(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】電子機器およびその制御方法、プログラム、記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G03B 17/18 20210101AFI20240405BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20240405BHJP
G03B 11/00 20210101ALI20240405BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20240405BHJP
H04N 23/63 20230101ALI20240405BHJP
【FI】
G03B17/18
G09G5/00 530M
G09G5/00 550D
G03B11/00
H04N23/55
H04N23/63
(21)【出願番号】P 2020022670
(22)【出願日】2020-02-13
【審査請求日】2023-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 知宏
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 歩
【審査官】登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-029317(JP,A)
【文献】特開2012-019341(JP,A)
【文献】国際公開第2016/035642(WO,A1)
【文献】特開2014-179855(JP,A)
【文献】特開2016-063249(JP,A)
【文献】特開2012-163631(JP,A)
【文献】特開2018-107706(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/18
G09G 5/00
G03B 11/00
H04N 23/55
H04N 23/63
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズであって、所定の処理を行うことにより、前記レンズを通過した被写体像が前記所定の処理を行っていないときよりもボケに特徴を持つレンズを介して撮像された画像を取得可能な取得手段と、
前記画像を表示手段に表示するように制御可能な制御手段であって、前記画像とともに前記ボケの特徴に関するガイダンスを表示するように制御する制御手段と、
を備え
、
前記制御手段は、動画の記録中は、前記ガイダンスを表示しないように制御することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記所定の処理とは、前記レンズの球面収差を調整する処理であることを特徴とする、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記所定の処理とは、前記レンズを通過する光束の中心から周辺に向けて、徐々に透過率を下げるアポダイゼイションフィルターの処理であることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記ボケの特徴は、前記レンズの絞り値によらず、前記所定の処理を行うか否かに応じてボケが変わる特徴であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記制御手段は、前記所定の処理の調整が行われた場合に、前記表示手段に前記ガイダンスを表示するように制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記制御手段は、前記所定の処理の調整の量が所定の閾値よりも大きい場合に、前記表示手段に前記ガイダンスを表示するように制御することを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記制御手段は、前記所定の処理を行うことが可能なレンズが装着された状態で、前記電子機器の電源が投入された場合に、前記表示手段に前記ガイダンスを表示するように制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記制御手段は、前記レンズが前記所定の処理を行うことが可能なレンズに交換された場合に、前記表示手段に前記ガイダンスを表示するように制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項9】
前記制御手段は、前記レンズを用いて前記所定の処理を行って撮像された画像を再生する場合に、該画像とともに前記ガイダンスを表示するように制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項10】
前記制御手段は、前記電子機器の電源が投入された場合に、前記ガイダンスを1回だけ表示するように制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項11】
前記制御手段は、前記電子機器が撮像を行う場合の設定が前記ボケの特徴が表われにくい設定である場合に、前記表示手段に前記ガイダンスを表示するように制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項12】
前記制御手段は、前記電子機器が撮像を行う場合の状況が前記ボケの特徴が表われにくい状況である場合に、前記表示手段に前記ガイダンスを表示するように制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項13】
前記制御手段は、前記ガイダンスの表示を禁止する設定がなされている場合には、前記ガイダンスを表示しないように制御することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項14】
前記ガイダンスは、前記ボケの特徴を説明するガイダンスであることを特徴とする請求項
1に記載の電子機器。
【請求項15】
前記ガイダンスは、前記ボケの特徴の変化の方向を説明するガイダンスであることを特徴とする請求項
1に記載の電子機器。
【請求項16】
前記ガイダンスは、前記ボケの特徴に対する着目点を説明するガイダンスであることを特徴とする請求項
1に記載の電子機器。
【請求項17】
前記ガイダンスは、前記ボケの特徴が現れやすい前記電子機器の設定条件を説明するガイダンスであることを特徴とする請求項
1に記載の電子機器。
【請求項18】
前記ガイダンスは、前記ボケの特徴が現れやすい被写体の撮影条件を説明するガイダンスであることを特徴とする請求項
1に記載の電子機器。
【請求項19】
レンズであって、所定の処理を行うことにより、前記レンズを通過した被写体像が前記所定の処理を行っていないときよりもボケに特徴を持つレンズを介して撮像された画像を取得する取得工程と、
前記画像を表示手段に表示するように制御可能な制御工程であって、前記画像とともに前記ボケの特徴に関するガイダンスを表示するように制御する制御工程と、
を有
し、
前記制御工程では、動画の記録中は、前記ガイダンスを表示しないように制御することを特徴とする電子機器の制御方法。
【請求項20】
コンピュータを、請求項1乃至
18のいずれか1項に記載の電子機器の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項21】
コンピュータを、請求項1乃至
18のいずれか1項に記載の電子機器の各手段として機能させるためのプログラムを格納したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボケ味の特徴を調節できるレンズに関する表示制御が可能な電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
レンズにより、絞りがボケ味に与える一般的な特徴とは異なる効果をボケ味に与えることができ、さらにこの効果の大きさをコントロールすることができるものがある。
【0003】
特許文献1には、撮像素子の位置に対してベストピント位置や画面周辺性能を変化させずに球面収差の調整を行うことができる、ソフトフォーカス機能を有する撮像光学系が開示されている。
【0004】
特許文献2には、光学素子内の液体に電圧を印加して透過率を変更することによって、アポダイゼイションフィルターの効果を変更可能な光学系および撮像装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-180132号公報
【文献】特開2001-228507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、特許文献2ではボケの効果を変えることはできるが、漫然と見ただけでは効果が分かりづらい、もしくは被写体の内容や絞りの状態によっては、はっきりとした効果が現れない可能性がある。
【0007】
そのため、ユーザーは、効果の適用によって画像にどのような影響が出たのか、どのような操作をすればより大きな効果を得られるのかが、分かりづらいという課題があった。
【0008】
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、レンズあるいは装置の操作による撮像画像への影響をユーザに通知可能な電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係わる電子機器は、レンズであって、所定の処理を行うことにより、前記レンズを通過した被写体像が前記所定の処理を行っていないときよりもボケに特徴を持つレンズを介して撮像された画像を取得可能な取得手段と、前記画像を表示手段に表示するように制御可能な制御手段であって、前記画像とともに前記ボケの特徴に関するガイダンスを表示するように制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、動画の記録中は、前記ガイダンスを表示しないように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、レンズあるいは装置の操作による撮像画像への影響をユーザに通知可能な電子機器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係わるデジタルビデオカメラのブロック図。
【
図2】第1乃至第4の実施形態においてガイダンス表示を行う条件と、ガイダンス例を示す図。
【
図3】第1の実施形態のデジタルビデオカメラの処理を示すフローチャート。
【
図6】
図5のAPDの透過率特性の例および、F値とT値との関係例を示す図。
【
図8】第2の実施形態のデジタルビデオカメラの処理を示すフローチャート。
【
図9】第3の実施形態のデジタルビデオカメラの処理を示すフローチャート。
【
図10】第4の実施形態のデジタルビデオカメラの処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0013】
(第1の実施形態)
<デジタルビデオカメラの構成>
図1は、本発明の電子機器の第1の実施形態であるデジタルビデオカメラ100の構成例を示すブロック図である。
【0014】
図1において、シャッター101は絞り機能を備えるシャッターである。撮像部22は、撮像画像を取得可能であり、光学像を電気信号に変換するCCDやCMOS素子等で構成される撮像素子を備える。A/D変換器23は、撮像部22から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0015】
画像処理部24は、A/D変換器23からのデータ、又は、メモリ制御部15からのデータに対し所定の画素補間、縮小といったリサイズ処理、色変換処理等を行う。また、画像処理部24では、撮像した画像データを用いて所定の演算処理が行われ、得られた演算結果に基づいてシステム制御部50が露光制御、焦点検出制御を行う。これにより、TTL(スルー・ザ・レンズ)方式のAF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理が行われる。画像処理部24では更に、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてTTL方式のAWB(オートホワイトバランス)処理も行っている。
【0016】
A/D変換器23からの出力データは、画像処理部24及びメモリ制御部15を介して、或いは、メモリ制御部15を介してメモリ32に直接書き込まれる。メモリ32は、撮像部22によって得られA/D変換器23によりデジタルデータに変換された画像データや、表示部28に表示するための画像データを格納する。メモリ32は、所定枚数の静止画像や所定時間の動画像および音声を格納するのに十分な記憶容量を備えている。
【0017】
OSD描画部25は、システム制御部50の指示によって、メモリ32内に確保したグラフィックVRAMへ、オンスクリーン表示用の画像を描画する。不揮発性メモリ56に格納されたフォントデータやアイコンデータを用いて、デジタルビデオカメラ100の各種設定を行うためのメニュー画面や、デジタルビデオカメラ100の各部の動作状況を表す情報表示画面や、ユーザーが操作部70等を適切に操作するためのガイダンス表示画面を構成し、グラフィックVRAMへ描画する。
【0018】
メモリ32は、画像表示用のメモリ(ビデオメモリ)を兼ねている。表示制御部13は、メモリ32に格納されている画像表示用のデータおよびグラフィックVRAMのデータを重畳合成した上でデジタル映像信号に変換し、表示部28に供給する。表示部28は、LCD等の表示器上に、表示制御部13からのデジタル映像信号に応じた表示を行う。この一連の処理を逐次行うことによって、表示部28は情報表示を備えた電子ビューファインダとして機能し、スルー画像表示を行うことができる。また、本実施形態において、表示部28はたとえば液晶ディスプレイである。または、有機EL(Organic Electroluminescence)ディスプレイなどの他の方式のディスプレイが採用されてもよい。表示部28は、デジタルビデオカメラ100の筐体と一体化した構成であっても、デジタルビデオカメラ100とは別体であり、ケーブルや無線通信によってデジタルビデオカメラ100から送信されたデジタル映像信号を受信して表示する形態でも構わない。
【0019】
不揮発性メモリ56は、電気的に消去・記録可能なメモリである。不揮発性メモリ56には、システム制御部50の動作用の定数、プログラム等が記憶される。ここでいう、プログラムとは、本実施形態において後述する各種フローチャートを実行するためのプログラムのことである。
【0020】
システム制御部50は、デジタルビデオカメラ100全体を制御する。前述した不揮発性メモリ56に記録されたプログラムを実行することにより、後述する本実施形態の各処理を実現する。システムメモリ52には、RAMが用いられる。システムメモリ52には、システム制御部50の動作用の定数、変数、不揮発性メモリ56から読み出したプログラム等を展開する。また、システム制御部50は、メモリ32、OSD描画部25、表示制御部13、表示部28等を制御することにより表示制御も行う。システムタイマー53は、各種制御に用いる時間や、内蔵された時計の時間を計測する計時部である。
【0021】
モード切替スイッチ60、第1シャッタースイッチ61、第2シャッタースイッチ62、操作部70はシステム制御部50に各種の動作指示を入力するための操作手段である。操作部70の各操作部材は、表示部28に表示される種々の機能アイコンを選択操作することなどにより、場面ごとに適宜機能が割り当てられ、各種機能ボタンとして作用する。機能ボタンとしては、例えば終了ボタン、戻るボタン、画像送りボタン、ジャンプボタン、絞込みボタン、属性変更ボタン等がある。例えば、メニューボタンが押されると各種の設定可能なメニュー画面が表示部28に表示される。利用者は、表示部28に表示されたメニュー画面と、上下左右の4方向ボタン及びSETボタンとを用いて直感的に各種設定を行うことができる。
【0022】
モード切替スイッチ60は、システム制御部50の動作モードを静止画記録モード、動画記録モード、静止画再生モード、動画再生モード等のいずれかに切り替える。静止画記録モードに含まれるモードとして、オート撮影モード、オートシーン判別モード、マニュアルモード、撮影シーン別の撮影設定となる各種シーンモード、プログラムAEモード、絞り優先AEモード(以下AVモード)、シャッタースピード優先AEモード(以下TVモード)、カスタムモード、マニュアルモード(以下Mモード)等がある。モード切り替えスイッチ60で、静止画撮影モードに含まれるこれらのモードのいずれかに直接切り替えられる。あるいは、モード切り替えスイッチ60で静止画撮影モードに一旦切り換えた後に、静止画撮影モードに含まれるこれらのモードのいずれかに、他の操作部材を用いて切り替えるようにしてもよい。同様に、動画撮影モードにも複数のモードが含まれていてもよい。第1シャッタースイッチ61は、デジタルビデオカメラ100に設けられたシャッターボタン63の操作途中、いわゆる半押し(撮影準備指示)でONとなり第1シャッタースイッチ信号SW1を発生する。第1シャッタースイッチ信号SW1により、AF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、AWB(オートホワイトバランス)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理等の動作を開始する。
【0023】
第2シャッタースイッチ62は、シャッターボタン63の操作完了、いわゆる全押し(撮影指示)でONとなり、第2シャッタースイッチ信号SW2を発生する。システム制御部50は、第2シャッタースイッチ信号SW2により、撮像部22からの信号読み出しから記録媒体200に画像データを書き込むまでの一連の撮影処理の動作を開始する。
【0024】
電源制御部80は、電池検出回路、DC-DCコンバータ、通電するブロックを切り替えるスイッチ回路等により構成され、電池の装着の有無、電池の種類、電池残量の検出を行う。また、電源制御部80は、その検出結果及びシステム制御部50の指示に基づいてDC-DCコンバータを制御し、必要な電圧を必要な期間、記録媒体200を含む各部へ供給する。
【0025】
レンズ接続部91は、デジタルビデオカメラ100のレンズ取り付け部であり、規格で決められたレンズ通信用接点、レンズロック機構、レンズマウントを備えて構成される。レンズ90は、レンズ接続部91に装着されたレンズであり、球面収差を変更可能にする機構を備えることによって、光学像にソフトフォーカス効果を与えることができる。球面収差とは、同じ光軸上の一点から出た光が、レンズを通過したのちに光軸上の一点に集光しないときの収差である。球面収差は、フォーカスを合わせた被写体のコントラストを変化させる効果、すなわちソフトフォーカス効果があるが、同時にボケた被写体像の輪郭を滑らかにする特徴があり、絞りがボケに与える効果とは異なる効果である。例えば、球面収差を大きくすると、光束の一部がピント面よりも手前に集光した結果、後ボケの光束がより広がるようになる。そのため、同じ絞り径であっても、後ボケが大きく滑らかになったように見える。あるいは、球面収差を逆方向に大きくした場合には、前ボケの光束が広がり、前ボケが大きく滑らかになる。ソフトフォーカス効果をかけないようにして、シャープな光学像を撮像部22に結像させることもできる。
【0026】
レンズ90は、フォーカス、ズーム、絞り、球面収差をそれぞれ変更するための複数のリングを備えている。
図1においては、球面収差を変更するためのリングを、球面収差変更リング95として示している。リングの状態やリング操作の変化量は、レンズ90からレンズ接続部91へ伝達することができる。また、レンズ90そのものの種別情報もレンズ接続部91へ伝達することができる。
【0027】
レンズ通信部92は、システム制御部50から送られたレンズの制御情報をレンズ接続部91のレンズ接点に送信する。同時に、レンズ通信部92は、レンズ接続部91のレンズ接点から送られたレンズ情報をシステム制御部50に送信する。システム制御部50は、受信したレンズ情報をメタデータとして動画データや静止画データの中に格納し、記録媒体200へ保存することができる。
【0028】
電源部30は、アルカリ電池やリチウム電池等の一次電池、NiCd電池やNiMH電池やLiイオン電池等の二次電池、ACアダプター等からなる。記録媒体I/F18は、メモリカードやハードディスク等の記録媒体200とのインターフェースである。記録媒体200は、撮影された画像を記録するためのメモリカード等の記録媒体であり、半導体メモリや磁気ディスク等から構成される。
【0029】
次に、
図2は、球面収差変更リング95が操作された場合に、表示部28に表示されるガイダンス表示の例を示す図である。また、
図3は、
図2に示すガイダンス表示を表示する動作を示すフローチャートである。
図2、
図3を参照して、球面収差変更リング95が操作された場合のガイダンス表示について説明する。
【0030】
なお、
図3の処理は、不揮発性メモリ56に記録されたプログラムをシステムメモリ52に展開してシステム制御部50が実行する(制御可能)ことで実現される。また、この処理は、電源部30の電源がオン(電源投入)になっており、デジタルビデオカメラ100のシステム全体が安定起動した状態から開始される。
【0031】
ステップS301では、システム制御部50は、レンズ接続部91に装着されたレンズ90が、球面収差変更機構を備えたレンズ(球面収差可変レンズ)であるか否かを判定する。システム制御部50は、球面収差可変レンズであると判断した場合は、処理をステップS302に進め、そうでないと判断した場合は、本フローの処理を終了する。
【0032】
ステップS302では、システム制御部50は、レンズ90に備えられた球面収差変更リング95によって、球面収差が所定の閾値以上変更されたか否かを判定する。このステップで閾値を考慮することによって、微調整操作のたびにガイダンスが表示されてユーザーが煩わしく感じることを避けることができる。システム制御部50は、閾値以上変更されたと判断した場合は、処理をステップS303に進め、そうでないと判断した場合は、このステップを繰り返す。ここで閾値以上とは、球面収差変更リング95が半周以上回転されたことや、1周以上回転されたことである。
【0033】
ステップS303では、システム制御部50は、デジタルビデオカメラ100が動画記録中であるか否かを判定する。このステップの判断を行うことによって、動画記録中にガイダンス表示が表示部28を覆い隠し、撮影操作に支障が出ることを防ぐことができる。システム制御部50は、動画記録中ではないと判断した場合は、処理をステップS304に進め、動画記録中と判断した場合は、処理をステップS302に戻す。
【0034】
ステップS304では、システム制御部50は、ステップS302での球面収差変更リング95の操作によって、収差量が所定量以上増大したか否かを判定する。システム制御部50は、収差量が所定量以上増大したと判断した場合は、処理をステップS305に進め、そうでないと判断した場合は、処理をステップS308に進める。ここで所定量以上とは、例えば、システム制御部50が検出可能な球面収差変更リング95の最小の変化量以上としてもよい。あるいは、誤操作と区別できる最小の収差変化量を定め、その変化量以上とすれば、ユーザーが不用意に球面収差変更リング95を触ってしまったときに、不要なガイダンスが表示されることを回避することができる。
【0035】
ステップS305では、システム制御部50は、収差が正の方向へ増大したか、負の方向へ増大したかを判定する。システム制御部50は、正の方向に増大したと判断した場合は、処理をステップS306に進め、負の方向に増大したと判断した場合は、処理をステップS307へ進める。
【0036】
ステップS306では、システム制御部50は、表示部28にガイダンス表示を表示させる。具体的には、
図2のガイダンス例(1.1),(1.3),(1.5),(1.6)のいずれかの内容を表示させる。表示するガイダンスは、これらのガイダンス例のうちの複数の内容を組み合わせた内容であってもよい。
【0037】
ガイダンス例(1.1)を表示すれば、球面収差の変更によってソフトフォーカス効果が調整され、画像に変化が生じたことをユーザーに伝えることができる。このときに表示部28に表示される画面構成を
図4に示す。
図4(a)はライブビュー画像上にガイダンスを表示した場合を示し、
図4(b)はライブビュー画像を表示部28の表示範囲全体よりも小さく表示し、その周辺領域にガイダンスを表示した場合を示している。どちらの場合でも同じ効果が得られる。401,402はいずれもガイダンス表示を示しており、ガイダンス例(1.1)が表示されている。以後の実施形態やステップで登場するガイダンス表示も、同様の画面構成にそれぞれのガイダンス例を表示した内容となる。
【0038】
ガイダンス例(1.3)を表示すれば、球面収差の変更によってソフトフォーカスの効果が強くなったことをユーザーに伝えることができる。ガイダンス例(1.5)を表示すれば、球面収差の変更によってソフトフォーカスの効果が強くなり、特に後ピン方向に存在する被写体に望ましいソフトフォーカス効果がかかったことを、ユーザーに伝えることができる。ガイダンス例(1.6)を表示すれば、球面収差の変更によって生じたソフトフォーカス効果の変化が、画像中のどの部分に着目すれば分かりやすいかを、ユーザーに伝えることができる。
【0039】
ステップS307では、システム制御部50は、表示部28にガイダンス表示を表示させる。具体的には、
図2のガイダンス例(1.1),(1.3),(1.4),(1.6)のいずれかの内容を表示させる。ステップS306と重複するガイダンス例の効果は、ステップS306と同様である。表示するガイダンスは、これらのガイダンス例のうちの複数の内容を組み合わせた内容であってもよい。
【0040】
ガイダンス例(1.4)を表示すれば、球面収差の変更によってソフトフォーカス効果が強くなり、特に前ピン方向に存在する被写体に望ましいソフトフォーカス効果がかかったことを、ユーザーに伝えることができる。
【0041】
ステップS308では、システム制御部50は、表示部28にガイダンス表示を表示させる。具体的には、
図2のガイダンス例(1.1),(1.2),(1.6)のいずれかの内容を表示させる。ステップS306やステップS307と重複するガイダンス例の効果は、それぞれのステップと同様である。表示するガイダンスは、これらのガイダンス例のうちの複数の内容を組み合わせた内容であってもよい。
【0042】
ガイダンス例(1.2)を表示すれば、球面収差の変更によってソフトフォーカス効果が弱くなったことをユーザーに伝えることができる。
【0043】
ステップS309では、システム制御部50は、ステップS306~S309におけるガイダンス表示中に、操作部70が操作されたか否かを判定する。システム制御部50は、操作されたと判断した場合には、処理をステップS310に進め、そうでないと判断した場合は、このステップを繰り返す。
【0044】
ステップS310では、システム制御部50は、ステップS306~S309におけるガイダンス表示を終了させる。もしくは、ガイダンスの表示後、3秒や5秒といった所定時間が経過したことに応じて、ガイダンスの表示を終了してもよい。
【0045】
本実施形態によれば、球面収差変更リング95の操作によってソフトフォーカス効果が変更された場合に、その変化の内容や、変化を確認するための着目点を、ガイダンス表示によってユーザーに知らせることができる。
【0046】
(変形例)
次に、第1の実施形態の変形例について説明する。上記の実施形態では、ソフトフォーカス効果を球面収差変更リング95の操作によって得る場合について説明したが、本変形例では、アポダイゼーションフィルタ(Apodization filter)を用いる場合について説明する。アポダイゼーションフィルタを用いた場合は、球面収差変更リング95の代わりに絞りリングを操作することによって、ボケが変化する。
【0047】
図5は、デジタルビデオカメラ100に接続可能なレンズ90の機能構成例を示すブロック図である。レンズ90はデジタルビデオカメラ100の撮影光学系である。
【0048】
レンズ制御部501は例えばCPUであり、ROM502に記憶されたプログラムをRAM506に展開して実行することにより、レンズ90の各部の動作を制御する。
【0049】
カメラ接続部503はデジタルビデオカメラ100のレンズ接続部91と機械的に係合することにより、レンズ90をデジタルビデオカメラ100に接続する。レンズ90がデジタルビデオカメラ100に接続されると、カメラ接続部503とレンズ接続部91のそれぞれに設けられている接点が互いに接触し、レンズ90とデジタルビデオカメラ100とが電気的にも接続される。
【0050】
これにより、レンズ制御部501とシステム制御部50とが互いに通信可能になり、接続の確立動作においてレンズ制御部501からシステム制御部50にレンズ90に関する情報が送信される。レンズ制御部501は、システム制御部50からの命令に従い、フォーカス調整部504や絞り調整部505の動作を制御したり、フォーカスレンズ(レンズ前群510)の位置情報や絞り512の絞り値の情報などをシステム制御部50に送信したりする。
【0051】
レンズ前群510、レンズ後群511は、レンズ90の光軸514上に配置され、被写体の光学像を撮像部22の撮像面に形成する。フォーカス調整部504は、レンズ前群510を光軸514方向に駆動し、レンズ90の合焦距離を変化させる。これにより、撮像面に形成される像の合焦度合いが変化する。フォーカス調整部504は例えばモータである。レンズ前群510は絞り512よりも被写体側に配置され、レンズ後群511は絞り512よりもデジタルビデオカメラ100側に配置されている。レンズ前群510の位置情報は、レンズ制御部501により検出することができる。
【0052】
絞り512は光軸514上に配置され、絞り調整部505によって開口径が調整される。絞り調整部505は例えばアクチュエータである。なお、絞り512は手動による操作が可能であってもよく、この場合絞り調整部505は例えばユーザが操作する絞りリングと、絞りリングと連動する絞りの開口調節機構とを有する。また、ここでは絞り調整部505はF値を調節するものとするが、T値を調節するものであってもよい。
【0053】
APD513はアポダイゼーションフィルタ(Apodization filter)やスムーストランスファーフォーカス(Smooth Transfer Focus)とも呼ばれ、光軸(光束の中心)からの距離に応じて徐々に透過率が変化する光学部材である。APD513は、ここでは絞り512とレンズ後群511との間の光軸上514に配置されている。APD513はレンズ90の瞳を通過する光線の、瞳の径方向の透過率分布を変調する光学部材とも言える。APD513は光学ガラスの表面に瞳の径方向の透過率分布を変調する光学特性を有する膜を蒸着などによって設けた光学素子でよい。なお、APD513を設ける代わりに、レンズ前群510、レンズ後群511を構成する光学部材の一部に同様の光学特性を有する膜を蒸着などにより設けてもよい。この場合、レンズがAPDを兼ねる構成に相当する。APD513は、ボケ像をより滑らかにすることで、ソフトなボケ像を実現する効果を有する。詳細については後述する。
【0054】
なお、レンズ前群510の駆動量および駆動方向はシステム制御部50からレンズ制御部501に指示する代わりに、レンズ制御部501が決定してもよい。この場合、システム制御部50からレンズ制御部501にデフォーカス量を求めるための情報を供給すればよい。なお、レンズ前群510の一部や、レンズ後群511の一部がフォーカスレンズとして機能してもよい。
【0055】
<アポダイゼーションフィルタの構成および特性>
次に、APD513の光学特性について説明する。
図6(a)は、APD513の、規格化された瞳半径と透過率の関係例を示す図である。瞳半径は光軸とAPD513との交点で0、最大瞳半径で1となる。また、透過率1は100%を示す。つまり、
図6(a)は、APD513が光軸から径方向の距離が大きくなるほど光透過率が低下する光学特性を有することを示している。
【0056】
図6(a)に示す特性は、以下の式(1)で示される。式(1)において、tは透過率(0≦t≦1)、rは規格化された瞳半径(0≦r≦1)である。
【0057】
t=exp(-r2/r02) (1)
一方、F値とT値とは式(2)の関係を有する。
【0058】
√(I0)*√I=F/T (2)
ここでI0はAPD513を除くレンズ群の透過率(0≦I0≦1)を示している。透過率I0は実測により求めてもよいし、シミュレーションによって求めてもよい。また、Iは、APD513がない場合とある場合との光量の比である。光量は例えば式(1)を積分して求めることができる。具体的には、Iは以下の式(3)で表わすことができる。
【0059】
【0060】
ここでは光量比Iを解析的に求める例を示したが、例えばF値ごとに光量比Iを実測し、ROM502にF値と光量比Iとを対応付けて例えばテーブルの形式で保持してもよい。
【0061】
図6(b)は、I0が0.9である場合のF値とT値との関係の一例を示している。横軸にF値、縦軸にT値を示している。Fminはレンズ90の最小F値(解放F値)を示し、本例では2.2である。一点鎖線は、APD513が光軸314上に配置されているときのF値とT値との関係を示し、特にF値が小さい範囲において、F値の変化に対してT値が非線形に変化している。これは、F値が小さい領域ではAPD513による径方向の透過率の変調の影響がT値に現れるからである。また、Tminは、最小F値2.2に対応する最小T値であり、式(2)から得られる。
【0062】
また、
図6(b)の実線はAPD513がない場合のF値とT値との関係を示している。APD513がない場合、F値の変化に対してT値は以下の式(4)で表されるように線形に変化する。
【0063】
√(I0)=F/T' (4)
図6(b)のΔは、同一F値に対する、式(4)で得られるT値とAPD513がある場合のT値との差、もしくは乖離量を表している。Δは、式(4)と式(2)を用い、以下の式(5)で求めることができる。
【0064】
Δ=F/T'-F/T=√(I0)-F/T (5)
図6におけるTnoAPDは、APD513がない場合の最小F値FminにおけるT値を示している。また、ΔMAXはAPD513がある場合とない場合の同一F値に対するT値の最大乖離量を表し、以下の式(6)で表される。
【0065】
ΔMAX=√(I0)-Fmin/FnoAPD (6)
APD513が、式(1)で表されるように瞳半径rの増加に対して透過率tが単調減少するような透過率の変調特性を有する場合、式(2)、式(3)、式(5)から、瞳半径rの増加に対してT値も単調減少し、Δは単調増加する。先に述べたように、ピントの合っていない部分の像(ボケ像)のボケ方(ボケ味)は、T値とF値との差の影響を受ける。Δの大きさはT値とF値との差の大きさに影響を与えるため、Δの大きさもボケ味の指標として用いることができる。
【0066】
<アポダイゼーションフィルタの効果>
図7はAPD513によるボケ像の変化、すなわちボケ味の変化を模式的に示した図である。
図7(a)~
図7(c)は同一シーンを撮影した画像であり、いずれも円形のボケ像を含んでいる。ここで、
図7(a)が、APD513がない状態で撮影された画像であるとする。また、
図7(b)はAPD513があり、かつ絞り値を開放(Fmin)として撮影された画像、
図7(c)はAPD513があり、かつ絞り値を解放より大きくして(開口径を小さくして)撮影された画像の模式図である。
【0067】
APD513の効果が最も大きくなる
図7(b)の画像では、円形のボケ像の内部および輪郭がより滑らかとなり、柔らかいボケ像が得られる。F値を大きくすると、撮影光学系の瞳が小さくなり、APD513による光透過率の低下が抑制されるため、ボケ像の輪郭などが明確になってくる。
【0068】
本変形例においても、絞りリングの操作によってソフトフォーカス効果が変更された場合に、すでに説明した
図2と同様のガイダンスを表示する。これにより、ソフトフォーカス効果が変更された場合に、その変化の内容や、変化を確認するための着目点を、ガイダンス表示によってユーザーに知らせることができる。
【0069】
(第2の実施形態)
この第2の実施形態では、デジタルビデオカメラの構成は、
図1に示した第1の実施形態の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0070】
図8は、
図2において球面収差変更リング95が操作され、かつ特定の条件下においてガイダンス表示を行う場合の動作を示すフローチャートである。
【0071】
なお、
図8の処理は、不揮発性メモリ56に記録されたプログラムをシステムメモリ52に展開してシステム制御部50が実行することで実現される。また、この処理は、電源部30の電源がオンになっており、デジタルビデオカメラ100のシステム全体が安定起動した状態から開始される。
【0072】
ステップS801、S802の判断は、
図3のステップS301、S302の判断と同様である。
【0073】
ステップS803では、システム制御部50は、レンズ90の備える絞りの状態を取得する。
【0074】
ステップS804では、システム制御部50は、ステップS803で取得した絞り値が、所定の閾値よりも絞られた状態か否かを判定する。システム制御部50は、所定の閾値よりも絞られていると判断した場合は、処理をステップS810に進め、そうでないと判断した場合は、処理をステップS805へ進める。ここで、所定の閾値とは、例えば球面収差変更リング95の操作による映像の変化が十分に知覚できるか否かによって定めた閾値である。
【0075】
ステップS805では、システム制御部50は、撮像部22で撮像した被写体の状態を、画像処理部24を用いて判断し、S806~S809で後述する特徴を取得する。システム制御部50は、このステップで取得した特徴を、後述のステップS806、ステップS807、ステップS808、ステップS809で利用する。
【0076】
ステップS806では、システム制御部50は、被写体の輪郭と背景の色や輝度が近く、コントラストが低い状態であるか否かを判定する。システム制御部50は、コントラストが低い状態であると判断した場合は、処理をステップS812に進め、そうでないと判断した場合は、処理をステップS807に進める。
【0077】
ステップS807では、システム制御部50は、撮影の構図に対して被写体の相対的な移動速度が速いか否かを判定する。システム制御部50は、相対的な移動速度が速いと判断した場合は、処理をステップS814に進め、そうでないと判断した場合は、処理をステップS808へ進める。ここで、相対的な移動速度は、例えば撮像画角の横方向の半分の長さ以上を2秒で移動する、撮像画角の縦方向の長さ以上を1秒で移動するなどである。
【0078】
ステップS808では、システム制御部50は、被写体が露出アンダーであるか否かを判定する。システム制御部50は、露出アンダーであると判断した場合は、処理をステップS816に進め、そうでないと判断した場合は、処理をステップS809へ進める。
【0079】
ステップS809では、システム制御部50は、被写体の撮影環境が低照度条件下であるか否かを判定する。システム制御部50は、低照度条件下であると判断した場合は、処理をステップS819に進め、そうでないと判断した場合は、処理をステップS802へ戻す。低照度条件であるとの判定は、球面収差変更リング95によって球面収差を最大にしたときに、十分なAF性能が発揮できない明るさであるときにYesとする。
【0080】
ステップS810では、システム制御部50は、
図2のガイダンス例(2.1)を表示した履歴がシステムメモリ52に記録済みか否かを判定する。システム制御部50は、記録済みと判断した場合は、処理をステップS802に戻し、そうでないと判断した場合は、処理をステップS811へ進める。
【0081】
ステップS811では、システム制御部50は、表示部28にガイダンス表示を行う。具体的には、
図2のガイダンス例(2.1)の内容を表示する。この表示によって、絞りが絞られていたためにソフトフォーカス効果が小さくなっていることをユーザーに気づかせ、効果を大きくするために絞りを開く操作を促すことができる。さらにこのステップで、システム制御部50は、ガイダンス例(2.1)の表示履歴をシステムメモリ52に記録する。
【0082】
ステップS812では、システム制御部50は、
図2のガイダンス例(2.2)を表示した履歴がシステムメモリ52に記録済みか否かを判定する。システム制御部50は、記録済みと判断した場合は、処理をステップS802に戻し、そうでないと判断した場合は、処理をステップS813へ進める。
【0083】
ステップS813では、システム制御部50は、表示部28にガイダンス表示を行う。具体的には、
図2のガイダンス例(2.2)の内容を表示する。この表示によって、被写体のコントラストが低いためにソフトフォーカス効果が小さくなっていることをユーザーに気づかせ、効果を大きくするために被写体や背景を変える操作を促すことができる。さらにこのステップで、システム制御部50は、ガイダンス例(2.2)の表示履歴をシステムメモリ52に記録する。
【0084】
ステップS814では、システム制御部50は、
図2のガイダンス例(2.3)を表示した履歴がシステムメモリ52に記録済みか否かを判定する。システム制御部50は、記録済みと判断した場合は、処理をステップS802に戻し、そうでないと判断した場合は、処理をステップS815へ進める。
【0085】
ステップS815では、システム制御部50は、表示部28にガイダンス表示を行う。具体的には、
図2のガイダンス例(2.3)の内容を表示する。この表示によって、被写体の動きが速いためにソフトフォーカス効果が目立たなくなっていることをユーザーに気づかせ、効果を大きくするために静止した被写体を撮影する操作を促すことができる。さらにこのステップで、システム制御部50は、ガイダンス例(2.3)の表示履歴をシステムメモリ52に記録する。
【0086】
ステップS816では、システム制御部50は、
図2のガイダンス例(2.4)を表示した履歴がシステムメモリ52に記録済みか否かを判定する。システム制御部50は、記録済みと判断した場合は、処理をステップS802に戻し、そうでないと判断した場合は、処理をステップS817へ進める。
【0087】
ステップS817では、システム制御部50は、表示部28にガイダンス表示を行う。具体的には、
図2のガイダンス例(2.4)の内容を表示する。この表示によって、被写体の露出がアンダーで暗く映っているためにソフトフォーカス効果が目立たなくなっていることをユーザーに気づかせ、効果を大きくするために露出を調整する操作を促すことができる。さらにこのステップで、システム制御部50は、ガイダンス例(2.4)の表示履歴をシステムメモリ52に記録する。
【0088】
ステップS818では、システム制御部50は、
図2のガイダンス例(2.5)を表示した履歴がシステムメモリ52に記録済みか否かを判定する。システム制御部50は、記録済みと判断した場合は、処理をステップS802に戻し、そうでないと判断した場合は、処理をステップS819へ進める。
【0089】
上記の処理により、ステップS810、ステップS812、ステップS814、ステップS816、ステップS818のそれぞれのステップによって、各々のガイダンスが1回だけ表示されることを保証することができる。そのため、ユーザーが了解済みの設定条件や撮影条件において、同じガイダンスが繰り返し表示されて煩わしく感じることを避けることができる。
【0090】
ステップS819では、システム制御部50は、表示部28にガイダンス表示を行う。具体的には、
図2のガイダンス例(2.5)の内容を表示する。この表示によって、撮影環境が低照度であり、AFが効きにくい状態であることをユーザーに気づかせ、AFを機能させるためにソフトフォーカス効果をオフする操作を促すことができる。球面収差を発生させた状態では、被写体の輪郭に滲みが生じるため、特に低照度環境下ではAFが効きにくくなることがある。この状況にユーザーを気づかせ、しかるべき対処を促すために、このガイダンスは有効である。さらにこのステップで、システム制御部50は、ガイダンス例(2.5)の表示履歴をシステムメモリ52に記録する。
【0091】
ステップS820では、システム制御部50は、ステップS811~S819によるガイダンス表示中に、操作部70が操作されたか否かを判定する。システム制御部50は、操作されたと判定した場合は、処理をステップS821へ進め、そうでないと判断した場合は、このステップを繰り返す。
【0092】
ステップS821では、システム制御部50は、ステップS811~S819によるガイダンス表示を終了する。その後、システム制御部50は、処理をステップS802へ戻す。なお、ガイダンスは表示開始から3秒や5秒といった所定時間経過後に表示を終了してもよい。
【0093】
本実施形態によれば、球面収差変更リング95の操作を行ってもソフトフォーカス効果の変化が小さかったり、ソフトフォーカス効果以外の機能や性能に影響が出た場合に、ガイダンス表示によってその状態をユーザーに気づかせることができる。さらに、対処方法も知らせることができるので、ユーザは何をすれば効果が変わるのかを認識することができる。
【0094】
(第3の実施形態)
この第3の実施形態では、デジタルビデオカメラの構成は、
図1に示した第1の実施形態の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0095】
図9は、
図2において収差可変レンズの装着状態で起動した直後、および収差可変レンズへ交換直後においてガイダンス表示を行う場合の動作を示すフローチャートである。
【0096】
なお、
図9の処理は、不揮発性メモリ56に記録されたプログラムをシステムメモリ52に展開してシステム制御部50が実行することで実現される。また、この処理は、電源部30の電源がオフの状態から開始される。
【0097】
ステップS901では、システム制御部50は、電源部30の電源がオンになり、デジタルビデオカメラ100のシステム全体が起動したか否かを判定する。システム制御部50は、起動したと判定した場合は、処理をステップS902へ進める。
【0098】
ステップS902では、システム制御部50は、装着されているレンズ90が球面収差可変レンズであるか否かを判定する。システム制御部50は、球面収差可変レンズであると判断した場合は、処理をステップS903へ進め、そうでないと判断した場合は、処理をステップS905へ進める。
【0099】
ステップS903では、システム制御部50は、ガイダンス表示許可設定を不揮発性メモリ56から読み出し、その設定がオンであるか否かを判定する。システム制御部50は、設定がオンであると判断した場合は、処理をステップS904へ進め、そうでない(表示禁止)と判断した場合は、処理をステップS905へ進める。
【0100】
ステップS904では、システム制御部50は、表示部28にガイダンス表示を行う。具体的には、
図2のガイダンス例(3.1),(3.2),(3.3)のいずれかの内容を表示する。表示するガイダンスは、これらのガイダンス例のうちの複数の内容を組み合わせた内容であってもよい。
【0101】
ガイダンス例(3.1)を表示すれば、レンズ90の球面収差設定状態をユーザーに示し、ソフトフォーカス効果が有効であることをユーザーに伝えることができる。ガイダンス例(3.2)を表示すれば、レンズ90のリング操作によってソフトフォーカス効果が変更できることをユーザーに伝え、設定変更を促すことができる。ガイダンス例(3.3)を表示すれば、レンズ90の球面収差によって生じるソフトフォーカス効果の変化が、画像中のどの部分に着目すれば分かりやすいかを、ユーザーに伝えることができる。
【0102】
ステップS905では、システム制御部50は、レンズ90が別のレンズに交換されたか否かを判定する。システム制御部50は、交換されたと判断した場合は、処理をステップS906へ進め、そうでないと判断した場合は、このステップを繰り返す。
【0103】
ステップS906では、システム制御部50は、ステップS905で交換されたレンズ90が球面収差可変レンズであるか否かを判定する。システム制御部50は、球面収差可変レンズであると判断した場合は、処理をステップS907へ進め、そうでないと判断した場合は、処理をステップS909へ進める。
【0104】
ステップS907では、システム制御部50は、ガイダンス表示設定を不揮発性メモリ56から読み出し、その設定がオンであるか否かを判定する。システム制御部50は、設定がオンであると判断した場合は、処理をステップS908へ進め、そうでないと判断した場合は、処理をステップS909へ進める。
【0105】
ステップS908では、システム制御部50は、表示部28にガイダンス表示を行う。具体的には、
図2のガイダンス例(3.1),(3.2),(3.3)のいずれかの内容を表示する。表示するガイダンスは、これらのガイダンス例のうちの複数の内容を組み合わせた内容であってもよい。これらガイダンス例の効果は、ステップS904の場合と同様である。
【0106】
ステップS909では、システム制御部50は、操作部70によって、ガイダンス表示許可設定を変更する操作が行われたか否かを判定する。システム制御部50は、操作が行われたと判断した場合は、処理をステップS910へ進め、そうでないと判断した場合は、処理をステップS905に戻す。
【0107】
ステップS910では、システム制御部50は、不揮発性メモリ56に記録されたガイダンス表示許可設定を、ステップS909の操作結果に応じて更新する。この設定およびステップS903およびステップS907の判定によって、ユーザーが必要としない場合は、表示部28にガイダンスを一切表示しないように動作させることができる。
【0108】
本実施形態によれば、システム起動直後や球面収差可変レンズへのレンズ交換直後に、そのレンズの特徴や設定状態、効果を確認するための着目点を、ガイダンス表示によってユーザーに知らせることができる。
【0109】
(第4の実施形態)
この第4の実施形態では、デジタルビデオカメラの構成は、
図1に示した第1の実施形態の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0110】
図10は、
図2で、ソフトフォーカス効果をかけて撮影した静止画を再生中においてガイダンス表示を行う場合の動作を示すフローチャートである。
【0111】
なお、
図10の処理は、不揮発性メモリ56に記録されたプログラムをシステムメモリ52に展開してシステム制御部50が実行することで実現される。また、この処理は、電源部30の電源がオンになっており、デジタルビデオカメラ100のシステム全体が安定起動した状態から開始される。
【0112】
ステップS1001では、システム制御部50は、モード切り替えスイッチ60によって静止画再生モードに遷移したか否かを判定する。システム制御部50は、静止画撮影モードに遷移したと判断した場合は、処理をステップS1002へ進め、そうでないと判断した場合は、このステップを繰り返す。
【0113】
ステップS1002では、システム制御部50は、所定の静止画を再生し、表示部28に再生画を表示する。同時に、静止画データ内に記録されたメタデータを読み出し、システムメモリ52に記憶する。このメタデータには、その静止画を撮影したときに装着されていたレンズの情報が含まれている。
【0114】
ステップS1003では、システム制御部50は、ステップS1002で再生した静止画が、球面収差可変レンズで撮影された静止画であるか否かを、ステップS1002で得たメタデータから判定する。システム制御部50は、球面収差可変レンズで撮影された静止画であると判断した場合は、処理をステップS1004へ進め、そうでないと判断した場合は、処理をステップS1007へ進める。
【0115】
ステップS1004では、システム制御部50は、表示部28にガイダンス表示を行う。具体的には、
図2のガイダンス例(4.1),(4.2)のいずれかの内容を表示する。表示するガイダンスは、これらのガイダンス例の両方の内容を組み合わせた内容であってもよい。
【0116】
ガイダンス例(4.1)を表示すれば、この静止画に適用された球面収差設定をユーザーに示し、ソフトフォーカス効果が有効であることをユーザーに伝えることができる。ガイダンス例(4.2)を表示すれば、球面収差によって生じたソフトフォーカス効果の変化が、静止画中のどの部分に着目すれば分かりやすいかを、ユーザーに伝えることができる。
【0117】
ステップS1005では、システム制御部50は、ステップS1004によるガイダンス表示中に、操作部70が操作されたか否かを判定する。システム制御部50は、操作されたと判断した場合は、処理をステップS1006へ進め、そうでないと判断した場合は、このステップを繰り返す。
【0118】
ステップS1006では、システム制御部50は、ステップS1004によるガイダンス表示を終了する。
【0119】
ステップS1007では、システム制御部50は、操作部70において画像送り操作が行われたか否かを判定する。システム制御部50は、画像送り操作が行われたと判断した場合は、処理をステップS1002へ戻し、、その後新たな静止画を再生する。
【0120】
本実施形態によれば、球面収差可変レンズを装着して撮影した静止画の再生時に、球面収差の設定状態や、効果を確認するための着目点を、ガイダンス表示によってユーザーに知らせることができる。
【0121】
上記実施形態においては、レンズ90が球面収差を変更する機構を備えたレンズであるとしたが、これを第1の実施形態で説明したアポダイゼイションフィルターを用いたレンズに置き換えても、そのボケを滑らかにする特性に対して、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0122】
なお、システム制御部50が行うものとして説明した上述の各種制御は、1つのハードウェアが行ってもよいし、複数のハードウェアが処理を分担することで、装置全体の制御を行ってもよい。
【0123】
また、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。さらに、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0124】
また、上述した実施形態においては、本発明をデジタルビデオカメラに適用した場合を例にして説明したが、本発明はこの例に限定されず、表示機能を有する電子機器であれば適用可能である。すなわち、本発明は、パーソナルコンピュータやPDA、携帯電話端末や携帯型の画像ビューワ、ディスプレイを備えるプリンタ装置、デジタルフォトフレーム、タブレット端末、スマートフォン、投影装置、ディスプレイを備える家電装置や車載装置などに適用可能である。
【0125】
(他の実施形態)
また本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現できる。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現できる。
【0126】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0127】
13:表示制御部、22:撮像部、24:画像処理部、25:OSD描画部、28:表示部、50:システム制御部、52:システムメモリ、56:不揮発性メモリ、90:レンズ、100:デジタルビデオカメラ