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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 27/00 20060101AFI20240405BHJP
   F25D 23/06 20060101ALI20240405BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
F25D27/00
F25D23/06 A
F25D11/00 101A
F25D23/06 K
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020094702
(22)【出願日】2020-05-29
(65)【公開番号】P2021188831
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2022-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】早川 隆人
(72)【発明者】
【氏名】秋吉 浩一
(72)【発明者】
【氏名】燕 鵬
【審査官】五十嵐 公輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-179780(JP,A)
【文献】特開平05-317146(JP,A)
【文献】特開2011-179795(JP,A)
【文献】実公昭47-011976(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 27/00
F25D 23/06
F25D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方に開口する貯蔵室が内部に設けられた内箱と、前記内箱の外側に配置された外箱と、前記内箱と前記外箱との間に設けられた断熱空間に収納された断熱材とを備えた冷蔵庫本体と、
前記貯蔵室の天井面を区画する内箱上面に設けられた照明装置と、
を備える冷蔵庫において、
前記照明装置は、下方に開口する収納開口部を有する照明収納部と、
前記照明収納部の前記収納開口部を閉塞する照明カバーと、
前記照明収納部と前記照明カバーとで区画された空間に配置された光源と、
を備え、
前記内箱上面は、前記照明装置の後側に位置する内箱上面後部が前方に行くほど上方へ向かうように傾斜し、
前記照明カバーは、前記光源と対向して配置され前記光源から放出された光が透過する出射面を備え、
前記出射面は、後方に行くほど上方へ向かうように傾斜し、水平方向に対する前記出射面の角度が、水平方向に対する前記内箱上面後部の角度より大きく、
前記照明収納部が前記内箱上面よりも上側にあり、前記照明収納部と前記照明カバーとが係合する位置が前記内箱上面よりも上側にあり、前記照明カバーの前側と前記照明収納部とが係合する位置が、前記照明カバーの後側と前記照明収納部とが係合する位置よりも上側にある、冷蔵庫。
【請求項2】
前記照明カバーにおける前記出射面の前側にもうけられた前記内箱上面より下方へ突出する前突出面と、前記前突出面と前記光源との間に設けられ前記前突出面の後側を覆う遮蔽部とを備え、
前記遮蔽部は前記照明収納部を構成する部材の一部として形成されている、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記内箱上面は、断熱空間へ陥没する取付凹部と、前記取付凹部の前側に設けられた内箱上面前部と、を備え、
前記照明カバーは、前記出射面の前側に前記内箱上面より下方へ突出する前突出面と、前記前突出面に設けられた着色層とを備え、前記着色層の上端が前記取付凹部に設けられ前記内箱上面前部よりも上方にある、請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記内箱上面は、断熱空間へ陥没する取付凹部と、前記取付凹部の底面に設けられた取付開口部と、前記取付凹部の前側に設けられた内箱上面前部とを備え、
前記照明収納部は、前記取付凹部の断熱空間側に嵌まり、前記収納開口部が前記取付開口部と連通するように前記内箱上面に設けられ、
前記取付凹部は、前記内箱上面前部及び前記内箱上面後部よりも上方に陥没する請求項1~3のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫では、主に、回動式の扉が設けられる冷蔵室の天井面に照明装置を設け、開扉時に内部の貯蔵品がよく見えるように、貯蔵室内を照明するようになっている(下記特許文献1参照)。
【0003】
このような照明装置は、貯蔵室の後方に設置されると後方から前方へ向けて照射された光によって貯蔵品を照明する逆光状態となり、貯蔵品が見えづらく、また、使用者が照明光を直接見ることになり製品品位に欠ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-98548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は、上記事情を考慮してなされたものであり、貯蔵室の貯蔵品を見やすく照明することができ、貯蔵室内部の美観に優れた冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態の冷蔵庫は、前方に開口する貯蔵室が内部に設けられた内箱と、前記内箱の外側に配置された外箱と、前記内箱と前記外箱との間に設けられた断熱空間に収納された断熱材とを備えた冷蔵庫本体と、前記貯蔵室の天井面を区画する内箱上面に設けられた照明装置と、を備える冷蔵庫において、前記照明装置は、下方に開口する収納開口部を有する照明収納部と、前記照明収納部の前記収納開口部を閉塞する照明カバーと、前記照明収納部と前記照明カバーとで区画された空間に配置された光源と、を備え、前記内箱上面は、前記照明装置の後側に位置する内箱上面後部が前方に行くほど上方へ向かうように傾斜し、前記照明カバーは、前記光源と対向して配置され前記光源から放出された光が透過する出射面を備え、前記出射面は、後方に行くほど上方へ向かうように傾斜し、水平方向に対する前記出射面の角度が、水平方向に対する前記内箱上面後部の角度より大きく、前記照明収納部が前記内箱上面よりも上側にあり、前記照明収納部と前記照明カバーとが係合する位置が前記内箱上面よりも上側にあり、前記照明カバーの前側と前記照明収納部とが係合する位置が、前記照明カバーの後側と前記照明収納部とが係合する位置よりも上側にあるものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態の冷蔵庫の概略構成を示す縦断面図
図2】扉を省略した冷蔵庫の正面図
図3図1のA-A断面図
図4】分解した照明装置の断面図
図5図1の要部拡大図
図6】照明カバーを分解した状態を示す内箱上面の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態の冷蔵庫1について図面に基づき説明する。なお、以下の実施形態は例示であり、発明の範囲はこれに限定されない。以下の実施形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲で様々な省略、置換、変更を行うことができる。以下の実施形態やその変形は、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0009】
なお、以下の説明において、左右方向、前後方向、上下方向とは、冷蔵庫を正面から見たときの方向を示し、左右方向は冷蔵庫の幅方向に相当する。また、右、左、上、下、奥、背、手前とは、特に規定がない場合には冷蔵庫を正面から見たときの位置や側などを示す。また、冷蔵庫1の内箱4において貯蔵室に向く側を庫内側とし、断熱材を介して外箱3と対向する側を断熱空間側とする。
【0010】
(1)冷蔵庫1の構成
冷蔵庫1の構成について図面を参照して説明する。冷蔵庫1は、図1図3に示すように、前面に開口する冷蔵庫本体2を備える。冷蔵庫本体2は、鋼板製の外箱3と合成樹脂製の内箱4とを備え、外箱3及び内箱4との間に発泡断熱材や真空断熱パネルなどの断熱材を収納する断熱空間5が形成されている。冷蔵庫本体2は内箱4の内側に複数の貯蔵室が設けられている。具体的には、図1に示すように、上段から順に、冷蔵室6、野菜室7が設けられ、その下方に冷凍室10が設けられている。
【0011】
冷蔵室6及び野菜室7は、その後面に設けられた冷蔵室温度センサ36の検出温度に基づいて冷蔵温度帯(例えば、1~4℃)に冷却される貯蔵室である。冷蔵室6と野菜室7の間は、合成樹脂製の仕切板11により上下に仕切られているが、仕切板11の後端部に設けられた連通孔17を介して冷蔵室6の空気が野菜室7へ流れるようになっている。冷蔵室6の前面開口部には、ヒンジで枢支された回動式の断熱扉6aが設けられている。
【0012】
冷蔵室6の後面は、内箱背面4eの前方に間隔をあけて設けられた後壁部材40によって区画されている。後壁部材40は、内箱背面4eとの間で、冷蔵室6へ供給する冷気が流れる冷蔵側流路24の一部を構成する第1流路部24b及び第2流路部24cを形成する。また、後壁部材40には、使用者が冷蔵室6や冷凍室10等の温度設定等の各種設定を行うための操作パネル39や、冷蔵室6内の温度を検出する冷蔵室温度センサ36が設けられている。
【0013】
冷蔵室6の内部空間には、上下に間隔をあけて複数の棚板12が設けられている。仕切板11と最下段の棚板12aとで上下に仕切られた空間には、給水タンク30や収納容器14のような引き出し式の容器を収納する下側貯蔵室6bが形成され、最下段の棚板12aの上方に区画された空間には、棚板12を設ける上側貯蔵室6cが形成されている。
【0014】
下側貯蔵室6bは、冷蔵室6の一方側壁(左側壁)に寄せて配設された縦仕切壁13によって冷蔵庫幅方向に区画されている(図3参照)。冷蔵室6の左側壁と縦仕切壁13に挟まれた空間には、給水タンク30及び給水装置31が設けられている。給水タンク30は、仕切板11に設けられた不図示の位置決め部によって前後方向における所定位置に収納される引き出し式の容器である。
【0015】
縦仕切壁13と冷蔵室6の他方側壁(右側壁)に挟まれた空間には、引き出し式の収納容器14が収納されている。縦仕切壁13は、図3に示すように収納容器14の前側部分の後方に隠れるように配置されている。
【0016】
下側貯蔵室6bでは、その後部に配置された後壁部材40やハウジングケース38が、前方から給水タンク30及び収納容器14によって覆い隠されている。
【0017】
上側貯蔵室6cは、冷蔵庫1において最上段に配置された貯蔵室であり、貯蔵品を収納しない状態において、上側貯蔵室6cの後部に配置された後壁部材40の後壁板41が露出し前方から視認可能となっている。
【0018】
なお、最下段の棚板12aは、内箱4の左右側面4a、4bに固定されていてもよく、あるいは、内箱4の左右側面4a、4bに対して着脱可能に取り付けられていてもよい。
【0019】
冷蔵室6の天井面を形成する冷蔵庫本体2の天井壁は、庫内側に冷蔵室6内を照明する照明装置80が収納されている。
【0020】
野菜室7の前面開口部には、引き出し式の断熱扉7aが設けられている。この断熱扉7aの背面部には、貯蔵容器を構成する収納容器15が連結されており、開扉動作とともに収納容器15が庫外に引き出されるように構成されている。
【0021】
冷凍室10は、その後面に設けられた冷凍室温度センサ37の検出温度に基づいて冷凍温度帯(例えば、-10~-20℃)に冷却される貯蔵室である。野菜室7と冷凍室10との間は、内部に断熱材が設けられた断熱仕切壁16により上下に仕切られている。冷凍室10の前面開口部には、引き出し式の断熱扉10aが設けられている。
【0022】
冷凍室10には、図1に示すように、下段容器100、中段容器101及び上段容器102とからなる3つの収納容器が上下に並べて設けられている。断熱扉10aの背面部には、下段容器100が連結されており、開扉動作とともに下段容器100と、下段容器100に上面に支持された中段容器101が庫外に引き出されるように構成されている。
【0023】
上段容器102の上方には、製氷皿と離氷機構を含む製氷装置105が設けられており、製氷装置105で作製した氷は上段容器102へ落下され上段容器102で貯氷される。製氷装置105は、冷蔵室6に設けられた給水タンク30及び給水装置31とともに自動製氷装置を構成し、給水装置31によって吸い上げられた給水タンク30の水が製氷皿に供給されるようになっている。
【0024】
冷凍室10の奥部には、貯蔵室6,7,10を冷却する冷気を生成する冷却器21と、冷却器ファン22を収納する冷却器室23が設けられている。冷却器室23には、冷却器21で生成した冷気を冷蔵室6へ供給する冷蔵側流路24と、冷却器21で生成した冷気を冷凍室10へ供給する冷凍側流路26と、各貯蔵室6、7、10を流れた空気を冷却器室23へ戻すリターンダクト19が接続されている。冷却器室23と冷蔵側流路24との接続部分には冷蔵ダンパ25が設けられ、冷却器室23と冷凍側流路26との接続部分には冷凍ダンパ27が設けられている。
【0025】
冷蔵側流路24は、野菜室7の後面に設けられた野菜室流路24aと、冷蔵室6の後方に設けられた第1流路部24b及び第2流路部24cを下方から順に接続して形成される。
【0026】
野菜室流路24aは、その幅方向中心が野菜室7の幅方向中心より幅方向一方側(本実施形態では、右側)に寄せて配置されている。野菜室流路24aは、冷蔵ダンパ25から上方に行くに従い流路幅が広がり第1流路部24bの下端部に接続されている。
【0027】
第1流路部24bは、下側貯蔵室6bの下端から上方に延び、最下段の棚板12aより上方位置まで延びており、下側貯蔵室6bの後方及び上側貯蔵室6cの下部後方に設けられている。第1流路部24bは、その幅方向中心が冷蔵室6の幅方向中心より幅方向一方側(本実施形態では、右側)に寄せて配置されている。
【0028】
第1流路部24bの上端は、上下方向に対して幅方向内方(本実施形態では、左側)へ向けて斜めに傾斜した傾斜部24dを介して第2流路部24cに接続されている。第2流路部24cは、その幅方向中心が第1流路部24bの幅方向中心より冷蔵室6の幅方向中央に寄せて配置されている。
【0029】
第1流路部24bの前面には、下側貯蔵室6bに開口する吹出口18bが設けられ、第2流路部24cの前面には、上側貯蔵室6cに開口する吹出口18cが設けられている。
【0030】
冷却器21は、冷蔵庫本体2の背面下部に形成された機械室28に収納された圧縮機29や凝縮器とともに冷凍サイクルを構成し、圧縮機29から吐出された冷媒によって冷却される。冷却器21は、冷却器室23の空気を冷却して各貯蔵室6,7,10を冷却するための冷気を生成する。
【0031】
冷蔵庫本体2の背面上部には、図1に示すように、前方へ陥没する基板収納部60が設けられ、その内部に冷蔵庫1を制御する制御基板70と、リアクトル等の電気部品71が設けられている。
【0032】
制御基板70は、各種センサ36、37や操作パネル39から入力される検出信号と予めメモリに記憶された制御プログラムに基づいて、冷蔵ダンパ25及び冷凍ダンパ27の開閉や、冷却器ファン22の回転速度や、圧縮機29の運転周波数や、照明装置80を制御して冷蔵庫1の動作全般を制御する。
【0033】
このような構成の冷蔵庫1では、冷却器ファン22の回転と、冷蔵ダンパ25及び冷凍ダンパ27の開閉を制御して、冷却器21が生成した冷気を冷蔵室6及び野菜室7と、冷凍室10へ切り替えて供給することによって、冷蔵室温度センサ36や冷凍室温度センサ37の検出温度が所定の温度条件を満たすように、各貯蔵室6,7,10を冷却する。
【0034】
具体的には、冷蔵室6及び野菜室7を冷却する場合、圧縮機29を駆動することで冷却器21を低温化しつつ、冷蔵ダンパ25を開放し冷凍ダンパ27を閉止した状態で冷却器ファン22を駆動する。これにより、冷却器21で冷却された空気は、野菜室流路24a、第1流路部24b、傾斜部24d及び第2流路部24cを通って上方へ流れ、吹出口18b、18cより冷蔵室6に供給され、冷蔵室6を冷却する。冷蔵室6を流れた空気は、仕切板11に設けられた連通孔17を通って野菜室7に流れ込み、野菜室7内を冷却した後、野菜室7の背面に設けられた吸込口19aからリターンダクト19に取り込まれ、冷却器室23に戻り、再び冷却器21と熱交換して冷却される。
【0035】
冷凍室10を冷却する場合、圧縮機29を駆動することで冷却器21を低温化しつつ、冷凍ダンパ27を開放し冷蔵ダンパ25を閉止した状態で冷却器ファン22を駆動する。これにより、冷却器21で冷却された空気は、冷凍側流路26を通って吹出口34より冷凍室10に供給され、冷凍室10を冷却する。冷凍室10を流れた空気は、冷凍室10の背面に設けられた吸込口19bからリターンダクト19に取り込まれ、冷却器室23に戻り、再び冷却器21と熱交換して冷却される。
【0036】
また、冷蔵庫1では、冷蔵室6の扉6aの開扉時に制御基板70が照明装置80に駆動電源を供給して冷蔵室6内を照明する。
【0037】
(2)冷蔵庫本体2
次に、冷蔵庫本体2の構成について説明する。
【0038】
内箱4は、真空成形機で一体成形された合成樹脂成形体からなり、内箱左側面4a、内箱右側面4b、内箱上面4c、内箱底面4d及び内箱背面4eを有する前面に開口した箱状をなしている。
【0039】
図1図4及び図5に示すように、内箱上面4cは、冷蔵室6の天井面を区画し、照明装置80が設けられている。なお、照明装置80は、内箱上面4cの任意の位置に設けることができる。例えば、冷蔵室6に設けられた最上段の棚板12の前端と上下に重なるように照明装置80を設けたり、後述する光源83が最上段の棚板12より前方に位置するように照明装置80を設けたり、冷蔵室6の前後方向中央部より前寄りに照明装置80を設けることができる。
【0040】
内箱上面4cは、前方に行くほど上方へ向かうように傾斜面からなる。具体的には、内箱上面4cは、照明装置80の前側に位置する内箱上面前部4c1と照明装置80の後側に位置する内箱上面後部4c2とを備える。
【0041】
内箱上面前部4c1及び内箱上面後部4c2は、いずれも前方に行くほど上方へ向かうように傾斜しているが、水平方向に対する内箱上面前部4c1の角度θ1が水平方向に対する内箱上面後部4c2の角度θ2より大きくなるように傾斜している(図5参照)。
【0042】
また、内箱上面4cは、照明装置80の取付位置に断熱空間5へ向けて上方へ陥没する取付凹部4c3が設けられている。取付凹部4c3の底面には取付開口部4c4が貫通している。
【0043】
取付凹部4c3の底面と内箱上面4cとを連結する取付凹部4c3の周壁は、底面に近づくほど取付凹部4c3の内方へ向かうように(取付凹部4c3の奥に行くほど狭くなるように)傾斜している。つまり、取付凹部4c3の周壁のうち、取付凹部4c3の底面と内箱上面前部4c1とを連結する前周壁4c5は、取付凹部4c3の底面に近づくほど後方へ傾斜する。取付凹部4c3の底面と内箱上面後部4c2とを連結する後周壁4c6は、取付凹部4c3の底面に近づくほど前方へ傾斜する。本実施形態では、前周壁4c5が、後周壁4c6より上下方向に対する傾斜角度が大きくなっている(図4参照)。
【0044】
冷蔵庫本体2の外郭を構成する鋼板製の外箱3は、内箱4の内箱左側面4a、内箱右側面4b、内箱上面4c、内箱底面4d及び内箱背面4eとそれぞれ対向する外箱左側面3a、外箱右側面3b、外箱上面3c、外箱底面3d及び外箱背面3eを有する前面に開口した箱状をなしている。外箱左側面3a、外箱右側面3b、外箱上面3cは、一枚の長尺な鋼板をほぼU字状に折曲することにより形成されている。外箱底面3d及び外箱背面3eは、外箱左側面3a、外箱右側面3b、及び外箱上面3cと別個に設けられた部材である。外箱底面3dには、機械室28を形成するための段差部が折曲形成されている。
【0045】
(3)照明装置80
次に、照明装置80の構成について、主に図4図6を参照して説明する。
【0046】
照明装置80は、内箱上面4cの取付凹部4c3の断熱空間5側(上側)に設けられた照明収納部81と、取付凹部4c3の下方に設けられた照明カバー82と、LEDなどの光源83とを備える。
【0047】
照明収納部81は、下方に収納開口部84が設けられた上下方向に扁平な皿状の部材からなり、収納開口部84の周縁から外方へ鍔部85が突出している。照明収納部81は、内箱上面4cに設けられた取付凹部4c3が収納開口部84に下方から挿入され、取付凹部4c3の断熱空間5側に嵌まるように内箱上面4cに取り付けられる。
【0048】
このように照明収納部81が内箱上面4cに取り付けられると、図5に示すように、鍔部85が取付凹部4c3の周縁部の断熱空間5側に接触すると共に、収納開口部84が取付凹部4c3の取付開口部4c4と上下に連通し、照明収納部81の下方が開放される。
【0049】
照明収納部81の内部には、光源83が実装された照明基板86を保持する保持部87が設けられている。保持部87は、冷蔵庫1の幅方向に間隔をあけて複数設けられ、照明収納部81の前後方向中央部より前方に寄った位置において、光源83の光の出射方向が鉛直下方よりも後方へ傾斜するように照明基板86を傾けて保持する。
【0050】
また、照明収納部81の内部には、保持部87の前方に遮蔽部88が設けられ、保持部87の後方に照明基板86に接続されるリード線を収納する配線収納部96が設けられている。遮蔽部88は、照明収納部81に一体に設けられた下方へ垂れ下がる遮光性を有する板状体である。遮蔽部88は、冷蔵庫1の幅方向に沿って照明収納部81の略全体に設けられ、光源83から放出された光のうち前方へ向かう光の少なくとも一部を遮る。
【0051】
照明カバー82は、透明性の高いアクリル樹脂等の成形体であって、内箱上面4cの取付凹部4c3に取り付けられ、照明収納部81の収納開口部84を閉塞しつつ、光源83からの光を拡散して冷蔵室6内に照射させる。
【0052】
照明カバー82は、光源83と上下に対向する出射面90の周縁部から上方へ突出する周壁を備え、上方に開口する上下方向に扁平な皿状をなしている。
【0053】
具体的には、出射面90の下側(冷蔵室6側)は、後方に行くほど上方へ向かうように傾斜し、水平方向に対する角度θ3が水平方向に対する内箱上面前部4c1や内箱上面後部4c2の角度θ1、θ2より大きい傾斜面をなしている。出射面90の上面(照明収納部81側)は、幅方向に延びる複数の突条が前後方向に並べて設けられた凹凸面をなしており、光源83から出射された光を拡散する。
【0054】
出射面90の前端及び後端から突出する前突出面91及び後突出面92の上端には、上方へ突出する係止爪93が設けられている。係止爪93は、内箱上面4cに設けられた取付凹部4c3の取付開口部4c4に下方から挿入され、照明収納部81に設けられた係止部94に係止する。これにより、取付凹部4c3の取付開口部4c4を閉塞するように照明カバー82が内箱上面4cに固定される。
【0055】
前突出面91は、内箱上面4cの取付凹部4c3に照明カバー82を取り付けた状態で、内箱上面前部4c1より下方へ突出している。この前突出面91は、銀色等の金属色や内箱4と同じ色等に着色された着色層91aが設けられてもよく、上方に行くほど前方へ向かうように傾斜してもよい。なお、着色層91aは、別体のシートの貼り付けで設けたり、ホットスタンプや塗装により設けたり、めっきや蒸着で設ける等、任意の方法によって前突出面91に形成することができる。
【0056】
また、内箱上面4cの取付凹部4c3に照明カバー82を固定した状態では、保持部87に保持された照明基板86と前突出面91との間に遮蔽部88が配置され、前突出面91の後側を幅方向略全体にわたって遮蔽部88が覆っている。
【0057】
後突出面92は、内箱上面4cの取付凹部4c3に照明カバー82を取り付けた状態で内箱上面後部4c2より下方へ突出している。なお、内箱上面後部4c2(取付凹部4c3の後端)から後突出面92の下端までの突出量は、内箱上面前部4c1(取付凹部4c3の前端)から前突出面91の下端までの突出量より小さいことが好ましい。
【0058】
光源83は、照明収納部81と照明カバー82とで区画された空間に収納され、出射面90に対して垂直に近い角度で光が照射されるように、例えば、光源83の光の出射方向と出射面90の法線方向のなす角度が10°以下となるように、光の出射方向が鉛直下方に対して後方へ傾斜するように傾けて配置されている。
【0059】
なお、図5に示すように、本実施形態では、鉛直下方に対する光源83の光の出射方向の傾斜角度θ4が水平方向に対する出射面90の傾斜角度θ3より大きいが、傾斜角度θ4は、水平方向に対する出射面90の傾斜角度θ3と同じであってもよく、また、傾斜角度θ3より小さくてもよい。また、本実施形態では、光源83が、内箱上面4cの取付凹部4c3の底面より断熱空間5側(上側)に配置されているが、取付凹部4c3の底面より下側に光源83を配置してもよい。
【0060】
(4)効果
以上のような本実施形態では、光源83と対向して配置された照明カバー82の出射面90が、水平方向に対する内箱上面後部4c2の角度θ2より大きい角度θ3をもって後方に行くほど上方へ向かうように傾斜している。そのため、使用者が正面から冷蔵室6内部を見た時に出射面90が目立ちにくく、使用者がまぶしく感じにくくなったり、冷蔵室内部の美感を損ねることがない。
【0061】
本実施形態において、光源83の光の出射方向が鉛直下方よりも後方へ傾斜する場合、光源83から出射された光が冷蔵室6の前方へ照射されにくくなり、更に使用者がまぶしく感じにくくなる。また、出射面90の上面(照明収納部81側)に凹凸面が設けられている場合、光源83からの光を出射面90に対して垂直に近い角度で照射することができるため、当該凹凸面で光が散乱されやすくなり、冷蔵室6内を均一に照明することができる。
【0062】
本実施形態において、出射面90の前側に設けられた前突出面91が、内箱上面前部4c1より下方へ突出する場合、使用者が正面から冷蔵室6内部を見た時に照明装置80として実質的に前突出面91しか見えず、冷蔵室6内部の美観を向上することができる。
【0063】
特に、前突出面91と光源83との間に前突出面91の後側を覆う遮蔽部88が設けられている場合、光源83からの光が前突出面91を透過して照明収納部81の内部が透けて美感を損ねることがない。その際、遮蔽部88が照明収納部81と一体に設けられている場合、照明収納部81に照明カバー82を取り付けることで遮蔽部88が前突出面91の後側に設けられ、組立作業性に優れる。
【0064】
また、前突出面91に着色層91aが設けられている場合、光源83からの光が前突出面91を透過しにくくなるとともに、前突出面91を装飾して冷蔵室6内部の美観を向上することができる。
【0065】
本実施形態において、照明収納部81が、内箱上面4cに設けられた取付凹部4c3の断熱空間5側に嵌まり内箱上面4cに設けられている場合、冷蔵庫本体2の組立時に照明収納部81が取付凹部4c3によって位置決めされ、所定の位置に照明収納部81を簡便に配置することができるとともに、断熱空間5に充填する発泡断熱材による照明収納部81の位置ずれを抑えることができる。しかも、その場合、照明収納部81の収納開口部84が取付凹部4c3の取付開口部4c4と連通し、係止爪93が取付開口部4c4を介して下方から挿入され照明収納部81の係止部94に係止する。つまり、係止爪93が、内箱上面4cから上方へ凹んだ取付凹部4c3の底面において内箱4に挿通されるため、係止爪93の挿通箇所が正面から見えにくくなるとともに、係止爪93の挿入箇所から光源83からの光が漏れ出ても取付凹部4c3によって遮ることができ、冷蔵室6内部の美観を向上することができる。
【符号の説明】
【0066】
1…冷蔵庫、2…冷蔵庫本体、3…外箱、4…内箱、4c…内箱上面、4c1…内箱上面前部、4c2…内箱上面後部、4c3…取付凹部、4c4…取付開口部、5…断熱空間、6…冷蔵室、7…野菜室、10…冷凍室、80…照明装置、81…照明収納部、82…照明カバー、83…光源、84…収納開口部、85…鍔部、86…光源基板、87…保持部、88…遮蔽部、90…出射面、91…前突出面、91a…着色層、92…後突出面、93…係止爪、94…係止部、95…配線収納部
図1
図2
図3
図4
図5
図6