(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】集合住宅インターホンシステム
(51)【国際特許分類】
H04M 9/00 20060101AFI20240405BHJP
【FI】
H04M9/00 D
H04M9/00 H
(21)【出願番号】P 2020033165
(22)【出願日】2020-02-28
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】清水 研
【審査官】山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-193234(JP,A)
【文献】特開2007-096502(JP,A)
【文献】特開2018-160841(JP,A)
【文献】特開2012-182543(JP,A)
【文献】特開2010-154247(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B1/00-85/28
G08B23/00-31/00
H04M1/00
1/24-3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-11/10
99/00
H04N7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合住宅のメインエントランスに設置されて住戸を選択して呼び出すためのメイン集合玄関機と、個々の住戸玄関に設置されて来訪者が居住者を呼び出すための玄関子機と、住戸内に設置されて呼び出しに居住者が応答するための居室親機と、機器間の通信を制御する制御機とを備えた集合住宅インターホンシステムであって、
前記居室親機は、前記メイン集合玄関機、前記玄関子機の何れからであっても、呼び出しを受けたら呼出操作された機器から所定のメッセージをアナウンスさせ、前記アナウンスに対して来訪者が返答した音声を前記居室親機から報音させる取り次ぎ呼出を行う呼出制御部を具備し、
前記呼出制御部は、前記メイン集合玄関機からの呼び出しに対して前記取り次ぎ呼出を実施し
た前記居室親機で特定の操作が成されたら、その後所定時間の間は
、前記取り次ぎ呼出を実施した居室親機を備えた住戸の前記玄関子機から呼び出しを受けても前記取り次ぎ呼出を実施しないことを特徴とする集合住宅インターホンシステム。
【請求項2】
前記メイン集合玄関機及び前記玄関子機は来訪者を撮像するためのカメラを備えていると共に、前記居室親機或いは前記制御機は映像を保存する映像保存部を備え、
前記呼出制御部は、来訪者が呼出操作してからの前記カメラの撮像映像のうち、少なくとも前記取り次ぎ呼出のアナウンスが終了してからの撮像映像を前記映像保存部へ保存することを特徴とする請求項1記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項3】
集合住宅のメインエントランスに設置されて住戸を選択して呼び出すためのメイン集合玄関機と、集合住宅内の各フロアエントランスに設置されて住戸を選択して呼び出すためのフロア集合玄関機と、住戸内に設置されて呼び出しに居住者が応答するための居室親機と、機器間の通信を制御する制御機とを備えた集合住宅インターホンシステムであって、
前記居室親機は、前記メイン集合玄関機、前記フロア集合玄関機の何れからであっても、呼び出しを受けたら呼出操作された機器から所定のメッセージをアナウンスさせ、前記アナウンスに対して来訪者が返答した音声を前記居室親機から報音させる取り次ぎ呼出を行う呼出制御部を具備し、
前記呼出制御部は、前記メイン集合玄関機からの呼び出しに対して前記取り次ぎ呼出を実施し
た前記居室親機で特定の操作が成されたら、その後所定時間の間は
、前記取り次ぎ呼出を実施した居室親機を備えた住戸のあるフロアの前記フロア集合玄関機から呼び出しを受けても、前記取り次ぎ呼出を実施しないことを特徴とする集合住宅インターホンシステム。
【請求項4】
前記メイン集合玄関機及び前記フロア集合玄関機は、来訪者を撮像するためのカメラを備えていると共に、前記居室親機或いは前記制御機は映像を保存する映像保存部を備え、
前記呼出制御部は、来訪者が呼出操作してからの前記カメラの撮像映像のうち、少なくとも前記取り次ぎ呼出のアナウンスが終了してからの撮像映像を前記映像保存部へ保存することを特徴とする請求項3記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項5】
前記特定の操作が、メインエントランスから集合住宅内に進むメインドアの解錠操作であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項6】
前記居室親機或いは前記制御機は、来訪者音声を保存する音声保存部を備え、
前記呼出制御部は、前記取り次ぎ呼出によるアナウンスが終了したら、その後アナウンスした機器が集音した音声を前記音声保存部に保存することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項7】
居住者が携行する携帯電話が前記居室親機の増設親機として設定されており、前記居室親機が呼び出されたら前記携帯電話にも呼び出しが行われ、更に応答が可能に構成されて
いると共に、前記居室親機は、所定の操作で前記取り次ぎ呼出を実施する取り次ぎ呼出モードと取り次ぎ呼出を実施しない通常呼出モードとの切り替えが可能であり、
前記携帯電話の前記増設親機としての機能は、前記通常呼出モードの状態でのみ能動状態となることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の集合住宅インターホンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅インターホンシステムに関し、特に呼び出しに対してまずメッセージのアナウンスで対応する集合住宅インターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、来訪者が居住者を呼び出すための玄関子機が呼出操作を受けたら、記憶しているメッセージを最初に玄関子機からアナウンスすることで、居住者が応答しなくても来訪者が誰か、更には用件を聞き出すことのできる取り次ぎ呼出機能を備えたインターホンシステムがある。
例えば特許文献1には、玄関子機が呼出操作されたら、来訪者に用件等を伺うメッセージを玄関子機からアナウンスさせて、このアナウンスに応答した来訪者音声を録音して、居室親機から繰り返して報音させる機能を備えた集合住宅インターホンシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の技術は、呼び出しに対して応答すること無く来訪者の訪問目的を知ることができるため、応答したくない来訪者に対しては、居留守を使って退散させることができた。
但し、集合住宅インターホンシステムでは、集合玄関に加えて個々の住戸玄関にも居住者を呼び出す玄関子機があるし、メインエントランスから居住エリアに入っても、フロア毎に集合玄関機が配置されたシステムがある。
そのため、来訪者が2度に渡りメッセージを聞かされて居住者と通話するのに手間取る問題を無くす為に、メインエントランスの集合玄関機に取り次ぎ呼出機能を設けても、玄関子機やフロアエントランスの集合玄関機には取り次ぎ呼出機能を備えてはいなかった。
【0005】
しかしながら、一旦居住エリアに入った来訪者が、集合玄関機で呼び出した住戸以外の住戸を訪問する場合がある。そのような場合、従来のシステムではメインエントランスの集合玄関機以外の機器ではメッセージをアナウンスする取り次ぎ呼出を実施しないため、玄関子機或いはフロアの集合玄関機からの呼び出しに対して訪問目的等を知るには居住者は自ら応答するしかなかった。
【0006】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、メインエントランスに設置された集合玄関機に加えて、玄関子機或いはフロアの集合玄関機にメッセージをアナウンスする取り次ぎ呼出機能を設けても、メインエントランスの集合玄関機からの呼び出しを受けて居住者が確認した来訪者に対しては、玄関子機及びフロアの集合玄関機において取り次ぎ呼出を実施しないよう制御する集合住宅インターホンシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、集合住宅のメインエントランスに設置されて住戸を選択して呼び出すためのメイン集合玄関機と、個々の住戸玄関に設置されて来訪者が居住者を呼び出すための玄関子機と、住戸内に設置されて呼び出しに居住者が応答するための居室親機と、機器間の通信を制御する制御機とを備えた集合住宅インターホンシステムであって、居室親機は、メイン集合玄関機、玄関子機の何れからであっても、呼び出しを受けたら呼出操作された機器から所定のメッセージをアナウンスさせ、アナウンスに対して来訪者が返答した音声を居室親機から報音させる取り次ぎ呼出を行う呼出制御部を具備し、呼出制御部は、メイン集合玄関機からの呼び出しに対して取り次ぎ呼出を実施した居室親機で特定の操作が成されたら、その後所定時間の間は、取り次ぎ呼出を実施した居室親機を備えた住戸の玄関子機から呼び出しを受けても取り次ぎ呼出を実施しないことを特徴とする。
この構成によれば、来訪者からの呼び出しに対してメッセージをアナウンスする取り次ぎ呼出する機能をメイン集合玄関機、玄関子機の双方に設けても、メイン集合玄関機からの呼び出しに対する取り次ぎ呼出の実施を受けて居住者が特定の操作をしたら、その後玄関子機が呼出操作された際には取り次ぎ呼出を実施しない。よって、招き入れた来訪者に対して2回も取り次ぎ呼出を実施することが無く、来訪者を不快にさせることがない。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、メイン集合玄関機及び玄関子機は来訪者を撮像するためのカメラを備えていると共に、居室親機或いは制御機は映像を保存する映像保存部を備え、呼出制御部は、来訪者が呼出操作してからのカメラの撮像映像のうち、少なくとも取り次ぎ呼出のアナウンスが終了してからの撮像映像を映像保存部へ保存することを特徴とする。
この構成によれば、メッセージのアナウンスを受けて来訪者が話している時の映像が保存されるため、来訪者を判別し易い映像を保存できる。
【0009】
請求項3の発明は、集合住宅のメインエントランスに設置されて住戸を選択して呼び出すためのメイン集合玄関機と、集合住宅内の各フロアエントランスに設置されて住戸を選択して呼び出すためのフロア集合玄関機と、住戸内に設置されて呼び出しに居住者が応答するための居室親機と、機器間の通信を制御する制御機とを備えた集合住宅インターホンシステムであって、居室親機は、メイン集合玄関機、フロア集合玄関機の何れからであっても、呼び出しを受けたら呼出操作された機器から所定のメッセージをアナウンスさせ、アナウンスに対して来訪者が返答した音声を居室親機から報音させる取り次ぎ呼出を行う呼出制御部を具備し、呼出制御部は、メイン集合玄関機からの呼び出しに対して取り次ぎ呼出を実施した居室親機で特定の操作が成されたら、その後所定時間の間は、取り次ぎ呼出を実施した居室親機を備えた住戸のあるフロアのフロア集合玄関機から呼び出しを受けても、取り次ぎ呼出を実施しないことを特徴とする。
この構成によれば、来訪者からの呼び出しに対してメッセージをアナウンスする取り次ぎ呼出する機能をメイン集合玄関機、フロア集合玄関機の双方に設けても、メイン集合玄関機からの呼び出しに対する取り次ぎ呼出の実施を受けて居住者が特定の操作をしたら、その後フロア集合玄関機が呼出操作された際には取り次ぎ呼出を実施しない。よって、招き入れた来訪者に対して2回も取り次ぎ呼出を実施することが無く、来訪者を不快にさせることがない。
【0010】
請求項4発明は、請求項3に記載の構成において、メイン集合玄関機及びフロア集合玄関機は、来訪者を撮像するためのカメラを備えていると共に、居室親機或いは制御機は映像を保存する映像保存部を備え、呼出制御部は、来訪者が呼出操作してからのカメラの撮像映像のうち、少なくとも取り次ぎ呼出のアナウンスが終了してからの撮像映像を映像保存部へ保存することを特徴とする。
この構成によれば、メッセージのアナウンスを受けて来訪者が話している時の映像が保存されるため、来訪者を判別し易い映像を保存できる。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の構成において、特定の操作が、メインエントランスから居住エリアに進むメインドアの解錠操作であることを特徴とする。
この構成によれば、メイン集合玄関機から呼び出しがあっても、居住者がメインドアを解錠しなければ、その後フロア集合玄関機或いは玄関子機が呼出操作された際には取り次ぎ呼出を実施する。よって、メイン集合玄関機から呼び出しのなかった訪問者に対しても、居住者は応答することなく用件等を知ることができる。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れかに記載の構成において、居室親機或いは制御機は、来訪者音声を保存する音声保存部を備え、呼出制御部は、取り次ぎ呼出によるアナウンスが終了したら、その後アナウンスした機器が集音した音声を音声保存部に保存することを特徴とする。
この構成によれば、メッセージのアナウンスを受けて来訪者が話した音声が保存されるため、名前や用件等の来訪者を判別するための情報を保存できる。
【0013】
請求項7の発明は、請求項1乃至6の何れかに記載の構成において、居住者が携行する携帯電話が居室親機の増設親機として設定されており、居室親機が呼び出されたら携帯電話にも呼び出しが行われ、更に応答が可能に構成されていると共に、居室親機は、所定の操作で取り次ぎ呼出を実施する取り次ぎ呼出モードと取り次ぎ呼出を実施しない通常呼出モードとの切り替えが可能であり、携帯電話の増設親機としての機能は、通常呼出モードの状態でのみ能動状態となることを特徴とする。
この構成によれば、取り次ぎ呼出が実行される場合は、携帯電話が増設親機としての機能を持たないため、呼び出しが発生しても携帯電話から応答することができない。よって、取り次ぎ呼出機能を有効に活用できる。また、取り次ぎ呼出を実施しない場合は、携帯電話にも呼出信号が送信されて応答することができるため、外出していても来訪者に対応できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、取り次ぎ呼出機能をメイン集合玄関機、玄関子機の双方に設けたシステムにおいては、メイン集合玄関機からの呼び出しに対する取り次ぎ呼出の実施を受けて居住者が特定の操作をしたら、その後玄関子機が呼出操作された際には取り次ぎ呼出を実施しない。
また、取り次ぎ呼出機能をメイン集合玄関機、フロア集合玄関機の双方に設けたシステムにおいては、メイン集合玄関機からの呼び出しに対する取り次ぎ呼出の実施を受けて居住者が特定の操作をしたら、その後フロア集合玄関機が呼出操作された際には取り次ぎ呼出を実施しない。
よって、招き入れた来訪者に対して2回も取り次ぎ呼出を実施することが無く、来訪者を不快にさせることがない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る集合住宅インターホンシステムの第1の形態の一例を示す構成図である。
【
図4】集合住宅インターホンシステムの第2の形態の一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る集合住宅インターホンシステムの第1の形態の一例を示す構成図である。この集合住宅インターホンシステムは、来訪者が住戸を選択して居住者を呼び出すためにメインエントランスに設置された集合玄関機(メイン集合玄関機)1、居住者を呼び出すために個々の住戸玄関に設置された玄関子機2、居住者が呼び出しに応答するために住戸内に設置された居室親機3、管理人が操作して居住者と通話するための管理室親機4、機器間の通信を制御する制御機5、メインエントランスと居住エリアとの間に設けられたメインドア6、居住者が携行する携帯電話7等を備えている。
【0017】
メイン集合玄関機1、管理室親機4は伝送線L1,L2を介して制御機5に接続されている。居室親機3は親機幹線L3を介して制御機5に接続されている。玄関子機2は伝送線L4を介してそれぞれ居室に設置された居室親機3に接続されている。
また携帯電話7は、通信ネットワークNを介して制御機5と通信を実施し、予め関連付けられている居室親機3と制御機5を介して通信し、居室親機3の増設親機としての機能を有するよう構成されている。
またメインドア6は電気錠を備えており、居室親機3等からの操作で解錠される。
【0018】
メイン集合玄関機1は、来訪者を撮像するためのカメラ11、住戸を選択して呼出操作する操作部12、マイク及びスピーカを備えた通話部(図示せず)等を備えている。
【0019】
玄関子機2は、来訪者を撮像するためのカメラ21、居住者を呼び出す呼出ボタン22、マイク及びスピーカを備えた通話部(図示せず)等を備えている。
【0020】
図2は居室親機3のブロック図を示している。
図2に示すように、居室親機3はメイン集合玄関機1のカメラ11の撮像映像、玄関子機2のカメラ21の撮像映像に加えて各種情報を表示するモニタ31、呼び出しに対する応答操作を含む各種操作を行う操作部32、マイク33a及びスピーカ33bを備えた通話部33、後述する取り次ぎ呼出を実施するためのメッセージを記憶するメッセージ記憶部34、カメラ11,21の撮像映像に加えて来訪者音声を保存する映像・音声保存部35、所定時間をカウントするタイマ36、居室親機3を制御する親機CPU37、制御機5を介してメイン集合玄関機1、携帯電話7と通信するための親機第1通信IF38、玄関子機2と通信する親機第2通信IF39等を備えている。
【0021】
親機CPU37は、メイン集合玄関機1及び玄関子機2からの呼び出しを受けて取り次ぎ呼出を実施する。取り次ぎ呼出とは、呼出操作が成されたらメッセージをアナウンスして氏名や用件を聞き出す自動応答動作をいい、この動作により居住者が聞き出すこと無く来訪者が誰であるか居住者が認識可能となる。
そして、操作部32の所定の操作により、取り次ぎ呼出機能をオン/オフでき、オン操作を受けて取り次ぎ呼出モードに移行して取り次ぎ呼出制御が実施される。オフ操作で通常呼出モードに移行して従来の呼出制御、即ちメイン集合玄関機1、玄関子機2が呼出操作されたら、居室親機3が呼出音を報音し、アナウンスをすること無く応答操作を待つ。
また、通常呼出モードでは、携帯電話7の増設親機としての機能が能動となり、居室親機3が呼び出されたら呼出信号が携帯電話7にも送信される。
【0022】
図3は制御機5の機能ブロック図を示している。
図3に示すように、制御機5は、住戸番号と居室親機3との関連付けを記憶する居室親機情報記憶部51、居室親機3と携帯電話番号の関連づけを記憶する携帯電話情報記憶部52、制御機5を制御する制御機CPU53、メイン集合玄関機1、居室親機3、管理室親機4と通信する制御機第1通信IF54、通信ネットワークNを介して携帯電話7と通信する制御機第2通信IF55等を備えている。
制御機CPU53は、メイン集合玄関機1から住戸番号が選択(入力)されて呼出操作されると、住戸番号に関連付けられている居室親機3に呼出信号を送信して、呼出/通話制御を実施する。
【0023】
また、通常呼び出しモード状態では、呼び出しを受けた居室親機3から携帯電話7へ呼出通知が成される。この呼出通知は制御機5に送信され、制御機CPU53の制御により、通信ネットワークNを介して携帯電話7に呼出信号が送信される。
【0024】
このように構成された集合住宅インターホンシステムの動作は以下のようである。取り次ぎ呼出設定がオフ(通常呼出モード)の状態での動作は従来と同様であるため説明を省略し、ここで取り次ぎ呼出設定がオン(取り次ぎ呼出モード)の状態での動作を説明する。
【0025】
訪れた来訪者によりメイン集合玄関機1が操作され、住戸が選択されて呼出操作が成されると、呼出信号が制御機5を経由して呼出先住戸の居室親機3に送信される。
呼出信号を受信した居室親機3は、親機CPU37の制御により呼出音を報音すると同時に、メッセージ記憶部34が記憶しているメッセージを返信してメイン集合玄関機1からアナウンスさせる。例えば「お名前とご用件をお話ください」のメッセージがアナウンスされる。
【0026】
その後、メッセージのアナウンス終了に合わせて、メイン集合玄関機1の通話部の図示しないマイクが集音した音声の保存が開始されると共に、メイン集合玄関機1のカメラ11の撮像映像の保存が開始される。
この保存制御により、メッセージを受けて来訪者が話した名前、用件等が録音(保存)され、話している時の映像が保存される。これら音声、映像は、映像・音声保存部35に保存される。
【0027】
また、来訪者が話した音声は、居室親機3のスピーカ33bから報音される。この報音は、数回繰り返して報音される。但し、この音声を聞いた居住者が、応答した方が良いと判断して操作部32の図示しない通話ボタンが押下されると、来訪者音声の報音は終了して居室親機3は通話モードに移行する。通話モードに移行することで、メイン集合玄関機1と居室親機3の間で通話路が形成され、居住者と来訪者との間で通話が可能となる。
【0028】
通話後、来訪者の訪問を受け入れる場合は、居住者により居室親機3の操作部32の図示しない解錠ボタンが押下され、メインドア6が解錠される。具体的に、居室親機3から出力された解錠信号は、居室親機3から制御機5、メイン集合玄関機1を介してメインドア6に送信され、メインドア6の図示しない電気錠が解錠される。こうして、来訪者はメインエントランスから居住エリアに入ることが可能となる。
【0029】
一方、取り次ぎ呼出のアナウンスに対する来訪者の返答から、目的等を把握した結果、応答したくない来訪者である場合は居留守を使い、時間の経過を待つ。親機CPU37は、最初のアナウンスが終了してから一定時間の経過を待ち、居住者が居留守を使うことで応答操作が成されなかったら、帰って頂くことを促す新たなメッセージをメイン集合玄関機1からアナウンスさせる。例えば、退散を促す「ただいま出ることができません」等のメッセージがアナウンスされる。このメッセージもメッセージ記憶部34に記憶されている。
【0030】
尚、取り次ぎ呼出モードの状態では、携帯電話7は増設親機としての機能が停止されるため、メイン集合玄関機1、玄関子機2から呼び出しがあっても、呼出信号は携帯電話7には送信されない。このように、取り次ぎ呼出が実行される場合は、携帯電話7が増設親機としての機能を持たないため、呼び出しが発生しても携帯電話7から応答することができない。よって、居留守を使って居室親機3が応答操作されなくても携帯電話7から応答されることがなく、取り次ぎ呼出機能を有効に活用できる。
【0031】
次に、来訪者の訪問を許可してメインドア6が解錠された後の制御を説明する。
親機CPU37は、解錠ボタンの操作を受けて、玄関子機2における取り次ぎ呼出制御を一時的に解除する。この解除期間はタイマ36により設定され、解錠ボタン操作を受けてタイマ36が所定時間(例えば、10分)のカウントを開始し、タイマ36がカウントアップすると取り次ぎ呼出制御は再開される。このタイマ36のカウント時間の設定は、メインエントランスからの距離に応じて個々の居室親機3毎に設定される。
尚、タイマ36のカウント時間の設定は、一番遠い住戸であっても来訪者が到着するのに十分な時間となる時間で一律に設定しても良い。また、タイマ36がカウントをスタートするタイミングは、取り次ぎ呼出の終了としても良い。
【0032】
そのため、メインドア6から居住エリアに入った来訪者が、訪問先の住戸に到着した段階ではまだ取り次ぎ呼出が解除された状態にあり、玄関子機2を呼出操作すると居室親機3にて呼出音が報音される従来の呼出制御が実施される。居住者は、メイン集合玄関機1での応答により、来訪者があることを把握しているため、玄関子機2の呼出操作で表示されたカメラ21の撮像映像等で来訪者を確認したら、通話するまでも無く玄関ドアの解錠等で応対することになる。
【0033】
但し、メインドア6を解錠操作した居室親機3以外の住戸の居室親機3は、玄関子機2の取り次ぎ呼出制御は解除されていないため、居住エリアに居る来訪者がメイン集合玄関機1で呼び出した住戸とは異なる住戸の玄関子機2を操作したら、メイン集合玄関機1での呼び出しと同様に取り次ぎ呼出が実施される。
【0034】
このように、来訪者からの呼び出しに対してメッセージをアナウンスする取り次ぎ呼出する機能をメイン集合玄関機1、玄関子機2の双方に設けても、メイン集合玄関機1からの呼び出しに対する取り次ぎ呼出の実施を受けて居住者が特定の操作をしたら、その後玄関子機2が呼出操作された際には取り次ぎ呼出を実施しない。よって、招き入れた来訪者に対して2回も取り次ぎ呼出を実施することが無く、来訪者を不快にさせることがない。
また、メイン集合玄関機1から呼び出しがあっても、居住者がメインドア6を解錠しなければ、その後玄関子機2が呼出操作された際には取り次ぎ呼出を実施する。よって、突然の訪問者に対しても、居住者は応答することなく用件等を知ることができる。
加えて、メッセージのアナウンスを受けて来訪者が話している時の映像及び音声が保存されるため、来訪者を判別し易い映像を保存できるし、名前や用件等の来訪者を判別するための情報を保存できる。
【0035】
ここで、携帯電話7に呼出信号が送信される動作を簡単に説明する。通常呼出モード状態では、居室親機3が呼び出されると携帯電話への呼び出しが行われ、携帯電話7から応答することができる。
メイン集合玄関機1或いは玄関子機2が呼出操作されて、居室親機3に呼出信号が送信されると、居室親機3から呼出通知が携帯電話7に対して成される。
【0036】
具体的に、居室親機3から送出された呼出通知は制御機5が受信する。呼出通知を受信した制御機5は、制御機CPU53の制御により、携帯電話情報記憶部52から呼出信号送信元の居室親機3に関連付けられている携帯電話7を読み取り、その携帯電話7へ通信ネットワークNを介して呼出信号を送信する。
そして、呼出信号を受信した携帯電話7から応答操作が成されたら、呼出元のメイン集合玄関機1或いは玄関子機2との間で通話路を形成し、来訪者と携帯電話7を携行する居住者との間で通話が可能となる。
このように、取り次ぎ呼出を実施しない場合は、携帯電話7にも呼出信号が送信されて応答することができるため、外出していても来訪者に対応できる。
【0037】
図4は、集合住宅インターホンシステムの第2の形態の一例を示す構成図であり、集合住宅のメインエントランスEに加えて、居住エリアである集合住宅内の各フロアエントランスFにも集合玄関機(フロア集合玄関機1a)を備えている点が上記形態とは大きく相違している。尚、上記第1の形態と共通する構成要素には同一の符号を付与して説明を省略し、以下相違点を中心に説明する。
【0038】
図4に示すように、フロアエントランスFにフロア集合玄関機1aが設置され、伝送線L11を介して制御機5に接続されている。そして、6aはフロアエントランスFからフロア内の居住エリアに進む際に通過する電気錠を備えたフロアドアである。
フロア集合玄関機1aは、カメラ11a、操作部12aを有し、メイン集合玄関機1と同様の機能を有している。
【0039】
以下、個々の機器の構成は上記第1の形態と同様であるため説明を省略し、取り次ぎ呼出設定がオン(取り次ぎ呼出モード)の状態での動作を説明する。尚、フロアドア6aは、呼出先の居室親機3の操作で解錠されるし、居室親機3はメイン集合玄関機1に加えてフロア集合玄関機1aにおいても取り次ぎ呼出する機能を備えている。更に、制御機5は、メイン集合玄関機1と同様にフロア集合玄関機1aから住戸番号が選択(入力)されて呼出操作されると、住戸番号に関連付けられている居室親機3に呼出信号を送信して、呼出/通話制御を実施する。
【0040】
訪れた来訪者によりメイン集合玄関機1が操作され、住戸が選択されて呼出操作が成されると、呼出信号が制御機5を経由して呼出先住戸の居室親機3に送信される。
呼出信号を受信した居室親機3は、親機CPU37の制御により呼出音を報音すると同時に、メッセージ記憶部34が記憶しているメッセージを返信してメイン集合玄関機1からアナウンスさせる。例えば「お名前とご用件をお話ください」のメッセージがアナウンスされる。
【0041】
その後、メッセージのアナウンス終了に合わせて、メイン集合玄関機1の通話部の図示しないマイクが集音した音声の保存が開始されると共に、メイン集合玄関機1のカメラ11の撮像映像の保存が開始される。
この保存制御により、メッセージを受けて来訪者が話した名前、用件等が録音(保存)され、話している時の映像が保存される。これら音声、映像は、映像・音声保存部35に保存される。
【0042】
また、来訪者が話した音声は、居室親機3のスピーカ33bから報音される。この報音は、数回繰り返して報音される。但し、この音声を聞いた居住者が、応答した方が良いと判断して操作部32の図示しない通話ボタンが押下されると、来訪者音声の報音は終了して居室親機3は通話モードに移行する。通話モードに移行することで、メイン集合玄関機1と居室親機3の間で通話路が形成され、居住者と来訪者との間で通話が可能となる。
【0043】
通話後、来訪者の訪問を受け入れる場合は、居住者により居室親機3の操作部32の図示しない解錠ボタンが押下され、メインドア6が解錠される。具体的に、居室親機3から出力された解錠信号は、居室親機3から制御機5、メイン集合玄関機1を介してメインドア6に送信され、メインドア6の図示しない電気錠が解錠される。こうして、来訪者はメインエントランスEから居住エリアに入ることが可能となる。
【0044】
一方、取り次ぎ呼出のアナウンスに対する来訪者の返答から、目的等を把握した結果、応答したくない来訪者である場合は居留守を使い、時間の経過を待つ。親機CPU37は、最初のアナウンスが終了してから一定時間の経過を待ち、居住者が居留守を使うことで応答操作が成されなかったら、帰って頂くことを促す新たなメッセージをメイン集合玄関機1からアナウンスさせる。例えば、退散を促す「ただいま出ることができません」等のメッセージがアナウンスされる。このメッセージもメッセージ記憶部34に記憶されている。
【0045】
尚、取り次ぎ呼出モードの状態での携帯電話7の動作は上記形態と同様であり、増設親機としての機能は停止される。
【0046】
ここまでの動作は、上記第1の形態と同様であるが、メインドア6が解錠された後の制御が異なり、以下のように動作する。
親機CPU37は、解錠ボタンが操作されると、自住戸のあるフロアエントランスFのフロア集合玄関機1aにおける取り次ぎ呼出制御を一時的に解除する。この解除期間はタイマ36により設定され、解錠ボタン操作を受けてタイマ36が所定時間(例えば、10分)のカウントを開始し、タイマ36がカウントアップすると取り次ぎ呼出制御は再開される。このタイマ36のカウント時間の設定は、メインエントランスからの距離に応じて個々の居室親機3毎に設定される。
【0047】
そのため、メインドア6から居住エリアに入った来訪者が、訪問先の住戸のあるフロアに到着した段階ではまだ取り次ぎ呼出が解除された状態にある。よって、フロアエントランスFのフロアドア6aを解錠して頂くためにフロア集合玄関機1aを操作して訪問先を呼び出すと、居室親機3にて呼出音が報音される従来の呼出制御が実施される。
居住者は、メイン集合玄関機1での応答により、来訪者があることを把握しているため、フロア集合玄関機1aの呼出操作で表示されたカメラ11aの撮像映像等で来訪者を確認したら、通話するまでも無くフロアドア6aの解錠等で応対することになる。
【0048】
但し、フロアドア6aを解錠操作した居室親機3のあるフロア集合玄関機1a以外のフロア集合玄関機1aの取り次ぎ呼出制御は解除されていないため、来訪者がメイン集合玄関機1で呼び出した住戸のあるフロアと異なるフロアのフロア集合玄関機1aを操作したら、メイン集合玄関機1での呼び出しと同様に取り次ぎ呼出が実施される。
【0049】
このように、来訪者からの呼び出しに対してメッセージをアナウンスする取り次ぎ呼出する機能をメイン集合玄関機、フロア集合玄関機の双方に設けても、メイン集合玄関機からの呼び出しに対する取り次ぎ呼出の実施を受けて居住者が特定の操作をしたら、その後フロア集合玄関機が呼出操作された際には取り次ぎ呼出を実施しない。よって、招き入れた来訪者に対して2回も取り次ぎ呼出を実施することが無く、来訪者を不快にさせることがない。
【0050】
尚、この第2の形態では、玄関子機2の取り次ぎ呼出に関し説明しないが、フロアエントランスのフロアドア6aの解錠操作に連動させて、居室親機3の制御で玄関子機2の取り次ぎ呼出の機能を一時的にオフしても良いし、フロア集合玄関機1aがある構成では玄関子機2に取り次ぎ呼出の機能を設けなくても良い。
また第2の形態では、第1の形態の居室親機3に設けられているメッセージ記憶部34を、メイン集合玄関機1及びフロア集合玄関機1aに設けても良い。
更に、上記第1及び第2の形態では、居室親機3に映像・音声保存部35、タイマ36を設けているが、これらの少なくとも一部を制御機5に設けても良い。例えば、映像・音声保存部35を制御機5に設けた場合は、居室親機IDを紐付けして保存すれば、居室親機3から自住戸に関連する映像等を容易に取り出すことができる。また、玄関子機2のカメラ21の撮像映像を保存する場合は、親機CPU37の制御により、居室親機3を経由して制御機5に保存させれば良い。
また、映像に加えて音声も保存しているが、何れか一方のみでも良い。
【符号の説明】
【0051】
1・・メイン集合玄関機、1a・・フロア集合玄関機、2・・玄関子機、3・・居室親機、4・・管理室親機、5・・制御機、6・・メインドア、6a・・フロアドア、7・・携帯電話、31・・モニタ、32・・操作部、33・・通話部、34・・メッセージ記憶部、35・・映像・音声保存部(映像保存部、音声保存部)、36・・タイマ、37・・親機CPU(呼出制御部)、N・・通信ネットワーク。