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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】開閉装置及び開閉制御方法
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/73 20150101AFI20240405BHJP
   E05F 15/79 20150101ALI20240405BHJP
   E05F 15/60 20150101ALI20240405BHJP
【FI】
E05F15/73
E05F15/79
E05F15/60
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020066995
(22)【出願日】2020-04-02
(65)【公開番号】P2021161824
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114166
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 浩三
(72)【発明者】
【氏名】若井 孝仁
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-234475(JP,A)
【文献】特開2002-4715(JP,A)
【文献】特開平3-66888(JP,A)
【文献】特開昭62-225679(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00 - 15/79
E06B 9/00 - 9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部に設けられる開閉体手段と、
前記開口部の所定領域に存在する物体等を感知し、感知信号を出力する感知手段と、
前記感知信号の入力に応じて前記開閉体手段の動作を電動にて制御する制御手段であって、開動作後に所定位置に停止中の前記開閉体手段を自動降下タイマの設定時間の経過後に自動的に閉動作するように制御する制御手段を備える開閉装置において、
前記制御手段は、前記物体等を感知することによって前記感知手段から出力される前記感知信号の回数に基づいて前記自動降下タイマの時間を設定するものであって、
前記自動降下タイマの時間経過後の閉動作時に出力された前記感知信号の回数に基づいて、前記自動降下タイマの時間が長くなるように前記自動降下タイマの時間を設定し、
前記自動降下タイマの計時中に前記感知信号が出力されなかった場合の回数に基づいて、前記自動降下タイマの時間が短くなるように前記自動降下タイマの時間を設定することを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
請求項1に記載の開閉装置において、
前記制御手段は、所定時間毎にカウントした前記感知信号の回数に基づいて、前記自動降下タイマの時間を設定することを特徴とする開閉装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の開閉装置において、
前記自動降下タイマは、予め設定された変更可能範囲内において、時間の設定が変更されることを特徴とする開閉装置。
【請求項4】
開口部に設けられる開閉体手段と、前記開口部の所定領域に存在する物体等を感知し、感知信号を出力する感知手段と、前記感知信号の入力に応じて、前記開閉体手段の動作を電動にて制御する制御手段であって、開動作後に所定位置に停止中の前記開閉体手段を自動降下タイマの設定時間の経過後に自動的に閉動作するように制御する制御手段とを備える開閉装置の開閉動作を制御する開閉制御方法において、
前記物体等を感知することによって前記感知手段から出力される前記感知信号の回数に基づいて前記自動降下タイマの時間を設定するものであって、
前記自動降下タイマの時間経過後の閉動作時に出力された前記感知信号の回数に基づいて、前記自動降下タイマの時間が長くなるように前記自動降下タイマの時間を設定し、
前記自動降下タイマの計時中に前記感知信号が出力されなかった場合の回数に基づいて、前記自動降下タイマの時間が短くなるように前記自動降下タイマの時間を設定することを特徴とする開閉制御方法。
【請求項5】
請求項に記載の開閉制御方法において、
所定時間毎にカウントした前記感知信号の回数に基づいて、前記自動降下タイマの時間を設定することを特徴とする開閉制御方法。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の開閉制御方法において、
前記自動降下タイマに予め設定された変更可能範囲内において、時間の設定を変更することを特徴とする開閉制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビル、工場、倉庫などの建物を含む構造物躯体の開口部などをシャッターなどの開閉体を用いて仕切るように構成された開閉装置及び開閉制御方法に係り、特に人の通過時に自動的に開閉動作を実行する開閉装置及び開閉制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シャッターカーテンや自動ドアなどのような開閉装置は、住宅、ビル、工場、倉庫、車庫などの建物を含む構造物躯体の開口部や窓部あるいは内部の通路や空間などの開口部に設置され、その開閉体を移動させることによってその開口部を開放、閉鎖するものである。
このような開閉装置には、多数の短冊状のスラット材からなるスラットカーテン、多数のパイプ材をリンク材などで連結させてなるパイプグリルカーテン、一枚状あるいは多数連結されたパネル材からなるパネルカーテン、ネット材からなるネットカーテン、合成樹脂あるいは布繊維製のシート材からなるシートカーテン、あるいはこれらの複合部材などからなる複合カーテンなどの開閉体を開口部の上部から繰り出し下降させて開口部全体を閉鎖するように構成されているものや引き戸タイプ、二重引き戸タイプ、回転ドアタイプ、開き戸タイプなどの自動ドアなどが存在する。
これらの開閉装置は、開閉体の開閉動作を電動で行なう場合が多い。電動の開閉装置としては、電動シャッター装置、電動ドア装置、電動オーニング装置などがある。
【0003】
電動の開閉装置の中には、開閉体の下側に座板スイッチを備えたものや開口部の前後に光電センサなどの感知センサを備えたものが存在する。座板スイッチや光電センサなどの感知センサが開閉動作中に何らかの物体や人に接触したり、物体や人の存在を感知したりすると、それによって検出信号を出力し、その検出信号に応じて制御装置は物体の挟み込みなどを回避するために開閉体の開閉動作を停止し、回避動作を行なうように開閉体の動作を制御している。
【0004】
一方、ビル、工場、倉庫などの建物を含む構造物躯体の開口部に設置されるシャッターやドアなどの開閉装置の中には、閉め忘れ防止のために、自動閉鎖モードを備えたものがある。この自動閉鎖モードは、シャッターやドアが全開して上限リミットが入力されると、自動閉鎖用タイマのカウントを開始し、この自動閉鎖用タイマのカウントによって設定時間(閉鎖開始時間)が経過すると、シャッターやドアが自動で閉鎖することによって、シャッターやドアの閉め忘れを防止している。なお、構造物躯体の開口部である窓において、閉め忘れを防止するように構成された自動閉鎖窓の開閉装置に関するものとして、特許文献1に記載されたものが知られている。
【0005】
【文献】特開2003-343156号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のものは、構造物躯体の窓の閉め忘れを防止するものであり、通常は人の出入や自動車等が通過することはないので、そのまま自動的に閉鎖動作を実行してもよい場合が多い。しかしながら、人の出入や自動車等が通過可能な開口部については、人や自動車等が通過中であったり、物体等が存在したりするおそれがあるため、降下開始時間などの設定時間の経過と共にシャッターを自動降下させることは好ましくない場合がある。
【0007】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、自動的に閉鎖するような開閉装置の自動閉鎖のタイミングを人の出入等に応じて最適化することのできる開閉装置及び開閉制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る開閉装置の第1の特徴は、開口部に設けられる開閉体手段と、前記開口部の所定領域に存在する物体等を感知し、感知信号を出力する感知手段と、前記感知信号の入力に応じて前記開閉体手段の動作を電動にて制御する制御手段であって、開動作後に所定位置に停止中の前記開閉体手段を自動降下タイマの設定時間の経過後に自動的に閉動作するように制御する制御手段を備える開閉装置において、前記制御手段は、前記物体等を感知することによって前記感知手段から出力される前記感知信号の回数に基づいて前記自動降下タイマの時間を設定することにある。
これは、感知手段から出力される感知信号の回数は、開閉手段が設置される場所に応じて種々異なることが知られている。例えば、工場の製造ラインの出入口、作業・検品・出荷場所等の出入口、倉庫の出入口、駐輪・駐車場の出入口、一般家庭の出入口、商品等の搬入口、建物の出入口などに開閉装置が設置される場合、感知信号の回数はその設置個所毎に特定の傾向を示す。店舗などの建物の出入口は人の出入が多く、感知信号の回数は非常に多くなる傾向を示し、作業・検品・出荷場所等の出入口は、人や物の出入は少なく、感知信号の回数も少ない傾向を示す。そこで、感知信号の回数が多い時間帯や多い出入口については、自動降下タイマの設定時間を比較的長めに設定し、逆に感知信号の回数が少ない時間帯や出入口については、自動降下タイマの設定時間を比較的短めに設定する。これによって、自動降下タイマの設定時間経過後に自動的に閉鎖するような開閉装置の自動閉鎖のタイミングを人や物の出入等に応じて最適化することができる。
【0009】
本発明に係る開閉装置の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の開閉装置において、前記制御手段は、所定時間毎にカウントした前記感知信号の回数に基づいて、前記自動降下タイマの時間を設定することにある。
感知信号の回数は開閉装置の設置個所毎に特定の傾向を示すことが知られているので、感知信号の回数を所定時間毎、例えば10分間隔でカウントし、そのカウント値の度数分布を作成することによって、その開閉装置設置個所の出入口の人や物の出入の頻度を把握することが可能となる。人や物の出入が多い時間帯とそうでない無検知時間帯が存在するので、それぞれの度数分布に応じて時間帯で自動降下タイマの時間を設定する。これよって、開閉装置の自動閉鎖のタイミングを人や物の出入等に応じた時間帯毎に最適化することができる。
【0010】
本発明に係る開閉装置の第3の特徴は、前記第1又は第2の特徴に記載の開閉装置において、前記制御手段は、前記自動降下タイマの時間経過後の閉動作時に出力された前記感知信号の回数に基づいて、前記自動降下タイマの時間が長くなるように前記自動降下タイマの時間を設定し、前記自動降下タイマの計時中に前記感知信号が出力されなかった場合の回数に基づいて、前記自動降下タイマの時間が短くなるように前記自動降下タイマの時間を設定することにある。
これは、自動降下タイマの時間が経過して、開閉体手段の閉動作時に感知信号が出力したということは、開閉体手段の閉動作中に感知手段によって人や物体が感知されたということである。このような場合は、自動降下タイマの設定時間が小さ過ぎることによって発生することが多いので、自動公開タイマの設定時間が長くなるように時間を設定する。一方、自動降下タイマの計時中にタイマリセット信号を受信することなく、そのままタイムアップし、自動降下を開始したということは、自動降下タイマの設定時間が大き過ぎることによって発生することが多いので、その回数に自動降下タイマの時間が短くなるように時間を設定する。これによって、開閉装置の自動閉鎖のタイミングを人や物の出入等に応じてリアルタイムに変更して最適化することができる。
【0011】
本発明に係る開閉装置の第4の特徴は、前記第1、第2又は第3の特徴に記載の開閉装置において、前記自動降下タイマは、予め設定された変更可能範囲内において、時間の設定が変更されることにある。
これは、自動降下タイマに設定可能な時間は、予め変更可能範囲として設定されており、この範囲内で自動降下タイマの時間が設定されるようにしたものである。例えば、自動降下タイマの設定時間の初期設定値を5秒として、その変更可能な範囲を±2秒とすれば、自動降下タイマの時間は3~7秒の間で設定されるようになる。また、初期設定値を10秒として、その変更可能な範囲を±5秒とすれば、自動降下タイマの時間は5~15秒の間で設定されるようになる。これによって、開閉手段が設置される場所に応じて種々異なる自動降下タイマの変更可能な範囲を設定でき、その範囲内で最適な時間を設定することができる。
本発明に係る開閉制御方法の第1の特徴は、開口部に設けられる開閉体手段と、前記開口部の所定領域に存在する物体等を感知し、感知信号を出力する感知手段と、前記感知信号の入力に応じて、前記開閉体手段の動作を電動にて制御する制御手段であって、開動作後に所定位置に停止中の前記開閉体手段を自動降下タイマの設定時間の経過後に自動的に閉動作するように制御する制御手段とを備える開閉装置の開閉動作を制御する開閉制御方法において、前記物体等を感知することによって前記感知手段から出力される前記感知信号の回数に基づいて前記自動降下タイマの時間を設定することにある。
これは、前記第1の特徴に記載の開閉装置に対応した開閉制御方法の発明である。
【0012】
本発明に係る開閉制御方法の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の開閉制御方法において、所定時間毎にカウントした前記感知信号の回数に基づいて、前記自動降下タイマの時間を設定することにある。
これは、前記第2の特徴に記載の開閉装置に対応した開閉制御方法の発明である。
【0013】
本発明に係る開閉制御方法の第3の特徴は、前記第1又は第2の特徴に記載の開閉制御方法において、前記自動降下タイマの時間経過後の閉動作時に出力された前記感知信号の回数に基づいて、前記自動降下タイマの時間が長くなるように前記自動降下タイマの時間を設定し、前記自動降下タイマの計時中に前記感知信号が出力されなかった場合の回数に基づいて、前記自動降下タイマの時間が短くなるように前記自動降下タイマの時間を設定することにある。
これは、前記第3の特徴に記載の開閉装置に対応した開閉制御方法の発明である。
【0014】
本発明に係る開閉制御方法の第4の特徴は、前記第1、第2又は第3の特徴に記載の開閉制御方法において、前記自動降下タイマに予め設定された変更可能範囲内において、時間の設定を変更することにある。
これは、前記第4の特徴に記載の開閉装置に対応した開閉制御方法の発明である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の開閉装置及び開閉制御方法によれば、自動的に閉鎖するような開閉装置の自動閉鎖のタイミングを人の出入等に応じて最適化することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の開閉装置の一例であるロールスクリーン装置の外観を示す図である。
図2図1のロールスクリーン装置を正面から見た一部透視図である。
図3図2のロールスクリーン装置を右側から見た側面図である。
図4図2及び図3のロールスクリーン装置のモータの駆動を制御する制御システムを構築する入出力端子台、モータドライブ基板及びパラメータ設定ユニットの接続関係の概略を示す図である。
図5】この実施の形態に係る開閉装置の入出力端子台が実行する自動降下処理の一例を示すフローチャート図である。
図6】この実施の形態に係る開閉装置のパラメータ設定ユニットが実行するタイマ最適化処理の一例を示すフローチャート図である。
図7】障害物感知信号の入力を10分毎にカウントした回数の一例を示す度数分布を表したヒストグラム図である。
図8図7の月曜日の度数分布に基づいて、自動降下タイマの降下時間を決定する処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下添付図面に従って本発明に係る開閉装置の好ましい実施の形態について説明する。この実施の形態では、開閉装置として上下に開閉(昇降)制御されるロールスクリーン装置を例に説明する。図1は、本発明の開閉装置の一例であるロールスクリーン装置の外観を示す図である。図2は、図1のロールスクリーン装置を正面から見た一部透視図である。図3は、図2のロールスクリーン装置を右側から見た側面図である。
【0018】
ロールスクリーン装置10は、構造物躯体の開口部上の天井部に直接又は他の部材を介して間接的に設けられたり、上方の梁に直接又は他の部材を関して間接的に設けられたりする。このロールスクリーン装置10は、それぞれ収納ボックス11、ガイドレール12,13、巻取シャフト14、合成繊維製布地からなるスクリーンカーテン15、及びウェイトバー16から構成される。
【0019】
このロールスクリーン装置10は、上方が開方向で下方が閉方向であり、上方の天井部等に収納ボックス11を備えている。ロールスクリーン装置10は、材質が合成繊維製布地(ポリエステルなど)からなるカーテン布からなるスクリーンカーテン15を巻取シャフト14に巻き取ったり巻戻したりすることによって、その先端側が出入口部を開閉移動するものである。このスクリーンカーテン15の両側にはファスナー部がその全長に渡って設けられている。このファスナー部は、ガイドレール12,13内に設けられたインナーレール内に挟み込まれて上下方向に自在に摺動するようになっている。このファスナー部は、通常のスライドファスナー(滑り式留金具)の噛み合う部分であるエレメントを利用したものである。このファスナー部は、エレメントが丹銅・アルミ・洋白などの金属で出来ている金属製ファスナーやエレメントがコイル状のポリエステル樹脂でできている樹脂ファスナーやポリアセタールなどの樹脂製のエレメントがテープに射出成型されたビスロンファスナーなどで構成される。
【0020】
ガイドレール12,13内にインナーレールが設けられているが、その図示は省略して示してある。図1及び図2では、スクリーンカーテン15の両側にガイドレール12,13がその全長に渡って設けられているように示してあるが、実際はガイドレール12,13内にインナーレールが設けられており、カーテン布の両側は、このガイドレール12,13内に挟み込まれて上下方向に自在に摺動するような構成になっている。
【0021】
巻取シャフト14は、収納ボックス11内の左右両側側面の内壁面に設けられた軸受け部(図示せず)とロールエンド部(図示せず)との間に回転可能に取り付けられている。スクリーンカーテン15は、その一端部が巻取シャフト14に取り付けられており、その他端部にウェイトバー16が取り付けられており、収納ボックス11の下端部に設けられたスリット状の出入口に案内されるようになっている。従って、スクリーンカーテン15は、巻取シャフト14の回転に応じて、巻取シャフト14に巻き取られたり、スリット状の出入口から繰り出されたりするようになっている。なお、巻取り時にスクリーンカーテン15が収納ボックス11内で弛んだりした場合の異常状態を検出するための異常検出センサ(図示せず)が収納ボックス11の内壁面に取り付けられている。スクリーンカーテン15の閉鎖側先端部に、障害物検知装置が設けてあってもよい。
【0022】
巻取シャフト14は、中空パイプ形状をしており、この中空部分に内挿された電動モータ17によって回転制御される。電動モータ17の本体外側と巻取シャフト14の内側とが固定され、電動モータ17の出力軸が軸受け部に回転しないようにボルトなどで固定されている。従って、電動モータ17が正方向に回転することによって、スクリーンカーテン15は繰り出されるように閉(下降)動作し、逆方向に回転することによってスクリーンカーテン15は巻き取られるように開(上昇)動作する。すなわち、電動モータ17を正逆方向に回転させることによって開閉体であるスクリーンカーテン15の開閉動作を制御している。
【0023】
この実施の形態において、ロールスクリーン装置10の電動モータ17の駆動を制御する制御システムは、入出力端子台21、モータドライブ基板22及びパラメータ設定ユニット23から構成される。入出力端子台21は、マイクロコンピュータ構成になっており、電源ライン(図示せず)を介して外部から200[V]又は100[V]の交流電圧が供給されており、交流電圧を24[V]の直流電圧に変換し、電源ケーブルを介して、モータドライブ基板22に供給している。
【0024】
入出力端子台21には、1点式又は3点式の押しボタンスイッチやブザー、プルスイッチ、起動用センサ、信号灯、回転灯、ブザー、各種センサ(障害物感知用の光電センサ6,7など)、リモコン用制御回路などの各構成部品が接続される。図では3点式の押しボタンスイッチを示している。入出力端子台21は、ロールスクリーン装置10の全体動作を制御するマイクロコンピュータを内蔵しており、押しボタンの操作状態に対応した制御信号やモータドライブ基板22からの信号などに基づいて、所定の処理モードに従って処理を実行し、電動モータ17の回転を制御する。
【0025】
入出力端子台21は、処理モードを実行するためのプログラムや処理実行に必要な各種パラメータを記憶したメモリ等を内蔵している。入出力端子台21は、パラメータ設定ユニット23を内蔵しており、パラメータ設定信号又は変更信号に基づいて、各種処理モードのパラメータの設定変更を実行できるようになっている。パラメータとして設定される値は、パラメータの用途に応じて、数値や数値以外の値(例えば、処理モード内容を指定する文字列、記号等)である。
【0026】
パラメータ設定ユニット23を内蔵した入出力端子台21は、ガイドレール13の前面側の平坦部に配置されている。本明細書において、図2の開口部に沿った方向の紙面手前方向及び図3の左側をガイドレール12の前面側とし、この反対側を背面側とする。パラメータ設定ユニット23は、入出力端子台21に接続された各構成部品に割り当てられた各パラメータをメモリのアドレスとして管理し、任意のパラメータが設定変更された場合、その設定変更されたパラメータのアドレスを削除せずに残しておき、変更後のパラメータをメモリの別のアドレスに格納することによって、設定値を更新する。これによって、パラメータのデフォルト値は不変となり、変更後のアドレスに基づいて、設定変更されたメモリ内のパラメータにアクセスすることができると共にパラメータの変更履歴を適宜管理できるようにしてある。
【0027】
モータドライブ基板22は、巻取シャフト14及び電動モータ17の下方であって、収納ボックス11内の床面上のスペースに配置される。電動モータ17には、その回転位置すなわちスクリーンカーテン15の開閉位置と開閉状態を検出するためのパルス発生型のロータリーエンコーダ等で構成されるリミットスイッチ(図示せず)が設けられている。モータドライブ基板22は、このリミットスイッチから出力される電動モータ17の回転に応じたパルス信号を入力し、電動モータ17の回転位置やスクリーンカーテン15の閉鎖側先端部の開口部における位置などを、このパルスの発生状況に基づいて演算にて求め、それを入出力端子台21に送信する
【0028】
図4は、図2及び図3のロールスクリーン装置のモータの駆動を制御する制御システムを構築する入出力端子台、モータドライブ基板及びパラメータ設定ユニットの接続関係の概略を示す図である。入出力端子台21とモータドライブ基板22との間、入出力端子台21とパラメータ設定ユニット23との間は、それぞれRS-485の通信ケーブル30,31によって接続されている。RS-485は、アメリカ電子工業会(EIA)により規定されたバス型接続ネットワークシステムの物理層規格であり、マルチポイント接続可能な通信方式である。従って、同じバス上で複数のデバイスを接続することができるので、この実施の形態では、1台の入出力端子台21で、モータドライブ基板22及びパラメータ設定ユニット23の両方を管理している。また、これ以外のデバイスの増減や配置変更も適宜可能である。
【0029】
なお、図4では、入出力端子台21とモータドライブ基板22との間、入出力端子台21とパラメータ設定ユニット23との間は、電源ケーブル32,33を介して直流電圧(電力)が供給される。また、図4では、モータドライブ基板22は、電動モータ17に設けられたリミットスイッチ18からのシャッター位置情報を示す信号を受信し、それに基づいて電動モータ17を制御する。
【0030】
入出力端子台21には、1点式又は3点式の押しボタン24が接続されている。これ以外にも入出力端子台21には、ブザー、プルスイッチ、起動用センサ、信号灯、回転灯、ブザー、各種センサ(障害物感知用の光電センサ6,7など)、リモコン用制御回路などの各種構成部品から出力される状態変化を示す制御信号がそれぞれ入力される。入出力端子台21は、これら各種構成部品から出力される状態変化を示す制御信号を入力した時点で、それに対応した処理を実行するために、通信ケーブル30,31経由でモータドライブ基板22及び/又はパラメータ設定ユニット23に制御信号を送信する。
【0031】
モータドライブ基板22は、通信ケーブル30経由で入力された入出力端子台21からの制御信号に基づいて、電動モータ17の回転を制御する。このとき、電源ケーブル32から供給される直流電圧を交流電圧に変換して、電動モータ17を制御する。また、モータドライブ基板22は、電動モータ17に設けられたリミットスイッチ18からのシャッター位置情報を示す信号を受信し、それに基づいて電動モータ17を制御すると共にシャッター位置情報を示す信号を通信ケーブル30経由にて入出力端子台21に送信する。
【0032】
入出力端子台21は、ガイドレール13の前面側であって、開口部への進入時に操作者が操作しやすい位置に設けてある。3点式の押しボタン24は、開閉停の各動作に対応した制御スイッチとして、上昇(開)ボタン241、停止(停)ボタン242、下降(閉)ボタン243をそれぞれ有し、各押しボタン24の操作状態に応じた制御信号(上昇(開)信号、停止(停)信号、下降(閉)信号)を、通信ケーブル経由で入出力端子台21のマイクロコンピュータに出力する。なお、この3点式の押しボタン24に代えて無線型リモコンスイッチ又は1点式の押しボタンスイッチを用いて操作できるようにしてもよい。
【0033】
パラメータ設定ユニット23は、パラメータ表示部231、エンタースイッチ232、モード選択スイッチ233、及びスクロールスイッチ234,235を備えている。パラメータ表示部231は、パラメータの設定変更用の文字や画像を表示するものであり、入出力端子台21のパラメータメモリ等に記憶されている各種処理モードのパラメータを読み出して、それを画面上に表示すると共にパラメータ設定変更時における各種処理画面等を表示する。エンタースイッチ232は、パラメータ設定ユニット23のパラメータ設定処理モードを起動するためのスイッチ、設定変更するパラメータを決定するためのスイッチ、また設定変更されたパラメータ値を確定するためのスイッチなどとして機能する。モード選択スイッチ233は、パラメータ表示部231の表示画面の表示モードを選択するスイッチとして機能する。スクロールスイッチ234,235は、パラメータ表示部231の表示画面に表示されている内容を上下方向にスクロールさせるスイッチとして機能する。
【0034】
例えば、スクロールスイッチ234,235を操作すると、パラメータ表示部231の表示画面に表示されているパラメータが上下方向に移動するので、設定変更を希望するパラメータを表示させ、そのパラメータの文字が反転表示されている状態で、エンタースイッチ232を操作することによって、該当するパラメータの設定変更が可能な状態となり、設定変更するパラメータに設定可能な設定値が全て表示される。この状態で、さらに、スクロールスイッチ234,235を操作して、表示された設定可能な設定値を上下方向に移動させて所望の設定値を選択し、エンタースイッチ232を操作することによって、設定変更するパラメータの設定値が新たなパラメータとして選択設定される。
【0035】
光電センサ6,7は、人や自動車等の通過状態、及び物体等の存在を確認するために使用される障害物感知装置であり、開口部の下側左右両端に設けられている。なお、図では、ガイドレール12,13の所定箇所に内蔵されている。光電センサ6と光電センサ7が対となるように設けられている。これらの光電センサ6,7は、スクリーンカーテン15の座板の長手方向寸法又は開口部の横幅寸法に相当する距離だけ互いに離間して配置されている。なお、開口部の前後両方及び/又は開口部上方に設けてもよい。
【0036】
光電センサ6には、例えば赤外線等の光を自ら発光する発光素子からなる投光器6aが支持されている。一方、光電センサ7には、光を自ら受光感知する受光素子からなる受光器7aが支持されている。光電センサ6の投光器6aおよび光電センサ7の受光器7aは、互いに向かい合って配置され、開口部の下側位置で座板に沿って走る物体感知用の光線の光路8を形成している。光電センサ6,7が光路8内で人や物体(自動車)を感知した場合には、光電センサアンプ6b,7bのスイッチング機構によって、その感知信号が入出力端子台21に送信される。図1,2において、光路8は、光電センサ6,7の物体感知領域を模式的に示したものである。
入出力端子台21は、光電センサ6の投光器6aと光電センサ7の受光器7aとの間に人や物体(自動車)などが存在するか否かに応じて、スクリーンカーテン15の開放動作及び/又は閉鎖動作を制御する。
【0037】
図5は、この実施の形態に係る開閉装置の入出力端子台が実行する自動降下処理の一例を示すフローチャート図である。図6は、この実施の形態に係る開閉装置のパラメータ設定ユニットが実行するタイマ最適化処理の一例を示すフローチャート図である。以下、これらのフローチャート図を用いて開閉装置が実行する処理の一例を説明する。
【0038】
図5に基づいて入出力端子台21が実行する自動降下処理の一例について説明する。この自動降下処理は、スクリーンカーテン15が下限停止中のときに実行される処理である。
ステップS51では、上昇(開)ボタン241の操作に対応して上昇信号を入力したか否かの判定を行い、入力した(yes)場合は、次のステップS52に進み、そうでない(no)場合はリターンする。
【0039】
ステップS52では、上昇信号の入力に応じてスクリーンカーテン15の上昇処理を実行する。例えば、開の押しボタン241に対応した開の制御信号をモータドライブ基板22に送信する。
ステップS53では、スクリーンカーテン15が上限位置で停止したか否かの判定を行い、上限停止した(yes)場合は次のステップS54に進み、上限停止していない(no)場合はステップS52にリターンして、上限停止位置にスクリーンカーテン15が到達するまで、上昇処理を実施する。なお、上限位置で停止したか否かの判定を行っているが、上限停止位置よりも下方の所定位置であって、この所定位置よりも上方に位置するか否かの判定を行ってもよい。
【0040】
ステップS54では、スクリーンカーテン15が上限停止位置に到達してから自動的に降下するまでの時間(自動降下時間)を計時する自動降下タイマを0にリセットする。
ステップS55では、自動降下タイマをスタートし、自動降下時間の計時処理を開始する。
ステップS56では、タイマリセット信号、すなわち障害物感知用の光電センサ6,7が光路8内に人や物体(自動車)を感知し、その感知信号を入力したか否かの判定を行い、入力有り(yes)の場合はステップS57に進み、入力なし(no)の場合は次のステップS58に進む。
【0041】
ステップS57では、障害物検知用の光電センサ6,7から感知信号を入力した場合に該当するので、タイマリセットフラグTRに1をセットし、ステップS54にリターンする。ステップS54の処理によって、自動降下タイマは再び0にリセットされる。
ステップS58では、自動降下タイマが自動降下時間の計時を達成したか否か、すなわち自動降下タイマがタイムアップしたか否かの判定を行い、タイムアップした(yes)場合は次のステップS59に進み、タイマアップしていない(no)場合はステップS56にリターンする。
【0042】
ステップS54~ステップS58の処理は、スクリーンカーテン15が上限停止してから自動降下タイマに設定の時間が経過するまでの間に、障害物感知用の光電センサ6,7によって人や物体を感知した場合には、降下処理を実行することなく、自動降下タイマをリセットし続けて、タイマの計時処理を再スタートさせ、タイマリセットフラグTRに1をセットする。この場合は、適度の通行量があり、自動降下タイマの設定時間が適切であることを意味する。逆に、スクリーンカーテン15が上限停止してから自動降下タイマに設定の時間が経過するまでの間に、障害物感知用の光電センサ6,7によって人や物体が感知されずにタイマアップした場合には、タイマリセットフラグTRは0のままとなる。この場合は、通行量が少なく、自動降下タイマの設定時間(自動降下時間)が比較的長いことを意味するので、後述する処理によって自動降下タイマの設定時間を短くする。
【0043】
ステップS59では、前のステップS58で自動降下タイマがタイムアップしたので、タイムアップフラグTUに1をセットする。
ステップS5aでは、自動降下タイマのタイムアップに伴ってスクリーンカーテン15の自動降下処理(自動閉動作処理)を実行する。
ステップS5cでは、障害物感知用の光電センサ6,7が光路8内に人や物体(自動車)を感知し、その感知信号を入力したか否かの判定を行い、入力有り(yes)の場合はステップS5dに進み、入力なし(no)の場合は次のステップS5eに進む。
【0044】
ステップS5dでは、障害物検知用の光電センサ6,7から感知信号を入力したので、反転上昇フラグROに1をセットし、ステップS52にリターンする。ステップS52以降の処理によって、スクリーンカーテン15の反転上昇が実行されるようになる。なお、上述したように上限停止位置よりも下方であって、人や物体の通過の妨げとならない所定位置まで反転上昇させるようにしてもよい。
ステップS5eでは、降下処理によって、スクリーンカーテン15が下限位置に停止したか否かの判定を行い、下限停止した(yes)場合はリターンし、下限位置に到達していない(no)場合はステップS5aにリターンし、下限位置に到達するまで降下処理を実行する。
【0045】
ステップS59~ステップS5eの処理は、スクリーンカーテン15が自動降下してから下限位置に到達するまでの間に障害物感知用の光電センサ6,7によって人や物体(車等)が感知された場合は、自動降下処理を中止して、スクリーンカーテン15を反転上昇させるようにしたものであり、この場合には、反転上昇フラグROに1がセットされることになる。
【0046】
図6のタイマ最適化処理は、図5の開閉処理に応じて変化する各フラグTR,TU及びROの値に応じて自動降下タイマの設定時間を適宜調整するものであり、所定時間毎に実行される割り込み処理である。所定時間(割り込み時間)には、ロールスクリーン装置10のスクリーンカーテン15が下限停止位置から上昇して上限で停止後に自動降下を開始して下限で停止するまでの一連の動作時間に基づいて決定してもよい。また、ステップS54の自動降下タイマのリセット処理に同期して割り込み処理を実行してもよい。さらには、ステップS57、ステップS59又はステップS5dの各フラグに対する1のセット処理に同期して割り込み処理を実行してもよい。また、所定時間(割り込み時間)は所定時間毎に定期的に割り込み処理を実行してもよい。感知信号の入力に応じて割り込み処理を実行してもよい。感知信号の入力に応じて割り込みを実行し、その回数を所定時間毎に計数することによって、後述する1週間分の感知信号入力の度数分布を作成することが可能となる。
【0047】
ステップS61では、反転上昇フラグROが1であるか否かを判定し、1(yes)の場合は、ステップS62に進み、0(no)の場合はステップS63に進む。
ステップS62では、最適化カウンタAの値をインクリメントする。ステップS61で反転上昇フラグROが1であるということは、スクリーンカーテン15の降下中に障害物感知用の光電センサ6,7の光路8内に人や物体を感知したということである。これは、自動降下タイマの設定時間が小さ過ぎることによって発生することが多い現象である。そこで、このステップでは最適化カウンタAの値をインクリメントする。なお、最適化カウンタAの値は、最大値を例えば+10とする。最適化カウンタAの値が最大値+10の場合は、インクリメントによる増加は行わない。
【0048】
ステップS63では、タイマリセットフラグTRが0であって、かつ、タイマアップフラグTUが1であるか否かを判定し、両フラグの値が該当する(yes)場合は、ステップS64に進み、両フラグの値が該当しない(no)場合はステップS65に進む。
ステップS64では、最適化カウンタAの値をデクリメントする。ステップS63の処理において、タイマリセットフラグTRが0で、タイムアップフラグTUが1であるということは、自動降下タイマの計時中にタイマリセット信号を受信することなく、そのままタイムアップし、自動降下を開始したということである。これは、自動降下タイマの設定時間が大き過ぎることによって発生することが多い現象である。そこで、このステップでは最適化カウンタAの値をデクリメントする。最適化カウンタAの値は、最小値を-10とする。最適化カウンタAの値が最小値-10の場合は、デクリメントによる減少は行わない。
【0049】
ステップS65では、ステップS62,ステップS64の処理の結果、最適化カウンタAの値が最大値になったか否かの判定を行い、最大値(yes)になった場合はステップS66に進み、そうでない(no)場合はステップS68に進む。
ステップS66では、自動降下タイマの現在の設定時間が変更可能な範囲であるのか否かの判定を行い、変更可能な範囲にある(yes)場合は次のステップS67に進み、変更可能な範囲外にある(no)場合はリターンする。
ステップS67では、自動降下タイマの現在の設定時間が変更可能なので、自動降下タイマの設定時間に1秒を加算する。自動降下タイマの設定時間の初期設定値が5秒の場合、その変更可能な範囲は±2秒の3~7秒である。従って、設定時間が初期設定値の5秒の場合には、1秒が加算されて設定時間は6秒となる。なお、既に設定時間が7秒になっている場合は変更可能範囲外となり、自動降下タイマの設定時間は、これより大きい値にはならない。また、初期設定値が10秒の場合、その変更可能な範囲は±5秒の5~15秒である。従って、設定時間が初期設定値の10秒の場合には、1秒が加算されて設定時間は11秒となる。
【0050】
ステップS68では、ステップS61~ステップS64の処理の結果、最適化カウンタAの値が最小値か否かの判定を行い、最小値(yes)の場合はステップS69に進み、そうでない(no)場合はステップリターンする。
ステップS69では、自動降下タイマの設定時間が変更可能な範囲にあるか否かの判定を行い、可能範囲にある(yes)場合は次のステップS6aに進み、可能範囲外にある(no)場合はリターンする。
ステップS6aでは、自動降下タイマの設定時間が変更可能なので、自動降下タイマの設定時間から1秒を減算する。自動降下タイマの設定時間の変更可能な範囲が3~7秒であって、現在の設定時間が5秒の場合には、1秒が減算されて設定時間は4秒となる。なお、設定時間が3秒の場合は変更可能範囲外となり、これより小さい値にはならない。また、現在の設定時間が10秒で、変更可能な範囲が±5秒の5~15秒であって、現在の設定時間が10秒の場合には、1秒が減算されて設定時間を9秒となる。
【0051】
この実施の形態では、ステップS67又はステップS6aの処理で自動降下タイマの設定時間を加算又は減算してリターンする場合について説明したが、この加算又は減算処理の後に、最適化カウンタAの値を初期値に戻す処理を実行してもよい。
【0052】
上述の実施の形態では、自動降下中に障害物を感知した回数をカウントし、そのカウント値が多い場合は、自動降下タイマの設定時間が短いものとして、自動降下タイマの設定時間を自動的に長くしている。一方、上限停止後自動降下するまでに障害物を感知することなく自動降下を開始した場合は、通行量が少なく、自動降下タイマの設定時間が長いものとして、自動降下タイマの設定時間を自動的に短くしている。
【0053】
図7は、障害物感知信号の入力を10分毎にカウントした回数の一例を示す度数分布を表したヒストグラム図である。このヒストグラム図は、光電センサ6,7の光路8内に人や物体(自動車等)が通過した場合の感知信号の入力回数を10分毎でカウントすることによって取得される。図7は、月曜日から日曜日までの1週間分の度数分布を示し、縦軸がカウント数、横軸が1日の24時間を示す。総和は、この1週間分を合成した週単位の度数分布である。
【0054】
図7の総和に示すように、月曜日から日曜日までの1週間分の度数分布の合成を取ると、24時間のうち、23時~6時の間のカウント値がゼロであることが分かる。すなわち、週単位の度数分布の中に光電センサ6,7の光路8内を人や物体が通過していない時間(無検知時間)が存在することがわかる。
【0055】
これは、スクリーンカーテン15の設置個所が、営業時間の決められた店舗などのように、特定の時間に人の出入りが存在しない場所だからである。このように、スクリーンカーテン15の設置される個所に応じて図7に示すような特定の傾向を示すことが分かっている。スクリーンカーテン15の設置個所としては、例えば、工場の製造ラインの出入口、作業・検品・出荷場所等の出入口、倉庫の出入口、駐輪・駐車場の出入口、一般家庭の出入口、商品等の搬入口、建物の出入口などがある。図7の日単位の度数分布及び週単位の度数分布は、これらの種々の場所によって特定の傾向を示すことが分かっている。
【0056】
図7では、1週間分のカウント値を合成した週単位の度数分布を示しているが、土日が休業日の場合や土日以外の特定の曜日が休業日に該当する場合も存在する。このように特定の曜日が休業日に該当する場合には、曜日毎にカウント値を合成することによって、ある特定の曜日に無検知時間が多く存在する場合がある。そこで、このよう特定の曜日が休業日に該当する場合には、曜日毎にカウント値を合成して曜日単位のデータから無検知時間を検出するようにしてもよい。また、無検知時間を検出するために、1週間、又はこれ以上の期間(1カ月、数カ月、1年、数年の単位)でカウント値を合成したデータを取得するようにしてもよい。曜日毎のカウント値については、1月から12月までの月単位でカウント値を合成してもよいし、第1週から第52週までの週単位でカウント値を合成してもよい。
【0057】
光電センサ6,7の光路8内に人や物体(自動車等)が通過した場合の感知信号の入力に基づいて人や物体の通過をカウントし、年単位、月単位、週単位、日単位、曜日単位の度数分布を作成する。図7では、日単位及び週単位の度数分布を示しているが、これを随時記録することによって曜日単位、月単位、年単位の度数分布を構成することができる。
【0058】
図8は、図7の月曜日の度数分布に基づいて、自動降下タイマの降下時間を決定する処理の一例を示す図である。図8(A)は、図7の月曜日の度数分布であり、図8(B)は、図8(A)の度数分布の値を1時間毎に平均化したものであり、図8(C)は、図8(B)の平均化された値に基づいて決定された自動降下タイマの設定時間を示すものである。
【0059】
図8(B)に示すように度数分布を1時間毎に平均化したものは、図8(A)の度数分布の検知数に対応したものとなる。そこで、図8(B)の度数分布を1時間毎に平均化したものを、上述の変更可能な範囲が5~15秒に対応付けると、図8(C)のような自動降下タイマの設定時間が算出される。この設定時間は、21~6時が5秒、7~8時,15~16時,18~20時が6秒、11~12時,13~14時が8秒、12~13時,20~21時が9秒、16~17時が10秒、8~10時が11秒、6~7時,14~15時,17~18時が13秒、10~11時が15秒にそれぞれ割り当てられる。
【0060】
図8では、図7の度数分布を1時間毎に平均化したものに基づいて自動降下タイマの設定時間を決定する場合について説明したが、1時間よりも長い時間(例えば2時間・3時間)で平均化してもよいし、1時間よりも短い時間(例えば30分・10分)で平均化してもよい。
図8(C)の実施の形態では、自動降下タイマの設定時間をステップ的に変化させているが、例えば5秒から13秒に変化させる場合は、6秒から13秒まで1~2分刻みで徐々に増加し、15秒から8秒に変化させる場合は、14秒から8秒まで1~2分刻みで徐々に減少させてもよい。すなわち、設定時間をステップ的に変化させるのではなく、スロープ的に変化させてもよい。
また、図8に示すようにして自動降下タイマの設定時間が決定している場合でも、図5及び図6の処理を実行して、その設定時間を適宜変更できるようにしてもよい。
【0061】
上述の実施の形態では障害物感知装置を設けない場合について説明したが、ウェイトバー近傍および/または開口部近傍に障害物感知装置を設けてもよい。この場合、障害物感知装置として、座板スイッチ、テープスイッチなどのように障害物に当接することによって障害物を検出するものを用いてもよい。
【0062】
上述の実施の形態では、上下昇降方式で繰り出されるスクリーンカーテンを例に説明したが、シャッター状の開閉部材が横引き方式で繰り出されたり、あるいは水平方式で繰り出されたりするものであっても同様に適用することができる。また、開閉体装置としては、例えば、シャッター装置、オーバーヘッドドア、窓シャッター装置、ブラインド装置、ロールスクリーン装置、垂れ幕装置、引戸装置、移動間仕切装置、オーニング装置、防水板装置などにも適用可能である。
【0063】
上述の実施の形態では、自動降下処理を行う開閉装置を例に説明したが、自動的に開動作及び閉動作を行う自動ドア等に応用することも可能である。人や物(自動車等)を感知することによって自動的に開動作を実行し、所定時間経過後に自動的に閉動作を行うものにおいて、閉動作の開始時間を上述の実施の形態に基づいて適宜変更設定することによって、自動ドア等の自動閉鎖のタイミングを人や物(自動車等)の出入等に応じて最適化することができる。
【符号の説明】
【0064】
10…ロールスクリーン装置
11…収納ボックス
12,13…ガイドレール
14…巻取シャフト
15…スクリーンカーテン
16…ウェイトバー
17…電動モータ
18…リミットスイッチ
20…制御盤
21…入出力端子台
22…モータドライブ基板
23…パラメータ設定ユニット
231…パラメータ表示部
232…エンタースイッチ
233…モード選択スイッチ
234…スクロールスイッチ
24…押しボタン
241…上昇(開)ボタン
242…停止(停)ボタン
243…下降(閉)ボタン
30,31…通信ケーブル
32…電源ケーブル
6,7…光電センサ
6a…投光器
7a…受光器
6b,7b…光電センサアンプ
8…光路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8