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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】電気掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/28 20060101AFI20240405BHJP
【FI】
A47L9/28 A
A47L9/28 U
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020043904
(22)【出願日】2020-03-13
(65)【公開番号】P2021142205
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2022-12-02
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸倉 祥平
【審査官】伊藤 孝佑
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-034877(JP,A)
【文献】特開2018-062013(JP,A)
【文献】特開2007-268081(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込風路と、
二次電池と、
前記二次電池が蓄える電力で駆動し、前記吸込風路に吸込負圧を発生させる電動送風機と、
前記二次電池が蓄える電力によって電圧が印加される電路と、
前記電路に設けられて前記電路の通電と通電の遮断とを切り替えて操作入力を受け付ける第一スイッチと、
前記二次電池と前記第一スイッチとを繋ぐ前記電路に設けられて前記第一スイッチの両端電圧の印加と非印加とを切り替える第二スイッチと、
前記第二スイッチが閉じた後に、前記第一スイッチの前記両端電圧の印加が継続している場合には、前記第一スイッチによって前記電路が通電すると前記電動送風機の運転状態を変化させる制御部と、を備える電気掃除機。
【請求項2】
前記第二スイッチは、前記二次電池の充電中には開いて前記第一スイッチの前記両端電圧を非印加に切り替え、前記二次電池の充電終了後の待機中には開き続けて前記第一スイッチの前記両端電圧を非印加に維持し、前記待機が解除された非待機中には前記第一スイッチの前記両端電圧を印加に切り替える請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記第一スイッチは、タクタイルスイッチである請求項1または2に記載の電気掃除機。
【請求項4】
前記二次電池を充電する充電装置を着脱可能に接続するコネクターを備え、
前記電路は、前記コネクターを介して前記充電装置から供給される電力によっても電圧が印加される請求項1から3のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項5】
前記第一スイッチは、前記電動送風機の運転開始操作と運転停止操作とを受け付ける請求項1から4のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項6】
前記第一スイッチは、前記電動送風機の運転モードの切り替え操作を受け付ける請求項1から5のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項7】
前記二次電池を充電する充電装置を着脱可能に接続するコネクターと、
前記コネクターに前記充電装置が接続されると開き、前記コネクターから前記充電装置が取り外されていると閉じる第三スイッチと、を備え、
前記第三スイッチが閉じると前記第二スイッチが閉じて前記第一スイッチの前記両端電圧を印加に切り替え、前記第三スイッチが開くと前記第二スイッチが開いて前記第一スイッチの前記両端電圧を非印加に切り替える請求項1から3、5、および6のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項8】
前記二次電池を充電する充電装置を着脱可能に接続するコネクターを備え、
前記二次電池の充電の完了を検知した場合には、前記第二スイッチを閉じて前記第一スイッチの前記両端電圧を印加に切り替え、前記二次電池の充電の完了を未検知の場合には、前記第二スイッチを開いて前記第一スイッチの前記両端電圧を非印加に切り替える請求項1から3、5、および6のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に係る実施形態は、電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
操作スイッチが短絡する都度に、電動送風機の入力の入り(オン)切り(オフ)を繰り返し切り替える電気掃除機が知られている。操作スイッチは、押し下し操作を受け付けるスイッチであって、例えば、タクタイルスイッチ(タクトスイッチ)や、メンブレンスイッチである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-268081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、タクトスイッチや、メンブレンスイッチには、プリント基板が用いられている。プリント基板では、配線や電極として使用される金属が絶縁物の上を移動する現象が生じる場合がある。この現象は、エレクトロケミカルマイグレーション、あるいはイオンマイグレーションと呼ばれる。エレクトロケミカルマイグレーションを生じたプリント基板では、電極間の絶縁抵抗値が低下する場合がある。
【0005】
スイッチ内のプリント基板で電極間の絶縁抵抗値が低下すると、スイッチが、使用者の意図に依らず不規則に短絡する場合がある。スイッチが不規則に短絡すると、電動送風機が不意に運転を開始したり、電動送風機が不意に運転を停止したり、電動送風機の運転出力が不意に変わったりして都合が悪い。例えば、電動送風機の電源として二次電池を備える電気掃除機では、電動送風機が不意に運転を開始して電池切れに至る虞がある。このような、使用者の意図に依らない電池切れは、電気掃除機の利便性を損なわせる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、スイッチ内のプリント基板でエレクトロケミカルマイグレーションによる絶縁抵抗値の低下が発生した場合であっても、利便性の低下を抑制可能な電気掃除機を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するため本発明の実施形態に係る電気掃除機は、吸込風路と、二次電池と、前記二次電池が蓄える電力で駆動し、前記吸込風路に吸込負圧を発生させる電動送風機と、前記二次電池が蓄える電力によって電圧が印加される電路と、前記電路に設けられて前記電路の通電と通電の遮断とを切り替えて操作入力を受け付ける第一スイッチと、前記二次電池と前記第一スイッチとを繋ぐ前記電路に設けられて前記第一スイッチの両端電圧の印加と非印加とを切り替える第二スイッチと、前記第二スイッチが閉じた後に、前記第一スイッチの前記両端電圧の印加が継続している場合には、前記第一スイッチによって前記電路が通電すると前記電動送風機の運転状態を変化させる制御部と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る電気掃除機の斜視図。
図2】本発明の実施形態に係る電気掃除機の入力検知回路および充電経路接続検知回路の構成図。
図3】本発明の実施形態に係る電気掃除機の入力検知回路の他の例の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る吸込口体および電気掃除機の実施形態について、図1から図3を参照して説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の斜視図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1は、例えばスティック型である、電気掃除機1は、把手11を有して手持ち操作可能な掃除機本体12と、掃除機本体12に着脱可能な二次電池13(蓄電池、充電式電池、および充電池とも呼ばれる。)と、掃除機本体12に接続される延長管15と、延長管15に接続される吸込口体16と、を備えている。
【0012】
なお、電気掃除機1は、キャニスター型、アップライト型、またはハンディ型であっても良い。電気掃除機1は、二次電池13を電源として備えるコードレスタイプであっても良いし、商用交流電源から電源コードを介して電力を得る有線式であっても良い。
【0013】
掃除機本体12は、把手11を有する本体ケース17と、本体ケース17に収容されて吸込負圧を生じさせる電動送風機18と、本体ケース17に着脱自在に設けられる塵埃分離集塵部19と、主に電動送風機18を制御する本体制御部21と、を備えている。
【0014】
掃除機本体12は、二次電池13が蓄える電力によって電動送風機18を駆動させ、電動送風機18の駆動によって発生する負圧を延長管15に作用させる。電気掃除機1は、吸込口体16および延長管15を通じて床面から塵埃を含んだ空気(以下、「含塵空気」と呼ぶ。)を吸い込み、含塵空気から塵埃を分離し、分離後の塵埃を捕集し、蓄積するとともに分離後の空気を排気する。
【0015】
本体ケース17は、側面視において延長管15の延長線上に配置される円筒状の前半部17aと、前半部17aから屈曲して延長管15の延長線から徐々に離れる後半部17bと、を備えている。本体ケース17の前半部17aの上方には、塵埃分離集塵部19が設けられている。本体ケース17の後半部17bは、吸込口体16を床上に配置した使用状態(図2)において、後方へ向かって延びている。
【0016】
本体ケース17の正面部分には、本体接続口23が設けられている。
【0017】
本体接続口23は、延長管15を着脱可能な継手である。本体接続口23は、本体ケース17の円筒状の前半部17aから正面へ向かって突出している。本体接続口23は、掃除機本体12の流体的な入口であり、延長管15と塵埃分離集塵部19とを流体的に接続する。掃除機本体12から延長管15を取り外すことによって、本体接続口23は、掃除機本体12を単体で使用する際の吸込口としても機能する。つまり、掃除機本体12から延長管15が取り外されている場合には、塵埃分離集塵部19は、電動送風機18から本体接続口23へ至る吸込風路である。掃除機本体12に延長管15が装着されている場合には、吸込口体16、延長管15、および塵埃分離集塵部19は、電動送風機18から吸込口27へ至る吸込風路である。
【0018】
把手11は本体ケース17に一体に設けられている。把手11は、電気掃除機1で床面を掃除するために、使用者が手で把持する部分である。把手11は、塵埃分離集塵部19の後端部の近傍から本体ケース17の後端部へアーチ状に架かっている。また、把手11は、延長管15中心線の延長線上に交差して配置されている。
【0019】
把手11の近傍には、把手11を握った使用者が、その手指を動かせる範囲に配置される入力部26が設けられている。
【0020】
入力部26は、電動送風機18の運転開始操作および運転停止操作を受け付ける主スイッチ26aと、電動送風機18の運転モードの選択操作を受け付ける運転モード切替スイッチ26bと、を備えている。主スイッチ26a、および運転モード切替スイッチ26bは、本体制御部21に電気的に接続されている。入力部26は、吸込口体16への電力供給の開始操作および停止操作を受け付けるブラシスイッチを備えていても良い。
【0021】
電気掃除機1の使用者は、入力部26を操作して電動送風機18を起動したり、停止させたりすることができる。本体制御部21は、電動送風機18の停止中に主スイッチ26aから操作信号を受け取ると、電動送風機18を始動させる。本体制御部21は、電動送風機18の運転中に主スイッチ26aから操作信号を受け取ると、電動送風機18を停止させる。
【0022】
電気掃除機1の使用者は、入力部26を操作して電動送風機18の運転モードを択一的に選択できる。本体制御部21は、運転モード切替スイッチ26bから操作信号を受け取る度に運転モードを強→中→弱→強→中→弱→………の順に切り換える。なお、入力部26は、運転モード切替スイッチ26bに代えて、強運転スイッチ(図示省略)、中運転スイッチ(図示省略)、および弱運転スイッチ(図示省略)を個別に備えていても良い。
【0023】
塵埃分離集塵部19は、掃除機本体12の上面側に配置され、かつ掃除機本体12に着脱できる。塵埃分離集塵部19は、掃除機本体12に流れ込む含塵空気から塵埃を分離し、捕集し、蓄積する一方で、塵埃が除去された清浄な空気を電動送風機18へ送る。塵埃分離集塵部19は、電気掃除機1が吸い込む、塵埃と空気との質量の差異を利用して塵埃と空気とを遠心分離する遠心分離方式であっても良いし、含塵空気から塵埃を濾し取るフィルターを有する濾過分離方式であっても良い。
【0024】
電動送風機18は、二次電池13が蓄える電力で駆動する。電動送風機18は、吸込風路から空気を吸い込んで負圧(吸込負圧)を発生させる。
【0025】
本体制御部21は、マイクロプロセッサー、およびマイクロプロセッサーが実行する各種演算プログラム、パラメーターなどを記憶する記憶装置を備えている。記憶装置は、予め設定される複数の運転モードに関連する種々の設定(引数)を記憶している。複数の運転モードは電動送風機18の出力に関連付けられている。それぞれの運転モードには、相互に異なる入力値(電動送風機18の入力値、電動送風機18に流れる電流目標値)が設定されている。それぞれの運転モードは、入力部26が受け付ける操作入力に関連付けられている。本体制御部21は、入力部26への操作入力に対応する任意の運転モードを、予め設定される複数の運転モードから択一的に選択する。また、本体制御部21は、選択した運転モードの設定を記憶部から読み出し、読み出した運転モードの設定にしたがって電動送風機18を運転する。
【0026】
二次電池13は、電動送風機18や本体制御部21で消費される電力を蓄える。二次電池13は、本体ケース17に固定されていても良いし、本体ケース17に着脱可能であっても良い。換言すると、電気掃除機1は、複数の二次電池13を適宜に交換して利用できるものであっても良いし、そうでなくても良い。電気掃除機1に着脱可能に装着されている二次電池13の充電率が低下した場合には、この二次電池13を、充電済みの二次電池13に交換することによって、電気掃除機1は、運転を継続できる。掃除機本体12には、二次電池13を充電する充電器を着脱可能に接続する充電用コネクター25が設けられている。充電用コネクター25は、例えばソケットである。ソケットには、充電装置のプラグが着脱可能に差し込まれる。ソケットにプラグが差し込まれると、二次電池13は充電される。
【0027】
延長管15および吸込口体16は、電動送風機18から作用する負圧によって、床面上の塵埃を空気とともに吸い込んで掃除機本体12へ案内する。
【0028】
延長管15は、本体ケース17の本体接続口23および塵埃分離集塵部19を介して電動送風機18の吸込側に流体的に接続されている。延長管15は、使用者が掃除機本体12の把手11を把持した状態で実質的に床面に届く長さを有する。延長管15の一方の端部には、掃除機本体12の本体接続口23に着脱自在な継手構造が設けられている。延長管15の他方の端部には、掃除機本体12の吸込口体16を着脱自在な継手構造が設けられている。延長管15は、伸縮可能であっても良いし、そうでなくても良い。
【0029】
吸込口体16は、木床やカーペットなどの床面上を走行自在または滑走自在であり、走行状態または滑走状態において床面に対向する底面に吸込口27を有する。また、吸込口体16は、吸込口27に配置される回転自在な回転清掃体28と、回転清掃体28を駆動させる駆動源としての電動機29と、を備えている。吸込口体16の一方の端部には、延長管15の他方の端部に着脱自在な継手構造が設けられている。吸込口体16は、延長管15を介して電動送風機18の吸込側に流体的に接続されている。
【0030】
電気掃除機1は、主スイッチ26aが操作されると電動送風機18を始動させる。例えば、電気掃除機1は、電動送風機18が停止している状態で主スイッチ26aが操作されると、先ず電動送風機18を強運転モードで始動させる。電気掃除機1は、運転モード切替スイッチ26bが操作されると電動送風機18の運転モードを中運転モードに変更し、再び運転モード切替スイッチ26bが操作されると電動送風機18の運転モードを弱運転モードに変更し、以下同様に繰り返す。強運転モード、中運転モード、および弱運転モードは、予め設定される複数の運転モードである。強運転モードにおける電動送風機18の入力値が最も大きく、弱運転モードにおける電動送風機18の入力値が最も小さい。始動した電動送風機18は、塵埃分離集塵部19から空気を吸込み、塵埃分離集塵部19内を負圧にする。
【0031】
塵埃分離集塵部19内の負圧は、本体接続口23、延長管15、および吸込口体16を順次に通じて吸込口27に作用する。電気掃除機1は、吸込口27に作用した負圧によって、被掃除面上の塵埃を空気とともに吸い込んで被掃除面を掃除する。塵埃分離集塵部19は、電気掃除機1に吸い込まれた含塵空気から塵埃を分離し、蓄積する一方で、含塵空気から分離した空気を電動送風機18へ送る。電動送風機18は、塵埃分離集塵部19から吸い込んだ空気を掃除機本体12外へ排気する。
【0032】
次いで、電気掃除機1の入力部26で受け付ける入力の検知回路について詳細に説明する。
【0033】
図2は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の入力検知回路および充電経路接続検知回路の構成図である。
【0034】
図2に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1は、入力部26が受け付ける操作入力を検知する入力検知回路31と、二次電池13の充電装置が二次電池13に接続されているか否かを検知する充電経路接続検知回路32と、を備えている。
【0035】
入力検知回路31は、例えば5ボルトの制御電圧を出力する制御用電源部を介して二次電池13に接続されている。制御用電源部は電圧レギュレーターである。つまり、入力検知回路31の第一電路35には、二次電池13が蓄える電力によって電圧が印加される。なお、制御用電源部は、充電用コネクター25を介して充電装置から供給される電力によっても制御電圧を出力することができる。換言すると、入力検知回路31の第一電路35には、充電用コネクター25を介して充電装置から供給される電力によっても電圧が印加される。
【0036】
入力検知回路31は、第一プルアップ抵抗36と、第一保護抵抗37と、主スイッチ26aおよび運転モード切替スイッチ26bを含む抵抗分圧回路38と、を備えている。
【0037】
第一プルアップ抵抗36は、制御用電源部と抵抗分圧回路38とを繋ぐ第一電路35に設けられている。
【0038】
第一保護抵抗37は、入力検知回路31と本体制御部21とを繋ぐ第一電路35に設けられている。
【0039】
抵抗分圧回路38は、スイッチ26a、26bのそれぞれに直列に接続される複数の抵抗39a、39bを備えている。抵抗39aは、第一プルアップ抵抗36と主スイッチ26aとを繋ぐ第一電路35に設けられている。抵抗39bは、第一プルアップ抵抗36と運転モード切替スイッチ26bとを繋ぐ第一電路35に設けられている。抵抗39aと主スイッチ26aとの組み合わせと、抵抗39bと運転モード切替スイッチ26bとの組み合わせとは、並列に接続されている。
【0040】
抵抗分圧回路38は、主スイッチ26aおよび運転モード切替スイッチ26bの操作に対応して制御用電源部の出力電圧の分圧値を変化させる。抵抗分圧回路38が変化させる制御用電源部の出力電圧の分圧値は、本体制御部21が受け取る操作信号である。本体制御部21は、スイッチ26a、26bによって第一電路35が通電すると電動送風機18の運転状態を変化させる。つまり、本体制御部21は、主スイッチ26aによって第一電路35が通電すると電動送風機18を始動または停止させる。本体制御部21は、運転モード切替スイッチ26bによって第一電路35が通電すると電動送風機18の運転モードを切り替える。
【0041】
スイッチ26a、26b(第一スイッチ)は、第一電路35に設けられて第一電路35の通電と通電の遮断とを切り替えて操作入力を受け付ける。スイッチ26a、26bは、モーメンタリスイッチである。スイッチ26a、26bは、押し下し時にクリック感のあるタクタイルスイッチやメンブレンスイッチであることが好ましい。スイッチ26a、26bは、押し下されると、閉じて第一電路35を通電させ、押し下す力が失われると、開いて第一電路35の通電を遮断する。
【0042】
また、充電経路接続検知回路32は、入力検知回路31と同様に、制御用電源部を介して二次電池13に接続されている。つまり、充電経路接続検知回路32の第二電路45には、二次電池13が蓄える電力によって電圧が印加される。
【0043】
充電経路接続検知回路32は、第二プルアップ抵抗46と、第二保護抵抗47と、プラグイン検知スイッチ48と、を備えている。
【0044】
第二プルアップ抵抗46は、制御用電源部とプラグイン検知スイッチ48とを繋ぐ第二電路45に設けられている。
【0045】
第二保護抵抗47は、充電経路接続検知回路32と本体制御部21とを繋ぐ第二電路45に設けられている。
【0046】
プラグイン検知スイッチ48(第三スイッチ)は、充電装置が二次電池13に接続されている場合には、開いて第二電路45の通電を遮断し、充電装置が二次電池13から取り外された場合には、閉じて第二電路45を通電させる。プラグイン検知スイッチ48は、二次電池13の充電用コネクター25に差し込まれる充電装置のプラグに押し込まれると開き、二次電池13の充電用コネクター25から充電装置のプラグが引き抜かれると閉じる。
【0047】
そして、入力検知回路31は、二次電池13とスイッチ26a、26bとを繋ぐ第一電路35に設けられて所定の事象に応じて第一電路35の通電と通電の遮断とを切り替える電源遮断用スイッチ51(第二スイッチ)を備えている。
【0048】
電源遮断用スイッチ51は、スイッチング素子、例えばPNP型のトランジスターである。電源遮断用スイッチ51は、制御用電源部と入力検知回路31の第一プルアップ抵抗36とを繋ぐ第一電路35に設けられている。電源遮断用スイッチ51のエミッターは、制御用電源部に繋がれている。電源遮断用スイッチ51のベースは、充電経路接続検知回路32の第二プルアップ抵抗46とプラグイン検知スイッチ48とを繋ぐ第二電路45に繋がれている。電源遮断用スイッチ51のコレクターは、入力検知回路31の第一プルアップ抵抗36に繋がれている。
【0049】
二次電池13の充電用コネクター25から充電装置のプラグが引き抜かれている場合には、プラグイン検知スイッチ48が閉じる。そうすると、電源遮断用スイッチ51のエミッターからベースへ向かってベース電流が流れ、かつ電源遮断用スイッチ51のエミッターからコレクターへ向かってコレクター電流が流れる。つまり、電源遮断用スイッチ51が閉じて入力検知回路31の抵抗分圧回路38に電圧が印加される。この状態では、入力部26は、スイッチ26a、26bへの操作入力を検知することができる。したがって、本体制御部21は、入力部26への操作入力に応じて電動送風機18を運転する。
【0050】
一方、二次電池13の充電用コネクター25に充電装置のプラグが差し込まれている場合には、プラグイン検知スイッチ48が開く。そうすると、電源遮断用スイッチ51のベース電流が遮断され、かつ電源遮断用スイッチ51のコレクター電流が遮断される。つまり、電源遮断用スイッチ51が開いて入力検知回路31の抵抗分圧回路38に電圧が印加されない。この状態では、入力部26は、スイッチ26a、26bへの操作入力を検知しない。したがって、本体制御部21は、入力部26への操作入力は無効化される。
【0051】
換言すると、電源遮断用スイッチ51は、二次電池13の充電用コネクター25に充電装置のプラグが差し込まれているか否かという事象に応じて第一電路35の通電と通電の遮断とを切り替える。電源遮断用スイッチ51は、二次電池13の充電用コネクター25に充電装置のプラグが差し込まれている場合には、開いて第一電路35の通電を遮断し、二次電池13の充電用コネクター25に充電装置のプラグが差し込まれていない場合には、閉じて第一電路35を通電させる。このように動作する入力検知回路31は、スイッチ26a、26b内のプリント基板にエレクトロケミカルマイグレーションが発生して、スイッチ26a、26bが使用者の意図に依らず不規則に短絡することがあっても、二次電池13の充電用コネクター25に充電装置のプラグが差し込まれている場合には、電動送風機18が不意に運転を開始したり、電動送風機18が不意に運転を停止したり、電動送風機18の運転出力が不意に変わったりすることを防ぐことができる。なお、二次電池13の充電用コネクター25に充電装置のプラグが差し込まれている場合には、二次電池13は充電中、および充電終了後の待機中のいずれかの状態にある。
【0052】
次いで、本発明の実施形態に係る電気掃除機1の入力検知回路31の他の例について説明する。なお、他の例で説明する入力検知回路31Aにおいて入力検知回路31と同じ構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0053】
図3は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の入力検知回路の他の例の構成図である。
【0054】
図3に示すように、本実施形態に係る入力検知回路31Aの電源遮断用スイッチ51は、二次電池13の充電用コネクター25に充電装置のプラグが差し込まれているか否かという事象に代えて、二次電池13に充電電圧が印加されているか否かという事象に応じて第一電路35の通電と通電の遮断とを切り替える。
【0055】
二次電池13は、充電装置から充電電圧が印加されると、本体制御部21へ充電電圧の印加を知らせる信号を送信する充電回路61を有している。充電回路61は、充電装置から充電電圧が印加されなくなると、本体制御部21へ充電電圧の印加を知らせる信号の送信を止める。本体制御部21は、この信号の有無によって二次電池13へ充電電圧が印加されているか否かを判断する。
【0056】
電源遮断用スイッチ51のベースは、本体制御部21に繋がれている。本体制御部21は、二次電池13の充電電圧の印加の有無に基づいて、ベース電流を入り切りする。本体制御部21は、二次電池13の充電電圧を検知することによって、二次電池13の充電が完了したか否かを検知可能な充電回路61に接続されている。
【0057】
本体制御部21は、二次電池13が充電中であって、二次電池13へ充電電圧が印加されている場合には、ベース電流を切り、二次電池13が満充電されて、二次電池13への充電電圧が印加されていない場合には、ベース電流を流す。換言すると、本体制御部21は、二次電池13の充電の完了を未検知の場合には、電源遮断用スイッチ51を開いて二次電池13とスイッチ26a、26bとを繋ぐ第一電路35の通電を遮断し、二次電池13の充電の完了を検知した場合には、電源遮断用スイッチ51を閉じて二次電池13とスイッチ26a、26bとを繋ぐ第一電路35を通電させる。
【0058】
したがって、二次電池13が満充電されて、二次電池13への充電電圧が印加されていない場合には、電源遮断用スイッチ51のエミッターからベースへ向かってベース電流が流れ、かつ電源遮断用スイッチ51のエミッターからコレクターへ向かってコレクター電流が流れる。つまり、電源遮断用スイッチ51が閉じて入力検知回路31Aの抵抗分圧回路38に電圧が印加される。この状態では、入力部26は、スイッチ26a、26bへの操作入力を検知することができる。したがって、本体制御部21は、入力部26への操作入力に応じて電動送風機18を運転する。
【0059】
一方、二次電池13が充電中であって、二次電池13へ充電電圧が印加されている場合には、電源遮断用スイッチ51のベース電流が遮断され、かつ電源遮断用スイッチ51のコレクター電流が遮断される。つまり、電源遮断用スイッチ51が開いて入力検知回路31Aの抵抗分圧回路38に電圧が印加されない。この状態では、入力部26は、スイッチ26a、26bへの操作入力を検知しない。したがって、本体制御部21は、入力部26への操作入力は無効化される。
【0060】
換言すると、電源遮断用スイッチ51は、二次電池13が充電されているか否かという事象に応じて第一電路35の通電と通電の遮断とを切り替える。電源遮断用スイッチ51は、二次電池13が充電されている場合には、開いて第一電路35の通電を遮断し、二次電池13が充電されていない場合には、閉じて第一電路35を通電させる。このように動作する入力検知回路31Aは、スイッチ26a、26b内のプリント基板にエレクトロケミカルマイグレーションが発生して、スイッチ26a、26bが使用者の意図に依らず不規則に短絡することがあっても、二次電池13を充電している場合には、電動送風機18が不意に運転を開始したり、電動送風機18が不意に運転を停止したり、電動送風機18の運転出力が不意に変わったりすることを防ぐことができる。
【0061】
なお、電源遮断用スイッチ51を開閉させる「所定の事象」は、二次電池13の充電用コネクター25に充電装置のプラグが差し込まれているか否かという第一事象、および二次電池13に充電電圧が印加されているか否かという第二事象に限られない。例えば、「所定の事象」は、電気掃除機1が収納台に納められているか否かという第三事象や、掃除機本体12の把手11が使用者によって把持されているか否かという第四事象のように、電気掃除機1の使用態様に係わる事象であっても良い。
【0062】
第三事象が電源遮断用スイッチ51を開閉させる事象に適用する場合には、電気掃除機1は、例えば、掃除機本体12が収納台に連結されたことを検知可能なセンサー、またはスイッチを備えていることが好ましい。
【0063】
掃除機本体12が収納台から離脱している場合には、電源遮断用スイッチ51のエミッターからベースへ向かってベース電流が流れ、かつ電源遮断用スイッチ51のエミッターからコレクターへ向かってコレクター電流が流れる。つまり、電源遮断用スイッチ51が閉じて入力検知回路31、31Aの抵抗分圧回路38に電圧が印加される。この状態では、入力部26は、スイッチ26a、26bへの操作入力を検知することができる。したがって、本体制御部21は、入力部26への操作入力に応じて電動送風機18を運転する。
【0064】
一方、掃除機本体12が収納台に納められている場合には、電源遮断用スイッチ51のベース電流が遮断され、かつ電源遮断用スイッチ51のコレクター電流が遮断される。つまり、電源遮断用スイッチ51が開いて入力検知回路31Aの抵抗分圧回路38に電圧が印加されない。この状態では、入力部26は、スイッチ26a、26bへの操作入力を検知しない。したがって、本体制御部21は、入力部26への操作入力は無効化される。
【0065】
第四事象が電源遮断用スイッチ51を開閉させる事象に適用する場合には、電気掃除機1は、例えば、把手11が握られているか否かを検知可能なセンサー、またはスイッチを備えていることが好ましい。
【0066】
把手11が握られている場合には、電源遮断用スイッチ51のエミッターからベースへ向かってベース電流が流れ、かつ電源遮断用スイッチ51のエミッターからコレクターへ向かってコレクター電流が流れる。つまり、電源遮断用スイッチ51が閉じて入力検知回路31、31Aの抵抗分圧回路38に電圧が印加される。この状態では、入力部26は、スイッチ26a、26bへの操作入力を検知することができる。したがって、本体制御部21は、入力部26への操作入力に応じて電動送風機18を運転する。
【0067】
一方、把手11が握られていない場合には、電源遮断用スイッチ51のベース電流が遮断され、かつ電源遮断用スイッチ51のコレクター電流が遮断される。つまり、電源遮断用スイッチ51が開いて入力検知回路31Aの抵抗分圧回路38に電圧が印加されない。この状態では、入力部26は、スイッチ26a、26bへの操作入力を検知しない。したがって、本体制御部21は、入力部26への操作入力は無効化される。
【0068】
なお、電源遮断用スイッチ51によって、「所定の事象」に応じて電圧の印加状態が変化するスイッチ26a、26bは、少なくともいずれか1つのスイッチ26a、26bを含んでいれば良い。なお、少なくとも主スイッチ26aを含んでいることが好ましい。
【0069】
また、電源遮断用スイッチ51を入り切りする「所定の事象」は、第一事象から第四事象の少なくとも1つを含んでいれば良い。電源遮断用スイッチ51を入り切りする「所定の事象」は、これら複数の事象を組み合わせた論理積によって成立する条件や論理和によって成立する条件であっても良い。
【0070】
以上のように、本実施形態に係る電気掃除機1は、二次電池13とスイッチ26a、26bとを繋ぐ第一電路35に設けられて所定の事象に応じて第一電路35の通電と通電の遮断とを切り替える電源遮断用スイッチ51を備えている。そのため、電気掃除機1は、スイッチ26a、26bへの操作入力の有効化と無効化とを所定の事象が生じているか否かに応じて切り換えることができる。したがって、電気掃除機1は、スイッチ26a、26b内のプリント基板でエレクトロケミカルマイグレーションによる絶縁抵抗値の低下が発生した場合であっても、電動送風機が不意に運転を開始したり、電動送風機が不意に運転を停止したり、電動送風機の運転出力が不意に変わったりすることで生じる利便性の低下を抑制できる。
【0071】
また、本実施形態に係る電気掃除機1は、二次電池13の充電中と、二次電池13の充電終了後の待機中と、を所定の事象に含んでいる。そのため、電気掃除機1は、例えばエレクトロケミカルマイグレーションによって主スイッチ26aが不意に短絡した場合であっても、二次電池13の充電中、あるいは充電終了後の待機中に、二次電池13の電力を浪費しない。
【0072】
さらに、本実施形態に係る電気掃除機1は、スイッチ26a、26bとしてタクタイルスイッチを備えている。タクタイルスイッチは、一般にプリント基板を内蔵しているため、エレクトロケミカルマイグレーションによる不規則な短絡が顕在化しやすい。しかしながら、電気掃除機1は、所定の事象に応じてスイッチ26a、26bの有効化と無効化とを適宜に切り替えることができるので、エレクトロマイグレーション耐性が不十分な、安価なタクタイルスイッチの採用によるコスト削減を図りやすい。
【0073】
また、本実施形態に係る電気掃除機1は、充電用コネクター25を介して充電装置から供給される電力によっても電圧が印加される入力検知回路31、31Aを備えている。そのため、電気掃除機1は、充電中の二次電池13の充電率が不十分であった場合でも、所定の事象に応じてスイッチ26a、26bの有効化と無効化とを確実に切り替えることができる。
【0074】
さらに、本実施形態に係る電気掃除機1は、所定の事象に応じて主スイッチ26aの有効化と無効化とを切り替える。そのため、電気掃除機1は、エレクトロケミカルマイグレーションによって主スイッチ26aが不意に短絡した場合であっても、二次電池13の充電中、あるいは充電終了後の待機中に、二次電池13の電力を浪費しない。
【0075】
また、本実施形態に係る電気掃除機1は、所定の事象に応じて主スイッチ26aの有効化と無効化とを切り替える。そのため、電気掃除機1は、エレクトロケミカルマイグレーションによって運転モード切替スイッチ26bが不意に短絡した場合であっても、電気掃除機1を再運転した際に、使用者が選択した前回の運転モードが不意に切り替わることを容易に防ぐことができる。
【0076】
さらに、本実施形態に係る電気掃除機1は、プラグイン検知スイッチ48が閉じると電源遮断用スイッチ51が閉じて二次電池13とスイッチ26a、26bとを繋ぐ第一電路35を通電させ、プラグイン検知スイッチ48が開くと電源遮断用スイッチ51が開いて二次電池13とスイッチ26a、26bとを繋ぐ第一電路35の通電を遮断する。そのため、電気掃除機1は、充電装置のプラグの抜き差しによって「所定の事象」を容易に検知してスイッチ26a、26bの有効化と無効化とを確実に切り替えることができる。
【0077】
また、本実施形態に係る電気掃除機1は、二次電池13の充電の完了を検知した場合には、電源遮断用スイッチ51を閉じて二次電池13とスイッチ26a、26bとを繋ぐ第一電路35を通電させ、二次電池13の充電の完了を未検知の場合には、電源遮断用スイッチ51を開いて二次電池13とスイッチ26a、26bとを繋ぐ第一電路35の通電を遮断する。そのため、電気掃除機1は、二次電池13の充電電圧によって「所定の事象」を容易に検知してスイッチ26a、26bの有効化と無効化とを確実に切り替えることができる。
【0078】
したがって、本実施形態に係る電気掃除機1によれば、スイッチ26a、26b内のプリント基板でエレクトロケミカルマイグレーションによる絶縁抵抗値の低下が発生した場合であっても、利便性の低下を抑制できる。
【0079】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
1…電気掃除機、11…把手、12…掃除機本体、13…二次電池、15…延長管、16…吸込口体、17…本体ケース、17a…前半部、17b…後半部、18…電動送風機、19…塵埃分離集塵部、21…本体制御部、23…本体接続口、25…充電用コネクター、26a…主スイッチ、26b…運転モード切替スイッチ、27…吸込口、26…入力部、28…回転清掃体、29…電動機、31、31A…入力検知回路、32…充電経路接続検知回路、35…第一電路、36…第一プルアップ抵抗、37…第一保護抵抗、38…抵抗分圧回路、39a、39b…抵抗、45…第二電路、46…第二プルアップ抵抗、47…第二保護抵抗、48…プラグイン検知スイッチ、51…電源遮断用スイッチ、61…充電回路。
図1
図2
図3