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特許7466329制御装置、システム、リソグラフィ装置、物品の製造方法、制御方法、およびプログラム
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  • 特許-制御装置、システム、リソグラフィ装置、物品の製造方法、制御方法、およびプログラム 図1
  • 特許-制御装置、システム、リソグラフィ装置、物品の製造方法、制御方法、およびプログラム 図2
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  • 特許-制御装置、システム、リソグラフィ装置、物品の製造方法、制御方法、およびプログラム 図4
  • 特許-制御装置、システム、リソグラフィ装置、物品の製造方法、制御方法、およびプログラム 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】制御装置、システム、リソグラフィ装置、物品の製造方法、制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/28 20060101AFI20240405BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20240405BHJP
   G06F 13/38 20060101ALI20240405BHJP
   G06F 13/42 20060101ALI20240405BHJP
   H04L 13/00 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
H04L12/28 400
G03F7/20 501
G03F7/20 521
G06F13/38 340Z
G06F13/42 320A
H04L13/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020026476
(22)【出願日】2020-02-19
(65)【公開番号】P2021131711
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2023-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 康寛
【審査官】大石 博見
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-68345(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 13/38
G06F 13/42
H04L 13/00
G03F 7/20
H04L 12/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスタ装置としてスレーブ装置を制御する制御装置であって、
前記スレーブ装置での処理を制御するための指示データを生成する生成部と、
フィールドネットワークを介して、一定周期ごとに、前記生成部で生成された前記指示データを前記スレーブ装置に送信するとともに、前記スレーブ装置から応答データを受信する通信部と、
を含み、
前記通信部は、前記生成部がリセットされたことを検知した場合、前記スレーブ装置からの応答データが前記フィールドネットワークのデータフレームに残留しているときには当該応答データを破棄する、ことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記通信部は、前記生成部がリセットされたことを検知した場合、前記スレーブ装置が前記処理の実行中であるか否かを判断し、前記スレーブ装置が前記処理の実行中である場合には、前記スレーブ装置のリセットを実行するように前記スレーブ装置に指示する、ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記通信部は、前記スレーブ装置のリセットの実行を指示した場合、前記フィールドネットワークのデータフレームに残留している前記スレーブ装置からの応答データの破棄を、前記スレーブ装置のリセットが完了した後に行う、ことを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記通信部は、前記スレーブ装置のリセットの実行を指示した場合、当該リセットの実行中においても前記フィールドネットワークを介した前記スレーブ装置との通信を維持する、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記スレーブ装置での処理のシーケンスを制御するシーケンス制御部を更に含み、
前記生成部のリセットは、前記シーケンス制御部によって実行される、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記フィールドネットワークを介して複数のスレーブ装置をそれぞれ制御するため、前記複数のスレーブ装置をそれぞれ制御対象とする複数の前記生成部を含む、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記通信部は、前記複数の生成部のうちリセットされた生成部を検知した場合、前記複数のスレーブ装置のうち前記リセットされた生成部制御対象とするスレーブ装置を特定し、前記特定したスレーブ装置からの応答データが前記フィールドネットワークのデータフレームに残留しているときには当該応答データを破棄する、ことを特徴とする請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
スレーブ装置と、前記スレーブ装置を制御するマスタ装置とを含むシステムであって、
前記マスタ装置は、
前記スレーブ装置での処理を制御するための指示データを生成する生成部と、
フィールドネットワークを介して、一定周期ごとに、前記生成部で生成された前記指示データを前記スレーブ装置に送信するとともに、前記スレーブ装置から応答データを受信する通信部と、を含み、
前記通信部は、前記生成部がリセットされたことを検知した場合、前記スレーブ装置からの応答データが前記フィールドネットワークのデータフレームに残留しているときには当該応答データを破棄する、ことを特徴とするシステム。
【請求項9】
基板にパターンを形成するリソグラフィ装置であって、
請求項8に記載のシステムを含み、
前記スレーブ装置は、前記基板にパターンを形成する処理の少なくとも一部を行う機構を制御する、ことを特徴とするリソグラフィ装置。
【請求項10】
請求項9に記載のリソグラフィ装置を用いて基板上にパターンを形成する工程と、
前記工程でパターンが形成された前記基板を加工する工程と、を含み、
加工された前記基板から物品を製造することを特徴とする物品の製造方法。
【請求項11】
マスタ装置によりスレーブ装置を制御する制御方法であって、
前記スレーブ装置での処理を制御するための指示データを生成部により生成する生成工程と、
フィールドネットワークを介して、一定周期ごとに、前記生成工程で生成された前記指示データを前記スレーブ装置に送信するとともに、前記スレーブ装置から応答データを受信する通信制御工程と、
前記生成部がリセットされた場合、前記スレーブ装置からの応答データが前記フィールドネットワークのデータフレームに残留しているときには当該応答データを破棄する破棄工程と、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項12】
請求項11に記載の制御方法の各工程を、マスタ装置としてのコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスタ装置としてスレーブ装置を制御する制御装置、それを備えたシステム、リソグラフィ装置、物品の製造方法、制御方法、およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
マスタ装置とスレーブ装置との間でデータの送受信を行うシステムでは、当該システムの動作中にマスタ装置をリセットする必要が生じることがある。特許文献1では、マスタ装置のリセットによりマスタ装置からスレーブ装置へのデータ転送動作を実行できない状態になった場合に、当該マスタ装置の代わりにスレーブ装置の動作を実行完了させる転送キャンセル部を設けたシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-81551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フィールドネットワークを介してマスタ装置とスレーブ装置との間でデータの送受信を一定周期ごとに行うシステムでは、スレーブ装置への指示データを生成するためにマスタ装置に設けられた生成部をリセットすることがある。この場合において、スレーブ装置からの応答データがフィールドネットワークのデータフレームに残存していると、当該応答データが誤って送信されて、システムを正常に動作させることが困難になりうる。
【0005】
そこで、本発明は、フィールドネットワークを介してマスタ装置とスレーブ装置との間でデータの送受信を行うシステムを正常に動作させるために有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての制御装置は、マスタ装置としてスレーブ装置を制御する制御装置であって、前記スレーブ装置での処理を制御するための指示データを生成する生成部と、フィールドネットワークを介して、一定周期ごとに、前記生成部で生成された前記指示データを前記スレーブ装置に送信するとともに、前記スレーブ装置から応答データを受信する通信部と、を含み、前記通信部は、前記生成部がリセットされたことを検知した場合、前記スレーブ装置からの応答データが前記フィールドネットワークのデータフレームに残留しているときには当該応答データを破棄する、ことを特徴とする。
【0007】
本発明の更なる目的又はその他の側面は、以下、添付図面を参照して説明される好ましい実施形態によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、例えば、フィールドネットワークを介してマスタ装置とスレーブ装置との間でデータの送受信を行うシステムを正常に動作させるために有利な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】マスタ装置とスレーブ装置とを含むシステムの概略構成図
図2】マスタ装置の通信制御部で行われる処理を示すフローチャート
図3】シーケンス制御部、生成部、通信制御部およびスレーブ装置の間でのデータの流れの一例を示す図
図4】シーケンス制御部、生成部、通信制御部およびスレーブ装置の間でのデータの流れの一例を示す図
図5】露光装置の構成を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
<第1実施形態>
本発明に係る一実施形態について説明する。図1は、スレーブ装置と当該スレーブ装置を制御するマスタ装置(制御装置)とを含む本実施形態のシステム100の概略構成図である。本実施形態のシステム100は、図1に示すように、マスタ装置110と、マスタ装置110に通信可能に接続される複数のスレーブ装置120と、各スレーブ装置120に通信可能に接続されるユニット130とを含みうる。マスタ装置110および各スレーブ装置120は、例えばCPUやメモリ等を有するコンピュータによって構成されうるが、ボードコンピュータで構成されてもよいし、ボードコンピュータと兼用するように構成されてもよい。また、ユニット130は、例えばサーボモータ等の機構であり、スレーブ装置120によって制御されうる。
【0012】
複数のスレーブ装置120は、ディジーチェーン方式でマスタ装置110に通信可能に接続されている。マスタ装置110は、フィールドネットワーク140を介して、一定周期ごとに、複数のスレーブ装置120とデータの送受信を行う。また、複数のスレーブ装置120は、マスタ装置110から受信したデータに基づいて、複数のユニット130をそれぞれ制御する。本実施形態では、マスタ装置110に通信可能に接続されるスレーブ装置120として2個のスレーブ装置121、122を例示するが、スレーブ装置120の数は2個に限られるものではなく、1個または3個以上であってもよい。また、本実施形態では、複数のスレーブ装置120により制御される複数のユニット130として2個のユニット131、132を例示する。ユニット131はスレーブ装置121によって制御され、ユニット132はスレーブ装置122によって制御されうる。
【0013】
マスタ装置110は、シーケンス制御部111と、複数の生成部(スレーブ制御部)112と、通信制御部(通信部)113とを含みうる。
シーケンス制御部111は、各スレーブ装置120での処理のシーケンスを制御する。例えば、シーケンス制御部111は、予め定められた(設定された)手順、手続きまたはレシピに従って複数の生成部112を制御する。複数の生成部112はそれぞれ、制御対象とするスレーブ装置120での処理を制御(指示)するための指示データを生成する。
【0014】
生成部112は、例えばスレーブ装置120と同じ数だけ設けられ、本実施形態では、2個のスレーブ装置121、12をそれぞれ制御対象とする2個の生成部112a、112bが設けられている。生成部112aは、スレーブ装置121を制御対象としており、スレーブ装置121での処理を制御するための指示データを生成する。一方、生成部112bは、スレーブ装置122を制御対象としており、スレーブ装置122での処理を制御するための指示データを生成する。
【0015】
通信制御部113は、フィールドネットワーク140を介して、一定周期ごとに、複数のスレーブ装置120とデータの送受信を行う。例えば、通信制御部113は、フィールドネットワーク140を介して、一定周期ごとに、生成部112a、112bで生成された指示データをスレーブ装置121、122に送信するとともに、スレーブ装置121、122から応答データを受信する。応答データとは、例えば、指示データによって指示された処理が完了したか否かを示すデータ(フラグ)である。
【0016】
次に、図1に示すフィールドネットワーク140の一例として、産業用イーサネット(登録商標)の1つであるEtherCAT(登録商標)について説明する。EtherCAT(登録商標)では、一定周期(例えば1m秒)でデータフレームの送受信が行われるため、データの到達時間が保証される。フィールドネットワーク140としてEtherCAT(登録商標)を採用する場合には、フィールドネットワーク140に接続されるノードのうち少なくとも1つがマスタ装置110として機能し、その他のノードがスレーブ装置120として機能しうる。マスタ装置110として機能するノードは、フィールドネットワーク140におけるデータフレームの送受信タイミングなどを管理する。
【0017】
図1に示す例では、マスタ装置110(通信制御部113)は、生成部112a、112bで生成された指示データをデータフレームに書き込むとともに、当該データフレームをスレーブ装置121へ送信する。データフレームを受信したスレーブ装置121は、当該データフレームのデータのうち自身に割り当てられた領域のデータの読み書きを行い、当該データフレームを次のスレーブ装置122へ送信する。また、データフレームを受信したスレーブ装置122は、当該データフレームのデータのうち自身に割り当てられたデータの読み書きを行い、当該データフレームをスレーブ装置121を介してマスタ装置110に送信する。
【0018】
具体的には、スレーブ装置121は、受信したデータフレームの中から、生成部112aで生成された指示データを読み出し、応答データの書き込みを行ってから当該データフレームを次のスレーブ装置122へ送信する。また、スレーブ装置122は、受信したデータフレームの中から、生成部112bで生成された指示データを読み出し、応答データの書き込みを行ってから当該データフレームをスレーブ装置121を介してマスタ装置110に送信する。
【0019】
上記のようにフィールドネットワークを介してマスタ装置110とスレーブ装置120との間でデータの送受信を一定周期ごとに行うシステム100では、複数の生成部112のうち、異常や障害が生じた生成部112のみをリセットすることがある。この場合において、当該生成部112が制御対象とするスレーブ装置120からの応答データがフィールドネットワーク140のデータフレームに残存していると、当該応答データが誤って送信されることとなる。また、リセットされた生成部112においては、リセット前に処理した内容は消去されるため、リセット前に生成された指示データに対する応答データを受信するとエラーが発生しうる。その結果、システム100を正常に動作させることが困難になりうる。
【0020】
そこで、本実施形態の通信制御部113は、生成部112がリセットされたことを検知した場合、スレーブ装置120からの応答データがフィールドネットワーク140のデータフレームに残留しているときには当該応答データを破棄する。例えば、通信制御部113は、複数の生成部112のうちリセットされた生成部112が検知された場合、複数のスレーブ装置120の中から、リセットされた生成部112が制御対象とするスレーブ装置120を特定する。そして、通信制御部113は、特定したスレーブ装置120からの応答データがフィールドネットワーク140のデータフレームに残留しているときには当該応答データを破棄する。
【0021】
図2は、本実施形態の通信制御部113で行われる処理を示すフローチャートである。ユーザがシステム100を起動すると、マスタ装置110および複数のスレーブ装置121、122が起動する。そして、マスタ装置110と複数のスレーブ装置121、122との間で、フィールドネットワーク140を介した一定周期ごとのデータの送受信が開始されるとともに、図2に示すフローチャートが開始される。通信制御部113は、図2に示すフローチャートの実行中においても、フィールドネットワーク140を介した一定周期ごとの複数のスレーブ装置121、122とのデータの送受信を繰り返し実行しているものとする。
【0022】
S11において、通信制御部113は、複数の生成部112の各々のリセットを監視(確認)する。そして、S12において、通信制御部113は、複数の生成部112(112a、112bのうち、リセットされた生成部112を検知したか否かを判断する。例えば、生成部112がリセットされたときには、当該生成部112から一定周期で送信されている指示データが送信されない。そのため、通信制御部113は、指示データを受信したか否かに応じて、リセットされた生成部112を検知することができる。また、通信制御部113は、生成部112のリセットが実行されるときに当該生成部112から送信されるデータ(フラグ)に基づいて、リセットされた生成部112を検知することができる。リセットされた生成部112を検知した場合にはS13に進み、リセットされた生成部112を検知していない場合にはS11に戻る。
【0023】
S13において、通信制御部113は、リセットされた生成部112が制御対象とするスレーブ装置120を特定する。本実施形態のシステム100では、複数のスレーブ装置120をそれぞれ制御対象とする複数の生成部112が設けられており、複数のスレーブ装置120と複数の生成部112との対応関係が予め把握されている。そのため、通信制御部113は、当該対応関係を示す情報に基づいて、複数のスレーブ装置120のうち、リセットされた生成部112が制御対象とするスレーブ装置120を特定することができる。なお、以下では、S13で特定されたスレーブ装置120を「特定スレーブ装置120」と呼ぶことがある。
【0024】
S14において、通信制御部113は、特定スレーブ装置120での処理の状態を確認する。そして、S15において、通信制御部113は、特定スレーブ装置120での処理が実行中か否かを判断する。例えば、通信制御部113は、一定周期ごとに受信するフィールドネットワーク140のデータフレームを確認することにより、特定スレーブ装置120での処理が実行中か否かを判断することができる。具体的には、フィールドネットワーク140のデータフレームには、特定スレーブ装置120での処理が完了したことを示すフラグが設けられる。通信制御部113は、フィールドネットワーク140のデータフレームにおいて当該フラグが立っている場合には、特定スレーブ装置120での処理が完了したと判断することができる。一方、通信制御部113は、フィールドネットワーク140のデータフレームにおいて当該フラグが立っていない場合には、特定スレーブ装置120での処理が実行中であると判断することができる。特定スレーブ装置120での処理が実行中である場合にはS16に進み、特定スレーブ装置120での処理が完了した場合にはS19に進む。
【0025】
S16~S18は、特定スレーブ装置120での処理が実行中である場合に進む工程である。特定スレーブ装置120を制御対象とする生成部112がリセットされたにも関わらず、特定スレーブ装置120での処理が完了してしまうと、システム100を正常に動作させることが困難になりうる。したがって、本工程では、特定スレーブ装置120での処理が実行中である場合に、特定スレーブ装置120をリセットさせる。
【0026】
S16において、通信制御部113は、特定スレーブ装置120のリセットを実行するように特定スレーブ装置120に指示する。例えば、通信制御部113は、特定スレーブ装置120のリセットの実行を指示するコマンド(データ)をフィールドネットワーク140のデータフレームに書き込むことにより、特定スレーブ装置120のリセットの実行を指示することができる。ここで、特定スレーブ装置120は、フィールドネットワーク140を介するマスタ装置110および他のスレーブ装置120との通信を維持したまま、自身のリセットを行うとよい。これにより、通信制御部113は、特定スレーブ装置120のリセットの実行中においても、特定スレーブ装置120以外のスレーブ装置120に対し、フィールドネットワーク140を介した通信を維持することができる。
【0027】
S17において、通信制御部113は、特定スレーブ装置120のリセットの実行状態を確認する。そして、S18において、通信制御部113は、特定スレーブ装置120のリセットが完了したか否かを判断する。例えば、通信制御部113は、一定周期ごとに受信するフィールドネットワーク140のデータフレームを確認することにより、特定スレーブ装置120での処理が実行中か否かを判断することができる。具体的には、フィールドネットワーク140のデータフレームには、特定スレーブ装置120のリセットが完了したことを示すフラグが設けられる。通信制御部113は、フィールドネットワーク140のデータフレームにおいて当該フラグが立っている場合には、特定スレーブ装置120のリセットが完了したと判断することができる。一方、通信制御部113は、フィールドネットワーク140のデータフレームにおいて当該フラグが立っていない場合には、特定スレーブ装置120のリセットが実行中であると判断することができる。特定スレーブ装置120のリセットが完了した場合にはS19に進み、特定スレーブ装置120のリセットが完了していない場合にはS17に戻る。
【0028】
S19において、通信制御部113は、フィールドネットワーク140のデータフレームを確認する。例えば、S16~S18において特定スレーブ装置120のリセットを実行した場合、通信制御部113は、特定スレーブ装置120のリセットが完了した後のデータフレームを確認するとよい。そして、S20において、通信制御部113は、フィールドネットワーク140のデータフレームに、特定スレーブ装置120からの応答データが残留(存在)しているか否かを判断する。特定スレーブ装置120からの応答データがデータフレームに残留していない場合にはS11に戻る。一方、特定スレーブ装置120からの応答データがデータフレームに残留している場合にはS21に進み、当該応答データを当該データフレームから破棄した後でS11に戻る。
【0029】
ここで、「応答データの破棄」とは、当該応答データが有効でない状態(無効な状態)にすることを意味する。例えば、通信制御部113は、特定スレーブ装置120からの応答データをフィールドネットワーク140のデータフレームからクリアする(消去する)ことにより、応答データの破棄を実行することができる。また、応答データが、処理が完了したことを示すフラグが立っているか否かによって示される場合、通信制御部113は、データフレームにおいて立っている当該フラグを下げることにより、応答データの破棄を実行することができる。
【0030】
次に、本実施形態のシステム100におけるデータの流れについて説明する。図3図4は、本実施形態のシステム100におけるシーケンス制御部111、生成部112、通信制御部113およびスレーブ装置120の間でのデータの流れの一例を示す図である。図3は、フィールドネットワーク140のデータフレームに応答データの残留がない場合におけるデータの流れの一例(実施例1)を示しており、図4は、当該データフレームに応答データの残留がある場合におけるデータの流れの一例(実施例2)を示している。
【0031】
[実施例1]
図3を参照しながら実施例1について説明する。
シーケンス制御部111は、予め定められた(設定された)手順、手続きまたはレシピに従って、生成部112に指示データを生成させるための制御コマンドを当該生成部112に送信する(S101)。シーケンス制御部111から制御コマンドを受信した生成部112は、当該制御コマンドに基づいて、スレーブ装置120に処理を実行させるための指示データを生成して通信制御部113に送信する(S102)。生成部112から指示データを受信した通信制御部113は、フィールドネットワーク140のデータフレームに当該指示データを書き込むことにより、当該指示データをスレーブ装置120に送信する(S103)。通信制御部113から指示データを受信したスレーブ装置120は、当該指示データにより指示された処理の実行を開始して、ユニット130の制御を開始する。これにより、スレーブ装置120が処理中となる。
【0032】
ここで、生成部112をリセットする必要が生じた場合、シーケンス制御部111は、生成部112のリセットを実行させるためのリセット指示コマンドを生成部112に送信し、生成部112のリセットを実行する(S104)。また、リセットが実行される生成部112は、リセットを実行することを示すデータ(リセット実行コマンド)を通信制御部113に送信する(S105)。これにより、通信制御部113は、リセットされた生成部112を検知することができる。通信制御部113は、リセットされた生成部112が制御対象とするスレーブ装置120を特定し(S106)、特定されたスレーブ装置120での処理の状態を確認することにより当該スレーブ装置120が処理の実行中であるか否かを判断する(S107)。本実施例1では、スレーブ装置120が処理の実行中である(即ち、スレーブ装置120から応答データが送信されていない)。そのため、通信制御部113は、スレーブ装置120のリセットの実行を指示するリセット指示コマンドをスレーブ装置120に送信する(S108)。リセット指示コマンドを受信したスレーブ装置120は、自らのリセットを実行し、当該リセットが完了した場合には、フィールドネットワーク140を介して、リセットの完了を示すデータ(リセット完了コマンド)を通信制御部113に送信する(S109)。
【0033】
リセット完了コマンドを受信した通信制御部113は、スレーブ装置120からの応答データがフィールドネットワーク140のデータフレームに残留しているか否かを確認する(S110)。本実施例1では、スレーブ装置120が処理の実行中に当該スレーブ装置120のリセットを実行しているため、スレーブ装置120での処理の完了を示す応答データがフィールドネットワーク140のデータフレームに書き込まれていない。つまり、本実施例1では、スレーブ装置120からの応答データが当該データフレームに残留しておらず、通信制御部113による応答データの破棄を行わずに次の制御に進む。
【0034】
シーケンス制御部111は、予め定められた(設定された)手順、手続きまたはレシピに従って、生成部112に次の指示データを生成させるための制御コマンドを当該生成部112に送信する(S111)。生成部112は、受信した制御コマンドに基づいて、スレーブ装置120に処理を実行させるための指示データを生成して通信制御部113に送信する(S112)。通信制御部113は、受信した指示データをフィールドネットワーク140のデータフレームに書き込むことにより、当該指示データをスレーブ装置120に送信する(S113)。通信制御部113から指示データを受信したスレーブ装置120は、当該指示データにより指示された処理の実行を開始する。そして、スレーブ装置120は、当該処理が完了したら、フィールドネットワーク140のデータフレームに応答データを書き込むことにより、当該応答データを通信制御部113に送信する(S114)。通信制御部113で受信された応答データは、生成部112を介して(S115)、シーケンス制御部111に送信される(S116)。
【0035】
[実施例2]
図4を参照しながら実施例2について説明する。
シーケンス制御部111は、予め定められた(設定された)手順、手続きまたはレシピに従って、生成部112に次の指示データを生成させるための制御コマンドを当該生成部112に送信する(S201)。生成部112は、受信した制御コマンドに基づいて、スレーブ装置120に処理を実行させるための指示データを生成して通信制御部113に送信する(S202)。通信制御部113は、受信した指示データをフィールドネットワーク140のデータフレームに書き込むことにより、当該指示データをスレーブ装置120に送信する(S203)。通信制御部113から指示データを受信したスレーブ装置120は、当該指示データにより指示された処理の実行を開始する。そして、スレーブ装置120は、当該処理が完了したら、フィールドネットワーク140のデータフレームに応答データを書き込むことにより、当該応答データを通信制御部113に送信する(S204)。
【0036】
ここで、生成部112をリセットする必要が生じた場合、シーケンス制御部111は、生成部112のリセットを実行させるためのリセット指示コマンドを生成部112に送信し、生成部112のリセットを実行する(S205)。また、リセットが実行される生成部112は、リセットを実行することを示すデータ(リセット実行コマンド)を通信制御部113に送信する(S206)。これにより、通信制御部113は、リセットされた生成部112を検知することができる。通信制御部113は、リセットされた生成部112が制御対象とするスレーブ装置120を特定し(S207)、特定されたスレーブ装置120での処理の状態を確認することにより当該スレーブ装置120が処理の実行中であるか否かを判断する(S208)。本実施例2では、スレーブ装置120において処理が完了している(即ち、S204においてスレーブ装置120から応答データが送信されている)ため、スレーブ装置120のリセットは実行されない。
【0037】
通信制御部113は、スレーブ装置120からの応答データがフィールドネットワーク140のデータフレームに残留しているか否かを確認する(S209)。本実施例2では、スレーブ装置120で処理が完了して、スレーブ装置120から応答データが送信されたものの、生成部112およびシーケンス制御部111に当該応答データが送信されていない状態である。つまり、フィールドネットワーク140のデータフレームに応答データが残留している状態である。そのため、通信制御部113は、当該データフレームに残留している応答データを破棄し(S210)、それから次の工程(S211~S216)に進む。S211~S216は、実施例1で説明した図3のS111~S116と同様の工程である。これにより、S204でスレーブ装置120から送信されてデータフレームに残留している応答データが生成部112およびシーケンス制御部111に送信されることを回避することができる。つまり、S213でスレーブ装置120に送信された指示データに対する応答データとして、S204でスレーブ装置120から送信された過去の応答データが生成部112およびシーケンス制御部111に送信されることを回避することができる。
【0038】
上述したように、本実施形態のマスタ装置110(通信制御部113)は、生成部112のリセットを検知した場合、スレーブ装置120からの応答データがフィールドネットワーク140のデータフレームに残留しているときには当該応答データを破棄する。これにより、フィールドネットワーク140のデータフレームに残存している応答データが誤って送信されることを回避し、システム100を正常に動作させることができる。
【0039】
<リソグラフィ装置の実施形態>
本発明に係る上記のシステム100を適用したリソグラフィ装置の実施形態について説明する。本実施形態では、上記のシステム100を適用したリソグラフィ装置として、基板を露光して基板上にパターンを形成する露光装置を例示して説明するが、それに限られるものではない。例えば、モールドを用いて基板上にインプリント材のパターンを形成するインプリント装置や、荷電粒子線を基板に照射して当該基板にパターンを形成する描画装置などのリソグラフィ装置においても、上記のシステム100を適用することができる。
【0040】
図5は、露光装置10の構成を示す概略図である。露光装置10は、マスクMのパターンを投影光学系14を介して基板Wに投影して当該基板Wを露光する露光装置である。露光装置10は、光源11と、照明光学系12と、マスクステージ13と、投影光学系14と、基板ステージ15と、主制御部16とを有する。また、露光装置10は、マスクステージ13を駆動する第1駆動部21と、投影光学系14のレンズ14aを駆動する第2駆動部22と、基板ステージ15を駆動する第3駆動部23とを有する。第1駆動部21、第2駆動部22および第3駆動部23は、基板Wにパターンを形成する処理の少なくとも一部を行う機構であり、マスクステージ制御部31、投影制御部32および基板ステージ制御部33によってそれぞれ制御される。また、主制御部16は、例えばCPUやメモリ(記憶部)などを有し、マスクステージ制御部31、投影制御部32および基板ステージ制御部33を制御することにより、露光装置10の全体(露光装置10の各部)を制御する。
【0041】
光源11は、露光光を射出する。照明光学系12は、光源11から射出された光を用いてマスクMを照明する。マスクステージ13は、マスクMを保持するとともに、第1駆動部21によって例えばXY方向に移動可能に構成されうる。投影光学系14は、照明光学系12により照明されたマスクMのパターンを基板上に投影する。投影光学系14は、第2駆動部22によって例えばX方向に移動可能なレンズ14aを含む。基板ステージ15は、基板Wを保持するとともに、第3駆動部23によって例えばXY方向に移動可能に構成されうる。
【0042】
図5に示す露光装置10において、本発明に係る上記のシステム100を適用する場合、主制御部16がマスタ装置110として構成されうる。また、マスクステージ制御部31、投影制御部32および基板ステージ制御部33がそれぞれスレーブ装置120として構成されうる。第1駆動部21、第2駆動部22および第駆動部23がそれぞれユニット130として構成されうる。主制御部16、マスクステージ制御部31、投影制御部32および基板ステージ制御部33との間におけるデータの送受信が、フィールドネットワークを介して一定周期ごとに行われることとなる。
【0043】
<物品の製造方法の実施形態>
本発明の実施形態にかかる物品の製造方法は、例えば、半導体デバイス等のマイクロデバイスや微細構造を有する素子等の物品を製造するのに好適である。本実施形態の物品の製造方法は、上記のリソグラフィ装置(露光装置)を用いて基板上にパターンを形成する工程と、かかる工程でパターンを形成された基板を加工する工程とを含む。更に、かかる製造方法は、他の周知の工程(酸化、成膜、蒸着、ドーピング、平坦化、エッチング、レジスト剥離、ダイシング、ボンディング、パッケージング等)を含む。本実施形態の物品の製造方法は、従来の方法に比べて、物品の性能・品質・生産性・生産コストの少なくとも1つにおいて有利である。
【0044】
<その他の実施例>
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0045】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0046】
100:システム、110:マスタ装置、111:シーケンス制御部、112:生成部、113:通信制御部、120:スレーブ装置、130:ユニット
図1
図2
図3
図4
図5