角度範囲で第2駆動装置104による第2スロッタナイフ88の回転速度を低下させる。
【0070】
第1スロッタナイフ87および第2スロッタナイフ88は、円弧刃87a,88aと突出刃87b,88bを有する。この場合、円弧刃87a,88aの周速は、段ボールシートSの搬送速度と同速であるが、突出刃87b,88bは、円弧刃87a,88aより外径寸法が大きいことから、第1スロッタナイフ87と第2スロッタナイフ88を同じ回転速度で回転しても、突出刃87b,88bの径方向先端部の周速が、円弧刃87a,88aの径方向先端部の周速より高速となる。そのため、第2スロッタナイフ88の円弧刃88aが段ボールシートSに接触して溝切加工をした後、突出刃88bが段ボールシートSから離れるとき、段ボールシートSの搬送速度よりも突出刃88bの周速が高速であることから、高速で回転する突出刃88bが段ボールシートSの溝331b,332b,333bの搬送方向D下流端を蹴り上げて損傷させてしまうことがある。
【0071】
そのため、制御装置151は、円弧刃88aが段ボールシートSに接触するときの回転速度に対して、少なくとも突出刃88bが段ボールシートSから離れるときの回転速度が低速になるように、第1駆動装置103および第2駆動装置104による刃物台101および移動台102の回転速度を調整する。なお、図8において、角度a1から角度a1の範囲は、第2スロッタナイフ88の1回転の範囲である。また、角度a1から角度a2の範囲は、第2スロッタナイフ88の突出刃88bが段ボールシートSに接触して離れるまでの間の範囲であり、角度a2から角度a1の範囲は、第2スロッタナイフ88の突出刃88bが段ボールシートSに接触していない範囲である。
【0072】
すなわち、図5および図9に実線で示すように、第1駆動装置103により第1スロッタナイフ87を一定の運転速度vaで維持する。一方、図5および図9に一点鎖線で示すように、第2駆動装置104により第2スロッタナイフ88を一定の運転速度vaで維持した状態から、突出刃88bが段ボールシートSに接触する角度a1から角度a2の範囲で、第2駆動装置104による第2スロッタナイフ88の運転速度をv1まで下降させる。その後、第2スロッタナイフ88が段ボールシートSに接触して離れるまでの間の角度a2から角度a3の範囲で、第2駆動装置104による第2スロッタナイフ88の運転速度をv2まで上昇させた後、角度a3から角度a4の範囲で、第2駆動装置104による第2スロッタナイフ88の運転速度を下降させ、一定の運転速度vaで維持する。
【0073】
また、第2駆動装置104による第2スロッタナイフ88の運転速度の制御方法は、上述した方法に限定されるものではない。図5および図9に二点鎖線で示すように、第2駆動装置104により第2スロッタナイフ88を一定の運転速度vaで維持した状態から、突出刃88bが段ボールシートSに接触して離れるまでの間の角度a1から角度a2の範囲で、第2駆動装置104による第2スロッタナイフ88の運転速度をv1まで下降させる。その後、第2スロッタナイフ88が段ボールシートSに接触していない角度a2から角度a5の範囲で、第2駆動装置104による第2スロッタナイフ88の運転速度をv2まで上昇させた後、角度a5から角度a1の範囲で、第2駆動装置104による第2スロッタナイフ88の運転速度を下降させ、一定の運転速度vaで維持する。
【0074】
また、図5および図6に示すように、制御装置151は、製函機10(排紙部31)の停止時、第1駆動装置103による第1スロッタナイフ87の回転速度に対して第2駆動装置104による第2スロッタナイフ88の回転速度を異ならせることで、第1スロッタナイフ87に対する第2スロッタナイフ88の相対位置を調整する。
【0075】
図5および図10の実線で示すように、第1駆動装置103および第2駆動装置104により第1スロッタナイフ87および第2スロッタナイフ88を一定の運転速度vaで維持する。そして、時間t11にて、第1駆動装置103により第1スロッタナイフ87の回転速度を第1下降率で下降させ、時間t14にて、運転速度0として停止する。ここで、第1スロッタナイフ87と第2スロッタナイフ88との間隔を広くする場合、図5および図10の二点鎖線で示すように、時間t11にて、第2駆動装置104により第2スロッタナイフ88の回転速度を第1スロッタナイフ87と同様の第1下降率で下降させ、時間t12にて、第1下降率より低い第3下降率で下降させ、時間t15にて、運転速度0として停止する。一方、第1スロッタナイフ87と第2スロッタナイフ88との間隔を狭くする場合、図5および図10の一点鎖線で示すように、時間t11にて、第2駆動装置104により第2スロッタナイフ88の回転速度を第1スロッタナイフ87と同様の第1下降率で下降させ、時間t12にて、第1下降率より高い第2下降率で下降させ、時間t13にて、運転速度0として停止する。
【0076】
製函機10(排紙部31)の停止時、第1スロッタナイフ87と第2スロッタナイフ88との間隔を変更することで、メンテナンス性が向上する。例えば、図11に示すように、第1スロッタナイフ87と第2スロッタナイフ88との間隔を広くすると、第1スロッタナイフ87の突出刃87b側でない端部と第2スロッタナイフ88の突出刃88b側でない端部との間隔を狭くなる、または、接触した状態で停止する。そして、第1スロッタナイフ87および第2スロッタナイフ88を、図10の左側に位置するように停止する。すると、この位置にメンテナンス開口部が設けられている場合、第1スロッタナイフ87および第2スロッタナイフ88を同時にメンテナンスすることができる。
【0077】
また、図12に示すように、第1スロッタナイフ87と第2スロッタナイフ88を、ナイフ本体91,93と、ナイフ分割体92,94から構成する場合がある。この場合、第1スロッタナイフ87と第2スロッタナイフ88との間隔を広くし、第1スロッタナイフ87の突出刃87b側でない端部と第2スロッタナイフ88の突出刃88b側でない端部との間に所定隙間(角度)θ1を確保した状態で停止する。すると、この位置にメンテナンス開口部が設けられている場合、第1スロッタナイフ87および第2スロッタナイフ88のナイフ本体91,93からナイフ分割体92,94を取り外したり、交換したりする作業を同時に行うことができる。
【0078】
更に、図13に示すように、第1スロッタナイフ87と第2スロッタナイフ88との間隔を狭くし、第1スロッタナイフ87の突出刃87b側の端部と第2スロッタナイフ88の突出刃88b側の端部との間に所定隙間(角度)θ2を確保した状態で停止する。すると、この位置にメンテナンス開口部が設けられている場合、第1スロッタナイフ87および第2スロッタナイフ88の突出刃87b,88bの交換作業を同時に行うことができる。また、生産管理装置152からの段ボールシートSの製造情報に基づいて、次の溝加工におけるナイフ分割体92,94の有無により、第1スロッタナイフ87および第2スロッタナイフ88が所定の位置に移動してから停止するようにしてもよい。
【0079】
製函機10の停止時に、第1スロッタナイフ87および第2スロッタナイフ88のメンテナンス作業や交換作業などを実施する場合、操作装置153にメンテナンス作業用ボタンや交換作業用ボタンなどを設けることが好ましい。作業者が各種のボタンを操作すると、製函機10の停止時に、第1スロッタナイフ87および第2スロッタナイフ88が所定の位置に移動してから停止することとなり、操作性を向上することができる。
【0080】
[本実施形態の作用効果]
第1の態様に係るスロッタヘッドは、円板形状をなして回転自在に支持される刃物台101と、刃物台101の外周部に装着される第1スロッタナイフ(第1切刃)87と、刃物台101に周方向に沿って移動自在に支持される移動台102と、移動台102の外周部に装着される第2スロッタナイフ(第2切刃)88と、刃物台101を回転駆動する第1駆動装置103と、移動台102を回転駆動する第2駆動装置104とを備える。
【0081】
第1の態様に係るスロッタヘッドは、第1駆動装置103または第2駆動装置104により第1スロッタナイフ87または第2スロッタナイフ88を回転することで、第1スロッタナイフ87と第2スロッタナイフ88との周方向の相対位置を容易に調整することができる。また、第1駆動装置103および第2スロッタナイフ88を回転することで、第1スロッタナイフ87および第2スロッタナイフ88を同期して回転することができる。すなわち、第1スロッタナイフ87の駆動系と第2スロッタナイフ88の駆動系が独立している。そのため、第1スロッタナイフ87と第2スロッタナイフ88の相対位置制御を行うための歯車機構が不要となり、装置の簡素化を図ることができる。
【0082】
第2の態様に係るスロッタヘッドは、刃物台101は、中心O1に上スロッタ軸(第1回転軸)85が固定され、移動台102は、刃物台101と同心状に回転自在に支持されると共に、内周部に内歯歯車102cが設けられ、内歯歯車102cにスプライン軸(第2回転軸)131の外歯歯車131aが噛み合い、第1駆動装置103は、上スロッタ軸85を回転可能であり、第2駆動装置104は、スプライン軸131を回転可能である。これにより、簡単な構成で、第1駆動装置103により上スロッタ軸85を介して刃物台101を回転することができると共に、第2駆動装置104によりスプライン軸131を介して移動台102を回転することができる。
【0083】
第3の態様に係るスロッタヘッドは、スプライン軸131が上スロッタ軸85に隣接して平行に配置され、刃物台101を貫通し、軸方向の各端部が上スロッタ軸85の支持部材133,134に回転自在に支持される。これにより、スプライン軸131を上スロッタ軸85に隣接して配置することで、装置のコンパクト化を図ることができる。
【0084】
第4の態様に係るスロッタヘッドは、スプライン軸131における軸方向の端部にピニオン歯車(従動歯車)139が固定され、上スロッタ軸85と同心状に回転筒138が回転自在に支持され、回転筒138の内周部に設けられた内歯歯車(駆動歯車)138aがピニオン歯車139に噛み合い、第2駆動装置104は、回転筒138を回転可能である。これにより、第2駆動装置104から移動台102までの駆動力伝達系統172を適正に構成することができる。
【0085】
第5の態様に係るスロッタヘッドは、刃物台101Aは、中心O1に上スロッタ軸85が固定され、移動台102Aは、刃物台101Aと同心状に回転自在に支持されると共に、外周部に外歯歯車102dが設けられ、外歯歯車102dに第2回転軸161のピニオン歯車(外歯歯車)163が噛み合い、第1駆動装置103は、上スロッタ軸85を回転可能であり、第2駆動装置104は、第2回転軸161を回転可能である。これにより、簡単な構成で、第1駆動装置103により上スロッタ軸85を介して刃物台101を回転することができると共に、第2駆動装置104により第2回転軸161を介して移動台102を回転することができる。
【0086】
第6の態様に係るスロッタヘッドは、第2駆動装置104の駆動力を移動台102に伝達する駆動力伝達系統172に過負荷保護装置としてのトルクリミッタ141、トルクセンサ142が設けられる。これにより、刃物台101と移動台102の回転速度がばらついて第1スロッタナイフ87と第2スロッタナイフ88とが接触しても、トルクリミッタ141やトルクセンサ142が作動することで、第1スロッタナイフ87や第2スロッタナイフ88の損傷を抑制することができる。また、第1スロッタナイフ87や第2スロッタナイフ88の駆動力伝達系統171,172の損傷を抑制することができる。
【0087】
第7の態様に係るスロッタヘッドは、第1駆動装置103および第2駆動装置104を駆動制御する制御装置151を有し、制御装置151は、第1駆動装置103および第2駆動装置104による刃物台101および移動台102の回転開始時に、刃物台101と移動台102との相対回転速度を調整することで、第1スロッタナイフ87と第2スロッタナイフ88の周方向の相対位置を調整する。これにより、刃物台101および移動台102の回転開始時に、第1スロッタナイフ87と第2スロッタナイフ88の相対位置を調整することができ、従来は、製函機の運転開始前に行っていた、第1スロッタナイフ87と第2スロッタナイフ88の間隔調整が不要となる。そのため、セット時間が短縮され、作業効率を向上することができる。
【0088】
第8の態様に係るスロッタヘッドは、第1駆動装置103および第2駆動装置104を駆動制御する制御装置151を有し、制御装置151は、第1駆動装置103および第2駆動装置104により刃物台101および移動台102を一定の同じ回転速度に制御するとき、刃物台101と移動台102との相対回転速度を調整することで、第1スロッタナイフ87と第2スロッタナイフ88の周方向の相対位置を調整する。これにより、刃物台101および移動台102が一定の同じ回転速度で回転しているときに、第1スロッタナイフ87と第2スロッタナイフ88の相対位置を調整することで、製函機10の稼働中に第1スロッタナイフ87と第2スロッタナイフ88の相対位置を修正することができ、加工精度を向上することができる。
【0089】
第9の態様に係るスロッタヘッドは、第1駆動装置103および第2駆動装置104を駆動制御する制御装置151を有し、制御装置151は、第1駆動装置103および第2駆動装置104による刃物台101および移動台102の回転停止時に、刃物台101と移動台102との相対回転速度を調整することで、第1スロッタナイフ87と第2スロッタナイフ88の周方向の相対位置を調整する。これにより、刃物台101および移動台102の回転停止時に、第1スロッタナイフ87と第2スロッタナイフ88の相対位置を調整することで、刃物台101および移動台102の回転停止後に、第1スロッタナイフ87と第2スロッタナイフ88を所望の位置に停止することができ、第1スロッタナイフ87や第2スロッタナイフ88のメンテナンス作業や交換作業などを容易に短時間で行うことができ、作業効率を向上することができる。
【0090】
第10の態様に係るスロッタヘッドは、第2駆動装置104を駆動制御する制御装置151を有し、第2スロッタナイフ88は、円弧形状をなす円弧刃88aと、円弧刃88aの周方向の端部に設けられる突出刃88bを有し、制御装置151は、円弧刃88aが段ボールシートSに接触するときの回転速度に対して、少なくとも突出刃88bが段ボールシートSから離れるときの回転速度が低速になるように、第2駆動装置104による移動台102の回転速度を調整する。これにより、突出刃88bが段ボールシートSから離れるときの回転速度が低速となり、段ボールシートSの溝加工時に、突出刃88bによる段ボールシートSの溝部の損傷の発生を抑制することができ、段ボールシートSの品質を向上することができる。
【0091】
第11の態様に係るスロッタヘッドは、制御装置151は、生産管理装置152から入力する第1スロッタナイフ87と第2スロッタナイフ88の周方向の相対位置情報に基づいて第1駆動装置103および第2駆動装置104を駆動制御する。これにより、第1スロッタナイフ87と第2スロッタナイフ88の周方向の相対位置調整を容易に、且つ、高精度に実施することができる。
【0092】
第12の態様に係るスロッタヘッドは、制御装置151は、作業者操作する操作装置153から入力する第1スロッタナイフ87と第2スロッタナイフ88の周方向の相対位置情報に基づいて第1駆動装置103および第2駆動装置104を駆動制御する。これにより、第1スロッタナイフ87と第2スロッタナイフ88の周方向の相対位置調整を容易に、且つ、高精度に実施することができる。
【0093】
第13の態様に係るスロッタ装置は、フレームに回転自在に支持される上スロッタ軸85および下スロッタ軸86と、上スロッタ軸85および下スロッタ軸86にそれぞれ固定されて段ボールシートSの溝切り加工を行う上スロッタヘッド83および下スロッタヘッド84とを備える。これにより、上スロッタヘッド83は、第1スロッタナイフ87の駆動系と第2スロッタナイフ88の駆動系が独立しているため、第1スロッタナイフ87と第2スロッタナイフ88相対位置制御を行うための歯車機構が不要となり、スロッタ装置の簡素化を図ることができる。
【0094】
第14の態様に係る製函機は、給紙部11と印刷部21と排紙部31とダイカット部41とフォルディング部51とカウンタエゼクタ部61とを備え、排紙部31にスロッタ装置32を設けている。これにより、排紙部31にて、上スロッタヘッド83は、第1スロッタナイフ87の駆動系と第2スロッタナイフ88の駆動系が独立しているため、第1スロッタナイフ87と第2スロッタナイフ88相対位置制御を行うための歯車機構が不要となり、スロッタ装置の簡素化を図ることができる。
【0095】
なお、上述した実施形態では、製函機10は、給紙部11、印刷部21、排紙部31、ダイカット部41、フォルディング部51、カウンタエゼクタ部61を備えるものとしたが、この構成に限定されるものではない。例えば、印刷部21、ダイカット部41、フォルディング部51、カウンタエゼクタ部61の有無は限定されない。
【符号の説明】
【0096】
10 製函機
11 給紙部
21 印刷部
31 排紙部
32 スロッタ装置
33 第1罫線ロール
34 第2罫線ロール
35 スリッタヘッド
36 スロッタヘッド
41 ダイカット部
51 フォルディング部
61 カウンタエゼクタ部
71,73 罫線ロール本体
72,74 受ロール
75,77 下ロール軸
76,78 上ロール軸
81 スリッタ上刃
82 スリッタ下刃
83,83A 上スロッタヘッド
84 下スロッタヘッド
85 上スロッタ軸(第1回転軸)
86 下スロッタ軸
87 第1スロッタナイフ(第1切刃)
87a 円弧刃
87b 突出刃
88 第2スロッタナイフ(第2切刃)
88a 円弧刃
88b 突出刃
91,93 ナイフ本体
92,94 ナイフ分割体
101,101A 刃物台
102,102A 移動台
103 第1駆動装置
104 第2駆動装置
117 案内部材
131 スプライン軸(第2回転軸)
132 貫通孔
133,134 支持部材
138 回転筒
139 ピニオン歯車
140 駆動歯車
141 トルクリミッタ(過負荷保護装置)
142 トルクセンサ(過負荷保護装置)
143 ねじ軸
144 第3駆動装置
151 制御装置
152 生産管理装置
153 操作装置
161 第2回転軸
163 ピニオン歯車
171,172 駆動力伝達系統
S 段ボールシート(シート)
B 段ボール箱
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13