(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】受光装置
(51)【国際特許分類】
B23K 26/70 20140101AFI20240405BHJP
【FI】
B23K26/70
(21)【出願番号】P 2020096283
(22)【出願日】2020-06-02
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】呉屋 真之
(72)【発明者】
【氏名】小松 由尚
(72)【発明者】
【氏名】赤羽 崇
【審査官】岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-081193(JP,A)
【文献】特開平04-014089(JP,A)
【文献】特開昭60-133911(JP,A)
【文献】特開2015-144980(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザを受光する受光装置において、
前記レーザに交差する液膜を形成する液体カーテン生成装置を備え、
前記液体カーテン生成装置は、
前記液膜を形成するための液体が流通するノズル本体と、
前記ノズル本体に形成され、前記液体を前記液膜状に形成するスリットと、
前記スリットに接続され、前記スリットから噴射される前記液膜を整流する先端ノズルと、を有し、
前記スリットは、前記ノズル本体において前記液体が流通する流通方向に沿う方向である幅方向に延在して形成され、
前記先端ノズルは、前記幅方向において複数並べて形成される複数の分割ノズルを仕切るための複数の仕切りを含
み、
前記分割ノズルは、前記液体を噴射する噴射方向における長さを高さHとし、前記噴射方向に直交する長さを単位大きさdとした場合、「H/d≧5」となっている受光装置。
【請求項2】
前記ノズル本体は、内部を流通する前記液体の流通方向の上流側から下流側に向かって流路面積が小さくなっている請求項
1に記載の受光装置。
【請求項3】
前記ノズル本体は、前記流通方向の上流側から下流側に向かって先細りとなるテーパ形状の円管である請求項
2に記載の受光装置。
【請求項4】
前記先端ノズルは、前記液体を噴射する噴射方向における長さを高さHとし、形成される前記液膜の厚さ方向における長さを厚さwとした場合、「H/w>1」となっている請求項1から
3のいずれか1項に記載の受光装置。
【請求項5】
前記先端ノズルは、「H/w>3」となっている請求項
4に記載の受光装置。
【請求項6】
前記先端ノズルは、前記幅方向において、前記液体を噴射する噴射方向の下流側に向かうにつれて幅広となっている請求項1から
5のいずれか1項に記載の受光装置。
【請求項7】
前記先端ノズルは、前記液膜の膜厚方向において、前記液体を噴射する噴射方向の下流側に向かうにつれて幅狭となっている請求項1から
6のいずれか1項に記載の受光装置。
【請求項8】
レーザを受光する受光装置において、
前記レーザに交差する液膜を形成する液体カーテン生成装置を備え、
前記液体カーテン生成装置は、
前記液膜を形成するための液体が流通するノズル本体と、
前記ノズル本体に形成され、前記液体を前記液膜状に形成するスリットと、
前記スリットに接続され、前記スリットから噴射される前記液膜を整流する先端ノズルと、を有し、
前記スリットは、前記ノズル本体において前記液体が流通する流通方向に沿う方向である幅方向に延在して形成され、
前記先端ノズルは、前記幅方向において複数並べて形成される複数の分割ノズルを仕切るための複数の仕切りを含み、
前記ノズル本体は、内部を流通する前記液体の流通方向の上流側から下流側に向かって流路面積が小さくなっている受光装置。
【請求項9】
前記ノズル本体は、前記流通方向の上流側から下流側に向かって先細りとなるテーパ形状の円管である請求項8に記載の受光装置。
【請求項10】
レーザを受光する受光装置において、
前記レーザに交差する液膜を形成する液体カーテン生成装置を備え、
前記液体カーテン生成装置は、
前記液膜を形成するための液体が流通するノズル本体と、
前記ノズル本体に形成され、前記液体を前記液膜状に形成するスリットと、
前記スリットに接続され、前記スリットから噴射される前記液膜を整流する先端ノズルと、を有し、
前記スリットは、前記ノズル本体において前記液体が流通する流通方向に沿う方向である幅方向に延在して形成され、
前記先端ノズルは、前記幅方向において複数並べて形成される複数の分割ノズルを仕切るための複数の仕切りを含み、
前記先端ノズルは、前記液体を噴射する噴射方向における長さを高さHとし、形成される前記液膜の厚さ方向における長さを厚さwとした場合、「H/w>1」となっている受光装置。
【請求項11】
前記先端ノズルは、「H/w>3」となっている請求項10に記載の受光装置。
【請求項12】
レーザを受光する受光装置において、
前記レーザに交差する液膜を形成する液体カーテン生成装置を備え、
前記液体カーテン生成装置は、
前記液膜を形成するための液体が流通するノズル本体と、
前記ノズル本体に形成され、前記液体を前記液膜状に形成するスリットと、
前記スリットに接続され、前記スリットから噴射される前記液膜を整流する先端ノズルと、を有し、
前記スリットは、前記ノズル本体において前記液体が流通する流通方向に沿う方向である幅方向に延在して形成され、
前記先端ノズルは、前記幅方向において複数並べて形成される複数の分割ノズルを仕切るための複数の仕切りを含み、
前記先端ノズルは、前記幅方向において、前記液体を噴射する噴射方向の下流側に向かうにつれて幅広となっている受光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザを受光する受光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザを受光する受光装置として、レーザの光路上に、液体を液膜状に噴射して供給する液体供給部を有するレーザ受光装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1の液体供給部等の液体カーテン生成装置により形成される液膜は、液体を加圧して噴射口となるスリットから液体を噴射することにより形成される。このため、液膜は、スリット側における圧力が高く、スリットから距離が離れるにつれて圧力が低くなる。この場合、液膜は、幅方向における長さが、噴射口から離れるにつれて短くなる、いわゆる縮流が生じる。液膜に縮流が生じると、液膜が受けるレーザの受光範囲が狭まってしまい、レーザを適切に受光することが困難となる。このため、縮流を抑制するために、液体の加圧を大きくすることが考えられるが、例えば、液膜を形成する装置が大型である場合、加圧のための装置構成が大型化してしまう。
【0005】
そこで、本開示は、液膜の縮流の発生を抑制し、レーザを液膜により好適に遮蔽することができる受光装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の受光装置は、レーザを受光する受光装置において、前記レーザに交差する液膜を形成する液体カーテン生成装置を備え、前記液体カーテン生成装置は、前記液膜を形成するための液体が流通するノズル本体と、前記ノズル本体に形成され、前記液体を前記液膜状に形成するスリットと、前記スリットに接続され、前記スリットから噴射される前記液膜を整流する先端ノズルと、を有し、前記スリットは、前記ノズル本体において前記液体が流通する流通方向に沿う方向である幅方向に延在して形成され、前記先端ノズルは、前記幅方向において複数並べて形成される複数の分割ノズルを仕切るための複数の仕切りを含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、液膜の縮流の発生を抑制し、レーザを液膜により好適に受光することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る受光装置を側面から見たときの模式図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係る受光装置の水カーテン生成装置を正面から見たときの模式図である。
【
図3】
図3は、水カーテン生成装置の先端ノズルを示す模式図である。
【
図5】
図5は、実施形態2に係る受光装置の水カーテン生成装置を正面から見たときの模式図である。
【
図6】
図6は、実施形態3に係る受光装置の水カーテン生成装置の先端ノズルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能であり、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせることも可能である。
【0010】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る受光装置を側面から見たときの模式図である。
図2は、実施形態1に係る受光蔽装置の水カーテン生成装置を正面から見たときの模式図である。
図3は、水カーテン生成装置の先端ノズルを示す模式図である。
図4は、受光装置の性能を示す図である。
【0011】
(受光装置)
実施形態1に係る受光装置10は、加工機械に設けられるものであり、加工機械において使用される加工用の高出力レーザLBを受光し遮蔽する装置となっている。ここで、受光装置10によって遮蔽される高出力レーザLBは、kWオーダーの出力となっており、レーザLBの照射エネルギーが大きいことから、受光装置10は、高出力レーザLBの照射エネルギーを効率よく吸収可能なものとなっている。また、レーザLBの周囲には、レーザLBの照射方向に沿ってアシストガスが流通している。このため、受光装置10には、レーザLBと共にアシストガスが導入される。
【0012】
図1に示すように、受光装置10は、筐体15と、水カーテン生成装置(液体カーテン生成装置)16と、レーザ受け板18と、水循環機構19と、制御部20と、を備えている。
【0013】
筐体15は、方形の箱状に形成されており、その内部に、水カーテン生成装置16及びレーザ受け板18を収容している。筐体15は、その内部にレーザLB及びアシストガスを導入する開口25が貫通形成され、開口25は、筐体15の側面に貫通形成されている。このため、開口25を介して筐体15内部に導入されるレーザLBは、その照射方向が水平方向となる。また、筐体15は、内部の下部側が、水カーテン生成装置16で用いられる水(液体)を溜める水槽26となっている。この水槽26には、後述する水循環機構19が接続されている。
【0014】
水カーテン生成装置16は、筐体15内部において、水膜(液膜)35を形成している。なお、水カーテン生成装置16の詳細については後述する。
【0015】
レーザ受け板18は、水カーテン生成装置16により減衰したレーザLBを受ける部材であり、例えば、金属を用いた金属板となっている。レーザ受け板18は、レーザLBを受けることで、筐体15内部においてレーザLBを遮蔽する。
【0016】
水循環機構19は、筐体15の水槽26に溜まった水を、水カーテン生成装置16に循環させる機構となっている。水循環機構19は、循環流路41と、循環流路41に設けられるポンプ42と、を有している。循環流路41は、その一方が筐体15の水槽26に接続され、その他方が水カーテン生成装置16(の後述するノズル本体31)に接続されている。ポンプ42は、水槽26に溜まった水を、水カーテン生成装置16へ向けて圧送する。
【0017】
制御部20は、受光装置10の作動を制御するものであり、各部の動作を制御する。具体的に、制御部20は、ポンプ42に接続されており、ポンプ42を作動させることで、水カーテン生成装置16に向けて水を供給したり、ポンプ42の作動を停止させることで、水カーテン生成装置16への水の供給を停止したりする。
【0018】
上記の受光装置10において、加工機械で使用される高出力レーザ等のレーザLBが照射されると、照射されたレーザLBは、レーザLBの周囲のアシストガスと共に、筐体15の開口25を介して、筐体15内部に導入される。筐体15内部に導入されたレーザLBは、水カーテン生成装置16により形成される水膜35と交差する。レーザLBは、水膜35と交差することで、照射エネルギーが吸収されて減衰する。減衰したレーザLBは、レーザ受け板18に入射し、レーザ受け板18により遮蔽される。
【0019】
(水カーテン生成装置)
次に、
図2及び
図3を参照して、水カーテン生成装置16について説明する。
図2に示すように、水カーテン生成装置16は、水膜35を形成するための水が流通するノズル本体31と、ノズル本体31に形成されたスリット32と、スリット32に接続された先端ノズル33と、を有している。つまり、ノズル本体31、スリット32及び先端ノズル33により、水膜35を形成するノズルを構成している。
【0020】
ノズル本体31は、筐体15内部の天井に取り付けられ、レーザLBの照射方向に対して直交する方向を長手方向とし、長手方向に延在して設けられている。ノズル本体31の内部に供給される水は、ノズル本体31の長手方向に亘って行き渡る。具体的に、
図2に示すように、ノズル本体31は、その内部において、水が長手方向の一方側から他方側に向かって流通する。このため、長手方向は、水の流通方向となっている。ノズル本体31は、内部を流通する水の流通方向の上流側から下流側に向かって流路面積が小さくなっている。具体的に、ノズル本体31は、流通方向の上流側から下流側に向かって先細りとなるテーパ形状の円管となっている。ノズル本体31は、上流側の断面が円形形状となっており、下流側の断面(端面)が円形形状となっている。このとき、ノズル本体31は、上流側の断面の円形に対して、下流側の断面の円形が内接するテーパ形状となっている。つまり、先端ノズル33が接続されるノズル本体31の外周面の部位(下方側の部位)は、先端ノズル33に対して平行となっている。なお、実施形態1では、ノズル本体31をテーパ形状としたが、この構成に特に限定されない。ノズル本体31は、長手方向に亘って流路面積が同じであってもよく、例えば、直管であってもよい。
【0021】
スリット32は、ノズル本体31内に供給された水を流出させる流出口となっており、ノズル本体31の下方側に設けられている。スリット32は、ノズル本体31内を流通する水を水膜状に形成する。スリット32は、水の流通方向に沿う方向である長手方向に延在して形成されている。このとき、長手方向は、スリット32の幅方向となっている。スリット32は、例えば、細長い矩形の開口となっている。
【0022】
先端ノズル33は、ノズル本体31のスリット32に接続されている。先端ノズル33は、スリット32から流出した水膜35を整流するノズルである。先端ノズル33は、細長い矩形の開口となる角筒形状となっている。ここで、先端ノズル33は、水を噴射する噴射方向における長さを高さHとする。噴射方向は、鉛直方向となっている。噴射方向に直交する面内において、スリット32の幅方向に直交する方向を厚さ方向とする。先端ノズル33は、厚さ方向における長さを厚さwとする。この場合、先端ノズル33は、「H/w>1」となっている。ここで、ノズル本体31の内部を流通する水が、ノズル本体31から先端ノズル33に流入する際、先端ノズル33において、水の流れの縮流(剥離)が生じる。この縮流(剥離)が生じた後、先端ノズル33の下流側で流れが再付着するために必要な最小距離が、先端ノズル33厚さwの1倍となることから、必要最小長さ(H/w)が、1と規定される。また、先端ノズル33は、「H/w>3」となっていることが、より好ましい。これは、再付着後の水の流れが安定化する(厚さ方向の流速分布が均一に近づく)ための最小距離が、先端ノズル33厚さwの3倍程度となるためである。このため、「H/w>3」とすることにより、先端ノズル33内において、ノズル本体31内を流通しスリット32から流出する水膜35の厚さ方向における流速分布を、十分に均一化させることができるため、より好適に整流することができる。
【0023】
図3に示すように、先端ノズル33は、幅方向において複数並べて形成される複数の分割ノズル53を仕切るための複数の仕切り52を有している。仕切り52は、水の噴射方向に沿って設けられており、複数の分割ノズル53が噴出された水が分割されないように、厚さが薄いものとなっている。具体的に、仕切り52の厚さは、1mm以下となっている。
【0024】
仕切り52によって分割された複数の分割ノズル53は、幅方向に並んでおり、噴射方向に延びる流路となっている。複数の分割ノズル53は、例えば、ハニカム構造となっている。なお、複数の分割ノズル53は、ハニカム構造に、特に限定されない。各分割ノズル53は、噴射方向における長さを高さHとし、噴射方向に直交する長さを単位大きさdとした場合、「H/d≧5」となっている。
【0025】
なお、水カーテン生成装置16では、水を用いたが、レーザLBの照射エネルギーを吸収可能な液体であればいずれであってもよい。
【0026】
上記の水カーテン生成装置16において、ノズル本体31に水が供給されると、水は、ノズル本体31の内部において、長手方向(幅方向)の一方側から他方側向かって流通すると共に、スリット32を介して先端ノズル33へ向けて流出する。スリット32から流出した水は、レーザLBの照射方向に直交する面を有する、カーテン状の水膜35となる。スリット32から流出した水膜35が先端ノズル33に流入すると、水膜35は、複数の分割ノズル53を通過することで整流される。
【0027】
水カーテン生成装置16により形成される水膜35には、レーザLBが照射される。水膜35は、レーザLBの照射エネルギーを吸収し、噴射方向(鉛直方向)の上方側から下方側に向かって流れる。つまり、水膜35は、筐体15内部の上部の天井側から、筐体15内部の下部の水槽26に向かって流れる。
【0028】
[実施形態2]
次に、
図5を参照して、実施形態2に係る受光装置60について説明する。なお、実施形態2では、重複した記載を避けるべく、実施形態1と異なる部分について説明し、実施形態1と同様の構成である部分については、同じ符号を付して説明する。
図5は、実施形態2に係る受光装置の水カーテン生成装置を正面から見たときの模式図である。
【0029】
実施形態2の受光装置60は、実施形態1の先端ノズル33を、幅方向に広げたものとなっている。つまり、実施形態2の先端ノズル61は、幅方向において、噴射方向の下流側に向かうにつれて幅広となっている。先端ノズル61は、噴射方向の上流側から下流側へ向かって一様に拡幅するノズルとなっている。
【0030】
スリット32から流出した水膜35が先端ノズル61に流入すると、水膜35は、先端ノズル61を通過することで、幅方向の両側の水に対して外側に向かうベクトル付与する。このため、先端ノズル61は、水膜35の幅方向における縮流を抑制できる。
【0031】
[実施形態3]
次に、
図6を参照して、実施形態3に係る受光装置70について説明する。なお、実施形態3では、重複した記載を避けるべく、実施形態1及び2と異なる部分について説明し、実施形態1及び2と同様の構成である部分については、同じ符号を付して説明する。
図6は、実施形態3に係る受光装置の水カーテン生成装置の先端ノズルの断面図である。
【0032】
実施形態3の受光装置70は、実施形態1の先端ノズル33または実施形態2の先端ノズル61を、水膜35の膜厚方向に狭めたものとなっている。つまり、実施形態3の先端ノズル71は、水膜35の膜厚方向(厚さ方向)において、噴射方向の下流側に向かうにつれて幅狭となっている。なお、先端ノズル71は、噴射方向の上流側において曲率を有する曲面となる一方で、噴射方向の下流側において平坦な平面となっている。
【0033】
スリット32から流出した水膜35が先端ノズル71に流入すると、水膜35は、先端ノズル71を通過することで、膜厚方向の両側の水に対して内側に向かうベクトル付与する。このため、先端ノズル61は、水膜35の膜厚方向において厚さ方向の外側に広がることを抑制できることから、水膜35の膜厚の変位を抑制できる。
【0034】
(受光装置の縮流抑制性能)
次に、
図4を参照して、受光装置10,60,70の縮流抑制の性能について説明する。
図4は、従来の水カーテン生成装置における水膜の幅方向における縮流幅と、実施形態1から3の水カーテン生成装置16における水膜35の幅方向における縮流幅と、を比較した表である。なお、
図4では、本願の水カーテン生成装置16につき、ノズル本体31が直管である場合と、ノズル本体31がテーパ形状である場合とに分けている。
図4において、縮流幅は、先端ノズル33から落下した落下距離に応じて変化している。なお、縮流幅は、水膜35の幅方向の両側で発生する縮流幅を足し合わせた長さである。ここで、先端ノズル33の噴出直後(最上流側)における水膜35の幅方向における幅をLとする(
図2参照)。
【0035】
落下距離が200mmの場合、従来の縮流幅は200mmとなることから、水膜35の幅は、L-200mmとなる。一方で、落下距離が200mmの場合、直管となる本願の縮流幅は60mmとなることから、水膜35の幅は、L-60mmとなる。よって、本願による縮流幅の改善率は、70%((200-60)/200)となる。また、テーパ形状となる本願の縮流幅は50mmとなることから、水膜35の幅は、L-50mmとなる。よって、本願による縮流幅の改善率は、75%((200-50)/200)となる。落下距離が400mmの場合、従来の縮流幅は400mmとなることから、水膜35の幅は、L-400mmとなる。一方で、落下距離が400mmの場合、直管となる本願の縮流幅は90mmとなることから、水膜35の幅は、L-90mmとなる。よって、本願による縮流幅の改善率は、78%程度((400-90)/400)となる。また、テーパ形状となる本願の縮流幅は70mmとなることから、水膜35の幅は、L-70mmとなる。よって、本願による縮流幅の改善率は、83%程度((400-70)/400)となる。落下距離が600mmの場合、従来の縮流幅は600mmとなることから、水膜35の幅は、L-600mmとなる。一方で、落下距離が600mmの場合、直管となる本願の縮流幅は120mmとなることから、水膜35の幅は、L-120mmとなる。よって、本願による縮流幅の改善率は、80%((600-120)/600)となる。また、テーパ形状となる本願の縮流幅は100mmとなることから、水膜35の幅は、L-100mmとなる。よって、本願による縮流幅の改善率は、83%程度((600-100)/600)となる。
【0036】
また、ノズル本体31をテーパ形状とすることにより、直管に比して、先端ノズル33,61,71の幅方向における流量の分布を均一化することができる。つまり、ノズル本体31がテーパ形状の場合、ノズル本体31の下流側に向かって断面積が小さくなっているため、先端ノズル33,61,71の幅方向において、水の流速の変化が小さくなり、これにより、水の圧力の変化も小さくなる。このため、先端ノズル33,61,71の幅方向における流量の分布が均一化される。
【0037】
図4に示すように、実施形態1から3の水カーテン生成装置16を備えた受光装置10は、従来に比して縮流幅を軽減できることが確認された。
【0038】
以上のように、実施形態に記載の受光装置10,60,70は、例えば、以下のように把握される。
【0039】
第1の態様に係る受光装置10は、レーザLBを受光する受光装置10,60,70において、前記レーザLBに交差する液膜(水膜35)を形成する液体カーテン(水カーテン生成装置16)を備え、前記液体カーテン生成装置は、前記液膜を形成するための液体が流通するノズル本体31と、前記ノズル本体31に形成され、前記液体を前記液膜状に形成するスリット32と、前記スリット32に接続され、前記スリット32から噴射される前記液膜を整流する先端ノズル33,61,71と、を有し、前記スリット32は、前記ノズル本体31において前記液体が流通する流通方向に沿う方向である幅方向に延在して形成され、前記先端ノズル33,61,71は、前記幅方向において複数並べて形成される複数の分割ノズル53を仕切るための複数の仕切り52を含む。
【0040】
この構成によれば、先端ノズル33,61,71を通過する液膜を整流することができる。これにより、液膜の幅方向における縮流の発生を抑制し、レーザLBを液膜により好適に遮蔽することができる。
【0041】
第2の態様として、前記分割ノズル53は、前記液体を噴射する噴射方向における長さを高さHとし、前記噴射方向に直交する長さを単位大きさdとした場合、「H/d≧5」となっている。
【0042】
この構成によれば、分割ノズル53を通過する液体をより好適に整流することができる。
【0043】
第3の態様として、前記ノズル本体31は、内部を流通する前記液体の流通方向の上流側から下流側に向かって流路面積が小さくなっている。
【0044】
この構成によれば、ノズル本体31の幅方向における圧力分布を均一にして、スリット32から流出する液体の流量を均一にすることができる。このため、液膜の幅方向における縮流の発生をより抑制することができ、レーザLBを液膜により好適に遮蔽することができる。
【0045】
第4の態様として、前記ノズル本体31は、前記流通方向の上流側から下流側に向かって先細りとなるテーパ形状の円管である。
【0046】
この構成によれば、ノズル本体31の幅方向における圧力分布を好適に均一にすることができるため、スリット32から流出する液体の流量を好適に均一にすることができる。
【0047】
第5の態様として、前記先端ノズル33,61,71は、前記液体を噴射する噴射方向における長さを高さHとし、形成される前記液膜の厚さ方向における長さを厚さwとした場合、「H/w>1」となっている。
【0048】
この構成によれば、スリット32から流出する液膜を好適に整流することができる。
【0049】
第6の態様として、前記先端ノズル33,61,71は、「H/w>3」となっている。
【0050】
この構成によれば、先端ノズル33,61,71内において、スリット32から流出する液膜の厚さ方向における流速分布を、十分に均一化させことができるため、より好適に整流することができる。
【0051】
第7の態様として、前記先端ノズル61は、前記幅方向において、前記液体を噴射する噴射方向の下流側に向かうにつれて幅広となっている。
【0052】
この構成によれば、先端ノズル61を通過する液膜の幅方向の両側において、液体に外側に向かうベクトル付与することができるため、液膜の幅方向における縮流を抑制することができる。
【0053】
第8の態様として、前記先端ノズル71は、前記液膜の膜厚方向において、前記液体を噴射する噴射方向の下流側に向かうにつれて幅狭となっている。
【0054】
この構成によれば、先端ノズル71を通過する液膜の膜厚方向において、液体に内側に向かうベクトル付与することができるため、液膜の膜厚の変位を抑制することができる。
【符号の説明】
【0055】
10 受光装置
15 筐体
16 水カーテン生成装置
18 レーザ受け板
19 水循環機構
20 制御部
25 開口
26 水槽
31 ノズル本体
32 スリット
33 先端ノズル
35 水膜(液膜)
41 循環流路
42 ポンプ
52 仕切り
53 分割ノズル
60 受光装置(実施形態2)
61 先端ノズル(実施形態2)
70 受光装置(実施形態3)
71 先端ノズル(実施形態3)
LB レーザ